(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】吸入器のための蒸発器ユニット及び蒸発器ユニットを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20230829BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230829BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2018098402
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】10 2017 111 435.1
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ケルバー・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ケスラー
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03061358(EP,A1)
【文献】特表2017-506890(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177043(WO,A1)
【文献】特表2014-533932(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105852229(CN,A)
【文献】特開平03-232481(JP,A)
【文献】特表2015-516809(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03078281(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0136301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱要素(36)を有する吸入器のための蒸発器ユニット(20)であって、該蒸発器ユニット(20)が液体を蒸発させるために設けられており、蒸発された液体が、前記蒸発器ユニット(20)を通って流れる空気流によって取り入れられる、前記蒸発器ユニットにおいて、
当該蒸発器ユニット(20)が、表面(41)を有する、通気性の少なくとも1つの毛細管構造(40)を備えており、前記表面が、液体を予熱するために加熱可能であるとともに少なくとも部分的に液体で湿潤可能であり、毛細管作用によって液体を供給され、前記加熱要素(36)が、前記蒸発器ユニット(20)を通って流れる空気流を加熱するために設けられており、前記毛細管構造(40)が、前記加熱要素(36)の下流に配置されており、その結果、加熱された空気流により、予熱された液体が蒸発されること、前記毛細管構造(40)が、配線要素(43)によって互いに電気的に接続された複数の構造要素(44)を含んでいること、該構造要素(44)が、加熱された空気流(F2b)の流れ方向において相前後して配置されていること、前記構造要素(44)が、格子状、蛇行状、渦巻状、らせん状、メッシュ状、フリース状又は組織状であること、及び前記毛細管構造(40)が導電性の材料で構成されており、電気エネルギーを熱エネルギーへ変換するために毛細管構造に本来備わる電気抵抗が用いられ、その結果、毛細管構造の表面における液体を蒸発させるように毛細管構造が加熱されていることを特徴とする蒸発器ユニット。
【請求項2】
前記加熱要素(36)が、液体の沸点より高い温度へ空気流を加熱するために設けられていること、及び/又は前記毛細管構造(40)が、液体の沸点より低い温度へ、及び/又は少なくとも100℃の温度へ液体を加熱するために設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器ユニット。
【請求項3】
前記毛細管構造(40)が、第1の電気的/電子的なユニット(70)によって加熱可能であり、該第1の電気的/電子的なユニット(70)が、前記加熱要素(36)を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸発器ユニット。
【請求項4】
第1の電気的/電子的なユニット(70)が、前記加熱要素(36)を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために設けられており、前記毛細管構造(40)が、第2の電気的/電子的なユニット(71)を用いて加熱可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項5】
前記毛細管構造(40)が、フリース状又は組織状であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項6】
前記毛細管構造(40)が、基材と、該基材内で延びる通路及び/又はリブとを有するマイクロメカニカルに形成された構造であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項7】
前記毛細管構造(40)の構造要素(44)及び/又は前記加熱要素(36)の加熱構造(26)の形状及び幾何形状が、生物工学的な構造に依拠していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項8】
前記毛細管構造(40)の少なくとも1つの動作条件が、センサ(7)によって測定可能であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項9】
前記毛細管構造(40)が、結合装置(42)を用いて液体貯蔵部(18)に結合可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項10】
前記結合装置(42)が、毛細管作用を用いて液体を搬送するために設けられていることを特徴とする請求項9に記載の蒸発器ユニット。
【請求項11】
前記結合装置(42)が、フリースであることを特徴とする請求項9又は10に記載の蒸発器ユニット。
【請求項12】
前記結合装置(42)が絶縁性の材料で構成されていることを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項13】
前記結合装置(42)がカプセル化されていることを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット。
【請求項14】
液体貯蔵部(18)と、請求項1~
13のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット(20)とを有するカートリッジ(21)。
【請求項15】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット(20)を有する吸入器(10)。
【請求項16】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の蒸発器ユニット(20)を、前記加熱要素(36)を第1の電気的/電子的なユニット(70)によって開ループ制御及び/又は閉ループ制御し、前記毛細管構造(40)を第2の電気的/電子的なユニット(71)によって開ループ制御及び/又は閉ループ制御することで制御する方法。
【請求項17】
前記毛細管構造(40)及び/又は前記加熱要素(36)が、不連続に加熱されることを特徴とする請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱要素(36)及び/又は前記毛細管構造(40)の加熱出力が、温度上限において低減されることを特徴とする請求項
16又は
17に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱要素(36)及び/又は前記毛細管構造(40)の加熱出力が、温度設定による、ガイドされた蒸発が保証されるように閉ループ制御されることを特徴とする請求項
16~
