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特許7338561上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 23/00 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B62D23/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020092499
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021187230
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳信
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-067186(JP,U)
【文献】実開昭54-071809(JP,U)
【文献】特開2015-067242(JP,A)
【文献】特開2002-153512(JP,A)
【文献】特開平07-017429(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02657111(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00
B60P 1/64
B60P 3/325
B62D 17/00 -25/08
B62D 25/14 -29/04
B65G 67/00 -67/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面視で下方向に窪んだ凹部を有するシャシ部と、
前記凹部と嵌合する、側面視で凸型形状の凸部を有して、幅方向に移動可能な車輪と、前記シャシ部に搭載した際に、前記車輪が格納される格納部と、を備えるキャビン部と、
前記シャシ部に嵌合した前記キャビン部を固定するマウント部と、を備える
上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造。
【請求項2】
前記凸部は、乗員が乗降可能な開口部を備える、
請求項1に記載の上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造。
【請求項3】
前記車輪は、
前記キャビン部の幅方法に沿って、当該キャビン部を前記シャシ部に搭載する際に前記シャシ部に搭載される順に列状に配置された、
前記シャシ部の床面に乗り上げる第1の車輪と、
前記キャビン部を前記シャシ部に搭載する際に、当該シャシ部と当接する力を受けて折り畳まれる脚部に取り付けられた第2の車輪と、
ロック解除操作に連動して折り畳まれる脚部に取り付けられた第3の車輪と、を少なくとも2列備える、
請求項1または請求項2に記載の上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造。
【請求項4】
前記シャシ部は、前記キャビン部を前記シャシ部に搭載した際に、前記第3の車輪と当該第3の車輪が取り付けられた前記脚部とを格納する切欠部を備える、
請求項に記載の上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造。
【請求項5】
前記キャビン部を前記シャシ部に搭載した際に、
前記シャシ部の前端は、前記キャビン部の前端よりも前方に突出して、
前記シャシ部の後端は、前記キャビン部の後端よりも後方に突出する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造。
【請求項6】
前記マウント部は、ツイストロックを備える、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動系を有するシャシとコンテナとを分割して、コンテナをシャシの後方から搭載するコンテナ荷役車両が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-132439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、コンテナをシャシに搭載するために、車両の前後方向に長いスペースが必要であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シャシとキャビンとが分割された構造を有する車両において、キャビンをシャシに搭載する際に、長いスペースが不要な上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、側面視で下方向に窪んだ凹部を有するシャシ部と、前記凹部と嵌合する、側面視で凸型形状の凸部を有して、幅方向に移動可能な車輪と、前記シャシ部に搭載した際に、前記車輪が格納される格納部と、を備えるキャビン部と、前記シャシ部に嵌合した前記キャビン部を固定するマウント部と、を備えた上下分割構造車両におけるキャビン搭載構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャビンをシャシに搭載する際に、長いスペースを不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、上下分割構造を備える車両の一例を示す外観図である。
