(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】経路探索装置及び経路探索方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20230829BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230829BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20230829BHJP
G06F 16/29 20190101ALI20230829BHJP
G06F 16/909 20190101ALI20230829BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230829BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 P
G08G1/005
G06F16/29
G06F16/909
G09B29/00 A
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2019019252
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大原 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】島 実里
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-292447(JP,A)
【文献】特開2005-190001(JP,A)
【文献】特開2019-15622(JP,A)
【文献】特開2012-202751(JP,A)
【文献】特開2003-148985(JP,A)
【文献】特開2018-156324(JP,A)
【文献】特開2018-81685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
G09B 29/00 - 29/14
G06F 16/00 - 16/958
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動手段に関する移動経路に係る情報であって、複数の前記移動手段の少なくとも一つの前記移動経路は、他の前記移動手段の前記移動経路よりも狭域の前記移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した前記移動経路であり、複数の前記移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報と、当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、前記乗り換え地点における乗り換え先の前記移動手段の状況に関する乗り換えノード情報と、を保持するモビリティ情報保持部と、
利用者からの経路探索要求に含まれる輸送対象の輸送の出発地及び目的地を特定する情報及び前記モビリティ情報保持部で保持される情報に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する経路探索部と、を有し、
前記乗り換えノード情報は、互いに異なる2以上の前記移動手段のノードであって、当該ノードにおいて利用する移動手段の変更が可能なノード群を関連付けた乗り換えノードに係る情報と、前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報と、を含み、
前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報は、前記乗り換え地点において待機させることが可能な前記移動手段の台数である収容可能台数を示す情報と、実際に前記乗り換え地点に待機している前記移動手段の台数である待機台数を示す情報と、を含み、
前記経路探索部は、前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択し、前記経路上の前記乗り換え地点での前記収容可能台数が前記待機台数を上回ることを、前記経路を選択する条件の1つとする、
経路探索装置。
【請求項2】
前記乗り換えノード情報は、前記乗り換えノードにおける前記移動手段同士の乗り換えの条件を特定する乗り換え条件情報を含み、
前記経路探索部は、前記乗り換え条件情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する、
請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記モビリティ情報保持部において保持される情報を更新するモビリティ情報管理部をさらに有する、請求項1
又は2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
経路探索装置によって実行される経路探索方法であって、
複数の移動手段に関する移動経路に係る情報であって、複数の前記移動手段の少なくとも一つの前記移動経路は、他の前記移動手段の前記移動経路よりも狭域の前記移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した前記移動経路であり、複数の前記移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報と、
当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、前記乗り換え地点における乗り換え先の前記移動手段の状況に関する乗り換えノード情報と、
利用者からの経路探索要求に含まれる輸送対象の輸送の出発地及び目的地を特定する情報と、
に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択し、
前記乗り換えノード情報は、互いに異なる2以上の前記移動手段のノードであって、当該ノードにおいて利用する移動手段の変更が可能なノード群を関連付けた乗り換えノードに係る情報と、前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報と、を含み、
前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報は、前記乗り換え地点において待機させることが可能な前記移動手段の台数である収容可能台数を示す情報と、実際に前記乗り換え地点に待機している前記移動手段の台数である待機台数を示す情報と、を含み、
前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択し、前記経路上の前記乗り換え地点での前記収容可能台数が前記待機台数を上回ることを、前記経路を選択する条件の1つとする、経路探索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置及び/又はデータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の交通手段を用いて目的地まで向かう経路を探索する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、適切な経路を探索することができる経路探索装置及び経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係る経路探索装置は、複数の移動手段に関する移動経路に係る情報であって、複数の前記移動手段の少なくとも一つの前記移動経路は、他の前記移動手段の前記移動経路よりも狭域の前記移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した前記移動経路であり、複数の前記移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報と、当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、前記乗り換え地点における乗り換え先の前記移動手段の状況に関する乗り換えノード情報と、を保持するモビリティ情報保持部と、
