(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/18 20200101AFI20230829BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20230829BHJP
F21S 45/50 20180101ALI20230829BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20230829BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230829BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20230829BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20230829BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20230829BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230829BHJP
【FI】
H05B45/18
F21S45/10
F21S45/50
F21S45/47
F21V23/00 117
F21V29/508
F21V29/70
B60Q1/04 E
F21W102:00
(21)【出願番号】P 2019196879
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】石井 智
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074265(US,A1)
【文献】特開2008-171688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21S 45/10
F21S 45/50
F21S 45/47
F21V 23/00
F21V 29/508
F21V 29/70
B60Q 1/04
F21W 102/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源を有する点灯ユニットと、
前記光源の点灯を制御する点灯回路と、
を備え、
前記点灯回路は、
当該点灯回路に着脱自在に装着されるものであって、当該点灯回路で生じた熱を拡散させる放熱部品と、
当該点灯回路における実装箇所に実装され、前記放熱部品が装着された状態において、前記実装箇所の温度を検出する温度検出素子と、
を備え、
当該点灯回路の周囲温度が上昇し、且つ前記温度検出素子により検出された前記実装箇所の温度が当該点灯回路の出力電力の抑制開始温度に到達した場合、前記出力電力を下げるものであり、
前記放熱部品は、
当該放熱部品の放熱性能が前記抑制開始温度に応じて決定されている、
車両用灯具。
【請求項2】
前記放熱部品は、
前記抑制開始温度が高くなるにつれ、前記放熱性能が高くされている、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記放熱部品は、
前記点灯回路の定格出力電力が高くなるにつれ、前記放熱性能が高くされている、
請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記点灯回路は、
前記温度検出素子を実装する基板と、
前記基板と前記放熱部品とを取り付ける取付部と、
前記基板と前記取付部との間に配置され、当該点灯回路で生じた熱を前記放熱部品に伝熱させる伝熱部品と、
をさらに備え、
前記放熱部品は、
前記放熱性能が高いものであるにつれ、前記取付部の外側の突出する部分の体積が増したものとなる、
請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具における点灯回路は、回路自体の放熱を行うカバー及び放熱部品が製品に接続される光源ごとに設計されているが、光源に出力する出力電力を調整するためにソフトウェアによる制御が必要である。そこで、組み込みソフトウェア等の調整を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような従来技術は、点灯回路の熱破損を防ぐことができるものの、光源を点灯制御する回路構成を高機能化させていることから製品コストが高コストとなっている。したがって、点灯回路の熱破損を防ぎつつ、製品コストを低減することができない。
