(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】車載ドライブレコーダ装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230829BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020114385
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日隈 友仁
(72)【発明者】
【氏名】里見 洋平
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-052863(JP,A)
【文献】特開2012-177997(JP,A)
【文献】特開2019-139304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G07C 1/00 - 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後方側を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された映像を記録する記録部と、
前記自車両の後方側を走行する後続車の前照灯の点灯及び点滅を検出するパッシング検出部と、
前記パッシング検出部によって検出された前記後続車の前照灯の点滅による照度変化の閾値であるパッシング閾値を前記自車両の走行環境に基づいて決定し、前記後続車の前照灯の点滅による照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる制御部と、
を備え
、
前記自車両の車両上下方向への加速度を検出する加速度検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記加速度検出部によって検出された車両上下方向への加速度が所定の閾値を超える状態となっている際に、前記パッシング閾値を変更する車載ドライブレコーダ装置
であって、
前記制御部は、前記加速度検出部によって検出される前記自車両の車両上下方向への加速度が所定の値を超える状態が所定の時間を超えて継続されている場合に、前記自車両が凸凹路を走行していると判断し、
前記制御部は、前記加速度検出部によって検出される前記自車両の上下方向への加速度が所定の値を下回る状態となっている場合に、前記自車両が凸凹路を走行していないと判断し、
前記制御部は、前記自車両が凸凹路を走行していると判断した場合に前記自車両が凸凹路を走行していないと判断した場合よりも前記パッシング閾値を大きな値に変更する車載ドライブレコーダ装置。
【請求項2】
自車両の後方側を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された映像を記録する記録部と、
前記自車両の後方側を走行する後続車の前照灯の点灯及び点滅を検出するパッシング検出部と、
前記パッシング検出部によって検出された前記後続車の前照灯の点滅による照度変化の閾値であるパッシング閾値を前記自車両の走行環境に基づいて決定し、前記後続車の前照灯の点滅による照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる制御部と、
を備え、
前記自車両が位置する場所の天候を検出する天候検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記天候検出部によって検出された天候が変化した際に、前記パッシング閾値を変更する車載ドライブレコーダ装置であって、
前記制御部は、前記天候検出部によって雨及び霧の少なくとも一方が検出されなかった場合に前記天候検出部によって雨及び霧の少なくとも一方が検出された場合よりも前記パッシング閾値を小さな値に変更する車載ドライブレコーダ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記後続車の前照灯のうちすれ違い用前照灯の点灯時の照度を第1照度としてモニターし、前記後続車の前照灯のうち走行用前照灯の点滅に伴う前記第1照度に対する照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる請求項1
又は請求項2に記載の車載ドライブレコーダ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記後続車の前照灯のうちすれ違い用前照灯の消灯時の照度を第2照度としてモニターし、前記後続車の前照灯のうち走行用前照灯の点滅に伴う前記第2照度に対する照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の車載ドライブレコーダ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記パッシング検出部によって検出された前記後続車の走行用前照灯の点滅とターンシグナルランプの点滅とを判別する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車載ドライブレコーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ドライブレコーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自車両のまわりの他車両の危険な挙動を検出して、当該他車両を自動で録画する車両監視装置が開示されている。この文献に記載された車両監視装置では、後続車が自車両に対する制動距離の範囲内に所定の期間滞在した際に、後続車の危険な挙動が見受けられたと判断して、後続車を自動で録画する。