(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 21/22 20060101AFI20230829BHJP
B65G 17/22 20060101ALI20230829BHJP
A47G 23/08 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65G21/22 D
B65G17/22 A
A47G23/08 Z
(21)【出願番号】P 2019167907
(22)【出願日】2019-09-16
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】511305106
【氏名又は名称】アイカム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-215862(JP,A)
【文献】特開平07-144847(JP,A)
【文献】特開2017-035289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-69/34
A47G 1/00-35/00
B62D 1/00-67/00
G05D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲部を含むレールに沿って走行する荷台と、
前記荷台に取り付けられ、前記レールの一対の側面にそれぞれ接触する一対の案内ローラと、
前記側面に対する前記案内ローラの接触位置とは異なる位置において、前記側面に接触する追従ローラと、
前記追従ローラが前記側面から離れる方向に移動可能な状態で前記追従ローラを支持するとともに、前記追従ローラを前記側面に対して付勢する付勢機構と、
前記レールの内部に配置され、前記レールの一対の側面に沿ってそれぞれ移動する一対のレール側磁石と、
前記レールを挟んで対向する位置に配置され、前記レールの上面と直交する方向に延びる回転軸の周りで回転可能となるように前記荷台に取り付けられ、前記回転軸の方向から見たときに円形に形成されており、前記一対のレール側磁石にそれぞれ吸引される一対の搬送側磁石と、
を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記付勢機構は、
一端側で前記追従ローラを支持し、前記荷台に対して回転可能に取り付けられたアームと、
前記アームの他端側に接続され、前記側面に前記追従ローラを付勢するための付勢力を発生させる付勢部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記追従ローラが前記側面に近づく方向に移動するときの前記アームの回転運動に対して減衰力を与えるダンパを有することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記案内ローラは、
前記搬送側磁石の上方に配置される前記案内ローラと、
前記搬送側磁石の下方に配置される前記案内ローラと、
を含むことを特徴とする請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記追従ローラは、
前記一対の側面の一方に接触する前記追従ローラと、
前記一対の側面の他方に接触する前記追従ローラと、
を含むことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記追従ローラは、
前記荷台の走行方向における互いに異なる位置において、前記一対の側面の一方にそれぞれ接触する一対の前記追従ローラと、
前記荷台の走行方向における互いに異なる位置において、前記一対の側面の他方にそれぞれ接触する一対の前記追従ローラと、
を含むことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一つに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物や調理器具等が載置される搬送トレイを走行させる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
寿司店において、レールに沿って走行し、寿司や飲み物を直接注文客に届ける搬送装置が利用されている(例えば特許文献1を参照)。搬送装置の導入は、近年、焼肉店等においても進められている。以下、