利用者からの経路探索要求に含まれる輸送対象の輸送の出発地及び目的地を特定する情報及び前記モビリティ情報保持部で保持される情報に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する経路探索部と、を有し、
前記乗り換えノード情報は、互いに異なる2以上の前記移動手段のノードであって、当該ノードにおいて利用する移動手段の変更が可能なノード群を関連付けた乗り換えノードに係る情報である乗り換えノード情報と、前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報と、を含み、
前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報は、前記乗り換え地点において待機させることが可能な前記移動手段の台数である収容可能台数を示す情報と、実際に前記乗り換え地点に待機している前記移動手段の台数である待機台数を示す情報と、を含み、
前記経路探索部は、前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択し、前記経路上の前記乗り換え地点での前記収容可能台数が前記待機台数を上回ることを、前記経路を選択する条件の1つとする。
【0007】
前記乗り換えノード情報は、前記乗り換えノードにおける前記移動手段同士の乗り換えの条件を特定する乗り換え条件情報を含み、前記経路探索部は、前記乗り換え条件情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する態様とすることができる。
【0009】
前記モビリティ情報保持部において保持される情報を更新するモビリティ情報管理部をさらに有する態様とすることができる。
【0010】
本開示の一形態に係る経路探索方法は、経路探索装置によって実行される経路探索方法であって、
複数の移動手段に関する移動経路に係る情報であって、複数の前記移動手段の少なくとも一つの前記移動経路は、他の前記移動手段の前記移動経路よりも狭域の前記移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した前記移動経路であり、複数の前記移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報と、
当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、前記乗り換え地点における乗り換え先の前記移動手段の状況に関する乗り換えノード情報と、
利用者からの経路探索要求に含まれる輸送対象の輸送の出発地及び目的地を特定する情報と、
に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択し、
前記乗り換えノード情報は、互いに異なる2以上の前記移動手段のノードであって、当該ノードにおいて利用する移動手段の変更が可能なノード群を関連付けた乗り換えノードに係る情報と、前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報と、を含み、
前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報は、前記乗り換え地点において待機させることが可能な前記移動手段の台数である収容可能台数を示す情報と、実際に前記乗り換え地点に待機している前記移動手段の台数である待機台数を示す情報と、を含み、
前記乗り換えノードに滞在する前記移動手段の数に係る情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択し、前記経路上の前記乗り換え地点での前記収容可能台数が前記待機台数を上回ることを、前記経路を選択する条件の1つとする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、経路探索装置により提供する経路に係る情報について説明する図である。
【
図2】
図2は、経路探索装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、経路探索装置及び利用者装置のハードウェア構成図である。
【
図4】
図4は、モビリティ情報について説明する図である。
【
図5】
図5は、一般モビリティ情報の例を示す図である。
【
図6】
図6は、ラストワンマイルモビリティ情報の例を示す図である。
【
図7】
図7は、乗り換えノード情報の例を示す図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、乗り換え関係情報の例を示す図である。
【
図9】
図9は、経路探索装置を利用した経路探索の手順について説明するシーケンス図である。
【
図10】
図10は、経路探索装置を利用した経路探索の手順について説明するフロー図である。
【
図11】
図11は、経路探索装置において保持される情報の更新の手順について説明する。
【
図12】
図12は、経路探索装置において保持される情報の変形例について説明する図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、経路探索装置において保持される情報の変形例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[システムの概要]
図1は、本開示の一形態に係る経路探索装置の利用環境について説明する図である。本実施形態で説明する経路探索装置は、例えば、車両・ロボット等のモビリティ、またはドローン等の飛行体などの移動経路に係る情報を当該装置の利用者に対して提供する装置である。また、経路探索装置では、移動対象に応じて複数のモビリティを組み合わせた経路を探索し、探索結果を利用者に対して提供する装置である。
【0014】
近年、予め決められた比較的狭域のエリア内を移動するモビリティ(移動体)を利用してある目的地に対して人または物品を輸送するサービスが検討されている。このような狭域のエリア内を移動するモビリティを「ラストワンマイルモビリティ」という場合がある。ラストワンマイルモビリティは、例えば、自動運転車両のようにエリア内である程度自由に移動することが可能な移動体によって実現される場合もある。すなわち、ラストワンマイルモビリティは、限られたエリア内である程度自由度を持って運行される移動手段であるといえる。本実施形態で説明する経路探索装置は、このようなラストワンマイルモビリティを利用した移動での移動経路に係る情報である経路情報を提供可能としている。
【0015】
本実施形態で説明する経路探索装置を利用して経路探索を行う装置(以下、利用者装置という)としては、例えば、ある場所からある場所へ移動する人が操作する経路探索装置と通信可能な装置が挙げられる。このような装置としては、例えば、スマートフォンまたはタブレットなどの携帯端末が挙げられる。また、経路探索装置は、ある場所からある場所へ物品を移動させる場合、すなわち物品の移動を行う場合の移動経路の探索にも利用することができる。このような場合、経路探索装置を利用して経路探索を行う装置としては、例えば、物品を取り扱う人が操作する装置(携帯端末等)のほか、物品の移動を管理・制御する装置等が挙げられる。
