(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】超音波ホッチキスと超音波ホッチキス用樹脂製ピン
(51)【国際特許分類】
B29C 65/08 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B29C65/08
(21)【出願番号】P 2019135980
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391008537
【氏名又は名称】ASTI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健弥
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆文
(72)【発明者】
【氏名】鷹野 光
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-047048(JP,A)
【文献】特開昭53-043286(JP,A)
【文献】特開2012-016794(JP,A)
【文献】特開2015-047629(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162998(WO,A1)
【文献】実公昭61-059024(JP,Y1)
【文献】特開平11-347966(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143448(WO,A1)
【文献】特開2014-226826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
B25C 1/00 - 13/00
B42F 1/00 - 23/00
F16B 15/00 - 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被束ね対象物に樹脂製ピンを差し込んで超音波振動により溶融・固化させることにより上記被束ね対象物を束ねるようにし、
上記樹脂製ピンは押圧される平板状の頭部と上記頭部から突設された1本のピン部とを具備し上記ピン部の先端は鋭利な形状になっていて、
超音波振動を発振する超音波振動子と、上記超音波振動を増幅するホーンと、上記ホーンに対向・配置されたチップと、を具備し、
上記超音波振動子と上記ホーンはアッパーフレームに設置され、上記チップは上記アッパーフレームに対して相対的に回動可能に対向・配置されたロアーフレームに配置されていて、
上記アッパーフレームにはアッパーカバーが被冠されていて、上記アッパーフレームと上記アッパーカバーの間には定圧弾性手段と発振スイッチが内装されていて、
上記アッパーフレームと上記アッパーカバーを上記ロアーフレーム側に相対的に回動・接近させていき、上記定圧弾性手段が所定量弾性変形されることにより上記発振スイッチが動作して超音波振動が発振されるように構成されていて、
上記ホーンと上記チップの間に上記樹脂製ピンと上記被束ね対象物を挟み、上記樹脂製ピンを上記被束ね対象物に突き刺して上記被束ね対象物から突出した上記ピン部の先端部を超音波振動により溶融・固化させ、上記頭部と上記溶融・固化されたピン部の先端部によって上記被束ね対象物を挟み込
んで束ねるようにしたことを特徴とする超音波ホッチキス。
【請求項2】
請求項1記載の超音波ホッチキスにおいて、
上記チップの受面には上記樹脂製ピンの先端部が溶融して嵌合する樹脂製ピン嵌合凹部が設けられていることを特徴とする超音波ホッチキス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の超音波ホッチキスにおいて、
樹脂製ピン収容マガジンが設置されていて、上記樹脂製ピン収容マガジン内には複数個の樹脂製ピンが収容されていて、先端の樹脂製ピンから順次差込位置に供給されることを特徴とする超音波ホッチキス。
【請求項4】
請求項
1~請求項3の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて、
上記樹脂製ピンを上記差込位置に1個ずつ供給することを特徴とする超音波ホッチキス。
【請求項5】
上記請求項1~請求項4の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて
使用される超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、
上記頭部と上記ピン部との境界部にはテーパ部が設けられていて、
上記頭部にはタブが設けられていることを特徴とする超音波ホッチキス
用樹脂ピン。
【請求項6】
請求項5記載の超音波ホッチキス
用樹脂製ピンにおいて、
生分解性プラスチック製であることを特徴とする超音波ホッチキス
用樹脂ピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波ホッチキスと超音波ホッチキス用樹脂製ピンに係り、特に、紙等の非溶着性の被束ね対象物を束ねることが出来るように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波ホッチキスの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