18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱要素を有する吸入器のための蒸発器ユニットであって、この蒸発器ユニットが液体を蒸発させるために設けられており、蒸発された液体が、蒸発器ユニットを通って流れる空気流によって取り入れられる、前記蒸発器ユニットに関するものである。さらに、本発明は、蒸発器ユニットを制御するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子たばこは、例えばグラスファイバ又はコットンから成るウィックと、ウィックの周囲に巻き付けられた加熱ワイヤ又はウィック上に載置されるか、あるいはウィックを包囲する加熱格子とで構成されている。液体は、ウィックへ吸引され、加熱ワイヤ又は加熱格子への電圧の印加によりそこで蒸発される。この方法は、深刻な欠点を有している。第1には、ウィックと加熱装置の配置が加工に起因して大きく変化してしまう。これにより、生産サンプルに応じて、吸い込みごとに異なる量の液体、したがってニコチンが蒸発されることとなる。第2に、加熱装置にいわゆるホットスポット(Hot-Spots)が生じてしまう。液体(リキッド)が用いられない加熱装置の範囲、加熱ワイヤにおける脆弱箇所若しくは加熱格子における構造欠陥又は特に加熱ワイヤの密に巻き付けられた範囲は、加熱装置の他の範囲よりも大きく加熱される。これらの範囲では、固有抵抗が増大し、これにより加熱出力が更に高まり、その結果、全体的に明確に過熱箇所が生じる。結果として、有害な分解生成物及びいわゆる「ドライパフ」が生じ得る。第3に、低沸点の液体成分の蒸発によって、加熱装置の直近における液体が高沸点の成分によって濃縮されてしまう。これにより、極端な場合には、液体がこの層からわきへ離れてのみ沸騰するとともに蒸発していない高沸点の液体を加熱装置近傍の層から連れ去ることにつながり得る。これにより、液体の不都合で爆発的な噴射につながってしまう。
【0003】
例えば特許文献1に記載されているような、ウィック-スパイラル-原理(Docht-Wendel-Prinzip)により構成された実際の電子たばこは、様々な欠点を有している。第1に、液体の蒸発及び液体の配量が互いに分離されていない。第2に、蒸発量及び加熱装置温度が直接的に関連しており、すなわち、大きな蒸発量により高い蒸発器温度が生じてしまう。第3に、局所的な液体-過熱及び有害物質の発生のおそれを伴って、蒸発器の範囲において温度範囲が不均一となってしまう。第4に、蒸発器範囲でのウィック表面/スパイラル表面における温度がウィック内のコア温度と異なり、これにより、各蒸発過程あるいは吹き出し(Puff)又は吸い込み(Zug)中に液体成分の濃度変化が変化してしまう。さらに、この濃度変化により、液体貯蔵部内にまだある液体の組成が徐々に変化し、すなわち、遊離された物質量も、均等ではなく、各吸い込みの間に変化する。
【0004】
いわゆるE-液体(E-Liquid)に基づく吸入可能なエアロゾルの発生は、電子たばこの主な機能である。このとき、投与されたE-液体は、蒸発するとともに、部分的又は全体的な再凝縮(Rueckkondensation)によって、共に吸い込まれる空気流との混合時にエアロゾルを生成する。このとき、液滴の大きさは、ファクタ、とりわけ空気中の凝結核及び冷却速度に依存し、これらファクタは、制御可能でないか、わずかにのみ制御可能であるとともに、応用において従来のたばこに比べて遅いニコチン摂取(Nikotinaufnahme)、したがって満足感の低減につながり得る。蒸発方法において液滴の大きさ及び液滴の組成に影響を与えることができる可能性が望まれる。
【0005】
電子たばこの従来のウィック-スパイラル-蒸発器におけるE-液体の蒸発時には、グリセリンが添加された組成がウィック内に生じ、この組成においては、気相組成(Gasphasenzusammensetzung)が、後から流れてくる液体の組成に対応している。これには、適当な沸点が含まれる。ウィック内には、グリセリンが添加された組成が加熱スパイラルの近傍に生じ、この組成は、ウィックに沿って一定ではない。この場合、加熱装置を包囲するウィックの部分範囲には、蒸気形成の範囲における液体が一定の組成を有する場合よりも、すなわち良好に混合されている場合よりも高い沸点が生じる必要があることを示すことができる。さらに、ウィック断面における組成階調度(Zusammensetzungsgradient)は、良好にコントロールできない、ウィック中心部における自然発生的な液体の蒸発をもたらしかねず、これは、液滴の連れ去りにつながるものである。液体の熱的な分解を避けるようにできる限りわずかな温度でのできる限り均一な蒸発のために、この状態は回避されるべきである。
【0006】
熱が加熱面あるいは固定された壁面を通して液体へもたらされる、蒸発のための別の方法も、バルク沸騰(Blasensieden)又は膜沸騰(Filmsieden)と、これに伴う、大きな液滴の自然発生的な遊離及び局所的な過熱のおそれを伴う局所的に大きな静的でない蒸発過程とが引き起こされる。なぜなら、熱の供給及び気相の形成が阻害されるためである。
【0007】
特許文献2から、MEMS技術における蒸発器構造が知られている。ここでは、加熱装置が閉鎖されたダイヤフラム上に配置されているため、蒸気の出口箇所及び加熱箇所は分離されている。そのため、ここでは上述の液体の爆発的な噴射も発生し得る。加えて、ここでは、加熱装置及び温度センサがこのダイヤフラムにおける別々の箇所に設けられるため、局所的な加熱装置の温度を直接測定することができない。動作様式に関しては記述がなされていないため、連続的な、非パルス式の動作に基づく必要がある。したがって、後続の大きな温度上昇を伴う、加熱装置における完全な蒸発のおそれがある。本発明の利点として、好都合な製造及び取付並びに温度センサ及び流れセンサとの結合が挙げられる。しかしながら、従来の電子たばこの上述の欠点を、これにより一義的に除去することはできない。
【0008】
従来の電子たばこの加熱要素は、例えばクロム-ニッケル-ワイヤ、特殊鋼又は他の金属合金から成る。これら合金は、その固有抵抗が温度と共に上昇し、その結果、良好に冷却されない範囲が、大きな抵抗を有し、したがって大きな加熱出力を必要とする。この自己増幅プロセスにより、やはり大きく制御不能な有害物質の遊離を引き起こす過剰に大きな不均一な温度分布となってしまう。加えて、金属の触媒作用が有害物質の多くの発生につながり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2016/0021930号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0007653号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、液体を気相へ信頼性をもって、かつ、繰り返し可能に移行させることが可能な、単純で信頼性を有する、繰り返し可能に動作する蒸発器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明により、独立請求項の特徴によって解決される。本発明によれば、加熱要素が空気流を加熱するために設けられており、蒸発器は、加熱要素から下流に向かって配置されており、蒸発器は、表面を有する、通気性の少なくとも1つの毛細管構造を備えており、この表面は、液体貯蔵部からの液体で少なくとも部分的に湿潤可能であり、毛細管作用によって液体を供給される。蒸発された液体を補償するための毛細管構造の毛細管作用による液体の自動的な後流に基づき、別々のアクティブな搬送機構が不要であり、これにより、わずかな手間となるとともに、必要な構造空間が削減される。
【0012】
加熱要素の下流に配置された通気性の毛細管構造を有する蒸発器により、加熱出力及び蒸気の蒸発及び配量の極端に正確な時間的な制御が可能となる。
【0013】
好ましい実施形態においては、毛細管構造は、少なくとも部分的に導電性の材料で構成されている。この実施形態では、毛細管構造は、電流を導き、したがってエネルギー及び/又は信号を伝達することが可能である。
【0014】
