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特許7338563乗車判断プログラム、端末装置、通信システム、及び乗車判断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】乗車判断プログラム、端末装置、通信システム、及び乗車判断方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20230829BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230829BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230829BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20230829BHJP
【FI】
H04M1/00 U
G08G1/00 D
H04M11/00 301
H04M1/72
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020094760
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190857
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100220674
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 祐
(72)【発明者】
【氏名】兼市 大輝
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116703(JP,A)
【文献】特開2019-159560(JP,A)
【文献】特開2016-181156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0216509(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0179000(US,A1)
【文献】特開2019-020985(JP,A)
【文献】特開2019-053751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W10/00-10/30
30/00-60/00
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08G1/00-99/00
G16Z99/00
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-1/82
3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で使用される通信装置と通信する通信部を備え、前記車両を含む第1移動手段と前記車両を含まない第2移動手段とのうちユーザによって選択された、いずれか一方の移動手段を用いて移動するルートを案内するシングルモーダル案内機能を有するコンピュータに、
前記通信部を介して、前記通信装置から送信される信号を受信したときに、前記ユーザによる目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む動作を実行させ
前記判断することは、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記シングルモーダル案内機能によって、前記第2移動手段を用いて前記目的地まで移動するルートを案内中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む、乗車判断プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記車両を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートを案内するマルチモーダル案内機能を有し、
前記判断することは、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記マルチモーダル案内機能によって、前記車両を含む移動手段の組み合わせを用いて前記目的地まで移動するルートを案内中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む、
請求項1に記載の乗車判断プログラム。
【請求項3】
前記判断することは、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記通信装置から送信される信号を受信した時点において、前記ユーザが他の車両を用いて前記目的地に向かって移動中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む、
請求項1又は2に記載の乗車判断プログラム。
【請求項4】
前記動作は、
前記ユーザによる前記目的地の設定の入力を受け付けることをさらに含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の乗車判断プログラム。
【請求項5】
前記動作は、
前記目的地を前記ユーザに対応するユーザ識別子とともに通知する第1データを、前記通信部を介して、前記通信装置に前記目的地を通知する制御装置に送信することと、
前記ユーザの操作に応じて、前記車両に対応する車両識別子を取得することと、
前記車両識別子を前記ユーザ識別子とともに通知する第2データを前記制御装置に送信することと
をさらに含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の乗車判断プログラム。
【請求項6】
前記動作は、
前記信号を受信したときに、前記ユーザに前記操作を促すメッセージを通知することをさらに含む、
請求項に記載の乗車判断プログラム。
【請求項7】
車両で使用される通信装置と通信する通信部と、
前記通信部を介して、前記通信装置から送信される信号を受信したときに、ユーザによる目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断し、
前記車両を含む第1移動手段と前記車両を含まない第2移動手段とのうち前記ユーザによって選択された、いずれか一方の移動手段を用いて移動するルートを案内するシングルモーダル案内機能を有し、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記シングルモーダル案内機能によって、前記第2移動手段を用いて前記目的地まで移動するルートを案内中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断する制御部と