特許文献1に記載された超音波ホッチキスは概略次のような構成になっている。まず、アッパーフレームと、このアッパーフレームに相対的に回動可能に取り付けられたロアーフレームがある。上記アッパーフレームの先端部には超音波振動子が内装されていて、上記アッパーフレームの先端には上記超音波振動子によって振動されるホーンが外部に露出した状態で設置されている。上記ロアーフレームの先端側には加圧面が設けられている。
【0003】
上記加圧面に接着対象物として、例えば、複数枚のプラスチックシートを重ねて設置し、上記アッパーフレームとロアーフレームを相対的に回動させて上記ホーンの先端と上記加圧面の間に上記複数枚のプラスチックシートを挟み込む。超音波振動子により上記ホーンを振動させると、上記複数枚のプラスチックシートの上記ホーンの先端と上記加圧面に挟まれた箇所が摩擦熱により溶着し、それによって、上記複数枚のプラスチックシートが固定される。
【0004】
上記構成をなす超音波ホッチキスの場合には、対象物が超音波による摩擦により溶融するものでなければならず、例えば、紙のような非溶着性のものは対象外になってしまう。そこで、紙については超音波振動を使用しない従来通りのホッチキスを使用して束ねていた。
【0005】
そのようなホッチキスの構成を開示するものとして、例えば、特許文献2がある。特許文献2に記載されたホッチキスは概略次のような構成になっている。まず、先端側に針受板が設置された底台があり、この底台には押圧部が回動可能に設置されている。上記底台と上記押圧部の間には針レールが回動可能に設置されていて、この針レール内には下向き「コ」の字型の複数個の針が一列に充填されている。上記針レールの先端の下側には上記針を一つ排出する針出口が設けられている。上記針レール内には伸縮バネによって上記針を前方に押圧・付勢する針押出台が設置されている。上記針レールと上記押圧部の間には嵌合押圧部が回動可能に設置されている。この嵌合押圧部の先端には針押出片がある。
【0006】
上記底台の先端側と上記針レールの先端側の間に、例えば、複数枚の紙を重ねて挟み込み、上記押圧部を上記底部側に回動させると、上記押圧部により上記嵌合押圧部が回動されて上記針押出片により上記針レール内の先端の針が押出される。この押し出された針は上記複数枚の紙に貫通して刺さり、その後、上記針押出片の先端と上記底台の針受板との間に押しつぶされ、上記針によって上記複数枚の紙が束ねられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-11227号公報
【文献】特開2008-194780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来の構成では次のような問題があった。
まず、特許文献1に記載された超音波ホッチキスでは、超音波振動による摩擦熱で溶融される対象物でないと溶着できないという問題があり、例えば、紙のような非溶着性の対象物を束ねることはできなかった。
そのような場合には、特許文献2に記載されたホッチキスを用いることになるが、例えば、金属製等の堅い針を用いるため、取り扱いに際して針を指に刺したりする等の怪我が懸念されるとともに金属アレルギーの問題もあった。
これに対しては、例えば、紙製の針を使用することも提案されているが、十分な束ね強度を得ることができないという問題があった。
【0009】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、紙等の非溶着性の被束ね対象物を束ねることができる超音波ホッチキスと超音波ホッチキス用樹脂製ピンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による超音波ホッチキスは、被束ね対象物に樹脂製ピンを差し込んで超音波振動により溶融・固化させることにより上記被束ね対象物を束ねるようにし、上記樹脂製ピンは押圧される平板状の頭部と上記頭部から突設された1本のピン部とを具備し上記ピン部の先端は鋭利な形状になっていて、超音波振動を発振する超音波振動子と、上記超音波振動を増幅するホーンと、上記ホーンに対向・配置されたチップと、を具備し、上記超音波振動子と上記ホーンはアッパーフレームに設置され、上記チップは上記アッパーフレームに対して相対的に回動可能に対向・配置されたロアーフレームに配置されていて、上記アッパーフレームにはアッパーカバーが被冠されていて、上記アッパーフレームと上記アッパーカバーの間には定圧弾性手段と発振スイッチが内装されていて、上記アッパーフレームと上記アッパーカバーを上記ロアーフレーム側に相対的に回動・接近させていき、上記定圧弾性手段が所定量弾性変形されることにより上記発振スイッチが動作して超音波振動が発振され値ように構成されていて、上記ホーンと上記チップの間に上記樹脂製ピンと上記被束ね対象物を挟み、上記樹脂製ピンを上記被束ね対象物に突き刺して上記被束ね対象物から突出した上記ピン部の先端部を超音波振動により溶融・固化させ、上記頭部と上記溶融・固化されたピン部の先端部によって上記被束ね対象物を挟み込んで束ねるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による超音波ホッチキスは、請求項1記載の超音波ホッチキスにおいて、上記チップの受面には上記樹脂製ピンの先端部が溶融して嵌合する樹脂製ピン嵌合凹部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3による超音波ホッチキスは、請求項1又は請求項2記載の超音波ホッチキスにおいて、樹脂製ピン収容マガジンが設置されていて、上記樹脂製ピン収容マガジン内には複数個の樹脂製ピンが収容されていて、先端の樹脂製ピンから順次差込位置に供給されることを特徴とするものである。
