(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】オリゴマー粒子試薬およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/195 20060101AFI20230829BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230829BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
C07K14/195 ZNA
C12N5/0783
C12N15/31
(21)【出願番号】P 2019558427
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 IB2018000507
(87)【国際公開番号】W WO2018197949
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-26
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514214106
【氏名又は名称】ジュノ セラピューティクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シュミット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ステムバーガー クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】コースキ トム
(72)【発明者】
【氏名】プレンティス ケン
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/166568(WO,A1)
【文献】特表2015-512621(JP,A)
【文献】国際公開第2015/164675(WO,A1)
【文献】特表2015-535006(JP,A)
【文献】国際公開第2015/158868(WO,A2)
【文献】LOTHAR GERMEROTH,IBA T-CATCH Cell isolation in pipette tips, [retrieved on 2022-02-25],Retrieved from the Internet: <URL: http://businessdocbox.com/Biotech_and_Biomedical/81283978-Corporate-tutorial-iba-t-catch-cell-isolation-in-pipette-tips-isct-paris-lothar-germeroth.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/195
C12N 5/0783
C12N 15/31
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多量体化オリゴマー粒子試薬を含む組成物であって、それぞれの多量体化オリゴマー粒子試薬が、可溶性形態であり、かつ、1つまたは複数の結合物質と、ストレプトアビジン分子またはストレプトアビジンムテイン分子のポリマーと、を含み、
該1つまたは複数の結合物質が、それぞれ、該ストレプトアビジン分子またはストレプトアビジンムテイン分子のポリマーの1つまたは複数の結合部位に結合した結合パートナーを含み、かつ、
該1つまたは複数の結合物質のうちの少なくとも1つが、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合する受容体結合物質であり、該受容体結合物質が刺激物質であり、かつ、該受容体結合物質の受容体への結合が標的細胞においてシグナルを誘導し、
それにより、該複数の多量体化オリゴマー粒子試薬が、複数のストレプトアビジン分子またはストレプトアビジンムテイン分子のポリマーと、複数の
該1つまたは複数の結合物質と、を含み、該複数のポリマーが、両端の値を含めて、50 nm~150 nmの平均半径を含む、組成物。
【請求項2】
それぞれのストレプトアビジンムテイン分子が、ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
それぞれのストレプトアビジンムテイン分子が、ストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ストレプトアビジン結合ペプチドが、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:8に示されるアミノ酸の配列を含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
それぞれのストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として44~47位に対応する配列位置に、アミノ酸配列Val
44-Thr
45-Ala
46-Arg
47またはIle
44-Gly
45-Ala
46-Arg
47を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
それぞれのストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:3~6、27、28、および60のいずれかに示されるアミノ酸の配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
それぞれのストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸の配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
それぞれの結合パートナーが、1つまたは複数の結合部位に可逆的に結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
それぞれの結合パートナーが、ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
それぞれの結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
それぞれのストレプトアビジン結合ペプチドが、SEQ ID NO:7、8、および15~19のいずれかに示されるアミノ酸の配列を含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
それぞれのストレプトアビジン結合ペプチドが、
SAWSHPQFEKGGGSGGGSGGSAWSHPQFEK (SEQ ID NO: 16)
で示されるアミノ酸の配列を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
それぞれの受容体結合物質が、受容体に結合する抗体または抗体断片を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
それぞれの受容体結合物質が、受容体に結合する抗体断片を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
それぞれの抗体断片が、一価抗体断片である、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
それぞれの抗体断片が、Fabである、請求項13~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記標的細胞がT細胞である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記シグナルが一次活性化シグナルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記シグナルが、T細胞におけるTCR/CD3複合体関連シグナルである、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
それぞれの受容体結合物質が、TCR/CD3複合体のメンバーに特異的に結合する、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
それぞれの受容体結合物質が、CD3に特異的に結合する、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
それぞれの受容体結合物質が第1の受容体結合物質であり、かつそれぞれの多量体化オリゴマー粒子試薬について、前記1つまたは複数の結合物質のうちの少なくとも1つが、標的細胞の表面上に発現される第2の分子に結合する第2の受容体結合物質であり、該第2の受容体結合物質が刺激物質であり、かつ、該第2の受容体結合物質の第2の分子への結合が標的細胞において第2のシグナルを誘導する、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記第2の分子が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子、TNFファミリーもしくはTNF受容体ファミリーのメンバー、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、または接着分子である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記第2の分子が、共刺激分子である、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
前記共刺激分子が、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMである、請求項23または24に記載の組成物。
【請求項26】
それぞれの第1の受容体結合物質が、結合パートナーおよび抗CD3抗体または抗体断片を含み、それぞれの第2の受容体結合物質が、結合パートナーおよび抗CD28抗体または抗体断片を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
それぞれの第1の受容体結合物質が、結合パートナーおよび抗CD3 Fabを含み、それぞれの第2の受容体結合物質が、結合パートナーおよび抗CD28 Fabを含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
それぞれの受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子、TNFファミリーもしくはTNF受容体ファミリーのメンバー、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、または接着分子に特異的に結合する、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記複数のポリマーのリジン残基の20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が、N-置換イミノチオランを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記複数のポリマーのそれぞれのストレプトアビジン分子またはストレプトアビジンムテイン分子が、ヘテロ二官能性架橋剤により架橋されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記複数のポリマーの少なくとも95%が、50~150 nm、70 nm~140 nm、80 nm~120 nm、80 nm~115 nm、または80 nm~100 nmの半径を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、75 nm~125 nmの平均半径を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、80 nm~110 nmの平均半径を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、90 nm~110 nmの平均半径を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記複数のポリマーの少なくとも95%が、該複数のポリマーの平均半径の±50%、±25%、±20%、±15%、±10%、または±5%の間の半径を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記複数のポリマーが、80 nm~115 nmの平均半径を含み、かつ該複数のポリマーの少なくとも95%が、該複数のポリマーの平均半径の±25%の間の半径を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、1,000~10,000個であるポリマー当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体の平均数を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、2,000~5,000個であるポリマー当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体の平均数を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、2,000~3,500個であるポリマー当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体の平均数を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記複数のポリマーが、両端の値を含めて、2,000~3,000個であるポリマー当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体の平均数を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記複数のポリマーのそれぞれが、ストレプトアビジンムテイン分子のポリマーである、請求項1~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
約-80℃もしくは-80℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、または約4℃もしくは4℃未満で少なくとも1週間保存した場合に、前記複数のポリマーの平均半径が、25%または10%よりも大きくは増加しない、請求項1~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか一項に記載の組成物の存在下で、標的細胞を含む細胞組成物をインキュベートし、それによって標的細胞を調節する工程を含む、細胞を調節するための方法。
【請求項44】
前記標的細胞を調節する工程が、該標的細胞の活性化を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記標的細胞を調節する工程が、該標的細胞の増大を含む、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1~42のいずれか一項に記載の組成物の存在下で、標的細胞を含む細胞組成物をインキュベートする工程を含む、細胞を培養するための方法。
【請求項47】
前記標的細胞がT細胞である、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記1つまたは複数の結合物質が、それぞれ、前記1つまたは複数の結合部位に可逆的に結合する結合パートナーを含み、かつ、
前記方法が、該1つまたは複数の結合物質と該1つまたは複数の結合部位との間の可逆的結合を破壊する工程をさらに含み、該破壊する工程が、該1つまたは複数の結合物質と該1つまたは複数の結合部位との間の結合を逆転させることができる物質の標的細胞への導入を含む、請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記物質が競合試薬である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記物質がビオチンまたはビオチン類似体を含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記物質がD-ビオチンを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「OLIGOMERIC PARTICLE REAGENTS AND METHODS OF USE THEREOF」と題する2017年4月27日に出願された米国特許仮出願第62/491,245号の優先権の恩典を主張し、その内容は全体が参照により組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に提出されている。配列表は、サイズが110,426バイトである、2018年4月26日に作成された735042008540SeqList.TXTと題するファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインのオリゴマー試薬を含むオリゴマー試薬、およびその組成物、ならびに所望のサイズのオリゴマー試薬を確実に製造するための方法を含む、オリゴマー試薬を製造するための方法を提供する。いくつかの場合には、試薬は、作用物質に対する複数の結合部位を含有するオリゴマー粒子試薬であり、したがって、1つ以上の作用物質、例えば、1つ以上の選択物質または刺激試薬は、オリゴマー粒子試薬に可逆的に結合することによって多量体化され、例えば、それによって、刺激物質または選択物質がその上に多量体化されている多量体化オリゴマー粒子試薬を作製する。本開示はまた、例えば、リンパ球の集団などの細胞の組成物の増大(増殖)の刺激、活性化、共刺激、および/または生存を誘導するために、インキュベーションまたは培養についてオリゴマー試薬を用いるための方法も提供する。いくつかの局面において、本開示は、細胞の表面上の分子に対する作用物質の結合を含み、それによって細胞に対して1つ以上のシグナルを提供する、細胞集団の、例えば、増大(増殖)、生存、もしくは存続の刺激、活性化、共刺激、または他の効果(例えば親和性選択)のための方法および試薬を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
抗原特異的T細胞を、そのようなT細胞の注入が腫瘍担持宿主において抗腫瘍反応性を有することが示されている養子細胞免疫療法もしくはがん療法における使用向けに、またはウイルス感染症を処置する使用向けに、インビトロで増大するためを含めて、インビトロでT細胞集団を刺激するために、様々な戦略が利用可能である。研究、診断、および治療の目的を含めて、インビトロで細胞集団を増大するために、改善された戦略が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
概要
複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬であって、そのサイズが、
(i) 25 nmよりも大きい半径、例えば流体力学半径、
(ii) 少なくとも5×106 g/molの分子量;および/または
(iii) オリゴマー粒子試薬当たり少なくとも100個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体
を含むオリゴマー粒子試薬が、本明細書に提供される。
【0006】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子は、ビオチン、ビオチン類似体(例えば、デスチオビオチン、イミノビオチン)に、またはストレプトアビジン結合ペプチド(例えば、Strep-tagII(WSHPQFEK、SEQ ID NO:8))に結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子は、ビオチン、ビオチン類似体に、またはストレプトアビジン結合ペプチド(例えば、Strep-tagII(WSHPQFEK、SEQ ID NO:8))に可逆的に結合するかまたは可逆的に結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、複数のストレプトアビジンムテイン分子を含み、該ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として44~47位に対応する配列位置に、アミノ酸配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47またはIle44-Gly45-Ala46-Arg47を含む。
【0007】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子は、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはムテイン、アビジン類似体もしくはムテイン、および/またはその生物学的に活性な断片に結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子は、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはムテイン、アビジン類似体もしくはムテイン、および/またはその生物学的に活性な断片に可逆的に結合するかまたは可逆的に結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、複数のストレプトアビジンムテイン分子を含み、該ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として44~47位に対応する配列位置に、アミノ酸配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47またはIle44-Gly45-Ala46-Arg47を含む。
