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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】生産管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019191220
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021068034
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 祐司
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-195940(JP,A)
【文献】特開2015-084189(JP,A)
【文献】特開2004-355583(JP,A)
【文献】特開2018-081637(JP,A)
【文献】特開2013-122665(JP,A)
【文献】特開2017-027155(JP,A)
【文献】特開2002-283190(JP,A)
【文献】特開平11-175139(JP,A)
【文献】特開平10-304461(JP,A)
【文献】特開平06-215282(JP,A)
【文献】特開2002-108194(JP,A)
【文献】特開2012-095159(JP,A)
【文献】特開2005-071200(JP,A)
【文献】特開2014-229262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ラインの稼働状況を表す稼働状況データを格納すると共に種々の情報を送受信するデータサーバと、
前記データサーバとネットワークを介して通信する複数の携帯端末と、
を備え、
前記データサーバは、
前記稼働状況データに基づいて前記生産ラインの稼働状況に異常が発生したことを表す異常発生情報を、全ての前記携帯端末に対して配信することにより通知する異常通知部を有し、
前記携帯端末は、
前記異常通知部から配信された前記異常発生情報に基づき、前記異常に対処可能であることを表す対処可能情報を入力すると共に、入力された対処可能情報を前記データサーバに送信する対処入力部を有し、
前記データサーバは、
前記携帯端末に前記対処可能情報が入力されたことに応じて、前記異常への対処状況を表す対処情報を生成し、且つ、全ての前記携帯端末に対して配信する、生産管理システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、自身の位置情報を前記データサーバに送信するよう構成されており、前記データサーバは、異常が発生した前記生産ラインの位置に近い前記携帯端末に対して、優先的に前記異常発生情報を配信するよう構成されている、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記対処可能情報は、更に、
発生した前記異常に対処する予定を表す対処予定情報、及び、発生した前記異常の対処を開始したことを表す対処開始情報のうちの少なくとも一つを含む、請求項1又は2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記ネットワークは公衆通信回線又は専用通信回線を用いて構築され、
前記異常発生情報及び前記対処情報は、ウェブページとして表示可能な形式に従って記述されており、
前記携帯端末は、予め記憶されたウェブブラウザを実行することにより、前記異常発生情報及び前記対処情報を取得して表示する、請求項1-3のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、更に、
発生した前記異常に対処するに際して応援の要請を表す応援要請情報を入力する応援要請入力部と、
前記応援要請情報が入力されたことに応じて、前記データサーバから前記応援要請情報が入力された前記携帯端末以外の他の前記携帯端末に対して配信され、応援の要請を通知するための応援通知情報を取得する通知取得部と、
前記応援通知情報に従って応援の要請に対応可能であることを表す応援可能情報を入力すると共に、入力された応援可能情報を前記データサーバに送信する応援可能情報入力部と、を有し、
前記データサーバは、
他の前記携帯端末に前記応援可能情報が入力されたことに応じて、前記異常への応援状況を表す応援対処情報を生成し、且つ、全ての前記携帯端末に対して配信する、請求項1-のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項6】
前記応援要請入力部は、他の前記携帯端末のうちの特定の前記携帯端末を指定可能である、請求項に記載の生産管理システム。
【請求項7】
前記応援通知情報及び前記応援対処情報は、ウェブページとして表示可能な形式に従って記述されており、
前記携帯端末は、予め記憶されたウェブブラウザを実行することにより、前記応援要請情報及び前記応援対処情報を取得して表示する、請求項5又は6に記載の生産管理システム。
【請求項8】
前記データサーバは、
前記携帯端末と該携帯端末を所持するユーザとを紐付ける端末ユーザ情報を格納する端末ユーザ情報格納部と、
前記ユーザを識別するテキストデータ及び前記ユーザを撮像した画像データを格納するユーザ識別情報格納部と、を有し、
前記携帯端末は、
自身を識別するための端末識別情報を格納する端末識別情報格納部を有し、
前記データサーバと前記携帯端末とが通信する場合、
前記携帯端末は、前記端末識別情報格納部に格納した前記端末識別情報を前記データサーバに送信し、
