(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】管状成形体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A47G21/18
(21)【出願番号】P 2019154212
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-06-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成30年12月12日 中日新聞紙面における公開等 (2)平成31年1月30日 平和メディク株式会社のウェブサイトにおける公開 (3)平成30年12月11日 日本紙通商株式会社中部支社における販売等
(73)【特許権者】
【識別番号】391060546
【氏名又は名称】平和メディク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】上田 真一
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209152984(CN,U)
【文献】登録実用新案第3216663(JP,U)
【文献】特開2019-064659(JP,A)
【文献】特開平06-133840(JP,A)
【文献】中国実用新案第208603016(CN,U)
【文献】韓国公開特許第2020-0025650(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状に成形された管状成形体であって、
帯状の紙材である第1帯状部材が管路を構成するように螺旋状に巻かれることによって形成された第1螺旋状部と、
帯状の紙材である第2帯状部材が前記第1螺旋状部の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成された第2螺旋状部と、
帯状の紙材である第3帯状部材が前記第2螺旋状部の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成された第3螺旋状部と、を備え、
前記第2螺旋状部は
、
前記第1螺旋状部における螺旋状となっている前記第1帯状部材の長手方向の辺を前記第2帯状部材で覆うように形成されて
おり、
前記第3螺旋状部は、
前記第2螺旋状部における螺旋状となっている前記第2帯状部材の長手方向の辺を前記第3帯状部材で覆うように形成されており、
螺旋状となっている前記第3帯状部材の長手方向の辺において、前記第3帯状部材を重畳させるように形成されており、
前記管路の径方向において、前記第3帯状部材の長手方向の辺が前記第1帯状部材の長手方向の辺および前記第2帯状部材の長手方向の辺とは交わらないように形成されている
ことを特徴とする管状成形体。
【請求項2】
管状に成形された管状成形体の製造方法であって、
回転する芯棒によって、帯状の紙材である第1帯状部材を螺旋状に巻取るとともに、螺旋状の前記第1帯状部材を覆うように帯状の紙材である第2帯状部材を螺旋状に巻取り、さらに、螺旋状の前記第2帯状部材を覆うように帯状の紙材である第3帯状部材を螺旋状に巻取る巻取り工程、
を有し、
前記巻取り工程は、前記第2帯状部材が前記第1帯状部材の長手方向の辺を覆うとともに、前記第3帯状部材が前記第2帯状部材の長手方向の辺を覆うように、前記第1帯状部材と前記第2帯状部材と前記第3帯状部材とを巻取る工程であって、前記第3帯状部材を巻取るときには、螺旋状となっている前記第3帯状部材の長手方向の辺において、前記第3帯状部材を重畳させるとともに、前記第3帯状部材の長手方向の辺が前記第1帯状部材の長手方向の辺および前記第2帯状部材の長手方向の辺とは交わらないように巻取る
ことを特徴とする管状成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙材からなる管状成形体およびその製造方法に関し、特に、紙製のストローおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙材からなる管状成形体である紙製のストローとしては、紙材である2つの帯状部材が積層されるように螺旋状に巻かれることによって形成された2層構造のものがあった。このような紙製のストローにおいては、飲料品の飲用に使用するために、外面と内面ではコーティング剤による撥水性が備わっているととともに、2層の層間ではヒートシールによって接着されているものであった(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の紙製のストローでは、コーティング剤を塗布した紙材である帯状部材が螺旋状に巻かれて管状とされたものであるため、螺旋状に巻かれた帯状部材の隙間から液体が漏れたり浸み出したりしてしまい、ストローとしての用途において必要な液体に対する耐水性が不十分である、という問題があった。また、使用者が使用するときの上下の唇での圧力や指で挟持したときの圧力によって変形しやいといったように、外圧に対する強度が不十分である、といった問題もあった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、紙材からなる管状成形体であって、ストローとして使用するときに十分な耐水性および外圧に対する十分な強度を有する管状成形体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
