(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/368 20060101AFI20230829BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230829BHJP
C01G 15/00 20060101ALI20230829BHJP
C01G 21/16 20060101ALI20230829BHJP
C01G 11/00 20060101ALI20230829BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230829BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H01L21/368 Z
B33Y10/00
C01G15/00 B
C01G21/16
C01G11/00
H05B33/10
H05B33/14 Z
(21)【出願番号】P 2022122818
(22)【出願日】2022-08-01
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】202111294316.2
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514112868
【氏名又は名称】北京理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】張加濤
(72)【発明者】
【氏名】喬辰
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-073126(JP,A)
【文献】特表2019-513190(JP,A)
【文献】特表2018-535107(JP,A)
【文献】特開2013-060593(JP,A)
【文献】特開2003-064278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/368
B33Y 10/00
C01G 15/00
C01G 21/16
C01G 11/00
H05B 33/10
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ結晶を製造するステップ1と、
3D印刷ペーストを配合するステップ2であって、ステップ1で得られた半導体ナノ結晶を油相有機溶媒又は水相溶媒に均一に分散させ、高分散な半導体ナノ結晶ゾルを得て、前記半導体ナノ結晶ゾルを一定のレオロジー特性を有する高光学特性の有機ポリマーマトリックスと均一に混合し、3D印刷ペーストを得るステップと、
半導体ナノ結晶デバイスを3D印刷するステップ3であって、得られたペーストで直描式3D印刷技術によって三次元構造成形を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を形成するステップと、
半導体ナノ結晶デバイスを硬化させ及び微細構造を構築するステップ4であって、前記半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を加熱処理し、硬化後
に微細構造を備える半導体ナノ結晶デバイスを形成するステップと、を含
み、 前記ステップ3において、前記直描式3D印刷技術では、印刷速度v、スプレーヘッド直径d、及び印刷プラットフォームとノズルとの距離hは、以下の式によって得られる以下の関係があり、
v=α*d+β;β=10*(h-d)+γ
式中、α、β及びγはいずれも定数であり、
hがd以上である場合、αは10から100の範囲にあり、γは-10から10の範囲にあり、
hがdよりも小さい場合、αは80-500の範囲にあり、γは-10から20の範囲にあることを特徴とする
、半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項2】
ステップ1に記載の半導体ナノ結晶は、ソルボサーマル法、熱注入法又は低温陽イオン交換法によって製造されるものであり、且つナノ結晶が異なる溶媒に分散できるように表面配位子を調整することができることを特徴とする、請求項1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項3】
ステップ1に記載の半導体ナノ結晶は、液相法で製造された、表面にオレイルアミン、オレイン酸、ドデカンチオール配位子、オクタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリン酸、オクタンチオール、ミリスチン酸、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、リン酸基類、リン酸エステル類のうちの1種又は複数種を有する真性量子ドット、ドープ量子ドット、ヘテロ構造ナノ結晶及びペロブスカイト量子ドットであることを特徴とする、請求項1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項4】
ステップ2において、前記半導体ナノ結晶ゾル中の半導体ナノ結晶の濃度は0.01wt%から99wt%であり
、有機高分子ポリマーマトリックス
に対する前記半導体ナノ結晶ゾルの質量比は20%以下であることを特徴とする、請求項1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項5】
