(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】刷版仕分装置
(51)【国際特許分類】
B41C 1/00 20060101AFI20230829BHJP
B41F 13/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B41C1/00
B41F13/00 514
(21)【出願番号】P 2019125416
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591005316
【氏名又は名称】西研グラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 忠之
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019025(JP,A)
【文献】特開2002-240938(JP,A)
【文献】特開2001-150625(JP,A)
【文献】特開平11-254639(JP,A)
【文献】特開平06-087205(JP,A)
【文献】特開昭54-040704(JP,A)
【文献】特開2013-176873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/00
B41F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷版を受け取ってストッカへ移載する受け台と、前記受け台を水平方向に移動させる移動機構と、前記受け台を鉛直軸周りに回転させる回転機構とを備え
、
前記受け台は、当該受け台を一の方向に反転させて刷版をストッカへ移載する反転機構を備え、かつ、前記回転機構は、前記反転機構を備える前記受け台を回転させる、刷版仕分装置。
【請求項2】
前記移動機構による前記受け台の移動と、前記回転機構による前記受け台の回転とを同時並行で実施可能である、請求項1に記載の刷版仕分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪転機で使用する刷版を仕分けするための刷版仕分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞や雑誌をオフセット印刷する輪転機では複数の刷版を使用する。オフセット印刷用の刷版は製版機で製作され、刷版仕分装置で仕分けした後に輪転機で使用する。
【0003】
このような刷版仕分装置に関する技術として、特許文献1に、刷版仕分機本体の搬送手段で刷版を搬送し、一側振分手段又は他側振分手段で搬送方向に交差する両側に対して刷版を振り分け、両側の各ストッカに刷版を貯版する技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、1台の刷版仕分機で両側の2箇所に仕分けることができ、仕分数が多い場合でも設置スペースを少なくできるとされている。
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、仕分数が2より多い場合、複数の刷版仕分機を、搬送手段による刷版の搬送方向を一致させて連続的に配設しなければならない。特許文献1の刷版仕分機は、刷版を搬送する搬送手段に加え、この搬送手段で搬送される刷版を搬送方向と交差する一側及び他側に振り分ける2つの振分手段(一側振分手段及び他側振分手段)を有することから、このような刷版仕分機を複数配設すると、刷版仕分装置全体の構成が大掛かりとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構成で、刷版の仕分数を多くすることのできる刷版仕分装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、次の1~2の刷版仕分装置が提供される。
1.
刷版を受け取ってストッカへ移載する受け台と、前記受け台を水平方向に移動させる移動機構と、前記受け台を鉛直軸周りに回転させる回転機構とを備え、
前記受け台は、当該受け台を一の方向に反転させて刷版をストッカへ移載する反転機構を備え、かつ、前記回転機構は、前記反転機構を備える前記受け台を回転させる、刷版仕分装置。
2.
前記移動機構による前記受け台の移動と、前記回転機構による前記受け台の回転とを同時並行で実施可能である、前記1に記載の刷版仕分装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の刷版仕分装置は、受け台を水平方向に移動させる移動機構と、受け台を鉛直軸周りに回転させる回転機構とを備えているから、1つの受け台で複数箇所のストッカへ刷版を移載することができると共に、受け台への刷版の搬入方向、及び受け台に対するストッカの配置の自由度が増す。よって本発明によれば、簡単な構成で、刷版の仕分数を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態である刷版仕分装置の使用状態を概念的に示す平面図。
【
図2】本発明の一実施形態である刷版仕分装置の側面図。
【
図3】本発明の一実施形態である刷版仕分装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本発明の一実施形態である刷版仕分装置の使用状態を概念的に示している。
同図に示す刷版仕分装置100は、刷版を受け取って6台のストッカ200A~Fへ移載する受け台10と、受け台10を水平方向(
図1において左右方向)に移動させる移動機構と、受け台10を鉛直軸周りに回転させる回転機構とを備えている。なお、移動機構及び回転機構の詳細については後述する。
【0011】
図1において、製版機(図示省略)で製作された刷版は右側方より搬入され、これを受け台10が受け取る。受け台10は
図1において破線で示すように、受け取った刷版の移載先(
図1においてはストッカ200C)へ向けて水平方向に移動しながら鉛直軸周りにも回転し、その刷版をストッカ200Cへ移載する。
なお、本実施形態において受け台10は、
図1中の破線の姿勢においてストッカ200C側(一側)にのみ刷版を移載するが、
図1中の破線の姿勢から180°回転することにより、ストッカ200Dにも刷版を移載することができる。
【0012】
