(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、スキンケア処方システム、スキンケア処方方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/026 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A61B5/026 120
(21)【出願番号】P 2021150829
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 利彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 高弘
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-132869(JP,A)
【文献】特開2021-69652(JP,A)
【文献】特開2019-25071(JP,A)
【文献】特開2004-141259(JP,A)
【文献】特開2003-70749(JP,A)
【文献】特開2016-190022(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0146622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D8/00-8/40
24/00-31/00
42/00-97/00
A61B5/00-5/01
5/06-5/22
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
プロセッサを備える情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記履歴データに基づいて、前記肌の血流が活性化状態であるか否かを判断し、
活性化状態であると判断した場合に、前記処方データを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記施術前後の血流変化を表す指標値は、前記第1の肌画像に基づいて算出された脈波振幅と前記第2の肌画像に基づいて算出された脈波振幅の変化を表す指標値であり、
前記プロセッサは、前記履歴データに基づいて前記施術前後の脈波振幅の変化を表す指標値が減少に転じたことを検出した場合に、前記処方データを生成する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記施術前後の血流変化を表す指標値は、前記第1の肌画像に基づいて算出された血液量と前記第2の肌画像に基づいて算出された血液量の変化を表す指標値であり、
前記プロセッサは、前記履歴データに基づいて前記施術前後の血液量の変化を表す指標値の変動幅が所定範囲内となったことを検出した場合に、前記処方データを生成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記肌を計測することにより得られた計測データに基づいて前記肌を診断し、前記肌の診断結果に基づいて、前記処方データを生成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処方データは、前記肌に塗布するスキンケア剤の処方データを含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記処方データに基づくスキンケア剤の調合及び/又は前記スキンケア剤の配送の指示情報を所定の宛先に送信する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて、施術前後の血流変化を表す指標値を算出する算出部と、
前記算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データを記憶する記憶部と、
前記履歴データを取得し、取得した前記履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する生成部と、
を備えるスキンケア処方システム。
【請求項9】
コンピュータが、
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
スキンケア処方方法。
【請求項10】
コンピュータに、
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、スキンケア処方システム、スキンケア処方方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の顔面皮膚を撮像した画像に基づいて血流情報を取得し、取得した血流情報に基づいて対象者の肌状態を評価するための肌指標値(肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色(a*、b*)、角層細胞面積等)を算出し、肌指標値に基づいてスキンケア手法やスキンケア品を提案する技術が知られている。また、スキンケア手法やスキンケア品の使用前後の肌指標値からそれらの効果情報を求める技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冬場の寒い時期や加齢による血管の変化などで肌の血流が滞っている状態の時には、スキンケア品を使用しても十分な肌改善効果が得られない。特許文献1に記載の技術では、スキンケア品による肌改善効果が十分に得られるタイミングであるか否かに拘わらずスキンケア品を提供しているため、提供されたスキンケア品を利用しても十分な肌改善効果が得られない場合があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケアのための処方を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の情報処理装置は、
