(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】縮毛緩和された毛髪を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20230829BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230829BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230829BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20230829BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/19
A61K8/41
A61K8/45
A61Q5/04
(21)【出願番号】P 2017555304
(86)(22)【出願日】2016-04-25
(86)【国際出願番号】 US2016029215
(87)【国際公開番号】W WO2016172708
(87)【国際公開日】2016-10-27
【審査請求日】2019-04-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-31
(32)【優先日】2015-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520188318
【氏名又は名称】オラプレックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】プレスリー, エリック ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ホーカー, クレッグ ジェイ.
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】木村 敏康
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】特公平1-59246(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮毛緩和過程の間、毛髪において所望のレベルの巻き毛を保持するための組み合わせ物であって、前記組み合わせ物が、
(a)アルカリ金属を含有する水酸化物を含む1種または複数の縮毛緩和剤と、
(b)
【化11】
【化12】
によって表される活性薬剤と
を含み
、前記1種または複数の縮毛緩和剤が、前記毛髪の縮毛緩和をもたらし、前記活性薬剤が、毛髪における巻き髪のレベルを保持するためのものであり、(a)および(b)が同時に縮毛緩和過程の間毛髪に適用されることを特徴と
し、前記組み合わせ物が、亜硫酸またはメルカプト化合物を含まない、組み合わせ物。
【請求項2】
前記1種または複数の縮毛緩和剤と前記活性薬剤とが、混合物として前記毛髪に適用されることを特徴とし、前記混合物が、前記1種または複数の縮毛緩和剤と前記活性薬剤とを含む、請求項
1に記載の組み合わせ物。
【請求項3】
前記アルカリ金属を含有する水酸化物が、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化カリウムからなる群より選択される、請求項1
または2に記載の組み合わせ物。
【請求項4】
前記アルカリ金属を含有する水酸化物が、水酸化ナトリウムである、請求項3に記載の組み合わせ物。
【請求項5】
前記毛髪のすすぎ、シャンプー洗浄、および/またはコンディショニングの前に、(a)および(b)が前記毛髪に適用されることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項6】
前記活性薬剤が
【化16-2】
である、請求項
1に記載の組み合わせ物。
【請求項7】
前記活性薬剤が、
【化18】
である、請求項
1に記載の組み合わせ物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2015年4月24日に出願された米国仮出願第62/152,220号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)に対する利益および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、毛髪を処理する、特に、アルカリ液またはアルカリ系縮毛緩和剤(alkali-based relaxer)で処理された毛髪においてジスルフィド結合を修復する、および縮毛緩和された(relaxed)毛髪において巻き毛保持のレベルを制御するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
毛髪は、多数の平行した長いアミノ酸鎖からなる。アミノ酸のこれらの鎖、すなわちポリマーは、1)水素結合、2)酸基と塩基基の間の塩橋、および3)ジスルフィド結合によって、互いに結び付いている。
【0004】
アルカリ性のpHでは、毛髪のジスルフィド結合を壊すことができる(Dombrinkら、Chem Matters、1983年、8頁)。たとえば、アルカリ液系縮毛緩和剤は、ジスルフィド連結を攻撃する水酸化物イオンを含有している。アルカリ液系縮毛緩和剤によるジスルフィド結合の崩壊を使用して、対向するポリペプチド鎖同士の相対的な位置を変えることで、毛髪の直毛化(straightening)が達成される。直毛化の過程は、毛髪をすすぐ、および/または中和用組成物を適用することにより完了する。
【0005】
アルカリ液および他のアルカリ系縮毛緩和剤は、毛髪の縮毛緩和および直毛化において有効性が高いものの、破損によって、毛髪強度の低下、および潜在的な脱毛をもたらしかねない。したがって、毛髪を縮毛緩和することは、毛髪からその生来の脂肪酸を奪いかねない破壊的で刺激性の過程として捉えられることがある。毛髪をアルカリ性条件に曝露することによっても、毛髪は損傷し、さらに毛髪線維のキューティクルまたは外表面が粗くなり、結果として毛髪は乱れ、絡まり、一般に扱いにくくなりかねない。粗くなった毛髪は、不揃いに光を捉えるため、毛髪は、艶がなく、ぼやけて見えるようになる。毛髪は、乾かされて静電気(static)のレベルが増した状態で放置される場合もあり、これが櫛すきの妨げとなり、「浮き上がる髪(fly-away hair)」と一般に呼ばれる状態を招くことがある。
【0006】
これらの問題を解消するために、付けたままにする製品やすすぎ落とす製品などの毛髪コンディショナーをシャンプー後に適用することを含めて、様々な手法が開発されている。通常、コンディショナーは、キューティクルが乱れてしまっている毛髪の損傷した部分に最もよく貼り付くため、コンディショニング用リンス剤によって、特にこれらの部分に油性のコーティングが戻される。しかし、コンディショナーが多すぎるまたは濃厚すぎると、毛髪はより粘着性になり、したがって、汚れを引きつけ、より多くのシャンプー洗浄処理が必要になることもよくある。
【0007】
アルカリ液および他のアルカリ系毛髪縮毛緩和剤の使用に関するさらに別の問題点は、こうした縮毛緩和剤を適用すると、いかなるレベルの巻き毛および/または制御可能に保持されたいかなるレベルの巻き毛もなく、毛髪が完全に縮毛緩和および直毛化されることである。さらに、こうした縮毛緩和の過程からの破損による毛髪強度の低下および潜在的な脱毛のせいで、すでに縮毛緩和および直毛化された毛髪にパーマネントウェーブ処理のいかなるさらなる適用(すなわち、制御された量の巻き毛を導入すること)も、毛髪のさらなる損傷および/または破損につながるため、得策でないことになる。
【0008】
したがって、アルカリ液またはアルカリ系縮毛緩和剤で縮毛緩和された毛髪に改良されたコンディショニング(conditoning)の恩恵をもたらし得る毛髪用製剤および処理が求められている。詳細には、乾燥させたとき、処理された毛髪に、長持ちする潤った感触、滑らかな感触、および扱いやすい制御をもたらすことが求められている。
【0009】
また、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤(alkali-based relaxing agent)または水酸化物含有縮毛緩和剤で処理された、損傷した毛髪を修復および/または直毛化する毛髪用製剤および処理も求められている。
【0010】
また、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤で縮毛緩和されている毛髪において、達成および/または保持される巻き毛のレベルの調節または選択が可能になる毛髪用製剤および処理も求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Dombrinkら、Chem Matters(1983年)8頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤で処理された毛髪を修復および/または直毛化するための改良された組成物および方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤で処理されている毛髪において、達成および/または保持される巻き毛のレベルの調節または選択に使用することのできる組成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤での処理によって損傷している縮毛緩和された毛髪において、結合、たとえば、ジスルフィド結合を修復するための組成物、キット、および方法。組成物、キット、および方法を、縮毛緩和過程の間に使用して、巻き毛保持のレベルを制御することもできる。
【0015】
本明細書では、毛髪中の1つまたは複数のチオールとの反応が関与し得る1つまたは複数の結合事象(たとえば、吸収、結合など)を介してケラチンと相互作用する1種または複数の化合物を含有する活性薬剤製剤について記載する。本明細書で使用する「結合する」とは、共有結合性、イオン性、または水素結合の形成を指す。活性薬剤組成物は、改良されたコンディショニングをもたらし、毛髪に脂っぽさを残すことなく長持ちする潤った感触および滑らかな感触をもたらす、外観(たとえば、光沢)を向上させる、乾燥強度(引張り強さ)を増大させる、濡れたもしくは乾燥時の毛髪の櫛すきを容易にする、毛髪破損を低減する、もしくは縮れを低減すること、またはこれらの任意の組合せをなすことができる。
【0016】
理論に束縛されるものではないが、活性薬剤製剤を使用することで、組成物を適用後少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、1か月間、もしくは2か月間、またはこれより長い間、毛髪の修復された結合がその遊離チオール状態への逆戻りを防ぐと考えられる。
【0017】
毛髪の伝統的な直毛化方法では、破損による毛髪強度の低下および潜在的な脱毛を招きかねないアルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤が使用される。本明細書で開示する方法では、縮毛緩和された毛髪の損傷を修復することのできる活性薬剤が使用され、またアルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤を使用する毛髪縮毛緩和/直毛化処理の間などに毛髪をスタイリングする改良された方法も提供される。
【0018】
活性薬剤製剤は、毛髪縮毛緩和処理の間に、縮毛緩和剤と共に適用することができる。特定の理論に束縛されることを望まないが、本明細書に記載の活性薬剤の、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤と同時の添加を使用すると、縮毛緩和された毛髪において巻き毛保持のレベルを調節または制御することができる。巻き毛保持のレベルは、使用する活性薬剤の量によって決まり得、その量は、毛髪縮毛緩和の際に存在する活性薬剤と存在するアルカリ液またはアルカリ系縮毛緩和剤の量との重量比として表すことができる。通常、縮毛緩和用製剤中に存在する活性薬剤の量が多いほど、巻き毛保持のレベルは高くなる。一部の実施形態では、縮毛緩和剤製剤と活性薬剤製剤との重量比は、約1:10~約10:1の範囲である。1種または複数の活性薬剤を含めることで、毛髪縮毛緩和の間に巻き毛保持のレベルを制御することが可能になるだけでなく、縮毛緩和過程の間に壊れるジスルフィド結合を修復して、縮毛緩和剤が引き起こす損傷を別の方法で防ぐこともさらに可能になる。
【0019】