また、この文献に記載された車両監視装置では、後続車が自車両にパッシングを行った際に、後続車の特定挙動が見受けられたと判断して、後続車を自動で録画する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自車両のまわりの環境によっては、後続車のパッシングを精度良く検出することが難しくなることが考えられるが、上記特許文献1に記載された車両監視装置は、この点を考慮していない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、後続車のパッシングを精度良く検出することができる車載ドライブレコーダ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の車載ドライブレコーダ装置は、自車両の後方側を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影された映像を記録する記録部と、前記自車両の後方側を走行する後続車の前照灯の点灯及び点滅を検出するパッシング検出部と、前記パッシング検出部によって検出された前記後続車の前照灯の点滅による照度変化の閾値であるパッシング閾値を前記自車両の走行環境に基づいて決定し、前記後続車の前照灯の点滅による照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる制御部と、を備え、前記自車両の車両上下方向への加速度を検出する加速度検出部をさらに備え、前記制御部は、前記加速度検出部によって検出された車両上下方向への加速度が所定の閾値を超える状態となっている際に、前記パッシング閾値を変更する車載ドライブレコーダ装置であって、前記制御部は、前記加速度検出部によって検出される前記自車両の車両上下方向への加速度が所定の値を超える状態が所定の時間を超えて継続されている場合に、前記自車両が凸凹路を走行していると判断し、前記制御部は、前記加速度検出部によって検出される前記自車両の上下方向への加速度が所定の値を下回る状態となっている場合に、前記自車両が凸凹路を走行していないと判断し、前記制御部は、前記自車両が凸凹路を走行していると判断した場合に前記自車両が凸凹路を走行していないと判断した場合よりも前記パッシング閾値を大きな値に変更する。
【0007】
請求項1記載の車載ドライブレコーダ装置によれば、制御部が、パッシング閾値を自車両の走行環境に基づいて決定する。そして、制御部は、後続車の前照灯の点滅による照度変化がパッシング閾値を超えた際に、撮影部で撮影された映像を記録部に記録させる。このように、パッシング閾値を自車両の走行環境に基づいて決定することで、後続車の前照灯の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。
【0009】
また、請求項1記載の車載ドライブレコーダ装置によれば、例えば、自車両が凹凸のある道路を走行していることにより、加速度検出部によって検出された車両上下方向への加速度が所定の閾値を超える状態となっている際に、制御部はパッシング閾値を変更する。これにより、自車両が走行する道路の凹凸に応じて後続車の前照灯の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。
【0010】
請求項2記載の車載ドライブレコーダ装置は、自車両の後方側を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影された映像を記録する記録部と、前記自車両の後方側を走行する後続車の前照灯の点灯及び点滅を検出するパッシング検出部と、前記パッシング検出部によって検出された前記後続車の前照灯の点滅による照度変化の閾値であるパッシング閾値を前記自車両の走行環境に基づいて決定し、前記後続車の前照灯の点滅による照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる制御部と、を備え、前記自車両が位置する場所の天候を検出する天候検出部をさらに備え、前記制御部は、前記天候検出部によって検出された天候が変化した際に、前記パッシング閾値を変更する車載ドライブレコーダ装置であって、前記制御部は、前記天候検出部によって雨及び霧の少なくとも一方が検出されなかった場合に前記天候検出部によって雨及び霧の少なくとも一方が検出された場合よりも前記パッシング閾値を小さな値に変更する。
【0011】
請求項2記載の車載ドライブレコーダ装置によれば、天候検出部によって検出された天候が変化した際に、制御部はパッシング閾値を変更する。これにより、自車両が位置する場所の天候に応じて後続車の前照灯の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。
【0012】
請求項3記載の車載ドライブレコーダ装置は、請求項1又は請求項2に記載の車載ドライブレコーダ装置において、前記制御部は、前記後続車の前照灯のうちすれ違い用前照灯の点灯時の照度を第1照度としてモニターし、前記後続車の前照灯のうち走行用前照灯の点滅に伴う前記第1照度に対する照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる。
【0013】
請求項3記載の車載ドライブレコーダ装置によれば、後続車のすれ違い用前照灯の点灯を考慮して後続車の走行用前照灯の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。
【0014】
