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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】測定装置及び測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20230829BHJP
   G01L 1/16 20060101ALI20230829BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G01B7/16 Z
G01L1/16 B
B60C23/04 110A
B60C23/04 110E
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020031137
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021067664
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2019190609
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】千里内 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】米田 貞春
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0118196(US,A1)
【文献】特開2019-043478(JP,A)
【文献】特開2016-078473(JP,A)
【文献】特開2017-156258(JP,A)
【文献】国際公開第2012/069515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/16
G01L 1/16
G01L 5/00
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記弾性体は、前記第1センサを空間を隔てて囲む若しくは覆う、又は、自身と前記被測定物との間に前記第1センサを挟む、測定装置。
【請求項2】
前記第1センサは、歪センサを含む、請求項に記載の測定装置。
【請求項3】
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記第1センサは、歪センサを含み、
前記歪センサは、薄膜の圧電素子を備えるチップであり、
前記チップは、フレキシブル基板上にワイヤボンディングにより実装され、
前記フレキシブル基板は、外部への配線が接続される配線接続部を有する、測定装置。
【請求項4】
前記チップと前記フレキシブル基板とを接続する配線が、保護材で覆われている、請求項に記載の測定装置。
【請求項5】
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記第1センサは、歪センサを含み、
前記歪センサは、薄膜の圧電素子を備えるチップであり、
前記チップは、フレキシブル基板上にフリップチップ実装されている、測定装置。
【請求項6】
前記チップが、保護材で覆われている、請求項からのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記フレキシブル基板上に、前記チップの実装部分を避けて設けられたレジストを有する、請求項からのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記フレキシブル基板の前記チップとは反対側の面の、前記チップの真裏を含む少なくとも一部に、厚さ20μm以下の金属箔が設けられている、請求項からのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記チップに温度センサが設けられている、請求項からのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項10】
被測定物の面上に設ける温度センサを備え、
前記温度センサは、前記弾性体と前記被測定物との間に位置する、請求項1からのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項11】
前記第1センサは、前記被測定物の曲面上に設けられ、
前記弾性体は、EPDM又はシリコーンゴムを使用した発泡ゴムであり、
前記弾性体の厚さが、前記曲面のうち前記弾性体の直下に位置する部分の高低差以上である、請求項1から10のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項12】
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記弾性体の前記被測定物側の面に設けられた保護シートを備え、
前記保護シートの前記弾性体とは反対側の面が、前記被測定物との接触面となり、
前記第1センサは、前記弾性体及び前記保護シートの間に設けられている、測定装置。
【請求項13】
前記保護シートは、EPDM、シリコーンゴム又はオレフィン系エラストマーであり、
