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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】光スキャナユニットおよび光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20230829BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019226140
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021096310
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】武田 大司
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 美佳
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331679(JP,A)
【文献】特開2016-085391(JP,A)
【文献】特開2019-003120(JP,A)
【文献】特開平08-094959(JP,A)
【文献】特開平08-313838(JP,A)
【文献】特開昭61-267018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射する反射部分を含むミラー部と、
交流電圧が印加されることにより、所定の揺動軸周りに前記ミラー部を揺動させる振動発生部と、
単一の発光部と、前記発光部から出射された光を受光する単一の受光部と、を含む単一の光センサと、
前記ミラー部の揺動とともに揺動するように前記ミラー部に設けられ、揺動に伴って前記発光部から出射された光を周期的に遮蔽する遮光部と、
前記交流電圧と、前記光センサの検出信号とに基づいて、前記ミラー部の揺動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記受光部の受光状態と、前記交流電圧のゼロクロスのタイミングとに基づいて、前記ミラー部の揺動の方向を含む前記ミラー部の揺動の状態を取得し、前記ミラー部の揺動を制御するように構成されている、光スキャナユニット。
【請求項2】
前記制御部は、一方揺動角側において、前記遮光部が前記受光部を遮らないように揺動する区間である第1受光区間と、他方揺動角側において、前記遮光部が前記受光部を遮らないように揺動する区間である第2受光区間と、前記ゼロクロスのタイミングとに基づいて、前記ミラー部の揺動の状態を取得し、前記ミラー部の揺動を制御するように構成されている、請求項1に記載の光スキャナユニット。
【請求項3】
前記制御部は、前記遮光部が前記第1受光区間内を揺動する時間長さである第1受光時間と、前記遮光部が前記第2受光区間内を揺動する時間長さである第2受光時間とを取得し、取得した前記第1受光時間と、前記第2受光時間と、前記所定の目標揺動角度とに基づいて、前記ミラー部の揺動を制御するように構成されている、請求項2に記載の光スキャナユニット。
【請求項4】
前記制御部は、前記遮光部が前記受光部を遮るように揺動する区間である遮光区間から前記第1受光区間に切り替わるタイミングと、前記第1受光区間から前記遮光区間に切り替わるタイミングとに基づいて、前記第1受光時間を取得するとともに、前記遮光区間から前記第2受光区間に切り替わるタイミングと、前記第2受光区間から前記遮光区間に切り替わるタイミングとに基づいて、前記第2受光時間を取得するように構成されている、請求項3に記載の光スキャナユニット。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1受光時間に基づいて、前記第1受光区間と前記遮光区間とが切り替わるタイミングにおける前記遮光部の揺動角度である第1角度を取得し、前記第2受光時間に基づいて、前記第2受光区間と前記遮光区間とが切り替わるタイミングにおける前記遮光部の揺動角度である第2角度を取得し、取得した前記第1角度と、前記第2角度と、前記第1受光時間と、前記第2受光時間とにより、前記ミラー部の揺動角度を取得するとともに、取得した前記ミラー部の揺動角度と、前記所定の目標揺動角度とを比較することにより、前記ミラー部の揺動角度を制御するように構成されている、請求項3または4に記載の光スキャナユニット。
【請求項6】
前記制御部は、前記他方揺動角側への揺動によって前記遮光部が前記遮光区間を通過する時間長さである第1遮光時間と、前記一方揺動角側への揺動によって前記遮光部が前記遮光区間を通過する時間長さである第2遮光時間とを取得するとともに、取得した前記第1遮光時間と、前記第2遮光時間とに基づいて、前記遮光部が前記受光部を遮光している時間長さである遮光時間を取得し、取得した前記遮光時間と前記所定の目標揺動角度によって前記ミラー部を揺動させた際に、前記遮光部が前記受光部を遮光する時間長さである目標遮光時間とを比較することにより、前記ミラー部の揺動を制御するように構成されている、請求項3または4に記載の光スキャナユニット。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1受光区間と、前記第2受光区間と、前記ゼロクロスのタイミングとに基づいて、前記ミラー部の揺動が正常であるか否かを検知するように構成されている、請求項3~6のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項8】
前記制御部は、前記ゼロクロスのタイミングが、前記第2受光区間に含まれる場合には、前記ミラー部の揺動が正常であると判定し、前記ゼロクロスのタイミングが、前記第1受光区間に含まれる場合には、前記ミラー部の揺動が異常であると判定するように構成されている、請求項7に記載の光スキャナユニット。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1受光時間と、前記第2受光時間と、前記所定の目標揺動角度とに基づいて、前記ミラー部の揺動を1周期ごとに制御するように構成されている、請求項3~8のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1受光時間に基づく第3受光時間および第6受光時間、または前記第2受光時間に基づく第4受光時間および第5受光時間と、前記所定の目標揺動角度とに基づいて、前記ミラー部の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている、請求項3に記載の光スキャナユニット。
【請求項11】
前記第3受光時間は、前記所定の目標揺動角度と、前記遮光区間から前記第1受光区間に切り替わってから前記一方揺動角側の揺動端である第1揺動端までの時間長さであり、
前記第6受光時間は、前記遮光区間から前記第2受光区間に切り替わってから前記他方揺動角側の揺動端である第2揺動端から前記遮光区間に切り替わるまでの時間長さであり、
前記第4受光時間は、前記所定の目標揺動角度と、前記第1揺動端から前記遮光区間に切り替わるまでの時間長さであり、
前記第5受光時間は、前記第2揺動端までの時間長さであり、
前記制御部は、前記第3受光時間と、前記第6受光時間とに基づくか、または、前記第4受光時間と、前記第5受光時間とに基づいて、前記ミラー部の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている、請求項10に記載の光スキャナユニット。
【請求項12】
前記受光部は、前記交流電圧を印加しない場合において、前記遮光部の揺動角度が0度となる位置と重なる位置に配置される、請求項1~11のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項13】
前記光センサを覆うように設けられるカバー部材をさらに備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項14】
前記受光部に入射する光が通過するように前記受光部の近傍に設けられ、前記発光部により出射された光に対応する波長域の光を通過させる、フィルタ部材をさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項15】
前記光センサは、前記ミラー部と、前記振動発生部との間に配置されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項16】
前記遮光部は、前記反射部分の面が延びる面方向に沿って、前記ミラー部から前記光センサ側に突出するように構成されており、
前記遮光部は、前記面が延びる方向と直交する方向において、前記ミラー部の厚みよりも小さい厚みを有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の光スキャナユニット。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の光スキャナユニットと、
前記光スキャナユニットが備える前記ミラー部の前記反射部分に走査用の光を照射する光源部と、を備える、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スキャナユニットおよび光学機器に関し、特に、所定の揺動軸周りにミラー部を揺動させる振動発生部を備える光スキャナユニットおよびその光スキャナユニットを備える光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の揺動軸周りにミラー部を揺動させる振動発生部を備える光スキャナユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、スキャナミラー(ミラー部)と、アクチュエータ(振動発生部)と、アクチュエータ駆動部と、振動検出部と、誤差検出部と、を備える共振型スキャナ(光スキャナユニット)が開示されている。上記特許文献1に記載の共振型スキャナでは、スキャナミラーは、ねじりバネを介して、アクチュエータに接続されている。アクチュエータ駆動部は、アクチュエータを、スキャナミラーの共振周波数付近の交流信号で駆動させることにより、スキャナミラーを共振させる。振動検出部は、スキャナミラーの振れ角(スキャナミラーの揺動角度)の角度範囲の中央位置に対して一方側の異なる角度位置(揺動角度の角度範囲の中央位置に近い側および中央位置から遠い側)に2つ設けられており、2つの振動検出部の各々が、スキャナミラーの振動位置(揺動角度)を独自に検出する。誤差検出部は、各々の振動検出部の検出出力の差に相当する検出信号と、予め設定された所定信号とを比較することにより、スキャナミラーの振幅を一定に保つための誤差信号を算出する。そして、算出された誤差信号に基づいて、アクチュエータ駆動部が駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-45603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の共振型スキャナ(光スキャナユニット)では、2つの振動検出部によって、スキャナミラーの揺動角度を検知するように構成されている。そのため、部品点数が増加するとともに、装置構成が複雑化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数の増加および装置構成の複雑化を抑制することが可能な光スキャナユニットおよび光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における光スキャナユニットは、光を反射する反射部分を含むミラー部と、交流電圧が印加されることにより、所定の揺動軸周りにミラー部を揺動させる振動発生部と、単一の発光部と発光部から出射された光を受光する単一の受光部とを含む単一の光センサと、ミラー部の揺動とともに揺動するようにミラー部に設けられ、揺動に伴って発光部から出射された光を周期的に遮蔽する遮光部と、交流電圧と、光センサの検出信号とに基づいて、ミラー部の揺動を制御する制御部と、を備え、制御部は、受光部の受光状態と、交流電圧のゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部の揺動の方向を含むミラー部の揺動の状態を取得し、ミラー部の揺動を制御するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による光スキャナユニットでは、上記のように、単一の発光部と単一の受光部とを含む単一の光センサと、受光部の受光状態と、交流電圧のゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部の揺動の方向を含むミラー部の揺動の状態を取得し、ミラー部の揺動を制御する制御部とを備える。ここで、振動発生部は、交流電流が印加されることにより、振動を発生させ、共振現象によってミラー部を揺動させる。そのため、ミラー部が正常に揺動している場合には、交流電圧の信号と、ミラー部の揺動信号とは、90度ずれた状態となる。すなわち、交流電圧の信号の値がゼロになる点(ゼロクロス)では、ミラー部は揺動端に位置している。また、交流電圧の信号がマイナス側からゼロになる点をゼロクロスとした場合、ゼロクロスが検知されるタイミングでは、ミラー部は、マイナス側に揺動しているものとする。また、交流電圧の信号がプラス側からゼロになる点をゼロクロスとした場合、ゼロクロスが検知されるタイミングでは、ミラー部は、プラス側に揺動しているものとする。このように定義することにより、ゼロクロスのタイミングによってミラー部の揺動方向を検知することが可能となる。したがって、上記のように構成することにより、受光部の受光状態と交流電圧のゼロクロスのタイミングとによって、ミラー部の揺動方向を検知することができる。したがって、単一の発光部と単一の受光部とを含む単一の光センサによってミラー部の揺動の状態を検知する場合でも、ミラー部の揺動方向を検知することが可能であるので、ミラー部の揺動を制御することができる。その結果、部品点数および装置構成が複雑化することを抑制することが可能な光スキャナユニットを提供することができる。
