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特許7338854内視鏡用シース包装袋及び内視鏡用シース取付補助機構
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  • 特許-内視鏡用シース包装袋及び内視鏡用シース取付補助機構 図1
  • 特許-内視鏡用シース包装袋及び内視鏡用シース取付補助機構 図2
  • 特許-内視鏡用シース包装袋及び内視鏡用シース取付補助機構 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】内視鏡用シース包装袋及び内視鏡用シース取付補助機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A61B1/00 652
A61B1/00 653
A61B1/00 654
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019116413
(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公開番号】P2021000353
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】520072040
【氏名又は名称】株式会社アダチメディカルレンタルリース
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】下道 敦司
(72)【発明者】
【氏名】足立 三朗
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0192799(US,A1)
【文献】登録実用新案第3031919(JP,U)
【文献】特開2010-162274(JP,A)
【文献】特開2009-183602(JP,A)
【文献】特開2009-118882(JP,A)
【文献】特開平04-054933(JP,A)
【文献】特開平03-297437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内視鏡用シースが伸びた状態で密封される長尺形状をなすものであり、前記内視鏡用シースの挿し込み開口部側である上端部に開封開始部が設けられた内視鏡用シース包装袋であって、
長尺形状をなす前シート及び後シートをその周縁部をシールすることにより、内部に前 記内視鏡用シースが伸びた状態で密封される密閉空間が形成されたものであり、
前記開封開始部は、前記前シートと前記後シートとを剥離して開封する際に摘まれるも のであり、
前記挿し込み開口部側である上端部に前記内視鏡用シース包装袋を吊り下げるための吊り下げ部が設けられており、
前記吊り下げ部により吊り下げられた状態で、前記開封開始部を下方向に引っ張ること により前記前シートが前記後シートから剥離して開封されるように構成されている、内視鏡用シース包装袋。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に内視鏡用シース包装袋と、
前記内視鏡用シース包装袋が吊り下げられるスタンドとを備える、内視鏡用シース取付補助機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用シースを密封する内視鏡用シース包装袋、及び、当該内視鏡用シース包装袋を有する内視鏡用シース取付補助機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の体内に挿入される内視鏡挿入部(シャフト部)には、粘膜、血液及び体液などに直接接触しないように、特許文献1に示すような内視鏡用シース(感染防止シースともいう。)が装着される。
【0003】
この内視鏡用シースは、シャフト部に装着される前は、滅菌処理された状態で包装袋に密封されている。そして、包装袋を開封した後に、内視鏡用シースの挿し込み開口部(コネクタ部)から、シャフト部を挿入して、コネクタ部を内視鏡に固定する。
【0004】
具体的にシャフト部に内視鏡用シースに装着する作業は、内視鏡用シースの汚染を防ぐなどの観点から、例えば看護師等の一人が包装袋を開封した状態で持ち、その開封した包装袋から露出したコネクタ部に、例えば医者等のもう一人がシャフト部を挿入して、コネクタ部を内視鏡に固定するようにしている。
【0005】
しかしながら、内視鏡用シースの装着は、上記の通り二人作業となってしまい、効率が悪い。特に手術中では、二人の手間が必要となることから、その他の処置作業が疎かになる恐れがあったり、看護師の作業負担が増えてしまったり、或いは、人員を増やす必要があったりする。
【0006】