一部の他の実施形態では、活性薬剤製剤は、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤の適用後直ちに適用することができる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
毛髪において所望のレベルの巻き毛を達成するための方法であって、
(a)前記毛髪に、1種または複数の縮毛緩和剤を含む第1の製剤を適用するステップと、
(b)前記毛髪に、式II:
【化11】
の活性薬剤を含む第2の製剤を適用するステップと
を含み、式中、
Zは、リンカーであるか、または不在であり、前記リンカーは、ポリマーでなく、
mおよびnは、それぞれ、1~6から独立に選択される整数であり、m+nの合計は、2に等しいまたは2より大きく、
Bは、チオールまたはアミン基などの求核剤と共有結合性結合を形成することができる官能基であり、Bは、
【化12】
からなる群より独立に選択され、
Rは、水素、C
1~6
アルキル基、アリール基、またはイオン化可能な官能基からなる群より独立に選択され、Z’は、酸素(O)、NHであるか、または不在であり、Gは炭素(C)であり、かつgは1であるか、またはGは硫黄(S)であり、かつgは2であり、Aは、-COOH、-SO
3
H、-PO
3
H
2
、-N(R
1
)
2
、-N(R
1
)
3
からなる群より独立に選択されるイオン化可能な官能基であり、R
1
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリール基からなる群より独立に選択され、各R
1
は、独立に、非置換であるか、または1つもしくは複数の置換基で置換されており、
前記第2の製剤中の前記活性薬剤の量が、処理された前記毛髪において、ステップ(a)より前の前記毛髪における巻き毛の量と比べて約0~99%の範囲である巻き毛のレベル(巻き毛保持パーセント)を保持するのに有効である、
方法。
(項目2)
毛髪において所望のレベルの巻き毛を達成するための方法であって、
(a)前記毛髪に、1種または複数の縮毛緩和剤を含む第1の製剤を適用するステップと、
(b)前記毛髪に、式III:
【化13】
の活性薬剤を含む第2の製剤を適用するステップと
を含み、式中、
Zは、リンカーであるか、または不在であり、前記リンカーは、ポリマーでなく、
mおよびnは、それぞれ、1~6から独立に選択される整数であり、m+nの合計は、2に等しいまたは2より大きく、
Bは、チオールまたはアミン基などの求核剤と共有結合性結合を形成することができる官能基であり、Bは、
【化14】
からなる群より独立に選択され、
Rは、水素、C
1~6
アルキル基、アリール基、またはイオン化可能な官能基からなる群より独立に選択され、Z’は、酸素(O)、NHであるか、または不在であり、Gは炭素(C)であり、かつgは1であるか、またはGは硫黄(S)であり、かつgは2であり、Aは、-COOH、-SO
3
H、-PO
3
H
2
、-N(R
1
)
2
、-N(R
1
)
3
からなる群より独立に選択されるイオン化可能な官能基であり、R
1
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリール基からなる群より独立に選択され、各R
1
は、独立に、非置換であるか、または1つもしくは複数の置換基で置換されており、
Cは、チオールと共有結合性結合を形成することができ、前記イオン化可能な基Aと反対の電荷を有するイオン性基であり、oは、基Cと前記イオン化可能な基Aの電荷の合計が0になるような、1~6から独立に選択される整数値であり、
前記第2の製剤中の前記活性薬剤の量が、処理された前記毛髪において、ステップ(a)より前の前記毛髪における巻き毛の量と比べて約0~99%の範囲である巻き毛のレベル(巻き毛保持パーセント)を保持するのに有効である、
方法。
(項目3)
毛髪において所望のレベルの巻き毛を達成するための方法であって、
(a)前記毛髪に、1種または複数の縮毛緩和剤を含む第1の製剤を適用するステップと、
(b)前記毛髪に、式I:
【化15】
の活性薬剤を含む第2の製剤を適用するステップと
を含み、式中、
A、B、C、およびDは、前記毛髪中のチオール基と反応することができ、1つまたは複数の電荷を含有する反応性部分であり、A、B、C、およびDはそれぞれ、ビニルスルホン、アクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレエート基、フマレート基、およびイタコネート基からなる群より選択される部分を独立して含有しており、
Rは、2つまたはそれより多数の電荷を含有するリンカーであり、前記電荷は、前記反応性部分上の電荷と反対であり、n=1~10であり、Rは、ポリマーでなく、
前記電荷の合計は、0であり、
前記反応性部分は、前記リンカーにイオン結合しており、
p、q、r、およびsの各存在は、独立に、0~25の整数であり、p+q+r+sの合計は、2に等しいまたは2より大きく、
前記第2の製剤中の前記活性薬剤の量が、処理された前記毛髪において、ステップ(a)より前の前記毛髪における巻き毛の量と比べて約0~99%の範囲である巻き毛のレベル(巻き毛保持パーセント)を保持するのに有効である、
方法。
(項目4)
ステップ(a)と(b)を同時に実施する、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記第1の製剤と前記第2の製剤とを、前記毛髪に適用する前に混合する、項目4に記載の方法。
(項目6)
ステップ(a)の直後にステップ(b)を実施する、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
ステップ(a)を実施後約60秒以内にステップ(b)を実施する、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記第1の製剤と前記活性薬剤との重量比が約10:1~約1:1である、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記巻き毛保持パーセントが、ステップ(a)より前の前記毛髪における前記巻き毛の5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、もしくは75%、またはそれ超である、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記第1の製剤の前記1種または複数の縮毛緩和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウムからなる群より選択される、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記活性薬剤が、前記第2の製剤の約0.01wt%~約50wt%の範囲の量で存在する、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
(c)前記毛髪をすすぎ、シャンプー洗浄、および/またはコンディショニングにかけるステップをさらに含み、ステップ(c)が、ステップ(b)に引き続いて行われる、
前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記活性薬剤が、
【化16】
およびこれらの単塩
からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記活性薬剤が、
【化17】
である、項目2に記載の方法。
(項目15)
前記活性薬剤が、
【化18】
である、項目3に記載の方法。
(項目16)
前記巻き毛保持パーセントが0%~10%の間である、項目1から8または10から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記巻き毛保持パーセントが50%またはそれを上回る、項目1から8または10から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記巻き毛保持パーセントが、等式1:
巻き毛保持パーセント=(L
ext
-L
f
)/(L
ext
-L
i
)×100(等式1)
に従って求められ、
L
ext
は、完全に延ばしたときの処理前の毛髪の長さであり、L
f
は、処理後の前記毛髪の延ばしていない最終的な長さであり、L
i
は、毛髪のその延ばしていない状態での初期の長さであり、L
ext
は、L
i
と等しくない、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
活性薬剤の量が、より低い巻き毛保持パーセント値については、より高い巻き毛保持パーセント値についての活性薬剤の量と比べて少ない、項目1から8、10から15、および18のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
I.定義
本明細書で開示する数値範囲は、そのような範囲における可能な各数字、ならびにそこに包含される任意の下位範囲および下位範囲の組合せを個々に開示する。たとえば、炭素範囲(すなわち、C1~C10)は、可能なあらゆる炭素値および/または範囲内に包含される下位範囲を個々に開示するものとする。たとえば、C1~C10という炭素長範囲は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10を開示するだけでなく、C2~C9、C3~C8、C1~C5などの、範囲内に包含される下位範囲も開示する。同様に、1~10という整数値範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、および10の個々の値、ならびに範囲内に包含される下位範囲を開示する。さらに、濃度範囲または重量パーセント範囲、たとえば、製剤の1重量%~2重量%は、1%、1.1%、1.2%、1.32%、1.48%などの、個々の値およびその端数、ならびに範囲内に包含される下位範囲を開示する。
【0021】
用語「毛髪」とは、1本または1本を超える毛髪線維、ならびに身体からの油などの毛髪の天然構成要素を指す。毛髪は、未加工の毛髪または加工された毛髪、たとえば、毛髪のウェーブ化または毛髪直毛化製剤に曝露されたことのある毛髪も指す。
【0022】
たとえば本明細書に記載の活性薬剤または組成物の「有効量」とは、所望の毛髪処理の一部として適用したとき、目視検査による巻き毛保持、滑らかさ、破損が僅かしかないかもしくは全くないこと、際立ったもしくは良好な感触、および/または健康的な外観などの所望の結果が達成される、組成物または製剤中の活性薬剤の量を指す。
【0023】
「美容上許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に相応な、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適する化合物、材料、および組成物を指す。より詳細には、美容上許容されるとは、皮膚、頭皮、または毛髪と接触させて使用するのに適する材料、化合物、または組成物を指す。美容上許容される材料は、当業者に公知である。
【0024】
本明細書で使用する「シャンプー」とは、毛髪を洗浄するための洗浄剤または石けんを含有する、毛髪に適用される液体または半固体の製剤を一般に指す。
【0025】
本明細書で使用する「コンディショナー」とは、毛髪を柔らかくする、毛髪を滑らかにする、および/または毛髪の光沢を変化させるために毛髪に適用される製剤(たとえば、液体、クリーム、ローション、ゲル、半固体)を一般に指す。
【0026】
「類似体」および「誘導体」は、本明細書では互換的に使用され、親化合物と同じコアを有しているが、結合次数、1つもしくは複数の原子および/または原子群の有無、ならびにこれらの組合せの点で親化合物と異なる化合物を指す。誘導体は、たとえば、コア上に存在する1つまたは複数の置換基が親化合物と異なっていてよく、置換基には、1つまたは複数の原子、官能基、または部分構造が含まれ得る。一般に、誘導体が親化合物から化学的および/または物理的経過を経て形成されることは、少なくとも理論上推測することができる。
【0027】
「求電子性基」または「求電子性部分」は、互換的に使用され、電子に対して親和性を有するまたは電子を誘引する1つまたは複数の官能基または部分を指す。
【0028】
本明細書で使用する「マイケルアクセプター」とは、求核付加反応に関与する求電子性基または部分の一種である。マイケルアクセプターは、α,β-不飽和カルボニルを含有する基もしくは部分、たとえばケトンであってもよい、またはこれを含有していてもよい。他のマイケルアクセプターとしては、他のπ結合を含有する電子吸引性基、たとえば、ニトロ基、ニトリル基、カルボン酸基とコンジュゲートする二重結合または三重結合などの、π結合が挙げられる。
