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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ダイヤモンドドレッサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/12 20060101AFI20230829BHJP
   B24B 53/047 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B24B53/12 Z
B24B53/047
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023002159
(22)【出願日】2023-01-11
【審査請求日】2023-01-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523010786
【氏名又は名称】株式会社ツールテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】森下 誠
(72)【発明者】
【氏名】北條 裕紀
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007887(JP,A)
【文献】実開平01-066968(JP,U)
【文献】国際公開第2018/092361(WO,A1)
【文献】特開2009-166139(JP,A)
【文献】特開2003-127019(JP,A)
【文献】特開平08-323621(JP,A)
【文献】特開平08-229818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00 - 53/14
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサの製造方法であって、
四角形の天面と底面を有した四角柱の単結晶ダイヤモンドにおける4ヶ所の頂部のうち略結晶方位にあるいずれかの前記頂部を前記四角柱の長手方向に沿って前記天面から前記底面までまっすぐに切断した切断面を形成する工程と、
前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように台金に取付ける工程と、を備えたことを特徴とするダイヤモンドドレッサの製造方法
【請求項2】
前記台金に取付ける工程の前に、前記切断面と略直交する方向において前記四角柱の前記天面から側面に向かう斜面を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドドレッサの製造方法
【請求項3】
前記台金に取付ける工程の前に、前記四角柱の前記天面から前記切断面に向かう方向にテーパを形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドドレッサの製造方法
【請求項4】
前記台金に取付ける工程では、前記切断面が形成された複数の単結晶ダイヤモンドをそれぞれ前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように取付けることを特徴とする請求項1-のいずれかに記載のダイヤモンドドレッサの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削砥石を成形するためのダイヤモンドドレッサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサにおける人造ダイヤモンドの摩耗性向上が長年の課題となっている。
【0003】
特許文献1には、気相合成法により合成された柱状の多結晶ダイヤモンドを用いることで偏摩耗が発生しにくくした事例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2001-341073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいても、耐摩耗性が十分に確保されているとはいえないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサの製造方法であって、
四角形の天面と底面を有した四角柱の単結晶ダイヤモンドにおける4ヶ所の頂部のうち略結晶方位にあるいずれかの前記頂部が前記四角柱の長手方向に沿って前記天面から前記底面までまっすぐに切断して切断面を形成する工程と、
前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように前記台金に取付ける工程と、を備えたことを特徴とするダイヤモンドドレッサの製造方法を提供するものである。
【0008】
この構成により、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することにより低コストかつ長寿命で、かつ略結晶方位の頂部に切断面を有することにより耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することができる。これは、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することで製造工程中の研磨工程の簡略化ができ、低コストであるとともに多結晶ダイヤモンドに比べて長寿命であるためである。また、略結晶方位の頂部に切断面を設けるとともに、切断面の2ヶ所の端部を研削砥石に作用する作用部とすることで、ダイヤモンドドレッサとしての耐摩耗性が向上する。
【0011】
ダイヤモンドドレッサの製造方法であって、前記台金に取付ける工程の前に、前記切断面と略直交する方向において前記四角柱の前記天面から側面に向かう斜面を形成する工程を備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成により、研削砥石の形状により、斜面の角度を選定することができる。
【0013】
ダイヤモンドドレッサの製造方法であって、前記台金に取付ける工程の前に、前記四角柱の前記天面から前記切断面に向かう方向にテーパを形成する工程を備えた構成としてもよい。