【0008】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、(a) SEQ ID NO:3~6、27、28、60、または61のいずれかに示されるアミノ酸の配列;(b) SEQ ID NO:3~6、27、28、60、もしくは61のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal44-Thr45-Ala46-Arg47もしくはIle44-Gly45-Ala46-Arg47に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸の配列;または、および/または、SEQ ID NO:3~6、27、28、60、もしくは61のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal44-Thr45-Ala46-Arg47もしくはIle44-Gly45-Ala46-Arg47に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチンもしくはその生物学的に活性な形態、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合する、アミノ酸の配列、ビオチンもしくはその生物学的に活性な形態、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、(a)または(b)の機能的断片;または、(c) ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合する(a)または(b)の機能的断片を含む、複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、SEQ ID NO:6または61に示されるアミノ酸の配列を含む、複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として117、120、および/または121に対応する位置に、1つまたは複数のアミノ酸置換をさらに含む。
【0009】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、1つもしくは複数のアミノ酸置換は、Glu117、Asp117、Arg117、Ser120、Ala120、Gly120、Trp121、Tyr121、もしくはPhe121の中から選択され;または1つもしくは複数のアミノ酸置換は、Glu117、Gly120、もしくはTyr121のうちの1つもしくは複数から選択され;またはアミノ酸置換は、Glu117、Gly120、もしくはTyr121から選択される。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、a) SEQ ID NO:27または28に示されるアミノ酸の配列;b) SEQ ID NO:28に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal44、Thr45、Ala46、Arg47、Glu117、Gly120、およびTyr121に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチンもしくは生物学的に活性な断片、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合するアミノ酸の配列;または、c) ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合するa)またはb)の機能的断片を含む、複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む。
【0010】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、1つもしくは複数のアミノ酸置換は、Glu117、Asp117、Arg117、Ser120、Ala120、Gly120、Trp121、Tyr121、もしくはPhe121の中から選択され;または1つもしくは複数のアミノ酸置換は、Glu117、Gly120、もしくはTyr121のうちの1つもしくは複数から選択され;またはアミノ酸置換は、Glu117、Gly120、もしくはTyr121から選択される。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、(a) SEQ ID NO:27または28に示されるアミノ酸の配列;(b) SEQ ID NO:28に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal44、Thr45、Ala46、Arg47、Glu117、Gly120、およびTyr121に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸の配列;あるいは、(c) ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する(a)または(b)の機能的断片を含む、複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む。
【0011】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、結合パートナーを介して1つ以上の作用物質に結合しているかまたは結合することができ、該1つ以上の作用物質は、ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドなどの結合パートナーを含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は結合パートナーを含み、該結合パートナーは、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、結合パートナーは、ストレプトアビジン結合ペプチドまたはビオチンまたはビオチン類似体を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、結合パートナーは、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は、標的細胞の表面上に発現される分子に結合するかまたはさらに結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、抗体、任意でFabまたはnanobody(登録商標)、例えば単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。
【0012】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、1つ以上の作用物質は、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質は、標的細胞の表面上の分子に結合することができそれによって標的細胞においてシグナルを誘導または調節する刺激物質であるか、またはそれを含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質は、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し、かつ/またはCD3に特異的に結合する。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、刺激物質は第1の受容体結合物質であり、かつオリゴマー粒子試薬は第2の受容体結合物質を含み、該第2の受容体結合物質は、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合は任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる。
【0013】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、第2の受容体結合物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーもしくはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーもしくはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む。
【0014】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、共刺激またはアクセサリー分子に結合し、かつ該共刺激またはアクセサリー分子は、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMから選択される。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカイン受容体に特異的に結合し、かつ該サイトカイン受容体は、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2の中から選択される。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、ケモカイン受容体に特異的に結合し、かつ該ケモカイン受容体は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択される。
【0015】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカインまたはケモカイン産生を誘導する因子であり、かつ該因子は、サイトカインまたはケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドである。
【0016】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、該リガンドは、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2に特異的に結合し;かつ/または該リガンドは、IL-2、IL-1、IL-15、IFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、およびTNFの中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である。
【0017】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、該リガンドは、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択されるケモカイン受容体に特異的に結合し;または該リガンドは、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21、およびCCL25の中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は接着分子であり、かつ該接着分子は、CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA-1)、CD29、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA-4)、CD106(VCAM-1)の中から選択されるか、またはその生物学的に活性な断片である。
【0018】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は選択物質を含み、該選択物質は、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、標的細胞は免疫細胞である。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、標的細胞は、リンパ球または抗原提示細胞である。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、標的細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、標的細胞はT細胞である。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、選択マーカーは、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROである。
【0019】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、25 nm超、50 nm超、60 nm超、70 nm超、80 nm超、または90 nm超の半径を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて、25 nm~150 nm、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~115 nm、もしくは90 nm~110 nm、または90 nm±15 nm、もしくは95 nm±20~25 nmの半径を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、150 nm未満の半径を有する。特定の態様において、半径は流体力学半径である。
【0020】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、少なくとも1×107 g/mol、少なくとも5×107 g/mol、または少なくとも1×108 g/molの分子量を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、1×106 g/mol~1×1010 g/mol、1×107 g/mol~1×109 g/mol、5×107 g/mol~5×108 g/mol、1×108 g/mol~5×108 g/mol、または1×108 g/mol~2×108 g/molの分子量を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのいくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、少なくとも100個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または少なくとも2,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む。
【0021】
本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、100~50,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~20,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または2,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む。本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬のいずれかのある特定の態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインはリジン残基を含み、該リジン残基の20%未満、10%未満、5%未満、1%未満は、N-置換イミノチオランを含む。
【0022】
1つ以上のオリゴマー粒子試薬を含む組成物が、本明細書に提供される。本明細書に提供される組成物のいずれかのいくつかの態様において、1つ以上のオリゴマー粒子試薬は、複数のオリゴマー粒子試薬である。本明細書に提供される組成物のいずれかの特定の態様において、複数のオリゴマー粒子試薬は、(i) 70 nmよりも大きい平均半径;(ii) 少なくとも1×108 g/molの平均分子量;および/または(iii) 少なくとも2,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンもしくはストレプトアビジン四量体の平均数、および/または(iv) 複数のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が10 nm~150 nmの半径を含む半径サイズ分布を含む。ある特定の態様において、半径サイズ分布は、流体力学半径サイズ分布である。
【0023】
本明細書に提供される組成物のいずれかのある特定の態様において、複数のオリゴマー粒子試薬は、25 nm超、50 nm超、60 nm超、70 nm超、80 nm超、90 nm超、または100 nm超の平均半径を含む。本明細書に提供される組成物のいずれかのいくつかの態様において、複数のオリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて、25 nm~150 nm、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~110 nm、もしくは90 nm~110 nm、または90 nm±15 nm、もしくは95 nm±20~25 nmの平均半径を含む。本明細書に提供される組成物のいずれかの特定の態様において、複数のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、50~150 nm、70 nm~140 nm、80 nm~120 nm、80 nm~115 nm、80 nm~100 nm、90 nm~110 nm、および/または100 nm~120 nmの半径を含む。
【0024】
本明細書に提供される組成物のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、複数のオリゴマー粒子試薬の平均半径および/または半径中央値の±50%、±25%、±20%、±15%、±10%、および/または±5%の間の半径を含む。本明細書に提供される組成物のいずれかのいくつかの態様において、複数のオリゴマー粒子試薬は、80 nm~115 nmの平均半径を含み、かつオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、平均半径の±25%の間の半径を含む。本明細書に提供される組成物のいずれかの特定の態様において、複数の粒子は、両端の値を含めて、1×108 g/mol~5×108 g/mol、または1×108 g/mol~2×108 g/molの平均分子量を含む。
【0025】
本明細書に提供される組成物のいずれかのある特定の態様において、複数のオリゴマー粒子試薬は、少なくとも100個、少なくとも500個、少なくとも1,000個、少なくとも1,500個、または少なくとも2,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジン四量体の平均数を含む。本明細書に提供される組成物のいずれかのいくつかの態様において、複数のオリゴマー粒子試薬は、各々両端の値を含めて、100~50,000個、1,000~20,000個、1,000~10,000個、または2,000~5,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジン四量体の平均数を含む。
【0026】
本明細書に提供される組成物のいずれかの特定の態様において、約-80℃もしくは-80℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、および/または約4℃もしくは4℃未満で少なくとも1週間保存した場合に、複数のオリゴマー粒子の平均半径は、25%よりも大きくは増加しない。本明細書に提供される組成物のいずれかのある特定の態様において、約4℃もしくは4℃未満で少なくとも1週間保存した場合に、複数のオリゴマー粒子の平均半径は、10%よりも大きくは増加しない。本明細書に提供される組成物のいずれかのいくつかの態様において、約4℃もしくは4℃未満で少なくとも3週間保存した場合に、複数のオリゴマー粒子の平均半径は、10%よりも大きく増加しない。本明細書に提供される組成物のいずれかの特定の態様において、約4℃もしくは4℃未満で少なくとも9週間、少なくとも27週間、または少なくとも46週間保存した場合に、複数のオリゴマー粒子の平均半径は、10%よりも大きくは増加しない。特定の態様において、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、または-80℃で、概ねそれらの温度で、またはそれらの温度よりも下で少なくとも1週間、3週間、9週間、27週間、または46週間保存した場合に、複数のオリゴマー粒子の平均半径は、10%よりも大きくは増加しない。
【0027】