ステップ3に記載の前記スプレーヘッド直径の範囲は0.01~0.9mmであり、ステップ3において、前記直描式3D印刷技術では、印刷プラットフォームとノズルとの距離は0.01~1mmであることを特徴とする、請求項1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項6】
ステップ4において、前記
加熱処理は多段階加熱を含み
、温度は摂氏50から180度であり、昇温レートは1分当たり摂氏1~20度であり、各段階の保温時間は0.5から24時間であることを特徴とする、請求項1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項7】
ステップ1に記載のヘテロ構造は金属/半導体コアシェル構造及びヘテロ二量体構造を含み、
前記油相有機溶媒はクロロホルム及びトルエンを含み、
前記水相溶媒は水及びDMFを含み、
前記一定のレオロジー特性を有する高光学特性の有機ポリマーマトリックスは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)及びポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)を含むことを特徴とする、請求項1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項8】
ステップ3において、前記直描式3D印刷技術では、印刷速度は0.01~100mm/sであることを特徴とする、請求項
1に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【請求項9】
前記ステップ1に記載の半導体ナノ結晶は、液相法で製造されたAgドープCdS、CuドープCdS、AgドープCdSe、CuドープCdSe、AgドープZnS、CuドープZnS、ZnS被覆CuInS2、CsPbBr3量子ドット
であることを特徴とする、請求項
3に記載
の半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法に関し、特に、高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶光学デバイスの微細構造を構築する3D印刷方法に関し、蛍光発光、蛍光イメージング及び光電検出の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
コロイド状半導体ナノ結晶は、サイズ、形態による量子サイズ、閉じ込め効果により、独特な物理的及び化学的特性と豊富な光学的及び電気的特性とを備える。その表面は長鎖有機配位子の保護層で覆われているため、有機溶媒中の分散性が高く、同時にこのような材料は大面積溶液処理による特性を備える。ナノ結晶材料は、バイオイメージング、発光ダイオード、レーザ及び太陽電池等において広く研究されており、将来の応用に大きな可能性を示している。しかしながら、コロイド状半導体ナノ結晶の実用では、そのマクロサイズでのデバイスプロセスはその光電子特性に重要な影響を及ぼす。現在、半導体光電子デバイスは、既存の金型と冶具によって特定の形状のデバイスを形成するという従来の製造方法を採用することが多いが、その加工が難しく、且つ形成されたデバイスの形状とサイズを効果的に制御することは困難である。特に、複雑な構造を持つ光電子デバイスの合成では、従来のプロセスで制御可能な製造を実現することは困難である。また、従来のプロセスは、コロイド状ナノ結晶の光電子特性にも大きな影響を及ぼす。コロイド状半導体量子ドットを例として、従来のプロセスでは、加工中に量子ドットの表面の配位子が破壊されるため、量子ドットは緊密に接続され、さらには凝集しており、これは、量子ドットの量子収率と励起子寿命の大幅な低下に直接つながる。従って、コロイド状ナノ結晶本来の光電子特性を最大限に確保した上で、さらに、複雑な微細構造の光電子デバイスの製造を実現できれば、高効率デバイスの構築によってコロイド状ナノ結晶の効率的な利用を実現できるだけでなく、さらに特別な設計要件に応じたデバイスを製造するための技術基盤をも提供できる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、既存の半導体ナノ結晶デバイスの発光効率が使用のニーズを満たすことができないという問題を解決するために、高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法を提供することである。該方法は、従来の加工手段では実現が困難な微細加工という、従来の加工手段とは異なる3D印刷の特性を生かし、特定の微細構造を構築し、デバイスの内部全反射による光取出し効率低下という問題を軽減し、デバイスの効率的な光取出しを実現し、同時に、従来の製造方法において半導体ナノ結晶デバイスの加工が難しく、工業生産が難しく、且つ形成されたデバイスの形状が標準形状に合わない等の技術的問題に対処するように、3D印刷の本来の利点を維持し、デバイス性能の制御可能性を実現する。
【0004】
本発明の目的は、下記技術的解決手段によって実現される。
【0005】
高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法であって、以下のステップを含む。
【0006】
(1)半導体ナノ結晶を製造するステップであって、本方法における半導体ナノ結晶は、液相反応によって製造された単分散サイズ、形態の真性量子ドット、ドープ量子ドット、ヘテロ構造(金属/半導体コアシェル、ヘテロ二量体構造)ナノ結晶及びペロブスカイト量子ドット等を含み、ソルボサーマル法、熱注入法又は低温陽イオン交換法によって製造されるものであり、且つ異なる溶媒に分散できるように表面配位子を調整することができる。
