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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】固定装置および棚装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 12/32 20060101AFI20230829BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230829BHJP
   F16B 2/18 20060101ALI20230829BHJP
   A47B 96/06 20060101ALI20230829BHJP
   A01K 15/02 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
F16B12/32 C
F16B5/10 L
F16B2/18 F
A47B96/06 C
A47B96/06 K
A47B96/06 Z
A01K15/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020045864
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148146
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 俊浩
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0255225(US,A1)
【文献】特開2006-136574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/32
F16B 5/10
F16B 2/18
A47B 96/06
A01K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って延在された内側空間部および前記内側空間部を外部に連通する開口部と、前記開口部の幅方向の両縁部に設けられたフランジ部とを備えた支持レールに固定対象部材を固定する固定装置であって、
前記固定対象部材の前記支持レールへの当接部に設けられた係合部材を備え、
前記係合部材は、前記幅方向に対向した一対の拡縮部材を備え、
一対の前記拡縮部材は、それぞれ、基端部が前記固定対象部材に配置された回転支持部に前記開口部の幅方向に回転可能に支持された本体部と、前記本体部の先端部に設けられて前記フランジ部の前記内側空間部側に係合可能な係止爪部と、を備え、
さらに、一対の前記拡縮部材は、前記回転支持部に、両係止爪部が前記開口部を挿通可能な縮幅状態と、両係止爪部の間隔を前記フランジ部に係合可能とした拡幅状態と、に回転可能に支持され、
前記縮幅状態で前記係止爪部を前記内側空間部に配置した前記拡縮部材を、前記拡幅状態となるよう回転させて前記係止爪部を前記フランジ部に係合させるよう設けられた操作用ボルト部材を備え、
前記係合部材は、前記回転支持部を有して前記拡縮部材を支持する拡縮部材支持部材をさらに備え、
前記操作用ボルト部材は、前記拡縮部材支持部材において前記幅方向で前記拡縮部材の前記本体部の間に配置されたボルト部材締結穴の雌螺子に噛み合わされ、
前記拡縮部材支持部材は、前記操作用ボルト部材の回転により、前記拡縮部材支持部材が、前記支持レールから離れる方向に移動可能に前記固定対象部材に支持され、
前記拡縮部材の前記本体部は、前記操作用ボルト部材の回転による前記操作用ボルト部材の軸方向の相対変位を前記拡縮部材の拡幅方向の回転に変換する入力変換部を備える固定装置。
【請求項2】
請求項に記載された固定装置において、
前記固定対象部材は、前記拡縮部材支持部材を前記開口部の内外方向に移動可能に支持するとともに、前記拡縮部材支持部材の前記操作用ボルト部材を中心とする回転を規制する矩形の筒状であり、かつ、前記当接部側が開口され、前記当接部とは反対方向の端部がボルト挿通壁により塞がれた筒状部を備え、
前記ボルト挿通壁は、前記ボルト部材締結穴に対向して前記操作用ボルト部材の螺子部を挿通可能なボルト挿通穴が貫通して形成されている固定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の固定装置を用いた棚装置であって、
前記支持レールは、床から前記第1の方向である上下方向に延在され、
棚部材を支持可能な前記固定対象部材としての棚受ブラケットが、前記固定装置により前記支持レールに固定され、
前記棚受ブラケットに、前記棚部材が支持されている棚装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の固定装置を用いた棚装置であって、
前記支持レールは、床から前記第1の方向である上下方向に延在され、
棚部材の端縁部を支持可能な前記固定対象部材としての一対の棚受アームが、前記固定装置により一対の前記支持レールのそれぞれに固定され、
一対の前記棚受アームに、前記棚部材が架け渡されて支持されている棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定装置および棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棚を任意の高さに設定できる棚装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、上下方向に延在された支柱部と、支柱部に上下方向に一定の間隔で設けられた係合穴と、この係合穴に係合可能なフック部を備えた固定用金具と、固定用金具に支持された棚板と、を備える書架用棚が開示されている。
【0003】
また、近年、複数の棚を備えた猫の室内用遊具が種々提案されている(例えば、特許文献2)。この特許文献2には、上下方向に延在された複数のレールと、レールの任意の位置に固定可能な留め具と、一対の留め具に支持されるステップとを備えたキャットタワーが開示されている。
【0004】
また、留め具は、レールに沿って移動可能であり、かつ、ナット部を有する。そして、レールの切欠部からステップ固定部を貫通したボルトを、留め具のナット部に締結することで、ステップ固定部をレールに固定することができる。このようにしてレールに固定した一対のレール固定部でステップの両端を支持することで、複数のステップを任意の高さに設けることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-223802号公報
【文献】特開2019-216715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、固定用金具を設置できる高さが、予め、段階的に設けられた係合穴が設けられている高さに限られ、設計自由度の改善が望まれる。
