(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】反応容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20230829BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2020005138
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】四方 正光
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】高岡 直子
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健二
(72)【発明者】
【氏名】丸瀬 英明
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3023013(JP,U)
【文献】国際公開第2008/004695(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/132324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
G01N
B01L
CiNii
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端と下端とを有し、前記上端に開口部を有する、有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の前記上端に取り付けられることで前記開口部を気密状態で閉塞して前記容器本体の内部を密閉する蓋体と、を備え、
前記容器本体と前記蓋体との少なくともいずれか一方は、前記容器本体に取り付けられた前記蓋体から前記容器本体の前記下端までの高さを調節するための高さ調節構造を有
し、
前記高さ調節構造は、前記蓋体と前記容器本体との一方が他方に嵌め入れられる嵌入長さを変えることにより、前記高さを調節する、反応容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記容器本体に接合される筒状部を有し、
前記高さ調節構造は、前記筒状部の長さを変えることにより、前記高さを調節する、請求項1に記載の反応容器。
【請求項3】
前記筒状部は、第1筒部と、前記第1筒部と一体に形成されかつ前記第1筒部から分離可能な第2筒部と、を有し、
前記第1筒部と前記第2筒部とが一体の状態で、前記第2筒部が前記容器本体に接合され、
前記第1筒部から前記第2筒部が分離された状態で、前記第1筒部が前記容器本体に接合される、請求項2に記載の反応容器。
【請求項4】
前記筒状部は、前記第1筒部と前記第2筒部とが一体の状態で前記第1筒部と前記第2筒部との境界を形成する環状溝を有する、請求項3に記載の反応容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反応容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-182728号公報(特許文献1)には、容器本体部と蓋とを含む、遺伝子検査に用いる反応容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リアルタイムPCR(Polymerase Chain Reaction)装置に用いられる従来の反応容器には、高さの異なる0.2ml容量と0.1ml容量との2種類が存在する。反応容器を製造するメーカーは、2種類の反応容器を作成するために2種類の金型を必要とするため、手間がかかるとともにコストアップの要因となる。リアルタイムPCR装置を使用するユーザーは、2種類の装置を保有している場合には、2種類の反応容器を調達する必要があり、手間がかかる。
【0005】
本開示は、複数種類の容量の反応容器を準備するための手間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る反応容器は、容器本体と、蓋体とを備えている。容器本体は、上端と下端とを有し、上端に開口部を有する、有底筒状である。蓋体は、容器本体の上端に取り付けられることで、開口部を気密状態で閉塞して、容器本体の内部を密閉する。容器本体と蓋体との少なくともいずれか一方は、容器本体に取り付けられた蓋体から容器本体の下端までの高さを調節するための、高さ調節構造を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示においては、1種類の容器本体と1種類の蓋体とを準備して、高さ調節構造を用いて蓋体から容器本体の下端までの高さを調節することで、反応容器の容量が可変となる。反応容器の容量に応じて容器本体と蓋体とを複数種類準備する必要がないので、複数種類の容量の反応容器を準備するための手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態の反応容器の、容器本体と蓋体との接合前の状態を示す模式図である。