【0014】
この構成により、単結晶ダイヤモンドの欠けを防止して、摩耗性を向上することができる。
【0015】
ダイヤモンドドレッサの製造方法であって、前記台金に取付ける工程では、前記切断面が形成された複数の単結晶ダイヤモンドをそれぞれ前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように取付ける構成としてもよい。
【0016】
この構成により、研削砥石の円周面と側面とで接触する前記四角柱の単結晶ダイヤモンドを分けることができるため、トータルのコスト低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のダイヤモンドドレッサは、耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1における四角柱の単結晶ダイヤモンドを説明する図である。
図2】本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
図3】本発明の実施例2におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
図4】本発明の実施例3におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
図5】本発明の実施例4におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
図6】本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサの使用例を説明する正面図である。
図7】本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサの使用例を説明する側面図である。
図8】本願発明におけるダイヤモンドドレッサの写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサについて、図1図2図6図8を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における四角柱の単結晶ダイヤモンドを説明する図である。図2は、本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。図6は、本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサの使用例を説明する正面図である。図7は、本発明の実施例1におけるダイヤモンドドレッサの使用例を説明する側面図である。図8は、本願発明におけるダイヤモンドドレッサの写真であり、右側が実施例1におけるダイヤモンドドレッサ、左側が後述する実施例2におけるダイヤモンドドレッサである。
【0020】
実施例1におけるダイヤモンドドレッサ11に用いられるダイヤモンドは1石であり、断面正方形で側面方向に長い直方体形状の単結晶ダイヤモンド1が用いられる。そして、結晶方位4にある2ヶ所の頂部を天面10と交差する側面方向に沿って切断して切断面2を形成しているとともに、切断面2と略直交する方向において天面10から側面方向に斜面3を有している。
【0021】
つまり、図1における(a)が材料の断面正方形の直方体の単結晶ダイヤモンド1を示しており、天面10において対角方向に結晶方位4を有している。ダイヤモンドドレッサ11におけるダイヤモンドは、材料の直方体の単結晶ダイヤモンド1を(b)に示すように、結晶方位4にある2ヶ所の頂部を天面10と交差する側面方向に沿ってレーザで切断して切断面2を形成している。また、(c)のように、切断面2と略直交する方向、すなわち結晶方位4の方向において天面10から側面方向に向かって斜面3を形成している。(d)に示すものが後述する台金7に取付けられて、実施例1における2箇所の切断面2と斜面3が形成された四角柱の単結晶ダイヤモンド1aとなる。そして、台金7に取付けられても切断面2と天面10との交わる端部(実施例1においては4ヶ所)が露出し研削砥石を成形する場合に接する作用部5となる。
なお、結晶方位4が頂部からわずかにずれて、略結晶方位にある2ヶ所の頂部を天面10と交差する側面方向に沿って切断して切断面2を形成してもよい。
【0022】
このように、略結晶方位4の頂部に切断面2を形成し、切断面2の端部2ヶ所を作用部とすることにより、頂部1ヶ所を作用部とする場合よりも耐摩耗性が向上できる。
【0023】
実施例1においては、四角柱の単結晶ダイヤモンド1aが断面正方形の直方体の単結晶ダイヤモンド1としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、断面正方形でなくてもよく、長方形であっても菱形であってもよい。また、直方体でなくても立方体であってもよく、少なくとも四角柱であればよい。このように、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することで、多結晶ダイヤモンドを使用する場合よりも長寿命を実現できる。
【0024】
また、実施例1においては、結晶方位4にある2ヶ所の頂部を天面10と交差する側面方向に沿ってレーザで切断して切断面2を形成するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、結晶方位4にある1ヶ所の頂部を天面10と交差する側面方向に沿ってレーザで切断して切断面2を形成するようにしてもよい。また、レーザでの切断に替えて、研磨等により切断面2を形成するようにしてもよい。さらに、結晶方位4が頂部とわずかにずれた方向であっても略結晶方位にある頂部を切断して切断面2を形成してもよい。すなわち、略結晶方位にある少なくともいずれかの頂部が天面10と交差する側面方向に沿って切断された切断面2を有するようにすればよい。
【0025】
台金7は鉄からなり、2箇所の切断面2と斜面3が形成された四角柱の単結晶ダイヤモンド1aが図示しない焼結体を挟んで台金7に取付けられている。台金7の上部は長方形状に細くなっており、四角柱の単結晶ダイヤモンド1aは図2(c)に示すように、この長方形状の長手方向と直交するように切断面2が取り付けられることにより、作用部5が容易に研削砥石Wに接することができる。