【0016】
図1では、経路探索装置が提供する情報を利用した移動の例を示している。ここでは、人が所定の地点Aから、地点Bを経由して、地点Cへ移動することを想定している。すなわち、経路探索装置を利用する装置は移動する人が操作する装置(携帯端末)となる。
【0017】
また、対象となる人または物品(これらについて輸送対象という場合がある)の地点Aから地点Bへの移動には、バス等の所謂公共交通機関等を利用することを想定している。地点A及び地点B(の近傍)には、公共交通機関の乗降が可能な駅・停留所等が存在し、輸送対象はこの駅・停留所を利用して地点A-地点B間での公共交通機関T1(
図1ではバスを例示している)を利用する。また、輸送対象の地点Bから地点Cへの移動には、上述のラストワンマイルモビリティを利用して移動することを想定している。ラストワンマイルモビリティは、地点Bからの利用開始が可能であり、地点Cでの利用終了が可能な状況であるとする。
【0018】
ここで、地点Bから地点Cへ向けて、人だけでなく例えば荷物の運搬が必要となったとする。このような場合、従来は、人が荷物と共にラストワンマイルモビリティを利用することが想定される。しかしながら、荷物と人とを分けて運搬する状況も発生し得る。例えば、
図1に示す例では、地点Bと地点Cとの間で移動可能なラストワンマイルモビリティが小型モビリティT2及びドローンT3の2種類が存在するとする。この場合、例えば、人は小型モビリティT2を利用し、荷物についてはドローンT3を利用することも考えられる。また、公共交通機関は従来から時刻表等が予め定められていて、決められたスケジュールで運行することが考えられるが、ラストワンマイルモビリティは必要に応じて適宜運行するという運用方法も考えられる。そのため、ラストワンマイルモビリティの利用を想定した経路探索の場合、モビリティの運用状況にも基づいて経路探索を行う必要がある。
【0019】
以下の実施形態で説明する経路探索装置は、上記のようにラストワンマイルモビリティを含む経路探索を行う際に、条件に応じて適切な経路を提案することを実現する装置である。以下、具体的な構成について説明する。
【0020】
[システムの構成]
図2を参照して、経路探索装置1及び利用者装置3の装置構成及び各部の機能について説明する。
図2に示すように、経路探索装置1は、経路探索に利用する情報を管理するための機能ブロックとして、一般モビリティ情報管理部11、一般モビリティ情報保持部12、乗り換えノード情報管理部13、乗り換えノード情報保持部14、ラストワンマイルモビリティ情報管理部15、及び、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16を有する。また、利用者装置3からの要求に基づいて経路探索を行ない、利用者装置3に対して経路探索結果を提供するための機能ブロックとして、要求取得部21、経路探索部22、及び、出力部23を有する。一方、利用者装置3は、制御部31及び出力部32を有する。
【0021】
経路探索装置1では、一般モビリティ情報、乗り換えノード情報、ラストワンマイルモビリティ情報の3つの情報が用いられる。一般モビリティ情報とは、公共交通機関などのように、ある程度広域での移動が可能なモビリティに係る情報である。具体的には、一般モビリティ情報として、例えば、鉄道、バス、船舶等の公共交通機関の運行に係る情報が挙げられる。また、人または道路が徒歩により移動することが可能な道路情報についても一般モビリティ情報に含めることができる。すなわち、一般モビリティ情報とは、人または物品が広域で移動可能な経路、及び、当該経路に関連する情報である。経路に関連する情報としては、例えば、当該経路を利用して移動することが可能な対象(人または物品など)を特定する情報が挙げられる。また、電車またはバスのように運行スケジュールが決まっているモビリティに関してはスケジュールを特定する情報も経路に関連する情報に含まれる。
【0022】
また、ラストワンマイルモビリティ情報とは、一般モビリティ情報と比べて狭域で運行されるモビリティに係る情報である。ラストワンマイルモビリティは、上述したように、ある程度限られたエリアにおいて、公共交通機関よりも比較的高い自由度で移動が可能な移動体である。したがって、ラストワンマイルモビリティ情報とは、利用可能なエリアを特定する情報、利用可能なエリア内での移動経路が決められている(例えば道路のみ)の場合にはこれを特定する情報等が挙げられる。
【0023】
上記の一般モビリティ情報及びラストワンマイルモビリティ情報は、いずれも輸送対象(人または物品)を輸送するための移動手段に係る情報にといえる。また、一般モビリティ情報及びラストワンマイルモビリティ情報は、いずれも当該移動手段の利用開始地点または終了地点となり得るノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報に相当する。すなわち、ノードとは上記の
図1の示す例でいう地点A,Bのように移動手段の利用開始/終了が可能となる地点を指し、ノード情報は上記のノードを特定する情報である。一般モビリティ情報及びラストワンマイルモビリティ情報には、それぞれ、当該移動手段を利用するための条件に係る条件情報が含まれる。
【0024】
乗り換えノード情報とは、一般モビリティとラストワンマイルモビリティとの乗り換え、またはラストワンマイルモビリティ同士の乗り換え(移動に利用するモビリティの変更)が可能な場所を示す情報である。すなわち、2種類以上の移動手段のノード群が関連付けられたものであり、当該ノード群間の移動等によって移動手段の変更が可能なノード群をまとめて乗り換えノードという。
図1では、乗り換えノードのイメージを示している。
図1に示す例では、地点Bにおいて、公共交通機関T1から小型モビリティT2またはドローンT3への乗り換えが可能とされている。また、地点Bでは、小型モビリティT2とドローンT3との間の乗り換えも可能とされている。このように、ラストワンマイルモビリティに係る乗り換えが可能な地点を乗り換えノードという。
図1に示す例では、公共交通機関T1における地点Bに対応する乗り換え可能地点をノードNB001とし、小型モビリティT2における地点Bに対応する乗り換え可能地点をノードNM001とし、ドローンT3における地点Bに対応する乗り換え可能地点をノードND001としている。また、これらの3つのノードをまとめて乗り換えノードN001としている。
【0025】
一般モビリティ情報、ラストワンマイルモビリティ情報、及び、乗り換えノード情報のそれぞれに含まれる具体的な情報については後述する。なお、ラストワンマイルモビリティ情報は、乗り換え(移動に利用するモビリティの変更)が可能な場所(乗り換え地点)毎に対応して設けられており、あるラストワンマイルモビリティ情報は、あるラストワンマイルモビリティを用いて人または物品の輸送サービスの提供を行うエリアであって、そのエリアは、一般モビリティからラストワンマイルモビリティへの乗り換え地点の周辺の限定的なエリアに対応する情報である。つまり、ラストワンマイルモビリティの移動経路は、一般モビリティの移動経路よりも狭域のラストワンマイルモビリティの移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した移動経路である。ラストワンマイルモビリティに対応して移動経路が設けられていることにより、ある目的地が指定された場合に、その目的地には移動しない(例えば、その目的地は、そのラストワンマイルモビリティのサービス提供のエリア外の場合をいう。)ラストワンマイルモビリティが待機している乗り換え地点を経由したその目的地までの経路が探索されるといったことが抑制される。