【0007】
(2)3D印刷ペーストを配合するステップであって、半導体ナノ結晶をクロロホルム、トルエン等の油相有機溶媒、又は水、DMF等の水相溶媒に分散させて高分散な半導体ナノ結晶ゾルを得て、このゾルを一定のレオロジー特性を有する高光学特性の有機ポリマーマトリックスと均一に混合し、3D印刷ペーストを得る。
【0008】
(3)半導体ナノ結晶デバイスを3D印刷するステップであって、得られたペーストで直描式3D印刷技術(3Dモデルを構築し、スプレーヘッド直径、印刷距離、印刷速度等のパラメータを設定すること)によって三次元構造成形を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を形成し、様々な要件に応じて様々なパス角度を設計し、特定のポイント、特定のサーフェスにおける性能の制御を実現し、異方性デバイスを構築することができる。
【0009】
(4)半導体ナノ結晶デバイスを硬化させ及び微細構造を構築するステップであって、前記半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を加熱処理し、硬化させて安定的な微細構造を備える半導体ナノ結晶デバイスを形成する。
【0010】
ステップ(1)において、前記半導体ナノ結晶は、液相法で製造された表面にオレイルアミン、オレイン酸、ドデカンチオール配位子、オクタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリン酸、オクタンチオール、ミリスチン酸、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、リン酸基類、リン酸エステル類のうちの1種又は複数種を有する真性量子ドット、ドープ量子ドット、ヘテロ構造ナノ結晶及びペロブスカイト量子ドットである。液相法で製造されたAgドープCdS、CuドープCdS、AgドープCdSe、CuドープCdSe、AgドープZnS、CuドープZnS、ZnS被覆CuInS2、CsPbBr3量子ドットが好ましく、その合成方法は、従来のいずれかの方法で製造してもよい。
【0011】
具体的な製造ステップは以下のとおりである。
【0012】
ステップ(2)において、3D印刷ペーストの配合は以下を含む。製造された半導体ナノ結晶に対して表面配位子処理を行い、クロロホルム、トルエン等の油相有機溶媒、又は水、DMF等の水相溶媒に分散させて高分散な半導体ナノ結晶ゾルを得て、該半導体ナノ結晶ゾルを3D印刷原材料と均一に混合すると、半導体ナノ結晶を十分に分散させ、3D印刷ペーストを得ることができる。
【0013】
特に、前記半導体ナノ結晶ゾル中の半導体ナノ結晶の濃度は0.01wt%から99wt%であり、前記半導体ナノ結晶ゾルと有機高分子ポリマーマトリックスの質量比は20%以下である。
【0014】
ステップ(3)において、スプレーヘッド直径については、スプレーヘッド直径が大きいほど、吐出が容易になり、印刷線が太く、印刷精度が低く、そしてスプレーヘッド直径が小さいほど、吐出線が細くなり、印刷物体の表面が滑らかになり、精度が高くなる。スプレーヘッド直径の範囲は0.01~0.9mmであってもよく、実際に必要な印刷精度に応じて、対応するサイズのスプレーヘッドを選択する。
【0015】
ステップ(3)において、印刷距離については、印刷スプレーヘッドから印刷プラットフォームまでの高さは印刷精度に大きく影響する。印刷距離が高すぎると、押し出される線は印刷プラットフォームにおける押し出された線と完全にくっつかなくなり、印刷ずれ等の現象が発生し、印刷距離が低すぎると、印刷された物体はスプレーヘッドに押圧され又は削り取られる場合があり、同様に印刷精度が低下する。印刷プラットフォームとノズルとの距離は0.01~1mmとしてもよい。例えば、スプレーヘッド直径が0.2mmである条件下で、印刷プラットフォームとノズルとの距離は0.2mmとしてもよい。
【0016】
ステップ(3)において、印刷速度については、印刷速度が速すぎると、押し出される印刷材が適時に前の印刷材にくっつくことができないため、ブリッジ現象が発生し、印刷速度が遅すぎると、押し出される印刷材がカールするため、印刷精度に影響を及ぼす。印刷速度が0.01~100mm/sにあり、例えば10mm/sであると、印刷線は均一で且つ元の形状を維持できる。印刷速度v、スプレーヘッド直径d、及び印刷プラットフォームとノズルとの距離hは、以下の式によって得られる以下の関係がある。
【0017】
v=α*d+β;β=10*(h-d)+γ(式中、α、β及びγはいずれも定数である)
hがd以上である場合、αは10から100の範囲にあり、γは-10から10の範囲にあり、
hがdよりも小さい場合、αは80~500の範囲にあり、γは-10から20の範囲にある。
【0018】
ステップ(4)において、微細構造前駆体光学デバイスの構築に基づいて高温加熱によって成形し、温度の選択範囲は摂氏50から180度であり、昇温レートは1分当たり摂氏1~20度である。高温加熱成形段階は1つ又は複数の特定の温度を維持し、各段階の保温時間は0.5から24時間とし、さらに、高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶光学デバイスの微細構造の構築を実現する。
【0019】
有益な効果
