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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】回転機のロータおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20230829BHJP
   H02K 1/278 20220101ALI20230829BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K1/278
H02K15/02 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020114446
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012547
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】大河内 利典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭祐
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076985(JP,A)
【文献】特開2013-243886(JP,A)
【文献】特開2000-324736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/17
1/27-1/2798
15/00-15/16
21/00-21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組付孔がそれぞれ軸方向に設けられたロータコアと、
予め定められた配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されて前記ロータコアに組み付けられる2種類の第1磁石および第2磁石と、
を有する回転機のロータにおいて、
前記第1磁石および前記第2磁石の何れか一方は、前記軸方向の端面を含めて総ての外周面が絶縁被膜によって被覆されており、
前記第1磁石および前記第2磁石の他方は、前記軸方向の端面の少なくとも一部を除いて外周面が絶縁被膜によって被覆されている
ことを特徴とする回転機のロータ。
【請求項2】
複数の組付孔がそれぞれ軸方向に設けられたロータコアと、
予め定められた配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されて前記ロータコアに組み付けられる2種類の第1磁石および第2磁石と、
を有する回転機のロータの製造方法において、
前記第1磁石および前記第2磁石の何れか一方は、前記軸方向の端面を含めて総ての外周面が絶縁被膜によって被覆され、前記第1磁石および前記第2磁石の他方は、前記軸方向の端面の少なくとも一部を除いて外周面が絶縁被膜によって被覆されるように、それぞれ外周面が絶縁被膜によって被覆された前記第1磁石および前記第2磁石を準備する予備工程と、
前記第1磁石および前記第2磁石の両方に関し、前記一方の磁石については前記絶縁被膜によって被覆されているが前記他方の磁石については前記絶縁被膜によって被覆されていない前記軸方向の端面部分に電極を接触させて電気抵抗を測定し、該絶縁被膜の有無による該電気抵抗の相違に基づいて前記第1磁石か前記第2磁石かを判別する判別工程と、
を有することを特徴とする回転機のロータの製造方法。
【請求項3】
前記判別工程による判別結果に基づいて前記第1磁石および前記第2磁石を前記配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入する挿入工程を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の回転機のロータの製造方法。
【請求項4】
前記判別工程は、前記ロータコアの前記複数の組付孔に前記第1磁石および前記第2磁石が挿入された状態で行なわれ、該第1磁石および該第2磁石についてそれぞれ前記配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されているか否かを判別するものであり、
前記判別工程で前記配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されていないと判別された前記第1磁石または前記第2磁石について、他の磁石に取り替える取替工程を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の回転機のロータの製造方法。
【請求項5】
前記予備工程は、前記第1磁石および前記第2磁石の中の前記他方の磁石の前記軸方向の端面の少なくとも一部に前記絶縁被膜が付着しないように、該第1磁石および該第2磁石の外周面に前記絶縁被膜を付着させるものである
ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の回転機のロータの製造方法。
【請求項6】