なお、一人で包装袋を開封し、内視鏡用シースにシャフト部を挿入して、コネクタ部を内視鏡に固定することも考えられるが、内視鏡用シースのコネクタ部及びシャフト部の両方の位置に気を使う必要があり、作業性が悪い。また、内視鏡用シースが外部に接触して汚染される恐れも増えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-12012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記の問題点を解決すべくなされたものであり、内視鏡用シースの汚染を防ぎつつ、内視鏡用シースの装着を一人で簡単に行うことをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る内視鏡用シース包装袋(以下、単に包装袋ともいう。)は、内部に内視鏡用シースが密封されるとともに、前記内視鏡用シースの挿し込み開口部側に開封開始部が設けられた包装袋であって、前記挿し込み開口部側に前記包装袋を吊り下げるための吊り下げ部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この包装袋であれば、包装袋を吊り下げるための吊り下げ部が設けられているので、包装袋を吊り下げた状態で開封開始部により内視鏡用シースを開封し、包装袋に保持された内視鏡用シースの挿し込み開口部に対してシャフト部を挿入して装着することができる。このように本発明では、開封作業及び挿入・装着作業を、内視鏡用シースの汚染を防ぎつつ一人で簡単に行うことができる。
【0011】
ここで、前記吊り下げ部が前記開封開始部よりも上側に設けられていることが望ましい。
この構成であれば、包装袋の吊り下げ位置が開封開始部よりも上側であることから、開封開始部を片手で下方向に引っ張るだけで、安定して簡単に内視鏡用シースを開封することができる。
【0012】
前記吊り下げ部は、貫通孔であることが望ましい。
この構成であれば、吊り下げ部を簡単に形成することができるとともに、包装袋の製造コストを低減することができる。
【0013】
前記貫通孔が複数形成されていることが望ましい。
この構成であれば、包装袋を吊り下げた状態で安定させることができる。このため、開封時及び挿入・装着時に包装袋及び内視鏡用シースがぶらつき難くなり、内視鏡用シースの装着を簡単にすることができる。
【0014】
前記複数の貫通孔は、前記開封部よりも上側において、前記内視鏡用シースを挟んだ両側に形成されていることが望ましい。
この構成であれば、包装袋をより一層安定させることができ、内視鏡用シースの装着を簡単にすることができる。また、貫通孔をスタンド等に吊り下げた状態で、当該スタンドのフック部が内視鏡用シースを挟んだ両側に位置することになり、内視鏡用シースに内視鏡を挿し込む際に、スタンドのフック部が邪魔になりにくい。
【0015】
また、本発明に係る内視鏡用シース取付補助機構は、上述した包装袋と、前記包装袋が吊り下げられるスタンドとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上に述べた本発明によれば、内視鏡用シースの汚染を防ぎつつ、内視鏡用シースの装着を一人で簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡用シース包装袋の正面図及び右側面図である。
図2】同実施形態の内視鏡用シース包装袋を吊り下げた状態の正面図である。
図3】同実施形態の内視鏡用シースへのシャフト部の挿入作業を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る内視鏡用シース包装袋について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
<内視鏡用シース包装袋100>
本実施形態の内視鏡用シース包装袋100は、図1に示すように、滅菌処理された内視鏡用シース10を密封する長尺形状をなすものである。
【0020】
なお、内視鏡用シース10は、樹脂製のものであり、所定の長さを有するチューブ部11と、当該チューブ部11の先端に形成されたウィンドウ部12と、チューブ部11の基端に形成され、内視鏡挿入部(シャフト部)が挿し込まれるコネクタ部13(挿し込み開口部13)とを有するものである。
【0021】
具体的に包装袋100は、長尺形状をなす一対の前後シート2、3を、その周縁部をシールすることにより、内部に密閉空間Sが形成されたものである。その密閉空間Sには、内視鏡用シース10が伸びた状態で密封される。
【0022】
また、この包装袋100には、密封された内視鏡用シース10のコネクタ部13側に開封開始部4が設けられている。この開封開始部4は、前シート2と後シート3とを剥離して開封する際に摘ままれるものである。本実施形態では、後シート3よりも前シート2の長さが短くされており、前シート2の上端部に開封開始部4が形成されている。
【0023】
そして、本実施形態の包装袋100には、開封開始部4よりも上側に包装袋100を吊り下げるための吊り下げ部5が設けられている。具体的に吊り下げ部5は、後シート3の上端部に形成された余剰部3a(前シートと重ならない部分)に設けられている。
