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特許7338927屋根修繕支援システム、及び屋根修繕支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】屋根修繕支援システム、及び屋根修繕支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230829BHJP
   G06F 16/583 20190101ALI20230829BHJP
   G06F 16/587 20190101ALI20230829BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230829BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20230829BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20230829BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06F16/583
G06F16/587
G06T7/00 350C
G06T7/00 640
G06T7/11
G06V10/82
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023063498
(22)【出願日】2023-04-10
【審査請求日】2023-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523133801
【氏名又は名称】ラックス建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲矢
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-021268(JP,A)
【文献】特開2021-033584(JP,A)
【文献】特開2001-306669(JP,A)
【文献】特開2019-218681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/587
G06F 16/583
G06T 7/00
G06T 7/11
G06V 10/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上空から地上を撮影した上空画像を取得し、機械学習された判別器を用いて、前記上空画像から、屋根が撮影されている屋根領域の範囲を表す屋根範囲画像、前記屋根領域が実際に屋根である確率を表す屋根確率、及び前記屋根領域の劣化具合を表す劣化度を含む屋根分析データを生成するように構成された分析部(123:S310~S370)と、
前記分析部によって生成された前記屋根領域のそれぞれについて、前記屋根分析データを含む屋根データを、データベース(11)に蓄積するように構成されたデータベース生成部(123:S380)と、
屋根の検索に用いる検索条件の入力を受け付けて、前記検索条件を満たす前記屋根データを前記データベースから読み出して出力するように構成されたデータ提供部(121:S170~S190)と、
を備え
前記屋根分析データには、前記判別器によって抽出される情報、前記上空画像の縮尺率、及び前記上空画像中の各地点の位置データを用いて算出される二次分析データを含み、
前記二次分析データには、前記屋根領域の面積を表す屋根面積、及び前記屋根領域の位置を表す屋根位置のうち少なくとも1つが含まれる、
屋根修繕支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記上空画像は、複数のタイル画像で構成され、
前記分析部は、前記タイル画像のそれぞれについて、前記判別器を適用し、前記複数のタイル画像に渡って同一の屋根に属する領域である部分屋根領域が抽出された場合、前記部分屋根領域を統合することで前記屋根領域を生成するように構成された
屋根修繕支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記屋根領域が属する建物の建物名、前記建物の住所、前記建物の所有者又は管理者の連絡先のうち少なくとも一つを含む付加データを取得するように構成された付加データ取得部(121:S430~S450)を更に備え、
前記データベース生成部は、前記付加データを前記屋根データの一部として前記データベースに記憶させるように構成された、
屋根修繕支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記付加データは、前記建物の種類を表す建物カテゴリを更に含み
前記データ提供部は、前記建物カテゴリを指定する入力を受け付け、入力された前記建物カテゴリに従って、出力対象となる前記屋根データを絞り込むように構成された、
屋根修繕支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記データ提供部は、出力対象となる前記屋根データをファイル形式で出力するように構成された、
屋根修繕支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記データ提供部は、出力対象となる前記屋根データを、表示装置の画面に表示するように構成された、
屋根修繕支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記データ提供部は、前記表示装置の画面上で前記上空画像を表示し、該上空画像にて前記出力対象となる前記屋根データに対応する建物の屋根を強調表示するマスク画像を、前記上空画像に重畳表示し、前記表示装置の画面上で、前記マスク画像が指定された場合、指定された前記マスク画像に対応する前記屋根データを、前記表示装置の画面上にポップアップ表示するように構成された、