図7を参照して、従来の搬送装置の構造を説明する。
【0003】
図7に示す搬送装置1000では、寿司や飲み物を搬送する搬送トレイ810が、レール92を跨ぐように配置される。レール92は、搬送路91の中央に配置され、レール92の内部にベルト93が設置される。
図7では、搬送トレイ810の底面側の構造やレール92の内部構造(一部)を示しているため、搬送トレイ810及びレール92を点線で示している。
【0004】
ベルト93には磁石94Aが固定される。搬送トレイ810の底面には、不図示の車輪と、ベルト93の磁石94Aに吸引される磁石20と、搬送トレイ810の走行方向で磁石20を挟むように位置してレール92の一方の側面に接する一対のガイドローラ410,420が設けられる。また、搬送トレイ810の底面には、一対のガイドローラ410,420とレール92を挟んで対向する一対のガイドローラ430,440が設けられ、一対のガイドローラ430,440は、レール92の他方の側面に接する。
【0005】
ベルト93の駆動によって磁石94Aを移動させると、磁石94A,20の吸引力によって、磁石20が移動することにより、搬送トレイ810が移動する。結果として、搬送装置1000がレール92に沿って走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した搬送装置1000では、ガイドローラ410,420やガイドローラ430,440が搬送トレイ810に固定されている。このため、搬送装置1000をレール92に沿って移動させるとき、レール92の曲部の曲率半径が小さくなるほど、一対のガイドローラ410,420のうちの一方のガイドローラや、一対のガイドローラ430,440のうちの一方のガイドローラがレール92の側面から離れやすくなる。ガイドローラがレール92の側面から離れても、磁石94A,20の吸引力によって、ガイドローラはレール92の側面に近づくが、このようなガイドローラの挙動によって、搬送装置1000の移動中にガタツキが発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明である搬送装置は、荷台と、一対の案内ローラと、追従ローラと、付勢機構とを有する。荷台は、レールに沿って走行することができる。一対の案内ローラは、荷台に取り付けられており、レールの一対の側面にそれぞれ接触する。追従ローラは、レールの側面に対する案内ローラの接触位置とは異なる位置において、レールの側面に接触する。付勢機構は、追従ローラがレールの側面から離れる方向に移動可能な状態において、追従ローラを支持する。また、付勢機構は、追従ローラをレールの側面に対して付勢する。
【0009】
付勢機構としては、アーム及び付勢部材によって構成することができる。アームは、この一端側において追従ローラを支持し、荷台に対して回転可能に取り付けられる。付勢部材は、アームの他端側に接続されており、レールの側面に追従ローラを付勢するための付勢力を発生させる。
【0010】
搬送装置には、ダンパを設けることができる。このダンパは、追従ローラがレールの側面に近づく方向に移動するときのアームの回転運動に対して減衰力を与える。レールの内部には、レールに沿って移動するレール側磁石を配置することができる。ここで、搬送装置には、レール側磁石に吸引される搬送側磁石を設けることができる。この搬送側磁石は、荷台に取り付けられる。
【0011】
上述した案内ローラには、搬送側磁石の上方に配置される案内ローラと、搬送側磁石の下方に配置される案内ローラと、を含めることができる。上述した追従ローラには、一対の側面の一方に接触する追従ローラと、一対の側面の他方に接触する追従ローラと、を含めることができる。また、上述した追従ローラには、荷台の走行方向における互いに異なる位置において、一対の側面の一方にそれぞれ接触する一対の追従ローラと、荷台の走行方向における互いに異なる位置において、一対の側面の他方にそれぞれ接触する一対の前記追従ローラと、を含めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一対の案内ローラを用いることにより、レールに沿って荷台を走行させることができる。また、案内ローラとは異なる追従ローラは、レールの側面から離れることができる状態において、レールの側面に付勢されるため、荷台がレールを走行するときに発生するガタツキを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】案内ローラ及び磁石の配置状態を示す図である。