図2図2は、上下分割構造を備える車両を分割した状態の一例を示す外観図である。
図3図3は、キャビン部の一例を示す外観図である。
図4図4は、キャビン部の底部の一例を示す外観図である。
図5図5は、キャビン部をシャシ部に搭載した際の車両の断面図である。
図6図6は、マウント部の構造の一例を説明する図である。
図7図7は、台車部の構造の一例を説明する図である。
図8図8は、台車部をシャシ部に搭載する様子を時系列で説明する図である。
図9図9は、上下分割構造を備える別の車両を分割した状態の一例を示す外観図である。
図10図10は、上下分割構造を備える別の形態の車両の一例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(上下分割構造を備える車両の説明)
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係る上下分割構造を備える車両について説明する。図1は、上下分割構造を備える車両の一例を示す外観図である。図2は、上下分割構造を備える車両を分割した状態の一例を示す外観図である。
【0010】
図1に示す車両10は、シャシ部20とキャビン部40とを備える。シャシ部20とキャビン部40とは、後述するように分割可能である。
【0011】
シャシ部20の全長Laは、キャビン部40の全長Lbよりも長く、シャシ部20の前端は、キャビン部40の前端よりも前方に突出して、シャシ部20の後端は、キャビン部40の後端よりも後方に突出している。
【0012】
図2に示すように、シャシ部20は、前輪21aと後輪21bとを備える、前輪21aは、前輪カバー部22aによって覆われている。後輪21bは、後輪カバー部22bに覆われている。前輪カバー部22aと後輪カバー部22bとは、床面部材22cによって接続されている。床面部材22cは、前輪カバー部22aと後輪カバー部22bとの間が下方向に窪んでいる。即ち、前輪カバー部22aと後輪カバー部22bと床面部材22cとは、図2のX軸方向から見て、即ち側面視で下方向(Z軸負方向)に窪んだ凹型形状の凹部23を形成する。
【0013】
なお、シャシ部20は、床面部材22cに内蔵されたバッテリーを備えて、前輪カバー部22a内には前輪21aを駆動するモータを備える。即ち、シャシ部20は駆動系を備える。なお、後輪カバー部22b内に後輪21bを駆動するモータを備えてもよい。
【0014】
床面部材22cは、シャシ部20を前後に貫くY軸に関して非対称な形状を有する。即ち、図2に示すように、シャシ部20の幅方向に沿うX軸の負方向側には、床面部材22cが切り欠かれた切欠部24が形成されている。
【0015】
キャビン部40は、底面に幅方向に沿って第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとを備える。なお、詳しくは後述するが、第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとは、キャビン部40の底面の前後に2組備えられる(図4参照)。
【0016】
第2の車輪43bと、第3の車輪43cとは地面に接地しており、キャビン部40を手で押して移動可能とされる。そして、キャビン部40を図2の矢印Aの方向、即ち、キャビン部40の幅方向(X軸方向)に移動させることによって、シャシ部20の上方に搭載される。
【0017】
キャビン部40の前後方向中央部は、X軸方向から見て、即ち側面視で、下向きの凸型形状をなす凸部42を形成する。これにより、キャビン部40の前後方向中央部は、当該キャビン部40の前方部分および後方部分に対して、地面側(下方向)に延長される。
【0018】
キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、凸部42は、シャシ部20の凹部23と嵌合する。そして、詳しくは後述するが、第1の車輪43aと、第2の車輪43bとは、シャシ部20の床面部材22cに形成された、シャシ部20の幅方向に沿って延在する2列のガイドレール25a,25bに嵌まり込む。また、第3の車輪43cは、切欠部24(図2参照)の位置において、格納部44(図4(b)参照)に格納される。
【0019】
ガイドレール25a,25bは、シャシ部20の幅方向(X軸方向)に沿って、床面部材22cの上に設置された、第1の車輪43aと第2の車輪43bのY軸方向の移動を規制する棚状部材である。キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、第1の車輪43aと、第2の車輪43bとは、ガイドレール25a,25bに接地した状態で、キャビン部40をシャシ部20の奥側(X軸正方向)に誘導する。このようにして、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとは、キャビン部40の底部に格納される。詳しくは後述する(図8参照)。