一方、特許文献2に記載の技術では、留め具の位置を自由に設定できるものの、予め、レール内に、留め具を設けておく必要があり、後からステップを追加する際に、追加する位置に留め具を配置するのが難しく、設計自由度が制限される。
【0007】
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、ブラケットなどの固定対象部材を、支持レールに対し任意に容易に設定可能な固定装置およびこの固定装置を用いた棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の固定装置は、第1の方向に沿って延在された内側空間部および前記内側空間部を外部に連通する開口部と、前記開口部の幅方向の両縁部に設けられたフランジ部とを備えた支持レールに固定対象部材を固定する固定装置である。
【0009】
前記固定対象部材の前記支持レールへの当接部に設けられた係合部材を備え、前記係合部材は、前記幅方向に対向した一対の拡縮部材を備える。
一対の前記拡縮部材は、それぞれ、基端部が前記固定対象部材に配置された回転支持部に前記開口部の幅方向に回転可能に支持された本体部と、前記本体部の先端部に設けられて前記フランジ部の前記内側空間部側に係合可能な係止爪部と、を備える。さらに、一対の前記拡縮部材は、前記回転支持部に、両係止爪部が前記開口部を挿通可能な縮幅状態と、両係止爪部の間隔を前記フランジ部に係合可能とした拡幅状態と、に回転可能に支持されている。
そして、前記縮幅状態で前記係止爪部を前記内側空間部に配置した前記拡縮部材を、前記拡幅状態となるよう回転させて前記係止爪部を前記フランジ部に係合させるよう設けられた操作用ボルト部材を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の固定装置では、拡縮部材を縮幅状態として係止爪部を支持レールの開口部から進入させて内側空間部に配置した後に、操作用ボルト部材を操作して拡縮部材を回転させて拡幅状態とする。この拡幅状態で、係止爪部はフランジ部に係合し、これにより、固定対象部材を、支持レールに固定させることができる。よって、固定対象部材を、支持レールに対し後付けの場合でも、操作用ボルト部材による容易な操作で支持レールの開口部に沿った任意の位置に固定対象部材を固定することができる。
また、本開示の固定装置を備えた棚装置では、固定対象部材を任意の位置に固定し、この固定対象部材に、棚部材を支持させることができる。よって、任意の位置に、棚部材を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1の固定装置Aによる棚受ブラケットの支持レールへの固定状態を示す断面斜視図である。
図2】実施の形態1の固定装置Aおよび棚受ブラケットを示す図であり、(a)は側方から見た縦断面図、(b)は正面図である。
図3】実施の形態1の固定装置Aの拡縮部材支持部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図4】実施の形態1の固定装置Aの拡縮部材を示す図であり、(a)は右側の拡縮部材の底面図、(b)は右側の拡縮部材の側面図、(c)は左側の拡縮部材の平面図、(d)は左側の拡縮部材の側面図である。
図5】実施の形態1の固定装置Aの斜視図である。
図6】実施の形態1の固定装置Aの作用説明図であり、棚受ブラケットを支持レールに取り付ける前の縮幅状態を示す上方から見た断面図である。
図7】実施の形態1の固定装置Aの作用説明図であり、棚受ブラケットを支持レールに取り付けた拡幅状態を示す上方から見た断面図である。
図8】実施の形態2の固定装置A2により棚受アームを支持レールに固定する直前の状態を示す側方から見た断面図である。
図9】実施の形態2の固定装置A2により支持レールに固定した棚受アームにより横長棚板および側板の取付状態の説明図である。
図10】実施の形態2の固定装置A2および棚受アームを示す図であり(a)は棚受アームの縦断面図、(b)は固定装置A2により棚受アームを支持レールに固定した状態の横断面図である。
図11】実施の形態2の固定装置A2の拡縮部材を示す図であり、(a)は右側の拡縮部材の側面図、(b)は右側の拡縮部材の平面図、(c)は左側の拡縮部材の平面図、(d)は左側の拡縮部材の側面図である。
図12】実施の形態2の固定装置A2の作用説明図であり、(a)は棚受アームを支持レールに固定する前の縮幅状態を示す上方から見た断面図、(b)は棚受アームを支持レールに固定した拡幅状態を示す上方から見た断面図である。
図13】実施の形態3の固定装置を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図14】実施の形態4の棚装置としての猫用遊具を示す斜視図に代わる写真像図である。
図15】実施の形態4に用いる棚板を示す平面図である。
図16】実施の形態5の猫用運動装置の斜視図に代わる写真像図である。
図17】実施の形態5の猫用運動装置の棚装置に用いる支持レールを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の固定装置および棚装置を実現する形態を、図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の固定装置Aは、図1に示す固定対象部材としての棚受ブラケット10を、支持レール20に固定するのに用いる。
この固定装置Aは、棚受ブラケット10に支持された一対の係合部材30と、一対の係合部材30の間に配置された操作用ボルト部材40とを備える。なお、以下の説明において、支持レール20の延在方向である矢印UPの方向を上方、矢印DNの方向を下方、矢印FRの方向を前方、矢印RRの方向を後方、矢印Lの方向を左方向、矢印Rの方向を右方向とする。
【0013】
(支持レール材の説明)
まず、支持レール20について説明する。
支持レール20は、アルミなどの金属製のもので、例えば、押出成形などにより一定断面の筒状に形成され、外壁部21と開口部22と袋部23とを備える。
【0014】
外壁部21は、略矩形断面の筒状部分の4か所の角部と、開口部22を除く側壁とを形成する。なお、外壁部21の角部の裏側には、補強用のリブ21aが形成されている。
【0015】
開口部22は、支持レール20の4か所の側面の幅方向の中央に設けられ、支持レール20の全長に亘って上下方向に延在されている。
【0016】
袋部23は、開口部22の内側に凹状の内側空間部22aを形成するとともに、外壁部21同士を連結している。さらに、袋部23の端部のフランジ部と、外壁部21において開口部22の端縁を形成する部分とが重ねられ、係合部材30を係合するためのフランジ部24が形成されている。
【0017】
(棚受ブラケットの説明)
次に、固定対象部材としての棚受ブラケット10について説明する。