【
図2】
図1に示される蓋体の第2筒部を容器本体に接合して形成された反応容器を示す模式図である。
【
図3】
図2に示される反応容器の使用状態を示す模式図である。
【
図4】
図1に示される蓋体を分離した状態を示す模式図である。
【
図5】
図4に示される分離した蓋体の第1筒部を容器本体に接合して形成された反応容器を示す模式図である。
【
図6】
図5に示される反応容器の使用状態を示す模式図である。
【
図7】第二実施形態の反応容器の、容器本体と蓋体との接合前の状態を示す模式図である。
【
図8】
図7に示される容器本体に蓋体を接合して形成された反応容器を示す模式図である。
【
図9】
図7に示される容器本体を分離後に蓋体を接合して形成された反応容器を示す模式図である。
【
図10】第三実施形態の反応容器の、容器本体と蓋体との接合前の状態を示す模式図である。
【
図11】
図10に示される容器本体に蓋体を嵌め入れて形成された反応容器を示す模式図である。
【
図12】
図10に示される容器本体に蓋体を嵌め入れる嵌入長さを変えて形成された反応容器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の反応容器1の、容器本体10と蓋体30との接合前の状態を示す模式図である。なお、本明細書中の説明における「上」「下」とは、後述するサーマルブロック100のウェル102内(
図3)に反応容器1が挿し込まれた状態での上下方向に基づく概念である。
【0011】
図1に示されるように、容器本体10は、上端12と下端14とを有している。容器本体10は、上端12に開口部16を有し下端14が閉塞されている、中空の有底筒状の形状を有している。容器本体10は、上端12の近傍に、円筒形状の円筒部18を有している。容器本体10は、下端14の近傍に、下端14へ向かうにつれて容器本体10の径が小さくなる先細り部20を有している。容器本体10の底部は、先が尖った形状とされている。
【0012】
容器本体10の内部に、試薬80が収容されている。典型的には試薬80は、先細り部20の内部に収容されている。試薬80は、容器本体10の底部に固相化されている。試薬80は、DNAポリメラーゼなどの酵素、プライマー、プローブなどを含んでいてもよい。
【0013】
蓋体30は、中実円板状の蓋部32と、略中空円筒状の筒状部34とを有している。蓋体30は、筒状部34の一方端(上端)に蓋部32が接合された形状を有しており、全体として有底筒状の形状を有している。筒状部34は、第1筒部36と、第2筒部38とを有している。第1筒部36と第2筒部38とは、いずれも略中空円筒状の形状を有している。第1筒部36と蓋部32とは中空有底の筒形状を形成している。蓋体30は全体として一体的に形成されており、
図1に示される第1筒部36と第2筒部38とは一体である。
【0014】
筒状部34は、環状溝40を有している。環状溝40は、筒状部34の外周面に形成されている。環状溝40は、筒状部34の周方向に延びる環状の形状を有している。
図1に示される第1筒部36と第2筒部38とが一体の状態で、環状溝40は、第1筒部36と第2筒部38との境界を形成している。環状溝40は、筒状部34の外周面の一部が窪んで形成されている。環状溝40が形成された位置において、筒状部34は薄肉とされている。筒状部34の、環状溝40が形成された部位は、他の部位よりも強度が低い脆弱部とされている。
【0015】
容器本体10は、透明な樹脂材料製、たとえばポリプロピレン製であってもよい。蓋体30は、透明な樹脂材料製、たとえばポリエチレンまたはポリスチレン製であってもよい。
【0016】
図2は、
図1に示される蓋体30の第2筒部38を容器本体10に接合して形成された反応容器1を示す模式図である。蓋体30は、容器本体10の上端12に取り付けられることで開口部16を気密状態で閉塞して、容器本体10の内部を密閉する。蓋体30、具体的には筒状部34が容器本体10に接合されることにより、密閉容器である反応容器1が形成される。反応容器1の内部には、密閉空間50が形成されている。筒状部34の下端は、容器本体10の上端12に接合される開口端として形成されており、筒状部34の上端は、蓋部32によって閉塞された閉塞端として形成されている。
【0017】
図2に示される反応容器1は、
図1を参照して説明した蓋体30がそのままの形状で容器本体10に取り付けられて、形成されている。
