(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】含フッ素化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/347 20060101AFI20230829BHJP
C07C 69/24 20060101ALI20230829BHJP
C07C 69/675 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C07C67/347
C07C69/24
C07C69/675
(21)【出願番号】P 2019192562
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2019019008
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 中山 萌黄,重永 皐月,矢島 知子,エオシンYを触媒とする電子不足オレフィンへの可視光ペルフルオロアルキル化(P-29),第41回フッ素化学討論会要旨集,日本フッ素化学会,発行日:2018年10月25日,第125~126頁
(73)【特許権者】
【識別番号】305013910
【氏名又は名称】国立大学法人お茶の水女子大学
(73)【特許権者】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182073
【氏名又は名称】萩 規男
(72)【発明者】
【氏名】矢島 知子
(72)【発明者】
【氏名】中山 萌黄
(72)【発明者】
【氏名】香川 巧
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-162508(JP,A)
【文献】特開2017-052734(JP,A)
【文献】矢島 知子,有機分子触媒を用いた光ペルフルオロアルキル化反応の開発,月刊 ファインケミカル,2017年,Vol. 46,No. 3,pp. 35-41
【文献】YAJIMA, T. et al.,Metal-Free Visible-Light Radical Iodoperfluoroalkylation of Terminal Alkenes and Alkynes,European Journal of Organic Chemistry,2017年02月28日,Vol. 2017, No. 15,pp. 2126-2129,DOI: 10.1002/ejoc.201700077
【文献】QIU, Z. et al.,Reaction of Perfluoroalkyl Iodides with Electron-Deficient Olefins under UV Irradiation,The Journal of Organic Chemistry,1995年,Vol. 60,No. 11,pp. 3465-3472,DOI: 10.1021/jo00116a038
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/00
C07C 69/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基、R
2はメチル基又はエチル基を示す)
で表わされるアクリル酸エステル誘導体を、光増感剤としてのエオシンY(Eosin Y)、エリスロシンB(Erythrosine B)、ローズ・ベンガル(Rose Bengal)、フロキシンB(Phloxine B)もしくはこれらのいずれかのナトリウム塩及び、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´-
テトラメチルエチレンジアミンもしくはN,N,N´,N´-テトラエチルエチレンジアミンの存在下、溶媒中、光照射して、下記一般式(2)
R
3-X (2)
(式(2)中、R
3は、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、炭素数3~8の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基又はエトキシカルボニルジフルオロメチル基を示し、Xは臭素原子又はヨウ素原子を示す)
で表わされる含フッ素有機ハロゲン化合物を反応させることを特徴とする、
下記一般式(3)
【化2】
(式(3)中、Yは水素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は水酸基を示し、R
1、R
2及びR
3は前記式(1)および(2)と同じ)
で表わされる含フッ素化合物の製造方法。
【請求項2】
下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基、R
2はメチル基又はエチル基を示す)
で表わされるアクリル酸エステル誘導体を、酸素、光増感剤としてのエオシンY(Eosin Y)、エリスロシンB(Erythrosine B)、ローズ・ベンガル(Rose Bengal)、フロキシンB(Phloxine B)もしくはこれらのいずれかのナトリウム塩及び、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´-
テトラメチルエチレンジアミンもしくはN,N,N´,N´-テトラエチルエチレンジアミンの存在下、溶媒中、光照射して、下記一般式(2)
R
3-X (2)
(式(2)中、R
3は、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、炭素数3~8の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基又はエトキシカルボニルジフルオロメチル基を示し、Xは臭素原子又はヨウ素原子を示す)
で表わされる含フッ素有機ハロゲン化合物を反応させることを特徴とする、
下記一般式(3)
【化2】
(式(3)中、Yは水酸基を示し、R
1、R
2及びR
3は前記式(1)および(2)と同じ)
で表わされる含フッ素化合物の製造方法。
【請求項3】
光増感剤がエオシンY又はそのナトリウム塩であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素化合物の製造方法。
【請求項4】
光照射条件が、太陽光又は発光ダイオードによることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の含フッ素化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクリル酸エステル誘導体等の電子不足オレフィン類にパーフルオロアルキルハライドをラジカル反応で付加させ、含フッ素化合物を製造する方法に関する。本発明の含フッ素化合物は、電子材料や医・農薬の製造中間体として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来より、アクリル酸エステル誘導体にパーフルオロアルキルヨージドを、高圧水銀灯を用いた光反応により付加させα-ヨウド-β-パーフルオロアルキル付加体を得る方法が知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。
【0003】
また、光増感剤を触媒として用い、可視光照射下、パーフルオロアルキルヨージド又はパーフルオロアルキルブロミドをオレフィン類へ付加させる方法が知られている(特許文献1~3、非特許文献5参照)。
【0004】
さらに、過剰のアミン類を用い、可視光照射下、パーフルオロアルキルヨージドをオレフィン類へ付加させる方法が知られている(非特許文献6参照)。
【0005】
加えて、ラジカル開始剤を用い、加熱下、オレフィン類にパーフルオロヨージドをラジカル付加させる方法が知られている。
【0006】
従来の非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4に記載の方法は、高圧水銀灯を光源として用いているが、反応効率が悪く、高出力の光源で長時間反応させることが必要であり、さらに必要に応じて加熱条件下、反応を実施する必要がある等の課題があった。