前記保護シートの厚さが、1mm以下である、請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
前記弾性体の前記被測定物側の面に設けられた第2シートを備え、
前記第2シートは、前記保護シートよりも前記被測定物に接着しやすい材質であり、
前記第2シートの前記弾性体とは反対側の面が、前記被測定物との接触面となる、請求項12又は13に記載の測定装置。
【請求項15】
前記被測定物がタイヤであり、前記タイヤの内面上に設けられ、前記タイヤの状態又は前記タイヤが接触する路面の状況を推定するための測定結果を得る、請求項1から14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項16】
請求項15に記載の測定装置と、
前記タイヤの空気圧調整に使用するバルブに設けられた中継装置と、を備え、
前記測定装置の測定結果信号を、前記中継装置を介して外部端末に送信する、測定システム。
【請求項17】
タイヤの内面上に設けられ、前記タイヤの状態又は前記タイヤが接触する路面の状況を推定するための測定結果を得る測定装置と、
前記タイヤの空気圧調整に使用するバルブに設けられた中継装置と、を備え、
前記測定装置の測定結果信号を、前記中継装置を介して外部端末に送信する、測定システムであって、
前記測定装置は、
前記タイヤの内面上に設ける第1センサと、
自身と前記タイヤとの間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記タイヤとの間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備える、測定システム。
【請求項18】
前記中継装置と前記測定装置とが有線接続され、前記中継装置から前記測定装置に電力が供給される、請求項16又は17に記載の測定システム。
【請求項19】
前記測定装置及び前記中継装置ではセンシング信号のデジタル化を行い、前記外部端末によりデジタル化の後の演算処理を行う、請求項16から18のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項20】
前記外部端末は、外部に設置されたストレージサーバにデータを蓄積し、
前記ストレージサーバのデータに別の端末からアクセス可能である、請求項16から19のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項21】
前記ストレージサーバに、センシング信号をデジタル化した後の演算処理を行っていない演算前データを保存すると共に、同時期の前記タイヤの状態の実測データを保存し、前記演算前データ及び前記実測データを基に、前記演算処理に用いるプログラムを評価あるいは更新する、請求項20に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタイヤ等の被測定物の状態検出に用いられる測定装置及び測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、タイヤの状態を検出する機能部品をタイヤ内面に取り付けるための取付構造体に関する。この取付構造体は、エラストマーで構成される台座と、剛性を有する枠体と、剛性を有する基体と、機能部品と、を有する。台座は、タイヤ内面に接着される。枠体は、台座の上面に配置される。基体は、枠体に収容される。機能部品は、基体に載置される。機能部品としては、圧力センサや温度センサ、加速度センサが例示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-245889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、剛性を有する基体にセンサが載置されるため、タイヤの例えば歪みがセンサに伝わらず、測定用途が限定され、不便であった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、利便性を高めることの可能な測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、測定装置である。この測定装置は、
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記弾性体は、前記第1センサを空間を隔てて囲む若しくは覆う、又は、自身と前記被測定物との間に前記第1センサを挟
【0008】
前記第1センサは、歪センサを含んでもよい。
【0009】
本発明の別の態様は、測定装置である。この測定装置は、
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記第1センサは、歪センサを含み、
前記歪センサは、薄膜の圧電素子を備えるチップであり、
前記チップは、フレキシブル基板上にワイヤボンディングにより実装され、
前記フレキシブル基板は、外部への配線が接続される配線接続部を有する
【0010】
前記チップと前記フレキシブル基板とを接続する配線が、保護材で覆われてもよい。
【0011】
本発明の別の態様は、測定装置である。この測定装置は、
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記第1センサは、歪センサを含み、