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
プロセッサを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケアのための処方を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】スキンケア処方システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】
図1の情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2のCPUにより実行される肌改善処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】マッサージ前及びマッサージ後の肌画像データ中のRGB輝度値の時間変化を示すグラフである。
【
図6】
図5に記載のRGB輝度値の時間変化から、Gの輝度値のみ抽出するとともに、縦軸を拡大したグラフである。
【
図7】
図5に記載のGの輝度値の時間変化から、
図5に記載のRの輝度値の時間変化を減算するとともに、縦軸を拡大したグラフである。
【
図8】マッサージ前及びマッサージ後の脈波振幅の時間変化を示すグラフである。
【
図9】マッサージ前後のオフセット値の比率(マッサージ後のオフセット値/マッサージ前のオフセット値)の推移を表すグラフである。
【
図10】マッサージ前後のPA値の比率(マッサージ後のPA値/マッサージ前のPA値)の推移を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[スキンケア処方システム100の構成]
図1は、本発明に係るスキンケア処方システム100の全体構成例を示す図である。
図1に示すように、スキンケア処方システム100は、計測用センサー2が接続された情報処理装置1と、サーバー3と、自動製剤調合システム4と、がWAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。
なお、情報処理装置1の台数は複数台であってもよく、特に限定されない。
【0011】
情報処理装置1は、マッサージ等の血流を増進させるための施術の前に計測用センサー2により取得された肌画像データ(第1の肌画像)とその施術の後に計測用センサー2により取得された肌画像データ(第2の肌画像)に基づいて、施術前後の血流変化を表す指標値(血流変化指標)を求め、その指標値の履歴データに基づき血流活性化状態であると判断したタイミングで、スキンケアのための処方データを生成し出力する装置である。以下、施術とは、血流を増進させるための施術を指す。
情報処理装置1は、例えば、肌改善用の専用アプリケーションが搭載されたタブレット端末、スマートフォン、PC(Personal Computer)等により構成されていてもよいし、スマートミラー等の鏡を備えた美容専用の装置により構成されていてもよく、また、計測用センサー2と一体的に構成されていてもよく、その形態は特に限定されない。
【0012】
図2は、情報処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、操作部14、表示部15、撮像部16、音声出力部17、通信部18、I/F19等により構成され、各部はバスにより接続されている。
【0013】
CPU11は、記憶部13に格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAM12をワークエリアとして用いることにより、情報処理装置1の各部を集中制御するプロセッサである。例えば、CPU11は、記憶部13に記憶されている肌改善アプリケーション131(肌改善アプリ131と呼ぶ)との協働により後述する肌改善処理を実行し、算出部、生成部として機能する。
【0014】
RAM12は、CPU11により実行制御される上記各種処理において、プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等の一時的な格納領域を形成する。
【0015】
記憶部13は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、各種プログラム及びプログラムで使用されるデータ等を記憶する。
本実施形態において、記憶部13には、肌改善アプリ131が記憶されている。肌改善アプリ131は、CPU11が後述する肌改善処理を実行するためのプログラムである。肌改善アプリ131は、例えば、サーバー3からダウンロード可能である。
【0016】
操作部14は、ユーザーが各種の設定等を行う操作ボタンや、表示部15上のタッチパネル等により構成され、操作ボタンやタッチパネルの操作情報をCPU11に出力する。
【0017】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、CPU11から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0018】
撮像部16は、撮像レンズ、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等のイメージセンサ等からなる撮像素子、A/D変換回路等を備えて構成され、撮像レンズを通過した光学像を撮像素子により2次元の画像信号に変換し、画像データ(R(赤)、G(緑)、B(青)の輝度信号)を取得する。
【0019】
音声出力部17は、音声合成部、D/Aコンバータ、増幅器、スピーカ等を備え、CPU11の制御に従って、音声を合成したり出力したりする。
【0020】
通信部18は、通信ネットワークNを介して、例えばサーバー3や自動製剤調合システム4等の外部装置と通信を行うための通信制御を行う。
【0021】
I/F19は、計測用センサー2等の外部機器を接続し、データ通信を行うためのインターフェースである。なお、情報処理装置1と計測用センサー2は、無線通信によりデータ通信を行う構成としてもよい。