図2に示される反応容器1において、蓋体30の第1筒部36と第2筒部38とは一体の状態である。蓋体30のうち、第2筒部38が、容器本体10に接合されて、反応容器1が形成されている。
図2に示される反応容器1における、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さは、高さH1である。
【0018】
容器本体10内に検体と溶媒とが入れられた後に、蓋体30が容器本体10に接合される。固相化されていた試薬80が溶媒に溶解して、反応容器1内の密閉空間50に反応液が収容された状態となる。
【0019】
図3は、
図2に示される反応容器1の使用状態を示す模式図である。サーマルブロック100は、熱伝導性に優れた金属板であり、たとえばアルミニウム製である。サーマルブロック100の上面に、上面が窪んだウェル102が形成されている。サーマルブロック100には、ペルチェ素子、ヒーター、冷却装置などの温度源が取り付けられている。
【0020】
反応容器1は、ウェル102内に挿し込まれて、サーマルブロック100と熱的に接触する。予め設定されていたプログラムに従ってサーマルブロック100が加熱および冷却されることにより、反応容器1内の反応液の温度が制御される。これにより反応液が、検体の反応に適した所定の温度プロファイルに供される。
【0021】
蓋体30には、加熱蓋110が熱的に接触している。加熱蓋110は金属板であり、ヒーターなどの加熱源が取り付けられている。加熱蓋110が蓋体30を加熱することで、反応容器1内で反応液が気化して反応条件が変わることが防止されている。
【0022】
サーマルブロック100に、複数のウェル102が形成されていてもよい。列状に並んだウェル102内に、一体に連結された複数の反応容器1を一括で挿し込むことで、複数の検体を反応させる処理速度を向上させることができる。
【0023】
図4は、
図1に示される蓋体30を分離した状態を示す模式図である。蓋体30は、
図1に示される環状溝40に沿って、第1筒部36と第2筒部38とを分離可能に構成されている。筒状部34に環状溝40を形成し、部分的に強度の低い低強度部を筒状部34に設けていることで、第2筒部38を第1筒部36から容易に分離させることが可能とされている。
【0024】
第2筒部38は、第1筒部36から不可逆的に分離される。環状溝40に沿って第1筒部36と第2筒部38とを分離した後に、第1筒部36と第2筒部38とを再度接合させることはできない構成とされている。
【0025】
図5は、
図4に示される分離した蓋体30の第1筒部36を容器本体10に接合して形成された反応容器1を示す模式図である。第1筒部36から第2筒部38が分離された状態で、蓋体30のうち、第1筒部36が、容器本体10に接合されて、反応容器1が形成されている。
図5に示される反応容器1における、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さは、高さH2である。
【0026】
図5に示される高さH2は、
図2に示される高さH1と異なっている。具体的には、高さH2は、高さH1よりも小さい。
図2に示される反応容器1と比較して、
図5に示される反応容器1では、筒状部34の長さが小さくなっていることにより、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが小さくなっている。第一実施形態では、筒状部34の長さを変えることにより、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが調節されている。
【0027】
第一実施形態の反応容器1の蓋体30は、上端12と下端14とを有し上端12に開口部16を有する有底筒状の容器本体10の上端12に取り付けられることで、開口部16を気密状態で閉塞して、容器本体10の内部を密閉するものである。蓋体30は、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節するための、高さ調節構造を有している。具体的には蓋体30は、高さが可変とされている。蓋体30は、容器本体10に接合される筒状部34を有している。筒状部34の長さを変えることにより、蓋体30の高さが変わり、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが調節される。
【0028】
図6は、
図5に示される反応容器1の使用状態を示す模式図である。
図3と同様に、
図6に示される反応容器1は、サーマルブロック100の上面に形成されたウェル102内に挿し込まれて、サーマルブロック100と熱的に接触している。蓋体30には、加熱蓋110が熱的に接触している。
【0029】
図3には、高さH1の反応容器1に用いられる装置が示されている。
