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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】二流体ノズル噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/12 20060101AFI20230829BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20230829BHJP
   B05B 12/02 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B05B7/12
B05B7/04
B05B12/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022556711
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2020038588
(87)【国際公開番号】W WO2022079787
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森園 寧
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176975(JP,A)
【文献】特開2004-237188(JP,A)
【文献】特開昭63-12363(JP,A)
【文献】特開2014-66458(JP,A)
【文献】特開2007-139403(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179474(WO,A1)
【文献】特開平8-131914(JP,A)
【文献】実開昭61-67861(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05D 1/00-7/26
F24F 6/00-6/18、11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体供給系内で所定の圧力の圧縮気体を出力する気体用レギュレータと、
加圧液体供給系内で予め定められた圧力を超えた加圧液体を液体供給側へ帰還させるリリーフ弁、及びダイヤフラムポンプを備え、加圧液体を出力する容積式ポンプと、
前記容積式ポンプが出力する加圧液体を所定値の吐出圧に保って出力する液体用レギュレータ又はニードル弁と、
前記気体用レギュレータが出力する圧縮気体と、前記液体用レギュレータ又は前記ニードル弁が出力する加圧液体とを混合させて噴霧する二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに向けて圧縮気体又は加圧液体を供給する弾性を備えた配管
を有することを特徴とする二流体ノズル噴霧装置。
【請求項2】
前記二流体ノズルは、
前記液体用レギュレータ又は前記ニードル弁が出力する加圧液体に対し、前記気体用レギュレータが出力する圧縮気体の圧力を反液流方向に伝えつつ、圧縮気体と加圧液体とを内部混合させて噴霧すること
を特徴とする請求項1に記載の二流体ノズル噴霧装置。
【請求項3】
前記二流体ノズルに対する加圧液体の供給と遮断とを切替えることにより、前記二流体ノズルの噴霧量を時間比例制御する制御部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の二流体ノズル噴霧装置。
【請求項4】
前記二流体ノズルの噴霧を停止させる場合に、前記二流体ノズルに対して加圧液体を遮断し、前記気体用レギュレータよりも低圧の圧縮気体を供給するように制御する制御部
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の二流体ノズル噴霧装置。
【請求項5】
前記制御部は、
圧縮気体の圧力、加圧液体の圧力、及び前記ニードル弁の開度の少なくともいずれかを制御することにより、前記二流体ノズルの噴霧特性を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の二流体ノズル噴霧装置。
【請求項6】
前記二流体ノズルの噴霧を停止させた場合に、前記二流体ノズルからの気圧又は揚程差により、前記液体用レギュレータ又は前記ニードル弁が出力した加圧液体を加圧液体供給系から排出する排出弁