前記歪センサは、薄膜の圧電素子を備えるチップであり、
前記チップは、フレキシブル基板上にフリップチップ実装されている
【0012】
前記チップが、保護材で覆われてもよい。
【0013】
前記フレキシブル基板上に、前記チップの実装部分を避けて設けられたレジストを有してもよい。
【0014】
前記フレキシブル基板の前記チップとは反対側の面の、前記チップの真裏を含む少なくとも一部に、厚さ20μm以下の金属箔が設けられてもよい。
【0015】
前記チップに温度センサが設けられてもよい。
【0016】
被測定物の面上に設ける温度センサを備え、
前記温度センサは、前記弾性体と前記被測定物との間に位置してもよい。
【0017】
前記第1センサは、前記被測定物の曲面上に設けられ、
前記弾性体は、EPDM又はシリコーンゴムを使用した発泡ゴムであり、
前記弾性体の厚さが、前記曲面のうち前記弾性体の直下に位置する部分の高低差以上であってもよい。
【0018】
本発明の別の態様は、測定装置である。この測定装置は、
被測定物の面上に設ける第1センサと、
自身と前記被測定物との間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記被測定物との間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備え、
前記弾性体の前記被測定物側の面に設けられた保護シートを備え、
前記保護シートの前記弾性体とは反対側の面が、前記被測定物との接触面となり、
前記第1センサは、前記弾性体及び前記保護シートの間に設けられている
【0019】
前記保護シートは、EPDM、シリコーンゴム又はオレフィン系エラストマーであり、
前記保護シートの厚さが、1mm以下であってもよい。
【0020】
前記弾性体の前記被測定物側の面に設けられた第2シートを備え、
前記第2シートは、前記保護シートよりも前記被測定物に接着しやすい材質であり、
前記第2シートの前記弾性体とは反対側の面が、前記被測定物との接触面となってもよい。
【0021】
前記被測定物がタイヤであり、前記タイヤの内面上に設けられ、前記タイヤの状態又は前記タイヤが接触する路面の状況を推定するための測定結果を得てもよい。
【0022】
本発明の別の態様は、測定システムである。この測定システムは、
前記測定装置と、
前記タイヤの空気圧調整に使用するバルブに設けられた中継装置と、を備え、
前記測定装置の測定結果信号を、前記中継装置を介して外部端末に送信する。
本発明の別の態様は、測定システムである。この測定システムは、
タイヤの内面上に設けられ、前記タイヤの状態又は前記タイヤが接触する路面の状況を推定するための測定結果を得る測定装置と、
前記タイヤの空気圧調整に使用するバルブに設けられた中継装置と、を備え、
前記測定装置の測定結果信号を、前記中継装置を介して外部端末に送信する、測定システムであって、
前記測定装置は、
前記タイヤの内面上に設ける第1センサと、
自身と前記タイヤとの間に前記第1センサが位置するように設けられるケースと、
前記ケースと前記タイヤとの間に介在する弾性体と、
前記ケース内に設けられた、前記第1センサの出力信号を処理する処理回路と、を備える
【0023】
前記中継装置と前記測定装置とが有線接続され、前記中継装置から前記測定装置に電力が供給されてもよい。
【0024】
前記測定装置及び前記中継装置ではセンシング信号のデジタル化を行い、前記外部端末によりデジタル化の後の演算処理を行ってもよい。
【0025】
前記外部端末は、外部に設置されたストレージサーバにデータを蓄積し、
前記ストレージサーバのデータに別の端末からアクセス可能であってもよい。
【0026】
前記ストレージサーバに、センシング信号をデジタル化した後の演算処理を行っていない演算前データを保存すると共に、同時期の前記タイヤの状態の実測データを保存し、前記演算前データ及び前記実測データを基に、前記演算処理に用いるプログラムを評価あるいは更新してもよい。
【0027】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、利便性を高めることの可能な測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態1に係る測定装置1を被測定物11の平面上に設置した状態の断面図。
図2】測定装置1を被測定物11の凸曲面上に設置した状態の断面図。
図3】測定装置1を被測定物11の凹曲面上に設置した状態の断面図。
図4】測定装置1の第1センサ2の断面図。
図5】測定装置1の第1センサ2及び処理回路8の例示的な回路図。
図6】第1センサ2及びそれをワイヤボンディングにより実装したフレキシブル基板12の平面図。
図7】同断面図。
図8】第1センサ2及びそれをフリップチップ実装したフレキシブル基板12の断面図。
図9図6に保護材17を追加した場合の平面図。
図10】同断面図。
図11図10のフレキシブル基板12の下面にシールド18を設けた場合の断面図。
図12】フレキシブル基板12上のレジスト30の塗布領域を示す平面図。
図13】同断面図。
図14】本発明の実施の形態2に係る測定装置1Aを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図。