前記予備工程は、総ての外周面が前記絶縁被膜によって被覆されている前記第1磁石および前記第2磁石の中の前記他方の磁石に対して、前記軸方向の端面の少なくとも一部の前記絶縁被膜を除去するものである
ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の回転機のロータの製造方法。
【請求項7】
前記第1磁石および前記第2磁石は、前記軸方向と直角な断面形状が互いに同じで、前記複数の組付孔の断面形状は総て同じである
ことを特徴とする請求項2~6の何れか1項に記載の回転機のロータの製造方法。
【請求項8】
前記複数の組付孔は、前記ロータコアの径方向に対する姿勢が異なるとともに該ロータコアの周方向に隣接して設けられた2種類の第1組付孔および第2組付孔を有するとともに、該第1組付孔および該第2組付孔が前記ロータコアの回転軸心まわりに複数組設けられたものであり、
前記第1磁石は前記第1組付孔に挿入され、前記第2磁石は前記第2組付孔に挿入される
ことを特徴とする請求項7に記載の回転機のロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転機のロータに係り、特に、2種類の第1磁石および第2磁石が組み付けられているロータの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) 複数の組付孔がそれぞれ軸方向に設けられたロータコアと、(b) 予め定められた配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されて前記ロータコアに組み付けられる2種類の第1磁石および第2磁石と、を有する回転機のロータが知られている。特許文献1に記載のロータはその一例であり、2種類の第1磁石および第2磁石の誤組付を防止するために、第1磁石および第2磁石の断面形状を180°回転非対称とし、複数の組付孔についても断面形状が180°回転非対称の2種類の組付孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-355986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2種類の磁石および組付孔の断面形状を180°回転非対称とする必要があるため、同一断面形状の2種類の磁石を採用することができず、形状設計の自由度が制約されるという問題があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、同一断面形状の2種類の第1磁石および第2磁石を用いる場合でも、それ等の第1磁石および第2磁石を適切に判別して組み付けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 複数の組付孔がそれぞれ軸方向に設けられたロータコアと、(b) 予め定められた配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されて前記ロータコアに組み付けられる2種類の第1磁石および第2磁石と、を有する回転機のロータにおいて、(c) 前記第1磁石および前記第2磁石の何れか一方は、前記軸方向の端面を含めて総ての外周面が絶縁被膜によって被覆されており、(d) 前記第1磁石および前記第2磁石の他方は、前記軸方向の端面の少なくとも一部を除いて外周面が絶縁被膜によって被覆されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、(a) 複数の組付孔がそれぞれ軸方向に設けられたロータコアと、(b) 予め定められた配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されて前記ロータコアに組み付けられる2種類の第1磁石および第2磁石と、を有する回転機のロータの製造方法において、(c) 前記第1磁石および前記第2磁石の何れか一方は、前記軸方向の端面を含めて総ての外周面が絶縁被膜によって被覆され、前記第1磁石および前記第2磁石の他方は、前記軸方向の端面の少なくとも一部を除いて外周面が絶縁被膜によって被覆されるように、それぞれ外周面が絶縁被膜によって被覆された前記第1磁石および前記第2磁石を準備する予備工程と、(d) 前記第1磁石および前記第2磁石の両方に関し、前記一方の磁石については前記絶縁被膜によって被覆されているが前記他方の磁石については前記絶縁被膜によって被覆されていない前記軸方向の端面部分に電極を接触させて電気抵抗を測定し、その絶縁被膜の有無によるその電気抵抗の相違に基づいて前記第1磁石か前記第2磁石かを判別する判別工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第2発明の回転機のロータの製造方法において、前記判別工程による判別結果に基づいて前記第1磁石および前記第2磁石を前記配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入する挿入工程を有することを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第2発明の回転機のロータの製造方法において、(a) 前記判別工程は、前記ロータコアの前記複数の組付孔に前記第1磁石および前記第2磁石が挿入された状態で行なわれ、その第1磁石およびその第2磁石についてそれぞれ前記配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されているか否かを判別するものであり、(b) 前記判別工程で前記配置パターンに従って前記複数の組付孔に挿入されていないと判別された前記第1磁石または前記第2磁石について、他の磁石に取り替える取替工程を有することを特徴とする。