チオール官能基と反応することができるチオール反応性官能基を含む複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と、1つ以上のチオール官能基を含む複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とをインキュベートし、それによってオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン粒子を生成する工程;オリゴマー粒子を、単量体および/またはより小さなオリゴマー分子から分離する工程;ならびに、オリゴマー粒子を安定剤と接触させ、それによってオリゴマー粒子試薬を作製する工程を含む、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインを含むオリゴマー粒子試薬を作製するための方法が、本明細書に提供される。
【0028】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を、1つ以上のアミンをチオール反応性官能基に変換することができる活性化剤とインキュベートすることによって、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子が生成される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と、チオール官能基を1つ以上のリジン残基に付加するかまたは付加することができるチオール化剤とのインキュベーションによって、複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が生成される。
【0029】
また、(a) 1つ以上のアミンを、チオール官能基と反応することができるチオール反応基に変換するための条件下で、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を活性化剤とインキュベートし、それによって複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;(b) 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を、チオール官能基を1つ以上のリジン残基に付加するかまたは付加することができるチオール化剤とインキュベートし、それによって複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;および(c) 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子試薬を含む粒子組成物を生成する工程を含む、オリゴマー粒子試薬を作製するための方法であって、(c)におけるインキュベーションの開始時に、複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が、リジンの平均して少なくとも60%がチオール官能基を含みかつ/またはチオール化ストレプトアビジンもしくはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体当たり平均して少なくとも10個のリジンがチオール官能基を含むものであるという条件下で実施される方法も、本明細書に提供される。
【0030】
ある特定の態様は、オリゴマー粒子試薬を、単量体および/またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子から分離する工程をさらに含む。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションは、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:1~1:10で行われる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションは、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:2±2%で行われる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、活性化剤はヘテロ二官能性架橋剤を含む。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、活性化剤は、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホSMCC)および/またはスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)を含む。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、チオール反応性官能基は、ハロアセチル基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、アリール化剤、ビニルスルホン基、ピリジルジスルフィド、TNB-チオール、またはジスルフィド還元剤である。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、チオール反応性官能基はマレイミド基である。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、中性のpHでインキュベートされる。
【0031】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、6.8~7.5のpHでインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、7.0~7.4の、任意で7.2または約7.2のpHでインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、4℃~39℃の温度でインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、室温、任意で20℃~25℃、任意で約23℃または約24℃でインキュベートされる。
【0032】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、各々両端の値を含めて、15分間~6時間または30分間~2時間インキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とは、両端の値を含めて45分間~1.5時間、任意で1時間または約1時間インキュベートされる。
【0033】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションは、両端の値を含めて、チオール化試薬 対 ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子当たりの各一級アミンのモル比10:1~1:1で行われる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションは、両端の値を含めて、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 チオール化剤のモル比1:50~1:500で行われる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションは、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:100または約1:100で行われる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、チオール化剤は、2-イミノチオランであるかまたはそれを含む。
【0034】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、7.0以上、任意で、両端の値を含めて7.0~8.0のpHでインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、約7.7のpHでインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションは、8.0以上、任意で、両端の値を含めて8.0~9.0のpHを有する緩衝液の存在下で開始される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションは、8.5または約8.5のpHを有する緩衝液の存在下で開始される。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、緩衝液はホウ酸塩を含む。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、緩衝液は、各々両端の値を含めて、10 mM~200 mMのホウ酸塩または50 mM~100 mMのホウ酸塩、任意で約100 mMのホウ酸塩を含む。
【0035】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、4℃~39℃の温度でインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、室温、任意で20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃でまたは24℃もしくは約24℃でインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、15分間~2時間または15分間~1.5時間インキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、各々両端の値を含めて、15分間~2時間または25分間~1時間インキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第2の複数のストレプトアビジン分子とチオール化剤とは、1時間または約1時間インキュベートされる。
【0036】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第2の複数のストレプトアビジンムテインまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とは、25分間または約25分間インキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、インキュベーション中の複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子 対 複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子は、モル比X:1であり、Xは、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの分子当たりのチオール化されるのに利用可能なリジン残基の数である。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、モル比は、1:1~8:1または2:1~6:1、任意で4:1または約4:1である。ある特定の態様において、モル比は、1:1~1:8または1:2~1:6、任意で1:4または約1:4である。
【0037】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とは、両端の値を含めて6.8~7.5のpHでインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とは、両端の値を含めて7.0~7.4のpHでインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とは、7.2または約7.2のpHでインキュベートされる。
【0038】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とは、両端の値を含めて4℃~39℃の温度でインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とは、室温、任意で、両端の値を含めて20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃でまたは24℃もしくは約24℃でインキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とは、各々両端の値を含めて、15分間~6時間または30分間~2時間インキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とは、両端の値を含めて45分間~1.5時間、任意で1時間または約1時間インキュベートされる。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子とチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とのインキュベーションを、分子をN-エチルマレイミド(NEM)と接触させることによって終了させる。
【0039】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションの少なくとも一部分および第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションの少なくとも一部分は、同時に別々で実施される。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションおよび第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションは、実質的に同じ長さの時間にわたって実施され、かつ/または実質的に同じ時に完了する。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、方法は、チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子と活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子とをインキュベートする工程の前に、(i) 活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物から活性化剤を除去する工程;および/あるいは(ii) チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物からチオール化剤を除去する工程を含む。
【0040】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とのインキュベーションは、第2の複数のストレプトアビジン分子とチオール化剤とのインキュベーションの終了後かつ/またはチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物からのチオール化剤の除去後15分以内に開始される。
【0041】
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子をスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)と1時間または約1時間、7.2または約7.2のpHでインキュベートし、それによって、マレイミドチオール反応官能基を含む複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を2-イミノチオランと1時間または約1時間、両端の値を含めて7.5~8.5のpHでインキュベートし、それによって、1つ以上のチオール官能基を含む複数のチオール化ストレプトアビジン分子を生成する工程;および、複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を複数のチオール化ストレプトアビジン分子と1時間または約1時間、7.2または約7.2のpHでインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子試薬を含む粒子組成物を生成する工程を含む、オリゴマー粒子試薬を作製する方法であって、複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とのインキュベーションが、第2の複数のストレプトアビジン分子と2-イミノチオランとのインキュベーションの終了後10分以内に開始される方法が、本明細書に提供される。
【0042】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、方法は、オリゴマー粒子試薬を安定剤と接触させる工程をさらに含む。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、安定剤は、オリゴマー粒子試薬のリジン残基上に存在するN-置換イミノチオランの量を低減させる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、安定剤は、オリゴマー粒子試薬のリジン残基上に存在するN-置換イミノチオランの量を、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の分低減させる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、安定剤はヒドロキシルアミンを含む。
【0043】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、150 nm未満の半径を有する。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様は、オリゴマー粒子試薬をフィルター滅菌する工程をさらに含む。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、サイズ排除クロマトグラフィーによって、単量体またはより小さなオリゴマーのストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子から分離される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、サイズ排除限界は、100 kDa、500 kDa、750 kDa、1000 kDa、もしくは2000 kDaよりも大きいか、または約100 kDa、約500 kDa、約750 kDa、約1000 kDa、もしくは約2000 kDaよりも大きい。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、サイズ排除限界は、500 kDa~1000 kDaまたは約500 kDa~1000 kDaである。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、サイズ排除限界は、750 kDaであるかまたは約750 kDaである。
【0044】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様は、空隙容量を含む1つ以上の画分を収集し、それによってオリゴマー粒子試薬を単量体またはより小さなオリゴマーのストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子から分離する工程を含む。ある特定の態様において、方法は、オリゴマー粒子試薬を、約4℃もしくは4℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、または約-80℃もしくは-80℃未満の温度で保存する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、オリゴマー粒子試薬を1つ以上の作用物質と、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための条件下で混合する工程をさらに含む。
【0045】
また、本明細書に提供される方法によって作製されたオリゴマー粒子試薬を1つ以上の作用物質と、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための条件下で混合する工程を含む、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に多量体化する方法も、本明細書に提供される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は結合パートナーを含み、該結合パートナーは、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、結合パートナーは、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む。
【0046】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、結合パートナーは、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む。
【0047】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は、標的細胞の表面上に発現される分子に結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、抗体、任意でFabを含む。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、1つ以上の作用物質は、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質は、標的細胞の表面上の分子に結合することができそれによって標的細胞においてシグナルを誘導または調節する刺激物質であるか、またはそれを含む。
