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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20230829BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230829BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/00 302C
H02J7/00 302B
H02J7/00 P
B60R16/03 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019157920
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036746
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 直文
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 二郎
(72)【発明者】
【氏名】三角 良太
(72)【発明者】
【氏名】藤阪 和市
(72)【発明者】
【氏名】山田 禎久
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-128283(JP,A)
【文献】国際公開第2017/222077(WO,A1)
【文献】特開2019-146415(JP,A)
【文献】特開2017-192236(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193709(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109606192(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109693625(CN,A)
【文献】特開2015-67187(JP,A)
【文献】特開2019-189021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
B60R 16/03
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源系統及び第2電源系統を冗長的に備えた電源システムと、
前記第1電源系統の電源及び前記第2電源系統の電源が接続される上位装置と、
前記上位装置と通信可能に接続され、前記第1電源系統の電源のみが接続され、第1下位装置への電力供給を制御する第1中間装置と、
前記上位装置と通信可能に接続され、前記第2電源系統の電源のみが接続され、前記第1下位装置の冗長構成である第2下位装置への電力供給を制御する第2中間装置と、を備える、
ネットワークシステム。
【請求項2】
前記第1中間装置は、遮断制御可能な第1デバイスを介して前記第1下位装置を含む複数の下位装置に電力を供給し、
前記第2中間装置は、遮断制御可能な第2デバイスを介して前記第2下位装置を含む複数の下位装置に電力を供給し、
前記上位装置は、
前記第1電源系統が失陥した場合、前記第2デバイスを制御して、動作が不要な前記下位装置に対して電力供給を停止し、
前記第2電源系統が失陥した場合、前記第1デバイスを制御して、動作が不要な前記下位装置に対して電力供給を停止する、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる電子機器や電装部品などの装置が複数搭載されている。これらの装置は、車両の各種機能を分担して実行する。
【0003】
複数の装置を含むネットワークシステムとして、特許文献1は、ツリー型の接続トポロジを有するネットワークシステムを開示している。この特許文献1に記載のネットワークシステムでは、上位ノードである複数の中継ECUが通信線で互いに接続され、各中継ECUのそれぞれに下位ノードである複数の下位装置が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-067187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなネットワークシステムにおいて、上位ノードを車両制御のための機能を集約した高機能な装置とし、複数の下位ノードを上位ノードから制御される簡易化された装置とすることが考えられる。また、上位ノードと下位ノードとの間にゲートウェイの機能を有する中位ノードをさらに設ける構成が考えられる。
【0006】
近年、車両へのフェールオペレーション導入の観点から、上述したような構成のネットワークシステムにおいて電源の冗長化が要求されている。このような要求に対して、これまではフェールオペレーションを実現するために冗長化が必要な下位装置の数が少なかったため、例えば特許文献1に記載のネットワークシステムを冗長電源化する場合には、冗長化された各電源線から冗長化が必要な各下位装置までを個別の配線でそれぞれ接続して電力を供給することで足りていた。
【0007】
しかしながら、自動運転機能などの冗長化が必要な下位装置がさらに増加する場合、今までと同様に個別の配線によって各電源線から各下位装置に直接電力を供給していたのでは、配線が複雑化する。よって、複雑化させることなく各下位装置へ電力を供給するための冗長電源構成を検討する余地がある。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、冗長化が必要な装置が増加する場合でも構成を複雑化させることなく冗長電源構成をとることができるネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、第1電源系統及び第2電源系統を冗長的に備えた電源システムと、第1電源系統の電源及び第2電源系統の電源が接続される上位装置と、上位装置と通信可能に接続され、第1電源系統の電源が接続され、第1下位装置への電力供給を制御する第1中間装置と、上位装置と通信可能に接続され、第2電源系統の電源が接続され、第1下位装置の冗長構成である第2下位装置への電力供給を制御する第2中間装置と、を備える、ネットワークシステム。