【0022】
計測用センサー2は、ユーザーの肌状態を計測する筒型のセンサーであり、撮像部21、照明部22、半導体センサー23、カバー24、制御部25、I/F26等を備えて構成される。
【0023】
撮像部21は、筒型のカバー24の先端方向に向けられた撮像レンズと、撮像素子と、A/D変換回路とを備えて構成され、撮像レンズを通過した光学像を撮像素子により2次元の画像信号に変換し、画像データ(R、G、Bの輝度信号)を取得する。
【0024】
照明部22は、例えばLED(Light Emitting Diode)及び調光回路等により構成され、撮像部21の視野に投光する。
【0025】
半導体センサー23は、静電容量式の半導体センサーであり、カバー24の先端部に設けられている。半導体センサー23は、例えば、二次元に配列された複数のコンデンサ素子を備え、計測対象(ユーザーの肌)に接触させたときの各コンデンサ素子の容量値を取得する。
【0026】
カバー24は、筒型であり、カバー24の内部に設けられた撮像部21及び照明部22を外部から隔離する。計測対象(ユーザーの肌)にカバー24の先端を当てた状態で照明部22により光を照射し、撮像部21により撮像することにより、カバー24内の明るさを一定に維持し、外乱の影響を抑制した状態で画像データ(肌画像データ)を取得することができる。
【0027】
制御部25は、計測用センサー2の各部の動作を集中制御する。
例えば、制御部25は、情報処理装置1からの制御に基づいて照明部22により光を照射させて撮像部21に撮像を行わせ、得られた画像データをI/F26を介して情報処理装置1に出力する。また、制御部25は、情報処理装置1からの制御に基づいて半導体センサー23に計測を行わせ、得られた各コンデンサ素子の容量値から計測対象の油分量及び水分量を計測し、油分量及び水分量のデータをI/F26を介して情報処理装置1に出力する。半導体センサー23により得られた各コンデンサ素子の容量値から計測対象の油分量及び水分量を計測する手法としては、例えば、特開2004-141259号公報に記載された手法等を用いることができる。
【0028】
なお、計測用センサー2の構成については、上述したものに限定されず、例えば、油分量は光学式センサーにより取得する構成としてもよい。
【0029】
サーバー3は、記憶部30や、CPU、RAM、記憶部、操作部、表示部、通信部等を備えて構成される。サーバー3の記憶部30には、ユーザーDB(Data Base)31、肌計測結果DB32、血流変化履歴DB33、処方DB34等が設けられており、サーバー3は、情報処理装置1から送信された肌計測データ、血流変化指標の履歴データ、及び処方データをユーザーIDに対応付けて記憶(保存)する。
【0030】
ユーザーDB31は、スキンケア処方システム100を利用するユーザーのユーザー情報(ユーザーID、認証情報、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス等)を記憶する。なお、認証情報としては、パスワード、顔情報、指紋情報等の生体情報等、いずれを用いてもよいが、本実施形態では、パスワードを用いることとして説明する。
肌計測結果DB32は、ユーザーの肌計測データをユーザーID及び取得日時に対応付けて記憶する。
血流変化履歴DB33は、ユーザーの肌の施術前後の血流変化を表す指標値であるオフセット値及びPA値(詳細後述)の履歴データをユーザーID及び取得日時に対応付けて記憶する。
処方DB34は、ユーザーに対するスキンケア剤の処方データをユーザーID及び処方日時に対応付けて記憶する。
また、サーバー3の記憶部には、肌改善アプリ131が記憶されており、サーバー3は、情報処理装置1からの要求に応じて肌改善アプリ131を送信する。
【0031】
自動製剤調合システム4は、図示しない制御装置、自動製剤調合装置等を備える。自動製剤調合システム4の制御装置は、情報処理装置1から処方データ及びスキンケア剤の配送先の情報を受信し、受信した処方データに基づくスキンケア剤の調合を自動製剤調合装置に実行させるとともに、調合されたスキンケア剤の配送を手配及び管理する。自動製剤調合装置は、制御装置から入力された処方データに基づいてスキンケア剤の調合を自動で行う。
【0032】
[スキンケア処方システム100の動作]
次に、スキンケア処方システム100の動作について説明する。
図3は、情報処理装置1により実行される肌改善処理の流れを示すフローチャートである。肌改善処理は、操作部14により肌改善アプリ131が起動され、肌改善処理の実行が指示された際に、CPU11と記憶部13に記憶された肌改善アプリ131との協働により実行される。
【0033】
まず、CPU11は、ユーザー認証を行う(ステップS1)。
例えば、CPU11は、表示部15にログイン画面を表示させ、操作部14によりログイン画面から入力されたユーザーID及びパスワードをサーバー3に送信する。サーバー3は、受信したユーザーID及びパスワードをユーザーDB31のユーザー情報と照合し、一致した場合に、認証OKを情報処理装置1に通知する。一致しない場合は、認証NGを情報処理装置1に通知する。
【0034】
次いで、CPU11は、サーバー3からの通知に基づいて認証OKか否かを判断する(ステップS2)。
認証NGである場合(ステップS2;NO)、CPU11は、新規登録の受け付け及びユーザーIDの発行を行い(ステップS3)、ステップS1に戻る。
ステップS3において、CPU11は、例えば、表示部15に新規登録画面を表示させ、操作部14によりユーザー情報の入力を受け付ける。新規登録画面からユーザー情報が入力されると、CPU11は、入力されたユーザー情報を通信部18によりサーバー3に送信し、新規登録要求を行う。サーバー3は、情報処理装置1からユーザー情報の新規登録要求を受信すると、ユーザーIDを発行し、情報処理装置1に通知するとともに、発行したユーザーIDに受信したユーザー情報を対応付けてユーザーDB31に保存する。CPU11は、ユーザーIDを受信すると、登録完了通知及びユーザーIDを表示部15に表示させる。