を備える端末装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記車両を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートを案内するマルチモーダル案内機能を有し、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記マルチモーダル案内機能によって、前記車両を含む移動手段の組み合わせを用いて前記目的地まで移動するルートを案内中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断する、請求項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記通信装置から送信される信号を受信した時点において、前記ユーザが他の車両を用いて前記目的地に向かって移動中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断する、請求項7又は8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記ユーザによる前記目的地の設定の入力を受け付ける入力部をさらに備える、請求項からのいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記目的地を前記ユーザに対応するユーザ識別子とともに通知する第1データを、前記通信部を介して、前記通信装置に前記目的地を通知する制御装置に送信し、前記ユーザの操作に応じて、前記車両に対応する車両識別子を取得し、前記車両識別子を前記ユーザ識別子とともに通知する第2データを前記制御装置に送信する、請求項から1のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記信号を受信したときに、前記ユーザに前記操作を促すメッセージを通知する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項13】
請求項1又は1に記載の端末装置と、
前記制御装置と
を備える通信システム。
【請求項14】
車両で使用される通信装置が、信号を送信することと、
ユーザが保持する端末装置であって、前記車両を含む第1移動手段と前記車両を含まない第2移動手段とのうち前記ユーザによって選択された、いずれか一方の移動手段を用いて移動するルートを案内するシングルモーダル案内機能を有する端末装置が、前記通信装置から送信される信号を受信したときに、前記ユーザによる目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することと、を含み、
前記判断することは、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記シングルモーダル案内機能によって、前記第2移動手段を用いて前記目的地まで移動するルートを案内中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含
乗車判断方法。
【請求項15】
前記端末装置が、
前記車両を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートを案内するマルチモーダル案内機能を有し、
前記判断することは、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記マルチモーダル案内機能によって、前記車両を含む移動手段の組み合わせを用いて前記目的地まで移動するルートを案内中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む、
請求項1に記載の乗車判断方法。
【請求項16】
前記判断することは、
前記目的地が設定済みであり、かつ、前記通信装置から送信される信号を受信した時点において、前記ユーザが他の車両を用いて前記目的地に向かって移動中であるという条件の成否に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む、
請求項14又はに記載の乗車判断方法。
【請求項17】
前記端末装置が、前記目的地を前記ユーザに対応するユーザ識別子とともに通知する第1データを、前記通信装置に前記目的地を通知する制御装置に送信することと、
前記端末装置が、前記ユーザの操作に応じて、前記車両に対応する車両識別子を取得することと、
前記端末装置が、前記車両識別子を前記ユーザ識別子とともに通知する第2データを前記制御装置に送信することと
をさらに含む、
請求項1から1のいずれか一項に記載の乗車判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗車判断プログラム、端末装置、通信システム、及び乗車判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末が、車両に設置された信号発信器からの無線信号を受信しているときに乗車信号を送信し、無線信号を受信しなくなったときに降車信号を送信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-041344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、車両周囲に位置するユーザ端末が、無線信号を受信した場合、ユーザが乗車したと誤判定してしまう可能性があり、ユーザの乗車判定の精度の向上が望まれている。
【0005】
本開示の目的は、ユーザの乗車判定の精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗車判断プログラムは、
車両で使用される通信装置と通信する通信部を備えるコンピュータに、
前記通信部を介して、前記通信装置から送信される信号を受信したときに、ユーザによる目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することを含む動作を実行させる。
【0007】
本開示に係る端末装置は、
車両で使用される通信装置と通信する通信部と、
前記通信部を介して、前記通信装置から送信される信号を受信したときに、ユーザによる目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断する制御部と
を備える。
【0008】
本開示に係る乗車判断方法は、
車両で使用される通信装置が、信号を送信することと、
ユーザが保持する端末装置が、前記通信装置から送信される信号を受信したときに、前記ユーザによる目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、前記ユーザが前記車両へ乗車しているかどうかを判断することと
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの乗車判定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