図15】本発明の実施の形態3に係る測定装置における第1センサ2の平面図。
図16】同断面図。
図17】本発明の実施の形態4に係る測定装置1Bを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図。
図18】本発明の実施の形態5に係る測定装置1Cを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図。
図19図18のA-A断面図。
図20】本発明の実施の形態6に係る測定装置1Dを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図。
図21】本発明の実施の形態7に係る測定システムの簡易説明図。
図22】前記測定システムの簡易ブロック図。
図23】前記測定システムにおける処理の説明図。
図24】本発明の実施の形態8に係る測定システムの簡易ブロック図。
図25】本発明の実施の形態9に係る測定システムの簡易ブロック図。
図26】本発明の実施の形態10に係る測定システムの簡易ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0031】
(実施の形態1)
図1図11を参照し、本発明の実施の形態1を説明する。本実施の形態は、測定装置1に関する。測定装置1は、被測定物11の面上に設置可能なセンサモジュールである。測定装置1を設置する被測定物11の面は、平面あるいは曲面である。図1は、平面の場合を示す。図2及び図3は、曲面の場合を示す。測定装置1は、被測定物11の歪データなど、被測定物11の状態を推定するための測定結果を得る。被測定物11は、経年劣化が生じるもの、断続的に機械的負荷がかかるもの、あるいは粘弾性材などの変形するものである。具体的には、タイヤ、橋脚などの構造物、ベルトコンベアなどに使用されるベルト、あるいは各種ダンパを構成するゴムが、被測定物11として例示される。
【0032】
橋脚などの構造物の場合、測定装置1は当該構造物の曲面上に設置する。当該構造物に亀裂などが発生すると、測定装置1で測定する歪データに変化が現れる。この変化により当該構造物の劣化を監視できる。タイヤやベルトの場合、使用中の歪データが劣化により変化する。この変化によりタイヤやベルトの劣化状態を監視できる。ベルトの場合、歪データにより、たるみも監視できる。各種ダンパを構成するゴムの場合、測定装置1は当該ゴムの曲面上に設置する。当該ゴムに異常が発生すると、歪データに変化が現れる。この変化によりダンパの異常有無を監視できる。
【0033】
測定装置1は、第1センサ2と、弾性体3と、保護シート4と、ケース(筐体)5と、を備える。第1センサ2は、歪センサである。第1センサ2は、被測定物11に近接して設ける必要性の高いセンサ(検出部)である。第1センサ2は、保護シート4を介して、被測定物11の面上に設けられる。弾性体3は、自身と被測定物11との間に第1センサ2を挟む。第1センサ2は、弾性体3又は保護シート4に接着等により固定される。保護シート4は、弾性体3の被測定物11側の面に設けられる(例えば接着により固定される)。保護シート4の弾性体3とは反対側の面が、被測定物11との接触面(接着面)となる。第1センサ2は、弾性体3及び保護シート4の間に挟まれる。ケース5は、弾性体3の被測定物11とは反対側の面に設けられる(例えば接着により固定される)。
【0034】
ケース5は、好ましくは絶縁性かつ樹脂製である。ケース5は、自身の内外間での無線通信を妨げない材質である。ケース5内に、基板6が設けられる(例えばネジ止め等により固定される)。基板6上に、通信手段7、処理回路8、第2センサ9、及び電力供給手段10が設けられる。通信手段7は、例えば無線通信モジュールである。通信手段7は、測定装置1の測定結果を図示しない外部端末に無線送信する機能を有する。外部端末は、測定結果を表示できる。処理回路8は、第1センサ2及び第2センサ9の出力信号を処理する回路である。第2センサ9は、歪センサ以外のセンサである。第2センサ9は、例えば、温度センサ、圧力センサ、加速度センサである。第2センサ9は、被測定物11に近接して設ける必要性の低いセンサである。電力供給手段10は、例えば電池である。
【0035】
弾性体3は、好ましくはEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)又はシリコーンゴムを使用した発泡ゴムである。弾性体3を発泡ゴムとすることで、同じ大きさの非発泡ゴムを用いる場合と比較して測定装置1を軽量化できる。弾性体3として経時変化の小さいEPDM又はシリコーンゴムを用いることで、信頼性を高めることができる。図2のように測定装置1を被測定物11の凸曲面上に設置する場合、弾性体3の厚さT1は、当該曲面のうち保護シート4と接触する部分、すなわち当該曲面のうち弾性体3の直下に位置する部分の高低差T2以上、すなわちT1≧T2であるとよい。好ましくは、T1≧T2×2とする。図3のように測定装置1を被測定物11の凹曲面上に設置する場合も同様に、弾性体3の厚さT1は、当該曲面のうち保護シート4と接触する部分、すなわち当該曲面のうち弾性体3の直下に位置する部分の高低差T3以上、すなわちT1≧T3であるとよい。好ましくは、T1≧T3×2とする。弾性体3の厚さT1を上記のようにすることで、被測定物11の曲面形状や変形によってケース5に加わる曲げ応力を好適に抑制できる。