この棚受ブラケット10は、後述する棚装置としての猫用遊具PFCなどを構築する際に、棚板RSなどを支持するもので、ブラケット本体12と、ブラケットキャップ13とを備える。
【0018】
ブラケット本体12は、アルミなどの金属製のもので、例えば、鋳造などにより形成され、左右一対の側壁12a、12aと、図2(a)に示すように、棚支持板12bと、底壁12cと、ボルト挿通壁12dとを備える。
【0019】
側壁12aは、後方側端部に直角の内角を有する台形状に形成されている。そして、棚支持板12bは、側壁12aの台形の上底部分に沿って、両側壁12a、12aを連結して一体に設けられ、底壁12cは、側壁12aの台形の下底に沿って、両側壁12a、12aを連結して一体に設けられている。なお、底壁12cは、上下に二重に形成されている。また、ボルト挿通壁12dは、底壁12cの前端部から立ち上げられ、側壁12a、12aと、棚支持板12bと底壁12cと一体に設けられている。
【0020】
したがって、ブラケット本体12の前後方向で後ろ側の部分は、棚支持板12bと、両側壁12a、12aと、底壁12cとに囲まれた略矩形筒状の筒状部121が形成されている。そして、この筒状部121の前端部が、ボルト挿通壁12dにより塞がれている。
【0021】
また、ブラケット本体12は、ボルト挿通壁12dよりも前方部分は、下向きのコの字断面形状に形成され、下方に開口されており、後述する作業用の空間となっている。そして、この開口部分がブラケットキャップ13により開閉可能となっている。
【0022】
なお、棚支持板12bには、一対の締結穴12eと、一対の挿通穴12fとが上下方向に貫通して形成され、前端部には、キャップ係合段部12gが形成されている。また、ボルト挿通壁12dの上下方向および左右方向の略中央には、ボルト挿通穴12hが貫通して形成され、底壁12cの前端部にはキャップ締結螺子穴12jが上向きに形成されている。
【0023】
ブラケットキャップ13は、樹脂や金属により形成され、ブラケット本体12の前端の傾斜に沿って装着されるもので、上下に係止片13a、13bが形成され、上下方向および左右方向の中央にボルト操作用筒部13cを備える。なお、ボルト操作用筒部13cは、操作用ボルト部材40の回転操作を行うドライバなどの用具を挿通可能とするもので、ボルト挿通穴12hと略同軸に配置されている。
【0024】
そして、係止片13aは、ブラケット本体12のキャップ係合段部12gに係止され、係止片13bは、ブラケット本体12の底壁12cに螺子13dにより固定されている。したがって、螺子13dを外せば、ブラケットキャップ13をブラケット本体12から取り外すことができる。
【0025】
(係合部材の説明)
次に、係合部材30について説明する。
係合部材30は、棚受ブラケット10を支持レール20の開口部22から内側空間部22aに挿入しフランジ部24に係合させるもので、図1に示すように、拡縮部材支持部材31と、左右一対の拡縮部材32、32とを備える。これらの拡縮部材支持部材31および拡縮部材32は、アルミなどの金属製であり、鋳造などにより形成されている。
【0026】
拡縮部材支持部材31は、図3に示すように、本体31aと、回転支持フランジ部31b、31bと、係合溝31cと、ボルト部材締結穴31dとを備える。
【0027】
本体31aは、略直方体形状に形成され、図1に示す棚受ブラケット10への取付時に、ボルト挿通壁12dに前後方向に対向して設けられる。また、上下方向および左右方向の中央に、操作用ボルト部材40の螺子部42が噛み合わされる雌螺子を内周に有したボルト部材締結穴31dを備える。
【0028】
回転支持フランジ部31b、31bは、本体31aの左右両端にL字断面状に形成されている。係合溝31cは、これらの回転支持フランジ部31b、31bと本体31aとにより囲まれて係合部材30、30と前後方向に係合可能に形成されている。
【0029】
拡縮部材支持部材31には、一対の拡縮部材32、32が左右方向に回転可能に支持されている。なお、左右の拡縮部材32、32を区別する際には、図1において左側に配置されている係合部材30の後ろに(L)を表記し、右側に配置されている係合部材30の後ろに(R)を表記する。そして、両者を区別しない場合には、単に、拡縮部材32と表記する。
【0030】
拡縮部材32は、図4に示すように、本体部32aと、基端係止爪33と、レール係止爪部34と、入力変換部35と、ガイド突起36とを備える。
【0031】
本体部32aは、図4に示すように、側方から見て略長方形の板状に形成されている。基端係止爪33は、本体部32aの前端からL字状に左右方向に突出しており、図1に示すように、拡縮部材支持部材31の係合溝31cに差し込まれて回転支持フランジ部31bに前後方向に係合されている。これにより、係合部材30は、回転支持フランジ部31bの先端部との接触部分を回転中心として、左右方向に回転可能に支持されている。
【0032】
レール係止爪部34は、本体部32aの後端部の上下に間隔を空けた2か所から前方に延びるアーム部34a先端に形成されている。
【0033】
そして、このように形成された一対の拡縮部材32、32のうち、一方(拡縮部材32(R))を図4に示す状態から上下反転させた状態で、両拡縮部材32、32の基端係止爪33、33を図5に示すように、係合溝31cに挿入している。したがって、両拡縮部材32(L)、32(R)の各レール係止爪部34およびガイド突起36が、上下に互い違いに配置されている。そして、両拡縮部材32、32が、レール係止爪部34、34の左右方向の間隔を広げた際(拡幅方向に回転した際)に、ガイド突起36、36が上下に重なる状態が維持され、両拡縮部材32、32のスムーズな回転を維持できる。
【0034】
入力変換部35は、両拡縮部材32(L)、32(R)の本体部32a、32aの対向面に設けられ、図1図5に示すように、前方に向かうに連れて本体部32a、32aの間隔を狭めるように傾斜されている。すなわち、入力変換部35は、図1に示すように、操作用ボルト部材40の軸方向の後方への移動を拡縮部材32(L)、32(R)の間隔が広がる方向である拡幅方向の回転に変換する。
【0035】
(操作用ボルト部材の説明)
操作用ボルト部材40は、縮幅状態の拡縮部材32、32を拡幅状態に回転させる操作を行う部材であり、頭部41と螺子部42とを備える。螺子部42は、ブラケット本体12のボルト挿通穴12hに挿通可能な外径を有するとともに、拡縮部材支持部材31のボルト部材締結穴31dの雌螺子に噛み合わされ、水平方向で拡縮部材32(L)、32(R)の本体部32a、32aの間に配置されている。
【0036】
また、頭部41は、ブラケット本体12のボルト挿通穴12hには、挿通することなく前後方向に係合する外径寸法に形成されている。
【0037】
(実施の形態1の固定装置の支持レールへの取付手順)
次に、固定装置Aにより棚受ブラケット10を支持レール20に固定する手順を説明する。
【0038】