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の二流体ノズル噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二流体ノズル噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、圧縮した気体の高速な流れを利用して、水などの液体と気体とを混合させることにより、液体を粉砕させた微粒子を噴霧する二流体ノズル噴霧装置が知られている。
【0003】
また、圧縮気体と加圧液体とを混合させて噴霧する二流体ノズルのノズル特性を予め測定し、二流体ノズルに与える気体の圧力若しくは流量及び液体の圧力若しくは流量を制御する制御装置を備えた二流体噴霧システムは公知である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
なお、出願人は、本発明に関連するものとして、上記の文献を含めて、以下に記載する文献を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-176975号公報
【文献】特開2013-096648号公報
【文献】特開2019-209233号公報
【文献】特許5898581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二流体ノズルの噴霧量や、噴霧する微粒子の粒子径を精度よく調整するためには、大型の装置や複雑な構成が必要となっていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で噴霧を高精度に調整することができる二流体ノズル噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる二流体ノズル噴霧装置は、圧縮気体供給系内で所定の圧力の圧縮気体を出力する気体用レギュレータと、加圧液体供給系内で予め定められた圧力を超えた加圧液体を液体供給側へ帰還させるリリーフ弁を備え、加圧液体を出力する容積式ポンプと、前記容積式ポンプが出力する加圧液体を所定値の吐出圧に保って出力する液体用レギュレータ又はニードル弁と、前記気体用レギュレータが出力する圧縮気体と、前記液体用レギュレータ又は前記ニードル弁が出力する加圧液体とを混合させて噴霧する二流体ノズルとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で噴霧を高精度に調整することができる二流体ノズル噴霧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態にかかる二流体ノズル噴霧装置の構成例を示す図である。
図2】二流体ノズル噴霧装置の第1変形例の構成例を示す図である。
図3】二流体ノズル噴霧装置の第2変形例の構成例を示す図である。
図4】二流体ノズル噴霧装置の第3変形例の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を用いて二流体ノズル噴霧装置の第1の実施形態を説明する。図1は、一実施形態にかかる二流体ノズル噴霧装置1の構成例を示す図である。
【0012】
例えば、二流体ノズル噴霧装置1は、噴霧装置本体2と、二流体ノズル4とを有し、圧縮した気体の高速な流れを利用して、水などの液体と気体とを混合させることにより、液体を粉砕させた微粒子を噴霧する機能を備えている。
【0013】
噴霧装置本体2は、気体供給口20側から気体吐出口21側に向けて流体である圧縮気体を流し、二流体ノズル4に対して圧縮気体を供給する圧縮気体供給系22を有する。また、噴霧装置本体2は、液体供給口23側から液体吐出口24側に向けて流体である加圧液体を流し、二流体ノズル4に対して加圧液体を供給する加圧液体供給系25を有する。
【0014】
気体供給口20は、配管10を介してコンプレッサ6が接続されている。気体吐出口21は、配管11を介して二流体ノズル4に接続されている。液体供給口23は、配管12を介して液体タンク8に接続されている。液体吐出口24は、配管13を介して二流体ノズル4に接続されている。
【0015】
また、噴霧装置本体2には、二流体ノズル4の噴霧を停止させた場合に、加圧液体供給系25に残留する液体の一部を排出させるための排出口26が設けられている。排出口26は、配管14を介して加圧液体供給系25に残留する液体の一部を外部へ排出させる。
【0016】