前記データサーバは、前記携帯端末から取得した前記端末識別情報と前記端末ユーザ情報格納部に格納された前記端末ユーザ情報とに基づいて前記ユーザを特定し、前記ユーザ識別情報格納部に格納されている特定した前記ユーザの前記テキストデータ及び画像データのうちの少なくとも画像データを前記携帯端末に送信する、請求項1-のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項9】
前記データサーバは、複数の前記携帯端末との間の通信の履歴を表す通信履歴情報を格納する通信履歴情報格納部を有する、請求項1-のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項10】
前記通信履歴情報は、前記携帯端末から前記データサーバに送信される種々の情報の内容及び前記データサーバに前記情報が送信された時刻を含む、請求項に記載の生産管理システム。
【請求項11】
前記携帯端末は、
前記データサーバとの間で通信が一時的に不能となった場合、少なくとも、前記データサーバに通信を試みた時刻及び前記データサーバに送信を試みた情報の内容を一時的に保存し、前記データサーバとの間で通信が回復した場合に、一時的に記憶した前記時刻及び前記内容を前記データサーバに送信する、請求項9又は10に記載の生産管理システム。
【請求項12】
前記データサーバは、前記稼働状況データを取得するデータ取得装置を備える、請求項1-11のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項13】
前記異常発生情報は、前記異常の発生箇所、前記異常の内容及び前記異常の発生時刻を含む、請求項1-12のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項14】
前記データサーバ及び前記携帯端末と通信可能であり、前記データサーバ及び前記携帯端末から配信される種々の情報を前記生産ラインの近傍の位置、又は、前記生産ラインから離間した位置において報知する広域表示装置を備える、請求項1-13のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項15】
前記データサーバは、前記携帯端末のユーザ同士が発生した前記異常に関する情報交換を可能とする情報交換機能を有する、請求項1-14のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項16】
前記携帯端末は、前記ネットワークを介した他の前記携帯端末の間での通話を可能とする通話機能を有する、請求項1-15のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項17】
前記生産ラインは、複数の工作機械を有して構成される、請求項1-16のうちの何れか一項に記載の生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に開示された通信システムは知られている。この従来の通信システムは、機械設備に異常が発生したときにその異常情報を含む信号電波を発信する無線送信機が機械設備に設ける。そして、従来の通信システムにおいては、機械設備を管理している機械監督者が無線送信機からの信号電波を受信する無線受信機を携帯する。これにより、機械監督者は無線受信機を確認することにより機械設備に発生した異常を確認することができ、その結果、機械設備の異常等に対する対処を迅速に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-65460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の通信システムでは、生産ラインを構成する機械設備に異常が発生したことについては、ユーザである機械監督者等は知ることができる。しかしながら、発生した異常に対する対処が行われているか否か、或いは、誰が対処しているか、即ち、発生した異常への対処状況については共有することができない。このため、発生した異常の対処が遅れ、ひいては、機械設備の生産能率や稼働率の低下が生じることにより生産性の低下を招く虞がある。
【0005】
本発明は、生産ラインに発生した異常への対処状況を容易に共有することができる生産管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る生産管理システムは、生産ラインの稼働状況を表す稼働状況データを格納すると共に種々の情報を送受信するデータサーバと、データサーバとネットワークを介して通信する複数の携帯端末と、を備え、データサーバは、前記稼働状況データに基づいて生産ラインの稼働状況に異常が発生したことを表す異常発生情報を、全ての携帯端末に対して配信することにより通知する異常通知部を有し、携帯端末は、異常通知部から配信された異常発生情報に基づき、異常に対処可能であることを表す対処可能情報を入力すると共に、入力された対処可能情報をデータサーバに送信する対処入力部を有し、データサーバは、携帯端末に対処可能情報が入力されたことに応じて、異常への対処状況を表す対処情報を生成し、且つ、全ての携帯端末に対して配信する。
【0007】
これによれば、生産ラインに異常が発生した場合には、データサーバから携帯端末に配信(送信)された異常発生情報を確認することにより、複数の携帯端末の各々のユーザのうち異常に対処可能な対処者が決まると共にデータサーバから他のユーザに対して対処者が報知される。
【0008】