【0035】
認証OKである場合(ステップS2;YES)、CPU11は、認証されたユーザーIDに対応するユーザー情報、初回の肌計測データ及び血流変化指標の履歴データ(データがある場合)をサーバー3から取得し(ステップS4)、ステップS5に移行する。
【0036】
ステップS5において、CPU11は、初回の肌計測済みであるか否かを判断する(ステップS5)。例えば、サーバー3から初回の肌計測データが取得できた場合に、初回の肌計測済みであると判断する。
【0037】
初回の肌計測済みであると判断した場合(ステップS5;YES)、CPU11は、ステップS7に移行する。
初回の肌計測済みではないと判断した場合(ステップS5;NO)、CPU11は、計測用センサー2を用いて初回の肌計測を行い、得られた初回の肌計測データをRAM12に記憶するとともに、通信部18により初回の肌計測データをユーザーIDに対応付けてサーバー3に送信し(ステップS6)、ステップS7に移行する。
【0038】
ステップS6において、例えば、CPU11は、「肌計測を行います。計測用センサー2をここに当ててください」等のメッセージ及び顔の所定部分(例えば、ほおや目の下等)を指し示す画像等を表示部15や音声出力部17等を用いて出力し、ユーザーに計測用センサー2のカバー24の先端を顔の所定部分に当てさせて、計測用センサー2から肌画像データ、水分量及び油分量のデータを取得する。そして、CPU11は、取得した肌画像データと水分量及び油分量のデータから、予め定められた肌診断項目の計測値(ここでは、目の下のクマの色濃度、毛穴の数、油分量、水分量、しわの数、シミの数、肌の色合い度数)を取得し、取得した計測値を初回の肌計測データとする。目の下のクマの色濃度、毛穴の数、しわの数、シミの数、肌の色合い度数は、肌画像データを解析することにより取得する。肌画像データを解析して毛穴の数、しわの数、シミの数を取得する手法としては、例えば、特開2007-152084号公報に記載された手法等を用いることができ、目の下のクマの色濃度や肌の色合い度数については、例えば、肌画像データのRGB輝度値(ここでは、例えば、後述する換算輝度とする)をL* a* b* 表色系に変換して明度指数L* 値を用いる手法等を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0039】
ステップS7において、CPU11は、施術前の血流計測を実施する(ステップS7)。
ステップS7において、例えば、CPU11は、「施術前の血流計測を行います。計測用センサー2をここに当ててしばらくお待ちください。」等のメッセージ及び顔の所定部分(例えば、ほおや目の下等)を指し示す画像等を表示部15や音声出力部17等を用いて出力し、ユーザーに計測用センサー2のカバー24の先端を顔の所定部分に当てさせて、肌画像データ(第1の肌画像。例えば、所定時間(例えば、60秒間)の動画データ。)を取得する。肌画像データの取得が終了すると、CPU11は、「計測が終了しました。」等のメッセージを表示部15や音声出力部17により出力する。そして、CPU11は、肌画像データを解析し、施術前における肌の血流を表す指標値として、肌の血液量を表すオフセット値及び肌の脈波振幅を表すPA(Pulse Amplitude)値を算出する。
【0040】
オフセット値は、取得された肌画像データ(動画データ)における各フレーム画像のGの輝度値(全画素のGの輝度値(換算輝度)の代表値)からRの輝度値(全画素のRの輝度値(換算輝度)の代表値)を引いた値の代表値である。
PA値は、取得された肌画像データ(動画データ)におけるGの輝度値(全画素のGの輝度値(換算輝度)の代表値)の時間変化を表す波形の振幅の代表値である。
【0041】
ここで、緑(G)の波長は一般的に495-570nmといわれており、ヘモグロビンは500~600nmの辺りで吸収係数が高くなっている。皮膚表面の血液の量が多くなるほどヘモグロビン量が増加するため、より多くの緑色の光がヘモグロビンによって吸収される。そのため、ユーザーの肌の血流がよく血液量が多いほど、Gの輝度値は低下することになる。
本実施形態では、血流の上昇を感覚的に把握し易くするため、血液量が上昇すると輝度値が高くなるような換算処理を行う。より具体的には、RGB各色8ビットの出力のイメージセンサを用いて輝度値を検出する場合、輝度値の最大値255から検出した輝度値を減算した数値を「換算輝度」として、換算輝度を輝度値として用いる。以下、輝度値とは、この換算輝度を指す。
【0042】
このように、Gの輝度値は、肌の血液量を表す値であるが、Gの輝度値からRの輝度値を減算すると、外光や手振れ等のノイズを抑制することができる。そこで、本実施形態では、血流を表す指標値の一つとして、肌画像データにおける各フレーム画像ごとにGの輝度値からRの輝度値を引いた値の代表値であるオフセット値を用いる。
【0043】
また、血液量を表すGの輝度値の時間変化は、
図4に示すように波形となっており、この波形の一つ一つは脈波を表している。そして、その一つ一つの振幅である脈波振幅(脈波信号の隣合う最大値と最小値の差PA)は、血液を送り出す(血流を促す)拍動の強さを表している。そこで、本実施形態では、血流を表す指標値の一つとして、肌画像データにおけるGの輝度値の時間変化を表す波形の振幅(脈波振幅)の代表値であるPA値を用いる。なお、一つ一つの波形の振幅において予め設定される閾値を超えた異常値が検出された場合等は、異常値を外して代表値を算出することとしてもよい。
【0044】
代表値としては、平均値、中央値、最頻値、最大値、最小値等を用いることができるが、本実施形態では、平均値として説明する。
【0045】
次いで、CPU11は、肌の血流を増進させるための施術のガイドを表示部15に表示させ、ユーザーに施術を実施させる(ステップS8)。