又、請求項4による超音波ホッチキスは、請求項1~請求項3の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて、上記樹脂製ピンを上記差込位置に1個ずつ供給することを特徴とするものである。
又、請求項5による超音波ホッチキス用樹脂ピンは、上記請求項1~請求項4の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて使用される超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、上記頭部と上記ピン部との境界部にはテーパ部が設けられていて、上記頭部にはタブが設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6による超音波ホッチキス用樹脂ピンは、請求項5記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、生分解性プラスチック製であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載の超音波ホッチキスによると、被束ね対象物に樹脂製ピンを差し込んで超音波振動により溶融・固化させることにより上記被束ね対象物を束ねるようにしたため、紙等の非溶着性の被束ね対象物を束ねることができる。また、溶着後は樹脂製ピンの鋭利な部分が溶融されるので怪我の懸念がなく、安全性が高く取り扱い易くできる。
又、請求項2記載の超音波ホッチキスによると、請求項1記載の超音波ホッチキスにおいて、上記被束ね対象物から突出した上記樹脂製ピンの先端部を超音波振動により溶融・固化させるものであるため、束ね枚数によって厚みが増加しても、上記被束ね対象物に差し込んだ上記樹脂製ピンを溶融させることで、確実に上記被束ね対象物を束ねることができる。
又、請求項3記載の超音波ホッチキスによると、請求項1又は請求項2記載の超音波ホッチキスにおいて、超音波振動を発振する超音波振動子と、上記超音波振動を増幅するホーンと、上記ホーンに対向・配置されたチップと、を具備し、上記ホーンと上記チップの間に上記樹脂製ピンと上記被束ね対象物を挟み、上記樹脂製ピンを上記被束ね対象物に差し込んで上記被束ね対象物から突出した上記樹脂製ピンの先端部を超音波振動により溶融・固化させることにより上記被束ね対象物を束ねるようにしたため、束ね枚数によって厚みが増加しても、上記被束ね対象物に差し込んだ上記樹脂製ピンを溶融させることで、確実に上記被束ね対象物を束ねることができる。
又、請求項4による超音波ホッチキスによると、請求項3記載の超音波ホッチキスにおいて、上記チップの受面には上記樹脂製ピンの先端部が溶融して嵌合する樹脂製ピン嵌合凹部が設けられているため、上記樹脂製ピンの先端部が溶融して上記樹脂製ピン嵌合凹部内で広がり、更に確実に被束ね対象物を束ねることができる。
又、請求項5記載の超音波ホッチキスによると、請求項3又は請求項4記載の超音波ホッチキスにおいて、上記超音波振動子と上記ホーンはアッパーフレームに設置され、上記チップは上記アッパーフレームに対して相対的に回動可能に対向・配置されたロアーフレームに配置されているため、簡易な構成により安全性が高く取り扱いやすい超音波ホッチキスを実現できる。
又、請求項6記載の超音波ホッチキスによると、請求項5の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて、上記アッパーフレームにはアッパーカバーが被冠されていて、上記アッパーフレームと上記アッパーカバーの間には定圧弾性手段と発振スイッチが内装されていて、上記アッパーフレームと上記アッパーカバーを上記ロアーフレーム側に相対的に回動・接近させていき、上記定圧弾性手段が所定量弾性変形されることにより上記発振スイッチが動作して超音波振動が発振されるため、不用意に超音波振動が発生せず安定した動作を提供できるとともに、操作を簡易なものとすることができる。
又、請求項7記載の超音波ホッチキスによると、請求項1~請求項6の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて、樹脂製ピン収容マガジンが設置されていて、上記樹脂製ピン収容マガジン内には複数個の樹脂製ピンが収容されていて、先端の樹脂製ピンから順次差込位置に供給されるため、束ね動作を連続して速やかに行うことができる。
又、請求項8記載の超音波ホッチキスによると、請求項1~請求項7の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて、上記樹脂製ピンを上記差込位置に1個ずつ供給するため、一つの上記樹脂製ピンで確実に被溶着対象物を束ねることができる。
又、請求項9記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンによると、上記請求項1~請求項8の何れかに記載の超音波ホッチキスにおいて使用される超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、押圧される頭部と、上記頭部から突設されたピン部と、を具備し、上記ピン部の先端は鋭利な形状になっているため、確実に被溶着対象物を貫通することができる。