【0007】
一方、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献5及び非特許文献6に記載の方法は、電子供与基で置換されたオレフィン類へのパーフルオロアルキルハライドへの付加反応で、メタクリル酸エステル誘導体等の電子不足オレフィン類へのパーフルオロアルキルハライドの付加反応は提案されていない。
【0008】
加えて、周知のラジカル開始剤を用いる方法は、加熱条件下の反応のため、用いる基質又は生成物が、熱的に分解する場合や、生成物がさらにラジカル付加するテロメリゼーション等の副反応を発生する場合がある等の課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許公開2017-052734号公報。
【文献】特許公開2017-128525号公報。
【文献】特許公開2018-043940号公報。
【非特許文献】
【0010】
【文献】第31回フッ素化学討論会要旨集 P-17(2007)。
【文献】T.Yajima,et.al.,Org.Lett.2007,9,2513-2515。
【文献】T.Tonoi,et.al.,Eur.J.Org.Chem.2008,1331-1335。
【文献】T.Yajima,et.al.,Tetrahedron,68,2012,6856-6861。
【文献】T.Yajima,et.al.,Eur.J.Org.Chem.2017,2126-2129。
【文献】Y.Wang,et.al.,Org.Lett.2017,19,1442-1445。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らはこれら従来技術を鑑み、アクリル酸エステル誘導体等の電子不足オレフィン類に対するパーフルオロアルキルラジカル類の付加反応について、より工業的に実施可能な方法を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明者らは、光増感剤存在下、光源として発光ダーオードを用いた可視光照射下での光ラジカルによるアクリル酸エステル誘導体等の電子不足オレフィン類へのパーフルオロアルキルラジカル類の付加反応について鋭意検討した結果、反応系にアミン類を添加することにより、パーフルオロアルキル付加物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基、R
2はメチル基又はエチル基を示す)
で表わされるアクリル酸エステル誘導体を、光増感剤及びアミン類存在下、溶媒中、光照射して、下記一般式(2)
R
3-X (2)
(式(2)中、R
3は、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、炭素数3~8の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基又はエトキシカルボニルジフルオロメチル基を示し、Xは臭素原子又はヨウ素原子を示す)
で表わされる含フッ素有機ハロゲン化合物を反応させることを特徴とする、
下記一般式(3)
【化2】
(式(3)中、Yは水素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は水酸基を示し、R
1、R
2及びR
2は前記式(1)及び(2)と同じ)
で表わされる含フッ素化合物の製造方法を提供する。
【0014】
また本発明は、下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基、R
2はメチル基又はエチル基を示す)
で表わされるアクリル酸エステル誘導体を、酸素、光増感剤及びアミン類存在下、溶媒中、光照射して、下記一般式(2)
R
3-X (2)
(式(2)中、R
3は、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、炭素数3~8の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基又はエトキシカルボニルジフルオロメチル基を示し、Xは臭素原子又はヨウ素原子を示す)
で表わされる含フッ素有機ハロゲン化合物を反応させることを特徴とする、
下記一般式(3)
【化2】
(式(3)中、Yは水酸基を示し、R
1、R
2及びR
3は前記式(1)および(2)と同じ)
で表わされる含フッ素化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、アクリル酸エステル誘導体等の電子不足オレフィン類へパーフルオロアルキルラジカルが付加した含フッ素化合物の工業的製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の一般式(1)で表わされるアクリル酸エステル誘導体としては、具体的には例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
【0018】
本発明の一般式(2)で表わされる含フッ素有機ハロゲン化物で、Xが臭素原子であるものとしては、具体的には例えば、ブロモトリフルオロメタン、ブロモペンタフルオロエタン、1-ブロモヘプタフルオロプロパン、2-ブロモヘプタフルオロプロパン、1-ブロモノナフルオロブタン、2-ブロモノナフルオロブタン、1-ブロモウンデカフルオロペンタン、2-ブロモウンデカフルオロペンタン、ブロモノナフルオロシクロペンタン、1-ブロモトリデカフルオロヘキサン、ブロモウンデカフルオロシクロヘキサン、1-ブロモペンタデカフルオロヘプタン、1-ブロモヘプタデカフルオロオクタン、ブロモジフルオロ酢酸メチル、ブロモジフルオロ酢酸エチル等が挙げられる。
【0019】
本発明の一般式(2)で表わされる含フッ素有機ハロゲン化物で、Xがヨウ素原子であるものとしては、具体的には例えば、ヨードトリフルオロメタン、ヨードペンタフルオロエタン、1-ヨードヘプタフルオロプロパン、2-ヨードヘプタフルオロプロパン、1-ヨードノナフルオロブタン、2-ヨードノナフルオロブタン、1-ヨードウンデカフルオロペンタン、2-ヨードウンデカフルオロペンタン、ヨードノナフルオロシクロペンタン、1-ヨードトリデカフルオロヘキサン、ヨードウンデカフルオロシクロヘキサン、1-ヨードペンタデカフルオロヘプタン、1-ヨードヘプタデカフルオロオクタン、ヨードジフルオロ酢酸エチル、ヨードジフルオロ酢酸エチル等が挙げられる。
【0020】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がメチル基、Yが水素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロブタン酸メチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキサン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキサン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロオクタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロヘプタン酸メチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)プロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン酸メチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)プロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロデカン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロウンデカン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸メチル等が挙げられる。