【0009】
上記第1の局面による光スキャナユニットにおいて、好ましくは、制御部は、一方揺動角側において、遮光部が受光部を遮らないように揺動する区間である第1受光区間と、他方揺動角側において、遮光部が受光部を遮らないように揺動する区間である第2受光区間と、ゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部の揺動の状態を取得し、ミラー部の揺動を制御するように構成されている。ここで、ゼロクロスのタイミングによってミラー部の揺動方向を検知することができる。また、遮光部が第1受光区間を揺動している間に光センサによって検知された信号と、遮光部が第2受光区間を揺動している間に光センサによって検知された信号とにより、ミラー部の揺動角度を取得することができる。したがって、上記のように構成すれば、第1受光区間と第2受光区間とゼロクロスのタイミングとを取得することにより、ミラー部の揺動の状態を容易に取得することができる。その結果、ミラー部の揺動の状態を容易に取得することが可能となるので、ミラー部の揺動の制御を容易に行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、遮光部が第1受光区間内を揺動する時間長さである第1受光時間と、遮光部が第2受光区間内を揺動する時間長さである第2受光時間とを取得し、取得した第1受光時間と、第2受光時間と、所定の目標揺動角度とに基づいて、ミラー部の揺動を制御するように構成されている。このように構成すれば、第1受光時間と第2受光時間とによってミラー部の揺動角度を取得することができる。その結果、取得したミラー部の揺動角度と目標揺動角度とを比較することにより、容易にミラー部の揺動をフィードバック制御することができる。
【0011】
上記第1受光時間と第2受光時間と目標揺動角度とに基づいてミラー部の揺動を制御する構成において、好ましくは、制御部は、遮光部が受光部を遮るように揺動する区間である遮光区間から第1受光区間に切り替わるタイミングと、第1受光区間から遮光区間に切り替わるタイミングとに基づいて、第1受光時間を取得するとともに、遮光区間から第2受光区間に切り替わるタイミングと、第2受光区間から遮光区間に切り替わるタイミングとに基づいて、第2受光時間を取得するように構成されている。このように構成すれば、遮光区間から第1受光区間に切り替わるタイミングと、第1受光区間から遮光区間に切り替わるタイミングとを取得することにより、容易に第1受光時間を取得することがきる。また、遮光区間から第2受光区間に切り替わるタイミングと、第2受光区間から遮光区間に切り替わるタイミングとを取得することにより、容易に第2受光時間を取得することができる。
【0012】
上記第1受光時間と第2受光時間と目標揺動角度とに基づいてミラー部の揺動を制御する構成において、好ましくは、制御部は、第1受光時間に基づいて、第1受光区間と遮光区間とが切り替わるタイミングにおける遮光部の揺動角度である第1角度を取得し、第2受光時間に基づいて、第2受光区間と遮光区間とが切り替わるタイミングにおける遮光部の揺動角度である第2角度を取得し、取得した第1角度と、第2角度と、第1受光時間と、第2受光時間とにより、ミラー部の揺動角度を取得するとともに、取得したミラー部の揺動角度と、所定の目標揺動角度とを比較することにより、ミラー部の揺動角度を制御するように構成されている。このように構成すれば、実際のミラー部の揺動角度の値をフィードバックし、ミラー部の揺動角度が目標揺動角度となるように制御するPID制御(入力値に対して比例制御、微分制御、および、積分制御を組み合わせて、出力値を目標値に近づけるフィードバック制御)などを用いることによって、交流電圧を制御することが可能となりミラー部の揺動角度を、容易に目標揺動角度とすることができる。
【0013】
上記第1受光時間と第2受光時間と目標揺動角度とに基づいてミラー部の揺動を制御する構成において、好ましくは、制御部は、他方揺動角側への揺動によって遮光部が遮光区間を通過する時間長さである第1遮光時間と、一方揺動角側への揺動によって遮光部が遮光区間を通過する時間長さである第2遮光時間とを取得するとともに、取得した第1遮光時間と、第2遮光時間とに基づいて、遮光部が受光部を遮光している時間長さである遮光時間を取得し、取得した遮光時間と所定の目標揺動角度によってミラー部を揺動させた際に、遮光部が受光部を遮光する時間長さである目標遮光時間とを比較することにより、ミラー部の揺動を制御するように構成されている。このように構成すれば、ミラー部の揺動周期が一定であれば、遮光時間を取得することにより、ミラー部の揺動を制御することができる。その結果、ミラー部の揺動角度を取得し、目標揺動角度と比較する構成と比べて、ミラー部の揺動を制御する際の制御部の処理負荷を低減することができる。
【0014】
上記第1受光時間と第2受光時間と目標揺動角度とに基づいてミラー部の揺動を制御する構成において、好ましくは、制御部は、第1受光区間と、第2受光区間と、ゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部の揺動が正常であるか否かを検知するように構成されている。このように構成すれば、ミラー部の揺動が正常でない場合には、たとえば、交流電圧の値を変更せず、前回の電圧値を維持するように処理するなど、異常なパラメータによってミラー部の揺動を制御することを回避することができる。また、ミラー部の揺動が正常な場合には、取得したパラメータによってミラー部の揺動を制御することにより、ミラー部を目標揺動角度によって揺動させることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、制御部は、ゼロクロスのタイミングが、第2受光区間に含まれる場合には、ミラー部の揺動が正常であると判定し、ゼロクロスのタイミングが、第1受光区間に含まれる場合には、ミラー部の揺動が異常であると判定するように構成されている。このように構成すれば、ゼロクロスのタイミングと、その際の受光区間とを取得することにより、容易にミラー部の揺動の状態を判定することができる。
【0016】
上記第1受光時間と第2受光時間と目標揺動角度とに基づいてミラー部の揺動を制御する構成において、好ましくは、制御部は、第1受光時間と、第2受光時間と、所定の目標揺動角度とに基づいて、ミラー部の揺動を1周期ごとに制御するように構成されている。このように構成すれば、1周期ごとにミラー部の揺動を制御することが可能となるので、たとえば、数周期ごとにミラー部の揺動を制御する構成と比較して、ミラー部の揺動をより精度よく制御することができる。
【0017】
上記第1受光時間と第2受光時間と目標揺動角度とに基づいてミラー部の揺動を制御する構成において、好ましくは、制御部は、第1受光時間に基づく第3受光時間および第6受光時間、または第2受光時間に基づく第4受光時間および第5受光時間と、所定の目標揺動角度とに基づいて、ミラー部の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている。このように構成すれば、半周期ごとにミラー部の揺動を制御することが可能となるので、たとえば、1周期ごとにミラー部の揺動を制御する構成と比較して、ミラー部の揺動をより一層精度よく制御することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、第3受光時間は、所定の目標揺動角度と、遮光区間から第1受光区間に切り替わってから一方揺動角側の揺動端である第1揺動端までの時間長さであり、第6受光時間は、遮光区間から第2受光区間に切り替わってから他方揺動角側の揺動端である第2揺動端から遮光区間に切り替わるまでの時間長さであり、第4受光時間は、所定の目標揺動角度と、第1揺動端から遮光区間に切り替わるまでの時間長さであり、第5受光時間は、第2揺動端までの時間長さであり、制御部は、第3受光時間と、第6受光時間とに基づくか、または、第4受光時間と、第5受光時間とに基づいて、ミラー部の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている。このように構成すれば、第3受光時間と、第4受光時間と、第5受光時間と、第6受光時間とを取得すことにより、容易にミラー部の揺動を制御することができる。
【0019】
上記第1の局面による光スキャナユニットにおいて、好ましくは、受光部は、交流電圧を印加しない場合において、遮光部の揺動角度が0度となる位置と重なる位置に配置される。このように構成すれば、遮光部の揺動範囲の中心となる位置に受光部を配置することができる。その結果、受光部が遮光部の揺動角度の中心となる位置に配置されているので、第1受光時間と第2受光時間とを比較することにより、遮光部の揺動角度の中心位置のずれを容易に取得することができる。
【0020】
上記第1の局面による光スキャナユニットにおいて、好ましくは、光センサを覆うように設けられるカバー部材をさらに備える。このように構成すれば、カバー部材に覆われた光センサには、光スキャナユニット内において発生する迷光(不要な反射光)、光スキャナユニットの外部から入射される光、等の外乱光が入射するのが抑制されるので、外乱光に起因して、受光部に入射する光に基づくミラー部の揺動角度の検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0021】
上記第1の局面による光スキャナユニットにおいて、好ましくは、受光部に入射する光が通過するように受光部の近傍に設けられ、発光部により出射された光に対応する波長域の光を通過させる、フィルタ部材をさらに備える。このように構成すれば、フィルタ部材が近傍に設けられた受光部には、発光部により出射された光に対応する波長域以外の光が入射するのが抑制されるので、光スキャナユニット内において発生する迷光(不要な反射光)、光スキャナユニットの外部から入射される光、等の外乱光に起因して、受光部に入射する光に基づくミラー部の揺動角度の検出精度が低下するのを抑制することができる。なお、受光部の近傍とは、受光部の位置そのものと、受光部の位置の付近との両方を含む意味である。
【0022】
上記第1の局面による光スキャナユニットにおいて、好ましくは、光センサは、ミラー部と、振動発生部との間に配置されている。このように構成すれば、ミラー部の揺動を安定化させるために、ミラー部および振動発生部を、ベース部材等の他の部材に対して、角部や外周部で固定した場合、光センサが、ミラー部の振動発生部とは反対側、または、振動発生部のミラー部とは反対側、等に配置される場合と比較して、光センサを、ミラー部および振動発生部が固定される位置(角部や外周部)から離れた位置に配置することができる。その結果、光センサに振動発生部による振動が伝播することに起因して光センサが振動するのを抑制することができるので、光センサの受光部に入射する光に基づくミラー部の揺動角度の検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0023】