【0010】
第5発明は、第2発明~第4発明の何れかの回転機のロータの製造方法において、前記予備工程は、前記第1磁石および前記第2磁石の中の前記他方の磁石の前記軸方向の端面の少なくとも一部に前記絶縁被膜が付着しないように、その第1磁石およびその第2磁石の外周面に前記絶縁被膜を付着させるものであることを特徴とする。
【0011】
第6発明は、第2発明~第4発明の何れかの回転機のロータの製造方法において、前記予備工程は、総ての外周面が前記絶縁被膜によって被覆されている前記第1磁石および前記第2磁石の中の前記他方の磁石に対して、前記軸方向の端面の少なくとも一部の前記絶縁被膜を除去するものであることを特徴とする。
【0012】
第7発明は、第2発明~第6発明の何れかの回転機のロータの製造方法において、前記第1磁石および前記第2磁石は、前記軸方向と直角な断面形状が互いに同じで、前記複数の組付孔の断面形状は総て同じであることを特徴とする。
【0013】
第8発明は、第7発明の回転機のロータの製造方法において、(a) 前記複数の組付孔は、前記ロータコアの径方向に対する姿勢が異なるとともにそのロータコアの周方向に隣接して設けられた2種類の第1組付孔および第2組付孔を有するとともに、その第1組付孔およびその第2組付孔が前記ロータコアの回転軸心まわりに複数組設けられたものであり、(b) 前記第1磁石は前記第1組付孔に挿入され、前記第2磁石は前記第2組付孔に挿入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明の回転機のロータにおいては、第1磁石および第2磁石の何れか一方は端面を含めて絶縁被膜によって被覆されているのに対し、第1磁石および第2磁石の他方は端面の少なくとも一部が絶縁被膜によって被覆されていないため、それ等の磁石の端面部分に電極を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石か第2磁石かを判別することができる。したがって、2種類の第1磁石および第2磁石の断面形状が同じ場合でも、それ等を適切に判別してロータコアに組み付けることが可能であり、第1磁石および第2磁石の断面形状の制約が解消する。
【0015】
第2発明は回転機のロータの製造方法に関するもので、第1磁石および第2磁石の何れか一方は端面を含めて絶縁被膜によって被覆され、第1磁石および第2磁石の他方は端面の少なくとも一部を除いて絶縁被膜によって被覆されるように、それぞれ外周面が絶縁被膜によって被覆された第1磁石および第2磁石を準備し、それ等の磁石の端面部分に電極を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石か第2磁石かを判別する。このため、2種類の第1磁石および第2磁石の断面形状が同じ場合でも、それ等を適切に判別してロータコアに組み付けることが可能であり、第1磁石および第2磁石の断面形状の制約が解消する。
【0016】
第3発明は、判別工程による判別結果に基づいて第1磁石および第2磁石を配置パターンに従って複数の組付孔に挿入するため、第1磁石および第2磁石をロータコアに適切に組み付けることができる。
【0017】
第4発明は、ロータコアの複数の組付孔に第1磁石および第2磁石が組み付けられた状態で判別工程が行なわれ、第1磁石および第2磁石についてそれぞれ配置パターンに従って複数の組付孔に挿入されているか否かを判別する。そして、配置パターンに従って複数の組付孔に挿入されていないと判別された第1磁石または第2磁石については他の磁石に取り替えるため、第1磁石および第2磁石の誤組付を適切に防止することができる。
【0018】
第5発明の予備工程は、第1磁石および第2磁石の中の他方の磁石の軸方向の端面の少なくとも一部に絶縁被膜が付着しないように、第1磁石および第2磁石の外周面に絶縁被膜を付着させるもので、その後の判別工程で軸方向の端面の絶縁被膜の有無に基づいて第1磁石と第2磁石とを適切に判別することができる。
【0019】
第6発明の予備工程は、総ての外周面が絶縁被膜によって被覆されている第1磁石および第2磁石の中の他方の磁石に対して、軸方向の端面の少なくとも一部の絶縁被膜を除去するもので、その後の判別工程で軸方向の端面の絶縁被膜の有無に基づいて第1磁石と第2磁石とを適切に判別することができる。
【0020】