【0048】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質は、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、刺激物質は第1の受容体結合物質であり、方法は、オリゴマー粒子試薬に第2の受容体結合物質を可逆的に結合させる工程をさらに含み、該第2の受容体結合物質は、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合は任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる。
【0049】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の受容体結合物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーもしくはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーもしくはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む。
【0050】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、共刺激またはアクセサリー分子に結合し、かつ該共刺激またはアクセサリー分子は、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMから選択される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカイン受容体に特異的に結合し、かつ該サイトカイン受容体は、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2の中から選択される。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、ケモカイン受容体に特異的に結合し、かつ該ケモカイン受容体は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択される。
【0051】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカインまたはケモカイン産生を誘導する因子であり、かつ該因子は、サイトカインまたはケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドである。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、該リガンドは、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2に特異的に結合し;かつ/または該リガンドは、IL-2、IL-1、IL-15、IFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、およびTNFの中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である。
【0052】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、該リガンドは、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択されるケモカイン受容体に特異的に結合し;または該リガンドは、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21、およびCCL25の中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は接着分子であり、かつ該接着分子は、CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA-1)、CD29、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA-4)、CD106(VCAM-1)の中から選択されるか、またはその生物学的に活性な断片である。
【0053】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は選択物質を含み、該選択物質は、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、標的細胞は免疫細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、標的細胞は、リンパ球または抗原提示細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、標的細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、標的細胞はT細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、選択マーカーは、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROである。
【0054】
特定の態様は、本明細書に提供される態様のいずれかの方法によって作製されたオリゴマー粒子試薬を含む組成物に向けられる。特定の態様は、本明細書に提供される態様のいずれかの方法によって作製された複数のオリゴマー粒子試薬を含む組成物に向けられる。ある特定の態様は、本明細書に提供される態様のいずれかのオリゴマー粒子試薬、または本明細書に提供される態様のいずれかの組成物を含む、製造物品に向けられる。
【0055】
標的細胞を含む細胞組成物を、本明細書に提供される態様のいずれかのオリゴマー粒子試薬の存在下で、または本明細書に提供される態様のいずれかの組成物の存在下でインキュベートし、それによって標的細胞を調節する工程を含む、細胞を調節するための方法が、本明細書に提供される。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、標的細胞を調節する工程は、標的細胞の活性化、濃縮、および/または増大を含む。
【0056】
標的細胞を含む細胞組成物を、本明細書に提供される態様のいずれかのオリゴマー粒子試薬の存在下で、または本明細書に提供される態様のいずれかの組成物の存在下でインキュベートする工程を含む、細胞を培養するための方法が、本明細書に提供される。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質に可逆的に結合している。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は、標的細胞の表面上に発現される分子に結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、1つ以上の作用物質は、抗体、任意でFabを含む。
【0057】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質は、標的細胞の表面上の分子に結合することができそれによって標的細胞においてシグナルを誘導または調節する刺激物質であるか、またはそれを含む。
【0058】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質は、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、刺激物質は第1の受容体結合物質であり、方法は、オリゴマー粒子試薬に第2の受容体結合物質を可逆的に結合させる工程をさらに含み、該第2の受容体結合物質は、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合は任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる。
【0059】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、第2の受容体結合物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーもしくはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーもしくはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む。
【0060】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、共刺激またはアクセサリー分子に結合し、かつ該共刺激またはアクセサリー分子は、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMから選択される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカイン受容体に特異的に結合し、かつ該サイトカイン受容体は、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2の中から選択される。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、ケモカイン受容体に特異的に結合し、かつ該ケモカイン受容体は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択される。
【0061】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカインまたはケモカイン産生を誘導する因子であり、かつ該因子は、サイトカインまたはケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドである。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、該リガンドは、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2に特異的に結合し;かつ/または該リガンドは、IL-2、IL-1、IL-15、IFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、およびTNFの中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である。
【0062】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、該リガンドは、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択されるケモカイン受容体に特異的に結合し;または該リガンドは、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21、およびCCL25の中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である。
【0063】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、受容体結合物質(第2の受容体結合物質)は接着分子であり、かつ該接着分子は、CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA-1)、CD29、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA-4)、CD106(VCAM-1)の中から選択されるか、またはその生物学的に活性な断片である。
【0064】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、1つ以上の作用物質は選択物質を含み、該選択物質は、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、標的細胞は免疫細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、標的細胞は、リンパ球または抗原提示細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、標的細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、標的細胞はT細胞である。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、選択マーカーは、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROである。ある特定の態様において、標的細胞は、血液細胞、白血球、リンパ球、B細胞、B細胞の集団、T細胞、T細胞の集団、NK細胞、樹状細胞、および/またはマクロファージを含む。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、標的細胞は、組換え受容体を発現する。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、標的細胞は、組換えT細胞受容体および/またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。
【0065】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、標的細胞は、疾患および/またはがんに関連する抗原に結合するCARを発現する。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9、CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、癌胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Ra)、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子である。
【0066】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様は、1つ以上の作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の可逆的結合を破壊する工程をさらに含む。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、前記破壊は、1つ以上の作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の結合を逆転させることができる物質を含む組成物の標的細胞への導入を含む。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、物質は、遊離の結合パートナーであり、かつ/または競合物質である。
【0067】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、前記破壊は、標的細胞、任意でT細胞において1つ以上の作用物質によって誘導されたまたは調節されたシグナルを終わらせるかまたは小さくする。本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、物質は、ストレプトアビジン結合ペプチド、ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、任意でD-ビオチン、またはビオチン類似体(または生物学的に活性な断片)を含む。
【0068】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、物質は、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドである。本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、破壊は、前記インキュベーションの開始後5日以内に実施される。
[本発明1001]
複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬であって、該オリゴマー粒子試薬のサイズが、
(i) 50 nmよりも大きい半径、
(ii) 少なくとも5×10
6
g/molの分子量;および/または
(iii) オリゴマー粒子試薬当たり少なくとも100個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体
を含む、オリゴマー粒子試薬。
[本発明1002]
前記ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子が、ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合するかまたは可逆的に結合することができる、本発明1001のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1003]
複数のストレプトアビジンムテイン分子を含み、該ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として44~47位に対応する配列位置に、アミノ酸配列Val
44
-Thr
45
-Ala
46
-Arg
47
またはIle
44
-Gly
45
-Ala
46
-Arg
47
を含む、本発明1001~1002のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1004]
(a) SEQ ID NO:3~6、27、28、60、または61のいずれかに示されるアミノ酸の配列;
(b) SEQ ID NO:3~6、27、28、60、もしくは61のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal
44
-Thr
45
-Ala
46
-Arg
47
もしくはIle
44
-Gly
45
-Ala
46
-Arg
47
に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸の配列;あるいは
(c) ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、(a)または(b)の機能的断片
を含む複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む、 本発明1001~1003のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1005]
SEQ ID NO:6または61に示されるアミノ酸の配列を含む複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む、本発明1001~1004のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1006]
1つ以上の作用物質に結合しているかまたは結合することができる、本発明1001~1005のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1007]
前記1つ以上の作用物質が結合パートナーを含み、該結合パートナーが、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができ、任意で可逆的に結合することができる、本発明1006のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1008]
前記結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1007のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1009]
前記結合パートナーが、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1007または1008のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1010]
前記1つ以上の作用物質が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、本発明1007~1009のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1011]
前記1つ以上の作用物質が、一価抗体断片であるかまたはそれを含む、本発明1010のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1012]
前記1つ以上の作用物質が、Fabであるかまたはそれを含む、本発明1010または本発明1011のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1013]
前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である、本発明1007~1012のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1014]