なお、配管10~14は、例えば一部又は全部が弾性を有する部材によって形成されている。また、圧縮気体供給系22及び加圧液体供給系25をそれぞれ形成する配管も、例えば一部又は全部が弾性を有する部材によって形成されている。したがって、流体に脈動が生じていても、弾性を有する配管によって脈動の影響を抑えることができる。
【0017】
また、噴霧装置本体2は、例えば内部に制御部27を有する。制御部27は、CPU28及びメモリ29を有し、コンピュータとしての機能を備えて、噴霧装置本体2を構成する各制御対象を制御する。なお、制御部27が制御を行う具体的な制御対象については後述する。
【0018】
二流体ノズル4は、噴霧装置本体2の加圧液体供給系25から供給される加圧液体に対し、噴霧装置本体2の圧縮気体供給系22から供給される圧縮気体の圧力を反液流方向に伝えつつ、圧縮気体と加圧液体とを内部混合させて噴霧する。
【0019】
例えば、二流体ノズル4は、噴霧口に向けて中心部を流れる加圧液体に対し、対向して交差する2方向から圧縮気体を当てることにより、流出する液体柱を2つの気体柱で挟むようにして粉砕し、粉砕させた液体の微粒子を外部へ噴霧するように構成されている逆圧二流体ノズルである。
【0020】
したがって、二流体ノズル4には、少ない圧縮気体量で液体の微粒子を外部へ噴霧させることができるという特徴がある。
【0021】
コンプレッサ6は、例えば空気などの気体を圧縮し、配管10を介して圧縮気体を噴霧装置本体2へ供給する。液体タンク8は、例えば内部に収容している水などの液体を、配管12を介して噴霧装置本体2へ供給する。なお、排出口26に接続された配管14は、排出口26から排出された液体を液体タンク8へ戻すように設けられてもよい。
【0022】
次に、噴霧装置本体2が有する圧縮気体供給系22及び加圧液体供給系25の具体的な構成例について説明する。
【0023】
圧縮気体供給系22は、気体供給口20から気体吐出口21までの圧縮気体流路に気体用レギュレータ30、電磁弁31、圧力計32、低圧レギュレータ33、電磁弁34、及び圧力計35を有する。
【0024】
気体用レギュレータ30は、圧縮気体供給系22内で気体供給口20から供給された気体を所定の一定圧力の圧縮気体として、電磁弁31を介して気体吐出口21側へ出力する。
【0025】
電磁弁31は、制御部27の制御に応じてオン又はオフすることにより、気体用レギュレータ30が出力した圧縮気体を気体吐出口21に対して供給又は遮断する。
【0026】
圧力計32は、例えば気体用レギュレータ30と電磁弁31との間で圧縮気体の圧力を検出し、検出結果を制御部27に対して出力する。圧力計32は、電磁弁31と気体吐出口21との間の配管の圧力を検出するように配置されてもよい。なお、圧力計32は、噴霧装置本体2に対する所定の気体用レギュレータ30の設定が終了した後には、取り外されてもよい。
【0027】
低圧レギュレータ33は、圧縮気体供給系22内で気体用レギュレータ30に対して並列に設けられ、気体供給口20から供給された気体を気体用レギュレータ30よりも低い所定の一定圧力の低圧圧縮気体を気体吐出口21側へ出力する。
【0028】
電磁弁34は、制御部27の制御に応じてオン又はオフすることにより、低圧レギュレータ33が出力した低圧圧縮気体を気体吐出口21に対して供給又は遮断する。
【0029】
圧力計35は、例えば低圧レギュレータ33と電磁弁34との間で低圧圧縮気体の圧力を検出し、検出結果を制御部27に対して出力する。なお、圧力計35は、噴霧装置本体2に対する所定の設定が終了した後には、取り外されてもよい。また、圧力計32が電磁弁31と気体吐出口21との間の配管の圧力を検出するように配置されている場合には、圧力計35が設けられず、圧力計32が圧力計35の機能を兼ねてもよい。
【0030】
加圧液体供給系25は、液体供給口23から液体吐出口24までの加圧液体流路に容積式ポンプ36、液体用レギュレータ37、圧力計38、及び電磁弁39を有する。
【0031】
容積式ポンプ36は、例えばダイヤフラムポンプ360及びリリーフ弁362を有し、例えば制御部27の制御に応じて、動作の開始又は終了(停止)を行う。
【0032】
ダイヤフラムポンプ360は、例えば図示しないモータやソレノイド等の駆動装置によって駆動され、制御部27の制御に応じて吐出量を調整する。例えば、制御部27は、駆動装置の動作周波数や、所定の周期内で動作期間(オン期間)と停止期間(オフ期間)の割合を調整することにより、ダイヤフラムポンプ360の吐出量を調整する。
