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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20230829BHJP
【FI】
H02P29/024
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020074021
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021170907
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤志
(72)【発明者】
【氏名】八代 圭司
(72)【発明者】
【氏名】白石 和洋
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-51790(JP,A)
【文献】特開2017-180428(JP,A)
【文献】特開2004-81488(JP,A)
【文献】特開2004-53367(JP,A)
【文献】特開2009-77627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータによって回転されて圧縮動作する圧縮部と、
前記電動モータを駆動するスイッチング素子、前記スイッチング素子を駆動するドライブ回路及び前記スイッチング素子のオン/オフを制御するマイコンを有するインバータ装置と、
前記電動モータ、前記圧縮部及び前記インバータ装置を収容する筐体と、
前記インバータ装置に電気的に接続され、外部コネクタが接続される圧縮機側コネクタと、を備える電動圧縮機において、
前記マイコンは、ハイレベルとローレベルからなる矩形波を出力する出力端子と、前記矩形波を検出可能な検出端子とを備え、
前記圧縮機側コネクタは、前記外部コネクタに設けられた検査用導電体の一端に接続可能な第1の検査用端子と、前記検査用導電体の他端に接続可能な第2の検査用端子を備え、
前記インバータ装置は、前記出力端子と前記検出端子との間に設けられ、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとの接続時に、前記第1の検査用端子、前記検査用導電体及び前記第2の検査用端子とともに前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとの接続状態を検査する検査回路を備え、
前記マイコンは、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとの接続時に、
前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、
前記検出端子が前記矩形波の信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されていると判断し、
前記検出端子が前記矩形波ではないローレベルのみの信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されていないと判断し、
前記検出端子が前記矩形波ではないハイレベルのみの信号を検出すると、前記検査回路と前記筐体とが短絡していると判断し、
いずれかの判断結果を出力し、
前記マイコンは、前記圧縮機側コネクタの正極端子と前記スイッチング素子とを接続する高圧ラインから分岐して分圧抵抗を介して接続される高電圧端子を更に備え、
前記マイコンは、
前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、
前記検出端子が前記矩形波ではないローレベルのみの信号を検出するとともに前記高電圧端子がローレベルのみの信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されていないと判断し、
前記検出端子が前記矩形波ではないローレベルのみの信号又はハイレベルのみの信号を検出するとともに前記高電圧端子がハイレベルのみの信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されているが前記検査回路内の一部が短絡していると判断し、
いずれかの判断結果を出力する
ことを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記マイコンは、前記出力端子に一端が接続され、前記出力端子の出力電圧を検査する出力電圧検査用端子を備え、
前記マイコンは、
前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、
前記出力電圧検査用端子が前記矩形波を検出すると、前記出力端子の前記出力電圧は正常であると判断し、
前記出力電圧検査用端子がハイレベルのみの信号又はローレベルのみの信号を検出すると、前記出力端子の前記出力電圧は異常であると判断し、
いずれかの判断結果を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記マイコンは、前記検出端子に一端が接続され、前記検出端子の検出波形を検査する検出波形検査用端子を備え、
前記マイコンは、
前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、
前記検出端子の検出波形と前記検出波形検査用端子の検出波形とが同じ場合、前記検出端子の検出波形は正常であると判断し、
前記検出端子の検出波形と前記検出波形検査用端子の検出波形とが異なる場合、前記検出端子の検出波形は異常であると判断し、