屋根修繕支援システム。
【請求項8】
コンピュータを用いて構築された屋根修繕支援システムにおいて、
前記コンピュータが備える分析部が、上空から地上を撮影した上空画像を取得し、機械学習された判別器を用いて、前記上空画像から、屋根が撮影されている屋根領域の範囲を表す屋根範囲画像、前記屋根領域が実際に屋根である確率を表す屋根確率、及び前記屋根領域の劣化具合を表す劣化度を含む屋根分析データを生成すること(S310~S370)と、
前記コンピュータが備えるデータベース生成部が、前記屋根領域のそれぞれについて、前記屋根分析データを含む屋根データを、データベースに蓄積すること(S380)と、
前記コンピュータが備えるデータ提供部が、屋根の検索に用いる検索条件の入力を受け付けて、前記検索条件を満たす前記屋根データを前記データベースから読み出して出力すること(S170~S190)と、
を含み、
前記屋根分析データには、前記判別器によって抽出される情報、前記上空画像の縮尺率、及び前記上空画像中の各地点の位置データを用いて算出される二次分析データを含み、
前記二次分析データには、前記屋根領域の面積を表す屋根面積、及び前記屋根領域の位置を表す屋根位置のうち少なくとも1つが含まれる、
屋根修繕支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋根の修繕に必要な情報を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工場、倉庫、体育館、展示館、ドーム球場等の大面積の屋根を持つ構造物や建築物(以下、建物)の維持管理、補修に関して、建物の屋根材を撮影した撮影画像を、画像処理することで、屋根の劣化度を評価する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-318510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、評価の対象となる建物屋根材を、飛行物体を用いて上空から撮影したり、クレーンや高所作業者等を用いて近接撮影したりする等、評価対象毎に個別に行っている。したがって、例えば、不特定多数の屋根の劣化具合を評価して修繕の提案をするような用途で従来技術を使用する場合、非常に手間を要するという問題があった。
【0005】
本開示の1つの局面は、不特定多数の屋根の状況を簡易に把握する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、屋根修繕支援システムであって、分析部(123:S310~S370)と、データベース生成部(123:S380)と、データ提供部(121:S170~S190)と、を備える。分析部は、上空から地上を撮影した上空画像を取得し、機械学習された判別器を用いて、上空画像から、屋根分析データを生成するように構成される。屋根分析データは、屋根が撮影されている屋根領域の範囲を表す屋根範囲画像、屋根領域が実際に屋根である確率を表す屋根確率、及び屋根領域の劣化具合を表す劣化度を含む。データベース生成部は、分析部によって生成された屋根領域のそれぞれについて、屋根分析データを含む屋根データを、データベース(11)に蓄積するように構成される。データ提供部は、屋根の検索に用いる検索条件の入力を受け付けて、検索条件を満たす屋根データをデータベースから読み出して出力するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、不特定多数の屋根について、劣化具合等の屋根の状況を簡易に把握することができる。その結果、屋根修繕の提案に必要な種々の情報を含む屋根データを、簡単かつ効率よく収集することができる。
【0008】
本開示の一態様は、屋根修繕支援方法であって、上空から地上を撮影した上空画像を取得し、機械学習された判別器を用いて、上空画像から、屋根が撮影されている屋根領域の範囲を表す屋根範囲画像、屋根領域が実際に屋根である確率を表す屋根確率、及び屋根領域の劣化具合を表す劣化度を含む屋根分析データを生成すること(S310~S370)と、屋根領域のそれぞれについて、屋根分析データを含む屋根データを、データベースに蓄積すること(S380)と、屋根の検索に用いる検索条件の入力を受け付けて、検索条件を満たす屋根データをデータベースから読み出して出力すること(S170~S190)と、を含む。
【0009】
本開示の屋根修繕支援方法によれば、上述の屋根修繕支援システムと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】屋根修繕支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】データベースに登録される屋根データの内容を示す説明図である。
図3】データ生成部としての機能を実現するために、サービス提供サーバの処理部が実行するサービス提供処理のフローチャートである。
図4】データ生成部としての機能を実現するために、サービス提供サーバの処理部が実行するデータ生成処理のフローチャートである。
図5】AI処理部としての機能を実現するために、サービス提供サーバの処理部が実行する分析処理のフローチャートである。
図6】検索結果一覧が表示されているときに、サービス提供サーバの処理部が実行する個別処理のフローチャートである。
図7】ログイン時に端末装置に表示されるユーザ画面を示す説明図である。
図8】詳細検索画面を示す説明図である。
図9】ユーザ画面に検索結果一覧が表示された状態を示す説明図である。
図10】管理メニュー画面及びエリア指定画面を示す説明図である。
図11】エリア指定画面にて屋根探査の対象となる対象領域を指定した状態を示す説明図である。
図12】カテゴリ設定画面を示す説明図である。