図5】本開示の実施形態に係る通信システムの動作を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る端末装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施形態に係る端末装置の画面例を示す図である。
図8】変形例に係る端末装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図を参照して説明する。
【0012】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0013】
図1を参照して、本実施形態に係る通信システム10の構成を説明する。
【0014】
本実施形態に係る通信システム10は、少なくとも1台の制御装置20と、少なくとも1台の端末装置30と、少なくとも1台の通信装置40とを備える。
【0015】
制御装置20は、ネットワーク50を介して端末装置30及び通信装置40と通信可能である。
【0016】
ネットワーク60は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの組み合わせを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク60は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0017】
制御装置20は、データセンタなどの施設に設置される。制御装置20は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバである。
【0018】
端末装置30は、ユーザによって保持される。端末装置30は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、若しくはタブレットなどのモバイル機器、又はPCである。「PC」は、personal computerの略語である。
【0019】
通信装置40は、タクシー又はオンデマンドバスなどの車両12に搭載又は設置される。あるいは、通信装置40は、車両12の運転手によって保持される。通信装置40は、例えば、カーナビゲーション機器などの車載機器、携帯電話機、スマートフォン、若しくはタブレットなどのモバイル機器、又はPCである。
【0020】
車両12は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV、PHV、EV、又はFCVなどの任意の種類の自動車である。「HV」は、hybrid vehicleの略語である。「PHV」は、plug-in hybrid vehicleの略語である。「EV」は、electric vehicleの略語である。「FCV」は、fuel cell vehicleの略語である。車両12は、本実施形態では運転手によって運転されるが、任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略語である。車両12は、MaaS専用車両でもよい。「MaaS」は、Mobility as a Serviceの略語である。
【0021】
図1を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0022】
本実施形態では、車両12で使用される通信装置40が、信号を送信する。ユーザ11が保持する端末装置30が、通信装置40から送信される信号を受信したときに、ユーザ11による目的地の設定の有無と、配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションの起動状態との少なくとも一方に応じて、ユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断する。
【0023】
本実施形態によれば、ユーザ11が車両12に乗車したという誤判断を防ぎやすくなるため、ユーザ11の乗車判定の精度を向上させることができる。
【0024】
本実施形態では、端末装置30は、ユーザ11が設定した目的地をユーザ11に対応するユーザ識別子とともに通知する第1データを制御装置20に送信する。制御装置20は、第1データを端末装置30から受信する。
【0025】
端末装置30は、ユーザ11の操作に応じて、ユーザ11が乗った車両12に対応する車両識別子を取得する。端末装置30は、取得した車両識別子をユーザ11に対応するユーザ識別子とともに通知する第2データを制御装置20に送信する。制御装置20は、第2データを端末装置30から受信する。
【0026】
制御装置20は、ユーザ識別子が共通する第1データ及び第2データを参照して、目的地を通知する目的地データを通信装置40に送信する。通信装置40は、目的地データを制御装置20から受信する。
【0027】
本実施形態によれば、ユーザ11が設定した目的地の情報を、ユーザ11が乗った車両12での目的地の設定に利用することができる。例えば、ユーザ11が端末装置30に入力したマルチモーダルナビゲーション又はシングルモーダルナビゲーション用の目的地の情報を利用して、通信装置40がカーナビゲーション用の目的地を設定することができる。「マルチモーダルナビゲーション」とは、マルチモーダルルートを案内することである。「マルチモーダルルート」とは、車両12を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートのことである。「複数の種類の移動手段」は、例えば、車両12としてのタクシーを含むとともに、徒歩、自転車、バス、レンタカー、自家用車、鉄道、又は飛行機などの様々な移動手段を含んでよい。「シングルモーダルナビゲーション」とは、シングルモーダルルートを案内することである。「シングルモーダルルート」とは、車両12を含む第1移動手段と車両12を含まない第2移動手段とのうちユーザ11によって選択された、いずれか一方の移動手段を用いて移動するルートのことである。「第1移動手段」は、例えば、車両12としてのタクシーであるが、徒歩又は自転車などの付随的な移動手段を含んでもよい。「第2移動手段」は、例えば、公共交通機関としてのバス、鉄道、又はこれらの組み合わせであるが、徒歩又は自転車などの付随的な移動手段を含んでもよい。
【0028】
本実施形態では、制御装置20は、目的地が設定され、ユーザ11の車両12への乗車判断がされ、乗車手続の操作が行われてからは、車両12の位置データに応じて、目的地までのルートを決定する。制御装置20は、決定したルートを通知するルートデータを通信装置40に送信する。通信装置40は、ルートデータを制御装置20から受信する。通信装置40は、受信したルートデータを参照して、車両12の運転手に目的地までのルートを案内する。すなわち、通信装置40は、乗車手続の操作が行われてからは、車両12の位置データに応じて、車両12の運転手に目的地までのルートを案内する。なお、制御装置20の代わりに、通信装置40が、車両12の運転手に案内するルートを決定してもよい。
