(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 27/10 20060101AFI20230829BHJP
D05B 27/06 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
D05B27/10
D05B27/06
(21)【出願番号】P 2017143148
(22)【出願日】2017-07-25
【審査請求日】2020-06-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】杉山 俊貴
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】八木 誠
【審判官】藤原 直欣
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-163141(JP,U)
【文献】特開平8-187380(JP,A)
【文献】特開2010-246668(JP,A)
【文献】特開2017-29337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側の第一の被縫製物と下側の第二の被縫製物とを前方向に送る主送り機構と、
前記第一の被縫製物を左右方向に沿って移動させる上側の横送り機構と、
前記第二の被縫製物を左右方向に沿って移動させる下側の横送り機構と、
針落ち位置よりも後方において前記第一の被縫製物の側端部を当接させる第一の感圧センサーと、
針落ち位置よりも後方において前記第二の被縫製物の側端部を当接させる第二の感圧センサーと、
前記第一の被縫製物の側端部と前記第二の被縫製物の側端部の位置を調節する位置調節制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一の感圧センサー及び前記第二の感圧センサーの検出圧力に基づいて前記上側の横送り機構による前記第一の被縫製物の位置調節制御と前記下側の横送り機構による前記第二の被縫製物の位置調節制御を行い、
針落ち位置よりも後方において前記第一の被縫製物を撮影する第一のカメラと、
針落ち位置よりも後方において前記第二の被縫製物を撮影する第二のカメラと、
前記第一の被縫製物を針落ち位置の周囲で旋回移動させる上側の旋回送り機構と、
前記第二の被縫製物を針落ち位置の周囲で旋回移動させる下側の旋回送り機構とを備え、
前記制御装置は、前記第一のカメラの撮影画像から求まる前記第一の被縫製物の側端部の曲がり具合と前記第二のカメラの撮影画像から求まる前記第二の被縫製物の側端部の曲がり具合とに応じて、前記第一の被縫製物の位置調節制御を前記上側の横送り機構と前記上側の旋回送り機構のいずれが実行するかを選択すると共に、前記第二の被縫製物の位置調節制御を前記下側の横送り機構と前記下側の旋回送り機構のいずれが実行するかを選択し、
前記制御装置は、
前記第一の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記選択された前記上側の横送り機構又は前記上側の旋回送り機構による前記第一の被縫製物の位置調節制御と、
前記第二の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記選択された前記下側の横送り機構又は前記下側の旋回送り機構による前記第二の被縫製物の位置調節制御とを行い、
前記上側の横送り機構は、前記第一の被縫製物に接して回転駆動により左右方向に移動させるローラーを有すると共に、当該ローラーに前記第一の被縫製物を前記左右方向に移動させる場合の圧力より高い圧力を加え
て前記第一の被縫製物を押さえることで前記第一の被縫製物の前方向への送り速度を遅くする機能を有し、
前記下側の横送り機構は、前記第二の被縫製物に接して回転駆動により左右方向に移動させるローラーを有すると共に、当該ローラーに前記第二の被縫製物を前記左右方向に移動させる場合の圧力より高い圧力を加え
て前記第二の被縫製物を押さえることで前記第二の被縫製物の前方向への送り速度を遅くする機能を有し、
前記制御装置は、前記第一のカメラの撮影画像から求まる前記第一の被縫製物の側端部の位置合わせ表示の位置と前記第二のカメラの撮影画像から求まる前記第二の被縫製物の側端部の位置合わせ表示の位置とに基づいて、前記上側の横送り機構又は前記下側の横送り機構による前方向への送り速度を変える動作制御を行うことを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第一の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記第一の被縫製物の終端位置検出および終端処理動作を行うことと、
前記第二の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記第二の被縫製物の終端位置検出および終端処理動作を行うことを特徴とする
請求項1に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上布と下布の縫い合わせを行うミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、上布と下布のそれぞれの縫い代が一致するように縫い合わせる縫製を行うために、従来のミシン100は、縫い目の形成方向に沿って上布と下布とを送る送り歯(図示略)と、縫い針101の上流側において上布と下布のそれぞれを布送り方向に直交する方向に個別に送る上下の横送り機構(図示略)と、各横送り機構と送り歯との間で、上布と下布のそれぞれを縫い代側の側端部位置を検出する布端検出装置110、120とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
図13は上記ミシン100の上布CUに対する布端検出装置110の拡大正面図である。図示のように、この布端検出装置110は、送り歯による搬送方向に直交する方向(紙面左右方向)に沿ったスリット状の照射光を照射する光源111と、その照射光を受光するラインセンサー112とを備え、これら光源111とラインセンサー112の間を上布CUが通過し、当該上布CUに照射光が遮蔽されることにより光強度が低くなる位置をラインセンサー112の出力から特定し、これに基づいて上布CUの側端部の位置検出を行っている。なお、下布の布端検出装置120もこれと同様の構成となっている。
そして、上記各布端検出装置110,120で検出された上布と下布のそれぞれの側端部の位置に基づいて上布と下布を横送り機構で適正な位置に調整することで、上布と下布とで縫い代が同じ幅となるように縫製を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のミシンは、光学的なラインセンサーを用いて上布と下布の側端部の位置検出を行っているので、埃や汚れ、異物の影響を受けやすく、上布と下布の側端部を適正な位置に調整することができない場合があった。
【0005】
本発明は、上布と下布の縫い合わせを良好に行うことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、ミシンにおいて、
上側の第一の被縫製物と下側の第二の被縫製物とを前方向に送る主送り機構と、
前記第一の被縫製物を左右方向に沿って移動させる上側の横送り機構と、
前記第二の被縫製物を左右方向に沿って移動させる下側の横送り機構と、