【発明の効果】
【0010】
上記本発明のネットワークシステムによれば、冗長化が必要な装置が増加する場合でも構成を複雑化させることなく冗長電源構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの概略図
図2】第1電源系統の電源が失陥した場合のネットワークシステムの状態を示す図
図3】本実施形態の変形例に係るネットワークシステムの概略図
図4】本実施形態の応用例に係るネットワークシステムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態においては、ネットワークシステムが、相異なる電源系統から電力供給される2つの通信系統を備える。また、ネットワークシステムが同等の機能を有する2つの下位装置を備え、これらの下位装置が相異なる通信系統によって上位装置と通信する。これらによりネットワークシステムに、好適に冗長性を付与することができ、一方の電源系統の失陥に対してフェールオペレーションを実行することができる。
【0013】
[実施形態]
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<構成>
図1に、本実施形態に係るネットワークシステム1の概略図を示す。このネットワークシステム1は、ハイブリッド自動車(HV)や電気自動車(EV)などの車両に搭載することができる。
【0015】
本実施形態におけるネットワークシステム1は、第1バッテリ54を電源として電力供給が行われる第1電源系統51と、第2バッテリ55を電源として電力供給が行われる第2電源系統52とを、冗長的に有する、電源システム50を備える。第1バッテリ54及び第2バッテリ55には、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池が用いられる。第1バッテリ54には、図示しないDCDCコンバータを介してオルタネータ(ALT)や他のバッテリが接続されてもよい。第1電源系統51(第1バッテリ54)と第2電源系統52(第2バッテリ55)との間には、各電源系統に異常がない通常時に導通させ、一方の電源系統の失陥などが生じた異常時に遮断することができるリレー53(メカニカルリレーや半導体リレーなど)が挿入されている。
【0016】
また、実施形態におけるネットワークシステム1は、上位ノード、中位ノード、及び下位ノードを備える。上位ノードは、一例として、各種の車両制御機能のための演算を集約的に実行する比較的高機能なECUである。下位ノードは、一例として、センサ又はアクチュエータ、あるいはこれらを個別制御する比較的特化した機能を有するECUである。中間ノードは、一例として、上位ノードと下位ノードとの間の通信を中継するゲートウェイとして機能するECUである。
【0017】
ネットワークシステム1は、上位ノードとして上位装置10を設ける。また、上位装置10の配下には、1つ以上の中位ノードである中間装置が例えばツリー型の接続トポロジで接続される。すなわち、図1に示す例においては、第1中間装置21及び第2中間装置22が、それぞれ上位装置10と接続される。
【0018】
上位装置10は、第1通信系統及び第2通信系統の通信機能を有しており、第1通信系統の通信を行う第1系統通信部11及び第2通信系統の通信を行う第2系統通信部12を含む。この第1系統通信部11及び第2通信系統は、一例として、それぞれ電源IC、マイクロコントローラユニット(MCU)、及びイーサネット(登録商標)スイッチ(SW)などを含んで構成される。
【0019】
上位装置10は、第1電源系統51に電源線111で接続され、第2電源系統52に電源線121で接続される。上位装置10は、電源線111を介して第1電源系統51から供給される電力で第1系統通信部11を動作させ、所定の第1通信系統の処理を実行してその結果を通信線211を介して第1中間装置21に出力する。また、上位装置10は、電源線121を介して第2電源系統52から供給される電力で第2系統通信部12を動作させ、所定の第2通信系統の処理を実行してその結果を通信線221を介して第2中間装置22に出力する。
【0020】
第1中間装置21及び第2中間装置22の配下には、1つ以上の下位ノードである下位装置がそれぞれ接続される。すなわち、図1に示す例においては、第1下位装置31、第3下位装置33、及び第5下位装置35が、第1中間装置21と接続され、第2下位装置32、第4下位装置34、及び第5下位装置35が、それぞれ第2中間装置22と接続される。
【0021】
第1中間装置21及び第2中間装置22は、それぞれ、上位装置10と各下位装置との間の通信及び電力供給を中継するゲートウェイとして機能し、一例として、電源IC、マイクロコントローラユニット(MCU)、イーサネットスイッチ(SW)、及びCAN(Controller Area Network)トランシーバ(CAN)などを含んで構成される。
【0022】
第1中間装置21は、第1電源系統51に電源線112で接続される。第1中間装置21は、電源線112を介して第1電源系統51から供給される電力を、電源線113を介して第1下位装置31及び第5下位装置35へ、電源線114を介して第3下位装置33へそれぞれ供給する。また、第1中間装置21は、電源線112を介して第1電源系統51から供給される電力で所定の第1通信系統の処理を実行し、その結果を通信線212を介して第1下位装置31、第3下位装置33、及び第5下位装置35に出力する。
