(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230829BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230829BHJP
G08G 1/0965 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/16 C
G08G1/0965
(21)【出願番号】P 2019229745
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】那和 一成
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 俊幸
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-316772(JP,A)
【文献】特開2002-183889(JP,A)
【文献】特開2015-091058(JP,A)
【文献】特開2004-118608(JP,A)
【文献】特開2004-280645(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146808(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを有する第一のプロセッサを備える第一の装置と、
ハードウェアを有する第二のプロセッサを備える第二の装置と、
を備え、
前記第一のプロセッサは、
入力される音声データから当該第一の装置が設けられる第一の車両の運転に係る意図を推定し、
当該第一の装置の周辺に位置する複数の前記第二の装置に対して通信可能であるか否かをそれぞれ判断して、該複数の前記第二の装置における通信可否の情報をディスプレイに表示し、
推定した意図に基づいて生成した依頼情報
を前記第二の装置
のうち通信可能、かつ依頼対象とする第二の装置に送信し、
前記依頼情報と、
前記依頼情報を送信した前記第二の装置から取得した、該第二の装置において推定された意図に関する情報とをもとに、前記第一の車両の運転を支援するための第1の支援情報であって、前記第一の車両を運転する運転者が取るべき行動を示す第1の支援情報を生成して出力し、
前記依頼情報を受信した前記第二の装置が備える前記第二のプロセッサは、
前記第一の装置から取得した前記依頼情報を出力し、
前記依頼情報に対して入力された音声データから、当該依頼情報に対する意図を推定し、
当該第二の装置において推定した意図と、前記依頼情報とをもとに、当該第二の装置が設けられる第二の車両の運転を支援するための第2の支援情報であって、前記第二の車両を運転する運転者が取るべき行動を示す第2の支援情報を生成して出力する、
運転支援システム。
【請求項2】
前記第一のプロセッサ及び前記第二のプロセッサは、互いに同期をとって前記第1及び第2の支援情報をそれぞれ出力する、
請求項
1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記依頼情報は、前記第二の車両に対し、該第二の車両の進路への進入を依頼する情報であり、
前記第二のプロセッサは、
前記第一の装置からの、前記第二の車両の進路への進入の依頼に対し、推定された意図に基づく返信情報を送信し、
前記第一及び前記第二のプロセッサは、
前記第二の装置が依頼を承諾する旨の返信情報を前記第一の装置に送信した場合、前記第一の車両が前記第二の車両の進路に進入するために必要な行動を促す前記第1及び第2の支援情報をそれぞれ生成して出力し、
前記第二の装置が依頼を拒否する旨の返信情報を前記第一の装置に送信した場合、前記第一の車両を停止させ、かつ第二の車両に進路を継続して走行させる前記第1及び第2の支援情報をそれぞれ生成して出力する、
請求項
1に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記第一及び第二のプロセッサは、
前記依頼情報、当該依頼情報に対する意図、及び、前記第一の車両と、前記第二の車両との間の距離に基づいて前記第1及び第2の支援情報をそれぞれ生成して出力する、
請求項
1~
3のいずれか一つに記載の運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置、運転支援システム及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者による運転を支援する技術であって、運転者の意図情報を他の車両に送信し、その意図を伝えつつ、その意図に沿って運転する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が開示する技術は、受信側の運転者の意図を反映した運転を支援できないおそれがあった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、意図発信側及び受信側の双方の運転者がとるべき行動を適切に支援することができる運転支援装置、運転支援システム及び運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運転支援装置は、ハードウェアを有するプロセッサを備え、前記プロセッサは、入力される音声データから当該プロセッサが設けられる車両の運転に係る意図を推定し、推定によって生成した第1の意図情報を外部に送信し、当該プロセッサが推定した前記第1の意図情報と、前記外部に送信された第1の意図情報を受信する他の車両に設けられる他のプロセッサが推定した、前記他の車両の運転に係る意図である第2の意図情報とをもとに、当該プロセッサが設けられる車両の運転を支援するための支援情報を生成して出力する。