針落ち位置よりも後方において前記第一の被縫製物の側端部を当接させる第一の感圧センサーと、
針落ち位置よりも後方において前記第二の被縫製物の側端部を当接させる第二の感圧センサーと、
前記第一の被縫製物の側端部と前記第二の被縫製物の側端部の位置を調節する位置調節制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一の感圧センサー及び前記第二の感圧センサーの検出圧力に基づいて前記上側の横送り機構による前記第一の被縫製物の位置調節制御と前記下側の横送り機構による前記第二の被縫製物の位置調節制御を行うことを特徴とする。
【0007】
さらに、請求項1記載のミシンは、
針落ち位置よりも後方において前記第一の被縫製物を撮影する第一のカメラと、
針落ち位置よりも後方において前記第二の被縫製物を撮影する第二のカメラと、
前記第一の被縫製物を針落ち位置の周囲で旋回移動させる上側の旋回送り機構と、
前記第二の被縫製物を針落ち位置の周囲で旋回移動させる下側の旋回送り機構とを備え、
前記制御装置は、前記第一のカメラの撮影画像から求まる前記第一の被縫製物の側端部の曲がり具合と前記第二のカメラの撮影画像から求まる前記第二の被縫製物の側端部の曲がり具合とに応じて、前記第一の被縫製物の位置調節制御を前記上側の横送り機構と前記上側の旋回送り機構のいずれが実行するかを選択すると共に、前記第二の被縫製物の位置調節制御を前記下側の横送り機構と前記下側の旋回送り機構のいずれが実行するかを選択することを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項1記載のミシンは、
前記制御装置は、
前記第一の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記選択された前記上側の横送り機構又は前記上側の旋回送り機構による前記第一の被縫製物の位置調節制御と、
前記第二の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記選択された前記下側の横送り機構又は前記下側の旋回送り機構による前記第二の被縫製物の位置調節制御とを行うことを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項1記載のミシンは、
前記上側の横送り機構は、前記第一の被縫製物に接して回転駆動により左右方向に移動させるローラーを有すると共に、当該ローラーに前記第一の被縫製物を前記左右方向に移動させる場合の圧力より高い圧力を加えて前記第一の被縫製物を押さえることで前記第一の被縫製物の前方向への送り速度を遅くする機能を有し、
前記下側の横送り機構は、前記第二の被縫製物に接して回転駆動により左右方向に移動させるローラーを有すると共に、当該ローラーに前記第二の被縫製物を前記左右方向に移動させる場合の圧力より高い圧力を加えて前記第二の被縫製物を押さえることで前記第二の被縫製物の前方向への送り速度を遅くする機能を有し、
前記制御装置は、前記第一のカメラの撮影画像から求まる前記第一の被縫製物の側端部の位置合わせ表示の位置と前記第二のカメラの撮影画像から求まる前記第二の被縫製物の側端部の位置合わせ表示の位置とに基づいて、前記上側の横送り機構又は前記下側の横送り機構による前方向への送り速度を変える動作制御を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、
前記制御装置は、
前記第一の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記第一の被縫製物の終端位置検出および終端処理動作を行うことと、
前記第二の感圧センサーの検出圧力に基づいて、前記第二の被縫製物の終端位置検出および終端処理動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、上布と下布の縫い合わせを良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態である上下送りミシンの主要部を示す斜視図である。
【
図2】上下送りミシンの主要部の正面方向から見た構成を簡略的に示した説明図である。
【
図3】上下送りミシンの制御系を示すブロック図である。
【
図4】
図4(A)は上布の平面図、
図4(B)は下布の底面図である。
【
図5】上側の横送り機構、下側の横送り機構、上側の旋回送り機構及び下側の旋回送り機構について共通する構成を図示した断面図である。
【
図6】針落ち位置の周辺の構成の配置を示す平面図である。
【
図7】ガイド及びその内側に配置された第一の感圧センサーと第二の感圧センサーを後方から見た正面図である。
【
図8】上布のノッチと下布のノッチの位置関係を示す説明図である。
【
図10】上下送りミシンの他の例の制御系を示すブロック図である。
【
図11】
図10のミシンの縫製制御を示すフローチャートである。
【
図13】従来のミシンの上布に対する布端検出装置の拡大正面図である。
【
図14】第一又は第二の光電センサーの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[発明の実施形態]
本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態であるミシンとしての上下送りミシン10の主要部を示す斜視図、
図2は主要部の正面方向から見た構成を簡略的に示した説明図、
図3は上下送りミシン10の制御系を示すブロック図である。
なお、以下の説明では、水平な一方向をY軸方向、水平であってY軸方向に直交する方向をX軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向とし、X軸方向の一方を「前」、他方を「後」とし、Y軸方向の一方を「左」、他方を「右」とし、Z軸方向の一方を「上」、他方を「下」とする。
また、上下送りミシン10を水平面上に置いた状態で、後述する上布U(第一の被縫製物)及び下布D(第二の被縫製物)の主送り機構20による送り方向はX軸方向に平行であり、送りの進行方向を「前」とする。
また、後述する横送り機構30,40は、上布U及び下布DをY軸方向の双方向、即ち、左方と右方のいずれにも移動可能である。
【0016】
この上下送りミシン10は、載置板13の上下に配置された上布Uと下布Dとをそれぞれ前方に送りながら、上布Uの右側の側端部と下布Dの右側の側端部とがズレを生じないように一致し且つ縫い代が予め定められた目標値となるように縫い合わせを行うものである。
【0017】
[被縫製物について]
図4(A)は上布Uの平面図、
図4(B)は下布Dの平面図である。上布Uと下布Dはいずれも長尺であって、上布Uと下布Dはその長手方向に沿った片側の側端部同士が縫い合わされる。なお、上布Uは
図4(A)に表れている面を上に向けた状態で縫製が行われ、下布Dは
図4(B)に表れている面を下に向けた状態で縫製が行われる。
【0018】
また、上布Uと下布Dは、いずれも、縫い合わせが行われる側端部に沿って位置合わせ表示としてのノッチNが複数形成されている。上布Uの複数のノッチNと下布Dの複数のノッチNは、端から順番にノッチNの位置が一致するように縫い合わせを行わせるための指標である。
