IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7338616ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法
<>
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図1
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図2
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図3
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図4
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図5
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図6
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/12 20160101AFI20230829BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20230829BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20230829BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230829BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20230829BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20230829BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230829BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20230829BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20230829BHJP
【FI】
B60W20/12
B60K6/445 ZHV
B60L50/61
B60L58/12
B60W10/26 900
B60W20/13
G16Y10/40
G16Y20/10
G16Y40/60
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020201252
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022089039
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】宮里 佳明
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-280139(JP,A)
【文献】特開2004-156622(JP,A)
【文献】特開2006-311769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/12
B60K 6/445
B60W 10/26
B60W 20/13
B60L 50/61
B60L 58/12
G16Y 10/40
G16Y 20/10
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関の動力を利用して発電された電力を蓄電するバッテリと、
前記内燃機関の動力を利用して発電された電力又は前記バッテリに蓄電された電力の一方又は双方が供給されて駆動される回転電機と、
を備えるハイブリッド車両を制御するためのハイブリッド車両の制御装置であって、
前記バッテリの目標充電量を設定する目標充電量設定部と、
前記バッテリの充電量が前記目標充電量となるように、前記内燃機関及び前記回転電機と前記バッテリの充放電とを制御して前記ハイブリッド車両を走行させる走行制御部と、
を備え、
前記目標充電量設定部は、
前記内燃機関の駆動が制限される制限区域内の地点が目的地又は経由地として設定されている場合において、前記目的地又は前記経由地への予想到着時刻が、前記制限区域において前記内燃機関の駆動制限が行われる制限期間外の時刻であるときは、前記予想到着時刻が前記制限期間内の時刻であるときよりも、前記目標充電量を低い値に設定する、
ハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記目標充電量設定部は、
前記制限区域内の地点が前記目的地又は前記経由地として設定されている場合において、前記予想到着時刻が前記制限期間内の時刻であるときは、現在位置から前記制限区域までの残り距離又は所要時間と、現在時刻から前記制限区域において前記内燃機関の駆動制限が開始される時刻までの猶予時間と、に基づいて、前記目標充電量を設定する、
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
内燃機関と、
前記内燃機関の動力を利用して発電された電力を蓄電するバッテリと、