【0021】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がエチル基、Yが水素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロブタン酸エチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキサン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキサン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロオクタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロヘプタン酸エチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)プロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン酸エチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)プロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロデカン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロウンデカン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸エチル等が挙げられる。
【0022】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1及びR2がメチル基、Yが水素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-メチルブタン酸メチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-メチルペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-メチルヘキサン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-メチルペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-メチルヘプタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-メチルヘキサン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-メチルオクタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-メチルヘプタン酸メチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-メチルプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸メチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-メチルプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-メチルデカン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-メチルウンデカン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸メチル等が挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1がメチル基、R2がエチル基、Yが水素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-メチルブタン酸エチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-メチルペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-メチルヘキサン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-メチルペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-メチルヘプタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-メチルヘキサン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-メチルオクタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-メチルヘプタン酸エチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-メチルプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-メチルプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-メチルデカン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-メチルウンデカン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸エチル等が挙げられる。
【0024】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がメチル基、Yが臭素原子である化合物としては、具体的には例えば、2-ブロモ-4,4,4-トリフルオロブタン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキサン酸メチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタン酸メチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキサン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロオクタン酸メチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロヘプタン酸メチル、2-ブロモ-3-(ノナフルオロシクロペンチル)プロピオン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン酸メチル、2-ブロモ-3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)プロピオン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロデカン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロウンデカン酸メチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸メチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸メチル等が挙げられる。