【
図5】搬送装置の搬送方向と直交する方向における搬送装置の断面図である。
【
図6】レールの曲部を通過するときの搬送装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、搬送装置1を示す平面図である。
図1では、搬送装置1が直進するときの状態を示している。
図1では、搬送装置1の底面側の構造を示しているため、搬送装置1の上面側に配置される部材(後述する荷台81や搬送トレイT)は省略している。
【0015】
搬送装置1は、走行路91の幅方向中央に沿って設けられたレール92に沿って走行路91上を走行する。搬送装置1は荷台81を有し、荷台81には搬送トレイTが設置される。搬送トレイTの上面には、飲食物や調理器具等の物品が載置される。搬送装置1は、例えば寿司店等にて注文客への配膳のために利用される。レール92は、例えば、厨房から各客席までの経路に沿って設置される。搬送装置1は、注文客の客席まで移動して停止し、注文した物品が注文客によって搬送トレイTから取られた後、再度厨房に戻るように駆動される。
【0016】
搬送トレイTは、走行路91からはみ出さない範囲内において、例えば、複数の物品を載置可能な大きさに形成することができる。
図1の2点鎖線は、搬送トレイTの外縁を示す。荷台81は、レール92に着脱可能に設置され、レール92に沿って走行する。
図1の点線で示す四角い枠は、荷台81の外縁を示し、荷台81は、平坦な四角形状に形成されている。荷台81の底面には、後述するように、荷台81を走行させるための各部品が取り付けられる。なお、本実施形態では、荷台81及び搬送トレイTを別々の部材で構成しているが、荷台81及び搬送トレイTを一体的に構成することもできる。
【0017】
荷台81の4つの隅部には、ボールキャスター82がそれぞれ取り付けられる。ボールキャスター82は、荷台81に固定されるキャスター本体(不図示)と、車輪としての主ボール(不図示)と、主ボールを支持する複数の従ボール(不図示)とを有する。主ボール及び従ボールは、キャスター本体に対して回転可能に取り付けられている。
図4や
図5に示すように、ボールキャスター82の主ボールは、走行路91の上面と接触しており、任意の方向に回転することができる。
【0018】
レール92は、ボールキャスター82が接触する走行路91の上面から上方に突出する。レール92の内部には、レール92に沿ってベルト93が配置される。ベルト93には、一対の磁石94A,94Bが固定されており、ベルト93の移動によって、磁石94A,94Bがベルト93と共に移動する。磁石94Aは、レール92の一方の側面921の内壁に近接する位置に配置され、磁石94Bは、レール92の他方の側面922の内壁に近接する位置に配置される。磁石94A,94Bは、ベルト93の移動により、レール92に沿って移動する。
【0019】
荷台81には、一対の円形の磁石2A,2Bが回転可能に取り付けられ、磁石2A,2Bの回転軸は、
図1の紙面(すなわち、走行路91の上面)と直交する方向に延びる。磁石2A及び後述するガイド機構100Aは、補強板811を介して荷台81に取り付けられ、磁石2B及び後述するガイド機構100Bは、補強板812を介して荷台81に取り付けられる。なお、磁石2A及びガイド機構100Aは、補強板811を介さずに、荷台81に直接取り付けることもできる。また、磁石2B及びガイド機構100Bは、補強板812を介さずに、荷台81に直接取り付けることもできる。
【0020】
磁石2A、2Bは、レール92を挟んで対向する位置に配置される。具体的には、磁石2A(搬送側磁石)は、レール92の側面921に近接する位置に配置され、レール92内の磁石94Aに吸引される。磁石2B(搬送側磁石)は、レール92の側面922に近接する位置に配置され、レール92内の磁石94Bに吸引される。これにより、ベルト93によって磁石94A,94Bが移動すると、荷台81がレール93に沿って移動する。本実施形態では、磁石2A,94Aの吸引力や、磁石2B,94Bの吸引力だけによって、搬送装置1及びレール92が連結されているため、搬送装置1をレール92から容易に取り外すことができる。