まず、一対の拡縮部材32(L)、32(R)を、拡縮部材支持部材31に組み付けて係合部材30を組み立てる。この場合、図5に示すように、各拡縮部材32の基端係止爪33を、拡縮部材支持部材31の係合溝31cに挿入し、回転支持フランジ部31bに前後方向に係合した状態とする。
【0039】
そして、この係合部材30を、図2(a)に示すように、棚受ブラケット10の筒状部121に拡縮部材支持部材31に支持させた状態の拡縮部材32(L)、32(R)を挿入する。このように、拡縮部材支持部材31は、筒状部121に挿入されることで、支持レール20へ取り付ける際には、開口部22の内外方向(図1の前後方向)に移動可能に支持される。さらに、拡縮部材支持部材31のボルト部材締結穴31dに、ブラケット本体12のボルト挿通壁12dのボルト挿通穴12hに挿通した操作用ボルト部材40の螺子部42を噛み合わせる。この場合、螺子部42とボルト部材締結穴31dとの噛み合わせ量は、図6に示すように、操作用ボルト部材40の先端が、拡縮部材32の入力変換部35の前方に配置する量とする。また、このとき、レール係止爪部34はブラケット本体12の後端から後方に間隔を空けて配置され、かつ、拡縮部材支持部材31は、ブラケット本体12のボルト挿通壁12dから後方に離れて配置される。
【0040】
次に、図6に示すように、拡縮部材32(L)、32(R)の左右方向の幅を狭めた縮幅状態として、棚受ブラケット10を所望の高さに配置して、一対のレール係止爪部34、34を、支持レール20の開口部22から内側空間部22aに挿入させる。
【0041】
そして、ブラケット本体12の前方側から操作用ボルト部材40を、締結方向に回転させる。この操作用ボルト部材40の回転により、拡縮部材支持部材31のボルト部材締結穴31dとの噛み合い位置が移動し、拡縮部材支持部材31がボルト挿通壁12dの方向である前方に移動する。すなわち、拡縮部材支持部材31は筒状部121に挿入されて操作用ボルト部材40を中心とする回転を規制されているため、拡縮部材支持部材31が前方に移動し、拡縮部材32(L)、32(R)も前方に移動する。
【0042】
そして、この操作用ボルト部材40と拡縮部材支持部材31とが前後方向に相対移動することにより、操作用ボルト部材40の螺子部42の先端が入力変換部35を押圧する。これにより、拡縮部材32は、基端係止爪33と回転支持フランジ部31bとの接触部分を中心として、両レール係止爪部34、34の左右方向の間隔を広げる方向である拡幅方向に回転する。
【0043】
したがって、レール係止爪部34、34は、操作用ボルト部材40の方向(前方)に引き寄せられながら左右に広がることで、図7に示すように、支持レール20の開口部22の左右両端のフランジ部24、24に前後方向にきつく係合される。これにより、フランジ部24,24は、レール係止爪部34、34と棚受ブラケット10の後端とに挟まれ、棚受ブラケット10が支持レール20に、上下、左右、前後方向に固定される。
【0044】
よって、棚受ブラケット10により、後述する棚板SBなどを支持することができる。なお、棚板SBを支持する場合の詳細については、後述する。
【0045】
また、棚受ブラケット10および棚板SBの取付後に、棚板SBを上下方向に移動させたり、棚受ブラケット10を取り外したりすることができる。この場合、ブラケットキャップ13のボルト操作用筒部13cからドライバなどを差し込み、操作用ボルト部材40を緩める方向に回転させ、拡縮部材32に対する締結力を緩ませることができる。したがって、棚板SBの位置を上下に移動させたい場合は、この状態で、棚受ブラケット10および棚板SBを開口部22に沿って上下に移動させることができる。その後、操作用ボルト部材40を締結方向(拡幅方向)に回転させれば、再び、棚受ブラケット10を固定し、その位置に、棚板SBを配置することができる。
【0046】
また、棚部材および棚受ブラケット10を取り外したい場合は、まず、上記のように操作用ボルト部材40を、締結を緩める方向に回転させ、レール係止爪部34による締結力を緩める。そして、拡縮部材32(L)、32(R)を側方から押すなどして縮幅状態とし、レール係止爪部34、34を、開口部22を通過させて内側空間部22aから引き出す。なお、レール係止爪部34の上下方向寸法が開口部22の幅寸法よりも小さい場合は、棚受ブラケット10を、前後方向の軸を中心に90度回転させて通過させることも可能である。
【0047】
(実施の形態1の固定装置の効果)
(1)実施の形態1の固定装置Aは、支持レール20に固定対象部材としての棚受ブラケット10を固定する。支持レール20は、第1の方向である上下方向に沿って延在された内側空間部22aおよび内側空間部22aを外部に連通する開口部22と、開口部22の幅方向の両縁部に設けられたフランジ部24とを備える。
【0048】
そして、固定装置Aは、係合部材30と操作用ボルト部材40とを備える。
係合部材30は、棚受ブラケット10の支持レール20への当接部である後端部に設けられている。さらに、係合部材30は、幅方向である左右方向に対向した一対の拡縮部材32(L)、32(R)を備える。
【0049】
一対の拡縮部材32は、それぞれ、本体部32aとレール係止爪部34と、を備える。本体部32aは、基端部が棚受ブラケット10に配置された回転支持部に開口部22の幅方向に回転可能に支持されている。レール係止爪部34は、本体部32aの先端部に設けられてフランジ部24の内側空間部22a側に係合可能に形成されている。
【0050】
さらに、一対の拡縮部材32は、回転支持フランジ部31bに、両レール係止爪部34が開口部22を通過可能な縮幅状態と、両レール係止爪部34の間隔が開口部22の幅よりも広がりフランジ部24に係合可能な拡幅状態と、に回転可能に支持されている。
【0051】
操作用ボルト部材40は、縮幅状態でレール係止爪部34を内側空間部22aに配置した拡縮部材32を、拡幅状態となるよう回転させてレール係止爪部34をフランジ部24に係合させる。
【0052】
したがって、固定装置Aは、支持レール20において上下方向の任意の位置に、棚受ブラケット10を固定することができ、係合穴などにより固定位置が制限されるものと比較して設計自由度に優れる。しかも、この固定の際には、固定装置Aを支持レール20に沿って移動させる必要がないため、他の棚受ブラケット10を取り付けた後に取り付ける場合であっても、任意の位置に棚受ブラケット10を固定でき、この点でも設計自由度に優れる。加えて、固定装置Aを固定する際の操作は、操作用ボルト部材40を回転させるだけであるため、操作も容易である。
【0053】
(2)実施の形態1の固定装置Aでは、係合部材30は、回転支持部としての回転支持フランジ部31bを有して拡縮部材32(L)、32(R)を支持する拡縮部材支持部材31をさらに備える。
