(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】給紙ユニット
(51)【国際特許分類】
B65H 16/08 20060101AFI20230829BHJP
B65H 19/12 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65H16/08
B65H19/12 B
(21)【出願番号】P 2019179451
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】三本 匡雄
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510883(JP,A)
【文献】特開2012-158442(JP,A)
【文献】特開2002-348011(JP,A)
【文献】特開2003-80778(JP,A)
【文献】特開2006-52081(JP,A)
【文献】特開2002-234645(JP,A)
【文献】特開昭54-21733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00-16/10
B65H 19/00-19/30
B65H 20/00-20/40
B65H 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙の巻回体を収容可能な給紙トレイと、
前記給紙トレイを移動可能に支持する筐体と、
前記巻回体の回転軸と直交する方向における前記筐体に対する前記給紙トレイの外方への移動に連動して、前記巻回体から巻き出されたロール紙の先端を
前記給紙トレイに向けて引き戻す戻し送り機構と、を備えていることを特徴とする給紙ユニット。
【請求項2】
前記戻し送り機構は、前記直交する方向における前記筐体に対する前記
給紙トレイの外方への移動に連動して、前記巻回体から巻き出されたロール紙を前記巻回体に向けて送ること
で、当該ロール紙の先端を前記給紙トレイに向けて引き戻すことを特徴とする請求項1に記載の給紙ユニット。
【請求項3】
前記戻し送り機構は、前記直交する方向において、前記給紙トレイを前記筐体に対して内方へ移動させるときの前記給紙トレイの先端部と前記巻回体との間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の給紙ユニット。
【請求項4】
前記戻し送り機構は、前記給紙トレイに回転可能に支持され、前記巻回体から巻き出されたロール紙を挟持可能な一対のローラと、前記一対のローラのうちの一方のローラを回転させる回転機構とを有しており、
前記回転機構は、前記直交する方向における前記筐体に対する前記給紙トレイの外方への移動に連動して、前記一方のローラを回転させることを特徴とする請求項2又は3に記載の給紙ユニット。
【請求項5】
前記回転機構は、
前記一方のローラに回転力を伝達するピニオンギヤと、
前記筐体に設けられ、前記給紙トレイの前記直交する方向の移動に伴って前記ピニオンギヤを回転させるように噛み合うラックギヤとを有していることを特徴とする請求項4に記載の給紙ユニット。
【請求項6】
前記回転機構は、前記ピニオンギヤからの回転力を前記一方のローラに伝達する動力伝達部をさらに備えており、
前記動力伝達部は、前記直交する方向において、前記給紙トレイを前記筐体に対して外方へ移動させる際に、前記ラックギヤと噛み合うことで回転する前記ピニオンギヤの回転力を前記一方のローラに伝達し、前記給紙トレイを前記筐体に対して内方へ移動させる際に、前記ラックギヤと噛み合うことで回転する前記ピニオンギヤの回転力を前記一方のローラに伝達しないことを特徴とする請求項5に記載の給紙ユニット。
【請求項7】
前記給紙トレイには、前記直交する方向において、前記給紙トレイを前記筐体に対して内方へ移動させるときの前記給紙トレイの先端部と前記戻し送り機構との間に、前記巻回体から巻き出されたロール紙の前記給紙トレイの底面からの浮きを押さえるガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の給紙ユニット。
【請求項8】
前記給紙トレイには、前記直交する方向において、前記給紙トレイを前記筐体に対して内方へ移動させるときの前記給紙トレイの先端部と前記戻し送り機構との間に、前記巻回体から巻き出されたロール紙の前記給紙トレイの底面からの浮きを押さえるガイド部材が設けられており、
前記一対のローラのうちの他方のローラが前記ガイド部材の前記給紙トレイの先端部と最も離れた端部に回転可能に支持されており、
前記一方のローラが前記他方のローラよりも下方において、前記給紙トレイに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の給紙ユニット。
【請求項9】
前記戻し送り機構は、前記給紙トレイを前記直交する方向に移動させて前記筐体から取り外したときのロール紙の先端が、前記給紙トレイを前記筐体に装着するときの先端部の上端よりも下方に配置されるように、前記巻回体から巻き出されたロール紙を前記巻回体に向けて送ることを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の給紙ユニット。
【請求項10】
前記給紙トレイは、トレイ本体と、前記トレイ本体上に配置され前記巻回体を下方から支持する支持台を有しており、