【0029】
「乗車手続の操作」とは、ユーザ11が乗った車両12に対応する車両識別子を取得するための操作のことである。そのような操作としては、例えば、車両12の室内で車両識別子を表示するディスプレイに端末装置30のカメラを向ける操作、又は車両12の室内で車両識別子を送信するリーダライタに端末装置30のタグをかざす操作がある。
【0030】
本実施形態によれば、ユーザ11が車両12に乗っていると判断された後に、車両12の運転手にがナビゲーション機能を利用することができる。
【0031】
図2を参照して、本実施形態に係る制御装置20の構成を説明する。
【0032】
制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。
【0033】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、制御装置20の各部を制御しながら、制御装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0034】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、制御装置20の動作に用いられるデータと、制御装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0035】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部23は、制御装置20の動作に用いられるデータを受信し、また制御装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0036】
入力部24は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクである。入力部24は、制御装置20の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部24は、制御装置20に備えられる代わりに、外部の入力機器として制御装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。「HDMI(登録商標)」は、High-Definition Multimedia Interfaceの略語である。
【0037】
出力部25は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electro luminescenceの略語である。出力部25は、制御装置20の動作によって得られるデータを出力する。出力部25は、制御装置20に備えられる代わりに、外部の出力機器として制御装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0038】
制御装置20の機能は、本実施形態に係る制御プログラムを、制御部21に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、制御装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。制御プログラムは、制御装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを制御装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、制御プログラムに従って制御装置20の動作を実行することにより制御装置20として機能する。
【0039】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したDVD又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0040】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0041】
制御装置20の一部又は全ての機能が、制御部21に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0042】
図3を参照して、本実施形態に係る端末装置30の構成を説明する。
【0043】
端末装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、測位部36とを備える。
【0044】
制御部31は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部31は、端末装置30の各部を制御しながら、端末装置30の動作に関わる処理を実行する。
【0045】
記憶部32は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32には、端末装置30の動作に用いられるデータと、端末装置30の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0046】
通信部33は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェース、又はLANインタフェースである。「LTE」は、Long Term Evolutionの略語である。「4G」は、4th generationの略語である。「5G」は、5th generationの略語である。通信部33は、端末装置30の動作に用いられるデータを受信し、また端末装置30の動作によって得られるデータを送信する。
【0047】
入力部34は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクである。入力部34は、端末装置30の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部34は、端末装置30に備えられる代わりに、外部の入力機器として端末装置30に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0048】
出力部35は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部35は、端末装置30の動作によって得られるデータを出力する。出力部35は、端末装置30に備えられる代わりに、外部の出力機器として端末装置30に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0049】
測位部36は、少なくとも1つのGNSS受信機を含む。「GNSS」は、global navigation satellite systemの略語である。GNSSは、例えば、GPS、QZSS、GLONASS、又はGalileoである。「GPS」は、Global Positioning Systemの略語である。「QZSS」は、Quasi-Zenith Satellite Systemの略語である。QZSSの衛星は、準天頂衛星と呼ばれる。「GLONASS」は、Global Navigation Satellite Systemの略語である。測位部36は、端末装置30の位置を測定する。
