(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】脳波測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/291 20210101AFI20230829BHJP
A61B 5/26 20210101ALI20230829BHJP
【FI】
A61B5/291
A61B5/26 200
(21)【出願番号】P 2019164326
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2018184190
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 理規
(72)【発明者】
【氏名】馬瀬 隆造
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0042439(US,A1)
【文献】特表2017-505169(JP,A)
【文献】特開平07-108039(JP,A)
【文献】特開2018-099283(JP,A)
【文献】特開2018-094054(JP,A)
【文献】国際公開第96/024906(WO,A1)
【文献】米国特許第05566678(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25
A61B 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の頭部における第一位置に配置される第一電極と、
前記被検者の第二位置に配置される第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極の電位差の基準となる電位を提供する第三電極と、
前記第一電極を支持しており、かつ
前記電位差の測定中にユーザの手で保持される部分を有している本体と、
を備えて
おり、
前記第二電極と前記第三電極が信号線を介して前記本体と接続されることにより、前記第一電極、前記第二電極、および前記第三電極の相対位置が変更可能とされている、
脳波測定装置。
【請求項2】
被検者の頭部における第一位置に配置される第一電極と、
前記被検者の第二位置に配置される第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極の電位差の基準となる電位を提供する第三電極と、
前記電位差の測定中にユーザの手で保持される部分を有している本体と、
を備えており、
前記
第一電極と第三電極
は、
相対位置不変に前記本体に支持されており、
前記第二電極は、信号線を介して前記本体と接続されることにより、前記第一電極および前記第三電極との相対位置を変更可能とされている、
脳波測定装置。
【請求項3】
前記第一電
極と前記第三電
極は、前記本体から突出している、
請求項
2に記載の脳波測定装置。
【請求項4】
前記第一電極
と前記第三電
極は、突出方向に沿って変位可能に前記本体に支持されている、
請求項
3に記載の脳波測定装置。
【請求項5】
前記第一電極
と前記第三電
極は、突出方向と交差する方向へ変位可能に前記本体に支持されている、
請求項
3または
4に記載の脳波測定装置。
【請求項6】
被検者の頭部における第一位置に配置される第一電極と、
前記被検者の第二位置に配置される第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極の電位差の基準となる電位を提供する第三電極と、
前記電位差の測定中にユーザの手が入る手袋形状を有しており、少なくとも前記第一電極を支持している本体と、
を備えている、
脳波測定装置。
【請求項7】
前記第一電極、前記第二電極、および前記第三電極の各々は、前記本体における前記ユーザの指が入る部分に支持されている、
請求項6に記載の脳波測定装置。
【請求項8】
前
記電位差の経時変化に応じた音を出力する報知部を備えている、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の脳波測定装置。
【請求項9】
前記音の大小は前記経時変化の振幅によって表現され、前記音の高低は前記経時変化の周波数によって表現される、
請求項
8に記載の脳波測定装置。
【請求項10】
前記音は、脳波計のペンによる記録音を模した音である、
請求項
8または
9に記載の脳波測定装置。
【請求項11】
前記報知部は、前記電位差の経時変化が脳の異常に対応している場合に特定の音を出力するように構成されている、
請求項
8から
10のいずれか一項に記載の脳波測定装置。
【請求項12】
前記報知部は、ユーザの耳に装着される部分を有している、
請求項
8から
11のいずれか一項に記載の脳波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳波は、人間の脳活動により生じる電気信号である。脳波測定装置は、被検者の頭表に装着された脳波電極を通じて脳波を測定する。測定される脳波は、頭表の位置によって異なる。したがって、脳波の測定に際しては、多数の脳波電極をそれぞれ頭表の所定位置に配置する必要がある。脳波電極の配置例としては、国際10-20電極配置法が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された脳波測定装置においては、被検者の頭部に装着されるヘッドキャップ上に多数の脳波電極が支持されている。脳波電極の配置は、国際10-20電極配置法に準拠するように定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、救急医療分野においても脳波の測定が基づく診断が期待されている。しかしながら、特許文献1に記載された脳波測定装置の場合、多数の脳波電極をすべての所定位置に配置するには時間がかかり、緊急を要する事態に応えられないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、脳波測定装置であって、
被検者の頭部における第一位置に配置される第一電極と、