また、操作用ボルト部材40は、拡縮部材支持部材31において幅方向(左右方向)で拡縮部材32、32の本体部32a、32aの間に配置されたボルト部材締結穴31dの雌螺子に噛み合わされている。さらに、拡縮部材支持部材31は、操作用ボルト部材40の回転により、拡縮部材支持部材31が、支持レール20から離れる方向に移動可能に棚受ブラケット10に支持されている。
そして、拡縮部材32の本体部32aは、操作用ボルト部材40の回転による操作用ボルト部材40の軸方向の相対変位を拡縮部材32の拡幅方向の回転に変換する入力変換部35を備える。
【0054】
したがって、操作用ボルト部材40を回転させれば、拡縮部材32を手前に引き寄せながら、レール係止爪部34、34の間隔を広げて拡幅状態とすることができる。よって、レール係止爪部34の前後方向の移動量を確保してフランジ部24に対する強い係合力を得ることができ、拡縮部材32、32をフランジ部24に確実に強固に固定することができる。
【0055】
(3)実施の形態1の固定装置Aでは、棚受ブラケット10は、筒状部121を備える。この筒状部121は、拡縮部材支持部材31を左右方向に直交する前後方向に移動可能に支持するとともに、拡縮部材支持部材31の操作用ボルト部材40を中心とする回転を規制する矩形の筒状である。筒状部121は、さらに、支持レール20への当接方向である後端が開口され、その反対方向の前端部がボルト挿通壁12dにより塞がれている。
そして、ボルト挿通壁12dは、ボルト部材締結穴31dに対向して操作用ボルト部材40の螺子部42を挿通可能なボルト挿通穴12hが貫通して形成されている。
【0056】
したがって、操作用ボルト部材40を回転させた際に、拡縮部材支持部材31が回転することなく、確実に前後方向に移動させることができるとともに、確実に拡縮部材32、32を、拡幅状態とすることができる。よって、レール係止爪部34をフランジ部24に確実に強固に固定することができる。
【0057】
(他の実施の形態)
次に、本開示の他の実施の形態について説明する。
なお、他の実施の形態を説明するのにあたり、共通する構成には共通する符号を付して説明を省略する。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態2の固定装置A2について説明する。
実施の形態2の固定装置A2は、図8に示す固定対象部材としての棚受アーム210を支持レール20に固定するのに用いるもので、係合部材230を備える。
【0059】
(棚受アームの説明)
まず、棚受アーム210について説明する。
棚受アーム210は前後方向に長い枠状の部材であり、図9に示す横長棚板HSBや側板SPなどを支持するもので、例えば、押出成形などにより形成されたアルミなどの金属製の一定断面形状に形成されている。
【0060】
棚受アーム210の断面形状を、図10(a)に基づいて説明すると、棚受アーム210は、中央に周壁211に囲まれた中空部212を備える。そして、中空部212を囲むように、上方、下方にそれぞれ開口された開口部213a、214aを有する上側溝部213、下側溝部214を備え、左右に、側方に開口された開口215aを有する上下一対の側部溝部215、215、215、215を備える。
【0061】
また、図10(b)にも示すように、棚受アーム210において、後端の近傍には、周壁211を貫通したボルト挿通穴211aが形成されている。そして、ボルト挿通穴211aの周縁は、縁カバー211bで覆われている。
【0062】
なお、図9では、棚受アーム210には、棚受アングル材250を取り付けた状態で図示している。棚受アングル材250は、横長棚板HSBの左右方向の端縁部を支持するもので、受板部251と係合部252とを備える。
【0063】
受板部251は、横長棚板HSBの左右方向の端縁部の下面を受け止めて支持する。なお、横長棚板HSBは、螺子253により受板部251に固定される。
【0064】
係合部252は、側部溝部215に挿入可能に形成され、この挿入状態で横長棚板HSBの荷重を支持することができる。また、側部溝部215が、上下に形成されていることで、この係合部252を挿入する溝を選択することで、横長棚板HSBを設置する高さを選択的に変更することができる。
【0065】
(係合部材および操作用ボルト部材の説明)
ボルト挿通穴211aには、係合部材230の係合操作を行う操作用ボルト部材240が挿入されている。以下に、係合部材230と操作用ボルト部材240について説明する。
【0066】
係合部材230は、実施の形態1と同様に、左右一対の拡縮部材232L、232Rを備える。また、両拡縮部材232L、232Rは、図11に示すように、本体部232aと、本体部232aから後方に突出された2本のアーム部234a、234aの先端に係止爪部234を備える。
【0067】
また、両拡縮部材232L、232Rは、実施の形態1と同様に、図11(a)、(d)に示す状態から、一方を、上下反転させることにより、アーム部234aを上下に互い違いに配置している。そして、本体部232aには、実施の形態1と同様にガイド突起236が設けられている。
【0068】
実施の形態2では、両拡縮部材232L、232Rを相互に回転させるための構造が実施の形態1とは異なり、両拡縮部材232L、232Rは、回転軸部材231を中心に回転する。以下に、この相違点について説明する。
【0069】
拡縮部材232Lは、図11(c)に示すように、後端部に、半円筒状の回転筒状部237を備える。この回転筒状部237は、内径が、回転軸部材231の外径よりも僅かに大径に形成されている。そして、この回転筒状部237が、図10に示すように、回転軸部材231の外周に装着されることで、拡縮部材232Lは、回転軸部材231に水平方向に回転可能に支持される。
【0070】
また、拡縮部材232Rは、後端部に半円筒状の回転筒状部238を備える。この回転筒状部238は、内径が回転筒状部237の外径よりも僅かに大径に形成されている。そして、この回転筒状部238が、回転筒状部237の外周に装着されることで、拡縮部材232Rは、回転筒状部237を介して回転軸部材231に水平方向に回転可能に支持される。
【0071】
したがって、係合部材230は、拡縮部材232L、232Rが、回転軸部材231を中心として左右方向に回転可能となっており、係止爪部234、234の左右方向の間隔を広げたり縮めたりすることが可能となっている。すなわち、拡縮部材232L、232Rは、係止爪部234、234が開口部22を通過可能な縮幅状態と、係止爪部234、234をフランジ部24、24に係合可能な拡幅状態とに回転可能となっている。
【0072】
また、拡縮部材232Rの本体部232aの上下方向の中央であって、後端寄りの位置に、雌螺子穴239が本体部232aを水平方向に貫通して形成されている。そして、この雌螺子穴239の内周には、操作用ボルト部材240の螺子部242の雄螺子と噛み合う雌螺子が形成されている。
【0073】