図13】ユーザ画面の地図に重畳表示された屋根マスクの画像がクリックされたときに、屋根データが表示されるポップアップ画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す屋根修繕支援システム1は、上空から地上を撮影した画像(以下、上空画像)から、建物の屋上を検出し、屋上の画像を分析することで、防水加工等の修繕提案に必要な情報を収集し、ユーザからの要求に応じて、収集した情報を提供する。
【0012】
屋根修繕支援システム1は、サービス提供サーバ10と、地図データサーバ20と、端末装置30とを備える。サービス提供サーバ10、地図データサーバ20、及び端末装置30は、データ通信を行う通信ネットワーク100を介して相互に接続される。通信ネットワーク100は、任意のユーザが使用可能な公衆ネットワークであってもよいし、特定のユーザのみが使用可能な専用ネットワークでもよい。また、サービス提供サーバ10、地図データサーバ20、及び端末装置30は、いずれか二つ又は全部が一体に設けられてもよい。
【0013】
端末装置30は、画像等を表示するための表示装置、及び各種指示を入力するための入力装置等を備える。端末装置30は、通信ネットワーク100を介してサービス提供サーバ10にアクセスすることで、表示装置に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して屋根修繕支援サービスの提供を受ける。端末装置30は、ディスクトップパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン、タブレット等の携帯端末であってもよい。
【0014】
地図データサーバ20は、通信ネットワーク100を介した外部からの要求に応じて地図データを提供する。地図データには、線図で地図を表すための線図データ、及び上空画像で地図を表すための画像データが含まれる。地図データは、256×256ピクセルのタイル画像で表される。地球全体を1枚のタイル画像で表した状態をズームレベル0として、ズームレベルが1上がる毎に、地図の縦横がそれぞれ2倍に拡大され、縦横のタイル数が2倍、合計タイル数が4倍に増加する。つまり、nを0以上の整数として、ズームレベルnでは、地球全体が22n枚のタイル画像で表される。但し、ズームレベルによらず、各タイルのサイズは、256×256ピクセルのままである。タイル画像には、タイル画像中の基準点となる位置を緯度及び経度で表す位置データが対応づけられている。
【0015】
地図データには、地図に示された建物に関する詳細な情報を表す建物関連データが対応づけられていてもよい。建物関連データには、建物の名称、郵便番号、住所、電話番号等が含まれてもよい。
【0016】
サービス提供サーバ10は、屋根修繕支援サービスを提供するサーバである。サービス提供サーバ10は、データベース11と、処理部12と、通信部13とを備える。
通信部13は、通信ネットワーク100を介して、地図データサーバ20及び端末装置30とデータ通信を行う。通信部13は、無線通信及び有線通信のいずれを行うものであってもよい。
【0017】
処理部12は、マイクロコンピュータにより構成され、CPU12aと、ROM12bと、RAM12cと、を備える。処理部12の各種機能は、CPU12aが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。本実施形態では、ROM12bが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。
【0018】
処理部12は、プログラムを実行することによって、サービス提供部121、データ生成部122、AI処理部123としての機能を実現する。
サービス提供部121は、端末装置30からの要求に応じて、屋根修繕支援サービスに使用するGUIを提供する。
【0019】
データ生成部122は、地図上の領域である対象領域TAを指定して、AI処理部123を利用した分析処理を実行することで、屋根の修繕支援に関わる種々のデータを含んだ屋根データを生成する。
【0020】
AI処理部123は、対象領域TAの上空画像を入力とし、AIモデルを用いて、上空画像に写り込んだ建物の屋根を抽出すると共に、抽出した屋根のそれぞれについて屋根の状態を分析した結果である屋根分析データを生成して、屋根データの一部として出力する。
【0021】
なお、AIモデルへの入力画像には、タイル画像で示された上空画像が用いられる。従って、入力画像として使用するタイル画像のズームレベルに応じて、AIモデルでの分析精度は変化する。本実施形態では、入力画像として使用するタイル画像のズームレベルを、固定レベル(例えば、ズームレベル18)とするが、ズームレベルを可変設定できるようにしてもよい。
【0022】
AIモデルの出力は、屋根範囲画像と、屋根確率と、劣化度とを含む。屋根範囲画像は、入力されたタイル画像において、屋根が写り込んでいる領域(以下、屋根領域)のピクセルを1、屋根領域以外(以下、非屋根領域)のピクセルを0で表した画像である。屋根確率は、屋根範囲画像が示す屋根領域に実際に屋根が写り込んでいる確率を示す。劣化度は、屋根領域に写り込んだ屋根の劣化具合を表す。劣化度は連続的な数値で表現してもよいが、本実施形態では、「健全」「進行」「著しく進行」の三段階で表す。
【0023】
なお、AIモデルは、屋根領域、劣化度が既知である多数のタイル画像を教師データとして、ニューラルネットワークを機械学習することで生成される。本実施形態では、AIモデルは、畳み込みニューラルネットワークを深層学習することで生成される。
【0024】
