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  • 特許-調理容器用ハンドル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】調理容器用ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A47J 45/06 20060101AFI20230829BHJP
   A47J 45/07 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A47J45/06 B
A47J45/07 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019165605
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021040974
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】益満 孝久
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-164253(JP,A)
【文献】特開2017-113355(JP,A)
【文献】特表2013-516202(JP,A)
【文献】実開昭54-129456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 45/06
A47J 45/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口し、側縁に取手部を備えた容器本体と、小径の軸部と大径の頭部とを有するつまみを上面に備えて前記容器本体の前記開口を閉塞する蓋体と、からなる調理容器の少なくとも前記蓋体を持ち運ぶための調理容器用ハンドルであって、
把持部と、前記把持部から前方に延びる第1板部と、前記第1板部の前端から下方へ折曲形成される第2板部と、前記第2板部の下端から前方へ折曲形成される第3板部と、を有し、
前記第3板部に、前記軸部を先端から挿入可能なスリットが形成されて、前記第3板部は、前記スリットに前記軸部を挿入させた状態で前記頭部の下面に当接可能である一方、
前記第2板部に、前記第1板部よりも下方に位置し、前記スリットに前記軸部を挿入させた状態で前記頭部の上面に当接して前記第3板部との間で前記頭部を挟持可能な押さえ片が形成されて、
前記スリットに前記軸部を挿入させて前記第3板部と前記押さえ片とで前記頭部を挟持して前記蓋体を裏返した状態で、前記第1板部を平面上に載置することで、前記蓋体を当該平面に接触させずに支持可能となることを特徴とする調理容器用ハンドル。
【請求項2】
前記取手部に係止して前記容器本体を持ち上げ可能な本体側係止部をさらに備え、
前記本体側係止部は、前記第3板部の先端側で前記スリットの両側に形成されて前記取手部に設けた係止孔に差し込み係止可能な一対の係止爪であることを特徴とする請求項に記載の調理容器用ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル等に収容して用いられる調理容器を持ち運ぶために使用される調理容器用ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルコンロ等に設けられるグリルでは、調理容器を用いて被調理物の加熱調理が行われる場合がある。この調理容器は、特許文献1に開示されるように、上面を開口した容器本体と、容器本体の開口を閉塞する蓋体とを有し、内部に魚等の被調理物を収容してグリル庫内で加熱することで加熱調理が行える。
また、この調理容器では、容器本体と蓋体との左右に取手部を設けると共に、その取手部にハンドル差込穴を設けて、調理後にグリル庫から取り出す際や蓋体を取り外す際には、ハンドル差込穴に調理容器用ハンドルを差し込んで手を触れずに持ち運びできるようになっている。特に蓋体では、中央につまみを設けて、蓋体の着脱や持ち運びを容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-50947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の調理容器においては、容器本体と蓋体とにそれぞれ取手部とハンドル差込穴とが設けられているため、それぞれに対して調理容器用ハンドルを着脱するために蓋体側の取手部を容器本体側の取手部よりも上側に距離をおいて形成している。このため取手部での容器本体と蓋体との間の密閉性が得られない。また、蓋体の取手部が上方へ突出することで見栄えもよくなかった。