又、請求項10記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンによると、請求項9記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、上記頭部と上記ピン部との境界部にはテーパ部が設けられているため、確実に上記被束ね対象物を束ねることができる。
又、請求項11記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンによると、請求項9又は請求項10記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、上記頭部にはタブが設けられているため、上記樹脂製ピンによって束ねられた上記被束ね対象物を取り扱いやすくすることができる。
又、請求項12記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンによると、請求項9~請求項11の何れかに記載の超音波ホッチキス用樹脂製ピンにおいて、生分解性プラスチック製であるため、廃棄処理を容易なものとすることができる。
又、請求項13記載の樹脂製ピンによる束ね方法によると、被束ね対象物に頭部とピン部とからなる樹脂製ピンを差し込み、上記被束ね対象物から突出した上記ピン部の先端部を超音波振動により溶融・固化させ、上記被束ね対象物を上記頭部と上記溶融・固化部により束ねるようにしたため、紙等の非溶着性の被束ね対象物を束ねることができる。また、溶着後は樹脂製ピンの鋭利な部分が溶融されるので怪我の懸念がなく、安全性が高く取り扱い易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキスと超音波発振器の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキスの斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキスの側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図3のIV-IV断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキスの樹脂製ピン収容マガジンの斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図6(a)は樹脂製ピン収容マガジンのピン送り機構の差込位置の超音波ホッチキス用樹脂製ピンを差し込んだ状態を示す平面図、
図6(b)は樹脂製ピン収容マガジンのピン送り機構の超音波ホッチキス用樹脂製ピンを差込位置に供給した状態を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図7(a)は樹脂製ピン収容マガジンのピン送り機構の差込位置の超音波ホッチキス用樹脂製ピンを差し込んだ状態を示す断面図、
図7(b)は樹脂製ピン収容マガジンのピン送り機構の超音波ホッチキス用樹脂製ピンを差込位置に供給した状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図8(a)は超音波ホッチキス用樹脂製ピンの断面図、
図8(b)は超音波ホッチキス用樹脂製ピンの側面図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキス用樹脂製ピンのバリエーションを示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、チップの斜視図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態を示す図で、チップのバリエーションを示す平面図であり、チップの先端部分を抽出したものである。
【
図12】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図12(a)は超音波ホッチキスに超音波ホッチキス用樹脂製ピンをセットする方向を示す図、
図12(b)は超音波ホッチキス用樹脂製ピンによって束ねられた紙束を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキス用樹脂製ピンのバリエーションを示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図14(a)は紙の横側から超音波ホッチキス用樹脂製ピンを超音波ホッチキスにセットする様子を示す図、
図14(b)は超音波ホッチキス用樹脂製ピンによって束ねられた紙束を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図15(a)は紙の上側から超音波ホッチキス用樹脂製ピンを超音波ホッチキスにセットする様子を示す図、
図15(b)は超音波ホッチキス用樹脂製ピンによって束ねられた紙束を示す図である。
【
図16】本発明の第3の実施の形態を示す図で、超音波ホッチキスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1乃至
図11を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。
