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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】車両用バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6569 20140101AFI20230829BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230829BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20230829BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230829BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20230829BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20230829BHJP
【FI】
H01M10/6569
B60K1/04 Z
B60K11/04 G
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/617
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M50/204 401H
H01M50/249
H01M50/298
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019151389
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021034180
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(73)【特許権者】
【識別番号】000152826
【氏名又は名称】株式会社日本クライメイトシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】春貝地 慎太朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 一男
(72)【発明者】
【氏名】閻 宇
(72)【発明者】
【氏名】深渡瀬 康平
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 博
(72)【発明者】
【氏名】岩成 太照
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192044(JP,A)
【文献】特開2015-107727(JP,A)
【文献】特開2012-190691(JP,A)
【文献】特開2001-023703(JP,A)
【文献】特開2016-021278(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033412(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/150012(WO,A1)
【文献】特開2017-004919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372805(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/00-6/12
B60K7/00-16/00
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用バッテリパックであって、
第1バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュールと所定の配列方向に並んで配置された第2バッテリモジュールと、
冷媒が供給されることにより前記第1バッテリモジュールを冷却する第1冷却配管と、
冷媒が供給されることにより前記第2バッテリモジュールを冷却する第2冷却配管と、
前記第1冷却配管と前記第2冷却配管へ前記冷媒を分配して供給する分流器と、
コンプレッサにより圧縮された冷媒を膨張させて当該冷媒を前記分流器に供給する膨張弁とを備えており、
前記分流器は、前記配列方向において前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間に配置され
前記配列方向は、車幅方向であり、
前記膨張弁は、前記第1バッテリモジュールまたは前記第2バッテリモジュールのいずれかの車幅方向外側に配置されている
車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記第1バッテリモジュールおよび前記第2バッテリモジュールによって、車両上下方向にバッテリモジュールが1段配設された1段バッテリモジュール群が構成され、
前記1段バッテリモジュール群とは別に、車両上下方向にバッテリモジュールが複数段配設された複数段バッテリモジュール群をさらに備え、
前記1段バッテリモジュール群と前記複数段バッテリモジュール群とは、前記配列方向と異なる方向に隣接して配置され、
前記分流器は、前記1段バッテリモジュール群における前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間に配置されている、
請求項1記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記分流器は、前記配列方向視において前記1段バッテリモジュール群とオーバーラップするように配置されている、
請求項2記載の車両用バッテリパック。
【請求項4】
前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間の隙間には、前記車両用バッテリパックにおける電気ケーブルが配置され
前記隙間には、前記分流器が配置されている、
請求項1~のいずれか1項に記載の車両用バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリモジュールおよび冷却機構を備えた車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車などには、複数のバッテリモジュールが搭載されている。これら複数のバッテリモジュールは、電気自動車の走行時などにおける使用状態では、温度が上昇しやすいので、バッテリモジュールの使用に適した温度までバッテリモジュールを冷却する必要がある。
【0003】
そこで、従来の電気自動車などの車両は、特許文献1に記載されているように、複数のバッテリモジュールを個別に冷却するために、複数の冷却配管(蒸発器)を備えている。この冷却装置は、冷媒圧縮機と、圧縮された冷媒を膨張させる膨張機構と、膨張した冷媒を蒸発させることによって複数のバッテリモジュールを個別に冷却する複数の冷却配管(蒸発器)と、蒸発後の冷媒を凝縮させる凝縮器とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-111486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような冷却装置の構成は、複数のバッテリモジュールを個別に冷却する複数の冷却配管を備えているが、これらの冷却配管に均等に冷媒を分配しなければ、複数のバッテリモジュールの冷却にばらつきが生じるおそれがあり、冷媒の分配性を高めることが課題になっている。しかし、上記の冷却装置では、冷媒の分配性を高めるための対策が何らなされていない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、複数のバッテリモジュールへの冷媒の分配性を高めることが可能な車両用バッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用バッテリパックは、車両用バッテリパックであって、第1バッテリモジュールと、前記第1バッテリモジュールと所定の配列方向に並んで配置された第2バッテリモジュールと、冷媒が供給されることにより前記第1バッテリモジュールを冷却する第1冷却配管と、冷媒が供給されることにより前記第2バッテリモジュールを冷却する第2冷却配管と、前記第1冷却配管と前記第2冷却配管へ前記冷媒を分配して供給する分流器と、コンプレッサにより圧縮された冷媒を膨張させて当該冷媒を前記分流器に供給する膨張弁とを備えており、前記分流器は、前記配列方向において前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間に配置され、前記配列方向は、車幅方向であり、前記膨張弁は、前記第1バッテリモジュールまたは前記第2バッテリモジュールのいずれかの車幅方向外側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、所定の配列方向に並んで配置された第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの間に分流器が配置されている。そのため、第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュールへの冷媒の分配性を高めることが可能である。
上記の車両用バッテリパックにおいて、前記配列方向は、車幅方向である。
この構成によれば、第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとが車幅方向に並んで配置され、これらの間に分流器が配置されているため、第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュールへの冷媒の分配性を高めることが可能である。