本発明の適用例の一つである管状成形体(1)は、管状に成形された管状成形体(1)であって、帯状の紙材である第1帯状部材(12)が管路(5)を構成するように螺旋状に巻かれることによって形成された第1螺旋状部(10)と、帯状の紙材である第2帯状部材(22)が前記第1螺旋状部の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成された第2螺旋状部(20)と、帯状の紙材である第3帯状部材(32)が前記第2螺旋状部の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成された第3螺旋状部(30)と、を備え、前記第2螺旋状部は、前記第1螺旋状部における螺旋状となっている前記第1帯状部材の長手方向の辺(15a,15b)を前記第2帯状部材で覆うように形成されており、前記第3螺旋状部は、前記第2螺旋状部における螺旋状となっている前記第2帯状部材の長手方向の辺(25a,25b)を前記第3帯状部材で覆うように形成されており、螺旋状となっている前記第3帯状部材の長手方向の辺(35a,35b)において、前記第3帯状部材を重畳させるように形成されており、前記管路の径方向において、前記第3帯状部材の長手方向の辺が前記第1帯状部材の長手方向の辺および前記第2帯状部材の長手方向の辺とは交わらないように形成されていることを要旨とする。
【0011】
本発明の適用例の一つである管状に成形された管状成形体(1)を製造する製造方法であって、回転する芯棒(155)によって、帯状の紙材である第1帯状部材(12)を螺旋状に巻取るとともに、前記第1帯状部材を覆うように帯状の紙材である第2帯状部材(22)を螺旋状に巻取り、螺旋状の前記第2帯状部材を覆うように帯状の紙材である第3帯状部材(32)を螺旋状に巻取る巻取り工程、を有し、前記巻取り工程は、前記第2帯状部材が前記第1帯状部材の長手方向の辺(15a,15b)を覆うとともに、前記第3帯状部材が前記第2帯状部材の長手方向の辺(25a,25b)を覆うように、前記第1帯状部材と前記第2帯状部材と前記第3帯状部材とを巻取る工程であって、前記第3帯状部材を巻取るときには、螺旋状となっている前記第3帯状部材の長手方向の辺(35a,35b)において、前記第3帯状部材を重畳させるとともに、前記第3帯状部材の長手方向の辺が前記第1帯状部材の長手方向の辺および前記第2帯状部材の長手方向の辺とは交わらないように巻取ることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1-1】(a)は、本実施形態の管状成形体1の全体の正面図であり、(b)は、管状成形体1の概略構成を示す斜視図である。
【
図1-2】管状成形体1の管路5の軸方向における断面の部分拡大図である。
【
図2-1】管状成形体1の製造装置100の概略構成を示す図である。
【
図2-2】管状成形体1の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0015】
<管状成形体1の構成>
図1-1(a),(b)および
図1-2を参照して、まず、本実施形態の管状成形体1の構成について説明する。
図1-1(a)は、本実施形態の管状成形体1の全体の正面図であり、
図1-1(b)は、管状成形体1の概略構成を示す斜視図である。
図1-2は、管状成形体1の管路5の軸方向における断面の部分拡大図である。
【0016】
図1-1(a),(b)に示すように、管状成形体1は、液体等が通過するための管路5(本実施形態では、直径が6.0mmで、長さが210mmである。)を有するとともに、紙材からなる管状に成形された成形体であり、例えば、液体飲料等を飲むためのストローとして使用するものである。また、管状成形体1は、内側で管路5を構成する第1螺旋状部10と、第1螺旋状部10の外周に形成された第2螺旋状部20と、第2螺旋状部20の外周に形成された第3螺旋状部30と、から構成された3層構造となっている。なお、第1螺旋状部10と第2螺旋状部20との間、第2螺旋状部20と第3螺旋状部30との間、および後述する第3螺旋状部30における第3帯状部材32の重畳している部分においては、接着剤(本実施形態では、10%のポリビニルアルコールを含有する接着剤である。)によって接着されている。