【0021】
荷台81には、一対のガイド機構100A,100Bが取り付けられ、一対のガイド機構100A,100Bは、レール92を挟んだ位置に設けられる。ガイド機構100A,100Bは、同一の構造を有しており、荷台81に取り付けられる姿勢が異なっているだけである。
図1から分かるように、ガイド機構100A,100Bは、レール92を対称軸とした線対称の位置関係にある。以下、ガイド機構100Aの構造について説明する。
【0022】
ガイド機構100Aは、
図2に示す案内ローラ31A,32と、追従ローラ41A,42Aと、付勢機構5A,6Aを備える。
図2は、
図1に示すII-II線の断面図であり、
図2では、ガイド機構100Aだけを示しており、ガイド機構100Bは省略している。
【0023】
案内ローラ31A,32及び磁石2Aは、ブラケット33に取り付けられており、ブラケット33は、補強板811を介して荷台81に取り付けられる。案内ローラ31A,32は、磁石2Aに対して上下方向にそれぞれ配置されている。案内ローラ31Aは、ブラケット33に設けられた軸34Aに対して回転可能に設けられ、案内ローラ32は、ブラケット33に設けられた軸34Bに対して回転可能に設けられる。
【0024】
図2及び
図3から分かるように、各案内ローラ31A,32の直径は、磁石2Aの直径よりも小さいとともに、各案内ローラ31A,32の回転軸(軸34A,34B)は、磁石2Aの中心軸からずれている。各案内ローラ31A,32の回転軸(軸34A,34B)は、磁石2Aの中心軸よりもレール92に近い位置にある。
【0025】
ここで、各案内ローラ31A,32の外周面は、レール92の側面921に接触するようになっているが、磁石2Aの外周面は、レール92の側面921から離れている。
図2に示すように、案内ローラ31Aの外周面は、上下方向に対して湾曲しており、側面921に向かって凸となるように湾曲している。また、案内ローラ32の外周面は、上下方向に対して湾曲しており、側面921に向かって凸となるように湾曲している。一方、磁石2Aの外周面は、上下方向に関して平坦な面となっている。これにより、各案内ローラ31A,32の外周面をレール92の側面921に接触させながら、磁石2Aの外周面をレール92の側面921に近づけることができる。
【0026】
磁石2Aの直径を各案内ローラ31A,32の直径よりも大きくすることにより、磁石2Aの磁力を強力にすることができ、磁石2A,94Aの間の吸引力を向上させることができる。ここで、磁石2Aの磁力を確保できるように、磁石2Aの直径を決定した後、各案内ローラ31A,32の直径を磁石2Aの直径に合わせることが考えられる。この場合には、各案内ローラ31A,32の直径が必要以上に大きくなってしまい、ガイド機構100Aが大型化してしまう。本実施形態によれば、磁石2Aの磁力を強力にしつつ、ガイド機構100Aの大型化を抑制することができる。
【0027】
また、磁石2Aは、上述したように平面視において円形に形成されている。これにより、搬送装置1がレール92の曲部(具体的には、内径側の曲部)を通過するときに、磁石2Aがレール92の側面921に擦れてしまうことを抑制できる。例えば、磁石2Aを平面視で矩形に形成した場合には、搬送装置1がレール92の曲部を通過するときに、矩形状の磁石2Aの角部がレール92の側面921に擦れやすくなってしまう。
【0028】
図1に示すように、追従ローラ41A及び付勢機構5Aは、案内ローラ31A,32よりもレール92の長手方向における一方側(
図1中上側)にある。追従ローラ41Aは、案内ローラ31A,32と共に、荷台81をレール92に沿って案内するために用いられる。追従ローラ41Aは、付勢機構5Aと連結されており、回転可能である。追従ローラ41Aは、レール92の側面921に接触するようになっており、レール92の側面921に対する追従ローラ41の接触位置と、レール92の側面921に対する案内ローラ31A,32の接触位置とは、レール92の長手方向において互いに異なる位置となる。
【0029】