また、調理容器用ハンドルを用いて蓋体を取り外した際、取り外した蓋体の置き場所に困る場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、調理容器の密閉性及びデザイン性を向上させると共に、取り外した蓋体の一時置きも容易に行える調理容器用ハンドルを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、上面を開口し、側縁に取手部を備えた容器本体と、小径の軸部と大径の頭部とを有するつまみを上面に備えて容器本体の開口を閉塞する蓋体と、からなる調理容器の少なくとも蓋体を持ち運ぶための調理容器用ハンドルであって、
把持部と、把持部から前方に延びる第1板部と、第1板部の前端から下方へ折曲形成される第2板部と、第2板部の下端から前方へ折曲形成される第3板部と、を有し、
第3板部に、軸部を先端から挿入可能なスリットが形成されて、第3板部は、スリットに軸部を挿入させた状態で頭部の下面に当接可能である一方、
第2板部に、第1板部よりも下方に位置し、スリットに軸部を挿入させた状態で頭部の上面に当接して第3板部との間で頭部を挟持可能な押さえ片が形成されて、
スリットに軸部を挿入させて第3板部と押さえ片とで頭部を挟持して蓋体を裏返した状態で、第1板部を平面上に載置することで、蓋体を当該平面に接触させずに支持可能となることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項の構成において、取手部に係止して容器本体を持ち上げ可能な本体側係止部をさらに備え、
本体側係止部は、第3板部の先端側でスリットの両側に形成されて取手部に設けた係止孔に差し込み係止可能な一対の係止爪であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、つまみを利用して蓋体が持ち運び可能となる。よって、蓋体に持ち運び用の取手部を設ける必要がなくなり、調理容器の密閉性及びデザイン性を向上させることができる。また、取り外した蓋体の裏返した状態での一時置きも容易に可能となり、使い勝手が向上する。
特に、スリットに軸部を挿入させた状態で頭部の下面に当接する第3板部と、頭部の上面に当接する押さえ片とを含んでなる構成としているので、蓋体への係止が容易に行えると共に、第3板部と押さえ片とによって裏返した蓋体も安定して支持可能となる。
請求項に記載の発明によれば、上記効果に加えて、容器本体を持ち上げ可能な本体側係止部をさらに備え、当該本体側係止部を、第3板部の先端側でスリットの両側に形成されて取手部に設けた係止孔に差し込み係止可能な一対の係止爪としているので、容器本体への係止も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】調理容器用ハンドルの斜視図である。
図2】調理容器用ハンドルの説明図で、(A)は正面、(B)は側面、(C)は平面をそれぞれ示す。
図3】調理容器の斜視図である。
図4】(A)(B)は調理容器用ハンドルで蓋体を持ち上げる手順を示す説明図である。
図5】調理容器用ハンドルで蓋体を一時置きした状態の側面図である。
図6】調理容器用ハンドルで容器本体を持ち上げる状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、調理容器用ハンドルの一例を示す斜視図、図2は、正面、側面、平面の三面図である。この調理容器用ハンドル(以下単に「ハンドル」という。)1は、帯状の金属板の一端に先端係止部2を折曲形成してなる。金属板の他端には、ゴムで被覆される把持部3が形成されている。
先端係止部2は、長手方向前方へ延びる第1板部4と、第1板部4の前端から下方へ略直角に折曲形成される第2板部5と、第2板部5の下端から前方へ略直角に折曲形成される第3板部6とを有する。第1板部4は、把持部3よりも長く形成されている。
【0010】
第3板部6は、左右方向の中央に、先端側から切り込まれるスリット7が形成された二股状となっている。スリット7の終端は、第2板部5に至り、当該終端には、第3板部6の上方で前方へ向けて押さえ片8が立ち上げ形成されている。
また、第3板部6の先端には、一対の係止爪9,9が形成されている。この係止爪9,9は、第3板部6からやや下向きに傾斜して、スリット7によって分割される第3板部6の左右部分よりも小さい幅で左右方向の中央寄りにそれぞれ形成されている。これにより係止爪9,9の左右外側には、係止爪9,9よりも後退する一対のストッパ10,10が形成されている。
【0011】
図3は、ハンドル1が使用される調理容器20を示す。
調理容器20は、上面を開口させた箱状の容器本体21と、その容器本体21の開口を閉塞する蓋体22とからなる鉄製である。容器本体21は、四隅をR形状として底面を波形形状とした平面視矩形状で、左右の長手両辺には、取手部23,23が突設されている。各取手部23には長手方向に延びる係止孔24がそれぞれ形成されている。
ここで、ハンドル1の係止爪9,9の左右方向の外寸法は、係止孔24の長手方向の寸法よりも小さくなっている。すなわち、係止爪9,9を係止孔24へ同時に差し込み可能となっている。
【0012】
蓋体22は、容器本体21と平面視が同形状で下面が開口し、外周に、容器本体21の開口に合致するフランジ部25を周設した浅箱状となっている。