まず、本実施の形態による超音波ホッチキス1は、
図1に示すように、ケーブル5を介して超音波発振器3に接続された状態で使用される。上記超音波ホッチキス1には、
図1~
図4に示すように、アッパーフレーム11とロアーフレーム13がある。上記アッパーフレーム11と上記ロアーフレーム13は基端側(
図3中右側)を介して相対的に回動可能に連結されている。上記アッパーフレーム11の基端部と上記ロアーフレーム13の基端部との間には弾性部材25が張設されていて、この弾性部材25によって上記アッパーフレーム11と上記ロアーフレーム13は先端側が互いに離間するように付勢されている。
【0014】
図3に示すように、上記アッパーフレーム11にはアッパーカバー21が被冠されていて、このアッパーカバー21は上記アーパーフレーム11に対して基端側(
図3中右側)を中心に相対的に回動可能に連結されている。上記アッパーカバー21内であって上記アッパーフレーム11の先端部には超音波振動子15が設置されていて、上記超音波振動子15にはホーン17が取り付けられている。上記ホーン17の外側にはホーンカバー19が設置されている。 また、
図4に示すように、上記アッパーフレーム11の先端側と上記ホーンカバー19の間にはバネ20、20が介挿されている。
【0015】
上記超音波振動子15は上記超音波発振器3によって印加される電圧によって超音波振動を発生させ、この超音波振動が上記ホーン17によって増幅される。また、上記ホーンカバー19は上記ホーン17の動作を阻害しないような形状になっている。
【0016】
また、上記アッパーカバー21内には上記超音波振動子15への電圧の印加をオン・オフする発振スイッチ23が設置されている。また、上記アッパーカバー21と上記アッパーフレーム11の間には定圧弾性手段としての定圧コイルばね27が張設されている。
【0017】
そして、上記アッパーカバー21とアッパーフレーム11をロアーフレーム13とロアーカバー31側に相対的に回動させていくと、当初は上記アッパーカバー21とアッパーフレーム11が一体的に回動していき上記定圧コイルばね27が圧縮されることはなく、よって、発振スイッチ23が「オン」されることもない。これに対して、上記アッパーフレーム11の回動動作が規制され上記アッパーカバー21のみが回動されていくと、上記定圧コイルばね27が圧縮されていきその圧縮量が所定量に達すると、上記発振スイッチ23が「オン」される。それによって、上記超音波振動子15が超音波振動を開始する。
また、上記アッパーカバー21にはパイロットランプ32が設置されていて、上記超音波振動子15に通電された際、上記パイロットランプ32が点灯する。
【0018】
また、上記ロアーフレーム13の先端側(
図3中左側)にはチップ29が設置されていて、上記ロアーフレーム13の外側にはロアーカバー31が固着されている。
【0019】
上記アッパーフレーム11とロアーフレーム13との間には樹脂製ピン収容マガジン41が着脱可能に取り付けられている。
図5に示すように、上記樹脂製ピン収容マガジン41にはマガジン本体43がある。このマガジン本体43の幅方向(
図5中左上から右下に向かう方向)中央には前後方向(
図5中右上から左下に向かう方向)に延長された樹脂製ピン充填溝45が形成されている。上記樹脂製ピン充填溝45はT字型の横断面形状を成している。上記マガジン本体43の先端側(
図5中左下側)には上記樹脂製ピン充填溝45と連通され上記マガジン本体43の底部側(
図5中下側)に開口された樹脂製ピン押出用貫通孔47が形成されている。
【0020】
図5~
図7に示すように、上記樹脂製ピン充填溝45内には複数個の樹脂製ピン46が一列に整列・充填されていて、上記ピン押出用貫通孔47の位置には先端に位置する樹脂製ピン46が配置されている。
図8(a)に示すように、この樹脂製ピン46は平板状の頭部46aとこの頭部46aから立設されたピン部46bとから構成されている。また、上記頭部46aと上記ピン部46bの境界にはテーパ部46cが設けられている。上記樹脂製ピン46の頭部46aは上記樹脂製ピン充填溝45の左右段付部上に載置されている。
【0021】
上記樹脂製ピン46は生分解性プラスチック(いわゆるグリーンブラ)製であり、より具体的には、バイオプラスチック製である。この種の生分解性プラスチックは最終的に二酸化炭素と水に分解される。
【0022】
上記樹脂製ピン充填溝45内には樹脂製ピン押出部材49が設置されていて、上記樹脂製ピン充填溝45の基端側(
図5中右上側)と上記樹脂製ピン押出部材49との間には樹脂製ピン押出用ばね51が張設されている。上記複数個の樹脂製ピン46は上記樹脂製ピン押出用ばね51によって前方に付勢されている。
【0023】
また、上記マガジン本体43の先端部(
図5中左下側)には、一対の樹脂製ピン押出規制部材53、53が基端側(
図5中右上側)を支点に回動可能に設置されている。上記樹脂製ピン押出規制部材53、53の先端側(
図5中左下側)と上記マガジン本体43との間には樹脂製ピン押出規制部材用弾性部材55、55がそれぞれ設置されていて、上記樹脂製ピン押出規制部材53、53の先端側を相互に近接する方向に回動・付勢している。上記樹脂製ピン押出規制部材53、53の基端側の互いに向かい合う側は切り欠かれていて樹脂製ピン当接・ガイド面57、57が設けられている。
【0024】
また、