【0005】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、点灯回路の熱破損を防ぎつつ、製品コストを低減することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面である車両用灯具は、光を出射する光源を有する点灯ユニットと、前記光源の点灯を制御する点灯回路と、を備え、前記点灯回路は、当該点灯回路に着脱自在に装着されるものであって、当該点灯回路で生じた熱を拡散させる放熱部品と、当該点灯回路における実装箇所に実装され、前記放熱部品が装着された状態において、前記実装箇所の温度を検出する温度検出素子と、を備え、当該点灯回路の周囲温度が上昇し、且つ前記温度検出素子により検出された前記実装箇所の温度が当該点灯回路の出力電力の抑制開始温度に到達した場合、前記出力電力を下げるものであり、前記放熱部品は、当該放熱部品の放熱性能が前記抑制開始温度に応じて決定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、点灯回路の熱破損を防ぎつつ、製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示を適用した実施形態に係る車両用灯具の構造例を示す図である。
【
図2】本開示を適用した実施形態に係る点灯回路4の外観を示す図である。
【
図3】本開示を適用した実施形態に係る点灯回路4の回路構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示を適用した実施形態に係る電力変換部4hの出力電力相対Pと温度検出素子4jの特性と放熱部品4aごとの出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
【
図5】本開示を適用した電力変換部4hの出力電力相対Pと出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
【
図6】本開示を適用した放熱特性の異なる放熱部品4aごとの電力変換部4hの出力電力相対Pと温度検出素子4jの回路周囲温度との関係を示す図である。
【
図7】本開示を適用した実施形態に係る電力変換部4hの出力電力の抑制開始前及び抑制制御中のそれぞれの領域における電力変換部4hの出力電力相対Pと出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
【
図8】本開示を適用した電力変換部4hの出力電力相対Pを一定のまま出力電力の抑制開始温度Ta’を抑制開始温度Taに変更させる一例を示す図である。
【
図9】本開示を適用した出力電力の抑制開始温度Taを一定のまま電力変換部4hの出力電力相対Pを出力電力相対P1及び出力電力相対P2の何れか一方に変更させる一例を示す図である。
【
図10】本開示を適用した第1放熱部品4aVerAが選択された一例を示す図である。
【
図11】本開示を適用した第2放熱部品4aVerBが選択された一例を示す図である。
【
図12】本開示を適用した第3放熱部品4aVerCが選択された一例を示す図である。
【
図13】従来における放熱特性の異なる放熱部品40aが取り付けられた点灯回路40の外観を示す図である。
【
図14】従来における放熱特性の異なる放熱部品40aに応じた電力変換部4hの出力電力相対Pと出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
【
図15】従来における基板40dに実装された回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した車両用灯具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0010】
(概略構成)
図1は、本開示を適用した実施形態に係る車両用灯具の構造例を示す図である。車両用灯具は、例えば前照灯(ヘッドランプ)であって、ヘッドランプユニットが車両の前部の左右両端部に搭載されている。車両用灯具は、灯具ハウジング1、灯具レンズ2、点灯回路4、点灯ユニット5、光学部6及び放熱器7を備えている。灯具ハウジング1の縁に沿って灯具レンズ2がはめ込まれ、浸水防止シール3により、灯具ハウジング1と灯具レンズ2との隙間が埋められている。灯具ハウジング1の内部には点灯回路4、点灯ユニット5、光学部6及び放熱器7が設けられている。点灯回路4は、灯具ハウジング1内の下部に設けられ、点灯ユニット5に電力を供給する。点灯回路4の上方には放熱器7が設けられている。放熱器7の上面側には点灯ユニット5が設けられ、放熱器7により点灯ユニット5が放熱される。点灯ユニット5は、放熱器7の上面側に設けられた光源5aと、光源5aの上部を覆うように設けられたリフレクター5bとを備え、リフレクター5bの前方側を覆うように光学部6が取り付けられている。よって、点灯ユニット5の光源5aから出射される光は一部がリフレクター5bを介して反射されつつ光学部6に伝達され、光学部6の光軸に沿って出射された光は、灯具レンズ2を介して前方に出射される。
【0011】