前記支持台は、前記巻回体の外周面の下方部分に当接しつつ回転可能な複数のローラを有していることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の給紙ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙を収容可能な給紙トレイが筐体に着脱可能に設けられた給紙ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像処理装置の装置本体に引出自在に装着され、ロール状に巻かれたロール紙の巻回体を収容可能な2つの給紙トレイについて記載されている。これら給紙トレイは、上下二段に配置されており、それぞれに、巻回体から巻き出されたロール紙を搬送する送り出しローラと、送り出しローラにより搬送されるロール紙を案内する給紙通路と、給紙通路を通るロール紙を切断可能なカッタとが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の給紙トレイには、送り出しローラに加えてカッタまで設けられているため、給紙トレイ自体の構成が複雑な構成となる。そこで本発明者は、例えば、画像処理装置の装置本体に設けられた給紙トレイを装着するための筐体又は装置本体に着脱可能な増設用の筐体であって給紙トレイを装着するための筐体側に、送り出しローラやカッタを設けて、給紙トレイ自体の構成を簡略化することを検討したところ、以下の課題を知見した。
【0005】
筐体側にカッタなどの切断機構を設けた場合、切断機構で切断されたロール紙の先端は給紙トレイよりも上方に飛び出た位置に配置される。この状態で給紙トレイを移動させて一旦筐体から取り外した後、再度、給紙トレイを筐体に装着した場合、ロール紙の先端が筐体に設けられた構成要素(例えば、給紙ローラなど)に接触し、ロール紙が折れ曲がることがある。このように給紙トレイの着脱動作によりロール紙が折れ曲がると、装着後に給紙不良が発生する問題がある。
【0006】
本発明の目的は、筐体に対する給紙トレイの着脱動作によりロール紙の給紙不良が生じるのを抑制することが可能な給紙ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給紙ユニットは、ロール紙の巻回体を収容可能な給紙トレイと、前記給紙トレイを移動可能に支持する筐体と、前記巻回体の回転軸と直交する方向における前記筐体に対する前記給紙トレイの外方への移動に連動して、前記巻回体から巻き出されたロール紙の先端を前記給紙トレイに向けて引き戻す戻し送り機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の給紙ユニットによると、筐体に対して給紙トレイを外方へ移動させる際に、巻回体から巻き出されたロール紙が巻回体に向けて送られ、ロール紙の先端が給紙トレイ内に引き戻される。このため、筐体に対して給紙トレイを内方へ移動させるときに、ロール紙の先端が筐体などに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。したがって、筐体に対する給紙トレイの移動動作によりロール紙の給紙不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給紙ユニットが採用されたプリンタの斜視図である。
【
図2】
図1に示すプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【
図3】
図1に示すプリンタの概略的な平面図である。
【
図5】給紙ユニットの内部構造を示し、筐体に対する第2給紙トレイの完全装着状態を示す側面図である。
【
図6】
図1に示す給紙ユニットであり、ロール紙が収容されていない状態の平面図である。
【
図8】給紙ユニットの内部構造を示し、筐体に対する第2給紙トレイの半装着状態であってピニオンギヤがラックギヤに噛み合い始めたときの側面図である。
【
図9】給紙ユニットの内部構造を示し、筐体に対する第2給紙トレイの半装着状態であってピニオンギヤがラックギヤと噛み合っているときの側面図である。
【
図10】給紙ユニットの内部構造を示し、筐体に対する第2給紙トレイの半装着状態であってピニオンギヤがラックギヤよりも前方に位置するときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る給紙ユニット3が採用されたプリンタ1について説明する。プリンタ1は、
図1に示す状態に設置されて使用される。本実施形態において、
図1に矢印を付して示す3つの方向が、上下方向A1、前後方向A2、及び左右方向A3である。
図1に示す3つの方向は、他の図面においても同様である。
【0011】
<プリンタ1の概要>
図1に示すように、プリンタ1は、概ね直方体に形成されており、プリンタ本体2と、プリンタ本体2の下部に装着された増設用の給紙ユニット3とを有する。プリンタ本体2は、筐体11を有する。筐体11の前壁11aの略中央には、開口12が形成されている。第1給紙トレイ15及び排紙トレイ16が、上下2段に設けられている。第1給紙トレイ15は、開口12から前後方向A2に挿抜可能、すなわち、筐体11から着脱可能に構成されている。所望のサイズ(例えば、A4サイズ)の単票用紙P1が第1給紙トレイ15に載置される。プリンタ本体2は、パーソナルコンピュータ(以下PCと称する)などの外部機器と接続可能である。そして、PCからの記録指令に基づいて記録動作を実行する。また、ユーザによる操作ボタンの操作によっても各種機能を実行する。