図4に示すように、上記樹脂製ピン押出規制部材53、53には傾斜面58、58が対向するように設けられている。上記樹脂製ピン46のテーパ部46cはこれら傾斜面58、58に当接されている。
【0025】
超音波ホッチキス1が動作する前の待機時には、
図6(a)に示すような状態にあり、先端に位置する樹脂製ピン46が上記樹脂製ピン押出規制部材53、53の間に挟持された状態にある。同時に、二番目以後の樹脂製ピン46の前方への移動が上記樹脂製ピン押し出し規制部材53、53の当接・ガイド面57、57によって規制された状態にある。
【0026】
この状態で、上記アッパーカバー21とアッパーフレーム11をロアーフレーム13とロアーカバー31側に相対的に回動・接近させていくと、ホーン17が樹脂製ピン押出用貫通孔47内に挿し込まれ上記先端に位置する樹脂製ピン46が上記ロアーフレーム13側に押し出される。その状態を
図6(b)に示す。その後所定の束ね動作が行われる。
【0027】
次に、束ね動作終了後、上記アッパーカバー21とアッパーフレーム11をロアーフレーム13とロアーカバー31側から相対的に回動・離間させていき、ホーン17を樹脂製ピン押出用貫通孔47から引き抜くと、二番目の樹脂製ピン46が上記樹脂製ピン押出用ばね51によって前方に押し出され、再度、
図6(a)に示す状態となる。
以下、同様の動作が繰り返される。
なお、上記ホーン17が樹脂製ピン押出用貫通孔47を貫通している間は二番目の樹脂製ピン46がホーン17に接触することになるが上記2番目の樹脂製ピン46は上記ホーン17に触れても溶融されない位置にあり、超音波振動によって溶融することはない。
【0028】
なお、樹脂製ピン46の形状としては、
図8(a)に示すもの以外にも、
図8(b)及び
図9に示すように、上様々なものがある。いずれの場合も、上記ピン部46bの先端側は鋭利な形状となっている。
図8(b)に示すものは、頭部46aの上面側が湾曲した形状になっているものである。
図9に示すものは、
図8(a)に示すもののように、頭部46aが平板状のものである。
図9(a)に示すものは、頭部46aが円形、ピン部46bの横断面形状が円形、先端部が逆円錐形状になっている。
図9(b)に示すものは、頭部46aが長円形、ピン部46bの横断面形状が円形、先端部が逆円錐形状になっている。
図9(c)に示すものは、頭部46aが円形、ピン部46bの横断面形状が三角形、先端部が逆三角錐形状になっている。
図9(d)に示すものは、頭部46aが長円形、ピン部46bの横断面形状が三角形、先端部が逆三角錐形状になっている。
図9(e)に示すものは、頭部46aが円形、ピン部46bの横断面形状が正方形、先端部が逆三角錐形状になっている。
図9(f)に示すものは、頭部46aが長円形、ピン部46bの横断面形状が正方形、先端部が逆三角錐形状になっている。
【0029】
また、
図4、
図7に示すように、上記チップ29と上記樹脂製ピン収容マガジン41の先端側の間に被束ね対象物60が挟み込まれる。上記被束ね対象物60としては、例えば、複数枚の紙が想定される。
なお、紙以外には、例えば、布、その他非溶着性の様々なものが想定される。
図10に示すように、上記チップ29の先端面には樹脂製ピン嵌合凹部61が形成されていて、
図7(b)に示すように、上記ホーン17によって押し出された上記樹脂製ピン46のピン部46bは上記被束ね対象物60を貫通して上記樹脂製ピン嵌合凹部61の上面に当接され、上記ホーン17の超音波振動による摩擦熱で溶融されて、上記樹脂製ピン嵌合凹部61内に入り込んでその形状に成型される。
【0030】
図11に示すように、上記樹脂製ピン嵌合凹部61の形状は様々であり、いずれの場合も上記樹脂製ピン嵌合凹部61によって成型されたピン部46bの
図11中紙面手前側から視た幅が溶融される前の上記ピン部46bの径より大きくなり、上記平板部46aと上記ピン嵌合凹部61によって成形されたピン部46bの間に上記被束ね対象物60を束ねられる。
【0031】
図11(a)に示す上記樹脂製ピン嵌合凹部61は、溶融された上記ピン部46bは
図11中左右方向に広がるようになっている。
図11(b)に示す上記樹脂製ピン嵌合凹部61は、溶融された上記ピン部46bが上下方向と対角線方向に広がるようになっている。
図11(c)に示す上記樹脂製ピン嵌合凹部61は、溶融された上記ピン部46bが左右方向に広がるようになっている。
図11(d)に示す上記樹脂製ピン嵌合凹部61は、溶融された上記ピン部46bが上下方向に広がるようになっている。
図11(e)に示す上記樹脂製ピン嵌合凹部61は、溶融された上記ピン部46bが対角線方向に広がるようになっている。
図11(f)に示す上記樹脂製ピン嵌合凹部61は、溶融された上記ピン部46bが上下左右方向に十字型に広がるようになっている。
【0032】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
超音波ホッチキス1を使用する前に、まず、樹脂製ピン収容マガジン41のピン押出部材49を基端側(
図5中右側)に引き、ピン充填溝45に複数の樹脂製ピン46を一列に充填する。それによって、先端に位置する樹脂製ピン46がピン押出規制部材53、53の間であって上記ピン押出用貫通孔47の真上に配置される。
【0033】
次に、
図7(a)に示すように、チップ29の上に被束ね対象物60を載置する。