【0007】
また、本開示に係る運転支援システムは、ハードウェアを有する第一のプロセッサを備える第一の装置と、ハードウェアを有する第二のプロセッサを備える第二の装置と、を備え、前記第一のプロセッサは、入力される音声データから当該第一の装置が設けられる第一の車両の運転に係る意図を推定し、推定した意図に基づいて生成した依頼情報として前記第二の装置に送信し、前記依頼情報と、前記第二の装置から取得した、該第二の装置において推定された意図に関する情報とをもとに、前記第一の車両の運転を支援するための第1の支援情報を生成して出力し、前記第二のプロセッサは、前記第一の装置から取得した前記依頼情報を出力し、前記依頼情報に対して入力された音声データから、当該依頼情報に対する意図を推定し、当該第二の装置において推定した意図と、前記依頼情報とをもとに、当該第二の装置が設けられる第二の車両の運転を支援するための第2の支援情報を生成して出力する。
【0008】
また、本開示に係る運転支援プログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに、入力される音声データから当該プロセッサが設けられる車両の運転に係る意図を推定し、推定によって生成した第1の意図情報を外部に送信し、当該プロセッサが推定した前記第1の意図情報と、前記外部に送信された第1の意図情報を受信する他の車両に設けられる他のプロセッサが推定した、前記他の車両の運転に係る意図である第2の意図情報とをもとに、当該プロセッサが設けられる車両の運転を支援するための支援情報を生成して出力する、ことを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、意図発信側及び受信側の双方の運転者がとるべき行動を適切に支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施の形態に係る運転支援装置を備える運転支援システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施の形態に係る運転支援システムの車両の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施の形態に係る運転支援システムにおける周辺車両情報の構築の流れを説明する図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施の形態に係る運転支援システムの車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施の形態に係る運転支援システムにおける運転支援処理の流れを説明する図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施の形態の変形例1に係る運転支援システムにおける運転支援処理の流れを説明する図である。
【
図19】
図19は、本開示の変形例1に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本開示の変形例2に係る運転支援装置を備える運転支援システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態)
まず、本開示の一実施の形態に係る音声認識装置を備える車両用音声認識システムについて説明する。
図1は、本開示の一実施の形態に係る運転支援装置を備える運転支援システムを示す概略図である。
【0013】
運転支援システム1は、互いに通信可能な複数の車両を備える。なお、
図1では複数の車両のうち、車両2A、2Bを図示している。以下、複数の車両を総称する場合、及び区別を要しない場合には車両2ということがある。
【0014】
図2は、車両2の構成を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、車両2は、駆動部21、電子制御部22、通信部23、記憶部24、入力部25、出力部26、音声認識部27、GPS(Global Positioning System)部28及び運転支援部29を備える。
【0015】
駆動部21は、車両2の走行に必要な従来公知の駆動部である。具体的には、車両2は、駆動源としてのエンジンを備え、エンジンは燃料の燃焼による駆動によって電動機などを用いて発電し、発電された電力は充電可能なバッテリに充電される。車両2はさらに、エンジンの駆動力を伝達する駆動伝達機構、及び走行するための駆動輪などを備える。
【0016】
