(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】シリンダブロック
(51)【国際特許分類】
F01P 3/02 20060101AFI20230829BHJP
F02F 1/14 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
F01P3/02 A
F01P3/02 S
F02F1/14 D
(21)【出願番号】P 2020072321
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100113011
【氏名又は名称】大西 秀和
(72)【発明者】
【氏名】多田 博
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-158932(JP,A)
【文献】特開2008-008195(JP,A)
【文献】特開2011-106400(JP,A)
【文献】特開2012-112332(JP,A)
【文献】特開2016-205355(JP,A)
【文献】中国実用新案第201363182(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 3/02
F02F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上のシリンダが直列に並べられたシリンダ列と、
前記シリンダ列の周囲を囲むように形成されたウォータジャケットと、
前記ウォータジャケットに冷却水を導入する冷却水導入口と、
前記シリンダ列に沿って形成された複数のヘッドボルトボスと、を備え、
前記ウォータジャケットは、
前記シリンダ列の周囲に沿って形成され、前記複数のヘッドボルトボスと前記シリンダ列との間を通る主通路と、
前記主通路よりも前記シリンダ列から離れた位置に形成され、第1位置で前記主通路から分岐し、前記第1位置よりも下流に位置する第2位置
のみで前記主通路に合流する副通路と、を含み、
前記主通路と前記副通路とは、前記複数のヘッドボルトボスのうち、前記冷却水導入口から前記主通路に流入した冷却水が最初に通過する第1ヘッドボルトボスを間に挟み、
前記第1位置は、前記第1ヘッドボルトボスと前記冷却水導入口との間に位置し、
前記第2位置は、冷却水が前記第1ヘッドボルトボスの次に通過する第2ヘッドボルトボスと前記第1ヘッドボルトボスとの間に位置している
ことを特徴とするシリンダブロック。
【請求項2】
前記冷却水導入口は、前記第1ヘッドボルトボスに関して前記第2ヘッドボルトボスとは反対側に位置する第3ヘッドボルトボスと前記第1ヘッドボルトボスとの間に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロック。
【請求項3】
前記主通路は、
前記シリンダ列の吸気側の壁面に沿って形成された吸気側通路と、
前記シリンダ列の排気側の壁面に沿って形成された排気側通路と、
前記シリンダ列の一方の端部において前記吸気側通路と前記排気側通路とを接続する接続通路と、を含み、
前記冷却水導入口は、前記吸気側通路に接続され、
前記第1ヘッドボルトボスは、前記シリンダ列の吸気側において前記シリンダ列の他方の端部に最も近いシリンダと2番目に近いシリンダとの間に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシリンダブロック。
【請求項4】
前記ウォータジャケットは、前記冷却水導入口と前記第1位置との間に、前記第1位置よりも下流の前記主通路よりも通路幅が広い拡幅部を備え、
前記副通路は、前記拡幅部と一体化されている
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシリンダブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリンダブロックに関し、詳しくは、水冷多気筒エンジンのシリンダブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
多気筒エンジンのシリンダブロックには、シリンダ列の周囲を囲むようにウォータジャケットが形成されている。また、シリンダブロックには、ヘッドボルトを通すための複数のヘッドボルトボスがシリンダ列に沿って排気側と吸気側のそれぞれに形成されている。ウォータジャケットは、冷却水が複数のヘッドボルトボスとシリンダ列との間を通り抜けてシリンダ列の周囲に沿って流れるように形成されている。特許文献1には、ヘッドボルトボスを避けるようにウォータジャケットが形成されているシリンダブロックの一例が開示されている。
【0003】
