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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】用紙検出装置および用紙検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20230829BHJP
   B65H 45/09 20060101ALI20230829BHJP
   B65H 5/24 20060101ALI20230829BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H45/09
B65H5/24
B65H5/02 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019191749
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021066545
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加芝 正幸
(72)【発明者】
【氏名】清水 智之
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03239676(US,A)
【文献】特開2016-188116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
B65H 45/09
B65H 5/24
B65H 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙検出装置であって、
用紙を水平に連続的に搬送する水平搬送ユニットを備え、各用紙は、その上に次の用紙が部分的に重ねられた状態で前記水平搬送ユニットによって搬送され、前記水平搬送ユニットの搬送方向に延在する折り線に沿って折られた状態で、かつ、前記折り線を上にした状態で前記水平搬送ユニットから送り出され、
前記用紙検出装置は、さらに、
用紙を前記水平搬送ユニットから受けるように設けられた一対の搬送体を含み、用紙をその両側から前記一対の搬送体で挟みながら当該一対の搬送体を通過するように斜め下方向に連続的に搬送する斜め搬送ユニットと、
前記斜め搬送ユニットにより前記斜め下方向に方向転換された互いに隣り合う用紙によって形成される段差が通過するところで用紙の通過を検出するように設けられたセンサと、を備え
前記段差は、用紙の上端縁と次の用紙の前端縁とによって形成され、あるいは用紙の後端縁と次の用紙の下端縁とによって形成される、
ことを特徴とする用紙検出装置。
【請求項2】
前記一対の搬送体は、一対の搬送ローラまたは一対の搬送ベルトである、
ことを特徴とする請求項1に記載の用紙検出装置。
【請求項3】
前記水平搬送ユニットは、用紙を搬送している間に折るように構成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の用紙検出装置。
【請求項4】
連続的に搬送されている用紙を検出する方法であって、
各用紙は、その上に次の用紙が部分的に重ねられた状態で水平搬送ユニットによって水平に搬送され、前記水平搬送ユニットの搬送方向に延在する折り線に沿って折られた状態で、かつ、前記折り線を上にした状態で前記水平搬送ユニットから送り出され、
前記方法は、
前記水平搬送ユニットから送り出された用紙をその両側から一対の搬送体で挟みつつ前記一対の搬送体を通過するように前記一対の搬送体を用いて斜め下方向に連続的に搬送し、
前記斜め下方向に方向転換された互いに隣り合う用紙によって形成される段差が通過するところで、センサを用いて用紙の通過を検出し、
前記段差は、用紙の上端縁と次の用紙の前端縁とによって形成され、あるいは用紙の後端縁と次の用紙の下端縁とによって形成される
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を検出するための装置および方法に関し、特に連続的に搬送されている用紙の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
