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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】車輪試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/10 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G01M17/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022519960
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 JP2021017337
(87)【国際公開番号】W WO2021225133
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2020082297
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391046414
【氏名又は名称】国際計測器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100123124
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 昌大
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
(72)【発明者】
【氏名】宮下 博至
(72)【発明者】
【氏名】村内 一宏
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 修一
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/058051(WO,A1)
【文献】特開2006-184068(JP,A)
【文献】特開2007-271447(JP,A)
【文献】特開2001-141616(JP,A)
【文献】特開2014-016201(JP,A)
【文献】中国実用新案第205079949(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106124208(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00 - 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌条輪を回転可能に支持する軌条輪支持部と、
試験輪を前記軌条輪に接触した状態で回転可能に支持する車輪支持部と、
前記軌条輪及び前記試験輪を回転させる第1電動機と、
前記第1電動機が発生した動力を前記軌条輪と前記試験輪とに分配する動力分配手段と、
前記試験輪に与えるトルクを発生するトルク発生装置と、
を備え、
前記トルク発生装置が、
前記第1電動機によって回転駆動される回転フレームと、
前記回転フレームに取り付けられた第2電動機と、を備え、
前記軌条輪及び前記試験輪の少なくとも一方が、前記トルク発生装置を介して前記第1電動機に接続され、
前記第2電動機の作動が停止しているときに、前記軌条輪及び前記試験輪が逆回りに略同じ周速で回転するように構成され、
前記第2電動機は、定格出力が3kW以上であり、回転部の慣性モーメントが0.01kg・m以下である、
車輪試験装置。
【請求項2】
前記トルク発生装置が、前記回転フレームと同軸に配置された出力軸を備えた、
請求項1に記載の車輪試験装置。
【請求項3】
前記トルク発生装置が、前記回転フレームを回転可能に支持する軸受ユニットを備え、
前記回転フレームが、前記軸受ユニットに支持される筒状の軸部を有し、
前記軸部の内周に軸受が設けられ
前記出力軸が、前記軸部の中空部に通され、前記軸受によって回転可能に支持された、
請求項に記載の車輪試験装置。
【請求項4】
前記第2電動機が前記回転フレームと同軸に配置された、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項5】
前記第2電動機が、前記回転フレームの回転軸を中心に放射状に配置された複数の棒状の連結部材を介して前記回転フレームに固定された、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項6】
前記回転フレームが、前記第2電動機を収容する筒状のモーター収容部を備えた、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項7】
前記第1電動機及び前記第2電動機を制御する制御部と、
前記軌条輪の回転数を計測する回転数計測手段と、
前記試験輪のトルクを計測するトルク計測手段と、
を備え、
前記制御部が、
前記回転数計測手段の計測結果に基づいて前記第1電動機の駆動を制御し、
前記トルク計測手段の計測結果に基づいて前記第2電動機の駆動を制御する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項8】
前記試験輪及び前記軌条輪の一方を他方に対して進退させることによって前記試験輪に輪重を付与する輪重付与部を備えた、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項9】
前記試験輪及び前記軌条輪の一方を他方に対して前記試験輪の踏面に垂直な直線の回りに回転移動させることによりアタック角を付与するアタック角付与部を備えた、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項10】
前記試験輪及び前記軌条輪の一方を他方に対して接線の回りに回転移動させることによりカント角を付与するカント角付与部を備えた、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【請求項11】
前記試験輪及び前記軌条輪の一方を他方に対して軸方向に移動させることにより前記試験輪に横圧を付与する横圧付与部を備えた、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車輪試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の走行時のレールと車輪との相互作用を模擬的に調べるための試験装置が知られている。例えば、特開2007-271447号公報(特許文献1)には、外周部がレールを模擬した断面形状を有する円盤状部材である軌条輪に車輪を押し付けた状態で両者を回転させることで鉄道車両の走行状態を模擬した試験を行うことが可能な試験装置が記載されている。
【発明の概要】
【0003】
特許文献1に記載の試験装置は、単一の電動機によって駆動されるため、車輪を高速で回転させながら大きなトルクを与える試験を行う場合は、大容量の電動機を使用することが必要になり、試験時の電力消費量が膨大になるという問題がある。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、車輪試験装置の電力消費量を低減することを目的とする。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、軌条輪を回転可能に支持する軌条輪支持部と、試験輪を軌条輪に接触した状態で回転可能に支持する車輪支持部と、軌条輪及び試験輪を回転させる第1電動機と、試験輪に与えるトルクを発生するトルク発生装置と、を備え、トルク発生装置が、回転駆動装置によって回転駆動される回転フレームと、回転フレームに取り付けられた第2電動機と、を備え、軌条輪及び試験輪の少なくとも一方が、トルク発生装置を介して第1電動機に接続された、車輪試験装置が提供される。