上記第1の局面による光スキャナユニットにおいて、好ましくは、遮光部は、反射部分の面が延びる面方向に沿って、ミラー部から光センサ側に突出するように構成されており、遮光部は、上記面が延びる方向と直交する方向において、ミラー部の厚みよりも小さい厚みを有する。このように構成すれば、遮光部の厚みがミラー部の厚みよりも小さいので、遮光部の質量が大きくなるのを抑制することができる。したがって、ミラー部から光センサ側に突出する遮光部の質量が大きくなることに起因して、ミラー部および遮光部を含む揺動部分の質量が大きくなることを抑制することができる。その結果、上記揺動部分の質量が大きくなることに伴って、上記揺動部分の共振周波数の低下、上記揺動部分の重心位置のずれ、等が生じることを抑制することができる。
【0024】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面における光学機器は、上記第1の局面における光スキャナユニットと、光スキャナユニットが備えるミラー部の反射部分に走査用の光を照射する光源部と、を備える。
【0025】
この発明の第2の局面による光学機器では、上記のように、単一の発光部と単一の受光部とを含む単一の光センサと、受光部の受光状態と、交流電圧のゼロクロスのタイミングとに基づいてミラー部の揺動の状態を取得し、ミラー部の揺動を制御する制御部とを備える光スキャナユニットが設けられる。これにより、上記第1の局面における光スキャナユニットと同様に、部品点数の増加および装置構成が複雑化することを抑制することが可能な光学機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、上記のように、部品点数の増加および装置構成が複雑化することを抑制することが可能な光スキャナユニットおよび光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態によるプロジェクタの全体構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による光スキャナユニットの斜視図である。
図3】第1実施形態による光スキャナユニットの平面図である。
図4】第1実施形態による光スキャナユニットの遮光部が揺動角度範囲の中央位置に位置する状態を示した図である。
図5】第1実施形態による光スキャナユニットの遮光部が揺動角度範囲の一方揺動角側に位置する状態を示した図である。
図6】第1実施形態による光スキャナユニットの遮光部が揺動角度範囲の他方揺動角側に位置する状態を示した図である。
図7】第1実施形態による光スキャナユニットの光センサの斜視図である。
図8】第1実施形態による光スキャナユニットのミラー駆動部の断面図である。
図9】第1実施形態による光スキャナユニットのミラー部に対する遮光部の幅を説明するための図である。
図10】第1実施形態による光スキャナユニットのミラーの揺動角度と、交流電圧信号と、ゼロクロス信号と、検知信号とを説明するための図である。
図11】第1実施形態によるミラー制御部が行う事前処理を説明するためのフローチャートである。
図12】第1実施形態によるミラー制御部がゼロクロスを判定する処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第1実施形態によるミラー制御部がLOWエッジを検出する処理を説明するためのフローチャートである。
図14】第1実施形態によるミラー制御部がHIGHエッジを検出する処理を説明するためのフローチャートである。
図15】第1実施形態によるミラー制御部が交流電圧の制御を説明するためのフローチャートである。
図16】第2実施形態によるプロジェクタの全体構成を示すブロック図である。
図17】第2実施形態によるミラー制御部が行う事前処理を説明するためのフローチャートである。
図18】第2実施形態によるミラー制御部が交流電圧の制御を説明するためのフローチャートである。
図19】第3実施形態によるプロジェクタの全体構成を示すブロック図である。
図20】第3実施形態による光スキャナユニットのミラーの揺動角度と、交流電圧信号と、交流電圧二値化信号と、検知信号とを説明するための図である。
図21】第3実施形態によるミラー制御部が行う事前処理を説明するためのフローチャートである。
図22】第3実施形態によるミラー制御部がミラー部の揺動状態を判定する処理を説明するためのフローチャートである。
図23】第3実施形態によるミラー制御部が交流電圧の制御を説明するためのフローチャートである。
図24】第4実施形態によるプロジェクタの全体構成を示すブロック図である。
図25】第4実施形態による光スキャナユニットの斜視図である。
図26】第4実施形態による光スキャナユニットにおける光センサの受光部に設けられるフィルタ部材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
[第1実施形態]
図1図10を参照して、第1実施形態によるプロジェクタ100の構成について説明する。なお、プロジェクタ100は、特許請求の範囲の「光学機器」の一例である。
【0030】
図1に示すように、プロジェクタ100は、光源部11と、光源制御部12と、制御部13と、光スキャナユニット20と、記憶部30とを備えている。プロジェクタ100は、投影面60に対して、レーザ光を投射して画像を投影するように構成されている。
【0031】
光源部11は、レーザ光を出力するように構成されている。具体的には、光源部11は、青色のレーザ光、赤色のレーザ光および緑色のレーザ光を、それぞれ、ビームスプリッタやレンズを介して、光スキャナユニット20が備えるミラー部21に照射するように構成されている。
【0032】
光源制御部12は、制御部13による制御に基づいて、光源部11によるレーザ光の照射を制御するように構成されている。具体的には、光源制御部12は、制御部13に制御されることにより、光源部11から照射される青色のレーザ光、赤色のレーザ光および緑色のレーザ光の各々のタイミングの制御を行うように構成されている。
【0033】
制御部13は、プロジェクタ100の各部を制御するように構成されている。制御部13は、投影面60に対して投影する映像信号を、外部から取得するように構成されている。制御部13は、取得した映像信号に基づいて、光源制御部12を介して、光源部11によるレーザ光の照射を制御するように構成されている。制御部13は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む。
【0034】
光スキャナユニット20は、ミラー部21を揺動させながら、光源部11から照射されたレーザ光を、投影面60に投影させるように、ミラー部21により反射させるように構成されている。すなわち、光スキャナユニット20は、光源部11から照射された走査用のレーザ光を所定の走査角においてスキャン(走査)するように構成されている。なお、プロジェクタ100では、互いにスキャン方向が直交する2つの光スキャナユニット20を用いて、画像の水平方向および垂直方向にレーザ光をスキャン(走査)するように構成されている。なお、2つの光スキャナユニット20の構成は略同一であるが、図1では、2つの光スキャナユニット20のうちの一方の構成を簡略化している。
【0035】
光スキャナユニット20は、ミラー部21と、ミラー駆動部22と、ミラー制御部23と、メタル部材24(図2参照)と、光センサ25と、ベース部材26と、遮光部27と、を備えている。光スキャナユニット20では、ミラー駆動部22と、光センサ25と、ミラー部21とは、この順に、Y1側からY2側に向かって、Y方向に並ぶように配置されている。すなわち、第1実施形態では、光センサ25は、ミラー部21とミラー駆動部22との間に配置されている。なお、第1実施形態では、光スキャナユニット20は、単一の光センサ25を備えている。また、ミラー駆動部22は、特許請求の範囲の「振動発生部」の一例である。また、ミラー制御部23は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0036】
ミラー部21は、光源部11から照射された光を反射させるように構成されている。ミラー部21の構成の詳細については、後述する。
【0037】
ミラー駆動部22は、交流電圧が印加されることにより、所定の揺動軸90(図4参照)周りにミラー部21を揺動させるように構成されている。ミラー駆動部22がミラー部21を揺動させる構成の詳細については、後述する。
【0038】
ミラー制御部23は、光スキャナユニット20の各部を制御するように構成されている。ミラー制御部23は、制御部13による制御に基づいて、ミラー駆動部22によりミラー部21の駆動を制御するように構成されている。ミラー制御部23は、たとえば、CPUなどを含む。
【0039】
メタル部材24は、ミラー駆動部22で生じた振動を、ミラー部21に伝搬するように構成されている。メタル部材24の詳細な構成については、後述する。
【0040】
光センサ25は、単一の発光部25aと、単一の受光部25bと、を含む。光センサ25では、発光部25aと受光部25bとは、互いに対向するように設けられている。光センサ25は、発光部25aから出射された光が、物体により遮られるのを受光部25bで検出することによって、物体の有無や位置を判定するように構成されている。光センサ25は、いわゆる、フォトインタラプタである。そして、受光部25bの検出結果に基づく検知信号43(図10参照)が、ミラー制御部23へ送られる。
【0041】
図2に示すように、ミラー部21は、光を反射するミラー基板21aと、ミラー基板21aを支持するミラー基板支持部21bと、を含む。ミラー基板21aおよびミラー基板支持部21bは、それぞれ、ミラー部21の上側(Z1側)および下側(Z2側)に設けられている。ミラー基板21aとミラー基板支持部21bとは、接着剤等で互いに固定されている。なお、ミラー基板21aは、特許請求の範囲の「反射部分」の一例である。
【0042】
ミラー基板21aは、平板状に形成されている。ミラー基板21aは、ガラス製である。ミラー基板21aの光を反射する面21cには、アルミニウム膜が形成されている。ミラー基板21aの光を反射する面21cが延びる方向において、ミラー基板支持部21bの大きさは、ミラー基板21aの大きさと略等しい。また、図2に破線で図示するように、ミラー基板支持部21bは、格子状に形成されている。
【0043】
また、図2に示すように、メタル部材24は、駆動部支持部24aと、2つの梁部24bおよび24cと、2つのヒンジ部24dおよび24eと、を含む。メタル部材24は、XY平面に沿って延びる板状に形成されている。メタル部材24は、引張強度の高い高強度ステンレス、特殊金属、等により構成されている。なお、ミラー部21のミラー基板支持部21bは、メタル部材24と一体的に形成されている。すなわち、ミラー部21のミラー基板支持部21bは、メタル部材24の一部である。
【0044】
駆動部支持部24aは、ミラー駆動部22を支持するように、ミラー駆動部22の下側(Z2側)に配置されている。図3に示すように、駆動部支持部24aは、Z方向から見て、略台形形状を有する。駆動部支持部24aは、Z方向から見て、ミラー駆動部22よりも大きく形成されている。
【0045】
2つの梁部24bおよび24cは、各々、Z方向から見て、駆動部支持部24aよりもX方向の大きさが小さく形成されている。梁部24bは、駆動部支持部24aのY2側、かつ、X1側の端部から、Y2方向に延びるように設けられている。また、梁部24cは、駆動部支持部24aのY2側、かつ、X2側の端部から、Y2方向に延びるように設けられている。
【0046】
2つのヒンジ部24dおよび24eは、それぞれ、梁部24bのX2側および梁部24cのX1側に設けられている。ヒンジ部24dは、ミラー基板支持部21bのY方向における中央位置に接続されるように、梁部24bからX2側に向かって延びるように設けられている。ヒンジ部24eは、ミラー基板支持部21bのY方向における中央位置に接続されるように、梁部24cからX1側に向かって延びるように設けられている。2つのヒンジ部24dおよび24eは、振動が伝播された場合に、捩じり変形可能に構成されている。したがって、ミラー駆動部22の振動が、メタル部材24のミラー基板支持部21bおよび2つの梁部24bおよび24cを介して、2つのヒンジ部24dおよび24eに伝播されることによって、2つのヒンジ部24dおよび24eと接続されたミラー部21を揺動させることができる。なお、2つのヒンジ部24dおよび24eの断面の中央部は、ミラー部21が揺動する際の揺動軸90となる。
【0047】