いずれかの判断結果を出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタを介して高電圧電源が接続されている電動圧縮機において、コネクタの挿抜を判定する技術として、例えば、特許文献1においては、一定周期で電動モータに電流を供給したときにおける平滑コンデンサの両端電圧の変化によってコネクタの挿抜を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5953240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、確認できる異常状態がコネクタの挿抜を判定するのみであり、他の異常状態を確認することができない。確認するためには、専用の回路を異常状態に応じてそれぞれ用意する必要があり、部品点数の増加や検査パターンの増加を招く。
【0005】
本発明の目的は、部品点数の増加や検査パターンの増加を招くことなく、複数の異常状態を単一の回路で確認することができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための電動圧縮機は、電動モータと、前記電動モータによって回転されて圧縮動作する圧縮部と、前記電動モータを駆動するスイッチング素子、前記スイッチング素子を駆動するドライブ回路及び前記スイッチング素子のオン/オフを制御するマイコンを有するインバータ装置と、前記電動モータ、前記圧縮部及び前記インバータ装置を収容する筐体と、前記インバータ装置に電気的に接続され、外部コネクタが接続される圧縮機側コネクタと、を備える電動圧縮機において、前記マイコンは、ハイレベルとローレベルからなる矩形波を出力する出力端子と、前記矩形波を検出可能な検出端子とを備え、前記圧縮機側コネクタは、前記外部コネクタに設けられた検査用導電体の一端に接続可能な第1の検査用端子と、前記検査用導電体の他端に接続可能な第2の検査用端子を備え、前記インバータ装置は、前記出力端子と前記検出端子との間に設けられ、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとの接続時に、前記第1の検査用端子、前記検査用導電体及び前記第2の検査用端子とともに前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとの接続状態を検査する検査回路を備え、前記マイコンは、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとの接続時に、前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、前記検出端子が前記矩形波の信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されていると判断し、前記検出端子が前記矩形波ではないローレベルのみの信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されていないと判断し、前記検出端子が前記矩形波ではないハイレベルのみの信号を検出すると、前記検査回路と前記筐体とが短絡していると判断し、いずれかの判断結果を出力することを要旨とする。
【0007】
これによれば、マイコンは、圧縮機側コネクタと外部コネクタとの接続時に、出力端子が矩形波を出力した後に、検出端子が矩形波の信号を検出すると、圧縮機側コネクタと外部コネクタとは接続されていると判断する。また、検出端子が矩形波ではないローレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタと外部コネクタとは接続されていないと判断する。さらに、検出端子が矩形波ではないハイレベルのみの信号を検出すると、検査回路と筐体とが短絡していると判断する。そして、いずれかの判断結果を出力する。よって、部品点数の増加や検査パターンの増加を招くことなく、複数の異常状態を単一の回路で確認することができる。
【0008】
また、電動圧縮機において、前記マイコンは、前記圧縮機側コネクタの正極端子と前記スイッチング素子とを接続する高圧ラインから分岐して分圧抵抗を介して接続される高電圧端子を更に備え、前記マイコンは、前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、前記検出端子が前記矩形波ではないローレベルのみの信号を検出するとともに前記高電圧端子がローレベルのみの信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されていないと判断し、前記検出端子が前記矩形波ではないローレベルのみの信号又はハイレベルのみの信号を検出するとともに前記高電圧端子がハイレベルのみの信号を検出すると、前記圧縮機側コネクタと前記外部コネクタとは接続されているが前記検査回路内の一部が短絡していると判断し、いずれかの判断結果を出力するとよい。
【0009】
また、電動圧縮機において、前記マイコンは、前記出力端子に一端が接続され、前記出力端子の出力電圧を検査する出力電圧検査用端子を備え、前記マイコンは、前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、前記出力電圧検査用端子が前記矩形波を検出すると、前記出力端子の前記出力電圧は正常であると判断し、前記出力電圧検査用端子がハイレベルのみの信号又はローレベルのみの信号を検出すると、前記出力端子の前記出力電圧は異常であると判断し、いずれかの判断結果を出力するとよい。
【0010】
また、電動圧縮機において、前記マイコンは、前記検出端子に一端が接続され、前記検出端子の検出波形を検査する検出波形検査用端子を備え、前記マイコンは、前記出力端子が前記矩形波を出力した後に、前記検出端子の検出波形と前記検出波形検査用端子の検出波形とが同じ場合、前記検出端子の検出波形は正常であると判断し、前記検出端子の検出波形と前記検出波形検査用端子の検出波形とが異なる場合、前記検出端子の検出波形は異常であると判断し、いずれかの判断結果を出力するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数の増加や検査パターンの増加を招くことなく、複数の異常状態を単一の回路で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における車載用電動圧縮機を模式的に示す一部破断図。