なお、上布Uと下布DのそれぞれのノッチNは均一間隔で形成されているわけではなく、また、上布Uと下布Dとで互いに対応するノッチNの形成間隔も不一致となる場合もある。例えば、上布UのあるノッチNから次のノッチNまでの間隔が、下布Dの対応するノッチNから次のノッチNまでの間隔よりも広い場合がある。そのような場合には、上下送りミシン10は、次のノッチNまでの縫製の際に、上布Uの送りが下布Dの送りよりも大きくなるよう上布U及び下布Dを搬送しながら縫いを行う、いわゆるいせ込み縫いを実行する。以下、上記いせ込み縫いを行う制御を「いせ込み制御」という。
【0019】
なお、上布Uと下布Dに形成する位置合わせ表示は、ノッチNのような切り欠きに限られず、凸形状にしたり、被縫製物の上に線やその他のマークを入れるなど視覚的に認識可能なあらゆる表示を用いることが可能である。
【0020】
[ミシンの概略構成]
図1~
図3に示すように、上下送りミシン10は、縫い針を保持する針棒を上下動させる図示しない針上下動機構と、縫製時に上布Uと下布DとをX軸(正)方向に送る主送り機構20と、針落ち位置に対して後方に位置し、上布Uを左右方向に移動させる上側の横送り機構30と、針落ち位置に対して後方に位置し、下布Dを左右方向に移動させる下側の横送り機構40と、上布Uを針落ち位置の周囲で旋回移動させる上側の旋回送り機構50と、下布Dを針落ち位置の周囲で旋回移動させる下側の旋回送り機構60と、上側の旋回送り機構50と下側の旋回送り機構60を支持する土台12と、土台12により支持された下布Dを載置する載置板13と、横送り動作や旋回動作の際に上布Uと下布Dとが互いに干渉しないようにこれらを仕切る仕切り板11と、針落ち位置よりも後方において上布Uを撮影する第一のカメラ71と、針落ち位置よりも後方において下布Dを撮影する第二のカメラ72と、針落ち位置よりも後方において上布Uの側端部を当接させる第一の感圧センサー74と、針落ち位置よりも後方において第二の被縫製物の側端部を当接させる第二の感圧センサー75と、載置板13の下側で縫い針から上糸を捕捉して下糸に絡める図示しない釜機構と、糸切り装置14と、上記各構成の制御を行う制御装置90とを備えている。
なお、針上下動機構と釜機構と糸切り装置14は、従来周知のものと同一であり、その詳細な説明は省略する。また、上下送りミシン10は、天秤や糸調子等、一般にミシンが有する構成を備えているが、これらも従来周知のものと同じなので説明は省略する。
【0021】
[土台]
土台12は、ミシンベッド部の上面において、水平に設けられた平板であり、前述したように、下側の横送り機構40と下側の旋回送り機構60とを支持している。
【0022】
載置板13は、土台12の上方に水平に設けられた平板であり、縫製時には下布Dが載置される。
後述する下側の横送り機構40と下側の旋回送り機構60は、載置板13の下側に配置されており、載置板13に載置された下布Dに対して、当該載置板13に形成された図示しない開口部又は切り欠きを介して下布Dの送りを行う。
また、下布Dを下方から撮影する第二のカメラ72も、載置板13に形成された図示しない開口部又は切り欠きを介して下布Dの撮影を行う。なお、撮影の妨げとならぬように、載置板13を透明板で構成してもよい。
【0023】
仕切り板11は、載置板13の上方に水平に設けられた平板であり、縫製時には上布Uが載置される。
後述する上側の横送り機構30と上側の旋回送り機構50は、仕切り板11の上方に配置されており、仕切り板11に載置された上布Uに対して上方から接して送りを行う。
また、第一のカメラ71は、仕切り板11に載置された上布Uに対して上方から撮影を行う。
【0024】
[主送り機構]
図2に示すように、主送り機構20は、載置板13の上で上下動して上布Uと下布Dとを押さえる布押さえ23と、載置板13の下側に設けられY軸方向に沿った長円運動を行って載置板13の開口部から出没する送り歯21と、載置板13の上側に設けられY軸方向に沿った長円運動を行う送り足22と、布押さえ23、送り歯21及び送り足22に上下動又は長円運動を付与する不図示の動作伝達機構とを備えている。
送り歯21は長円運動における上側区間が前向きとなるように周回運動を行い、送り足22は長円運動における下側区間が前向きとなるように周回運動を行う。そして、これにより、仕切り板11を通過して載置板13上で重なった上布Uと下布Dとを送り歯21と送り足22とで挟み込んで一定の送りピッチで間欠的に前方への送り動作を行う。
【0025】
また、布押さえ23は、送り歯21及び送り足22の周回動作に同期して上下動を行い、送り歯21が下方に、送り足22が上方に退避するタイミングで下降して上布U及び下布Dを押さえ、送り歯21と送り足22とが噛み合って布送りを行うタイミングで上昇する。
上記送り歯21、送り足22及び布押さえ23は、いずれも針上下動機構及び釜機構の駆動源となるミシンモーター15(
図3参照)から動力を得ている。
即ち、送り歯21は、ミシンモーター15の回転動作を上下の往復動作に変換する伝達機構と前後の往復動作に変換する伝達機構とにより上下と前後の往復動作を同期的に付与することで長円運動を行わせることを可能としている。
送り足22も同様であり、ミシンモーター15の回転動作を前後動に変換して送り足22を支持するロッドに付与することで送り足22を前後に往動させると共に、ミシンモーター15の回転動作を上下動に変換して送り足22を支持するロッドに付与することで上下動させる。これにより、送り足22に長円運動を行わせることを可能としている。
また、布押さえ23を支持するロッドに対してはミシンモーターの回転動作を上下動に変換して伝達し、当該上下動を実現する。
【0026】
また、ミシンモーター15は、図示しない主軸を通じて針上下動機構と主送り機構20とに動力を付与しており、主軸の一回転で針上下動機構は一針分の運針を行い、主送り機構20は、1ピッチ分の送り動作を行う。
また、針上下動機構は、周知の針振り機構を含む構成であり、縫い針の上下動と同期して縫い針を保持する針棒をY軸方向に沿って揺動させる。そして、この針振り機構は、縫い針の下端部が載置板13の上面より下となる区間において針棒を前方に向かって揺動させる。
従って、針棒が上死点の時の主軸角度を0°とすると、主軸角度90~270°の範囲では縫い針は上布U及び下布Dに刺さっている状態で前方に揺動する。そして、上述した送り歯21及び送り足22は、主軸角度90~270°の角度範囲で前方に移動して送り動作を行う。
このため、送り足22には、縫い針を挿通する針穴が形成されており、縫い針が上布U及び下布Dに突き刺さった状態で、針棒、送り足22及び送り歯21が前方に移動して送りを行う。
【0027】
[横送り機構及び旋回送り機構に共通する構成]
図5は上側の横送り機構30、下側の横送り機構40、上側の旋回送り機構50及び下側の旋回送り機構60について共通する構成を図示した断面図である。なお、これらの各機構30~60について共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0028】
各機構30~60は、上布U又は下布Dを外周の接線方向に送るローラー31と、ローラー31の外周に沿って均一間隔で配置された複数のホイール32と、ローラー31が固定された回転軸33と、回転軸33を回転可能に支持する支持枠34と、駆動源からのトルクを回転軸33に伝達する一対のスプロケット35,36及びタイミングベルト37と、駆動源としてのモーターとを備えている。
上側の横送り機構30は横送りモーター38、下側の横送り機構40は横送りモーター48、上側の旋回送り機構50は旋回モーター58、下側の旋回送り機構60は旋回モーター68を駆動源としてのモーターとする。
【0029】