1、本発明は、3D印刷技術及び加熱処理によって高い光取出し効果を有する微細構造の構築を実現し、従来法により鋳造されたバルクデバイスに比べて、正面の光取出し率は約33%から最大で約92.3%まで向上することができる。正面の光取出し効果の著しい向上により、デバイスの発光効率が著しく向上できる。デバイス発光のエネルギー節約からも、コロイド量子ドットの効率的な利用からも、優れた有益な効果を示している。
【0020】
2、本発明の強度が制御可能な半導体ナノ結晶光電子デバイスの3D印刷方法は、半導体ナノ結晶溶液を高光学特性の有機ポリマーと十分に混合して3D印刷技術による成形を行い、微細構造を構築することで、高い光取出し効果を有するナノ結晶デバイスを得て、且つ従来の技術では実現が困難な異方性デバイスを得ることもできる。微細構造の構築によって、デバイスの内部全反射による光取出し効率低下という問題を軽減でき、半導体ナノ結晶デバイスの光学特性が大幅に向上し、且つ3D印刷に固有の利点が維持され、付加製造の方式により大量の原材料を節約でき、少量の半導体ナノ結晶だけでデバイスの性能を保証でき、材料が節約されて効率が高い。
【0021】
3、本発明は3D印刷技術を半導体ナノ結晶材料のマクロ印刷に応用しており、一方で、ナノ結晶をマトリックスに高度に分散させて、ナノ結晶の利用効率を向上させることができ、他方で、微細構造を構築することでデバイスの光学効果を向上させることができ、このような技術によれば、少量のナノ結晶だけで豊富な光電子用途を得ることができる。3D印刷のような進歩的なマイクロナノクロススケール製造技術と光電子特性を有する半導体ナノ結晶材料とを組み合わせ、高光学特性の有機ポリマーによって三次元の複雑な微細構造の構築を実現するとともに、コロイド状ナノ結晶の本来の豊富な光電子特性を最大限に維持し、コロイド状ナノ結晶量子ドット材料の実際の応用において、重要な科学的及び応用的価値を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来の鋳造プロセスによって製造されたバルク量子ドットデバイスであり、aはデバイスのマクロ形態であり、bは正面発光効果が33.3%である蛍光テスト結果である。
【
図2】PMMAをマトリックスとして印刷されたデバイスである。aは蛍光顕微鏡下でのCdS:Agナノ結晶/PMMAデバイスの内部微細構造図であり、bは正面発光効果が45.7%であるCdS:Agナノ結晶/PMMAの蛍光テスト結果である。
【
図3】PMMAをマトリックスとして印刷されたデバイスである。aは蛍光顕微鏡下でのCdS:Agナノ結晶/PMMAデバイスの内部微細構造図であり、bは正面発光効果が92.3%であるCdS:Agナノ結晶/PMMAの蛍光テスト結果である。
【
図4】PCをマトリックスとして印刷されたCsPbBr
3量子ドット/PCデバイスのマクロ発光写真である。
【
図5】PSをマトリックスとして印刷されたデバイスである。aは蛍光顕微鏡下でのCuInS
2@ZnSナノ結晶/PSデバイスの内部微細構造図であり、bは正面発光効果が54.6%であるCuInS
2@ZnSナノ結晶/PSの蛍光テスト結果である。
【
図6】PSをマトリックスとして印刷されたデバイスである。aは蛍光顕微鏡下でのCuInS
2@ZnSナノ結晶/PSデバイスの内部微細構造図であり、bは正面発光効果が81.1%であるCuInS
2@ZnSナノ結晶/PSの蛍光テスト結果である。
【
図7】(a)は実施例2及び実施例3のマクロ蛍光写真であり、(b)は実施例6及び実施例7のマクロ蛍光写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、具体的な実施例を参照しながら、本発明の内容をさらに説明するが、本発明への制限として解釈されるべきではない。特に明記しない限り、実施例で使用される技術的手段は当業者に周知の従来の手段であり、特に説明しない限り、本発明で使用される試薬、方法及び装置は本技術分野における従来の試薬、方法及び装置である。
実施例1
【0024】
本実施例はCuInS2量子ドットを例として、半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0025】
高い光取出し効果を有する半導体ナノ結晶デバイスの微細構造の構築方法であって、具体的なステップは以下のとおりである。
【0026】
半導体ナノ結晶の製造
まず0.08molの塩化第一銅及び0.008の酢酸インジウムをフラスコ中に加え、2mLのドデカンチオール、2mLのオレイルアミン、20mLのオクタデセンを加え、N2保護下で撹拌し、230℃まで昇温した時に反応を2h続け、続いて自然に室温まで冷却する。8000rpmで20min遠心分離し、底部に得られた沈殿物を30mLのクロロホルムに分散させ、CuInS2量子ドット溶液を得る。
【0027】
印刷ペーストの配合
50℃の水浴で加熱する状態において、1mLのCuInS2量子ドット溶液を10mLのクロロホルムに分散させ、5gのPMMA粉末(500メッシュ)及び5gのPS粉末(800メッシュ)を加え、さらにPMMA及びPSとドープ量子ドットとを均一に混合するように5mLのトルエンを加え、さらにポリ乳酸を溶解してドープ量子ドットと均一に混合するように10mLのクロロホルムを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0028】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.1mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は10mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.12mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0029】