第7発明は、第1磁石および第2磁石の軸方向と直角な断面形状が互いに同じ場合で、断面形状から第1磁石と第2磁石とを判別できないため誤組付の恐れがあるが、軸方向の端面の絶縁被膜の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石と第2磁石とを判別することにより、誤組付を防止しつつロータコアに適切に組み付けることができる。
【0021】
第8発明は、ロータコアの径方向に対する姿勢が異なる2種類の第1組付孔および第2組付孔がロータコアの回転軸心まわりに複数組設けられており、第1磁石が第1組付孔に挿入されるとともに第2磁石が第2組付孔に挿入される場合で、多数の第1磁石および第2磁石を組み付ける必要がある。このため、軸方向の端面の絶縁被膜の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石と第2磁石とを判別することにより、誤組付を防止しつつロータコアに適切に組み付けることができる、という効果が顕著に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明が適用されたロータを備えている回転機を説明する図で、図2のI-I矢視部分における断面図である。
図2図1の回転機のロータの回転軸心Oと直角な断面図で、図1に比較して拡大して示した図である。
図3図2のロータに組み付けられている第1磁石を説明する斜視図である。
図4図2のロータに組み付けられている第2磁石を説明する斜視図である。
図5図1の回転機のロータの製造手順を説明するフローチャートである。
図6図5のステップS2で多数の磁石の電気抵抗を測定する測定方法の一例を説明する図である。
図7図5のステップS2で多数の磁石の電気抵抗を測定する測定方法の別の例を説明する図である。
図8図1の回転機のロータの製造手順の別の例を説明するフローチャートである。
図9図8のステップSS3でロータコアの多数の組付孔に挿入された多数の磁石の電気抵抗を測定する測定方法の一例を説明する図である。
図10】ロータの別の例を説明する図で、図2に対応する断面図である。
図11図10のロータに組み付けられている第1磁石を説明する斜視図である。
図12図10のロータに組み付けられている第2磁石を説明する斜視図である。
図13】ロータの更に別の例を説明する図で、図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、例えば永久磁石埋込型同期モータのロータに適用されるが、2種類の第1磁石および第2磁石が埋設されるその他の回転機のロータにも適用され得る。回転機は、電動モータとして用いられるものでも良いし、発電機として用いられるものでも良く、その両方で用いられるモータジェネレータでも良い。ロータは、内周側に配設されるインナロータ型でも良いし、外周側に配設されるアウタロータ型でも良い。第1磁石および第2磁石は、例えば希土類磁石が好適に用いられるが、他の永久磁石が用いられても良い。これ等の磁石の絶縁被膜としては、例えば樹脂や酸化膜が好適に用いられる。第1磁石および第2磁石の他に、第3磁石等の他の磁石が設けられるロータにも本発明は適用され得る。
【0024】
2種類の第1磁石および第2磁石は、ロータコアの軸方向と直角な断面形状が互いに同じで、複数の組付孔の断面形状が総て同じである場合、例えば断面形状を含む外形状が全く同じで、磁束や保持力、極性等の特性のみが異なる場合に、本発明は好適に適用されるが、第1磁石および第2磁石の断面形状が異なっていたり、第1磁石用の第1組付孔の断面形状と第2磁石用の第2組付孔の断面形状とが異なっていたりして、誤組付の恐れが無い場合にも本発明は適用され得る。すなわち、判別工程による判別結果に基づいて第1磁石および第2磁石をそれぞれ第1組付孔および第2組付孔に挿入する場合、判別工程で第1磁石と第2磁石とが判別されるため、試行錯誤することなく第1磁石および第2磁石をそれぞれ目的とする組付孔に速やかに挿入することができる。
【実施例
【0025】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0026】
図1は、本発明が適用されたロータ12を備えている回転機10を説明する図で、図2のI-I矢視部分における断面図であり、図2はロータ12の回転軸心Oと直角な断面図で、図1に比較して拡大して示した図である。回転機10は永久磁石埋込型同期モータで、電動モータおよび発電機として択一的に用いることができるモータジェネレータであり、例えばハイブリッド車両を含む電気自動車の駆動力源として好適に用いられる。回転機10は、回転軸心Oと同心に設けられたロータ12およびステータ14を備えている。ステータ14は、ロータ12の外周側に配設された円筒形状のステータコア16と、そのステータコア16に巻回された複数のステータコイル18とを備えている。ステータコア16は、多数の円環形状の鋼板を回転軸心Oと平行な方向に積層したもので、圧入或いは取付ボルト等を介して図示しないケースに固定されている。
【0027】