【0029】
本明細書で使用する「アルキル」とは、直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニル基、分枝鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニル基、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはシクロアルキニル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル、シクロアルケニル、またはシクロアルキニル基、およびシクロアルキル置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む、飽和または不飽和脂肪族基のラジカルを指す。別段指摘しない限り、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖に、30個またはそれ未満の炭素原子(たとえば、直鎖ではC1~C30、分枝鎖ではC3~C30)、より好ましくは20個またはそれ未満の炭素原子、より好ましくは12個またはそれ未満の炭素原子、最も好ましくは8個またはそれ未満の炭素原子を有する。一部の実施形態では、鎖は、1~6個の炭素を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に3~10個の炭素原子を有し、5、6、または7個の炭素を環構造に有することがより好ましい。上で示した範囲は、最小値から最大値までのすべての値を含む。
【0030】
用語「アルキル」は、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両方を含み、後者は、炭化水素主鎖の1個または複数の炭素上の水素と置き換わる1つまたは複数の置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基としては、限定はしないが、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられる。
【0031】
炭素の数を別段指定しない限り、本明細書で使用する「低級アルキル」とは、その主鎖構造に1個~10個の炭素、より好ましくは1個~6個の炭素原子を有することを除いて、上で定義したとおりのアルキル基を意味する。同じく、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」も、同様の鎖長を有する。好ましいアルキル基は、低級アルキルである。
【0032】
アルキル基は、炭素主鎖内に1個または複数のヘテロ原子も含有する場合がある。例として、酸素、窒素、硫黄、およびこれらの組合せが挙げられる。ある特定の実施形態では、アルキル基は、1個~4個の間のヘテロ原子を含有する。
【0033】
本明細書で使用する「アルケニル」および「アルキニル」とは、長さ(たとえば、C2~C30)および可能な置換が上述のアルキル基と類似している、1つまたは複数の二重または三重結合を含有する不飽和脂肪族基を指す。
【0034】
本明細書で使用する「アリール」とは、5、6、および7員芳香族環を指す。環は、アルキルについて上述したように任意選択で置換されている炭素環式、ヘテロ環式、縮合炭素環式、縮合ヘテロ環式、炭素二環式(bicarbocyclic)、またはヘテロ二環式(biheterocyclic)の環系である場合がある。本明細書で使用する、広義の「Ar」は、0~4個のヘテロ原子を含み得る、5、6、および7員単環芳香族基を含む。例としては、限定はしないが、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンが挙げられる。環構造中にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「ヘテロアリール」、「アリールヘテロ環」、または「ヘテロ芳香族」と呼ぶこともできる。芳香族環は、1つまたは複数の環位置において、上述のような置換基、たとえば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、および-CNで置換されていてもよい。用語「Ar」は、2個またはそれより多数の炭素が2つの隣接する環に共通である2つまたはそれより多い環式環(環は「縮合環」である)を有し、環の少なくとも1つが芳香族である、たとえば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/もしくはヘテロ環であってもよい、または両方の環が芳香族である、多環式環系も含む。
【0035】
本明細書で使用する「アルキルアリール」とは、アリール基(たとえば、芳香族またはヘテロ芳香族基)で置換されているアルキル基を指す。
【0036】
本明細書で使用する「ヘテロ環」または「ヘテロ環式」とは、炭素と、過酸化物でない酸素、硫黄、およびN(Y)[Yは、不在であるか、またはH、O、(C1~4)アルキル、フェニル、もしくはベンジルである]からそれぞれ選択される1個~4個のヘテロ原子とを含有する3~10個の環原子、好ましくは5~6個の環原子を含有し、任意選択で1つまたは複数の二重または三重結合を含有する単環式または二環式の環の環炭素または窒素を介して付着しており、任意選択で1つまたは複数の置換基で置換されている、環式ラジカルを指す。用語「ヘテロ環」は、置換および非置換ヘテロアリール環も包含する。ヘテロ環式環の例としては、限定はしないが、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシンドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニルおよびキサンテニルが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」とは、炭素と、過酸化物でない酸素、硫黄、およびN(Y)[Yは、不在であるか、またはH、O、(C1~C8)アルキル、フェニル、もしくはベンジルである]からそれぞれ選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子とを含有する5個または6個の環原子を含有する単環式芳香族環を指す。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル(oxazoyl)、イソオキサゾリル(isoxazoyl)、チアゾリル、イソチアゾリル(isothiazoyl)、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(またはそのN-オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN-オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN-オキシド)、キノリル(またはそのN-オキシド)などが挙げられる。用語「ヘテロアリール」は、それから導かれる、約8個~10個の環原子のオルト縮合二環式ヘテロ環、特に、ベンズ誘導体、またはプロピレン、トリメチレン、もしくはテトラメチレンジラジカルをそれに縮合させることにより導かれるもののラジカルを含み得る。ヘテロアリールの例として、限定はしないが、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル(pyraxolyl)、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(またはそのN-オキシド)、チエニル(thientyl)、ピリミジニル(またはそのN-オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN-オキシド)、キノリル(またはそのN-オキシド)などが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用する「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0039】
本明細書で使用する用語「置換されている」とは、本明細書に記載の化合物の許容し得るすべての置換基を指す。最も広い意味で、許容し得る置換基には、有機化合物の、非環式および環式、分枝状および非分枝状、炭素環式およびヘテロ環式、芳香族および非芳香族置換基が含まれる。実例となる置換基として、限定はしないが、ハロゲン、ヒドロキシル基、または任意の数の炭素原子、好ましくは1~14個の炭素原子と、任意選択で酸素、硫黄、もしくは窒素基(grouping)などの1個もしくは複数のヘテロ原子とを、線状、分枝状、もしくは環状の構造形式で含有する他の任意の有機基が挙げられる。代表的な置換基としては、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ(aroxy)、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、C3~C20環式、置換C3~C20環式、ヘテロ環式、置換ヘテロ環式、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチド基が挙げられる。
【0040】
窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす水素置換基および/または許容し得る任意の本明細書に記載の有機化合物の置換基を有してもよい。「置換」または「置換されている」は、そのような置換が、置換されている原子および置換基の許容される原子価に従っていること、ならびに置換の結果として安定した化合物、すなわち、転位、環化、脱離などによる変換を自発的に起こさない化合物が生じることを黙示的条件として含むと理解される。
【0041】
本明細書で使用する「ポリマー」とは、10を超えるモノマー単位を含有する分子を指す。
【0042】
本明細書で使用する「水溶性」とは、一般に、25℃の1Lの水に、少なくとも50、75、100、125、150、200、225、または250gが可溶性であることを意味する。
【0043】
本明細書で使用する「縮毛緩和剤」とは、通常、水酸化物含有化合物、たとえば、アルカリ液、または水酸化アンモニウムなどの他の水酸化物含有化合物を指す。これらの水酸化物含有化合物が毛髪縮毛緩和用製剤中に存在すると、水酸化物イオンによって、高いpHを有する縮毛緩和用製剤が生じる。
【0044】
「アルカリ液」または「アルカリ液縮毛緩和剤」は、本明細書では互換的に使用され、アルカリ金属を含有する水酸化物(たとえば、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム)を含有する水性製剤または組成物を指す。
【0045】
II.活性薬剤製剤
本明細書で開示する活性薬剤製剤は、縮毛緩和される過程にある、または縮毛緩和剤を含有する製剤での縮毛緩和処理を受けたことのある毛髪を処理することに関する。加えて、縮毛緩和処理の間に使用する場合、活性薬剤製剤を使用して、縮毛緩和された毛髪において達成および/または保持される、毛髪生来の縮毛緩和されていない状態と比べた巻き毛のレベルを、制御、選択、または調節することができる。巻き毛保持のレベルは、適用される1種または複数の活性薬剤の量によって決まり、この量は、1種または複数の活性薬剤の重量(または活性薬剤を含有する製剤の重量)と毛髪縮毛緩和用製剤の重量との重量比として表すことができる。通常、縮毛緩和用製剤中に存在する活性薬剤の量が多いほど、達成することのできる巻き毛保持のレベルは高くなる。さらに、1種または複数の活性薬剤を本明細書に記載のとおりに含めることで、毛髪縮毛緩和の間に、縮毛緩和剤が引き起こす縮毛緩和過程の間の毛髪破損および損傷を低減しながら、巻き毛保持のレベルを制御することが可能になる。
【0046】
製剤は、ヒトの毛髪および/またはヒトの頭皮に安全で有効であると考えられる美容上許容される1種または複数の担体および/または賦形剤と組み合わせることができ、灼熱、痒み、および/もしくは発赤、または同様の有害反応などの望ましくない生物学的副作用を引き起こすことなく、個体の毛髪に施すことのできる1種または複数の活性薬剤(本明細書では「化合物」または「活性薬剤」とも呼ぶ)を含有する。
【0047】
活性薬剤は、通常、製剤の約0.01wt%~約50wt%、好ましくは製剤の約1wt%~約25wt%、より好ましくは約1wt%~約15wt%、最も好ましくは約1wt%~約10wt%の範囲の量で存在する。通常、活性薬剤は、製剤の約1~約5wt%の範囲の量で存在してもよい。