前記内燃機関の動力を利用して発電された電力又は前記バッテリに蓄電された電力の一方又は双方が供給されて駆動される回転電機と、
を備えるハイブリッド車両の制御方法であって、
前記内燃機関の駆動が制限される制限区域内の地点が目的地又は経由地として設定されている場合において、前記目的地又は前記経由地への予想到着時刻が、前記制限区域において前記内燃機関の駆動制限が行われる制限期間外の時刻であるときは、前記予想到着時刻が前記制限期間内の時刻であるときよりも、目標充電量を低い値に設定し、
前記バッテリの充電量が前記目標充電量となるように、前記内燃機関及び前記回転電機と前記バッテリの充放電とを制御して前記ハイブリッド車両を走行させる、
ハイブリッド車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイブリッド車両の現在位置及び現在時刻を検出し、現在位置が制限区域内にありかつ現在時刻が制限期間内にあるときに、特定の制御プログラムを適用する車載機器制御システムが開示されている。具体的には特許文献1には、制限区域がハイブリッド車両の騒音量や排気ガス量を規制したい地域であり、特定の制御プログラムが主として電気モータの動力で車両を走行させるための動力制御プログラムであることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-015651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関の駆動が制限される制限区域の中には、予め定められた制限期間の間だけ内燃機関の駆動が制限される時間変動制の制限区域がある。このような時間変動制の制限区域が近くに存在する場合において、当該制限区域を制限期間中に走行することを考慮に入れて常にハイブリッド車両のバッテリ充電量を相対的に高い値に維持すると、EVモードで走行できる距離が減少してしまうため、燃費が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、ハイブリッド車両のバッテリ充電量が不必要に高い値に維持されるのを抑制しつつ、バッテリ充電量を制限区域の制限期間を考慮に入れた適切な充電量に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、内燃機関と、内燃機関の動力を利用して発電された電力を蓄電するバッテリと、内燃機関の動力を利用して発電された電力又は前記バッテリに蓄電された電力の一方又は双方が供給されて駆動される回転電機と、を備えるハイブリッド車両を制御するためのハイブリッド車両の制御装置が提供される。ハイブリッド車両の制御装置は、バッテリの目標充電量を設定する目標充電量設定部と、バッテリの充電量が目標充電量となるように、内燃機関及び回転電機とバッテリの充放電とを制御してハイブリッド車両を走行させる走行制御部と、を備える。目標充電量設定部は、内燃機関の駆動が制限される制限区域内の地点が目的地又は経由地として設定されている場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が、制限区域において内燃機関の駆動制限が行われる制限期間外の時刻であるときは、予想到着時刻が制限期間内の時刻であるときよりも、目標充電量を低い値に設定するように構成される。
【0007】
また本発明の別の態様によれば、内燃機関と、内燃機関の動力を利用して発電された電力を蓄電するバッテリと、内燃機関の動力を利用して発電された電力又はバッテリに蓄電された電力の一方又は双方が供給されて駆動される回転電機と、を備えるハイブリッド車両の制御方法であって、内燃機関の駆動が制限される制限区域内の地点が目的地又は経由地として設定されている場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が、制限区域において内燃機関の駆動制限が行われる制限期間外の時刻であるときは、予想到着時刻が制限期間内の時刻であるときよりも目標充電量を低い値に設定し、バッテリの充電量が目標充電量となるように、内燃機関及び回転電機とバッテリの充放電とを制御してハイブリッド車両を走行させる、ハイブリッド車両の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のこれらの態様によれば、ハイブリッド車両のバッテリ充電量が不必要に高い値に維持されるのを抑制しつつ、バッテリ充電量を制限区域の制限期間を考慮に入れた適切な充電量に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態による車両制御システムの概略構成図である。
図2図2は、制限区域について説明する図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両の概略構成図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるハイブリッドシステムの概略構成図である。
図5図5は、バッテリ充電量と切替負荷との関係を示した図である。
図6図6は、本発明の一実施形態によるモード切替充電量の設定制御について説明するフローチャートである。