ロータ12は、ロータシャフト20の外周面に取り付けられた円筒形状のロータコア22と、そのロータコア22に埋設された多数の第1磁石24および第2磁石26とを備えている。ロータシャフト20の軸心は回転軸心Oと一致する。ロータコア22は、多数の円環形状の鋼板を回転軸心Oと平行な方向に積層したもので、その両端部に一対のエンドプレート28、30が設けられてロータシャフト20に固定されている。ロータコア22には、2種類の第1組付孔32および第2組付孔34がそれぞれ軸方向(回転軸心Oと平行な方向)に貫通して設けられており、その第1組付孔32には第1磁石24が挿入されて樹脂製接着剤等により固定され、第2組付孔34には第2磁石26が挿入されて樹脂製接着剤等により固定されている。
【0028】
第1組付孔32および第2組付孔34は、図2から明らかなように、ロータコア22の軸方向と直角な断面形状が長方形で互いに同一形状であるが、第1組付孔32はロータコア22の径方向と直角な方向から右まわりに傾斜しており、第2組付孔34はロータコア22の径方向と直角な方向から左まわりに傾斜している。すなわち、ロータコア22の周方向に隣接する1組の第1組付孔32および第2組付孔34は、外周側に向かって開く浅いV字形状を成すように設けられており、このV字形状の第1組付孔32および第2組付孔34を基本パターンとして、回転軸心Oまわりに等角度間隔(本実施例では45°間隔)で複数組(本実施例では8組)の組付孔32、34が設けられている。したがって、前記第1磁石24および第2磁石26は、これ等の組付孔32、34によって定まる配置パターンに従って複数個(本実施例では8個)ずつ配置される。
【0029】
上記第1組付孔32、第2組付孔34に挿入されてロータコア22に組み付けられる第1磁石24、第2磁石26は、ロータコア22の軸方向長さと略等しい長さ寸法を有するとともに、その長手方向である軸方向と直角な断面形状が組付孔32、34に対応する長方形で、その断面形状および外周形状が互いに等しい直方体形状を成している。図3は第1磁石24の斜視図で、図4は第2磁石26の斜視図であり、これ等の第1磁石24および第2磁石26は何れも軸方向に長い長方形の平板形状を成しており、平板形状の表裏の極性が反対になる姿勢で組付孔32、34に組み付けられている。例えば、第1磁石24は、N極側の面がロータコア22の外周側に位置する姿勢で第1組付孔32に組み付けられ、第2磁石26は、S極側の面がロータコア22の外周側に位置する姿勢で第2組付孔34に組み付けられる。第1磁石24および第2磁石26の極性が反対であっても良い。また、第1磁石24および第2磁石26としては、例えば希土類磁石が好適に用いられるとともに、ロータコア22に直接接触すると回転機10の性能を損なう可能性があるため、第1磁石24および第2磁石26はそれぞれ樹脂や酸化膜等の絶縁被膜36、38によって被覆されている。
【0030】
ここで、第1磁石24および第2磁石26は、磁束や保持力等の特性が互いに相違している。この特性の相違は、外周形状から区別することができないため、本実施例では外周面に設けられる絶縁被膜36、38によって第1磁石24と第2磁石26とを判別できるようになっている。図3および図4における斜線は絶縁被膜36、38を表しており、図3の第1磁石24については、軸方向の両側の端面24a、24bを含めて総ての外周面に絶縁被膜36が設けられて被覆されているのに対し、図4の第2磁石26については、軸方向の両側の端面26a、26bを除いた外周面に絶縁被膜38が設けられて被覆されている。絶縁被膜36、38は、例えば塗布や浸漬等の物理的手法や電気化学的手法等によって付着することが可能で、第2磁石26の端面26a、26bにマスキング処理を施すなどして付着しないようにすれば良い。また、端面26a、26bを含めて第2磁石26の総ての外周面に絶縁被膜38を付着した後に、端面26a、26bの絶縁被膜38をグラインダ等による物理的手法や化学的手法等で除去しても良い。本実施例では、第2磁石26の両端面26a、26bの略全域が外部に露出しているが、端面26a、26bの一部だけ絶縁被膜38を設けないようにしても良い。この端面26a、26bは、ロータコア22に接触する恐れがないため、絶縁被膜38が無くても差し支えない。本実施例では第1磁石24が一方の磁石で、第2磁石26が他方の磁石である。
【0031】
このような回転機10のロータ12においては、第1磁石24および第2磁石26の一方である第1磁石24は端面24a、24bを含めて絶縁被膜36によって被覆されているのに対し、他方の磁石である第2磁石26の端面26a、26bは絶縁被膜38によって被覆されていないため、それ等の磁石24、26の端面24a、24b、26a、26b部分に電極を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別することができる。したがって、2種類の第1磁石24および第2磁石26の断面形状や外周形状が同じであっても、それ等を適切に判別してロータコア22の第1組付孔32、第2組付孔34に適切に組み付けることが可能であり、第1磁石24および第2磁石26の断面形状等の制約が解消する。
【0032】