図2】車載用電動圧縮機の電気的構成を示す回路図。
図3】車載用電動圧縮機の電気的構成を示す回路図。
図4】車載用電動圧縮機の電気的構成を示す回路図。
図5】車載用電動圧縮機の電気的構成を示す回路図。
図6】車載用電動圧縮機の電気的構成を示す回路図。
図7】状態説明図。
図8】状態説明図。
図9】状態説明図。
図10】波形図。
図11】波形図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を車載用電動圧縮機に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態の車載用電動圧縮機は、例えばハイブリッド車に搭載されるものであって、流体としての冷媒を圧縮する圧縮部を備えており、本実施形態における車載用電動圧縮機の圧縮対象の流体は冷媒である。
【0014】
図1に示すように、車両空調装置10は、車載用電動圧縮機20と、車載用電動圧縮機20に対して冷媒を供給する外部冷媒回路101とを備えている。外部冷媒回路101は、蒸発器、凝縮器、膨張弁などを有している。車両空調装置10は、車載用電動圧縮機20によって冷媒が圧縮され、且つ、外部冷媒回路101によって冷媒の熱交換及び膨張が行われることによって、車両の室内の冷暖房を行う。車両空調装置10は、車内温度や設定温度等に基づいて車載用電動圧縮機20を制御する。
【0015】
車載用電動圧縮機20は、電動モータ23と、電動モータ23によって回転されて圧縮動作する圧縮部22を備える。車載用電動圧縮機20は、インバータ装置31と、電動モータ23、圧縮部22及びインバータ装置31を収容する筐体としてのハウジング21及びケース32と、圧縮機側コネクタ36b(図2参照)と、を備える。インバータ装置31は、電動モータ23を駆動するスイッチング素子Q1~Q6(図2参照)、スイッチング素子Q1~Q6を駆動するドライブ回路45a,45b,45c,45d,45e,45f(図2参照)及びスイッチング素子Q1~Q6のオン/オフを制御するマイコン38(図2参照)を有する。圧縮機側コネクタ36bは、インバータ装置31に電気的に接続され、外部コネクタ36a(図2参照)が接続される。外部コネクタ36aとは、車両側の高圧コネクタや、工場出荷前にインバータ装置31の異常を診断する際に用いられる診断テスタに繋がる検査用コネクタのことである。
【0016】
ハウジング21は、外部冷媒回路101から冷媒が吸入される吸入口21aが形成されている。圧縮部22は、電動モータ23によって回転されて圧縮動作する。
ハウジング21は、アルミ等の金属よりなり、車両のボディに接地されている。即ち、ハウジング21は、ボディアースされている。ハウジング21は、全体として略円筒形状である。ハウジング21には、冷媒が吐出される吐出口21bが形成されている。
【0017】
圧縮部22は、吸入口21aからハウジング21内に吸入された冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を吐出口21bから吐出させるものである。圧縮部22の具体的な構成は、スクロールタイプ、ピストンタイプ、ベーンタイプ等任意である。
【0018】
電動モータ23は、三相モータであって、圧縮部22を駆動させるものである。電動モータ23は、ハウジング21に対して回転可能に支持された円柱状の回転軸26と、当該回転軸26に対して固定された円筒形状のロータ24と、ハウジング21に固定されたステータ25とを有する。ロータ24は、磁石24aが埋設された円筒形状のロータコア24bを有している。磁石24aは永久磁石である。回転軸26の軸線方向と、円筒形状のハウジング21の軸線方向とは一致している。ステータ25は、円筒形状のステータコア25aと、当該ステータコア25aに形成されたティースに捲回されたコイル25bとを有している。ロータ24及びステータ25は、回転軸26の径方向に対向している。
【0019】
電動モータ23のコイル25bとインバータ装置31とは電気的に接続されている。ケース32は、固定具としてのボルト33によってハウジング21に固定されている。すなわち、本実施形態の車載用電動圧縮機20には、インバータ装置31が一体化されている。
【0020】
インバータ装置31は、回路基板34と、当該回路基板34と電気的に接続されたパワーモジュール35とを備えている。回路基板34には、マイコン38を含めた各種電子部品が実装されている。ケース32の外面にはコネクタ36a,36bが設けられており、回路基板34とコネクタ36a,36bとが電気的に接続されている。コネクタ36a,36bを介してインバータ装置31に電力供給が行われる。
【0021】
図2に示すように、インバータ装置31は、正極母線Lpと負極母線Lnを有する。インバータ装置31の正極母線Lp及び負極母線Lnがコネクタ36a,36bを介して高電圧電源104の正極及び負極と接続される。高電圧電源104は、例えば400V電源であり、高電圧電源104により車両の走行モータ等が駆動される。コネクタ36a,36bは、雄雌一対のコネクタであって、一対の雄雌のコネクタ36a,36bが差し込まれて結合されると、高電圧電源104からインバータ装置31に電力供給可能となる。この状態から一対のコネクタ36a,36bが抜かれて非結合状態になると、高電圧電源104からインバータ装置31に電力供給できなくなる。
【0022】
インバータ装置31は、電動モータ23を駆動するための6つのスイッチング素子Q1~Q6と6つのダイオードD1~D6を有する。スイッチング素子Q1~Q6としてIGBTを用いている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、u相上アームを構成するスイッチング素子Q1と、u相下アームを構成するスイッチング素子Q2が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、v相上アームを構成するスイッチング素子Q3と、v相下アームを構成するスイッチング素子Q4が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、w相上アームを構成するスイッチング素子Q5と、w相下アームを構成するスイッチング素子Q6が直列接続されている。スイッチング素子Q1~Q6にはダイオードD1~D6が逆並列接続されている。