付勢機構5Aは、追従ローラ41Aをレール92の側面921に付勢し、追従ローラ41Aをレール92の側面921に沿って移動させるために用いられる。付勢機構5Aは、補強板811を介して荷台81に取り付けられており、アーム51と、引張バネ52(付勢部材)と、ダンパ53を備える。
【0030】
付勢機構5Aの構造について、
図1,4,5を用いて説明する。
図4は、
図1のIVの方向から搬送装置1の一部を見た図であり、
図5は、
図1のVの方向から搬送装置1を見た図である。
【0031】
図5に示すように、アーム51は、ボルト511によってブラケット512に取り付けられており、ブラケット512に対して回転可能である。アーム51の一端部には、追従ローラ41Aが設けられており、アーム51の他端部には、引張バネ52が係合している。
図4に示すように、引張バネ52の一端部52aは、アーム51の他端部に設けられた取付部521に取り付けられる。
【0032】
アーム51は、アーム51の回転軸を基準として折れ曲がっている。すなわち、アーム51において、アーム51の回転軸から追従ローラ41Aまでの領域と、アーム51の回転軸から引張バネ52との係合部分までの領域とは、互いに異なる方向に延びている。
【0033】
図4に示すように、引張バネ52の他端部52bは、補強板811から下方に突出した取付部522に取り付けられる。引張バネ52が自然状態にあるとき、引張バネ52は縮むようになっている。このため、引張バネ52の一端部52aをアーム51の取付部521に取り付けるとともに、引張バネ52の他端部52bを取付部522に取り付けることにより、引張バネ52は、アーム51に引張力を与えることになり、追従ローラ41Aがレール92の側面921に付勢される。
【0034】
ダンパ53は、アーム51の一部と接触することにより、引張バネ52が縮むときのアーム51の回転速度を減衰させる。具体的には、ダンパ53のピストンロッドが、アーム51のうち、アーム51の回転軸から引張バネ52との係合部分までの領域と接触することにより、アーム51の回転速度を減衰させる。引張バネ52が伸長するときには、追従ローラ41Aがレール92の側面921から離れる方向に移動し、引張バネ52が縮むときには、追従ローラ41Aがレール92の側面921に近づく方向に移動する。ダンパ53は、追従ローラ41Aがレール92の側面921に近づく方向に移動するときのアーム51の回転速度を減衰させる。これにより、追従ローラ41Aがレール92の側面921に衝突することを抑制できる。なお、本実施形態では、ダンパ53を設けているが、ダンパ53を省略することもできる。
【0035】
付勢機構6Aは、上述した付勢機構5Aと同一の構造を有し、補強板811(又は荷台81)に取り付けられる。ただし、付勢機構5A,6Aは、補強板811に取り付けられる姿勢が互いに異なる。具体的には、付勢機構5A及び付勢機構6Aは、付勢機構5A及び付勢機構6Aの間に位置する対称軸(
図1の左右方向に延びる軸)に対して線対称に配置されている。この対称軸上に、案内ローラ31A,32及び磁石2Aが配置されている。
【0036】
ガイド機構100Bは、案内ローラ31B,32と、追従ローラ41B,42Bと、付勢機構5B,6Bを備える。案内ローラ31B,32は、上述したガイド機構100Aにおける案内ローラ31A,32と同一の構造を有しており、追従ローラ41B,42Bは、上述した追従ローラ41A,42Aと同一の構造を有する。
【0037】
付勢機構5Bは、追従ローラ41Bをレール92の側面922に付勢し、追従ローラ41Bをレール92の側面922に沿って移動させるために用いられる。付勢機構5Bは、上述した付勢機構5Aと同一の構造を有し、補強板812に取り付けられる。ただし、付勢機構5A,5Bは、補強板811,812に取り付けられる姿勢が互いに異なる。具体的には、付勢機構5A及び付勢機構5Bは、付勢機構5A及び付勢機構5Bの間に位置する対称軸(
図1の上下方向に延びる軸)に対して線対称に配置されている。この対称軸上に、レール92が配置されている。
【0038】