【0006】
上記の車輪試験装置において、第1電動機が発生した動力を軌条輪と試験輪とに分配する動力分配手段を備えた構成としてもよい。
【0007】
上記の車輪試験装置において、第2電動機の作動が停止しているときに、軌条輪及び試験輪が逆回りに略同じ周速で回転する構成としてもよい。
【0008】
上記の車輪試験装置において、トルク発生装置が、回転フレームと同軸に配置された出力軸を備えた構成としてもよい。
【0009】
上記の車輪試験装置において、トルク発生装置が、回転フレームを回転可能に支持する軸受ユニットを備え、回転フレームが、軸受ユニットに支持される筒状の軸部を有し、軸部の内周に軸受が設けられ、出力軸が、軸部の中空部に通され、軸受によって回転可能に支持された構成としてもよい。
【0010】
上記の車輪試験装置において、第1電動機が回転フレームと同軸に配置された構成としてもよい。
【0011】
上記の車輪試験装置において、第2電動機が、回転フレームの回転軸を中心に放射状に配置された複数の棒状の連結部材を介して回転フレームに固定された構成としてもよい。
【0012】
上記の車輪試験装置において、回転フレームが、第2電動機を収容する筒状のモーター収容部を備えた構成としてもよい。
【0013】
上記の車輪試験装置において、第1電動機及び第2電動機を制御する制御部と、軌条輪の回転数を計測する回転数計測手段と、試験輪のトルクを計測するトルク計測手段と、を備え、制御部が、回転数計測手段の計測結果に基づいて第1電動機の駆動を制御し、トルク計測手段の計測結果に基づいて第2電動機の駆動を制御する構成としてもよい。
【0014】
上記の車輪試験装置において、試験輪及び軌条輪の一方を他方に対して進退させることによって試験輪に輪重を付与する輪重付与部を備えた構成としてもよい。
【0015】
上記の車輪試験装置において、試験輪及び軌条輪の一方を他方に対して試験輪の踏面に垂直な直線の回りに回転移動させることによりアタック角を付与するアタック角付与部を備えた構成としてもよい。
【0016】
上記の車輪試験装置において、試験輪及び軌条輪の一方を他方に対して接線の回りに回転移動させることによりカント角を付与するカント角付与部を備えた構成としてもよい。
【0017】
上記の車輪試験装置において、試験輪及び軌条輪の一方を他方に対して軸方向に移動させることにより試験輪に横圧を付与する横圧付与部を備えた構成としてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、車輪試験装置の電力消費量の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る車輪試験装置の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る車輪試験装置の斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る車輪試験装置の平面図である。
図4】駆動システムの概略構成を示すブロック図である。
図5】ギアボックスの概略構成を示す断面図である。
図6】トルク発生装置及びその周辺の概略構成を示す断面図である。
図7】第2電動機の概略構成を示す断面図である。
図8】制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る車輪試験装置の概略構成を示す平面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る車輪試験装置の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の又は対応する事項については、同一の又は対応する符号を付して、重複する説明を省略する。また、各図において、符号が共通する事項が複数表示される場合は、必ずしもそれらの複数の表示の全てに符号を付さず、それらの複数の表示の一部について符号の付与を適宜省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図1及び図2は、それぞれ本発明の第1実施形態に係る車輪試験装置1の斜視図である。図1は正面側から見た図であり、図2は背面側から見た図である。図3は、車輪試験装置1の平面図である。
【0022】
図1において、座標軸で示されるように、右下から左上に向かう方向をX軸方向、右上から左下に向かう方向をY軸方向、下から上に向かう方向をZ軸方向と定義する。X軸方向及びY軸方向は互いに直交する水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各方向に延びる任意の直線を、それぞれX軸、Y軸及びZ軸と呼ぶ。また、X軸正方向を左方、X軸負方向を右方、Y軸正方向を前方、Y軸負方向を後方、Z軸正方向を上方、Z軸負方向を下方と呼ぶ。
【0023】
車輪試験装置1は、鉄道車両の走行時に生じるレールと車輪の相互作用を模擬的に再現して、例えばレール-車輪間の粘着力特性等の評価を行うことが可能な装置である。本実施形態では、外周部がレール頭部を模した断面形状を有する軌条輪Rが使用され、試験用の車輪(以下「試験輪W」という。)を軌条輪Rに押し付けた状態で両者を回転させることによって、鉄道車両の走行時のレールと車輪との相互作用が模擬的に再現される。
【0024】
車輪試験装置1は、軌条輪R及び試験輪Wを駆動する駆動システムDSを備えている。図4は、駆動システムDSの概略構成を示すブロック図である。駆動システムDSは、機械的動力(以下、単に「動力」という。)を発生する発動部ASと、発動部ASが発生した動力を駆動対象である軌条輪R及び試験輪Wに伝える伝動部TSとを含み、後述するように軌条輪R及び試験輪Wと共に動力循環系を構成する。
【0025】
発動部ASは、駆動対象の回転速度を制御可能な回転駆動装置10(速度制御用駆動装置)と、駆動対象に与えるトルクを制御可能なトルク発生装置20(トルク制御用駆動装置)とを含む。本実施形態の駆動システムDSは、駆動制御を速度制御とトルク制御とに分けて、速度制御とトルク制御をそれぞれ専用の駆動装置が分担する構成を採用することにより、比較的に容量の小さな原動機を使用しながらも高速(或いは大加速度)かつ大トルクの駆動が可能になっている。また、駆動システムDSは、動力循環系を採用することにより、従来の装置よりも高いエネルギー利用効率を実現する。
【0026】
伝動部TSには、第1伝動部30及び第2伝動部40が含まれる。また、トルク発生装置20も伝動部TSの一部を構成する。第1伝動部30は、回転駆動装置10から出力される回転を軌条輪R及びトルク発生装置20に伝達する。トルク発生装置20は、回転駆動装置10から伝達された動力にトルク発生装置20自体が発生する動力を加えて出力する。第2伝動部40は、トルク発生装置20の出力を試験輪Wに伝達する。
【0027】
軌条輪Rと試験輪Wは、回転軸を互いに平行に向けて、径方向に並ぶように、車輪試験装置1に取り付けられる。試験を行う際は、試験輪Wが軌条輪Rに押し付けられて、試験輪Wの外周面(踏面)が軌条輪Rの外周面(頭頂面)に接触した状態で、試験輪Wと軌条輪Rが互いに逆回りに略同じ周速(すなわち、外周面の線速度)で回転駆動される。このとき、伝動部TSは、試験輪W及び軌条輪Rと共に、動力循環系(すなわち動力伝達軸のループ)を構成する。トルク発生装置20は、入力軸(第1伝動部30)と出力軸(第2伝動部40)との間に位相差を与えることにより、動力循環系にトルクを与える。車輪試験装置1は、動力循環方式を採用することにより、発生した動力を殆ど吸収することなく試験輪Wにトルク(或いは接線力)を与えることが可能となるため、比較的に少ない消費エネルギーで動作することができる。