また、図2に示すように、ベース部材26は、メタル部材24の下側(Z2側)に設けられている。ベース部材26は、XY平面に延びるように板状に形成されている。メタル部材24は、固定部24f、固定部24gおよび固定部24hの3か所の固定位置において、Z方向に延びるメタル支持部材28を介して、ベース部材26に対して固定されている。メタル支持部材28は、ベース部材26と一体的に設けられてもよいし、ベース部材26と別体として設けられてもよい。固定部24fおよび固定部24gは、それぞれ、梁部24bおよび梁部24cのY2側に設けられている。固定部24fおよび固定部24gは、それぞれ、X方向において、梁部24bおよび梁部24cよりも大きい長さを有する。固定部24fをベース部材26に固定するためのメタル支持部材28a、および、固定部24gをベース部材26に固定するためのメタル支持部材28bは、それぞれ、Z方向から見て、固定部24fおよび固定部24gの略中央に配置されている。メタル支持部材28aおよびメタル支持部材28bは、それぞれ、Z方向から見て、固定部24fおよび固定部24gと略等しい大きさを有する。固定部24hは、駆動部支持部24aのY1側に設けられている。固定部24hをベース部材26に固定するためのメタル支持部材28cは、Y方向において、固定部24hと略等しい大きさを有する、かつ、X方向において、固定部24hよりも小さい大きさを有する。メタル支持部材28cは、Z方向から見て、X方向において、固定部24hの略中央に配置されている。固定部(24f、24gおよび24h)と、メタル支持部材28(28a、28bおよび28c)とは、たとえば、ビス、ボルト、ネジ、接着剤、溶接等の固定方法によって固定される。
【0048】
遮光部27は、ミラー基板21aの光を反射する面21cが延びる面方向に沿って、ミラー部21から光センサ25側(Y1側)に突出するように構成されている。具体的には、遮光部27は、ミラー基板支持部21bの光センサ25側におけるX方向の中央位置からY1側に突出するように設けられている。なお、遮光部27は、ミラー基板支持部21bに一体的に形成されている。
【0049】
図3に示すように、光センサ25は、Z方向から見て、Y2側に開口する略U字状に形成されている。図3には図示しないが、発光部25aおよび受光部25bは、それぞれ、略U字状に形成された光センサ25の内側のX2側の面25cおよびX1側の面25dに設けられている。発光部25aは、たとえば、発光ダイオード(LED)である。また、受光部25bは、たとえば、フォトトランジスタである。
【0050】
図4図6に示すように、遮光部27は、ミラー部21の揺動とともに揺動するようにミラー部21に設けられ、ミラー部21の揺動に伴って、発光部25aから出射された光を周期的に遮蔽するように構成されている。具体的には、ミラー制御部23は、遮光部27が、受光部25bを跨ぐようにミラー部21を揺動させる制御を行うように構成されている。そして、ミラー部21が揺動軸90周りに揺動することによって、ミラー部21に設けられた遮光部27が、受光部25bを覆う状態(図4の状態)や、ミラー部21に設けられた遮光部27が、受光部25bを覆わない状態(図5および図6の状態)となる。なお、図4図6に示す例では、遮光部27は、一方揺動角側Aの揺動端θe1から、他方揺動角側Aの揺動端θe2の間を揺動する。すなわち、揺動角度θは、一方揺動角側Aの揺動端θe1から、他方揺動角側Aの揺動端θe2の間の角度である。
【0051】
第1実施形態では、受光部25bは、遮光部27の揺動範囲の中央位置θの位置に設けられる。具体的には、図4に示すように、受光部25bは、交流電圧を印加しない場合において、遮光部27の揺動角度が0度となる位置と重なる位置に配置される。なお、受光部25bは、交流電圧を印加しない場合において、遮光部27の揺動角度が0度となる位置とは、遮光部27が中央位置θの位置に設けられる場合の位置である。
【0052】
図7に示すように、光スキャナユニット20には、受光部25bを覆うようにスリット部材25eが設けられている。スリット部材25eには、スリット(開口)25fが形成されている。したがって、スリット部材25eのスリット25fを通過した光は、受光部25bにおいて受光される。なお、光センサ25は、光センサ25の下側(Z2側)に設けられたベース部材26(図2参照)に対して固定されている。
【0053】
図8に示すように、ミラー駆動部22は、圧電体22aと、上部電極22bと、下部電極22cと、を含む。圧電体22aは、誘電体(強誘電体)であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって構成されている。上部電極22bおよび下部電極22cは、それぞれ、圧電体22aの上側(Z1側)および下側(Z2側)に設けられている。上部電極22bおよび下部電極22cは、各々、圧電体22aに対して、導電性の接着剤により機械的および電気的に接続されている。圧電体22aは、厚み方向(Z方向)に分極されており、電圧が印加されると、極性に応じて上側(Z1側)または下側(Z2側)がX方向に伸縮変形を起こす。これにより、ミラー駆動部22に交流電圧が印加されると、圧電体22aが交流電圧の周波数に対応する振動数で振動する。そして、ミラー駆動部22で生じた振動が、メタル部材24を介して、ミラー部21に伝播されることにより、ミラー部21が所定の揺動軸90周りに揺動する。
【0054】
また、図9に示すように、第1実施形態では、遮光部27は、ミラー基板21aの光を反射する面21cが延びる方向と直交する方向において、ミラー部21の厚みW1よりも小さい厚みW2を有する。具体的には、X方向から見て、ミラー部21の厚みW1は、ミラー基板21aの厚みW3と、ミラー基板支持部21bの厚みW2との合計である。一方、遮光部27の厚みW2は、ミラー基板支持部21bの厚みW2と等しい。したがって、遮光部27の厚みW2は、ミラー基板21aの厚みW3分だけ、ミラー部21の厚みW1よりも小さい。
【0055】
(揺動信号、駆動信号、ゼロクロス信号、および、検知信号)
次に、図10を参照して、ミラー部21が揺動する際の揺動信号40と、ミラー駆動部22に印加される交流電圧信号41と、ゼロクロス信号42と、光センサ25によって検知される検知信号43とについて説明する。
【0056】
ミラー制御部23は、(図1参照)は、揺動角度θの範囲の一方揺動角側Aと他方揺動角側Aとの間で、遮光部27が受光部25bを跨ぐように、ミラー部21を揺動させる。具体的には、図10のグラフG1に示すように、ミラー部21(遮光部27)の揺動角度および時間を、それぞれ、縦軸および横軸とした場合、ミラー部21(遮光部27)を揺動させた状態を、正弦波形形状を有する揺動信号40によって表すことができる。
【0057】
なお、グラフG1において、第1受光区間Se1は、一方揺動角側Aにおいて、遮光部27が受光部25bを遮らないように揺動する区間である。また、第2受光区間Se2は、他方揺動角側Aにおいて、遮光部27が受光部25bを遮らないように揺動する区間である。また、遮光区間Se3は、遮光部27が受光部25bを遮るように揺動する区間である。
【0058】
また、ミラー駆動部22には、交流電圧が印加される。すなわち、図10のグラフG2に示すように、交流電圧信号41は、正弦波形形状を有する信号によって表すことができる。なお、グラフG2は、縦軸が電圧の強度であり、横軸が時間である。
【0059】
なお、ミラー駆動部22は、共振現象によってミラー部21を揺動させる。したがって、交流電圧信号41と揺動信号40とは、半周期(90度)ずれる。
【0060】
また、図10に示すグラフG3は、ゼロクロス信号42を示すグラフである。グラフG3は、縦軸が信号強度であり、横軸が時間である。ゼロクロス信号42とは、ゼロクロスのタイミングで1となり、ゼロクロス以外のタイミングでは0となる二値化信号である。第1実施形態では、交流電圧信号41がマイナスからゼロになった点を、ゼロクロスとする。したがって、ミラー制御部23は、交流電圧信号41がマイナスからゼロになったタイミングで、ゼロクロス信号42の値を1とし、それ以外ではゼロクロス信号42の値を0とする。なお、第1実施形態では、ゼロクロスとなるタイミングでは、ミラー部21(遮光部27)は、他方揺動角側Aの揺動端θe2に位置しているものとする。また、交流電圧信号41がプラスからゼロになるタイミングでは、ミラー部21(遮光部27)は、一方揺動角側Aの揺動端θe1に位置しているものとする。
【0061】
図10に示すグラフG4は、検知信号43のグラフである。具体的には、グラフG4は、ミラー制御部23(図1参照)は、光センサ25(図1参照)から送られた受光部25bの検出結果に基づく検知信号43を、予め設定された閾値に基づいて、2値化処理する。2値化処理された検知信号43(2値化信号)は、第1受光区間Se1、および、第2受光区間Se2が、HIGHの状態を表し、遮光区間Se3が、LOWの状態を示すパルス状の信号となる。第1実施形態では、グラフG4に示すように、1周期Tの間に、HIGHの状態のパルスが2つ出る状態となる。
【0062】
また、グラフG4において、第1受光時間tは、遮光部27が第1受光区間Se1を揺動する時間長さである。第1実施形態では、第1受光時間tは、ゼロクロス検出タイミングを含まないパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの時間長さである。言い換えると、第1受光時間tは、ミラー部21が第1受光区間Se1に入ってから、第1受光区間Se1から出るまでの時間長さである。また、第2受光時間tは、遮光部27が第2受光区間Se2を揺動する時間長さである。第1実施形態では、第2受光時間tは、ゼロクロス検出タイミングを含むパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの時間長さである。言い換えると、ミラー部21が第2受光区間Se2に入ってから、第2受光区間Se2から出るまでの時間長さである。
【0063】
また、第1遮光時間t3aは、他方揺動角側A側への揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する時間長さである。第1実施形態では、第1遮光時間t3aは、ゼロクロス検出タイミングを含むパルスの立ち下がりから、次のパルスの立ち上がりまでの時間長さである。また、第2遮光時間t3bは、一方揺動角側Aへの揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する時間長さである。第1実施形態では、第2遮光時間t3bは、ゼロクロス検出タイミングを含まないパルスの立ち下がりから、次のパルスの立ち上がりまでの時間長さである。
【0064】
(ミラー部の揺動制御)
第1実施形態では、ミラー制御部23は、受光部25bの受光状態と、交流電圧のゼロクロスのタイミングとに基づいてミラー部21の揺動の状態を取得し、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。具体的には、ミラー制御部23は、事前処理、ミラー部21の揺動状態の判定、および、交流電圧の調整を行うことにより、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。なお、第1実施形態では、ミラー制御部23は、ゼロクロスの検出をトリガーとして、1周期Tごとにミラー部21の揺動の制御を行う。
【0065】
(事前処理)
まず、ミラー制御部23は、事前処理として、ミラー部21の揺動角度が所定の揺動角度θとなるようにミラー部21を揺動させる。ミラー制御部23は、予めミラー部21を所定の揺動角度θで揺動させ、ミラー制御部23は、第1受光時間tに基づいて、第1受光区間Se1と遮光区間Se3とが切り替わるタイミングにおける遮光部27の揺動角度である第1角度θを取得する。また、ミラー制御部23は、第2受光時間tに基づいて、第2受光区間Se2と遮光区間Se3とが切り替わるタイミングにおける遮光部27の揺動角度である第2角度θを取得する。具体的には、ミラー制御部23は、以下に示す式(1)および式(2)に基づいて、第1角度θおよび第2角度θを取得する。なお、所定の揺動角度θは、実測された遮光部27の揺動角度であり、定数である。
【数1】
【0066】
ミラー制御部23は、取得した第1角度θおよび第2角度θを、記憶部30に記憶しておく。なお、事前処理は、プロジェクタ100の製造時に実行される。
【0067】
(ミラー部の揺動状態を判定)
第1実施形態では、ミラー制御部23は、第1受光区間Se1と、第2受光区間Se2と、ゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部21の揺動が正常であるか否かを検知するように構成されている。具体的には、ミラー制御部23は、ゼロクロスのタイミングが、第2受光区間Se2に含まれる場合には、ミラー部21の揺動が正常であると判定し、ゼロクロスのタイミングが、第1受光区間Se1に含まれる場合には、ミラー部21の揺動が異常であると判定するように構成されている。