好ましくは、毛細管構造は加熱可能である。加熱可能な毛細管構造により、液体の蒸発に必要な加熱出力を加熱要素と毛細管構造の間で分配することが可能である。毛細管構造の加熱により、好ましくは、例えば後から流れる液体をほぼ沸点へ、好ましくは沸点より低い温度へ加熱するのに必要な出力に対応する基本加熱が生じる。沸点より低い温度では、液体は、蒸発されず、毛細管構造における、及び/又は毛細管構造の表面における毛細管作用によって搬送されることが可能である。加熱要素は、空気を設定された温度、好ましくは液体のほぼ沸点へ、特に好ましくは沸点より高い温度へ加熱することができるとともに、毛細管構造の表面に存在する液体を蒸発させることが可能である。換言すれば、液体の制御された予熱は、好ましくは毛細管構造における沸点をぎりぎり下回る温度まで行われる。そして、加熱要素によって発生する加熱された空気は、本質的に、蒸発閾値を上回るための液体への熱入力を得るために必要な蒸発エンタルピーの差のみを提供する。
【0015】
この実施形態は、毛細管構造が更に導電性である場合に特に有利である。毛細管構造が導電性であれば、電気エネルギーを熱エネルギーへ変換するために、したがって毛細管構造の表面における液体を蒸発させるように毛細管構造を加熱するために、毛細管構造に本来備わる電気抵抗を用いることが可能である。表面における可能な熱流密度はバルク沸騰時よりも小さいが、このことは、空間的に構成された毛細管構造の適当に大きな表面によって補償される。これにより、毛細管構造の大きな表面とその統合された加熱との組み合わせにおいて、不都合な規模での過熱又はバルク沸騰が生じることなく、所望の量での液体の蒸発を行うことが可能であることが保証される。
【0016】
液体混合物の沸点より高い温度へ空気流を加熱し、及び/又は毛細管構造を、液体混合物の沸点より低い温度へ、及び/又は少なくとも100℃の温度へ、好ましくは少なくとも150℃の温度へ、更に好ましくは少なくとも200℃の温度へ、更に好ましくは少なくとも250℃の温度へ液体を加熱することが有利である。空気流における温度を沸点より高い温度へ加熱すること、及び/又は毛細管構造を沸点よりも高い温度へ、及び/又は上記の値のうちいずれかより高い温度へ加熱することは、毛細管構造における気泡のない蒸発及び毛細管構造内又は毛細管構造上での信頼性をもった液体搬送に寄与する。
【0017】
毛細管構造が、第1の電気的/電子的なユニットによって加熱可能であり、この第1の電気的/電子的なユニットが、加熱要素を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために設けられていることが有利である。この実施形態は、加熱要素及び毛細管構造へ電力を供給するパワーエレクトロニクス機器によってのみ生じる。好ましくは、出力の分配は、加熱要素及び毛細管構造の電気抵抗の比率の調整によって行われる。温度に依存する出力消費は、サーミスタ、すなわち異なる抵抗-温度特性を有する加熱材料の適切な選択によって可能である。加熱要素及び毛細管構造の抵抗の検出は、各電圧降下を測定することで行うことができる。典型的には、パワーエレクトロニクス機器は、パルス幅変調によって閉ループ制御及び/又は開ループ制御されて動作されるとともに、電流源によってエネルギーを供給される。
【0018】
第1の電気的/電子的なユニットが、加熱要素を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために設けられており、毛細管構造が、第2の電気的/電子的なユニットを用いて加熱可能であることが有利である。加熱要素は、パワーエレクトロニクス機器によって、典型的にはパルス幅変調によって閉ループ制御及び/又は開ループ制御されて動作され、このパワーエレクトロニクス機器は、ここでも電流源によってエネルギーを供給される。毛細管構造の加熱は、理想的には電気的な自己加熱、すなわちオーム抵抗により、第2のパワーエレクトロニクス機器によって開ループ制御又は閉ループ制御されて行われる。第1及び第2の電気的/電子的なユニットそれぞれについての2つの別々の電流源の存在も考えられる。
【0019】
有利には、毛細管構造は、空気流の流通方向において、及び/又はこの流通方向の好ましくは平面的な延長部に対して横方向において、5~95%、好ましくは10~90%、15~85%、20~80%、特に好ましくは30~70%、35~65%の多孔性を有している。ここで、多孔性とは、例えば空気流の通過部に対する毛細管構造の孔面の割合の意味合いにおいて、材料面に対する自由面の比率と理解されることができる。
【0020】
好ましくは、毛細管構造は、フリース状又は組織状、特に折りたたまれた、又は巻かれた金属織物の形態となっている。この実施形態は、理想的には空間的な構造により、液体で湿潤可能なできる限り大きな内部の表面を考慮するものであり、これにより、毛細管構造と液体の間の効果的で目的に合致した熱伝達が達成される。これら実施形態は、毛細管作用によって、毛細管構造の内部及び/又は毛細管構造の表面において液体を搬送することに適している。
【0021】
好ましくは、毛細管構造は、基材と、この基材内で延びる通路及び/又はリブとを有するマイクロメカニカルに形成された構造(マイクロエレクトロメカニカル構造又はMEMS構造)である。この実施例により、毛細管構造の特に大きな表面がもたらされ、このことは、目的に合致した蒸発を可能とするものである。通路及び/又はリブの目的に合致した、又は目的に合致しない設置により、毛細管作用によって、毛細管構造の内部及び/又は毛細管構造の表面において液体を搬送することが可能となる。
【0022】
好ましくは、毛細管構造の構造要素及び/又は加熱要素の加熱構造の形状及び幾何形状が、例えばミクロフィブリルに類似した生物工学的な構造に依拠している。生物工学的な構造は、ここでは空気の加熱及び/又は蒸発されるべき液体の提供に目的に合わせて用いることができる特に大きな表面を有している。生物工学的な構造の形成も、適切に自己組織化されたプロセスによって特に効率的かつ安価に行うことが可能である。
【0023】
好ましくは、毛細管構造の動作条件は、センサによって測定可能である。この実施形態は、好ましくは温度センサを用いて温度監視を行うことを許容するとともに、このとき、毛細管蒸発器が適切な温度係数又はオプションで与えられる温度センサを有している限り、毛細管蒸発器の電気抵抗の計測により行われることができる。好ましくは、このために負特性サーミスタ及び/又は正特性サーミスタ(NTC/PTC)を用いることが可能である。好ましくは、測定の結果閉ループ制御及び/又は開ループ制御可能な動作状態を特徴付ける圧力及び/又は流速及び/又は濃度も測定することが可能である。
【0024】
好ましくは、毛細管構造及び液体貯蔵部は、結合装置によって結合されている。これにより、毛細管構造と液体貯蔵部の空間的な分離を達成することが可能である。これにより、液体貯蔵部における液体の不都合な過熱を有効に回避することが可能である。
【0025】
好ましくは、結合装置は、液体を毛細管作用によって搬送するために設けられている。毛細管作用による結合装置内での液体の搬送は、時間当たりの搬送量が、基礎となる結合装置の設定によって、好ましくは正確に規定された蒸発されるべき液体の量が動作中に搬送され、結合装置と毛細管構造の間の直接的かつ連続的な結合が形成され得るように、調整され得るという利点を有している。加えて、ここでも別々のアクティブな搬送機構を省略することが可能である。
【0026】
好ましくは、結合装置はフリースである。フリースを形成する繊維は、結合装置が所望の量の液体を収容することができ、及び/又は毛細管構造へ供給することができるように設定されることが可能である。フリースを形成する繊維は、例えばコットン、生綿又はグラスファイバで構成されることができる。他の繊維及び組合せも考慮に入れられる。
【0027】
特に好ましくは、結合装置は、電気的に絶縁性の材料で構成されている。毛細管構造が電気的に加熱可能であれば、この実施形態では、結合装置がアクティブに加熱されることも防止される。これにより、ここでも、液体貯蔵部内にある、結合装置に結合された液体の加熱が防止される。
【0028】
結合装置がカプセル化されていることが有利である。結合装置のカプセル化は、結合装置の内部及び/又は表面における液体の蒸発を阻止することが可能である。液体は、カプセル化によってサブ流にさらされない。このことは、毛細管構造の信頼性をもった機能に貢献するものであり、毛細管構造内/上では蒸発がなされるべきである。