【0026】
図3は、経路探索装置1及び利用者装置3のハードウェア構成の一例を示す。例えば、経路探索装置1及び利用者装置3はそれぞれ制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。
【0027】
プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。具体的には、アプリケーションプログラムとは、経路探索装置1においては、複数の移動手段それぞれに関する移動経路に係る情報であって、複数の前記移動手段それぞれについて、当該移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報と、当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、複数の前記移動手段それぞれに対応付けられた当該移動手段を利用するための条件に係る条件情報と、を保持し、利用者からの経路探索要求に含まれる、輸送対象の種類を特定する情報と、当該輸送対象の輸送の出発地と目的地を特定する情報と、当該輸送対象の輸送の条件に関する情報とに基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する移動手段及び経路を選択することを経路探索装置1に実行させるためのプログラムである。また、アプリケーションプログラムとは、利用者装置3においては、経路探索装置1に対して、輸送対象の種類を特定する情報と、当該輸送対象の輸送の出発地と目的地を特定する情報と、当該輸送対象の輸送の条件に関する情報と、を経路探索要求として送信するとともに、前記経路探索要求に対応して前記経路探索装置から送信される経路探索結果を取得することを利用者装置3に実行させるためのプログラムである。
【0028】
ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。一例では、プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、上記の各機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
【0029】
経路探索装置1及び利用者装置3は、それぞれ一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで論理的に一つの経路探索装置1が構成される。
【0030】
経路探索装置1または利用者装置3として機能するコンピュータは限定されない。例えば、経路探索装置1は業務用サーバなどの大型のコンピュータで構成されてもよいし、パーソナルコンピュータや携帯端末(例えばスマートフォン、タブレット端末など)などの小型のコンピュータで構成されてもよい。
【0031】
図2に戻り、経路探索装置1における各部について説明する。
【0032】
一般モビリティ情報管理部11は、一般モビリティ情報保持部12において保持される上記の一般モビリティ情報の管理を行う。具体的には、一般モビリティ情報の更新・追加・削除等を行う。
【0033】
一般モビリティ情報保持部12は、上記の一般モビリティ情報を保持する機能を有する。
【0034】
乗り換えノード情報管理部13は、乗り換えノード情報保持部14において保持される上記の乗り換えノード情報の管理を行う。具体的には、乗り換えノード情報の更新・追加・削除等を行う。
【0035】
乗り換えノード情報保持部14は、上記の乗り換えノード情報を保持する機能を有する。
【0036】
ラストワンマイルモビリティ情報管理部15は、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16において保持される上記のラストワンマイルモビリティ情報の管理を行う。具体的には、ラストワンマイルモビリティ情報の更新・追加・削除等を行う。
【0037】
ラストワンマイルモビリティ情報保持部16は、上記のラストワンマイルモビリティ情報を保持する機能を有する。
【0038】
一般モビリティ情報保持部12、乗り換えノード情報保持部14、及び、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16は、モビリティに係る情報であるモビリティ情報が保持されたモビリティ情報保持部として機能する。また、上述したように、モビリティ情報保持部に保持されるモビリティ情報とは、複数の移動手段それぞれに関する移動経路に係る情報であって、複数の移動手段の少なくとも一つの移動経路は、他の移動手段の前記移動経路よりも狭域の移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した前記移動経路であり、複数の前記移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれる。また、乗り換えノード情報とは、モビリティ情報に対応付けられた情報であって、乗り換え地点における乗り換え先の移動手段の状況に関する情報である。
【0039】
次に、一般モビリティ情報、ラストワンマイルモビリティ情報、及び、乗り換えノード情報について、
図4~
図8を参照しながら説明する。
【0040】
一般モビリティ情報について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。一般モビリティ情報には、上述のように公共交通機関等の情報が含まれるが、これらは人または物品の移動経路の情報として記述することができる。具体的には、一般モビリティ情報は、ノードNとリンクLの組み合わせによって表現することができる。
図4に示すように、リンクLは、ノードN同士を接続するように設けられる。
図4に示す例では、ノードN001,N002,N003が設けられていて、ノードN001-N002間を接続するようにリンクL001が設けられていると共に、ノードN002-N003間を接続するようにリンクL002が設けられている。ノードNは、公共交通機関の駅のように乗降等のアクションが発生し得る地点を示している。また、リンクLは、ノード間の移動経路を特定する。一般モビリティ情報保持部12では、各ノードN及び各リンクLを互いに区別可能な状態とし、各ノードN及び各リンクLの場所を特定する情報を保持する。
【0041】
図5は、一般モビリティ情報保持部12において保持される一般モビリティ情報の例を示している。一般モビリティ情報D1には、交通機関(モビリティ)の種類毎に作成することができる。また、一般モビリティ情報には、経路に係る情報として、ノードに係る情報D11とリンクに係る情報D12とが含まれる。ノードに係る情報D11は、ノードを識別する情報(ノードID)と、当該ノードが設けられている場所を特定する情報と、を含む。ノードが設けられている場所は、例えば、
図5に示すように地図上の所定の位置を基準とした2次元の座標を用いて表現してもよいし、緯度・経度を用いてもよい。また、リンクに係る情報D12は、リンクを識別する情報(リンクID)と、当該リンクが設けられている場所を特定する情報と、を含む。リンクが設けられている場所は、ノードに係る情報と同様に、例えば、所定の位置を基準とした2次元の座標を用いて表現してもよいし、緯度・経度を用いてもよい。
【0042】