前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができる刺激物質であるかまたはそれを含み、結合が標的細胞においてシグナルを誘導または調節する、本発明1007~1013のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1015]
前記標的細胞が免疫細胞である、本発明1013または本発明1014のオリゴマー粒子。
[本発明1016]
前記標的細胞がT細胞である、本発明1013~1015のいずれかのオリゴマー粒子。
[本発明1017]
前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、本発明1013~1016のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1018]
前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記オリゴマー粒子試薬が第2の受容体結合物質を含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、本発明1013~1017のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1019]
第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、本発明1018のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1020]
第2の受容体結合物質が共刺激分子に特異的に結合し、かつ該共刺激分子がCD28である、本発明1018または本発明1019のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1021]
前記1つ以上の作用物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体、任意で抗CD3 Fabおよび抗CD28 Fabである、本発明1007~1020のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1022]
前記受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、本発明1013~1016のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1023]
前記1つ以上の作用物質が選択物質を含み、該選択物質が、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる、本発明1007~1022のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1024]
前記標的細胞が免疫細胞、任意でT細胞である、本発明1023のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1025]
前記選択マーカーが、CCR7、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD27、CD45RA、CD45RO、CD62L、および/またはCD127である、本発明1023または本発明1024のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1026]
60 nm超、70 nm超、80 nm超、または90 nm超の半径を含む、本発明1001~1025のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1027]
両端の値を含めて、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~115 nm、もしくは90 nm~110 nmの半径;または
90 nm±15 nm、もしくは95 nm±20~25 nmの半径
を含む、本発明1001~1026のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1028]
前記半径が流体力学半径である、本発明1026または本発明1027のオリゴマー粒子試薬。
[本発明1029]
少なくとも5×10
7
g/mol、もしくは少なくとも1×10
8
g/mol;および/または
5×10
7
g/mol~5×10
8
g/mol、1×10
8
g/mol~5×10
8
g/mol、もしくは1×10
8
g/mol~2×10
8
g/mol
の分子量を含む、本発明1001~1028のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1030]
少なくとも500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または少なくとも2,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体;および/あるいは;
1,000~20,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または2,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体
を含む、本発明1001~1029のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1031]
前記複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインがリジン残基を含み、該リジン残基の20%未満、10%未満、5%未満、1%未満が、N-置換イミノチオランを含む、本発明1001~1030のいずれかのオリゴマー粒子試薬。
[本発明1032]
本発明1001~1031のいずれかの複数のオリゴマー粒子試薬を含む、組成物。
[本発明1033]
前記複数のオリゴマー粒子試薬が、
(i) 70 nmよりも大きい平均直径;
(ii) 少なくとも1×10
8
g/molの平均分子量;および/または
(iii) 少なくとも2,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンもしくはストレプトアビジン四量体の平均数、および/または
(iv) 複数のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が10 nm~150 nmの半径を含む、半径サイズ分布
を含む、本発明1032の組成物。
[本発明1034]
前記複数のオリゴマー粒子試薬が、50 nm超、60 nm超、70 nm超、80 nm超、90 nm超、または100 nm超の平均半径を含む、本発明1032または1033の組成物。
[本発明1035]
前記複数のオリゴマー粒子試薬が、両端の値を含めて、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~110 nm、もしくは90 nm~110 nmの平均半径を含む;または
前記複数のオリゴマー粒子試薬が、90 nm±15 nm、95 nm±20~25 nm;もしくは97±10 nmの平均半径を含む、
本発明1032~1034のいずれかの組成物。
[本発明1036]
前記複数のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が、50~150 nm、70 nm~140 nm、80 nm~120 nm、80 nm~115 nm、80 nm~100 nm、90 nm~110 nm、および/または100 nm~120 nmの半径を含む、本発明1032~1035のいずれかの組成物。
[本発明1037]
前記オリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が、複数のオリゴマー粒子試薬の平均半径および/または半径中央値の±50%、±25%、±20%、±15%、±10%、および/または±5%の間の半径を含む、本発明1032~1036のいずれかの組成物。
[本発明1038]
前記複数のオリゴマー粒子試薬が、80 nm~115 nmの平均半径を含み、かつオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が、平均半径の±25%の間の半径を含む、本発明1032~1037のいずれかの組成物。
[本発明1039]
前記複数の粒子が、
(i) 両端の値を含めて、1×10
8
g/mol~5×10
8
g/mol、または1×10
8
g/mol~2×10
8
g/molの平均分子量;および/あるいは
(ii)少なくとも100個、少なくとも500個、少なくとも1,000個、少なくとも1,500個、もしくは少なくとも2,000個、または各々両端の値を含めて、1,000~20,000個、1,000~10,000個、もしくは2,000~5,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジン四量体の平均数
を含む、本発明1032~1038のいずれかの組成物。
[本発明1040]
約-80℃もしくは-80℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、および/または約4℃もしくは4℃未満で少なくとも1週間保存した場合に、前記複数のオリゴマー粒子の平均半径が、25%または10%よりも大きくは増加しない、本発明1032~1039のいずれかの組成物。
[本発明1041]
チオール官能基と反応することができるチオール反応性官能基を含む複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と、1つ以上のチオール官能基を含む複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とをインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子を含む粒子組成物を生成する工程;
オリゴマー粒子を、単量体および/またはより小さなオリゴマー分子から分離する工程;ならびに
オリゴマー粒子を安定剤と接触させ、それによってオリゴマー粒子試薬を作製する工程
を含む、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインを含むオリゴマー粒子試薬を作製するための方法。
[本発明1042]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を、1つ以上のアミンをチオール反応性官能基に変換することができる活性化剤とインキュベートすることによって、前記複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子が生成される、本発明1041の方法。
[本発明1043]
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と、チオール官能基を1つ以上のリジン残基に付加するまたは付加することができるチオール化剤とのインキュベーションによって、前記複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が生成される、本発明1041または本発明1042の方法。
[本発明1044]
(a) 1つ以上のアミンを、チオール官能基と反応することができるチオール反応基に変換するための条件下で、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を活性化剤とインキュベートし、それによって複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;
(b) 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を、チオール官能基を1つ以上のリジン残基に付加するまたは付加することができるチオール化剤とインキュベートし、それによって複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;および
(c) 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子試薬を含む粒子組成物を生成する工程
を含む、オリゴマー粒子試薬を作製するための方法であって、
(c)におけるインキュベーションの開始時に、複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が、
リジンの平均して少なくとも60%がチオール官能基を含みかつ/またはチオール化ストレプトアビジンもしくはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体当たり平均して少なくとも10個のリジンがチオール官能基を含む
ものである
という条件下で実施される、方法。
[本発明1045]
オリゴマー粒子試薬を、単量体および/またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン分子から分離する工程をさらに含む、本発明1044の方法。
[本発明1046]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:1~1:10で行われる、本発明1041~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:2±2%で行われる、本発明1041~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
前記活性化剤が、ヘテロ二官能性架橋剤、任意でスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホSMCC)および/またはスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)を含む、本発明1041~1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
前記チオール反応性官能基がマレイミド基である、本発明1041~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、各々両端の値を含めて、6.8~7.5、7.0~7.4のpHで、任意で7.2または約7.2のpHでインキュベートされる、本発明1041~1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、室温、任意で、両端の値を含めて20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃または24℃もしくは約24℃でインキュベートされる、本発明1041~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、各々両端の値を含めて、15分間~6時間、30分間~2時間、任意で1時間または約1時間、インキュベートされる、本発明1041~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、両端の値を含めて、チオール化試薬 対 ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子当たりの各一級アミンのモル比10:1~1:1で行われ;かつ/あるいは、第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、両端の値を含めて、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体 対 チオール化剤のモル比1:50~1:500で、任意で、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体 対 活性化試薬のモル比1:100または約1:100で行われる、本発明1043~1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記チオール化剤が、2-イミノチオランであるかまたはそれを含む、本発明1043~1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、7.0以上、任意で、両端の値を含めて7.0~8.0のpHで、任意で約7.7のpHでインキュベートされ;かつ/または
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、8.0以上、任意で、両端の値を含めて8.0~9.0、任意で、8.5または約8.5のpHを有する緩衝液の存在下で開始される、
本発明1043~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、室温、任意で、両端の値を含めて20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃でまたは24℃もしくは約24℃でインキュベートされる、本発明1043~1055のいずれかの方法。
[本発明1057]
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、各々両端の値を含めて、15分間~2時間、15分間~1.5時間、または25分間~1時間、任意で1時間もしくは約1時間または25分間もしくは約25分間インキュベートされる、本発明1043~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
インキュベーション中の複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子 対 複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が、モル比X:1であり、Xが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの分子当たりのチオール化されるのに利用可能なリジン残基の数である、本発明1041~1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
インキュベーション中の複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子 対 複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が、モル比1:1~8:1または2:1~6:1、任意で4:1または約4:1である、本発明1041~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、各々両端の値を含めて、6.8~7.5、または7.0~7.4のpHで、任意で7.2または約7.2のpHでインキュベートされる、本発明1041~1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、室温、任意で、両端の値を含めて20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃でまたは24℃もしくは約24℃でインキュベートされる、本発明1041~1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とが、各々両端の値を含めて、15分間~6時間、または30分間~2時間、任意で1時間または約1時間インキュベートされる、本発明1041~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
オリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン粒子を含む粒子組成物を生成する工程が、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子とチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子との反応を、該分子をN-エチルマレイミド(NEM)と接触させることにより終了させることをさらに含む、本発明1041~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションの少なくとも一部分、および第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションの少なくとも一部分が、同時に別々で実施される、本発明1044~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーション、および第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、実質的に同じ長さの時間にわたって実施され、かつ/または実質的に同じ時に完了する、本発明1064の方法。
[本発明1066]
チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子と活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子とをインキュベートする工程の前に、
(i)活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物から活性化剤を除去する工程;および/あるいは
(ii)チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物からチオール化剤を除去する工程