図6には、高さH2の反応容器1に用いられる装置が図示されている。第一実施形態の反応容器1は、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節することで、
図3に示される装置と
図6に示される装置との両方に用いられ得る。
図1に示される1種類の容器本体10と1種類の蓋体30とを準備すればよく、容器本体と蓋体とを複数種類準備する必要がないので、複数種類の容量の反応容器1を準備するための手間を削減することができる。
【0030】
[第二実施形態]
図7は、第二実施形態の反応容器1の、容器本体10と蓋体30との接合前の状態を示す模式図である。第二実施形態の蓋体30は、第一実施形態と異なり、環状溝を有していない。第二実施形態の蓋体30は、互いに分離可能な第1筒部と第2筒部とを有していない。第二実施形態の蓋体30では、筒状部34は、分離不能な構成とされている。第二実施形態の蓋体30は、筒状部34の長さを変えることができない。したがって蓋体30は、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節するための高さ調節構造を有していない。
【0031】
一方、容器本体10の円筒部18は、環状溝24を有している。環状溝24は、円筒部18の外周面に形成されている。環状溝24は、円筒部18の周方向に延びる環状の形状を有している。円筒部18は、第1筒部26と、第2筒部28とを有している。第1筒部26と第2筒部28とは、いずれも略中空円筒状の形状を有している。容器本体10は全体として一体的に形成されており、
図7に示される第1筒部26と第2筒部28とは一体である。
【0032】
図7に示される第1筒部26と第2筒部28とが一体の状態で、環状溝24は、第1筒部26と第2筒部28との境界を形成している。環状溝24は、円筒部18の外周面の一部が窪んで形成されている。環状溝24が形成された位置において、円筒部18は薄肉とされている。円筒部18の、環状溝24が形成された部位は、他の部位よりも強度が低い脆弱部とされている。
【0033】
図8は、
図7に示される容器本体10に蓋体30を接合して形成された反応容器1を示す模式図である。
図8に示される反応容器1は、
図7を参照して説明したそのままの形状の容器本体10に蓋体30が取り付けられて、形成されている。
図8に示される反応容器1において、容器本体10の第1筒部26と第2筒部28とは一体の状態である。蓋体30が、容器本体10のうちの第2筒部28に接合されて、反応容器1が形成されている。
図8に示される反応容器1における、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さは、高さH1である。
【0034】
図9は、
図7に示される容器本体10を分離後に蓋体30を接合して形成された反応容器1を示す模式図である。容器本体10は、
図7に示される環状溝24に沿って、第1筒部26と第2筒部28とを分離可能に構成されている。円筒部18に環状溝24を形成し、部分的に強度の低い低強度部を円筒部18に設けていることで、第2筒部28を第1筒部26から容易に分離させることが可能とされている。
【0035】
第2筒部28は、第1筒部26から不可逆的に分離される。環状溝24に沿って第1筒部26と第2筒部28とを分離した後に、第1筒部26と第2筒部28とを再度接合させることはできない構成とされている。
【0036】
図9に示されるように、第1筒部26から第2筒部28が分離された状態で、蓋体30が、容器本体10のうちの第1筒部26に接合されて、反応容器1が形成されている。
図9に示される反応容器1における、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さは、高さH2である。
【0037】
図9に示される高さH2は、
図8に示される高さH1と異なっている。具体的には、高さH2は、高さH1よりも小さい。
図8に示される反応容器1と比較して、
図9に示される反応容器1では、円筒部18の長さが小さくなっていることにより、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが小さくなっている。第二実施形態では、円筒部18の長さを変えることにより、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが調節されている。
【0038】
第二実施形態の反応容器1の容器本体10は、上端12と下端14とを有し上端12に開口部16を有している有底筒状であり、上端12に蓋体30が取り付けられることで開口部16が気密状態で閉塞されて内部が密閉されるものである。容器本体10は、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節するための、高さ調節構造を有している。具体的には容器本体10は、高さが可変とされている。容器本体10は、蓋体30が接続される円筒部18を有している。円筒部18の長さを変えることにより、容器本体10の高さが変わり、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが調節される。