また、本実施例では第1磁石24および第2磁石26の軸方向と直角な断面形状および外周形状が互いに同じで、断面形状や外周形状から第1磁石24と第2磁石26とを判別できないため誤組付の恐れがある。このため、第2磁石26の端面26a、26bの絶縁被膜38を無くすことにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24と第2磁石26とを判別できるようになり、誤組付を防止しつつ第1磁石24および第2磁石26をロータコア22に対して適切に組み付けることができる。
【0033】
また、本実施例ではロータコア22の径方向に対する姿勢が異なる2種類の第1組付孔32および第2組付孔34がロータコア22の回転軸心Oまわりに複数組設けられており、第1磁石24が第1組付孔32に挿入されるとともに第2磁石26が第2組付孔34に挿入されるため、多数の第1磁石24および第2磁石26を組み付ける必要がある。このため、第2磁石26の端面26a、26bの絶縁被膜38を無くすことにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24と第2磁石26とを判別できるようになり、誤組付を防止しつつ第1磁石24および第2磁石26をロータコア22に対して適切に組み付けることができる、という効果が顕著に得られる。
【0034】
次に、図5を参照して上記回転機10のロータ12の製造手順の一例を具体的に説明する。図5のフローチャートのステップS1~S3は、総て人の手作業で行なうことができるが、ステップS1~S3の一部または全部について、機械を用いて自動的に行なわれるようにしても良い。ステップS1は予備工程で、ステップS2は判別工程で、ステップS3は挿入工程である。
【0035】
ステップS1では、図3および図4に示すように絶縁被膜36、38による被覆状態が異なる2種類の第1磁石24および第2磁石26を準備する。すなわち、第1磁石24は、軸方向の両端面24a、24bを含めて総ての外周面に絶縁被膜36が設けられて被覆されており、第2磁石26は、軸方向の両端面26a、26bを除いた外周面に絶縁被膜38が設けられて被覆されており、端面26aおよび26bは外部に露出している。
【0036】
ステップS2では、第1磁石24および第2磁石26の端面24a、24b、26a、26b部分に電極を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別する。図6および図7は、電気抵抗の測定方法を具体的に説明する図で、何れも第2磁石26の電気抵抗を測定する場合であるが、第1磁石24についても同様にして電気抵抗を測定することができる。図6では一対の電極50、52を第2磁石26の両側の端面26a、26bに接触させて電気抵抗を測定するが、端面26a、26bに絶縁被膜38が無い第2磁石26の電気抵抗は、端面24a、24bが絶縁被膜36で被覆されている第1磁石24の電気抵抗よりも小さいため、その電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別することができる。図7は、一対の電極54、56を第2磁石26の一方の端面26aまたは26b(図では端面26a)に接触させて電気抵抗を測定する場合で、図6と同様に電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別することができる。この図7の場合、他方の端面26aについては、絶縁被膜38が設けられていても良い。なお、電気抵抗に応じて変化する電流値を測定して比較しても良い。
【0037】
ステップS3では、上記ステップS2による判別結果に基づいて、第1磁石24および第2磁石26を予め定められた配置パターンに従って複数の組付孔32、34に挿入する。すなわち、予め定められた配置パターンに従って設けられた第1組付孔32に対して第1磁石24を挿入し、第2組付孔34に対して第2磁石26を挿入する。その後、樹脂製接着剤等によりそれ等の第1磁石24、第2磁石26をそれぞれロータコア22に固定することにより、目的とするロータ12が製造される。ステップS3の挿入工程で、各組付孔32、34に対して第1磁石24、第2磁石26を挿入する際に、同時に樹脂製接着剤等によってそれ等の磁石24、26がロータコア22に固定されるようにすることもできる。
【0038】
このようなロータ12の製造方法によれば、第1磁石24および第2磁石26の一方である第1磁石24は端面24a、24bを含めて絶縁被膜36によって被覆され、他方の磁石である第2磁石26は端面26a、26bを除いて絶縁被膜38によって被覆されるように、それぞれ外周面が絶縁被膜36、38によって被覆された第1磁石24および第2磁石26を準備し、それ等の磁石24、26の端面24a、24b、26a、26b部分に電極50、52、または54、56を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別する。このため、2種類の第1磁石24および第2磁石26の断面形状や外周形状が同じでも、それ等を適切に判別してロータコア22に組み付けることが可能であり、第1磁石24および第2磁石26の断面形状等の制約が解消する。
【0039】