また、分流器が車幅方向視において1段バッテリモジュール群とオーバーラップするように配置されていれば、車両用バッテリパックの上下方向および車両前後方向における寸法の両方の増大を抑制することが可能である。
上記の車両用バッテリパックは、コンプレッサにより圧縮された冷媒を膨張させて当該冷媒を前記分流器に供給する膨張弁をさらに備え、前記膨張弁は、前記第1バッテリモジュールまたは前記第2バッテリモジュールのいずれかの車幅方向外側に配置されている。
かかる構成によれば、膨張弁から出た直後の冷却性能が高い状態の冷媒を分流器に供給して分流器から第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュールへ分配することが可能である。また、膨張弁をバッテリモジュール群における車幅方向に隣接する位置、すなわち、バッテリモジュール群の側方における空きスペースを有効活用でき、車両用バッテリパックの大型化を抑制することが可能である。
【0009】
上記の車両用バッテリパックにおいて、前記第1バッテリモジュールおよび前記第2バッテリモジュールによって、車両上下方向にバッテリモジュールが1段配設された1段バッテリモジュール群が構成され、前記1段バッテリモジュール群とは別に、車両上下方向にバッテリモジュールが複数段配設された複数段バッテリモジュール群をさらに備え、前記1段バッテリモジュール群と前記複数段バッテリモジュール群とは、前記配列方向と異なる方向に隣接して配置され、前記分流器は、前記1段バッテリモジュール群における前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間に配置されているのが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、1段バッテリモジュール群と複数段バッテリモジュール群とが前記配列方向と異なる方向に隣接して配置された構成であっても、分流器が1段バッテリモジュール群における第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの間に配置されており、分流器が1段バッテリモジュール群から上下方向に突出する量を抑制することが可能である。その結果、車両用バッテリパックの上下方向における寸法(すなわち高さ)の増大を抑制することが可能である。
【0011】
上記の車両用バッテリパックにおいて前記分流器は、前記配列方向視において前記1段バッテリモジュール群とオーバーラップするように配置されているのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、分流器が1段バッテリモジュール群とオーバーラップするように配置されるため、車両用バッテリパックの上下方向における寸法(すなわち高さ)の増大を抑制することが可能である。
【0018】
上記の車両用バッテリパックにおいて、前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間の隙間には、前記車両用バッテリパックにおける電気ケーブルが配置され、前記隙間には、前記分流器が配置されているのが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの隙間には、分流器だけでなく、電気ケーブル配置されているので、第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの隙間のスペースを有効活用することが可能であり、車両用バッテリパック全体の小型化が可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のバッテリパックによれば、複数のバッテリモジュールへの冷媒の分配性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るバッテリパックを備えた車両の基本構成を示す平面図である。
図2図1のバッテリパックの分解斜視図である。
図3図2の冷却機構の分解斜視図である。
図4図3の冷却機構の冷媒の流れを示す斜視説明図である。
図5図2の第1バッテリモジュール群における上段のバッテリモジュールが載置される架台およびその周辺部を示す斜視説明図である。
図6図2の第1バッテリモジュール群におけるバッテリモジュールが上下2段に配置された状態を示す断面説明図である。
図7図2の冷却機構における車両斜め後方側から見た斜視説明図である。
図8図2のバッテリパックにおける隣接する2つのバッテリモジュール群の間におけるバッテリモジュール用固定部、および当該固定部の下方の連絡配管の配置を示す拡大斜視図である。
図9図2のバッテリパックにおける膨張弁、分流器および第2ジャンクションボックスの配置を示す拡大斜視図である。
図10図9の分流器が1段の第2バッテリモジュール群の一対のバッテリモジュールの間に車幅方向視でオーバーラップして配置されている状態を示す平面図である。
図11図9の分流器が1段の第2バッテリモジュール群の第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの間に車幅方向視でオーバーラップして配置されている構成を車両長手方向で切断することによって示す断面説明図である。
図12図3の冷却機構の一対の後部連絡配管の配置を車両後方側から見た図である。
図13図3の冷却機構の一対の後部連絡配管の配置を車両下側から見た図である。
図14図3の冷却機構の一対の後部連絡配管の配置を車両斜め後方上側から見た図である。
図15図3の冷却機構の冷却配管の単体およびその周辺部分の分解斜視図である。
図16図3の冷却機構の冷却配管およびその周辺部分の横断面における断面説明図である。
図17図15の弾性付勢部材の正面図である。
図18図15の弾性付勢部材の背面図である。
図19図18の弾性付勢部材のA-A線断面図である。
図20図18の弾性付勢部材のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の車両用バッテリパックの好ましい実施の一形態について詳述する。なお、以下の図面では、車幅方向は両矢印X、車両前後方向は両矢印Y、車両上下方向は両矢印Zで示される。さらに車両前方は矢印Y1で示される。
【0023】
(電気自動車1の全体構成)
図1に示される電気自動車1は、車体2における車室の床下付近において、3つのバッテリモジュール群23、24、25を備えた車両用バッテリパック5を備えた構成を有している。
【0024】
具体的には、電気自動車1は、車体2の前後両側に配置された車輪3と、車体2の前側の2つの車輪3を回転駆動するモータ4と、バッテリパック5と、バッテリパック5の電力を降圧且つ直流から交流に変換し外部機器に給電するための給電器6と、通常の充電時に使用される充電器7と、急速充電用入力部8と、車室の空調用のコンプレッサ9であって、バッテリパック5の冷却にも兼用されるコンプレッサ9と、3個の電気接続箱としての第1~第3ジャンクションボックス10、11、12と、第3ジャンクションボックス12とモータ4との間に設けられたインバータ13とを備えている。
【0025】
第1~第3ジャンクションボックス10、11、12は、リレー回路やヒューズなどの電気回路または電気部品などがケースに収容されることによって電気接続箱を構成している。第1ジャンクションボックス10は、バッテリパック5内部のすべてのバッテリモジュールに接続された高電圧全体システムを含む。第2ジャンクションボックス11は、急速充電用回路などの充電用回路を含み、バッテリパック5内部のすべてのバッテリモジュールに充電できるようにこれらのバッテリモジュールに直接的または間接的に接続されている。第3ジャンクションボックス12は、車両駆動用回路などを含む。第1と第3ジャンクションボックス10、12の間は、電気ケーブルC1で接続されている。第1と第2ジャンクションボックス10、11の間は、バッテリパック5の内部の中央の隙間28を通る電気ケーブルC2で接続されている。第2ジャンクションボックス11は、ケーブルC3~C5を介して、給電器6、充電器7、および急速充電用入力部8にそれぞれ接続されている。
【0026】
モータ4は、交流モータであり、車両前方Y1の両側の車輪3を回転駆動する。バッテリパック5からインバータ13に供給された直流電流は、インバータ13によって交流電流に変換され、その交流電流によってモータ4を回転することが可能である。一方、車両減速時には、モータ4が発電する交流電流はインバータ13によって直流電流に変換され、その直流電流がバッテリパック5内部のバッテリモジュールに充電される。
【0027】
(バッテリパック5の全体構成)
本実施形態のバッテリパック5は、図2に示されるように、ロアプレート21と、3つのバッテリモジュール群、すなわち、第1~第3バッテリモジュール群23、24、25と、第1~第3バッテリモジュール群23、24、25の上方を覆うアッパカバー22と、当該第1~第3バッテリモジュール群23、24、25を冷却する冷却機構26と、ロアプレート21の上面において車幅方向Xに延びる複数本のクロスメンバ27とを備えている。
【0028】
第1~第3バッテリモジュール群23、24、25は、ロアプレート21の上に、車両前方Y1に向かって車両前後方向Yに順番に並んで配置されている。上下2段の第1バッテリモジュール群23は、車体2の最も後方側の空いたスペース、例えば、車体2の後部座席の下側のスペースなどに配置されている。
【0029】
第1バッテリモジュール群23は、上下2段で2個ずつ配置されたバッテリモジュール23a~23dを備えている。すなわち、第1バッテリモジュール群23は、4個のバッテリモジュール、すなわち、第1上段バッテリモジュール23a、第2上段バッテリモジュール23b、第1下段バッテリモジュール23c、および第2下段バッテリモジュール23dを備える。