【0023】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の間が電動モータ23のu相端子に接続されている。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の間が電動モータ23のv相端子に接続されている。スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6の間が電動モータ23のw相端子に接続されている。スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作に伴い高電圧電源104の電圧である直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ23に供給することができるようになっている。
【0024】
各スイッチング素子Q1~Q6のゲート端子には、ドライブ回路45a~45f及び図示しない回路パターンを介してマイコン38が接続されている。マイコン38は、スイッチング素子Q1~Q6のオン/オフを制御する。
【0025】
システムメインリレー110が高電圧電源104の正極とコネクタ36a,36bとの電源ラインに設けられている。
車両ECU102によりシステムメインリレー110が開閉される。車両ECU102には車両のパワースイッチ103が接続され、パワースイッチ103がオン操作されると、車両ECU102はシステムメインリレー110を閉じる。また、パワースイッチ103がオフ操作されると、車両ECU102はシステムメインリレー110を開く。
【0026】
車載用電動圧縮機20は、圧縮機側コネクタ36bと低圧コネクタ80bと、を備えている。圧縮機側コネクタ36bは、正極端子90と負極端子91と第1の検査用端子92と第2の検査用端子93とを備えている。圧縮機側コネクタ36bは、正極端子90と負極端子91が車両側の外部コネクタ36aの端子105,106に接続される。圧縮機側コネクタ36bは、第1の検査用端子92と第2の検査用端子93が外部コネクタ36aの1本の検査用導電体107の両端に接続される。検査用導電体107は例えば銅の線材よりなる。このように、圧縮機側コネクタ36bは、外部コネクタ36aに設けられた検査用導電体107の一端に接続可能な第1の検査用端子92と、検査用導電体107の他端に接続可能な第2の検査用端子93を備える。
【0027】
低圧コネクタ80bは、低圧端子94,95を備える。低圧コネクタ80bの低圧端子94,95は、車両側の低圧コネクタ80aの端子108,109に接続される。
マイコン38は、ハイレベルとローレベルからなる矩形波を出力する出力端子P2と、矩形波を検出可能な検出端子P1とを備える。インバータ装置31は、出力端子P2と検出端子P1との間に設けられ、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとの接続時に、第1の検査用端子92、検査用導電体107及び第2の検査用端子93とともに圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとの接続状態を検査する検査回路50を備える。
【0028】
検査回路50は、回路基板34に形成されている。矩形波は常に出力されて異常診断に用いられる。
検査回路50は、抵抗60と、フォトダイオード61と、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)62と、抵抗63と、npnトランジスタ64と、抵抗65と、抵抗66と、チョークコイル67と、バリスタ68と、バリスタ69と、ダイオード70と、抵抗71と、pnpトランジスタ72と、抵抗73と、抵抗74と、フォトダイオード75と、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76と、抵抗77を有する。
【0029】
フォトダイオード61とフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62によりフォトカプラが構成されるとともにフォトダイオード75とフォトトランジスタ(npnトランジスタ)76によりフォトカプラが構成されている。マイコン38は高電圧系であり、検査回路50は低電圧系であり、フォトカプラ(フォトダイオード61とフォトトランジスタ62、及び、フォトダイオード75とフォトトランジスタ76)により高電圧系と低電圧系を繋いでいる。
【0030】
マイコン38の出力端子P2は、抵抗60とフォトダイオード61の直列回路を介して接地されている。フォトダイオード61と共にフォトカプラを構成するフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62のコレクタには5Vが印加される。フォトトランジスタ62のエミッタには抵抗63を介してnpnトランジスタ64のゲートが接続されている。npnトランジスタ64のエミッタは接地されるとともに、npnトランジスタ64のゲート・エミッタ間には抵抗65が接続されている。npnトランジスタ64のコレクタには、抵抗66及びチョークコイル67の一次巻線67aを介してコネクタの端子93が接続されている。一次巻線67aと端子93の一端との間にはバリスタ68が接続されている。
【0031】
