(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】電子ハンドスタンプ
(51)【国際特許分類】
B41J 3/28 20060101AFI20230829BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230829BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230829BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B41J3/28
B41J3/36 Z
B41J2/01
B41J29/42 E
(21)【出願番号】P 2020570884
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2019066805
(87)【国際公開番号】W WO2020002319
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-04-26
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520494932
【氏名又は名称】コロップ デジタル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ブレトン
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-264396(JP,A)
【文献】特開2016-063875(JP,A)
【文献】特開2016-196108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0147930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01-3/54
B41J 3/62
B41K 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ハンドスタンプ(1)であって、
前記電子ハンドスタンプ(1)の底面(4)に向けて方向付けられたノズルを有するインクジェット印刷ヘッドと、
制御回路(30)と、
モーション検出器と、を備え、
前記制御回路(30)は、前記モーション検出器および前記インクジェット印刷ヘッドに接続されており、前記モーション検出器から受信された示度に応答して前記インクジェット印刷ヘッドを制御するように構成されており、
前記電子ハンドスタンプ(1)は、前記制御回路(30)に接続された少なくとも4つのインジケータLED(10~17)を備え、前記少なくとも4つのインジケータLED(10~17)のうちの少なくとも1つが、前記電子ハンドスタンプ(1)の前記底面(4)に垂直なそれぞれの側面にも配置されており、
前記電子ハンドスタンプ(1)は、ディフューザ(9)を備え、少なくとも4つのインジケータLED(10~17)の全てが、前記ディフューザ(9)と光学的に接続されていることを特徴とする電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項2】
前記電子ハンドスタンプ(1)は、前記制御回路(30)に接続された少なくとも6つのインジケータLED(10~17)を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項3】
前記電子ハンドスタンプ(1)は、前記制御回路(30)に接続された少なくとも8つのインジケータLED(10~17)を備えることを特徴とする請求項2に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項4】
前記インジケータLED(10~17)は、多色LEDであり、前記制御回路(30)は、前記インジケータLED(10~17)を同じ色で発光するよう制御するために構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項5】
前記制御回路(30)は、前記インジケータLED(10~17)を、同時にまたは順次に、同じ色で発光するよう制御するために構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項6】
前記インジケータLED(10~17)間の距離が、前記ディフューザ(9)を通したLED光の輝度が本質的に均一であるように十分に小さいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項7】
前記ディフューザ(9)は、前記電子ハンドスタンプ(1)を周方向に囲むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも4つのインジケータLED(10~17)は、2つ以上のプリント回路基板(26~29)上に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項9】
前記電子ハンドスタンプ(1)は、前記印刷ヘッドに隣接する印刷領域を照明する少なくとも1つのターゲットLED(31、32)を備え、前記少なくとも1つのターゲットLED(31、32)は、前記制御回路(30)に接続されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項10】