【0028】
なお、本実施形態の第1伝動部30は、トルク発生装置20(具体的には、後述する第2電動機22)の作動が停止した状態において、軌条輪Rと試験輪Wが互いに逆回りに同じ周速で回転駆動されるように構成されている。なお、トルク発生装置20の作動が停止した状態において軌条輪Rと試験輪Wに周速差が生じる構成としてもよい。しかし、この場合には、周速差を補償するためにトルク発生装置20の作動量が増えるため、エネルギー消費量が増加する。また、本実施形態の第1伝動部30は、軌条輪Rとトルク発生装置20が同じ回転数で回転駆動されるように構成されているが、軌条輪Rと試験輪Wとを略同じ周速で回転駆動させる構成であれば、軌条輪Rとトルク発生装置20とを異なる回転数で回転させる構成としてもよい。
【0029】
図1-3に示されるように、回転駆動装置10は、張力調整台11と、張力調整台11の上に設置された第1電動機12(速度制御用モーター)を備えている。本実施形態の第1電動機12は、インバーターによって駆動が制御される所謂インバーターモーターであるが、例えば、サーボモーターやステッピングモーター等の回転数の制御が可能な別の種類のモーターを第1電動機12に使用してもよい。また、回転駆動装置10は、第1電動機12から出力される回転を減速する減速機を備えていてもよい。張力調整台11については後述する。
【0030】
第1伝動部30は、第1ベルト機構部31、軌条輪支持部32、シャフト33及びギアボックス34(歯車装置)を備えている。
【0031】
図1に示されるように、第1ベルト機構部31は、回転駆動装置10によって駆動される駆動プーリー311と、軌条輪支持部32の入力軸(後述するシャフト321の一方)に取り付けられた従動プーリー312と、駆動プーリー311と従動プーリー312に巻き掛けられたベルト313を備えている。
【0032】
回転駆動装置10から出力される回転は、第1伝動部30の第1ベルト機構部31によって、軌条輪支持部32に伝達される。
【0033】
本実施形態のベルト313は、幅方向に並ぶ複数のV字状のリブを有するVリブドベルトであるが、例えば、台形の断面形状を有するVベルト、歯付きベルト、平ベルト、丸ベルト等の別の種類のベルトであってもよい。
【0034】
本実施形態の第1ベルト機構部31は、駆動プーリー311、従動プーリー312及びベルト313から構成される単一のベルト伝動ユニットを備えているが、並列又は直列に接続された2つ以上のベルト伝動ユニットを備えた構成としてもよい。
【0035】
また、回転駆動装置10から軌条輪支持部32への伝動には、ベルト伝動に限らず、チェーン伝動やワイヤ伝動等の別の種類の巻掛け伝動、或いは、歯車伝動等の別の伝動方式を使用してもよい。また、回転駆動装置10と軌条輪支持部32とを同軸に(すなわち、回転軸又は中心線が一致するように)配置して、回転駆動装置10の出力軸と軌条輪支持部32の入力軸とを直結する構成としてもよい。
【0036】
ここで、回転駆動装置10の張力調整台11について説明する。図2に示されるように、張力調整台11は、ベースBに固定された固定フレーム111と、回転駆動装置10が取り付けられる可動フレーム112を備えている。可動フレーム112は、右端部において、Y軸方向に延びるロッド114Rを介して固定フレーム111に旋回可能に連結されていて、Y軸回りの傾きが調整可能になっている。可動フレーム112の傾きを変えることにより、駆動プーリー311(図1)と従動プーリー312との距離を変化させ、これにより、駆動プーリー311と従動プーリー312に巻き掛けられたベルト313の張力を調整することが可能になっている。
【0037】
図2及び図3に示されるように、軌条輪支持部32は、軸受322及びシャフト321を1対ずつ備えている。1対の軸受322は、回転軸をY軸方向に向けて、軌条輪Rを間に挟んで前後(すなわち、Y軸方向)に並べられ、同軸に配置されている。
【0038】
一方のシャフト321は前方の軸受322により、また、他方のシャフト321は後方の軸受322により、それぞれ回転可能に支持されている。シャフト321は、その一端部に軌条輪Rを取り付けるためのフランジが設けられたフランジ付きシャフトであり、軌条輪Rの両側面に1つずつボルトにより取り外し可能に同軸に取り付けられている。
【0039】
前方のシャフト321の他端部には、第1ベルト機構部31の従動プーリー312が取り付けられている。また、後方のシャフト321の他端部には、シャフト33の一端部が接続されている。シャフト33の他端部は、ギアボックス34の入力軸342aに接続されている。
【0040】
第1ベルト機構部31によって軌条輪支持部32に伝達された動力は、その一部が軌条輪Rに与えられ、残りがシャフト33に(そして、シャフト33、トルク発生装置20及び第2伝動部40を介して試験輪Wに)与えられる。すなわち、軌条輪支持部32(具体的には、シャフト321)は、第1電動機12が発生して第1ベルト機構部31によって伝達された動力を軌条輪Rとシャフト33(最終的には試験輪W)とに分配する動力分配手段として機能する。
【0041】
なお、シャフト321と軌条輪Rとの結合構造は、フランジによる結合に限らず、例えば軌条輪Rの中心に設けられた貫通穴にシャフト321を嵌合させる構造等、別の結合構造であってもよい。
【0042】
また、軌条輪支持部32は、図3に示されるように、軌条輪Rの回転数を検出するロータリーエンコーダー323(回転数検出手段)を備えている。
【0043】
図5は、ギアボックス34及びその周辺を水平面で切断した概略断面図である。ギアボックス34は、ケース341と、ケース341に取り付けられた各1対の第1軸受343及び第2軸受345と、1対の第1軸受343により回転可能に支持された第1歯車342(入力側歯車)と、1対の第2軸受345により回転可能に支持された第2歯車344(出力側歯車)を備えている。
【0044】
第1歯車342及び第2歯車344は、回転軸をY軸方向に向けて、互いに歯が噛み合うようにX軸方向に並べて配置され、ケース341内に収容されている。第1歯車342の一端部は、ギアボックス34の入力軸342aであり、シャフト33の他端部に接続されている。第2歯車344の一端部に形成されたフランジは、ギアボックス34の出力軸344aであり、トルク発生装置20の後述するケーシング21の一端部に形成されたフランジ(入力軸211b)に接続されている。
【0045】
第2歯車344には、回転軸を中心線とする円柱状の貫通穴344bが形成されている。トルク発生装置20の後述する出力軸24は、第2歯車344の一端(図5においては左端。すなわち、出力軸344aの先端。)から貫通穴344bに差し込まれ、第2歯車344を貫通して、その先端部が第2歯車344の他端から突出している。
【0046】
本実施形態では、第1歯車342と第2歯車344の歯数は同数であり、ギアボックス34の歯車比は1となっている。なお、試験輪Wと軌条輪Rとを逆回りに略同じ周速で回転させる構成であれば、ギアボックス34の歯車比を1以外の値としてもよい。
【0047】
シャフト33からトルク発生装置20への伝動には、歯車伝動に限らず、例えば、ベルト伝動やチェーン伝動等の巻掛け伝動等、別の伝動方式を使用してもよい。
【0048】
図6は、トルク発生装置20及びギアボックス34とその周辺をX軸方向と垂直な平面で切断した概略断面図である。
【0049】
トルク発生装置20は、回転駆動装置10によって回転駆動される本体部20A(回転部)と、本体部20Aを回転可能に支持する1対の軸受ユニット25、26を備えている。
【0050】