【0025】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がエチル基、Yが臭素原子である化合物としては、具体的には例えば、2-ブロモ-4,4,4-トリフルオロブタン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキサン酸エチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロヘプタン酸エチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキサン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロオクタン酸エチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロヘプタン酸エチル、2-ブロモ-3-(ノナフルオロシクロペンチル)プロピオン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン酸エチル、2-ブロモ-3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)プロピオン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロデカン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロウンデカン酸エチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸エチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)ブタン酸エチル等が挙げられる。
【0026】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1及びR2がメチル基、Yが臭素原子である化合物としては、具体的には例えば、2-ブロモ-4,4,4-トリフルオロ-2-メチルブタン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-メチルペンタン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-メチルヘキサン酸メチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-メチルペンタン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-メチルヘプタン酸メチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-メチルヘキサン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-メチルオクタン酸メチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-メチルヘプタン酸メチル、2-ブロモ-3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸メチル、2-ブロモ-3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-メチルデカン酸メチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-メチルウンデカン酸メチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸メチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸メチル等が挙げられる。
【0027】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1がメチル基、R2がエチル基、Yが臭素原子である化合物としては、具体的には例えば、2-ブロモ-4,4,4-トリフルオロ-2-メチルブタン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-メチルペンタン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-メチルヘキサン酸エチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-メチルペンタン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-メチルヘプタン酸エチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-メチルヘキサン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-メチルオクタン酸エチル、2-ブロモ-4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-メチルヘプタン酸エチル、2-ブロモ-3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-メチルプロピオン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル、2-ブロモ-3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-メチルプロピオン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-メチルデカン酸エチル、2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-メチルウンデカン酸エチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸エチル、2-ブロモ-4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-メチルブタン酸エチル等が挙げられる。
【0028】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がメチル基、Yがヨウ素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヨードブタン酸メチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヨードペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヨードヘキサン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヨードペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヨードヘプタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヨードヘキサン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヨードオクタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヨードヘプタン酸メチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヨードプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨードノナン酸メチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヨードプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヨードデカン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヨードウンデカン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨードブタン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨードブタン酸メチル等が挙げられる。