端子92は、チョークコイル67の二次巻線67b、ダイオード70、抵抗71を介してpnpトランジスタ72のゲートが接続されている。二次巻線67bと端子92との間にはバリスタ69が接続されている。pnpトランジスタ72のエミッタには5Vが印加されるとともにpnpトランジスタ72のゲート・エミッタ間には抵抗73が接続されている。pnpトランジスタ72のコレクタは、抵抗74及びフォトダイオード75を介して接地されている。フォトダイオード75と共にフォトカプラを構成するフォトトランジスタ(npnトランジスタ)76のコレクタには5Vが印加される。フォトトランジスタ76のエミッタには抵抗77を介して接地されている。フォトトランジスタ76のエミッタは、マイコン38の検出端子P1と接続されている。
【0032】
マイコン38は、正極母線Lpの電圧監視用の高電圧端子Phvを備える。高電圧端子Phvは、圧縮機側コネクタ36bの正極端子90とスイッチング素子Q1~Q6とを接続する高圧ラインとしての正極母線Lpから分岐して分圧抵抗R1,R2を介して接続されている。詳しくは、抵抗R1と抵抗R2による直列回路が正極母線Lpとグランド間に接続されており、抵抗R1,R2間が高電圧端子Phvと接続されている。マイコン38のCPU39は、高電圧端子Phvが60V以上であればハイレベルと判断し、高電圧端子Phvが60V未満であればローレベルと判断する。
【0033】
マイコン38は、出力端子P2に一端が接続される出力電圧検査用端子P3を備える。出力電圧検査用端子P3は、入力端子であり、出力端子P2の出力電圧を検査するためのものである。マイコン38は、検出端子P1に一端が接続される検出波形検査用端子P4を備える。検出波形検査用端子P4は、入力端子であり、検出端子P1の検出波形を検査するためのものである。
【0034】
マイコン38は、CPU39と、A/D変換部40,41,42,43,44を有する。CPU39は、A/D変換部40を介して高電圧端子Phvと接続されている。CPU39は、A/D変換部41を介して検出波形検査用端子P4と接続されている。CPU39は、A/D変換部42を介して検出端子P1と接続されている。CPU39は、A/D変換部43を介して出力端子P2と接続されている。CPU39は、A/D変換部44を介して出力電圧検査用端子P3と接続されている。
【0035】
CPU39は、A/D変換部40を介して高電圧端子Phvの電位を検知する。CPU39は、A/D変換部41を介して検出波形検査用端子P4の電位を検知する。CPU39は、A/D変換部42を介して検出端子P1の電位を検知する。CPU39は、A/D変換部43を介して出力端子P2の電位をハイレベルあるいはローレベルにできる。CPU39は、A/D変換部44を介して出力電圧検査用端子P3の電位を検知することができる。
【0036】
マイコン38は、異常診断機能を有し、第1異常診断として、圧縮機側コネクタの正極端子90及び負極端子91が正常に接続されていること、第2異常診断として、圧縮機側コネクタの正極端子90及び負極端子91が接続されていないこと、第3異常診断として、検査回路50内の一部と筐体とが短絡していること、第4異常診断として、圧縮機側コネクタの端子の正常接続及び短絡の有無、第5異常診断として、出力端子P2の出力電圧の正常/異常の判定、第6異常診断として、検出端子P1の検出波形の正常/異常の判定を行うことができるようになっている。
【0037】
次に、作用について説明する。
図2に示すように、インバータ装置31にコネクタ36a,36bを介して高電圧電源104が接続されている場合において、パワースイッチ103がオンされるとシステムメインリレー110がオン(閉路)する。
【0038】
コネクタ36bに抜けがなく正常であるとして通常のインバータ制御が行われる。一方、異常診断によりコネクタ36a,36bの抜けを含めた異常であると、通信部78、コネクタ80a,80bの端子94,108を介して車両ECU102にその旨を通知する。車両ECU102は、異常であると、警告を行う。例えば、警告灯を点灯させてその旨をユーザ(例えば運転者等の乗員)に知らせる。
【0039】
マイコン38は、次のようにして異常診断を行う。
異常診断の際に、図7における、第1異常診断(No1)、第2異常診断(No2)、第3異常診断(No3)、第4異常診断(No4)、第5異常診断(No5)、第6異常診断(No6)が行われる。図8では、図7におけるNo1、No2、No3を説明している。図9では、図7におけるNo4、No5、No6を説明している。No5及びNo6は、端子(ピン)がP1,P2しかなく、P1,P2が故障した場合を想定してP3,P4でチェックする(二重にチェックする)。
【0040】
図7において、横の欄に、端子P2,P1,P3,P4,Phv、異常診断番号(No)、診断結果を示している。端子P2,P1,P3,P4,Phvは、ハイレベル(Hi)又はローレベル(Lo)になる。
【0041】
図8において、横の欄に、状態、端子P2,P1,Phvを示している。縦の欄に、圧縮機側コネクタの嵌合時(正常時)、圧縮機側コネクタの離脱時、検査回路50でのグランド短絡時を示す。
【0042】
図9において、横の欄に、状態、端子P2,P1を示している。縦の欄に、検査回路50での5V短絡時、信号発生部の故障時、信号検出部の故障時を示している。
図7のNo1で示す第1異常診断として、マイコン38のCPU39は、図10に示すように、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとの接続時に、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1が矩形波の信号を検出すると、図3に示すように、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されていると判断し、判断結果を出力する。
【0043】