【0036】
保護シート4は、好ましくはEPDM、シリコーンゴム又はオレフィン系エラストマーである。これにより、保護シート4の硬さの経時変化が小さくなり、当該経時変化が第1センサ2の出力に与える影響を抑制でき、検出の正確性が高められる。保護シート4は、非発泡ゴムからなる薄い弾性シートである。保護シート4の面積は、弾性体3の面積と略等しい。保護シート4の厚さは、好ましくは1mm以下である。保護シート4が厚すぎると、被測定物11の歪が、第1センサ2に伝達される過程で保護シート4により大きく減衰してしまう。この点、保護シート4の厚さを1mm以下とすることで、被測定物11の歪を大きく減衰させることなく第1センサ2に伝達できる。保護シート4により、第1センサ2を衝撃や水、埃などから保護できる。
【0037】
図4に示すように第1センサ2は、圧電薄膜(薄膜PZT)2aの両面に電極2bをそれぞれ設けたチップ(薄膜圧電素子チップ)である。薄膜の圧電素子は、柔軟性があり、被測定物11が大きく変形する場合にも好適に利用できる。薄膜の圧電素子は、自身で電荷を発生するので、小電力で被測定物11の歪を測定できる。第1センサ2の出力信号(センシング信号)は処理回路8によって処理される。図5に示すように、処理回路8は、オペアンプ8aを含む増幅回路と、AD変換器8bと、を含む。処理回路8は、アナログ値である第1センサ2の出力信号を増幅し、AD変換によりデジタル値に変換する。
【0038】
図6及び図7の例では、第1センサ2は、フレキシブル基板12上にワイヤーボンディングにより実装される。ボンディングワイヤ13は、第1センサ2とフレキシブル基板12上の電極(ボンディングパッド)12aとを互いに電気的に接続する。ボンディングワイヤ13は、例えば、金、アルミニウム、銅などの超極細な金属線である。ボンディングワイヤ13は、保護材14で覆われる。保護材14は、例えばシリコーンゴムである。保護材14により、ボンディングワイヤ13の外れを防止できる。フレキシブル基板12上には、配線接続部(ボンディングパッド)12b及び配線パターン12cが設けられる。配線接続部12bには、外部接続用の配線15の一端が電気的に接続される。配線接続部12bを設けることで外部に信号を取り出すことが容易になる。配線15により、外部回路への接続が容易になる。配線15の他端は、ケース5内に導かれ、基板6に電気的に接続される。配線パターン12cは、電極12aと配線接続部12bとを互いに電気的に接続する。
【0039】
図8に示す例では、第1センサ2は、フレキシブル基板12上にフリップチップ実装される。第1センサ2に設けられたバンプ2cがフレキシブル基板12に接合される。第1センサ2とフレキシブル基板12との隙間は、接着剤(アンダーフィル)16で満たされる。フリップチップ実装とすることで、ワイヤボンディングの工程を省くことができる。いずれの実装方法においても、第1センサ2をフレキシブル基板12上に設けることで、被測定物11の歪が第1センサ2に伝達される過程での減衰を抑制でき、また取扱いが容易となる。
【0040】
図9及び図10に示すように、図6及び図7の構成例に対して保護材17を追加してもよい。保護材17は、柔軟性の高い樹脂であり、例えばシリコーンゴムである。保護材17は、第1センサ2やフレキシブル基板12上の各部を全体的に覆って保護する効果を有する。保護材17を柔軟性の高い樹脂とすることで、第1センサ2の歪センサとして必要な変形を大きく妨げることがない。図示は省略したが、第1センサ2をフレキシブル基板12上にフリップチップ実装する場合も、保護材17を設けることで同様の作用効果を奏することができる。
【0041】
図11に示すように、図10のフレキシブル基板12の下面、すなわち第1センサ2とは反対側の面に、シールド18を追加してもよい。シールド18は、金属箔であり、好ましくは厚さ20μm以下である。シールド18の厚さを20μm以下とすることで、シールド18を安価かつ容易に形成でき、また第1センサ2の歪センサとして必要な変形を大きく妨げることがない。シールド18は、グランドに電気的に接続される。シールド18により、第1センサ2の出力信号にノイズが乗ることを抑制できる。シールド18は、好ましくはフレキシブル基板12の下面全体に設けられるが、第1センサ2の真裏を含む所定範囲に限定して設けられてもよい。
【0042】
図12及び図13により、フレキシブル基板12上にレジスト(絶縁膜)30を塗布する場合の塗布範囲について説明する。レジスト30は、例えばソルダーレジストであり、フレキシブル基板12の少なくとも上面に設けられる。レジスト30は、第1センサ2の実装部分を避けて設けられる。また、レジスト30は、電極12a及び配線接続部12bの形成部分も避けて設けられる。換言すれば、レジスト30は複数の貫通した開口部30aを有し、各々の開口部30aの内側に第1センサ2、電極12a及び配線接続部12bがそれぞれ位置する。フレキシブル基板12にレジスト30を塗布すると、塗布部分の柔軟性が低下する。しかし、第1センサ2の実装部分を避けてレジスト30を設けることにより、フレキシブル基板12のうち第1センサ2の実装部分は柔軟性の低下が抑制される。したがって、レジスト30による絶縁及び保護の効果を得ながら、第1センサ2の歪センサとして必要な変形を大きく妨げることがない。