【0012】
また、筐体11の前壁11aは、
図1に示すように、その右方部分に開閉カバー4を有する。開閉カバー4は、その下端部において、左右方向A3に沿う回転軸(不図示)を回転中心として回動可能に構成されている。
【0013】
<プリンタ本体2の内部構造>
次に、プリンタ本体2の内部構造について説明する。
図2及び
図3に示すように、プリンタ本体2は、第1給送部20と、搬送ローラ対35と、記録部40と、タンクユニット18と、排紙ローラ対36と、第1ASF(Auto Sheet Feed)モータ20M(
図4参照)と、LF(Line Feed)モータ35M(
図4参照)と、制御部5(
図4参照)とを含む。
【0014】
第1給送部20は、第1給紙トレイ15に載置される用紙P1を搬送路25へ給送する。搬送ローラ対35は、第1給送部20によって給紙された用紙P1、及び、給紙ユニット3から分岐路25aを介して給紙されたロール紙P2を記録部40に搬送する。記録部40は、例えば、インクジェット記録方式の構成を有し、搬送ローラ対35によって搬送された用紙P1及びロール紙P2に画像を記録する。排紙ローラ対36は、記録部40によって記録された用紙P1及びロール紙P2を排紙トレイ16に排紙する。
【0015】
<タンクユニット18>
タンクユニット18は、
図3に示すように、4つのタンク18a~18dを有している。これら4つのタンク18a~18dは、プリンタ本体2の搬送方向の下流側且つ
図3中右側の部分に設けられ、左右方向(走査方向)A3に並んで配置されている。4つのタンク18a~18dには、右側に位置するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。つまり、最も右側のタンク18aには、ブラックインクが貯留されており、その他の3つのタンク18b~18dには、カラーインクが貯留されている。そして、4つのタンク18a~18dに貯留されたこれら4色のインクが4本のチューブ等(不図示)を介してインクジェットヘッド41(後述する)に供給される。
【0016】
<第1給送部20>
図2に示すように、第1給送部20が第1給紙トレイ15の上側に設けられている。第1給送部20は、第1給紙ローラ21と第1アーム22を有する。第1給紙ローラ21は、第1アーム22の先端に軸支されている。第1アーム22は、支軸22aに回動自在に支持され、バネなどにより付勢されて第1給紙ローラ21が第1給紙トレイ15に接触するように下側へ回動されている。また、第1アーム22は、第1給紙トレイ15の着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。第1給紙ローラ21は、伝達機構(不図示)を介して第1ASFモータ20Mの動力が伝達されて回転し、第1給紙トレイ15内に積載された用紙P1が、搬送路25へ給送される。
【0017】
<第1給紙トレイ15>
図2に示すように、第1給紙トレイ15は、斜壁部15aを有する。斜壁部15aは、第1給紙トレイ15に載置される用紙P1が第1給紙ローラ21によって給送されるときに、用紙P1を搬送路25に案内する。
【0018】
<搬送路25>
搬送路25は、筐体11内に構成されており、
図2に示すように、第1給紙トレイ15の後側の端部から上方且つプリンタ1の前側へ曲がっている。第1給紙トレイ15から給送された用紙P1は、搬送路25により下方から上方へUターンするように案内されて記録部40に至る。
【0019】
<分岐路25a>
搬送路25には、分岐路25aが接続されている。分岐路25aも筐体11内に構成されており、第1給紙トレイ15よりも後方において、上下方向A1に延在しており、搬送路25に接続されている。給紙ユニット3から給送されたロール紙P2は、分岐路25aから搬送路25へと案内され、搬送路25により下方から前方へと案内されて記録部40に至る。
【0020】
<搬送ローラ対35、及び、排紙ローラ対36>
搬送ローラ対35は、下側に配置された搬送ローラ35aと上側に配置されたピンチローラ35bとを有する。搬送ローラ35aは、伝達機構(不図示)を介してLFモータ35Mの動力が伝達されて回転する。ピンチローラ35bは、搬送ローラ35aの回転に伴って連れ回る。搬送ローラ35aとピンチローラ35bとは、協働して用紙P1及びロール紙P2を上下方向A1から挟持し、用紙P1及びロール紙P2を記録部40へ搬送する。
【0021】
排紙ローラ対36は、下側に配置された排紙ローラ36aと、上側に配置された拍車ローラ36bとを有する。排紙ローラ36aは、伝達機構(不図示)を介してLFモータ35Mの動力が伝達されて回転する。拍車ローラ36bは、排紙ローラ36aの回転に伴って連れ回る。排紙ローラ36aと拍車ローラ36bとは、協働して用紙P1及びロール紙P2を上下方向A1から挟持し、用紙P1及びロール紙P2を排紙トレイ16に搬送する。
【0022】
<記録部40>
図2及び
図3に示すように、記録部40は、インクジェットヘッド41と、ヘッド移動機構50と、プラテン6とを有する。ヘッド移動機構50は、キャリッジ51を含む。キャリッジ51は、走査方向(左右方向A3であって、用紙P1及びロール紙P2の搬送方向と直交する方向)へ往復移動する。インクジェットヘッド41は、キャリッジ51に支持されている。