点灯回路4は、取付部4fの側面側に下方に向かって取付下部4fsが設けられ、取付部4fの上方にカバー4bが設けられている。取付下部4fsは一部が屈曲されて取付穴4gが設けられている。取付穴4gに灯具ハウジング1の下部に設けられた突起部の一部が挿入され、点灯回路4が固定されている。カバー4bの一部に形成された開口部は上方に向かって開口し、コネクタ4cが突出している。よって、コネクタ4cと、点灯ユニット5とが不図示の電源ケーブルで接続されることにより、点灯回路4の出力電力を光源5aに供給することが可能となる。
【0012】
図2は、本開示を適用した実施形態に係る点灯回路4の外観を示す図である。
図2(a)は、点灯回路4の上面図である。
図2(b)は、点灯回路4の正面図である。取付部4fの右側面には取付右下部4fsrが設けられ、取付右下部4fsrに長穴形状の貫通穴である右取付穴4grが設けられている。取付部4fの左側面には取付左下部4fslが設けられ、取付左下部4fslに丸穴形状の貫通穴である左取付穴4glが設けられている。取付部4fは外側に延在して放熱部品4aが設けられている。放熱部品4aは、点灯回路4に着脱自在に装着されるものであって、点灯回路4で生じた熱を拡散させる。放熱部品4aは、放熱性能が高いものであるにつれ、取付部4fの外側の突出部の体積が増したものとなる。例えば、
図2に示すように、第1放熱部品4aVerA、第2放熱部品4aVerB及び第3放熱部品4aVerCのそれぞれは、異なる放熱特性を有するが、より外側に突出したものの方が、体積がより増したものとなることで放熱抵抗が低下するため、放熱性能はより高くなる。取付部4fの上方には伝熱部品4eを介して基板4dが設けられている。伝熱部品4eは、基板4dで生じた熱を放熱部品4aに伝達しやすい熱伝導率の高いものであればよい。基板4dの上部には上記で説明したコネクタ4cが設けられている。
【0013】
図3は、本開示を適用した実施形態に係る点灯回路4の回路構成を示すブロック図である。点灯回路4は、電力変換部4h、電力制御部4i及び温度検出素子4jを備え、光源5aに出力電力を供給する。電力変換部4hは、光源5aに出力電力を供給するDC/DCコンバータであり、例えば、スイッチングレギュレータから構成されている。温度検出素子4jは、点灯回路4における実装箇所に実装され、放熱部品4aが装着された状態において、点灯回路4の実装箇所の温度を検出するものであり、例えば、NTCサーミスタから構成されている。電力制御部4iは、温度検出素子4jにより検出された点灯回路4における実装箇所の温度に応じて、電力変換部4hから光源5aに出力する出力電力を制御するものであり、例えば、スイッチングコントロールICから構成されている。
【0014】
図4は、本開示を適用した実施形態に係る電力変換部4hの出力電力相対Pと温度検出素子4jの特性と放熱部品4aごとの出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
図4の縦軸の出力電力相対Pは、電力変換部4hの定格出力電力に対し、電力変換部4hから出力された出力電力の割合である。例えば、電力変換部4hの定格出力電力が10W(100%)であり、電力変換部4hから出力された出力電力が9Wであれば、出力電力相対Pは、90%となる。
図4の横軸は、温度検出素子4jの端子電圧VT、温度検出素子4j上の温度、第1放熱部品4aVerA、第2放熱部品4aVerB及び第3放熱部品4aVerCのそれぞれの装着時の回路周囲温度が、同一の出力電力を抑制する開始タイミングに合わせて並べられている。
【0015】
図5は、本開示を適用した電力変換部4hの出力電力相対Pと出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
図5の一例では、電力変換部4hの出力電力の抑制開始温度Taは、120℃となっているが、放熱部品4aによる放熱を考慮しない場合である。そこで、放熱部品4aの放熱性能の違いについて具体的に説明する。
図6は、本開示を適用した放熱特性の異なる放熱部品4aごとの電力変換部4hの出力電力相対Pと回路周囲温度との関係を示す図である。
図6に示す第1放熱部品4aVerA、第2放熱部品4aVerB及び第3放熱部品4aVerCのそれぞれの特性の傾きは、(周囲温度-温度検出素子4j自体の温度)/(電力変換部4hの出力電力)で示される放熱性能、すなわち熱抵抗となる。よって、基板4d上に実装される温度検出素子4jを1つとした場合、点灯回路4のある周囲温度において、電力変換部4hの出力電力の抑制開始温度Taを引き上げるにつれ、より放熱性能の高い放熱部品4aが選択される。この結果、電力変換部4hの許容出力電力は増加される。
【0016】