【0024】
この吊り下げ部5は、後シート3に形成された貫通孔である。貫通孔5の形状は、円形状であるが、その他、長円形状、楕円形状、矩形状等の種々の形状であってもよい。本実施形態では、貫通孔5が複数(図1では2つ)形成されている。そして、この2つの貫通孔5は、開封開始部4よりも上側において、内視鏡用シース10を挟んだ両側、つまり、内視鏡用シース10よりも右側及び左側に形成されている。また、2つの貫通孔5は、同じ高さ位置に形成されている。これにより、吊り下げた状態で包装袋100は垂直となる。
【0025】
<内視鏡用シース取付補助機構200>
次に、本実施形態の包装袋100を用いた内視鏡用シース取付補助機構200について、図2を参照して説明する。
【0026】
この内視鏡用シース取付補助機構200は、包装袋100と、当該包装袋100が吊り下げられるスタンド300とを備えている。
【0027】
スタンド300は、包装袋100の吊り下げ部5が引っ掛けられるフック部301と、当該フック部301を所定の高さ位置に保持するスタンド本体302とを有している。本実施形態では、スタンド本体302の側面において前後左右の4方向に延びるように4か所にフック部301が設けられている。各フック部301は、所定個数(例えば5個)の内視鏡用シース包装袋100を吊り下げることができるように構成されている。また、スタンド本体302は、4か所のフック部301を回転させることにより、正面を向くフック部301を変更可能に構成されている。
【0028】
<内視鏡用シース10の取り付け方法>
次に、内視鏡用シース取付補助機構200を用いた内視鏡用シース10の取り付け方法について図3を参照して説明する。
【0029】
スタンド300のフック部301に吊り下げられた一番前の包装袋100を開封する。開封するには、包装袋100の開封開始部4を摘まんで下方向に引っ張る。これにより、前シート2が後シート3から剥離して、包装袋100が開封される。前シート2は、内視鏡用シース10のコネクタ部13が露出し、且つ、内視鏡用シース10が包装袋100に保持される程度の範囲で剥離する。
【0030】
この状態で、包装袋100から露出したコネクタ部13に内視鏡Zのシャフト部Z1を挿入する。このとき、貫通孔5をフック部301に吊り下げた状態で、当該フック部301が内視鏡用シース10を挟んだ両側に位置することになり、内視鏡用シース10にシャフト部Z1を挿し込む際に、スタンド300のフック部301が邪魔になりにくい。
【0031】
上記の挿入後、内視鏡用シース10のコネクタ部13を内視鏡Zに固定して、装着が完了する。
【0032】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の包装袋100によれば、包装袋100を吊り下げるための吊り下げ部5が設けられているので、包装袋100を吊り下げた状態で開封開始部4により包装袋100を開封し、包装袋100に保持された内視鏡用シース10の挿し込み開口部13に対してシャフト部Z1を挿入して装着することができる。このように本実施形態では、開封作業及び挿入・装着作業を、内視鏡用シース10の汚染を防ぎつつ一人で簡単に行うことができる。また、吊り下げ部5が開封開始部4よりも上側に設けられているので、開封開始部4を片手で下方向に引っ張るだけで、安定して簡単に内視鏡用シース10を開封することができる。
【0033】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0034】
例えば、前記実施形態の貫通孔5は、2つであったが、1つであっても良いし、3つ以上であってもよい。
【0035】
前記実施形態の複数の貫通孔5は、互いに同一形状(円形状)をなすものであったが、互いに異なる形状であってもよい。
【0036】
この場合、貫通孔5の形状とスタンド300のフック部301の形状との組み合わせにより、包装袋100を前後逆に吊り下げられないようにして、吊り下げ時に前後を誤ってしまうことを防ぐようにしてもよい。
【0037】
また、吊り下げ部5は、貫通孔の他に、スタンドに引っ掛かる構造であれば良い。
【0038】
前記実施形態では、開封開始部4よりも上側に吊り下げ部5を設けていたが、開封開始部と同じ高さ位置又は開封開始部4よりも下側に吊り下げ部5を設けてもよい。
【0039】
前記実施形態のスタンド300は、複数のフック部301を回転するように構成していたが、複数のフック部301を横並びに設けた構成であってもよい。
【0040】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0041】
100・・・内視鏡用シース包装袋
10・・・内視鏡用シース
13・・・挿し込み開口部(コネクタ部)
200・・・内視鏡用シース取付補助機構
300・・・スタンド
4・・・開封開始部
5・・・吊り下げ部(貫通孔)
図1
図2
図3