AI処理部123は、AIモデルの出力と、AIモデルの入力画像(すなわちタイル画像)の位置データ及びズームレベルとに基づき、屋根面積と、屋根位置と、屋根マスクとを算出する。屋根面積は、例えば屋根領域のピクセル数と入力画像のズームレベルとに基づいて算出される屋根領域の面積を所定の単位(例えば、[m])で表したデータである。屋根位置は、屋根領域の中心位置を緯度経度で表したデータである。屋根マスクは、屋根領域に外接する四角形の位置及び形状を表すデータである。屋根マスクは、例えば、屋根領域に外接する四角形の各頂点の位置を緯度経度で表した位置データであってもよい。
【0025】
以下では、タイル画像毎に生成される上述の屋根範囲画像、屋根確率、劣化度、屋根面積、屋根位置、屋根マスクを総称して、タイル分析データという。
AI処理部123は、複数のタイル画像に渡って写り込んだ同一の屋根に属するタイル分析データを統合することで屋根毎の屋根分析データを生成し、生成された屋根分析データを、屋根データの一部としてデータベース11に登録する。
【0026】
データベース11に登録される屋根データには、図2に示すように、屋根IDが付与される。屋根IDは、屋根毎に生成される屋根データを個々に識別するためのデータである。屋根データは、屋根分析データと、屋根付加データとを含む。
【0027】
屋根分析データは、上述したようにAI処理部123で生成される。屋根付加データは、屋根分析データに関連して付与されるデータである。屋根付加データは、ユーザからの要求に応じてWeb検索等をすることで取得されてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。
【0028】
屋根付加データには、「建物カテゴリ」「建物名」「郵便番号」「住所」「電話番号」が含まれてもよい。
「建物カテゴリ」は、屋根が属する建物の種類を表すデータであ。「建物カテゴリ」を表すカテゴリ名として「ビル」「工場」「倉庫」「病院」「学校」「ホテル」等が含まれてもよい。「建物カテゴリ」は、ユーザによって設定されるデータである。
【0029】
「建物名」は、屋根が属する建物の名称を表すデータである。「郵便番号」「住所」は、屋根が属する建物の所在地を表すデータである。「電話番号」は、屋根が属する建物の所有者又は管理者の連絡先を表すデータである。
【0030】
「建物名」「郵便番号」「住所」「電話番号」は、例えば、屋根分析データに含まれる屋根位置を用いたWeb検索等によって抽出されてもよいし、ユーザの手動入力によって設定されてもよい。
【0031】
[2.処理]
[2-1.サービス提供処理]
次に、ユーザが、端末装置30を介して、サービス提供サーバ10が提供する屋根修繕支援サービスにログインした場合に、サービス提供サーバ10の処理部12が実行するサービス提供処理を、図3のフローチャートを用いて説明する。サービス提供処理は、サービス提供部121としての機能を実現するための処理である。
【0032】
サービス提供処理が起動すると、S110にて、処理部12は、屋根修繕支援サービスを利用するためのGUIを提供するユーザ画面5を、ログインした端末装置30の表示装置に表示させる。
【0033】
図7に示すように、ユーザ画面5は、地図表示領域51と、検索領域52と、検索結果表示領域53と、管理画面表示ボタン54とを備える。
地図表示領域51は、地図データサーバ20から取得した地図データを表示する領域である。地図データは、上空画像が用いられる。地図表示領域51には、表示された地図に対する操作(例えば、拡大縮小等)するためのアイコン等が表示されてもよい。
【0034】
検索領域52は、検索ボックス521と、絞込用アイコン群522とを備える。
検索ボックス521は、データベース11に登録されている屋根データの検索に用いる検索条件をテキスト入力するための領域である。検索ボックス521には、アイコンI1~I3が含まれてもよい。アイコンI1は、検索開始を指示する際に操作される。アイコンI2は、入力された検索条件をクリアする際に操作される。アイコンI3は、詳細な検索条件を設定するための詳細検索画面6を表示する際に操作される。
【0035】
図8に示すように、詳細検索画面6は、例えば、検索ボックス521の下方に表示される。詳細検索画面6には、検索カテゴリ毎に検索メニューが列挙される。検索カテゴリには、「劣化具合」「精度」「種類」「面積の広さ」等が含まれる。
【0036】
検索カテゴリ「劣化具合」には検索メニューとして、「健全」「進行」「著しく進行」が列挙される。「劣化具合」の検索では、データベース11に登録された屋根データの「劣化度」が参照される。
【0037】
検索カテゴリ「精度」には、検索メニューとして、「精度が高い」「精度通常」「精度低い」が列挙される。「精度」の検索では、データベース11に登録された屋根データの「信頼度」が参照される。
【0038】
検索カテゴリ「種類」には、検索メニューとして、「ビル」「工場」「倉庫」「病院」「学校」「ホテル」が列挙される。「種類」の検索では、データベース11に登録された屋根データの「建物カテゴリ」が参照される。
【0039】
検索カテゴリ「面積の広さ」には、検索メニューの代わりに、面積を0~1000mの範囲で連続的に設定可能なスライダが表示される。「面積の広さ」の検索では、データベース11に登録された屋根データの「面積」が参照される。
【0040】
つまり、詳細検索画面6を使用した場合、検索メニューを選択するチェックボックスをチェックしたり、スライダを所望の位置に操作したりした状態で、アイコンI1を操作することで検索が実行される。
【0041】
図7に戻り、検索結果表示領域53は、検索結果の一覧が表示される領域である。検索実行前、及びアイコンI2が操作され検索条件がクリアされた後など、検索結果が存在しない場合、検索結果表示領域53は、地図表示領域51の一部として地図の表示に使用されてもよい。また、ユーザ画面5を立ち上げた直後の初期画面における検索結果表示領域53には、データベース11に登録されている屋根データの一覧が表示されてもよい。