図7図7は、現在位置から制限区域までの残り距離又は所要時間と、現在時刻から制限期間の開始時刻までの猶予時間とに基づいて、モード切替充電量を設定するためのマップである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による車両制御システム100の概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態による車両制御システム100は、サーバ1と、ハイブリッド車両2と、を備える。
【0013】
サーバ1は、サーバ通信部11と、サーバ記憶部12と、サーバ処理部13と、を備える。
【0014】
サーバ通信部11は、サーバ1を例えばゲートウェイ等を介してネットワーク3と接続するための通信インターフェース回路を有し、ハイブリッド車両2との間で相互に通信することができるように構成される。
【0015】
サーバ記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)や光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、サーバ処理部13での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0016】
本実施形態ではサーバ記憶部12は、全国の各所に設けられた制限区域に関する情報(後述する境界GFや制限期間に関する情報など)を少なくとも記憶している。制限区域とは、大気汚染防止や騒音防止などの観点から、内燃機関の駆動が制限される区域のことである。
【0017】
図2を参照して制限区域について簡単に説明すると、図2には、制限区域の内側と外側との境界GFと、境界GF上に位置する各道路位置Kd,Ke,Kf,Kgと、が示されている。図2において、境界GFの内側が制限区域であり、この制限区域が、例えば予め定められた制限期間の間だけ設けられる時間変動制の制限区域である場合には、制限期間の間だけ制限区域内での内燃機関の駆動が制限され、非制限期間においては内燃機関の駆動が許可される。制限期間は、例えば、時間や日、週、月、年、曜日などの単位で設定される。
【0018】
図1に戻り、サーバ処理部13は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。サーバ処理部13は、サーバ記憶部12に格納された各種のコンピュータプログラムを実行し、サーバ1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0019】
図3は、ハイブリッド車両2の概略構成図である。
【0020】
図3に示すように、ハイブリッド車両2は、電子制御ユニット20と、ハイブリッドシステム21と、GPS受信装置22と、地図情報記憶装置23と、通信装置24と、HMI(Human Machine Interface)装置25と、SOCセンサ26や負荷センサ27などの各種のセンサ類と、を備える。ハイブリッドシステム21、GPS受信装置22、地図情報記憶装置23、通信装置24、HMI装置25、及び各種のセンサ類は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワーク28を介して電子制御ユニット20と接続されている。
【0021】
ハイブリッドシステム21は、ハイブリッド車両2を走行させるために必要な動力を発生させ、その動力を駆動輪に伝達することができるように構成される。ハイブリッドシステム21の詳細については、図4を参照して説明する。
【0022】
図4は、本実施形態によるハイブリッドシステム21の概略構成図である。本実施形態によるハイブリッドシステム21は、いわゆるシリーズ・パラレル式のハイブリッドシステムであるが、シリーズ式やパラレル式などのその他の形式のハイブリッドシステムであってもよい。
【0023】
図4に示すように、本実施形態によるハイブリッドシステム21は、内燃機関211と、動力分割機構212と、主に発電機として使用される第1回転電機213と、主に電動機として使用される第2回転電機214と、バッテリ215と、パワーコントロールユニット(以下「PCU」という。)216と、を備える。
【0024】
内燃機関211は、その内部に形成された気筒内で燃料を燃焼させて、動力分割機構212に連結された機関出力軸を回転させるための動力を発生させる。
【0025】
動力分割機構212は、内燃機関211の動力を、駆動輪を回転させるための動力と、第1回転電機213を回生駆動させるための動力と、の2系統に分割するための公知の遊星歯車機構である。
【0026】
第1回転電機213は、例えば三相の交流同期型のモータジュネレータであり、バッテリ215からの電力供給を受けて力行駆動する電動機としての機能と、内燃機関211の動力を受けて回生駆動する発電機としての機能と、を有する。本実施形態では第1回転電機213は、主に発電機として使用され、バッテリ215を充電するために必要な電力や第2回転電機214を力行駆動するために必要な電力を発電する。そして、内燃機関211の始動時に機関出力軸を回転させてクランキングを行うときに電動機として使用され、スタータとしての役割を果たす。
【0027】
第2回転電機214は、例えば三相の交流同期型のモータジュネレータであり、バッテリ215からの電力供給を受けて力行駆動する電動機としての機能と、ハイブリッド車両2の減速時に駆動輪からの動力を受けて回生駆動する発電機としての機能と、を有する。本実施形態では第2回転電機214は、主に電動機として使用され、駆動輪を回転させるための動力を発生させる。