中綴じ製本システムは、例えば特許文献1、2などに開示の通り周知である。中綴じ製本システムは、印刷された用紙を折り、冊子一冊分に相当する数の折られた用紙を集積して用紙束を形成し、そして、用紙束を中綴じする。
【0003】
特許文献2の製本システムは、用紙を部分的に重なった状態で水平に連続的に搬送する搬送装置を備える。搬送装置において、各用紙は、その上に次の用紙が部分的に重ねられている。用紙は、その状態で搬送装置によって搬送される。
【0004】
製本システムは、用紙を搬送装置から受け、2つ折りし、冊子一冊分に相当する数の折られた用紙を鞍掛け状態で集積して用紙束を形成する。用紙を冊子毎に正確に区分けするために、集積前に用紙の検出が必要である。
【0005】
具体的には、用紙は、一旦、搬送装置によって積層装置へ搬送されて、積層装置内で積層されて積層体が形成される。積層体の最下層の用紙は、一枚ずつ掴み手段によって引き出され、折られる。そして、折られた用紙は、冊子一冊分に相当する数、ナイフ上で集積されて用紙束を形成する。用紙が引き出される際、用紙に付された制御符号またはバーコードが読み取りヘッドによって検出される。読み取りヘッドによる検出が、用紙の正確な区分けを可能にしている。
【0006】
ところで、用紙の正確な区分けのために、搬送装置が用紙を連続的に搬送しているところで用紙を検出することが考えられる。しかしながら、用紙は部分的に重なった状態で搬送されているので、用紙の間に隙間は形成されない。ゆえに、用紙の有無を検出する単純な手段(例えば光電センサなど)では、当該連続搬送の間に用紙の通過を検出することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-326495号公報
【文献】特開2002-200865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、連続的に搬送されている用紙の通過の検出を容易にする装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、用紙検出装置が提供される。前記用紙検出装置は、用紙を水平に連続的に搬送する水平搬送ユニットを備える。各用紙は、その上に次の用紙が部分的に重ねられた状態で前記水平搬送ユニットによって搬送される。各用紙は、前記水平搬送ユニットの搬送方向に延在する折り線に沿って折られた状態で、かつ、前記折り線を上にした状態で前記水平搬送ユニットから送り出される。
【0010】
前記用紙検出装置は、さらに、用紙を前記水平搬送ユニットから受けるように設けられた一対の搬送体を含み、用紙をその両側から前記一対の搬送体で挟みながら当該一対の搬送体を通過するように斜め下方向に連続的に搬送する斜め搬送ユニットを備える。
【0011】
前記用紙検出装置は、さらに、前記斜め搬送ユニットにより前記斜め下方向に方向転換された互いに隣り合う用紙によって形成される段差が通過するところで用紙の通過を検出するように設けられたセンサを備える。
【0012】
前記一対の搬送体は、例えば、一対の搬送ローラまたは一対の搬送ベルトでよい。
【0013】
前記水平搬送ユニットは、用紙を搬送している間に折るように構成されてよい。
【0014】
前記段差は、用紙の上端縁と次の用紙の前端縁とによって形成されるものでよい。前記段差は、用紙の後端縁と次の用紙の下端縁とによって形成されるものでもよい。
【0015】
さらに、本発明によれば、連続的に搬送されている用紙を検出する方法が提供される。各用紙は、その上に次の用紙が部分的に重ねられた状態で水平搬送ユニットによって水平に搬送される。さらに、各用紙は、前記水平搬送ユニットの搬送方向に延在する折り線に沿って折られた状態で、かつ、前記折り線を上にした状態で前記水平搬送ユニットから送り出される。
【0016】
前記方法は、前記水平搬送ユニットから送り出された用紙をその両側から一対の搬送体で挟みつつ前記一対の搬送体を通過するように前記一対の搬送体を用いて斜め下方向に連続的に搬送する。
【0017】
前記方法は、さらに、前記斜め下方向に方向転換された互いに隣り合う用紙によって形成される段差が通過するところで、センサを用いて用紙の通過を検出する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の装置および方法によれば、連続的に搬送されている用紙の通過の検出を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】例示の製本システムを部分的かつ概略的に示す。