【0042】
検索結果表示領域53に表示される検索結果一覧7は、図9に示すように、検索によって抽出された屋根毎に、屋根データ(すなわち、屋根分析データ及び屋根付加データ)と、「カテゴリ選択」ボタンとが表示される。但し、データベース11に屋根付加データが未登録である場合は、屋根付加データの代わりに「詳細を取得」ボタンが表示される。また、検索結果一覧7には、抽出された屋根の屋根データを拡大表示するためのアイコンや、抽出された屋根が表示されている地図を、地図表示領域51に表示させるためのアイコンが含まれていてもよい。地図表示領域51には、抽出された屋根の位置を強調表示する屋根マスク画像Mが、地図に重畳して表示されてもよい。
【0043】
図7に戻り、絞込用アイコン群522は、検索結果を、建物カテゴリで絞り込む時に操作される複数のアイコンであり、地図表示領域51の左上部に、地図に重畳して表示される。絞込用アイコン群522に属する各アイコンには、建物カテゴリを示す「ビル」「工場」「倉庫」「病院」「学校」「ホテル」のいずれかの文字が示されている。
【0044】
管理画面表示ボタン54は、管理画面8を表示するためのアイコンであり、地図表示領域51の右上隅に地図データに重畳して表示される。管理画面8については後述する。
続くS120では、処理部12は、管理画面表示ボタン54が操作されたか否かを判定し、操作されていれば処理をS130に移行し、操作されていなければ処理をS160に移行する。
【0045】
S130では、処理部12は、管理画面8を表示する。管理画面8は、図10に示すように、管理画面表示ボタン54の近くにて、地図表示領域51に表示された地図に重畳して表示される。管理画面8は、「ファイルのインポート・エクスポート」「エリアを指定する」「パスワード変更」「ログアウト」等のメニューを有する。
【0046】
「ファイルのインポート・エクスポート」は、指定されたファイル形式(たとえば、CSV形式)で記載された屋根データをインポートしてデータベース11に登録する場合、及び出力対象を、指定されたファイル形式で出力する場合等に操作される。なお、出力対象とは、検索結果としてデータベース11から抽出された屋根データのことである。
【0047】
「エリアを指定する」は、新たな屋根データを生成するために屋根を探索するエリアを指定する際に操作される。
「パスワードの変更」は、ログイン時に使用するパスワードを変更する際に操作される。
【0048】
「ログアウト」は、サービス提供処理を終了させる際に操作される。
続くS140では、処理部12は、管理画面8を終了させる操作が行われたか否かを判定し、操作が行われていなければ、同ステップを繰り返すことで待機し、操作が行われていれば、処理をS150に移行する。管理画面8を終了させる操作とは、管理画面8において「ログアウト」を選択する操作、管理画面8以外の領域をクリックする操作等が含まれる。
【0049】
S150では、処理部12は、地図表示領域51に表示されている管理画面8を消去する。
続くS160では、処理部12は、管理画面8を終了させる操作が、ログアウトの要求であるか否かを判定し、ログアウトの要求であれば、ログアウトに必要な処理を実行して、サービス提供処理を終了し、ログアウトの要求でなければ、処理をS120に戻す。
【0050】
S170では、処理部12は、検索領域52を使用した検索条件の入力が行われたか否かを判定し、検索条件の入力が行われていれば、処理をS180に移行し、検索条件の入力が行われていなければ、処理をS120に移行する。検索領域52を使用した検索条件の入力は、検索ボックス521を利用した検索ワードの入力でもよいし、詳細検索画面6を利用した検索メニューの選択でもよいし、絞込用アイコン群522を操作することによる検索結果の絞り込み要求でもよい。
【0051】
S180では、処理部12は、入力された検索条件に従って、データベース11を検索して、検索条件を満たす屋根データを抽出する。
続くS190では、処理部12は、検索結果をユーザ画面5に反映させて、処理をS120に戻す。具体的には、検索結果表示領域53に検索結果一覧7を表示する。更に、検索によって抽出された屋根が写り込んでいる上空画像を用いた地図を地図表示領域51に表示し、上空画像において検索結果に含まれる屋根が位置する部分を、強調表示する。この強調表示には、屋根データに含まれる屋根マスクの情報が用いられる。
【0052】
[2-2.データ生成処理]
管理画面8に表示されたメニューのうち、「エリアを指定する」が選択されたときに、処理部12が実行するデータ生成処理を、図4のフローチャートを用いて説明する。データ生成処理は、データ生成部122としての機能を実現するための処理である。
【0053】
データ生成処理が開始されると、S210では、処理部12は、エリア指定画面8aをユーザ画面5に重畳して表示する。
エリア指定画面8aは、図10に示すように、地図表示領域81と、地図の検索に用いる検索ボックス82と、「ピンをクリア」ボタン83と、「閉じる」ボタン84と、「実行」ボタン85とを備える。地図表示領域81には、地図データサーバ20から提供される地図が表示される。地図は、線図でもよいし上空画像でもよい。地図表示領域81に表示される地図の範囲は、地図データサーバ20が提供する機能を利用して、任意に設定することができる。
【0054】
地図表示領域81に表示された地図上の任意の地点がクリックされると、図11に示すようにピンPが表示される。地図上の任意の2地点をクリックすると、その2点を対角線上の頂点とする長方形の領域(以下、対象領域)TAが表示される。
【0055】
「ピンをクリア」ボタン83は、地図上に表示されたピンP及び対象領域TAを消去する際に操作されるアイコンである。
「閉じる」ボタン84は、エリア指定画面8aを閉じる際に操作されるアイコンである。
【0056】