【0029】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がエチル基、Yがヨウ素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヨードブタン酸エチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヨードペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヨードヘキサン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヨードペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヨードヘプタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヨードヘキサン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヨードオクタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヨードヘプタン酸エチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヨードプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨードノナン酸エチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヨードプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヨードデカン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヨードウンデカン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨードブタン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨードブタン酸エチル等が挙げられる。
【0030】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1及びR2がメチル基、Yがヨウ素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヨード-2-メチルブタン酸メチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヨード-2-メチルペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘキサン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヨード-2-メチルペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘプタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘキサン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルオクタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘプタン酸メチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヨード-2-メチルプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸メチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヨード-2-メチルプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルデカン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルウンデカン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨード-2-メチルブタン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨード-2-メチルブタン酸メチル等が挙げられる。
【0031】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1がメチル基、R2がエチル基、Yがヨウ素原子である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヨード-2-メチルブタン酸エチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヨード-2-メチルペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘキサン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヨード-2-メチルペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘプタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘキサン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルオクタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヨード-2-メチルヘプタン酸エチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヨード-2-メチルプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヨード-2-メチルプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルデカン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルウンデカン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨード-2-メチルブタン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヨード-2-メチルブタン酸エチル等が挙げられる。
【0032】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がメチル基、Yが水酸基である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヒドロキシブタン酸メチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシヘキサン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヒドロキシペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヒドロキシヘプタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシヘキサン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヒドロキシオクタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシヘプタン酸メチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシノナン酸メチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヒドロキシデカン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヒドロキシウンデカン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシブタン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシブタン酸メチル等が挙げられる。