電子制御部22は、車両2に搭載される各種構成要素の動作を統括的に制御する。電子制御部22は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備える。電子制御部22は、記憶部24に格納されたプログラムを作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部などを制御する。
【0017】
通信部23は、例えば車両2Aと車両2Bとの間で車車間通信を行う。
【0018】
記憶部24は、車両情報データベース24a、走行情報データベース24b、支援情報データベース24c、及び、周辺車両情報データベース24dを備える。車両情報データベース24aには、例えば、バッテリ充電量、燃料残量、および現在位置などの車両2の状態に関する各種情報が、更新可能に格納されている。走行情報データベース24bには、車両2の走行履歴情報を含む車両2の走行に関する各種走行情報、及び、道路混雑状況、規制情報等の外部のサーバから送信される各種走行情報が、更新可能に格納されている。支援情報データベース24cには、運転者の意図に関する情報と、意図情報に応じて取るべき行動に関する情報とが互いに対応付けされて、抽出可能に格納されている。周辺車両情報データベース24dには、自車両の周辺に位置する他の車両の通信可否に関する情報が、更新可能に格納されている。
【0019】
記憶部24は、物理的には、RAM等の揮発性メモリ、ROM等の不揮発性メモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。記憶部24は、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体である。また、外部から装着可能なメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて記憶部24を構成してもよい。記憶部24には、運転支援処理の動作を実行するための、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどが記憶可能である。各種プログラムには、本実施形態によるモデル更新処理プログラムも含まれる。これらの各種プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。
【0020】
入力部25は、例えばタッチパネル、マイクロフォン、ボタン、又はトグルなどの入力操作部を複数有する。入力部25は、ユーザなどが入力操作部としての操作ボタン又はトグルを操作したり、マイクロフォンに向けて音声を発したりすることによって、電子制御部22に所定の情報を入力可能に構成される。
【0021】
出力部26は、ディスプレイ、スピーカー、LED(Light Emitting Diode)等の発光部材を用いて構成される。出力部26は、電子制御部22による制御に従って、ディスプレイの画面上に文字又は図形などを表示したり、マイクロフォンから音声を出力したり、発光したりして、所定の情報を外部に通知可能に構成される。なお、ディスプレイは、タッチパネルが設けられるカーナビゲーションシステムのディスプレイ、又はダッシュボードに固定して設けられるヘッドアップディスプレイ等が挙げられる。
【0022】
音声認識部27は、入力部25のマイクロフォンを介して入力される音声から音声データを生成して、電子制御部22に出力する。電子制御部22は、音声データが入力されると、この音声データを運転支援部29に出力する。音声認識部27は、CPU、DSP、FPGAなどのプロセッサを用いて構成される。
なお、音声認識部27において、上述した単語列に変換してもよい。
【0023】
GPS部28は、GPS衛星からの電波を受信して、車両2の位置を検出する。検出された車両2の位置は、車両情報における位置情報として、車両情報データベース24aに検索可能に格納される。なお、車両2の位置を検出する方法として、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法を採用してもよい。
【0024】
運転支援部29は、意図推定部291、行動特定部292を有する。運転支援部29は、CPU、DSP、FPGAなどのプロセッサを用いて構成される。
【0025】
意図推定部291は、音声認識部27から音声データを受信すると、入力ワードの識別処理を実行する。意図推定部291は、受信した音声データを単語列へ変換する。意図推定部291は、記憶部24にあらかじめ登録されている音素(例えば、「あ」、「い」など)と、受信した音声データとを照合することで、音声データに含まれる各音素を、文字へ変換する。そして、意図推定部291は、変換した各文字の集合を、記憶部24に予め登録されている単語と照合することで、単語列へと変換する処理を行う。また、意図推定部291は、予め登録されている文法を単語列に対して適用することで、単語列に含まれる助詞などの単語を、検索キーワードとすべき単語と区別する。意図推定部291は、単語列に基づいて、例えば「右折」、「車線変更」等の運転者の意図を推定する。意図推定部291は、推定した意図情報を電子制御部22に出力する。
【0026】