【0029】
好ましくは、液体貯蔵部は蒸発器の周囲にリング状に配置されている。液体貯蔵部及び/又は結合装置のリング状の、好ましくは円環状の配置により、毛細管構造への等方性の液体の供給が可能であり、したがって、液体貯蔵部からの液体を毛細管構造へ均等に供給することができ、これにより、毛細管構造の表面における特に均等な液体の蒸発が可能である。
【0030】
さらに、好ましくは蒸発器から下流へ向けて、少なくともメイン空気通路を通って流れる空気をフィルタするためのフィルタを設けることが可能である。有利には、このフィルタは、蒸発器管部の後方に間隔をもって配置されている。
【0031】
有利な実施形態においては、加熱要素及び蒸発器が空気が通過して流れるメイン空気通路内に配置されており、メイン空気通路は、好ましくは両側で開放された蒸発器管部の内部空間によって、好ましくは入口側及び/又は出口側で自由に通過して流れることが可能な蒸発器管部によって形成されることができる。さらに、蒸発器ユニットは好ましくはサブ空気通路を備えており、サブ空気通路内では、蒸発器ユニットへ吸引された空気が加熱要素及び蒸発器をう回して流れる。したがって、有利には、サブ空気通路が少なくとも部分的にメイン空気通路に対して平行に、好ましくは同心状に延在している。メイン空気流とサブ空気流への蒸発器ユニットへ入る空気流の分割は、完全に吸い込まれた空気流が液滴蒸発に必要な温度へ加熱される必要がなく、したがって加熱出力が節約されるとともに、過剰に高い出口温度が回避されるという利点を有する。好ましくは、蒸発器から下流へ向けて逆混合領域(Rueckmischungszone)が設けられており、この逆混合領域では、加熱されたメイン空気流のサブ空気流との新たな混合が行われる。液体の蒸発と、これにつづく再凝縮は、空気加熱の出力、毛細管構造の加熱出力及び場合によってはあり得るサブ空気ガイドによって影響され得る。これにより、液滴の大きさの目的に合致した調整及び影響が可能である。
【0032】
好ましくは、メイン空気流とサブ流を通る体積流量の比率を調整することが可能である。メイン空気通路とサブ空気通路を通る体積流量の調整性は、蒸発ユニットの機能にポジティブな影響を与えることができる。なぜなら、流速及び熱搬送が体積流量に依存するためである。調整性は、好ましくは能動的に、及び/又は受動的に行われ得る。能動的な調整性は、電気的/電子的なユニットによる開ループ制御及び/又は閉ループ制御によって実現可能な調整性を意味する。受動的な調整性は、例えば調整機構又は交換部材による一度だけの調整により実現可能な調整性を意味する。
【0033】
サブ空気通路を有さない実施形態も考えられ、この場合、蒸発器ユニットを通って流れる空気全体がメイン空気通路を通って流れる。
【0034】
特に有利には、メイン空気通路は、サブ空気通路の内部に配置されている。このことは、エネルギー上好都合である。なぜなら、サブ空気通路がメイン通路を外方に対して断熱しているためである。特に、メイン空気通路及びサブ空気通路は、互いに同心状に配置されることが可能である。
【0035】
有利には、サブ空気通路は、メイン空気通路と隣り合って、好ましくはメイン空気通路に対して間隔をもって配置されている。この実施形態により、本発明の幾何学的な配置形態についての幅広い多様性が許容される。
【0036】
好ましくは、サブ空気通路の流れ断面は、特にサブ空気通路の入口及び/又は出口において、メイン空気通路の流れ断面よりも大きいか、又は小さい。蒸発器の後方で蒸発された液体によって濃縮された空気流は、有利には、維持されるか、又は低下する温度を伴って蒸発器ユニットにおいて案内される。好ましくは、サブ空気通路が入口及び出口を備えており、好ましくは入口が加熱要素の手前に、及び/又は蒸発器の手前に配置されており、出口が加熱要素の後方に、及び/又は蒸発器の後方に配置されている。
【0037】
加えて、サブ空気通路を設けることで、蒸発ユニットの外部温度と、これに設けられた吸入器の外部温度を低く維持することが可能であるとともに、「高温の蒸発領域」を内部に集約することができ、これにより、場合によってはあり得る、吸入器を保持するときの燃焼のおそれが最小化される。サブ空気通路により、最適な態様で、所望の液滴多様性を設定すること、メイン空気流からの廃熱を使用すること、及び最適な混合の前提条件をもって効率的な混合領域を実現することが可能である。
【0038】
本発明の別の態様によれば、上述の蒸発ユニットを制御するための方法が提供される。
【0039】
有利には、毛細管構造及び/又は加熱要素は、不連続に、特に周期的及び/又はパルス状に加熱される。このことは、加熱要素へのエネルギー入力と、場合によっては毛細管構造へのエネルギー入力とを最適化することが可能であるとともに、蒸発が達成されるべきである場合に要求に応じた加熱を可能とし、加熱出力の閉ループ制御及び開ループ制御を可能とし、液体の再搬送(Nachfoerderung)の役に立ち得る。加熱要素についての1つの時間的な加熱電圧経過Uhk(t)又は複数の時間的な加熱電圧経過Uh(t)と、毛細管構造についての加熱電圧経過Uhk(t)が、液体の後流が温度に依存して保証されるように設定されていることが有利である。したがって、搬送出力及び/又は搬送要求に依存して加熱出力を調整することが可能である。再搬送される液体の量は、好ましくは蒸発された液体の量に対応する。したがって、液体は、蒸発された分だけ後から流れる。温度の調整は、いずれの場合でも考えられる。更に好ましくは、加熱要素及び/又は毛細管構造が温度上限において低下される。これにより、蒸発されるべき液体及び/又は蒸気の過熱及び/又は有害な熱分解が生じないという条件の下で信頼性をもった蒸発が可能である。温度設定に従った蒸発が保証されていることが特に好ましい。上述の方法のうちいずれかによって、液体の最適な蒸発をその組成に適合させることが可能であるとともに、不都合な分解生成物の発生を信頼性をもって防止することが可能である。
【0040】
以下に、本発明を好ましい実施形態に基づき、添付の図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一実施形態における、電子たばこ製品の概略的な断面図である。
【
図2】第1の電気的/電子的なユニットを有する本発明による蒸発ユニットを概略的に示す図である。
【
図3】第1及び第2の電気的/電子的なユニットを有する本発明による蒸発ユニットを概略的に示す図である。
【
図4】周囲に同心状に配置された液体貯蔵部を有する蒸発器の概略的な断面図である。
【
図5】生物工学的な構造についてのミクロフィブリルの概略的な断面図である。
【
図6】
図5によるミクロフィブリルで構成された生物工学的な加熱構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
電子たばこ製品10は、本質的に棒状又は円筒状のハウジング11を含んでいる。ハウジング11内には、少なくとも1つの空気入口開口部31とたばこ製品10の開口端部32の間で空気通路30が設けられている。このとき、たばこ製品10の開口端部32は、消費者が吸入の目的で吸い込み、これによりたばこ製品10が負圧を受け、空気流34が空気通路30内で生じる端部を意味する。少なくとも1つの空気入口開口部31は、ハウジング11のジャケット側に配置されることが可能である。これに加えて、又はこれに代えて、少なくとも1つの空気入口開口部31Aをたばこ製品10の離れた端部33に配置することが可能である。離れた端部33は、たばこ製品10における開口端部32とは反対側の端部を意味する。
【0043】
1つの又は両方の空気入口31,31Aの後ろには、空気流34の流れ通路において、入ってくる空気を加熱あるいは予熱するための空気加熱装置37が配置されている。これにより、エアロゾル形成を最適化することが可能である。空気加熱装置37は、例えばエネルギー供給ユニット14と隣り合って配置されることができるとともに、ハウジング11のジャケット側の周りの周方向へ延びることができ、加熱要素を含むことが可能であり、及び/又は有利には同心状に配置されている。