【0033】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1が水素原子、R2がエチル基、Yが水酸基である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヒドロキシブタン酸エチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシヘキサン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヒドロキシペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヒドロキシヘプタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシヘキサン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヒドロキシオクタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシヘプタン酸エチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシノナン酸エチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヒドロキシデカン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヒドロキシウンデカン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシブタン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシブタン酸エチル等が挙げられる。
【0034】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1及びR2がメチル基、Yが水酸基である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘキサン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘプタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘキサン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルオクタン酸メチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘプタン酸メチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸メチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルデカン酸メチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルウンデカン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル等が挙げられる。
【0035】
本発明の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物でR1がメチル基、R2がエチル基、Yが水酸基である化合物としては、具体的には例えば、4,4,4-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸エチル、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘキサン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,5-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘプタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘキサン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルオクタン酸エチル、4-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)-5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルヘプタン酸エチル、3-(ノナフルオロシクロペンチル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル、3-(ウンデカフルオロシクロヘキシル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルデカン酸エチル、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルウンデカン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸エチル、4,4-ジフルオロ-4-(メトキシカルボニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸エチル等が挙げられる。
【0036】
上記の通り、本発明は、上記一般式(1)で表わされるアクリル酸エステル誘導体を、光増感剤及びアミン類存在下、溶媒中、光照射して、上記一般式(2)で表わされる含フッ素有機ハロゲン化合物を反応させて、上記一般式(3)で表わされる含フッ素化合物の製造方法に係る。
【0037】
ここで、本発明に係る反応をアルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下で反応させる場合、上記一般式(3)中のYが水素原子又はハロゲン原子で表される含フッ素化合物(生成物)が得られる。なお、本発明に係る反応をアルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下で実施する場合、例えば真空ポンプのような減圧装置を用いて減圧し、アルゴン、窒素等の不活性ガスへの置換を複数回、例えば5回以上、好ましくは10回実施した後に、反応を実施するとよい。
【0038】
本発明に係る反応を酸素存在下で反応させる場合、上記一般式(3)中のYが水酸基で表される含フッ素化合物(生成物)が得られる。
【0039】
本発明を酸素存在下で実施する場合の酸素量は、反応に具する上記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル誘導体に対して、0.01当量~15.0当量の範囲とすることが好ましい。この範囲を0.01当量以下、又は15.0当量を越える使用では、上記一般式(3)中のYが水酸基で表される含フッ素化合物(生成物)の収率が低下することがある。
【0040】
本発明の一般式(2)で表わされる含フッ素有機ハロゲン化合物の使用量としては、反応に具する一般式(1)で表わされるアクリル酸エステル誘導体に対して、理論的には等モル量の使用で反応が実施可能であるが、反応成績を安定させるため、1.1モル量~5.0モル量の使用が好ましい。
【0041】
本発明に適用可能な光増感剤としては、下記式(4)
【化3】
に示すエオシンY(Eosin Y)、エリスロシンB(Erythrosine B)、ローズ・ベンガル(Rose Bengal)、フロキシンB(Phloxine B)等の、350~600nmの最大吸収波長を有する化合物及びそのナトリウム塩が挙げられ、反応に具するアクリル酸エステル誘導体に対して、0.01モル量~0.50モル量使用するとよい。
【0042】
本発明に適用可能なアミン類としては、具体的には例えば、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N´,N´-テトラエチルエチレンジアミン等が挙げられ、反応に具するアクリル酸エステル誘導体に対して、0.5モル量~5.0モル量使用する。
【0043】
本発明に適用可能な光源としては、通常の外光(太陽光)、市販の化学実験用の発光ダイオード(LED)を用いることが可能である。LEDの種類としては、青色LED、白色LED及び赤色LEDの3種が購入、取得できるが、本発明にはどのLEDでも適用可能である。