図2】例示の用紙検出装置を含む集積装置を部分的かつ概略的に示す。
図3】例示の用紙検出装置を概略的に示す図2の矢印Hの矢視線図である。
図4】用紙検出方法を説明する図である。
図5図5Aは用紙の集積を説明し、図5Bは用紙束の送り出しを説明する。
図6】別の例示の用紙検出装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る装置および方法の実施形態が説明される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙検出装置を含む製本システムの上流部分を概略的に示す。製本システムは、具体的には中綴じ製本システムである。製本システムは、予定された数(実施形態では、冊子一冊分に相当する数)の用紙Sを集積して用紙束Bを形成する集積装置1を備える。なお、用紙束Bを構成する用紙Sの数は、各用紙束Bで同じでも、用紙束B毎に異なっていてもよい。後述の通り、用紙検出装置は、集積装置1に備えられている。
【0022】
製本システムは、用紙Sを供給する給紙機70と、用紙Sを搬送する搬送装置71と、用紙Sに筋を入れる筋入れ装置72とを備える。
【0023】
給紙機70は、用紙SをスタックTから一枚ずつ搬送装置71へ供給する。デジタル印刷の場合、給紙機70は、用紙Sを印刷する図示されない印刷機を備え、印刷された用紙Sを供給してよい。これに代えて、給紙機70は、予め印刷された用紙Sを供給してよい。給紙機70に代えて、給紙機70’が、ウェブWを切断装置で切断してウェブWから用紙Sを形成し、用紙Sを供給してもよい。また、ウェブWまたは用紙Sが印刷機によって印刷されてもよい。これに代えて、予め印刷されたウェブWが用いられてもよい。
【0024】
搬送装置71は、用紙Sを給紙機70から受け、筋入れ装置72へ搬送する。搬送装置71は、搬送方向に延在する搬送面を有し、用紙を搬送面に載せて搬送する搬送コンベヤ(図示略)を含む。実施形態の搬送装置71は、さらに、搬送方向に平行にのびる基準ガイド710を含む。搬送コンベヤは、用紙Sを基準ガイド710に向けて斜めに搬送し、用紙Sの一側縁が搬送の間にその全体に渡って基準ガイド710に当接し、用紙Sの斜行が補正される。用紙Sは、その斜行が補正された状態で筋入れ装置72へ搬送される。
【0025】
筋入れ装置72は、用紙Sを搬送装置71から受け、用紙Sに筋Cを入れ、用紙Sを集積装置1へ搬送する。筋入れ装置72は、一対の筋入れローラ720を含む。筋入れ装置72は、用紙Sを一対の筋入れローラ720を通過するように搬送して、搬送方向に延在する筋Cを用紙Sに形成する。筋入れ装置72は、それから用紙Sを集積装置1へ搬送する。
【0026】
集積装置1は、用紙Sを筋入れ装置72から受け、用紙Sを部分的に重なった状態で連続的に水平に搬送する水平搬送ユニット2を備える。図1の符号Yは、水平搬送ユニット2の水平な搬送方向を示す。水平搬送ユニット2において、各用紙Sは、その上にその次の用紙Sが部分的に重ねられている。言い換えると、各用紙Sは、先に用紙Sの上に先の用紙Sに対して搬送方向Yと反対の方向にシフトして重ねられている。
【0027】
さらに、水平搬送ユニット2は、用紙Sを、搬送する間に、搬送方向Yに、より具体的には筋Cに沿って折るように構成されている。そして、用紙Sは、搬送方向Yに延在する折り線Lに沿って折られた状態で、かつ、その折り線Lを上にした状態で水平搬送ユニット2から送り出される。
【0028】
このために、水平搬送ユニット2は、用紙Sを部分的に重ね合せるための重ね位置Pに導入する一対の導入ローラ20と、重ね位置Pに設けられ、用紙Sを重ね位置Pから送り出す送りローラ21とを備える。これらのローラ20、21は、搬送方向Yに直角な水平方向にのびる軸線の周りに回転可能である。
【0029】
用紙Sは、一対の導入ローラ20によって筋入れ装置72から重ね位置Pに導入され、そして、送りローラ21によって重ね位置Pから搬送方向Yに送り出される。送りローラ21の回転制御により、用紙Sは、重ね位置Pに導入されるときに、先の用紙Sの上に部分的に重ね合わされる。これが繰り返されることで、用紙Sを部分的に重なった状態で連続的に搬送することができる。