また、蓋体22の上面中央には、上方に突出するつまみ26が設けられている。このつまみ26は、蓋体22に結合される軸部27と、軸部27の上端へ一体に形成されて軸部27よりも大径となる頭部28とからなる黄銅製である。軸部27には、蓋体22の短手方向に一対の面取が施されて二面幅部29が形成されている。
ここで、ハンドル1の第3板部6と押さえ片8との間の間隔は、頭部28の厚みよりも僅かに大きくなっている。
【0013】
以上の如く構成されたハンドル1は、蓋体22単独での持ち運びと、蓋体22の有無にかかわらない容器本体21の持ち運びとが共に行える。
まず、蓋体22を持ち運ぶ際は、図4(A)に示すように、短手方向でつまみ26の外側において、把持部3を把持して、第1板部4が蓋体22の上面と略平行となり、且つ第3板部6及び係止爪9,9も蓋体22の上面と略平行となる横向き姿勢とする。そして、そのまま第3板部6を軸部27に向けて、スリット7に二面幅部29を導くようにハンドル1を蓋体22の上方でスライドさせる。
すると、図4(B)に示すように、二面幅部29がスリット7に挿入すると共に、頭部28が第3板部6と押さえ片8との間に進入する。軸部27がスリット7の後端に到達すると、頭部28が第3板部6と押さえ片8との間に挟持され、つまみ26が先端係止部2に係止した状態となる。
【0014】
よって、そのままハンドル1によって蓋体22を持ち上げることができる。ハンドル1を取り外す際はこれと逆に、スリット7から軸部27を抜き取る方向へハンドル1を外側へスライドさせればよい。
そして、持ち上げた蓋体22を一時置きする場合は、図5に示すように、ハンドル1を蓋体22ごと裏返して把持部3と第1板部4とをキッチンカウンター等の平面P上に置けば、第2板部5が上向きとなって第3板部6を当該平面Pの上側に位置させる。よって、そのまま蓋体22を裏向きとした状態でハンドル1上で支持することができる。
【0015】
一方、容器本体21を持ち運ぶ際は、図6に示すように、把持部3を把持してハンドル1を下向きに姿勢にして、左右何れか一方の取手部23の外側から、係止爪9,9を係止孔24に差し込む。このとき、ストッパ10,10は取手部23の上面に当接して係止爪9,9の過度な差し込みを防止する。
この状態で、ハンドル1を外側へ倒すように傾けると、係止爪9,9が係止孔24の内側の内縁と外側と内縁とに当接して取手部23に係止するため、そのままハンドル1によって容器本体21を持ち上げることができる。
ハンドル1を取り外す際はこれと逆に、ハンドル1を内側へ倒せば係止爪9,9の係止が解除されるため、そのまま係止爪9,9を係止孔24から抜き取ればよい。
【0016】
このように、上記形態のハンドル1では、つまみ26に係止して蓋体22を持ち上げ可能な第3板部6及び押さえ片8(蓋体側係止部)と、第3板部6及び押さえ片8を下方側(厚み方向の何れか一方側)へ片寄せて支持する板状の第1板部4(平面載置部)と、を備え、第3板部6及び押さえ片8をつまみ26に係止させて蓋体22を裏返した状態で、第1板部4を平面P上に載置することで、蓋体22を当該平面Pに接触させずに支持可能となっている。
この構成により、つまみ26を利用して蓋体22が持ち運び可能となる。よって、蓋体22に持ち運び用の取手部を設ける必要がなくなり、調理容器20の密閉性及びデザイン性を向上させることができる。また、取り外した蓋体22の裏返した状態での一時置きも容易に可能となり、使い勝手が向上する。
【0017】
特にここでは、蓋体側係止部を、スリット7に軸部27を挿入させた状態で頭部28の下面に当接する第3板部6(下側板部)と、頭部28の上面に当接する押さえ片8(上側押さえ部)とを含んでなる構成としている。
よって、蓋体22への係止が容易に行えると共に、第3板部6と押さえ片8とによって裏返した蓋体22も安定して支持可能となる。
また、取手部23に係止して容器本体21を持ち上げ可能な本体側係止部をさらに備え、当該本体側係止部を、第3板部6の先端側でスリット7の両側に形成されて取手部23に設けた係止孔24に差し込み係止可能な一対の係止爪9,9としているので、容器本体21への係止も容易に行える。
【0018】
なお、本体側係止部としては一対の係止爪に限らず、幅が広い1つの係止爪としてもよい。ストッパは省略しても差し支えない。本体側係止部も省略可能である。
調理容器も上記形態に限らず適宜変更可能で、つまみの軸部に二面幅部を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1・・調理容器用ハンドル、2・・先端係止部、3・・把持部、4・・第1板部、5・・第2板部、6・・第3板部、7・・スリット、8・・押さえ片、9・・係止爪、10・・ストッパ、20・・調理容器、21・・容器本体、22・・蓋体、23・・取手部、24・・係止孔、26・・つまみ、27・・軸部、28・・頭部、29・・二面幅部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6