詳しくは、図3において、出力端子P2のハイレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光してフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオンし、npnトランジスタ64がオンし、pnpトランジスタ72がオンし、フォトダイオード75が発光し、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76がオンし、検出端子P1がハイレベルになる。出力端子P2のローレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光せずにフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオフし、npnトランジスタ64がオフし、pnpトランジスタ72がオフし、フォトダイオード75が発光せずに、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76がオフし、検出端子P1がローレベルになる。
【0044】
このように、図8における圧縮機側コネクタ嵌合の場合の端子P1,P2のレベルで示すごとく、出力端子P2から矩形波を出力して検出端子P1で矩形波を検出すると、コネクタ36bが嵌合できていることが分かる。
【0045】
図7のNo2で示す第2異常診断として、マイコン38のCPU39は、図11に示すように、出力端子P2が矩形波を出力した後に、実線で示すごとく検出端子P1が矩形波ではないローレベルのみの信号を検出すると、図4に示すように、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されていないと判断し、判断結果を出力する。
【0046】
詳しくは、図4において、出力端子P2のハイレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光してフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオンし、npnトランジスタ64がオンしてもpnpトランジスタ72がオフし、フォトダイオード75が発光せず、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76がオフし、検出端子P1がローレベルになる。出力端子P2のローレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光せずにフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオフし、npnトランジスタ64がオフし、pnpトランジスタ72がオフし、フォトダイオード75が発光せず、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76がオフし、検出端子P1がローレベルになる。
【0047】
このように、図8における圧縮機側コネクタ離脱の場合の端子P1,P2のレベルで示すごとく、出力端子P2から矩形波を出力したときに検出端子P1がローレベルに固定されていることを検出すると、コネクタ36bが嵌合できていないことが分かる。
【0048】
図7のNo2で示す第2異常診断として、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、図4に示すように、検出端子P1が矩形波ではないローレベルのみの信号を検出するとともに高電圧端子Phvがローレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されていないと判断し、判断結果を出力する。
【0049】
図7のNo3で示す第3異常診断として、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1が矩形波ではないハイレベルのみの信号を検出すると、図5に符号200で示すように、検査回路50と筐体(グランド)としてのハウジング21及びケース32とが短絡していると判断し、判断結果を出力する。
【0050】
詳しくは、図5において、出力端子P2のハイレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光してフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオンし、npnトランジスタ64がオンするが、pnpトランジスタ72が常時オンし、フォトダイオード75が常時発光し、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76が常時オンし、検出端子P1が常時ハイレベルになる。出力端子P2のローレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光せずにフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオフし、npnトランジスタ64がオフする。pnpトランジスタ72が常時オンし、フォトダイオード75が常時発光し、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76が常時オンし、検出端子P1が常時ハイレベルになる。
【0051】
このように、図8における検出ラインのグランド短絡の場合の端子P1,P2のレベルで示すごとく、出力端子P2から矩形波を出力したときに検出端子P1でハイレベルに固定されていることを検出すると、検査回路50において地絡していることが分かる。
【0052】
また、マイコン38のCPU39は、検出端子P1がローレベルのみを検出すると、図6に符号300で示すように、検査回路50内の一部と5V電源とが短絡していると判断する。
【0053】