【0050】
端末装置30の機能は、本実施形態に係る乗車判断プログラムを、制御部31に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、端末装置30の機能は、ソフトウェアにより実現される。乗車判断プログラムは、端末装置30の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを端末装置30として機能させる。すなわち、コンピュータは、乗車判断プログラムに従って端末装置30の動作を実行することにより端末装置30として機能する。
【0051】
端末装置30の一部又は全ての機能が、制御部31に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、端末装置30の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0052】
図4を参照して、本実施形態に係る通信装置40の構成を説明する。
【0053】
通信装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45と、測位部46とを備える。
【0054】
制御部41は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部41は、少なくとも1つのECUを含んでもよい。「ECU」は、electronic control unitの略語である。制御部41は、通信装置40の各部を制御しながら、通信装置40の動作に関わる処理を実行する。
【0055】
記憶部42は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部42は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部42には、通信装置40の動作に用いられるデータと、通信装置40の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0056】
通信部43は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェース、又はLANインタフェースである。通信部43は、通信装置40の動作に用いられるデータを受信し、また通信装置40の動作によって得られるデータを送信する。
【0057】
入力部44は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクである。入力部44は、通信装置40の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部44は、通信装置40に備えられる代わりに、外部の入力機器として通信装置40に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0058】
出力部45は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部45は、通信装置40の動作によって得られるデータを出力する。出力部45は、通信装置40に備えられる代わりに、ディスプレイオーディオなど、外部の出力機器として通信装置40に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0059】
測位部46は、少なくとも1つのGNSS受信機を含む。GNSSは、例えば、GPS、QZSS、GLONASS、又はGalileoである。測位部46は、通信装置40の位置を測定する。
【0060】
通信装置40の機能は、本実施形態に係る通信プログラムを、制御部41に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、通信装置40の機能は、ソフトウェアにより実現される。通信プログラムは、通信装置40の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを通信装置40として機能させる。すなわち、コンピュータは、通信プログラムに従って通信装置40の動作を実行することにより通信装置40として機能する。
【0061】
通信装置40の一部又は全ての機能が、制御部41に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、通信装置40の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0062】
図5図6、及び図7を参照して、本実施形態に係る通信システム10の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る乗車判断方法に相当する。
【0063】
図5は、本実施形態に係る通信システム10全体の処理フローを示す。
【0064】
一例として、ユーザ11が、ユーザ11の端末装置30でマルチモーダルナビゲーション用のアプリケーションを起動しているとする。ユーザ11は、端末装置30の入力部34から目的地を入力しており、目的地を設定済みである(ステップS110)とする。
【0065】
図5のステップS111において、ユーザ11の端末装置30の通信部33は、ユーザ11が乗った車両12の室内で送信されるビーコンを受信する。ビーコンは、任意の通信方式で送受信されてよいが、例えば、Bluetooth(登録商標)で送受信される。端末装置30の制御部31は通信部33によりビーコンを受信したときは、これをトリガとして、ステップS112においてユーザ11が車両12に乗車しているかどうかを判断する。
【0066】
図6は、図5のステップS112における乗車判断の具体的な処理フローを示す。図6の処理は端末装置30の制御部31が行う。
【0067】
制御部31は、まずステップS113において、目的地が設定済みであるかを確認する。目的地の設定は、ユーザ11が端末装置30の入力部34を介して行う。制御部31は、目的地が設定済みではない場合には、ユーザ11は車両12に乗車していないと判断する。制御部31の処理は、目的地が設定済みである場合には、ステップS114に進む。本例では目的地が設定済みであるので、制御部31の処理はステップS114に進む。
【0068】