本体部20Aは、軸受ユニット25、26によって支持された略筒状のケーシング21(回転フレーム)と、ケーシング21に取り付けられた第2電動機22及び減速機23と、出力軸24を備えている。出力軸24はケーシング21と同軸に配置されている。第2電動機22の後述する軸221及びローター222(回転子)をケーシング21と同軸に配置してもよい。第2電動機22をケーシング21と同軸に配置することにより、本体部20Aのアンバランスが軽減し、本体部20Aをスムーズに(すなわち、回転数やトルクの不要な揺らぎが少なく)回転させることが可能になる。なお、本実施形態の第2電動機22はACサーボモーターであるが、DCサーボモーターやステッピングモーター等、駆動量(回転角)の制御が可能な別の種類の電動機を第2電動機22として使用してもよい。本実施形態では、第2電動機22には、回転部の慣性モーメントが0.01kg・m以下(より好適には、0.008kg・m以下)、定格出力が3kW乃至60kW(より実用的には、7kW乃至37kW)の超低慣性高出力型のACサーボモーターが使用される。これにより、急激なトルク変動(例えば、500Hz或いは1kHzを超える高い周波数の振動トルク)を発生することが可能になる。
【0051】
ケーシング21は、略円筒状の第1円筒部212及び第2円筒部214(モーター収容部)と、第1円筒部212と第2円筒部214とを連結する連結部213と、第1円筒部212に接続された第1軸部211と、第2円筒部214に接続された第2軸部215を有している。第1軸部211、第1円筒部212、連結部213、第2円筒部214及び第2軸部215は、いずれも軸方向に貫通する中空部を有する筒状部材であり、この順に同軸に連結されて、筒状のケーシング21を形成する。ケーシング21は、第1軸部211において軸受ユニット25によって支持され、第2軸部215において軸受ユニット26によって支持されている。第1軸部211の先端部に形成されたフランジは、トルク発生装置20の入力軸211b(図5)であり、ギアボックス34の出力軸344aに接続されている。
【0052】
図7は、第2電動機22の概略構成を示す縦断面図である。第2電動機22は、軸221と、永久磁石等から構成されて軸221と一体に結合したローター222と、内周にコイル223aが設けられた筒状のステータ223(固定子)と、ステータ223の両端部に開口を塞ぐように取り付けられた1対のフランジ224、226と、各フランジ224、226に取り付けられた1対の軸受225、227と、軸221の角度位置(位相)を検出するロータリーエンコーダーREを備えている。
【0053】
軸221は1対の軸受225、227によって回転可能に支持されている。軸221の一端部(図7における右端部)はフランジ224及び軸受225を貫通して外部へ突出し、第2電動機22の出力軸となっている。軸221の他端部(図7における左端部)はロータリーエンコーダーREに接続されている。
【0054】
図6に示されるように、第2電動機22は、ケーシング21の第2円筒部214の中空部(区画C1)に収容されている。ケーシング21の連結部213の一端部(図6における左端部)には、内周へ突出する内フランジ部213aが形成されている。第2電動機22のステータ223(図7)は、トルク発生装置20の回転軸を中心に放射状に配置された複数の棒状の連結部材217を介して第2円筒部214に固定されている。連結部材217は、例えば、両端部に雄ねじが形成されたスタッドボルトや全ねじボルトが使用される。また、第2電動機22のフランジ224(図7)は、連結部213の内フランジ部213aに支持されている。
【0055】
減速機23は、ケーシング21の連結部213及び第1円筒部212によって囲まれた区画C2に収容されている。減速機23の入力軸231には第2電動機22の軸221が接続され、減速機23の出力軸232にはトルク発生装置20の出力軸24が接続されている。なお、トルク発生装置20に減速機23を設けずに、第2電動機22の軸221に出力軸24を直接接続させる構成としてもよい。
【0056】
減速機23のケース233は、連結部213の他端部に固定されている。すなわち、第2電動機22のフランジ224(図7)と減速機23のケース233とは、単一の筒状の連結部213により一体に連結されている。そのため、第2電動機22と減速機23とは、高い剛性で一体に結合し、軸221に曲げモーメントが加わり難くなっている。これにより、軸221が軸受225、227(図7)から受ける摩擦が軽減されるため、トルク発生装置20によるトルク制御の精度が向上している。
【0057】
トルク発生装置20の出力軸24は、ケーシング21の第1軸部211及びギアボックス34(具体的には、第2歯車344)の中空部を通り抜けて、ギアボックス34の後方に突出している。ケーシング21の第1軸部211及びギアボックス34の第2歯車344の内周には、出力軸24を回転可能に支持する軸受211a及び軸受344cがそれぞれ設けられている。
【0058】
ギアボックス34から後方に突出した出力軸24の先端側の部分には、後述する第2ベルト機構部41の2つの駆動プーリー411が取り付けられている。また、出力軸24の先端部は、第2ベルト機構部41の軸受ユニット414によって回転可能に支持されている。
【0059】
軸受ユニット26の前方(図6における左側)に隣接してスリップリング部27が設けられている。スリップリング部27は、トルク発生装置20の本体部20Aと共に回転する可動部27Aと、ベースBに固定された固定部27Bから構成されている。
【0060】
可動部27Aは、トルク発生装置20の第2軸部215に同軸に接続されたリング支持管271と、リング支持管271の外周に軸方向に間隔を置いて同軸に取り付けられた複数のスリップリング272を備えている。
【0061】
トルク発生装置20の第2電動機22のケーブル228は、ケーシング21の第2軸部215に通されている。また、ケーブル228を構成する複数の電線が、リング支持管271の中空部に通され、対応するスリップリング272にそれぞれ接続されている。
【0062】
固定部27Bは、ブラシ支持部274と、ブラシ支持部274に支持された複数のブラシ273と、リング支持管271の先端部を回転可能に支持する軸受部275を備えている。ブラシ273は、対応するスリップリング272の外周面と接触するようにY軸方向に間隔を置いて並べられている。ブラシ273は、後述するサーボアンプ22a等に配線接続されている。
【0063】
軸受部275には、リング支持管271の回転数(すなわち、トルク発生装置20の入力軸であるケーシング21の回転数)を検出するロータリーエンコーダー28が取り付けられている。
【0064】
図3に示されるように、第2伝動部40は、第2ベルト機構部41、スライド式等速ジョイント42及び車輪支持部50を備えている。
【0065】
第2ベルト機構部41は、駆動プーリー411、従動プーリー412及びベルト413から構成される2組のベルト伝動ユニットと、軸受ユニット414と、軸415と、1対の軸受ユニット416を備えている。
【0066】
上述したように、2つの駆動プーリー411は、ギアボックス34を突き抜けたトルク発生装置20の出力軸24の先端側の部分にそれぞれ取り付けられている。また、軸受ユニット414は、出力軸24の先端部を回転可能に支持している。
【0067】
なお、ギアボックス34と駆動プーリー411との間に追加の軸受ユニット414を設けて、出力軸24の先端部を1対の軸受ユニット414によって支持する構成としても良い。また、本実施形態では、トルク発生装置20の出力軸24に駆動プーリー411が直接取り付けられているが、出力軸24とは別に駆動プーリー411を支持する軸を設けて、出力軸24に連結されたこの軸を軸受ユニット414が支持する構成としてもよい。
【0068】