例えば、CPU11は、肌の血流を増進させるための施術のガイドとして、表示部15にマッサージ方法を示す顔のアニメーションを表示したり、顔画像にマッサージをする部位、方向などを表す矢印などを順次表示したりする。併せてマッサージ手法の音声ガイドを音声出力部17により出力しても良い。
ここで、肌の血流を増進させるための施術としては、例えば、マッサージが挙げられるが、血流増進クリームの塗布、物理療法、リラクゼーション、表情筋トレーニング等のその他の施術を用いてもよい。
【0046】
次いで、CPU11は、操作部14により施術が終了した旨が入力されたか否かを判断する(ステップS9)。
施術が終了した旨が入力されたと判断した場合(ステップS9;YES)、CPU11は、施術後の血流計測を実施する(ステップS10)。
ステップS10の処理は、出力するメッセージが「施術後」になる他は、ステップS7で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0047】
次いで、CPU11は、施術前後の血流変化を表す指標値を算出する(ステップS11)。
【0048】
図5は、施術としてのマッサージ前及びマッサージ後の肌画像データ中のRGB輝度値の時間変化を示す。
より詳細には、
図5(A)は、例として、10月3日における、マッサージ前のRGB輝度値の時間変化を示す。また、
図5(B)は、同日である10月3日における、マッサージ後のRGB輝度値の時間変化を示す。また、
図5(C)は、
図5(A)及び
図5(B)の時点から約2か月後である11月28日における、マッサージ前のRGB輝度値の時間変化を示す。また、
図5(D)は、同日である11月28日における、マッサージ後のRGB輝度値の時間変化を示す。
なお、グラフ中のRGB輝度値は、肌画像データにおける全画素のRGB信号の輝度の平均値の時間変化を示している。
【0049】
また、
図6は、
図5に示すRGB輝度値の時間変化から、Gの輝度値のみ抽出するとともに、縦軸を拡大したものである。
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)、及び
図6(D)の各々が、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、及び
図5(D)に対応する。
【0050】
また、
図7は、外乱の影響を抑制するため、
図5に示すGの輝度値の時間変化から、
図5に示すRの輝度値の時間変化を減算するとともに、縦軸を拡大したものである。
図7に示すG-Rの輝度値の時間変化の平均値が、上述のオフセット値である。
図7(A)、
図7(B)、
図7(C)、及び
図7(D)の各々が、
図5(A)と
図6(A)、
図5(B)と
図6(B)、
図5(C)と
図6(C)、及び
図5(D)と
図6(D)に対応する。
【0051】
図8は、施術としてのマッサージ前及びマッサージ後の脈波振幅の時間変化を示す。
図8に示す脈波振幅は、
図6に示すGの輝度値の時間変化の波形の振幅である。
図8に示す時間変化の平均値が、上述のPA値である。より詳細には、
図8(A)は
図6(A)に対応し、
図8(B)は
図6(B)に対応し、
図8(C)は
図6(C)に対応し、
図8(D)は
図6(D)に対応する。
【0052】
ステップS11では、例えば、
図7(B)、(D)に示すマッサージ後のG-R輝度値の時間変化の平均値であるオフセット値を、それぞれ
図7(A)、(C)に示すマッサージ前のG-R輝度値の時間変化の平均値であるオフセット値で割った比率、及び/又は
図8(B)、(D)に示す脈波振幅の時間変化の平均値であるPA値を、それぞれ
図8(A)、(C)に示す脈波振幅の時間変化の平均値であるPA値で割った比率を、施術前後の血流変化を示す指標値として算出する。
なお、施術前後の血流変化を表す指標値としては、施術前後のオフセット値やPA値の変化を表す指標値であれば、比率に限らず、例えば変化率等を用いてもよい。
【0053】
施術前後の血流変化を表す指標値を算出すると、CPU11は、施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データ(今回算出した指標値を含む)を取得し、施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、肌の血流が活性化状態であるか否か(=血流の活性化が維持された状態であるか否か)を判断する(ステップS12)。
【0054】
肌の血流が滞っていると、肌にとって必要な酸素や栄養素が十分に行き渡らなくなり、肌のターンオーバーが乱れる(遅くなる)。そうすると、通常28日ではがれ落ちていくはずの死んだ角質細胞が肌に居座り続けて厚くなり、スキンケア剤の成分が肌の奥まで成分が行き届かず、十分な肌改善効果が得られない。
そこで、本実施形態では、肌が活性化状態であるか否かを判断し、肌が活性化状態であると判断したタイミングでスキンケア剤を処方、配送することで、スキンケア剤による十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケア剤を提供できるようにする。
【0055】
図9は、長期にわたってマッサージを継続した場合のマッサージ前後のオフセット値の比率(マッサージ後のオフセット値/マッサージ前のオフセット値)の推移を表すグラフ(施術前後のオフセット値の比率の履歴データをグラフ化したもの)である。
【0056】
図9に示すように、マッサージを始めた当初は、マッサージ前のオフセット値に対するマッサージ後のオフセット値の比率は高い(マッサージ後のオフセット値の方がマッサージ前よりも大きい)が、マッサージを始めてから日が経つに従いマッサージ前のオフセット値に対するマッサージ後のオフセット値の比率は徐々に下がっていき、最終的には、マッサージ前後のオフセット値の比率の変化はなくなり、ほぼ一定となっている。