【0023】
インクジェットヘッド41の下面は、当該インクジェットヘッド41の下方に搬送された用紙P1及びロール紙P2に対してインクを吐出する複数の吐出口41aが形成された吐出面41bである。複数の吐出口41aは、
図3に示すように、搬送方向に沿って配列された吐出口列が走査方向に4列形成されるように配置されている。本実施形態において、
図3中最も右側の吐出口列に属する吐出口41aからは、ブラックインクが吐出され、他の3列の吐出口列に属する吐出口41aからは、カラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)が吐出される。インクジェットヘッド41は、記録指令に基づく制御部5の制御により、吐出口41aから各色のインクを微小なインク滴として吐出する。
【0024】
インクジェットヘッド41には、チューブジョイント44が一体的に設けられている。そして、チューブジョイント44に連結された可撓性の4本のチューブ(不図示)を介して、インクジェットヘッド41とタンクユニット18とが接続され、各色のインクがインクジェットヘッド41に供給される。
【0025】
インクジェットヘッド41の下方には、搬送ローラ対35によって搬送される用紙P1及びロール紙P2を支持するプラテン6が配設されている。プラテン6は、キャリッジ51の往復移動範囲のうち、用紙P1及びロール紙P2が通過する部分に配設されている。プラテン6の幅は、搬送可能な用紙P1及びロール紙P2の最大幅より十分に大きいので、搬送路25を搬送される用紙P1及びロール紙P2は常にプラテン6上を通過する。
【0026】
ヘッド移動機構50は、
図3に示すように、一対のガイドレール52、及び、ベルト伝達機構53を含む。一対のガイドレール52は、前後方向A2に離隔して配置され、左右方向A3に互いに平行に延在している。キャリッジ51は、これら一対のガイドレール52を跨ぐように配置され、当該一対のガイドレール52上を左右方向A3に沿って往復移動される。
【0027】
また、ベルト伝達機構53は、2つのプーリ54,55と、一部がキャリッジ51に固定された無端状のタイミングベルト56と、キャリッジモータ50Mとを含む。2つのプーリ54,55は、左右方向A3に互いに離隔して配置され、タイミングベルト56が架け渡されている。プーリ54は、キャリッジモータ50Mの駆動軸と連結されており、キャリッジモータ50Mが駆動されることで、タイミングベルト56が走行し、キャリッジ51とともにインクジェットヘッド41が走査方向に移動する。
【0028】
インクジェットヘッド41は、記録指令に基づく制御部5の制御により、吐出口41aから各色のインクを吐出する。つまり、キャリッジ51が左右方向A3へ往復移動することにより、インクジェットヘッド41が用紙P1及びロール紙P2に対して走査されると共に、吐出口41aから、各色のインクを吐出することで、プラテン6上を搬送される用紙P1及びロール紙P2に画像が記録される。なお、プリンタ1内には、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ(不図示)が設けられている。一方、キャリッジ51には、発光素子と受光素子とを有する透過型の位置検出センサ(不図示)が設けられている。そして、プリンタ1は、キャリッジ51の移動中に位置検出センサが検出したリニアエンコーダの透光部の計数値から、キャリッジ51の走査方向に関する現在位置を認識できるようになっており、キャリッジモータ50Mの回転駆動が制御される。
【0029】
図4に示すように、制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを含み、これらが協働して、第1ASFモータ20M、第2ASFモータ80M(後述する)、LFモータ35M、キャリッジモータ50M、インクジェットヘッド41、切断用モータ90M(後述する)等の動作を制御する。例えば、制御部5は、PCから送信された記録指令に基づいて、インクジェットヘッド41、第1ASFモータ20M、LFモータ35M、キャリッジモータ50M等を制御して、用紙P1に画像等を記録させる。また、制御部5は、PCから送信された記録指令に基づいて、インクジェットヘッド41、第2ASFモータ80M、LFモータ35M、キャリッジモータ50M、切断用モータ90M等を制御して、ロール紙P2に画像等を記録させる。
【0030】
なお、本実施形態の制御部5では、CPU及びASICを1つずつ有しているが、制御部5は、ASICを1つだけ含み、この1つのASICが必要な処理を一括して行うものであってもよいし、ASICを複数含み、これら複数のASICが必要な処理を分担して行うものであってもよい。
【0031】
<給紙ユニット3>
給紙ユニット3は、
図1、
図2、
図5及び
図6に示すように、筐体60と、第2給紙トレイ61と、戻し送り機構70と、第2給送部80と、切断機構90とを含む。筐体60は、
図1に示すように、直方体形状を有しており、プリンタ本体2の下部に着脱可能に構成されている。筐体60の前壁60aの略中央には、開口60bが形成されている。第2給紙トレイ61は、開口60bから前後方向A2(直交する方向)に挿抜可能、すなわち、筐体60から着脱可能に構成されている。
【0032】
<第2給紙トレイ61>
図5及び