また、ステップS2の判別工程による判別結果に基づいて第1磁石24および第2磁石26をそれぞれ第1組付孔32、第2組付孔34に挿入するため、第1磁石24および第2磁石26を試行錯誤することなくロータコア22に対して速やかに組み付けることができる。
【0040】
また、第1磁石24および第2磁石26の軸方向と直角な断面形状が互いに同じで、断面形状から第1磁石24と第2磁石26とを判別できないとともに誤組付の恐れがあるが、軸方向の端面24a、24b、26a、26bの絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24と第2磁石26とを判別することにより、誤組付を防止しつつ第1磁石24および第2磁石26をロータコア22に対して適切に組み付けることができる。
【0041】
また、ロータコア22の径方向に対する姿勢が異なる2種類の第1組付孔32および第2組付孔34がロータコア22の回転軸心Oまわりに複数組設けられており、第1磁石24が第1組付孔32に挿入されるとともに第2磁石26が第2組付孔34に挿入されるため、多数の第1磁石24および第2磁石26を組み付ける必要がある。このため、軸方向の端面24a、24b、26a、26bの絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24と第2磁石26とを判別することにより、誤組付を防止しつつ第1磁石24および第2磁石26をロータコア22に対して適切に組み付けることができる、という効果が顕著に得られる。
【0042】
図8のフローチャートは、前記回転機10のロータ12の製造手順の別の例を説明する図である。この場合も、ステップSS1~SS4を総て人の手作業で行なうことができるが、ステップSS1~SS4の一部または全部について、機械を用いて自動的に行なわれるようにしても良い。ステップSS1は予備工程で、ステップSS2は挿入工程で、ステップSS3は判別工程で、ステップSS4は取替工程である。
【0043】
ステップSS1では、前記図5のステップS1と同様にして図3および図4に示すように絶縁被膜36、38による被覆状態が異なる2種類の第1磁石24および第2磁石26を準備する。SS2では、第1磁石24および第2磁石26を、予め定められた配置パターンに従って設けられた第1組付孔32、第2組付孔34に挿入する。
【0044】
ここで、第1磁石24および第2磁石26は、断面形状や外周形状が同じであるため、第1組付孔32に第2磁石26を挿入したり第2組付孔34に第1磁石24を挿入したりする誤組付が発生する可能性がある。このため、続いてステップSS3を実行し、多数の組付孔32、34に挿入された各第1磁石24および第2磁石26について、端面24a、24b、26a、26b部分に電極を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別する。すなわち、第1組付孔32に挿入されている磁石が第1磁石24で、第2組付孔34に挿入されている磁石が第2磁石26であるか否かを判別する。ここでは、前記ステップS2と同様に、図6或いは図7に示す電極50、52、或いは54、56を用いて、ロータコア22の組付孔34、36に挿入された多数(実施例では16個)の磁石24、26の電気抵抗を一つずつ測定しても良いが、例えば図9に示すように磁石24、26の数に対応して多数(実施例では16個)の電極60、62が取り付けられた一対の電極保持プレート64、66を用いて、総ての磁石24、26について同時に電気抵抗を測定して第1磁石24か第2磁石26かを判別しても良い。なお、必ずしも総ての磁石24、26の電気抵抗を同時に測定できる必要はなく、例えば電極60、62の数をそれぞれ2~4個程度ずつにして、複数回に分けて電気抵抗を測定しても良い。また、電極60、62を一方の電極保持プレート64または66に設けることにより、図7のように軸方向の片側だけで電気抵抗を測定し、他方の電極保持プレート66または64を省略することもできる。
【0045】
次のステップSS4では、上記ステップSS3による判別結果に基づいて、第1組付孔32に挿入されている磁石が第2磁石26であると判定された場合、および第2組付孔34に挿入されている磁石が第1磁石24であると判定された場合に、それ等の磁石を取り替える。その後、樹脂製接着剤等により総ての第1磁石24、第2磁石26をそれぞれロータコア22に固定することにより、目的とするロータ12が製造される。
【0046】
このように、本実施例のロータ12の製造方法においては、ロータコア22の複数の組付孔32、34に第1磁石24および第2磁石26が組み付けられた状態でステップSS3の判別工程が行なわれ、多数の第1磁石24および第2磁石26がそれぞれ配置パターンに従って複数の組付孔32、34に挿入されているか否かを判別する。具体的には、第1組付孔32に第1磁石24が挿入され、第2組付孔34に第2磁石26が挿入されているか否かを判別する。そして、第1組付孔32に挿入されている磁石が第2磁石26であると判定された場合、および第2組付孔34に挿入されている磁石が第1磁石24であると判定された場合には、ステップSS4でそれ等の磁石26、24を取り替えるため、前記実施例と同様に第1磁石24および第2磁石26の誤組付を適切に防止することができる。