請求項4記載の車載ドライブレコーダ装置は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車載ドライブレコーダ装置において、前記制御部は、前記後続車の前照灯のうちすれ違い用前照灯の消灯時の照度を第2照度としてモニターし、前記後続車の前照灯のうち走行用前照灯の点滅に伴う前記第2照度に対する照度変化が前記パッシング閾値を超えた際に、前記撮影部で撮影された映像を前記記録部に記録させる。
【0015】
請求項4記載の車載ドライブレコーダ装置によれば、後続車のすれ違い用前照灯の消灯を考慮して後続車の走行用前照灯の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。
請求項5記載の車載ドライブレコーダ装置は、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車載ドライブレコーダ装置において、前記制御部は、前記パッシング検出部によって検出された前記後続車の走行用前照灯の点滅とターンシグナルランプの点滅とを判別する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、後続車のパッシングを精度良く検出することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】車載ドライブレコーダ装置が設けられた自車両と後続車を模式的に示す側面図である。
【
図2】車載ドライブレコーダ装置を示すブロック図である。
【
図3】車載ドライブレコーダ装置が設けられた自車両から見た後続車を模式的に示す正面図である。
【
図4】制御部の制御を説明するためのフローチャートである。
【
図5】制御部の制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図5を用いて本発明の実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置について説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、自車の前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印FRは前方向、矢印UPは上方向をそれぞれ示すものとする。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の車載ドライブレコーダ装置10は、車両12の後部に設けられている。
図1及び
図2に示されるように、車載ドライブレコーダ装置10は、当該車載ドライブレコーダ装置10を備えた車両12(以下「自車両12」と呼ぶ)の後方側を撮影する撮影部14と、撮影部14で撮影された映像を記録する記録部16と、を有するドライブレコーダ本体18備えている。また、車載ドライブレコーダ装置10は、自車両12の車両上下方向への加速度を検出する加速度検出部20と、自車両12が位置する場所の天候を検出する天候検出部22と、を備えている。さらに、車載ドライブレコーダ装置10は、自車両12の後方側を走行する後続車24の前照灯26の点灯及び点滅を検出するパッシング検出部28と、パッシング検出部28によって検出された後続車24の前照灯26の点滅による照度変化が所定の閾値を超えた際に撮影部14で撮影された映像を記録部16に記録させる制御部30と、を備えている。
【0020】
撮影部14は、一例として自車両12の後方側を撮影するカラーCCDカメラ等である。この撮影部14は、自車両12の後部の車室内側又は車室外側に固定されている。
【0021】
記録部16は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリであり、撮影部14と共にドライブレコーダ本体18を構成している。この記録部16は、撮影部14で撮影された映像を記録する。なお、記録部16と撮影部14とは、別体の構成となっていてもよいし、一体の構成となっていてもよい。
【0022】
加速度検出部20は、自車両12の上下方向への加速度を検出するための加速度センサである。なお、この加速度検出部20は、ドライブレコーダ本体18と一体に構成されていてもよい。また、この加速度検出部20は、自車両12(車体)に固定された加速度センサであってもよい。
【0023】
天候検出部22は、自車両12に設けられた雨滴センサや自車両12の周囲を撮影するCCDカメラ等である。本実施形態では、自車両12が位置する場所の天候が、晴であるか否か、曇りであるか否か、雨であるか否か、雪であるか否か、霧が出ているか否か等を判別可能なカラーCCDカメラが天候検出部22として採用されている。なお、天候検出部22として用いられるカラーCCDカメラと撮影部14として用いられるカラーCCDカメラとを共用した構成としてもよい。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、パッシング検出部28は、自車両12の後方側を撮影するCCDカメラ等である。本実施形態では、後続車24の前照灯26やターンシグナルランプ32の色の判別が可能なカラーCCDカメラがパッシング検出部28として採用されている。なお、パッシング検出部28として用いられるカラーCCDカメラと撮影部14として用いられるカラーCCDカメラとを共用した構成としてもよい。
【0025】
図2に示されるように、制御部30は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34、ストレージ40及び外部の装置との通信を行う入出力インタフェース(I/F)42を有しており、これらがバス44を介して相互に通信可能に接続された構成になっている。入出力インタフェース42には、ドライブレコーダ本体18、加速度検出部20、天候検出部22及びパッシング検出部28等が電気的に接続されている。CPU34は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、ドライブレコーダ本体18等を制御したりする。すなわち、CPU34は、ドライブレコーダ本体18、加速度検出部20、天候検出部22及びパッシング検出部28等からの信号に基づいてROM36やストレージ40から制御プログラムを読み出し、RAM38を作業領域として制御プログラムを実行してドライブレコーダ本体18等を制御する。