一般モビリティ情報のうち、モビリティの移動可能な経路に係る情報は、上記のノードに係る情報D11とリンクに係る情報D12との組み合わせによって構成される。
図5では、ノードに係る情報D11及びリンクに係る情報D12をそれぞれ1つずつ示しているが、実際には、それぞれ複数設けられている。また、公共交通機関のように、運行スケジュールに係る情報が対応付けられている場合には、ノードに係る情報D11及びリンクに係る情報D12に対して運行スケジュールに係る情報を一般モビリティ情報に対応付けた条件情報として保持していてもよい。
【0043】
一般モビリティ情報は、経路探索の結果を提供する対象に応じて複数種類準備されていてもよい。例えば、移動する対象の種類が異なると、利用可能な経路が異なることが考えられる。したがって、例えば、経路を探索する対象の種類に応じて互いに異なる一般モビリティ情報を作成してもよい。経路探索の際には、移動する対象の種類等の情報に基づいて利用する可能性のあるモビリティに対応した一般モビリティ情報を選択して利用される。
【0044】
なお、どのモビリティがどのような対象(人または物品など)を輸送可能であるかを示す情報は、
図5に示す例では記載されていない。ただし、
図5では、モビリティの種類を示す情報として「種別:鉄道」との記載がある。このようにモビリティの種類を示す情報から、当該モビリティが運搬可能な輸送対象を特定することが可能な構成であってもよい。また、一般モビリティ情報に対応付けて、上述の運行スケジュールに係る情報に限らず、当該情報が特定するモビリティを用いて対象を輸送するための条件等について、条件情報として一般モビリティ情報に対応付けて保持してもよい。
【0045】
図6は、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16において保持されるラストワンマイルモビリティ情報の例を示している。
図6に示すラストワンマイルモビリティ情報D2は、
図5に示した一般モビリティ情報D1と同様に、ノードに係る情報D21とリンクに係る情報D22とが含まれる。なお、モビリティの種類によっては、リンクに係る情報D22が含まれなくてもよい。例えば、ドローンのように、移動経路が限定されないモビリティの場合には、利用開始・終了が可能なノードを特定する情報のみによってラストワンマイルモビリティを特定してもよい。
【0046】
図7は、乗り換えノード情報保持部14において保持される乗り換えノード情報D3の例を示している。乗り換えノード情報D3には、乗り換えノード全般に係る情報D31、モビリティの乗り換え可否に係る情報D32、及び、乗り換えノードにおけるラストワンマイルモビリティの運用状況に係る情報D33等が含まれている。乗り換え可否に係る情報D32は、乗り換えノードにおける前記移動手段同士の乗り換えの条件を特定する乗り換え条件情報に相当する。また、ラストワンマイルモビリティの運用状況に係る情報D33は、ラストワンマイルモビリティを利用して対象を輸送するための条件に係る条件情報に相当する。つまり、乗り換えノード情報保持部14には、その乗り換え地点における乗り換え先の移動手段(ラストワンマイルモビリティ)の状況に関する情報が記憶される。
【0047】
図7に示す例では、乗り換えノード全般に係る情報D31として、乗り換えノードを特定する情報(乗り換えノードID)、乗り換えノードが設けられている施設の名称、及び、乗り換えノードが設けられている施設の種別(ノード種別)が示されている。
【0048】
また、
図7に示す例では、モビリティの乗り換え可否に係る情報D32として、当該乗り換えノードにおける乗り換え可能なモビリティの関係を示す情報(FROM-TO)が示されている。これは、この乗り換えノードでどのモビリティからどのモビリティへの乗り換えが可能であるかを示している。
図8に示す例では、
図1に示した乗り換えノードを想定した例が示されていて、FROM及びTOとして公共交通機関T1としての路線バス、小型モビリティT2、及び、ドローンT3と、各モビリティにおける乗り換えノードに対応するノードを特定する情報(ノードID)が示されている。
図8に示す例では、FROM路線バス-TO小型モビリティについては「○」が示されていて、路線バスから小型モビリティへの乗り換えが可能であることが示されている。一方、FROM小型モビリティ-TO路線バスについては「×」が示されていて、小型モビリティから路線バスへの乗り換えは不可であることが示されている。なお、FROM小型モビリティ-TOドローンについては「○」が示されていて、所謂ラストワンマイルモビリティ間の乗り換えについても可能であることが示されている。
【0049】
乗り換え可否に係る情報D32において、乗り換え可能であることが示されているモビリティの組み合わせには、それぞれ乗り換えの条件に係る情報である乗り換え関係情報が対応付けられている。
図8(a)、
図8(b)に乗り換え関係情報の例を示す。
図8(a)に示す乗り換え関係情報D41は、乗り換え可否に係る情報D32における路線バス-小型モビリティに係るセルC1に対応付けられた情報であり、
図8(b)に示す乗り換え関係情報D42は、路線バス-ドローンに係るセルC2に対応付けられた情報である。
【0050】
乗り換え関係に係る情報とは、ラストワンマイルモビリティを利用する際の条件に係る情報である。ラストワンマイルモビリティは、上述したように、狭域ではありながら公共交通機関よりも比較的高い自由度で移動が可能な移動体である一方で、例えば、大きさ、性能等に制限がある場合がある。そこで、ラストワンマイルモビリティ情報に対応付けて、
図8(a)及び
図8(b)に示すようにそのラストワンマイルモビリティを利用可能な条件を示す情報を作成し、保持する。具体的には、
図8(a)の乗り換え関係情報D41及び
図8(b)の乗り換え関係情報D42のいずれにおいても、輸送対象に関しては、人及び荷物(物品)のそれぞれについて、対象となり得る条件を示している。
図8(b)に示す乗り換え関係情報D42では、荷物に関して、冷蔵/冷凍に対応可能であることも示している。また、乗り換え方向に関しては、当該ラストワンマイルモビリティに乗降可能な方向を示している。また、乗り換え可能時間に関しては、当該ラストワンマイルモビリティを利用可能な時間帯を示している。なお、乗り換え関係情報には
図8(a)及び
図8(b)に示す情報以外の情報が含まれていてもよい。
【0051】
図7に戻り、乗り換えノード情報D3に含まれる乗り換えノードにおけるラストワンマイルモビリティの運用状況に係る情報D33として、モビリティ収容可能台数と、モビリティ待機台数と、が示されている。モビリティ収容可能台数とは、この乗り換えノードにおいて待機させることが可能なモビリティ(ラストワンマイルモビリティ)の台数を示す情報である。また、モビリティ待機台数とは、実際に乗り換えノードに待機しているモビリティ(ラストワンマイルモビリティ)の台数を示す情報である。この待機台数に係る情報は、乗り換えノードでの情報のリアルタイムに反映することが好ましい。
【0052】
経路探索装置1では、上記の一般モビリティ情報、ラストワンマイルモビリティ情報、及び、乗り換えノード情報を組み合わせた情報から、対象に応じた経路を探索して利用者に対して提示する機能を有する。
【0053】
図2に戻り、経路探索装置1の要求取得部21は、利用者装置3からの経路探索に係る要求信号である経路探索要求を取得する機能を有する。利用者装置3からの出力要求には、経路を特定するための情報として、例えば、出発地点と目的地点とを特定する情報、乗り換え地点を特定する情報、輸送の対象を特定する情報、及び、輸送の日時を特定する情報が含まれる。
【0054】