図6に示すように、第2給紙トレイ61は、トレイ本体61aと、ロール紙P2の巻回体P2aを支持する支持台61bと、ガイド部材61dとを有する。支持台61b及びガイド部材61dは、トレイ本体61aに対して着脱可能に設けられている。トレイ本体61aは、
図6に示すように、矩形平面形状を有している。また、トレイ本体61aは、支持台61b及びガイド部材61dを取り外した状態において、例えば、A4サイズの単票用紙を収容可能な平面サイズを有している。また、トレイ本体61aは、
図5に示すように、後方端部に斜壁部61a1を有する。斜壁部61a1は、第2給紙ローラ81によって給送されるロール紙P2を分岐路25aに向かって案内する。
【0033】
ガイド部材61dは、
図5及び
図6に示すように、トレイ本体61aの後方端部と支持台61bとの間に配置されており、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2のトレイ本体61aの底部61a2(底面)からの浮きを押さえるための板状部材である。ガイド部材61dは、
図6に示すように、左右方向A3に長尺な略矩形平面形状を有し、後方中央に切り欠き部61d1が形成され、前方に切り欠き部61d2が形成されている。切り欠き部61d1は、後述する第2給紙ローラ81及び第2アーム82の先端部が、第2アーム82の回動により、ちょうど出入り可能に形成されている。切り欠き部61d2には、後述のローラ72が配置される。
【0034】
支持台61bは、
図5及び
図6に示すように、前後方向A2において、トレイ本体61aの中央と前端との間に配置されている。支持台61bは、左右方向A3に長尺な略直方体形状の台本体62と、複数のローラ63a~63cとを有している。台本体62は、その上面に前後方向A2の中央を挟んで2つの傾斜面62a,62bが形成されている。2つの傾斜面62a,62bのうち、傾斜面62aは前方に配置されており、傾斜面62bは後方に配置されている。これら2つの傾斜面62a,62bは、互いに近づくに連れて下方に傾斜するように構成されている。ローラ63aは、傾斜面62aの後端部に左右方向A3に沿って8つ配列されている。ローラ63bは、斜面62bの前端部に左右方向A3に沿って8つ配列されている。ローラ63cは、斜面62bの後端部に左右方向A3に沿って8つ配列されている。これら複数のローラ63a,63bは、ロール紙P2の巻回体P2aの外周面P2a1の下方部分と当接し、巻回体P2aを下方から支持する。複数のローラ63cは、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を案内する。これら複数のローラ63a~63cは、左右方向A3に平行な回転軸を中心として回転可能に台本体62に支持されている。このため、ロール紙P2の巻回体P2aも左右方向A3に平行な回転軸Cを中心として回転可能となる。また、台本体62には、上方に開口した溝62cが形成されている。溝62cは、
図6に示すように、台本体62の前後方向A2の中央であって2つの傾斜面62a,62bの間に配置されている。
【0035】
<戻し送り機構70>
戻し送り機構70は、第2給紙トレイ61が筐体60に対して完全に装着された完全装着状態から第2給紙トレイ61を前方に移動させて筐体60から取り外す動作に連動して、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を巻回体P2aに向けて送る機構である。戻し送り機構70は、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を挟持可能な一対のローラ71,72と、ローラ71を回転させる回転機構73とを有している。一対のローラ71,72は、第2給紙トレイ61を筐体60に装着するときの第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)と巻回体P2aとの間に配置され、第2給紙トレイ61に回転可能に支持されている。より詳細には、一対のローラ71,72のうちの一方のローラ71は、
図6に示すように、左右方向A3に長尺に延在しており、その両端がトレイ本体61aの左右の側壁に回転可能に支持されている。他方のローラ72は、
図5に示すように、ローラ71よりもその直径が大きく、ローラ71に対して上方から接するように配置されている。また、ローラ72は、
図6に示すように、左右方向A3に長尺に延在しており、ガイド部材61dの切り欠き部61d2に配置され、その両端がガイド部材61dに回転可能に支持されている。つまり、ローラ72は、第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)から最も離れたガイド部材61dの端部(
図5中前端部)に回転可能に支持されている。また、ガイド部材61dは、第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)と戻し送り機構70との間に配置されている。また、一対のローラ71,72で巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を挟持することが可能であるため、支持台61bにセットされた巻回体P2aから巻き出したロール紙P2を、一対のローラ71,72で挟持した状態で、ローラ72を手動で