2つの従動プーリー412は、1対の軸受ユニット416によって回転可能に支持された軸415に取り付けられている。
【0069】
ベルト413は、対応する駆動プーリー411と従動プーリー412に巻き掛けられている。
【0070】
本実施形態のベルト413は、鋼線の心線を有する歯付ベルトである。なお、ベルト413には、例えば炭素繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などの所謂スーパー繊維から形成された心線を有するものを使用してもよい。炭素繊維から形成されたカーボン心線などの軽量かつ高強度の心線を使用することにより、比較的に出力の低いモーターを使用して高い加速度で駆動する(或いは、試験輪Wに高い駆動力/制動力を与える)ことが可能になり、車輪試験装置1の小型化が可能になる。また、同じ出力のモーターを使用する場合、所謂スーパー繊維から形成された心線を有する軽量(すなわち、低慣性)のベルト413を使用することにより、車輪試験装置1の高性能化が可能になる。また、一般的な自動車用又は工業用のタイミングベルトをベルト413として使用してもよい。また、歯付ベルトに替えて平ベルトやVベルトをベルト413として使用してもよい。また、第1ベルト機構部31のベルト313にも、ベルト413に使用可能なこれらのベルトを使用することができる。
【0071】
本実施形態の第2ベルト機構部41は、並列に接続された1対のベルト伝動ユニットを備えているが、単一の又は並列に接続された3つ以上のベルト伝動ユニットを備えた構成としてもよい。
【0072】
また、トルク発生装置20からスライド式等速ジョイント42への伝動には、ベルト伝動に限らず、チェーン伝動やワイヤ伝動等の別の種類の巻掛け伝動、或いは、歯車伝動等の別の伝動方式を使用してもよい。また、トルク発生装置20とスライド式等速ジョイント42とを略直線状(又は、くの字状)に並べて配置し、トルク発生装置20の出力軸24とスライド式等速ジョイント42の入力軸とを直結する構成としてもよい。
【0073】
車輪支持部50は、スライド式等速ジョイント42を介してトルク発生装置20に連結されている。具体的には、スライド式等速ジョイント42の一端部(すなわち、入力軸)が第2ベルト機構部41の軸415に接続され、スライド式等速ジョイント42の他端部(出力軸)が車輪支持部50の後述するスピンドル527に連結されている。
【0074】
スライド式等速ジョイント42は、作動角(すなわち、入力軸と出力軸とのなす角度)によらず、回転変動無くスムーズに回転を伝達可能に構成されている。また、スライド式等速ジョイント42は、軸方向の長さ(伝達距離)も可変である。
【0075】
後述するように、スピンドル527は、その位置が可変に支持されている。スライド式等速ジョイント42を介してスピンドル527を第2ベルト機構部41の軸415に(或いは、トルク発生装置20の出力軸24に)接続することにより、スピンドル527の位置が変化しても、この変化にスライド式等速ジョイント42が柔軟に追従するため、スピンドル527や軸415(或いは、トルク発生装置20の出力軸24)に大きなひずみが加わることが防止され、スピンドル527に回転をスムーズに伝達することが可能になる。また、スライド式等速ジョイント42を使用することにより、スピンドル527の位置(或いは、スライド式等速ジョイント42の作動角)によってスピンドル527に伝達される回転数が変化することが防止される。
【0076】
図1に示されるように、車輪支持部50は、固定ベース51と、固定ベース51上に設置された本体部52及び輪重付与部53を備えている。
【0077】
図3に示されるように、本体部52は、可動ベース522と、可動ベース522を固定ベース51に対してX軸方向に移動可能に支持する1対のリニアガイド521と、可動ベース522上に設置された支持フレーム523と、支持フレーム523に取り付けられた軸受ユニット528と、軸受ユニット528によって回転可能に支持されたスピンドル527と、スピンドル527に同軸に取り付けられたトルクセンサー524及び検出歯車525と、検出歯車525の回転を検出する回転検出器526を備えている。リニアガイド521は、直線状のレール(ガイドウェイ)と転動体を介してレール上を走行可能なキャリッジを備えたガイドウェイ形循環式転がり軸受であるが、別の方式の直線案内機構をリニアガイド521として使用してもよい。リニアガイド521は、輪重付与部53の一部を構成する。また、検出歯車525と回転検出器526により、スピンドル527の回転数を検出する回転数検出手段が構成される。
【0078】
支持フレーム523は、可動ベース522に固定された支柱523aと、支柱523aに固定されたアーム523bを有している。本実施形態の支柱523aは、L型ブラケットであるが、別の形態の支柱523aを使用してもよい。また、支柱523aとアーム523bとを一体に形成してもよい。アーム523bは、支柱523aの上部から後方へ延びる基部523b1と、基部523b1の後端部から左方へ延びる幹部523b2とを有する、上から見て略L字状の構造体である。幹部523b2の先端部には、Y軸方向に貫通する中空部が形成されている。この中空部には、駆動軸(具体的には、スライド式等速ジョイント42、トルクセンサー524、検出歯車525及びスピンドル527を連結したもの)が通される。
【0079】
軸受ユニット528は、アーム523bに取り付けられている。具体的には、軸受ユニット528は、回転軸をY軸方向に向けて、幹部523b2の先端部の正面に取り付けられている。軸受ユニット528には、スピンドル527から受ける力を検出する複数の3分力センサー529(接線力検出手段、第1の横圧検出手段)が設けられている。3分力センサー529は、圧電式力センサーであるが、他の方式の力センサーを3分力センサー529として使用してもよい。
【0080】
スピンドル527は、検出歯車525及びトルクセンサー524を介してスライド式等速ジョイント42の出力軸に接続されている。検出歯車525及びトルクセンサー524は、幹部523b2の先端部に形成された中空部に収容されている。試験輪Wは、スピンドル527の先端部に設けられた取付部に取り付けられる。トルクセンサー524は、スピンドル527に加わる(すなわち、試験輪Wに加わる)トルクを検出する。
【0081】
回転検出器526は、検出歯車525の外周面と対向して配置され、支持フレーム523の幹部523b2に固定されている。回転検出器526は、例えば、光学式、電磁式又は磁電式等の非接触型の回転検出器であり、検出歯車525の角度位置の変化を検出する。
【0082】
輪重付与部53は、車輪支持部50の本体部52をX軸方向に移動させて、スピンドル527に取り付けられた試験輪Wを軌条輪Rに押し付けることにより、所定の大きさの輪重を試験輪Wに与える機構部である。
【0083】
輪重付与部53は、モーター531と、モーター531の回転運動をX軸方向の直線運動に変換する運動変換器532と、試験輪Wに加わる輪重を検出する輪重検出器533(図10)を備えている。
【0084】
モーター531は、ACサーボモーターであるが、DCサーボモーターやステッピングモーター等、駆動量(回転角)の制御が可能な別の種類の電動機をモーター531として使用してもよい。
【0085】
本実施形態の運動変換器532は、例えばウォーム歯車装置等の減速機とボールねじ等の送りねじ機構とを組み合わせたスクリュージャッキであるが、別の方式の運動変換器を使用してもよい。運動変換器532の直線運動部532aは、輪重検出器533を介して支持フレーム523に固定されている。
【0086】