半完成品の硬化
本実施例で使用されるのはPMMA材料であり、印刷完了後にオーブンに入れ、2℃/minで室温から60℃まで昇温し、12時間保温し、さらに2℃/minで120℃まで昇温し、12時間保温する。自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0030】
結論
デバイスの正面光透過効果は48.6%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。
実施例2
【0031】
本実施例はドープ量子ドットCdS:Agを例として、ホスト半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0032】
強度が制御可能な半導体ナノ結晶光電子デバイスの3D印刷方法であって、具体的なステップは以下のとおりである。
【0033】
半導体ナノ結晶の製造
まずAgのトルエンゾルを製造し、即ち10mLのオレイン酸、20mLのオレイルアミン及び0.34gのAgNO3をフラスコ中に加え、50℃で5min撹拌し、続いて0.06gのFe(NO3)3・4H2Oを加え、温度を120℃まで高め、徐々に昇温して撹拌し、120℃まで昇温した時に反応を1h続け、体積比が1:3のエタノールを加え、続いて5000rpmで8min遠心分離し、底部に得られた沈殿物を14mLのトルエンに分散させ、4nm Agトルエンゾルを得る。
【0034】
次に、硫黄前駆体溶液を調製し、即ち10mlのオレイルアミン、20mLのオレイン酸及び128mgの硫黄粉末をフラスコに入れ、室温で撹拌し、100℃で反応物を40min撹拌し、その中に30mlのトルエンを加え、均一に撹拌して、硫黄前駆体溶液を得る。
【0035】
Ag2Sナノ粒子ゾルを製造し、即ち350μLの単分散5nm Agのトルエンゾルを25mLの丸底フラスコに入れ、その中に6mlのトルエン及び3mLの硫黄前駆体溶液を加え、50℃の水浴で反応物を1h撹拌し、適量のエタノールを加え、6000rpmで遠心分離によって10min洗浄し、単分散Ag2Sナノ粒子を得る。それを12mlのトルエンに分散させ、Ag2Sナノ粒子のトルエンゾルを得る。
【0036】
AgドープCdSナノ結晶を製造し、即ち上記で製造された単分散Ag2Sナノ粒子ゾルに、撹拌しながら0.2mLのオレイン酸、0.1mLのオレイルアミン及び適量のCd(NO3)2・4H2Oメタノール溶液(0.1g/ml)を加え、室温で3min磁気撹拌し、0.1mLのTBPを加え、60℃の水浴で反応物を2h撹拌し、エタノールを加え、5000rpmで遠心分離によって8min洗浄し、CdS:Agドープ量子ドットを得る。
【0037】
印刷ペーストの配合
50℃の水浴で加熱する状態において、製造された高純度のCdS:Agドープ量子ドットを1mLのトルエンに溶解し、5gのPMMA粉末(500メッシュ)を加え、さらにPMMAドープ量子ドットを均一に混合するように5mLトルエンを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0038】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.5mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は15mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.50mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0039】
半完成品の硬化
印刷完了後の半完成品をオーブンに入れ、2℃/minで室温から80℃まで昇温し、24時間保温する。自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0040】
結論
図2aは得られた光学デバイスの蛍光顕微鏡による写真を示し、その蛍光テスト結果は
図2bに示すように、デバイスの正面光透過効果が45.7%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。
実施例3
【0041】
実施例2をもとに、3D印刷の技術的パラメータ及び処理温度を変更することでデバイスの内部微細構造への制御を実現する。
【0042】
元の実施例2の印刷ペーストの配合を維持することを前提として以下のように行う。
【0043】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.30mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は30mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.35mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0044】
半完成品の硬化
印刷完了後の半完成品をオーブンに入れ、2℃/minで室温から50℃まで昇温し、8時間保温し、5℃/minで120℃まで昇温し、12時間保温し、80℃まで降温し、15時間保温し、自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0045】
結論
図3aは得られた光学デバイスの蛍光顕微鏡による写真を示し、その蛍光テスト結果は