ここで、記憶部24が記憶する単語及び文法の内容は、外部のデータベースを用いて更新することが可能であり、その更新内容は、記憶部24にも反映される。たとえば、データベースに新たな識別情報が追加された場合には、追加された情報が新たな単語として記憶部24に追加される。
【0027】
行動特定部292は、車車間で送受信された各車両2における意図情報に基づいて、当該車両2の運転者がとるべき行動を特定する。行動特定部292は、支援情報データベース24cに予め記憶されている意図情報及び行動に関する情報を参照するとともに、走行情報データベース24bから周辺の道路状況、周辺車両情報データベース24dから車両の位置情報を抽出し、行動情報を特定する。
【0028】
続いて、周辺車両情報データベース24dが格納する周辺車両情報の構築について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、本開示の一実施の形態に係る運転支援システムにおける周辺車両情報の構築の流れを説明する図である。
【0029】
ステップS101において、電子制御部22は、自車両の情報をブロードキャストする。この際、電子制御部22は、自車両の位置、速度、特徴(車種、色、形状)を送信する。このブロードキャストによって、通信可能な他の車両が、自車両の情報を取得する。
【0030】
ステップS102において、電子制御部22は、他の車両から、該他の車両の情報を取得する。この際、電子制御部22は、他の車両の位置、速度、特徴(車種、色、形状)を受信する。
なお、ステップS101及びS102は、ステップS102を先に実行してもよいし、同時に実行してもよい。
【0031】
ステップS103において、電子制御部22は、周辺に位置する通信可能な他の車両から情報を取得すると、周辺に存在する車両に関するデータベースを構築し、周辺車両情報データベース24dの情報を更新する。この際、電子制御部22は、所定時間内に情報が送信されなかったり、通信可否を判断するための信号に対する返答信号が取得できなかったりした場合には、その車両は通信不可能な車両であると判断する。
【0032】
ステップS104において、電子制御部22は、更新後の周辺に存在する車両に関するデータベースに基づいて、通信可能な車両と、通信不可能な車両とが区別できる態様で、車両のディスプレイに表示させる。
【0033】
図4は、本開示の一実施の形態に係る運転支援システムの車両において表示される表示画面の一例を示す図である。車両のディスプレイには、
図4に示す支援画像W
0が表示される。支援画像W
0には、予め設定されている範囲に存在する車両が表示される。このうち、通信可能な車両(車両100A)は、ハイライト表示される。一方、通信不可能な車両(車両100B)は、ハイライト表示されない。なお、ディスプレイにおいて、通信可能な車両が、通信不可能な車両よりも視覚的に目立っていればよく、例えば、通信不可能な車両の色を薄くして表示してもよい。
【0034】
続いて、運転支援システム1において実施される運転支援処理の流れについて、
図5を参照して説明する。
図5は、運転支援システム1における運転支援処理の流れを説明する図である。なお、
図5に示す処理では、運転者から、運転に関する音声入力がなされた場合を例に挙げる。運転に関する内容以外の音声入力の場合は、別のプログラムが実行される。運転者は、例えば、
図4に示す支援画像W
0を参照して、周辺の車両が通信可能であるか否かを判断して、依頼内容を発話する。なお、運転者の発話を運転支援処理のトリガとしてもよいし、運転席の周囲に設けられるボタン等の押下を運転支援処理のトリガとしてもよい。
【0035】
ステップS201において、運転者からの発話入力があると、電子制御部22は、運転支援処理を開始する。以下、依頼を発信する側の車両を依頼側車両、依頼を受信する側の車両を被依頼車両という。依頼側車両の音声認識部27は、入力された音声から音声データを生成して、電子制御部22に出力する。依頼側車両の電子制御部22は、音声データを、運転支援部29に出力する。
【0036】
ステップS202において、意図推定部291は、音声データを用いて運転者の発話における意図を推定する。意図推定部291は、推定して生成した意図情報を、電子制御部22に出力する。
【0037】
ステップS203において、依頼側車両の電子制御部22は、意図推定部291から取得した意図情報を、被依頼側車両に送信する。また、電子制御部22は、画面上に表示される被依頼側車両をハイライト表示するとともに、依頼内容を送信した旨を表示する(ステップS204)。この際、電子制御部22は、各車両から取得した位置情報をもとに、依頼対象となる車両を探索し、該当する位置を走行している車両を被依頼側車両として選択する。ここで、依頼対象となる車両は、例えば、依頼内容に応じた走行経路と交差する進路を走行することが予測される車両である。
【0038】
図6は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。依頼側車両のディスプレイには、
図6に示す支援画像W
1が表示される。支援画像W
1は、真上からみた図に相当し、被依頼側車両102がハイライト表示されるとともに、依頼内容を送信した旨の情報を描出する。