「実行」ボタン85は、地図上に対象領域が表示されている状態で有効となり、対象領域の上空画像から屋根を抽出して屋根データを生成する処理を開始する際に操作されるアイコンである。
【0057】
S220では、処理部12は、エリア指定画面8aにおいて「閉じる」ボタン84が操作されたか否かを判定し、操作されていれば、エリア指定画面8aを閉じて、データ生成処理を終了し、操作されていなければ、処理をS230に移行する。
【0058】
S230では、処理部12は、対象領域TAが指定されているか否かを判定し、対象領域が指定されていれば、処理をS240に移行し、対象領域が指定されていなければ、処理をS260に移行する。
【0059】
S240では、処理部12は、対象領域TAの位置を特定する領域特定データを取得する。領域特定データは、例えば、対象領域TAの指定に用いた2つのピンPが示す地図上の2地点を、緯度経度で示した位置データを用いる。
【0060】
続くS250では、処理部12は、S240で取得した領域特定データを保存すると共に、エリア指定画面8aの上部に、領域特定データが示す2地点の位置データを表示して、処理をS220に戻す。
【0061】
S260では、処理部12は、エリア指定画面8aにおいて「実行」ボタン85が操作されたか否かを判定し、操作されていれば処理をS270に移行し、操作されていなければ、処理をS220に戻す。
【0062】
S270では、処理部12は、対象領域TAが指定済みであるか否かを判定し、指定済みであれば処理をS280に移行し、指定済みでなければ処理をS220に戻す。
S280では、処理部12は、AI処理部123を利用して屋根分析データを生成する分析処理を実行して、処理をS220に戻す。なお、分析処理の実行中は、エリア指定画面8aにおける「実行」ボタン85の表示が、「実行中」と表示されてもよい。
【0063】
つまり、端末装置30を操作するユーザは、エリア指定画面8a上で、地図上の任意の領域を対象領域TAとして指定することができる。ユーザは、「ピンをクリア」ボタン83を操作することで、既に指定されているピンP及び対象領域TAを取り消すことができ、その結果、対象領域TAの再指定を行うことができる。ユーザは、対象領域TAが指定された状態で「実行」ボタン85を操作することで、指定した対象領域TAについての分析処理を、サービス提供サーバ10に実行させることができる。また、ユーザは、「閉じる」ボタン84を操作することで、分析処理を実行することなく、エリア指定画面8aを閉じてユーザ画面5に戻ることができる。
【0064】
[2-3.分析処理]
処理部12が先のS280で実行する分析処理を、図5のフローチャートを用いて説明する。分析処理は、AI処理部123としての機能を実現するための処理である。
【0065】
分析処理が開始されると、S310にて、処理部12は、先のS250で保存した対象領域TAの位置データに基づき、対象領域TAを含んだ所定ズームレベルのタイル画像を、地図データサーバ20から取得する。ここで取得するタイル画像は、上空画像であり、ズームレベルは、例えば18である。
【0066】
続くS320では、処理部12は、S310で取得した1つ以上のタイル画像のうち、後述するS330~S350の処理が施されていない1つのタイル画像を選択する。以下、選択されたタイル画像を選択タイル画像という。
【0067】
続くS330では、処理部12は、選択タイル画像を、AIモデルに入力することによって、AIモデルの出力である、屋根範囲、屋根確率、劣化度を取得する。
続くS340では、処理部12は、AIモデルの出力と、選択タイル画像に対応づけられた位置データ及びズームレベル等とに基づいて、屋根面積、屋根位置、屋根マスクを生成する。S330及びS340の処理により、選択タイル画像のタイル分析データが生成される。
【0068】
続くS350では、処理部12は、S310にて取得されたすべてのタイル画像について、S330~S340の処理を実施済みであるか否か、すなわち、すべてのタイル画像にAIモデルを適用したか否かを判定する。処理部12は、S350にて肯定判定された場合、処理をS360に移行し、S350にて否定判定された場合、処理をS320に戻す。
【0069】
S360では、処理部12は、複数のタイル画像に渡って検出される同一の屋根を表す屋根領域について、タイル分析データを統合することで、屋根毎の屋根分析データを生成する。
【0070】
続くS370では、処理部12は、S360で生成された屋根毎に生成された屋根分析データのそれぞれに屋根IDを付与し、所定形式のファイル(例えば、CSVファイル)にしてデータベース11に登録し、分析処理を終了する。
【0071】
[2-4.個別処理]
先のS180でのデータベース検索の結果、ユーザ画面5上に検索結果一覧7が表示されているときに、繰り返し実行される個別処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。個別処理は、サービス提供部121としての機能の一部を実現する処理である。
【0072】
個別処理が開始されると、S410では、処理部12は、カテゴリ設定画面7aにて建物カテゴリが選択されたか否かを判定し、選択されていれば処理をS420に移行し、選択されていなければ処理をS430に移行する。
【0073】
図12に示すように、カテゴリ設定画面7aは、検索結果一覧7における「カテゴリ選択」ボタン等が操作されると、検索結果一覧7に重畳して表示される。「カテゴリ選択」ボタンは、検索結果一覧7に表示されるそれぞれが1つの屋根データに対応した各項目に表示される。以下では、操作されたボタンが属する項目に対応づけられる屋根データを選択屋根データという。
【0074】