【0017】
第1螺旋状部10は、厚さ110μmで幅13.5mmの帯状の紙材である第1帯状部材12が、管路5を構成するように螺旋状に巻かれることによって形成されたものである。また、第2螺旋状部20は、厚さ110μmで幅14.0mmの帯状の紙材である第2帯状部材22が、第1螺旋状部10の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成されたものである。さらに、第3螺旋状部30は、厚さ60μmで幅15.0mmの帯状の紙材である第3帯状部材32が、第2螺旋状部20の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成されたものである。また、第3螺旋状部30は、第3帯状部材32における長手方向の一方の辺である第1長辺部35aが、長手方向の他方の辺である第2長辺部35bに対して、0.5~1.0mmの幅で重畳するように螺旋状に巻かれている。なお、第1帯状部材12および第2帯状部材22は、耐水性を有した紙材(所謂、カップ原紙である。)であり、第3帯状部材32は、片面において平滑に仕上げられた紙材(所謂、片艶クラフト紙である。)である。
【0018】
図1-2に示すように、第1螺旋状部10においては、第1帯状部材12における長手方向の一方の辺である第1長辺部15aと長手方向の他方の辺である第2長辺部15bとが接するように螺旋状に巻かれることによって、管路5の壁面が構成されている。また、第2螺旋状部20においては、第2帯状部材22における長手方向の一方の辺である第1長辺部25aと長手方向の他方の辺である第2長辺部25bとが接するように、第1螺旋状部10の外周に沿って螺旋状に巻かれている。さらに、管状成形体1は、断面において、第1帯状部材12の第1長辺部15aおよび第2長辺部15bの管路5の軸に対してなす角θ1、第2帯状部材22の第1長辺部25aおよび第2長辺部25bの管路5の軸に対してなす角θ2、第3帯状部材32の第1長辺部35aおよび第2長辺部35bの管路5の軸に対してなす角θ3、の各々が40~50度となるように形成されている(本実施形態では、θ1が42度、θ2が42度、θ3が45度である。)。
【0019】
そして、管状成形体1において、第2螺旋状部20である第2帯状部材22が第1螺旋状部10の外周に沿って巻かれている状態では、第1螺旋状部10における第1帯状部材12の第1長辺部15aおよび第2長辺部15bが、第2帯状部材22によって覆われるような状態となっている。そしてまた、管状成形体1において、第3螺旋状部30である第3帯状部材32が第2螺旋状部20の外周に沿って巻かれている状態では、第2螺旋状部20における第2帯状部材22の第1長辺部25aおよび第2長辺部25bが、第3帯状部材32によって覆われるような状態となっている。そしてさらに、管状成形体1は、管路5の径方向(管状成形体1の正面)において透過したように見た場合に、第1帯状部材12の第1長辺部15aおよび第2長辺部15bと、第2帯状部材22の第1長辺部25aおよび第2長辺部25bと、第3帯状部材32の第1長辺部35aおよび第2長辺部35bと、の各々が交わらないように形成されている。
【0020】
<管状成形体1の製造方法>
図2-1、
図2-2を参照して、ここで、管状成形体1の製造方法について説明する。
図2-1は、管状成形体1の製造装置100の概略構成を示す図である。
図2-2は、管状成形体1の製造方法を説明するフローチャートである。
【0021】
図2-1に示すように、製造装置100は、帯状部材供給装置110、接着剤塗布装置120、テンションガイド130、巻取り装置140、マンドレル回転装置150、裁断装置160、を備えている。帯状部材供給装置110は、第1帯状部材12等の3つの帯状部材をマンドレル回転装置150のマンドレル155に供給可能にするために、第1帯状部材12、第2帯状部材22、および第3帯状部材32の各々が巻かれた図示しない3つのリールを回転可能に固定する装置である。接着剤塗布装置120は、帯状部材供給装置110から供給された第2帯状部材22および第3帯状部材32に対して接着剤を塗布する装置である。テンションガイド130は、マンドレル回転装置150のマンドレル155に供給される第1帯状部材12等の帯状部材における弛みやねじれ等が生じないようにするために、帯状部材供給装置110と巻取り装置140との間の第1帯状部材12、第2帯状部材22、および第3帯状部材32を支持することによってテンションを保持する装置である。
【0022】