前記被検者の第二位置に配置される第二電極と、
少なくとも前記第一電極を支持しており、かつ測定中にユーザの手で保持される部分を有している本体と、
を備えている。
【0008】
国際10-20電極配置法に基づく脳波測定法は、多数の脳波電極を全ての所定箇所に配置する作業に時間を要する。患者の脳の異常を迅速に認識することが求められる救急医療などの分野においては、より迅速かつ容易な脳波の取得が求められる。
【0009】
上記のような構成によれば、第二電極を適宜の位置に装着してから被検者の頭部の第一位置に第一電極を配置するだけの簡単な操作で、第一電極と第二電極の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。また、第一位置は、本体を保持しているユーザの手によって測定中でも自由に変更できる。したがって、特に救急医療などの現場で求められる、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】各実施形態に共通する脳波測定装置の機能構成を示している。
【
図2】第一実施形態に係る脳波測定装置を示している。
【
図3】第二実施形態に係る脳波測定装置を示している。
【
図6】第三実施形態に係る脳波測定装置を示している。
【
図7】第四実施形態に係る脳波測定装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。各図面においては、説明対象の各要素を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
図1は、各実施形態に共通する脳波測定装置10の機能構成を示している。脳波測定装置10は、第一電極21、第二電極22、第三電極23、信号処理回路31、電源32、および出力インターフェース33を備えている。
【0013】
第一電極21は、導電性を有している。第一電極21は、被検者の頭部における脳波の測定を所望する箇所に配置されて当該箇所の第一電位V1を検出する。
【0014】
第二電極22は、導電性を有している。第二電極22は、被検者の身体に配置されて当該箇所の第二電位V2を検出する。第二電極22が配置される具体的な箇所については後述する。
【0015】
第一電極21と第二電極22は、信号処理回路31と電気的に接続されている。第一電極21により検出された第一電位V1と第二電極22により検出された第二電位V2は、信号処理回路31に入力される。
【0016】
信号処理回路31は、第一電位V1と第二電位V2の電位差を取得するように構成されている。当該電位差の経時変化が被検者の脳波に対応する。信号処理回路31は、所望の出力信号を得るための増幅回路やフィルタ回路を適宜に含みうる。電源32は、信号処理回路31が所定の処理を実行するための電力を供給する。
【0017】
第三電極23は、導電性を有している。第三電極23は、任意の箇所に配置されて第一電位V1と第二電位V2の電位差の基準となる電位を提供する。
【0018】
以降の説明においては、信号処理回路31から出力される信号を脳波信号Sと称する。脳波信号Sは、出力インターフェース33を介して外部装置50へ出力される。外部装置50としては、脳波計や生体情報モニタなどが例示されうる。出力インターフェース33と外部装置50の間は、有線接続されてもよいし、無線通信が可能に構成されてもよい。
【0019】
脳波測定装置10は、本体40を備えている。第一電極21は、本体40に支持されている。信号処理回路31、電源32、および出力インターフェース33は、本体40内に収容されている。この場合、電源32は、一次電池または二次電池とされうる。信号処理回路31、電源32および出力インターフェース33の少なくとも一つは、本体40の外部に配置されてもよい。電源32が本体40の外部に配置される場合、商用電源や発電機などが電源32として利用されうる。
【0020】
図2は、脳波測定装置10の第一実施形態を示している。本実施形態においては、本体40は、ペン状の外観を呈している。本体40は、測定中にユーザの手で保持される保持部40aを有している。
【0021】
第一電極21は、ペン状の本体40の先端に支持されている。第二電極22は、信号線22aを介して本体40と接続されている。第三電極23は、信号線23aを介して本体40と接続されている。
【0022】
第二電極22は、例えば被検者の耳朶に装着される。第三電極23は、例えば額のように動きの少ない安定した部位に装着される。ユーザは、被検者の頭部における脳波を測定したい位置Pに第一電極21を押し当てる。図示された位置Pは、第一位置の一例である。耳朶は、第二位置の一例である。
【0023】
これにより、位置Pにおける脳波が得られる。当該脳波を示す信号(
図1における脳波信号S)は、出力インターフェース33を通じて出力される。
【0024】
国際10-20電極配置法に基づく脳波測定法は、多数の脳波電極を全ての所定箇所に配置する作業に時間を要する。患者の脳の異常を迅速に認識することが求められる救急医療などの分野においては、より迅速かつ容易な脳波の取得が求められる。
【0025】
上記のような構成によれば、第二電極22と第三電極23を適宜の位置に装着してから被検者の頭部の任意の位置Pに第一電極21を配置するだけの簡単な操作で、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。また、第一電極21が配置される位置は、保持部40aを保持しているユーザの手によって測定中でも自由に変更できる。したがって、特に救急医療などの現場で求められる、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0026】
本実施形態においては、本体40は、保持部40aよりも細い先端部に第一電極21が設けられている。しかしながら、本体40は、超音波診断装置のプローブのように、保持部40aよりも幅広の先端部に第一電極21が設けられた構成としてもよい。
【0027】
図3は、そのような先端部を有する脳波測定装置10の第二実施形態を示している。本実施形態においては、第一電極21、第二電極22、および第三電極23が、本体40に支持されている。本体40は、測定中にユーザの手で保持される保持部40aを有している。