【0030】
第1上段バッテリモジュール23aは、第1下段バッテリモジュール23cに車両上下方向Zに重ねて、当該第1下段バッテリモジュール23cの上方に配設されている。第2下段バッテリモジュール23dは、第1下段バッテリモジュール23cと車幅方向Xに並んで配設されている。第2上段バッテリモジュール23bは、第2下段バッテリモジュール23dに車両上下方向Zに重ねて、第2下段バッテリモジュール23dの上方に配設されている。
【0031】
第1上段および第2上段バッテリモジュール23a、23bは、図5に示されるロアプレート21の上に設けられた架台39の上に取り付けられることにより、第1下段および第2下段バッテリモジュール23c、23dの上に配置される。
【0032】
図5に示される架台39は、台座部39aと、台座部39a周縁から下方に延びる複数の脚部39bを有する。脚部39bの下端部は、ロアプレート21に固定されている。
【0033】
また、本実施形態では、第1上段および第2上段バッテリモジュール23a、23bは、図5~6に示されるように、第1下段および第2下段バッテリモジュール23c、23dの後端よりも、車両後方側(矢印Y1の反対方向側)に突出するように、配置されている。
【0034】
第2バッテリモジュール群24は、図1~2に示されるように、第1バッテリモジュール群23の車両前方Y1側(ロアプレート21における車両前後方向Yの中間付近)に配置されている。第2バッテリモジュール群24は、1段のバッテリモジュール24a、24bを備えている。バッテリモジュール24a、24bは、車幅方向Xに互いに並んで配設されている。
【0035】
第3バッテリモジュール群25は、第2バッテリモジュール群24の車両前方Y1側に、すなわち、車体2の最も前方側に配置されている。第3バッテリモジュール群25は、1段のバッテリモジュール25a、25bを備えている。バッテリモジュール25a、25bは、車幅方向Xに互いに並んで配設されている。
【0036】
(冷却機構26の説明)
冷却機構26は、図2~4に示されるように、第1~第3バッテリモジュール群23、24、25のバッテリモジュール23a~23d、24a~24b、および25a~25bのそれぞれの下面に当接する位置に設けられた冷却配管41を備え、これらの冷却配管41へ冷媒を供給することによって、これら複数のバッテリモジュールを冷却するように構成されている。
【0037】
具体的には、冷却機構26は、入口配管31と、膨張弁32と、分流器33と、第1上側冷却部34と、第1下側冷却部35と、第2冷却部36と、第3冷却部37と、出口配管38とを備えており、これらは順番に冷媒が流れるように直列に接続されている。入口配管31は、コンプレッサ9(図1参照)と膨張弁32との間を接続している。
【0038】
膨張弁32は、コンプレッサ9で圧縮された冷媒が入口配管31を介して送られ、圧縮された冷媒を膨張して気液混相状態にする。膨張弁32で膨張した冷媒は、配管45を通して分流器33へ送られる。分流器33は、膨張した冷媒を、配管46を通して第1上側冷却部34の一対のモジュール冷却部34a、34bへ分配して送る。
【0039】
第1上側冷却部34の一対のモジュール冷却部34a、34bは、車幅方向Xに並んで配置され、かつ、図5に示される架台39の台座部39aの上に配置されている。一対のモジュール冷却部34a、34bは、図2の第1バッテリモジュール群23の第1上段および第2上段バッテリモジュール23a、23bの下方に配置されて、これらのバッテリモジュール23a、23bの下面に当接してバッテリモジュール23a、23bを個別に冷却する。
【0040】
一対のモジュール冷却部34a、34bは、それぞれ、車両前後方向Yに延びる一対の冷却配管41と、車幅方向Xに延びる一対の端部配管42とを備えている。
【0041】
冷却配管41は、平板状のパイプであり、アルミ合金などの熱伝導性の良い金属で製造されている。冷却配管41は、バッテリモジュール23a、23bの下面に当接するように配置される。一対の冷却配管41の前側端部同士および後側端部同士のそれぞれは、端部配管42によって接続されている。したがって、分流器33から一対のモジュール冷却部34a、34bへそれぞれ送られてきた冷媒は、端部配管42、一対の冷却配管41、および端部配管42の順に通った後、次の第1下側冷却部35へ送られる。
【0042】
第1下側冷却部35は、上記の第1上側冷却部34と同様に、車幅方向Xに並ぶ一対のモジュール冷却部35a、35bを備える。一対のモジュール冷却部35a、35bは、図5に示される架台39の台座部39aの下方においてロアプレート21の上に配置されている。一対のモジュール冷却部35a、35bは、図2の第1バッテリモジュール群23の第1下段および第2下段バッテリモジュール23c、23dの下方に配置されて、これらのバッテリモジュール23c、23dの下面に当接してバッテリモジュール23c、23dを個別に冷却する。一対のモジュール冷却部35a、35bは、それぞれ、上記の一対のモジュール冷却部34a、34bと同様に、車両前後方向Yに延びる一対の冷却配管41と、車幅方向Xに延びる一対の端部配管42とを備えている。
【0043】
ここで、図12~14に示されるように、図12の右下側のモジュール冷却部35aにおける車両後方側の端部配管42は、車両後方側から見て斜め左上方に延びる後部連結配管44を介して、図12の左上側のモジュール冷却部34bの端部配管42に接続されている。同様に、図12の左下側のモジュール冷却部35bにおける車両後方側の端部配管42は、車両後方側から見て斜め右上方に延びる後部連結配管44を介して、図12の右上側のモジュール冷却部34aの端部配管42に接続されている。したがって、図12~14に示される構成では、一対の後部連結配管44は、互いに交差するようにそれぞれ斜め上方に延びている。
【0044】
第2冷却部36は、図3~4に示されるように、第1上側冷却部34および第1下側冷却部35に対して車両前方Y1側に配置されている。第2冷却部36は、上記の第1上側冷却部34と同様に、車幅方向Xに並ぶ一対のモジュール冷却部36a、36bを備える。一対のモジュール冷却部36a、36bは、ロアプレート21の上に配置されている。一対のモジュール冷却部36a、36bは、図2の第2バッテリモジュール群24の一対のバッテリモジュール24a、24bの下方に配置されて、これらのバッテリモジュール24a、24bの下面に当接してバッテリモジュール24a、24bを個別に冷却する。一対のモジュール冷却部36a、36bは、それぞれ、上記の一対のモジュール冷却部34a、34bと同様に、車両前後方向Yに延びる一対の冷却配管41と、車幅方向Xに延びる一対の端部配管42とを備えている。
【0045】
さらに、第3冷却部37は、第2冷却部36に対して車両前方Y1側、すなわち、車体2の最も前方側に配置されている。第3冷却部37は、上記の第1上側冷却部34と同様に、車幅方向Xに並ぶ一対のモジュール冷却部37a、37bを備える。一対のモジュール冷却部37a、37bは、ロアプレート21の上に配置されている。一対のモジュール冷却部37a、37bは、図2の第3バッテリモジュール群25の一対のバッテリモジュール25a、25bの下方に配置されて、これらのバッテリモジュール25a、25bの下面に当接してバッテリモジュール25a、25bを個別に冷却する。一対のモジュール冷却部37a、37bは、それぞれ、上記の一対のモジュール冷却部34a、34bと同様に、車両前後方向Yに延びる一対の冷却配管41と、車幅方向Xに延びる一対の端部配管42とを備えている。
【0046】
さらに、図3~4に示されるように、ロアプレート21上において車両前後方向Yに並ぶ3つの冷却部35~37(すなわち、第1下側、第2、および第3冷却部35~37)のそれぞれの間は、コの字状(またはU字状)の連絡配管43を介して互いに連結されている。
【0047】
第3冷却部37の一対のモジュール冷却部37a、37bのそれぞれの車両前方Y1側の端部配管42は、出口配管38に接続されている。出口配管38は、図示しない車両内部の凝縮器に接続されている。これにより、上記の4つの冷却部34~37(すなわち、第1上側、第1下側、第2および第3冷却部34~37)においてバッテリモジュール群23~25の各バッテリモジュールの冷却に用いられた冷媒は、出口配管38を介して凝縮器(図示せず)に送られて凝縮され、再度、コンプレッサ9によって圧縮されて再び冷却機構26に送られてバッテリモジュールの冷却に用いられる。
【0048】
上記のように構成された冷却機構26における冷媒の流れは、図4に示される白抜きの太い矢印で示される流れになる。すなわち、冷媒は、入口配管31、膨張弁32、および分流器33を介して、第1上側冷却部34の一対のモジュール冷却部34a、34bに最初に導入される。一対のモジュール冷却部34a、34bに導入された冷媒は、ついで、交差する一対の後部連結配管44を通して、冷媒が車幅方向Xに関して入れ替わり(すなわち、左右反転し)ながら、第1下側冷却部35の一対のモジュール冷却部35a、35bに導入される。その後、一対のモジュール冷却部35a、35bに導入された冷媒は、連絡配管43を介して、車両前方Y1側の第2冷却部36の一対のモジュール冷却部36a、36b、および第3冷却部37の一対のモジュール冷却部37a、37bへほぼ直線的に流れていき、最後に出口配管38に到達する。
【0049】
以下、本実施形態の車両用バッテリパック5の特徴についてさらに詳しく説明する。
【0050】
(第1バッテリモジュール群23の冷却についての説明)