経路探索部22は、利用者装置3から送信される経路探索要求に基づいて、経路探索を行ない、経路探索結果を作成する。具体的には、一般モビリティ情報保持部12において保持される一般モビリティ情報と、乗り換えノード情報保持部14において保持されている乗り換えノード情報と、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16において保持されているラストワンマイルモビリティ情報とを組み合わせて、経路探索要求で指定された条件に応じた経路情報を作成する。
【0055】
出力部23は、経路探索部22において作成された経路探索結果を、経路探索要求を送信した利用者装置3に対して送信する。
【0056】
利用者装置3の制御部31は、利用者装置3のユーザ等の指示に基づいて利用者装置3から経路探索装置1に対して経路探索要求を送信する機能を有する。また、経路探索要求に対して経路探索装置1から送信される経路探索結果を受信する機能を有する。なお、制御部31は、受信した経路探索結果に基づいて、例えば、荷物の移動を開始するなどの制御を行う構成としてもよい。
【0057】
利用者装置3の出力部32は、経路探索結果を例えばモニタ等に出力し、例えば利用者装置3の操作者に対して経路探索結果を通知する機能を有する。
【0058】
[経路探索に係る処理の手順]
次に、
図9~
図11を参照しながら、経路探索装置1における処理の手順について説明する。まず、
図9及び
図10を参照しながら、経路探索装置1を利用した経路探索の手順について説明する。
【0059】
通常時は、経路探索装置1において、モビリティに係る情報の管理・更新を行う(S01)。ここでのモビリティに係る情報とは、一般モビリティ情報、ラストワンマイルモビリティ情報、及び、乗り換えノード情報である。交通網の変化や乗り換えノードの整備に係る情報を取得すると、経路探索装置1の一般モビリティ情報管理部11、乗り換えノード情報管理部13、及び、ラストワンマイルモビリティ情報管理部15によって、一般モビリティ情報保持部12、乗り換えノード情報保持部14、及び、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16において保持する情報の更新が行われる。
【0060】
利用者装置3が輸送対象に係る経路の探索を行う場合、利用者装置3から経路探索装置1に対して経路探索要求が送信される(S02)。経路探索要求の作成及び送信は、利用者装置3の制御部31によって行われる。経路探索装置1では、要求取得部21が経路探索要求を取得する。次に、経路探索装置1の経路探索部22が、経路探索要求に基づいて経路探索を行い、輸送対象の輸送に利用する移動手段及び経路を選択する(S03)。
【0061】
経路探索部22による経路探索の詳細について、
図10を参照しながら説明する。まず、経路探索部22では、経路探索要求に含まれる情報に基づいて、出発地点及び到着地点の設定(S11)、日時(出発日時または到着日時)の設定(S12)、乗り換え地点の指定がある場合には乗り換え地点の設定(S13)、及び、輸送対象の設定(S14)を行う。これらの情報は経路探索要求に含まれている。なお、経路探索要求には、日時、乗り換え地点、及び、輸送対象を特定する情報が含まれていない場合がある。このような場合には、経路探索部22では、日時を今すぐとし、乗り換え地点は指定なしとし、輸送対象を人間とするなど、情報がない場合に利用する条件を予め決めておきそれらを利用する構成としてもよい。
【0062】
経路探索部22では、上記の条件を指定した状態で経路探索を行う(S15)。この場合には、条件に基づいて利用可能な一般モビリティ情報を選択した上で、ラストワンマイルモビリティ情報と組み合わせて利用して出発地点から到着地点まで輸送対象の人または物品を輸送可能な経路の候補を選択する。さらに、経路探索部22では、経路の候補に関して、一般モビリティとラストワンマイルモビリティとを組み合わせて所望の対象の移動が可能か、乗り換えノード情報に基づいて確認を行う。具体的には、以下の確認が行われている。まず、経路の候補に含まれるモビリティ間(一般モビリティとラストワンマイルモビリティなど)は乗り換えが可能であるか(乗り換えノード等で適切に接続されているか)(S16)が確認される。次に、候補のモビリティは、輸送対象を輸送可能な条件とされているか(S17)が確認される。次に、乗り換えを行う乗り換えノードに到着する時間は、モビリティを利用可能な時間とされているか(S18)が確認される。次に、乗り換えを行う候補のラストワンマイルモビリティは乗り換えノードにおいて収容可能台数に達していないか(S19)が確認される。次に、当該乗り換えノードに待機しているラストワンマイルモビリティが1以上であるか(S20)が確認される。なお、候補のラストワンマイルモビリティの待機台数が1以上ではない場合(0である場合)(S20-NO)、ラストワンマイルモビリティが手配されるまでの待ち時間が許容範囲内であるかを確認する(S21)。なお、収容可能台数に係る確認(S19)は、ラストワンマイルモビリティの待機台数が収容可能台数と同じなっている場合には、当該乗り換えノードにおいて新たなラストワンマイルモビリティが待機できなくなることを考慮して、収容可能台数>待機台数である場合に限り当該乗り換えノードにおけるラストワンマイルモビリティの乗り換えを許容することの確認である。
【0063】
上記の一連の確認事項(S16~S20)に対して全てYESである場合、及び、待ち時間以外の確認事項(S16~S19)についてはYESであり、乗り換えノードにおけるラストワンマイルモビリティの待機台数が0である(S20-NO)が、待ち時間が許容範囲内であった場合(S21-YES)の場合は、経路探索部22は経路探索(S15)で得られた経路の候補を、経路探索の結果として利用者装置3に対して提示することを決定する(S22)。ここで、上記の場合(S20-YES又はS21-YES)、利用者がラストワンマイルモビリティを所定時間独占的に利用(人又は物品の輸送)するための予約を受け付ける処理が存在してもよい。また、経路探索の結果を提示した後に、結果を提示した利用者が当該結果に基づいたラストワンマイルモビリティの利用ができなくなることを防ぐため、ラストワンマイルモビリティを一時的に確保するような処理を行ってもよい。一方、待ち時間以外の確認事項(S16~S19)のいずれかがNOであった場合、及び、待ち時間以外の確認事項(S16~S19)についてはYESであり、乗り換えノードにおけるラストワンマイルモビリティの待機台数が0である(S20-NO)が、待ち時間が許容範囲ではなかった場合(S21-NO)の場合には、経路探索部22は再度経路探索(S15)を行ない、最初の経路の候補とは異なる経路の候補を決定し、一連の確認(S16~S20)を繰り返す。このような処理を経て、経路探索部22によって、利用者装置3に対して出力する経路探索結果が決定される。なお、待ち時間の確認(S20)は省略してもよい。さらに、待ち時間の許容範囲は、経路探索要求に含めることで利用者装置3から経路探索装置1に対して指定する構成であってもよいし、経路探索装置1において予め許容範囲を設定する構成としてもよい。
【0064】
図9に戻り、経路探索結果が決定されると、経路探索装置1の出力部23から利用者装置3に対して経路探索結果が送信される(S04)。経路探索結果を取得すると、利用者装置3の制御部31では、経路探索結果に基づく所定の処理を行う。所定の処理としては、例えば、出力部32により、利用者装置3の操作者に対して経路探索結果を提示することが挙げられる。また、利用者装置3が物品の移動等を制御する装置である場合には、経路探索結果を利用して、物品の移動に係る制御を開始する構成とすることもできる。