図6では、依頼側車両から、対向車線を走行する被依頼側車両に対し、右折したいため、譲って欲しい旨の依頼を発信した場合を示している。
【0039】
ステップS205において、被依頼側車両では、依頼側車両から意図情報を受信すると、依頼側車両と依頼内容とに関する情報を出力する。この際は、ディスプレイに画像を表示したり、音で依頼があった旨を知らせたりする。
【0040】
図7は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。被依頼側車両のディスプレイには、
図7に示す支援画像W
2が表示される。支援画像W
2は、真上からみた図に相当し、依頼側車両101がハイライト表示するとともに、依頼側車両の特徴と、依頼内容とを描出する。支援画像W
2では、依頼側車両から、右折したい旨の依頼があった旨が表示される。
【0041】
ステップS206において、被依頼側車両の電子制御部22は、発話入力があるか否かを判断する。電子制御部22は、運転者からの発話入力があると判断した場合(ステップS206:Yes)、ステップS208に移行する。これに対し、電子制御部22は、運転者からの発話入力がないと判断した場合(ステップS206:No)、ステップS207に移行する。
【0042】
ステップS207において、被依頼側車両の電子制御部22は、依頼内容を出力してから、予め設定された時間(所定時間)経過したか否かを判断する。電子制御部22は、予め設定された時間が経過したと判断した場合(ステップS207:Yes)、ステップS209に移行する。これに対し、電子制御部22は、予め設定された時間が経過していないと判断した場合(ステップS207:No)、ステップS206に戻る。
【0043】
ステップS208において、被依頼側車両の音声認識部27は、入力された音声から音声データを生成して、電子制御部22に出力する。意図推定部291は、音声データを用いて運転者の発話における意図を推定する。意図推定部291は、推定して生成した意図情報を、電子制御部22に出力する。
【0044】
ステップS209において、被依頼側車両の電子制御部22は、返信内容に関する情報を生成する。この際、電子制御部22は、意図推定部291によって依頼を承諾すると推定されている場合、依頼を承諾する旨の内容を返信情報として生成する。これに対し、電子制御部22は、意図推定部291によって依頼を承諾しないと推定されている場合、依頼を承諾しない旨の内容を返信情報として生成する。また、電子制御部22は、依頼に対する発話入力がない場合、回答がない旨の内容を返信情報として生成する。
【0045】
ステップS210において、被依頼側車両の電子制御部22は、生成した返信情報を、依頼側車両に送信する。
【0046】
一方、依頼側車両では、被依頼側車両から返信情報の受信の有無を確認する(ステップS211)。依頼側車両の電子制御部22は、被依頼側車両から返信情報を受信していると判断した場合(ステップS211:Yes)、ステップS212に移行する。これに対し、依頼側車両の電子制御部22は、被依頼側車両から返信情報を受信してないと判断した場合(ステップS211:No)、ステップS215に移行する。
【0047】
ステップS212において、依頼側車両の電子制御部22は、返信情報に基づいて、依頼が承諾されたか否かを判断する。ここで、電子制御部22は、返信情報に基づいて、依頼が承諾されたと判断した場合(ステップS212:Yes)、ステップS213に移行する。これに対し、電子制御部22は、依頼が承諾されなかった、又は返答がなかったと判断した場合(ステップS212:No)、ステップS216に移行する。
【0048】
ステップS213において、依頼側車両の行動特定部292は、自車の周辺状況を取得し、被依頼側車両との同期をとる。その後、行動特定部292は、依頼内容、返信内容、周辺の道路状況、及び、依頼車両と被依頼車両との距離に基づいて、依頼側車両の運転者が取るべき行動(レコメンド行動)を特定する(ステップS214)。電子制御部22は、レコメンド行動を特定後、ステップS220に移行する。
【0049】
また、ステップS215において、依頼側車両の電子制御部22は、依頼内容を送信してから、予め設定された時間(所定時間)経過したか否かを判断する。ステップS215における所定時間は、例えば、ステップS207において設定される所定時間よりも長く設定される。電子制御部22は、予め設定された時間が経過したと判断した場合(ステップS215:Yes)、ステップS216に移行する。これに対し、電子制御部22は、予め設定された時間が経過していないと判断した場合(ステップS215:No)、ステップS211に戻る。
【0050】
ステップS216において、依頼側車両の電子制御部22は、被依頼側車両からの返信がないため、別の車両に依頼内容を送信する旨を出力する。この際、電子制御部22は、ディスプレイに表示させてもよいし、音声によって通知するようにしてもよい。
【0051】
その後、電子制御部22は、次に依頼する車両を探索する(ステップS217)。電子制御部22は、周辺状況の情報をもとに、依頼の送信先となる車両を探索し、依頼を送信する対象となる車両があるか否かを判断する(ステップS218)。電子制御部22は、依頼対象となる車両があると判断した場合(ステップS218:Yes)、ステップS203に戻り、送信対象車両を変えて上述した依頼処理を実行する。これに対し、電子制御部22は、依頼対象となる車両がないと判断した場合(ステップS218:No)、ステップS219に移行する。