これにより、複数のユーザ同士は、発生した異常に誰が対処しているかを容易に把握することができると共に、発生した異常への対処状況を共有することができる。このため、生産ラインに発生した異常に対して速やかに対処することができることにより、生産ラインの生産能率や稼働率が低下することを防止することができる。その結果、生産ラインにおける生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】生産管理システムの全体構成を示す構成図である。
図2図1のデータサーバの構成を示す構成図である。
図3図1の携帯端末の構成を示す構成図である。
図4図1の広域表示装置の表示を説明するための図である。
図5】携帯端末の表示装置において対処可能情報を入力する表示画面を説明するための図である。
図6図5の表示画面から遷移した表示画面を説明するための図である。
図7図6の表示画面から更に遷移した表示画面であって、対処情報を表示する表示画面を説明するための図である。
図8】携帯端末の表示装置において応援要請情報を入力する表示画面を説明するための図である。
図9図8の表示画面から遷移した表示画面であって、応援通知情報を表示すると共に応援可能情報を入力するための表示画面を説明するための図である。
図10図9の表示画面から更に遷移した表示画面であって、応援対処情報を表示する表示画面を説明するための図である。
図11】広域表示装置に応援対処情報が表示された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.生産管理システムSyの概要)
以下、本例の生産管理システムSyについて、図面を参照して説明する。生産管理システムSyは、1つ以上の生産ライン10と、データサーバ20と、データサーバ20とネットワークNを介して通信する複数の携帯端末30と、を備える。又、本例の生産管理システムSyは、ネットワークNに接続された広域表示装置40を備える。尚、本例においては、2つの生産ライン10を例示する。生産ライン10は、第一処理機械11、第二処理機械12及び第三処理機械13を備えている。尚、生産ライン10を構成する処理機械の数については、3つに限定されず、2つであっても良く、又は、4つ以上であっても良い。又、処理機械としては、研削盤や、切削装置、歯車加工装置、マシニングセンタ等の工作機械を例示することができる。
【0011】
ここで、ネットワークNは、公衆通信回線であるインターネットや専用通信回線であるイントラネット等を用いて構築される。又、複数の携帯端末30は、データサーバ20によって認証された後に、データサーバ20と通信可能(送受信可能)となる。即ち、複数の携帯端末30は、各々、データサーバ20にログインした状態で、データサーバ20との通信が可能となる。尚、複数の携帯端末30は、ネットワークNに接続された無線通信部N1を介して、データサーバ20と無線通信するようになっている。
【0012】
(2.生産ライン10の構成)
第一処理機械11は、プログラマブル・ロジック・コントローラ11a(以下、単に、「PLC11a」と称呼する。)を備えている。PLC11aは、第一処理機械11に設けられた各種センサ(図示省略)からの検出値を入力し、第一処理機械11が単独で実行可能な動作を制御する。又、PLC11aは、入力した検出値を生産ライン10の稼働状況を表す稼働状況データとしてデータサーバ20に出力する。
【0013】
第二処理機械12は、プログラマブル・ロジック・コントローラ12a(以下、単に、「PLC12a」と称呼する。)を備えている。PLC12aは、第二処理機械12に設けられた各種センサ(図示省略)からの検出値を入力し、第二処理機械12が単独で実行可能な動作を制御する。又、PLC12aも、入力した検出値を稼働状況データとしてデータサーバ20に出力する。
【0014】
第三処理機械13は、プログラマブル・ロジック・コントローラ13a(以下、単に、「PLC13a」と称呼する。)を備えている。PLC13aは、第三処理機械13に設けられた各種センサ(図示省略)からの検出値を入力し、第三処理機械13が単独で実行可能な動作を制御する。又、PLC13aも、入力した検出値を稼働状況データとしてデータサーバ20に出力する。
【0015】
(3.データサーバ20の構成)
データサーバ20は、図2に示すように、データ取得装置としての稼働状況把握装置21と、制御装置22と、通信装置23と、記憶装置24と、を備え、携帯端末30との間で後述する種々の情報を送受信する。稼働状況把握装置21は、第一処理機械11のPLC11a、第二処理機械12のPLC12a及び第三処理機械13のPLC13aと通信することにより、稼働状況データを取得する。そして、稼働状況把握装置21は、予め設定されており、取得した稼働状況データに基づいて生産ライン10の稼働状況を把握するプログラム(アプリケーション)を実行する。
【0016】
これにより、稼働状況把握装置21は、PLC11a,12a,13aの各々から出力される稼働状況データが予め設定された範囲内である場合には、生産ライン10の稼働状況が正常であること把握する。この場合、稼働状況把握装置21は、制御装置22に対して、生産ライン10の稼働状況が正常であることを表す正常情報を出力すると共に、取得した稼働状況データを取得した時刻を表す時刻情報と紐付けて記憶装置24に記憶する。
【0017】
一方、稼働状況把握装置21は、PLC11a,12a,13aの各々から出力される稼働状況データが予め設定された範囲外である場合には、生産ライン10の稼働状況が異常であることを把握する。この場合、稼働状況把握装置21は、制御装置22に対して、生産ライン10に異常が発生して稼働状況が異常であることを表す異常情報を出力すると共に、取得した稼働状況データを取得した時刻を表す時刻情報と紐付けて記憶装置24に記憶する。
【0018】