【0030】
水平搬送ユニット2は、さらに、2つの搬送ベルト22と、上流プーリー23と、2つの下流プーリー24(一方は図示されない)とを備える。上流プーリー23は、搬送方向Yに直角な水平方向にのびる軸線の周りに回転可能である。2つの下流プーリー24は、搬送方向Yに直角な水平方向に互いに間隔をあけて設けられ、鉛直方向にのびる軸線の周りに回転可能である。一方の搬送ベルト22は、上流プーリー23と一方の下流プーリー24との間に掛け渡され、他方の搬送ベルト22は、上流プーリー23と他方の図示されない下流プーリーとの間に掛け渡されている。
【0031】
また、水平搬送ユニット2は、2つの搬送ベルト22の間に設けられた一対の折りローラ25を備える。一対の折りローラ25は、互いに対向し、鉛直方向にのびる軸線の周りに回転可能である。
【0032】
用紙Sは、送りローラ21によって送られると、回転駆動された2つの搬送ベルト22に係合し、搬送ベルト22によって搬送方向Yに搬送される。この搬送の間に、用紙Sと係合している搬送ベルト22の延在部分は、その捩れにより、用紙Sの両側部分を適切に下方向へ案内して、用紙Sをその中央に頂部が形成されるように曲げる。そして、用紙Sの頂部が一対の折りローラ25に導かれ、一対の折りローラ25を通過することで、用紙Sが搬送方向Yに延在する折り線Lに沿って(筋Cに沿って)折られる。こうして、各用紙Sは、搬送中に2つ折りされて折丁となる。
【0033】
各用紙Sは、折り線Lに沿って折られた状態でかつ折り線Lを上にした状態で水平搬送ユニット2から送り出される。以降、用紙Sは、折丁の形態で搬送される。
【0034】
図示されていないが、水平搬送ユニット2が、用紙Sが上記のように折られながら搬送されるように、搬送中の用紙Sを下方から適切に支持する少なくとも1つの支持部材を備えていることは、当業者にとって自明である。
【0035】
図2は、集積装置1の水平搬送ユニット2より下流の構成を示す。集積装置1は、用紙検出装置を含む。用紙検出装置は、前述の水平搬送ユニット2と、水平搬送ユニット2から送り出された用紙Sを受け、斜め下方向Yに順次搬送するように構成された斜め搬送ユニット3と、用紙Sを検出するためのセンサ10とを備える。
【0036】
図3は、図2の矢印Hの矢視図である。斜め搬送ユニット3は、水平搬送ユニット2から送り出された用紙S(折丁の形態である)を受けるように設けられた一対の搬送ローラ(一対の搬送体の一例)30と、一対の搬送ローラ30のうち少なくとも一方を回転駆動するための駆動源としてのモータ31と、モータ31の動力を搬送ローラ30に伝達するための伝達構造32とを備える。
【0037】
一対の搬送ローラ30は、互いに対向し、その搬送方向である斜め下方向Yに対して直角な軸線の周りに回転可能に設けられている。具体的には、搬送ローラ30は、それぞれ、搬送方向Yに直角にのびる回転シャフト300を有し、当該回転シャフト300が、不図示のフレームに回転可能に支持さている。一対の搬送ローラ30は、用紙Sの前上部を挟むように位置決めされている(図2参照)。
【0038】
伝達構造32は、周知の構成が採用されており簡略化されているが、例えばモータ31の出力軸と搬送ローラ30の回転シャフト300とを連結し、モータ31の動力を搬送ローラ30に伝達する。なお、双方の搬送ローラ30が回転駆動されてもよいし、一方の搬送ローラ30が回転駆動されて他方の搬送ローラ30が従動されてもよい。
【0039】
用紙Sは、水平搬送ユニット2から送り出されると、一対の搬送ローラ30によって受けられて、その両側から挟まれる。斜め搬送ユニット3は、一対の搬送ローラ30の回転により、用紙Sを、一対の搬送ローラ30で挟みつつ一対の搬送ローラ30を通過するように斜め下方向Yに搬送する。すなわち、用紙Sは、一対の搬送ローラ30によって水平方向Yから斜め下方向Yに方向転換される。
【0040】
したがって、用紙Sは、水平搬送ユニット2から連続的に送り出されると、次いで斜め搬送ユニット3によって斜め下方向Yに連続的に搬送される。
【0041】