図3bに示すように、デバイスの正面光透過効果が92.3%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%及び実施例2の45.7%)よりも明らかに高い。
実施例4
【0046】
本実施例はCsPbBr3量子ドットを例として、半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0047】
CsPbBr3量子ドットの製造
0.069gのPbBr2を秤量して三口フラスコに入れ、5mLの1-オクタデセンを加え、室温で10min磁気撹拌し、均一に混合した後、真空オーブンに入れて120℃の温度で1h真空乾燥し、0.5mLのオレイルアミン、0.5mLのオレイン酸を加え、10min磁気撹拌し、均一に混合した後、ビーカーを油浴に入れて180℃まで昇温し、PbBr2が十分に溶解するまで保温した後、前のステップで製造されたCs前駆体溶液を注射器で0.4mL吸い取ってフラスコ中に注入し、体系は瞬時に変色し、すぐにフラスコを取り出し、氷水に入れて室温まで急速に冷却し、過剰の酢酸エチルで洗浄し、遠心分離し(8000rpm、10min)、沈殿物はCsPbBr3量子ドットであり、10mLのトルエンに分散させて使用に備える。
【0048】
印刷ペーストの配合
50℃の水浴で加熱する状態において、高純度のCsPbBr3量子ドットを3mL取り出し、15gのPC粉末(800メッシュ)を加え、さらにPCを溶解してドープ量子ドットと均一に混合するように15mLのトルエンを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0049】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.8mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は80mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.75mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0050】
半完成品の硬化
印刷完了後の半完成品をオーブンに入れ、5℃/minで室温から80℃まで昇温し、5時間保温する。5℃/minで120℃まで昇温し、12時間保温し、自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0051】
図4に示すように、得られた光学デバイスは明らかな蛍光透過効果を有する。
【0052】
結論
デバイスの正面光透過効果は66.2%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。
実施例5
【0053】
本実施例はドープ量子ドットCdS:Cuを例として、半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0054】
半導体ナノ結晶の製造
まずステアリン酸銅粉末を製造し、即ち70mLのn-ヘキサン、5mmol(1.5323g)のステアリン酸ナトリウムを250mLの丸底フラスコに入れて3min撹拌し、続いて40mLのメタノールを加えて撹拌を3min続ける。0.25mol/Lの二水和塩化銅メタノール溶液を10mL調製し且つ上記混合溶液に滴下する。最後に10mLの高純水を加え、52℃の水浴で反応物を4h撹拌し、フラスコの下層にある青色のステアリン酸銅を取り出し、適量のメタノールを加え、5500rpmで遠心分離によって8min洗浄し、60℃のオーブンに入れて乾燥し且つ粉末に粉砕する。
【0055】
次に、Cu2Sナノ結晶を製造し、即ち0.25mmol(157.7mg)の上記ステアリン酸銅粉末、5mLのオレイン酸、3mLのオレイルアミンを、10mLの反応釜に入れて5min撹拌し、0.25mLのn-ドデカンチオールを上記混合液に加え、均一に撹拌し、密封した後に200℃のオーブンに2.5h静置し、茶色の溶液を1:3エタノール、5500rpmで、遠心分離によって8min洗浄し、続いて8mLのトルエンに分散させる。
【0056】
CuドープCdS量子ドットを製造し、即ち8mLの上記Cu2Sナノ結晶のトルエンゾル及び1mLの0.1g/mLのCd(NO3)2・4H2Oメタノール溶液を、25mLの丸底フラスコに入れて均一に撹拌し、続いて0.1mLのTBPを加え、56℃の水浴で反応物を2h撹拌し、適量のエタノールを加え、6500rpmで遠心分離によって8min洗浄し、1mLのトルエンに分散させて完成品を得る。上記ステップにおいて、Cd2+の添加量及び反応温度を制御することで、異なるCu濃度でドープされたCdSナノ結晶を合成することができる。
【0057】
印刷ペーストの配合
50℃の水浴で加熱する状態において、製造された高純度のCdS:Cuドープ量子ドットを1mLのクロロホルムに溶解し、2.5gのPMMA(500メッシュ)を加え、さらにポリ乳酸を溶解してドープ量子ドットと均一に混合するように5mLのクロロホルムを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0058】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.12mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は8mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.1mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0059】