このように、移動機構による受け台10の移動と、回転機構による受け台10の回転と組み合わせることで、受け台10が受け取った刷版を一側にのみ移載する簡単な構成であったとしても、受け取った刷版を6台のストッカ200A~Fのいずれにも移載できる。そしてこのとき、移動機構による受け台10の移動と、回転機構による受け台10の回転とを同時並行で実施することで、ストッカ200A~Fへの刷版の移載を迅速に実施することができる。
【0013】
なお、刷版の搬入方向やストッカの配置(台数)は、
図1の実施形態には限定されない。例えば、
図1においてストッカ200Dを取り除いて、このストッカ200Dのあった所から刷版を搬入するようにしてもよい。この場合においても、移動機構による受け台10の移動と、回転機構による受け台10の回転と組み合わせることで、受け台10は、受け取った刷版を5台のストッカ200A~C、200E、200Fのいずれにも移載できる。
また、移動機構による受け台10の移動範囲を拡大してより多くのストッカを配置することもできる。
【0014】
また、移動機構による受け台10の移動方向は左右方向には限定されず、例えば前後方向であってもよい。この場合、受け台10の移動方向(前後方向)の左右両側にストッカを配置することができる。更に、移動機構による受け台10の移動方向は直線状には限定されず、例えば円弧状であってもよい。
【0015】
このように本実施形態の刷版仕分装置100は、受け台10を水平方向に移動させる移動機構と、受け台10を鉛直軸周りに回転させる回転機構とを備えているから、1つの受け台10で複数箇所のストッカへ刷版を移載することができると共に、受け台10への刷版の搬入方向、及び受け台10に対するストッカの配置の自由度が増す。よって本実施形態によれば、簡単な構成で、刷版の仕分数を多くすることができる。
【0016】
次に、本発明の一実施形態である刷版仕分装置100の具体的構成について説明する。
図2~4に、本発明の一実施形態である刷版仕分装置100を示している。また、
図2にはストッカも併せて示している。なお、
図1に示したストッカ200A~Fは同一の構成を有しているから、
図2ではストッカ200として総括的に示している。
【0017】
まず、受け台10について説明する。この受け台10は、詳細は後述する回転機構20を構成する回転テーブル21上に、並進機構30及び反転機構40を介して設置されている。
並進機構30は、直動モータ31の駆動により並進部材32を並進ガイド33に沿って並進させることで、受け台10を反転機構40と共に矢印B-B方向に並進させる。
反転機構40は、支軸41をその軸線周りに回転させることで、この支軸41に連結部材42を介して連結された受け台10を矢印C方向に反転(回転)させる。支軸41にはプーリ43aが取り付けられており、このプーリ43aと対をなすプーリ43bとに歯付ベルト44が架け渡されている。そして、歯付ベルト44と噛み合う歯付プレート45を直動アクチュエータ46で移動させることにより受け台10を反転(回転)させる。具体的には、歯付プレート45を
図2において左方向へ移動させると、歯付ベルト44は時計回り方向へ移動し、これに伴い支軸41が時計回り方向へ回転し、受け台10が時計回り方向(矢印C方向)へ反転する。
【0018】
以上のような並進機構30による並進動作と反転機構40による反転動作の組合せにより、受け台10上の刷版(図示省略)が、ストッカ200の貯版部201へ移載される。具体的には、並進機構30によって受け台10をストッカ200へ向けて並進させ、その後、反転機構40によって受け台10を反転させる。なお、受け台10は刷版を真空吸着する機構(図示省略)を備えており、反転が完了するまでは刷版を真空吸着し、反転が完了したら真空吸着を解除する。
このように本実施形態において受け台10は、受け取った刷版を一側(
図2において右側)にのみ移載する。
【0019】
なお、刷版をストッカ200へ移載する機構は、本実施形態の機構(並進機構30及び反転機構40)には限定されず、例えば受け台10に搬送ベルトを設ける機構としてもよい。
【0020】
次に、受け台10を鉛直軸周りに回転させる回転機構20について説明する。
本実施形態において回転機構20は、回転テーブル21を鉛直軸周りに回転させることで、この回転テーブル21上に設置されている受け台10を鉛直軸周りに回転させる。
回転テーブル21は、詳細は後述する移動機構50を構成する移動テーブル51上に回転可能に保持されている。具体的には、回転テーブル21の下面に円環状のギヤ22が固定されており、このギヤ22が移動テーブル51の上面に設けたギヤ受け23に回転可能に組み込まれている。また、ギヤ22には歯付ベルト24が巻回されており、この歯付ベルト24を回転モータ25で駆動することにより、ギヤ22及び回転テーブル21が鉛直軸周りに回転する。
【0021】
次に、受け台10を水平方向に移動させる移動機構50について説明する。
本実施形態において移動機構50は、移動テーブル51を水平方向に移動させることで、この移動テーブル51上に設置されている受け台10を水平方向に移動させる。
移動テーブル51の下面に一端側には、基台60の上面に設けられた直動ガイド部材52に沿って摺動する摺動部材53が固定されており、移動テーブル51の下面の他端側には基台60の上面を転動する車輪54が設けられている。また、移動テーブル51の下面には連結部材55が固定されており、移動テーブル51はこの連結部材55を介して、受け台10を移動させる方向に駆動する歯付ベルト56に連結されている。そして、この歯付ベルト24を回転モータ57に連結されたギヤ58で駆動することにより、移動テーブル51を水平方向(
図2において前後方向、
図3において左右方向)に移動させる。
【0022】
このように、本実施形態の刷版仕分装置100は、移動機構50による受け台10の移動と、回転機構20による受け台10の回転と組み合わせることで、受け台10が受け取った刷版を一側にのみ移載する簡単な構成であったとしても、
図1で説明したように、受け取った刷版を6台のストッカ200A~Fのいずれにも移載できる。
【符号の説明】
【0023】
100 刷版仕分装置
10 受け台
20 回転機構
21 回転テーブル
22 ギヤ
23 ギヤ受け
24 歯付ベルト
25 回転モータ
30 並進機構
31 直動モータ
32 並進部材
33 並進ガイド
40 反転機構
41 支軸
42 連結部材
43a,43b プーリ
44 歯付ベルト
45 歯付プレート
46 直動アクチュエータ
50 移動機構
51 移動テーブル
52 直動ガイド部材
53 摺動部材
54 車輪
55 連結部材
56 歯付ベルト
57 回転モータ
58 ギヤ
60 基台
200,200A~F ストッカ
201 貯版部