モーター531により運動変換器532を駆動すると、直線運動部532aと共に、支持フレーム523及び支持フレーム523に支持されたスピンドル527がX軸方向に移動する。これにより、スピンドル527に取り付けられた試験輪Wが、軌条輪Rに対して進退する。試験輪Wと軌条輪Rとが接触した状態で、試験輪Wが軌条輪Rに向かう方向(すなわち、X軸正方向)へ更にモーター531によって運動変換器532を駆動すると、試験輪Wが軌条輪Rに押し付けられて、試験輪Wに輪重が与えられる。
【0087】
輪重検出器533は、輪重付与部53によって、支持フレーム523及びスピンドル527を介して試験輪Wに与えられるX軸方向の力(すなわち、輪重)を検出する力センサーである。本実施形態の輪重検出器533は、ひずみゲージ式のロードセルであるが、例えば圧電式力センサー等の他の方式の力センサーを輪重検出器533として使用してもよい。後述する制御部70は、輪重検出器533の検出結果に基づいて、所定の大きさの輪重が試験輪Wに与えられるようにモーター531の駆動を制御する。
【0088】
図8は、車輪試験装置1の制御システムCSの概略構成を示すブロック図である。制御システムCSは、車輪試験装置1全体の動作を制御する制御部70と、車輪試験装置1に設けられた各種の検出器からの信号に基づいて各種の計測を行う計測部80と、外部との入出力を行うインターフェース部90を備えている。
【0089】
制御部70には、第2電動機22及びモーター531がそれぞれサーボアンプ22a及び531aを介して、また、第1電動機12がドライバー12a(インバーター回路)を介して接続されている。
【0090】
計測部80には、ロータリーエンコーダー28、323、トルクセンサー524、3分力センサー529及び輪重検出器533が、アンプ28a、323a、524a、529a及び533aをそれぞれ介して接続されている。なお、図8においては、車輪試験装置1に設けられた複数組の3分力センサー529及びアンプ529aのうち代表の一組のみが表示されている。また、増幅回路及びアナログ-デジタル変換回路が内蔵された回転検出器526は、計測部80に直接接続されている。
【0091】
計測部80は、ロータリーエンコーダー323の信号に基づいて軌条輪Rの回転数を計測し、ロータリーエンコーダー28の信号に基づいてトルク発生装置20の入力軸(ケーシング21)の回転数を計測し、回転検出器526の信号に基づいてスピンドル527の回転数(すなわち、試験輪Wの回転数)を計測する。また、計測部80は、トルクセンサー524の信号に基づいて試験輪Wに加わるトルクを計測し、複数の3分力センサー529の信号に基づいて試験輪Wに加わる接線力(縦クリープ力)及び横圧(スラスト荷重)を計測し、輪重検出器533の信号に基づいて輪重を計測する。すなわち、計測部80は、軌条輪Rの回転数を計測する第1の回転数計測手段、トルク発生装置20の回転数を計測する第2の回転数計測手段、試験輪Wの回転数を計測する第3の回転数計測手段、試験輪Wに加わるトルクを計測するトルク計測手段、試験輪Wに加わる接線力を計測する接線力計測手段、試験輪Wに加わる横圧を計測する横圧計測手段、及び、試験輪Wに付与される輪重を計測する輪重計測手段として機能する。計測部80は、これらの計測値を制御部70に送信する。
【0092】
本実施形態の車輪試験装置1は比較的に汎用性の高い装置であるために多くの計測手段及び対応する検出手段を備えているが、車輪試験装置1は、これらの計測手段や検出手段のすべてを備える必要はなく、試験により調べるべき事項に応じて適宜選択される一組以上の計測手段及び検出手段を備えていればよい。
【0093】
各サーボモーター(第2電動機22、モーター531)に内蔵されたロータリーエンコーダーREが検出した軸の位相情報は、対応する各サーボアンプ22a、531aを介して、制御部70に入力される。
【0094】
インターフェース部90は、例えば、ユーザとの間で入出力を行うためのユーザーインターフェース、LAN(Local Area Network)等の各種ネットワークと接続するためのネットワークインターフェース、及び、外部機器と接続するためのUSB(Universal Serial Bus)やGPIB(General Purpose Interface Bus)等の各種通信インターフェースの一つ以上を備えている。また、ユーザーインターフェースは、例えば、各種操作スイッチ、表示器、LCD(liquid crystal display)等の各種ディスプレイ装置、マウスやタッチパッド等の各種ポインティングデバイス、タッチスクリーン、ビデオカメラ、プリンタ、スキャナ、ブザー、スピーカ、マイクロフォン、メモリーカードリーダライタ等の各種入出力装置の一つ以上を含む。
【0095】
制御部70は、インターフェース部90を介して入力された軌条輪Rの回転数(或いは周速)の設定データ及び計測部80による軌条輪Rの回転数の計測結果に基づいて、軌条輪Rが設定された回転数で回転するよう、第1電動機12の駆動を制御する。
【0096】
制御部70は、インターフェース部90を介して入力された輪重の設定データ及び計測部80による輪重の計測結果に基づいて、設定された輪重が試験輪Wに与えられるように、輪重付与部53のモーター531の駆動を制御する。
【0097】
制御部70は、インターフェース部90を介して入力された試験輪Wのトルクの設定データ及び計測部80による試験輪Wのトルクの計測結果に基づいて、設定されトルクが試験輪Wに与えられるように、トルク発生装置20の第2電動機22の駆動を制御する。
【0098】
次に、車輪試験装置1を用いて試験を行う方法の一例を説明する。まず、制御部70は、軌条輪R及び試験輪Wが車輪試験装置1に取り付けられた状態で、輪重付与部53のモーター531を駆動して、試験輪Wを軌条輪Rに近づけて、接触させ、設定された輪重を試験輪Wに与える。なお、輪重の設定値として、一定値又は時間によって変動する変動値を設定することができる。
【0099】
次に、制御部70は、軌条輪Rが設定された回転数で回転するよう、回転駆動装置10の第1電動機12を駆動する。なお、軌条輪Rの回転数の設定値として、一定値又は時間によって変動する変動値を設定することができる。また、制御部70は、軌条輪Rの回転数が設定値に到達するまで、試験輪Wのトルクがゼロ(無負荷)となるように第2電動機22を制御する。
【0100】
軌条輪Rの回転数が設定値に到達すると、制御部70は、試験輪Wに設定されたトルクが与えられるように、トルク発生装置20の第2電動機22の駆動を制御する。なお、試験輪Wのトルクの設定値として、一定値又は時間によって変動する変動値を設定することができる。なお、軌条輪Rの回転駆動の開始時から試験輪Wに設定されたトルクが与えられるように第2電動機22の駆動を制御してもよい。
【0101】
制御部70は、この状態で、所定の時間(試験時間)に亘って、軌条輪Rの回転数、試験輪Wのトルク、接線力、横圧及び輪重を連続的に計測しながら、軌条輪R及び試験輪Wを回転させる。このとき、制御部70は、各計測値を、計測時刻と対応付けて制御部70の記憶装置71(又は、例えばLANを介して制御部70に接続されたサーバー等の制御部70によってアクセス可能な記憶手段)に保存する。
【0102】
制御部70は、所定の時間が経過すると、試験輪Wのトルクがゼロとなるようにトルク発生装置20の第2電動機22の駆動を制御する。次に、制御部70は、回転駆動装置10の第1電動機12を制御して、軌条輪Rの回転数を徐々に減速して回転を停止させた後、輪重付与部53のモーター531を駆動して、試験輪Wを軌条輪Rから所定距離だけ離して、試験を終了する。
【0103】
なお、上記の試験手順は、車輪試験装置1を用いて行うことが可能な試験手順の一例に過ぎず、別の様々な試験手順で試験を行うことが可能である。