【0026】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0027】
図1、
図2及び
図3に示されるように、以上説明した本実施形態の車載ドライブレコーダ装置10では、自車両12が走行可能な状態において、撮影部14が車両の後方側を撮影している。
【0028】
ここで、制御部30は、パッシング検出部28によって検出された後続車24の前照灯26の点滅による照度変化の閾値であるパッシング閾値を自車両12の走行環境に基づいて決定する。そして、制御部30は、後続車24の前照灯26の点滅による照度変化がパッシング閾値を超えた際に、撮影部14で撮影された映像を記録部16に記録させる。
【0029】
具体的には、
図1~
図4に示されるように、制御部30は、ステップS1において自車両12の走行環境を判断し、後続車24のパッシングを検出し易いか否かを判断する。ここで、自車両12の走行環境は、天候検出部22によって検出される天候によって推定される。
【0030】
ステップS1で肯定判断されると、制御部30は、ステップS2においてパッシング閾値をP1に決定する。なお、パッシング閾値P1とは、パッシング検出部28によって検出される後続車24の前照灯26の照度の変化値のことであり、一例として、晴天時に後続車24がパッシングをすることによって想定される前照灯26の最高照度から当該パッシングの直前の前照灯26の照度を差し引いた値とされる。このパッシング閾値P1は、実験等を行うことにより適宜設定すればよい。
【0031】
その一方で、ステップS1で否定判断されると、制御部30は、ステップS3においてパッシング閾値をP1よりも小さな値であるP2に決定する。なお、パッシング閾値P2とは、パッシング検出部28によって検出される後続車24の前照灯26の照度の変化値のことであり、一例として、雨天時や霧が出ている時に後続車24がパッシングをすることによって想定される前照灯26の最高照度から当該パッシングの直前の前照灯26の照度を差し引いた値とされる。このパッシング閾値P2は、実験等を行うことにより適宜設定すればよい。
【0032】
次に、制御部30は、ステップS4において後続車24が居るか否かを判断する。すなわち、制御部30は、パッシング検出部28によって後続車24の前照灯26が検出されているか否かを判断する。
【0033】
ステップS4で否定判断されると、制御部30は、ステップS1以降の処理を繰り返し行う。
【0034】
その一方で、ステップS4で肯定判断されると、制御部30は、ステップS5において後続車24のパッシングが検出されたか否かを判断する。すなわち、パッシング検出部28によって検出される後続車24の前照灯26の照度の変化値が、ステップS2で決定されたパッシング閾値P1を超えているか否か、又は、ステップS3で決定されたパッシング閾値P2を超えているか否かを判断する。ここで、制御部30は、後続車24の前照灯26のうちすれ違い用前照灯26Aが点灯されている際においては、すれ違い用前照灯26Aの点灯時の照度を第1照度としてモニターする。また、制御部30は、後続車24の前照灯26のうち走行用前照灯26Bの点滅に伴う第1照度に対する照度変化がパッシング閾値P1又はP2を超えた際に、後続車24のパッシングが検出されたと判断する。その一方で、制御部30は、後続車24の前照灯26のうちすれ違い用前照灯26Aが消灯されている際においては、すれ違い用前照灯26Aの消灯時の照度を第2照度としてモニターする。また、制御部30は、後続車24の前照灯26のうち走行用前照灯26Bの点滅に伴う第2照度に対する照度変化がパッシング閾値P1又はP2を超えた際に、後続車24のパッシングが検出されたと判断する。なお、1回のパッシングではなく、複数回のパッシングがあった際に、制御部30が後続車24のパッシングが検出されたと判断するように設定してもよい。なお、走行用前照灯26Bの点滅とターンシグナルランプ32の点滅とは、両者の色や数を考慮して画像処理により判別している。
【0035】
ステップS5で否定判断されると、制御部30は、ステップS1以降の処理を繰り返し行う。
【0036】
その一方で、ステップS5で肯定判断されると、制御部30は、ステップS6において撮影部14で撮影された映像を記録部16に記録させる。すなわち、制御部30は、撮影部14で撮影された映像の録画を開始する。なお、この録画は、所定の時間で停止されるようにしてもよい。また、この録画は、後続車24のパッシングが検出され続けている状態で継続されるようにしてもよい。さらに、パッシングが検出された際から数秒から数十秒前の映像を記録部16に記録させるようにしてもよい。また、制御部30が撮影部14で撮影された映像の録画を開始したことを自車両12の乗員に映像やブザー、音声等で通知するようにしてもよい。
【0037】
そして、制御部30は、ステップS6における録画が停止されると、処理を終了し、ステップS1以降の処理を繰り返し行う。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の車載ドライブレコーダ装置10では、パッシング閾値P1、P2を自車両12の走行環境である天候の変化に応じて決定することで、後続車24の前照灯26の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。なお、天候の変化をワイパ装置の作動やフォグランプの点灯によって決定した構成としてもよい。