ところで、ウォータジャケットを流れる冷却水の流速が大きいほど、圧力損失は大きくなる。冷却水の流速を小さくして圧力損失を減らすためには、ウォータジャケットの通路幅は広くしたい。しかし、シリンダの近くにはヘッドボルトボスが形成されているため、ウォータジャケットの通路幅を広げようとしても、ヘッドボルトボスの付近において局所的に幅が狭い部分ができてしまう。シリンダとヘッドボルトボスとの間の通路幅を大きくとりたくとも、シール性や振動の観点からは、ヘッドボルトボスをシリンダから大きくずらすことはできない。つまり、ヘッドボルトボスの存在は冷却水の圧力損失を低減する妨げとなっている。ウォータジャケットに導入される冷却水の流速は冷却水導入口の近くほど大きいため、冷却水の経路上において冷却水導入口に最も近いヘッドボルトボスが圧力損失に与える影響は特に大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ウォータジャケットを流れる冷却水の圧力損失を低減することができるシリンダブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシリンダブロックは、複数のシリンダが直列に並べられたシリンダ列、シリンダ列の周囲を囲むように形成されたウォータジャケット、ウォータジャケットに冷却水を導入する冷却水導入口、及び、シリンダ列に沿って形成された複数のヘッドボルトボスを備える。ウォータジャケットは、主通路と副通路とを含む。主通路は、シリンダ列の周囲に沿って形成され、複数のヘッドボルトボスとシリンダ列との間を通っている。副通路は、主通路よりもシリンダ列から離れた位置に形成され、第1位置で主通路から分岐し、第1位置よりも下流に位置する第2位置で主通路に合流する。主通路と副通路とは、複数のヘッドボルトボスのうち、冷却水導入口から主通路に流入した冷却水が最初に通過する第1ヘッドボルトボスを間に挟んでいる。第1位置は、第1ヘッドボルトボスと冷却水導入口との間に位置している。第2位置は、冷却水が第1ヘッドボルトボスの次に通過する第2ヘッドボルトボスと第1ヘッドボルトボスとの間に位置している。
【0007】
前述のように、ヘッドボルトボスの存在は冷却水の圧力損失を低減する上での障害になる。特に第1ヘッドボルトボスは冷却水導入口に近く、冷却水導入口の付近は冷却水の流速が大きいことから、その存在が冷却水の圧力損失に与える影響は大きい。しかし、上記の構成によれば、冷却水導入口からウォータジャケットに導入された冷却水は、第1位置において主通路を流れる冷却水の流れと副通路を流れる冷却水の流れとに分岐し、第1ヘッドボルトボスを通過した後で第2位置において合流する。このように、冷却水の一部をシリンダ列と第1ヘッドボルトボスとの間に流し、残りをシリンダ列から見て第1ヘッドボルトボスの裏側に流すことで、第1ヘッドボルトボスの付近での流路断面積を大きくすることが可能となる。これにより、第1ヘッドボルトボスの付近での冷却水の流速を低下させ、第1ヘッドボルトボスを通過する際の冷却水の圧力損失を低減することができる。
【0008】
冷却水導入口は、第3ヘッドボルトボスと第1ヘッドボルトボスとの間に位置していてもよい。第3ヘッドボルトボスは、第1ヘッドボルトボスに関して第2ヘッドボルトボスとは反対側に位置するヘッドボルトボスである。このような構成によれば、冷却水導入口からウォータジャケットに導入された冷却水の流れが真っ直ぐにヘッドボルトボスにぶつかり、それにより冷却水導入口から見てヘッドボルトボスの裏側で流れが淀むことを避けることができる。
【0009】
主通路は、冷却水導入口から流入した冷却水が一方向に流れるように形成されていてもよい。例えば、主通路は、シリンダ列の吸気側の壁面に沿って形成された吸気側通路と、シリンダ列の排気側の壁面に沿って形成された排気側通路と、シリンダ列の一方の端部において吸気側通路と排気側通路とを接続する接続通路とを含んでもよい。この場合、冷却水導入口は、吸気側通路に接続されてもよい。第1ヘッドボルトボスは、シリンダ列の吸気側においてシリンダ列の他方の端部に最も近いシリンダと、2番目に近いシリンダとの間に形成されたヘッドボルトボスでもよい。このような構成によれば、主通路を通って第1ヘッドボルトボスを通過した冷却水と、副通路を通って第1ヘッドボルトボスを通過した冷却水とがぶつかり合うことによる流れの淀みを抑えることができる。
【0010】