【0048】
活性薬剤は、pH3~8、好ましくは3~5、および約25~30℃、好ましくは約25℃の温度で少なくとも2、3、4、5、6、8、9、10、11、もしくは12か月、またはこれより長い期間、水溶液中で安定である。貯蔵寿命に関して本明細書で使用する「安定」とは、化合物の少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%が、指定された期間を経ても変化していないことを意味する。
【0049】
a.活性薬剤
活性薬剤は、チオールなどの求核剤と反応し、結合を形成することができる少なくとも1つの反応性部分を含有する。活性薬剤は、任意選択でリンカー基を含有する。反応性部分は、毛包上のチオール基と反応すると、安定、たとえば加水分解的に安定である結合を形成する。毛包上のチオール基間に形成される結合に関して使用する「安定」とは、pH3~8、好ましくはpH3~5で、約5℃~約100℃、約20℃~約75℃、より好ましくは約20℃~約50℃、約25℃~約40℃、または約25℃~約30℃の温度、より好ましくは約25℃の温度の水に曝露したとき、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、1か月間、もしくは2か月間、またはこれより長い間、インタクトなままである結合を意味する。一部の実施形態では、温度は、約25℃である。また、反応性部分とチオールの反応は、室温前後、たとえば、約15℃~約35℃、好ましくは約20℃~約30℃、より好ましくは約22℃~約27℃で起こることが好ましい。
【0050】
i.式Iによって規定される活性薬剤
一部の実施形態では、結合剤は、式I:
【化1】
(式中、
A、B、C、およびDは、1つまたは複数の電荷を含有する反応性部分であり、
Rは、2つまたはそれより多数の電荷を含有するリンカーであり、電荷は、反応性部分上の電荷と反対であり、n=1~100、好ましくはn=1~10、より好ましくはn=1であり、p、q、r、およびsの各存在は、独立に、0~25、好ましくは0~10、より好ましくは0~2の整数である。p+q+r+sの合計は、2に等しいまたは2を超える)
による構造を有する。
【0051】
反応性部分は、リンカーの任意の原子上に存在してもよい。一部の実施形態では、反応性部分は、同じである。一部の実施形態では、反応性部分の1つまたは複数は異なっている。
【0052】
一部の実施形態では、反応性部分は負に荷電しており、リンカーまたはスペーサーは、正に荷電した部分を有する。他の実施形態では、反応性部分は正に荷電しており、リンカーまたはスペーサーは、負に荷電した部分を有する。化学量論的不均衡が存在する場合があるが、一般に、式Iの結合剤上の電荷の合計は0である。
【0053】
結合剤上の反応性部分は、リンカーRによって連結されていることが好ましい。リンカーRとは、本明細書で使用するとき、2つまたはそれより多数の反応性部分をイオン結合させるのに使用することができ、結合剤の反応性の性質の妨げとならない、1つまたは複数の多官能性、たとえば二官能性分子、三官能性分子、四官能性分子などを指す。反応性部分は、リンカーRの任意の部分に付着することができる。
【0054】
1.リンカーR
好ましい実施形態では、式Iにおいて、n=1であり、リンカーRは、ポリマーでない。リンカーRは、ヘテロ原子(たとえば、OまたはS)などの単一原子、官能基(たとえば、アミン、-C(=O)-、-CH2-)などの原子群、またはアルキレン鎖などの多数の原子群であってもよい。適切なリンカーとしては、限定はしないが、酸素、硫黄、炭素、ホウ素、窒素、アルコキシ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、エーテル、アミン、およびポリマーが挙げられる。
【0055】
リンカーRは、水素、ハロゲン、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミン、ヒドロキシ、ホルミル、アシル、カルボン酸(-COOH)、-C(O)R1、-C(O)OR1、カルボキシレート(-COO-)、第一級アミド(たとえば、-CONH2)、第二級アミド(たとえば、-CONHR1)、-C(O)NR1R2、-NR1R2、-NR1S(O)2R2、-NR1C(O)R2、-S(O)2R2、-SR1、および-S(O)2NR1R2、スルフィニル基(たとえば、-SOR1)、およびスルホニル基(たとえば、-SOOR1)を含む1つまたは複数の置換基で任意選択で独立に置換されており、
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールであってもよく、R1およびR2はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアリールオキシで任意選択で置換されているアルキル;1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアルキル、またはトリハロアルキルで任意選択で置換されているアリール;アリール、またはヘテロアリール、または=O、またはヒドロキシルで任意選択で置換されているアルキルで任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル;ヒドロキシルで任意選択で置換されているシクロアルキル;1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアルキル、またはトリハロアルキルで任意選択で置換されているヘテロアリール;ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、およびジアルキルアミノカルボニルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で独立に置換されている。
【0056】
一部の実施形態では、リンカーRは、アルコキシ、エーテル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミン、またはポリマーであってもよい。
【0057】
2.式Iによる活性薬剤
式Iによる活性薬剤は、チオールまたはアミンと反応して共有結合性結合を形成することができる少なくとも2つの反応性部分を含有する。たとえば、反応性部分は、毛髪中のチオール基と反応して、安定した共有結合性結合を形成することができる。反応性部分は、通常、リンカーと塩を形成することのできる求電子性部分である。あるいは、反応性部分は、フリーラジカルと反応することができる場合もある。
【0058】
式Iによる活性薬剤は、少なくとも2つの反応性部分を含有する。しかし、結合剤は、3つ、4つ、5つ、6つ、または6つより多くの反応性部分を含有していてもよい。
【0059】
反応性部分とチオール基の反応は、反応性部分が毛髪中のチオール基に接触したとき、室温および室内圧力で開始される場合がある。一部の実施形態では、熱、触媒、塩基性条件、またはフリーラジカル開始剤などのイニシエーターが反応に必要となる場合がある。反応性部分とチオールの反応の速度は、温度、pHの変更、および/または触媒などの1種もしくは複数の賦形剤の追加によって増大させることもできるが、これは一般に必要でない。
【0060】
結合剤上の2つまたはそれより多数の反応性部分は、同じであってもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれより多数の反応性部分は、異なっている。
【0061】
一部の実施形態では、反応性部分は、共役付加反応を起こすことができる。反応性部分は、独立に、マイケルアクセプター、スクシンイミジル含有基、マレイミド含有基、アズラクトン、ベンゾオキサジノン誘導体、ビニルスルホン、ビニルスルホキシミン、ビニルスルホネート、ビニルホスホネート、ベンゾオキサジノン、イソシアネート、エポキシド、脱離基を含有する求電子性部分、求電子性チオールアクセプター、アクリルもしくはアクリレート基、メタクリルもしくはメタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレエート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基、ビニルエステル基、スルホネート基、ホスホネート基、スルホキシド基、スルホンアミド基、スルフィンイミド基、スルフィンアミド基、スルホンイミデート基、またはスルホンイミドアミド基であるか、またはこれを含有していてもよい。
【0062】
好ましい実施形態では、反応性部分A、B、C、および/またはDはそれぞれ、存在するとき、ビニルスルホン、アクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレエート基、フマレート基、およびイタコネート基からなる群より選択される部分を独立して含有する。さらに、好ましい実施形態では、n=1であり、リンカーRは、ポリマーでない。任意選択で、反応性部分はすべて、同じである。たとえば、一部の実施形態では、反応性部分のすべては、マレエート基である。
【0063】
一部の実施形態では、式Iによる活性薬剤は、次の構造:
【化2】
の一方を有する。
【0064】
式Iによる活性薬剤はさらに、Presslyらの米国特許公開第2015/0034117A1号に記載され、米国特許第9,095,518号として発行されており、これは、その活性薬剤の開示について、参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
ii.式IIによって規定される活性薬剤
一部の他の実施形態では、活性薬剤は、イオン結合を形成することができるイオン化可能な官能基と、チオールまたはアミンなどの求核剤と共有結合性結合を形成することができる官能基とを含有する多官能性化合物である。適切なイオン化可能な官能基としては、限定はしないが、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸などの酸性基、およびアミンなどの塩基性基が挙げられる。チオールまたはアミンなどの求核剤と共有結合性結合を形成することができる適切な官能基としては、限定はしないが、マイケルアクセプター、ハロゲン化アルキル、またはスルホン酸エステルが挙げられる。
【0066】
活性薬剤は、次の式II:
【化3】
を有してもよく、
【0067】
式中、Zは、リンカーであるか、または不在であり、mおよびnは、それぞれ、1~6から独立に選択される整数であり、但し、m+nは、少なくとも2であり、Bは、チオールまたはアミン基と共有結合性結合を形成することができる官能基であり、Aは、イオン化可能な官能基である。リンカーZは、ポリマーでないことが好ましい。
【0068】
式IIによる例示的な活性薬剤は、チオール反応性官能基、たとえば、次の部分として示されるものを、基Bとして含有していてもよい。
【化4】
式中、Rは、水素、C
1~6アルキル、アリール、またはイオン化可能な官能基から独立に選択され、Z’は、酸素(O)、NHであるか、または不在であり、Gは炭素(C)であり、gは1であるか、またはGは硫黄(S)であり、gは2である。好ましい実施形態では、Zは、リンカーであるか、または不在であり、リンカーは、ポリマーでなく、基Bは、チオールまたはアミン基と共有結合性結合を形成することができる官能基であり、基Bは、
【化5】
からなる群より独立に選択され、
R、Z’、G、およびgは、以前規定したとおりである。
【0069】
1.リンカーZ
リンカーZは、存在するとき、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基であってもよい、またはこれを含有していてもよい。アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアリール基における炭素原子の1つまたは複数が、ヘテロ原子で置換されて、たとえば、エーテルまたはアルキルアミン含有リンカーを生じてもよい。
【0070】