図5中反時計回りに回転させることで、ロール紙P2の先端を所望位置まで送り出してセットしやすくなる。ここでいう、所望位置とは、例えば、筐体60に対する第2給紙トレイ61の完全装着状態において、第2給紙ローラ81と接触可能な位置やトレイ本体61aの
図5中後方端近傍である。
【0036】
回転機構73は、
図7に示すように、動力伝達部74と、ピニオンギヤ75と、ラックギヤ76とを有する。動力伝達部74及びピニオンギヤ75は、互いに連結された状態で左右方向A3に並んで配置されている。動力伝達部74は、公知のワンウェイクラッチであり、ローラ71の左端部に連結され、ピニオンギヤ75の一方向の回転力をローラ71に伝達する。本実施形態における動力伝達部74は、
図5中、ピニオンギヤ75が反時計回りに回転したときの回転力をローラ71に伝達し、時計回りに回転したときの回転力をローラ71に伝達しないように構成されている。ピニオンギヤ75は、ラックギギヤ76と噛み合って回転可能に構成されている。また、これら動力伝達部74及びピニオンギヤ75は、トレイ本体61aの左側方に配置されている。
【0037】
ラックギヤ76は、筐体60の溝部60dに配置されている。溝部60dは、
図1及び
図7に示すように、開口60dの左側壁の下端部において、前端から前後方向A2の中央にかけて形成されている。ラックギヤ76は、前後方向A2に延在して形成されている。また、溝部60dは、第2給紙トレイ61を筐体60に装着する際に、動力伝達部74及びピニオンギヤ75が配置可能に構成されている。ラックギヤ76は、
図7に示すように、第2給紙トレイ61が筐体60に対して完全装着状態であるときに、その後方端がピニオンギヤ75と噛み合わない位置であってピニオンギヤ75よりも前方に位置する。このため、第2給紙トレイ61が筐体60に対して完全装着状態にあるときに、ローラ71が回転自在となる。したがって、一対のローラ71,72によって挟持されたロール紙P2を搬送する際の搬送負荷が小さくなる。また、ラックギヤ76は、半装着状態において、ピニオンギヤ75と噛み合うことが可能な位置に配置されている。半装着状態とは、第2給紙トレイ61を完全装着状態から前方に移動させて第2給紙トレイ61が筐体60から取り外されるまでの間の第2給紙トレイ61の状態をいう。また、ラックギヤ76は、第2給紙トレイ61が完全装着状態から前方に移動させる際にピニオンギヤ75と噛み合うことで、当該ピニオンギヤ75を
図5中反時計回りに回転させ、筐体60に対して半装着状態の第2給紙トレイ61を後方に移動させる際にピニオンギヤ75と噛み合うことで、当該ピニオンギヤ75を
図5中時計回りに回転させる。
【0038】
<第2給送部80>
図5に示すように、第2給送部80は、第2給紙トレイ61の上側に設けられている。第2給送部80は、第2給紙ローラ81と第2アーム82を有する。第2給紙ローラ81は、第2アーム82の先端に軸支されている。第2アーム82は、支軸82aに回動自在に支持され、バネなどにより付勢されて第2給紙ローラ81が第2給紙トレイ61に接触するように下側へ回動されている。また、第2アーム82は、第2給紙トレイ61の着脱する際に上方の退避位置(
図8参照)へ退避可能に構成されている。第2給紙ローラ81は、伝達機構(不図示)を介して第2ASFモータ80Mの動力が伝達されて回転し、第2給紙トレイ61内に収容された巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2が、切断機構90を経由して分岐路25aへ給送される。
【0039】
<切断機構90>
切断機構90は、
図5及び
図6に示すように、筐体60の後方上部に設置されている。切断機構90は、左右方向A3に沿って長尺に延在しており、ロール紙P2を左右方向A3に沿って切断可能な、公知の切断機構である。切断機構90は、第2給紙ローラ81によって給送されてきたロール紙P2を通過する搬送路91を画定するガイド部92と、カッター(不図示)と、当該カッターを駆動する切断用モータ90M(
図4参照)とを含む。カッターは、左右方向A3に沿って移動可能に構成され、搬送路91内のロール紙P2を切断する。切断機構90は、制御部5の制御により、第2給送部80によって給送されるロール紙P2を所望位置にて切断する。このため、切断されたロール紙P2の先端は、第2給紙トレイ61の先端(
図5中後端)よりも上方位置に配置される。本実施形態においては、搬送路91内に切断されたロール紙P2の先端が位置する。本実施形態においては、切断機構90が筐体60に設けられているが、プリンタ本体2に設けられていてもよい。
【0040】
<戻し送り機構70の動作>
続いて、給紙ユニット3の第2給紙トレイ61を筐体60に対して着脱するときの戻し送り機構70の動作について、
図5及び
図8~
図10を参照しつつ以下に説明する。プリンタ1は、通常、
図5に示すように、第2給紙トレイ61が筐体60に対して完全装着状態であるときに使用される。そして、ロール紙P2は、画像記録に使用される際に切断機構90で切断されるため、その先端が搬送路91内に存在する。
【0041】
ユーザが、第2給紙トレイ61内を見るためなどに、第2給紙トレイ61を筐体60から取り外すために前方へと抜き出すと、戻し送り機構70の一対のローラ71,72により巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2が、巻回体P2aに向けて送られ、ロール紙P2の先端が移動する。なお、このとき第2アーム82は退避位置に移動している。