次にステップS114において、制御部31は、通信装置40から送信される信号を受信した時点において、ユーザ11が他の車両を用いて目的地に向かって移動中であるかを確認する。ここで他の車両とは、車両12以外の車両をいう。ユーザ11が他の車両を用いて移動中であるか否かの判断は、例えば、端末装置30の測位部36のGPS機能、又は端末装置30に設けられる動き検出センサ等を用いて端末装置30が速度をもって移動しているかに基づいて行われる。あるいは、制御部31が端末装置30の乗車判断の履歴を確認し、前回ユーザ11が乗車したと判断されたときの時刻に基づき、ユーザ11が他の車両を用いて移動中であるか否かを判定してもよい。制御部31は、通信装置40から送信される信号を受信した時点において、ユーザ11が他の車両を用いて目的地に向かって移動中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していないと判断する。制御部31の処理は、通信装置40から送信される信号を受信した時点において、ユーザ11が他の車両を用いて目的地に向かって移動中ではない場合は、ステップS115に進む。本例ではユーザ11は他の車両を用いて目的地に向かって移動中ではないので、制御部31の処理は、ステップS115に進む。
【0069】
次にステップS115において、端末装置30の制御部31は、車両12を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートを案内するマルチモーダル案内機能により、目的地までユーザ11が移動するルートを案内中であるかを確認する。マルチモーダル案内機能とは、制御部31がユーザ11のためのマルチモーダルルートを案内する機能である。制御部31は、マルチモーダル案内機能によって、車両12を含む移動手段の組み合わせを用いて目的地まで移動するルートを案内中でない場合は、ユーザ11は車両12へ乗車していないと判断する。制御部31は、マルチモーダル案内機能によって、車両12を含む移動手段の組み合わせを用いて目的地まで移動するルートを案内中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していると判断する。本例では、端末装置30はマルチモーダル案内機能によって、車両12を含む移動手段の組み合わせを用いて目的地まで移動するルートを案内中である。よって制御部31は、ユーザ11が車両12に乗車していると判断する。
【0070】
上述の処理を行った後、制御部31は、乗車判断を終了する。
【0071】
上述の通り、端末装置30がユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断することは、目的地が設定済みであり、かつ、通信装置40から送信される信号を受信した時点において、ユーザ11が他の車両を用いて目的地に向かって移動中であるという条件(C1)の成否に応じて、ユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断することを含んでいる。図5では、C1は、ステップS114において成立している。
【0072】
上述の通り、端末装置30が、車両12を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートを案内するマルチモーダル案内機能を有する。端末装置30がユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断することは、目的地が設定済みであり、かつ、マルチモーダル案内機能によって、車両12を含む移動手段の組み合わせを用いて目的地まで移動するルートを案内中であるという条件(C2)の成否に応じて、ユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断することを含んでいる。図5では、C2は、ステップS115において成立している。
【0073】
次に図5に戻ると、制御部31は、ユーザ11が設定した目的地をユーザ11に対応するユーザ識別子「U1」とともに通知する第1データを生成する。制御部31は、生成した第1データを記憶部32に記憶する。制御部31は、記憶部32に記憶した第1データを、通信部33を介して、制御装置20に送信する。
【0074】
次に制御部31はステップS116において、ユーザ11に対してメッセージを表示する。本例では、ユーザ11へのメッセージは端末装置30の画面に表示される。ユーザ11へのメッセージは端末装置30の画面に表示される代わりに、例えば端末装置30のスピーカを通して音声で出力されてもよい。
【0075】
図7は、端末装置30の画面の例を示している。制御部31は、図7に示すように、ビーコンを受信したことを示すアイコン、及び「2次元コードを読み取ると乗車手続完了!」というテキストメッセージを、端末装置30で動作しているマルチモーダルナビゲーション用のアプリケーションの画面に表示させる。
【0076】
ステップS117において、ユーザ11の端末装置30は、ユーザ11によって操作される。
【0077】
本例では、ユーザ11は、車両12の室内で車両識別子「V1」を表示するディスプレイに端末装置30のカメラを向ける。一変形例として、ユーザ11は、車両12の室内で車両識別子「V1」を送信するリーダライタに端末装置30のタグをかざしてもよい。
【0078】
ステップS118において、ユーザ11の端末装置30の制御部31は、ステップS117のユーザ11の操作に応じて、車両12に対応する車両識別子「V1」を取得する。制御部31は、取得した車両識別子「V1」をユーザ識別子「U1」とともに通知する第2データを生成する。制御部31は、生成した第2データを記憶部32に記憶する。制御部31は、記憶部32に記憶した第2データを、通信部33を介して、制御装置20に送信する。
【0079】
本例では、端末装置30の制御部31は、車両12の室内で表示された車両識別子「V1」を撮像する制御を行うことで、車両識別子「V1」を取得する。具体的には、制御部31は、2次元コードとして表示された車両識別子「V1」をカメラで撮像する制御を行うことで、車両識別子「V1」を取得する。一変形例として、制御部31は、車両12の室内で送信された車両識別子「V1」を受信する制御を行うことで、車両識別子「V1」を取得してもよい。具体的には、制御部31は、近距離無線通信で送信された車両識別子「V1」をタグで受信する制御を行うことで、車両識別子「V1」を取得してもよい。制御部31は、取得した車両識別子「V1」をユーザ識別子「U1」とともに制御装置20に送信する。
【0080】
ステップS119において、制御装置20の制御部21は、通信部23を介して、ユーザ11の端末装置30から第2データを受信する。制御部21は、受信した第2データを記憶部22に記憶する。制御部21は、記憶部22に記憶した、ユーザ識別子「U1」が共通する第1データ及び第2データを参照して、ユーザ11と車両12との紐付けを行う。制御部21は、参照した第1データで通知された目的地を通知する目的地データを生成する。制御部21は、生成した目的地データを記憶部22に記憶する。制御部21は、記憶部22に記憶した目的地データを、通信部23を介して、参照した第2データで通知された車両識別子「V1」に対応する車両12の通信装置40に送信する。すなわち、制御部21は、ユーザ11が設定した目的地を通知する目的地データを、ユーザ11に紐付けた車両12の通信装置40に送信する。