【0020】
そして、シャシ部20に搭載されたキャビン部40は、前輪カバー部22aと後輪カバー部22bとの上部にそれぞれ2箇所設けられたマウント部26によって固定される。マウント部26は、例えばツイストロックで構成される。詳しくは後述する(図6参照)。
【0021】
車両10は、このような上下分割構造を有するため、1つのシャシ部20に異なる種類のキャビン部40を選択して搭載することができる。例えば、車両10を、キャビン部40内に複数の乗員の居住スペースを有する小型バスとすることもできるし、キャビン部40内に商品の陳列スペースを有する移動販売車とすることもできる。また、キャビン部40内に調理スペースを有するキッチンカーとすることもできる。このように、1台のシャシ部20で異なる形態の車両10を作ることができるため、1つのシャシ部20を、例えば、朝と夜間は小型バス、昼間は移動販売車として使用することも可能である。
【0022】
(キャビン部の詳細構造の説明)
次に、図3図4を用いて、キャビン部40の詳細構造を説明する。図3は、キャビン部の一例を示す外観図である。図4は、キャビン部の底部の一例を示す外観図である。
【0023】
図3に示すように、キャビン部40の一方の側面には、乗員が乗降する開口部41が形成される。開口部41の下端は、乗員の乗降を容易とするために、キャビン部40の底部付近まで延びる。即ち、開口部41は、前記した凸部42(図2参照)の位置に形成されている。そして、開口部41には、図4(a)に示すように、開閉可能な扉部46が設置される。
【0024】
キャビン部40の内底部には、幅方向(X軸方向)に沿って、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、前記した第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとを格納する格納部44が形成される。格納部44は、キャビン部40の前方と後方の2箇所に形成される。
【0025】
なお、第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとは、台車部70(図7参照)を形成する。キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、第1の車輪43aと第2の車輪43bは、床面部材22c上の、前記したガイドレール25a,25bに接地した状態で、格納部44に格納される。また、第3の車輪43cは、開口部41の近傍に設けられたロックレバー45を操作してロックを解除することによって、切欠部24(図2参照)の位置において、格納部44に格納される。なお、ロックレバー45は可倒式になっており、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際には、ロックレバー45は折り畳まれて、図4(b)に示すように、ハッチカバー47の奥に格納される。なお、ロックレバー45の機能と各車輪の格納構造について、詳しくは後述する(図8参照)。
【0026】
次に、図4を用いて、キャビン部40の底部の構造を説明する。キャビン部40の底部は、図4(a)に示すように、キャビン部40の幅方向に関して左右非対称に形成される。即ち、扉部46が設置される側は、キャビン部40の底部が地面の近くまで延長されている。一方、扉部46が設置されない側は、地面から浮き上がった状態になっている。この浮き上がった部分は、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、床面部材22c(図2参照)の上に乗り上がる。一方、扉部46が設置された側は、切欠部24(図2参照)の部分に嵌まり込む。
【0027】
(車両の断面構造の説明)
次に、図5を用いて、車両の断面構造について説明する。図5は、キャビン部をシャシ部に搭載した際の車両の断面図である。なお、図5は、格納部44に格納された第2の車輪43bの中心断面を示している。
【0028】
前記したように、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとは、格納部44の内部に格納される。この格納構造をより具体的に説明する。第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cとを支える脚部は、キャビン部40の格納部44の内部に、キャビン部40の幅方向に沿って設置された角柱状のレール部50に、折り畳み可能に取り付けられる。そして、キャビン部40が、シャシ部20の床面部材22cに設けられたガイドレール25a,25bに沿ってシャシ部20の奥(X軸正方向)に進行すると、各車輪が取り付けられた脚部が折り畳まれることによって、格納部44の内部に格納される。なお、格納構造の詳細は後述する(図8参照)。
【0029】
シャシ部20に搭載されたキャビン部40は、シャシ部20の前後に設けられたマウント部26によって固定される。なお、マウント部26の詳しい固定構造は後述する(図6参照)。
【0030】
(マウント部の構造の説明)