【0104】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の第2実施形態の説明においては、上述した第1実施形態と相違する事項に重点を置き、第1実施形態と共通又は対応する構成については、同一の又は対応する符号を付して、重複する説明を省略する。
【0105】
図9は、本発明の第2実施形態に係る車輪試験装置1000の概略構成を示す平面図である。また、図10は、車輪試験装置1000の概略構成を示す正面図である。
【0106】
車輪試験装置1000は、第1実施形態の車輪支持部50に横圧付与機能、アタック角付与機能及びカント角付与機能が追加された車輪支持部1500を備えている。
【0107】
図9に示されるように、車輪試験装置1000の車輪支持部1500は、輪重付与部53に加えて、横圧付与部54、カント角付与部55及びアタック角付与部56を備えている。また、図10に示されるように、車輪支持部1500は、3つの可動ベース(第1可動ベース522A、第2可動ベース522B及び第3可動ベース522C)を備えている。
【0108】
横圧付与部54は、試験輪Wに横圧(スラスト荷重)を付与する機構部である。なお、横圧には横クリープ力(粘着力の試験輪Wの軸方向の成分)とフランジ反力(試験輪Wのフランジと軌条輪Rのゲージコーナーとの接触によって生じる作用)が含まれるが、後者のフランジ反力が横圧付与部54によって付与される(或いは、所定値に調整される)。
【0109】
横圧付与部54は、固定ベース51に対して第1可動ベース522AをY軸方向に移動可能に支持する複数(例えば3つ)のリニアガイド541と、固定ベース51と共にベースBに取り付けられたモーター542(図9)と、モーター542の回転運動をY軸方向の直線運動に変換する運動変換器543(図9)と、試験輪Wに加わる横圧を検出する横圧検出器544(図9)を備えている。リニアガイド541は、リニアガイド521と同じ構成のガイドウェイ形循環式転がり軸受であるが、別の方式の直線案内機構をリニアガイド541として使用してもよい。
【0110】
なお、本実施形態では、横圧検出器544(第2の横圧検出手段)はフランジ反力を付与する場合の横圧の検出に使用され、フランジ反力を付与しない場合には3分力センサー529(第1の横圧検出手段)が横圧の検出に使用される。車輪試験装置1000に横圧検出器544を設けずに、フランジ反力を付与する場合にも3分力センサー529を用いて横圧を検出する構成としてもよい。また、フランジ反力を付与しない場合にも横圧検出器544を用いて横圧を検出する構成としてもよい。また、横圧検出器544を用いて静的な横圧(主にフランジ反力)を検出しながら、3分力センサー529を用いて動的な横圧(主に横クリープ力)を検出する構成としてもよい。
【0111】
本実施形態のモーター542は、ACサーボモーターであるが、DCサーボモーターやステッピングモーター等、駆動量(回転角)の制御が可能な別の種類の電動機をモーター542として使用してもよい。
【0112】
本実施形態の運動変換器543は、ボールねじ等の送りねじ機構であるが、別の方式の運動変換器を使用してもよい。運動変換器543のねじ軸は、固定ベース51に取り付けられた一対の軸受によって回転可能に支持され、その一端部がモーター542の軸に接続されている。運動変換器543のナット(直線運動部)は、横圧検出器544を介して第1可動ベース522Aに固定されている。モーター542によって運動変換器543のねじ軸を回転させると、運動変換器543のナットと共に第1可動ベース522AがY軸方向に移動する。これにより、第1可動ベース522Aに支持された試験輪WもY軸方向に移動し、軌条輪Rに対する試験輪Wの軸方向における位置が変化する。試験輪WをY軸方向に変位させて、試験輪Wのフランジを軌条輪Rに接触させると、試験輪Wにフランジ反力が付与される。フランジ反力の大きさは、試験輪WのY軸方向における位置によって変化する。
【0113】
図8に示されるように、モーター542は、サーボアンプ542aを介して、制御部70に接続されている。横圧検出器544は、アンプ544aを介して、計測部80に接続されている。なお、モーター542に内蔵されたロータリーエンコーダーREが検出した軸の位相情報は、サーボアンプ542aを介して、制御部70に入力される。
【0114】
計測部80は、横圧検出器544の信号に基づいて試験輪Wに与えられる横圧を計測する。制御部70は、インターフェース部90を介して入力された横圧の設定データ及び計測部80による横圧の計測結果に基づいて、設定された横圧が試験輪Wに与えられるよう、モーター542の駆動を制御する。
【0115】
カント角付与部55は、試験輪Wにカント角を付与する機能を有する機構部である。図10に示されるように、カント角付与部55は、第1可動ベース522A及び第2可動ベース522Bの一方に取り付けられた鉛直に延びる旋回支軸551と、旋回支軸551を回転可能に支持する、第1可動ベース522A及び第2可動ベース522Bの他方に取り付けられた軸受552を備えている。第2可動ベース522Bは、旋回支軸551及び軸受552により、鉛直線である軸受552の回転軸A1を中心に回転可能に支持されている。
【0116】
軸受552は、軌条輪Rに試験輪Wが接触する接触位置P(本実施形態では軌条輪Rの右端)を回転軸A1が通るように、接触位置Pの略直下に配置されている。回転軸A1は、接触位置Pにおける軌条輪R及び試験輪Wの接線となる。そのため、回転軸A1を中心に第2可動ベース522Bが回転すると、試験輪Wは接触位置Pを支点にZ軸回りに旋回し(言い換えれば、試験輪Wと軌条輪Rの共通の接線の回りに回転移動し)、軌条輪Rに対する接線回りの傾き(すなわち、カント角)が変化する。
【0117】
カント角付与部55は、第2可動ベース522Bを、回転軸A1から離れた外周部分において、第1可動ベース522Aに対して回転軸A1を中心に旋回可能に支持する曲線ガイド553を備えている。曲線ガイド553は、曲線状のレール(ガイドウェイ)と転動体を介してレール上を走行可能なキャリッジを備えたガイドウェイ形循環式転がり軸受であるが、別の方式の曲線案内機構を曲線ガイド553として使用してもよい。
【0118】
また、カント角付与部55は、モーター554(図9)と、モーター554の回転運動をY軸方向の直線運動に変換する運動変換器555を備えている。本実施形態のモーター554は、ACサーボモーターであるが、DCサーボモーターやステッピングモーター等、駆動量(回転角)の制御が可能な別の種類の電動機をモーター554として使用してもよい。また、本実施形態の運動変換器555は、ボールねじ等の送りねじ機構であるが、別の方式の運動変換器を使用してもよい。
【0119】
運動変換器555のねじ軸555aは、一対の軸受によって回転可能に支持され、一端部がモーター554の軸に接続されている。なお、図10において、ねじ軸555aを支持する軸受は図示省略されている。モーター554及び運動変換器555の一対の軸受は、第1可動ベース522A上に設置された鉛直軸回りに回転可能な不図示の回転テーブルに取り付けられている。モーター554は、軸が回転テーブルの回転軸と垂直に交差するように配置されている。
【0120】
図10に示されるように、運動変換器555のナット555b(直線運動部)は、ヒンジ556を介して、第2可動ベース522Bに鉛直軸回りに回転可能に連結されている。モーター554によってねじ軸555aを回転させると、第2可動ベース522Bに取り付けられたヒンジ556がナット555bと共に略Y軸方向に移動する。これに伴い、第2可動ベース522Bが回転軸A1を中心に回転し、第2可動ベース522Bに支持された試験輪Wは接触位置Pを支点に旋回して、カント角が変化する。
【0121】