【0028】
バッテリ215は、例えばニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池である。なおバッテリ215は、例えば家庭用コンセントなどの外部電源からの充電が可能なように、外部電源と電気的に接続可能に構成されていてもよい。
【0029】
PCU216は、インバータ(図示せず)と昇圧コンバータ(図示せず)とを備え、その動作は電子制御ユニット20によって制御される。具体的には、各回転電機213,214を電動機として使用するときは、各回転電機213,214を駆動するために必要な電力がバッテリ215から各回転電機213,214に供給されるように、PCU216の動作が電子制御ユニット20によって制御される。また各回転電機213,214を発電機として使用するときは、各回転電機213,214で発電された電力がバッテリ215に供給されるように、PCU216の動作が電子制御ユニット20によって制御される。
【0030】
図3に戻り、GPS受信装置22は、人工衛星からの電波を受信してハイブリッド車両2の緯度及び経度を特定し、ハイブリッド車両2の現在位置を検出する。
【0031】
地図情報記憶装置23は、道路の位置情報や道路形状の情報(例えば勾配や、カーブと直線部の種別、カーブの曲率など)、交差点及び分岐点の位置情報、道路種別、制限車速などの各種の道路情報を記憶する。
【0032】
通信装置24は、無線通信機能を有する車載の端末である。通信装置24は、ネットワーク3(図1参照)と不図示のゲートウェイ等を介して接続される無線基地局4(図1参照)にアクセスすることで、無線基地局4を介してネットワーク3と接続される。これにより、サーバ1との間で相互に通信が行われる。
【0033】
HMI装置25は、車両乗員との間で情報のやり取りを行うためのインターフェイスである。本実施形態によるHMI装置25は、車両乗員に各種の情報を提供するためのディスプレイやスピーカと、車両乗員が情報の入力操作を行うためのタッチパネル(又は操作ボタン)と、を備える。車両乗員によって入力された入力情報(例えば目的地など)は、電子制御ユニット20に送信される。
【0034】
SOCセンサ26は、バッテリ215の充電量(以下「バッテリ充電量」という。)SOCを検出する。
【0035】
負荷センサ27は、走行負荷に相当するパラメータとして、アクセルペダルの踏み込み量に比例した出力電圧を検出する。
【0036】
電子制御ユニット20は、車内通信インターフェース201、車両記憶部202及び車両処理部203、を備える。車内通信インターフェース201、車両記憶部202及び車両処理部203は、信号線を介して互いに接続されている。
【0037】
車内通信インターフェース201は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワーク28に電子制御ユニット20を接続するための通信インターフェース回路である。
【0038】
車両記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)や光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、車両処理部203での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0039】
車両処理部203は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。車両処理部203は、車両記憶部202に格納された各種のコンピュータプログラムを実行してハイブリッド車両2を統括的に制御するものであり、例えばCPUである。以下、車両処理部203、ひいては電子制御ユニット20によって実施されるハイブリッド車両2の制御の内容について説明する。
【0040】
電子制御ユニット20は、バッテリ充電量SOCに基づいて、走行モードをEV(Electric Vehicle)モード又はHV(Hybrid Vehicle)モードのいずれか一方に切り替えてハイブリッド車両2を走行させる。具体的には、電子制御ユニット20は、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1以上であれば、ハイブリッド車両2の走行モードをEVモードに設定し、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1未満であれば、ハイブリッド車両2の走行モードをHVモードに設定する。なおEVモードは、CD(Charge Depleting;充電消耗)モードと称され、HVモードは、CS(Charge Sustaining;充電維持)モードと称される場合もある。
【0041】
EVモードは、バッテリ215の電力を優先的に利用して第2回転電機214を力行駆動させ、第2回転電機214の動力を駆動輪に伝達してハイブリッド車両2を走行させるモードである。
【0042】
電子制御ユニット20は、走行モードがEVモードのときは、内燃機関211を停止させた状態でバッテリ215の電力を使用して第2回転電機214を力行駆動させ、第2回転電機214の動力のみにより駆動輪を回転させてハイブリッド車両2を走行させる。すなわち電子制御ユニット20は、走行モードがEVモードのときは、内燃機関211を停止させた状態で、走行負荷に応じた要求出力となるように、走行負荷に基づいて第2回転電機214の出力を制御してハイブリッド車両2を走行させる。