【0068】
(ミラー部の揺動制御)
第1実施形態では、ミラー制御部23は、ミラー部21の揺動が正常の場合には、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。具体的には、ミラー制御部23は、第1受光区間Se1と、第2受光区間Se2と、ゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部21の揺動の状態を取得し、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。
【0069】
ミラー制御部23は、第1受光時間tと、第2受光時間tとを取得し、取得した第1受光時間tと、第2受光時間tと、所定の目標揺動角度θとに基づいて、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。
【0070】
なお、第1実施形態では、ミラー制御部23は、ゼロクロスの検出タイミングと、遮光区間Se3から第1受光区間Se1に切り替わるタイミングと、第1受光区間Se1から遮光区間Se3に切り替わるタイミングとに基づいて、第1受光時間tを取得するように構成されている。すなわち、ゼロクロスが検出されない場合におけるHIGHの状態のパルス検出時間が、第1受光時間tである。また、ミラー制御部23は、ゼロクロスの検出タイミングと、遮光区間Se3から第2受光区間Se2に切り替わるタイミングと、第2受光区間Se2から遮光区間Se3に切り替わるタイミングとに基づいて、第2受光時間tを取得するように構成されている。すなわち、ゼロクロスが検出された場合におけるHIGHの状態のパルス検出時間が、第2受光時間tである。
【0071】
ミラー制御部23は、予め取得した第1角度θと、第2角度θと、第1受光時間tと、第2受光時間tとにより、ミラー部21の揺動角度θを取得するように構成されている。具体的には、ミラー制御部23は、以下に示す式(3)に基づいて、ミラー部21の揺動角度θを取得する。
【数2】
【0072】
また、記憶部30には、予め設定された所定の目標揺動角度θが記憶されている。
【0073】
第1実施形態では、ミラー制御部23は、取得したミラー部21の揺動角度θと、所定の目標揺動角度θとを比較することにより、ミラー部21の揺動角度を制御するように構成されている。すなわち、ミラー制御部23は、2値化処理された検知信号43(2値化信号)に基づいて、ミラー部21の揺動角度θを算出し、目標揺動角度θとなるように制御するPID制御を行うように構成されている。また、第1実施形態では、ミラー制御部23は、第1受光時間tと、第2受光時間tと、所定の目標揺動角度θとに基づいて、ミラー部21の揺動を1周期Tごとに制御するように構成されている。
【0074】
また、ミラー制御部23は、以下に示す式(4)により、ミラー部21の揺動角度中心のずれ量θを取得することが可能である。
【数3】
【0075】
次に、図11を参照して、ミラー制御部23が行う事前処理について説明する。
【0076】
ステップS1において、ミラー制御部23は、遮光部27の揺動角度θを取得する。なお、ステップS1における処理は、遮光部27の角度を検知可能なセンサなどを用いて、実際の揺動角度θを取得する。
【0077】
ステップS2において、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、第1受光時間tを取得する。
【0078】
ステップS3において、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、第2受光時間tを取得する。
【0079】
ステップS4において、ミラー制御部23は、上記式(1)に基づいて、第1角度θを取得する。
【0080】
ステップS5において、ミラー制御部23は、上記式(2)に基づいて、第2角度θを取得する。
【0081】
ステップS6において、ミラー制御部23は、取得した第1角度θおよび第2角度θを、記憶部30に記憶する。その後、処理は、終了する。
【0082】
次に、図12図14を参照して、ミラー制御部23がミラー部21の揺動状態を判定する処理について説明する。なお、ミラー制御部23がミラー部21の揺動状態を判定する処理は、予め、上記ステップS1~S6における事前処理を行い、第1角度θおよび第2角度θが、記憶部30に記憶されていることを前提として実行される。また、ミラー制御部23がミラー部21の揺動状態を判定する処理は、ゼロクロス判定処理、LOWエッジ検出処理、およいb、HIGHエッジ検出処理を行うことにより実行される。
【0083】
まず、図12を参照して、ミラー制御部23によるゼロクロス判定処理について説明する。
【0084】
ステップS7において、ミラー制御部23は、交流電圧二値化信号44に基づいて、ゼロクロスを検知した否かを判定する。ゼロクロスを検知した場合、処理は、ステップS8へ進む。ゼロクロスを検知しなかった場合、ステップS7の処理を繰り返す。
【0085】
ステップS8において、ミラー制御部23は、ゼロクロス検出フラグをONにする。その後、処理は、終了する。
【0086】
次に、図13を参照して、ミラー制御部23によるLOWエッジ検出処理について説明する。
【0087】
ステップS9において、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、LOWエッジを検出したか否かを判定する。LOWエッジを検出した場合、処理は、ステップS10へ進む。LOWエッジを検出しなかった場合、ステップS9の処理を繰り返す。
【0088】
ステップS10において、ミラー制御部23は、検出番号が1であるか否か、および、ゼロクロス検出フラグがOFFであるか否かを判定する。検出信号が1で、かつ、ゼロクロス検出フラグがOFFの場合、処理は、ステップS11へ進む。それ以外の場合、処理は、ステップS12へ進む。なお、検出番号とは、ミラー部21の揺動状態を判定するために用いる数字であり、初期値は1である。
【0089】
ステップS11において、ミラー制御部23は、第1受光時間tを取得する。なお、ステップS7において取得する第1受光時間tは、揺動制御時において、遮光部27が揺動している際に、第1受光区間Se1を実際に揺動する時間長さである。また、ミラー制御部23は、検出番号を2に更新する。その後、処理は、終了する。
【0090】
LOWエッジ検出処理がステップS10からステップS12へ進んだ場合、ステップS12において、ミラー制御部23は、検出番号が3であるか否かを判定する。検出番号が3の場合、処理は、ステップS13へ進む。検出番号が3以外の場合、処理は、ステップS14へ進む。
【0091】
ステップS13において、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、第2受光時間tを取得する。なお、ステップS11において取得する第2受光時間tは、揺動制御時において、遮光部27が揺動している際に、第2受光区間Se2を実際に揺動する時間長さである。また、ミラー制御部23は、検出番号を4に更新する。その後、処理は、終了する。
【0092】
ステップS12からステップS14へ処理が進んだ場合、ステップS14において、ミラー制御部23は、ゼロクロス検出フラグをOFFにする。また、ミラー制御部23は、検出番号を1に更新する。その後、処理は、ステップS15へ進む。
【0093】
ステップS15において、ミラー制御部23は、ミラー部21の揺動状態が異常であると判定する。なお、ミラー部21の揺動状態が異常の場合、ミラー制御部23は、たとえば、ミラー部21の揺動状態のステータスを異常として、記憶部30に記憶する。その後、処理は、終了する。
【0094】
次に、図14を参照して、ミラー制御部23によるHIGHエッジ検出処理について説明する。
【0095】
ステップS16において、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、HIGHエッジを検出したか否かを判定する。HIGHエッジを検出した場合、処理は、ステップS17へ進む。HIGHエッジを検出しなかった場合、ステップS16の処理を繰り返す。
【0096】
ステップS17において、ミラー制御部23は、検出番号が2であるか否かを判定する。検出番号が2の場合、処理は、ステップS18へ進む。それ以外の場合、処理は、ステップS19へ進む。
【0097】
ステップS18にいて、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、第1遮光時間t3aを取得する。なお、ステップS8において取得する第1遮光時間t3aは、揺動制御時において、遮光部27が揺動している際に、他方揺動角側Aへの揺動によって、遮光区間Se3を実際に通過する時間長さである。
【0098】
ステップS17からステップS19へ処理が進んだ場合、ステップS19において、ミラー制御部23は、検出番号が4であるか否かを判定する。検出番号が4の倍、処理は、ステップS20へ進む。それ以外の場合、処理は、ステップS21へ進む。
【0099】
ステップS20において、ミラー制御部23は、検知信号43に基づいて、第2遮光時間t3bを取得する。なお、ステップS12において取得する第2遮光時間t3bは、揺動制御時において、遮光部27が揺動している際に、一方揺動角側Aへの揺動によって、遮光区間Se3を実際に通過する時間長さである。また、ミラー制御部23は、ゼロクロス検出フラグをOFFにする。また、ミラー制御部23は、検出番号を1に更新する。
【0100】
ステップS22において、ミラー制御部23は、取得した第1遮光時間t3aおよび第2遮光時間t3bに基づいて、遮光時間tを取得する。具体的には、ミラー制御部23は、以下に示す式(5)に基づいて、遮光時間tを取得する。
【数4】
【0101】
ステップS23において、ミラー制御部23は、受光時間および遮光時間が妥当であるか否かを判定する。具体的には、ミラー制御部23は、以下に示す式(6)によって取得した判定時間tが、以下に示す式(7)の条件を満たしているか否かを判定する。すなわち、ミラー制御部23は、判定時間tが、予め設定された許容範囲内にあるか否かに基づいて、受光時間および遮光時間が妥当であるか否かを判定する。第1実施形態では、許容範囲は、たとえば設定周期(揺動信号40の周期Tの半周期)に対して±1%の範囲である。許容範囲は、これ以外の範囲でもよい。判定時間tが式(7)の条件を満たしている場合、処理は、ステップS15へ進む。判定時間tが式(7)の条件を満たしていない場合、処理は、ステップS24へ進む。
【数5】
【0102】
ステップS24において、ミラー制御部23は、ミラー部21の揺動状態が正常であると判定する。なお、ミラー部21の揺動状態が正常の場合、ミラー制御部23は、たとえば、ミラー部21の揺動状態のステータスを正常として、記憶部30に記憶する。その後、処理は、終了する。
【0103】
また、ステップS19からステップS21へ処理が進んだ場合、ステップS21において、ミラー制御部23は、ゼロクロス検出フラグをOFFにする。また、ミラー制御部23は、検出番号を1に更新する。その後、処理は、ステップS15に進み、ミラー部21の揺動状態が異常であると判定される。その後、処理は、終了する。
【0104】
第1実施形態では、ミラー制御部23は、ゼロクロス判定処理、LOWエッジ検出処理、および、HIGHエッジ検出処理を組み合わせて行うことにより、ミラー部21の揺動状態を判定する
【0105】
次に、図15を参照して、ミラー制御部23が交流電圧を調整する処理について説明する。
【0106】
ステップS25において、ミラー制御部23は、ミラー部21の揺動状態が正常であるか否かを取得する。具体的には、ミラー制御部23は、記憶部30に記憶されているミラー部21の揺動状態のステータスを取得し、ミラー部21の揺動状態が正常であるか否かを判定する。ミラー部21の揺動状態が正常の場合、処理は、ステップS26へ進む。ミラー部21の揺動状態が異常の場合、処理は、ステップS27へ進む。
【0107】
ステップS26において、ミラー制御部23は、ミラー部21の揺動角度θを取得する。その後、ステップS28において、ミラー制御部23は、取得した揺動角度θが目標揺動角度θとなるように交流電圧を制御する。具体的には、ミラー制御部23は、揺動角度θをフィードバックし、揺動角度θが目標揺動角度θとなるように制御するPID制御によって、交流電圧を制御する。その後、処理は、終了する。