本実施形態の車両用バッテリパック5は、車両上下方向Zに重ねて複数段(本実施形態では上下2段)配設された複数のバッテリモジュール23a~23dを有する第1バッテリモジュール群23と、第1バッテリモジュール群23の各バッテリモジュールを冷却する冷却配管41(第1冷却配管)を有し、冷却配管41に冷媒を供給することが可能な構成を有する冷却機構26とを備えている。
【0051】
なお、第1バッテリモジュール群23は、複数段のバッテリモジュール23a~23dが配設されていればよく、上下2段に限定するものではなく、3段以上のバッテリモジュールが配設されてもよい。
【0052】
冷却機構26は、第1バッテリモジュール群23の車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位を、バッテリパック5の他の部位よりも冷却配管41による冷却を強めるように構成されている。
【0053】
具体的には、本実施形態における上記の「他の部位」は、1段の第2バッテリモジュール群24(または第3バッテリモジュール群25)のバッテリモジュール24a、24bにおける冷却配管41(第2冷媒配管)により冷却される部位、すなわち、バッテリモジュール24a、24bの下面などである。
【0054】
さらに詳しく言えば、冷却機構26は、第1バッテリモジュール群23の車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位を、1段の第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a、24bよりも先に冷媒を供給することによって冷却を強めるように構成されている。
【0055】
具体的には、上下2段の第1バッテリモジュール群23の車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41(第1冷却配管)(すなわち、図3~4の第1上側冷却部34の一対のモジュール冷却部34a、34bのそれぞれの冷却配管41)は、1段の第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a、24bにおける冷却配管41(第2冷媒配管)(すなわち、図3~4の第2冷却部36の一対のモジュール冷却部36a、36bのそれぞれの冷却配管41)と直列に接続されている。
【0056】
しかも、車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41は、バッテリモジュール24a、24bにおける冷却配管41よりも冷媒の流れる方向における上流側に配置されている。
【0057】
上記のバッテリパック5の構成では、第1バッテリモジュール群23における車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位は、バッテリモジュール23a~23dの使用時(すなわち充放電時)に熱がこもりやすい部位であるが、この部位の冷却配管41による冷却をバッテリパック5の他の部位よりも強める(すなわち冷却能力を上げる)ことが可能である。これにより、複数段の第1バッテリモジュール群23が高温となることを抑制することが可能である。その結果、バッテリモジュール23a~23dの冷却性能の低下を防ぐことが可能であり、信頼性が向上する。
【0058】
また、上記のバッテリパック5の構成では、第1バッテリモジュール群23における車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41による冷却を、他の部位、すなわち、第1バッテリモジュール群23よりも少ない段(本実施形態では1段)の第2バッテリモジュール群24の当該バッテリモジュール24a、24bにおける第2冷媒配管により冷却される部位、よりも強めることが可能である。これにより、バッテリパック5において最も高温となりやすい部位である第1バッテリモジュール群23が高温となることを抑制することが可能である。言い換えれば、第1バッテリモジュール群23における上段バッテリモジュール23a、23bと下段バッテリモジュール23c、23dの間の冷却配管41による冷却を第2バッテリモジュール群24における1段のバッテリモジュール24a、24bの冷却配管41による冷却よりも強めて、複数段のバッテリモジュール23a~23dを有する第1バッテリモジュール群23が高温となることを抑制することが可能である。
【0059】
さらに、上記のバッテリパック5の構成では、上下2段の第1バッテリモジュール群23の車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41(第1冷却配管)は、1段の第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a、24bにおける冷却配管41(第2冷却配管)と直列に接続されている。しかも車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41は、バッテリモジュール24a、24bにおける冷却配管41よりも冷媒の流れる方向における上流側に配置されている。これにより、冷却機構26は、車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41を通過後の冷媒を第2バッテリモジュール群24におけるバッテリモジュール24a、24bを冷却する冷却配管41(第2冷却配管)に供給することが可能になる。したがって、第2バッテリモジュール群24よりも先に第1バッテリモジュール群23へ冷却性能が高い状態の冷媒を供給することにより、複数段の第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23a~23dが高温となることを抑制することが可能である。
【0060】
なお、本発明のバッテリパックでは、複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却を強めるために、冷却機構26は、複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却配管41(第1冷却配管)への冷媒の供給量が少ない段の第2バッテリモジュール群24の冷却配管41(第2冷却配管)への冷媒の供給量よりも多くなるように、第1バッテリモジュール群23の冷却配管41へ冷媒を供給することが可能な構成にしてもよい。例えば、第1バッテリモジュール群23の冷却配管41(とくに、車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41)への冷媒供給量だけ他のバッテリモジュール群24、25の冷却配管41よりも多くするように、バッテリモジュール群ごとに個別に冷媒供給量を調整可能な構成にしてもよい。このような構成にすれば、複数段の第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23a~23dへの冷媒を、少ない段の第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a、24bに供給される冷媒よりも多く供給することが可能である。その結果、複数段の第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23a~23dが高温となることを抑制することが可能である。
【0061】
また、本発明のバッテリパックでは、複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却を強めるために、複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却配管41(第1冷却配管)の断面積(とくに、車両上下方向Zに隣り合うバッテリモジュール23aと23cの間およびバッテリモジュール23bと23dの間のそれぞれの部位の冷却配管41の断面積)を、少ない段の第2バッテリモジュール群24の冷却配管41(第2冷却配管)の断面積よりも大きくなるように設定されるようにしてもよい。このように第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23a~23dを冷却する冷却配管41の断面積を、第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a~24bを冷却する第2冷却配管の断面積を大きくすることにより、複数段の第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23a~23dへの冷媒を、少ない段の第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a、24bに供給される冷媒よりも多く供給することが可能である。その結果、複数段の第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23a~23dが高温となることを抑制することが可能である。
【0062】
上記のように複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却配管41の断面積を大きくする場合には、冷媒の流れ方向に直交する向きにおいて、冷却配管41におけるバッテリモジュール23a~23dに対向する面の幅が少ない段の第2バッテリモジュール群24の冷却配管41(第2冷却配管)におけるバッテリモジュール24a、24bに対向する面の幅よりも広くすることにより、複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却配管41の断面積は、少ない段の第2バッテリモジュール群24の冷却配管41の断面積よりも大きくなるようにしてもよい。その場合、複数段の第1バッテリモジュール群23の冷却配管41によるバッテリモジュールの冷却効果がさらに増大するので、複数段の第1バッテリモジュール群23のバッテリモジュール23aから23dが高温となることをさらに抑制することが可能である。