詳しくは、図6において、出力端子P2のハイレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光してフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオンし、npnトランジスタ64がオンする。pnpトランジスタ72が常時オフし、フォトダイオード75が常時発光せずに、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76が常時オフし、検出端子P1が常時ローレベルになる。図6において、出力端子P2のローレベル時に、検査回路50でのフォトダイオード61が発光せずにフォトトランジスタ(npnトランジスタ)62がオフし、npnトランジスタ64がオフする。pnpトランジスタ72が常時オフし、フォトダイオード75が常時発光せずに、フォトトランジスタ(npnトランジスタ)76が常時オフし、検出端子P1が常時ローレベルになる。
【0054】
図7のNo4で示す第4異常診断として、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、図6に示すように、検出端子P1が矩形波ではないローレベルのみの信号を検出するとともに高電圧端子Phvがハイレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されているが検査回路50の一部が5V電源(図6の符号300)に短絡していると判断し、判断結果を出力する。つまり、No4は、No2とP1,P2,P3,P4のレベルは同じであるが高電圧端子Phvのレベルを用いて異常を特定している(5V短絡を特定している)。
【0055】
このように、図9における検出ライン+5Vと短絡の場合の端子P1,P2のレベルで示すごとく、出力端子P2から矩形波を出力したときに検出端子P1でローレベルに固定、かつ、高電圧端子Phvがハイレベルである場合には、コネクタ36bが嵌合できているが検査回路50が5V電源に短絡していることが分かる。
【0056】
また、図7で図示していないが、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、図5に示すように、検出端子P1が矩形波ではないハイレベルのみの信号を検出するとともに高電圧端子Phvがハイレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されているが検査回路50内の一部がグランド側(図5の符号200)に短絡していると判断し、判断結果を出力する。つまり、圧縮機側コネクタ36bの正極端子90及び負極端子91は正常に接続されているが検査回路50内の一部がグランド側(図5の符号200)に短絡していると判断する。
【0057】
このように、出力端子P2から矩形波を出力したときに検出端子P1でハイレベルに固定、かつ、端子Phvがハイレベルである場合には、コネクタ36bが嵌合できているが検査回路50がグランドに短絡していることが分かる。
【0058】
図7のNo5で示す第5異常診断として、マイコン38のCPU39は、イニシャルチェックとして出力端子P2が矩形波を出力した後に、出力電圧検査用端子P3が矩形波を検出すると、出力端子P2の出力電圧は正常であると判断し、判断結果を出力する。即ち、マイコン38のCPU39は、正常出力であると判断する。
【0059】
一方、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、出力電圧検査用端子P3がハイレベルのみの信号又はローレベルのみの信号を検出すると、出力端子P2の出力電圧は異常であると判断し、判断結果を出力する。より詳しくは、マイコン38の誤出力であると判断する。
【0060】
このように、図9における信号発生部の故障の場合の端子P1,P2のレベルで示すごとく、出力端子P2の出力電圧を出力電圧検査用端子P3で監視して、出力端子P2が矩形波を出力しているとCPU39は認識しているが実際の出力電圧はハイレベルに固定あるいはローレベルに固定になっていると、出力端子P2の出力電圧異常と判断する。即ち、信号発生部の故障を検出できる。
【0061】
図7のNo6で示す第6異常診断として、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1の検出波形と検出波形検査用端子P4の検出波形とが同じ場合、検出端子P1の検出波形は正常であると判断し、判断結果を出力する。即ち、マイコン38のCPU39は、正常検出している。
【0062】
一方、マイコン38のCPU39は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1の検出波形と検出波形検査用端子P4の検出波形とが異なる場合、検出端子P1の検出波形は異常であると判断し、判断結果を出力する。より詳しくは、マイコン38の誤検出であると判断する。つまり、出力端子P2が矩形波電圧を出力しているが、矩形波電圧の検出値が検出端子P1と検出波形検査用端子P4で異なると、実際の電圧に関わらず誤検出していないか二重チェックする。
【0063】
このように、図9における信号検出部の故障の場合の端子P1,P2のレベルで示すごとく、検出波形検査用端子P4ではハイレベル/ローレベルの繰り返しを読めるのに対し検出端子P1ではハイレベル固定又はローレベル固定ならば検出端子P1の機能が働いていないことが分かり、検出端子P1及び検出波形検査用端子P4に矩形波電圧が入力されているが検出端子P1でCPU39が読むことができず誤判定であることが分かる。
【0064】
マイコン38は判断結果を出力するが、車載用電動圧縮機20を車両に搭載した後においては、マイコン38は、異常判断結果を、低圧コネクタ80bを介して車両ECU102に送信し、車両ECU102が診断テスタから異常判断結果を要求された時に、車両ECU102が診断テスタに対して異常判断結果を出力する。車載用電動圧縮機20を車両に搭載する前においては、マイコン38が、異常診断結果を、検査用コネクタを介して診断テスタに対して出力する。