【0043】
HVモードは、バッテリ充電量SOCがHVモードに切り替えられたときの充電量(以下「維持充電量」という。)に維持されるように、内燃機関211及び第2回転電機214の出力を制御してハイブリッド車両2を走行させるモードである。
【0044】
電子制御ユニット20は、走行モードがHVモードのときは、走行負荷が所定の切替負荷未満であれば、前述したEVモードと同様に、内燃機関211を停止させた状態でバッテリ215の電力を使用して第2回転電機214を力行駆動させ、第2回転電機214の動力のみにより駆動輪を回転させて、ハイブリッド車両2を走行させる。なお電子制御ユニット20は、図5に示すように、バッテリ充電量SOCが少ないときほど切替負荷が小さくなるように、バッテリ充電量SOCに応じて切替負荷を変化させる。
【0045】
また電子制御ユニット20は、走行モードがHVモードのときは、走行負荷が所定の切替負荷以上であれば、内燃機関211の動力を動力分割機構212によって2系統に分割し、分割した内燃機関211の一方の動力を駆動輪に伝達すると共に、他方の動力によって第1回転電機213を回生駆動させる。そして、基本的に第1回転電機213の発電電力によって第2回転電機214を力行駆動しつつ、必要に応じてその一部の電力をバッテリに供給してバッテリを充電し、内燃機関211の一方の動力に加えて第2回転電機214の動力を駆動輪に伝達してハイブリッド車両2を走行させる。
【0046】
また電子制御ユニット20は、走行モードがHVモードの場合に停車時においてバッテリ充電量SOCが維持充電量未満になっているときは、バッテリ充電量SOCが維持充電量以上となるように、内燃機関211の動力によって第1回転電機213を回生駆動し、第1回転電機213の発電電力によってバッテリ215を充電させる。
【0047】
このように電子制御ユニット20は、走行モードがHVモードのときは、走行負荷に応じた要求出力となるように、バッテリ充電量SOCと走行負荷とに基づいて内燃機関211及び第2回転電機214の出力を制御してハイブリッド車両2を走行させる。走行モードがEVモードからHVモードに切り替わったときは、走行負荷が高くなれば内燃機関211が始動されることになる。そのためHVモードは、基本的に内燃機関211を運転させることを前提として、内燃機関211の熱効率が悪い条件下においては第2回転電機214の出力のみでハイブリッド車両2の走行させることができるようにした走行モードということもできる。
【0048】
このように本実施形態では、EVモード中は、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1になるまでバッテリ215の電力を消費してハイブリッド車両2の走行が行われることになる。そして、HVモード中は、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1に維持されるように、必要に応じて内燃機関211の動力を利用して発電した電力をバッテリ215に充電しつつハイブリッド車両2の走行が行われることになる。すなわち本実施形態では、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1となるように、内燃機関211や各回転電機213,214、バッテリ215に対する充放電が制御されてハイブリッド車両2の走行が行われることになる。したがって本実施形態によるモード切替充電量SOC1は、ハイブリッド車両2の走行中におけるバッテリ215の目標充電量ということもできる。
【0049】
ここで前述した通り、HVモードは基本的に内燃機関211を運転させることを前提とした走行モードであり、走行モードがEVモードからHVモードに切り替わった後は、基本的に内燃機関211が始動されることになる。そしてEVモードからHVモードへの切り替わりは、バッテリ充電量SOCに依存し、本実施形態では、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1になったときに、走行モードがEVモードからHVモードに切り替えられることになる。そして燃費向上のためには、モード切替充電量SOC1を、例えば相対的に低い第1充電量(例えば満充電量の10%など)に設定し、可能な限りEVモードでの走行を行った方が望ましい。
【0050】
しかしながら、近年においては、図2を参照して前述した制限区域が各所に設けられている場合があり、このような制限区域の存在を考慮せずにモード切替充電量SOC1を低い値に固定して走行モードの切替制御を実施してしまうと、例えば、バッテリ充電量SOCが低下してHVモードで走行している状態、すなわちバッテリ充電量SOCが十分に確保されていない状態で、制限期間中の制限区域に進入しなければならなくなるおそれがある。また例えば、制限区域内を走行しているときに、バッテリ充電量SOCが十分に確保されていない状態で非制限期間から制限期間に切り替わるおそれがある。
【0051】
制限期間中の制限区域内では、内燃機関211の駆動が制限されるため、バッテリ充電量SOCが十分に確保されていない状態であってもEVモードで走行しなければならず、内燃機関211を駆動してバッテリ215の充電を行うこともできない。そのため、最悪の場合、電欠により走行不能になるおそれがある。