【0052】
ステップS219において、依頼側車両の電子制御部22は、依頼する車両がないため、注意して対象行動をするよう注意を喚起する注意喚起情報を生成する。
【0053】
ステップS220において、電子制御部22は、行動特定部292が特定したレコメンド行動を実行するよう、その情報(支援情報)を生成して出力する。この際、依頼側車両の電子制御部22は、レコメンド行動に対応する支援画像を表示したり、音声によってレコメンド行動の内容を出力したりする。
【0054】
ここで、依頼側車両の電子制御部22は、ステップS220において、依頼側車両が実際に支援情報通りの行動を実施するまで、ステップS213、S214及びS220の処理を繰り返して、被依頼側車両と同期をとりつつ、運転支援処理を実行してもよい。
【0055】
一方、被依頼側車両では、ステップS210において返信情報を送信後、被依頼側車両の行動特定部292は、自車両の周辺状況を取得し、依頼側車両との同期をとる(ステップS221)。その後、行動特定部292は、依頼内容に対する回答状況と、周辺の道路状況とに基づいて、被依頼側車両の運転者が取るべき行動(レコメンド行動)を特定する(ステップS222)。
【0056】
ステップS223において、被依頼側車両の電子制御部22は、行動特定部292が特定したレコメンド行動を実行するよう、その情報(支援情報)を生成して出力する。この際、被依頼側車両の電子制御部22は、レコメンド行動に対応する支援画像を表示したり、音声によってレコメンド行動の内容を出力したりする。
【0057】
なお、被依頼側車両の電子制御部22は、ステップS223において、被依頼側車両が実際に支援情報通りの行動を実施するまで、ステップS221、S222及びS223の処理を繰り返して、依頼側車両と同期をとりつつ、運転支援処理を実行してもよい。
【0058】
ここで、依頼側車両及び被依頼側車両におけるレコメンド行動の出力態様について、
図8~
図14を参照して説明する。
図8~
図11は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
図12~
図14は、本開示の一実施の形態に係る運転支援処理時に受信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。
【0059】
(表示例1-1)
被依頼側車両から依頼が承諾された場合であって、当該車両(依頼側車両)と被依頼側車両との距離が十分に離れている場合、依頼側車両には、
図8に示す支援画像W
3が表示される。支援画像W
3には、依頼が承諾された旨と、安全に気を付けつつ右折を促す旨と、その道筋とが表示される。
【0060】
(表示例1-2)
被依頼側車両から依頼が承諾された場合であって、当該車両(依頼側車両)と被依頼側車両との距離が、右折可能な範囲で近い場合、依頼側車両には、
図9に示す支援画像W
4が表示される。支援画像W
4には、依頼が承諾された旨と、一旦停止してからの右折を促す旨と、その道筋とが表示される。
【0061】
(表示例1-3)
被依頼側車両から依頼が承諾された場合であって、当該車両(依頼側車両)と被依頼側車両との距離が近く、依頼送信後に周辺の状況が変化して右折が難しくなった場合、依頼側車両には、
図10に示す支援画像W
5が表示される。支援画像W
5には、一旦停止し、被依頼側車両が停止したのを確認してから右折する旨と、まずは停止する指示情報(
図10では「停止」)とが表示される。
【0062】
(表示例1-4)
被依頼側車両から依頼が承諾されなかった場合、又は、依頼に対する回答が得られなかった場合、依頼側車両には、
図11に示す支援画像W
6が表示される。支援画像W
6には、依頼が承諾されなかった旨と、停止を促す旨と、その指示情報とが表示される。
【0063】
(表示例2-1)
依頼側車両からの依頼を承諾した場合であって、当該車両(被依頼側車両)と依頼側車両との距離が十分に離れている場合、被依頼側車両には、
図12に示す支援画像W
7が表示される。支援画像W
7には、減速を促す旨と、依頼側車両の道筋とが表示される。
【0064】
(表示例2-2)
依頼側車両からの依頼を承諾した場合であって、当該車両(被依頼側車両)と依頼側車両との距離が、右折可能の範囲で近い場合、被依頼側車両には、
図13に示す支援画像W
8が表示される。支援画像W
8には、一旦停止して依頼側車両の右折を待つ旨と、依頼側車両の道筋とが表示される。
【0065】
(表示例2-3)
依頼側車両からの依頼を承諾しなかった場合、又は、依頼に対して回答しなかった場合、被依頼側車両には、
図14に示す支援画像W
9が表示される。支援画像W
9には、安全に気を付けつつ走行を促す旨と、依頼側車両の依頼内容に応じた道筋(
図12では破線表示)とが表示される。
【0066】
なお、
図8~
図14では、真上からみた支援画像を例に説明したが、視線方向はこれに限らない。例えば、鳥瞰的にみた画像としてもよいし、運転者の視線に応じた画像としてもよい。