制御装置22は、CPU、ROM,RAM等を主要構成部品とするコンピュータであり、各種プログラムを実行することにより、データサーバ20の作動を統括的に制御する。制御装置22は、稼働状況把握装置21から出力された正常情報及び異常情報に基づき、後述する各種情報を生成する。この場合、制御装置22は、携帯端末30においてウェブブラウザを実行することにより各種情報が表示されるように、各種情報をウェブページとして生成する。このため、制御装置22は、各種情報をウェブページとして表示可能な形式、例えば、html形式等に従って記述する。
【0019】
通信装置23は、ネットワークNに接続されており、携帯端末30及び広域表示装置40と通信する。尚、通信装置23は、ネットワークNに有線によって接続されても良いし、無線によって接続されても良い。
【0020】
記憶装置24は、稼働状況把握装置21によって取得された稼働状況データ及び時刻情報を記憶する。又、記憶装置24は、携帯端末30からデータサーバ20に送信される各種情報を通信装置23を介して取得して記憶する。
【0021】
又、記憶装置24は、携帯端末30と携帯端末30を所持しているユーザとしてのライン管理者とを紐付ける端末ユーザ情報を格納する端末ユーザ情報格納部24aを備える。又、記憶装置24は、ライン管理者を識別するテキストデータ(例えば、氏名等)及びライン管理者を撮像した画像データ(例えば、顔写真等)を格納するユーザ識別情報格納部24bを備える。更に、記憶装置24は、複数の携帯端末30との間の通信の履歴を表す通信履歴情報を格納する通信履歴情報格納部24cを有する
【0022】
(4.携帯端末30の構成)
携帯端末30は、図3に示すように、無線通信装置31と、制御装置32と、表示装置33と、入力装置34と、記憶装置35と、を備える。無線通信装置31は、ネットワークNに設けられた無線通信部N1と無線通信する。これにより、無線通信装置31は、データサーバ20から配信(送信)される各種情報を取得すると共に、携帯端末30からの後述の各種情報をデータサーバ20に送信する。
【0023】
制御装置32は、CPU、ROM,RAM等を主要構成部品とするコンピュータであり、各種プログラムを実行することにより、携帯端末30の作動を統括的に制御する。制御装置32は、入力装置34から入力された入力内容に基づき、後述する各種情報を生成する。又、制御装置32は、記憶装置35に予め記憶されているウェブブラウザを実行することにより、データサーバ20から配信(送信)された各種情報を表示装置33にウェブページとして表示させる。
【0024】
表示装置33は、制御装置32の制御に従い、データサーバ20から配信(送信)された各種情報をウェブページとして表示する。又、表示装置33は、ウェブページ上において、ユーザによってタップ又はカーソルを用いたクリック等を入力として認識するようになっている。即ち、表示装置33は、入力装置34の一部機能を実現するようになっている。入力装置34は、表示装置33によって表示されるソフトウェアキーボードや制御装置32に接続可能なキーボード等である。入力装置34は、ユーザによる入力内容を入力する。
【0025】
記憶装置35は、制御装置32に接続されており、データサーバ20から配信(送信)された各種情報を一時的に記憶する。又、記憶装置35は、表示装置33及び入力装置34を介して入力された入力内容と入力内容が入力された時刻情報とを紐付けて記憶する。更に、記憶装置35は、携帯端末30を識別するための端末識別情報を格納する端末識別情報格納部35aを備える。
【0026】
(5.広域表示装置40について)
広域表示装置40は、ネットワークNを介して、データサーバ20と通信可能とされており、生産ライン10の近傍の位置に配置される。広域表示装置40は、所謂、「アンドン」と呼ばれるものであり、図4に示すように、データサーバ20及び携帯端末30から種々の情報を取得して生産ライン10の稼働状況を表示する。尚、図4においては、生産ライン10が10ラインある場合を例示しており、各々の生産ライン10の稼働状況を示している。
【0027】
ここで、広域表示装置40の配置については、生産ライン10の近傍の位置に限らず、例えば、別の生産工場やライン管理者が常駐している管理室等、生産ライン10から離間した位置に配置されていても良い。又、広域表示装置40は、後述するように、ユーザであるライン管理者による対処状況等を表示する(図11を参照)。
【0028】
(6.生産管理システムSyの作動について)
(6-1.作動の概要)
次に、生産管理システムSyの作動を説明する。本例において、生産管理システムSyは、生産ライン10に異常が発生した場合、生産ライン10を管理する複数のライン管理者に対して、主として、各々が所持する携帯端末30を介して発生した異常を報知することができる。尚、生産管理システムSyにおいては、広域表示装置40を利用して発生した異常をライン管理者に報知することもできる。
【0029】
本例の生産管理システムSyでは、生産ライン10に発生した異常に対処することができるライン管理者(以下、このライン管理者を「対処者」と称呼する。)は、所持する携帯端末30を用いて異常に対処することを他のライン管理者に報知することができる。これにより、生産管理システムSyにおいては、生産ライン10に発生した異常に誰が対処するか或いは対処しているか、即ち、対処状況について、ライン管理者の間で共有することができる。
【0030】