を含む、本発明1044~1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とのインキュベーションが、第2の複数のストレプトアビジン分子とチオール化剤とのインキュベーションの終了後かつ/またはチオール化ストレプトアビジンもしくはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物からのチオール化剤の除去後15分以内に開始される、本発明1044~1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子をスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)と1時間または約1時間、7.2または約7.2のpHでインキュベートし、それによって、マレイミドチオール反応官能基を含む複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を2-イミノチオランと1時間または約1時間、両端の値を含めて7.5~8.5のpHでインキュベートし、それによって、1つ以上のチオール官能基を含む複数のチオール化ストレプトアビジン分子を生成する工程;および
複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を複数のチオール化ストレプトアビジン分子と1時間または約1時間、7.2または約7.2のpHでインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子試薬を含む粒子組成物を生成する工程
を含む、オリゴマー粒子試薬を作製するための方法であって、
複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とのインキュベーションが、第2の複数のストレプトアビジン分子と2-イミノチオランとのインキュベーションの終了後10分以内に開始される、方法。
[本発明1069]
オリゴマー粒子試薬を安定剤と接触させる工程をさらに含む、本発明1044~1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
前記安定剤が、オリゴマー粒子試薬のリジン残基上に存在するN-置換イミノチオランの量を低減させる、本発明1041~1043および1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記安定剤がヒドロキシルアミンを含む、本発明1041~1043、1069、および1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
前記安定剤が、クロマトグラフィーによって、任意でサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、オリゴマー粒子試薬から除去される、本発明1041~1043および1069~1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
オリゴマー粒子試薬をフィルター滅菌する工程をさらに含む、本発明1041~1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記オリゴマー粒子試薬が、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、単量体またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン分子から分離される、本発明1041~1043および1045~1073のいずれかの方法。
[本発明1075]
前記SECがサイズ排除限界を含み、かつ該サイズ排除限界が、100 kDa、500 kDa、750 kDa、1000 kDa、もしくは2000 kDaよりも大きいかまたは約100kDa、約500 kDa、約750 kDa、約1000 kDa、もしくは約2000 kDaよりも大きい、本発明1074の方法。
[本発明1076]
前記サイズ排除限界が、500 kDa~1000 kDaまたは約500 kDa~1000 kDaであり、任意で75 kDaであるかまたは約75 kDaである、本発明1075の方法。
[本発明1077]
空隙容量を含む1つ以上の画分を収集し、それによってオリゴマー粒子試薬を単量体またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン分子から分離する工程を含む、本発明1041~1043および1045~1076のいずれかの方法。
[本発明1078]
オリゴマー粒子試薬を、1つ以上の作用物質と、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための条件下で混合する工程をさらに含む、本発明1041~1077のいずれかの方法。
[本発明1079]
本発明1041~1078のいずれかの方法によって作製された、オリゴマー粒子試薬。
[本発明1080]
本発明1001~1031のいずれかのオリゴマー粒子試薬、本発明1032~1040のいずれかの複数のオリゴマー粒子試薬を含む組成物、または本発明1041~1078のいずれかの方法によって作製されたオリゴマー粒子試薬を、1つ以上の作用物質と、該1つ以上の作用物質を該オリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための条件下で混合する工程を含む、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に多量体化する方法。
[本発明1081]
前記1つ以上の作用物質が結合パートナーを含み、該結合パートナーが、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができる、本発明1078または本発明1080の方法。
[本発明1082]
前記結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記結合パートナーが、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1081または本発明1082の方法。
[本発明1084]
前記1つ以上の作用物質が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、本発明1080~1083のいずれかの方法。
[本発明1085]
前記1つ以上の作用物質が、一価抗体断片であるかまたはそれを含む、本発明1084の方法。
[本発明1086]
前記1つ以上の作用物質が、Fabであるかまたはそれを含む、本発明1084または本発明1085の方法。
[本発明1087]
前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である、本発明1080~1086のいずれかの方法。
[本発明1088]
前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができる刺激物質であるかまたはそれを含み、結合が標的細胞においてシグナルを誘導または調節する、本発明1087の方法。
[本発明1089]
前記標的細胞が免疫細胞である、本発明1087または本発明1088の方法。
[本発明1090]
前記標的細胞がT細胞である、本発明1087~1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、本発明1087~1090のいずれかの方法。
[本発明1092]
前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記方法が、オリゴマー粒子試薬に第2の受容体結合物質を可逆的に結合させる工程をさらに含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、本発明1087~1091のいずれかの方法。
[本発明1093]
第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、本発明1092の方法。
[本発明1094]
第2の受容体結合物質が共刺激分子に特異的に結合し、かつ該共刺激分子がCD28である、本発明1092または本発明1093の方法。
[本発明1095]
前記1つ以上の作用物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体、任意で抗CD3 Fabおよび抗CD28 Fabである、本発明1078および1080~1094のいずれかの方法。
[本発明1096]
前記受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着因子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、本発明1087~1090のいずれかの方法。
[本発明1097]
前記1つ以上の作用物質が選択物質を含み、該選択物質が、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる、本発明1078および1080~1096のいずれかの方法。
[本発明1098]
前記標的細胞が免疫細胞、任意でT細胞である、本発明1097の方法。
[本発明1099]
前記選択マーカーが、CCR7、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD27、CD45RA、CD45RO、CD62L、および/またはCD127である、本発明1097または本発明1098の方法。
[本発明1100]
本発明1041~1078および1080~1099のいずれかの方法によって作製された複数のオリゴマー粒子試薬を含む、組成物。
[本発明1101]
本発明1001~1031のいずれかのオリゴマー粒子試薬、本発明1032~1040および1100のいずれかの複数のオリゴマー試薬を含む組成物、または本発明1041~1078および1080~1099のいずれかの方法によって作製されたオリゴマー試薬を含む、製造物品。
[本発明1102]
本発明1001~1031のいずれかのオリゴマー粒子試薬、本発明1032~1040および1100のいずれかの複数のオリゴマー試薬を含む組成物、または本発明1041~1078および1080~1099のいずれかの方法によって作製されたオリゴマー試薬の存在下で、標的細胞を含む細胞組成物をインキュベートし、それによって標的細胞を調節する工程を含む、細胞を調節するための方法。
[本発明1103]
本発明1001~1031のいずれかのオリゴマー粒子試薬、本発明1032~1040および1100のいずれかの複数のオリゴマー試薬を含む組成物、または本発明1041~1078および1080~1099のいずれかの方法によって作製されたオリゴマー試薬の存在下で、標的細胞を含む細胞組成物をインキュベートする工程を含む、細胞を培養するための方法。
[本発明1104]
前記オリゴマー粒子試薬が、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる1つ以上の受容体結合物質に可逆的に結合している、本発明1102または本発明1103の方法。
[本発明1105]
前記1つ以上の受容体結合物質が結合パートナーを含み、該結合パートナーが、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に可逆的に結合している、本発明1104の方法。
[本発明1106]
前記結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1105の方法。
[本発明1107]
前記結合パートナーが、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1105または本発明1106の方法。
[本発明1108]
前記1つ以上の受容体結合物質が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、本発明1087~1107のいずれかの方法。
[本発明1109]
前記1つ以上の受容体結合物質が、一価抗体断片であるかまたはそれを含む、本発明1108の方法。
[本発明1110]
前記1つ以上の作用物質が、Fabであるかまたはそれを含む、本発明1108または本発明1109の方法。
[本発明1111]
前記標的細胞が免疫細胞である、本発明1102~1110のいずれかの方法。
[本発明1112]
前記標的細胞がT細胞である、本発明1102~1111のいずれかの方法。
[本発明1113]
前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができる刺激物質であるかまたはそれを含み、結合が標的細胞においてシグナルを誘導または調節する、本発明1104~1112のいずれかの方法。
[本発明1114]
前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、本発明1104~1113のいずれかの方法。
[本発明1115]
前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記オリゴマー粒子試薬が第2の受容体結合物質を含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、本発明1113または本発明1114の方法。
[本発明1116]
第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、本発明1115の方法。
[本発明1117]
第2の受容体結合物質が共刺激分子に特異的に結合し、かつ該共刺激分子がCD28である、本発明1115または本発明1116の方法。
[本発明1118]
前記1つ以上の作用物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体、任意で抗CD3 Fabおよび抗CD28 Fabである、本発明1104~1117のいずれかの方法。
[本発明1119]
前記標的細胞が、組換え受容体、任意で組換えT細胞受容体および/またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、本発明1102~1118のいずれかの方法。
[本発明1120]
1つ以上の作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の可逆的結合を破壊する工程をさらに含み、該破壊する工程が、1つ以上の作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の結合を逆転させるまたはそれと競合することができる物質の標的細胞への導入を含む、本発明1104~1119のいずれかの方法。
[本発明1121]
前記物質が、ビオチンまたはビオチン類似体、任意でD-ビオチンを含む、本発明1120の方法。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】100 mMホウ酸塩の存在下での例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2と2-イミノチオランとの時間経過インキュベーション時のストレプトアビジンムテイン四量体に付着したチオール官能基のレベルを図示する。
【
図2】8.3または8.5のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液中での例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2と2-イミノチオランとのインキュベーション時にストレプトアビジンムテイン四量体に付着したチオール官能基のレベルを表すグラフを示す。
【
図3】2-イミノチオランとインキュベートしたストレプトアビジンムテインのSEC溶出プロファイルを示す。分子量標準物質の溶出ピークを、158,000 Da、44,000 Da、17,000 Daまたは1350 Daの分子量について実線として示す。チオール化されていない例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2の溶出プロファイルを破線として示す。残りの溶出プロファイルは、8.3のpHまたはpH 8.5での25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で10分、50分または390分いずれかにわたってインキュベートした様々なチオール化STREP-TACTIN(登録商標)M2ストレプトアビジンムテインの溶出プロファイルを図示する。具体的には、8.3のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で10分間、8.3のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で50分間、8.3のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で390分間、または8.5のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で10分間、8.5のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で50分間、または8.5のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液の存在下で390分間の例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2と2-イミノチオランとのインキュベーション後の溶出プロファイルを示す。
【
図4】8.3、8.5、および8.7のpHの25 mMホウ酸塩緩衝液で1時間または3時間にわたる例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2と2-イミノチオランとのインキュベーション後のチオール官能基(SH含量)の濃度を図示する。
【
図5】2-イミノチオランとのインキュベーションおよびPD10カラムによるゲルろ過後の様々な時点での例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2のチオール官能基(SH含量)の減少を図示する。
【
図6】
図6AおよびBは、例示的ストレプトアビジンムテインSTREP-TACTIN(登録商標)M2で構成されるオリゴマー試薬の異なるバッチ上で多量体化された抗CD3/抗CD28とインキュベートした3名の異なるドナー由来のT細胞のWST代謝アッセイの結果を示す。
図6Aは、36 nmまたは101 nmの平均流体力学半径を有するオリゴマー骨格上で多量体化された抗CD3/抗CD28を含む参照バッチと比較した、全ての試験したバッチ(プールした)のWST代謝活性の概要を示す。個別の試験したバッチおよび参照試薬についての異なるドナー由来のT細胞間での平均WST代謝活性を
図6Bに示す。
【
図7】
図7A~7Eを含み、例示的態様の略図を提供する。
図7Aは、作用物質への可逆的結合のための複数の結合部位を有する試薬(またはその代表的部分)、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬の略図を示す。この場合において、試薬は、それぞれが細胞上の分子に特異的に結合することができる、2つの作用物質に可逆的に結合できるとして示される。試薬は、それぞれが作用物質に可逆的に結合することができる、複数の結合部位、Z1を含む、複数の結合部位を有する。第1および第2の作用物質は、いくつかの場合において、同じであってもよく、略図に示すように、それぞれ少なくとも1つの結合パートナーC1を含む。結合パートナーC1は、結合部位Z1に可逆的に結合する。第1および第2の作用物質はそれぞれ、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる、結合部位、B2も含み、該分子は、いくつかの場合において、同じ細胞上にあってもよい。図中、第1および第2の作用物質は、同じ細胞上の分子に特異的に結合することが示される。
図7Bは、それぞれ第1および第2の細胞上の分子に各々特異的に結合することができる、第1および第2の作用物質に可逆的に結合することができる、複数の結合部位を有する試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬の略図を示す。試薬は、それぞれ作用物質に可逆的に結合することができる、複数の結合部位Z1を有する。第1および第2の作用物質は、いくつかの場合において同じであってもよく、それぞれ、結合部位Z1に可逆的に結合する結合パートナーC1を含む。第1および第2の作用物質はそれぞれ、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる結合部位B2を含み、該分子は、いくつかの場合において、同じ細胞または異なる細胞上にあってもよい。図中、第1の作用物質は第1の細胞の表面上の分子に結合し、第2の作用物質は第2の細胞の表面上の分子に結合する。