したがって、雌螺子穴239に、図10に示すように操作用ボルト部材240を噛み合わせて回転させると、操作用ボルト部材240の先端が拡縮部材232Lを押して拡縮部材232L、232Rの水平方向の間隔を広げることができる。
【0074】
(実施の形態2の固定装置による棚受アームの支持レールへの固定手順)
次に、固定装置A2により棚受アーム210を支持レール20に固定する手順を、図12に基づいて説明する。なお、図12に示す例では、図10(b)とは左右逆に、拡縮部材232Lに雌螺子穴239が形成され、操作用ボルト部材240が噛み合わされているものとして説明する。このように、雌螺子穴239、操作用ボルト部材240および棚受アーム210のボルト挿通穴211aは、拡縮部材232L、232Rのいずれに設けてもよく、棚受アーム210により支持する棚部材に応じ、適切な配置のものを選択して使用する。
【0075】
固定手順としては、予め、図12(a)に示すように、棚受アーム210の中空部212の後端部に、係合部材230を取り付けておく。この場合、回転筒状部237、238を内外に重ねて一体とした拡縮部材232L、232Rを挿入し、棚受アーム210の上下の所定位置に開口された穴から回転軸部材231を両回転筒状部237、238の内側に挿入し、固定することができる。この場合、後述する実施の形態3を説明する図13(b)に示すように、回転軸部材231を上下2本設けてもよい。あるいは、予め回転軸部材231の外周に、回転筒状部237,238を装着した係合部材230を中空部212に挿入し、回転軸部材231を棚受アーム210に固定してもよい。
【0076】
次に、棚受アーム210のボルト挿通穴211aから、操作用ボルト部材240を挿入し、その螺子部242を拡縮部材232Lの雌螺子穴239の雌螺子と噛み合わせた状態とする。なお、この時点では、操作用ボルト部材240の螺子部242の先端部分を雌螺子穴239と噛み合わせて拡縮部材232L、232Rは、図12(a)に示すようにレール係止爪部234、234の左右方向の間隔を狭めた縮幅状態としておく。
【0077】
次に、棚受アーム210を所望の高さに配置した上で、係合部材230のレール係止爪部234、234を、支持レール20の開口部22から内側空間部22aに挿入し、棚受アーム210の後端を、支持レール20の外壁部21に当接させる。この状態で、さらに棚受アーム210の側方から操作用ボルト部材240の頭部241を、雌螺子穴239にねじ込む方向に回転させる。この操作用ボルト部材240の回転により、螺子部242の先端が拡縮部材232Rの本体部232aを水平方向に押圧する。これにより、拡縮部材232L、232Rは、回転軸部材231を中心として回転し、レール係止爪部234、234が、左右に広がりながら前方へ移動する。
【0078】
したがって、図12(b)に示すように、レール係止爪部234、234が、支持レール20の開口部22の左右両端のフランジ部24に前後方向に係合し、棚受アーム210が支持レール20の所望の高さに固定される。
【0079】
また、棚受アーム210を上下に移動させたり取り外したりする場合は、操作用ボルト部材240を拡幅時とは逆方向に回転させる。すなわち、操作用ボルト部材240の頭部241は、棚受アーム210の側面に露出しているため、棚受アーム210の固定後であっても回転させることができる。
【0080】
これにより、操作用ボルト部材240の先端が、拡縮部材232Rの本体部232aから離れ、拡縮部材232L、232Rを縮幅方向に回転させることが可能となる。よって、固定装置A2による固定力を弱め、棚受アーム210を支持レール20に沿って上下に移動させることが可能となる。
【0081】
また、拡縮部材232L、232Rが図12(a)に示す縮幅状態とすることが可能となるまで回転させれば、レール係止爪部234、234を支持レール20の開口部22から引き出して、棚受アーム210を支持レール20から取り外すことが可能となる。
【0082】
(実施の形態2の固定装置の効果)
実施の形態2の固定装置A2は、実施の形態1で説明した(1)の効果に加え、下記の効果を有する。
【0083】
(2-1)実施の形態2の固定装置A2では、一対の拡縮部材232L、232Rは、棚受アーム210に配置された回転支持部としての回転軸部材231を中心に回転可能に支持されている。
そして、一方の拡縮部材232Rの本体部232aに、幅方向に雌螺子穴239が貫通して形成されている。操作用ボルト部材240は、螺子部242が、雌螺子穴239に噛み合わされて拡縮部材232Rを貫通して先端が拡縮部材232Lの本体部232aを拡幅方向に押圧可能に設けられるとともに、頭部241が、棚受アーム210の側面に配置されている。
【0084】
したがって、固定装置A2の固定操作としての操作用ボルト部材240の操作を、開口部22の正面の方向からの操作ではなく、側方から操作できる。このため、固定装置A2による固定対象としての棚受アーム210が、開口部22の正面方向である前後方向に長い形状であっても、その形状に影響を受けることなく、容易に操作可能とすることができる。
【0085】
また、実施の形態2では、棚受アーム210は、棚部材を支持可能な各溝部213、214、215を有するが、ボルト挿通穴211aは、これらの各溝部213、214、215と干渉しない位置に配置している。このため、操作用ボルト部材240が棚部材を設置する邪魔になることがなく、棚部材の設置自由度を確保できる。
【0086】
(実施の形態3の固定装置)
次に、実施の形態3の固定装置A3について説明する。この実施の形態3の固定装置A3は、実施の形態1の固定装置Aと実施の形態2の固定装置A2とを組み合わせたものである。
【0087】
実施の形態3では、図13に示すように、実施の形態1で示した固定装置Aにより支持レール20に固定された棚受ブラケット10と、実施の形態2で示した固定装置A2により支持レール20に固定された棚受アーム210とを用いる。実施の形態1、2との相違点は、棚受ブラケット10が、棚受アーム210を補強するブラケットアーム300に連結されている点である。
【0088】
図13(b)に示すように、棚受アーム210は、実施の形態2と同様に、横長棚板HSBの端部を支持している。一方、棚受ブラケット10は、図13(a)に示すように実施の形態1とは上下逆転して支持レール20に取り付けられている。
【0089】
ブラケットアーム300は、円柱、あるいは、円筒状に形成され、図13(a)に示すように、棚受アーム210の前端部と、棚受ブラケット10の下面の棚支持板12bとに連結されている。
【0090】
ブラケットアーム300の下端部は、図13(b)に示すように、棚受アーム210の上側溝部213に挿入された係合片311を備え、さらに、下端部には図示は省略するが雄螺子が形成されてナット312が装着されている。したがって、ナット312を締結してブラケットアーム300の下端部が棚受アーム210の前端部に固定されている。