更に、本例の生産管理システムSyは、対処者が発生した異常に対応する場合において、応援が必要になった場合、他のライン管理者に応援を速やかに要請することができる。そして、生産管理システムSyは、対処者を応援するライン管理者(以下、このライン管理者を「応援者」と称呼する。)を、対処者及び応援者以外の他のライン管理者に報知することができる。これにより、本例の生産管理システムSyにおいては、生産ライン10に発生した異常への対処状況をライン管理者の間で速やかに共有することができる。以下、具体的に説明する。
【0031】
(6-2.作動の具体例)
(6-2-1.対処者の報知について)
生産ライン10を構成する第一処理機械11、第二処理機械12及び第三処理機械13の各々に設けられたPLC11a,12a,13aは、データサーバ20の稼働状況把握装置21に稼働状況データを出力している。稼働状況把握装置21は、PLC11a,12a,13aから稼働状況データを取得すると、取得した稼働状況データを取得した時点の時刻情報と紐付けして記憶装置24に順次記憶する。
【0032】
又、稼働状況把握装置21は、取得した稼働状況データを形成する検出値が予め設定された範囲外になると、制御装置22に対して異常情報を出力する。ここで、制御装置22に出力される異常情報は、異常の発生箇所である処理機械を有する生産ライン10を特定することに加え、発生している異常の内容及び異常が発生した時刻を含む情報である。
【0033】
制御装置22は、稼働状況把握装置21から異常情報が出力されると、ネットワークN(より詳しくは、無線通信部N1)を介して複数の携帯端末30に配信する異常発生情報を生成する。ここで、異常発生情報は、異常情報(異常の発生箇所である生産ライン10、異常の内容及び発生時刻)を含み、且つ、ライン管理者が対処するか否かを表す対処可能情報を入力可能となるように生成される。
【0034】
具体的に、制御装置22は、ライン管理者が所持する携帯端末30においてブラウザを実行して表示されるように、例えば、html形式に従って記述することによって異常発生情報をウェブページとして生成する。そして、制御装置22は、生成した異常発生情報を通信装置23に出力する。
【0035】
通信装置23は、制御装置22から出力された異常発生情報をネットワークN及び無線通信部N1を介して、複数の携帯端末30に配信(送信)する。即ち、通信装置23は、異常発生情報を携帯端末30に対して配信することにより通知する「異常通知部」として機能する。ここで、記憶装置24の通信履歴情報格納部24cには、データサーバ20の制御装置22から複数の携帯端末30に向けて配信(送信)された異常発生情報及び異常発生情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。尚、通信装置23は、ネットワークNに接続された広域表示装置40に対しても、異常発生情報を配信(送付)することも可能である。
【0036】
複数の携帯端末30においては、無線通信装置31がデータサーバ20から配信(送信)された異常発生情報を無線通信により受信する。無線通信装置31は、受信した異常発生情報を制御装置32に出力する。制御装置32は、ブラウザを実行することにより、異常発生情報を表示装置33に表示させる。
【0037】
表示装置33は、図5に示すように、異常の発生している生産ライン10及び異常が発生した時刻を含む表示画面H1を表示する。この場合、表示装置33は、表示画面H1において、例えば、発生している異常の度合いに応じて表示する際の色等を変更して表示することができる。携帯端末30を所持するライン管理者は、表示装置33に表示された表示画面H1即ち異常発生情報を確認し、表示画面H1に表示される詳細確認ボタンB1をタップ又はクリックして選択する。
【0038】
詳細確認ボタンB1が選択されると、制御装置32は、表示装置33に対して、表示画面H1から図6に示す表示画面H11に遷移させる。この場合、表示画面H11においては、詳細確認ボタンB1が選択されたことを表す態様(例えば、色の変更)で表示させると共に、発生している異常の内容を表示させる。これにより、ライン管理者は、生産ライン10に発生している異常の内容を確認することができ、異常に対処可能であるか否かを判断することができる。
【0039】
ライン管理者は、異常に対処可能である場合、自身が異常に対処する意思を他のライン管理者に報知するために、表示画面H11に表示されている対処入力部としての対処可能ボタンB2をタップ又はクリックして選択する。対処可能ボタンB2が選択されると、制御装置32は、対処可能ボタンB2が選択されたことを表す情報と共に、記憶装置35に記憶されている端末識別情報を含む対処可能情報を無線通信装置31に出力する。そして、無線通信装置31は、無線通信部N1及びネットワークNを介して、対処可能情報をデータサーバ20に送信する。
【0040】
ここで、対処可能ボタンB2を選択したライン管理者即ち対処者は、生産ライン10に発生した異常に対処する予定、例えば、今すぐに対応する、或いは、後で(何分後等)対応する等を表す対処予定情報を入力装置34を用いて入力することができる。又は、対処者は、対処可能ボタンB2を選択した後、実際に異常に対処を開始したことを表す対処開始情報を入力装置34を用いて入力することができる。対処予定情報及び対処開始情報のうちの少なくとも一つが入力された場合、制御装置32は、対処予定情報及び対処開始情報を含む対処可能情報をデータサーバ20に送信する。
【0041】
データサーバ20の制御装置22は、通信装置23を介して携帯端末30から対処可能情報を受信すると、対処可能情報に含まれる端末識別情報に基づいて記憶装置24の端末ユーザ情報格納部24aに記憶されている端末ユーザ情報を探索する。そして、制御装置22は、端末ユーザ情報に基づいて対処可能情報を送信した携帯端末30を特定すると共に、この携帯端末30を所持する対処者を特定する。
【0042】