【0039】
第二実施形態の反応容器1は、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節することで、高さH1の反応容器1に用いられる装置と高さH2の反応容器1に用いられる装置との両方に用いられ得る。
図7に示される1種類の容器本体10と1種類の蓋体30とを準備すればよく、容器本体と蓋体とを複数種類準備する必要がないので、複数種類の容量の反応容器1を準備するための手間を削減することができる。
【0040】
[第三実施形態]
図10は、第三実施形態の反応容器1の、容器本体10と蓋体30との接合前の状態を示す模式図である。第一および第二実施形態では、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節するための高さ調節構造が、容器本体10または蓋体30の一部を分離させて、容器本体10または蓋体30の上下方向の長さを変えることにより、高さを調節する例について説明した。高さ調整構造は、必ずしも部材の一部を分離させなくてもよい。
【0041】
図10に示される、第三実施形態の容器本体10は、外鞘部22を有している。外鞘部22は、中空円筒状の形状を有している。外鞘部22は、円筒部18よりも大径に設けられている。円筒部18の外径が、外鞘部22の内径と略一致している。外鞘部22は、円筒部18に対して相対移動可能に、円筒部18の外周面に取り付けられている。外鞘部22の内周面が円筒部18の外周面に対して気密に摺動可能に、外鞘部22は円筒部18に取り付けられている。
【0042】
蓋体30の筒状部34は、大径筒部46と、大径筒部46よりも小径の小径筒部48とを有している。蓋体30は、大径筒部46の上端に蓋部32が取り付けられ大径筒部46の下端に小径筒部48が接合された形状をなしており、大径筒部46と蓋部32とは中空有底の筒形状を形成している。小径筒部48は中空筒状の形状を有している。大径筒部46の外径が、容器本体10の外鞘部22の内径と略一致している。大径筒部46は、外鞘部22に気密に嵌合する。小径筒部48は、容器本体10の円筒部18の内径以下の外径を有している。小径筒部48の外径が円筒部18の内径よりも小さくてもよい。小径筒部48が円筒部18に気密に嵌合してもよい。
【0043】
図11は、
図10に示される容器本体10に蓋体30を嵌め入れて形成された反応容器1を示す模式図である。
図11に示される反応容器1は、
図10に示されるそのままの形状の容器本体10に、蓋体30が嵌め入れられて、形成されている。蓋体30の大径筒部46が、容器本体10の外鞘部22に気密に嵌合して、反応容器1が形成されている。容器本体10の内部、具体的には外鞘部22の内部に、大径筒部46の一部と小径筒部48の全部が収容されている。
図11に示される反応容器1における、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さは、高さH1である。
【0044】
図12は、
図10に示される容器本体に蓋体を嵌め入れる嵌入長さを変えて形成された反応容器を示す模式図である。
図11に示される反応容器1と比較して、蓋体30が容器本体10内にさらに嵌め入れられて、
図12に示される反応容器1が形成されている。蓋体30の、大径筒部46と小径筒部48との全部が、容器本体10の内部に収容されている。具体的には、蓋体30の大径筒部46の全部が、外鞘部22の内部に収容されている。蓋体30の小径筒部48の全部が、円筒部18の内部に収容されている。
【0045】
容器本体10は、変形している。より詳細には、蓋体30が容器本体10内に押し込まれる際に、外鞘部22が蓋部32によって押されて、外鞘部22が円筒部18に対して摺動することで、容器本体10の高さが小さくなっている。
図12に示される反応容器1における、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さは、高さH2である。
【0046】
図12に示される高さH2は、
図11に示される高さH1と異なっている。具体的には、高さH2は、高さH1よりも小さい。
図11に示される反応容器1と比較して、