【0044】
入口開口31を通して吸入される空気は、空気通路30において、場合によっては分離箇所あるいは分離面57を越えて蒸発器ユニット20へ導かれる。蒸発器ユニット20は、液体貯蔵部18からの液体50を霧/エアロゾルとしての小さな液滴の形態及び/又は蒸気としての気体状の形態で添加物として空気流34へ加える。液体貯蔵部18の有利な容積は、0.1~5ml、好ましくは0.5~3ml、更に好ましくは0.7~2mの範囲にあり、又は1.5mlである。液体貯蔵部18は、好ましくは閉鎖された表面を備えているとともに、液体の漏れを防止するために好ましくはフレキシブルな袋であり、したがって液体タンクを含んでいる。液体の供給は、有利には蒸発された液体量によって生じ、すなわち毛細管構造40の設定パラメータである。
【0045】
図1による吸入器10あるいは消費ユニット17における蒸発器ユニット20の幾何学的な寸法及び配置は、概略的なものであるとともに、縮尺どおりではない。特に、蒸発器ユニット20は、
図1に示されているよりも本質的に長くてよく、例えば吸入器10の少なくとも半分の長さにわたって延在することが可能である。
【0046】
たばこ製品10は、有利にはたばこ製品10の離れた端部33において、電気的なエネルギー貯蔵部14及び電気的/電子的なユニット15、すなわち例えば電池及び制御部を有する電子的なエネルギー供給ユニット12を含んでいる。エネルギー貯蔵部14は、特に電気化学式の使い捨てバッテリ又は再充電可能な電気化学式の電池、例えばリチウムイオン電池であってよい。たばこ製品10は、液体貯蔵部18及び蒸発器ユニット20を有する消費ユニット17を更に含んでいる。電気的/電子的なユニット19(不図示)は、同様に消費ユニット17内に配置されることが可能である。
【0047】
別々の電気的/電子的なユニット15,19の代わりに、エネルギー供給ユニット12又は消費ユニット17に配置され得る統合された電気的/電子的なユニットを設けることも可能である。たばこ製品10の電気的/電子的なユニット全体は、以下において制御装置29という。
【0048】
ハウジング11には、有利には少なくとも1つのセンサ7、例えば温度センサが配置されており、その機能については、
図2及び
図3を参照して後述する。これに加えて、又はこれに代えて、圧力センサ又は圧力スイッチ若しくは流れスイッチを設けることができ、制御装置29は、センサから発出されるセンサ信号に基づき、消費者がたばこ製品10の開口端部32において吸入のために吸い込むたばこ製品10の動作状態を確定することが可能である。この動作状態では、液体貯蔵部18からの液体50を霧/エアロゾルとしての小さな液滴の形態及び/又は蒸気としての気体状の形態で添加物として空気流34へ加えるために、制御装置29が蒸発器ユニット20を作動させる。液体の供給は、好ましくは能動的に行われない。
【0049】
液体貯蔵部18に貯蔵された配量されるべき液体(すなわち液体状の成分混合物)は、例えば1.2-プロピレングリコール、グリセリン及び/又は水の混合物であり、この混合物には、1つ又は複数のアロマ(フレーバー)及び/又は例えばニコチンのような作用物質が混合されていることが可能である。
【0050】
消費ユニット17は、有利には消費者によって交換可能なカートリッジ21として、すなわち使い捨て部分として構成されている。特にエネルギー貯蔵部14を含むたばこ製品10の残りの部分は、有利には消費者によって再利用可能な本体部56として、すなわち再利用可能な部分として構成されている。カートリッジ21は、消費者によって本体部56に結合可能であるとともに本体部56から取り外し可能に形成されている。したがって、カートリッジ21と再利用可能な本体部56の間には分離面あるいは分離箇所57が形成されている。カートリッジハウジング58は、たばこ製品10のハウジング11の一部を形成することが可能である。
【0051】
不図示の他の実施形態では、消費ユニット17は、消費者によってたばこ製品10の再利用可能な本体部56へはめ込み可能であり、この本体部から取り出し可能なカートリッジ21として構成されている。この場合、カートリッジハウジングは、たばこ製品10のハウジング11から分離されたハウジングである。
【0052】
カートリッジ21は、少なくとも液体貯蔵部18を含んでいる。カートリッジ21は、電気的/電子的なユニット19を含むことが可能である。他の実施形態では、電気的/電子的なユニット19は、全体として、又は部分的に本体部56の固定された構成部分である。同様に、蒸発器ユニット20は、カートリッジ21の一部であり得るか、又は本体部56内に配置されることが可能である。したがって、カートリッジ21は、いくつかの実施形態では、本質的に液体貯蔵部18及び場合によってはカートリッジハウジングのみで構成されている。これに代えて、カートリッジハウジングは液体貯蔵部18のハウジングによって形成されることができ、その結果、別々のカートリッジハウジングが不要であり得る。
【0053】
カートリッジ21は、棒状のたばこ製品10における使用のほかに、他の吸入器、例えば電子パイプ(elektronische Pfeife)、水ギセル、他の加熱式タバコ(Heat-not-burn-Produkten)又は医療用吸入器においても用いられることが可能である。通常、エネルギー貯蔵部14は、カートリッジ21の一部ではなく、再利用可能な本体部56の一部である。
【0054】
有利には、蒸発器ユニット17あるいはカートリッジ21は、蒸発器ユニット17(IDチップ)あるいはカートリッジ21に関する情報あるいはパラメータをメモリするための、例えばEEPROM、RFIDとしての構成での、又は他の適切な形態での不揮発性の情報メモリ53(
図1参照)を含んでいる。情報メモリ53は、電気的/電子的なユニット19の一部であり得るか、又はこの電気的/電子的なユニットとは別に形成されることが可能である。情報メモリ53内には、有利には、含有物質についての情報、すなわち、液体貯蔵部18内に貯蔵されている液体の組成についての情報、プロセスプロフィール(Prozessprofil)、特に出力制御/温度制御についての情報、状態監視あるいはシステム検査、例えば密度検査についてのデータ、コピー保護及び偽造防止に関する、特に消費ユニット17あるいはカートリッジ21を一義的に特徴付けるためのIDを含むデータ、通し番号、製造年月日及び/若しくは有効期限並びに/又は吸入数(消費者による吸入の数)あるいは使用時間がメモリされている。有利には、データメモリ53は、コンタクト及び/又は配線を介して本体部56の制御装置15に接続されているか、又は接続可能である。
【0055】
本発明による蒸発器ユニット20の有利な実施形態が
図2に示されている。
【0056】
蒸発器ユニット20は固有のハウジング1を備えることができるが、このハウジング1は、全体的に、又は部分的にたばこ製品のハウジング11で形成されることが可能である。蒸発器ユニットは、蒸発器ユニット20を通過すべき空気の流入F1のための少なくとも1つの空気入口開口部9と、少なくとも1つの空気出口開口部6とを備えており、
図2ではF1~F4で示されている空気流34は、蒸発器ユニット20を通って空気入口開口部9から空気出口開口部6へ流れる。
【0057】
蒸発器ユニット20内では、空気通路30が、平行に配置された2つの通路、すなわち加熱要素36が配置されているメイン空気通路又は加熱通路3と、サブ空気流F3が加熱要素36をう回しつつ流れることが可能なサブ空気通路又はバイパス通路5とに分割されている。したがって、蒸発器ユニットへ入る、場合によっては加熱された空気流F1は、メイン空気流F2aとサブ空気流F3へ分割される。換言すれば、空気流F1の一部がサブ流F3として蒸発器22の周囲で案内され、空気流F1の他の部分は、メイン空気流F2として蒸発器22を通って案内されるとともに、蒸発器管部2によってサブ流から分離される。
【0058】
サブ空気通路5は、入口60及び出口61を備えている。入口60は、加熱要素36及び/又は蒸発器22の手前に配置されている。出口61は、加熱要素36及び/又は蒸発器22の後方に配置されている。好ましくは、メイン空気通路3は、加熱要素36の手前に配置されたメイン空気流入開口部62と接続されている。好ましくは、サブ空気通路5は、加熱要素62の手前又は後方に配置されたサブ空気流入開口部60と接続されている。サブ空気流入開口部62は、蒸発器22の手前又は後方に配置されている。