更に、制御装置22は、端末ユーザ情報によって特定した対処者について、記憶装置24のユーザ識別情報格納部24bに記憶されている画像データを取得する。そして、制御装置22は、取得した画像データ及び対処者が対処を開始した(又は開始する予定の)時刻情報を含む対処情報を、html形式に従って記述してウェブページとして生成する。そして、制御装置22は、通信装置23を制御して、生成した画像データを含む対処情報をネットワークN(無線通信部N1)を介して全ての携帯端末30に配信する。
【0043】
ここで、記憶装置24の通信履歴情報格納部24cには、データサーバ20の制御装置22から複数の携帯端末30に向けて配信(送信)された異常発生情報及び異常発生情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。又、通信履歴情報格納部24cには、各々の携帯端末30からデータサーバ20に向けて送信された対処可能情報及び対処可能情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。更に、通信履歴情報格納部24cには、データサーバ20の制御装置22から全ての携帯端末30に向けて配信(送信)された対処情報及び対処情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。
【0044】
各々の携帯端末30においては、無線通信装置31を介して、データサーバ20から配信された対処情報を受信する。そして、制御装置32は、ブラウザを実行することにより、受信した対処情報を表示装置33に表示させる。これにより、表示装置33は、図6に示す表示画面H11から図7に示す表示画面H12に遷移させ、対処者の画像データ(例えば、顔写真)を対処可能ボタンB2の位置に表示する。
【0045】
又、表示装置33は、表示画面H12において、対処者が対処を開始した(又は、開始する予定の)時刻(巣6にて黒三角及び黒四角で示す)を表示する。従って、対処者以外のライン管理者は、生産ライン10に発生した異常に対処する対処者及び対処する時刻を容易に確認することができ、その結果、異常に対する対処状況を共有することができる。
【0046】
ここで、対処者は、発生した異常に対処する場合において行った対処の内容を表す対処内容情報を入力装置34を利用して入力し、逐次、携帯端末30からデータサーバ20に送信するようになっている。そして、データサーバ20においては、制御装置22は、携帯端末30から送信された対処内容情報及び対処内容情報が送信された時刻情報を、通信履歴情報として記憶装置24の通信履歴情報格納部24cに順次記憶する。これにより、データサーバ20の記憶装置24には、対処者が行った異常への対処内容及び対処した時刻が蓄積される。この場合、記憶装置24に記憶された対処内容及び時刻は、対処者が異常への対処中及び対処後に確認することができる。従って、対処者は、異常への対処後に、今回の対処の内容を記したメモや報告書を作成する必要がない。
【0047】
(6-2-2.応援者の要請について)
次に、生産管理システムSyにおける応援者の要請について説明する。対処者は、生産ライン10に発生した異常に対処した場合、応援を要請することができる。応援を要請する場合、対処者は、携帯端末30の表示装置33に表示された図7に示す表示画面H12から図8に示す表示画面H2に遷移させる。尚、表示画面H2も、制御装置32がブラウザを実行することによって表示されるウェブページである。
【0048】
表示画面H2は、図8に示すように、例えば、発生した異常に関与した人間を呼び出すための呼出ボタンB3、応援を要請する応援要請入力部としての応援ボタンB4、及び、対処中においてネットワークNを介して他のライン管理者と通話を行う(通話機能)ための会話ボタンB5を表示する。尚、会話ボタンB5がタップ又はクリックによって選択された場合、データサーバ20は、ネットワークNを介して、対処者が所持する携帯端末30と他のライン管理者が所持する携帯端末30との通話を許可する。
【0049】
応援を要請する場合、対処者は、表示画面H2に表示されている応援ボタンB4をタップ又はクリックして選択する。この場合、他のライン管理者を指定することなく応援を要請する際には、対処者は、応援ボタンB4に加えて表示画面H2の「クイック」を選択することができる。以下の説明においては、図8に示すように、対処者によって「クイック」が選択された場合を例示する。
【0050】
尚、応援をグループとして要請する際には、対処者は、応援ボタンB4に加えて表示画面H2の「グループ」を選択することができる。又、応援を他部署に要請する際には、対処者は、応援ボタンB4に加えて表示画面H2の「他部署」を選択することができる。更に、他のライン管理者を指定して応援を要請する際には、対処者は、応援ボタンB4に加えて表示画面H2に表示された特定のライン管理者を選択することにより指定することができる。
【0051】
対処者によって応援ボタンB4が選択されると、制御装置32は、応援ボタンB4が選択されたことを表す情報と共に、記憶装置35に記憶されている端末識別情報を含む応援要請情報を無線通信装置31に出力する。そして、無線通信装置31は、無線通信部N1及びネットワークNを介して、応援要請情報をデータサーバ20に送信する。
【0052】
データサーバ20の制御装置22は、通信装置23を介して携帯端末30から応援要請情報を受信すると、応援要請情報に含まれる端末識別情報に基づいて記憶装置24の端末ユーザ情報格納部24aに記憶されている端末ユーザ情報を探索する。そして、制御装置22は、端末ユーザ情報に基づいて応援要請情報を送信した携帯端末30を特定すると共に、この携帯端末30を所持する対処者を特定する。