【0043】
本実施の形態によれば、下記の作用効果を奏することができる。
【0044】
(1) 歪センサである第1センサ2を保護シート4を介して被測定物11の面上に設けている。このため、従来のように剛性を有する基体にセンサを載置する場合と異なり、被測定物11の歪の測定が可能となる。よって、測定用途が広がり、利便性が高められる。
【0045】
(2) 測定装置1は、歪センサ以外のセンサである第2センサ9を備える。このため、被測定物11の歪以外の状態も測定でき、利便性が高められる。
【0046】
(3) 被測定物11に近接して設ける必要性の低い基板6、通信手段7、処理回路8、第2センサ9、及び電力供給手段10をケース5内に設けて外部環境から保護するため、信頼性が高められる。
【0047】
(4) 保護シート4と比較して厚みのある弾性体3をケース5と被測定物11との間に介在させている。このため、被測定物11の曲面形状や変形によってケース5に加わる曲げ応力を好適に抑制でき、またケース5及びその内部の部品を衝撃等から保護することができる。
【0048】
(5) 測定装置1は、測定結果を図示しない外部端末に無線送信する機能を有する。このため、外部端末により測定結果を表示して使用者に報知することができ、利便性が高められる。
【0049】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2に係る測定装置1Aを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図である。測定装置1Aは、実施の形態1の測定装置1と比較して、温度センサ19が追加された点で相違し、その他の点で一致する。温度センサ19は、保護シート4を介して、被測定物11の面上に設けられる。温度センサ19は、弾性体3と保護シート4との間に挟まれる(弾性体3と保護シート4との間に位置する)。図示は省略したが、温度センサ19は、第1センサ2が実装されたフレキシブル基板12上に実装することができる。温度センサ19は、被測定物11の温度を検出する。温度センサ19の検出結果により、第1センサ2の温度特性や被測定物11の温度変化が検出結果に及ぼす影響を補正できる。
【0050】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態2において第1センサ2とは別体で設けた温度センサ19を、第1センサ2と同じチップに設けたものである。具体的には、図15及び図16に示すように、第1センサ2を構成するチップの上面に、絶縁層21を介して温度センサとなる抵抗パターン22が設けられる。抵抗パターン22を成す導体は、例えば白金である。温度に応じた抵抗パターン22の抵抗値変化を基に、第1センサ2及び被測定物11の温度を検出できる。第1センサ2と同じチップに設けた抵抗パターン22を温度センサとすることで、測定装置1の部品点数を削減できると共に、温度の影響をより正確に補正できる。
【0051】
(実施の形態4)
図17は、本発明の実施の形態4に係る測定装置1Bを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図である。測定装置1Bは、実施の形態1の測定装置1と比較して、保護シート4のうち第1センサ2の直下及びその近傍を除く部分が第2シート20に替わった点で相違し、その他の点で一致する。第2シート20は、弾性体3の被測定物11側の面に、保護シート4の周囲を囲むように設けられる。第2シート20は、保護シート4よりも被測定物11に接着しやすい材質である。第2シート20は、EPDM、シリコーンゴム又はオレフィン系エラストマーよりも被測定物11に接着しやすい材料からなる。第2シート20の厚さは、保護シート4の厚さと略等しい。第2シート20の弾性体3とは反対側の面が、被測定物11との接触面(接着面)となる。本実施の形態によれば、第2シート20を用いることで、測定装置1をより強固に被測定物11の面上に接着、固定できる。
【0052】
(実施の形態5)
図18は、本発明の実施の形態5に係る測定装置1Cを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図である。図19は、図18のA-A断面図である。測定装置1Cは、実施の形態1の測定装置1と比較して、弾性体3が貫通穴3aを有し、貫通穴3aの内部に第1センサ2が位置する点で相違し、その他の点で一致する。第1センサ2とケース5は互いに空間を隔てて対向する。弾性体3は、第1センサ2を好ましくは空間を隔てて囲む。
【0053】
本実施の形態によれば、第1センサ2を弾性体3の貫通穴3a内に設けることで、第1センサ2を変形しやすくすることができ、より大きなセンシング信号が得られる。すなわち、測定装置として高感度になる。また、弾性体3が第1センサ2を被測定物11側に向けて押圧しなくなるため、保護シート4のうち第1センサ2の直下の部分が被測定物11側に膨らむことを抑制できる。これにより、保護シート4の被測定物11側の面の平坦度を高めることができ、被測定物11に対する保護シート4の接着性が良くなる。また、測定装置1Cを被測定物11の面上に接着等で固定する際に加えられる力が第1センサ2に加わることを抑制でき、第1センサ2へのダメージを抑制できる。これにより、測定装置としての不具合発生率を低下させることができる。