【0052】
その一方で、制限区域を制限期間中に走行することを考慮に入れて常にハイブリッド車両2のバッテリ充電量SOCを相対的に高い値に維持すると、EVモードで走行できる距離が減少してしまうため、燃費が悪化するおそれがある。
【0053】
そこで本実施形態では、目的地又は目的地までの経路上の任意の地点(以下「経由地」という。)が制限区域内に位置する場合には、目的地又は経由地への予想到着時刻と、制限区域の制限期間に関する情報と、に基づいて、モード切替充電量SOC1(すなわち目標充電量)を設定することとした。具体的には、目的地又は経由地が制限区域内に位置する場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が、当該制限区域において内燃機関の駆動制限が行われる制限期間外の時刻であるときは、目的地又は経由地への予想到着時刻が制限期間内の時刻であるときよりも、モード切替充電量SOC1を低い値に設定することとした。
【0054】
これにより、目的地に到達するまでの間に制限区域内を走行しなければならない場合であっても、当該制限区域を制限期間中に走行する可能性が低いとき(すなわち、目的地又は経由地が制限区域内に位置する場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が制限区域の制限期間外の時刻であるとき)は、モード切替充電量SOC1を相対的に低い値に設定できる。
【0055】
その一方で、目的地に到達するまでの間に制限区域内を走行しなければならず、かつ、当該制限区域を制限期間中に走行する可能性が高いとき(すなわち、目的地又は経由地が制限区域内に位置する場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が制限区域の制限期間内の時刻であるとき)は、モード切替充電量SOC1を相対的に高い値に設定できる。
【0056】
そのため、ハイブリッド車両2のバッテリ充電量SOCが不必要に高い値に維持されるのを抑制しつつ、制限区域の制限期間を考慮に入れた適切なバッテリ充電量に管理することができるので、燃費の悪化を抑制しつつ、制限区域を制限期間中に走行することになった場合であっても電欠によって走行不能になるのを抑制することができる。
【0057】
以下、この本実施形態によるこの本実施形態によるモード切替充電量SOC1の設定制御について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0058】
ステップS1において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、目的地が判明しているか否かを判定する。目的地は、HMI装置25を介して車両乗員によって入力された目的地であってもよいし、過去の走行履歴等から推定された目的地であってもよい。電子制御ユニット20は、目的地が判明していなければ、ステップS2の処理に進む。一方で電子制御ユニット20は、目的地が判明していれば、ステップS3の処理に進む。
【0059】
ステップS2において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、目的地、ひいては今後の走行経路が不明であり、したがって制限区域を制限期間中に走行する可能性が残されている一方で、モード切替充電量SOC1を高い値に設定し過ぎると燃費を悪化させる要因となるため、モード切替充電量SOC1を、前述した第1充電量よりもやや大きい所定の第2充電量に設定する。
【0060】
これにより、目的地が不明である場合に、制限期間中の制限区域を走行することになったときでも或る程度のバッテリ充電量を確保しておくことができ、またモード切替充電量SOC1を不必要に高い値に設定するわけでもないので、電欠によって走行不能になるのを抑制しつつ、燃費の悪化も抑制することができる。
【0061】
ステップS3において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、GPS受信装置22により受信した位置情報に基づいて、ハイブリッド車両2の現在位置を取得する。また電子制御ユニット20は、時計機能(リアルタイムクロック)を有しており、時計機能によって計測された現在の日時(日付及び時刻)を併せて取得する。
【0062】
ステップS4において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、制限区域情報を取得するべく、自車両の識別番号(例えば車両ナンバー)と、目的地と、現在位置から目的地までの経路とを含む、制限区域情報要求信号をサーバ1に送信する。制限区域情報は、目的地又は経由地(目的地までの経路上の任意の地点)が制限区域内に存在しているか否かに関する情報や、目的地又は経由地が制限区域内に存在している場合には、その制限区域の境界GFや制限期間に関する情報などを含む情報である。
【0063】
ステップS5において、サーバ1は、制限区域情報要求信号を受信しているか否かを判断する。サーバ1は、制限区域情報要求信号を受信していれば、ステップS6の処理に進む。一方でサーバ1は、制限区域情報要求信号を受信していなければ、今回の処理を終了する。
【0064】
ステップS6において、サーバ1は、制限区域情報を生成し、制限区域情報要求信号の送信元となるハイブリッド車両2(以下、必要に応じて「送信元車両2」ともいう。)に送信する。