半完成品の硬化
印刷完了後の半完成品をオーブンに入れ、5℃/minで室温から80℃まで昇温し、5時間保温する。5℃/minで120℃まで昇温し、12時間保温し、自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0060】
結論
デバイスの正面光透過効果は62.9%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。
実施例6
【0061】
本実施例はCuInS2@ZnS量子ドットを例として、半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0062】
強度が制御可能な半導体ナノ結晶光電子デバイスの3D印刷方法であって、具体的なステップは以下のとおりである。
【0063】
半導体ナノ結晶の製造
まず0.08molのヨウ化第一銅及び0.008の酢酸インジウムをフラスコ中に加え、2mLのドデカンチオール、2mLのオレイルアミン、20mLのオクタデセンを加え、N2保護下で撹拌し、230℃まで昇温した時に反応を1h続ける。
【0064】
0.02mmolの酢酸亜鉛を6mLのオクタデセンに溶解し且つ2mLのオレイン酸を加える。注射器で溶液を4回に分けて元の体系に加える。15minの間隔で行う。最後の添加後に20min反応させ、自然に室温まで冷却する。8000rpmで20min遠心分離し、底部に得られた沈殿物を30mLのトルエンに分散させ、CuInS2@ZnS量子ドット溶液を得る。
【0065】
印刷ペーストの配合
25℃の水浴で加熱する状態において、1mLのCuInS2@ZnS量子ドット溶液を、10mLのトルエンに分散させ、10gのPS粉末(800メッシュ)を加え、さらにPSをドープ量子ドットと均一に混合するように10mLのトルエンを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0066】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.5mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は50mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.5mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0067】
半完成品の硬化
本実施例で使用されるのはPMMA材料であり、印刷完了後にオーブンに入れ、2℃/minで室温から60℃まで昇温し、12時間保温し、さらに2℃/minで120℃まで昇温し、12時間保温する。自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0068】
結論
図5aは得られた光学デバイスの蛍光顕微鏡による写真を示し、その蛍光テスト結果は
図5bに示すように、デバイスの正面光透過効果が54.6%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。
実施例7
【0069】
実施例6をもとに、3D印刷の技術的パラメータ及び処理温度を変更することでデバイスの内部微細構造への制御を実現する。
【0070】
元の実施例6の印刷ペーストの配合を維持することを前提として以下のように行う。
【0071】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.50mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は50mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.48mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0072】
半完成品の硬化
本実施例で使用されるのはPMMA材料であり、印刷完了後にオーブンに入れ、2℃/minで室温から60℃まで昇温し、12時間保温し、さらに2℃/minで120℃まで昇温し、12時間保温する。自然に室温まで冷却し、高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0073】
結論
図6aは得られた光学デバイスの蛍光顕微鏡による写真を示し、その蛍光テスト結果は
図6bに示すように、デバイスの正面光透過効果が81.1%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%及び実施例2の54.6%)よりも明らかに高い。
実施例8
【0074】
本実施例はCsPbBr3量子ドットを例として、半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0075】
CsPbBr3量子ドットの製造
0.069gのPbBr2を秤量して三口フラスコに入れ、5mLの1-オクタデセンを加え、室温で10min磁気撹拌し、均一に混合した後、真空オーブンに入れて120℃の温度で1h真空乾燥し、0.5mLのオレイルアミン、0.5mLのオレイン酸を加え、10min磁気撹拌し、均一に混合した後、ビーカーを油浴に入れて180℃まで昇温し、PbBr2が十分に溶解するまで保温した後、前のステップで製造されたCs前駆体溶液を注射器で0.4mL吸い取ってフラスコ中に注入し、体系は瞬時に変色し、すぐにフラスコを取り出し、氷水に入れて室温まで急速に冷却し、過剰の酢酸エチルで洗浄し、遠心分離し(8000rpm、10min)、沈殿物はCsPbBr3量子ドットであり、10mLのトルエンに分散させて使用に備える。