【0053】
更に、制御装置22は、端末ユーザ情報によって特定した対処者について、記憶装置24のユーザ識別情報格納部24bに記憶されている対処者を識別する氏名等のテキストデータ及び画像データを取得する。そして、制御装置22は、取得したテキストデータ及び画像データ含む応援通知情報を、html形式に従って記述してウェブページとして生成する。そして、制御装置22は、通信装置23を制御して、生成した応援通知情報をネットワークN(無線通信部N1)を介して、対処者が所持する携帯端末30以外の他の携帯端末30に配信する。
【0054】
他の携帯端末30においては、無線通信装置31を介して、データサーバ20から配信された応援通知情報を受信する。そして、制御装置32は、ブラウザを実行することにより、受信した応援通知情報を表示装置33に表示させる。これにより、表示装置33は、図9に示す表示画面H3を表示する。即ち、他の携帯端末30の表示装置33は、「通知取得部」の機能を実現する。
【0055】
表示画面H3は、対処者が行った応援の要請を報知するものである。他の管理者は、表示画面H3に従い、応援の要請に対応可能である場合には、応援可能情報入力部としての、今すぐボタンB6又は後でボタンB7をタップ又はクリックして選択する。
【0056】
ここで、今すぐボタンB6が選択された場合には、すぐに応援に向かうことが可能であることを表す応援可能情報が入力される。又、後でボタンB7が選択された場合には、応援に向かう予定であることを表す応援可能情報が入力される。尚、以下の説明においては、他の管理者によって今すぐボタンB6が選択された場合を例示する。一方、他の管理者は、表示画面H3に従い、応援の要請に対応できない場合には、応援不可ボタンB8をタップ又はクリックして選択する。
【0057】
他のライン管理者によって今すぐボタンB6が選択されると、制御装置32は、今すぐボタンB6が選択されたことを表す応援可能情報と共に、記憶装置35に記憶されている端末識別情報を無線通信装置31に出力する。そして、無線通信装置31は、無線通信部N1及びネットワークNを介して、応援可能情報及び端末識別情報をデータサーバ20に送信する。
【0058】
データサーバ20の制御装置22は、通信装置23を介して携帯端末30から応援可能情報及び端末識別情報を受信すると、端末識別情報に基づいて記憶装置24の端末ユーザ情報格納部24aに記憶されている端末ユーザ情報を探索する。そして、制御装置22は、端末ユーザ情報に基づいて応援可能情報を送信した携帯端末30を特定すると共に、この携帯端末30を所持する応援者を特定する。
【0059】
更に、制御装置22は、端末ユーザ情報によって特定した応援者について、記憶装置24のユーザ識別情報格納部24bに記憶されている応援者を識別する氏名等のテキストデータ及び画像データを取得する。そして、制御装置22は、取得したテキストデータ及び画像データ含む応援対処情報を、html形式に従って記述してウェブページとして生成する。そして、制御装置22は、通信装置23を制御して、生成した応援対処情報をネットワークN(無線通信部N1)を介して、全ての携帯端末30に配信する。
【0060】
ここで、記憶装置24の通信履歴情報格納部24cには、データサーバ20の制御装置22から複数の携帯端末30に向けて配信(送信)された応援通知情報及び応援通知情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。又、通信履歴情報格納部24cには、対処者の携帯端末30からデータサーバ20に向けて送信された応援要請情報及び応援要請情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。更に、通信履歴情報格納部24cには、データサーバ20の制御装置22から全ての携帯端末30に向けて配信(送信)された応援対処情報及び応援対処情報を配信(送信)した時刻を表す時刻情報が通信履歴情報として記憶される。
【0061】
全ての携帯端末30においては、無線通信装置31を介して、データサーバ20から配信された応援対処情報を受信する。そして、制御装置32は、ブラウザを実行することにより、受信した応援対処情報を表示装置33に表示させる。これにより、表示装置33は、図10に示すように、応援者を報知すると共に応援にすぐに向かうことを報知する表示画面H31を表示する。従って、ライン管理者は、生産ライン10に発生した異常に対処する対処者及び応援者を容易に確認することができ、その結果、異常に対する応援状況を共有することができる。
【0062】
尚、応援者の報知については、携帯端末30の表示装置33に表示することに加えて、図11に示すように、広域表示装置40にも表示させることができる。これにより、生産ライン10において作業する作業者に対しても、発生した異常への対処状況及び応援状況を適切に報知することができる。
【0063】
(7.生産管理システムSyによる効果)
生産管理システムSyによれば、生産ライン10に異常が発生した場合には、データサーバ20から配信(送信)された異常発生情報を確認することにより、異常に対処可能な対処者が決まると共にデータサーバ20から他のライン管理者に対して対処者が報知される。これにより、複数のライン管理者は、発生した異常に誰が対処しているかを容易に把握することができると共に、発生した異常への対処状況を共有することができる。このため、生産ライン10に発生した異常に対して速やかに対処することができることにより、生産ライン10の生産能率や稼働率が低下することを防止することができる。その結果、生産ライン10における生産性を向上させることが可能となる。