【0108】
ステップS25においてミラー部21の揺動が異常であると判定された場合には、処理は、ステップS27へ進む。ステップS27において、ミラー制御部23は、交流電圧の制御を行わない。具体的には、ミラー制御部23は、交流電圧を変更せずに、前回の制御時に設定した交流電圧を維持する。その後、処理は、終了する。
【0109】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0110】
第1実施形態では、上記のように、光スキャナユニット20は、光を反射する反射部分を含むミラー部21と、交流電圧が印加されることにより、所定の揺動軸周りにミラー部21を揺動させるミラー駆動部22と、単一の発光部25aと、発光部25aから出射された光を受光する単一の受光部25bと、を含む単一の光センサ25と、ミラー部21の揺動とともに揺動するようにミラー部21に設けられ、揺動に伴って発光部25aから出射された光を周期的に遮蔽する遮光部27と、交流電圧と、光センサ25の検出信号とに基づいて、ミラー部21の揺動を制御するミラー制御部23と、を備え、ミラー制御部23は、受光部25bの受光状態と、交流電圧のゼロクロスのタイミングとに基づいてミラー部21の揺動の状態を取得し、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。これにより、受光部25bの受光状態と交流電圧のゼロクロスのタイミングとによって、ミラー部21の揺動方向を検知することができる。したがって、単一の発光部25aと単一の受光部25bとを含む単一の光センサ25によってミラー部21の揺動の状態を検知する場合でも、ミラー部21の揺動方向を検知することが可能であるので、ミラー部21の揺動を制御することができる。その結果、部品点数および装置構成が複雑化することを抑制することが可能な光スキャナユニット20を提供することができる。
【0111】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラー制御部23は、遮光部27が第1受光区間Se1内を揺動する時間長さである第1受光時間tと、遮光部27が第2受光区間Se2内を揺動する時間長さである第2受光時間tとを取得し、取得した第1受光時間tと、第2受光時間tと、所定の目標揺動角度θとに基づいて、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。これにより、第1受光時間tと第2受光時間tとによってミラー部21の揺動角度θを取得することができる。その結果、取得したミラー部21の揺動角度θと目標揺動角度θとを比較することにより、容易にミラー部21の揺動をフィードバック制御することができる。
【0112】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラー制御部23は、遮光部27が受光部25bを遮るように揺動する区間である遮光区間Se3から第1受光区間Se1に切り替わるタイミングと、第1受光区間Se1から遮光区間Se3に切り替わるタイミングとに基づいて、第1受光時間tを取得するとともに、遮光区間Se3から第2受光区間Se2に切り替わるタイミングと、第2受光区間Se2から遮光区間Se3に切り替わるタイミングとに基づいて、第2受光時間tを取得するように構成されている。これにより、遮光区間Se3から第1受光区間Se1に切り替わるタイミングと、第1受光区間Se1から遮光区間Se3に切り替わるタイミングとを取得することにより、容易に第1受光時間tを取得することがきる。また、遮光区間Se3から第2受光区間Se2に切り替わるタイミングと、第2受光区間Se2から遮光区間Se3に切り替わるタイミングとを取得することにより、容易に第2受光時間tを取得することができる。
【0113】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラー制御部23は、第1受光時間tに基づいて、第1受光区間Se1と遮光区間Se3とが切り替わるタイミングにおける遮光部27の揺動角度θである第1角度θを取得し、第2受光時間tに基づいて、第2受光区間Se2と遮光区間Se3とが切り替わるタイミングにおける遮光部27の揺動角度θである第2角度θを取得し、取得した第1角度θと、第2角度θと、第1受光時間tと、第2受光時間tとにより、ミラー部21の揺動角度θを取得するとともに、取得したミラー部21の揺動角度θ、所定の目標揺動角度θとを比較することにより、ミラー部21の揺動角度θを制御するように構成されている。これにより、実際のミラー部21の揺動角度θの値をフィードバックし、ミラー部21の揺動角度θが目標揺動角度θとなるように制御するPID制御などを行うことによって、交流電圧を制御することが可能となりミラー部21の揺動角度θを、容易に目標揺動角度θとすることができる。
【0114】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラー制御部23は、第1受光区間Se1と、第2受光区間Se2と、ゼロクロスのタイミングとに基づいて、ミラー部21の揺動が正常であるか否かを検知するように構成されている。これにより、ミラー部21の揺動が正常でない場合には、たとえば、交流電圧の値を変更せず、前回の電圧値を維持するように処理するなど、異常なパラメータによってミラー部21の揺動を制御することを回避することができる。また、ミラー部21の揺動が正常な場合には、取得したパラメータによってミラー部21の揺動を制御することにより、ミラー部21を目標揺動角度θによって揺動させることができる。
【0115】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラー制御部23は、ゼロクロスのタイミングが、第2受光区間Se2に含まれる場合には、ミラー部21の揺動が正常であると判定し、ゼロクロスのタイミングが、第1受光区間Se1に含まれる場合には、ミラー部21の揺動が異常であると判定するように構成されている。これにより、ゼロクロスのタイミングと、その際の受光区間とを取得することにより、容易にミラー部21の揺動の状態を判定することができる。
【0116】
また、第1実施形態では、上記のように、ミラー制御部23は、第1受光時間tと、第2受光時間tと、所定の目標揺動角度θとに基づいて、ミラー部21の揺動を1周期Tごとに制御するように構成されている。これにより、1周期Tごとにミラー部21の揺動を制御することが可能となるので、たとえば、数周期ごとにミラー部21の揺動を制御する構成と比較して、ミラー部21の揺動をより精度よく制御することができる。
【0117】
また、第1実施形態では、上記のように、受光部25bは、交流電圧を印加しない場合において、遮光部27の揺動角度θが0度となる位置と重なる位置に配置される。これにより、遮光部27の揺動範囲の中心となる位置に受光部25bを配置することができる。その結果、受光部25bが遮光部27の揺動角度θの中心となる位置に配置されているので、第1受光時間tと第2受光時間tとを比較することにより、遮光部27の揺動角度θの中心位置のずれを容易に取得することができる。
【0118】
また、第1実施形態では、上記のように、光センサ25を、ミラー部21と、ミラー駆動部22との間に配置する。これにより、ミラー部21の揺動を安定化させるために、ミラー部21およびミラー駆動部22を、ベース部材26に対して、角部(固定部24fおよび固定部24g)や外周部(固定部24h)で固定した場合、光センサ25が、ミラー部21のミラー駆動部22とは反対側(Y2側)、または、ミラー駆動部22のミラー部21とは反対側(Y1側)、等に配置される場合と比較して、光センサ25を、ミラー部21およびミラー駆動部22が固定される位置(角部や外周部)から離れた位置に配置することができる。その結果、光センサ25にミラー駆動部22による振動が伝播することに起因して光センサ25が振動するのを抑制することができるので、光センサ25の受光部25bに入射する光に基づくミラー部21の揺動角度θの検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0119】
また、第1実施形態では、上記のように、遮光部27を、ミラー基板21aの面21cが延びる面方向に沿って、ミラー部21から光センサ25側に突出するように構成する。そして、遮光部27を、上記面21cが延びる方向(Y方向)と直交する方向(Z方向)において、ミラー部21の厚みW1よりも小さい厚みW2を有するように構成する。これにより、遮光部27の厚みW2がミラー部21の厚みW1よりも小さいので、遮光部27の質量が大きくなるのを抑制することができる。したがって、ミラー部21から光センサ25側に突出する遮光部27の質量が大きくなることに起因して、ミラー部21および遮光部27を含む揺動部分の質量が大きくなることを抑制することができる。その結果、上記揺動部分の質量が大きくなることに伴って、上記揺動部分の共振周波数の低下、上記揺動部分の重心位置のずれ、等が生じることを抑制することができる。
【0120】
[第2実施形態]
図16を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、ミラー制御部23がミラー部21の揺動角度θを取得し、目標揺動角度θと比較することにより、交流電圧を制御する上記第1実施形態とは異なり、遮光時間tが目標遮光時間tとなるように交流電圧を制御するように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0121】
図16に示すように、第2実施形態によるプロジェクタ200は、光スキャナユニット20の代わりに光スキャナユニット220を備える点で、上記第1実施形態におけるプロジェクタ100とは異なる。なお、プロジェクタ200は、特許請求の範囲の「光学機器」の一例である。
【0122】
光スキャナユニット220は、ミラー制御部23の代わりに、ミラー制御部230を備える点で、上記第1実施形態における光スキャナユニット20とは異なる。
【0123】
第2実施形態では、ミラー制御部230は、他方揺動角側Aへの揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する時間長さである第1遮光時間t3aと、一方揺動角側Aへの揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する時間長さである第2遮光時間t3bとを取得するように構成されている。また、ミラー制御部230は、取得した第1遮光時間t3aと、第2遮光時間t3bとに基づいて、遮光部27が受光部25bを遮光している時間長さである遮光時間tを取得するように構成されている。ミラー制御部230は、上記第1実施形態によるミラー制御部23と同様に、上記式(5)に基づいて、遮光時間tを取得する。
【0124】
ミラー制御部230は、取得した遮光時間t3と、目標遮光時間tとを比較することにより、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。なお、目標遮光時間tは、所定の目標揺動角度θによってミラー部21を揺動させた際に、遮光部27が受光部25bを遮光する時間長さである。また、目標遮光時間tは、予めミラー制御部230によって取得され、記憶部30に記憶されている。ミラー制御部230は、以下に示す式(8)に基づいて、目標遮光時間tを取得するように構成されている。
【数6】
【0125】
次に、図17を参照して、第2実施形態によるミラー制御部230が行う事前処理について説明する。なお、上記第1実施形態によるミラー制御部23と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0126】
ステップS1~S5において、ミラー制御部230は、遮光部27の揺動角度θ、第1受光時間t、第2受光時間t、第1角度θ、および、第2角度θを取得する。
【0127】
ステップS30において、ミラー制御部230は、目標遮光時間tを取得する。具体的には、ミラー制御部230は、上記式(8)に基づいて、目標遮光時間tを取得する。
【0128】
ステップS31において、ミラー制御部230は、取得した目標遮光時間tを記憶部30に記憶する。その後、処理は、終了する。
【0129】
次に、図18を参照して、ミラー制御部230が交流電圧を制御する処理について説明する。なお、上記第1実施形態によるミラー制御部23の処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、ミラー制御部230が交流電圧を制御する処理は、上記第1実施形態によるミラー制御部23と同様に、ミラー部21の揺動状態の判定が行われた後に実行される。