ウォータジャケットは、冷却水導入口と第1位置との間に、第1位置よりも下流の主通路よりも通路幅が広く、かつ、副通路と一体化された拡幅部を備えてもよい。このような構成によれば、冷却水導入口からウォータジャケット内に導入されてから第1ヘッドボルトボスを通り過ぎるまでの冷却水の流速をより低下させ、第1ヘッドボルトボスを通過する際の冷却水の圧力損失をより低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本発明に係るシリンダブロックによれば、冷却水導入口から主通路に流入した冷却水が最初に通過する第1ヘッドボルトボスの付近での冷却水の流速を低下させることで、ウォータジャケットを流れる冷却水の圧力損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシリンダブロックの上面視図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係るシリンダブロックの上面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、特に明示する場合を除き、構成部品の構造や配置、処理の順序などを下記のものに限定する意図はない。本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0014】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るシリンダブロックの構造について説明する。
図1は、本実施形態に係るシリンダブロック1の上面視図である。シリンダブロック1は、直列4気筒エンジンのシリンダブロックである。シリンダブロック1には、4つのシリンダ4A~4Dが等間隔に並んで形成されている。以下、これらを総称してシリンダ列4と呼ぶ。ただし、本発明は、複数のシリンダが並べられたシリンダ列を有するシリンダブロックであるならば、3気筒や6気筒などの4気筒以外のシリンダ列を有するシリンダブロックにも適用可能であるし、V型エンジンや水平対向エンジンのような複数のシリンダ列を有するエンジンのシリンダブロックにも適用可能である。
【0015】
シリンダブロック1は、オープンデッキ構造を有するシリンダブロックであり、シリンダ列4の周囲を囲むウォータジャケット10がデッキ面に全面開口している。また、デッキ面には、シリンダブロック1にシリンダヘッドを組み付けるためのヘッドボルトを通すヘッドボルトボス6A~6Jが形成されている。ヘッドボルトボス6A~6Jは、シリンダ列4に対して排気側と吸気側に5箇所ずつ、シリンダ列4を囲むようにほぼ等間隔で配置されている。なお、
図1では、下側が吸気側であり、上側が排気側である。また、クランク軸から出力が取り出される側をシリンダブロック2の前側と称され、反対側は後側と称される。
図1では、右側が前側であり、左側が後側である。なお、本発明はクローズドデッキ構造のシリンダブロックにも適用可能である。
【0016】
ウォータジャケット10は、吸気側から排気側へ、シリンダブロック1の前側を通って冷却水を一方向に流すUターン型のウォータジャケットである。シリンダブロック2の吸気側の側面には、ウォータジャケット10に冷却水を導入するための冷却水導入口8が形成されている。冷却水導入口8の形成位置は、第1シリンダ4Aの外側に位置するヘッドボルトボス6Aと、第1シリンダ4Aと第2シリンダ4Bとの間に位置するヘッドボルトボス6Bとの間に向けて冷却水が導入されるように設定されている。
【0017】
ウォータジャケット10は、主通路11と副通路12と拡幅部13とを備える。主通路11は、ヘッドボルトボス6A~6Jを避けるように、シリンダ列4の壁面に沿って形成されている。詳しくは、主通路11は、吸気側通路11aと排気側通路11bと接続通路11cとからなる。吸気側通路11aは、吸気側のヘッドボルトボス6A~6Eとシリンダ列4との隙間を通り、シリンダ列4の吸気側の壁面に沿って形成されている。前述の冷却水導入口8は、吸気側通路11aに連通している。排気側通路11bは、排気側のヘッドボルトボス6F~6Jとシリンダ列4との隙間を通り、シリンダ列4の排気側の壁面に沿って形成されている。接続通路11cは、シリンダ列4の前側の壁面に沿って形成され、吸気側通路11aと排気側通路11bとを接続している。
【0018】
副通路12は、吸気側通路11aよりもシリンダ列4から離れた位置に、吸気側通路11aとの間でヘッドボルトボス6Bを挟み込むように形成されている。ヘッドボルトボス6Bは、複数のヘッドボルトボス6A~6Jのうち、冷却水導入口8から吸気側通路11aに流入した冷却水が最初に通過するヘッドボルトボス(第1ヘッドボルトボス)である。そして、第2シリンダ4Bと第3シリンダ4Cとの間に位置するヘッドボルトボス6Cは、冷却水がヘッドボルトボス6Bの次に通過するヘッドボルトボス(第2ヘッドボルトボス)である。副通路12は、ヘッドボルトボス6Bと冷却水導入口8との間に位置する第1位置P1で吸気側通路11aから分岐し、ヘッドボルトボス6Bとヘッドボルトボス6Cとの間の第2位置P2で吸気側通路11aに合流している。
【0019】
拡幅部13は、冷却水導入口8と第1位置P1との間に形成された冷却水の導入路であり、吸気側通路11aよりも幅の広い通路である。拡幅部13は副通路12と一体化され、冷却水導入口8から導入される冷却水の流れの向きと略垂直の方向に延びている。冷却水導入口8から導入された冷却水は、一部が第1位置P1を通過して吸気側通路11aに流れ込む。残りの冷却水は、拡幅部13と一体化された副通路12を通り、第2位置P2において吸気側通路11aを流れる冷却水に合流する。