【0065】
以上の手順を経て、経路探索装置1から利用者装置3に対して、一般モビリティ情報、ラストワンマイルモビリティ情報、及び、乗り換えノード情報を利用した経路探索結果を提示することができる。
【0066】
図11は、ラストワンマイルモビリティ情報を追加した場合の経路探索装置1が保持する情報の更新手順について説明するフロー図である。上述のように、経路探索装置1では乗り換えノード情報を利用して一般モビリティ情報とラストワンマイルモビリティ情報を関連付けた上で経路探索を行っている。したがって、例えば、新たな種類のラストワンマイルモビリティを用いて物品を配送するサービス等を提供する場合、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16で保持されるラストワンマイルモビリティ情報を追加しただけでは、経路探索装置1による経路探索には利用できない。
【0067】
そこで、経路探索装置1では、ラストワンマイルモビリティ情報管理部15によって、例えば新たな種類のラストワンマイルモビリティ情報を追加した場合には、乗り換えノード情報管理部13によって、乗り換えノード情報の更新について以下の手順に沿って確認を行う。まず、ラストワンマイルモビリティ情報のノードに係る情報によって特定される場所(例えば、対象の施設)に既存の乗り換えノードが存在するかを確認する(S31)。既存の乗り換えノードが存在する場合(S31-YES)、乗り換えノード情報管理部13は、当該乗り換えノードに係る乗り換えノード情報に記載された既存のモビリティとの乗り換え可否を設定する(S32)。具体的には、乗り換えノード情報管理部13は、
図7に示す乗り換え可否に係る情報D32を更新する。また、追加するラストワンマイルモビリティに関する乗り換え関係情報についても更新(追加)する(S33)。この際に、乗り換えノードにおけるラストワンマイルモビリティの運用状況に係る情報D33についても必要に応じて更新する。
【0068】
一方、既存の乗り換えノードが存在しない場合(S31-NO)、乗り換えノード情報管理部13は、追加されたラストワンマイルモビリティ情報において特定される、当該モビリティへの乗り換え地点となり得るノードにおいて、乗り換えが可能となるモビリティが存在するかを確認する(S34)。すなわち、追加されたラストワンマイルモビリティのノードと、他の一般モビリティまたはラストワンマイルモビリティのノードとについて、乗り換え地点として紐付けが可能かの確認を行う。このとき、乗り換えが可能となるモビリティが存在する場合(S34-YES)には、乗り換えが可能であるとして、新規の乗り換えノードを設定する(S35)。具体的には、乗り換えノード情報管理部13は、
図7に示す乗り換えノード情報D3を新たに作成するとともに、乗り換えノード情報に対応付けられる乗り換え関係情報を作成することになる。一方、乗り換えが可能となるモビリティが存在しない場合(S34-NO)には、追加されたラストワンマイルモビリティは他のモビリティとの乗り換えが不可能であるため、乗り換えノード情報管理部13は、ラストワンマイルモビリティの管理者に対して乗り換え先を設ける必要があることを通知する(S36)。なお、他のモビリティとの乗り換えが不可能であると判定されたラストワンマイルモビリティは、一般モビリティまたは他のラストワンマイルモビリティとの乗り換えを含む経路探索には利用できないが、当該モビリティの単独の利用により経路探索要求に応じた経路を提供できる場合には、経路探索結果に含める情報として利用する構成としてもよい。
【0069】
[本実施形態の効果]
以上のように、上記実施形態で説明した経路探索装置1は、モビリティ情報保持部(一般モビリティ情報保持部12、乗り換えノード情報保持部14、及び、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16)において、複数の移動手段(モビリティ)それぞれに関する移動経路に係る情報であって、複数の移動手段の少なくとも一つの移動経路は、他の移動手段の移動経路よりも狭域の移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した移動経路であり、当該移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報(一般モビリティ情報、または、ラストワンマイルモビリティ情報)と、当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、乗り換え地点における乗り換え先の移動手段の状況に関する乗り換えノード情報と、を保持する。そして、経路探索装置1の経路探索部22は、利用者である利用者装置3からの経路探索要求に含まれる輸送対象の輸送の出発地及び目的地を特定する情報及び上記のモビリティ情報保持部で保持される情報に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する。
【0070】
上記のような構成とすることで、経路探索要求に含まれる輸送対象の輸送の出発地及び目的地を特定する情報及びモビリティ情報保持部で保持される情報に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択することができるため、輸送の対象に応じて適切な経路を探索することができる。モビリティ情報保持部では乗り換え地点における乗り換え先の移動手段の状況に関する乗り換えノード情報を保持していて、この情報に基づいて経路を選択するため、特に、移動手段の状況に応じて輸送対象に応じた適切な経路を探索することが可能となる。
【0071】
また、乗り換えノード情報は、互いに異なる2以上の移動手段のノードであって、当該ノードにおいて利用する移動手段の変更が可能なノード群を関連付けた乗り換えノードに係る情報を含む。また、経路探索部22は、乗り換えノード情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する。
【0072】
このような構成とすることで、移動手段の変更が可能なノード群を関連付けた乗り換えノードに係る情報を含む乗り換えノード情報を利用して、輸送の対象、及び、出発地及び目的地に応じた経路を選択することができる。したがって、経路探索の際により適切な経路を探索することが可能となる。
【0073】
乗り換えノード情報は、乗り換えノードにおける移動手段同士の乗り換えの条件を特定する乗り換え条件情報を含み、経路探索部22は、乗り換え条件情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する態様とすることができる。
【0074】
上記のように、移動手段毎の乗り換えの条件を特定する乗り換え条件情報に基づいて移動手段及び経路を選択する構成とすることで、各移動手段の特性が反映された乗り換え条件に応じた経路を選択することができる。したがって、輸送の対象に応じてより適切な経路を探索することができる。
【0075】
乗り換えノード情報は、乗り換えノードに滞在する移動手段の数に係る情報を含み、経路探索部22は、乗り換えノードに滞在する移動手段の数に係る情報に基づいて、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する態様とすることができる。
【0076】