【0033】
また、ダイヤフラムポンプ360は、例えば自給式のポンプであり、液体供給口23及び配管12を介して、液体タンク8内に収容されている液体を吸い込み、所定の加圧液体として液体用レギュレータ37へ出力する。
【0034】
また、ダイヤフラムポンプ360には、例えば、入液側の圧力が-25kPa~+350kPaである場合に、吐出側に+300kPa~600kPa程度の圧力を確保できるという特徴がある。また、ダイヤフラムポンプ360には、入液側の圧力が吐出側に影響しないことや、当該ダイヤフラムポンプ360内の逆止弁の密閉性を高くすることによって自吸性能を確保できることなどの特徴がある。よって、ダイヤフラムポンプ360は、例えば2.5m下にある大気圧のタンクから液体を吸上げる場合や、水道などの加圧供給系から液体の供給を受ける場合など、広い範囲の供給液体圧条件において適用可能である。また、ダイヤフラムポンプ360は、摺動部がほとんどなく、メンテナンスが容易である。
【0035】
リリーフ弁362は、ダイヤフラムポンプ360に対して並列に設けられている。そして、リリーフ弁362は、加圧液体供給系25内で予め定められた圧力を超えた加圧液体を、ダイヤフラムポンプ360の液体出力側(液体用レギュレータ37側)から液体供給側(液体供給口23側)へ帰還させ、ダイヤフラムポンプ360内が高圧になり過ぎることを防止する。
【0036】
なお、容積式ポンプ36は、ここでは自給式のダイヤフラムポンプ360を備えているとしているが、他の構成のポンプであってもよい。また、ダイヤフラムポンプ360及びリリーフ弁362は、それぞれ独立して設けられていてもよい。
【0037】
液体用レギュレータ37は、加圧液体供給系25内で容積式ポンプ36が出力した加圧液体を所定値の一定の吐出圧に保って液体吐出口24へ出力する。このとき、液体用レギュレータ37は、容積式ポンプ36が出力する加圧液体に脈動が生じていたとしても、当該脈動の影響を抑えることができる。
【0038】
圧力計38は、液体用レギュレータ37が出力した加圧液体の圧力を検出し、検出結果を制御部27に対して出力する。なお、圧力計38は、噴霧装置本体2に対する所定の設定が終了した後には、取り外されてもよい。
【0039】
電磁弁39は、制御部27の制御に応じてオン又はオフする。具体的には、電磁弁39は、二流体ノズル4の噴霧を停止させた場合に、二流体ノズル4からの気圧又は揚程差により、液体用レギュレータ37が出力した加圧液体の一部又は全部を加圧液体供給系25から排出口26を介して排出させる排出弁である。例えば、電磁弁39が開いている場合、サイフォンの原理等を利用して容積式ポンプ36の吐出側から二流体ノズル4に至る配管に残留する液体の全て又は一部を排出口26から排出することが可能である。
【0040】
次に、二流体ノズル噴霧装置1の動作例について説明する。二流体ノズル噴霧装置1は、二流体ノズル4から噴霧を行う場合、制御部27が電磁弁34及び電磁弁39を閉じ、電磁弁31を開き、容積式ポンプ36を運転するように制御を行う。噴霧装置本体2は、コンプレッサ6から圧縮気体を供給され、液体タンク8から液体の供給を受けると、気体吐出口21から圧縮気体を二流体ノズル4へ出力し、液体吐出口24から加圧液体を二流体ノズル4へ出力する。
【0041】
そして、二流体ノズル4は、配管11を介して供給された圧縮気体と、液体供給口23を介して供給された加圧液体とを内部混合し、粉砕させた液体の微粒子を外部へ噴霧する。
【0042】
また、制御部27は、例えば電磁弁31及び容積式ポンプ36を制御し、二流体ノズル4に対する圧縮気体及び加圧液体の供給と遮断とを切替えることにより、二流体ノズル4の噴霧量を時間比例制御する。例えば、制御部27は、30秒~120秒程度の一定の周期で噴霧量に合わせて容積式ポンプ36の運転期間(駆動装置のオン期間)を制御する。
【0043】
また、二流体ノズル噴霧装置1は、二流体ノズル4の噴霧を一時的に停止させる場合(時間比例制御における駆動装置のオフ期間)に、制御部27が容積式ポンプ36を停止させて二流体ノズル4に対する加圧液体の供給を停止させ、電磁弁31を閉じて電磁弁34を開く。そして、二流体ノズル噴霧装置1は、低圧レギュレータ33から低圧の圧縮気体を二流体ノズル4へ供給することにより、低圧レギュレータ33からの気圧によって二流体ノズル4から液だれすることを防止する。
【0044】