図4は、用紙検出方法を説明する。図4から明らかな通り、段差6が、一対の搬送ローラ30(図4では図示されない)によって斜め下方向Yに方向転換されて移動している互いに隣り合う2つの用紙Sによって形成される。段差6は、用紙Sの上端縁60(折り線L)と、次の用紙Sの前端縁61とによって形成される。
【0042】
用紙Sが部分的に重なって水平に連続的に搬送されている間、用紙Sの間に隙間がない。一方、用紙Sが斜め下方向Yに方向転換されて次の用紙Sに対して下げられると、互いに隣り合う2つの用紙Sによって段差6が形成される。そして、その段差6によって用紙Sの間に隙間が生じる。
【0043】
センサ10は、この段差6が通過するところで用紙S(その上端縁60及び/又はその前端縁61)の通過を検出するように配置されている。センサ10は、例えば、用紙Sの有無を検出するセンサであり、光電センサなどの光学式センサでよい。このような用紙Sの方向転換およびセンサ10の配置によって、センサ10が、マークセンサではなく用紙Sの有無を検出する単純なセンサでも、連続的に搬送される用紙Sの通過を確実に検出できる。こうして、用紙検出装置および方法は連続的に搬送される用紙Sの通過の検出を容易にする。
【0044】
別の段差6’が、用紙Sの後端縁62と次の用紙Sの下端縁63とによっても形成される。従って、別の実施形態では、センサ10は、この段差6’が通過するところで、用紙S(その後端縁62及び/又は下端縁63)の通過を検出するように配置されてもよい。
【0045】
以下、用紙検出装置および方法を用いた集積装置の動作例が説明される。図2図3の通り、集積装置1は、さらに、斜め搬送ユニット3から送り出された用紙Sを受け、搬送するように構成された下流搬送ユニット4を備える。
【0046】
下流搬送ユニット4は、斜め搬送ユニット3から送り出された用紙Sを受けるように設けられた一対の搬送ローラ(一対の搬送体の一例)40を備える。一対の搬送ローラ40は、互いに対向し、その搬送方向Yに対して直角な軸線の周りに回転可能に設けられている。具体的には、搬送ローラ40は、それぞれ、搬送方向Yに直角にのびる回転シャフト400を有し、当該回転シャフト400が、不図示のフレームに回転可能に支持さている。一対の搬送ローラ40は、用紙Sの前上部を挟むように位置決めされている(図2参照)。
【0047】
実施形態では、下流搬送ユニット4の搬送方向Yは、斜め搬送ユニット3の搬送方向Yと同じ斜め下方向であるが、異なっていてもよい。また、搬送方向Yは、斜め下方向に限られない。
【0048】
斜め搬送ユニット3と同様に、下流搬送ユニット4は、さらに、一対の搬送ローラ40のうち少なくとも一方を回転駆動するための駆動源としてのモータ41と、モータ41の動力を搬送ローラ40に伝達するための周知の伝達構造42とを備える。したがって、一対の搬送ローラ40のうち少なくとも一方が、モータ41および伝達構造42によって回転駆動される。
【0049】
下流搬送ユニット4は、一対の搬送ローラ40の回転により、用紙S(斜め搬送ユニット3から送り出された)をその両側から一対の搬送ローラ40で挟みながら当該一対の搬送ローラ40を通過するように搬送方向Yに搬送する。
【0050】
図2の通り、集積装置1は、さらに、用紙Sを下流搬送ユニット4から受け、予定された数の用紙Sを集積位置Pで集積して用紙束B(図1)を形成し、そして、用紙束Bを集積位置Pから送り出すように構成された集積ユニット5を備える。
【0051】
集積ユニット5は、集積位置Pを横切るように延在し、用紙束Bの搬送経路を規定する無端状のチェーンまたはベルト50を備える。チェーンまたはベルト50は、複数のスプロケットまたはプーリー51に掛け渡されている。折丁の形態の用紙Sは、下流搬送ユニット4から集積位置Pへ順次送り出され、集積位置P1でチェーンまたはベルト50上に鞍掛け状態で集積され、予定された数の用紙Sからなる用紙束Bを形成する。チェーンまたはベルト50が回転駆動されると、用紙束Bは鞍掛け状態で集積位置Pから搬送経路に沿って送り出される。用紙束Bの送出し後、チェーンまたはベルト50が停止して、次の用紙束Bの用紙Sが集積位置Pでチェーンまたはベルト50上に集積される。
【0052】