上記のように、乗り換えノードに滞在する移動手段の数に係る情報に基づいて、輸送対象の輸送に利用する経路を選択することで、例えば、移動手段が乗り換えノードに滞在しない状態であるにもかかわらず当該移動手段を利用した経路を選択することを防ぐことができ、より適切な移動手段及び経路を選択することが可能となる。
【0077】
モビリティ情報保持部(一般モビリティ情報保持部12、乗り換えノード情報保持部14、及び、ラストワンマイルモビリティ情報保持部16)において保持される情報を更新するモビリティ情報管理部(一般モビリティ情報管理部11、乗り換えノード情報管理部13、及び、ラストワンマイルモビリティ情報管理部15)をさらに有する態様とすることができる。
【0078】
上記のモビリティ情報管理部によってモビリティ情報保持部において保持される情報を更新することにより、例えば、移動手段を追加・変更した際の情報を適切に反映した上で、経路の選択が可能となる。
【0079】
なお、本開示の一形態に係るプログラムは、上記の経路探索装置1に対して、輸送対象の種類を特定する情報と、当該輸送対象の輸送の出発地と目的地を特定する情報と、当該輸送対象の輸送の条件に関する情報と、を経路探索要求として送信するとともに、経路探索要求に対応して経路探索装置1から送信される経路探索結果を取得することを利用者装置3に実行させるためのプログラムである。
【0080】
上記のプログラムによれば、輸送対象の種類を特定する情報を含む経路探索要求を経路探索装置1に対して送信することで、経路探索装置1から経路探索結果を取得することができる。したがって、利用者装置3において、経路探索装置1において選択された輸送の対象に応じて適切な経路を利用することが可能となる。
【0081】
また、本開示の一形態に係る経路探索方法は、複数の移動手段それぞれに関する移動経路に係る情報であって、複数の前記移動手段の少なくとも一つの前記移動経路は、他の前記移動手段の前記移動経路よりも狭域の前記移動手段の移動領域に応じた乗り換え地点の周辺領域に対応した前記移動経路であり、複数の前記移動手段の利用の開始地点または終了地点となるノードに係るノード情報が1以上含まれるモビリティ情報と、当該モビリティ情報に対応付けられた情報であって、前記乗り換え地点における乗り換え先の前記移動手段の状況に関する乗り換えノード情報と、利用者からの経路探索要求に含まれる、輸送対象の輸送の出発地と目的地を特定する情報と、に基づき、当該輸送対象の輸送に利用する経路を選択する。上記のような構成とすることで、上述の経路探索装置1と同様の作用、効果を奏する。
【0082】
[変形例]
上記実施形態で説明した経路探索装置が保持するデータの変形例について、
図12及び
図13を参照しながら説明する。
【0083】
上記実施形態では、一般モビリティ及びラストワンマイルモビリティの乗り換えノードは固定である場合について説明した。しかしながら、例えば、一般モビリティとラストワンマイルモビリティとを組み合わせて使用する場合、乗り換えノードの場所を適宜変更可能な構成とすることができる。
【0084】
乗り換えノードの場所を変更可能な例について、
図12を参照しながら説明する。
図12に示す例では、一般モビリティとしてトラックT4を想定している。トラックT4は道路上を移動可能であり、例えば地点DでトラックT4に搭載されたラストワンマイルモビリティであるドローンT5に対して荷物を持ち替えることが可能である。そして、荷物は地点Dから地点EまでドローンT5により運搬することとする。
【0085】
このような構成の場合、トラックT4からドローンT5に対する荷物の持ち替え、すなわち、乗り換えに対応する動作は、地点Dにおいて行われることになる。ただし、ドローンT5がトラックT4に搭載されている場合、トラックT4が停車可能でありドローンT5が移動可能であれば、地点Dは適宜変更することができる。すなわち、目的値である地点Eの条件に応じて、地点Dを変更することが可能となる。
【0086】
このような場合、トラックT4側のノードをNA002とし、ドローンT5側のノードをND002とする。そして、これらのノードNA002及びノードND002を、乗り換えノードN003として取り扱うことで、他の公共交通機関等の一般モビリティ及びラストワンマイルモビリティの組み合わせと同様に取り扱うことができる。
【0087】
図13(a)は、
図12で説明した2つのモビリティに係る乗り換えノード情報D3を示している。また、
図13(b)は、
図13(a)で示す乗り換えノード情報D3内の乗り換え関係に関する乗り換え関係情報D43であり、トラック-ドローンに係るセルC3に対応付けられた情報である。
【0088】
図13(a)に示すように、乗り換えノード情報D3には、上述の場所が固定された乗り換えノード情報(例えば、
図7に示す例)と同様の情報が含まれる。また、
図13(b)に示すように、乗り換え関係情報D43についても、上述の場所が固定された乗り換えノード情報に対応付けられた乗り換え関係情報(例えば、
図8に示す例)と同様の情報が含まれる。
【0089】
ただし、トラックT4のノードNA002及びドローンT5のノードND002は、いずれも場所を動的に決定することが可能である。したがって、トラックT4に係る一般モビリティ情報におけるノードNA002の場所を特定する情報、及び、ドローンT5に係るラストワンマイルモビリティ情報におけるノードND002の場所特定する情報には、何れも場所が動的に変化し得る情報であることを示すパラメータ等を付与しておく態様とすることができる。また、ドローンT5については、トラックT4以外の他の公共交通機関からの乗り換えが不可となる。したがって、そのことが明確となるように、乗り換えノードN003とは異なる乗り換えノードではドローンT5へ乗り換える経路が発生しないように情報を管理する必要がある。
【0090】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0091】
例えば、上記実施形態では、経路探索装置1が1つの装置から構成される例について説明したが、経路探索装置1としての機能が複数の装置に分散されていてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、経路探索装置1において、一般モビリティ情報とラストワンマイルモビリティ情報とを組み合わせて経路探索を行う場合について説明したが、一般モビリティ情報とラストワンマイルモビリティ情報とは明確に区別されていなくてもよい。例えば、上記実施形態で説明したラストワンマイルモビリティについても、一般モビリティと同様に取り扱う構成としてもよい。
【0093】
また、上記実施形態で説明した一般モビリティ情報、ラストワンマイルモビリティ情報、乗り換えノード情報のデータ構成は一例であり、上記の実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、乗り換えノードを用いることなく、複数の移動手段を経由する経路の検索を行う構成としてもよい。
【0094】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、車線変更に係る適切な運転支援の実現に有効な地図情報管理装置の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0095】
1…経路探索装置、1…経路探索装置、3…利用者装置、11…一般モビリティ情報管理部、12…一般モビリティ情報保持部、13…乗り換えノード情報管理部、14…乗り換えノード情報保持部、15…ラストワンマイルモビリティ情報管理部、16…ラストワンマイルモビリティ情報保持部、21…要求取得部、22…経路探索部、23…出力部、31…制御部、32…出力部。