図7は、本開示を適用した実施形態に係る電力変換部4hの出力電力の抑制開始前及び抑制制御中のそれぞれの領域における電力変換部4hの出力電力相対Pと出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。抑制制御中の領域では、点灯回路4の周囲温度と、放熱部品4aが装着された状態において、点灯回路4における温度検出素子4jの実装箇所の温度変動に応じて決定される電力変換部4hの出力電力の抑制とのバランスにより、電力変換部4hの出力電力は決定される。一方、抑制開始前の領域において、光源5aのような負荷又は基板4dに実装される回路構成自体の高温時の耐熱性を考慮する。具体的には、点灯回路4の周囲温度が上昇し、放熱部品4aが装着された状態において、点灯回路4が発熱し、放熱部品4aにより放熱させたときに、温度検出素子4jにより検出された温度検出素子4jの実装箇所の温度が点灯回路4の出力電力の抑制開始温度Taに到達した場合、点灯回路4は出力電力を下げるものである。
【0017】
換言すれば、点灯回路4の周囲温度がある周囲温度であって、放熱部品4aが装着された状態において、温度検出素子4j自体の熱変動を考慮することで、点灯回路4の出力電力の抑制開始温度Taが決定される。
図8は、本開示を適用した電力変換部4hの出力電力相対Pを一定のまま出力電力の抑制開始温度Ta’を抑制開始温度Taに変更させる一例を示す図である。
図8に示すように、放熱部品4aは、抑制開始温度Taが高くなるにつれ、放熱性能が高くされている。つまり、電力変換部4hの出力電力を定格出力電力に維持させつつ、抑制開始温度Ta’をより高い抑制開始温度Taに変更させるには、第1放熱部品4aVerAからより放熱性能の高い第2放熱部品4aVerBに変更すればよい。よって、ある周囲温度であって、放熱部品4aが点灯回路4に装着された状態において、放熱部品4aの放熱能力の大小は、温度検出素子4jによる測定開始温度(例えば、抑制開始温度Ta’)から抑制開始温度Taに到達するまでの到達温度の大小として現れる。
【0018】
図9は、本開示を適用した出力電力の抑制開始温度Taを一定のまま電力変換部4hの出力電力相対Pを出力電力相対P1及び出力電力相対P2の何れか一方に変更させる一例を示す図である。
図9に示すように、放熱部品4aは、電力変換部4hの定格出力電力が高くなるにつれ、放熱部品4aの放熱性能が高くされている。つまり、抑制開始温度Taを一定に維持させつつ、電力変換部4hの出力電力相対P2をより高い出力電力相対P1に変更させるには、第1放熱部品4aVerAからより放熱性能の高い第2放熱部品4aVerCに変更すればよい。
【0019】
図10は、本開示を適用した第1放熱部品4aVerAが選択された一例を示す図である。
図11は、本開示を適用した第2放熱部品4aVerBが選択された一例を示す図である。
図12は、本開示を適用した第3放熱部品4aVerCが選択された一例を示す図である。
図10(a)、
図11(a)及び
図12(a)は、点灯回路4の上面図である。
図10(b)、
図11(b)及び
図12(b)は、点灯回路4の正面図である。
図10~
図12に示すように、放熱部品4aは、放熱性能が高いものであるにつれ、取付部4fの外側の突出する部分の体積が増したものとなる。ただし、点灯回路4は、灯具ハウジング1への止め点となる取付穴4gが変更されていない。つまり、点灯回路4は、放熱部品4aを変更するだけで放熱性能を変更できつつ、共通の止め点となる構造である。
【0020】
次に従来例と比較しつつ、本開示を適用した車両用灯具の作用効果について説明する。
図13は、従来における放熱特性の異なる放熱部品40aが取り付けられた点灯回路40の外観を示す図である。
図13(a)は、点灯回路40の上面図である。
図13(b)は、点灯回路40の正面図である。
図13(c)は、
図13(a)及び
図13(b)と異なる放熱性能の放熱部品40aが取り付けられた点灯回路40の上面図である。
図13(d)は、
図13(a)及び
図13(b)と異なる放熱性能の放熱部品40aが取り付けられた点灯回路40の正面図である。
図13(a)~
図13(d)に示すように、放熱性能が異なれば、放熱部品40aだけでなく、点灯回路40全体の大きさが異なるものとなる。ここで、
図13(a)及び
図13(b)を構造Aとして、
図13(c)及び
図13(d)を構造Bとする。
図14は、従来における放熱特性の異なる放熱部品40aに応じた電力変換部4hの出力電力相対Pと出力電力の抑制開始温度Taとの関係を示す図である。
図14に示すように、構造Aと構造Bとで、同一の抑制開始温度Taとするには、各種制御が必要となる。また、放熱面積を稼ぐために放熱部品40aの大きさも変わるため、上記で説明した止め点は、間隔及び位置が異なるものとして、灯具ハウジング1を設計する必要がある。
【0021】
図15は、従来における基板40dに実装された回路構成を示すブロック図である。