【0044】
本発明に適用可能な有機溶剤は、反応に不活性なものであれば特に制約はないが、具体的には例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、各々単独又は混合して使用するか、必要に応じて各々単独又は混合したものに水を添加し使用する。
【0045】
本発明において水を添加する場合は、反応に具するアクリル酸エステル誘導体に対して10重量倍量~100重量倍量の使用が可能である。
【0046】
本発明の有機溶剤又は有機溶剤と水の混合物の使用量は、反応に具するアクリル酸エステル誘導体に対して20重量倍量~1,000重量倍量使用する。
【0047】
本発明において、有機溶剤のみを溶剤として使用する場合は、Yは該当するハロゲン原子の目的物を与え、有機溶剤と水の混合溶剤を溶剤として使用する場合は、Yは水素原子の目的物を与える。
【0048】
本発明の反応温度及び時間は、通常5~50℃の温度範囲で、10~48時間の範囲である。
【0049】
本発明の反応後の後処理としては、周知の方法であれば特に規定はないが、例えば、エーテル等の溶剤で抽出、硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、濃縮し粗製物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製し、目的物の一般式(3)で表わされる含フッ素化合物を得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
なお分析に当たっては下記機器を使用した。
1H-NMR,19F-NMR,13C-NMR:日本電子(株)製GSX-400スペクトロメーター(JEOL GSX-400 spectrometer)。
HRMS:Thermo Scientific社製Exactive(LC-MS、LCを通さずに測定)。
【0052】
また、実施例1~実施例10は、真空ポンプを用い窒素置換を10回実施した後に、反応を実施した。
【0053】
実施例1 2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(5)の調製
【化4】
【0054】
式(5)中、「nC6F13」は、直鎖C6F13のペルフルオロアルキル基を示し、以下も同じである。
【0055】
撹拌子を備えた50mLナス型二口フラスコを窒素置換した後、メタクリル酸エチル(45.7mg,0.40mmol)、エオシンY(13.8mg,0.02mmol,0.05equiv.)、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン(TEEDA,137.9mg,0.80mmol,2.0eqiov.)、1-ブロモトリデカフルオロヘキサン(196.3mg,0.80mmol,2.0equiv.)及びアセトニトリル(10mL)を仕込み、室温下、撹拌しながら12W白色LEDによる光照射を17時間行った。
【0056】
反応終了後、エバポレーターで減圧濃縮し、粗製物を得た後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1 vol/vol)で精製を行い、目的物の2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(5)(82.1mg,0.16mmol)を得た(収率40%)。黄色液体であった。
【0057】
【0058】
これを分析すると、以下の結果であった。
1H-NMR(400MHz,CDCl3) δ4.29(2H,d,J=27.0Hz),2.74(1H,d,J=49.0Hz),2.51(1H,d,J=53.1Hz),1.51(3H,s),1.31(3H,t,J=7.1Hz)。
19F-NMR(376MHz,CDCl3)δ-81.28(3F,s),-112.49(1F,dd,J=612.6,271.7Hz),-122.24(2F,s),-123.38(2F,s),-124.52(2F,s),-126.64(2F,s)。
【0059】
なお、2-位の臭素原子が水素原子となった4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)(13.9mg,0.03mmol)が生成していた(収率8%)。
【化5】
【0060】
これを分析すると、以下の結果であった。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ1.25-1.29(3H,t,J=7.8Hz),1.31-1.32(3H,d,J=6.8Hz),2.01-2.16(2H,m),2.16-2.79(1H,m),2.85-2.93(1H,m),4.15-4.20(2H,q,J=7.2Hz)。
19F-NMR(376MHz,CDCl3)δ-81.31(3F,s),-113.49(2F,dd,J=277.6,606.8Hz),-122.34(2F,s),-123.38(2F,s),-124.21(2F,s),-126.64(2F,s)。
13C-NMR(151MHz,CDCl3)δ14.01,18.33,32.73,33.74-34.02(t,J=21.1Hz),61.04,174.65。
【0061】
実施例2 2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(5)の調製
実施例1と同じ反応装置を用い、エオシンY(13.8mg,0.02mmol,0.05equiv.)をエオシンY(2.8mg,0.004mmol,0.01equiv.)に替えた以外、実施例1と同じ操作を行い、目的物の2-ブロモ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(5)を収率37%、2-位の臭素原子が水素原子に置換した4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)を収率19%で得た。
【0062】
実施例3 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)の調製
【化5】
【0063】
撹拌子を備えた50mLナス型二口フラスコを窒素置換した後、メタクリル酸エチル(45.7mg,0.40mmol)、エオシンY-2ナトリウム塩(29.6mg,0.04mmol,0.10equiv.)、ジイソプロピルエチルアミン(103.4mg,0.80mmol,2.0equiv.)、1-ブロモトリデカフルオロヘキサン(294.5mg,1.20mmol,3.0equiv.)及びテトラヒドロフラン-アセトニトリル-水混合溶剤(テトラヒドロフラン/アセトニトリル/水=2.5/2.5/1.0 vol/vol/vol,10mL)を仕込み、室温下、撹拌しながら12W白色LEDによる光照射を1時間行った。
【0064】
反応終了後、エバポレーターで減圧濃縮し、粗製物を得た後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1 vol/vol)で精製を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)(125.9mg,0.29mmol)を得た(収率73%)。
【0065】
実施例4 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)の調製
実施例3と同じ反応装置を用い、反応時間を1時間より17時間に替えた以外、実施例3と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)を収率62%で得た。
【0066】
実施例5 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)の調製
実施例3と同じ反応装置を用い、ジイソプロピルエチルアミン(103.4mg,0.80mmol,2.0equiv.)に替えてトリエチルアミン(81.0mg,0.80mmol,2.0equiv.)に替え、反応時間を17時間とした以外、実施例3と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)を収率54%で得た。