【0091】
また、ブラケットアーム300の上端部には、板状の連結ブラケット320が設けられ、この連結ブラケット320が棚受ブラケット10の挿通穴12fに挿通された螺子321により棚支持板12bに固定されている。
【0092】
したがって、実施の形態3では、横長棚板HSBが、より大きな荷重を支持可能となる。
【0093】
(実施の形態4の猫用遊具、実施の形態5の猫用運動装置の説明)
実施の形態1の固定装置Aおよび実施の形態2の固定装置A2を用いて、実施の形態4の棚装置としての猫用遊具PFCや実施の形態5の猫用運動装置CAを構成することができる。
【0094】
以下に、猫用遊具PFCおよび猫用運動装置CAについて説明する。
(猫用遊具の説明)
まず、図14に示す実施の形態4の猫用遊具PFCについて説明する。
この猫用遊具PFCは、ベースプレート410と、支持レール20と、棚受ブラケット10と、棚板SBとを備える。
【0095】
ベースプレート410は、床FLの上に配置され、支持レール20を起立状態で支持する。また、支持レール20は、上端部に、上下に伸縮して、支持レール20の上下方向の長さを変更する伸縮部430を備える。
【0096】
すなわち、支持レール20は、その上端に設けられて伸縮部430の伸縮により上下する上端プレート420pを、天井SLに当接させて、床FLの上のベースプレート410と天井SLとの間で起立状態を維持している。
【0097】
この猫用遊具PFCでは、支持レール20の4か所の開口部22のそれぞれにおいて、複数の棚受ブラケット10を所望の高さに固定装置Aにより固定する。実施の形態4では、複数の棚受ブラケット10は、支持レール20の4か所の開口部22に対し、上方から見て時計回り方向に位置を変えながら、徐々に高い位置に配置されている。
【0098】
棚板SBは、平面形状が、図15に示すように、将棋の駒の先端を切除したような略6角形状に形成され、幅方向(矢印Wの方向)の3か所に、それぞれ、一対の取付穴431、432、433が貫通して形成されている。これらの取付穴431、432、433のいずれかと、棚受ブラケット10の締結穴12eや挿通穴12fを用いて締結する。この場合、支持レール20を中心として周方向に隣り合う棚板SBを周方向に離すように、取付穴431、432、433を選択することにより、棚板SBを、猫が上方から見て時計回り方向に昇りやすい配置とすることができる。なお、取付穴として、雌螺子が形成された取付穴432と、雌螺子が形成されていない取付穴431、433を備え、締結具に応じて選択的に使用する。
【0099】
そして、棚受ブラケット10に設けた固定装置A(図14では図示省略)は、支持レール20の上下方向の任意の位置に固定できるため、棚受ブラケット10および棚板SBを、飼い猫の体格や運動能力に応じた、最適の高さに任意に固定することができる。また、飼い猫の成長に応じ、棚受ブラケット10および棚板SBの高さを任意に変更することもできる。
【0100】
(実施の形態4の猫用遊具の効果)
(4-1)実施の形態4の棚装置としての猫用遊具PFCでは、支持レール20は、床FLから上下方向に延在されている。そして、棚部材としての棚板SBを支持可能な棚受ブラケット10が、固定装置Aにより支持レール20に固定されている。また、棚受ブラケット10に、棚板SBが支持されている。
したがって、棚受ブラケット10および棚板SBを支持レール20の開口部22の任意の高さに固定でき、設計自由度の高い猫用遊具PFCを提供することができる。
【0101】
(猫用運動装置の説明)
次に、図16に示す実施の形態5の猫用運動装置CAについて説明する。
この猫用運動装置CAは、自立式の猫用遊具PFC2と、壁WOに設けた棚装置SEとにより構成されている。
【0102】
まず、猫用遊具PFC2について説明する。
猫用遊具PFC2は、ベースプレート410、410、410に支持されて起立された3本の支持レール20、20、20を備える。そして、支持レール20同士が、連結アーム510により連結されることにより、自立可能となっている。
【0103】
連結アーム510は、棚受アーム210と同様のチャンネル材により形成され、その長手方向の両端は、固定装置A2(図16では不図示)によりそれぞれ支持レール20に固定されている。
【0104】
また、猫用遊具PFC2では、各支持レール20に棚受ブラケット10が図16では不図示の固定装置Aにより固定されている。そして、棚受ブラケット10に棚板SBが固定されている。
【0105】
さらに、猫用遊具PFC2では、二本の支持レール20の上端部には、円形の棚板RSが設けられている。この棚板RSは、連結アーム510に固定されているものと、一対の棚受ブラケット10、10に支持されているものとがある。なお、連結アーム510への固定構造は図示を省略するが、棚板SBの棚受ブラケット10への固定と同様に螺子を締結して固定することができる。また、各棚板RSには、それぞれ円形の籠BSが固定されている。
【0106】
そして、棚受アーム210、210は、それぞれ、水平方向に対向して配置され、布製の布棚部材CSが架け渡されている。なお、布棚部材CSは、横長棚板HSBと同様に、棚受アーム210に取り付けた棚受アングル材250に螺子253により固定することができる。
【0107】
次に、壁WOの前面に設けられた棚装置SEについて説明する。
棚装置SEは、5本の支持レール520に支持されている。支持レール520は、図17に示すように、開口部522を一か所のみに有した略凹断面形状に形成されており、開口部22の内側には内側空間部522aが形成されている。
【0108】
なお、図17では、支持レール520が、壁WOを形成する板材BO、BOの間に設けられている状態を示しているが、図16に示す例では、支持レール520を、床FLと下がり天井FSとの間で起立されている。すなわち、建物の建築時に棚装置SEを設置する場合などには、図17に示すように、支持レール520を壁WOに埋め込ませて設置することができる。また、建築後に棚装置SEを構築する場合などは、図16に示すように、壁WOの前に支持レール520を設置することができる。
【0109】
図16に示す例では、支持レール520は、下端にベースブラケット523が設けられ、上端にアッパブラケット524が設けられ、上端部にアッパブラケット524を上下に移動可能な伸縮部525を備える。したがって、支持レール520は、伸縮部525を伸ばして、床FLと下がり天井FSとの間で上下に突っ張った状態で起立されている。
【0110】
棚装置SEでは、支持レール520に棚受アーム210が固定されている。なお、この棚受アーム210の固定は、図16では不図示であるが、固定装置A2により固定されている。
棚受アーム210には、前述した布棚部材CSや横長棚板HSBが架け渡されているのに加え、箱状棚部材BX1、BX2、BX3が支持されている。