前記電子ハンドスタンプ(1)は、前記印刷ヘッドに隣接する印刷領域を照明する少なくとも2つのターゲットLED(31、32)を備え、前記少なくとも2つのターゲットLED(31、32)は、前記制御回路(30)に接続されていることを特徴とする請求項9に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項11】
前記制御回路(30)は、前記印刷ヘッドの両側面のうちの一方にある少なくとも1つのターゲットLED(31、32)を点灯するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項12】
前記制御回路(30)は、前記印刷ヘッドを移動させている方向に対応する前記印刷ヘッドの側面にある少なくとも1つのターゲットLED(31、32)を点灯するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのターゲットLED(31、32)は、前記少なくとも1つのターゲットLED(31、32)によって放出された光を前記印刷領域へ偏向させるプリズム(33、34)に光学的に接続されていることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の電子ハンドスタンプ(1)。
【請求項14】
前記少なくとも4つのインジケータLED(10~17)を、相互関係を有する態様で、そして、
進行中の転送および進行中の印刷からなる群から選択される要素である進行している動作を示すように順次の態様でかつ前記少なくとも4つのインジケータLEDの周方向の配置の順序で発光するように、制御することを特徴とする請求項1に記載の電子ハンドスタンプ(1)を制御するための方法。
【請求項15】
前記少なくとも4つのインジケータLED(10~17)を、少なくとも1周りの間、順次の態様で、かつ前記少なくとも4つのインジケータLEDの周方向の配置の順序で発光するように制御して、
前記進行している動作を示すことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電子ハンドスタンプ(1)の移動の方向が検出されると前記印刷ヘッドの両側面のうちの一方にある少なくとも1つのターゲットLED(31、32)を点灯し、かつその他のターゲットLED(31、32)を消灯することを特徴とする請求項11に記載の電子ハンドスタンプ(1)を制御するための方法。
【請求項17】
前記電子ハンドスタンプ(1)の移動の方向が検出されると、前記印刷ヘッドを移動させている方向に対応する前記印刷ヘッドの前記側面にある少なくとも1つのターゲットLED(31、32)を点灯し、かつその他のターゲットLED(31、32)を消灯することを特徴とする請求項16に記載の電子ハンドスタンプ(1)を制御するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ハンドスタンプおよび電子ハンドスタンプを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ハンドスタンプは、一般に、基材(例えば、スタンプする書類またはその他の物体)上に印刷によってスタンプマークを生成するための可搬型電子装置である。現行のタイプの電子ハンドスタンプは、電子ハンドスタンプの底面に向けて方向付けられたノズルを有するインクジェット印刷ヘッドと、制御回路と、モーション検出器とを備え、制御回路は、モーション検出器およびインクジェット印刷ヘッドに接続されており、かつモーション検出器から受信された示度に応答してインクジェット印刷ヘッドを制御するように構成されており、これにより、電子ハンドスタンプを基材上で手動により移動させると、印刷画像が生成される。
【0003】
現行の電子ハンドスタンプは、ゴムスタンププレートおよびインクパッドを有する従来の(機械的な)ハンドスタンプの電子的な代替物として使用できる。現行の電子ハンドスタンプは、通常はすでに情報を保持しているあらかじめ規定された画像(モチーフ)を、基材に転写する。モチーフ内の情報は、基材上にすでに存在する情報を補う。
【0004】
同様の目的で、特許文献1は、手持ちの手動掃引型印刷機器を示している。この機器は、サーマルプリンタヘッドと熱転写インクリボンのロールとを有する。この機器は、電源パイロットランプと、メモリパイロットランプと、アラームランプとの、3つのLED(発光ダイオード)を備える。各LEDは、1つの二値ステータスのみを示す。したがって、LEDのうちの1つによって示される各ステータスは、機器の1つの側からのみ視認可能である。特に、プリンタ動作に関するエラー状態または警告は、機器の配置や保持の仕方によっては、プリンタ動作中、ユーザが認識できない可能性がある。
【0005】
異なる目的のためではあるが、印刷する能力を有するその他の可搬型電子装置も知られている。具体的には、既存の書類を複写する手段として機能する可搬型プリンタスキャナ装置が知られている。このような装置は、通常、情報を保持している第1の基材上で、第1の基材を改変することなく該情報を走査することによって動作し、これに続いてそれら装置は、空白の(情報を保持していない)第2の基材上で動作し、第2の基材上に、走査された情報のコピーを印刷する。