【0023】
第2中間装置22は、第2電源系統52に電源線122で接続される。第2中間装置22は、電源線122を介して第2電源系統52から供給される電力を、電源線123を介して第2下位装置32及び第5下位装置35へ、電源線124を介して第4下位装置34へそれぞれ供給する。また、第2中間装置22は、電源線122を介して第2電源系統52から供給される電力で所定の第2通信系統の処理を実行し、その結果を通信線222を介して第2下位装置32、第4下位装置34、及び第5下位装置35に出力する。
【0024】
各下位装置31~35は、例えば、センサ又はアクチュエータや、これらを個別制御する比較的特化した機能を有するECUである。本実施形態において、第1下位装置31と第2下位装置32とは、異常時などにおいてフェールオペレーションが要求される機能を実現するための装置であって、冗長性を有する関係にある。ここで、冗長性を有する関係とは、電動パワーステアリング(EPS)や電動ブレーキ(EBS)など全く同じ機能を有した構成を物理的に2つ設けた関係であってもよいし、Rader(Radio detection and Ranging)方式のセンサとLidar(Laser Imaging Detection and Ranging)方式のセンサとのように、互いに相手の機能を代替することが可能な関係とすることができる。また、第5下位装置35は、単一の構成で冗長性を有する装置であり、第1電源系統51から供給される電力でも第2電源系統52から供給される電力でも動作可能なように構成されている。
【0025】
以上の各装置は、典型的にはプロセッサ又はマイコンのような制御部及びメモリを含んで構成されるが、下位装置の中には、センサやアクチュエータを含むもの、制御部又はメモリを含まないものがあってもよい。
【0026】
なお、上位装置10と第1中間装置21とは、あいだに他の中間装置を1つ以上介して接続されてもよいが、この他の中間装置は全て第1電源系統51から電力供給される構成とする。また、上位装置10と第2中間装置22とは、あいだに他の中間装置を1つ以上介して接続されてもよいが、この他の中間装置は全て第2電源系統52から電力供給される構成とする。
【0027】
また、第1下位装置31及び第3下位装置33の電力は、第1中間装置21からの供給ではなく、第1電源系統51から直接供給されてもよいし、第2下位装置32及び第4下位装置34の電力は、第2中間装置22からの供給ではなく、第2電源系統52から直接供給されてもよい。また、第5下位装置35の電力は、それぞれ第1中間装置21及び第2中間装置22からの供給ではなく、第1電源系統51及び第2電源系統52の一方又は双方から直接供給されてもよい。
【0028】
<状態>
次に、本実施形態に係るネットワークシステム1において、一方の電源系統に失陥が発生したときの状態を説明する。図2は、第1電源系統51が地絡した場合のネットワークシステム1の状態を示す図である。
【0029】
このように、第1電源系統51が地絡した場合では、上位装置10の第1系統通信部11、第1中間装置21、第1下位装置31、第3下位装置33、及び第5下位装置35の第1電源系統入力端への電力供給が行われず、その結果第1系統通信部11、第1中間装置21、第1下位装置31、及び第3下位装置33の動作(第1系統通信)が停止する(図2の薄い細線箇所)。一方、第2電源系統52は地絡の影響が及ばないため、上位装置10の第2系統通信部12、第2中間装置22、第2下位装置32、第4下位装置34、及び第5下位装置35の第2電源系統入力端へ電力が継続して供給されて、これらの動作(第2系統通信)は維持される(図2の濃い実線箇所)。
【0030】
<作用・効果>
以上のように、本発明の一実施形態に係るネットワークシステム1によれば、2つの電源系統を冗長的に有する電源システムを備え、冗長化された2つの下位装置を、異なる電源系統から電力の供給を受ける2つの中間装置の配下にそれぞれ設け、各下位装置へは接続された中間装置と同じ電源系統からそれぞれ電力を供給する構成にする。
【0031】
この構成により、一方の電源系統に失陥が生じても、他方の電源系統の電力によって冗長構成のいずれかの装置の動作を維持することができ、フェールオペレーションに要求される機能を発揮することができる。
【0032】
また、複数の中間装置の電源系統を2つに分離する構成を採用することで、冗長化が必要な下位装置が増加する場合でも、構成を複雑化させることなく、容易に冗長構成をとることができる。また、冗長化が必要な単一構成の下位装置についても、電源系統を異にする中間装置からそれぞれ電力供給を受けられるように構成すれば、電源系統に失陥などの異常時におけるフェールオペレーションに要求される機能を発揮することができる。
【0033】
また、各下位装置への電力供給を、電源系統の幹線から直接行うのではなく、当該装置に接続された中間装置から行う構成とすることにより、ワイヤハーネス(W/H)の設計自由度が高くなり、個々の車両に適したW/Hを最適に設計することができる。
【0034】
また、第1系統通信を行う上位装置、中間装置、及び下位装置の全てを一方の電源系統に接続し、第2系統通信を行う上位装置、中間装置、及び下位装置の全てを他方の電源系統に接続するため、一方の電源系統の失陥によって一方の系統通信が途絶しても、他方の系統通信による上位装置から中間装置を中継した下位装置までの通信が途絶えることがない。従って、電源系統失陥の対策として、上位装置と下位装置とを制御のために専用通信線で繋げなくてよいため、上位装置を車種ごとに個別に設計する必要がなくなる。
【0035】
[変形例]