各ホイール32は、ローラー31の外周に均一間隔で設けられ、それぞれの取り付け位置における接線方向に沿った軸回りに回転可能であり、ローラー31の外周に接して接線方向に送られる上布U又は下布Dが、当該ローラー31に対して、回転軸33に沿った方向又は回転軸33に対して幾分傾斜した方向に移動することを許容する。
なお、厳密には、ローラー31は各ホイール32を介して上布U又は下布Dに接することになるが、本明細書では説明の簡略化のために、上布U又は下布Dが「ローラー31の外周に接する」又は「ローラー31に接する」と記載する。
【0030】
[上側の横送り機構]
上側の横送り機構30の支持枠34は、
図1に示すように、ミシンフレームに対して揺動可能に支持されており、上側の横送り機構30は、支持枠34に対して揺動動作を付与する昇降用エアシリンダー391と、支持枠34に固定されて当該昇降用エアシリンダー391のプランジャーに連結された入力レバー392とを備えている。
【0031】
図6は針落ち位置Sの周辺の構成の配置を示す平面図である。なお、縫い針は前後に揺動を行うが、
図6における針落ち位置Sは、下死点における縫い針の針落ち位置を示している。
上側の横送り機構30の支持枠34は、概ねY軸方向に沿って仕切り板11の上方に延在し、その左端部において回転軸33及びローラー31を支持し、右端部はミシンフレームに対して揺動可能に支持されている。
そして、上側の横送り機構30の回転軸33は、X軸方向に対して前端部が幾分下方に傾斜した方向に向けられており、その前端部にローラー31を有している。また、支持枠34の右端部は、回転軸33と同じ方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。
【0032】
これにより、上側の横送り機構30は、昇降用エアシリンダー391の作動により、支持枠34の揺動を通じて、ローラー31を昇降させることができる。
そして、上側の横送り機構30のローラー31の下降時にはその外周を仕切り板11上の上布Uに当接させることができ、上昇時にはローラー31を上布Uから退避させることができる。
また、上側の横送り機構30のローラー31は、針落ち位置Sの後方で上布Uに当接する配置となっている。
【0033】
図6に示すように、上側の横送り機構30のローラー31の回転軸33は平面視でX軸方向に沿っているので、下降時のローラー31の外周の上布Uに対する接線方向はY軸方向に平行となる。従って、上側の横送り機構30のローラー31の回転駆動により、上布Uを左右方向に移動させることができる。
【0034】
また、上側の横送り機構30の昇降用エアシリンダー391には、
図3に示すように、電磁弁393と電空レギュレーター394とが併設されている。
上記電磁弁393は、昇降用エアシリンダー391による昇降動作の空気圧の供給を行うものである。
また、電空レギュレーター394は、昇降用エアシリンダー391によりローラー31が上布Uに向かって下降する際の空気圧の圧力を通常よりも高くするための空圧機器である。通常の圧力でローラー31が上布Uに当接している場合には、主送り機構20による上布Uの前方への送りに影響は生じないが、電空レギュレーター394により圧力が高められた場合には、ローラー31の押さえ圧によって、主送り機構20による上布Uの前方への送りの送り速度が遅くなる。
つまり、この電空レギュレーター394は、「第一の被縫製物の前方向への送り速度を調節する第一の速度変更部」として機能する。
【0035】
[下側の横送り機構]
下側の横送り機構40の支持枠34は、
図1に示すように、土台12に対して揺動可能に支持されており、支持枠34に対して揺動動作を付与する昇降用エアシリンダー491のプランジャーが支持枠34の揺動端部に連結されている。
【0036】
下側の横送り機構40の支持枠34は、概ねY軸方向に沿って載置板13の下方に延在し、その左端部において回転軸33及びローラー31を支持し、右端部はミシンフレームに対して揺動可能に支持されている。
そして、下側の横送り機構40の回転軸33は、X軸方向に対して前端部が幾分上方に傾斜した方向に向けられており、その前端部にローラー31を有している。また、支持枠34の右端部は、回転軸33と同じ方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。
【0037】
これにより、下側の横送り機構40は、昇降用エアシリンダー491の作動により、支持枠34の揺動を通じて、ローラー31を昇降させることができる。
そして、下側の横送り機構40のローラー31の上昇時にはその外周を載置板13上の下布Dに当接させることができ、下降時にはローラー31を下布Dから退避させることができる。
また、下側の横送り機構40のローラー31は、針落ち位置Sの後方で下布Dに当接する配置となっている。
【0038】
下側の横送り機構40のローラー31の回転軸33は、平面視で上側の横送り機構30のローラー31の回転軸33と同様に、X軸方向に沿っているので、上昇時のローラー31の外周の下布Dに対する接線方向はY軸方向に平行となる。従って、下側の横送り機構40のローラー31の回転駆動により、下布Dを左右方向に移動させることができる。
【0039】
また、下側の横送り機構40の昇降用エアシリンダー491には、
図3に示すように、電磁弁493と電空レギュレーター494とが併設されている。
上記電磁弁493は、昇降用エアシリンダー491による昇降動作の空気圧の供給を行うものである。
また、電空レギュレーター494は、昇降用エアシリンダー491によりローラー31が下布Dに向かって上昇する際の空気圧の圧力を通常よりも高くするための空圧機器である。通常の圧力でローラー31が下布Dに当接している場合には、主送り機構20による下布Dの前方への送りに影響は生じないが、電空レギュレーター494により圧力が高められた場合には、ローラー31の押さえ圧によって、主送り機構20による下布Dの前方への送りの送り速度が遅くなる。
つまり、この電空レギュレーター494は、「第二の被縫製物の前方向への送り速度を調節する第二の速度変更部」として機能する。
【0040】
[上側の旋回送り機構]
上側の旋回送り機構50の支持枠34は、
図1に示すように、ミシンフレームに対して揺動可能に支持されており、支持枠34に対して揺動動作を付与する昇降用エアシリンダー591のプランジャーが支持枠34の揺動端部に連結されている。
【0041】
上側の旋回送り機構50の支持枠34は、前斜め下を向いた状態で仕切り板11の上方に延在し、その下端部において回転軸33及びローラー31を支持し、上端部はミシンフレームに対して揺動可能に支持されている。
そして、上側の旋回送り機構50の回転軸33は、Y軸方向に向けられており、その右端部にローラー31を有している。また、支持枠34の上端部は、回転軸33と同じ方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。
【0042】
これにより、上側の旋回送り機構50は、昇降用エアシリンダー591の作動により、支持枠34の揺動を通じて、ローラー31を昇降させることができる。
そして、上側の旋回送り機構50のローラー31の下降時にはその外周を仕切り板11上の上布Uに当接させることができ、上昇時にはローラー31を上布Uから退避させることができる。
また、上側の旋回送り機構50のローラー31は、針落ち位置Sの左方で上布Uに当接する配置となっている。
【0043】