【0047】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0048】
図10は、前記図2に対応するロータ70の断面図で、図11は、ロータ70に組み付けられている第1磁石72の斜視図で、図12は、ロータ70に組み付けられている第2磁石74の斜視図である。このロータ70は、第1磁石72および第2磁石74の軸方向と直角な断面形状が台形で、それ等の磁石72、74が組み付けられる第1組付孔76、第2組付孔78の断面形状も台形である、点が前記実施例と相違する。第1磁石72および第2磁石74は、断面形状および外周形状が互いに同じで、第1組付孔76および第2組付孔78は、断面形状が互いに同じであり、第1磁石72および第2磁石74は、それぞれ台形断面における上底側の面がロータコア22の外周側に位置する姿勢で第1組付孔76、第2組付孔78に挿入される。また、第1磁石72および第2磁石74は、磁束や保持力は同じであるが板厚方向の極性が互いに相違し、例えば第1磁石72の台形断面における上底側の面はN極とされ、第2磁石74の台形断面における上底側の面はS極とされている。
【0049】
このようなロータ70においても、第1磁石72および第2磁石74の軸方向と直角な断面形状および外周形状が互いに同じで、断面形状や外周形状から第1磁石72と第2磁石74とを判別できないため誤組付の恐れがある。このため、第1磁石72については、軸方向の両側の端面72a、72bを含めて総ての外周面に絶縁被膜36が設けられて被覆され、第2磁石74については、軸方向の両側の端面74a、74bを除いた外周面に絶縁被膜38が設けられて被覆されるように、それの第1磁石72および第2磁石74に絶縁被膜36、38が設けられている。第1磁石72は一方の磁石に相当し、第2磁石74は他方の磁石に相当する。
【0050】
本実施例においても、第1磁石72、第2磁石74の端面72a、72b、74a、74b部分に電極を接触させて電気抵抗を測定することにより、絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石72か第2磁石74かを判別することができる。したがって、2種類の第1磁石72および第2磁石74の断面形状や外周形状が同じであっても、それ等を適切に判別してロータコア22の第1組付孔76、第2組付孔78に適切に組み付けることが可能であり、第1磁石72および第2磁石74の断面形状等の制約が解消するなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0051】
なお、上記第1磁石72および第2磁石74の断面形状は必ずしも台形である必要はなく、適宜変更できる。また、NSの極性だけでなく、磁束や保持力が異なる2種類の第1磁石72および第2磁石74が用いられても良い。
【0052】
図13は、前記図2に対応するロータ80の断面図である。このロータ80は、前記第1組付孔32、第2組付孔34と同じ長方形の断面形状の組付孔82が、ロータコア22の径方向に対して直角な一定の姿勢で、周方向に等角度間隔で多数(実施例では16個)設けられている場合で、2種類の第1磁石24および第2磁石26が予め定められた配置パターンでその組付孔82に挿入されて組み付けられている。具体的には、2種類の第1磁石24および第2磁石26が、周方向に交互に多数の組付孔82に挿入されて組み付けられている。この場合も、第1磁石24および第2磁石26の断面形状および外周形状が互いに同じで、断面形状や外周形状から第1磁石24と第2磁石26とを判別できないため誤組付の恐れがあり、端面24a、24b、26a、26bの絶縁被膜36、38の有無が異なる第1磁石24、第2磁石26を用いて、その絶縁被膜36、38の有無による電気抵抗の相違に基づいて第1磁石24か第2磁石26かを判別できるようにすることにより、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0053】
なお、上記組付孔82として、図10の第1組付孔76、第2組付孔78と同様に断面形状が台形の組付孔を設け、断面形状が台形の前記第1磁石72および第2磁石74を用いてロータ80を構成することもできる。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10:回転機 12、70、80:ロータ 22:ロータコア 24:第1磁石(一方の磁石) 24a、24b、:端面 26:第2磁石(他方の磁石) 26a、26b:端面 32、76:第1組付孔(組付孔) 34、78:第2組付孔(組付孔) 36、38:絶縁被膜 50、52、54、56、60、62:電極 72:第1磁石(一方の磁石) 72a、72b:端面 74:第2磁石(他方の磁石) 74a、74b:端面 82:組付孔 O:回転軸心 S1、SS1:予備工程 S2、SS3:判別工程 S3:挿入工程 SS4:取替工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13