リンカーZは、1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されていてもよく、置換基は、水素、ハロゲン、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミン、ヒドロキシ、オキソ、ホルミル、アシル、カルボン酸(-COOH)、-C(O)R1、-C(O)OR1、カルボキシレート(-COO-)、第一級アミド(たとえば、-CONH2)、第二級アミド(たとえば、-CONHR11)、-C(O)NR1R2、-NR1R2、-NR1S(O)2R2、-NR1C(O)R2、-S(O)2R2、-SR1、および-S(O)2NR1R2、スルフィニル基(たとえば、-SOR1)、およびスルホニル基(たとえば、-SOOR1)を含む、同じまたは異なるものであってもよく、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールであってもよく、R1およびR2はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアリールオキシで任意選択で置換されているアルキル;1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアルキル、またはトリハロアルキルで任意選択で置換されているアリール;アリール、またはヘテロアリール、またはオキソ、またはヒドロキシルで任意選択で置換されているアルキルで任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル;ヒドロキシルで任意選択で置換されているシクロアルキル;1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアルキル、またはトリハロアルキルで任意選択で置換されているヘテロアリール;ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、およびジアルキルアミノカルボニルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で独立に置換されている。
【0071】
ある特定の好ましい実施形態では、リンカーZは、非置換でも、またはオキソ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミド、もしくはアミノで、1回もしくは複数回置換されていてもよいC1~10アルキル基である。リンカーZは、C1~4アルキル基であることが好ましい。アルキル基は、線状であっても分枝状であってもよい。アルキル基はまた、酸素、硫黄、および窒素から選択されるヘテロ原子によって1回または複数回中断されていてもよい。ヘテロ原子による中断を有するこうしたジカルボン酸の一例は、チオジプロピオン酸である。他の実施形態では、アルキル基は、1つまたは複数の二重または三重結合を含有していてもよい。
【0072】
一部の実施形態では、式IIによる活性薬剤は、次の構造:
【化6】
の1つを有する、またはこれらの構造の単塩である。
【0073】
iii.式IIIによって規定される活性薬剤
ある特定の他の実施形態では、活性薬剤は、次の式III:
【化7】
を有していてもよく、
式中、Zは、リンカーであるか、または不在であり、mおよびnは、それぞれ、1~6から独立に選択される整数であり、但し、m+nは、少なくとも2であり、Bは、チオールまたはアミン基などの求核剤と共有結合を形成することができる官能基であり、Aは、上で規定したとおりのイオン化可能な官能基であり、Cは、同じくチオールと共有結合性結合を形成することができ、イオン化可能な基Aと反対の電荷を有するイオン性基である。基Cは、基Aにイオン結合している(破線で示す)。イオン性基Cについて、oは、基Cとイオン化可能な基Aの電荷の合計が0になるような、1~6から独立に選択される整数値である。リンカーZは、ポリマーでないことが好ましい。
【0074】
式IIIの活性薬剤において、基Cは、イオン化可能な基Aにイオン結合しており、少なくとも1つのチオール反応性を含有するイオン性基である。
【0075】
基Cは、マイケルアクセプター、スクシンイミジル含有基、マレイミド含有基、アズラクトン、ベンゾオキサジノン誘導体、ビニルスルホン、ビニルスルホキシミン、ビニルスルホネート、ビニルホスホネート、ベンゾオキサジノン、イソシアネート、エポキシド、脱離基を含有する求電子性部分、求電子性チオールアクセプター、アクリルもしくはアクリレート基、メタクリルもしくはメタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレエート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基、ビニルエステル基、スルホネート基、ホスホネート基、スルホキシド基、スルホンアミド基、スルフィンイミド基、スルフィンアミド基、スルホンイミデート基、またはスルホンイミドアミド基であってもよい。
【0076】
式IIIによる活性薬剤は、チオールなどの求核剤と反応するチオール反応性官能基を、基Bとして含有していてもよい。例示的なチオール反応性官能基として、限定はしないが、次の部分:
【化8】
として示すものが挙げられ、式中、Rは、水素、C
1~6アルキル、アリール、またはイオン化可能な官能基から独立に選択され、Z’は、酸素(O)、NHであるか、または不在であり、Gは炭素(C)であり、gは1であるか、またはGは硫黄(S)であり、gは2である。好ましい実施形態では、Zは、リンカーであるか、または不在であり、リンカーは、ポリマーでなく、基Bは、チオールまたはアミン基と共有結合性結合を形成することができる官能基であり、基Bは、
【化9】
からなる群より独立に選択され、
R、Z’、G、およびgは、以前規定したとおりである。
【0077】
1.リンカーZ
リンカーZは、存在するとき、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基であってもよい、またはこれを含有していてもよい。アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアリール基における炭素原子の1つまたは複数が、ヘテロ原子で置換されて、たとえば、エーテルまたはアルキルアミン含有リンカーを生じてもよい。
【0078】
リンカーZは、1つまたは複数の置換基で任意選択で置換されていてもよく、置換基は、水素、ハロゲン、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミン、ヒドロキシ、オキソ、ホルミル、アシル、カルボン酸(-COOH)、-C(O)R1、-C(O)OR1、カルボキシレート(-COO-)、第一級アミド(たとえば、-CONH2)、第二級アミド(たとえば、-CONHR11)、-C(O)NR1R2、-NR1R2、-NR1S(O)2R2、-NR1C(O)R2、-S(O)2R2、-SR1、および-S(O)2NR1R2、スルフィニル基(たとえば、-SOR1)、およびスルホニル基(たとえば、-SOOR1)を含む、同じまたは異なるものであってもよく、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールであってもよく、R1およびR2はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアリールオキシで任意選択で置換されているアルキル;1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアルキル、またはトリハロアルキルで任意選択で置換されているアリール;アリール、またはヘテロアリール、またはオキソ、またはヒドロキシルで任意選択で置換されているアルキルで任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル;ヒドロキシルで任意選択で置換されているシクロアルキル;1つまたは複数のハロゲン、またはアルコキシ、またはアルキル、またはトリハロアルキルで任意選択で置換されているヘテロアリール;ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、およびジアルキルアミノカルボニルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で独立に置換されている。
【0079】
ある特定の好ましい実施形態では、リンカーZは、非置換でも、またはオキソ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミド、もしくはアミノで、1回もしくは複数回置換されていてもよいC1~10アルキル基である。リンカーZは、C1~4アルキル基であることが好ましい。アルキル基は、線状であっても分枝状でもよい。アルキル基はまた、酸素、硫黄、および窒素から選択されるヘテロ原子によって1回または複数回中断されていてもよい。ヘテロ原子による中断を有するこうしたジカルボン酸の一例は、チオジプロピオン酸である。他の実施形態では、アルキル基は、1つまたは複数の二重または三重結合を含有していてもよい。
【0080】
一部の実施形態では、式IIIの活性薬剤は、次の構造:
【化10】
の一方を有する。
【0081】
b.賦形剤
活性薬剤製剤は通常、1種または複数の美容上許容される賦形剤を含有していてもよい。美容上許容される賦形剤には、限定はしないが、水、保存剤、酸化防止剤、キレート剤、遮光剤、ビタミン、染料、毛髪着色剤、タンパク質、アミノ酸、植物抽出物などの天然抽出物、湿潤剤、着香剤(fragrance)、香料、油、軟化剤、滑沢剤、バター、浸透剤、増粘剤、粘度調整剤、ポリマー、樹脂、毛髪固定剤、塗膜形成剤、界面活性剤、洗浄剤、乳化剤、乳白剤、揮発性物質、噴霧体、液体ビヒクル、担体、塩、pH調整剤(たとえば、クエン酸)、中和剤、緩衝剤、毛髪コンディショニング剤、帯電防止剤、縮れ防止剤、フケ防止剤、吸着剤、およびこれらの組合せが含まれる。
【0082】
製剤は、1種または複数の美容上許容される賦形剤を含有していてもよい。一部の形態では、製剤は、活性薬剤と、水と、任意選択で保存剤および/または着香剤とを含有する。
【0083】
縮毛緩和用製剤での縮毛緩和過程の間または直後に毛髪を処理するための製剤は、適切な任意の物理形態であってもよい。適切な形態には、限定はしないが、低~中粘度の液体、ローション、乳状液、ムース、スプレー、ゲル、クリーム、シャンプー、コンディショナーなどが含まれる。上で挙げたものなどの適切な賦形剤は、製剤の使用形態(たとえば、毛髪用スプレー、クリーム、コンディショナー、またはシャンプー)に応じて、毛髪手入れ用製剤に含まれ、またはそれから除外される。
【0084】
美容上許容される賦形剤は、通常、製剤の約10wt%~約99.99wt%、好ましくは約40wt%~約99wt%、より好ましくは約80wt%~約99wt%の範囲の量で存在する。
【0085】
i.界面活性剤
界面活性剤は、水の表面張力を低下させ、製剤を毛髪全体にまたは毛髪上に滑らかに浸透させることのできる、表面活性薬剤である。界面活性剤に、洗浄剤および石けんも含められる場合がある。界面活性剤は、両性、アニオン性、またはカチオン性の場合がある。製剤中に使用することのできる適切な界面活性剤としては、限定はしないが、3-アミノプロパンスルホン酸、アーモンドアミド、アーモンドアミドプロピルベタイン、アーモンドアミドプロピルアミンオキシド、水添タロウグルタミン酸アルミニウム(aluminum hydrogenated tallow glutamate)、ラノリン酸アルミニウム、硫酸アミノエチル、アミノプロピルラウリルグルタミン、C12~15アルキル硫酸アンモニウム、C12~15パレス硫酸アンモニウム、C12~16アルキル硫酸アンモニウム、C9~10パーフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム、カプリレス硫酸アンモニウム(ammonium capryleth sulfate)、カプリレス-3硫酸アンモニウム、モノグリセリド硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、イソチオン酸アンモニウム(ammonium isothionate)、ココイルサルコシン酸アンモニウム(ammonium cocoyl sarcosinate)、クメンスルホン酸アンモニウム、ジメチコンコポリオール硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、イソステアリン酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス-12硫酸アンモニウム、ラウレス-5硫酸アンモニウム、ラウレス-6カルボン酸アンモニウム、ラウレス-7硫酸アンモニウム、ラウレス-8カルボン酸アンモニウム、ラウレス-9硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシン酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ミレス硫酸アンモニウム(ammonium myreth sulfate)、ミリスチル硫酸アンモニウム、ノノキシノール-30硫酸アンモニウム、ノノキシノール-4硫酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パーム核硫酸アンモニウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、トール酸アンモニウム(ammonium tallate)、キシレンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、amp-イソステアロイルゼラチン/ケラチンアミノ酸/リシンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、amp-イソステアロイル加水分解コラーゲン、アンズ核油PEG-6エステル、アンズアミド、アンズアミドプロピルベタイン、アラキデス-20(arachideth-20)、アボカドアミド、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミド(babassuamide)、ババスアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルアミンオキシド、塩化ベヘンアルコニウム、ベヘンアミド、ベヘンアミド、ベヘンアミドプロピルベタイン、ベヘンアミドオキシド、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアルコールのポリオキシエーテルもしくはセテアレス-20、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0086】