【0065】
具体的にはサーバ1は、まずサーバ記憶部12に記憶された制限区域に関する情報と、送信元車両2の目的地及び経由地と、に基づいて、送信元車両2の目的地又は経由地が制限区域内に存在しているか否かを判定する。そしてサーバ1は、送信元車両2の目的地及び経由地のいずれもが制限区域内に存在していなければ、その旨の情報を含む制限区域情報を生成し、送信元車両2に送信する。一方でサーバ1は、送信元車両2の目的地又は経由地の少なくともいずれか一方が制限区域内に存在していれば、その制限区域の境界GF及び制限期間に関する情報を含む制限区域情報を生成し、送信元車両2に送信する。なお経由地は、例えば、目的地までの経路上に一定間隔で設定してもよいし、HMI装置25を介して経由地に関する情報を車両乗員が入力していた場合にはその経由地に関する情報を制限区域情報要求信号に含ませるようにしておいて把握するようにしてもよい。
【0066】
ステップS7において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、制限区域情報を受信しているか否かを判定する。電子制御ユニット20は、制限区域情報を受信していれば、ステップS8の処理に進む。一方で電子制御ユニット20は、制限区域情報を受信していなければ、一定の時間を空けた後、制限区域情報を受信しているか否かを再度判定する。
【0067】
ステップS8において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、制限区域情報を参照し、自車両の目的地及び経由地のいずれもが制限区域内に存在していなければ、ステップS9の処理に進む。一方で電子制御ユニット20は、自車両の目的地又は経由地の少なくともいずれか一方が制限区域内に存在していれば、ステップS10の処理に進む。
【0068】
ステップS9において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、目的地及び経由地のいずれもが制限区域内に存在しておらず、したがって目的地に到達するまでの間に制限期間中の制限区域内を走行する可能性が低く、バッテリ充電量SOCに関しては最低限の充電量を確保しておけば問題ないため、燃費の向上を図るためにモード切替充電量SOC1を前述した第1充電量に設定する。第1充電量は、前述した通り、燃費向上のために相対的に低い値とされ、本実施形態では満充電量の10%程度の値とされる。
【0069】
これにより、目的地に到達するまでの間に制限期間中の制限区域内を走行する可能性が低い場合には、モード切替充電量SOC1を相対的に低い値に設定することができるので、EVモードで走行できる距離を増やして燃費の向上を図ることができる。
【0070】
ステップS10において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、経由地が制限区域内に存在している場合は経由地への予想到着時刻を算出し、併せて目的地が制限区域内に存在している場合は目的地への予想到着時刻を算出する。
【0071】
ステップS11において、ハイブリッド車両2の電子制御ユニット20は、経由地が制限区域内に存在している場合には、経由地への予想到着時刻が、経由地が存在する制限区域において内燃機関の駆動制限が行われる制限期間内の時刻であるか否かを判定する。また電子制御ユニット20は、併せて目的地が制限区域内に存在している場合には、目的地への予想到着時刻が、目的地が存在する制限区域において内燃機関の駆動制限が行われる制限期間内の時刻であるか否かを判定する。
【0072】
電子制御ユニット20は、制限区域内に存在する経由地又は目的地への予想到着時刻が当該制限区域の制限期間内の時刻である場合、すなわち目的地に到達するまでの間に制限区域内を制限期間中に走行する可能性が高い場合は、ステップS12の処理に進む。一方で電子制御ユニット20は、経由地への予想到着時刻及び目的地の予想到着時刻が制限区域の制限期間外の時刻である場合、すなわち目的地に到達するまでの間に制限区域内を走行するものの、当該制限区域内を制限期間中に走行する可能性が低い場合は、ステップS9の処理に進む。
【0073】
ステップS12において、電子制御ユニット20は、目的地に到達するまでの間に制限区域内を制限期間中に走行する可能性が高いので、電欠によって走行不能になるのを抑制するべく、モード切替充電量SOC1を、第1充電量及び第2充電量よりも大きい所定の第3充電量に設定する。
【0074】
これにより、目的地に到達するまでの間に制限期間中の制限区域内を走行する可能性が高い場合には、モード切替充電量SOC1を相対的に高い値に設定することができるので、制限区域内を制限期間中に走行することになったとしても、電欠によって走行不能になるのを抑制することができる。
【0075】
なお本実施形態では、第3充電量を固定値としているが、第3充電量は可変値であってもよい。第3充電量を可変値とする場合は、例えば、予め実験等によって作成された図7に示すマップを参照し、現在位置から制限区域までの残り距離又は所要時間と、現在時刻から制限期間の開始時刻までの猶予時間と、に基づいて、第3充電量を設定することができる。図7のマップに示すように、残り距離又は所要時間が短くなるほど、また猶予時間が短くなるほど、第3充電量は高い値に設定される。これは、制限区域に近づくほど、また猶予時間が短くなるほど、制限期間中の制限区域で走行する可能性が高くなるため、第3充電量、ひいてはモード切替充電量SOC1を高い値に設定してバッテリ充電量SOCを高い値に維持する必要があると考えられるためである。