【0028】
ユーザは、被検者の頭部における脳波を測定したい位置に第一電極21を押し当てる。第二電極22と第三電極23もまた被検者の頭部に押し当てられる。これにより、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する脳波が得られる。当該脳波を示す信号(
図1における脳波信号S)は、出力インターフェース33を通じて出力される。
【0029】
このような構成によれば、ユーザは、保持部40aを手で保持して本体40に支持された第一電極21、第二電極22、および第三電極23を被検者の頭部に押し当てるのみの簡単な操作で、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する脳波を取得できる。また、第一電極21が配置される位置は、保持部40aを保持しているユーザの手により測定中でも自由に変更できる。したがって、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0030】
なお、
図4に示されるように、第二電極22と第三電極23のいずれかは、信号線を介して本体40と接続されうる。第一電極21と第二電極22が本体40に支持される場合、第三電極23の装着位置に自由度を確保しつつ、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する脳波を取得できる。第一電極21と第三電極23が本体40に支持される場合、第二電極22の装着位置に自由度を確保しつつ、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する脳波を取得できる。
【0031】
第一電極21、第二電極22、および第三電極23の形状は適宜に定められうるが、
図3に示される例においては、第一電極21、第二電極22、および第三電極23は、本体40から突出している。
【0032】
このような構成によれば、被検者の頭髪により測定が妨げられにくくできる。したがって、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0033】
この場合、第一電極21は、突出方向に沿って変位可能とされうる。例えば、
図5の(A)に示されるように、第一電極21は、本体40に形成された穴40b内を摺動可能に支持されうる。穴40b内には導電ばね21aが収容されている。導電ばね21aは、常に第一電極21と接触し、第一電極21をその先端側へ向けて付勢している。第一電極21は、導電ばね21aを介して信号処理回路31と電気的に接続される。
【0034】
第一電極21が被検者の頭表に押し当てられると、頭表からの抗力によって第一電極21がその基端側へ向かって穴40b内を摺動し、導電ばね21aを圧縮する。第一電極21は、導電ばね21aの弾性復帰力と頭表からの抗力が平衡する位置に留まる。このような構成は、本体40に支持される第二電極22と第三電極23の少なくとも一方についても適用可能である。
【0035】
このような構成によれば、第一電極21、第二電極22、および第三電極23の少なくとも一つの突出方向に沿う変位により、被検者ごとの頭表形状の違いに対応できる。したがって、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0036】
さらに、第一電極21は、突出方向と交差する向きにも変位可能とされうる。例えば、
図5の(B)に示されるように、穴40b内に弾性を有するスリーブ40cが収容されうる。第一電極21は、スリーブ40cの内周に沿って摺動可能とされつつ、本体40に支持される。
【0037】
第一電極21が被検者の頭表に押し当てられると、第一電極21は、頭表からの抗力を受ける。当該抗力は、第一電極21の突出方向と交差する向きの成分も含みうる。第一電極21は、当該成分によってスリーブ40cを弾性変形させつつ、初期位置から傾きうる。第一電極21は、スリーブ40cの弾性復帰力と頭表からの抗力が平衡する位置に留まる。このような構成は、本体40に支持される第二電極22と第三電極23の少なくとも一方についても適用可能である。
【0038】
このような構成によれば、第一電極21、第二電極22、および第三電極23の少なくとも一つの突出方向と交差する向きへの変位(傾き)により、被検者ごとの頭表形状の違いに対応できる。したがって、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0039】
なお、
図5の(B)に示される例において、第一電極21の突出方向に沿う変位を許容する構成は省略されうる。
【0040】
図6は、脳波測定装置10の第三実施形態を示している。本実施形態においては、脳波測定装置10は、手袋のような外観を呈している。ユーザは、手袋形状の本体40内に手を入れることによって、脳波測定装置10を保持できる。本明細書における「測定中にユーザの手で保持される」という表現は、このような態様の保持も含む意味である。
【0041】
第一電極21は、本体40の人差し指が入る部分の先端に支持されている。第二電極22は、本体40の親指が入る部分の先端に支持されている。第三電極23は、本体40の薬指が入る部分の先端に支持されている。
【0042】
ユーザは、人差し指を介して、被検者の頭部における脳波を測定したい位置に第一電極21を押し当てる。第二電極22と第三電極23もまた、それぞれ親指と薬指を介して被検者の頭部に押し当てられる。これにより、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波が得られる。当該脳波を示す信号(
図1における脳波信号S)は、出力インターフェース33を通じて出力される。
【0043】