【0042】
より詳細には、第2給紙トレイ61を、
図5に示す完全装着状態から、半装着状態であって
図8に示す位置まで移動させると、ピニオンギヤ75とラックギヤ76とが噛み合い始める。そして、この状態からさらに第2給紙トレイ61を前方に移動させると、
図9に示すように、ピニオンギヤ75がラックギヤ76との噛み合いにより、
図9中反時計回りに回転する。つまり、ピニオンギヤ75とともにローラ71も
図9中反時計回りに回転する。このようにローラ71が回転することで、ローラ71とローラ72とで挟持されたロール紙P2が巻回体P2aに向かって送られる。つまり、ロール紙P2が巻回体P2aへ戻される。このとき、ローラ72は、ローラ71によってロール紙P2が巻回体P2aに戻されることで、
図9中時計回りに回転する。これにより、巻回体P2aと一対のローラ71,72間のロール紙P2が上方にやや撓んだ状態となるが、ロール紙P2の腰によって巻回体P2a自体が回転軸Cを中心として
図9中時計回りに回転し、戻し送り機構70によって戻されたロール紙P2を巻き取る。また、このとき、巻回体P2aは、支持台61bの複数のローラ63a,63bによって支持されているため、回転軸Cを中心として回転しやすい。このため、戻し送り機構70によって戻されてきたロール紙P2を巻き取りやすくなる。つまり、ロール紙P2が比較的腰の弱い柔軟なものであっても、ロール紙P2を巻き取りやすくなる。
【0043】
そして、第2給紙トレイ61をさらに前方へと移動させると、ピニオンギヤ75とラックギヤ76とが噛み合っている間、ローラ71が
図9中反時計回りに回転し、その後、
図10に示すように、ピニオンギヤ75がラックギヤ76よりも前方に移動して、両者の噛み合いがなくなるときには、ローラ71の回転も停止する。また、第2給紙トレイ61を筐体60から取り外す動作に連動した戻し送り機構70によるロール紙P2の巻回体P2aへの戻しは、ピニオンギヤ75がラックギヤ76と噛み合っている間、行われる。この巻回体P2aへのロール紙P2の戻しにより、ロール紙P2の先端は、
図10に示すように、搬送ガイド61dの後端とトレイ本体61aとの間に配置される。つまり、戻し送り機構70は、第2給紙トレイ61を完全装着状態からピニオンギヤ75がラックギヤ76よりも前方に位置する位置(ピニオンギヤ75とラックギヤ76との噛み合いが終わる位置)まで抜き出すことで、ロール紙P2の先端が搬送路91から
図5に示す第2給紙ローラ81とトレイ本体61aの底部61a2との当接点の手前まで移動するように、ロール紙P2を巻回体P2aに向かって送るように構成されている。なお、戻し送り機構70は、第2給紙トレイ61を完全装着状態からピニオンギヤ75がラックギヤ76よりも前方に位置する位置まで抜き出したときに、ロール紙P2の先端が、トレイ本体61aの斜壁部61a1の上端よりも下方に位置する位置まで、ロール紙P2を巻回体P2aに向かって送ることが可能であればよい。
【0044】
この後、第2給紙トレイ61を筐体60から取り外してから、ユーザが第2給紙トレイ61を後方に移動させて、筐体60に再装着させる。このとき、ピニオンギヤ75とラックギヤ76とが噛み合ってピニオンギヤ75が
図5中時計回りに回転するが、動力伝達部74により、ピニオンギヤ75の回転力がローラ71に伝達されず、ローラ71はロール紙P2を搬送方向(後方)に送らない。したがって、ロール紙P2の先端は、第2給紙トレイ61を筐体60に装着させる際に移動せずに、トレイ本体61a内、すなわち、斜壁部61a1の上端よりも下方に位置した状態となる。このように第2給紙トレイ61を筐体60から抜き出し、その後、筐体60に装着しても、ロール紙P2の先端がトレイ本体61a内に配置されているため、第2給紙トレイ61の装着時において、ロール紙P2の先端が第2給送部80や筐体60の構成要素に接触しなくなる。このため、ロール紙P2の先端を折れ曲がらせずに、第2給紙トレイ61を筐体60に装着することが可能となる。
【0045】
以上に述べたように、本実施形態の給紙ユニット3によると、筐体60から第2給紙トレイ61を取り外す際に、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2が巻回体P2aに向けて送られ、ロール紙P2の先端が第2給紙トレイ61内に引き戻される。このため、第2給紙トレイ61を筐体60に再度装着するときに、ロール紙P2の先端が筐体60などに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。したがって、筐体60に対する第2給紙トレイ60の着脱動作を行ってもロール紙P2の先端が折れ曲がりにくくなるため、ロール紙P2を給送する際にロール紙P2のジャムなどの給紙不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【0046】
戻し送り機構70が、前後方向A2において、第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)と巻回体P2aとの間に配置されている。これにより、戻し送り機構70が第2給紙トレイ61の先端部と巻回体P2aとの間に配置される構成となる。
【0047】