【0006】
このような装置の例が、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に示されている。
【0007】
特許文献5は、ユーザがページの端部などの基準に装置を位置合わせすることを支援する導光部を含む印刷装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4947262号明細書
【文献】米国特許第7426050号明細書
【文献】独国特許出願公開第10353875号明細書
【文献】独国特許出願公開第102005014227号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/147930号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、動作中に知覚できる信頼性のあるユーザフィードバック手段を提供することによって、電子ハンドスタンプのエラーフリーな使用を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、最初に述べた種類の電子ハンドスタンプを提案するものであり、電子ハンドスタンプは、制御回路に接続された少なくとも4つのインジケータLEDを備え、少なくとも4つのインジケータLEDのうちの少なくとも1つが、電子ハンドスタンプの底面に垂直ないずれの側面にも配置されている。インジケータLEDは、いずれの側または角度からも視認可能である。したがって、インジケータLEDによって示される情報は、電子ハンドスタンプの現在位置または電子ハンドスタンプ上の把持部とは無関係に視認可能である。
【0011】
これに対応して、本発明は、上記で規定された電子ハンドスタンプを制御するための方法を提案し、少なくとも4つのインジケータLEDが、相互関係を有する態様で制御される。つまり、インジケータLEDは、機能的に独立した信号を示すのではなく、電子ハンドスタンプの動作ステータスに関する同じ1つ以上の信号を全体として示すために協働するように構成されている。
【0012】
好ましい実施形態において、電子ハンドスタンプは、制御回路に接続された、少なくとも6つのインジケータLED、好ましくは少なくとも8つのインジケータLEDを備える。インジケータLEDすべてが、基本的に同じ情報を示すことから、インジケータLEDの数が多いほど、インジケータLEDの視認性、すなわち、示される動作ステータスの視認性が高まる。
【0013】
有利には、インジケータLEDは多色LED(例えば、RGBのLED)であり、制御回路は、インジケータLEDを、特に同時にまたは順次に(動画的に)、同じ色で発光するよう制御するために構成されている。多色LEDを使用することによって、LEDの数および配置を、対応するより多数の単色LEDと比較して改善することができる。特に、少数のLEDが、色による符号化によって、比較的多数の動作ステータスを示すことができる。
【0014】
電子ハンドスタンプは、さらに、ディフューザを備えてもよく、少なくとも2つのインジケータLEDが、ディフューザと光学的に接続されている。ディフューザは、隣接する2つのLED間のギャップまたは境界をぼかし、ディフューザは、通常、導光部および散乱表面を含む。散乱表面は、拡散フィルタ(例えば、乳白ガラスまたは同様の樹脂材料)によって形成され得る。
【0015】
この状況では、インジケータLED間の距離が、ディフューザを通したLED光の輝度が本質的に均一となるように十分に小さい場合に有利である。本質的に均一であるとは、ここでは、放出光の輝度が、フルパワー条件下で最大輝度の70%未満に低下しないことを意味し、任意で、放出光の輝度が、フルパワー条件下で最大輝度の90%未満に低下しないことを意味する。
【0016】
少なくとも4つのインジケータLEDのすべてがディフューザと光学的に接続されていて、特にディフューザが電子ハンドスタンプを周方向に囲んでいる場合、連続的な光ストリップを形成することができる。光ストリップは、電子ハンドスタンプの外側壁を囲むように配置されてもよい。
【0017】
少なくとも4つのインジケータLEDが2つ以上のプリント回路基板(PCB)上に配置されていると有益であることがわかった。2つ以上のプリント回路基板は、好ましくは、電子スタンプの底面に垂直に(すなわち、直立配置、簡潔には「直立PCB」で)配置されてもよい。プリント回路基板をLEDの支持体として使用することにはいくつかの利点があり、プリント回路基板は、費用効率が良い表面実装プロセスと制御回路への容易な接続とを提供する。リジッドPCBもフレキシブルPCBも使用することができる。
【0018】
PCBのうちの少なくとも1つを水平PCBとすることができ、水平PCB上に配置された1つ以上のインジケータLEDは、直角LEDである。さらに、少なくとも1つのインジケータLEDをフレキシブルPCB上に配置することができ、フレキシブルPCBは、好ましくは、直立PCBから延在し、かつ直立PCBに接続されている。
【0019】
特に好ましい実施形態において、電子ハンドスタンプは、印刷ヘッドに隣接する印刷領域を照明する少なくとも1つのターゲットLED(または基材ライトニングLED)を備え、該少なくとも1つのターゲットLEDは、制御回路に接続されている。好ましくは、少なくとも2つのターゲットLED、例えば印刷ヘッドの両側面に1つずつ、が想定される。印刷領域を照明することは、基材に対して、特に基材の既存のレイアウト(例えば、あらかじめ印刷された用紙フォーム上に示されるフォームフィールド)に対して、電子ハンドスタンプを位置合わせすることに有用である。