図15に示すように、温度検出素子4jによる検出結果に対し、特定の出力制御となるような信号を出力するためのマイコン4mと、マイコン4mに電力を供給するための定電圧源4oとが必要となるため、部品コストが増加する。
【0022】
そこで、本実施形態においては、光を出射する光源5aを有する点灯ユニット5と、光源5aの点灯を制御する点灯回路4と、を備え、点灯回路4は、点灯回路4に着脱自在に装着されるものであって、点灯回路4で生じた熱を拡散させる放熱部品4aと、点灯回路4における実装箇所に実装され、放熱部品4aが装着された状態において、実装箇所の温度を検出する温度検出素子4jと、を備え、点灯回路4の周囲温度が上昇し、且つ温度検出素子4jにより検出された実装箇所の温度が点灯回路4の出力電力の抑制開始温度Taに到達した場合、出力電力を下げるものであり、放熱部品4aは、放熱部品4aの放熱性能が抑制開始温度Taに応じて決定されている。よって、点灯回路4の周囲温度がある周囲温度であって、放熱部品4aが装着された状態において、温度検出素子4j自体の熱変動を考慮することで、点灯回路4の出力電力の抑制開始温度Taが決定される。したがって、温度検出素子4jによる測定開始温度(例えば、抑制開始温度Ta’)から抑制開始温度Taに到達するまでの到達温度の大小関係で、放熱部品4aの放熱能力が選択されるため、点灯回路4の熱破損を防ぎつつ、製品コストを低減することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、放熱部品4aは、抑制開始温度Taが高くなるにつれ、放熱性能が高くされている。よって、抑制開始温度Taを変更するには、放熱部品4aの放熱性能を異なるものにすればよい。したがって、放熱部品4aを変更するだけで、抑制開始温度Taを変更させることができるので、容易に抑制開始温度Taを調整することができる。
【0024】
また、本実施形態においては、放熱部品4aは、電力変換部4hの定格出力電力が高くなるにつれ、電力変換部4hの放熱性能が高くされている。よって、電力変換部4hの出力電力相対Pを変更するには、放熱部品4aの放熱性能を異なるものにすればよい。したがって、放熱部品4aを変更するだけで、電力変換部4hの出力電力相対Pを変更させることができるので、抑制開始温度Taに至るまでの電力変換部4hの出力電力を容易に調整することができる。
【0025】
また、本実施形態においては、電力変換部4h及び温度検出素子4jを実装する基板4dと、基板4dと放熱部品4aとを取り付ける取付部4fと、基板4dと取付部4fとの間に配置され、電力変換部4hで生じた熱を放熱部品4aに伝熱させる伝熱部品4eと、をさらに備え、放熱部品4aは、放熱性能が高いものであるにつれ、取付部4fの外側の突出する部分の体積が増したものとなる。よって、取付部4fは変更せずに放熱部品4aを変えるだけで放熱性能を変更できる。したがって、共通の止め点構造により放熱性能を変更できるので、灯具ハウジング1の設計を簡素化することができる。
【0026】
以上、本開示を適用した車両用灯具を実施形態に基づいて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0027】
例えば、リフレクター5bが配置された灯具について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、直射型の灯具であってもよい。
【0028】
例えば、放熱部品4aの大きさに応じて放熱部品4aの放熱性能の異なるものとして、第1放熱部品4aVerA、第2放熱部品4aVerB及び第3放熱部品4aVerCについて説明したが、特にこれに限定されるものではない。放熱部品4aの放熱性能は、材質によっても異なるものとなる。例えば、真鍮、鉄又はステンレス鋼のように放熱部品4aの材質の熱伝導率に応じて放熱性能の異なるものとしてもよい。また、放熱部品4aの大きさ及び材質の両方が異なるものを利用してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 灯具ハウジング、2 灯具レンズ、3 浸水防止シール
4,40 点灯回路、4a,40a 放熱部品、4aVerA 第1放熱部品
4aVerB 第2放熱部品、4aVerC 第3放熱部品
4b,40b カバー、4c,40c コネクタ、4d,40d 基板
4e,40e 伝熱部品、4f,40f 取付部
4fs,40fs 取付下部、4fsr,40fsr 取付右下部
4fsl,40fsl 取付左下部、4g,40g 取付穴
4gr,40gr 右取付穴、4gl,40gl 左取付穴
4h 電力変換部、4i 電力制御部、4j 温度検出素子、4m マイコン
5 点灯ユニット、5a 光源、5b リフレクター、6 光学部、7 放熱器
VT 端子電圧、4o 定電圧源、Ta,Ta’ 抑制開始温度
P,P1,P2 出力電力相対
A,B 構造