【0026】
また、実施例1においては、天面10から側面方向に向かって斜面3を有しているようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、斜面3を有していなくてもよく、また、斜面3の角度は、20~80°の範囲において、研削砥石の形状に応じて適切な角度を選択するようにしてもよい。
【0027】
(使用例)
図6図7に実施例1におけるダイヤモンドドレッサ11の使用例を示す。ダイヤモンドドレッサ11は、研削砥石Wの円周面W1、側面W2、及び側面W3を成形する。回転する研削砥石Wの円周面W1に四角柱の単結晶ダイヤモンド1aの一つの作用点5が接触して、図6に示すZ方向に移動部21により移動させて円周面W1全体を成形する。
【0028】
円周面W1の成形が終われば、図7に示すように、(a)の位置からX方向に移動して(b)に示す位置にてY方向に移動しながら側面W2を成形する。このとき、側面W2には、四角柱の単結晶ダイヤモンド1aの他の一つの作用点5が接触して成形することができる。
【0029】
側面W2の成形が終われば、図示しないが、側面W3の位置に四角柱の単結晶ダイヤモンド1aが移動部21により移動して、側面W3の成形を行う。これにより、研削砥石Wの円周面W1、側面W2、及び側面W3全ての成形を行うことができる。
【0030】
(比較試験)
従来品(単結晶ダイヤモンド使用)と本願発明品との比較試験を下記の条件に行い結果を得た。
・条件
切込み量 0.015mm/パス
切込み階数 2パス
研削砥石の送り速度 300mm/min
研削砥石の周速 45m/sec
研削液 水溶性オイル
研削砥石仕様 三井研削砥石製 CSA砥石 CSA60J
直径φ455mm 厚み75mm

・結果(耐摩耗性)
本願発明品 1回目 2,810回
2回目 2,640回
3回目 2,720回
従来品 1回目 930回
2回目 840回
3回目 940回

従来から、ダイヤモンドドレッサの耐摩耗性向上は大きな課題であったが、以上の結果のように、大きな成果をあげることができた。つまり、本願発明品が従来品に比べて約3倍の使用回数が可能であり、従来に比べて耐摩耗性の向上を実証することができた。
また、本発明品による研削砥石の成形後の表面粗さが従来品のRz1.6からRz1.2に向上したことも分かっている。
【0031】
このように、実施例1においては、研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサであって、
四角柱の単結晶ダイヤモンドと、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドを取付ける台金と、を備え、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドは、略結晶方位にある少なくともいずれかの頂部が前記天面と交差する側面方向に沿って切断された切断面を有し、前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように前記台金に取付けたことを特徴とするダイヤモンドドレッサにより、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することにより低コストかつ長寿命であり、かつ略結晶方位の頂部に切断面を有することにより耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することができる。
【実施例2】
【0032】
本願発明の実施例2におけるダイヤモンドドレッサ12は、四角柱の単結晶ダイヤモンド1bを2石有している点で実施例1と異なっている。図3を参照して実施例2におけるダイヤモンドドレッサ12を説明する。図3は、本発明の実施例2におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
【0033】
実施例2におけるダイヤモンドドレッサ12の四角柱の単結晶ダイヤモンド1bは、断面正方形で側面方向に長い直方体形状の単結晶ダイヤモンド1である。そして、結晶方位4にある1ヶ所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成しているとともに、切断面2と略直交する方向において天面から斜面3を有している。そして、切断面2が台金8の上部の長方形状長手方向の外側を向くように2石の単結晶ダイヤモンド1bが天面10及び切断面2の一部を露出して取付けられている。つまり、台金8の上部の長方形状長手方向の内側を向く方向には単結晶ダイヤモンド1bの切断面を有していない。これにより、単結晶ダイヤモンド1を切断するコストを節約できる。
【0034】
台金8は鉄からなり、1箇所の切断面2と斜面3が形成された2石の四角柱の単結晶ダイヤモンド1bが図示しない焼結体を挟んで台金8に取付けられている。研削砥石に接する作用部以外の部分へ焼結体を挟むことで高価なダイヤモンドの使用量を少なくできるため、さらなる低コストを実現できる。
【0035】
結晶方位4の頂部に切断面2を形成し、切断面2の端部2ヶ所を作用部5とすることにより、頂部1ヶ所を作用部とする場合よりも耐摩耗性を向上することできる。
【0036】
実施例2においては、四角柱の単結晶ダイヤモンド1bが断面正方形の直方体の単結晶ダイヤモンド1としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、断面正方形でなくてもよく、長方形であっても菱形であってもよい。また、直方体でなくても立方体であってもよく、四角柱であればよい。このように、単結晶ダイヤモンドを使用することで、多結晶ダイヤモンドを使用する場合よりも長寿命を実現できる。
【0037】
また、実施例2においては、結晶方位4にある1ヶ所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、結晶方位4からわずかにずれた略結晶方位にある対角2ヶ所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成するようにしてもよい。