図7Cは、それぞれ第1および第2の細胞上の分子に各々特異的に結合することができる、第1および第2の作用物質に可逆的に結合することができる試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬を示す。試薬は、それぞれ1つまたは両方の作用物質に可逆的に結合することができる、同じであっても異なっていてもよい、複数の結合部位Z1およびZ2を有する。第1の作用物質は、Z1に可逆的に結合する結合パートナーC1を含み;第2の作用物質は、Z2に可逆的に結合できる結合パートナーC2を含む。いくつかの場合において、C1およびC2は異なっている。いくつかの場合において、C1およびC2は、同じであるかまたは実質的に同じである。第1の作用物質は、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる結合部位B1を含み、第2の作用物質は、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる、少なくとも1つの結合部位B3を含む。結合部位B1およびB3は、いくつかの場合において、2種類の異なる細胞表面分子、または単一の分子上の異なるエピトープ、または異なる細胞の表面上の同じもしくは異なる分子に結合する。図中、第1の作用物質は、第1の細胞の表面上の分子に、B1を介して、結合しているように示され、第2の作用物質は、第2の細胞の表面上の分子に結合している。
図7Dは、それぞれ細胞上の分子に特異的に結合することができる、第1および第2の作用物質、例えば選択物質に可逆的に結合することができる試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬を示す。試薬は、それぞれが作用物質に可逆的に結合することができる、Z1およびZ2を含む、複数の結合部位を有し、該結合部位は同じでも異なっていてもよい。第1の作用物質は、結合部位Z1に特異的に結合できる結合パートナーC1を含み、第2の作用物質は、結合部位Z2に特異的に結合できる少なくとも1つの結合パートナーC2を含む。いくつかの場合において、C1およびC2は異なっている。いくつかの場合において、C1およびC2は、同じであるかまたは実質的に同じである。第1の作用物質は、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる結合部位B1を含み、第2の作用物質は、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる結合部位B3を含む。いくつかの態様において、第1の作用物質および第2の作用物質は選択物質であり得る。結合部位B1およびB3は、細胞の表面上の同じもしくは異なる分子(例えば、受容体)、分子上の同じもしくは異なるエピトープ、または異なる細胞の表面上の同じもしくは異なる分子に結合できる。図中、第1の作用物質は、細胞の表面上の第1の分子に結合しており、第2の作用物質は、同じ細胞の表面上の第2の分子に結合している。
図7Eは、細胞上の分子にそれぞれ特異的に結合することができる第1および第2の作用物質に可逆的に結合している試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬を示す。試薬は、それぞれ作用物質に可逆的に結合することができる、Z1およびZ2を含む、複数の結合部位を有し、該結合部位は同じでも異なっていてもよい。第1の作用物質は、試薬のZ1に可逆的に結合できる結合パートナーC1を含み、第2の作用物質は、Z2に可逆的に結合できる結合パートナーC2を含む。いくつかの場合において、C1およびC2は異なっている。いくつかの場合において、C1およびC2は、同じであるかまたは実質的に同じである。第1の作用物質は、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる少なくとも1つの結合部位B2を含み、第2の作用物質は、細胞の表面上の分子に特異的に結合できる少なくとも1つの結合部位B4を含む。いくつかの態様において、第1の作用物質および第2の作用物質は刺激物質であり得る。結合部位B2およびB4は、細胞の表面上の同じもしくは異なる分子、分子上の同じもしくは異なるエピトープ、または異なる細胞の表面上の同じもしくは異なる分子に結合できる。図中、第1の作用物質は、細胞の表面上の第1の分子に結合しており、第2の作用物質は、同じ細胞の表面上の第2の分子に結合している。
【
図8】
図8A~8Eを含み、図示した試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬が固定相などの支持体上に固定化されるように示されている以外は、
図7A~7Eにそれぞれ示される例示的態様の略図を提供する。
【
図9】オリゴマー試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬を用いて刺激物質を多量体化し、その結果生じる複合体を細胞とインキュベートして細胞にシグナルを送達し、その後続いて結合をもとに戻す、例示的態様の略図を提供する。パネルAは、任意の支持体に結合しておらず可撓性を有するように示される、オリゴマー試薬1を示す。刺激物質2は、図中Fab断片として示されかつ細胞の表面上の分子に特異的に結合することができ、試薬と組み合わされる。作用物質は、作用物質を多量体化する試薬上の結合部位(例えば、結合部位Z)に可逆的に結合することができる結合パートナー(例えば結合パートナーC)を含む。パネルBは、試薬上の結合部位に可逆的に結合する結合パートナーを図示する。細胞3がシステムに加えられる。パネルCは、細胞3の表面上の分子4に特異的に結合する多量体化作用物質(Fab断片)を図示する。パネルCでは、図示した作用物質は、細胞上の分子に対する作用物質の結合時に細胞においてシグナルを誘導または調節できる刺激性受容体結合物質(例えば、第1の受容体結合物質および/または第2の受容体結合物質)である。パネルDに示すように、試薬上の結合部位に対して作用物質上の結合パートナーのものより高い結合親和性を示す物質であり得る、物質5、例えば競合試薬(例えばビオチン)が組成物に加えられ、それによって試薬1と作用物質2との間の可逆的結合を破壊する。いくつかの場合において、作用物質、例えばFab断片は、細胞3上の分子4とのその相互作用から解離することもできる。いくつかの場合において、これは、細胞におけるシグナル伝達を破壊する、減らす、および/または終結させることができる。
【
図10】支持体、例えば固定相を含む固体支持体または表面に付着させたオリゴマー試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬を伴う、可逆的システムの例示的態様の略図を提供する。パネルAは、試薬1を含む支持体6を示す。細胞の表面上の分子に特異的に結合することができる作用物質2、例えばFab断片が、システムに加えられる。作用物質2、例えばFab断片は、試薬上の結合部位(例えば結合部位Z)に可逆的に結合することができる結合パートナー(例えば結合パートナーC)を含む。パネルBは、試薬上の結合部位に可逆的に結合する結合パートナーを図示する。細胞3がシステムに加えられる。パネルCは、細胞3の表面上の分子4に結合する作用物質2、例えばFab断片を図示する。いくつかの態様において、scFvは、受容体結合物質または選択物質を含む。いくつかの態様において、作用物質、例えばFab断片は、受容体結合物質または選択物質であり得る。パネルCは、細胞上の分子に対する作用物質、例えばFab断片の結合時に細胞においてシグナルを誘導または調節できる、1つまたは複数の例示的受容体結合物質(例えば、第1の受容体結合物質および/または第2の受容体結合物質)を図示する。試薬上の結合部位に対して作用物質上の結合パートナー、例えばFab断片のものより高い結合親和性を示す物質であり得る、物質5、例えば競合試薬(例えばビオチン)が加えられ、それによって試薬と作用物質との間の結合が破壊される。パネルDは、作用物質2、例えばFab断片と試薬との間の結合の破壊を図示し、それによって作用物質、よって細胞からの試薬の解離をもたらす。いくつかの場合において、作用物質、例えばFab断片は、細胞3上の分子4とのその相互作用からも解離できる。いくつかの場合において、これは、細胞におけるシグナル伝達を破壊する、減らす、および/または終結させることができる。
【
図11】-80℃、4℃、または37℃での保存後の種々の時点でのオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の動的光散乱によって測定されたサイズの変化のグラフを示す。
【
図12】
図12AおよびBは、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞を含むT細胞組成物を作製するための例示的操作プロセス時の抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なる個別のロットとのインキュベーション時の経時的な総細胞(
図12A)および生存細胞のパーセンテージ(
図12B)のグラフを示す。
【
図13】CAR T細胞組成物を作製するための例示的操作プロセス時に抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なる個別のロットとインキュベートしたT細胞組成物の総CAR+、CD4+CAR+、およびCD8+CAR+細胞のパーセンテージならびにCD4+T細胞内のCAR+CD4+T細胞のパーセンテージおよびCD8+T細胞内のCAR+CD8+T細胞のパーセンテージを表すグラフを示す。
【
図14】Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なる個別のロットとインキュベートした細胞の組成物内の残留Fab染色(上段のパネル)または残留ストレプトアビジンムテイン(下段のパネル)について陽性の細胞のパーセンテージを表すグラフを示す。
【
図15】抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なる個別のロットとのインキュベーションを伴う例示的操作プロセスによって作製したCAR T細胞を含むT細胞組成物の細胞溶解活性を表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
詳細な説明
特に定義されない限り、本明細書で用いられる専門用語、表記、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法はすべて、特許請求される主題が関係する技術分野において当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合には、一般に理解されている意味を有する用語が、明確にするためにかつ/またはすぐに参照できるように本明細書において定義されるが、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野において概して理解されているものとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0071】
本出願において言及される、特許文書、科学文献、およびデータベースを含む刊行物はすべて、各個々の刊行物が参照により個別に組み入れられるのと同じ程度に、すべての目的でその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、および他の刊行物において示される定義と反対であるか、またはさもなければ一致しない場合、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも優先される。
【0072】
本明細書で用いられるセクションの見出しは、系統立ててまとめることだけを目的とし、記述された主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0073】
I. 概説
オリゴマー粒子試薬を製造する、作製する、および/または生成するための方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、分子をオリゴマー化して、100万Da~1億Da、100万Da~10億Da、100万Da~100億Da、および/または100万Da~1000億Daの範囲にわたるオリゴマー粒子試薬にするのに有用である。特定の態様は、提供される方法によって作製されたオリゴマー粒子試薬のサイズ分布が、様々な工程のうちの1つまたは複数の別個の反応条件を変化させることによって影響を受けることを企図する。したがって、いくつかの態様において、試薬のタイミング、濃度、およびモル比、ならびに溶液のpHなどの条件は、正確に制御され、かつ一定に保たれる。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、バッチ間またはロット間で一貫したサイズを有するオリゴマー粒子試薬を誘導するのに有用である。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法の1つ以上の工程または段階の条件は、1つ以上の異なる所望のサイズのオリゴマー粒子試薬を製造する、作製する、または生成するために調整されてもよい。
【0074】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造する、作製する、および/または生成するための本明細書に提供される方法は、チオール官能基が付着している複数の分子(チオール化分子とも呼ばれる、例えば、チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子)を、マレイミド官能基などのチオール反応性官能基が付着している複数の分子(例えば、活性化分子、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子)と反応させることによって、分子、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を架橋する。
【0075】
特定の態様は、1つ以上の特定のサイズの多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬が、細胞の調節における使用に特に有効であり得ることを企図する。例えば、いくつかの態様において、ある特定のサイズのオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の刺激物質に可逆的に結合している場合に、細胞の集団を増大する、活性化する、および/または濃縮するのに特に有効である。本明細書に見出されるように、刺激物質に可逆的に結合している、例えば、32 nmよりも大きい平均半径、例えば流体力学半径、および概して、60 nmよりも大きい平均半径、例えば90 nm、95 nm、もしくは100 nmよりも大きいまたは約90 nm、約95 nm、もしくは約100 nmよりも大きい平均半径を有する、特定のより大きいサイズのオリゴマー粒子試薬は、より小さいサイズのオリゴマー粒子よりも大きい程度まで細胞を活性化する(例えば、
図6)。したがって、いくつかの態様において、定義されたサイズおよびサイズ分布のオリゴマー粒子試薬、ならびに所望のサイズおよびサイズ分布を有するオリゴマー粒子試薬を一貫して製造するための方法が、本明細書に提供される。
【0076】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造する、提供される方法は、組成物におけるオリゴマーのサイズ分布を最小化しながら、低減した変動性、およびより大きいサイズのオリゴマー試薬の概して一貫した生成を結果としてもたらす。いくつかの態様において、オリゴマー化反応のための反応性チオール基は、リジン残基上におよび分子のN末端に存在するアミンのイミノチオラン活性化によって、分子に付加される。いくつかの態様において、チオール化反応のタイミング、およびチオール化反応の終了とオリゴマー化反応の開始との間の時間は、いくつかの場合には、遊離のチオールが異性化、すなわちN-置換イミノチオランの形成によって失われ得るため、反応から反応へ一定に保たれる。いくつかの局面において、タイミングは、チオールの損失、および、いくつかの場合には、オリゴマーの合成後成長をもたらし得る再異性化時のSH官能基の隠れた供給源である、N-置換イミノチオラン形態の生成を最小化するべきである。いくつかの態様において、マレイミド含有分子との反応のためにチオール基の利用能を制御すること、およびN-置換イミノチオランの蓄積を最小化することは、オリゴマーサイズの一貫性に影響を及ぼし得るパラメータである。
【0077】
さらに、いくつかの態様において、チオール活性化のおよびまた他の化学反応の速度論は、いくつかの場合には、pH依存性であり得る。いくつかの態様において、化学反応のための1つ以上の緩衝液(活性化およびカップリング緩衝液)のpH、特にチオール化剤のための緩衝液のpHは、あらかじめ設定された範囲またはレベル内であり、かつ概して正確に測定され、調整される。さらに、いくつかの態様において、チオール化剤および活性化剤と分子との間の化学量論は、多量体の再現可能な平均サイズを得るために、小さな許容差(±2%)内の濃度を調整することによって、高精度に調整される。
【0078】
また、本明細書に記載されるようなオリゴマー試薬も、本明細書に提供される。いくつかの態様において、1つ以上の作用物質は、オリゴマー試薬に可逆的にまたは不可逆的に結合していることができ、オリゴマー試薬は、いくつかの場合には、1つ以上の作用物質がオリゴマー粒子試薬上で多量体化される多量体形成物質である。それに1つ以上の作用物質が結合しているオリゴマー試薬、例えば多量体形成物質を、T細胞などの初代細胞を含む標的細胞との培養またはインキュベーションを含む方法において、用いることができる。
【0079】
いくつかの局面において、受容体結合試薬および/または刺激試薬などの1つ以上の作用物質に結合しているかまたは可逆的に結合している(例えば多量体化されている)オリゴマー粒子試薬が、本明細書に提供される。特定の態様において、提供されるオリゴマー粒子は、オリゴマー化分子、例えば、架橋ストレプトアビジンムテインから構成され、かつ、細胞の表面に結合するかつ/または結合することができる刺激物質および/または受容体結合物質に結合している。いくつかの局面において、作用物質は、結合パートナー、例えば、Strep-tagIIなどのストレプトアビジン結合ペプチドを有する、抗CD3および/もしくは抗CD28抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。特定の態様において、オリゴマー化粒子試薬は、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~115 nmの半径、または80 nm、85 nm、90 nm、95 nm、100 nm、105 nm、110 nm、115 nm±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±2%、±1%、もしくは±0.1%のまたは概ねそれらの値の半径を有する。いくつかの局面において、複数の間のオリゴマー粒子試薬の平均半径が、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~115 nm、または80 nm、85 nm、90 nm、95 nm、100 nm、105 nm、110 nm、115 nm±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±2%、±1%、もしくは±0.1%のまたは概ねそれらの値の半径である、複数のオリゴマー粒子試薬、例えば、1つ以上の作用物質に結合しているまたは可逆的に結合している(例えば多量体化されている)ものを含有する組成物が提供される。いくつかの局面において、オリゴマー化粒子試薬は、例えば、標的細胞上の細胞表面分子に対する、それぞれ選択物質または刺激物質の結合を介して、細胞を選択するかつ/または刺激するのに特に有用である。いくつかの例において、競合試薬の存在または添加は、オリゴマー粒子試薬と作用物質、例えば受容体結合試薬との間の解離を結果としてもたらし、これは、いくつかの例において、オリゴマー粒子試薬による細胞の刺激を迅速に終わらせ得るか、終了させ得るか、または破壊し得る。
【0080】
提供されるオリゴマー試薬を用いた、T細胞などの標的細胞の組成物を増大するための方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、方法は、標的細胞の表面上の分子に結合することができそれによって、一次活性化シグナルであり得ることがあるシグナルを細胞に対して提供することができる、可逆的試薬システム、例えば受容体結合分子に関する。いくつかの態様において、方法中で使用されるオリゴマー粒子試薬は、細胞に対して一次活性化シグナルおよび/またはアクセサリーもしくは共刺激シグナルなどのシグナルを提供する1つ以上の作用物質、例えば、第1の作用物質、第2の作用物質などがその上に結合している、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、一次活性化シグナルは、増大/増殖するように細胞を活性化するのにそれ自体で十分であり得る。この第1の作用物質は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に、可逆的に、または不可逆的にも結合していることができる。多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激する第2の作用物質もそれに結合していてもよい。第2の作用物質は、細胞の表面上の表面上アクセサリー分子に結合すると、それによって増大するように活性化細胞を刺激し得る。また、この第2の作用物質は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に、可逆的に、または不可逆的にも、結合していることができる。多量体形成試薬および/またはオリゴマー化粒子試薬は、固体支持体上に固定化されているかまたは可溶性であるかのいずれかであり得る。1つの局面において、本明細書に開示される方法は、完全なリンパ球の集団が刺激/増大される、細胞の集団の連続的増大であり、増大に必要な試薬は次いで、適当な固定相上でのクロマトグラフィーによって除去される。いくつかの態様において、培養細胞である増大/刺激された細胞は、任意で、例えばT細胞受容体またはキメラ抗原受容体(CAR)をトランスフェクトされ、かついくつかの局面において、導入されたT細胞受容体またはキメラ抗原受容体に結合する異なる刺激分子での第2の刺激増大に供されることができる。