【0054】
(実施の形態6)
図20は、本発明の実施の形態6に係る測定装置1Dを被測定物11の平面上に設置した状態の断面図である。測定装置1Dは、実施の形態5の測定装置1Cと比較して、弾性体3の貫通穴3aが凹部3bに替わった点で相違し、その他の点で一致する。凹部3bは、弾性体3の被測定物11側の面に設けられる。凹部3bの内部に第1センサ2が位置する。凹部3bは、第1センサ2の外形サイズ以上の大きさである。凹部3bは、第1センサ2を好ましくは空間を隔てて覆う。本実施の形態も、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。実施の形態5のように弾性体3に貫通穴3aを設ける構成や、実施の形態6のように弾性体3に凹部3bを設ける構成は、実施の形態2~実施の形態4に適用してもよい。
【0055】
(実施の形態7)
本実施の形態は、タイヤの劣化状態を測定する測定システムに関する。この測定システムは、図21に示すように、実施の形態1の測定装置1と、中継装置(中継モジュール)25と、外部端末26と、を備える。被測定物11は、自動車のタイヤである。測定装置1は、被測定物11の内面上に設けられる。測定装置1は、被測定物11の状態又は被測定物11が接触する路面の状況を推定するための測定結果を得る。
【0056】
測定装置1によって得られる被測定物11の歪データは、被測定物11の劣化状態によって変化する。例えば、タイヤは経年劣化により硬くなるため、回転時の歪データが変化する。このため、歪データからタイヤの劣化状態を推定できる。また、歪データは、路面状況によっても変化する。このため、歪データから路面状況を推定できる。被測定物11の状態を推定するための測定装置1と、路面状況を推定するための測定装置1と、を別々に設けてもよい。この場合、例えば、被測定物11の状態を推定するための測定装置1をトレッド部の内面(裏面)に設け、路面状況を推定するための測定装置1をサイドウォール部の内面に設けてもよい。測定装置1は、他の実施の形態の測定装置に置き換えてもよい。被測定物11は、ホイール23に装着されている。ホイール23には、タイヤの空気圧調整に使用するバルブ24が設けられる。中継装置25は、バルブ24に設けられる(取り付けられる)。外部端末26は、例えばこのタイヤを装着した自動車のコンピュータである。
【0057】
図22に示すように、測定装置1の測定結果信号は、中継装置25を介して外部端末26に送信される。すなわち、測定結果信号は、測定装置1から中継装置25に送信され、中継装置25から外部端末26に送信される。測定装置1と中継装置25との間の距離は小さいため、測定装置1の無線出力は、測定装置1が外部端末26に測定結果信号を直接送信する場合と比較して小さくてよい。よって、測定装置1の電池交換の頻度を減らすことができる。一方、中継装置25と外部端末26との間の距離は大きいため、中継装置25の無線出力は大きくする必要がある。しかし、バルブ24に取り付けた中継装置25は、タイヤ内の測定装置1と比較して電池交換が行いやすいので、利便性が高い。
【0058】
図23に示すように、測定装置1及び中継装置25では、センシング(S1)及びその結果得られたアナログ信号であるセンシング信号のアナログデジタル変換(S2)を行って外部端末26に無線伝送する(S3)。外部端末26は、中継装置25から信号を受信し(S4)、受信信号を基にした演算(S5)を行い、被測定物11の劣化状態の判定及びその結果の表示(S6)、並びに被測定物11が接触する路面の状況の推定及びその結果の表示(S7)を行う。このように、測定結果信号に対するアナログデジタル変換後の演算処理を外部端末26で実施することで、当該演算処理を測定装置1及び中継装置25で行う場合と比較して、測定装置1及び中継装置25の消費電力を小さくでき、測定装置1及び中継装置25の電池交換の頻度を減らすことができる。
【0059】
(実施の形態8)
本実施の形態は、測定システムに関する。この測定システムは、実施の形態7の測定システムと比較して、図24に示すように測定装置1と中継装置25とが互いに有線接続され、測定装置1が電池を有さない点で相違し、その他の点で一致する。図24において、外部端末26の図示を省略している。測定装置1の動作電力は、中継装置25の有する電池25aから有線で供給される。測定装置1の図1に示す電力供給手段10は、中継装置25から延びる電力配線を接続するコネクタである。中継装置25から測定装置1に電力を供給することで、測定装置1に電池が不要になり、測定装置1の電池交換が不要となる。測定装置1と中継装置25とが有線接続される場合、測定装置1から測定結果信号を中継装置25に有線送信してもよい。この場合、測定装置1の図1に示す通信手段7は、有線通信用の配線を接続するコネクタである。
【0060】
(実施の形態9)