付勢機構6Bは、追従ローラ42Bをレール92の側面922に付勢し、追従ローラ42Bをレール92の側面922に沿って移動させるために用いられる。付勢機構6Bは、上述した付勢機構5Bと同一の構造を有し、補強板812(又は荷台81)に取り付けられる。ただし、付勢機構5B,6Bは、補強板812に取り付けられる姿勢が互いに異なる。具体的には、付勢機構5B及び付勢機構6Bは、付勢機構5B及び付勢機構6Bの間に位置する対称軸(
図1の左右方向に延びる軸)に対して線対称に配置されている。この対称軸上に、案内ローラ31B,32及び磁石2Bが配置されている。
【0039】
また、付勢機構6Bは、上述した付勢機構6Aと同一の構造を有し、補強板812に取り付けられる。ただし、付勢機構6A,6Bは、補強板811,812に取り付けられる姿勢が互いに異なる。具体的には、付勢機構6A及び付勢機構6Bは、付勢機構6A及び付勢機構6Bの間に位置する対称軸(
図1の上下方向に延びる軸)に対して線対称に配置されている。この対称軸上に、レール92が配置されている。
【0040】
次に、搬送装置1の動作について、
図6を用いて説明する。
図6は、搬送装置1がレール92の曲部を通過する状態を示す。
図6に示す矢印Dは、搬送装置1が走行する方向を示す。
図6に示すように、搬送装置1がレール92の曲部を通過するとき、ガイド機構100Aは、レール92の曲部の内径側に位置し、ガイド機構100Bは、レール92の曲部の外径側に位置する。
【0041】
ガイド機構100Aにおいて、追従ローラ41Aは、レール92の側面921によって押し込まれることにより、アーム51が回転する。このアーム51の回転によって、引張バネ52が伸長する。また、アーム51には引張バネ52の引張力が作用し続けているため、追従ローラ41Aは、レール92の側面921に接触したままとなる。これにより、追従ローラ41Aは、レール92の側面921の曲部に沿って移動する。
【0042】
ガイド機構100Aにおいて、追従ローラ42Aは、レール92の側面921によって押し込まれることにより、アーム51が回転する。このアーム51の回転によって、引張バネ52が伸長する。また、アーム51には引張バネ52の引張力が作用し続けているため、追従ローラ42Aは、レール92の側面921に接触したままとなる。これにより、追従ローラ42Aは、レール92の側面921の曲部に沿って移動する。
【0043】
ガイド機構100Bにおいて、アーム51には引張バネ52の引張力が作用し続けているため、追従ローラ41Bは、レール92の側面922に付勢され続ける。ここで、付勢機構5Bの引張バネ52は、搬送装置1が直進しているときの伸縮状態(
図1に示す状態)よりも縮む。これにより、追従ローラ41Bは、レール92の側面922に接触したままとなり、レール92の側面922の曲部に沿って移動する。
【0044】
ガイド機構100Bにおいて、アーム51には引張バネ52の引張力が作用し続けているため、追従ローラ42Bは、レール92の側面922に付勢され続ける。ここで、付勢機構6Bの引張バネ52は、搬送装置1が直進しているときの伸縮状態(
図1に示す状態)よりも縮む。これにより、追従ローラ42Bは、レール92の側面922に接触したままとなり、レール92の側面922の曲部に沿って移動する。
【0045】
図6に示す例は、搬送装置1が進行方向に向かって右方向に曲がる場合であるが、搬送装置1が進行方向に向かって左方向に曲がる場合には、ガイド機構100Aは、レール92の曲部の外径側に位置し、ガイド機構100Bは、レール92の曲部の内径側に位置する。このとき、ガイド機構100A,100Bの動作は、
図6を用いて説明した動作と逆の動作になる。
【0046】
本実施形態によれば、搬送装置1がレール92の直線部を走行するとき、レール92の側面921には、案内ローラ31A,32及び追従ローラ41A,42Aが接触し、搬送装置1の走行方向における互いに異なる3か所の位置で側面921に接触する。また、レール92の側面922には、案内ローラ31B,32及び追従ローラ41B,42Bが接触し、搬送装置1の走行方向における互いに異なる3か所の位置で側面921に接触する。これにより、搬送装置1は、レール92に沿って安定して走行することができる。
【0047】