【0081】
本例では、制御装置20の制御部21は、端末装置30からユーザ識別子「U1」とともに通知された目的地を、端末装置30からユーザ識別子「U1」とともに送信された車両識別子「V1」に対応する車両12の通信装置40に通知する。
【0082】
ステップS120において、車両12の通信装置40の制御部41は、ステップS119の結果として送信された目的地データを、通信部43を介して、制御装置20から受信する。制御部41は、受信した目的地データを記憶部42に記憶する。制御部41は、記憶部42に記憶した目的地データに基づいて、目的地を設定する。
【0083】
本例では、通信装置40の制御部41は、通信装置40で動作しているカーナビゲーション用のアプリケーションに対し、制御装置20から通知された目的地を、カーナビゲーション用の目的地として設定する。
【0084】
ステップS121において、車両12の通信装置40の制御部41は、車両12の位置データを、測位部46を介して取得する。制御部41は、取得した車両12の位置データを記憶部42に記憶する。制御部41は、記憶部42に記憶した車両12の位置データを、通信部43を介して、制御装置20に送信する。
【0085】
本例では、通信装置40の制御部41は、車両12の現在位置の2次元座標又は3次元座標を車両12の位置データとして取得する。制御部41は、取得した車両12の位置データを車両識別子「V1」とともに制御装置20に送信する。
【0086】
ステップS122において、制御装置20の制御部21は、ステップS121で送信された車両12の位置データを、通信部23を介して、車両12の通信装置40から受信する。制御部21は、受信した車両12の位置データを記憶部22に記憶する。制御部21は、記憶部22に記憶した車両12の位置データに応じて、記憶部22に記憶した第1データで車両識別子「V1」とともに通知された目的地までのルートを決定する。制御部21は、決定したルートを通知するルートデータを記憶部22に記憶する。制御部21は、記憶部22に記憶したルートデータを、通信部23を介して車両12の通信装置40に送信する。
【0087】
本例では、制御装置20の制御部21は、記憶部22に予め記憶された地図情報を参照して、通信装置40から車両識別子「V1」とともに送信された車両12の位置データに対応する地点を出発し、端末装置30からユーザ識別子「U1」とともに通知された目的地に到着するルートを算出する。制御部31は、算出したルートを通信装置40に通知する。
【0088】
ステップS123において、車両12の通信装置40の制御部41は、ステップS122で送信されたルートデータを、通信部43を介して、制御装置20から受信する。制御部41は、受信したルートデータを記憶部42に記憶する。制御部41は、記憶部42に記憶したルートデータで通知されたルートを車両12の運転手に案内する制御を行う。この制御に従って、通信装置40の出力部45は、車両12の運転手に、ユーザ11が設定した目的地までのルートを画面上で案内する。
【0089】
本例では、通信装置40の制御部41は、制御装置20から通知されたルートを、通信装置40で動作しているカーナビゲーション用のアプリケーションの画面に表示させる。
【0090】
ステップS121からステップS123の処理は、車両12が目的地に到着するまで繰り返し実行される。
【0091】
上述のように、本実施形態では、端末装置30は、車両12で使用される通信装置40と通信する通信部23と、制御部21とを備える。制御部21は、通信部23を介して、通信装置40から送信される信号を受信したときに、ユーザ11による目的地の設定の有無に応じて、ユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断する。
【0092】
ユーザ11は、移動のため車両12を利用しようとするときは、目的地の設定を行って車両12に乗車する。端末装置30の制御部31が車両12のビーコンを受信したときにユーザ11が目的地の設定を行っていない場合は、ユーザ11が車両12を利用する可能性は低い。制御部21は、目的地を設定していない、すなわち車両12による移動を意図していないユーザ11の端末装置30が誤って車両12が発するビーコンを受信した場合でも、ユーザ11が車両12に乗車していると判断しない。したがって本実施形態によれば、ユーザ11が車両12に乗車したとする誤判断を防ぎやすくなるため、ユーザ11の乗車判定の精度の向上を図ることができる。
【0093】
本実施形態の一変形例として、制御部31は、マルチモーダル案内機能による代わりに、シングルモーダル案内機能によりユーザ11の乗車判断を行ってもよい。この場合、端末装置30の制御部31は、車両12を含む第1移動手段と車両12を含まない第2移動手段とのうちユーザ11によって選択された、いずれか一方の移動手段を用いて移動するルートを案内するシングルモーダル案内機能を有する。制御部31は、当該目的地が設定済みであり、かつ、当該シングルモーダル案内機能によって、当該第2移動手段を用いて当該目的地まで移動するルートを案内中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していないと判断する。
【0094】
当該変形例における制御部31の判断フローを図8に示す。図8においては、図6のステップS115の処理がステップS124の処理と代わっているが、当該部分以外の処理は図6で示した処理と同様である。
【0095】
図8を参照すると、ステップS113とステップS114との処理の後、制御部31は、ユーザ11が車両12を含む第1移動手段と車両12を含まない第2移動手段とのうち第2移動手段を選択したシングルモーダル案内機能により、目的地までユーザ11が移動するルートを案内中であるかを確認する。ここでシングルモーダル案内機能とは、制御部31がユーザ11のためのシングルモーダルルートを案内する機能である。制御部31は、シングルモーダル案内機能によって、当該第2移動手段を用いて目的地まで移動するルートを案内中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していないと判断する。制御部31は、当該第1移動手段を用いて目的地まで移動するルートを案内中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していると判断する。その後制御部31は、判断処理を終了する。
【0096】