【0067】
実施例6 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)の調製
実施例3と同じ反応装置を用い、ジイソプロピルエチルアミン(103.4mg,0.80mmol,2.0equiv.)に替えてN,N,N‘N’-テトラメチルエチレンジアミン(93.0mg,0.80mmol,2.0equiv.)に替え、反応時間を17時間とした以外、実施例3と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-メチルノナン酸エチル(6)を収率28%で得た。
【0068】
実施例7 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)の調製
【化6】
【0069】
撹拌子を備えた50mLナス型二口フラスコを窒素置換した後、メタクリル酸エチル(45.7mg,0.40mmol)、エオシンY(6.9mg,0.004mmol,0.01equiv.)、ジイソプロピルエチルアミン(51.7mg,0.40mmol,1.0equiv.)、1-ヨードトリデカフルオロヘキサン(356.8mg,0.80mmol,2.0equiv.)及びアセトニトリル(10mL)を仕込み、室温下、撹拌しながら12W白色LEDによる光照射を17時間行った。
【0070】
反応終了後、エバポレーターで減圧濃縮し、粗製物を得た後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1 vol/vol)で精製を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)(87.4mg,0.156mmol)を得た(収率39%)。黄色液体であった。
【0071】
これを分析すると、以下の結果であった。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ4.39-4.21(2H,m),2.80-2.67(1H,m),2.57-2.44(1H,m),1.27(3H,s),0.90-0.87(3H,m)。
19F-NMR(376MHz,CDCl3)δ-81.31(3F),-109.98--115.02(2F,dd,J=1462.3Hz,271.7Hz),-121.25(2F),-123.38(2F),-124.52(2F),-126.67(2F)。
13C-NMR(126MHz,CDCl3)δ175.1,71.3,62.7,39.4(t,J=19.8Hz),27.9,13.9。
【0072】
実施例8 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)の調製
実施例7と同じ反応装置を用い、ジイソプロピルエチルアミン(51.7mg,0.40mmol,1.0equiv.)に替えてトリエチルアミン(40.8mg,0.40mmol,1.0equiv.)に替えた以外、実施例7と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)を収率14%で得た。
【0073】
実施例9 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)の調製
実施例7と同じ反応装置を用い、ジイソプロピルエチルアミン(51.7mg,0.40mmol,1.0equiv.)に替えてN,N,N´,N´-テトラメチルエチレンジアミン(46.5mg,0.40mmol,1.0equiv.)に替えた以外、実施例7と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)を収率9%で得た。
【0074】
実施例10 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)の調製
実施例7と同じ反応装置を用い、ジイソプロピルエチルアミン(51.7mg,0.40mmol,1.0equiv.)に替えてN,N,N´,N´-テトラエチルエチレンジアミン(68.9mg,0.40mmol,1.0equiv.)に替えた以外、実施例7と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヨード-2-メチルノナン酸エチル(7)を収率10%で得た。
【0075】
実施例11 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル(8)の調製
【化7】
実施例1と同じ反応装置を用い、真空ポンプで6.9kPaへ減圧した後、窒素で常圧に戻す操作を1回行った。この操作により系内に残存する酸素は、計算上、0.58mL(0.024mmol、20℃)であった。
【0076】
次いでこれに、メタクリル酸エチル(22.9mg,0.20mmol)、エオシンY(3.5mg,0.002mmol,0.01equiv.)、ジイソプロピルエチルアミン(25.9mg,0.20mmol,1.0equiv.)、1-ヨードトリデカフルオロヘキサン(178.4mg,0.40mmol,2.0equiv.)及びアセトニトリル(5mL)を仕込み、室温下、撹拌しながら12W白色LEDによる光照射を17時間行った。
【0077】
反応終了後、エバポレーターで減圧濃縮し、粗製物を得た後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1 vol/vol)で精製を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル(8)(43.7mg,0.097mmol)を得た(収率49%)。黄色液体であった。
【0078】
これを分析すると、以下の結果であった。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ4.39-4.21(2H,m),2.80-2.67(1H,m),2.57-2.44(1H,m),1.27(3H,s),0.90-0.87(3H,m)。
19F-NMR(376MHz,CDCl3)δ-81.31(3F),-109.98--115.02(2F,dd,J=1462.3Hz,271.7Hz),-121.25(2F),-123.38(2F),-124.52(2F),-126.67(2F)。
HRMSの測定では、エチルメタクリレート及びH+付加体として検出され、計算値が451.057884であるのに対して、測定値は451.0580であった。
【0079】
実施例12 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル(8)の調製
実施例11と同じ反応装置を用い、窒素置換せずに反応を実施した以外は、実施例11と同じ操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル(8)(7.13mg、0.016mmol)を得た(収率8%)。
【0080】
実施例13 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル(8)の調製
実施例11と同じ反応装置を用い、1-ヨードトリデカフルオロヘキサン(178.4mg,0.40mmol,2.0equiv.)に替えて1-ブロモトリデカフルオロヘキサン(98.2mg,0.40mmol,2.0equiv.)を用いた以外、実施例11と同じ反応操作を行い、目的物の4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルノナン酸エチル(8)(41.1mg,0.091mmol)を得た(収率46%)。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明により、簡便にパーフルオロアルキルラジカル類を反応種として用いたアクリル酸エステル誘導体等の電子不足オレフィンへパーフルオロアルキル基が付加した含フッ素化合物の製造が可能となった。本発明の方法で得られる含フッ素化合物は各種、医農薬、電子材料の合成原料として利用可能である。