次に、図6を用いて、マウント部の構造について説明する。図6は、マウント部の構造の一例を説明する図である。
【0031】
マウント部26は、ツイストロックと呼ばれる構造を有する。図6(a)に示すように、マウント部26は、シャシ部20に設置されて、先端に回転可能な突起部26aを備える。突起部26aは、電動また油圧によって上下方向に移動する。
【0032】
キャビン部40をシャシ部20に搭載した後、キャビン部40の底部に開口された孔部48の位置および方向と、突起部26aの位置とを合わせる。そして、突起部26aを上昇させると、図6(b)に示すように、突起部26aが孔部48を通過した状態となる。
【0033】
この状態で、突起部26aの向きを回転させる操作ハンドル26bを矢印Bの方向に移動させる。すると、突起部26aがその向きを回転する。
【0034】
突起部26aの向きを90°回転させると、図6(c)に示すように、キャビン部40はシャシ部20に固定される。
【0035】
一方、キャビン部40をシャシ部20から離脱させる際には、まず、操作ハンドル26bを矢印Bとは逆方向に回転させて、突起部26aの向きと孔部48の向きとを合わせる。そして、突起部26aを下降させることによって、キャビン部40をシャシ部20から離脱させる。
【0036】
なお、図6の例では、説明を簡単にするため、操作ハンドル26bを手動で動かす構成としたが、操作ハンドル26bの代わりに電動アクチュエータや油圧アクチュエータを用いてもよい。
【0037】
(台車部の構造の説明)
次に、図7を用いて、キャビン部40の底部に形成される台車部70の構造を説明する。図7は、台車部の構造の一例を説明する図である。
【0038】
台車部70は、主要な構成要素として、レール部50と、第1の車輪43aと、第2の車輪43bと、第3の車輪43cと、摺動部材51,52と、第1の脚部55と、第2の脚部58と、リンク部材61と、リンク部材64と、第3の脚部62と、ロックレバー45と、リンク部材65とを備える。なお、台車部70は、キャビン部40の前方側にも形成されるが、両者は同じ構造を有するため、以降の説明はキャビン部40の後方側の台車部70のみについて行う。なお、第1の脚部55と第2の脚部58と第3の脚部62とは、それぞれ本開示における脚部の一例である。
【0039】
レール部50は、キャビン部40の底部に、当該キャビン部40の幅方向(X軸方向)に沿って設置される。摺動部材51,52は、レール部50に沿ってX軸方向に摺動するように、レール部50に嵌め合わされる。摺動部材51(本開示における第1の摺動部材の一例)は、弾性部材53によって、X軸方向に付勢される。また、摺動部材52(本開示における第2の摺動部材の一例)は、弾性部材54によって、X軸方向に付勢される。
【0040】
第1の車輪43aは、レール部50の先端に、第1の脚部55を介して設置される。第1の脚部55は、第1の軸部56によって軸支される。また、第1の脚部55は、弾性部材57によって付勢される。第1の車輪43aまたは第1の脚部55にX軸の負方向に向かう力が作用すると、第1の脚部55は、第1の軸部56の周りに、時計回りに回転する。これによって、第1の脚部55および第1の車輪43aは、レール部50に近づく方向に格納される。なお、第1の脚部55は弾性部材57によって付勢されており、図7に示す位置が定位置である。キャビン部40をシャシ部20に搭載した際の第1の車輪43aの挙動について、詳しくは後述する(図8参照)。
【0041】
第2の車輪43bは、第2の軸部59に軸支された第2の脚部58に設置される。そして、第2の脚部58の中間部には、第3の軸部60に軸支されたリンク部材61(本開示における第1のリンク部材の一例)が接続される。リンク部材61の他方の端部は、摺動部材51に軸支される。このようなリンク構造によって、第2の脚部58にX軸の負方向に向かう力が作用すると、第2の脚部58は、第2の軸部59の周りに時計回りに回転する。これによって、第2の脚部58および第2の車輪43bは、は、レール部50に近づく方向に格納される。なお、第2の脚部58の回転に連動して、摺動部材51はX軸負方向に摺動する。摺動部材51は、弾性部材53によって付勢されているため、第2の脚部58が起立する方向に回転した際には、摺動部材51は、X軸正方向に摺動する。即ち、図7に示す位置が、第2の車輪43bの定位置である。なお、第2の車輪43bが定位置にある状態において、第2の脚部58は何らかの方法でロックされるものとする。ロックの方法およびロックの解除の方法は問わない。なお、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際の第2の車輪43bの挙動について、詳しくは後述する(図8参照)。
【0042】