また、噴霧を完全停止させる場合には、制御部27は、電磁弁34を閉じ、電磁弁31を開けた状態で容積式ポンプ36を停止させ、電磁弁39を開くことにより、配管13等に残留する液体を排出口26から排出させる。
【0045】
なお、噴霧装置本体2は、圧縮気体及び加圧液体それぞれの圧力を例えば目標値の±1~5kPaに正確に保って二流体ノズル4へ出力する。
【0046】
このように、二流体ノズル噴霧装置1は、気体用レギュレータ30、容積式ポンプ36、液体用レギュレータ37、及び二流体ノズル4を有するので、各部がそれぞれ備える機能の組合せにより、簡易な構成で噴霧を高精度に調整することができるという効果を奏する。
【0047】
次に、二流体ノズル噴霧装置1の第1の実施形態の第1変形例について説明する。図2は、二流体ノズル噴霧装置1の第1変形例(二流体ノズル噴霧装置1a)の構成例を示す図である。なお、上述した構成と実質的に同一の構成には同一の符号が付してある。
【0048】
図2に示した二流体ノズル噴霧装置1aにおいて、噴霧装置本体2a内に圧縮気体供給系22及び加圧液体供給系25aを有する。加圧液体供給系25aは、液体供給口23から液体吐出口24までの加圧液体流路に容積式ポンプ36、ニードル弁50、圧力計38、及び電磁弁39を有する。第1の実施形態との相違点は、液体用レギュレータ37に代えてニードル弁50を用いる点である。例えば、ニードル弁50は、電動式の開度調節可能弁である。
【0049】
ニードル弁50は、制御部27の制御に応じて開度を変化させ、加圧液体供給系25a内で容積式ポンプ36が出力した加圧液体を所定の吐出圧に保って液体吐出口24へ出力する。より具体的には、ニードル弁50は、全開時のCv値が例えば0.05~1となっており、他の構成の弁(例えばボール弁)よりも高精度に加圧液体の流量等を調節することができるようにされている。
【0050】
これに対し、例えば、一般的に15Aサイズのボール弁ではCv値が6などである。例えば、ニードル弁50がボール弁に置き換えられた場合には、ボール弁のレンジアビリティが30:1であっても、ニードル弁50のように高精度に微小量の加圧液体の流量等を調節することは困難である。例えば、図2に示した例では、二流体ノズル4は1つであるが、これを複数設け、その液体入力側にバルブを設け、二流体ノズル4の運用数を変えて、噴霧量を広範囲に変える場合がある。この場合、二流体ノズル4の運用数により、液体吐出口24からみた合成された二流体ノズル4側のヘッドロスは大きく変動することになる。しかし、ニードル弁50のような高精度に開度調節可能な器具を使用することにより、こうした変動に対応可能である。
【0051】
そして、制御部27は、例えば電磁弁31、容積式ポンプ36、及びニードル弁50を制御し、二流体ノズル4に対する圧縮気体及び加圧液体の供給と遮断とを切替えることにより、第1の実施形態と同様に二流体ノズル4の噴霧量を時間比例制御する。また、制御部27は、圧縮気体の圧力、加圧液体の圧力、及びニードル弁50の開度の少なくともいずれかを制御することにより、二流体ノズル4の噴霧特性(噴霧量・粒子径など)を制御する。
【0052】
また、第1の実施形態と同様に、制御部27は、二流体ノズル4の噴霧を一時的に停止させる場合に、ニードル弁50を閉じることにより二流体ノズル4に対して加圧液体を遮断し、電磁弁31を閉じて電磁弁34を開く。そして、二流体ノズル噴霧装置1aは、低圧レギュレータ33から低圧の圧縮気体を二流体ノズル4へ供給することにより、低圧レギュレータ33からの気圧によって二流体ノズル4から液だれすることを防止する。さらに、噴霧を完全停止させる場合も、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0053】
次に、二流体ノズル噴霧装置1の第1の実施形態の第2変形例について説明する。図3は、二流体ノズル噴霧装置1の第2変形例(二流体ノズル噴霧装置1b)の構成例を示す図である。なお、上述した構成と実質的に同一の構成には同一の符号が付してある。
【0054】
図3に示した二流体ノズル噴霧装置1bにおいて、噴霧装置本体2b内に圧縮気体供給系22b及び加圧液体供給系25aを有する。圧縮気体供給系22bは、気体供給口20から気体吐出口21までの圧縮気体流路に電空レギュレータ(EPR)51を有する。図2に示した二流体ノズル噴霧装置1の第1変形例との相違点は、気体用レギュレータ30、低圧レギュレータ33、電磁弁31,34、圧力計32,35に代えて、電空レギュレータ51を用いる点である。