【0076】
なお、ハイブリッド車両2の現在位置から制限区域までの残り距離又は所要時間は、例えば、現在位置から制限区域の境界GF上に位置する各道路位置Kd,Ke,Kf,Kg(図2参照)までの距離又は所要時間を算出し、その中で最も短い距離又は所要時間を、現在位置から制限区域までの残り距離又所要時間として算出することができる。またハイブリッド車両2の現在位置が制限区域内にあるときは、残り距離又は所要時間をゼロとすればよい。
【0077】
以上説明した本実施形態によるハイブリッド車両2は、内燃機関211と、内燃機関211の動力を利用して発電された電力を蓄電するバッテリ215と、内燃機関211の動力を利用して発電された電力、又はバッテリ215に蓄電された電力の一方又は双方が供給されて駆動される第2回転電機214(回転電機)と、を備える。このハイブリッド車両2を制御するための電子制御ユニット20(制御装置)は、バッテリ215の目標充電量に相当するモード切替充電量SOC1を設定する目標充電量設定部と、バッテリ充電量SOCがモード切替充電量SOC1となるように、内燃機関211及び第2回転電機214とバッテリ215の充放電とを制御してハイブリッド車両2を走行させる走行制御部と、を備える。
【0078】
そして目標充電量設定部は、内燃機関211の駆動が制限される制限区域内の地点が目的地又は経由地として設定されている場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が、制限区域において内燃機関211の駆動制限が行われる制限期間外の時刻であるときは、予想到着時刻が制限期間内の時刻であるときよりも、モード切替充電量SOC1を低い値に設定するように構成されている。
【0079】
これにより、目的地に到達するまでの間に制限区域内を走行しなければならない場合であっても、当該制限区域を制限期間内に走行する可能性が低いとき(すなわち、目的地又は経由地が制限区域内に位置する場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が制限区域の制限期間外の時刻であるとき)は、モード切替充電量SOC1を相対的に低い値に設定できる。そのため、EVモードで走行できる距離を増やして燃費の向上を図ることができる。
【0080】
その一方で、目的地に到達するまでの間に制限区域内を走行しなければならず、かつ、当該制限区域を制限期間中に走行する可能性が高いとき(すなわち、目的地又は経由地が制限区域内に位置する場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が制限区域の制限期間内の時刻であるとき)は、モード切替充電量SOC1を相対的に高い値に設定できる。そのため、制限区域内を制限期間中に走行することになったとしても、電欠によって走行不能になるのを抑制することができる。
【0081】
このように本実施形態によれば、ハイブリッド車両2のバッテリ充電量SOCが不必要に高い値に維持されるのを抑制しつつ、バッテリ充電量SOCを制限区域の制限期間を考慮に入れた適切な充電量に管理することができる。したがって燃費の悪化を抑制しつつ、制限区域を制限期間中に走行することになった場合であっても電欠によって走行不能になるのを抑制することができる。
【0082】
なおモード切替充電量SOC1は、制限区域内の地点が目的地又は経由地として設定されている場合において、目的地又は経由地への予想到着時刻が制限期間内の時刻であるときは、現在位置から制限区域までの残り距離又は所要時間と、現在時刻から制限区域において内燃機関211の駆動制限が開始される時刻までの猶予時間と、に基づいて設定するようにしてもよい。
【0083】
これにより、制限区域に近づくほど、また猶予時間が短くなるほど、モード切替充電量SOC1を高い値に設定してバッテリ充電量SOCを高い値に維持することができる。すなわち、制限期間中の制限区域で走行する可能性が高くなるほど、バッテリ215の目標充電量を高い値に設定してバッテリ充電量SOCを高い値に維持することができる。そのため、バッテリ充電量SOCが十分に確保されていない状態で、制限期間中の制限区域を走行しなければならなくなるのを抑制することができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0085】
例えば上記の各実施形態では、制限区域情報をサーバ1から取得していたが、これに限らず、電子制御ユニット20の車両記憶部202やその他の車載の記憶装置に制限区域情報を予め記憶させるようにしてもよいし、道路交通情報通信システムセンタなどの外部の通信センタが制限区域情報を定期的に送信している場合には、外部の通信センタから送信されてくる制限区域情報を受信することによって取得するようにしてもよい。この場合、サーバ1との通信とは不要になる。
【符号の説明】
【0086】
2 ハイブリッド車両
20 電子制御ユニット(制御装置)
211 内燃機関
214 第2回転電機(回転電機)
215 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7