【0020】
この状況において、少なくとも2つのターゲットLEDは、好ましくは制御回路に接続されており、制御回路は、印刷ヘッドの両側面のうちの一方、好ましくは印刷ヘッドを移動させている方向に対応する側面にある少なくとも1つのターゲットLEDを点灯するように構成されている。ターゲットLEDのこの制御は、基材に対する印刷ヘッドの2つの側面のうちの一方の位置合わせに関する不正確さを回避することに有用である。また、この制御は、スタンプが想定するスタンプが移動する方向を示すことによって、電子ハンドスタンプによって実行されるモーション検出に関するフィードバックをユーザに与える。
【0021】
有利には、少なくとも1つのターゲットLEDが、少なくとも1つのターゲットLEDによって放出された光を印刷領域へ偏向させるプリズムに光学的に接続されている。プリズムの使用により、光を(底面に面する)印刷領域に放出するのではなく電子ハンドスタンプの直立側面に放出するように構成されたインジケータLEDのうちの1つ以上と同じPCB上に、ターゲットLEDを支持することが可能になる。
【0022】
本発明の方法に関して、本方法が、少なくとも4つのインジケータLEDを、スタンプの動作ステータスを示すあらかじめ規定された色で同時に発光するように制御することを含むことが好ましい。例えば、動作ステータスは、電源投入、電池消耗/枯渇、インク枯渇、その他のエラー、接続の確立、および転送の終了からなる群から選択される要素である。電子ハンドスタンプの制御を、各々が動作ステータスのうちの1つと関連付けられたあらかじめ規定された異なる色を使用するように構成することができる。電子ハンドスタンプが、インジケータLEDによる表示と関連付けられた動作ステータスに達すると、インジケータLEDは、該動作ステータスと関連付けられたあらかじめ規定された色ですべて発光する(例えば、電源投入時にすべてが緑に発光する)ように制御される。
【0023】
本発明の方法にさらに関して、本方法は、特に、少なくとも4つのインジケータLEDを、順次の態様で、かつ少なくとも4つのインジケータLEDの周方向の配置の順序で、好ましくは少なくとも1周りの間、発光するように制御して、進行している動作を示すことを含んでもよい。例えば、LEDは、共通の周波数で、かつ隣接するLED間よりもより遠距離にあるLED間でのほうが大きい位相ずれを有して点滅するように制御される。電子ハンドスタンプの任意の側から容易に理解可能である表示を与えるために、LEDの点滅、および時間遅延が、回転する光の外観が作り出されるように構成されていると有利である。進行している動作は、進行中の転送、および進行中の印刷からなる群から選択される要素とすることができる。例えば、ホスト装置から電子ハンドスタンプへの画像データの転送中、インジケータLEDは、転送が終了すると停止する回転する青色光をシグナルするように制御されてもよい。
【0024】
ターゲットLEDの使用に関して、本方法は、好ましくは、電子ハンドスタンプの移動の方向が検出されると、印刷ヘッドの両側面のうちの一方、好ましくは印刷ヘッドを移動させている方向に対応する側面にある少なくとも1つのターゲットLEDを点灯し、かつその他のターゲットLEDを消灯することを含んでもよい。
【0025】
ここで図面を参照するが、図面は本発明を例示する目的のものであり、本発明を限定する目的のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明による電子ハンドスタンプの模式図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、開放された構成の
図1による電子ハンドスタンプの部分的な模式図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、
図1および
図2による電子ハンドスタンプの水平断面を概略的に示す。
【
図4】
図4は、前の各図面による電子ハンドスタンプの底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、窓開け部分3および底面4を有する概して不透明なカバー2を有する電子ハンドスタンプ1を示す。窓開け部分3は、透明な材料で形成されている。
図1に示された動作位置において、電子ハンドスタンプ1は、電子ハンドスタンプ1の底面4を平面状の基材5上に密接させて配置されている。この位置において、インクジェット印刷ヘッド(不図示)は、基材5上で印刷するために、底面4および基材5に向けて方向付けられた、インクジェット印刷ヘッドのノズルを有する。インクジェット印刷ヘッドは、電子ハンドスタンプ1に組み込まれた制御回路30(
図2を参照)によって制御される。制御回路30は、モーション検出器、例えば、基材5に向けられた光学式センサ、ジャイロスコープ、および/または加速度計に接続されており、モーション検出器からの示度を受信し、それらの示度に応答してインクジェット印刷ヘッドを制御するように構成されている。具体的には、制御は、基材5に対する電子ハンドスタンプ1の移動の速度、または該速度の変動とは無関係に、歪みのない印刷画像を生成するように構成されている。窓開け部分3により、ユーザは、印刷ヘッドのすぐ隣で印刷プロセスを監視することが可能になる。電子ハンドスタンプ1は、カバー2の窓開け部分3から延在するインジケータ突起6を、各側面に備える(