【0063】
(コの字状の連絡配管43についての説明)
本実施形態のバッテリパック5では、上記の図3~4に示されるように、ロアプレート21上において車両前後方向Yに並ぶ3つの冷却部35~37(すなわち、第1下側、第2、および第3冷却部35~37)のそれぞれの間は、コの字状(またはU字状)の連絡配管43を介して互いに連結されている。連絡配管43の両端部は、3つの冷却部35~37における互いに向かい合う端部配管42同士を連結している。これにより、連絡配管43は、3つの冷却部35~37のそれぞれの冷却配管41同士を冷媒の流通が可能に連通する。
【0064】
コの字状の連絡配管43は、図7~8に示されるように、車幅方向Xに延びる一対の車幅方向部分43aと、当該一対の車幅方向部分43aの先端同士を接続するように車両前後方向Yに延びる接続部分43bとを有する。コの字状の連絡配管43は、図8および図11に示されるように、バッテリモジュール群23~25の各バッテリモジュールをクロスメンバ27に固定する固定部30との干渉を避けるために、固定部30の下方を車幅方向Xに延びている。また、コの字状の連絡配管43は、図2および図11に示される車幅方向Xに延びるクロスメンバ27との干渉を避けるために、クロスメンバ27の端部よりも車幅方向X外側までコの字状に迂回して延びている。
【0065】
したがって、本実施形態のバッテリパック5は、互いに隣接して配置された第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュール(例えば、図2および図11に示される互いに隣接するバッテリモジュール23d、24bなど)と、冷媒が供給されることにより第1バッテリモジュールを冷却する第1冷却配管(例えば、図11に示されるバッテリモジュール23dの下面に当接する図3のモジュール冷却部35bの冷却配管41)と、冷媒が供給されることにより第2バッテリモジュールを冷却する第2冷却配管(例えば、図11に示されるバッテリモジュール24bの下面に当接する図3のモジュール冷却部36bの冷却配管41)と、第1冷却配管と第2冷却配管との間を冷媒の流通を可能にするように連通する連絡配管43であって、第1冷却配管と第2冷却配管の相対位置の変位を許容するように接続する連絡配管43とを備える構成を有する。
【0066】
この構成によれば、バッテリパック5において、隣接する2つのバッテリモジュール23d、24bなどを冷却する第1冷却配管および第2冷却配管(バッテリモジュール23d、24bのそれぞれの下面に当接する冷却配管41など)を組み付ける際や車両走行時などにおいてこれら第1冷却配管と第2冷却配管との間において相対位置の変位が生じる場合でも、連絡配管43により当該第1冷却配管と第2冷却配管との間の相対位置の変位を許容(すなわち、目標とする相対位置からのずれを吸収)することが可能になる。その結果、第1冷却配管および第2冷却配管に対して曲げや引張りの応力が作用してこれら第1冷却配管および第2冷却配管が損傷するおそれが低減し、冷却性能における信頼性の低下を抑制することが可能である。
【0067】
上記の連絡配管43による効果は、図3に示されるすべての連絡配管43、すなわち、3つの冷却部35、36、37の間における車両前後方向Yにおいて隣り合う2つの冷却配管41の間を連結するすべての連絡配管43において奏することが可能である。
【0068】
また、本実施形態のバッテリパック5は、上記のように、第1冷却配管は、第1バッテリモジュールに当接し、第2冷却配管は、第1バッテリモジュールと異なる第2バッテリモジュールに当接する構成を有する。そのため、これらのバッテリモジュールを効率よく冷却することが可能である。
【0069】
また、本実施形態のバッテリパック5は、上記の第1冷却配管を第1バッテリモジュールの表面に向けて付勢するとともに第2冷却配管を第2バッテリモジュールの表面に向けて付勢する付勢部材として、図15~16に示される弾性付勢部材51をさらに備えている。弾性付勢部材51は、図3~4に示される第1上側、第1下側、第2および第3冷却部34~37の各モジュール冷却部(34a、34b)~(37a、37b)の冷却配管41の下側に配設され、各冷却配管41の上方に位置する各バッテリモジュール23a~25bの下面に向けて付勢することが可能である。弾性付勢部材51は、図15~16に示されるホルダ(保持部材)52により冷却配管41の下側に保持されている。この構成では、弾性付勢部材51が第1冷却配管および第2冷却配管を第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュールの表面に向けてそれぞれ付勢することにより、第1冷却配管および第2冷却配管が第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュールの表面にそれぞれ確実に当接することが可能である。その結果、これらのバッテリモジュールをより効率よく冷却することが可能である。
【0070】
本実施形態のバッテリパック5では、第1冷却配管は、第1バッテリモジュールの下面と弾性付勢部材51とで挟まれた位置に配置されている。第2冷却配管は、第2バッテリモジュールの下面と弾性付勢部材51とで挟まれた位置に配置されている。弾性付勢部材51は、第1冷却配管を第1バッテリモジュールの下面に向けて付勢するとともに第2冷却配管を第2バッテリモジュールの下面に向けて付勢する。この構成では、第1冷却配管および第2冷却配管は、それぞれ異なる2つの第1および第2バッテリモジュールの下面と弾性付勢部材51とに挟まれていることよって、第1冷却配管と第2冷却配管との間の相対位置の変位が発生しやすい構造である。このような構造であっても、連絡配管43により当該第1冷却配管と第2冷却配管との間の相対位置の変位を許容することによって、第1冷却配管および第2冷却配管に対する曲げや引張りの応力を抑制することが可能である。
【0071】
本実施形態のバッテリパック5では、図8および図11に示されるように、第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュール(例えば、図2および図11の隣り合うバッテリモジュール23d、24bの組または24b、25bの組など)をそれぞれバッテリパック5のベース部分であるクロスメンバ27に固定する固定部30を備えている。固定部30は、L字状のブラケットなどである。固定部30は、上記の第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの間に配置されている。コの字状の連絡配管43は、固定部30を避けるように、固定部30から下方に離間した配置されている。この構成では、連絡配管43と固定部30との干渉を回避することが可能である。
【0072】
また、本実施形態のバッテリパック5では、図8および図11に示されるように、第1冷却配管に対応する第1バッテリモジュール(例えば、図11のバッテリモジュール23d)、および第2冷却配管に対応する第2バッテリモジュール(例えば、図11のバッテリモジュール24b)は、それぞれ別の固定部30によってベース部分であるクロスメンバ27に固定されている。この構成では、第1バッテリモジュールおよび第2バッテリモジュールがそれぞれ別の固定部30によってベース部分であるクロスメンバ27に固定されているため、第1バッテリモジュール側の第1冷却配管および第2バッテリモジュール側の第2冷却配管の取付誤差が発生しやすい構造になっているが、連絡配管43により上記の第1冷却配管と第2冷却配管との間の相対位置の変位を許容することによって、第1冷却配管Kおよび第2冷却配管に対する曲げや引張りの応力を抑制することが可能である。
【0073】
また、本実施形態のバッテリパック5では、連絡配管43は、第1冷却配管(例えば図7に示される第2冷却部36の冷却配管41)と第2冷却配管(例えば図7に示される第3冷却部37の冷却配管41)との最短距離を結ぶ直線が延びる方向(図7の車両前後方向Y)と異なる方向に延びる部分(図7の車幅方向部分43a)を有する。そのため、連絡配管43が変形しやすくなり、当該連絡配管43により当該第1冷却配管と第2冷却配管との間の相対位置の変位を確実に許容することが可能になる。
【0074】
また、本実施形態のバッテリパック5のベース部分は、車幅方向Xに延びるクロスメンバ27(図2および図11参照)を有している。連絡配管43は、クロスメンバ27を迂回するように、車幅方向Xに延びる部分(図7の車幅方向部分43a)を有している。そのため、連絡配管43とクロスメンバ27との干渉を回避しながら、連絡配管43が変形しやすくなり、当該連絡配管43により第1冷却配管(例えば図7に示される第2冷却部36の冷却配管41)と第2冷却配管(例えば図7に示される第3冷却部37の冷却配管41)との間の相対位置の変位を確実に許容することが可能になる。とくに、この構成では、連絡配管43が車幅方向Xに延びる車幅方向部分43aを有していることにより、車両前後方向Yおよび上下方向Zにとくに変形しやすくなり、これらの方向YおよびZにおける当該第1冷却配管と第2冷却配管との間の相対位置の変位を確実に許容することが可能になる。
【0075】
また、図7に示されるように、連絡配管43はクロスメンバ27を迂回する車幅方向Xに延びる車幅方向部分43aは水平方向に延びており、また、第1および第2冷却配管(例えば、第2~第3冷却部36、37の各冷却配管41)も水平方向に延びている。第1冷却管および第2冷却配管の上下方向における相対位置の変位があっても、連絡配管の変形によって吸収することが可能である。
【0076】
(膨張弁32についての説明)