【0059】
メイン空気流F2とサブ空気流F3への蒸発器ユニット20へ入る空気流F1の分割は、完全に吸い込まれた空気流F1が液滴蒸発に必要な温度へ加熱される必要がなく、したがって加熱出力が節約されるとともに、過剰に高い出口温度が回避されるという利点を有する。
【0060】
有利には、蒸発器ユニット20において、メイン通路3は径方向内方に配置され、サブ空気通路5は径方向外方に配置され、すなわち同心状に配置されており、その結果、有利には、サブ空気通路5はメイン通路3を周囲側で包囲している。このことは、エネルギー上好都合である。なぜなら、サブ空気通路5がメイン通路3を外方に対して断熱しているためである。有利には、メイン通路3は、蒸発器管部2の内部空間によって形成される。有利には、サブ空気通路5は、特に流れ管部2とハウジング1の間に形成されたリング通路である。好ましくは、サブ空気通路5及びメイン通路3は、互いに対して同心状に配置されている。ハウジング1は、サブ空気通路5のための外側の流れガイドを担うことが可能である。
【0061】
メイン通路3内には、加熱要素36から下流に向かって、液体貯蔵部18からの液体を流入させるために、及び加熱要素36によって加熱されたメイン空気流F2bへの混合のために蒸発器22が設けられている。上述の蒸発器22は、この目的のために毛細管構造40を備えている。毛細管構造40は、好ましくは少なくとも1つの構造要素44、好ましくは有利には配線要素43によって互いに電気的に接続された複数の構造要素44を含んでいる。複数の構造要素44は、好ましくは空気流F2bの流れ方向において相前後して配置されている。
図2及び
図3の実施例では、複数、例えば6つ配置された構造要素44が設けられている。有利には、構造要素44は、配線要素43によって互いに直列に接続されている。構造要素44は、格子状、蛇行状、渦巻状、らせん状、メッシュ状、フリース状又は組織状であってよく、特に折りたたまれた、又は巻かれた金属織物の形態であってよく、通路及びリブ並びに/又はその形状及び構造から成る、マイクロメカニカルに形成された構造は、例えばミクロフィブリル(細毛繊維)85のような生物工学的な構造にならって作られることが可能である。毛細管構造40の範囲における有害物質の発生を触媒の作用及び/又は蒸気/エアロゾルへの金属の遊離によって回避するために、毛細管構造40も、金属を有することなく、場合によってはケイ素として、ポリマーケイ素として、セラミック性で、金属性で、半金属性で又はグラファイトから成るものとして構成されることが可能である。
【0062】
毛細管構造40は毛細管作用を生じさせ、すなわち、蒸発された液体が自動的に毛細管構造40へ後搬送される。このとき、毛細管構造40は、細長い毛細管に限定されているわけではなく、細孔又は毛細管作用を提供するその他の中空空間を備えることが可能である。特別な場合においては、有利には例えばミクロフィブリル85のような生物工学的な構造も用いることが可能である。遊離には、少なくとも1つの構造要素と、したがって蒸発器22の毛細管構造40は、多孔性、好ましくは毛細管構造の細孔、通路又はその他の中空空間のメッシュサイズ及び/又は大きさによって決定される高い多孔性を備えている。高い多孔性は、蒸発され得る液体によって湿潤可能な大きな表面41を生じさせる。さらに、多孔性は、構造要素44したがって毛細管構造40の必要な通気性と、液体の搬送のために設定された毛細管作用とを確保するものである。複数の構造要素44は、互いに対して平行に、及び/又は角度をもって配置されることが可能である。毛細管構造40の少なくとも1つの構造要素44は、空間的に、周期的な、非周期的な、等方性の、及び/又は異方性の構造を備えることができる。
【0063】
消費者の吸い込みによって引き起こされる、空気通路30を通る空気流34が特定されると、蒸発器ユニットを作動させるために、制御装置29が加熱要素36及び加熱可能な毛細管構造40を作動させる。これについて、以下に詳細に説明する。
【0064】
メイン空気流F2aは、まず、空気を適切な温度へ加熱する電気的な加熱要素36を通過して流れる。加熱要素36は、好ましくはパワーエレクトロニクス機器を含む第1の電気的/電子的なユニット70によって、パルス幅変調により開ループ制御又は閉ループ制御される。加熱電圧源14により生じる電圧Uhは、加熱要素36へ印加されるとともに、加熱要素36を通る電流フローへ導かれる。これにより、加熱要素36のオーム抵抗に基づき加熱要素が加熱され、したがって、加熱要素36を通過して流れる空気F2aが加熱される。加熱要素36は、好ましくは少なくとも1つの加熱構造26、ここでは複数、例えば4つの互いに直列接続された加熱構造26を含んでいる。格子構造も考えられる。
【0065】
好ましい実施形態では、毛細管構造40も加熱可能である。
図2に示された実施形態では、毛細管構造40は、同様に、好ましくはパワーエレクトロニクス機器を含む第1の電気的/電子的なユニット70によって、パルス幅変調により開ループ制御又は閉ループ制御される。加熱電圧源14により生じる電圧Uhkは、印加されるとともに、加熱要素36及び毛細管構造40を通る電流フローへ導かれる。これにより、加熱要素36及び毛細管構造40のオーム抵抗に基づき加熱要素36が加熱され、したがって、毛細管構造をう回及び/又は通過して流れ、蒸発に寄与するために、加熱要素36を通過して流れるとともに加熱された毛細管構造40へ進む空気F2aが加熱される。
【0066】
構造要素44及び配線要素43のオーム抵抗の適切な設定は、異なる構造要素44を同一又は異なる温度へ加熱することに寄与する。例えば、構造要素44は、気化熱及び拡散により引き起こされる蒸発器内での冷却に対抗するために、下流に向かってより大きく加熱されることが可能である。これにより、特に均等な蒸発が達成されるとともに、蒸発された液体の不都合な凝縮を回避することが可能である。好ましくは、毛細管構造40内又は毛細管構造40に存在する、毛細管構造40の動作条件、例えば温度を測定するためのセンサ7は、第1の電気的/電子的なユニット70及び/又は毛細管構造40の加熱を閉ループ制御及び/又は閉ループ制御する他の制御要素に接触している。したがって、例えば、毛細管構造40及び/又は加熱要素36の加熱出力のオン又はオフは、所定の温度において達成されることが可能である。センサ7によって検出されたデータに基づく他の開ループ制御/閉ループ制御、特に温度閉ループ制御も同様に可能である。例えば温度勾配、圧力勾配又は濃度勾配を特定し、対応する閉ループ制御措置及び/又は閉ループ制御措置を行うために、各構造要素44又は蒸発器22の他の箇所における複数のセンサ7を設けることも可能である。センサは、加熱要素36内若しくは加熱要素36に設けられることができるか、又はこの加熱要素によって形成されることが可能である。
【0067】
有利には、毛細管構造についての時間的な加熱電圧経過Uhk(t)は、液体の後流(Nachstroemen)が保証されるように設定されることが可能である。
【0068】
加熱された空気流F2bの温度は、例えばあらかじめ設定された部分量の蒸発後の沸点を有する流体の沸点よりわずかに、最大で40℃だけ高いか、又は低くてよい。これにより、この状態までの液滴の迅速な蒸発を行うことができるとともに蒸発が過剰に緩慢に行われないことが保証されている。有利には、空気F2bは、構成要素の熱的な崩壊の回避が許容されるよりも大きく加熱されるべきではない。
【0069】
加熱された空気流は、任意で、例えば格子又は旋回要素(Drallelement)の形態の、ここでは不図示の流れ均一化要素によって、その流れプロファイル及び温度プロファイルについて均質化されることが可能である。流れ均一化要素は、好ましくはメイン空気通路3内に配置され、更に好ましくは加熱要素36と蒸発器22の間に配置されている。
【0070】