これは、マッサージを始めたばかりのころは、マッサージを行うことにより血流が改善するためマッサージ後の血液量の増加が大きいが、マッサージを継続的に行っていくことで、マッサージ前でも血流が活性化した状態が維持されるようになっていくため、血液量の変化が落ち着いてくるためである。
そこで、CPU11は、例えば、施術前後のオフセット値の比率の履歴データに基づいて、施術前後のオフセット値の比率がほぼ一定となったか否か(例えば、前回との変動幅が所定の閾値以内となったか否か)を判断し、ほぼ一定となったと判断した場合に、血流が活性化した状態であると判断する。例えば、
図9に示すグラフの矢印で示す時点以降は、血流が活性化した状態であると判断する。
【0057】
図10は、長期にわたってマッサージを継続した場合のマッサージ前後のPA値の比率(マッサージ後のPA値/マッサージ前のPA値)の推移を表すグラフ(施術前後のPA値の比率の履歴データをグラフ化したもの)である。
【0058】
図10に示すように、PA値については、マッサージを始めた当初は、マッサージを始めてから日が経つに従いマッサージ前のPA値に対するマッサージ後のPA値の比率が上昇しているが、そのうちピークに達し、その後は、徐々に減少して100%前後で推移している(すなわち、マッサージ前後のPA値の変化が小さくなっている)。
これは、マッサージを始めたばかりのころは、毛細血管がマッサージによる外圧で拡張するため、マッサージ後に脈動による血流が増えるが、さらにマッサージを継続的に実施することで拡張が維持されるため、マッサージ前後の変化は減少していくためである。
そこで、CPU11は、例えば、施術前後のPA値の比率の履歴データに基づいて、施術前後のPA値の比率が減少に転じたか否かを判断し、減少に転じたと判断した場合に、血流が活性化した状態であると判断する。例えば、
図10においては、矢印で示す時点以降は、血流が活性化した状態であると判断する。
【0059】
なお、ステップS12においては、施術前後のオフセット値の比率とPA値の比率の双方の履歴データに基づいて血流が活性化した状態であるか否かを判断することとしてもよいし、施術前後のオフセット値の比率とPA値の比率のいずれか一方の履歴データに基づいて、血流が活性化した状態であるか否かを判断することとしてもよい。例えば、最初から血流状態のよい人は、施術前後のオフセット値の比率は変化しないため、このような場合は、PA値の比率の履歴データのみを用いて血流が活性化した状態であるか否かを判断することが好ましい。
【0060】
血流が活性化した状態ではないと判断した場合(ステップS13;NO)、CPU11は、所定時間経過後(例えば、24時間経過後)に、再度肌改善アプリを立ち上げて施術を行うようユーザーに促すメッセージを表示部15又は音声出力部17により出力し(ステップS23)、肌改善処理を終了する。
【0061】
血流が活性化した状態であると判断した場合(ステップS13;YES)、CPU11は、計測用センサー2を用いて肌計測を行い、肌計測データを取得する(ステップS14)。
ステップS14においては、ステップS6と同様の処理を行って(データ送信は不要)、ステップS6で取得した肌診断項目と同様の項目の肌計測データを取得する。
【0062】
次いで、CPU11は、初回の肌計測データとステップS14で取得した肌計測データを比較し(ステップS15)、改善していない肌診断項目があるか否かを判断する(ステップS16)。
ここで、初回の肌計測データにおける各肌診断項目の計測値を初期値、ステップS14で取得した各肌診断項目の計測値を計測値aとすると、例えば、下記に該当する場合、改善していない肌診断項目と判断する。
・目のクマの色濃度 計測値a>初期値
・毛穴の数 計測値a>初期値
・油分量 計測値a<初期値
・水分量 計測値a<初期値
・しわの数 計測値a>初期値
・シミの数 計測値a>初期値
・肌の色合い度数 計測値a>初期値
【0063】
改善していない肌診断項目があると判断した場合(ステップS16;YES)、CPU11は、改善がなかった項目を改善するためのスキンケア剤の処方データを生成する(ステップS17)。
例えば、肌診断項目ごとに、処方するスキンケア剤の成分及び量(例えば、計測値aに応じた量)を記憶したテーブルを記憶部13に記憶しておき、CPU11は、改善していない肌改善項目とテーブルに基づいて、スキンケア剤の処方データを生成する。
例えば、目のクマの色濃度が改善していなかった場合、血流促進効果のあるスキンケア剤を処方する。毛穴の数が改善していなかった場合、洗顔料を処方する。油分量及び/又は水分量が改善していなかった場合、保湿作用のある成分のスキンケア剤(グリセリン、プロピレングリコール等)を処方する。しわの数、及び/又はシミの数が改善していなかった場合、紫外線防御作用のある成分のスキンケア剤(ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、ウロカニン酸等)を処方する。肌の色合い度数が改善していなかった場合、美白作用のある成分のスキンケア剤(例えば、ハイドロキノン、ビタミンC誘導体、コウジ酸、アルブチン等)を処方する。毛穴の数を除く複数の項目が改善していない場合には、該当する複数の項目に応じた成分を混ぜたスキンケア剤を調合して一つのスキンケア剤を生成することを処方することとしてもよい。
【0064】
なお、CPU11は、ステップS15において、計測値aを初回の計測値と比較するのではなく、例えば、予め定められた閾値(例えば、ユーザー(ログインユーザー)と同年齢の計測値の平均値や、初回の肌計測データから機械学習等によりユーザー群を複数の類似する肌質のグループに分類し、ユーザーが分類されたグループの計測値の平均値等)と比較して、各肌診断項目が改善しているか否かを判断することとしてもよい。または、計測値aを前回の肌計測データの計測値と比較することとしてもよい。
【0065】
次いで、CPU11は、通信部18により、取得した血流変化指標データ、肌計測データ及び処方データをユーザーIDに対応付けてサーバー3に転送する(ステップS18)。