本実施形態のバッテリパック5は、車両上下方向Zに重ねて複数段配設された複数のバッテリモジュールを有する第1バッテリモジュール群23(図2参照)と、冷媒が供給されることにより第1バッテリモジュール群23の複数のバッテリモジュール23a~23dを冷却する冷却配管41(図3の第1上側および下側冷却部34の冷却配管41)と、冷却配管41の冷媒の流れ方向上流側に配置され、コンプレッサ9(図1参照)により圧縮された冷媒を膨張させて当該冷媒を冷却配管41に供給する膨張弁32(図3参照)と、を備えている。膨張弁32は、図9に示されるように、第1バッテリモジュール群23と隣接する位置(図9では、第1バッテリモジュール群23における車幅方向Xに隣接する側方位置)に配置されている。
【0077】
この構成では、膨張弁32が複数段の第1バッテリモジュール群23と隣接する位置に配置されることにより、膨張弁32で膨張した直後の冷却性能が高い状態の冷媒を第1バッテリモジュール群23に供給することが可能になり、第1バッテリモジュール群23を冷却する性能を向上することが可能である。
【0078】
また、本実施形態のバッテリパック5では、膨張弁32は、第1バッテリモジュール群23に対して車幅方向Xに隣接する位置に配置されている。この構成によれば、第1バッテリモジュール群23における車幅方向Xに隣接する位置、すなわち、第1バッテリモジュール群23の側方における空きスペースを有効活用でき、バッテリパック5の大型化を抑制することが可能である。
【0079】
車両用バッテリパック5は、車体2のうち車室の床下における上下方向の間隔が狭いスペースに配置されるために上下方向の幅に制約がある。そのため、第1バッテリモジュール群23の上方または下方に膨張弁32を配置することが難しい事情がある。そのような技術背景を考慮した場合、膨張弁32を第1バッテリモジュール群23における車幅方向Xに隣接するスペースに余裕がある位置に配置することによって、車両用バッテリパック5のとくに上下方向への大型化を抑制することが可能であるので、車両レイアウト上きわめて有効である。
【0080】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、膨張弁32と冷却配管41とを接続し、第1バッテリモジュール群23における車両前方Y1を向く前面に沿って車幅方向Xに延びるように配置されている前面側配管として、図9に示されるバッテリモジュール23a、23bの前方側に配置された端部配管42を備えている。この構成では、膨張弁32で膨張した直後の冷却性能が高い状態の冷媒を前面側配管(図9に示される端部配管42)に通すことにより、第1バッテリモジュール群23を前面から冷却することが可能である。しかも、前面側配管(図9に示される端部配管42)によって当該前面側配管の車両前方Y1側にある1段の第2バッテリモジュール群24のバッテリモジュール24a、24bも冷却することが可能である。
【0081】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、図9に示されるように、第1バッテリモジュール群23に電気的に接続された電気接続箱として第2ジャンクションボックス11を備えている。
【0082】
第2ジャンクションボックス11は、膨張弁32に隣接する位置に配置されている、第2ジャンクションボックス11は、例えば、膨張弁32の前方、後方または上方のいずれかの方向に隣接する位置に配置されている。このような第2ジャンクションボックス11が膨張弁32に隣接する位置に配置されている構成では、膨張弁32が冷媒を膨張することに伴って当該膨張弁32の周囲の空気が冷却され、その冷却された空気を用いて第2ジャンクションボックス11を冷却することが可能になる。その結果、第2ジャンクションボックス11が高温となることを抑制することが可能である。
【0083】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、冷却機構26で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサとして、車体2の車室内部における空調用のコンプレッサ9が用いられる。したがって、車室内部の空調用のコンプレッサ9を用いて第1バッテリモジュール群23およびその他の第2~第3バッテリモジュール群24、25を冷却するための冷媒を圧縮することが可能である。したがって、1台のコンプレッサ9を空調用およびバッテリモジュール冷却用の2つの用途で兼用することが可能になり、車両の製造コストを低減することが可能である。
【0084】
(分流器33についての説明)
本実施形態のバッテリパック5は、図9~11に示されるように、所定の配列方向として車幅方向Xに並んで配置された第2バッテリモジュール群24の一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール)の間に、分流器33が配置されている。なお、上記の「所定の配列方向」は、車幅方向Xに限定されるものではなく、車両前後方向Yであってもよい。
【0085】
分流器33は、上記のように、図3~4に示されるように、膨張弁32から配管46を通して供給される膨張状態の冷媒を、第1上側冷却部34の一対のモジュール冷却部34a、34bの各冷却配管41へ分配して送る。第1上側冷却部34に分配して送られた冷媒は、分配して送られた2系統の冷媒の流れを保ちながら、冷媒の流れ方向の下流側に配置された第1下側冷却部35、第2冷却部36、および第3冷却部37の各冷却配管41へ順番に送られる。その結果、分流器33は、当該分流器33の両側に位置する一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール)を冷却する第2冷却部36の冷却配管41(第1および第2冷却配管)へ液媒を分配して供給することが可能である。
【0086】
上記の構成によれば、所定の配列方向(車幅方向X)に並んで配置された一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール)の間に分流器33が配置されている。そのため、一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール)への冷媒の分配性(すなわち、各バッテリモジュール23a~25bへの冷媒供給量の均一性)を高めることが可能である。
【0087】
また、図2に示される他の対になったバッテリモジュールの組、すなわち、バッテリモジュール23a、23bの組、23c、23dの組、25a、25bの組への冷媒の分配性を高めることも可能である。
【0088】
本実施形態のバッテリパック5では、図2に示されるように、一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール)によって、車両上下方向Zにバッテリモジュールが1段配設された1段の第2バッテリモジュール群24が構成されている。また、バッテリパック5は、1段の第2バッテリモジュール群24とは別に、車両上下方向Zにバッテリモジュールが複数段配設された複数段の第1バッテリモジュール群23を備えている。1段の第2バッテリモジュール群24と複数段の第1バッテリモジュール群23とは、所定の配列方向(車幅方向X)と異なる方向(車両前後方向Y)に隣接して配置されている。本実施形態の分流器33は、図9~11に示される用に、1段の第2バッテリモジュール群24における一対のバッテリモジュール24a、24bの間に配置されている。
【0089】
この構成によれば、1段の第2バッテリモジュール群24と複数段の第1バッテリモジュール群23とが所定の配列方向(車幅方向X)と異なる方向(車両前後方向Y)に隣接して配置された構成であっても、分流器33が1段のバッテリモジュール群24における一対のバッテリモジュール24a、24bの間に配置されており、分流器33が1段の第2バッテリモジュール群24から車両上下方向Zに突出する量を抑制することが可能である。その結果、車両用バッテリパック5の車両上下方向Zにおける寸法(すなわち高さ)の増大を抑制することが可能である。
【0090】
本実施形態のバッテリパック5では、分流器33は、配列方向視(本実施形態では車幅方向X視)において1段の第2バッテリモジュール群24とオーバーラップするように配置されている。そのため、車両用バッテリパック5の車両上下方向Zにおける寸法(すなわち高さ)の増大を抑制することが可能である。
【0091】
本実施形態のバッテリパック5では、上記の所定の配列方向は、車幅方向Xであるのが好ましい。その場合、一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュール)が車幅方向Xに並んで配置され、これらの間に分流器33が配置されているため、一対のバッテリモジュール24a、24bへの冷媒の分配性を高めることが可能である。
【0092】
また、分流器33が車幅方向X視において1段のバッテリモジュール群24とオーバーラップするように配置されていれば、車両用バッテリパック5の車両上下方向Zおよび車両前後方向Yにおける寸法の両方の増大を抑制することが可能である。
【0093】
本実施形態のバッテリパック5では、冷媒を分流器33に供給する膨張弁32は、一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュール)のいずれかの車幅方向Xの外側に配置されているのが好ましい。この構成によれば、膨張弁32から出た直後の冷却性能が高い状態の冷媒を分流器33に供給して分流器33から一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュール)および図2に示される他の対になったバッテリモジュールの組、すなわち、バッテリモジュール23a、23bの組、23c、23dの組、25a、25bの組へ分配することが可能である。また、膨張弁32を第1バッテリモジュール群23または第2バッテリモジュール群24における車幅方向Xに隣接する位置、すなわち、第1バッテリモジュール群23または第2バッテリモジュール群24の側方における空きスペースを有効活用でき、車両用バッテリパック5の大型化を抑制することが可能である。