集積ユニット5は、ストッパ52をさらに備える。ストッパは52、集積位置Pの前方で用紙束Bの搬送経路に位置し、用紙Sまたは用紙束Bの前端に当接して、用紙Sまたは用紙束Bが集積位置Pから移動するのを制止するための当接位置(実線)と、搬送経路から退避して位置し、用紙束Bが集積位置Pから送り出されるのを許容するための退避位置(二点鎖線)との間で移動可能に設けられている。ストッパ52は、周知の移動機構よって移動(回動)される。
【0053】
集積ユニット5は、チェーンまたはベルト50に適宜の間隔をあけて設けられた複数の連行体53をさらに備える。連行体53は、特許文献2のそれと同様で、用紙束Bの後端を、押し、揃え、用紙束Bの搬送を補助する。
【0054】
集積装置1は、さらに、各ユニット2-5の動作を制御するために制御部13を備える。制御部13は、コントローラなどを含む。
【0055】
制御部13は、用紙Sの通過を検出する前述のセンサ10に電気的に接続されている。制御部13は、センサ10による検出を用いて、当該センサ10の検出領域を通過する用紙Sの数をカウントする。図1の通り、マークMが、用紙束Bを構成する用紙Sの数を特定するために、各用紙束Bの最初または最後の用紙Sに付されている。制御部13は、用紙Sが重ね合わされる前にマークMを検出するように設けられた追加のセンサ11にも電気的に接続されている。制御部13は、用紙Sの数をカウントするために、用紙Sが重ね合わされる前に用紙Sの通過を検出するように設けられたさらに追加のセンサ(図示略)にも電気的に接続されている。制御部13は、追加のセンサ11、および、さらに追加のセンサによる検出を用いて、各用紙束Bの用紙Sの数を判断することができる。したがって、制御部13は、センサ10、追加のセンサ11、および、さらに追加のセンサによる検出を用いて、用紙束Bの最後の用紙Sが一対の搬送ローラ40を通過したときを判断することができる。
【0056】
図2の通り、さらに追加のセンサ12が、集積ユニット5内に設けられ、制御部13に電気的に接続されている。センサ12は、集積ユニット5が用紙Sを受入可能になったことを判断するために用いられる。実施形態では、チェーンまたはベルト50が回転されて用紙束Bを集積位置Pから送り出し、それから停止すると、集積ユニット5が次の用紙束Bの用紙Sを集積位置Pで受入可能となる。すなわち、チェーンまたはベルト50の回転から停止への切り替わりが、集積ユニット5が用紙Sを集積位置Pで受入可能となることを示す。したがって、センサ12は、例えば、スプロケットまたはプーリー51に接続されて、チェーンまたはベルト50の回転を検出するロータリーエンコーダでよい。制御部13は、センサ12による検出を用いて、集積ユニット5が次の用紙束Bの用紙Sを集積位置P1で受入可能になったときを判断することができる。
【0057】
制御部13は、斜め搬送ユニット3(そのモータ31)に電気的に接続されており、モータ31および伝達構造32を介して搬送ローラ30の回転を制御する。制御部13は、下流搬送ユニット4(そのモータ41)に電気的に接続されており、モータ41および伝達構造42を介して搬送ローラ40の回転を制御する。
【0058】
制御部13は、集積ユニット5に電気的に接続されており、集積ユニット5の動作(チェーンまたはベルト50の回転、ストッパ52の移動など)を制御する。
【0059】
制御部13は、以下の通り、搬送ローラ(搬送体の一例)40の回転を、センサ10、11、12による検出に基づいて制御する。なお、以下で、搬送ローラ30は、制御部13によって常に連続的に回転されている。
【0060】
図5Aの通り、予定された数の用紙Sを集積位置Pで集積するために、搬送ローラ40は制御部13によって連続的に回転される。用紙Sは、順次、一対の搬送ローラ30によって一対の搬送ローラ40へ搬送され、それから、一対の搬送ローラ40によって集積ユニット5へ搬送される。ストッパ52は、当接位置にあり、用紙Sはストッパ52に当接して集積位置Pへ落下する。用紙Sは、集積位置Pにてチェーンまたはベルト50上に鞍掛け状態で集積される。
【0061】
図5Bの通り、用紙束Bの最後の用紙Sが一対の搬送ローラ40を通過して集積位置Pで用紙束Bが完成すると、集積ユニット5は、制御部13によって制御されて、用紙束Bを集積位置Pから送り出す。すなわち、集積ユニット5は、ストッパ52を当接位置から退避位置へ移動させ、チェーンまたはベルト50の回転によって、用紙束Bを集積位置Pから送り出す。
【0062】