図6に示すように、上側の旋回送り機構50のローラー31の回転軸33は平面視でY軸方向に沿っているので、下降時のローラー31の外周の上布Uに対する接線方向はX軸方向に平行となる。従って、
ミシンモーター15の回転速度が通常の縫製速度よりも遅い低速度に変更して縫製しながら上側の旋回送り機構50のローラー31の回転駆動
を行うことにより、上布Uのローラー31の接触位置を前後方向に移動させることができ、上布Uを針落ち位置Sの周囲で旋回させることができる。
【0044】
[下側の旋回送り機構]
下側の旋回送り機構60の支持枠34は、
図1に示すように、土台12に対して揺動可能に支持されており、支持枠34に対して揺動動作を付与する昇降用エアシリンダー691のプランジャーが支持枠34の揺動端部に連結されている。
【0045】
下側の旋回送り機構60の支持枠34は、概ねX軸方向に沿って載置板13の下方に延在し、その前端部において回転軸33及びローラー31を支持し、後端部はミシンフレームに対して揺動可能に支持されている。
そして、下側の旋回送り機構60の回転軸33は、Y軸方向に対して右端部が幾分上方に傾斜した方向に向けられており、その右端部にローラー31を有している。また、支持枠34の後端部は、回転軸33と同じ方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。
【0046】
これにより、下側の旋回送り機構60は、昇降用エアシリンダー691の作動により、支持枠34の揺動を通じて、ローラー31を昇降させることができる。
そして、下側の旋回送り機構60のローラー31の上昇時にはその外周を載置板13上の下布Dに当接させることができ、下降時にはローラー31を下布Dから退避させることができる。
また、下側の旋回送り機構60のローラー31は、針落ち位置Sの左方で下布Dに当接する配置となっている。
【0047】
下側の旋回送り機構60のローラー31の回転軸33は、平面視で上側の旋回送り機構50のローラー31の回転軸33と同様に、Y軸方向に沿っているので、上昇時のローラー31の外周の下布Dに対する接線方向はX軸方向に平行となる。従って、ミシンモーター15の回転速度が通常の縫製速度よりも遅い低速度に変更して縫製しながら下側の旋回送り機構60のローラー31の回転駆動を行うことにより、下布Dのローラー31の接触位置を前後方向に移動させることができ、下布Dを針落ち位置Sの周囲で旋回させることができる。
【0048】
[第一及び第二のカメラ]
図1に示すように、第一のカメラ71は、仕切り板11の上方で視線を鉛直下方に向けた状態でミシンフレームに支持されており、仕切り板11上の上布Uの上面を上方から撮影する。この第一のカメラ71はCCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等のイメージセンサーを備え、撮影画像を画像データに変換することができ、画像データは画像処理装置73に入力される。
【0049】
図2及び
図6に示すように、第一のカメラ71は、撮影範囲Fが針落ち位置Sよりも数針分後方(主送り機構20による送り方向上流側)の領域に設定されており、針落ち位置Sよりも数針分手前の上布Uの上面の状態を撮影する。
なお、第一のカメラ71の撮影範囲Fは、針落ち位置Sよりも1~10針分後方の位置を含む範囲とすることが望ましい(針落ち位置Sを含んでいても良い)。ここでいう1針は上下送りミシン10の平均的な1ピッチ又は最も常用される1ピッチを示す。
【0050】
図1に示すように、第二のカメラ72は、視線を鉛直上方に向けた状態で土台12に支持されており、載置板13上の下布Dの下面を下方から撮影する。この第二のカメラ72もCCDやCMOS等のイメージセンサーを備え、撮影画像を画像データに変換して画像処理装置73に入力する。
【0051】
第二のカメラ72の撮影範囲は、平面視で第一のカメラ71を同位置となる領域に設定されており、針落ち位置Sよりも数針分手前の下布Dの下面の状態を撮影する。
【0052】
[第一及び第二の感圧センサー]
第一の感圧センサー74と第二の感圧センサー75とは、いずれも、
図2及び
図6に示すガイド76の内側に配置されている。
図7はガイド76及びその内側に配置された第一の感圧センサー74と第二の感圧センサー75を後方から見た正面図である。
このガイド76は、搬送される上布U及び下布Dの右側端部における針落ち位置Sからその幾分手前(後方)までの範囲を個別に挿入する、前後及び左方に開放されたスリット761,762を備えている。
そして、スリット761の右側奥には、上布Uの右側端部に当接する当接体741と第一の感圧センサー74が配置されており、スリット762の右側奥には、下布Dの右側端部に当接する当接体751と第二の感圧センサー75が配置されている。
【0053】
各当接体741,751は、右方に押し込み可能となるように各スリット761,762内に支持されている。そして、第一の感圧センサー74と第二の感圧センサー75は、それぞれ当接体741,751を介して加圧されると、その加圧力に応じた検出信号を制御装置90に入力する。
【0054】
図7の符号Mは上布Uと下布Dの右側端部の適正な目標位置を示している。
制御装置90は、上布Uと下布Dの右側端部が適正な目標位置Mに位置する場合の各感圧センサー74,75からの標準的な検出圧力を記憶しており、標準的な検出圧力より検出圧力が大きい場合には、上布U又は下布Dを左方に移動させ、標準的な検出圧力より検出圧力が小さい場合には、上布U又は下布Dを右方に移動させる制御を行う。
【0055】
[制御装置]
図3に示すように、上下送りミシン10は、縫製時においてミシン全体を制御する制御装置90を備えている。
制御装置90には、縫い針を上下動させるためのミシンモーター15が駆動回路15aを介して接続されている。また、ミシンモーター15により回転駆動する図示しないミシン主軸には、その軸角度を検出するエンコーダー151が設けられており、インターフェイス151aを介して検出軸角度を制御装置90に出力するようになっている。このエンコーダー151の出力から主軸の回転数や回転角度を検出することができる。
また、制御装置90には、糸切り装置14が駆動回路14aを介して接続されている。
さらに、上下送りミシン10は、各種設定を入力したり、各種情報を表示したりするための操作パネル95を備えており、かかる操作パネル95もインターフェイス95aを介して制御装置90に接続されている。
【0056】
さらに、制御装置90には、上側の横送り機構30及び下側の横送り機構40の横送りモーター38,48、ローラー31を昇降させる昇降用エアシリンダー391,491を作動させる電磁弁393,493、昇降用エアシリンダー391,491に供給される空気圧を調節する電空レギュレーター394,494が、それぞれ駆動回路38a,48a,393a,493a,394a,494aを介して接続されている。
上記電磁弁393,493は、昇降用エアシリンダー391,491への作動空気圧の供給切り替えを行い、昇降用エアシリンダー391,491によるローラー31の昇降動作を行わせる。
【0057】
上記電空レギュレーター394,494は、それぞれのローラー31が上布U又は下布Dに接触している時の昇降用エアシリンダー391,491への供給空気圧を高めることができ、これにより、各ローラー31による上布U又は下布Dに対する接触圧力を高くすることができる。