第3の車輪43cは、摺動部材52に軸支されたリンク部材64と、第3の脚部62とを介して設置される。リンク部材64と第3の脚部62とは、第4の軸部63によって、回動可能に軸支される。リンク部材64(本開示における第2のリンク部材の一例)は、ロックレバー45と接続されたリンク部材65によって、図7に示す位置に保持される。ロックレバー45をX軸正方向に押し込むことによって、リンク部材65とリンク部材64とのロックが解除される。そして、リンク部材64と第3の脚部62と第3の車輪43cとは、レール部50に近づく方向に折り畳んで格納される。このとき、押し込まれたロックレバー45は、反時計方向に回動可能とされて、折り畳んで格納部44に格納される(図4参照)。なお、リンク部材64と第3の脚部62と第3の車輪43cとの格納は操作者が手動で行ってもよいし、ロックレバー45と連動して動作するアクチュエータを用いて、自動的に格納するようにしてもよい。また、ロックレバー45によるロック方法は問わない。一方、リンク部材64と第3の脚部62と第3の車輪43cとを図7の状態に引き出して、ロックレバー45をX軸負方向に引き出すと、リンク部材64と第3の脚部62と第3の車輪43cとは、図7の状態でロックされる。なお、摺動部材52は、必ずしもレール部50に取り付けられる必要はなく、他のレール部材に取り付けられても良い。なお、第3の車輪43cの挙動について、詳しくは後述する(図8参照)。
【0043】
(台車部の搭載状態の説明)
次に、図8を用いて、台車部70を格納部44に格納する流れを説明する。図8は、台車部をシャシ部に搭載する様子を時系列で説明する図である。
【0044】
まず、図8(a)に示すように、台車部70(キャビン部40)を幅方向に移動させて、シャシ部20の床面部材22cに接近させる。このとき、台車部70が備える第2の車輪43bと第3の車輪43cとは、地面に接地している。
【0045】
図8(b)に示すように、台車部70(キャビン部40)が床面部材22cに当接すると、第1の車輪43aは、床面部材22cに乗り上げる。より正確には、第1の車輪43aは、前記したように、ガイドレール25bに嵌まり込んで前進する。このとき、第1の脚部55は、時計回りに回転して向きを変える。
【0046】
台車部70が更に前進すると、第2の脚部58が床面部材22cと当接する。
【0047】
このとき、図8(c)に示すように、第2の脚部58のロック解除の操作がなされたことを条件として、第2の脚部58は時計回りに回転して向きを変える。そして、第2の脚部58の回転に伴って、第2の車輪43bは地面から離れる。更に、第2の脚部58の回転に連動して、リンク部材61が摺動部材51をX軸負方向側に押し出すため、摺動部材51は、レール部50に嵌め合わされた状態で、X軸負方向に摺動する。
【0048】
台車部70(キャビン部40)を更に前進させると、図8(d)に示すように、第2の車輪43bは床面部材22cの乗り上げる。そして、第2の脚部58は、レール部50とほぼ平行な状態に折り畳まれて格納される。このとき、弾性部材53は引き延ばされるため、摺動部材51はX軸正方向側に向けて付勢される。
【0049】
台車部70(キャビン部40)を更に前進させた後で、キャビン部40の搭載を行っている操作者は、図8(d)に示すように、ロックレバー45を操作して、第3の車輪43cを支持する第3の脚部62とリンク部材64とのロックを解除する。そして、操作者は、第3の脚部62とリンク部材64とを折り畳むことによって、第3の車輪43cを地面から離す。なお、折り畳まれた第3の脚部62とリンク部材64、および第3の車輪43cは、図8(e)に示すように、前記した切欠部24(図2参照)に格納される。
【0050】
なお、台車部70(キャビン部40)をシャシ部20から離脱させる際には、前記した手順を逆に行えばよい。
【0051】
(実施の形態の変形例の説明)
次に、図9図10を用いて、前記した車両10とは異なる上下分割構造を有する車両100について説明する。図9は、上下分割構造を備える別の車両を分割した状態の一例を示す外観図である。図10は、上下分割構造を備える別の形態の車両の一例を示す外観図である。
【0052】
車両100は、分割可能なシャシ部120とキャビン部140とを備える。シャシ部120は、エンジンの上部に運転席を備えたキャブオーバー型の車両のシャシである。シャシ部120の基本構造は、前記した車両10のシャシ部20と同じである。即ち、シャシ部120は、床面部材122cを備える。床面部材122cは、車両100の前進方向左側に、切欠部124を備える。また、床面部材122cの前端と後端には、それぞれシャシ部120の幅方向に沿って延在するガイドレール125a,125bが形成される。
【0053】
ガイドレール125a,125bには、キャビン部140をシャシ部120に搭載した際に、キャビン部140が備える非図示の車輪が嵌り込む。車輪の構成は、前記した実施形態と同じである。なお、前記した車両10とは異なり、後方側のガイドレール125bは、後輪の後方側に設けられる。
【0054】
また、床面部材122cには、複数のマウント部126が備えられる。マウント部126は、前記したマウント部26と同様に、例えばツイストロックで構成される。
【0055】
キャビン部140は、図9に非図示の車輪によって移動可能である。そして、キャビン部140を幅方向に移動させることによって、シャシ部120に搭載される。なお、キャビン部140は、当該キャビン部140の後方側が、シャシ部120が備える後輪を跨ぐ位置まで延長される。