適切なアニオン性界面活性剤には、限定はしないが、カルボン酸、スルホン酸、および硫酸イオンを含有するものが含まれる。アニオン性界面活性剤の例としては、長鎖アルキルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、たとえば、ビス-(2-エチルチオキシル)-スルホコハク酸ナトリウム;ならびにアルキル硫酸塩、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、限定はしないが、第四級アンモニウム化合物、たとえば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ポリオキシエチレン、およびココナッツアミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、モノステアリン酸エチレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ポリグリセリル-4-オレエート、ソルビタンアシレート、スクロースアシレート、ラウリン酸PEG-150、モノラウリン酸PEG-400、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、Poloxamer(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、およびポリオキシエチレン水添タロウアミドが挙げられる。両性界面活性剤の例としては、ナトリウムN-ドデシル-ベータ-アラニン、N-ラウリル-β-イミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタイン、およびラウリルスルホベタインが挙げられる。
【0087】
1種を超える界面活性剤が製剤に含まれる場合がある。
【0088】
界面活性剤は、任意選択で、製剤の約0.1重量%~約15重量%、好ましくは製剤の約1重量%~約10重量%の範囲の量で含まれる。
【0089】
ii.軟化剤(emollient)
軟化剤とは、皮膚を湿気もしくは刺激から保護する、柔らかくする、鎮める、覆う、滑らかにする、保湿する、保護する、および/または清潔にする材料を指す。製剤中に使用するのに適する軟化剤としては、限定はしないが、シリコーン化合物(たとえば、ジメチコン、シクロメチコン、ジメチコンコポリオールまたはシクロペンタシロキサンとジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーの混合物、シクロペンタシロキサンポリシリコーン)、ポリオール、たとえば、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、カプリリルグリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール;パルミチン酸エチルヘキシル;カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどのトリグリセリド、およびイソノナン酸セテアリルまたはパルミチン酸セチルなどの脂肪酸エステルが挙げられる。具体的な実施形態では、軟化剤は、ジメチコン、アミドジメチコン、ジメチコノール(dimethiconol)、シクロペンタシロキサン、PEG-7ジメチコンパンテニルリン酸カリウム、またはこれらの組合せである。1種を超える軟化剤が製剤に含まれる場合がある。
【0090】
軟化剤は、任意選択で、製剤の約0.5重量%~約15重量%、好ましくは製剤の約1重量%~約10重量%の範囲の量で含まれる。
【0091】
iii.乳化剤
製剤は、1種または複数の乳化剤も含有する場合がある。適切な乳化剤としては、限定はしないが、不飽和エステルとスチレンスルホネートモノマーのコポリマー、セテアリルアルコール、グリセリルエステル、セテアリルアルコールのポリオキシエチレングリコールエーテル、ステアリン酸、ポリソルベート-20、セテアレス-20、レシチン、ステアリン酸グリコール、ポリソルベート-60、もしくはポリソルベート-80、またはこれらの組合せが挙げられる。1種を超える乳化剤が製剤に含まれる場合がある。
【0092】
乳化剤は、任意選択で、製剤の約0.05重量%~約15重量%、好ましくは製剤の約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で含まれる。
【0093】
iv.保存剤
製剤中での微生物の成長を防ぐために、1種または複数の保存剤が製剤に含まれる場合がある。適切な保存剤としては、限定はしないが、グリセリンを含有する化合物(たとえば、グリセリン、またはエチルヘキシルグリセリン、またはフェノキシエタノール)、ベンジルアルコール、パラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベンなど)、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビン酸カリウム、および/もしくはグレープフルーツ種子抽出物、またはこれらの組合せが挙げられる。1種を超える保存剤が製剤に含まれる場合がある。他の保存剤は、化粧品業界で公知であり、サリチル酸、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド、クロルフェニシン(chlorphenism)、トリクロサン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、メチルイソチアゾリノン、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、クオタニウム-15、塩化ステアラルコニウム、亜鉛ピリチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン、ジグルコン酸クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアナイド、塩化ベンザルコニウム、亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、クエン酸、ニーム油、精油(各種)、乳酸、およびビタミンE(トコフェロール)が挙げられる。
【0094】
保存剤は、任意選択で、製剤の約0.1重量%~約5重量%、好ましくは製剤の約0.3重量%~約3重量%の範囲の量で含まれる。製剤は、パラベンを含まないことが好ましい。
【0095】
v.コンディショニング剤
1種または複数のコンディショニング剤が製剤に含まれる場合がある。適切なコンディショニング剤として、限定はしないが、シリコーン系薬剤(たとえば、シリコーンクオタニウム-8)、パンテノール、加水分解小麦および/またはダイズタンパク質、アミノ酸(たとえば、小麦アミノ酸)、米ぬか蝋、メドウフォーム種子油、マンゴー種子油、ブドウ種子油、ホホバ種子油、甘扁桃油、ヒドロキシエチルベヘンアミドプロピルジモニウムクロリド、アロエ葉抽出物、アロエベラ(aloe barbadensis)葉汁、フィタントリオール、パンテノール、パルミチン酸レチニル、ベヘントリモニウムメトサルフェート、シクロペンタシロキサン、クオタニウム-91、ステアラミドプロピルジメチルアミン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0096】
コンディショニング剤は、任意選択で、製剤の約0.1重量%~約5重量%、好ましくは製剤の約0.3重量%~約3重量%の範囲の量で含まれる。
【0097】
vi.希釈剤
本明細書で使用する希釈剤とは、活性薬剤を希釈する物質を指す。水が、好ましい希釈剤である。製剤は、通常、1パーセント(wt)を超える水、好ましくは5パーセント(wt)を超える水、より好ましくは50%(wt)を超える水、最も好ましくは80%(wt)を超える水を含有する。毛髪もしくは皮膚浸透を高める、および/または臭気を低減するために、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコールを低濃度(製剤の約0.5重量%)で使用してもよい。
【0098】
vii.粘度調整剤
製剤は、粘度を増大させる薬剤などの、1種または複数の粘度調整剤を含有する場合がある。こうした薬剤の部類には、限定はしないが、ポリエチレングリコールなどの粘稠な液体、半合成セルロース誘導体などの半合成ポリマー;カルボマー、ポロキサマー、およびポリエチレンイミン(たとえば、PEI-10)などの合成ポリマー;アカシア、トラガカント、アルギン酸塩(たとえば、アルギン酸ナトリウム)、カラゲナンなどの天然に存在するポリマー;キサンタンガムなどの植物性のゴム;ワセリン、蝋;ベントナイト、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロースなどの粒状の会合コロイド;PPG-2ヒドロキシエチルココ/イソステアラミドなどの界面活性剤、ジステアレス-75 IPDIなどの乳化剤、ならびに塩化ナトリウムなどの塩、ならびにこれらの組合せが含まれる。
【0099】
viii.酸化防止剤
製剤は、1種または複数の酸化防止剤を含有する場合がある。例としては、限定はしないが、トコフェリル、BHT、アスコルビン酸、camellia sinensis葉抽出物、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、カロテノイド、リスベラトロール、クエン酸トリエチル、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸テトラヘキシデシル、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛、メタ重亜硫酸ナトリウム、リコピン、ユビキノン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0100】
ix.乳白剤
製剤は、1種または複数の乳白剤を含有する場合がある。乳白剤は、製剤を不透明にするために加えられる。適切な乳白剤としては、限定はしないが、ジステアリン酸グリコールおよびエトキシ化脂肪アルコールが挙げられる。
【0101】
c.製剤の形態
i.クリーム
製剤は、クリームの形態にすることができる。クリームは通常、適切な担体中に活性薬剤を含む。活性薬剤は、任意の適切な濃度で含まれてもよい。クリーム中の活性薬剤の典型的な濃度は、およそ0.01%(wt)、好ましくは少なくとも0.1%(wt)などの少量から、最高で50%(wt)などの多量までの範囲である。クリームは、0.1%(wt)~5%(wt)、より好ましくは0.1%wt~3%(wt)の範囲の濃度で活性薬剤を含有することが好ましい。クリーム中により高い濃度の活性薬剤が存在してもよいが、そうした濃度は、所望の結果を達成するのに一般に必要でない。
【0102】