【0020】
次に、シリンダブロック1が有する上記構造の効果について説明する。冷却水導入口8からウォータジャケット10に導入された冷却水は、ヘッドボルトボス6Bより上流で吸気側通路11aを流れる冷却水の流れと副通路12を流れる冷却水の流れとに分岐し、ヘッドボルトボス6Bを通過した後で合流する。つまり、冷却水の一部はシリンダ列4とヘッドボルトボス6Bとの間を流れ、残りはシリンダ列4から見てヘッドボルトボス6Bの裏側を流れる。このような2つの通路が作られることで、ヘッドボルトボス6Bの付近での冷却水の流速は低下し、ヘッドボルトボス6Bを通過する際の冷却水の圧力損失は低く抑えられる。
【0021】
また、冷却水導入口8は、シリンダブロック1の吸気側から見てヘッドボルトボス6Bの正面に位置しているのでなく、ヘッドボルトボス6Aとヘッドボルトボス6Bとの間に位置している。ヘッドボルトボス6Aは、冷却水導入口8からの冷却水の流れの方向とは反対の側に位置するヘッドボルトボス(第3ヘッドボルトボス)である。冷却水導入口8から導入された冷却水の流れが真っ直ぐにヘッドボルトボスにぶつかった場合、冷却水導入口8から見たヘッドボルトボスの裏側において流れに淀みが生じるおそれがある。しかし、上記構造のように、ヘッドボルトボス6Bに対して冷却水導入口8をオフセットして設けることで、冷却水導入口8から導入された冷却水の流れが真っ直ぐにヘッドボルトボス6Bにぶつからないようにすることができる。
【0022】
さらに、冷却水導入口8と第1位置P1との間には、吸気側通路11aよりも通路幅が広い拡幅部13が設けられている。冷却水導入口8の付近に拡幅部13が設けられることで、冷却水導入口8からウォータジャケット10内に導入された冷却水の流速は低減される。また、拡幅部13は副通路12と一体化されているので、多くの冷却水が副通路12を流れるようになり、吸気側通路11aを通ってヘッドボルトボス6Bを通過する冷却水の流速は抑えられる。
【0023】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るシリンダブロックの構造について説明する。
図2は、本実施形態に係るシリンダブロック2の上面視図である。
図2では、第1実施形態に係るシリンダブロック1と共通の部品及び部位には、同一の符号が付されている。ただし、
図2では、シリンダブロック2の構造は簡略化して示されている。
【0024】
本実施形態に係るシリンダブロック2は、ウォータジャケット20の構造において第1実施形態に係るシリンダブロック1と違いを有している。本実施形態では、冷却水導入口8から導入された冷却水が2方向に流れるようにウォータジャケット20が形成されている。具体的には、ウォータジャケット20は、シリンダ列4の周囲を取り囲む環状の主通路21と副通路22と拡幅部23とを備える。主通路21は、吸気側通路21aと排気側通路21bと接続通路21c,21dとからなる。接続通路21cは、シリンダ列4の前側の壁面に沿って形成され、吸気側通路21aと排気側通路21bとを接続している。接続通路21dは、シリンダ列4の後側の壁面に沿って形成され、吸気側通路21aと排気側通路21bとを接続している。冷却水導入口8から吸気側通路21aに導入された冷却水は、ヘッドボルトボス6Bとヘッドボルトボス6Aとの間において、接続通路21cの方に向かう流れと、接続通路21dの方に向かう流れとに分岐する。
【0025】
副通路22は、吸気側通路21aとの間でヘッドボルトボス6Bを挟み込むように、第1位置P1で吸気側通路21aから分岐し、第2位置P2で再び吸気側通路21aに合流している。また、冷却水導入口8と第1位置P1との間には、拡幅部23が形成されている。拡幅部23は副通路22と一体化されている。冷却水導入口8から導入された冷却水の一部は、拡幅部23と一体化された副通路22を通り、第2位置P2において吸気側通路11aを接続通路21cの方に流れる冷却水に合流する。このような副通路22が設けられることで、ヘッドボルトボス6Bの付近での冷却水の流速は低下し、ヘッドボルトボス6Bを通過する際の冷却水の圧力損失は低く抑えられる。
【0026】
なお、第2実施形態の変形例として、ヘッドボルトボス6Aに対しても副通路を形成してもよい。つまり、ヘッドボルトボス6Aとシリンダ列4との間を通る通路とは別に、シリンダ列4から見てヘッドボルトボス6Aの裏側を通る冷却水の通路を形成してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1,2 シリンダブロック
4 シリンダ列
4A~4D シリンダ
6A~6J ヘッドボルトボス
8 冷却水導入口
10,20 ウォータジャケット
11,21 主通路
11a,21a 吸気側通路
11b,21b 排気側通路
11c,21c,21d 接続通路
12,22 副通路
13、23 拡幅部
P1 第1位置
P2 第2位置