このような構成によれば、ユーザは、手袋状の本体40を介して自身の指を被検者の頭部に押し当てるのみの簡単な操作で、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。また、第一電極21が配置される位置は、人差し指の位置を変えることによって測定中でも自由に変更できる。したがって、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0044】
第一電極21、第二電極22、および第三電極23の各位置は、それぞれ本体40におけるユーザの人差し指、親指、薬指が入る部分に限られず、適宜に変更されうる。
【0045】
あるいは、第二電極22と第三電極23の少なくとも一方は、
図4に示される例のように信号線を介して本体40と接続されてもよい。第一電極21と第二電極22が本体40に支持される場合、測定中における第三電極23の変位を抑制しつつ、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。第一電極21と第三電極23が本体40に支持される場合、測定中における第二電極22の変位を抑制しつつ、第一電極21の位置と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。第一電極21のみが本体40に支持される場合、測定中における第二電極22と第三電極23の変位を抑制しつつ、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。
【0046】
上記の各実施形態について、
図1に示されるように、脳波測定装置10は、報知部34を備えうる。報知部34は、第一電位V1と第二電位V2の電位差の経時変化(すなわち脳波信号S)に応じた音を出力するように構成されている。具体的には、出力される音の大小(音量)が上記電位差の経時変化における振幅によって表現され、出力される音の高低(音程)が上記電位差の経時変化の周波数によって表現されうる。脳の異常を示すような脳波信号Sが取得された場合に特定の音を出力するように構成されてもよい。
【0047】
このような構成によれば、ユーザは、報知部34より出力される音を介して被検者の容体把握を支援されうる。したがって、脳波を視覚的に確認できる環境を確保しにくい状況においても、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0048】
熟練した医療従事者は、脳波計のペンによる記録音から被検者の脳の状態を知ることができる。本明細書で用いられる「脳波計のペンによる記録音」という語は、脳波計の記録紙にペンが脳波の波形を記録する際に、ペン先と記録紙の間で生じる摩擦音を意味する。したがって、報知部34から出力される音は、脳波計のペンによる記録音を模した音であることが好ましい。これにより、脳波を視覚的に確認できる環境を確保しにくい状況における被検者の容体把握をさらに容易にできる。
【0049】
報知部34は、本体40に内蔵されたスピーカによって実現されてもよいし、ユーザの耳に装着される部分を有するイヤホンまたはヘッドホンの形態で実現されてもよい。このような構成によれば、報知部34から出力される音と周辺ノイズとの区別を容易にできる。また、報知部34から出力される音が周囲に及んで騒音と認識されてしまう事態を回避できる。
【0050】
図7は、上記のように報知部34がユーザの耳に装着される部分を有している脳波測定装置10の第四実施形態を示している。本実施形態においては、脳波測定装置10は、聴診器のような外観を呈している。聴診器のチェストピースのような形状を有する本体40は、測定中にユーザの手で保持される保持部40aを有している。第一電極21、第二電極22、および第三電極23は、本体40における保持部40aとは反対側に支持されている。
【0051】
ユーザは、被検者の頭部における脳波を測定したい位置に第一電極21を押し当てる。第二電極22と第三電極23もまた被検者の頭部に押し当てられる。これにより、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波が得られる。当該脳波を示す信号(
図1における脳波信号S)は、出力インターフェース33を通じて出力される。
【0052】
報知部34は、聴診器のイヤーチップのような形状を有する耳装着部34aを有している。耳装着部34aは、ユーザの耳に装着される部分の一例である。ユーザは、耳装着部34aを通じて脳波信号Sに対応する音を聴くことができる。
【0053】
このような構成によれば、ユーザは、保持部40aを手で保持して本体40に支持された第一電極21、第二電極22、および第三電極23を被検者の頭部に押し当てるのみの簡単な操作で、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する脳波を取得できる。また、第一電極21が配置される位置は、保持部40aを保持しているユーザの手により測定中でも自由に変更できる。したがって、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【0054】
第二電極22と第三電極23の少なくとも一方は、
図4に示される例のように信号線を介して本体40と接続されてもよい。
【0055】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0056】
上記の各実施形態に係る脳波測定装置10は、第一電極21と第二電極22の電位差の基準となる電位を提供する第三電極23を備えている。このような構成によれば、同相ノイズが脳波測定に及ぼす影響を抑制しやすい。しかしながら、第三電極23は省略されてもよい。この場合においても、第二電極22を適宜の位置に装着してから被検者の頭部の任意の位置に第一電極21を配置するだけの簡単な操作で、第一電極21と第二電極22の電位差に相当する被検者の脳波を取得できる。また、第一電極21が配置される位置は、本体40を保持しているユーザの手によって測定中でも自由に変更できる。したがって、特に救急医療などの現場で求められる、より迅速かつ容易な脳波の取得を支援できる。
【符号の説明】
【0057】
10:脳波測定装置、21:第一電極、22:第二電極、23:第三電極、34:報知部、34a:耳装着部、40:本体、40a:保持部