【0038】
実施例2におけるダイヤモンドドレッサ12は、2石の四角柱の単結晶ダイヤモンド1bが台金8の外側のそれぞれ2ヶ所に作用部5が存在し、合計4ヶ所の作用部5で研削砥石Wを成形する。
【0039】
また、実施例2においては、天面から切断面2と略直交する方向において斜面3を有しているようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、斜面3を有していなくてもよく、また、斜面3の角度は、20~80°の範囲において、研削砥石の形状に応じて適切な角度を選択するようにしてもよい。
【0040】
なお、実施例2においては、2石の四角柱の単結晶ダイヤモンドを用いる構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、3石以上の複数の四角柱の単結晶ダイヤモンドを用いる構成してもよい。
【0041】
このように、実施例2においても、研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサであって、
四角柱の単結晶ダイヤモンドと、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドを取付ける台金と、を備え、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドは、略結晶方位にある少なくともいずれかの頂部が前記天面と交差する側面方向に沿って切断された切断面を有し、前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように前記台金に取付けたことを特徴とするダイヤモンドドレッサにより、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することにより低コストかつ長寿命であり、かつ略結晶方位の頂部に切断面を有することにより耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することができる。
【実施例3】
【0042】
本願発明の実施例3におけるダイヤモンドドレッサ13は1石の四角柱の単結晶ダイヤモンド1cからなり、この四角柱の単結晶ダイヤモンド1cは四角柱の単結晶ダイヤモンドの天面から切断面2の方向にテーパ9を有している点で、実施例1、2と異なっている。実施例3のダイヤモンドドレッサ13について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施例3におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
【0043】
実施例3におけるダイヤモンドドレッサ13に用いられるダイヤモンドは1石であり、断面正方形で側面方向に長い直方体形状の単結晶ダイヤモンド1cが用いられる。そして、結晶方位4にある2箇所の頂部を天面10と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成しているとともに、天面から切断面2と略直交する方向において斜面3を有している。
【0044】
また、実施例3の特徴として、四角柱の単結晶ダイヤモンドの天面10から切断面2の方向にテーパ9を有している。これにより、単結晶ダイヤモンドの欠けを防止して、摩耗性を向上することができる。
【0045】
実施例3においては、結晶方位4にある2箇所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、結晶方位4の頂部からわずかにずれた略結晶方位にある2箇所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成してもよい。
【0046】
台金7は実施例1と同様に鉄からなり、2ヶ所の切断面2と斜面3と2ヶ所のテーパ9が形成された四角柱の単結晶ダイヤモンド1cが図示しない焼結体を挟んで天面と斜面3とテーパ9が露出するように台金7に取付けられている。台金7の上部は長方形状に細くなっており、四角柱の単結晶ダイヤモンド1cは図4(c)に示すように、この長方形状の長手方向と直交するように切断面2が取り付けられることにより、作用部5が長方形状の長手方向に設けられることで効率的に研削砥石Wに接することができる。
【0047】
また、実施例3においては、天面から切断面2と略直交する方向において斜面3を有しているようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、斜面3を有していなくてもよく、また、斜面3の角度は、20~80°の範囲において、研削砥石の形状に応じて適切な角度を選択するようにしてもよい。
【0048】
このように、実施例3においても、研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサであって、
四角柱の単結晶ダイヤモンドと、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドを取付ける台金と、を備え、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドは、略結晶方位にある少なくともいずれかの頂部が前記天面と交差する側面方向に沿って切断された切断面を有し、前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように前記台金に取付けたことを特徴とするダイヤモンドドレッサにより、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することにより低コストかつ長寿命であり、かつ略結晶方位の頂部に切断面を有することにより耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することができる。
【実施例4】
【0049】