図15~
図17は、運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の他の例を示す図であって、鳥瞰的にみた支援画像の例を示す図である。
【0067】
(表示例3-1)
被依頼側車両から依頼が承諾された場合であって、当該車両(依頼側車両)と被依頼側車両との距離が十分に離れている場合(表示例1-1に対応)、依頼側車両には、
図15に示す支援画像W
10が表示される。支援画像W
10には、依頼が承諾された旨と、安全に気を付けつつ右折を促す旨と、その道筋とが鳥瞰的に表示される。
【0068】
(表示例3-2)
依頼側車両からの依頼を受信した場合、被依頼側車両には、
図16に示す支援画像W
11が表示される。支援画像W
11には、依頼側車両から右折に係る承諾依頼があった旨が鳥瞰的に表示される。
【0069】
(表示例3-3)
依頼側車両からの依頼を承諾した場合であって、当該車両(被依頼側車両)と依頼側車両との距離が十分に離れている場合(表示例2-1に対応)、被依頼側車両には、
図17に示す支援画像W
12が表示される。支援画像W
12には、減速を促す旨と、依頼側車両の道筋とが鳥瞰的に表示される。
【0070】
以上説明した本実施の形態では、依頼発信側と、依頼受信側との間で通信し、依頼に対する回答に応じて各車両において行うべき行動をレコメンドする。運転者は、レコメンドされた行動にしたがって運転することによって、円滑かつ安全な走行を実現することができる。本実施の形態によれば、依頼とその回答とに応じたレコメンド行動を出力することによって、発信側及び受信側の双方の運転者がとるべき行動を適切に支援することができる。
【0071】
(変形例1)
次に、上述した実施の形態の変形例1について、
図18及び
図19を参照して説明する。本変形例1に係る運転支援システムの構成は、上述した運転支援システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。実施の形態では、一台の依頼側車両と、一台の被依頼側車両とにおける処理について説明したが、変形例1では、一台の依頼側車両と、複数の被依頼側車両とにおける処理について説明する。
【0072】
図18は、変形例1に係る運転支援処理の流れを説明する図である。なお、
図18に示す処理では、運転者から、運転に関する音声入力がなされた場合を例に挙げる。運転に関する内容以外の音声入力の場合は、別のプログラムが実行される。
【0073】
電子制御部22は、上述したステップS201、S202と同様の処理を実行する(ステップS301、302)。
【0074】
ステップS303において、依頼側車両の電子制御部22は、意図推定部291から取得した意図情報を、複数の被依頼側車両に送信する。この際、電子制御部22は、各車両から取得した位置情報をもとに、依頼対象となる車両を探索し、該当する位置を走行している車両を被依頼側車両として選択する。
【0075】
また、電子制御部22は、画面上に表示される被依頼側車両をそれぞれハイライト表示するとともに、依頼内容を送信した旨を表示する(ステップS304)。この際、通信部23を有していない車両を、別のパターンでハイライト表示するようにしてもよい。
【0076】
各被依頼側車両では、依頼側車用と依頼内容とに関する情報が出力され、回答の内容に応じて返信情報を生成し、依頼側車両に送信する(ステップS205~S210を参照)。
【0077】
一方、依頼側車両では、すべての被依頼側車両から返信情報の受信の有無を確認する(ステップS305)。依頼側車両の電子制御部22は、各被依頼側車両から返信情報を受信していると判断した場合(ステップS305:Yes)、ステップS307に移行する。これに対し、依頼側車両の電子制御部22は、被依頼側車両から返信情報を受信してないと判断した場合(ステップS305:No)、ステップS306に移行する。
【0078】
ステップS306において、依頼側車両の電子制御部22は、依頼内容を送信してから、予め設定された時間(所定時間)経過したか否かを判断する。ステップS306における所定時間は、例えば、ステップS215において設定される所定時間と同じ程度に設定される。電子制御部22は、予め設定された時間が経過したと判断した場合(ステップS306:Yes)、ステップS307に移行する。これに対し、電子制御部22は、予め設定された時間が経過していないと判断した場合(ステップS306:No)、ステップS305に戻る。
【0079】
ステップS307において、依頼側車両の電子制御部22は、各被依頼側車両からの返信状況を出力する。
図19は、変形例に係る運転支援処理時に発信側の車両において表示される表示画面の一例を示す図である。例えば、
図19に示す支援画像W
20には、表示画面上における各被依頼側車両の近傍に、返信内容(「OK」、「No」又は「返信無」)が表示される。
【0080】
ステップS308において、依頼側車両の行動特定部292は、自車の周辺状況を取得し、被依頼側車両との同期をとる。その後、行動特定部292は、依頼内容と、返信内容に基づいて、依頼側車両の運転者が取るべき行動(レコメンド行動)を特定する(ステップS309)。電子制御部22は、レコメンド行動を特定後、ステップS310に移行する。