【0076】
印刷ペーストの配合
50℃の水浴で加熱する状態において、3mLの高純度CsPbBr3量子ドットを、15gのPC粉末(800メッシュ)及び5gのPS粉末(300メッシュ)を加え、さらにPC及びPS粉末を溶解してドープ量子ドットと均一に混合するように15mLのトルエンを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0077】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.8mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は80mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.65mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0078】
半完成品の硬化
印刷完了後の半完成品をオーブンに入れ、5℃/minで室温から100℃まで昇温し、24時間保温する。高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0079】
結論
デバイスの正面光透過効果は68.1%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。
実施例9
【0080】
本実施例はドープ量子ドットCdS:Cuを例として、半導体ナノ結晶デバイスを製造する。
【0081】
半導体ナノ結晶の製造
まずステアリン酸銅粉末を製造し、即ち70mLのn-ヘキサン、5mmol(1.5323g)のステアリン酸ナトリウムを250mLの丸底フラスコに入れて3min撹拌し、続いて40mLのメタノールを加えて撹拌を3min続ける。0.25mol/Lの二水和塩化銅メタノール溶液を10mL調製し且つ上記混合溶液に滴下する。最後に10mLの高純水を加え、52℃の水浴で反応物を4h撹拌し、フラスコの下層にある青色のステアリン酸銅を取り出し、適量のメタノールを加え、5500rpmで遠心分離によって8min洗浄し、60℃のオーブンに入れて乾燥し且つ粉末に粉砕する。
【0082】
次に、Cu2Sナノ結晶を製造し、即ち0.25mmol(157.7mg)の上記ステアリン酸銅粉末、5mLのオレイン酸、3mLのオレイルアミンを、10mLの反応釜に入れて5min撹拌し、0.25mLのn-ドデカンチオールを上記混合液に加え、均一に撹拌し、密封した後に200℃のオーブンに2.5h入れ、茶色の溶液を1:3エタノール、5500rpmで、遠心分離によって8min洗浄し、続いて8mLのトルエンに分散させる。
【0083】
CuドープCdS量子ドットを製造し、即ち8mLの上記Cu2Sナノ結晶のトルエンゾル及び1mLの0.1g/mLのCd(NO3)2・4H2Oメタノール溶液を、25mLの丸底フラスコに入れて均一に撹拌し、続いて0.1mLのTBPを加え、56℃の水浴で反応物を2h撹拌し、適量のエタノールを加え、6500rpmで遠心分離によって8min洗浄し、1mLのトルエンに分散させて完成品を得る。上記ステップにおいて、Cd2+の添加量及び反応温度を制御することで、異なるCu濃度でドープされたCdSナノ結晶を合成することができる。
【0084】
製造された量子ドットを50mLのn-ヘキサンに分散させ、0.02molのKIを40mLのDMFに溶解する。10mLのn-ヘキサン/量子ドット溶液を取り出して10mLのKIのDMF溶液と共に50mLの同位素瓶中に入れて4時間撹拌し、遠心分離後に10mLのDMFに分散させ、油相量子ドットを水相量子ドットに変換して使用に備える。
【0085】
印刷ペーストの配合
50℃の水浴で加熱する状態において、準備した高純度の水相CdS:Cuドープ量子ドットを10mL取り、6gのPS(800メッシュ)を加え、さらにPSをドープ量子ドットと均一に混合するように5mLのDMFを加え、且つ体系が粘稠になるまで持続的に撹拌し、流れが困難となると加熱を停止し、取り出して3D印刷ペーストを得る。
【0086】
3D印刷成形
製造されたペーストを印刷装置のバレルに入れ、直径が0.52mmの印刷スプレーヘッドを選択し、コンピュータで3Dモデルを作成し、且つスライス等のパラメータを設定し、印刷速度は20mm/sで、印刷温度は25℃で、印刷プラットフォームの高さは0.6mmであり、3D印刷を行い、半導体ナノ結晶デバイスの半完成品を得る。
【0087】
印刷完了後の半完成品をオーブンに入れ、5℃/minで室温から100℃まで昇温し、12時間保温する。60℃まで降温し、12時間保温する。高い光取出し効果を有する光学デバイスを得る。
【0088】
以上の具体的な説明は、発明の目的、技術的解決手段及び有益な効果をさらに詳細に説明しており、以上の説明は本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではないことを理解すべきであり、本発明の精神及び原則内に行われる修正、均等な置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
結論
【0089】
デバイスの正面光透過効果は57.6%に達し、従来の鋳造プロセスによって得られたデバイス(
図1に示される33.3%)よりも明らかに高い。