本願発明の実施例4におけるダイヤモンドドレッサ14は、2石の四角柱の単結晶ダイヤモンド1dからなり、この四角柱の単結晶ダイヤモンド1dは四角柱の単結晶ダイヤモンドの天面10から切断面2の方向にテーパ9を有している点で実施例1―3と異なっている。図5を参照して実施例4におけるダイヤモンドドレッサ14を説明する。図5は、本発明の実施例4におけるダイヤモンドドレッサを説明する図である。
【0050】
実施例4におけるダイヤモンドドレッサ14の四角柱の単結晶ダイヤモンド1dは、断面正方形で側面方向に長い直方体形状の単結晶ダイヤモンド1である。そして、結晶方位4にある1ヶ所の頂部を天面10と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成しているとともに、天面から切断面2と略直交する方向において斜面3を有している。
【0051】
また、実施例4の特徴として、四角柱の単結晶ダイヤモンド1dの天面10から切断面2の方向にテーパ9を1ヶ所有している。これにより、単結晶ダイヤモンド1dの欠けを防止して、摩耗性を向上することができる。
【0052】
なお、実施例4においては、天面10から切断面2の方向にテーパ9を1ヶ所有しているようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、結晶方位4の頂部からわずかにずれた略結晶方位にある2箇所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成してもよい。
【0053】
そして、切断面2が台金8の上部の長方形状長手方向の外側を向くように2石の単結晶ダイヤモンド1dが天面10、斜面3、及びテーパ9を露出して取付けられている。つまり、台金8の上部の長方形状の長手方向の内側を向く方向には単結晶ダイヤモンド1dの切断面を有していない。これにより、単結晶ダイヤモンド1を切断するコストを節約できる。
【0054】
このように、略結晶方位4の頂部に切断面2を形成し、切断面2の端部2ヶ所を作用部5とすることにより、頂部1ヶ所を作用部とする場合よりも耐摩耗性を向上することできる。
【0055】
実施例4においては、四角柱の単結晶ダイヤモンド1bが断面正方形の直方体の単結晶ダイヤモンド1としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、断面正方形でなくてもよく、長方形であっても菱形であってもよい。また、直方体でなくても立方体であってもよく、四角柱であればよい。このように、単結晶ダイヤモンドを使用することで、多結晶ダイヤモンドを使用する場合よりも長寿命を実現できる。
【0056】
また、実施例4においては、結晶方位4にある1ヶ所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、結晶方位4からわずかにずれた略結晶方位にある対角1ヶ所の頂部を天面と交差する長手方向である側面方向に沿って切断して切断面2を形成するようにしてもよい。
【0057】
実施例4におけるダイヤモンドドレッサ14は、2石の単結晶ダイヤモンド1dの外側にそれぞれ2ヶ所に作用部5が存在し、合計4ヶ所の作用部5で研削砥石Wを成形する。
【0058】
また、実施例4においては、天面から切断面2と略直交する方向において斜面3を有しているようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、斜面3を有していなくてもよく、また、斜面3の角度は、20~80°の範囲において、研削砥石の形状に応じて適切な角度を選択するようにしてもよい。
【0059】
なお、実施例4においては、2石の四角柱の単結晶ダイヤモンドを用いる構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、3石以上の複数の四角柱の単結晶ダイヤモンドを用いる構成してもよい。
【0060】
このように、実施例4においても、研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサであって、
四角柱の単結晶ダイヤモンドと、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドを取付ける台金と、を備え、
前記四角柱の単結晶ダイヤモンドは、略結晶方位にある少なくともいずれかの頂部が前記天面と交差する側面方向に沿って切断された切断面を有し、前記切断面の端部が前記研削砥石に接する作用部となるように前記台金に取付けたことを特徴とするダイヤモンドドレッサにより、四角柱の単結晶ダイヤモンドを使用することにより低コストかつ長寿命であり、かつ略結晶方位の頂部に切断面を有することにより耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明におけるダイヤモンドドレッサは、研削砥石の成形の分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
1:四角柱の単結晶ダイヤモンド
1a:四角柱の単結晶ダイヤモンド
1b:四角柱の単結晶ダイヤモンド
1c:四角柱の単結晶ダイヤモンド
1d:四角柱の単結晶ダイヤモンド
2:切断面
3:斜面
4:結晶方位
5:作用部
7:台金
8:台金
9:テーパ
10:天面
11:ダイヤモンドドレッサ
12:ダイヤモンドドレッサ
13:ダイヤモンドドレッサ
14:ダイヤモンドドレッサ
21:移動部
W:研削砥石
【要約】
【課題】低コストで耐摩耗性の優れたダイヤモンドドレッサを実現することを課題とする。
【解決手段】
研削砥石を成形するダイヤモンドドレッサ11であって、四角柱の単結晶ダイヤモンド1aと、前記四角柱の単結晶ダイヤモンド1aを取付ける台金7と、を備え、前記四角柱の単結晶ダイヤモンド1aは、略結晶方位にある少なくともいずれかの頂部が前記天面10と交差する側面方向に沿って切断された切断面2を有し、前記切断面2の端部が前記研削砥石Wに接する作用部5となるように前記台金7に取付けたことを特徴とするダイヤモンドドレッサ11とした。
【選択図】図1
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図8