各ローラー31は、通常の接触圧力では、外周のホイール32の回転により、上布U又は下布Dの前方への送りを妨げないが、電空レギュレーター394,494により供給空気圧が高められると、各ローラー31による上布U又は下布Dに対する接触圧力を高くなり、主送り機構20による上布U又は下布Dの送りの抵抗となる。
例えば、上布U又は下布Dのいずれか一方のみに対して、電空レギュレーター394,494により昇降用エアシリンダー391又は491のいずれか一方の供給空気圧が高められると、上布U又は下布Dの供給空気圧が高められた方の送り速度を低減し、いわゆるいせ込み縫いを行うことが可能である。
【0058】
また、制御装置90には、上側の旋回送り機構50及び下側の旋回送り機構60の旋回送りモーター58,68、ローラー31を昇降させる昇降用エアシリンダー591,691を作動させる電磁弁593,693が、それぞれ駆動回路58a,68a,593a,693aを介して接続されている。
上記電磁弁593,693は、昇降用エアシリンダー591,691への作動空気圧の供給切り替えを行い、昇降用エアシリンダー591,691によるローラー31の昇降動作を行わせる。
【0059】
また、制御装置90には、第一及び第二のカメラ71,72、画像処理装置73、第一及び第二の感圧センサー74,75がインターフェイス71a,72a,73a,74a,75aを介して接続されている。
【0060】
そして、制御装置90は、各種の演算処理を行うCPU91と、上述した各構成の動作制御に関するプログラムが格納されたROM92と、CPU91の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM93と、各種の設定データ、縫製データ等を記録する記憶部としてのEEPROM94とを備えている。
【0061】
[縫製制御]
上記構成からなる上下送りミシン10において制御装置90により実行される縫製制御について
図8の説明図及び
図9のフローチャートに基づいて説明する。
なお、以下の記載では、上側の横送り機構30,下側の横送り機構40,上側の旋回送り機構50及び下側の旋回送り機構60を総称して「副送り機構」という場合がある。
【0062】
縫製開始時には、制御装置90のCPU91は、上布U及び下布Dを後方に送り、数針の返し縫いを実行する(ステップS1)。
そして、CPU91は、副送り機構を初期状態に設定する(ステップS3)。即ち、上側の横送り機構30のローラー31を上布Uに接触状態とし、下側の横送り機構40のローラー31を下布Dに接触状態とし、上側の旋回送り機構50のローラー31を退避状態とし、下側の旋回送り機構60のローラー31を退避状態とする。
そして、ミシンモーター15の駆動を開始する(ステップS5)。
【0063】
ミシンモーター15による縫製が開始されると、CPU91は、第一及び第二のカメラ71,72により、上布U及び下布Dにおける針落ち位置Sよりも数針分手前の位置を撮影する(ステップS7)。なお、これら上布U及び下布Dの撮影と、その撮影画像を用いた処理は、主軸二回転につき一回の周期で行われる。
上記第一及び第二のカメラ71,72による撮影画像の画像データは、画像処理装置73により処理されて、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の抽出が行われる(ステップS9:
図4参照)。
【0064】
次いで、CPU91は、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の形状が終端形状であるか否かを判定する(ステップS11)。終端形状は、例えば、右側端部U1,D1を示す連続する直線又は連続する曲線が途切れてしまっているか等から判定する。
そして、上布Uの右側端部U1又は下布Dの右側端部D1の少なくとも一方が終端形状である場合には(ステップS11:YES)、そのまま終端位置まで縫製が続けられ(ステップS29)、終端位置で返し縫いを行い(ステップS31)、ミシンモーター15の駆動停止と並行して糸切り装置14による上糸及び下糸の切断を実行させて(ステップS33)、縫製制御が終了となる。
【0065】
また、ステップS11において、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の形状がいずれも終端形状ではない場合には(ステップS11:NO)、CPU91は、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の曲がり具合について判定を行う。即ち、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の曲がり具合とは、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の曲がり方が急であるか、より具体的には、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の形状がそれぞれ半径R以下の湾曲形状(円弧形状)であるか否かを判定する(ステップS13)。
この半径Rは、例えば、曲がり方が急激であるために、上側の横送り機構30による上布Uの左右方向の横送り動作や下側の横送り機構40による下布Dの左右方向の横送り動作では良好に追従できなくなる程度の大きさが選択される。
例えば、この半径Rの数値については、操作パネル95により任意に設定可能としても良い。
【0066】
そして、上布Uの右側端部U1又は下布Dの右側端部D1の形状が半径R以下の湾曲形状ではない場合には(ステップS13:NO)、これ以降の右側端部U1又はD1を目標位置M(
図7参照)に位置決めする位置調節制御(後述するステップS25~S27の制御)には、上側の横送り機構30又は下側の横送り機構40が選択される(ステップS15)。
【0067】
一方、上布Uの右側端部U1又は下布Dの右側端部D1の形状が半径R以下の湾曲形状である場合には(ステップS13:YES)、ミシンモーター15の回転速度が通常の縫製速度よりも遅い低速度に変更され、また、これ以降の右側端部U1又はD1を目標位置M(
図7参照)に位置決めする位置調節制御には、上側の旋回送り機構50又は下側の旋回送り機構60が選択される(ステップS17)。
【0068】
なお、上記ステップS15とS17の副送り機構の選択は、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の形状に応じて個別に決定される。
例えば、上布Uについては上側の横送り機構30(又は上側の旋回送り機構50)が選択され、下布Dについては下側の旋回送り機構60(又は下側の横送り機構40)が選択される場合もあり得る。
【0069】
次いで、CPU91は、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の形状からそれぞれノッチNを検出し、各々のノッチNの位置を求め、
図8に示すように、上布UのノッチNの位置と下布DのノッチNの位置のX軸方向におけるズレ量Gを算出する。そして、CPU91は、算出されたノッチNのズレ量Gが予め定められたいせ込み制御の実行幅以上であるか否かを判定する(ステップS19)。
なお、このノッチNのズレ量Gの閾値であるいせ込み制御の実行幅の値も、操作パネル95により任意に設定可能としても良い。
【0070】
そして、ノッチNのズレ量Gが予め定められたいせ込み制御の実行幅以上ではない場合には(ステップS19:NO)、副送り機構の各々は、それまでの設定状態を維持し、いせ込み制御は実行されない(ステップS21)。