カテゴリ設定画面7aには、「ビル」「工場」「倉庫」「病院」「学校」「ホテル」といった建物カテゴリの名称がチェックボックスと共に表示される。また、カテゴリ設定画面7aには、「変更」ボタン及び「閉じる」ボタンが表示される。そして、処理部12は、カテゴリ設定画面7aにおいて、いずれかのチェックボックスにチェックが入れられた状態で、「変更」ボタンが操作された場合に、建物カテゴリが選択されたと判定する。また、処理部12は、カテゴリ設定画面7aにおいて、「閉じる」ボタンが操作された場合に、建物カテゴリが選択されなかったと判定する。
【0075】
図6に戻り、S420では、処理部12は、S410にて選択された建物カテゴリを、選択屋根データに属する屋根付加データの一項目としてデータベース11に記憶して、処理を一旦終了する。なお、選択屋根データについて、すでに建物カテゴリがデータベース11に記憶されている場合は、新たに選択された建物カテゴリを上書きする。また、建物カテゴリが変更されたことにより、対象屋根データが検索条件を充足しなくなった場合、更新内容をユーザ画面5に反映させてもよい。具体的には、結果一覧画面から対象屋根データの項目を削除したり、対象屋根データに対応する地図上のマスク表示を消したりしてもよい。
【0076】
S430では、処理部12は、検索結果一覧7の「詳細を取得」ボタンが操作されたか否かを判定し、操作されていれば処理をS440に移行し、操作されていなければ、処理をS460に移行する。操作された「詳細を取得」ボタンに対応づけられる屋根データを、要求屋根データとする。
【0077】
S440では、処理部12は、要求屋根データについて、不足している屋根付加データを、通信ネットワーク100に接続された地図データサーバ20や他の情報提供サーバから取得する。具体的には、要求屋根データの屋根分析データに含まれる屋根位置を用いて、Web検索することで、屋根位置が示す地点に存在する建物について、建物関連データを取得する。
【0078】
続くS450では、処理部12は、取得した建物関連データを、要求屋根データの屋根付加データとして、データベース11に登録して、個別処理を一旦終了する。このとき、検索結果一覧7において、要求屋根データの項目に表示されていた「詳細を取得」ボタンの代わりに、データベース11に登録された屋根付加データを表示させることで、データベース11の更新内容を、検索結果一覧7に反映させてもよい。
【0079】
S460では、処理部12は、ユーザ画面5の地図表示領域51において、屋根マスクの画像Mが表示されている部分に、ユーザによって操作されるカーソルが位置しているか否かを判定する。処理部12は、屋根マスクの画像Mが表示されている部分にカーソルが位置すると判定した場合、処理をS470に移行し、カーソルが位置しないと判定した場合、処理を一旦終了する。
【0080】
S470では、処理部12は、カーソルによって指定された屋根マスクの画像Mに対応する屋根データを指定屋根データとして、図13に示すように、指定屋根データの内容が示されたポップアップ画面5aを、カーソル付近に表示して、処理を一旦終了する。
【0081】
つまり、検索後のユーザ画面5では、カテゴリの設定又は変更、屋根付加データの取得、地図表示領域51に表示された地図上での屋根データの表示を行うことができるように構成されている。
【0082】
[3.用語の対応]
本実施形態のニューラルネットが本開示における判別器に相当する。本実施形態のAI処理部123としての機能を実現する分析処理のS310~S360が本開示における分析部に相当し、同じく分析処理のS370が本開示におけるデータベース生成部に相当する。本実施形態のサービス提供部121としての機能の一部を実現するサービス提供処理のS170~S190が本開示におけるデータ提供部に相当する。本実施形態のサービス提供部121としての機能の一部を実現する個別処理のS430~S450が本開示における付加データ取得部に相当する。本実施形態のデータベース11に屋根分析データの一部として登録される屋根面積、屋根位置が、本開示における二次分析データに相当する。本実施形態におけるタイル画像に含まれ、他のタイル画像と共に同一の屋根を形成する屋根領域が、本開示における部分屋根領域に相当する。
【0083】
[4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(4a)屋根修繕支援システム1では、通信ネットワーク100を介して地図データサーバ20から取得される上空画像から、AIモデルを用いて、不特定多数の屋根について屋根分析データを生成し、屋根分析データを含む屋根データをデータベース11に蓄積する。従って、屋根修繕の提案に必要な種々の情報を含む屋根データを、簡単かつ効率よく収集することができる。
【0084】
(4b)屋根修繕支援システム1では、データベース11に蓄積された屋根データを、地理的な条件や、屋根の種類、劣化具合等を指定して検索することができる。したがって、例えば、屋根修繕提案業務の営業対象となる地域毎に、潜在顧客のリストの生成、及び潜在顧客に対する屋根修繕の提案に必要な情報を、効率よく収集することができる。
【0085】
(4c)屋根修繕支援システム1を用いることで、指定された建物の屋根の面積や劣化具合などの屋根の状況を簡単に把握することができる。
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0086】
(5a)上記実施形態では、データベース11と処理部12とがサービス提供サーバ10に一体に設けられているが、データベース11と処理部12とは、別体に設けられていてもよい。
【0087】
(5b)上記実施形態では、処理部12が、屋根データを生成してデータベース11に蓄積する機能と、データベース11に蓄積された屋根データを検索してユーザに提供する機能とをいずれも有しているが、いずれか一方の機能だけを有していてもよい。
【0088】