図8に示されるように、モーター554は、サーボアンプ554aを介して、制御部70に接続されている。モーター554に内蔵されたロータリーエンコーダーREが検出した軸の位相情報は、サーボアンプ554aを介して、制御部70に入力される。
【0122】
制御部70は、モーター554に内蔵されたロータリーエンコーダーREの信号に基づいてカント角の現在値を計算する。制御部70は、インターフェース部90を介して入力されたカント角の設定データ及び現在値に基づいて、設定されたカント角が試験輪Wに与えられるよう、モーター554の駆動を制御する。
【0123】
アタック角付与部56は、試験輪Wにアタック角を付与する機能を有する機構部である。アタック角は、レールと車輪のなす角度であり、より具体的には、レールの幅方向(枕木方向)と車輪の軸方向のなす上下軸回りの角度(すなわち、ヨーイング方向の角度)である。車輪試験装置1000においては、アタック角は、軌条輪Rの回転軸と試験輪Wの回転軸がX軸回りになす角として定義される。
【0124】
図10に示されるように、本実施形態の車輪支持部1500の支持フレーム1523は、第3可動ベース522Cに固定された箱形の支柱1523aと、X軸方向に延びる回転軸A2を中心に回転可能に支柱1523aに連結されたアーム1523bを備えている。アーム1523bは、第1実施形態のアーム523bと同様に上から見て略L字状の部材であり、支柱1523aの上部に連結されたY軸方向に延びる基部1523b1と、基部1523b1の後端部から左方へ延びる幹部1523b2とを有している。
【0125】
基部1523b1の右端からは、X軸方向に旋回支軸561が突出している。また、支柱1523aの上部には、旋回支軸561を回転可能に支持する軸受562が取り付けられている。アーム1523bは、旋回支軸561を介して、軸受562により、Y軸方向に延びる回転軸A2を中心に回転可能に支持されている。軸受562は、回転軸A2が接触位置Pを通るように配置されている。すなわち、回転軸A2は試験輪Wの踏面を垂直に通る直線となっている。旋回支軸561及び軸受562は、アタック角付与部56の一部を構成する。
【0126】
図9に示されるように、アタック角付与部56は、モーター564と、モーター564の回転運動をZ軸方向の直線運動に変換する運動変換器563を備えている。本実施形態のモーター564は、ACサーボモーターであるが、DCサーボモーターやステッピングモーター等、駆動量(回転角)の制御が可能な別の種類の電動機をモーター564として使用してもよい。また、本実施形態の運動変換器563は、ボールねじ等の送りねじ機構であるが、別の方式の運動変換器を使用してもよい。
【0127】
運動変換器563のねじ軸は、一対の軸受によって回転可能に支持され、一端部がモーター564の軸にベベルギアを介して接続されている。なお、運動変換器563のねじ軸をモーター564の軸に直結してもよい。モーター564及び運動変換器563は、X軸方向に延びる回転軸を有するヒンジを介して、ヒンジの回転軸を中心に一定の角度範囲で回転(すなわち揺動)可能に第3可動ベース522Cに連結された揺動フレームに取り付けられている。
【0128】
運動変換器563のナット(直線運動部)は、X軸方向に延びる回転軸を有するヒンジを介して、支持フレーム1523のアーム1523bに、ヒンジの回転軸を中心に揺動可能に連結されている。モーター564によって運動変換器563のねじ軸を回転させると、ナットと共にアーム1523bに取り付けられたヒンジが略Z軸方向に移動する。これに伴い、アーム1523bと共にアーム1523bに支持された試験輪Wが接触位置Pを通る回転軸A2(言い換えれば、試験輪の踏面に垂直な直線)を中心に回転移動し、アタック角が付与される。
【0129】
図8に示されるように、モーター564は、サーボアンプ564aを介して、制御部70に接続されている。モーター564に内蔵されたロータリーエンコーダーREが検出した軸の位相情報は、サーボアンプ564aを介して、制御部70に入力される。
【0130】
制御部70は、モーター564に内蔵されたロータリーエンコーダーREの信号に基づいてアタック角の現在値を計算する。制御部70は、インターフェース部90を介して入力されたアタック角の設定データ及び現在値に基づいて、設定されたアタック角が試験輪Wに与えられるよう、モーター564の駆動を制御する。
【0131】
図10に示されるように、輪重付与部53の運動変換器532の直線運動部532aは、輪重検出器533を介して支持フレーム1523の支柱1523aに固定されている。また、運動変換器532の直線運動部532aは、中心線が回転軸A2と一致するように配置されている。これにより、輪重を付与する際に、支持フレーム1523に大きな力のモーメントが加わることが防止される。
【0132】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、様々な変形が可能である。例えば本明細書中に例示的に明示された実施形態等の構成、本明細書中の記載から当業者に自明な実施形態等の構成及び/又は周知技術を適宜組み合わせた構成も本願の実施形態に含まれる。
【0133】
上記の実施形態では、輪重付与部53が車輪支持部50に設けられ、試験輪Wを軌条輪Rに対して進退させることによって輪重を調整するように構成されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、輪重付与部を軌条輪支持部に設けて、軌条輪Rを試験輪Wに対して進退させることによって輪重を調整する構成としてもよい。
【0134】
上記の実施形態では、軌条輪Rがトルク発生装置20を介さずに回転駆動装置10に接続され、試験輪Wがトルク発生装置20を介して回転駆動装置10に接続されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、軌条輪Rがトルク発生装置20を介して回転駆動装置10に接続され、試験輪Wがトルク発生装置20を介さずに回転駆動装置10に接続される構成としてもよい。また、トルク発生装置20を2つ設けて、一方のトルク発生装置20を介して軌条輪Rが回転駆動装置10に接続され、他方のトルク発生装置20を介して試験輪Wが回転駆動装置10に接続される構成としてもよい。
【0135】
上記の実施形態では、車輪支持部50に複数の3分力センサーが設けられ、複数の3分力センサーの検出結果に基づいて計測部80が試験輪Wに加わるトルクや輪重を計測する構成が採用されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、複数の2分力センサー又は1分力センサーの検出結果に基づいてトルクや輪重を計測する構成としてもよい。
【0136】
上記の実施形態では、軌条輪支持部32に動力分配手段の機能が組み込まれているが、軌条輪支持部32から動力分配手段を分離した構成としてもよい。例えば、第1伝動部30を軌条輪支持部32に接続させず、回転駆動装置10と第1伝動部30とを追加の動力伝達手段(例えば、巻掛け伝動や歯車伝動)を介して連結することができる。この場合、第1ベルト機構部31の駆動プーリー311と追加の動力伝達手段のプーリーや歯車が取り付けられる回転駆動装置10の軸が動力分配手段として機能する。
【0137】
上記の第2実施形態では、固定ベース51とスピンドル527とが、横圧付与部54、カント角付与部55、輪重付与部53及びアタック角付与部56をこの順で介して連結されているが、本発明はこの構成に限定されず、横圧付与部54、カント角付与部55、輪重付与部53及びアタック角付与部56は、どのような順序で連結してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10