また、ノッチNのズレ量Gが予め定められたいせ込み制御の実行幅以上である場合には(ステップS19:YES)、ノッチNが前方に位置する上布U又は下布Dのいずれかに対応する上側の横送り機構30又は下側の横送り機構40の電空レギュレーター394,494を作動させて、ローラー31を上布U又は下布Dに対する接触圧力が通常よりも高くなる状態で上布U又は下布Dに圧接させる(ステップS23)。これによりいせ込み制御の実行可能状態となる。
【0071】
例えば、
図8の例では、下布DのノッチNが前方にあるので、電空レギュレーター494が作動して、下側の横送り機構40のローラー31が下布Dに圧接する。
なお、ステップS13の判定により、上側の旋回送り機構50又は下側の旋回送り機構60が選択されている場合でも、ステップS23により電空レギュレーター394又は494の作動は実行される場合がある。
例えば、上布Uに対して、ステップS13の判定により上側の旋回送り機構50が選択されてそのローラー31が上布Uに接触している場合でも、ステップS23により上側の横送り機構30のローラー31の圧接状態が決定されれば、上布Uに対して、上側の旋回送り機構50のローラー31が接触し、かつ、上側の横送り機構30のローラー31が圧接した状態となる。下布Dの場合も同様である。
【0072】
そして、上述したステップS7からステップS23までの制御は、ステップS11において上布U又は下布Dの終端部が検出されない限り、主軸が二回転する度に繰り返し実行される。
【0073】
一方、上述したステップS7からステップS23までの制御が繰り返し実行されている間、ステップS13で選択された上側の横送り機構30又は上側の旋回送り機構50と下側の横送り機構40又は下側の旋回送り機構60とについて、第一及び第二の感圧センサー74,75に基づく上布Uの右側端部U1及び下布Dの右側端部D1を目標位置Mに位置決めする位置調節制御が、微小な時間周期(例えば、1[ms]周期)で繰り返し実行される。
【0074】
即ち、CPU91は、第一及び第二の感圧センサー74,75により上布U及び下布Dの右側端部U1,D1から受ける接触圧力の検出を行い(ステップS25)、ステップS13で選択された上側の横送り機構30又は上側の旋回送り機構50と下側の横送り機構40又は下側の旋回送り機構60に対して、上布Uの右側端部U1及び下布Dの右側端部D1を目標位置Mに位置決めする位置調節制御が実行される(ステップS27)。
【0075】
具体的には、上布Uの右側端部U1が目標位置Mに対して右又は左にずれている場合には、上側の横送り機構30の横送りモーター38又は上側の旋回送り機構50の旋回送りモーター58に対して、ズレを解消する回転方向とズレの大さに応じた回転速度とが決定され、当該決定に従う位置調節制御が実行される。
同様に、下布Dの右側端部D1が目標位置Mに対して右又は左にずれている場合には、下側の横送り機構40の横送りモーター48又は下側の旋回送り機構60の旋回送りモーター68に対して、ズレを解消する回転方向とズレの大さに応じた回転速度とが決定され、当該決定に従う位置調節制御が実行される。
【0076】
上記ステップS25、S27の制御も、ステップS11において上布U又は下布Dの終端部が検出されない限り、規定の微小時間周期で繰り返し実行される。
【0077】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記上下送りミシン10では、制御装置90が、第一のカメラ71の撮影画像から求まる上布Uの側端部の曲がり具合と第二のカメラ72の撮影画像から求まる下布Dの側端部の曲がり具合とに応じて、上布Uの位置調節制御を上側の横送り機構30と上側の旋回送り機構50のいずれが実行するかを選択すると共に、下布Dの位置調節制御を下側の横送り機構40と下側の旋回送り機構60のいずれが実行するかを選択しているので、上布U又は下布Dの側端部の形状が湾曲している場合でも、湾曲に対応した適切な送りを行うことができ、良好な縫い合わせを実現することが可能となる。
【0078】
また、制御装置90が、縫い針による二回の針落ちの周期で、上布Uの位置調節制御に関する上側の横送り機構30と上側の旋回送り機構50の選択と、下布Dの位置調節制御に関する下側の横送り機構40と下側の旋回送り機構60の選択とを行っている。
このように周期に余裕を持たせて選択処理を行っているので、選択処理に時間を有する場合でも次の周期の処理の開始までに選択処理を完了させることができ、上布Uや下布Dの位置調節制御に生じる遅れの発生を低減し、安定的に縫製を行うことが可能となる。
特に、カメラの撮影による画像データは画像処理に時間を要するが、上記のように周期に余裕を持たせることにより、処理の遅延についてより有効である。
なお、上記の場合、繰り返し周期が長くなることで処理の応答性が低減するが、第一及び第二のカメラ71,72の撮影範囲Fを針落ち位置Sよりも複数針分手前の位置に設定しているので、撮影箇所が針落ち位置Sに到達するまでの時間に余裕があり、応答性の低さに対応することができるようになっている。
【0079】
また、制御装置90が、第一のカメラ71の撮影画像から求まる上布Uの側端部の曲がり具合と第二のカメラ72の撮影画像から求まる下布Dの側端部の曲がり具合とに応じて、ミシンモーター15による縫製速度の減速制御を実行するので、上布U又は下布Dの側端部の形状が湾曲している場合でも、湾曲に追従して送ることができ、さらに良好な縫い合わせを実現することが可能となる。
【0080】
また、上下送りミシン10は、上布Uの前方向への送り速度を調節する第一の速度変更部としての電空レギュレーター394と、下布Dの前方向への送り速度を調節する第二の速度変更部としての電空レギュレーター494とを備え、制御装置90は、第一のカメラ71の撮影画像から求まる上布Uの側端部のノッチNの位置と第二のカメラ72の撮影画像から求まる下布Dの側端部のノッチNの位置とに基づいて、電空レギュレーター394,494により、上布Uと下布Dの送り速度に差を設けるいせ込みの動作制御を行っている。
これにより、上布Uと下布Dの曲線の側端部同士の縫い合わせや上布Uと下布Dによる立体的な膨らみを持たせる縫い合わせを良好に行うことが可能となる。
特に、ノッチNの位置を撮影画像から認識して縫い合わせるので、従来は手作業を介在させなければ困難だったいせ込みによる縫い合わせの縫製の自動化を図ることができ、生産効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0081】
また、上下送りミシン10は、針落ち位置Sよりも後方において上布Uの側端部を当接させる第一の感圧センサー74と、針落ち位置Sよりも後方において下布Dの側端部を当接させる第二の感圧センサー75とを備え、上側の横送り機構30又は上側の旋回送り機構50による上布Uの位置調節制御と下側の横送り機構40又は下側の旋回送り機構60により下布Dの位置調節制御を第一又は第二の感圧センサー74,75の検出に基づいて行っている。
これにより、光学的なラインセンサーやカメラを用いる場合と異なり、埃や汚れ、異物の影響を排除することができ、上布Uと下布Dの側端部の位置調節を安定的に精度良く行うことができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
【0082】
[上下送りミシンの他の構成の例]