【0056】
このように構成されたキャビン部140をシャシ部120に搭載することによって、図10に示す車両100が構成される。キャビン部140は、移動事務所、作業機材格納用、移動販売用等の用途の応じた形態とすることによって、車両100を、様々な使用形態として使用することができる。
【0057】
(本実施の形態の作用効果の説明)
以上説明したように、本実施の形態に係る車両10は、前輪21aと後輪21bとの間が、側面視で下方向に窪んだ凹部23を形成するシャシ部20に、凹部23と嵌合する、側面視で凸型形状の凸部42を有するキャビン部40を搭載して、シャシ部20に嵌合したキャビン部40が、マウント部26によって固定される。したがって、キャビン部40をシャシ部20の横側から、シャシ部20の幅方向に沿って移動させて搭載することができるため、キャビン部40を搭載する際に必要なスペースが少なくて済む。
【0058】
また、本実施の形態に係る車両10において、凸部42は、乗員が乗降可能な開口部41を備える。したがって、乗員の乗降動作を円滑に行わせることができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る車両10において、キャビン部40を幅方向に移動可能な車輪(第1の車輪43a,第2の車輪43b,第3の車輪43c)は、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、格納部44に格納される。したがって、キャビン部40をシャシ部20から離脱させた際に容易に移動させることができるとともに、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、車輪の格納スペースを小さくすることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る車両10において、キャビン部40をシャシ部20に搭載する際に、第1の車輪43aはシャシ部20の床面部材22cに乗り上げる。第2の車輪43bは、第2の脚部58(脚部)に取り付けられる。第2の脚部58は、リンク部材61(第1のリンク部材)を介して、キャビン部40の幅方向に沿って摺動する摺動部材51(第1の摺動部材)に取り付けられて、キャビン部40をシャシ部20に搭載する際に、シャシ部20と当接する力を受けて折り畳まれる。第3の車輪43cは、第3の脚部62(脚部)に取り付けられる。第3の脚部62は、ロックレバー45によるロック解除操作に連動して折り畳まれる。したがって、キャビン部40を転がしてシャシ部20に向けて移動させることによって、リフト等の昇降設備を用いることなく、キャビン部40をシャシ部20に搭載することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る車両10において、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、第3の車輪43cと当該第3の車輪43cが取り付けられた第3の脚部62(脚部)とは、切欠部24に格納される。したがって、床面部材22cに乗り上がらない第3の車輪43cを、車両10の走行に支障がない状態に格納することができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る車両10において、キャビン部40をシャシ部20に搭載した際に、シャシ部20の前端は、キャビン部40の前端よりも前方に突出して、シャシ部20の後端は、キャビン部40の後端よりも後方に突出する。したがって、車両10が衝突した際の衝撃をシャシ部20で吸収することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係る車両10において、マウント部26は、ツイストロックを備える。したがって、シャシ部20とキャビン部40とを、容易かつ確実にロックすることができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10,100…車両、20,120…シャシ部、21a…前輪、21b…後輪、22a…前輪カバー部、22b…後輪カバー部、22c,122c…床面部材、23…凹部、24,124…切欠部、25a,25b,125a,125b…ガイドレール、26…マウント部、26a…突起部、26b…操作ハンドル、40,140…キャビン部、41…開口部、42…凸部、43a…第1の車輪、43b…第2の車輪、43c…第3の車輪、44…格納部、45…ロックレバー、46…扉部、47…ハッチカバー、48…孔部、50…レール部、51…摺動部材(第1の摺動部材)、52…摺動部材(第2の摺動部材)、53,54,57…弾性部材、55…第1の脚部(脚部)、56…第1の軸部、58…第2の脚部(脚部)、59…第2の軸部、60…第3の軸部、61…リンク部材(第1のリンク部材)、64…リンク部材(第2のリンク部材)、65…リンク部材、62…第3の脚部(脚部)、63…第4の軸部、70…台車部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10