サーバー3は、受信した肌計測データを肌計測DB32に、血流変化指標データを血流変化履歴DB33に、処方データを処方DB34に保存する。
【0066】
転送が終了すると(ステップS19;YES)、CPU11は、生成した処方データ及びスキンケア剤の配送先の情報(例えば、ユーザー情報に含まれる氏名、住所等)を通信部18により自動製剤調合システム4に送信(出力)し、生成された処方データに基づくスキンケア剤の調合及び配送先への配送を指示する(ステップS20)。
【0067】
ここで、自動製剤調合システム4の制御装置は、情報処理装置1から処方データ及び配送先の情報を受信すると、処方データを自動製剤調合装置に出力し、処方データに基づくスキンケア剤の調合を行わせる。また、配送先の情報に基づいて、生成されたスキンケア剤の配送を手配し、配送手配が完了すると、その旨を情報処理装置1に通知する。
【0068】
通信部18により自動製剤調合システム4からのスキンケア剤の調合及び配送手配の完了通知を受信すると(ステップS21;YES)、CPU11は、スキンケア剤の調合及び配送手配完了をユーザーに通知し(ステップS22)、肌改善処理を終了する。
ステップS22において、CPU11は、例えば、情報処理装置1の表示部15に、スキンケア剤の配送手配完了通知を表示させる。あるいは、ユーザーのメールアドレス等にスキンケア剤の配送手配完了通知を送信することとしてもよい。
【0069】
以上説明したように、情報処理装置1のCPU11は、血流を増進させるための施術前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と、その施術後に肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された、施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データを取得し、取得した履歴データに基づいて、スキンケアのための処方データを生成し出力する。
したがって、血流を増進させるための施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケアのための処方を行うことが可能となる。
【0070】
例えば、CPU11は、施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、肌の血流が活性化状態であるか否かを判断し、活性化状態であると判断した場合に、スキンケアのための処方データを生成し出力する。
したがって、肌の血流が活性化状態であり、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケアのための処方を行うことが可能となる。
【0071】
例えば、CPU11は、施術前後の血流変化を表す指標値として、施術前後の脈波振幅の変化を表す指標値を算出し、その履歴データに基づいてこの指標値が減少に転じたことを検出した場合に、処方データを生成し出力する。
したがって、肌の血流が活性化状態であり、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケアのための処方を行うことが可能となる。
【0072】
また、例えば、CPU11は、施術前後の血流変化を表す指標値として、施術前後の血液量の変化を表す指標値を算出し、その履歴データに基づいて施術前後の血液量の変化を表す指標値の変動幅が所定範囲内となったことを検出した場合に、処方データを生成し出力する。
したがって、肌の血流が活性化状態であり、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケアのための処方を行うことが可能となる。
【0073】
また、例えば、CPU11は、肌を計測することにより得られた肌計測データに基づいて肌を診断し、診断結果に基づいて、処方データを生成し出力する。
したがって、肌診断結果に基づく最適な処方データを生成し出力することができる。
【0074】
また、処方データは、肌に塗布するスキンケア剤の処方データを含むので、十分な肌改善効果が得られるタイミングでスキンケア剤を処方することができる。
【0075】
また、CPU11は、処方データに基づくスキンケア剤の調合及びスキンケア剤の配送の指示情報を、自動製剤調合システム4等の所定の宛先に送信する。したがって、処方されたスキンケア剤が調合、配送されるように指示することができる。
【0076】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明に係る情報処理装置、スキンケア処方システム、スキンケア処方方法及びプログラムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において情報処理装置1のCPU11が実施した肌改善処理の一部又は全部の処理は、例えばサーバー3のCPU等の他のプロセッサで実行することとしてもよい。すなわち、サーバー3のCPU等の他のプロセッサが情報処理装置1の一部又は全部の機能(例えば、算出部、生成部としての機能)を備える構成としてもよい。
一例として、計測用センサー2で取得された肌画像データ及び水分量と油分量のデータをサーバー3に送信し、サーバー3で肌診断項目の計測値を算出したり、計測用センサー2で取得された施術前後の肌画像データをサーバー3に送信し、サーバー3で血流変化を表す指標値を算出したり、施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データから血流活性化状態を判断して処方データを生成したりすることとしてもよい。