加えて、クリームは、油、毛髪コンディショニング剤、および/または増粘剤(thickening agent)を含む場合もある。クリームは、着香剤、植物抽出物、および/または界面活性剤も含むことがある。クリームは、チューブ、入れ物(tub)、ボトル、または適切な他の容器に包装することができる。
【0103】
ii.液体活性薬剤製剤
一部の実施形態では、使用時に毛髪縮毛緩和用などの第2の製剤と混合される液体活性薬剤製剤が提供される。これらの実施形態では、液体活性薬剤製剤は、上述のような適切な担体、通常、希釈剤中に、任意の適切な濃度の活性薬剤を含有していてもよい。活性薬剤の濃度は、適切な最終体積および最終濃度の活性薬剤との混合物を要望どおりに提供するのに適するものである。
【0104】
たとえば、液体活性薬剤製剤は、約5%(wt)~約50%(wt)またはそれを超える範囲の濃度の活性薬剤を含有する場合がある。好ましい実施形態では、液体活性薬剤製剤は、約5%(wt)~20%(wt)の活性薬剤を含有する。
【0105】
直毛化適用については、使用前に、十分な体積の液体活性薬剤製剤を十分な体積の縮毛緩和剤含有製剤と混合して、所望の濃度の活性薬剤を有する縮毛緩和/直毛化混合物を形成する。縮毛緩和用混合物中の活性薬剤の典型的な濃度は、およそ少なくとも0.01%(wt)、好ましくは少なくとも0.1%(wt)などの少量から、最高で50%(wt)などの多量までの範囲であり得る。縮毛緩和用混合物は、0.1%(wt)~5%(wt)、より好ましくは1%wt~5%(wt)の範囲の濃度で活性薬剤を含有することが好ましい。
【0106】
III.縮毛緩和用製剤
縮毛緩和用製剤は、毛髪を直毛化するための1種または複数の縮毛緩和剤を含有する。理論に束縛されるものではないが、縮毛緩和剤中の水酸化物イオンが毛髪中のジスルフィド連結を攻撃し、還元されたチオール基を生じると考えられる。縮毛緩和剤によるジスルフィド結合の崩壊を使用して、対向するポリペプチド鎖同士の相対的な位置を変えることで、毛髪の直毛化が達成される。縮毛緩和剤製剤およびその調整方法は、当業界で公知である。
【0107】
例示的な縮毛緩和剤には、アルカリ液、アルカリ系または水酸化物含有薬剤が含まれ、こうした薬剤として、限定はしないが、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が挙げられる。一部の他の実施形態では、縮毛緩和剤は、水酸化アンモニウムである。水酸化物含有縮毛緩和剤は、当業者に公知である。水酸化物含有縮毛緩和剤は、次の商業ブランド:Mizani(登録商標)Rhelaxer、Design Essentials(登録商標)、およびDudley’s Q(登録商標)などから、市販されている。
【0108】
IV.キット
毛髪を縮毛緩和する、または縮毛緩和された毛髪を処理するためのキットは、通常、有効量の活性薬剤を含有する活性薬剤製剤を収容する。
【0109】
通常、キットの使用のための指示も提供される。
【0110】
キットは、縮毛緩和過程の間に毛髪中のジスルフィド結合を破壊し、還元されたチオール基を生じることができる、本明細書では縮毛緩和用製剤とも呼ぶ製剤をさらに収容してもよい。
【0111】
縮毛緩和剤と活性薬剤製剤は、通常、別々に提供され、縮毛緩和剤と活性薬剤製剤を同時に毛髪に適用するように指示が示される。たとえば、縮毛緩和剤と活性薬剤製剤の混合物を作製し、次いで混合物を毛髪に適用するように指示が示される場合がある。あるいは、縮毛緩和剤を毛髪に適用し、その間同時に、活性薬剤製剤を(混合物としてではなく)毛髪に適用するように指示が示される場合もある。指示は、縮毛緩和された毛髪における巻き毛保持のレベルを制御するために、活性薬剤もしくは活性薬剤製剤の体積もしくは質量(もしくはその範囲)、活性薬剤と縮毛緩和剤との所望の重量比、および/または第1の縮毛緩和用製剤の第2の活性薬剤含有製剤との所望の重量比を指定するなどにより、使用すべき活性薬剤の所望の量を選択する方法についての指示も含む場合がある。
【0112】
あるいは、最初に縮毛緩和剤を毛髪に適用し、引き続いて活性薬剤製剤を毛髪に適用するように指示が示される。毛髪における巻き毛保持のレベルを制御するために、指示によって、縮毛緩和用製剤の適用後、活性薬剤製剤の適用前に経過してよい時間の量(すなわち、約1秒~約30分の範囲、より好ましくは約60秒以内)、および/または適用すべき活性薬剤製剤の量が説明される場合がある。指示は、縮毛緩和された毛髪における巻き毛保持のレベルを制御するために、活性薬剤もしくは活性薬剤製剤の体積もしくは質量(もしくはその範囲)、活性薬剤と縮毛緩和剤との所望の重量比、および/または第1の縮毛緩和用製剤と第2の活性薬剤含有製剤との所望の重量比を指定するなどにより、使用すべき活性薬剤の所望の量を選択する方法についての指示を含む場合もある。
【0113】
a.縮毛緩和用製剤
一部の実施形態では、キットは、毛髪を直毛化するための本明細書に記載のとおりの1種または複数の縮毛緩和剤を含有する縮毛緩和用製剤を収容する。水酸化物含有縮毛緩和剤は、当業者に周知である。
【0114】
b.活性薬剤製剤
活性薬剤製剤は、本明細書に記載のとおりの1種または複数の活性薬剤を含有する。活性薬剤を含有する適切な製剤については、上で論じている。活性薬剤製剤は、任意の適切な形態であってもよい。適切な形態としては、限定はしないが、低~中粘度の液体、ローション、ゲル、クリームなどが挙げられる。ある特定の実施形態では、活性薬剤製剤は、1種または複数の縮毛緩和剤を含有する製剤と混合することのできる十分な粘度の液体、ローション、またはクリームである。活性薬剤製剤は、製剤の形態によって決まる適切な容器に入って提供される。
【0115】
一実施形態では、活性薬剤製剤は、2種またはそれより多くの別個の成分として提供される。たとえば、活性薬剤が、密閉包装の乾燥粉末として提供され、賦形剤が、バイアルまたは他の容器に入れて提供される場合がある。活性薬剤と賦形剤に適する混合容器が提供される場合がある。
【0116】
c.キットにおける他の材料
キットは、臭気除去剤をさらに収容してもよい。臭気除去剤は、還元用製剤(reducing formulation)中に組み込むことができる。あるいは、臭気除去剤は、活性製剤を毛髪から洗い流す前または後に使用するのに適する容器中に存在する。適切な臭気除去剤は、当業者に公知である。
【0117】
IV.使用方法
縮毛緩和過程の間または直後に毛髪を処理するための方法について、本明細書に記載する。一部の実施形態では、方法は、両方の構成要素を含有する組合せ製剤において使用する活性薬剤製剤の縮毛緩和剤製剤の量に対する相対的な量を制御することにより、(縮毛緩和用製剤での)毛髪縮毛緩和処理の間に達成および/または保持される巻き毛のレベルを制御、選択、または調節することを含む。
【0118】
一部の実施形態では、毛髪を処理するための方法は、1種または複数の縮毛緩和剤を含有する第1の製剤を毛髪に適用するステップと、上述のとおりの式I、II、および/またはIIIの1種または複数の活性薬剤を含む第2の製剤を毛髪に適用するステップとを含む。
【0119】
これらの方法によって、縮毛緩和剤単独での毛髪の処理に比べて損傷または破損が低減された毛髪が作り出される。さらに、第2の製剤の1種または複数の活性薬剤の量は、処理された毛髪において、巻き毛保持パーセントとして表すことのできる巻き毛のレベルを保持するのに有効である。
【0120】
A.水酸化物縮毛緩和過程の間または後の毛髪の処理
毛髪を直毛化する際の最初のステップは、毛髪における結合を壊すことである。結合を壊す過程は、苛性薬剤の適用に起因する。普通の毛髪直毛化手順において縮毛緩和剤を適用する過程は、当業者に公知である。たとえば、毛髪を縮毛緩和または直毛化するために、毛髪をまず洗浄する。次に、水酸化ナトリウム含有溶液またはローションなどの、1種または複数の縮毛緩和剤を含有する製剤を毛髪に適用する。毛髪を指定された期間定着(set)させ、次いで縮毛緩和用製剤を毛髪からすすぎ落とす。任意選択で、中和用製剤を、縮毛緩和された毛髪に適用してもよい。
【0121】
一実施形態では、本明細書に記載の活性薬剤は、縮毛緩和過程の間に毛髪に適用することができる。活性薬剤は、直毛化過程の間に縮毛緩和剤と同時に適用することが好ましい。一部の他の実施形態では、縮毛緩和用製剤をすすぎ落としていようがいまいが、縮毛緩和用製剤の適用直後に活性薬剤を適用することができる。活性薬剤製剤は通常、縮毛緩和用製剤を適用した同じ日(すなわち、24時間以内)に適用される。
【0122】
a.毛髪をすすぐまたは洗浄する
任意選択で、活性薬剤製剤を適用する前に、毛髪をシャンプー洗浄および/またはコンディショニングしてもよい。あるいは、活性薬剤製剤の適用前に毛髪を中和する、および/または水ですすぐだけでもよい。
【0123】
b.活性薬剤製剤を毛髪に適用する
活性薬剤製剤は、毛髪に、縮毛緩和過程の間に同時に(すなわち、縮毛緩和剤含有製剤と組み合わせて)、または縮毛緩和剤製剤の適用直後に適用され、あるいは、縮毛緩和用製剤の適用直後に短い間隔の時間をおいて適用される。本明細書で使用する「短い間隔」とは、1秒~30分、1分~20分、または5分~15分の範囲の時間を指す。ある特定の他の実施形態では、活性薬剤製剤は、毛髪への縮毛緩和用製剤の適用/処理に続いて同じ日のうちに適用される。
【0124】
一部の実施形態では、1種または複数の縮毛緩和剤を含有する第1の製剤と、1種または複数の活性薬剤を含有する第2の製剤を合わせ、混合し、両方のタイプの薬剤を含有する単一の組合せ製剤として、縮毛緩和/直毛化過程を受けている毛髪に適用する。一部の実施形態では、組合せ製剤における縮毛緩和剤と活性薬剤との重量比は、毛髪において、毛髪の縮毛緩和されていない(たとえば、生来の)巻き毛の量と比べた巻き毛保持パーセントとして表すことのできる特定のレベルの巻き毛を制御および保持するように選択される。通常、縮毛緩和剤の量に対して活性薬剤の量が少ないほど、直毛化の程度が大きくなる。逆に、組合せ製剤中に存在する活性薬剤の縮毛緩和剤に対する量が多いほど、巻き毛保持のレベルが高くなる。同様に、他の実施形態では、処理された毛髪において保持される巻き毛のレベルは、第2の製剤中に存在する活性薬剤の量によって決定され、使用する活性薬剤の量は、より低い百分率の巻き毛保持については、より高い百分率の巻き毛保持に使用する活性薬剤の量より少ない。
【0125】
したがって、アルカリ液もしくはアルカリ系縮毛緩和剤または水酸化物含有縮毛緩和剤で処理されている毛髪において保持される巻き毛のレベルを、選択された量の1種または複数の活性薬剤を適用することにより調節することが可能である。
【0126】
一部の実施形態では、縮毛緩和剤を含有する第1の製剤と、活性薬剤を含有する第2の製剤との重量比は、約1:99~約99:1、より好ましくは約10:1~約1:10の範囲であり、重量比は、毛髪の縮毛緩和されていない生来の巻き毛(すなわち、縮毛緩和処理の前)のレベルを保持するのに有効である。第1の製剤と第2の製剤との重量比は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1であってもよい。一部の好ましい実施形態では、第1の製剤と第2の製剤との重量比は、8:1である。他の好ましい実施形態では、第1の製剤と第2の製剤との重量比は、4:1である。これらの比は、実施例において示すとおり、Mizani(登録商標)Rhelaxerなどの市販の縮毛緩和剤に対して特に有用である。活性薬剤を含有する第2の製剤の量、およびそこに存在する活性薬剤の濃度は、他の縮毛緩和剤を使用するとき、必要に応じて変更して、同様の結果を達成することができる。市販の水酸化物系縮毛緩和剤製剤は通常、約12~14のpHを有し、範囲の両端の水酸化物イオン濃度の差は、約100倍となる。したがって、活性薬剤の量は、使用する縮毛緩和用製剤のpHに応じて変更してよく、緩衝化剤が存在する場合、各縮毛緩和剤の緩衝能に従ってさらに調整することができる。
【0127】
さらに他の実施形態では、縮毛緩和剤を含有する第1の製剤と、活性薬剤の重量との重量比は、約1:99~約99:1、より好ましくは約10:1~約1:10の範囲であり、重量比は、毛髪の縮毛緩和されていない生来の巻き毛(すなわち、縮毛緩和処理の前)のレベルを保持するのに有効である。一部の好ましい実施形態では、第1の製剤と、活性薬剤の重量との重量比は、40:1である。他の好ましい実施形態では、第1の製剤と、活性薬剤の重量との重量比は、20:1である。
【0128】