マンドレル回転装置150は、第1帯状部材12等の3つの帯状部材を螺旋状に巻き取るための回転軸であるマンドレル155(本実施形態では、外径が6.0mmのものである。)を備えており、このマンドレル155を回転させる装置である。巻取り装置140は、巻取りベルトによって、帯状部材供給装置110から供給される第1帯状部材12等の3つの帯状部材をマンドレル155に螺旋状に巻き取り締めるための装置である。裁断装置160は、マンドレル155において、螺旋状に巻き取られた第1帯状部材12、第2帯状部材22、および第3帯状部材32を所定の長さに裁断する装置である。なお、裁断装置160は、第1帯状部材12等の裁断時に発生する粉末状の紙等について、集積するための図示しないブラシと、吸引するための図示しない集塵器と、を有する。
【0023】
図2-2に示すように、管状成形体1の製造方法では、製造装置100において、帯状部材巻出し工程と、接着剤塗布工程と、帯状部材巻取り工程と、裁断工程と、が実行される。まず、帯状部材巻出し工程では、巻取り装置140の巻取りベルトが作動することによって、第1帯状部材12等の3つの帯状部材が、帯状部材供給装置110から巻き出されるとともに、接着剤塗布装置120に供給される。次に、接着剤塗布工程では、接着剤塗布装置120において、帯状部材供給装置110から供給された第2帯状部材22に対しては両面に接着剤が塗布され、第3帯状部材32に対しては第2螺旋状部20に接する方の面に接着剤が塗布され、第1帯状部材12に対しては接着剤が塗布されないで、これら3つの帯状部材をマンドレル155に供給する。
【0024】
次に、帯状部材巻取り工程では、接着剤塗布工程で接着剤が塗布された第2帯状部材22および第3帯状部材32と、接着剤が塗布されていない第1帯状部材12と、がマンドレル回転装置150によって回転されているマンドレル155に巻取られることによって、螺旋状の3つの螺旋状部が形成されるとともに、接着剤が塗布された面において螺旋状部が接着される。この帯状部材巻取り工程においては、第1帯状部材12、第2帯状部材22、および第3帯状部材32は、マンドレル155の軸に対して各々のなす角が40~50度となるように進入して(本実施形態では、第1帯状部材12が42度、第2帯状部材22が42度、第3帯状部材32が45度である。)巻取られることによって、螺旋状の第1螺旋状部10、第2螺旋状部20、および第3螺旋状部30が形成されることとなる。また、帯状部材巻取り工程においては、まずは、第1帯状部材12がマンドレル155に巻取られ、次に、第2帯状部材22が第1帯状部材12の長手方向の辺を覆うように巻取られ、そして、第3帯状部材32が第2帯状部材22の長手方向の辺を覆うように巻取られることによって、3つの帯状部材が3層に積層された構造となる。
【0025】
なお、このように帯状部材巻取り工程における3つの帯状部材が3層に積層された構造では、両面に接着剤が塗布された第2帯状部材22の一方の面が第1螺旋状部10の外周面となる第1帯状部材12の一方の面に対して接着され、第3帯状部材32の接着剤が塗布された面が第2螺旋状部20の外周面となる第2帯状部材22の接着剤が塗布された他方の面に対して接着されることとなる。また、第3帯状部材30における第3帯状部材32の重畳している部分では、第3帯状部材32の接着剤が塗布された一方の面が第3螺旋状部30の外周面となる接着剤が塗布されていない他方の面に対して接着された状態となっている。つまり、帯状部材巻取り工程によって、管状成形体1において、第1螺旋状部10の外周面と第2螺旋状部20の内周面との間、第2螺旋状部20の外周面と第3螺旋状部30の内周面との間、第3螺旋状部30における第3帯状部材32の重畳している部分、とでは巻取り装置140の巻取りベルトによって巻取り締められるとともに接着剤によって強固に接着されるような構造とすることができる。特に、第2螺旋状部20の外周面と第3螺旋状部30の内周面との間では、接着剤が塗布された面同士が接着されているため、特に強固に接着されることとなる。
【0026】
そして、裁断工程では、マンドレル155に巻取られることにより3層に積層されるとともに管状に形成された第1帯状部材12、第2帯状部材22、および第3帯状部材32を所定の長さ(本実施形態では、210mmである。)に裁断することによって、管状成形体1が製造される。なお、上述の接着剤塗布工程の後であって帯状部材巻取り工程の前においては、接着剤を塗布した第2帯状部材22に対して、図示しない熱風発生装置で発生させた熱風を吹き付けることによって、接着剤を少し乾燥させる工程を実行してもよい。このような工程を実行すると、接着剤を少し乾燥させることによって、接着力を効率的に作用させることができるような状態で3つの帯状部材をマンドレル155に巻取ることができる。
【0027】
<管状成形体1の特徴>