【0039】
(走行環境の判断として凸凹路の走行を考慮した例)
次に、走行環境の判断として凸凹路の走行を考慮した例について説明する。
【0040】
図5に示されるように、制御部30は、パッシング検出部28によって検出された後続車24の前照灯26の点滅による照度変化の閾値であるパッシング閾値を路面の凹凸を考慮して決定する。
【0041】
具体的には、制御部30は、ステップS21において自車両12が砂利道等の凸凹路を走行しているか否かを判断する。ここで、自車両12が砂利道等の凸凹路を走行しているか否かは、加速度検出部20によって検出される自車両12の上下方向への加速度に基づいて推定される。具体的には、制御部30は、加速度検出部20によって検出される自車両12の上下方向への加速度が所定の値を超える状態が所定の時間を超えて継続されている場合に、自車両12が砂利道等の凸凹路を走行していると判断する。これに対して、制御部30は、加速度検出部20によって検出される自車両12の上下方向への加速度が所定の値を下回る状態となっている場合に、自車両12が砂利道等の凸凹路を走行していないと判断する。
【0042】
ステップS21で否定判断されると、制御部30は、ステップS23においてパッシング閾値をP4に決定する。なお、パッシング閾値P4とは、パッシング検出部28によって検出される照度の変化値のことであり、一例として、自車両12が砂利道等の凸凹路を走行していない状態(平坦路又は平坦路に近い路面を走行している状態で)で後続車24がパッシングをすることによって想定される後続車24の前照灯26の最高照度から当該パッシングの直前の前照灯26の照度を差し引いた値とされる。このパッシング閾値P4は、実験等を行うことにより適宜設定すればよい。また、
図4に示された天候を考慮したステップS1~S3の処理を加えることによってパッシング閾値P4を決定してもよい。
【0043】
その一方で、ステップS21で肯定判断されると、制御部30は、ステップS22においてパッシング閾値をP3に決定する。ここで、自車両12が砂利道等の凸凹路を走行している状態では、自車両12が上下方向へ繰り返し動いている状態となると共に後続車24が上下方向へ繰り返し動いている状態となることが考えられる。そのため、パッシング閾値を上記のP4と同じ値に設定すると、自車両12及び後続車24の上下方向への繰り返しの動きに伴う後続車24の前照灯26の照度変化をパッシングと誤検出することが考えられる。そのため、本実施形態では、ステップS22において決定されるパッシング閾値P3をP4よりも大きな値に設定している。
【0044】
次に、制御部30は、ステップS24において後続車24が居るか否かを判断する。すなわち、制御部30は、パッシング検出部28によって後続車24の前照灯26が検出されているか否かを判断する。
【0045】
ステップS24で否定判断されると、制御部30は、ステップS21以降の処理を繰り返し行う。
【0046】
その一方で、ステップ24で肯定判断されると、制御部30は、ステップS25において後続車24のパッシングが検出されたか否かを判断する。すなわち、パッシング検出部28によって検出される後続車24の前照灯26の照度の変化値が、ステップS22で決定されたパッシング閾値P3を超えているか否か、又は、ステップS23で決定されたパッシング閾値P4を超えているか否かを判断する。
【0047】
ステップS25で否定判断されると、制御部30は、ステップS21以降の処理を繰り返し行う。
【0048】
その一方で、ステップS25で肯定判断されると、制御部30は、ステップS26において撮影部14で撮影された映像を記録部16に記録させる。
【0049】
そして、制御部30は、ステップS26における録画が停止されると、処理を終了し、ステップS21以降の処理を繰り返し行う。
【0050】
以上説明したように、走行環境の判断として凸凹路の走行を考慮した例では、自車両12が走行する道路の凹凸に応じて後続車24の前照灯26の点滅であるパッシングを精度良く検出することができる。
【0051】
なお、以上説明した例では、後続車24が4輪自動車である場合の例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、後続車24がモータサイクルである場合も考慮して制御部30が記録部16による映像の録画を開始するように設定してもよい。また、後続車24が4輪自動車であるかモータサイクルであるかが判別できない場合においては、前述のステップS1、S21において否定判断されるようにしてもよい。
【0052】
また、以上説明した例において、後続車24のパッシングと前照灯のスイッチの誤操作とを切り分けるために、前述のパッシング閾値P1、P2、P3、P4を超えている時間を考慮した設定としてもよい。また、後続車24のあおり運転を想起させる他の判定条件を考慮した構成としてもよい。さらに、自車両12のコンライトや他の灯火類の灯火状況や日中や夜間などの時間、トンネル内を走行しているか否か等を考慮した構成としてもよい。
【0053】
また、本実施形態の車載ドライブレコーダ装置10は、画像認識機能を有する電子ミラー等と統合された構成となっていてもよい。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
10 車載ドライブレコーダ装置
12 自車両
14 撮影部
16 記録部
20 加速度検出部
22 天候検出部
24 後続車
26 前照灯
26A すれ違い用前照灯
26B 走行用前照灯
28 パッシング検出部
30 制御部