図10は他の構成による上下送りミシン10Aを示すブロック図である。この上下送りミシン10Aは、図示のように、第一のカメラ71と第二のカメラ72とを備えておらず、カメラ71,72を必要とするいせ込み制御に用いられる電空レギュレーター394,494、カメラ71,72を必要とする上側及び下側の旋回送り機構50,60とこれらに関連する構成、画像処理装置73も備えていない。そして、上下送りミシン10Aのそれ以外については前述した上下送りミシン10と同一である。
この上下送りミシン10Aにおいて制御装置90により実行される縫製制御について
図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0083】
縫製開始時には、制御装置90のCPU91は、返し縫いを実行し(ステップV1)、横送り機構30,40を初期状態(各ローラー31を上布U又は下布Dに接触状態とする)に設定した後(ステップV3)、ミシンモーター15の駆動を開始する(ステップV5)。
【0084】
次いで、上側の横送り機構30と下側の横送り機構40とについて、第一及び第二の感圧センサー74,75に基づく上布Uの右側端部U1及び下布Dの右側端部D1を目標位置Mに位置決めする位置調節制御が、微小な時間周期(例えば、1[ms]周期)で繰り返し実行される。
【0085】
即ち、CPU91は、第一及び第二の感圧センサー74,75により上布U及び下布Dの右側端部U1,D1から受ける接触圧力の検出を行い(ステップV7)、上側の横送り機構30と下側の横送り機構40に対して、上布Uの右側端部U1及び下布Dの右側端部D1を目標位置Mに位置決めする位置調節制御が実行される(ステップV9)。
【0086】
具体的には、上布Uの右側端部U1が目標位置Mに対して右又は左にずれている場合には、上側の横送り機構30の横送りモーター38に対して、ズレを解消する回転方向とズレの大さに応じた回転速度とが決定され、当該決定に従う位置調節制御が実行される。
同様に、下布Dの右側端部D1が目標位置Mに対して右又は左にずれている場合には、下側の横送り機構40の横送りモーター48に対して、ズレを解消する回転方向とズレの大さに応じた回転速度とが決定され、当該決定に従う位置調節制御が実行される。
【0087】
そして、CPU91は、上布U及び下布Dに対して終端の検出処理を実行する(ステップV11)。上布Uと下布Dの終端検出は、例えば、上布Uと下布Dに対して右方に送る制御を行っているにも拘わらず、一定時間以上、第一及び第二の感圧センサー74,75により上布U及び下布Dの右側端部U1,D1から受ける接触圧力が検出されない場合に、終端を判断する。なお、上布Uと下布Dのいずれか一方でも終端と判定された場合には、終端検出ありと判定される。
【0088】
上記上布Uと下布Dの終端検出において、終端が検出されない場合には(ステップV11:NO)、ステップV7の処理の実行から一定の微小時間(例えば、1[ms])が経過したか否かが判定され(ステップV13)、経過していない場合には判定が繰り返され(ステップV13:NO)、経過した場合には(ステップV13:YES)、ステップV7に処理が戻される。
【0089】
また、ステップV11において、終端が検出された場合には(ステップV11:YES)、以下の終端処理動作が実行される。即ち、そのまま終端位置まで縫製が続けられ(ステップV15)、返し縫いを行い(ステップV17)、ミシンモーター15の駆動停止及び糸切り装置14による上糸及び下糸の切断を実行させて(ステップV19)、縫製制御が終了となる。
このようにして、上下送りミシン10Aは、縫製制御が実行される。
【0090】
[他の例の上下送りミシンにおける技術的効果]
以上のように、上下送りミシン10Aは、上下送りミシン10と同一の技術的効果を有している。
そして、上下送りミシン10Aは、処理が容易な第一及び第二の感圧センサー74,75を使用して、処理に時間を要する撮影画像の画像データ処理を不要とするので、より高速の縫製を行うことができ、生産効率の向上を図ることが可能である。
【0091】
[側端部の曲がり具合の検出方法の他の構成の例]
また、ミシン10においては、第一のカメラ71と第二のカメラ72とを備えず、代わりに針落ち位置よりも後方(例えば、
図2における第一のカメラ71と第二のカメラ72と同じ位置)において前記第一の被縫製物の曲線部を検出するよう第一の光電センサー71Cを配置し、針落ち位置よりも後方において前記第二の被縫製物の曲線部を検出するよう第二の光電センサー72Cを配置することによっても、送り機構の切り替えや、縫製速度の減速制御を行うことができる。光電センサーは、その場の被縫製物の有無を検出するのみで良い。例えば、第一又は第二の光電センサー71C、72Cの配置は、
図14に示すように、送り機構の切り替えや、縫製速度の減速制御が必要な被縫製物の曲線部が通過する際に、被縫製物の有無が切り替わるような位置に配置する。図示のように、上布Uと下布Dの複数の曲線部の曲がり具合を検出するために、光電センサー71C、72CはY軸方向に沿って複数配置することが望ましい。
【0092】
[その他]
第一の被縫製物と第二の被縫製物は布に限らず、他の材料からなるシート状の素材を縫製の対象としても良い。
また、上記上下送りミシン10,10Aは総合送りミシンを例示しているがこれに限らず、送り歯のみで被縫製物を送る一般的な送りを備えるミシンであっても良い。
【0093】
図9のフローチャートのステップS7~S23までの処理は、主軸二回転ごとの繰り返しに限らず、一回転ごと又は三以上の整数回転ごとに行っても良い。
また、主軸の回転数に同期しないで、規定の微小時間周期で繰り返し実行する構成としても良い。
また、制御装置90が、撮影画像の生地端形状に基づいて、例えば、直線形状であれば主軸回転数複数回ごとに、曲線形状であれば主軸回転数一回転ごとに、というように、縫製中の状況変化に応じて動的にS7~S23までの処理を行う周期を変更する制御を行っても良い。
【0094】
また、上下送りミシン10において、上側の旋回送り機構50と下側の旋回送り機構60とを備えない構成とすることも可能である。その場合、
図9におけるステップS13において、上布Uの右側端部U1と下布Dの右側端部D1の形状がそれぞれ半径R以下の湾曲形状である場合には、ステップS17でミシンモーターの減速制御が実行されるが、半径R以下又は半径Rより大きくなるいずれの場合であっても、副送り機構として上側の横送り機構30と下側の横送り機構40が選択される。
【符号の説明】
【0095】
10,10A 上下送りミシン(ミシン)
11 仕切り板
12 土台
13 載置板
15 ミシンモーター
20 主送り機構
21 送り歯
22 送り足
30 上側の横送り機構
31 ローラー
32 ホイール
33 回転軸
34 支持枠
38,48 横送りモーター
40 下側の横送り機構
50 上側の旋回送り機構
58,68 旋回モーター
60 下側の旋回送り機構
71 第一のカメラ
72 第二のカメラ
71C 第一の光電センサー
72C 第二の光電センサー
73 画像処理装置
74 第一の感圧センサー
75 第二の感圧センサー
90 制御装置
91 CPU
151 エンコーダー
391,491,591,691 昇降用エアシリンダー
393,493,593,693 電磁弁
394 電空レギュレーター(第一の速度変更部)
494 電空レギュレーター(第二の速度変更部)
D 下布(第二の被縫製物)
D1 右側端部
F 撮影範囲
G ノッチの位置のズレ量
M 目標位置
N ノッチ(位置合わせ表示)
S 針落ち位置
U 上布(第一の被縫製物)
U1 右側端部