次に、上記超音波ホッチキス1を手で握り、上記チップ29と上記樹脂製ピン収容マガジン41の先端が互いに接近するように、アッパーフレーム11、アッパーカバー21とロアーフレーム13、ロアーカバー31を相対的に回動・接近させる。
なお、当初は回動抵抗がないので定圧コイルばね27が圧縮されることはなく、よって、アッパーフレーム11、アッパーカバー21は一体的に回動する。
【0034】
そして、更に上記超音波ホッチキス1を握ると、ホーン17の先端によって上記ピン押出用貫通孔47内の樹脂製ピン46が下側に押し出される。すなわち、上記樹脂製ピン46の平板部46a及び上記ホーン17によって樹脂製ピン押出規制用弾性部材55、55の弾性力に抗して上記樹脂製ピン押出規制部材53、53が押し広げられ、上記ピン充填溝45内の先端側の上記樹脂製ピン46の上記ピン押出用貫通孔47側への移動の規制が解除される。そして、
図7(b)に示すように、上記樹脂製ピン46のピン部46bは上記被束ね対象物60を貫通する。
なお、上記一連の動作時に上記ホーンカバー19がマガジン本体43に当接することになるが、コイルスプリング20、20が圧縮されることにより上記アッパーフレーム11の回動動作が損なわれることはない。
【0035】
次に、樹脂製ピン46のピン部46bが上記被束ね対象物60を貫通してチップ29の上端面に当接する。その状態で、アッパーフレーム11、アッパーカバー21とロアーフレーム13、ロアーカバー31を相対的に回動・接近させていくと、アッパーフレーム11の回動は上記樹脂製ピン46のピン部46bが上記被束ね対象物60を貫通してチップ29の上端面に当接していることにより規制されるため、アッパーカバー21のみが回動していき、その結果、定圧コイルばね27が圧縮される。
【0036】
上記定圧コイルバネ27が所定量圧縮された状態になるとアッパーフレーム11とアッパーカバー21の間隔が狭められ、その結果、上記発振スイッチ23が「オン」する。この発振スイッチ23の「オン」により超音波発振器3によって発せられる電圧が超音波振動子15に印加されて上記ホーン17が超音波振動される。
【0037】
上記ホーン17の超音波振動によって摩擦熱が生じ上記樹脂製ピン46のピン部46bの内日束ね対象物60を貫通して突出した部分が溶融される。溶融された樹脂は上記チップ29のピン嵌合凹部61内に入り込み所定の形状に成型される。
【0038】
次に、上記超音波ホッチキス1の握りを解除すると、上記アッパーフレーム11、アッパーカバー21とロアーフレーム13、ロアーカバー31が相対的に回動・離間していく。上記ホーン17が上記ピン押出用貫通孔47内から退避され、上記ピン押出規制用弾性部材55、55の間に上記ホーン17の基部に当接されていた二番目の樹脂製ピン46が上記ピン押出規制部材53、53の間に押し出される。
【0039】
また、被束ね対象物60は樹脂製ピン46の平板部46aと上記チップ29のピン嵌合凹部61内に入り込んで所定の形状に成形されたピン部46bの先端部とによって挟み込まれた状態となる。そして、同様の処理を被束ね対象物60の一辺側の二箇所に施すことにより被束ね対象物60を束ねることができる。
【0040】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
まず、紙等の非溶着性の被束ね対象物60を束ねることができる超音波ホッチキス1を提供することができる。これは樹脂製ピン46を使用して被溶着対象物60を束ねるようにしたからであり、樹脂製ピン46を被束ね対象物60に突き刺した後飛び出したピン部46bを超音波振動により溶融させて所定の形状に成形し上記被溶着対象物60を挟み込むようにしたからである。
また、鋭利な金属製の針を使用する従来のホッチキスに比べて怪我の懸念がなく安全性も高い。
また、金属針を使用するものではないので金属アレルギーの問題もない。
超音波振動子15とホーン15はアッパーフレーム11に設置され、チップ29は上記アッパーフレーム11に対して相対的に回動可能に対向・配置されたロアーフレーム13に配置されているため、簡易な構成により安全性が高く取り扱いやすい超音波ホッチキス1を実現できる。
また、超音波振動が付与されるタイミングは定圧コイルバネ27と発振スイッチ23によって所望のタイミングに制御されるように構成されているので、安定した動作を提供することができる。
【0041】
また、樹脂製ピン収容マガジン41があり、この樹脂製ピン収容マガジン41に複数の樹脂製ピン46が一列に充填されていて、樹脂製ピン46が順次ピン押出用貫通孔47の上に供給されるようになっているので、束ね動作を連続して速やかに行うことができる。
また、上記樹脂製ピン46は、ピン押出規制部材53、53によって一つずつピン押出用貫通孔47の上に供給されるようになっているので、一つの上記樹脂製ピン46で確実に被束ね対象物60を束ねることができる。
また、上記樹脂製ピン46には頭部46aとピン部46bがあり、上記ピン部46bは溶融される前は鋭利な形状となっているので、上記被束ね対象物60を確実に貫通してその先端部を被束ね対象物60から突出させることができる。
また、上記チップ29にはピン嵌合凹部61があり、溶融された上記樹脂製ピン46のピン部46bが上記ピン嵌合凹部61内で広がり所定の形状に溶融されてから固化するので、確実に被束ね対象物60を束ねることができる。
また、上記樹脂製ピン46にはテーパ部46cが設けられているので、上記樹脂製ピン46を押し出す際、確実に上記ピン押出規制部材53、53を開き、上記樹脂製ピン46によって上記被束ね対象物60を束ねることができる。