【0094】
本実施形態のバッテリパック5では、図1~2および図9~11に示されるように、一対のバッテリモジュール24a、24b(第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュール)および他の対になったバッテリモジュール25a、25bの間の隙間28には、車両用バッテリパック5におけるケーブルC2(電気ケーブル)が配置されている。隙間28には、分流器33が配置されている。この構成によれば、一対のバッテリモジュール24a、24bの隙間28には、分流器33だけでなく、ケーブルC2配置されているので、一対のバッテリモジュール24a、24bの隙間28のスペースを有効活用することが可能であり、車両用バッテリパック5全体の小型化が可能である。
【0095】
(一対の後部連結配管44についての説明)
本実施形態のバッテリパック5では、図2に示されるように、第1バッテリモジュール群23は、4つのバッテリモジュール、すなわち、第1下段バッテリモジュール23cと、第1下段バッテリモジュール23cと車両上下方向Zに重ねて配設された第1上段バッテリモジュール23aと、第1下段バッテリモジュール23cと車幅方向Xに並んで配設された第2下段バッテリモジュール23dと、第2下段バッテリモジュール23dと車両上下方向Zに重ねて配設された第2上段バッテリモジュール23bとを備える。
【0096】
上記の第1バッテリモジュール群23の4つのバッテリモジュール23a~23dを冷却するために、冷却機構26は、図3~4に示されるように、第1上側冷却部34の一対のモジュール冷却部34a、34bおよび第1下側冷却部35の一対のモジュール冷却部35a、35bを備えている。各モジュール冷却部34a、34b、35a、35bは、それぞれ各バッテリモジュール23a~23dの下面に当接して冷却する冷却配管41を備える。各モジュール冷却部34a、34b、35a、35bの冷却配管41は、車両後方側において端部配管42にそれぞれ接続されている。
【0097】
上述のように、本実施形態のバッテリパック5では、図12~14に示されるように、一対の後部連結配管44は、互いに交差するようにそれぞれ斜め上方に延びている。具体的には、図12~14に示されるように、第1下段バッテリモジュール23c(図2参照)を冷却する(図12の右下側の)モジュール冷却部35aにおける車両後方側の端部配管42は、車両後方側から見て左斜め上方に延びる後部連結配管44(第1連絡配管)を介して、第2上段バッテリモジュール23bを冷却する(図12の左上側の)モジュール冷却部34bの端部配管42に接続されている。同様に、第2下段バッテリモジュール23dを冷却する(図12の左下側の)モジュール冷却部35bにおける車両後方側の端部配管42は、車両後方側から見て右斜め上方に延びる後部連結配管44(第2連絡配管)を介して、第1上段バッテリモジュール23aを冷却する(図12の右上側の)モジュール冷却部34aの端部配管42に接続されている。
【0098】
言い換えれば、図12~14に示される一方の後部連結配管44(第1連絡配管)は、第1下段バッテリモジュール23c用の冷却配管41(図3~4のモジュール冷却部35a側の冷却配管41)と第2上段バッテリモジュール23b用の冷却配管41(同モジュール冷却部34b側)とを接続する。また、他方の後部連結配管44(第2連絡配管)は、第1上段バッテリモジュール23a用の冷却配管41(同モジュール冷却部34a側)と第2下段バッテリモジュール23d用の冷却配管41(同モジュール冷却部35b側)とを接続する。
【0099】
この構成によれば、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)により上記の4つのバッテリモジュール23a~23dを冷却する各冷却配管41の相対位置の変位を許容することが可能である。その結果、各冷却配管41に対して曲げや引張りによる応力が作用することを抑制し、それによって車両用バッテリパック5の冷却性能の信頼性が悪化することを抑制することが可能である。
【0100】
また、本実施形態のバッテリパック5では、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)は、平面視でオーバーラップするように配置されている(例えば、図13の背面図参照)。これにより、車両用バッテリパック5の長手方向(すなわち車両前後方向Y)の大型化を抑制することが可能である。
【0101】
また、本実施形態のバッテリパック5では、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)は、それらの少なくとも一部が弾性変形可能なホース44a(図12参照)で形成されている。ホース44aは、弾性変形可能な管状の部材であればよく、たとえば、樹脂製または銅などの金属製の管などである。このホース44aを有する後部連結配管44の構成では、一対の後部連結配管44をすべて金属製配管で製造した場合よりも、小さいスペースで弾性変形可能なホース44aにより相対位置の変位を許容することが可能である。
【0102】
また、本実施形態のバッテリパック5では、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)は、具体的には、図12に示されるように、弾性変形可能なホース44aと、金属パイプ44bと、ホース44aと金属パイプ44bとを連結する連結部44cと、連結部44cを覆う連結部プロテクタ44dとを備える。連結部44cは、例えば、金属のかしめ部などである。
【0103】
連結部プロテクタ44dは、例えば、樹脂などの金属よりも軟質の材料で製造された筒状の部材である。図12では、連結部プロテクタ44dは、4個の連結部44cのうち互いに近接している上下に並ぶ2個の連結部44cのうちのいずれか一方の連結部44cに設けられているが、すべての連結部44cに設けてもよい。
【0104】
この構成では、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)の相互間において、連結部プロテクタ44dによって、ホース44aと金属パイプ44bとを連結する連結部44c同士の干渉を防止することが可能である。
【0105】
また、本実施形態のバッテリパック5では、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)は、ホース44aを覆うホースプロテクタ44eを備えている。これにより、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)の相互間において、ホースプロテクタ44eによって、ホース44a同士の干渉を防止することが可能である。
【0106】
また、ホースプロテクタ44eによって、ホース44aと架台39(とくに台座部39a)(図14参照)との干渉も防止することが可能である。また、図6および図14に示されるように、架台39の車両後方側端部には、バッテリモジュール23a、23bがブラケット40を介して固定されているが、上記のホースプロテクタ44eによって、ホース44aとブラケット40との干渉も防止することが可能である。
【0107】
また、本実施形態のバッテリパック5では、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)は、互いに交差するように(いわゆる、たすきがけに)配置されている。これにより、一対の後部連結配管44を交差しないように配置する場合と比較して、一対の後部連結配管44の各長さを短縮することが可能である。
【0108】
言い換えれば、図12~14に示される構成では、一対の後部連結配管44は、互いに交差するようにそれぞれ斜め上方に延びているので、単に車両上下方向Zに延びている場合と比較して配管長を長く確保することが可能である。
【0109】
また、本実施形態のバッテリパック5では、図2図6、および図14に示されるように、第1上段バッテリモジュール23aおよび第2上段バッテリモジュール23bは、第1下段バッテリモジュール23cおよび第2下段のバッテリモジュール23dよりも車両後方(車両前方を示す矢印Y1の反対方向)に突出して突出部分49(図6および図14参照)が形成されるように配置されている。図6および図14に示されるように、一対の後部連結配管44(第1連絡配管および第2連絡配管)は、第1上段および第2上段のバッテリモジュール23a、23bの突出部分49の下方に配置されている。これにより、第1上段および第2上段のバッテリモジュール23a、23bの突出部分49により、一対の後部連結配管44が保護されるので、車両後側からの他の車両などの衝突による一対の後部連結配管44の損傷を防止することが可能である。
【0110】
なお、上記の実施形態では、一対の連結配管44は、バッテリモジュール23a~23dの車両後方側に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両前方側に設けられていてもよい。
【0111】
(弾性付勢部材51についての説明)
本実施形態のバッテリパック5は、冷却機構26は、図3に示されるように、平板状の冷却配管41のそれぞれにおいて、当該冷却配管41をバッテリモジュール(図2の各バッテリモジュール23a~25b)の表面(本実施形態では下面)に当接する向き(上方)に付勢する弾性付勢部材51を備えている。