【0055】
電空レギュレータ51は、制御部27の制御に応じて、圧縮気体供給系22b内で気体供給口20から供給された気体を減圧し、所定の圧力の圧縮気体を気体吐出口21に対して供給又は遮断する。
【0056】
そして、制御部27は、二流体ノズル4に対する圧縮気体及び加圧液体の供給圧力を制御することにより、二流体ノズル4の噴霧量を比例制御する。また、制御部27は、圧縮気体の圧力、又は加圧液体の圧力の少なくともいずれかを制御することにより、二流体ノズル4の噴霧特性(噴霧量・粒子径など)を制御する。制御方法としては、噴霧量に応じて圧縮気体の圧力、又は加圧液体の圧力を変化させてもよいし、第1の実施形態と同様に圧縮気体の供給圧力の制御と加圧液体の供給と遮断により、噴霧量を時間比例制御してもよい。
【0057】
また、制御部27は、二流体ノズル4の噴霧を一時的に停止させる場合に、容積式ポンプ36を停止させて、二流体ノズル4に対して加圧液体を遮断し、電空レギュレータ51から上述の低圧レギュレータ33と同等の低圧の圧縮気体を二流体ノズル4へ供給することにより、電空レギュレータ51からの気圧によって二流体ノズル4から液だれすることを防止する。噴霧を完全停止させる場合には、制御部27は、所定の圧力の圧縮気体を電空レギュレータ51から二流体ノズル4に供給した状態で、容積式ポンプ36を停止させ、電磁弁39を開くことにより、配管13等に残留する液体を排出口26から排出させる。なお、第2変形例において、ニードル弁50に代えて液体用レギュレータ37を用いてもよい。
【0058】
次に、二流体ノズル噴霧装置1の第3変形例について説明する。図4は、二流体ノズル噴霧装置1の第3変形例(二流体ノズル噴霧装置1c)の構成例を示す図である。なお、上述した構成と実質的に同一の構成には同一の符号が付してある。
【0059】
図4に示した二流体ノズル噴霧装置1cにおいては、図1に示した二流体ノズル噴霧装置1に対して、液体タンク8が水道(又は他のポンプ)などの給水源52に代えられている点で異なる。
【0060】
図1に示した二流体ノズル噴霧装置1においては、容積式ポンプ36は、例えば大気圧がかかった液体を吸い上げて、液体用レギュレータ37に対して出力する。
【0061】
これに対し、図4に示した二流体ノズル噴霧装置1cにおいては、容積式ポンプ36は、水道などの圧力をかけられた給水源52からも液体を吸い上げて、液体用レギュレータ37に対して出力する。
【0062】
なお、噴霧装置本体2は、加圧液体供給系25において、水道などの一般的な送水圧となる0.1~0.3MPaよりも高い圧力の0.3~0.6MPaに液体を昇圧させている。
【0063】
つまり、噴霧装置本体2は、広い圧力範囲の給水源から液体を吸い上げて、二流体ノズル4に噴霧させることを可能にしており、液体タンク8内で液体を加圧する必要がない。
【0064】
なお、制御部27が行う制御の各機能は、それぞれ一部又は全部がPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
【0065】
なお、第1の実施形態、第1変形例、第3変形例において、二流体ノズル4の噴霧を一時的に停止させたときに、圧縮気体の損失が無視できる場合には、低圧レギュレータ33、圧力計35、及び電磁弁34が設けられていなくてもよい。この場合、二流体ノズル4の噴霧を一時的に停止させても、噴霧中と同様な圧力の圧縮気体を電磁弁31から二流体ノズル4に供給して液だれを防止してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1a,1b,1c・・・二流体ノズル噴霧装置、2,2a,2b・・・噴霧装置本体、4・・・二流体ノズル、6・・・コンプレッサ、8・・・液体タンク、10~14・・・配管、20・・・気体供給口、21・・・気体吐出口、22,22b・・・圧縮気体供給系、23・・・液体供給口、24・・・液体吐出口、25,25a・・・加圧液体供給系、26・・・排出口、27・・・制御部、28・・・CPU、29・・・メモリ、30・・・気体用レギュレータ、31・・・電磁弁、32・・・圧力計、33・・・低圧レギュレータ、34・・・電磁弁、35・・・圧力計、36・・・容積式ポンプ、37・・・液体用レギュレータ、38・・・圧力計、39・・・電磁弁(排出弁)、50・・・ニードル弁、51・・・電空レギュレータ、52・・・給水源、360・・・ダイヤフラムポンプ、362・・・リリーフ弁
図1
図2
図3
図4