また、上記樹脂製ピン46は生分解性プラスチック(いわゆるグリーンブラ)製であり、自然界において最終的に二酸化炭素と水に分解されるので、廃棄処理を容易なものとすることができる。
【0042】
次に、
図12乃至
図15を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
前記第1の実施の形態の場合には樹脂製ピン収容マガジンを使用したが、この第2の実施の形態による超音波ホッチキス101は、そのような樹脂製ピン収容マガジンを使用せず、その代わり樹脂製ピン46を一つだけ収容できる図示しない樹脂製ピン保持部が設けられている。また、
図12(a)に示すように、上記樹脂製ピン保持部には上記樹脂製ピン46を上記超音波ホッチキスの先端側(
図12(a)中上側)及び幅方向両側(
図12(a)中左右方向両側)から挿入できるようになっている。
なお、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0043】
上記構成において、上記樹脂製ピン46を上記樹脂製ピン保持部に挿入し、
図12(b)に示すように、上記被溶着対象物60の角部で束ねる。
【0044】
また、この第2の実施の形態の場合、
図13に示すような、タブ付き樹脂製ピン151を用いる場合も考えられる。このタブ付き樹脂製ピン151にも平板部153とピン部155があるが、上記平板部153が一方向に延長されてタブ157が設けられている。
図13(a)に示すタブ付き樹脂製ピン151は、頭部153が円形で、タブ157が長方形のものである。
図13(b)に示すタブ付き樹脂製ピン151は、頭部153が円形で、タブ157が半円形のものである。
図13(c)に示すタブ付き樹脂製ピン151は、頭部153が角丸長方形で、タブ157が長方形のものである。
図13(d)に示すタブ付き樹脂製ピン151は、頭部153が角丸長方形で、タブ157が長方形のものである。
【0045】
図14に示すように、上記超音波ホッチキス101によって被束ね対象物60を
図14(a)中上側から押さえ、上記タブ付き樹脂製ピン151を
図14(a)中左側から挿入すると、
図14(b)に示すように、上記被束ね対象物60の
図14(b)中左側に上記タブ157を突出させた状態で上記被束ね対象物60を束ねることができる。
また、
図15に示すように、上記超音波ホッチキス101によって被束ね対象物60を
図15(a)中左側から押さえ、上記タブ付き樹脂製ピン151を
図15(a)中上側から挿入すると、
図15(b)に示すように、上記被束ね対象物60の
図15(b)中上側に上記タブ157を突出させた状態で上記被束ね対象物60を束ねることができる。
【0046】
この第2の実施の形態によると、樹脂製ピン収容マガジンを使用していない関係で前記第1の実施の形態の場合のような連続的な束ね動作はできないが、タブ付き樹脂製ピン151のような不規則形状の樹脂製ピン151の使用が可能になり、それによって、束ね動作の多様化に対応することができる。
また、上記タブ付き樹脂製ピン151によって上記被束ね対象物60を束ねることで、例えば、上記タブ付き樹脂製ピン151のタブ157を摘まんで上記被束ね対象物60を取り出すことや、上記タブ157の識別用に色を変えたり、上記タブ157に文字を書き込んだり、上記タブ付き樹脂製ピン151によって束ねられた上記被束ね対象物60を取り扱いやすくすることができる。
【0047】
次に、
図16を参照しながら、本発明の第3の実施の形態について説明する。前記第1、第2の実施の形態の場合には把持型の超音波ホッチキスを例に挙げて説明したが、この第3の実施の形態による超音波ホッチキス201は卓上型であり、例えば、机の上に設置して使用するためにロアーカバー29に設置用ベース203が固着されている。また、ケーブル5は上記設置用ベース203の後ろ側から引き出されている。
なお、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0048】
よって、前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、卓上型としたことにより動作の安定化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は前記第1~第3の実施の形態に限定されない。
まず、樹脂製ピンの形状・大きさには様々な場合が考えられる。
また、前記第1~第3の実施の形態の場合には被束ね対象物として紙を例に挙げて説明したが、布、等にも適用可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、超音波ホッチキスと超音波ホッチキス用樹脂製ピンに係り、特に、紙等の非溶着性の被束ね対象物を束ねることが出来るように工夫したものに関し、例えば、複数枚の紙をまとめる超音波ホッチキスに好適である。
【符号の説明】
【0051】
1 超音波ホッチキス
11 アッパーフレーム
13 ロアーフレーム
15 超音波振動子
17 ホーン
27 定圧コイルバネ
29 チップ
41 樹脂製ピン収容マガジン
46 樹脂製ピン
46a 平板部
46b ピン部
46c テーパ部
60 被束ね対象物
61 ピン嵌合凹部
101 超音波ホッチキス
151 樹脂製ピン
153 平板部
155 ピン部
157 タブ
201 超音波ホッチキス