図12に示される反応容器1では、蓋体30が容器本体10に嵌め入れられる嵌入長さが大きくなっていることにより、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが小さくなっている。第三実施形態では、蓋体30の容器本体10への嵌入長さを変えることにより、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さが調節されている。第三実施形態では、容器本体10と蓋体30とが連携して、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節するための高さ調節構造を形成している。
【0047】
第三実施形態の反応容器1は、蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節することで、高さH1の反応容器1に用いられる装置と高さH2の反応容器1に用いられる装置との両方に用いられ得る。
図10に示される1種類の容器本体10と1種類の蓋体30とを準備すればよく、容器本体と蓋体とを複数種類準備する必要がないので、複数種類の容量の反応容器1を準備するための手間を削減することができる。
【0048】
第三実施形態では、蓋体30を容器本体10に嵌め入れて反応容器1を形成する例について説明したが、容器本体10を蓋体30に嵌め入れて反応容器1を形成してもよい。この場合、容器本体10の蓋体30への嵌入長さを変えることで、容器本体10に取り付けられた蓋体30から容器本体10の下端14までの高さを調節してもよい。
【0049】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0050】
(第1項) 一態様に係る反応容器は、容器本体と、蓋体と、を備えている。容器本体は、上端と下端とを有し、上端に開口部を有する、有底筒状である。蓋体は、容器本体の上端に取り付けられることで、開口部を気密状態で閉塞して、容器本体の内部を密閉する。容器本体と蓋体との少なくともいずれか一方は、容器本体に取り付けられた蓋体から容器本体の下端までの高さを調節するための、高さ調節構造を有している。
【0051】
反応容器が高さ調節構造を有しており、蓋体から容器本体の下端までの高さを調節することで、容量の異なる反応容器に用いられる複数の装置のいずれにも、第1項に記載の反応容器が用いられ得る。1種類の容器本体と1種類の蓋体とを備える反応容器を準備すればよく、容器本体と蓋体とを複数種類準備する必要がない。反応容器を製造するメーカーは1種類のみの金型を準備すればよく、ユーザーは1種類のみの反応容器を調達すればよいことになる。したがって、複数種類の容量の反応容器を準備するための手間を削減することができる。
【0052】
(第2項) 第1項に記載の反応容器において、蓋体は、容器本体に接合される筒状部を有しており、高さ調節構造は、筒状部の長さを変えることにより、高さを調節してもよい。
【0053】
蓋体の筒状部の長さを変えることにより蓋体から容器本体の下端までの高さを調節することができるので、容量の異なる反応容器に用いられる複数の装置のいずれにも用いられ得る反応容器を、確実に実現することができる。
【0054】
(第3項) 第2項に記載の反応容器において、筒状部は、第1筒部と、第1筒部と一体に形成されかつ第1筒部から分離可能な第2筒部と、を有しており、第1筒部と第2筒部とが一体の状態で、第2筒部が容器本体に接合され、第1筒部から第2筒部が分離された状態で、第1筒部が容器本体に接合されてもよい。
【0055】
筒状部が、互いに分離可能な第1筒部と第2筒部とを有するので、第1筒部から第2筒部を分離させることで蓋体の筒状部の長さを変えて、蓋体から容器本体の下端までの高さを容易に調節することができる。
【0056】
(第4項) 第3項に記載の反応容器において、筒状部は、環状溝を有しており、環状溝は、第1筒部と第2筒部とが一体の状態で、第1筒部と第2筒部との境界を形成してもよい。
【0057】
環状溝に沿って第1筒部から第2筒部を分離させることが可能になることで、第1部材から第2部材を容易に分離することができる。
【0058】
(第5項) 第1項に記載の反応容器において、高さ調節構造は、蓋体と容器本体との一方が他方に嵌め入れられる嵌入長さを変えることにより、高さを調節してもよい。
【0059】
嵌入長さを変えることにより蓋体から容器本体の下端までの高さを調節することができるので、容量の異なる反応容器に用いられる複数の装置のいずれにも用いられ得る反応容器を、確実に実現することができる。
【0060】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 反応容器、10 容器本体、12 上端、14 下端、16 開口部、18 円筒部、20 先細り部、22 外鞘部、24,40 環状溝、26,36 第1筒部、28,38 第2筒部、30 蓋体、32 蓋部、34 筒状部、46 大径筒部、48 小径筒部、50 密閉空間、80 試薬、100 サーマルブロック、102 ウェル、110 加熱蓋。