上述の実施形態の管状成形体1によれば、帯状の紙材である第1帯状部材12が管路5を構成するように螺旋状に巻かれることによって形成された第1螺旋状部10と、帯状の紙材である第2帯状部材22が第1螺旋状部10の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成された第2螺旋状部20と、を備え、第2螺旋状部20は、第1螺旋状部10における螺旋状となっている第1帯状部材12の長手方向の辺である第1長辺部15aと第2長辺部15bとを第2帯状部材22で覆うように形成されている。
【0028】
このような管状成形体1であれば、管路5の螺旋状の継ぎ目である第1螺旋状部10における第1帯状部材12の長手方向の辺である第1長辺部15aと第2長辺部15bとが第2帯状部材22で覆われるようにすることができる。したがって、このような構成の管状成形体1であれば、このような構造でない従来品の紙製のストローに比べて、管路を通過する液体が管路の継ぎ目を介して外側へ漏れたり、外側の液体が管路の継ぎ目を介して管路内に浸み込んだりするようなことをより防止することができる。つまり、このような紙材からなる管状成形体であれば、ストローとしての用途において必要な液体に対する耐水性が十分のものとすることができる。
【0029】
また、上述の実施形態の管状成形体1によれば、帯状の紙材である第3帯状部材32が第2螺旋状部20の外周に沿って螺旋状に巻かれることによって形成された第3螺旋状部30、を備え、第3螺旋状部30は、第2螺旋状部20における螺旋状となっている第2帯状部材22の長手方向の辺である第1長辺部25aと第2長辺部25bとを第3帯状部材32で覆うように形成されていてもよい。このような管状成形体1であれば、さらに、第2螺旋状部20における螺旋状の継ぎ目である第2帯状部材22の長手方向の辺の第1長辺部25aと第2長辺部25bとが第3帯状部材32で覆われた3層構造にすることができる。したがって、このような構成の管状成形体1であれば、このような構造でない従来品の紙製のストローに比べて、管路を通過する液体が外側へ漏れたり、外側の液体が管路内に浸み込んだりするようなことをさらに防止することができる。また、このような3層構造の管状成形体1であれば、2層構造の従来品の紙製のストローに比べて、使用者が使用するときの外圧によって変形しにくいものとすることができる。つまり、このような紙材からなる管状成形体であれば、ストローとして使用するときに十分な耐水性および外圧に対する十分な強度を有するものとすることができる。
【0030】
さらに、上述の実施形態の管状成形体1によれば、第3螺旋状部30は、螺旋状となっている第3帯状部材32の長手方向の辺である第1長辺部35aおよび第2長辺部35bにおいて、第3帯状部材32を重畳させるように形成されていてもよい。このような管状成形体1であれば、最も外側となり液体と接触する第3螺旋状部30における螺旋状の継ぎ目である第3帯状部材32の長手方向の辺の第1長辺部35aおよび第2長辺部35bにおいて、第3帯状部材32を重畳させる(重ならせる)ようにすることができる。したがって、このような構成の管状成形体1であれば、このような構造でない従来品の紙製のストローに比べて、管状成形体1の外側の液体が内部に浸み込むことをより防止することができる。
【0031】
そして、上述の実施形態の管状成形体1によれば、第3螺旋状部30は、管路5の径方向において、第3帯状部材32の長手方向の辺である第1長辺部35aおよび第2長辺部35bが第1帯状部材12の長手方向の辺である第1長辺部15aと第2長辺部15bおよび第2帯状部材22の長手方向の辺である第1長辺部25aと第2長辺部25bとは交わらないように形成されていてもよい。このような管状成形体1であれば、第1螺旋状部10、第2螺旋状部20、および第3螺旋状部30の各々の継ぎ目が交わらないような構造にすることができる。したがって、このような構成の管状成形体1であれば、このような構造でない従来品の紙製のストローに比べて、継ぎ目を介して、管路を通過する液体が外側へ漏れたり、外側の液体が浸み込んだりするようなことをより防止することができる。
【0032】
上述の実施形態の管状成形体1を製造する製造方法によれば、回転する芯棒であるマンドリル155によって、帯状の紙材である第1帯状部材12を螺旋状に巻取るとともに、第1帯状部材12を覆うように帯状の紙材である第2帯状部材22を螺旋状に巻取る巻取り工程、を有し、巻取り工程では、第2帯状部材22が第1帯状部材12の長手方向の辺である第1長辺部15aと第2長辺部15bとを覆うように、第1帯状部材12と第2帯状部材22とを巻取っている。このような管状成形体1の製造方法であれば、管路5の螺旋状の継ぎ目である第1螺旋状部10における第1帯状部材12の長手方向の辺の第1長辺部15aと第2長辺部15bとが第2帯状部材22で覆われるような管状成形体1を製造することができる。したがって、このような製造方法であれば、従来品の紙製のストローに比べて、管路を通過する液体が管路の継ぎ目を介して外側へ漏れたり、外側の液体が管路の継ぎ目を介して管路内に浸み込んだりするようなことをより防止可能な管状成形体1を製造することができる。