加熱された空気流F2bは、毛細管構造40において加熱された液体へ進み、空気温度、体積流量及び毛細管構造40の(搬送)特性によって調整可能な液体の所定の量を蒸発させる。蒸発された液体は、更に蒸気又はエアロゾルとして空気流F2cに沿って流れる。毛細管構造40の配置及び整向は、目的とする蒸発が空気流F2cの手間で、又は空気流F2cにおいて保証されるべき限り、空気流F2bに沿って、又はこれに対して横方向に行われることが可能である。
【0071】
蒸発器22からの付加の後、毛細管構造40の表面41上に存在する、有利には予熱された液体、すなわち液体フィルムは、高温の空気流F2bと接触することで本質的に瞬時に蒸発される。このようにして、蒸発器ユニット20あるいは蒸発器管部2又はメイン通路3において蒸発器22が形成されている。蒸発器22の後方に位置する領域13では、空気流/エアロゾル流F2cの形成が更に行われる。
【0072】
蒸気を含有するメイン空気流F2cのサブ空気流F3との混合は、逆混合領域あるいは混合区間25において行われる。このとき、有利には、濃縮されたコア流れ(angereicherte Kernstrom)が出口において低温の壁部から遠ざけたままとなり、壁凝縮(Wandkondensation)が回避される。統合された蒸気を包含する空気流F4は、蒸発器ユニット20を離れ、好ましくは最終的に冷却区間51及び出口開口部6を通って離れる。
【0073】
蒸発器22を液体貯蔵部18と結合する結合装置42は、非導電性のフリースで形成されることが可能である。この実施形態では、フリースは、毛細管構造40に機械的あるいは液体を導くように連結されることが可能であり、したがって、毛細管作用によって生じる、液体貯蔵部18からの液体を結合装置42を介して毛細管構造40へ搬送することを可能とするものである。特に、フリースは、毛細管構造40の構造要素44と同一の材料特性及び製造ステップに基づくことが可能である。しかしながら、他の結合装置42も考えられるとともに、別々の流通制御装置、例えばマイクロポンプ又はバルブによって、液体貯蔵部18からの必要な液体体積流量で作用されることが可能である。1つ又は複数のバルブを有するバルブ構造を使用する場合には、有利には、液体貯蔵部18が圧力作用されることが可能である。
【0074】
液体貯蔵部18、結合装置42、第1の電気的/電子的なユニット70並びに場合によっては存在する第2の電気的/電子的なユニット70及び電流供給部14は、異なる空間的な構成において実現されることができる。さらに、蒸発されるべき液体の追加的な、閉ループ制御される電気的な予熱が実現可能であり、これにより、蒸発に必要な熱の大部分を提供することができ、及び/又は液体特性(表面張力/粘度)に影響を与えることができ、このことは、液滴形成プロセス及び搬送プロセスに関連するものである。この予熱は、蒸発器22又は結合装置42に統合されることが可能である。
【0075】
加熱要素の電気抵抗の測定量が温度に依存する限り、メイン空気流F2bの温度の閉ループ制御は、加熱要素の電気抵抗の測定量を介して行われることができるか、又はオプションのセンサ7を用いて均質化されたメイン空気流F2bにおいて直接行われることができる。
【0076】
好ましくは、カートリッジ21のデータメモリ53又は本体部56のデータメモリ59には、使用される液体混合物に適合された電圧曲線Uh(t)がメモリされている。このことにより、電圧曲線Uh(t)を使用される液体に合わせてあらかじめ設定することができ、その結果、加熱要素36の加熱温度が厳密に公知の各液体の蒸発速度論に基づき蒸発過程にわたって時間的に制御可能であり、これにより、最適な蒸発結果を達成することが可能である。蒸発温度は、好ましくは100~400℃の範囲にあり、更に好ましくは150~350℃の範囲にあり、更に好ましくは190~240℃の範囲にある。
【0077】
蒸発ユニット20は、消費者の吸い込みごとに1~20μlの範囲の、更に好ましくは2~10μlの範囲の、更に好ましくは3~5μlの範囲の、典型的には4μlの有利な液体量が配量されるように調整されている。好ましくは、蒸発ユニット20は、吸い込みごとの液体量に関して調整可能であってよい。
【0078】
蒸発器22は、有利には、エアロゾルにおいて、0.05~5μmの範囲の直径、好ましくは0.1~3μmの範囲の直径を有する液滴が主に生じるように調整されることが可能である。0.05~5MMAD(mass median aerodynamic diameter,massen-medianer aerodynamischer Durchmesser;空気動力学的中央粒子径)の範囲、好ましくは0.1~3MMADの範囲、更に好ましくは0.3~2MMADの範囲、更に好ましくは0.4~1.5MMADの範囲、例えば約0.5MMAD又は約1MMADの液滴の大きさが最適であり得る。MMADは、EU(欧州連合)規格に適合するとともにμmの単位で記述される。
【0079】
加熱要素36及び/又は蒸発器22は、有利には、典型的にはHz範囲又はkHz範囲の適切な作動周波数、例えば1Hz~50kHz、好ましくは30Hz~30kHz、特に好ましくは100Hz~25kHzで電気的に作動される。代替的な形態においては、作動周波数は、5~50Hzの範囲、好ましくは10~40Hzの範囲であり得る。
【0080】
別の実施形態では、加熱要素36及び/又は蒸発器22は、特に吸い込み、吹き出し及び/又は連続する一連の吸い込みあるいは吹き出しの一部にわたって連続的に作動及び/又は閉ループ制御されることが可能である。
【0081】
本発明の代替的な実施形態が
図3において見て取れる。この実施形態は、
図2に示された実施形態の特性を有しているものの、毛細管構造40の加熱の制御のための別々の第2の電気的/電子的なユニット71の存在において異なっている。この実施形態によれば、加熱要素36及び毛細管構造40の目的とする開ループ制御及び/又は閉ループ制御が可能である。第1の電気的/電子的なユニット70と同様に、この第2の電気的/電子的なユニットは、有利には時間的に変化して、例えばバルス幅変調により開ループ制御又は閉ループ制御される。加熱電圧源14により生じる電圧Uhkは、印加されるとともに、毛細管構造40を通る電流フローへ導かれる。これにより、毛細管構造40のオーム抵抗に基づき、毛細管構造が加熱される。第2のエネルギー供給ユニットが考えられる。別の過程及び構成部材は、
図2に示された実施形態と同様である。
【0082】
本発明の好ましい実施形態の断面が
図4において見て取れる。消費ユニット17は液体貯蔵部18を含んでいる。液体貯蔵部18は有利にはハウジング1の周囲にリング状に配置されており、ハウジング内には、好ましくはサブ空気通路5が存在する。サブ空気通路5は有利にはメイン空気通路3をリング状に包囲しており、メイン空気通路内には、好ましくは毛細管構造40が存在する。結合装置42は、有利には、液体貯蔵部18を毛細管構造40に結合させる複数の要素、
図4では3つの要素を含んでいる。結合装置42の要素の均等な配置により、毛細管構造への等方性の液体供給が可能となる。この実施形態では、結合装置42の要素は、サブ空気通路5を通って延在しているとともに、好ましくはカプセル化されている。
【0083】
加熱構造26の代替的な構成が
図5及び
図6に示されている。加熱導体85を有する加熱構造の形態は、特に木材繊維セル又は気孔において見出すことができるミクロフィブリル(細毛繊維)の形状のように生物工学的な構造に依拠している(
図5参照)。同様に、構造要素44を有する毛細管構造40及び/又は結合装置42は、有利にはその形状においてミクロフィブリル(細毛繊維)の形状に依拠することが可能である。加熱導体85間の通路86の有利な寸法、すなわち隣接する加熱導体85間の自由間隔は、10μm~0.5mmの範囲、更に有利には15~150μmの範囲にある。
【0084】
適当に形成され、離間され、導体部分87によって互いに直列に接続され得る加熱導体85を有する生物工学的な加熱構造26が
図6に示されている。
図6Aは、加熱構造26の範囲における、
図6を拡大し、抜粋した図示である。
図6及び