図6に示すように、搬送装置1がレール92の曲部を走行するときにおいても、レール92の側面921には、案内ローラ31A,32及び追従ローラ41A,42Aが接触し、搬送装置1の走行方向における互いに異なる3か所の位置で側面921に接触する。また、レール92の側面922には、案内ローラ31B,32及び追従ローラ41B,42Bが接触し、搬送装置1の走行方向における互いに異なる3か所の位置で側面921に接触する。これにより、搬送装置1は、レール92に沿って安定して走行することができる。
【0048】
本実施形態では、上述したように、アーム51が折れ曲がっているが、これに限るものではなく、例えば、アーム51を直線状に形成することもできる。アーム51は、引張バネ52からの付勢力を受けることにより、追従ローラ41A,41B,42A,42Bをレール92の側面921,921に付勢できればよい。
【0049】
ここで、直線状のアーム51を用いた場合には、例えば、付勢機構5A,6Aのアーム51が互いに干渉しないように、付勢機構5A,6Aの間隔を
図1に示す間隔よりも広げなければならない。この場合には、搬送装置1の走行方向において、搬送装置1が大型化しやすくなる。そこで、本実施形態ように、折れ曲がったアーム51を用いることにより、搬送装置1の走行方向において、搬送装置1が大型化することを抑制できる。
【0050】
本実施形態では、レール92の両側に、ガイド機構100A、100Bをそれぞれ設けているが、レール92の片側のみに、ガイド機構100A又はガイド機構100Bを設けてもよい。ここで、ガイド機構100A又はガイド機構100Bを設けた側とは反対側には、本実施形態で説明した案内ローラ31A,31B,32と同様の機能を有する案内ローラを設ければよい。
【0051】
本実施形態では、ガイド機構100Aが、2つの追従ローラ41A,42Aと、2つの付勢機構5A,6Aを有しているが、一方の追従ローラ及び一方の付勢機構を省略することができる。例えば、
図1に示す構成において、追従ローラ41A及び付勢機構5Aを省略したり、追従ローラ42A及び付勢機構6Aを省略したりすることができる。ガイド機構100Bについても、一方の追従ローラ及び一方の付勢機構を省略することができる。例えば、
図1に示す構成において、追従ローラ41B及び付勢機構5Bを省略したり、追従ローラ42B及び付勢機構6Bを省略したりすることができる。
【0052】
ガイド機構100A,100Bのそれぞれにおいて、一方の追従ローラ及び一方の付勢機構を省略する場合には、省略する追従ローラ及び付勢機構は、任意に決めることができる。例えば、
図1に示す構成において、追従ローラ41A及び付勢機構5Aを省略するとともに、追従ローラ41B及び付勢機構5Bを省略することができる。また、追従ローラ41A及び付勢機構5Aを省略するとともに、追従ローラ42B及び付勢機構6Bを省略することができる。
【0053】
本実施形態では、案内ローラ31A、31Bがレール92を挟んで対向する位置に設けられているが、レール92の長手方向において互いにずれた位置に、案内ローラ31A、31Bが設けられていてもよい。同様に、追従ローラ41A、41Bは、レール92を挟んで対向する位置に設けられているが、レール92の長手方向において互いにずれた位置に、追従ローラ41A、41Bが設けられていてもよい。また、同様に、追従ローラ42A、42Bは、レール92を挟んで対向する位置に設けられているが、レール92の長手方向において互いにずれた位置に、追従ローラ42A、42Bが設けられていてもよい。
【0054】
本実施形態では、
図3に示すように、上下方向から見たときに、案内ローラ31A,32の全体が磁石2Aと重なるように、案内ローラ31A,32及び磁石2Aを配置しているが、これに限るものではない。すなわち、案内ローラ31A,32の全体が磁石2Aと重ならないように、案内ローラ31A,32及び磁石2Aを配置したり、案内ローラ31A,32の一部だけが磁石2Aと重なるように、案内ローラ31A,32及び磁石2Aを配置したりすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1:搬送装置、2A,2B:磁石、5A,5B,6A,6B:付勢機構、
31A,31B,32:案内ローラ、41A,41B,42A,42B:追従ローラ、
51:アーム、52:引張バネ、53:ダンパ、81:荷台、92:レール、
921,922:側面、94A,94B:磁石、100A,100B:ガイド機構