本明細書で使用するとき、「巻き毛保持パーセント」および「巻き毛保持の百分率」は、毛髪の縮毛緩和されていない生来の巻き毛の量(すなわち、縮毛緩和剤での処理より前)と比べた、処理の後に保持される巻き毛のレベルを指すのに互換的に使用される。処理された毛髪(たとえば、サンプルの毛髪)の巻き毛保持パーセントを求める一つの例示的な方法は、式:
巻き毛保持パーセント=(Lext-Lf)/(Lext-Li)×100
を使用する計算に基づき、
ここで、Lextは、完全に延ばしたときの処理前の毛髪の長さであり、Lfは、処理後の毛髪の最終的な(延ばしていない)長さであり、Liは、その生来の巻き毛の量を有するその初期の(すなわち、縮毛緩和されていない)状態の毛髪の初期の(延ばしていない)長さであり、Lextは、Liと等しくない。たとえば、活性薬剤および縮毛緩和剤での処理後に保持される巻き毛のレベル(巻き毛保持パーセント)は、約0~99%の範囲、より好ましくは約90%未満、より好ましくは約80%未満、より好ましくは約70%未満、より好ましくは約60%未満、より好ましくは約50%未満であり得る。ある特定の実施形態では、保持される巻き毛のレベルは、0%~10%の間である。他の実施形態では、巻き毛保持パーセントは、50%より高い。
【0129】
毛髪に巻き毛がほとんどまたはまったく残らない状態で毛髪が直毛化される実施形態では、巻き毛保持のレベルは、約10%未満、たとえば、約10%~0%、約5%~0%、または約1%~0%である。
【0130】
処理後の毛髪の巻き毛保持のパーセントは、1週間~6か月、より好ましくは2週間~4か月、最も好ましくは1か月~3か月の範囲の期間、その巻き毛のレベルに認識できる変化がないまたは実質的に認識できる変化がない(すなわち、約5%、4%、3%、2%、または1%未満)まま維持することができる。一部の実施形態では、巻き毛保持の百分率は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、またはこれより長い間維持することができる。
【0131】
一部の実施形態では、第1の縮毛緩和剤含有製剤の適用直後に、活性薬剤含有の第2の製剤を毛髪に適用するが、他の実施形態では、活性薬剤を含有する製剤を適用する前に、短い間隔の時間をおくことが可能である(たとえば、縮毛緩和用製剤適用後10、15、25、30、45、もしくは60秒、またはこれより長時間)。処理される毛髪は、活性薬剤を含有する製剤を適用する前に、洗浄もすすぎも行う必要がない。一部の実施形態では、縮毛緩和剤の適用とその後の活性薬剤製剤の適用の間に入る期間、および/または毛髪を縮毛緩和するため適用する活性薬剤製剤の量を使用して、縮毛緩和された毛髪における巻き毛保持パーセントを制御することができる。一部の実施形態では、縮毛緩和剤を含有する製剤の適用と活性薬剤を含有する製剤の適用の間の時間量を、所望の量または範囲の巻き毛保持パーセントが達成されるように選択することができる。
【0132】
一部の実施形態では、活性薬剤製剤は、単回の適用で適用してもよいし、または必要に応じて1回または複数回適用を繰り返してもよい。通常、適用する活性薬剤製剤の量は、毛髪にたっぷり含ませるのに十分なものである。各適用において毛髪に適用される活性製剤の体積は、毛髪の長さおよび体積に応じて、1人あたり約1~約100mLであってもよい。一部の実施形態では、活性薬剤の適用は、活性薬剤製剤の最初の適用後直ちに(たとえば、約10~15秒以内に)、または約1分~5分の間に、5分を超えて、約5分~10分の間に、10分を超えて、約10分~20分の間に繰り返すことができる。
【0133】
縮毛緩和剤と組み合わせて、または縮毛緩和処理の適用に引き続いて直ちに適用される、本明細書に記載の活性薬剤製剤では、外観(たとえば、光沢)や感触などの毛髪の質を向上させ、湿潤および乾燥強度を増大させ、毛髪が染色などの後続の処理に供されるときの毛髪破損を低減することができる。
【0134】
一部の実施形態では、毛髪破損は、活性薬剤での処理後、活性薬剤製剤の使用を除いて縮毛緩和された毛髪に比べて、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、もしくは75%、またはそれを上回って低減し得る。毛髪破損は、典型的な毛髪縮毛緩和処理の間に遭遇する重大な問題である。
【0135】
c.縮毛緩和および/または活性薬剤製剤を毛髪から除去する
活性薬剤製剤の適用を含む縮毛緩和過程に引き続いて、処理された毛髪は、洗浄、すすぎ、シャンプー洗浄、またはコンディショニングにかけることができる。毛髪は、活性薬剤含有製剤の適用後直ちに(たとえば、適用後10、15、25、30、45、60秒(1分)、2分、3分、4、または5分以内に)すすぎ、引き続いて洗浄してもよい。あるいは、毛髪は、毛髪タイプに応じて、第1および第2の製剤を適用後約60分以内、適用後約45分以内、活性薬剤製剤を毛髪に最終的に適用してから約5分~約20分の間、または約10分後に、すすぎ、シャンプー洗浄、またはコンディショニングにかけてもよい。本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、縮毛緩和用製剤と活性薬剤製剤が同時に適用されるとき、適用してから約45分後に、処理された毛髪を、洗浄、すすぎ、シャンプー洗浄、またはコンディショニングにかける。本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、活性製剤が縮毛緩和剤製剤の適用後直ちに(すなわち、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60秒(1分)、2分、3分、4、または5分以内に)適用されるとき、活性薬剤製剤を適用してから約15分後に、処理された毛髪を、洗浄、すすぎ、シャンプー洗浄、またはコンディショニングにかける。
【0136】
あるいは、毛髪を洗浄、すすぎ、シャンプー洗浄、またはコンディショニングにかけてもよく、引き続いて、毛髪から洗浄またはすすぎ落とす必要がない活性薬剤製剤を適用してもよい。
【0137】
活性薬剤は、縮毛緩和した毛髪に存在するチオールと共有結合性に反応することができ、チオールは、活性薬剤の適用後少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1か月間、架橋したままである。チオールは、活性薬剤の適用後、より長い期間、たとえば、約3か月間、または3か月より長期間、たとえば、少なくとも1年間、架橋したままである場合がある。反応は、安定な反応であるため、(縮毛緩和過程と同時にまたはそれに引き続いて)染毛処理に供したとしても、チオールは、架橋したままとなる。
【実施例】
【0138】
(実施例1:ビスマレエート活性薬剤を水酸化物含有縮毛緩和剤と組み合わせて使用する、毛髪の制御された縮毛緩和)
概要
毛髪試料は、ヒト被験体から得て、1/2インチのウェフト幅でカットした。
【0139】
縮毛緩和剤:Mizani(登録商標)Rhelaxer普通強度
【0140】
活性薬剤含有縮毛緩和用製剤:1オンスの市販の水酸化物製剤を、20重量パーセントの2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)ジマレエートを活性薬剤として有する製剤0.25オンスを含有する液体溶液とさらに混合した。
【0141】
方法
活性薬剤含有縮毛緩和用製剤を、毛髪試料に刷毛で塗り込み、周期的に櫛ですきながら45分間放置した。引き続いて溶液をシャンプーで洗浄し、コンディショニングし、乾かした。
【0142】
結果
活性薬剤と水酸化物(アルカリ液)縮毛緩和剤を組み合わせることで、対照(活性薬剤を含有していない縮毛緩和用製剤)より巻き毛の多い縮毛緩和した毛髪が作り出された。アルカリ液系縮毛緩和剤と活性薬剤製剤の組合せによって処理された縮毛緩和した毛髪の外観および手触りから、毛髪のコンディショニングが対照に比べてはるかに向上したこと(より低い多孔度で、より強い、改善された感触、より柔らかい)が実証された。
【0143】
(実施例2:ビスマレエート活性薬剤を水酸化物含有縮毛緩和剤と組み合わせて使用する、毛髪の制御された縮毛緩和)
概要
毛髪試料は、ヒト被験体から得て、1/2インチのウェフト幅でカットした。
【0144】
縮毛緩和剤:Mizani(登録商標)Rhelaxer普通強度
活性薬剤含有縮毛緩和用製剤:1オンスの市販の水酸化物製剤を、20重量パーセントの2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)ジマレエートを活性薬剤として有する製剤0.125オンスを含有する液体溶液とさらに混合した。
【0145】
方法
活性薬剤含有縮毛緩和用製剤を、毛髪試料に刷毛で塗り込み、周期的に櫛ですきながら45分間放置した。次いで毛髪をシャンプーで洗浄し、コンディショニングし、乾かした。
【0146】
結果
実施例1で試験した製剤に比べて活性薬剤の含有量を減らした活性薬剤と水酸化物(アルカリ液)縮毛緩和剤の組合せでは、実施例1より巻き毛が少ないが、対照(活性薬剤を含有しない縮毛緩和剤)に比べると巻き毛の多い縮毛緩和した毛髪が作り出された。
【0147】
アルカリ液系縮毛緩和剤と活性薬剤製剤の組合せによって処理された縮毛緩和した毛髪の外観および手触りから、毛髪のコンディショニングが対照に比べてはるかに向上したこと(より低い多孔度で、より強い、改善された感触、より柔らかい)が実証された。
【0148】
(実施例3:活性薬剤としてのマレイン酸を水酸化物含有縮毛緩和剤と組み合わせて使用する、毛髪の制御された縮毛緩和)
概要
毛髪試料は、ヒト被験体から得て、1/2インチのウェフト幅でカットした。
【0149】
縮毛緩和剤:Mizani(登録商標)Rhelaxer普通強度
【0150】
活性薬剤含有縮毛緩和用製剤:1オンスの市販の水酸化物製剤を、10重量パーセントのマレイン酸を活性薬剤として有する製剤0.25オンスを含有する液体溶液とさらに混合した。
【0151】
方法
活性薬剤含有縮毛緩和用製剤を、毛髪試料に刷毛で塗り込み、周期的に櫛ですきながら45分間放置した。引き続いて溶液をシャンプーで洗浄し、コンディショニングし、乾かした。
【0152】
結果
活性薬剤と水酸化物(アルカリ液)縮毛緩和剤を組み合わせた結果、対照(活性薬剤を含有していない縮毛緩和用製剤)より巻き毛の多い縮毛緩和した毛髪が得られた。アルカリ液系縮毛緩和剤と活性薬剤製剤の組合せによって処理された縮毛緩和した毛髪の外観および手触りから、毛髪のコンディショニングが対照に比べてはるかに向上したこと(より低い多孔度で、より強い、改善された感触、より柔らかい)が実証された。
【0153】
(実施例4:アルカリ液で縮毛緩和した毛髪を、ビスマレエート活性薬剤を使用して処理する)
概要
毛髪試料は、ヒト被験体から得て、1/2インチのウェフト幅でカットした。
【0154】
縮毛緩和剤:Mizani(登録商標)Rhelaxer普通強度
【0155】
活性薬剤製剤:活性薬剤としての20重量パーセントの2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)ジマレエートの製剤0.5オンスを、水(3オンス)中に調製した。
【0156】
方法
市販の縮毛緩和用製剤を、毛髪試料に刷毛で塗り込み、周期的に櫛ですきながら45分間放置した。次いで毛髪をシャンプーで洗浄し、コンディショニングし、乾かした。
【0157】
次いで、活性薬剤製剤を、乾かした縮毛緩和した毛髪に適用し、15分間静置した。次いで毛髪をシャンプーで洗浄し、コンディショニングし、乾かした。
【0158】
結果
最初にアルカリ液系縮毛緩和剤で処理し、引き続いて活性薬剤製剤で処理した毛髪の外観および手触りから、毛髪のコンディショニングが対照に比べてはるかに向上したこと(より低い多孔度で、より強い、改善された感触)が実証された。処理後、毛髪には、活性薬剤を使用せずにアルカリ液で縮毛緩和した直後の毛髪に比べて、もとの巻き毛が多少戻った。
【0159】
別段定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、開示する発明が属する分野の業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で引用した刊行物およびそれを引用した目的の材料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0160】
当業者なら、本明細書に記載した本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識し、または慣例にすぎない実験を使用して確かめることができよう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。