【0081】
ステップS310において、依頼側車両の電子制御部22は、行動特定部292が特定したレコメンド行動を実行するよう、その情報(支援情報)を出力する。例えば、
図19に示す支援画像W
20には、各被依頼側車両からの返信に基づいて、追い越しを促す旨の情報が表示される。
図19では、3台の被依頼側車両のうち、2台の被依頼側車両から承諾する旨の返答があり、1台の車両から返答がなかった場合を示している。
【0082】
一方、各被依頼側車両では、依頼側車両への返信情報を送信後、行動特定部292が、自車の周辺状況を取得し、依頼側車両との同期をとり、依頼内容に対する回答状況に基づいて、被依頼側車両の運転者が取るべき行動(レコメンド行動)を特定する。その後、被依頼側車両の電子制御部22は、行動特定部292が特定したレコメンド行動を実行するよう、その情報(例えば画像などの支援情報)を出力する(ステップS221~S223を参照)。
【0083】
以上説明した変形例1では、依頼発信側と、依頼受信側との間で通信し、依頼に対する回答に応じて各車両において行うべき行動をレコメンドする。運転者は、レコメンドされた行動にしたがって運転することによって、円滑かつ安全な走行を実現することができる。本変形例1によれば、依頼とその回答とに応じたレコメンド行動を出力することによって、発信側及び受信側の双方の運転者がとるべき行動を適切に支援することができる。
【0084】
(変形例2)
次に、上述した実施の形態の変形例2について、
図20を参照して説明する。本変形例2に係る運転支援システム1Aは、通信ネットワーク10を介して互いに通信可能な運転支援サーバ3と、複数の車両(車両2A、2B)とを備える。
【0085】
通信ネットワーク10は、インターネット回線網、又は携帯電話回線網などから構成される。通信ネットワーク10は、例えば、インターネットなどの公衆通信網であって、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、携帯電話などの電話通信網又は公衆回線、VPN(Virtual Private Network)、および専用線などの一または複数の組み合わせからなる。通信ネットワーク10は、有線通信および無線通信が適宜組み合わされている。
【0086】
運転支援サーバ3は、各車両の位置情報を取得し、各車両に運転を支援する情報を送信する。運転支援サーバ3は、CPU、DSP、FPGAなどのプロセッサ、およびRAM及び/又はROMなどのメモリを備える。また、運転支援サーバ3は、少なくとも支援情報データベース24c及び周辺車両情報データベース24dの情報を更新可能に格納し、運転支援部29の機能を有する。
【0087】
変形例2に係る車両2の通信部23は、例えば車両2Aと車両2Bとの間で車車間通信を行ったり、通信ネットワーク10を介した無線通信によって、運転支援サーバ3との間、他の車両2の通信部23との間で通信を行ったりする。
【0088】
本変形例2では、上述した実施の形態において説明した車車間通信によって実行される運転支援処理のほか、運転支援サーバ3において、各車両の運転支援処理を実施する。具体的には、運転支援サーバ3は、一方の車両から依頼を受け付け、他方の車両にその依頼を送信する。その後、他方の車両から送信された回答に基づいて、両車両に、運転を支援する支援情報を出力する。
【0089】
以上説明した変形例2では、依頼発信側と、依頼受信側との間を運転支援サーバ3が中化し、この運転支援サーバ3が、依頼に対する回答に応じて各車両において行うべき行動をレコメンドする。運転者は、レコメンドされた行動にしたがって運転することによって、円滑かつ安全な走行を実現することができる。本変形例2によれば、依頼とその回答とに応じたレコメンド行動を出力することによって、発信側及び受信側の双方の運転者がとるべき行動を適切に支援することができる。
【0090】
ここで、変形例2において、運転支援サーバ3のみに運転支援部29を設けて、運転支援サーバ3が、各車両2からの依頼、回答及び運転支援を一括して実行するようにしてもよい。
【0091】
なお、実施の形態及び変形例1では、右折時、車線変更時の運転支援処理を例に説明したが、これに限らず、様々なケースにおいて運転支援処理が実行され得る。例えば、道路外から道路へ進入する場合、及び、信号機のない交差点又は停電時の交差点において通行を支援する場合等が挙げられる。また、救急車等の緊急車両が依頼側車両となり、緊急通路を確保することにも適用できる。
【0092】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1、1A 運転支援システム
2、2A、2B、100A、100B 車両
3 運転支援サーバ
21 駆動部
22 電子制御部
23 通信部
24 記憶部
24a 車両情報データベース
24b 走行情報データベース
24c 支援情報データベース
24d 周辺車両情報データベース
25 入力部
26 出力部
27 音声認識部
28 GPS部
29 運転支援部
291 意図推定部
292 行動特定部