【0130】
ステップS25において、ミラー制御部230は、ミラー部21の揺動状態が正常であるか否かを取得する。ミラー部21の揺動状態が正常の場合、処理は、ステップS32へ進む。ミラー部21の揺動状態が異常の場合、処理は、ステップS27へ進み、その後、処理は、終了する。
【0131】
ステップS32において、ミラー制御部230は、遮光時間tと、目標遮光時間tとに基づいて、交流電圧を制御する。具体的には、ミラー制御部230は、遮光時間tをフィードバックし、遮光時間tが目標遮光時間tとなるように制御するPID制御によって、交流電圧を制御する。その後、処理は、終了する。
【0132】
なお、第2実施形態によるプロジェクタ200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0133】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、ミラー制御部230は、他方揺動角側Aへの揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する時間長さである第1遮光時間t3aと、一方揺動角側Aへの揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する時間長さである第2遮光時間t3bとを取得するとともに、取得した第1遮光時間t3aと、第2遮光時間t3bとに基づいて、遮光部27が受光部25bを遮光している時間長さである遮光時間tを取得し、取得した遮光時間tと所定の目標揺動角度θによってミラー部21を揺動させた際に、遮光部27が受光部25bを遮光する時間長さである目標遮光時間tとを比較することにより、ミラー部21の揺動を制御するように構成されている。これにより、ミラー部21の揺動周期が一定であれば、遮光時間tを取得することにより、ミラー部21の揺動を制御することができる。その結果、ミラー部21の揺動角度θを取得し、目標揺動角度θと比較する構成と比べて、ミラー部21の揺動を制御する際のミラー制御部230の処理負荷を低減することができる。
【0134】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0135】
[第3実施形態]
図19および図20を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、ミラー部21の揺動を1周期Tごとに制御する上記第1実施形態とは異なり、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御するように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0136】
図19に示すように、第3実施形態によるプロジェクタ300は、光スキャナユニット20の代わりに、光スキャナユニット320を備えている点で、上記第1実施形態によるプロジェクタ100とは異なる。なお、プロジェクタ300は、特許請求の範囲の「光学機器」の一例である。
【0137】
光スキャナユニット320は、ミラー制御部23の代わりに、ミラー制御部231を備える点で、上記第1実施形態による光スキャナユニット20とは異なる。
【0138】
図20は、ミラー部21の揺動信号40を示すグラフG1と、交流電圧信号41を示すグラフG2と、交流電圧信号41を二値化した交流電圧二値化信号44のグラフG5と、検知信号43のグラフG4とを示している。なお、グラフG5は、縦軸が信号強度であり、横軸が時間のグラフである。
【0139】
交流電圧二値化信号44は、交流電圧信号41がプラスの場合にHIGHの状態となり、交流電圧信号41がマイナスの場合にLOWの状態となる二値化信号である。
【0140】
図20のグラフG1に示すように、第3角度θは、遮光区間Se3から第1受光区間Se1に切り替わる際のミラー部21の角度である。また、第4角度θは、第1受光区間Se1から遮光区間Se3に切り替わる際のミラー部21の角度である。また、第5角度θは、遮光区間Se3から第2受光区間Se2に切り替わる際のミラー部21の角度である。また、第6角度θは、第2受光区間Se2から遮光区間Se3に切り替わる際のミラー部21の角度である。
【0141】
また、第3受光時間t1aは、第1受光時間tのうち、交流電圧二値化信号44がHIGHの状態となっている時間長さである。また、第4受光時間t1bは、第1受光時間tのうち、交流電圧二値化信号44がLOWの状態となっている時間長さである。また、第5受光時間t2bは、第2受光時間tのうち、交流電圧二値化信号44がHIGHの状態となっている時間長さである。また、第6受光時間t2aは、第2受光時間tのうち、交流電圧二値化信号44がLOWの状態となっている時間長さである。
【0142】
ミラー制御部231は、以下に示す式(9)~式(12)に基づいて、事前処理として第3角度θ、第4角度θ、第5角度θ、および、第6角度θを予め取得しておく。
【数7】
【0143】
また、記憶部30には、操作者によって予め設定された所定の第1目標揺動角度θc1および所定の第2目標揺動角度θc2が記憶されている。なお、所定の第1目標揺動角度θc1および所定の第2目標揺動角度θc2は、特許請求の範囲の「所定の目標揺動角度」の一例である。
【0144】
第3実施形態では、ミラー制御部231は、第1受光時間tまたは第2受光時間tと、所定の目標揺動角度θとに基づいて、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている。具体的には、ミラー制御部231は、所定の第1目標揺動角度θc1と、遮光区間Se3から第1受光区間Se1に切り替わってから一方揺動角側Aの揺動端である第1揺動端θe1までの時間長さである第3受光時間t1aと、第2揺動端θe2から遮光区間Se3に切り替わるまでの時間長さである第6受光時間t2aとに基づいて、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている。なお、ミラー制御部231は、所定の第2目標揺動角度θc2と、第1揺動端θe1から遮光区間Se3に切り替わるまでの時間長さである第4受光時間t1bと、遮光区間Se3から第2受光区間Se2に切り替わってから他方揺動角側Aの揺動端である第2揺動端θe2までの時間長さである第5受光時間t2bとに基づいて、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御するように構成されていてもよい。
【0145】
第3実施形態では、ミラー制御部231は、以下の式(13)または式(14)に基づいて、遮光部27が一方揺動角側Aを揺動している際の第1揺動角度θ、または、遮光部27が他方揺動角側Aを揺動している際の第2揺動角度θを取得する。
【数8】
【0146】
また、ミラー制御部231は、以下に示す式(15)または式(16)に基づいて、一方揺動角側Aにおける揺動角度中心のずれ量θ、または、他方揺動角側Aにおける揺動角度中心のずれ量θを取得することができる。
【数9】
【0147】
次に、図21を参照して、ミラー制御部231が行う事前処理について説明する。なお、上記第1実施形態によるミラー制御部23と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0148】
ステップS1において、ミラー制御部231は、遮光部27の揺動角度θを取得する。
【0149】
ステップS40において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第3受光時間t1aを取得する。
【0150】
ステップS41において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第4受光時間t1bを取得する。
【0151】
ステップS42において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第5受光時間t2bを取得する。
【0152】
ステップS43において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第6受光時間t2aを取得する。
【0153】
ステップS44において、ミラー制御部231は、上記式(9)に基づいて、第3角度θを取得する。
【0154】
ステップS45において、ミラー制御部231は、上記式(10)に基づいて、第4角度θを取得する。
【0155】
ステップS46において、ミラー制御部231は、上記式(11)に基づいて、第5角度θを取得する。
【0156】
ステップS47において、ミラー制御部23は、上記式(12)に基づいて、第6角度θを取得する。
【0157】
ステップS48において、ミラー制御部231は、取得した第3角度θ、第4角度θ、第5角度θ、および、第6角度θを、記憶部30に記憶する。その後、処理は、終了する。
【0158】
次に、図22を参照して、第3実施形態によるミラー制御部231が、ミラー部21の揺動状態の判定処理について説明する。なお、図22に示す例は、ミラー部21が等しい方向に揺動している場合の半周期ごとの揺動状態を判定する。また、上記第1実施形態によるミラー制御部23と同様の処理を行うステップについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0159】
ステップS49において、第4受光時間t1b、第2遮光時間t3b、および、第5受光時間t2bを取得した際に、交流電圧二値化信号44がLOWであった否かを判定する。交流電圧二値化信号44がLOWだった場合、処理は、ステップS50へ進む。交流電圧二値化信号44がLOWでなかった場合(HIGHであった場合)、処理は、ステップS51へ進む。
【0160】
ステップS50において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第4受光時間t1bを取得する。なお、ステップS49において取得する第4受光時間t1bは、ミラー部21の揺動制御中において、遮光部27が揺動している際に、一方揺動角側Aの揺動端θe1から、遮光区間Se3に到達するまでの実際の時間長さである。次に、処理は、ステップS52へ進む。
【0161】
ステップS52において、ミラー制御部231は、交流電圧二値化信号44および検知信号43に基づいて、第2遮光時間t3bを取得する。なお、ステップS50において取得する第2遮光時間t3bは、ミラー部21の揺動制御中において、遮光部27が揺動している際に、他方揺動角側Aの揺動によって遮光区間Se3を通過する実際の時間長さである。
【0162】
ステップS53において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第5受光時間t2bを取得する。なお、ステップS50において取得する第5受光時間t2bは、ミラー部21の揺動制御中において、遮光部27が揺動している際に、遮光区間Se3から、他方揺動角側Aの揺動端θe2に到達するまでの実際の時間長さである。その後、処理は、ステップS56へ進む。
【0163】
ステップS49からステップS51へ処理が進んだ場合、ステップS51において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第6受光時間t2aを取得する。なお、ステップS52において取得する第6受光時間t2aは、ミラー部21の揺動制御中において、遮光部27が揺動している際に、他方揺動角側Aの揺動端θe2から、遮光区間Se3に到達するまでの実際の時間長さである。その後、処理は、ステップS54ヘ進む。
【0164】
ステップS54において、ミラー制御部231は、交流電圧二値化信号44および検知信号43に基づいて、第1遮光時間t3aを取得する。なお、ステップS54において取得する第1遮光時間t3aは、ミラー部21の揺動制御中において、遮光部が揺動している際に、一方揺動角側Aへの揺動によって遮光部27が遮光区間Se3を通過する実際の時間長さである。
【0165】
ステップS55において、ミラー制御部231は、検知信号43および交流電圧二値化信号44に基づいて、第3受光時間t1aを取得する。なお、ステップS53において取得する第3受光時間t1aは、ミラー部21の揺動制御中において、遮光部27が揺動している際に、遮光区間Se3から、一方揺動角側Aの揺動端θe1に到達するまでの実際の時間長さである。その後、処理は、ステップS56へ進む。
【0166】