【0111】
箱状棚部材BX1、BX2は、内部に物を収容する棚として機能する。一方、箱状棚部材BX3は、前面や側面に開口を有し、猫が出入り可能な猫用遊具として機能する。
【0112】
箱状棚部材BX1は、左右端部の上下を一対の棚受アーム210、210により支持されている。箱状棚部材BX1の前面は、開放され、左右は、側板SPにより塞がれている。
箱状棚部材BX2、BX3は、左右の端部を一対の棚受アーム210、210と、両者の前端同士を連結するアーム連結部材530とによりコの字の枠状に形成された部材により支持されている。
【0113】
箱状棚部材BX2は、前面が開閉可能な扉部材560で覆われている。また、側方は、図示を省略するが、箱状棚部材BX1と同様に側板SPにより塞がれている。
【0114】
箱状棚部材BX3は、前面を覆う前面板570には、丸穴が開口されている。また、側方は、開放されている。
【0115】
以上のように形成された棚装置SEは、猫が運動具として、棚板RS、横長棚板HSB、布棚部材CSなどを上り下りできる。そして、箱状棚部材BX3には、猫が出入りすることができる。
さらに、飼い主は、箱状棚部材BX3の前面板570の丸穴により、猫の存在の有無を確認することができる。
【0116】
また、箱状棚部材BX1、BX2は、棚として使用することができる。そして、支持レール520は、図示のように、テレビなどの支持にも利用することもできる。
【0117】
(実施の形態5の猫用運動装置の効果)
(5-1)実施の形態5の猫用運動装置CAでは、支持レール220は、床FLから上下方向に延在されている。そして、横長棚板HSBや布棚部材CSや箱状棚部材BX1、BX2、BX3の端縁部を支持可能な一対の棚受アーム210、210が、固定装置A2により一対の支持レール220,220のそれぞれに固定されている。さらに、一対の棚受アーム210、210に、横長棚板HSBや布棚部材CSや箱状棚部材BX1、BX2、BX3が架け渡されて支持されている。
【0118】
したがって、棚受アーム210、210を、固定装置A2により一対の支持レール220、220の任意の高さに固定し、横長棚板HSBや布棚部材CSや箱状棚部材BX1、BX2、BX3などを、任意の高さに固定することができる。また、横長棚板HSBや布棚部材CSや箱状棚部材BX1、BX2、BX3などの移動や取り外しも容易に行うことができる。
【0119】
さらに、実施の形態5の猫用運動装置CAは、猫用遊具PFC2と棚装置SEとを組み合わせることにより、バリエーションに富んだ猫用の運動装置を提供できるとともに、物を収容する棚としても使用することができ、使い勝手に優れる。
【0120】
そして、支持レール220の水平方向の間隔を一定にすることにより、横長棚板HSBや布棚部材CSや箱状棚部材BX1、BX2、BX3のサイズを一定化して、各部品の共用化を図ることができ、低コスト化が可能である。
【0121】
また、複数の支持レール20、20、20を連結アーム510により連結することで、自立させることができ、支持レール20の配置が、壁WOに沿わせたり、床FLと天井SLなどとの間に限られたりすることがない。よって、設置自由度が高まる。
【0122】
以上、本開示の実施の形態を図面に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0123】
例えば、実施の形態では、支持レールの延在方向を上下方向とした例を示したが、水平方向などの他の方向としてもよいし、複数の方向に交差させてもよい。
【0124】
また、固定対象部材として棚受ブラケットや棚受アームを示したが、これに限定されるものではなく、用途に応じて任意に固定対象部材を設定することができる。すなわち、実施の形態で示した、棚装置や猫用遊具や猫用運動装置以外の用途に用いることも可能であり、例えば、帽子、洋服、傘などを掛けることが可能な部材や、その他、壁掛けなどに用いる部材を固定対象部材とすることができる。
【0125】
また、固定対象部材を、棚受ブラケットや棚受アームとした場合でも、棚受ブラケットや棚受アームにより支持する棚部材としては、実施の形態により示したものに限定されない。例えば、透明の棚板を、複数の支持レールに跨って連続して設けてもよい。また、実施の形態では、布棚部材や横長棚板を、同じ高さに配置した支持アームに架け渡した例を示したが、これに限定されず、異なる高さの支持アームに斜めに架け渡してもよい。さらに、棚部材としては、実施の形態で示した、猫用のものに限られるものではない。
あるいは、室内を仕切るドアや間仕切りなどを支持する柱などを支持するようにしてもよい。この場合、実施の形態4で示した天井と床との間に介在した支持レールを用い、この支持レールによりドアを支持するようにすれば、壁内に構造材を有しない位置で、壁を加工することなく後付けでドアや間仕切りを設けることができる。
【0126】
そして、拡縮部材の形状も実施の形態で示したものに限定されるものではなく、要は、支持レールの開口部のフランジに係合可能な係止爪部を備え、その幅を変更可能に回転するものであればよい。例えば、係止爪部を上下に互い違いに配置しなくても、開口部を通過するものであれば、縮幅時に突き当たるような形状であってもよい。また、互い違いに配置した場合も、係止爪部の数は、実施の形態で示した「2」に限定されるものではない。
【0127】
また、実施の形態1では、拡縮部材を、フランジの係合部分を回転支持部としたが、これに限定されず、拡縮部材のそれぞれが、回転支持部として回転軸を有する構造としてもよい。
【符号の説明】
【0128】
10 棚受ブラケット(固定対象部材)
20 支持レール
22 開口部
22a 内側空間部
24 フランジ部
30 係合部材
31 拡縮部材支持部材
32 拡縮部材
32(L) (左側の)拡縮部材
32(R) (右側の)拡縮部材
32a 本体部
34 レール係止爪部
35 入力変換部
40 操作用ボルト部材
42 螺子部
121 筒状部
210 棚受アーム(固定対象部材)
220 支持レール
230 係合部材
231 回転軸部材
232L (左側の)拡縮部材
232R (右側の)拡縮部材
232a 本体部
234 レール係止爪部
239 雌螺子穴
240 操作用ボルト部材
241 頭部
242 螺子部
300 ブラケットアーム(固定対象部材)
510 連結アーム
520 支持レール
522 開口部
522a 内側空間部
A 固定装置
A2 固定装置
A3 固定装置
BX1 箱状棚部材
BX2 箱状棚部材
BX3 箱状棚部材
CA 猫用運動装置(棚装置)
CS 布棚部材
HSB 横長棚板(棚部材)
PFC 猫用遊具(棚装置)
PFC2 猫用遊具(棚装置)
RS 棚板(棚部材)
SB 棚板(棚部材)
SE 棚装置
図1
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