図6Aにおいて見て取れるように、加熱導線85あるいは加熱要素幾何形状の有利な網状の結合により、大きな表面被覆率を有する密な面構造が得られ、これにより、特に迅速かつ効果的な液体の蒸発が可能である。電極84は、加熱要素36への電圧Uhの印加のためにこの加熱要素に接続可能である。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.加熱要素(36)を有する吸入器のための蒸発器ユニット(20)であって、該蒸発器ユニット(20)が液体を蒸発させるために設けられており、蒸発された液体が、前記蒸発器ユニット(20)を通って流れる空気流によって取り入れられる、前記蒸発器ユニットにおいて、
当該蒸発器ユニット(20)が、表面(41)を有する、通気性の少なくとも1つの毛細管構造(40)を備えており、前記表面が、液体を予熱するために加熱可能であるとともに少なくとも部分的に液体で湿潤可能であり、毛細管作用によって液体を供給され、前記加熱要素(36)が、前記蒸発器ユニット(20)を通って流れる空気流を加熱するために設けられており、前記毛細管構造(40)が、前記加熱要素(36)の下流に配置されており、その結果、加熱された空気流により、予熱された液体が蒸発されることを特徴とする蒸発器ユニット。
2.前記毛細管構造(40)が導電性の材料で構成されていることを特徴とする上記1.に記載の蒸発器ユニット(20)。
3.前記加熱要素(36)が、液体混合物の沸点より高い温度へ空気流を加熱するために設けられていること、及び/又は前記毛細管構造(40)が、液体混合物の沸点より低い温度へ、及び/又は少なくとも100℃の温度へ、好ましくは少なくとも150℃の温度へ、更に好ましくは少なくとも200℃の温度へ、更に好ましくは少なくとも250℃の温度へ液体を加熱するために設けられていることを特徴とする上記2.に記載の蒸発器ユニット。
4.前記毛細管構造(40)が、第1の電気的/電子的なユニット(70)によって加熱可能であり、該第1の電気的/電子的なユニット(70)が、前記加熱要素(36)を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために設けられていることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
5.第1の電気的/電子的なユニット(70)が、前記加熱要素(36)を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために設けられており、前記毛細管構造(40)が、第2の電気的/電子的なユニット(71)を用いて加熱可能であることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
6.前記毛細管構造(40)が、フリース状又は組織状、特に折りたたまれた、又は巻かれた金属織物の形態であることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
7.前記毛細管構造(40)が、基材と、該基材内で延びる通路及び/又はリブとを有するマイクロメカニカルに形成された構造であることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
8.前記毛細管構造(40)の構造要素(44)及び/又は前記加熱要素(36)の加熱構造(26)の形状及び幾何形状が、例えばミクロフィブリル(85)に類似した生物工学的な構造に依拠していることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
9.前記毛細管構造(40)の少なくとも1つの動作条件、例えば温度が、センサ(7)によって測定可能であることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
10.前記毛細管構造(40)が、結合装置(42)を用いて液体貯蔵部(18)に結合可能であることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
11.前記結合装置(42)が、毛細管作用を用いて液体を搬送するために設けられていることを特徴とする上記10.に記載の蒸発器ユニット。
12.前記結合装置(42)が、フリースであることを特徴とする上記10.又は11.に記載の蒸発器ユニット。
13.前記結合装置(42)が絶縁性の材料で構成されていることを特徴とする上記10.~12.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
14.前記結合装置(42)がカプセル化されていることを特徴とする上記10.~13.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
15.液体貯蔵部(18)を含む、上記1.~14.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニットにおいて、
前記液体貯蔵部(18)が、前記蒸発器(22)の周りにリング状に配置されていることを特徴とする蒸発器ユニット。
16.前記蒸発器(22)の下流に混合領域(25)が設けられており、該混合領域では、特に蒸発された液体が添加されたメイン空気流F2のサブ空気流F3との混合が行われることを特徴とする上記1.~15.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
17.前記メイン空気流F2と前記サブ空気流F3を通る体積流量の比率が調整可能であることを特徴とする上記16.に記載の蒸発器ユニット。
18.前記毛細管構造(36)及び前記蒸発器(22)が、空気が通るメイン空気通路(3)内に配置されていることを特徴とする上記1.~17.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット(20)。
19.前記メイン空気通路(3)が、両側で開放された、好ましくは入口側及び/出口側で自由に通過して流れることが可能な蒸発器管部(2)の内部空間によって形成されていることを特徴とする上記18.に記載の蒸発器ユニット。
20.当該蒸発器ユニット(20)がサブ空気通路(5)を備えており、該サブ空気通路内では、前記蒸発器ユニット(20)へ吸入される空気が前記加熱要素(36)及び前記蒸発器(22)をう回しつつ流れることを特徴とする上記1.~19.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
21.前記サブ空気通路(5)が入口(60)及び出口(61)を備えており、好ましくは前記入口(60)が前記加熱要素(36)の手前に、及び/又は前記蒸発器(22)の手前に配置されており、前記出口(61)が前記加熱要素(36)の後方に、及び/又は前記蒸発器(22)の後方に配置されていることを特徴とする上記20.に記載の蒸発器ユニット。
22.前記メイン空気通路(3)が前記サブ空気通路(5)の内部に配置されていることを特徴とする上記18.~20.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット。
23.液体貯蔵部(18)と、上記1.~22.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット(20)とを有するカートリッジ(21)。
24.上記1.~22.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット(20)を有する吸入器(10)。
25.上記1.~22.のいずれか1つに記載の蒸発器ユニット(20)を制御する方法。
26.前記毛細管構造(40)及び/又は前記加熱要素(36)が、不連続に、特にパルス状に加熱されることを特徴とする上記25.に記載の方法。
27.前記毛細管構造(40)についての時間的な加熱電圧経過Uhk(t)が、液体の後流が保証されるように設定されていることを特徴とする上記25.又は26.に記載の方法。
28.前記加熱要素(36)及び/又は前記毛細管構造(40)の加熱出力が、温度上限において低減されることを特徴とする上記25.~27.のいずれか1つに記載の方法。
29.前記加熱要素(36)及び/又は前記毛細管構造(40)の加熱出力が、温度設定による、ガイドされた蒸発が保証されるように閉ループ制御されることを特徴とする上記25.~28.のいずれか1つに記載の方法。