図3を対照)。インジケータ突起6は中心ノッチ7を有し、該中心ノッチ7は、インクジェット印刷ヘッドのノズルの配置の中心、すなわち2つのインジケータ突起6のノッチ7を結ぶ線上にある中心の目印となる。
【0028】
電子ハンドスタンプ1は、カバー2に埋め込まれた光ストリップ8(「光パイプ」でもある)を備える。組み立てられた電子ハンドスタンプ1の外側に見える光ストリップ8の部分は、電子ハンドスタンプ1を周方向に囲むディフューザ9である。ディフューザ9は、光散乱表面を有する拡散フィルタ9’を備える。
【0029】
図2および
図3は、光ストリップ8のその他の構成要素を示す。図示の通り、電子ハンドスタンプ1は、8つのインジケータLED10、11、12、13、14、15、16、17を備える。2つのインジケータLED10および11、12および13、14および15、16および17が、底面4に垂直な電子ハンドスタンプ1のいずれの側面にも配置されている。8つのインジケータLED10~17すべてが、ディフューザ9の導光部18と光学的に接続されている。導光部18は、各々がインジケータLED10~17のうちの1つ以上に接続された4つのセグメント19~22を備える。より具体的には、導光部18のセグメント19~22は、全体で、ディフューザ9の拡散フィルタ9’が上に取り付けられた連続する外表面23を画定する。拡散フィルタ9’は、例えば、連続する外表面23に接着された散乱フォイルであってもよい。セグメント19~22は、連続する外表面23に平行で、かつ、接続されたインジケータLED10~17の各々に向かってレッグ24が延在する元となる主部分を備える。終端でそれぞれのインジケータLED10~17に面する各レッグ24は、それぞれのインジケータLED10~17から放出される光の主方向に垂直である平坦な端面25を有する。この配置は、導光部18への効率的な光の結合を与える。
【0030】
インジケータLED10~17間の距離は、ディフューザ9を通したLED光の輝度が本質的に均一となるように十分に小さい。光の均一な分布は、導光部18内での全反射と、拡散フィルタ9’から導光部18内への部分的な後方散乱とによって、達成される。光の散乱は、任意で、散乱粒子を含有する材料を導光部18に使用することによって改善できる。ただし、均一な分布は、散乱、散乱表面、または散乱粒子を用いなくても達成できる。それゆえ、均一に照明するために要するインジケータLEDの数を規定し、または光ストリップ8の所与の長さを「供給する」のは、それら2つの要素、およびそれら要素のそれぞれの光学特性である。別の影響としては、連続する外表面23に平行な導光部18の隣接するセグメント19~22間の光学的結合がある。
【0031】
インジケータLED10~17は、2つの直立プリント回路基板(PCB)26、27上、1つの水平PCB28上、および直立PCB27のうちの一方から延在する1つのフレキシブルPCB29上に配置されている。すべてのインジケータLED10~17が、PCB26のうちの1つ以上の上に配置された共通の制御回路30に接続されている。したがって、すべてのPCB26~29が、例えば共通のバスシステムで、電子的に接続されている。水平PCB28上に配置されたインジケータLED12、13は、直角LEDであり、すなわち、水平PCB28の主平面に平行な主光放出方向を有する。8つのインジケータLED10~17すべてが、多色LEDである。制御回路30は、インジケータLED10~17を、相互関係を有する態様で、例えば、特に同時または順次に、同じ色で発光するよう制御するために構成されている。
【0032】
インジケータLED10~17に加えて、電子ハンドスタンプ1は、ターゲットLED31、32を、直立PCB26、27の各々の上に1つずつ備える。ターゲットLED31、32は、関連付けられたターゲットLED31、32によって放出された光を印刷ヘッドに隣接する基材5上の印刷領域へ偏向させることにより印刷領域を照明するそれぞれのプリズム33、34に各々光学的に接続された高輝度白色光LEDである。ターゲットLED31、32は、電子ハンドスタンプ1の制御回路30に接続されている。制御回路30は、(モーションセンサの示度にしたがって)印刷ヘッドを移動させている方向に対応する印刷ヘッドの側面にあるターゲットLED31、32を点灯するように構成されている。
【0033】
図4は、電子ハンドスタンプ1の底面4を下方から見た図である。印刷ヘッド36は、ターゲットLED31、32のプリズム33、34間に、本質的に中心に配置されている。電子ハンドスタンプ1のモーションは、光学式コンピュータマウスに使用される検出器と原理が同様である光学式モーション検出器35を用いて検出される。印刷中、電子ハンドスタンプ1を、モーション37の本質的に直線状の軸に沿った一方または他方の方向に移動させる。印刷ヘッド36のインクジェットノズルの列は、モーション37の軸に垂直に配置されている。ローラ38は、印刷中の移動の直線経路を、すなわちモーション37の軸に沿って、維持するようにガイドし、かつ維持することに有用である。