【0065】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電動圧縮機としての車載用電動圧縮機20の構成として、電動モータ23と、電動モータ23によって回転されて圧縮動作する圧縮部22と、電動モータ23を駆動するスイッチング素子Q1~Q6、スイッチング素子Q1~Q6を駆動するドライブ回路45a,45b,45c,45d,45e,45f及びスイッチング素子Q1~Q6のオン/オフを制御するマイコン38を有するインバータ装置31と、電動モータ23、圧縮部22及びインバータ装置31を収容する筐体としてのハウジング21及びケース32と、インバータ装置31に電気的に接続され、外部コネクタ36aが接続される圧縮機側コネクタ36bと、を備える。マイコン38は、ハイレベルとローレベルからなる矩形波を出力する出力端子P2と、矩形波を検出可能な検出端子P1とを備える。圧縮機側コネクタ36bは、外部コネクタ36aに設けられた検査用導電体107の一端に接続可能な第1の検査用端子92と、検査用導電体107の他端に接続可能な第2の検査用端子93を備える。インバータ装置31は、出力端子P2と検出端子P1との間に設けられ、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとの接続時に、第1の検査用端子92、検査用導電体107及び第2の検査用端子93とともに圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとの接続状態を検査する検査回路50を備える。マイコン38は、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとの接続時に、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1が矩形波の信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されていると判断し、検出端子P1が矩形波ではないローレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されていないと判断し、検出端子P1が矩形波ではないハイレベルのみの信号を検出すると、検査回路50と筐体としてのハウジング21及びケース32とが短絡していると判断し、いずれかの判断結果を出力する。よって、部品点数の増加や検査パターンの増加を招くことなく、複数の異常状態を単一の回路で確認することができる。
【0066】
(2)マイコン38は、圧縮機側コネクタ36bの正極端子90とスイッチング素子Q1~Q6とを接続する高圧ラインとしての正極母線Lpから分岐して分圧抵抗R1,R2を介して接続される高電圧端子Phvを更に備える。マイコン38は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1が矩形波ではないローレベルのみの信号を検出するとともに高電圧端子Phvがローレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されていないと判断し、検出端子P1が矩形波ではないローレベルのみの信号又はハイレベルのみの信号を検出するとともに高電圧端子Phvがハイレベルのみの信号を検出すると、圧縮機側コネクタ36bと外部コネクタ36aとは接続されているが検査回路50内の一部が短絡していると判断し、いずれかの判断結果を出力する。よって、他の異常状態を確認することができる。
【0067】
(3)マイコン38は、出力端子P2に一端が接続され、出力端子P2の出力電圧を検査する出力電圧検査用端子P3を備える。マイコン38は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、出力電圧検査用端子P3が矩形波を検出すると、出力端子P2の出力電圧は正常であると判断し、出力電圧検査用端子P3がハイレベルのみの信号又はローレベルのみの信号を検出すると、出力端子P2の出力電圧は異常であると判断し、いずれかの判断結果を出力する。よって、他の異常状態を確認することができる。
【0068】
(4)マイコン38は、検出端子P1に一端が接続され、検出端子P1の検出波形を検査する検出波形検査用端子P4を備える。マイコン38は、出力端子P2が矩形波を出力した後に、検出端子P1の検出波形と検出波形検査用端子P4の検出波形とが同じ場合、検出端子P1の検出波形は正常であると判断し、検出端子P1の検出波形と検出波形検査用端子P4の検出波形とが異なる場合、検出端子P1の検出波形は異常であると判断し、いずれかの判断結果を出力する。よって、他の異常状態を確認することができる。
【0069】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇スイッチング素子Q1~Q6を駆動するマイコン38を高電圧系に配置するとともにフォトカプラ(フォトダイオード61とフォトトランジスタ62、及び、フォトダイオード75とフォトトランジスタ76)で低電圧系の検査回路50と繋いだシステム構成としたが、これに限るものではない。例えば、スイッチング素子Q1~Q6を駆動するマイコン38を低電圧系に配置して直接、検査回路50を駆動してもよい。その場合にはマイコン38とスイッチング素子Q1~Q6を駆動するライン途中にフォトカプラを配置する。
【0070】
○スイッチング素子Q1~Q6は、IGBTに代わり、例えば、MOSトランジスタで構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
20…車載用電動圧縮機、21…ハウジング、22…圧縮部、23…電動モータ、31…インバータ装置、32…ケース、36a…外部コネクタ、36b…圧縮機側コネクタ、38…マイコン、45a~45f…ドライブ回路、50…検査回路、90…正極端子、92…第1の検査用端子、93…第2の検査用端子、107…検査用導電体、Lp…正極母線、P1…検出端子、P2…出力端子、P3…出力電圧検査用端子、P4…検出波形検査用端子、Phv…高電圧端子、Q1~Q6…スイッチング素子、R1,R2…分圧抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11