(5c)上記実施形態では、屋根付加データの一つである屋根のカテゴリを、カテゴリ設定画面7aを用いて入力できるようにされているが、屋根カテゴリと同様に、屋根の材質を入力できるようにしてもよい。また、屋根カテゴリ、及び屋根の材質のデータの入力データは、画像と対応づけて記憶しておき、AIの学習データとして用いて、AIによってカテゴリや材質を判定できるように構成してもよい。
【0089】
(5d)上記実施形態では、屋根分析データの屋根位置が緯度経度で表されているが、緯度経度に加えて高さを示す情報が含まれていてもよい。
(5e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0090】
[6.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
上空から地上を撮影した上空画像を取得し、機械学習された判別器を用いて、前記上空画像から、屋根が撮影されている屋根領域の範囲を表す屋根範囲画像、前記屋根領域が実際に屋根である確率を表す屋根確率、及び前記屋根領域の劣化具合を表す劣化度を含む屋根分析データを生成するように構成された分析部(123:S310~S370)と、
前記分析部によって生成された前記屋根領域のそれぞれについて、前記屋根分析データを含む屋根データを、データベース(11)に蓄積するように構成されたデータベース生成部(123:S380)と、
屋根の検索に用いる検索条件の入力を受け付けて、前記検索条件を満たす前記屋根データを前記データベースから読み出して出力するように構成されたデータ提供部(121:S170~S190)と、
を備える屋根修繕支援システム。
【0091】
[項目2]
項目1に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記屋根分析データには、前記判別器によって抽出される情報、前記上空画像の縮尺率、及び前記上空画像中の各地点の位置データを用いて算出される二次分析データを含み、
前記二次分析データには、前記屋根領域の面積を表す屋根面積、及び前記屋根領域の位置を表す屋根位置のうち少なくとも1つが含まれる、
屋根修繕支援システム。
【0092】
[項目3]
項目1または項目2に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記上空画像は、複数のタイル画像で構成され、
前記分析部は、前記タイル画像のそれぞれについて、前記判別器を適用し、前記複数のタイル画像に渡って同一の屋根に属する領域である部分屋根領域が抽出された場合、前記部分屋根領域を統合することで前記屋根領域を生成するように構成された
屋根修繕支援システム。
【0093】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記屋根領域が属する建物の建物名、前記建物の住所、前記建物の所有者又は管理者の連絡先のうち少なくとも一つを含む付加データを取得するように構成された付加データ取得部(121:S430~S450)を更に備え、
前記データベース生成部は、前記付加データを前記屋根データの一部として前記データベースに記憶させるように構成された、
屋根修繕支援システム。
【0094】
[項目5]
項目4に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記付加データは、前記建物の種類を表す建物カテゴリを更に含み
前記データ提供部は、前記建物カテゴリを指定する入力を受け付け、入力された前記建物カテゴリに従って、出力対象となる前記屋根データを絞り込むように構成された、
屋根修繕支援システム。
【0095】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記データ提供部は、出力対象となる前記屋根データをファイル形式で出力するように構成された、
屋根修繕支援システム。
【0096】
[項目7]
項目1から項目6までのいずれか1項に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記データ提供部は、出力対象となる前記屋根データを、表示装置の画面に表示するように構成された、
屋根修繕支援システム。
【0097】
[項目8]
項目7に記載の屋根修繕支援システムであって、
前記データ提供部は、前記表示装置の画面上で前記上空画像を表示し、該上空画像にて前記出力対象となる前記屋根データに対応する建物の屋根を強調表示するマスク画像を、前記上空画像に重畳表示し、前記表示装置の画面上で、前記マスク画像が指定された場合、指定された前記マスク画像に対応する前記屋根データを、前記表示装置の画面上にポップアップ表示するように構成された、
屋根修繕支援システム。
【符号の説明】
【0098】
1…屋根修繕支援システム、10…サービス提供サーバ、11…データベース、12…処理部、13…通信部、20…地図データサーバ、30…端末装置、100…通信ネットワーク、121…サービス提供部、122…データ生成部、123…AI処理部。
【要約】
【課題】不特定多数の屋根の状況を簡易に把握する技術を提供する。
【解決手段】AI処理部123は、上空から地上を撮影した上空画像を取得し、機械学習された判別器を用いて、上空画像から屋根分析データを生成する。屋根分析データは、屋根が撮影されている屋根領域の範囲を表す屋根範囲画像、屋根領域が実際に屋根である確率を表す屋根確率、及び屋根領域の劣化具合を表す劣化度を含む。AI処理部123は、屋根領域のそれぞれについて、屋根分析データを含む屋根データを、データベース11に蓄積する。サービス提供部121は、屋根の検索に用いる検索条件の入力を受け付けて、検索条件を満たす屋根データをデータベース11から読み出して出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13