【0064】
(8.記憶装置24に記憶された情報の利用について)
データサーバ20の記憶装置24の通信履歴情報格納部24cには、データサーバ20と携帯端末30との間で通信された各種情報が時刻情報と共に通信履歴情報として記憶される。このため、通信履歴情報格納部24cに記憶されたライン管理者毎の対処状況を用いて、例えば、ライン管理者の各々の異常対処能力を客観的に評価することができる。具体的に、通信履歴情報格納部24cには、あるライン管理者が対処者になり、生産ライン10に異常が発生してから異常が解消するまでの対処内容が逐次記憶されている。
【0065】
これにより、あるライン管理者が対処者として行った異常への対処の良否を確認することができる。又、記憶装置24には、あるライン管理者が応援者になり、対処者と共に行った異常への対処の良否も確認することができる。従って、記憶装置24に逐次記憶された対処内容を確認することにより、ライン管理者の技術レベルや異常を解消するまでに要した時間等を客観的に評価することができる。
【0066】
そして、この評価に基づいて、ライン管理者同士(ユーザ同士)が異常対処の改善について話し合ったり、技術レベルを向上させるための方策を議論したりすることが可能となる。その結果、生産ライン10に異常が発生した場合であっても、異常を解消するまでに要する時間を短縮することが可能となり、ひいては、生産ライン10の生産能率を向上させることに繋げることが可能となる。
【0067】
(9.その他)
上記説明においては、データサーバ20が異常情報に基づいて、全ての携帯端末30に異常発生情報を報知し、ライン管理者の意思に基づいて対処者を決定するようにした。ところで、携帯端末30は、例えば、GPS(Global Positioning System)信号や、無線通信部N1との無線通信している位置等を用いることにより、自身の位置情報をデータサーバ20に送信することが可能となる。そこで、データサーバ20は、例えば、異常が発生した生産ライン10の位置に対して近いライン管理者に対して、優先的に異常発生情報を配信(送信)するようにしても良い。
【0068】
この場合、生産ライン10の位置に対して近いライン管理者が対処者になることにより、発生した異常に対する対処を早期に開始することが可能となる。その結果、発生した異常を解消するまでに要する時間を短縮することが可能となり、生産ライン10の生産能率を向上させることに繋げることが可能となる。
【0069】
又、対処者が応援を要請した際、他のライン管理者が応援不可ボタンB8を選択することにより、応援を受諾できない状況が生じ得る。このような状況に対処するために、データサーバ20は、対処者(ライン管理者)と他のライン管理者同士の情報交換を可能とする情報交換機能を有することも可能である。
【0070】
具体的に、データサーバ20の制御装置22は、例えば、記憶装置24に予め記憶されている所定のプログラム(アプリケーション)を実行することにより、所謂、ライン管理者同士のチャット形式の情報交換機能を実現する。これにより、ネットワークNに接続されている携帯端末30を用いることにより、対処者は、例えば、現在発生している異常の解消方法について、応援に向かえないライン管理者であって過去に同様の異常を解消した経験のあるライン管理者に意見を求めたり、対処内容について相談したりすることが可能となる。従って、この場合においても、対処者は、異常を解消するまでに要する時間を短縮することが可能となり、生産ライン10の生産能率を向上させることが可能となる。
【0071】
更に、データサーバ20と携帯端末30とがネットワークN(無線通信部N1)を介して通信する場合、一時的に通信が不能となる場合がある。この場合には、携帯端末30は、記憶装置35に一時的にデータサーバ20に送信する情報を記憶することができる。
【0072】
即ち、携帯端末30は、データサーバ20との間でネットワークN(無線通信部N1)を介した通信が一時的に不能となった場合には、少なくとも、データサーバ20に通信を試みた時刻及びデータサーバ20に送信を試みた情報の内容を一時的に記憶装置35に保存する。そして、携帯端末30は、データサーバ20との間でネットワークN(無線通信部N1)を介した通信が回復した場合に、記憶装置35に一時的に記憶した時刻及び内容をデータサーバ20に送信する。これにより、通信が一時的に不能となった場合であっても、データサーバ20は、記憶装置24の通信履歴情報格納部24cに通信履歴情報を記憶することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…生産ライン、11…第一処理機械、11a…PLC、12…第二処理機械、12a…PLC、13…第三処理機械、13a…PLC、20…データサーバ、21…稼働状況把握装置(データ取得装置)、22…制御装置、23…通信装置(異常通知部)、24…記憶装置、24a…端末ユーザ情報格納部、24b…ユーザ識別情報格納部、24c…通信履歴情報格納部、30…携帯端末、31…無線通信装置(通知取得部)、32…制御装置、33…表示装置(通知取得部)、34…入力装置、35…記憶装置、35a…端末識別情報格納部、40…広域表示装置、B1…詳細確認ボタン、B2…対処可能ボタン(対処入力部)、B3…呼出ボタン、B4…応援ボタン(応援要請入力部)、B5…会話ボタン、B6…今すぐボタン(応援可能情報入力部)、B7…後でボタン(応援可能情報入力部)、B8…応援不可ボタン、N…ネットワーク、N1…無線通信部、N1)…無線通信部、Sy…生産管理システム
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