戻し送り機構70が、一対のローラ71,72と、筐体60から第2給紙トレイ61を取り外す動作に連動してローラ71を回転させる回転機構73とを有している。これにより、比較的簡単な戻し送り機構の構成で、筐体60から第2給紙トレイ61を取り外す際に、ロール紙P2を巻回体P2aに向けて送ることが可能となる。
【0048】
回転機構73が、ピニオンギヤ75とラックギヤ76とを有している。これにより、比較的簡単な回転機構73の構成で、ローラ71を回転させることが可能となる。
【0049】
また、回転機構73が動力伝達部74を有している。これにより、第2給紙トレイ61を装着する際にロール紙P2の先端が移動して筐体60などに接触するのを抑制することが可能となる。
【0050】
第2給紙トレイ61には、前後方向A2において、第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)と一対のローラ71,72(戻し送り機構70)との間に、ガイド部材61dが設けられている。これにより、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2の浮きを抑制することが可能となる。
【0051】
また、戻し送り機構70が、第2給紙トレイ61を筐体60から取り外したときのロール紙P2の先端が、第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)の上端よりも下方に配置されるように、ロール紙P2を戻すように構成されている。これにより、第2給紙トレイ61を筐体60に再度装着するときに、ロール紙P2の先端が筐体60などにより一層接触しにくくなる。
【0052】
また、支持台61bが複数のローラ63a,63bを有している。これにより、ロール紙P2の巻回体P2aを支持台61bの複数のローラ63a,63bで下方から回転可能に支持することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の給紙ユニット3は、プリンタ本体2に着脱可能な増設用ユニットであるが、プリンタ本体2に一体的に固定されていてもよい。さらに、プリンタ本体2の筐体11及び第1給紙トレイ15に戻し送り機構70と同様な機構を設けて、プリンタ本体2自体に給紙ユニットが設けられていてもよい。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
戻し送り機構70は、一対のローラ71,72及び回転機構73を有しているが、第2給紙トレイ61を筐体60に装着された状態から前方に移動させて取り外す際に、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を巻回体P2abに戻すように、ロール紙P2を巻回体P2aに向かって送ることが可能であれば、どのような構成でもよく、特に限定するものではない。例えば、第2給紙トレイ61を前方に移動させる際に、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を挟持する一対のローラのうちの下方に位置するローラの外周面が筐体60と当接することで、当該ローラが回転しロール紙P2を巻回体P2aに向かって送らせてもよい。こうすれば、回転機構73を有していなくてもよい。
【0055】
第2給紙トレイ61は、支持台61bを有していなくてもよい。この場合、ロール紙P2の巻回体P2aの中心に軸部を設け、当該軸部をトレイ本体61aで回転可能に支持すればよい。また、支持台61bは、トレイ本体61aに固定されていてもよい。
【0056】
ガイド部材61dは設けられていなくてもよい。また、ローラ72は、ガイド部材61dに支持されていなくてもよい。つまり、ローラ72は、トレイ本体61aに回転可能に支持されていてもよい。
【0057】
回転機構73が、動力伝達部74を有していなくてもよい。この場合、第2給紙トレイ61を筐体60から取り外す際のロール紙P2の巻回体P2aへの戻しを、ロール紙P2の先端が筐体60などに接触するまでに行うように構成する。これにより、第2給紙トレイ61を筐体60に装着する際に、ロール紙P2の先端が筐体60等に接触するのを抑制することが可能となる。
【0058】
戻し送り機構70は、第2給紙トレイ61を筐体60から取り外す際に、巻回体P2aから巻き出されたロール紙P2を巻回体P2aに向けて送ることが可能であれば、ロール紙P2の先端が、第2給紙トレイ61を筐体60に装着するときの第2給紙トレイ61の先端部(
図5中後方端部)の上端よりも若干上方に配置されていてもよい。これにおいても、第2給紙トレイ61を筐体60に再度装着するときに、ロール紙P2の先端が筐体60などに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。
【0059】
また、以上では、用紙Pに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。ロール紙P2の巻回体P2aを収容可能な給紙ユニット全体に適用され得る。
【符号の説明】
【0060】
3 給紙ユニット
60 筐体
61 第2給紙トレイ(給紙トレイ)
61a トレイ本体
61b 支持台
61d ガイド部材
63a,63b ローラ
70 戻し送り機構
71 ローラ(一方のローラ)
72 ローラ(他方のローラ)
73 回転機構
74 動力伝達部
75 ピニオンギヤ
76 ラックギヤ