上述の通り、端末装置30が、車両12を含む第1移動手段と車両12を含まない第2移動手段とのうち前記ユーザによって選択された、いずれか一方の移動手段を用いて移動するルートを案内するシングルモーダル案内機能を有する。端末装置30がユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断することは、目的地が設定済みであり、かつ、シングルモーダル案内機能によって、第2移動手段を用いて目的地まで移動するルートを案内中であるという条件(C3)の成否に応じて、ユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断することを含んでいる。図8では、C3は、ステップS124において成否が判断される。
【0097】
ユーザ11が徒歩又は電車等の車両12以外の移動手段を選択し、当該移動手段を用いるシングルモーダルルートの案内が開始された場合、当該案内中に他の移動手段である車両12に切り替える可能性は低い。制御部31は、車両12による移動を意図していないユーザ11が誤って車両12が発するビーコンを受信した場合でも、ユーザ11が車両12に乗車していると判断しない。したがって当該変形例によれば、ユーザ11が車両12に乗車しているとする誤判断を防ぎ、ユーザ11の乗車判定の精度の向上を図ることができる。
【0098】
上述のように、本実施形態では、制御部31は、車両12を含む複数の種類の移動手段のうち1種類以上の移動手段の組み合わせを用いて移動するルートを案内するマルチモーダル案内機能を有する。制御部31は、目的地が設定済みであり、かつ、当該マルチモーダル案内機能によって、車両12を含む移動手段の組み合わせを用いて目的地まで移動するルートを案内中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していると判断する。
【0099】
車両12を含む移動手段の組み合わせを用いるマルチモーダルルートの案内が開始された場合、当該案内中にユーザ11が移動手段を徒歩又は電車等の車両12以外の移動手段から、車両12へと切り替える可能性がある。制御部31は、マルチモーダルルートの案内中でない、すなわち車両12による移動を意図していないユーザ11の端末装置30が、車両12が発するビーコンを受信した場合でも、ユーザ11が車両12に乗車していると判断しない。したがって本実施形態によれば、ユーザ11が車両12に乗車したとする誤判断を防ぎやすくなるため、ユーザ11の乗車判定の精度の向上を図ることができる。
【0100】
上述のように、本実施形態では、制御部31は、目的地が設定済みであり、かつ、通信装置40から送信される信号を受信した時点において、ユーザ11が他の車両を用いて目的地に向かって移動中である場合は、ユーザ11が車両12へ乗車していないと判断する。
【0101】
ユーザ11が車両12以外の車両に乗車中に、たまたま近くを走行中の車両12が発するビーコンを端末装置30が受信してしまうことが考えられる。このとき、ユーザ11が乗車中の車両から当該ビーコンを発している車両12に乗り替える可能性は低い。制御部31は、車両12による移動を意図していないユーザ11の端末装置30が、車両12が発するビーコンを受信した場合でも、ユーザ11が車両12に乗車していると判断しない。したがって本実施形態によれば、ユーザ11が車両12に乗車しているとする誤判断を防ぎやすくなるため、ユーザの乗車判定の精度の向上を図ることができる。
【0102】
本実施形態の一変形例として、制御部31は、端末装置30において配車サービスを受けるためのプログラムである配車アプリケーションが起動しているかどうかに応じてユーザ11が車両12へ乗車しているかどうかを判断してもよい。
【0103】
例えば制御部31は、図5において、通信装置40からビーコンを受信した後のステップS112の乗車判断をする場合、端末装置30の配車アプリケーションの起動状態を確認する。制御部31は端末装置30で動作している1つ以上のアプリケーションの起動状態を監視し、当該1つ以上のアプリケーション中に配車アプリケーションがあるか否かを判断する。動作中のアプリケーションはユーザ11が入力操作を行っているものの他、バックグラウンドで起動中のものも含む。制御部31は、端末装置30において配車アプリケーションが起動していない場合には、ユーザ11は車両12に乗車していないと判断する。制御部31は、端末装置30において配車アプリケーションが起動中である場合には、ユーザ11は車両12に乗車していると判断する。
【0104】
この変形例によれば、ユーザ11が配車アプリケーションにより車両12としてのタクシーを手配し、車両12を利用する可能性が高い。制御部31は、配車アプリケーションを起動中にしていない、すなわち車両12による移動を意図していないユーザ11の端末装置30が、車両12が発するビーコンを受信した場合でも、ユーザ11が車両12に乗車していると判断しない。したがって、ユーザ11が車両12に乗車したとする誤判断を防ぎやすくなるため、ユーザ11の乗車判定の精度の向上を図ることができる。
【0105】
上述のように、本実施形態では、端末装置30がユーザ11による目的地の設定の入力を受け付ける入力部34をさらに備える。
【0106】
本実施形態によれば、ユーザ11が目的地を設定するための利便性が向上する。
【0107】
本実施形態では、端末装置30の通信部33は、ユーザ11が設定した目的地をユーザ11が乗った車両12の通信装置40に通知する制御装置20と通信する。端末装置30の制御部31は、目的地をユーザ11に対応するユーザ識別子「U1」とともに通知する第1データを、通信部33を介して制御装置20に送信する。制御部31は、ユーザ11の操作に応じて、車両12に対応する車両識別子「V1」を取得する。制御部31は、車両識別子「V1」をユーザ識別子「U1」とともに通知する第2データを、通信部33を介して制御装置20に送信する。
【0108】
したがって、本実施形態によれば、ユーザ11が設定した目的地の情報を、ユーザ11が乗った車両12での目的地の設定に利用することができる。
【0109】
本実施形態では、端末装置30の制御部31は、通信装置40からビーコン(信号)を受信したときに、ユーザ11に乗車手続の操作を促すメッセージを通知する。
【0110】
本実施形態によれば、ユーザ11が単に忘れている場合でも、目的地の設定を車両12のために使うことについて思い出させて、ユーザに乗車手続の操作を促すことができる。
【0111】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
10 通信システム
11 ユーザ
12 車両
20 制御装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 出力部
26 測位部
30 端末装置
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 入力部
35 出力部
36 測位部
40 通信装置
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
45 出力部
46 測位部
50 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8