また、例えば、スキンケア処方システム100におけるサーバー3が有する機能や各種データベースを情報処理装置1に備える構成としてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、計測用センサー2を用いて肌画像データを撮像することとして説明したが、情報処理装置1に備えらえている撮像部16を用いて肌画像データを取得することとしてもよい。また、計測用センサー2を用いるのであれば、情報処理装置1に撮像部16を備えていなくてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて肌診断項目に応じたスキンケア剤の処方データを生成することとしたが、スキンケアのためのマッサージ手法や実施すべき物理療法の処方データであってもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、施術前後の血流変化を表す指標値を算出するための輝度値として換算輝度を用いた例について説明したが、これに限定されず、換算処理を行うことなく検出した輝度値を用いて処理を行うこととしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、自動製剤調合装置が処方データに基づいて自動的にスキンケア剤を調合することとしたが、人が処方データに基づいてスキンケア剤を調合することとしてもよい。
また、上記実施形態では、処方データに基づくスキンケア剤の調合及び配送の指示を自動製剤調合システム4宛に送信することとして説明したが、調合指示と配送指示の送信先は異なっていてもよい。また、調合のみの指示情報又は配送のみの指示情報を所定の宛先に送信することとしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、ハードディスク、SSDや、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0082】
その他、スキンケア処方システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0083】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載に基づいて定められる。更に、特許請求の範囲の記載から本発明の本質とは関係のない変更を加えた均等な範囲も本発明の技術的範囲に含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
プロセッサを備える情報処理装置。
<請求項2>
前記プロセッサは、
前記履歴データに基づいて、前記肌の血流が活性化状態であるか否かを判断し、
活性化状態であると判断した場合に、前記処方データを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項3>
前記施術前後の血流変化を表す指標値は、前記第1の肌画像に基づいて算出された脈波振幅と前記第2の肌画像に基づいて算出された脈波振幅の変化を表す指標値であり、
前記プロセッサは、前記履歴データに基づいて前記施術前後の脈波振幅の変化を表す指標値が減少に転じたことを検出した場合に、前記処方データを生成する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
<請求項4>
前記施術前後の血流変化を表す指標値は、前記第1の肌画像に基づいて算出された血液量と前記第2の肌画像に基づいて算出された血液量の変化を表す指標値であり、
前記プロセッサは、前記履歴データに基づいて前記施術前後の血液量の変化を表す指標値の変動幅が所定範囲内となったことを検出した場合に、前記処方データを生成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項5>
前記プロセッサは、前記肌を計測することにより得られた計測データに基づいて前記肌を診断し、前記肌の診断結果に基づいて、前記処方データを生成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項6>
前記処方データは、前記肌に塗布するスキンケア剤の処方データを含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項7>
前記プロセッサは、前記処方データに基づくスキンケア剤の調合及び/又は前記スキンケア剤の配送の指示情報を所定の宛先に送信する、
請求項6に記載の情報処理装置。
<請求項8>
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて、施術前後の血流変化を表す指標値を算出する算出部と、
前記算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データを記憶する記憶部と、
前記履歴データを取得し、取得した前記履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する生成部と、
を備えるスキンケア処方システム。
<請求項9>
コンピュータが、
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
スキンケア処方方法。
<請求項10>
コンピュータに、
血流を増進させるための施術の前に肌を撮像することにより得られた第1の肌画像と前記施術の後に前記肌を撮像することにより得られた第2の肌画像とに基づいて算出された施術前後の血流変化を表す指標値の履歴データに基づいて、前記肌のスキンケアのための処方データを生成する、
処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0084】
100 スキンケア処方システム
1 情報処理装置
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
131 肌改善アプリ
14 操作部
15 表示部
16 撮像部
17 音声出力部
18 通信部
19 I/F
2 計測用センサー
21 撮像部
22 照明部
23 半導体センサー
24 カバー
25 制御部
26 I/F
3 サーバー
31 ユーザーDB
32 肌計測結果DB
33 血流変化履歴DB
34 処方DB
4 自動製剤調合システム