【0033】
また、上述の実施形態の管状成形体1を製造する製造方法によれば、巻取り工程では、第2帯状部材12を覆うように帯状の紙材である第3帯状部材32を螺旋状に巻取る工程であって、第3帯状部材32が第2帯状部材22の長手方向の辺である第1長辺部25aと第2長辺部25bとを覆うように、第3帯状部材32を巻取るようにしてもよい。このような管状成形体1の製造方法であれば、第2螺旋状部20における螺旋状の継ぎ目である第2帯状部材22の長手方向の辺の第1長辺部25aと第2長辺部25bとが第3帯状部材32で覆われた3層構造の管状成形体1を製造することができる。したがって、このような製造方法であれば、従来品の紙製のストローに比べて、管路内の液体が外側へ漏れたり、外側の液体が浸み込んだりするようなことをさらに防止することができるとともに、2層構造の従来品の紙製のストローに比べて、使用者が使用するときの外圧によって変形しにくい3層構造の管状成形体を製造することができる。
【0034】
<その他の実施形態>
上述した実施形態の製造方法において、直径6.0mmの管路5が形成された管状成形体1が製造されるとしたが、種々の直径の管路が形成された管状成形体を製造してもよい。例えば、上述の製造方法であって、第1帯状部材12等は同様の紙材を利用するものとして、外径が7.0mmのマンドレルを使用することによって、直径7.0mmの管路が形成された管状成形体を製造することができる。この場合には、上述の実施形態とは異なり、帯状部材巻取り工程において、第1帯状部材12、第2帯状部材22、および第3帯状部材32は、マンドレルの軸に対して各々のなす角が53~63度となるように進入して(具体的には、第1帯状部材12が55度、第2帯状部材22が55度、第3帯状部材32が58度である。)巻取られることによって、螺旋状の第1螺旋状部、第2螺旋状部、および第3螺旋状部が形成されることとなる。つまり、上述した実施形態であれば、マンドレルや帯状部材巻取り工程における帯状部材の巻取られる角度を種々の態様に変更することで、上述の管状成形体1と同様の効果を奏する種々の管状成形体を製造することができる。
【0035】
上述した実施形態の管状成形体1において、第1螺旋状部10の第1帯状部材12の第1長辺部15aと第2長辺部15bとの継ぎ目、および第2螺旋状部20の第2帯状部材22の第1長辺部25aと第2長辺部25bとの継ぎ目は接触しており空隙がないものとしたが、種々の構造の管状成形体であってもよい。例えば、第1帯状部材12の第1長辺部15aと第2長辺部15bとの継ぎ目、および第2帯状部材22の第1長辺部25aと第2長辺部25bとの継ぎ目において、各々の第1長辺部と第2長辺部とが接触しておらず空隙が設けられていてもよい。このような構造の管状成形体であっても、第1螺旋状部10の継ぎ目は第2帯状部材22によって覆われており、第2螺旋状部20の継ぎ目は第3帯状部材32によって覆われているため、上述の管状成形体1と同様の効果を奏することができる。また、第1帯状部材12の第1長辺部15aと第2長辺部15bとの継ぎ目、および第2帯状部材22の第1長辺部25aと第2長辺部25bとの継ぎ目において、各々の第1長辺部と第2長辺部とが重畳していてもよい。このような構造の管状成形体であっても、上述の管状成形体1と同様の効果を奏することができる。
【0036】
上述した実施形態の管状成形体1において、第1帯状部材12等の紙材としては所定の紙材を利用し、接着剤としては所定の接着剤を利用したが、紙材や接着剤としては種々のものを利用してもよい。例えば、紙材としては、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂をパラフィンに溶解させた溶液を表面に塗布させたものを利用してもよい。このような紙材であれば、撥水性を加味させたものであるため、より耐水性の強い管状成形体にすることができる。
【0037】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…管状成形体、5…管路、10…第1螺旋状部、12…第1帯状部材、15a,25a,35a…第1長辺部、15b,25b,35b…第2長辺部、20…第2螺旋状部、22…第2帯状部材、30…第3螺旋状部、32…第3帯状部材、100…製造装置、110…帯状部材供給装置、120…接着剤塗布装置、130…テンションガイド、140…巻取り装置、150…マンドレル回転装置、155…マンドレル、160…裁断装置。