図3に、本実施形態の変形例に係るネットワークシステム2の概略図を示す。本変形例におけるネットワークシステム2は、上記本実施形態に係るネットワークシステム1の第1中間装置21及び第2中間装置22を、それぞれ第1中間装置23及び第2中間装置24に代えた構成である。
【0036】
第1中間装置23は、第1中間装置21に対して、第1電源系統51に接続される電源線112と第1下位装置31及び第5下位装置35に接続される電源線113との間に、デバイスT1を設け、第1電源系統51に接続される電源線112と第3下位装置33に接続される電源線114との間に、デバイスT2を設けたことが異なる。
【0037】
第2中間装置24は、第2中間装置22に対して、第2電源系統52に接続される電源線122と第2下位装置32及び第5下位装置35に接続される電源線123との間に、デバイスT3を設け、第2電源系統52に接続される電源線122と第4下位装置34に接続される電源線124との間に、デバイスT4を設けたことが異なる。
【0038】
各デバイスT1~T4は、上位装置10又は図示しない制御装置などの指示に基づいて導通又は遮断の状態を切り替え可能なスイッチングデバイスである。このデバイスT1~T4には、一例として電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体素子を用いることができる。なお、MOSFETを用いる場合には、ソース-ドレイン間に形成されるボディダイオードの整流方向を逆にして直列接続した2つのトランジスタをデバイスT1~T4として用いてもよい。
【0039】
デバイスT1~T4は、通常は導通状態に制御されており、第1中間装置21から第1下位装置31、第3下位装置33、及び第5下位装置35に第1電源系統51の電力が供給され、第2中間装置22から第2下位装置32、第4下位装置34、及び第5下位装置35に第2電源系統52の電力が供給される。そして、このデバイスT1~T4は、予め定められた場面において遮断状態に制御される。
【0040】
例えば、図2に示した第1電源系統51の電源が失陥すると、第2下位装置32及び第5下位装置35によってフェールオペレーションが実行されるが、このフェールオペレーション中には第4下位装置34の処理が必要ない場合もあり得る。この場合、フェールオペレーション中も第4下位装置34を実行させていたのでは、第2バッテリ55の電力が無駄に消費される。そこで、本変形例に係るネットワークシステム2では、このような場面では、デバイスT3を導通状態に、かつ、デバイスT4を遮断状態に制御する。
【0041】
このように、本変形例に係るネットワークシステム2によれば、中間装置にデバイスT1~T4を用いることで、フェールオペレーションを安全に実行しつつ、電力消費を削減することができる。電力消費を削減することができるので、バッテリの容量を増大させるための設計変更やコストアップを回避できることが期待される。
【0042】
なお、デバイスT1~T4は、ヒューズの機能を兼ね備えているため、図3に示した第1中間装置21及び第2中間装置22に内蔵される一部又は全部のヒューズを省くことができる。
【0043】
[応用例]
変形例で示したデバイスT1~T4を用いた構成を、冗長的な電源系統を有さない電源システムを備えたネットワークシステムに適用した応用例を説明する。
【0044】
図4に、本応用例に係るネットワークシステム3の概略図を示す。本応用例におけるネットワークシステム3は、電源システム50として、第1バッテリ54を電源として電力供給が行われる電源系統51のみを有している。従って、上位装置、中間装置、及び下位装置の全てが電源系統51から電力供給を受ける。
【0045】
この本応用例に係るネットワークシステム3では、電源系統51の電源が失陥した場合に、冗長性が必要な下位装置によるフェールオペレーションは実現できないが、電力消費を削減することができる。
【0046】
例えば、第1下位装置31と第2下位装置32とが自動運転時に必要な冗長構成である場合には、ドライバが運転権限を有する手動運転による車両走行中にデバイスT3を遮断状態に制御して第2下位装置32を非動作にする。これにより、電源系統に何ら異常がない通常の手動走行時において、第2下位装置32で不必要に消費される電力を削減することができる。
【0047】
このようなネットワークシステム3は、「上位装置と、前記上位装置と通信可能に接続され、遮断制御可能な第1デバイスを介して第1下位装置への電力供給を制御する第1中間装置と、前記上位装置と通信可能に接続され、遮断制御可能な第2デバイスを介して前記第1下位装置の冗長構成である第2下位装置への電力供給を制御する第2中間装置と、を備える、ネットワークシステム」と表現することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、ネットワークシステムだけでなくネットワークシステムに含まれる装置のような車載装置、プロセッサとメモリを備えた車載装置が実行する制御方法、制御プログラム、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体、ネットワークシステムを備えた車両等として捉えることが可能である。また、本発明は、車両に搭載されるネットワークシステム以外のネットワークシステムにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、車両等に搭載されるネットワークシステムに有用である。
【符号の説明】
【0050】
1、2、3 ネットワークシステム
10 上位装置
11、12 系統通信部
21~24 中間装置
31~35 下位装置
50 電源システム
51、52 電源系統
53 リレー
54、55 バッテリ
111~114、121~124 電源線
211、212、221、222 通信線
T1~T4 デバイス
図1
図2
図3
図4