図25は、本発明の実施の形態9に係る測定システムの簡易ブロック図である。図25に示す多数の外部端末26の各々は、実施の形態7の測定システムにおける外部端末26と同様のものであり、図示を省略した測定装置及び中継装置と組み合わされる。各外部端末26は、自身と対応するタイヤの劣化状態の判定結果及び路面状況の推定結果、並びに自身と対応する測定装置のID(センサモジュールID)などのデータを、外部記憶装置(ストレージサーバ)27に蓄積(アップロード)する。外部記憶装置27には、外部端末26とは別の任意の端末28からアクセス可能である。任意の端末28は、外部記憶装置27から必要なデータをダウンロードできる。これによれば、外部端末26にデータを蓄積する必要がない。また、ユーザは、自由なタイミングで、通信が可能な任意の場所からタイヤに関するデータを確認できる。例えば、カーシェアリング会社の管理担当社員など、多数の車を管理するユーザは、ばらばらの場所に存在する車のタイヤの状態や走行した路面の履歴を一元管理できて便利である。
【0061】
(実施の形態10)
図26は、本発明の実施の形態10に係る測定システムの簡易ブロック図である。図26に示す外部端末26は、実施の形態7の測定システムにおける外部端末26と同様のものであり、図示を省略した測定装置及び中継装置と組み合わされる。外部端末26は、自身と対応する測定装置のID、並びに測定装置から得られるタイヤの歪データ及び歪以外のデータを定期的に外部記憶装置27に蓄積する。歪データ及び歪以外のデータは、センシング後にデジタル化したデータであり、デジタル化した後の演算処理を行っていない演算前データである。同時期に、タイヤデータ取得用専用端末29は、タイヤのトレッド厚、硬度、及びその他のデータを前記測定装置のIDと共に外部記憶装置27に蓄積する。タイヤデータ取得用専用端末29は、例えば整備工場にあり、タイヤのトレッド厚や硬度などの実測データを外部記憶装置27に蓄積する。蓄積の時期は、車検や定期点検のタイミングである。これによれば、外部記憶装置27には、測定装置で得られるタイヤの歪データや歪以外のデータと、同時期のタイヤの実際のトレッド厚や硬度が対応づけて保存される。任意の端末28では、タイヤの歪データや歪以外のデータと、タイヤの実際のトレッド厚や硬度とを基に、歪データや歪以外のデータからタイヤの状態や路面状況を推定するための演算処理に用いるプログラムを評価あるいは更新する。本実施の形態によれば、タイヤの歪データや歪以外のデータと、タイヤの実際のトレッド厚や硬度と、の関係を示す学習データが増え、タイヤの歪データや歪以外のデータからタイヤの実際のトレッド厚や硬度を推定する精度が高められる。
【0062】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0063】
保護シート4は、ポリエステル又はポリイミドの膜ないしフィルムであってもよい。実施の形態の測定装置から保護シート4を省略し、第1センサ2を、被測定物11と直接接触するように設けてもよい。第1センサ2を構成する歪センサとしては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の他に、金属抵抗体、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、電場応答性高分子EAP(Electroactive Polymer)、感圧導電性ゴムなどを使用できる。
【0064】
第1センサ2は、歪みセンサに限定されず、例えば被測定物11の同一面上に設けられた2つの電極であってもよい。前記2つの電極間に例えば1kHz~10MHzの範囲内の所定周波数の交流電圧を印加した結果により、前記2つの電極間の電気的特性、例えば静電容量、寄生抵抗、又は誘電正接を特定できる。前記2つの電極間の電気的特性は、被測定物11の劣化状態によって変化する。このため、前記2つの電極間の電気的特性により、被測定物11の劣化状態を推定できる。前記2つの電極間に交流電圧を印加する回路は、ケース5内に設けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、1A~1D 測定装置(センサモジュール)、2 第1センサ(歪センサ)、2a 圧電薄膜(薄膜PZT)、2b 電極、2c バンプ、3 弾性体、3a 貫通穴、3b 凹部、4 保護シート、5 ケース(筐体)、6 基板(リジッド基板)、7 通信手段(無線通信モジュール)、8 処理回路、8a オペアンプ、8b AD変換器、9 第2センサ、10 電力供給手段、11 被測定物、12 フレキシブル基板、12a 電極(ボンディングパッド)、12b 配線接続部、12c 配線パターン、13 ボンディングワイヤ、14 保護材、15 配線、16 接着剤(アンダーフィル)、17 保護材、18 シールド(金属箔)、19 温度センサ、20 第2シート、21 絶縁層、22 抵抗パターン、23 ホイール、24 バルブ、25 中継装置(中継モジュール)、25a 電池、25b 回路、26 外部端末、27 外部記憶装置(ストレージサーバ)、28 任意の端末、29 タイヤデータ取得用専用端末、30 レジスト(絶縁膜)、30a 開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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