【0112】
弾性付勢部材51は、図15に示されるように、1本の冷却配管41に対して1個または複数個設けられる。図15の例では、既存の成形型で製造しやすいように3分割された弾性付勢部材51が1本の冷却配管41の下面に設けられる。
【0113】
弾性付勢部材51は、図15~16に示されるように、樹脂などからなるホルダ52を介して平板状の冷却配管41の下面に保持される。また、本実施形態では、ホルダ52によって、ヒータ53も冷却配管41の下面に保持される。ヒータ53は、寒冷地での運転時などにおいてバッテリモジュール23a~25bを所定の使用条件温度まで加熱するために用いられる。ヒータ53は、冷却配管41を介してバッテリモジュールを加熱することが可能である。なお、平板状の冷却配管41の内部は、冷媒が流通可能な流路が形成されていればよく、図16に示されるように複数の流路に分割されていてもよい。
【0114】
弾性付勢部材51は、図6および図15~20に示されるように、冷却配管41の長手方向に並ぶ弾性変形可能な複数の脚部51aを有する。具体的には、弾性付勢部材51は、ゴムなどで製造された弾性変形可能な部材であり、図17~18に示されるように、複数(図17~18では4本)の脚部51aと、これら複数の脚部51aの上端の根元側端部同士を連結するベース部51bとを備える。複数の脚部51aおよびベース部51bが弾性変形可能な樹脂によって一体成形される。
【0115】
それぞれの脚部51aは、全体的に先細り形状であり、具体的には、図20に示される略台形の平板の形状を有している。また、脚部51aの先端は、図17および図19に示されるように、丸まっており、曲面形状を有する。しかも、脚部51aは、弾性変形可能な樹脂で成形されるとともに図19~20に示されるように中空形状を有している。
【0116】
弾性付勢部材51の複数の脚部51aは、バッテリパック5のケースなどの当接面(例えば、図2のロアプレート21や図5の架台39の上面など)に個別に当接することが可能である。
【0117】
本実施形態のバッテリパック5では、上記のように平板状の冷却配管41のそれぞれにおいて、当該冷却配管41をバッテリモジュールの表面に当接する向きに付勢する弾性付勢部材51を備えている。この弾性付勢部材51は、冷却配管41の長手方向に並ぶ弾性変形可能な複数の脚部51aを有するので、個々の脚部51aによって冷却配管41をバッテリモジュールの表面に向けて付勢することが可能である。これにより、高温時と低温時で冷却配管41が受ける付勢力のばらつきを抑制することが可能であり、その結果、冷却配管41は、ばらつきが抑制された付勢力を受けた状態(すなわち接触熱抵抗のばらつきが抑制された状態)でバッテリモジュールの表面に当接して、冷却配管41によるバッテリモジュールの冷却性能のばらつきを抑制する。
【0118】
また、本実施形態のバッテリパック5では、弾性付勢部材51の個々の脚部51aによって、冷却配管41をバッテリモジュール23a~25bの下面に向けて付勢することが可能である。この構成では、冷却配管41の上にバッテリモジュールを載置することにより、バッテリモジュールの重量を冷却配管41を介して弾性付勢部材51が受けることが可能である。これにより、弾性付勢部材51はバッテリモジュールの重量を利用して弾性変形し、弾性付勢部材51の復元力を用いて冷却配管41をバッテリモジュールの下面に向けて付勢することが可能である。したがって、バッテリモジュール、冷却配管41、および弾性付勢部材51が車両上下方向Zに積層して配置された簡単な構造により、冷却配管41が受ける付勢力のばらつきを抑制し、冷却配管41によるバッテリモジュール23a~25bの冷却性能のばらつきを抑制する。
【0119】
なお、上記の実施形態では、冷却配管41がバッテリモジュール23a~25bの下面に当接するように、弾性付勢部材51が冷却配管41を上方へ付勢する例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例として、バッテリモジュール23a~25bにおける下面以外の他の表面、例えば、バッテリモジュールの側面に当接するように、弾性付勢部材51が冷却配管41を側方へ付勢するようにしてもよい。
【0120】
また、本実施形態のバッテリパック5では、脚部51aの先端が曲面形状を有することにより、脚部51aがバッテリパック5のケースなどの当接面(例えば、図2のロアプレート21や図5の架台39の上面など)に当接した際に脚部51aがスムーズに弾性変形することが可能である。その結果、脚部51aの先端形状のばらつきによる影響が小さく、冷却配管41をバッテリモジュール23a~25dへ確実に付勢することが可能である。
【0121】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、脚部51aが中空形状を有することにより、脚部51aがバッテリパックのケースなどの当接面(例えば、図2のロアプレート21や図5の架台39の上面など)に当接した際に脚部51aがスムーズかつ容易に弾性変形することが可能である。その結果、冷却配管41やバッテリモジュール23a~25b25bの取付誤差が有っても脚部51aの弾性変形で確実に吸収することが可能であり、冷却配管41をバッテリモジュール23a~25bへより確実に付勢することが可能である。
【0122】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、脚部51aが先細り形状を有することにより、脚部51aがバッテリパックのケースなどの当接面(例えば、図2のロアプレート21や図5の架台39の上面など)に当接した際に脚部51aがスムーズに弾性変形することが可能である。その結果、脚部51aの先端形状のばらつきによる影響が小さく、冷却配管41をバッテリモジュールへ確実に付勢することが可能である。
【0123】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、弾性付勢部材51は、図15に示されるように複数(図15では4個)に分割されて構成されているので、弾性付勢部材51の生産性を向上することが可能である。具体的には、既存の成形型を用いて弾性付勢部材51を成形することが可能であり、製造コストの低減が可能になる。
【0124】
さらに、本実施形態のバッテリパック5では、それぞれのバッテリモジュール23a~25dは、図6に示されるように、複数枚のバッテリセル29を有している。しかも、弾性付勢部材51の脚部51aの数がバッテリセル29の枚数と同じになるように設計されている。しかも、複数の脚部51aは、複数枚のバッテリセル29が並ぶ方向(図6では車両前後方向Y)に並んで配置されている。それぞれの脚部51aは、それぞれのバッテリセル29に上向きの付勢力を与えることが可能な位置に配置されている。この構成では、弾性付勢部材51の複数の脚部51aによって、各バッテリモジュール23a~25bの複数枚のバッテリセル29のそれぞれに均等な付勢力を与えることが可能である。したがって、あるバッテリセル29だけに過大な付勢力が加わることがなく、そのバッテリセル29だけが単独で上方に移動してバスバーなどのバッテリセル間の電気接続部を損傷するおそれも低減する。
【0125】
さらに、本実施形態のバッテリパック5は、図15~16に示されるように、冷却配管41と弾性付勢部材51との間に配置され、弾性付勢部材51を冷却配管41に保持する保持部材としてホルダ52を備えている。この構成では、冷却配管41と弾性付勢部材51との間でホルダ52(保持部材)が冷却配管41を保持することによって、冷却配管41の保持性を向上することが可能である。その結果、弾性付勢部材51が冷却配管41に均一に付勢力を与え、冷却配管41によるバッテリモジュール23a~25bの均一な冷却を可能にする。
【0126】
さらに、本実施形態のバッテリパック5は、図15~16に示されるように、各バッテリモジュール23a~25bを加熱するヒータ53を備えている。ヒータ53は、ホルダ52(保持部材)によって各バッテリモジュール23a~25bを加熱することが可能な位置に保持されている。この構成では、ヒータ53がホルダ52(保持部材)によって各バッテリモジュール23a~25bを加熱することが可能な位置に保持されているので、バッテリモジュール23a~25bの均一かつ確実な加熱が可能である。
【0127】
なお、弾性付勢部材51は、冷却配管41をバッテリモジュール23a~25bに対して付勢できる構成であれば、上記のゴム製以外にも、樹脂製や金属製でもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 電気自動車
2 車体
5 バッテリパック
9 コンプレッサ
10、11、12 ジャンクションボックス(電気接続箱)
23 第1バッテリモジュール群
24 第2バッテリモジュール群
25 第3バッテリモジュール群
23a、23b、23c、23d、24a、24b、25a、25b バッテリモジュール
26 冷却機構
27 クロスメンバ(ベース部分)
28 隙間
29 バッテリセル
30 固定部
32 膨張弁
33 分流器
34 第1上側冷却部
35 第1下側冷却部
36 第2冷却部
37 第3冷却部
41 冷却配管
42 端部配管
43 連絡配管
44 後部配管部分
44a ホース
44b 金属パイプ
44c 連結部
44d 連結部プロテクタ
44e ホースプロテクタ
49 突出部分
51 弾性付勢部材(付勢部材)
51a 脚部
51c 先端
52 ホルダ(保持部材)
53 ヒータ
C1~C5 ケーブル
X 車幅方向
Y 車両前後方向
Z 車両上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20