同時に、最後の用紙Sが一対の搬送ローラ40を通過すると、搬送ローラ40は、制御部13によって、連続回転から間欠回転に切り替えられる。斜め搬送ユニット3(一対の搬送ローラ30)は次の用紙束Bの用紙Sを順次送り出し続けているが、一対の搬送ローラ40は、間欠回転によって、これらの用紙Sを順次挟み少しだけ搬送しつつも、これらの用紙Sを挟んだままにする。それによって、一対の搬送ローラ40は、次の用紙束Bの用紙Sが集積ユニット5へ送り出されるのを制止する。なお、最後の用紙Sが一対の搬送ローラ40を通過したことは、上述の通り、センサ10、11を用いて判断される。
【0063】
若しくは、搬送ローラ40は、最後の用紙Sが一対の搬送ローラ40を通過すると、制御部13によって連続回転から停止に切り替えられてよい。一対の搬送ローラ40は、回転停止によって、次の用紙束Bの少なくとも最初の用紙Sを挟んで保持し、その上に、後続の用紙Sが順次載せられるようにしてもよい。それによっても、一対の搬送ローラ40は、次の用紙束Bの用紙Sが集積ユニット5へ送り出されるのを制止することはできる。
【0064】
以上のように、集積装置1は、集積ユニット5が用紙束Bを集積位置Pから送り出す間、斜め搬送ユニット3が用紙Sを搬送するのを止めることなく、次の用紙束Bの用紙Sが集積位置Pへ送り出されるのを制止する。そして、集積ユニット5は、用紙束Bの集積位置Pからの送り出しを完了すると、次の用紙束Bの用紙Sを集積位置Pで受入可能になる。
【0065】
次の用紙束Bの用紙Sが受入可能になると、搬送ローラ40は、制御部13によって間欠回転または停止から連続回転に切り替えられる。それによって、一対の搬送ローラ40は、用紙Sを集積ユニット5へ送り出し始める。制止されていた次の用紙束Bの用紙Sは、一対の搬送ローラ40によって集積位置Pへ送り出される。そして、それに続く用紙Sも、一対の搬送ローラ40によって集積位置Pへ送り出される。したがって、次の用紙束Bの用紙Sは、集積位置Pで集積される。次の用紙束Bの用紙Sが受入可能になったことは、上述の通り、センサ12を用いて判断される。
【0066】
その後、これが繰り返されて、用紙束Bが集積位置Pから順次送り出される。用紙束Bは、それから、図示されない中綴じ装置、三方断裁機などによって処理される。
【0067】
用紙検出装置および方法は、実施形態に限定されるものではない。用紙検出装置および方法が、集積装置1以外の、また製本システム以外の他の目的で用いられてもよい。
【0068】
水平搬送ユニット2は、用紙Sを搬送しながら折るように構成されていた。これに代えて、水平搬送ユニット2は、予め折られた用紙を部分的に重なった状態で無端状のベルトまたはチェーン上に鞍掛け状態で載せて、これらの用紙を、ベルトまたはチェーンの回転によって水平に連続的に搬送してもよい。
【0069】
一対の搬送ローラ30/40が一対の搬送体として用いられていた。これに代えて、一対の搬送体は、図6の例示の通り、用紙Sを水平搬送ユニット2/第1搬送ユニット3から受けて挟むように設けられた互いに対向する一対の搬送ベルト33/43でもよい。無端状の搬送ベルト33/43は、それぞれ、搬送方向Y/Yに間隔をあけて配置されて搬送方向Y/Yに直角な軸線の周りに回転可能なプーリー34/44に掛け渡されて、それによって、搬送方向Y/Yに延在する。そして、搬送ベルト33/43がモータ31/41および伝達構造32/42によって回転駆動される。搬送ユニット3/4は、搬送ベルト33/43の回転により、用紙Sを一対の搬送ベルト33/43で挟みながら一対の搬送ベルト33/43を通過するように搬送方向Y/Yに搬送する。
【符号の説明】
【0070】
1 集積装置
10 センサ
11,12 追加のセンサ
13 制御部
2 水平搬送ユニット
3 斜め搬送ユニット
30 搬送ローラ(搬送体の一例)
33 搬送ベルト(搬送体の一例)
4 下流搬送ユニット
40 搬送ローラ(搬送体の一例)
43 搬送ベルト(搬送体の一例)
5 集積ユニット
6 段差
6’ 段差
B 用紙束
L 折り線
M マーク
集積位置
S 用紙
水平搬送ユニットの搬送方向/水平方向
斜め搬送ユニットの搬送方向/斜め下方向
下流搬送ユニットの搬送方向/斜め下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6