ステップS56において、ミラー制御部231は、受光時間および遮光時間が妥当であるか否かを判定する。ステップS58における判定処理は、上記ステップS14における処理と同様に、下記の式(17)または式(18)に基づいて第2判定時間tを取得する。ミラー制御部231は、取得した第2判定時間tが、以下に示す式(19)の条件を満たしているか否かにより、受光時間および遮光時間が妥当であるか否かを判定する。受光時間および遮光時間が妥当である場合、処理は、ステップS24へ進み、その後、終了する。受光時間および遮光時間が妥当でない場合、処理は、ステップS15ヘ進み、その後、終了する。
【数10】
【0167】
次に、図23を参照して、第3実施形態によるミラー制御部231が、交流電圧を調整する処理について説明する。なお、上記第1実施形態によるミラー制御部23と同様の処理を行うステップについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0168】
ステップS25において、ミラー制御部231は、ミラー部21の揺動状態が正常であるか否かを判定する。ミラー部21の揺動状態が正常である場合、処理は、ステップS59へ進む。ミラー部21の揺動状態が異常である場合、処理は、ステップS27へ進み、その後、終了する。
【0169】
ステップS59において、ミラー制御部231は、上記式(13)または上記式(14)に基づいて、ミラー部21の半周期ごとの第1揺動角度θまたは第2揺動角度θを取得する。
【0170】
ステップS60において、ミラー制御部231は、第1揺動角度θが第1目標揺動角度θc1となるように交流電圧を制御するか、または、第2揺動角度θが、第2目標揺動角度θc2となるように交流電圧を制御する。その後、処理は、終了する。
【0171】
なお、第3実施形態によるプロジェクタ300のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0172】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、ミラー制御部231は、第1受光時間tまたは第2受光時間tと、所定の目標揺動角度θとに基づいて、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている。これにより、半周期ごとにミラー部21の揺動を制御することが可能となるので、たとえば、1周期Tごとにミラー部21の揺動を制御する構成と比較して、ミラー部21の揺動をより一層精度よく制御することができる。
【0173】
また、第3実施形態では、上記のように、ミラー制御部231は、所定の第1目標揺動角度θc1と、遮光区間Se3から第1受光区間Se1に切り替わってから一方揺動角側Aの揺動端である第1揺動端θe1までの時間長さである第3受光時間t1aと、第2揺動端θe2から遮光区間Se3に切り替わるまでの時間長さである第6受光時間t2aとに基づくか、または、所定の第2目標揺動角度θc2と、第1揺動端θe1から遮光区間Se3に切り替わるまでの時間長さである第4受光時間t1bと、遮光区間Se3から第2受光区間Se2に切り替わってから他方揺動角側Aの揺動端である第2揺動端θe2までの時間長さである第5受光時間t2bとに基づいて、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御するように構成されている。これにより、第3受光時間t1aと、第4受光時間t1bと、第5受光時間t2bと、第6受光時間t2aとを取得すことにより、容易にミラー部21の揺動を制御することができる。
【0174】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0175】
[第4実施形態]
図24図26を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、光センサ25を覆うように設けられるカバー部材50を備えるように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0176】
図24に示すように、第4実施形態によるプロジェクタ400は、光スキャナユニット20の代わりに光スキャナユニット420を備える点で、上記第1実施形態によるプロジェクタ100とは異なる。なお、プロジェクタ400は、特許請求の範囲の「光学機器」の一例である。
【0177】
第4実施形態では、光スキャナユニット420は、カバー部材50および光センサ425を備える点で、上記第1実施形態による光スキャナユニット20とは異なる。光センサ425は、フィルタ部材51を備える点で、上記第1実施形態による光センサ25とは異なる。
【0178】
図25に示すように、カバー部材50は、Z方向から見て、板状に形成されたメタル部材24のY1側の略半分を覆うとともに、Y2側の略半分を覆わないように、メタル部材24よりも上側(Z1側)に設けられている。これにより、カバー部材50は、光センサ25およびミラー駆動部22を上側(Z1側)から覆うとともに、ミラー部21を上側(Z2側)から覆わない状態となっている。すなわち、ミラー部21に入射する走査用のレーザ光がカバー部材50に遮蔽されないように、カバー部材50が設けられている。
【0179】
また、図26に示すように、光センサ425は、受光部25bに入射する光が通過するように受光部25bの近傍に設けられたフィルタ部材51を備えている、フィルタ部材51は、発光部25aにより出射された光に対応する波長域の光を通過させるように構成されている。
【0180】
なお、第4実施形態によるプロジェクタ400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0181】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記のように、光スキャナユニット420を、光センサ25を覆うように設けられるカバー部材50を備えるように構成する。これにより、カバー部材50に覆われた光センサ25には、光スキャナユニット420内において発生する迷光(不要な反射光)、光スキャナユニット420の外部から入射される光、等の外乱光が入射するのが抑制されるので、外乱光に起因して、受光部25bに入射する光に基づくミラー部21の揺動角度θの検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0182】
また、第4実施形態では、上記のように、受光部25bに入射する光が通過するように受光部25bの近傍に設けられ、発光部25aにより出射された光に対応する波長域の光を通過させる、フィルタ部材51を備えるように構成する。これにより、フィルタ部材51が近傍に設けられた受光部25bには、発光部25aにより出射された光に対応する波長域以外の光が入射するのが抑制されるので、光スキャナユニット420内において発生する迷光(不要な反射光)、光スキャナユニット420の外部から入射される光、等の外乱光に起因して、受光部25bに入射する光に基づくミラー部21の揺動角度θの検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0183】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0184】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0185】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、交流電圧信号41がマイナス側からゼロになる場合をゼロクロスとして設定、その際のミラー部21の位置を他方揺動角側Aの揺動端であるとする構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、交流電圧信号41がプラス側からゼロになる場合を、ゼロクロスとして設定し、その際のミラー部21の位置を一方揺動角側Aの揺動端であるとしてもよい。ゼロクロスと、ミラー部21の揺動方向とを予め設定しておけば、プラス側からゼロになる場合とマイナス側からゼロになる場合とのどちらをゼロクロスとしてもよい。
【0186】
また、上記第1、第2、および、第4実施形態では、ミラー制御部23(230)が、ミラー部21の揺動を1周期Tごとに制御し、第3実施形態では、ミラー制御部231が、ミラー部21の揺動を半周期ごとに制御する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ミラー制御部23(230、231)は、ミラー部21の揺動を、1周期Tごとによる制御と、半周期ごとによる制御とを組み合わせ行ってもよい。また、ミラー制御部23(230)は、数周期ごとにミラー部21の揺動を制御するように構成されていてもよい。
【0187】
また、上記第3実施形態では、ミラー制御部231が第1揺動角度θと所定の第1目標揺動角度θc1との比較、または、第2揺動角度θと所定の第2目標揺動角度θc2とに基づいて、交流電圧を制御する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ミラー制御部231は、以下に示す式(20)および式(21)に基づいて、第1目標遮光時間tb1または、第2目標遮光時間tb2を取得し、第1遮光時間t3aと第1目標遮光時間tb1との比較、または、第2遮光時間t3bと、第2目標遮光時間tb2との比較に基づいて、交流電圧を制御するように構成されていてもよい。
【数11】
【0188】
また、上記第1~第4実施形態では、光センサ25を、ミラー部21とミラー駆動部22との間に配置するように構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、光センサを、ミラー部とミラー駆動部との間以外に配置するように構成してもよい。
【0189】
また、上記第1~第4実施形態では、光センサ25(425)を、発光部25aから出射された光が、物体により遮られるのを受光部25bで検出することによって、物体の有無や位置を判定するセンサ(フォトインタラプタ)として構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、光センサを、発光部から出射された光が、物体に当たって反射してきた光を検出することによって、物体の有無や位置を判定するセンサ(フォトリフレクタ)として構成してもよい。
【0190】
また、上記第1~第4実施形態では、ミラー制御部23(230、231)を、PID制御によって、ミラー部21が目標揺動角度θとなるように制御するように構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、ミラー制御部23(230、231)を、PID制御以外のフィードバック制御によって、ミラー部21が目標揺動角度θとなるように制御するように構成してもよい。
【0191】
また、上記第1~第4実施形態では、ミラー部21を、ミラー基板21aと、メタル部材24の一部であるミラー基板支持部21bと、を含むように構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、ミラー部を、ミラー基板を含まないように構成してもよい。この場合、メタル部材の一部であるミラー基板支持部に対して光の反射率を向上させる表面処理を行うのが好ましい。
【0192】
また、上記第1~第4実施形態では、本発明の「光学機器」を、プロジェクタ100(200、300、400)に適用した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明の「光学機器」を、照明装置等のプロジェクタ以外の「光学機器」に適用してもよい。
【符号の説明】
【0193】
11 光源部
20、220、320、420 光スキャナユニット
21 ミラー部
22 ミラー駆動部(振動発生部)
23、230、231 ミラー制御部(制御部)
25 光センサ
25a 発光部
25b 受光部
27 遮光部
50 カバー部材
51 フィルタ部材
100、200、300、400 プロジェクタ(光学機器)
一方揺動角側
他方揺動角側
Se1 第1受光区間
Se2 第2受光区間
Se3 遮光区間
W1 ミラー部の厚み
W2 遮光部の厚み
第1受光時間
1a 第3受光時間
1b 第4受光時間
第2受光時間
2b 第5受光時間
2a 第6受光時間
遮光時間
3a 第1遮光時間
3b 第2遮光時間
目標遮光時間
θ 揺動角度
θ 目標揺動角度
θe1 第1揺動端
θe2 第2揺動端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26