【0081】
T細胞などの標的細胞の組成物を増大するための方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、方法は、標的細胞の表面上の分子に結合することができそれによって一次活性化シグナルであることがあるシグナルを細胞に対して提供することができる、可逆的試薬システム、例えば受容体結合分子などのに関する。いくつかの態様において、方法は、細胞に対して一次活性化シグナルおよび/またはアクセサリーもしくは共刺激シグナルなどのシグナルを提供する1つ以上の作用物質、例えば、第1の作用物質、第2の作用物質などがその上に結合している多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬であることができる、オリゴマー粒子試薬などの試薬を使用する。いくつかの態様において、一次活性化シグナルは、増大/増殖するように細胞を活性化するのにそれ自体で十分であり得る。この第1の作用物質は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に、可逆的にまたは不可逆的にも結合していることができる。多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激する第2の作用物質もそれに結合していてもよい。第2の作用物質は、細胞の表面上のアクセサリー分子に結合すると、それによって増大するように活性化細胞を刺激し得る。また、この第2の作用物質は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に、可逆的にまたはまた不可逆的にのいずれかで結合していることができる。多量体形成物質は、固体支持体上に固定化されているかまたは可溶性であるかのいずれかであり得る。1つの局面において、本明細書に開示される方法は、完全なリンパ球の集団が刺激/増大される、細胞の集団の連続的増大であり、増大に必要な試薬は次いで、適当な固定相上でのクロマトグラフィーによって除去される。いくつかの態様において、培養細胞である増大/刺激された細胞は、任意で、例えばT細胞受容体またはキメラ抗原受容体(CAR)をトランスフェクトされ、かついくつかの局面において、導入されたT細胞受容体またはキメラ抗原受容体に結合する異なる刺激分子での第2の刺激増大に供されることができる。
【0082】
外因性成長因子の非存在下または少量の外因性成長因子においてインビトロでT細胞集団を増大する方法は、当技術分野において公知である(例えば、米国特許6,352,694 B1および欧州特許EP 0 700 430 B1を参照されたい)。概して、そのような方法は、様々な結合物質(例えば、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体)が固定化されている、直径が1μmよりも大きい固相表面を使用する。例えば、Dynabeads(登録商標)CD3/CD28(Invitrogen)は、市販されているT細胞増大用試薬であり、これは、ヒトT細胞上のCD3およびCD28細胞表面分子に対する親和性精製されたモノクローナル抗体の混合物でコーティングされた、均一な、直径が4.5μmの、超常磁性、滅菌性、非発熱性ポリスチレンビーズである。しかし、いくつかの場合には、そのような磁性ビーズは、例えば、臨床試験または治療目的で必要とされる条件下では、増大したT細胞を患者に投与する前にこれらの磁性ビーズが完全に除去されることが確実にならなければならないため、細胞を増大する方法に組み込むことが困難である。
【0083】
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、これらの問題に対処する。いくつかの局面において、提供される試薬は可逆的であり、そのため、刺激物質を細胞組成物から除去することができる。また、いくつかの局面において、試薬、例えば、刺激物質が結合している多量体形成試薬またはオリゴマー粒子試薬は、支持体上に固定化されず、例えば、固体支持体または表面上に固定化されない。したがって、いくつかの局面において、試薬、例えば、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、可撓性であり、硬性ではない。いくつかの態様において、試薬は、細胞表面に適応または順応することができる。いくつかの態様において、固定相を含む、固体支持体などの支持体上に、試薬を固定化することが可能である。いくつかの態様において、そのような方法は、1つ以上の標的細胞を選択して、同時にまたは逐次的に刺激物質に曝露させることができる、類似の選択物質を用いた選択方法と共に、用いることができる。したがって、いくつかの局面において、特定の細胞または細胞のサブセットの刺激は、刺激と合わせた選択および単離によってバイアスをかけることができる。
【0084】
いくつかの態様において、提供される方法は、細胞の組成物を、試薬、例えば、1つ以上の受容体結合物質(例えば刺激物質)が結合している多量体形成試薬またはオリゴマー粒子試薬と培養する工程、例えば接触させる工程を含む(例えば、
図10Aおよび10Bを参照されたい)。いくつかの態様において、細胞組成物を、1つ以上の結合した受容体結合物質を有する多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬と接触させる工程、および通常、細胞集団を、1つ以上の結合した受容体結合物質を有する多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬とインキュベートする工程の後、細胞の集団は、複合体を形成し/第1の作用物質を介して多量体形成物質に結合している。特異的な細胞表面分子が欠如している最初の試料中に含有される他の細胞集団は、1つ以上の結合した受容体結合物質を有する多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合しない。この点において、細胞集団は通常、その表面上に複数コピーの細胞表面分子を有し、これらの複数コピーの結合が典型的に、刺激または活性化に必要とされることが注目される。
【0085】
したがって、多量体形成物質は、典型的に、1つよりも多い結合部位、例えばZ1を提供し、いくつかの場合には、複数の作用物質は、例えば、1つ以上の作用物質の結合パートナー、例えばC1の結合を介して、1つ以上の結合部位、例えばZ1に対して可逆的に結合され得る。いくつかのそのような局面において、これは、第1の作用物質、第2の作用物質、および/または他の作用物質を十分な密度で、細胞の集団に対して提示する。この点において、多量体形成物質は、複数の結合部位、例えばZ1をそれ自体で有し得、例えば、(ホモ四量体である)ストレプトアビジンムテインは、そのネイティブ状態で、4つのそのような結合部位、例えばZ1を有し、かつさらにオリゴマー化され得ることが注目される。いくつかの場合には、試薬は、結合パートナー、例えばC1の可逆的結合のために、1つのみの結合部位、例えばZ1を有してもよい。そのような例は、多量体カルモジュリンである。カルモジュリンはそれ自体では、カルモジュリン結合ペプチドに対する1つのみの結合部位を有する。しかし、カルモジュリンは、ビオチン化し、次いでストレプトアビジンオリゴマーと反応させることができ(以下も参照されたい)、それによって、複数のカルモジュリン分子が「スキャホールド」上に高密度で提示され、それによって多量体カルモジュリンを提供する、多量体形成試薬を提供する。
【0086】
いくつかの態様において、刺激が中断されることが望ましい、インキュベーションまたは他の適当な時間の後に、可逆的に結合した作用物質の結合パートナーC、例えばC1とも本明細書において呼ばれる結合パートナーと、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z、例えばZ1との間の結合は、それぞれの可逆的結合を破壊することによって破壊される。いくつかの場合には、破壊は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合している細胞の集団を含有するインキュベーション/反応混合物に競合物質を添加することによって達成されてもよい。可逆的に結合した作用物質の結合パートナーC、例えばC1と、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z、例えばZ1との間の可逆的結合の競合的破壊(競合的溶出であると理解され得る)のために、インキュベーション混合物/細胞の集団を、第1の結合パートナーと結合部位Z、例えばZ1との間の結合を破壊することができる遊離の第1の結合パートナーC、例えばC1、または該第1の結合パートナーCの類似体と接触させることができる。ストレプトアビジンのビオチン結合部位に結合するストレプトアビジン結合ペプチドである結合パートナーC、例えばC1の例において、第1の遊離のパートナーは、競合的に結合する、対応する遊離のストレプトアビジン結合ペプチドまたは類似体であってもよい。そのような類似体は、例えば、ビオチンまたはビオチン誘導体もしくは類似体、例えばデスチオビオチンであることができる。
【0087】
いくつかの態様において、遊離のパートナーまたはその類似体の添加は、結合パートナーC、例えばC1の多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬からの転置を結果としてもたらし、かつしたがって、結合パートナーが可逆的に結合した作用物質に含まれるため、そのような作用物質の多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬からの転置が達成される。この作用物質の転置は、次に、特に第1の作用物質と細胞表面受容体との間の結合の結合親和性が、10-2 M~10-13 Mの範囲の解離定数(Kd)を有し、かつしたがって可逆的でもある場合、第1の作用物質の細胞表面分子からの解離を結果としてもたらす。この解離のために、いくつかの局面において、細胞集団の刺激もまた終わる。
【0088】
いくつかの態様において、例えば細胞表面受容体分子を含む、それらの抗原に対する抗体分子の結合親和性は、通常、10-7 M~10-13 MのKdの親和性範囲である。したがって、従来のモノクローナル抗体を、作用物質(第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)として用いることができる。いくつかの態様において、より強い結合をもたらすいずれかの望まれないアビディティ効果を回避するために、モノクローナル抗体をまた、Fab断片または一本鎖Fv断片などのその一価抗体断片の形態でも用いることができる。
【0089】
いくつかの態様において、可逆的に結合した1つまたは複数の作用物質の細胞表面分子からの解離のために、提供される方法は、刺激された細胞集団が刺激期間の終了時に刺激物質を含まないという付加的な利点を有する。また、いくつかの態様において、方法中で用いられるすべての他の試薬、すなわち作用物質(例えば、第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)、および結合パートナーC、例えばC1、またはその類似体の競合試薬は、「除去カートリッジ」(例えば、国際特許出願公開WO 2013/124474に記載されているものを参照されたい)を介して、刺激された細胞集団から容易に除去することができる。例えば、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬が、バイオリアクター表面または磁性ビーズなどの固体支持体上に固定化されているいくつかの場合には、それは指し控えられている。したがって、遊離の作用物質および競合試薬の除去のための除去カートリッジの使用は、溶出試料(例えば、可逆的結合(binding)または結合(bond)の破壊後に得られる試料)の第2のクロマトグラフィーカラムへのローディングを含むことができる。
【0090】
いくつかの態様において、このクロマトグラフィーカラムは、親和性クロマトグラフィーマトリクスであり、かつ同時にゲル透過マトリクスとしても作用することができる、適当な固定相を有する。いくつかの局面において、この親和性クロマトグラフィーマトリクスは、その上に親和性試薬が固定化されている。いくつかの態様において、親和性試薬は、例えば、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテイン、アビジン、アビジンムテイン、またはそれらの混合物であってもよい。いくつかの態様において、作用物質(例えば、第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)、結合パートナーC、C1の競合試薬は、親和性試薬に結合し、それによってクロマトグラフィーマトリクス上に固定化される。結果として、単離され、増大された細胞集団を含有する溶出試料は、作用物質(例えば、第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)および競合試薬が枯渇している。いくつかの態様において、培養された組成物は、いかなる反応物質も含まず、これはいくつかの局面において、診断応用(例えば、さらなるFACS(商標)選別)に関連した用途にとって、または任意の細胞ベースの治療応用にとって有利である。
【0091】
いくつかの態様において、試薬および他の構成成分を組成物から除去する能力は、磁性ビーズなどの任意の固体支持体を回避することができるというさらなる利点を有する。いくつかの態様において、これは、そのような磁性ビーズによる活性化T細胞の汚染の危険性がないかまたは危険性が最小限であることを意味する。いくつかの態様において、これはまた、GMP標準に準拠しているプロセスを、他の方法、例えば、最終的な増大されたT細胞集団が磁性ビーズを含まないことを確実にするためにさらなる手段が採用されなければならないDynabeads(登録商標)の使用と比較して、より容易に確立できることも意味する。さらに、いくつかの態様において、可溶性多量体形成物質の使用は、細胞を遠心分離によって簡単に沈降させることができ、かつ可溶性多量体形成物質を含む上清を廃棄することができるため、活性化細胞集団(T細胞、B細胞、またはまたナチュラルキラー細胞)からそれを除去することをずっとより容易にする。あるいは、可溶性多量体形成物質は、上記(例えば、国際特許出願公開WO 2013/124474)のような、除去カートリッジのゲル透過マトリクスにおいて、増大された細胞集団から除去することができる。いくつかの態様において、いかなる固相(例えば磁性ビーズ)も存在しないため、本発明はまた、公知の細胞増大システム、例えば、GE Healthcare(Little Chalfont, Buckinghamshire, United Kingdom)から入手可能なXuri Cell Expansion System W25およびWAVE Bioreactor 2/10 System、またはTerumoBCT Inc.(Lakewood, CO, USA)から入手可能なQUANTUM(登録商標)Cell Expansion Systemに組み込むことができる、細胞の増大のための自動化された閉鎖システムも提供する。
【0092】
いくつかの局面において、本明細書に提供される方法は、少なくとも2つの特異的な細胞表面分子を保有する細胞の集団を含むことができる。いくつかの態様において、第1の細胞表面分子は、細胞集団に対する一次活性化シグナルに関与し、他方、第2の細胞表面分子は、細胞に対する刺激の提供に関与する細胞表面上のアクセサリー分子である。特定の態様において、細胞集団を、細胞に対して一次活性化シグナルを提供する第1の作用物質、および追加のシグナルを誘導または調節する、例えば細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激する第2の作用物質に可逆的にまたは不可逆的に結合している、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬と接触させる。いくつかの態様において、細胞集団を、細胞に対して一次活性化シグナルを提供する第1の作用物質、および追加のシグナルを誘導または調節する、例えば細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激する第2の作用物質に可逆的に結合している、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬と接触させる。細胞の集団は、例えば、細胞表面分子がTCR/CD3複合体であり、かつ細胞表面分子がアクセサリー分子CD28であるT細胞集団であってもよい。いくつかの局面において、そのような他のアクセサリー分子を通じた刺激は、CD28を通じた従来の刺激と比較して、低分化の、かついくつかの場合には、長命メモリーT細胞などの長命集団T細胞の増加を結果としてもたらすことができる。いくつかの態様において、一次活性化シグナルとしてのTCR/CD3複合体の結合およびアクセサリー分子(例えば、CD28または他のアクセサリー分子)の結合が両方とも、T細胞の増大/増殖に必要とされ得る。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法はまた、第1または第2の受容体結合物質(例えば刺激物質)のいずれかまたは両方と同じ試薬、例えば、同じ多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合した少なくとも1つの選択物質を含むように、さらに組み合わせることができる。いくつかの場合には、1つ以上の刺激物質の存在下でも行われるインキュベーションまたは培養中で少なくとも1つ以上の選択物質の存在下で可逆的に選択され得るT細胞のサブセットにおいて、増大(増殖)の刺激、活性化、共刺激、および/または生存などの、インキュベーションまたは培養から生じる1つ以上の特徴を増強するまたは増加させることが可能である。例えば、本明細書における実施例に示されるように、T細胞の組成物における増大の程度は、CD8+細胞において、そのような細胞を、抗CD3抗体および抗CD28抗体刺激物質に加えて抗CD8抗体に可逆的に結合した多量体化作用物質とインキュベートした場合に、選択的に増加した。いくつかの態様において、増大(増殖)の刺激、活性化、共刺激、および/または生存のなどの、インキュベーションまたは培養から生じる1つ以上の特徴は、選択物質ではなくより多くの刺激物質の1つのみの存在下でのインキュベーションと比較して、1つ以上の刺激物質および選択マーカーに特異的に結合する選択物質の存在下でインキュベートした場合に、選択マーカーが陽性である培養組成物中のT細胞のサブセットにおいて少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも3.0倍、少なくとも4.0倍、少なくとも5.0倍、少なくとも6.0倍、少なくとも7.0倍、少なくとも8.0倍、少なくとも9.0倍、少なくとも10倍、またはそれよりも多く増加することができる。T細胞などの細胞の特徴のこのバイアスまたは選択性により、T細胞の特異的なサブセットまたは集団のエンドポイントの特徴を制御することが可能になる。いくつかの態様において、選択マーカーは、本明細書に記載される任意の選択マーカーであることができる。いくつかの態様において、選択マーカーは、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROの中から選択される。
【0094】
いくつかの態様において、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、第1の作用物質の可逆的結合のための少なくとも1つの結合部位Z、例えばZ1を含み、かつ第1の作用物質はまた、少なくとも1つの結合パートナーC、例えばC1も含み、該結合パートナーC、例えばC1は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z、例えばZ1に、可逆的にまたは不可逆的に結合することができる。したがって、第1の作用物質は、多量体形成物質と接触させるかまたはインキュベートすると、結合パートナーC、例えばC1と結合部位Z、例えばZ1との間で形成される可逆的結合を介して、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合され得る。加えて、第2の作用物質は、結合パートナーC、例えばC2を含むことができ、該結合パートナーC2は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬のそれぞれ結合部位Z、例えばZ2に、可逆的に結合されることができる。いくつかの態様において、第2の作用物質は、多量体形成物質と接触させるかまたはインキュベートすると、結合パートナーC、例えばC1と結合部位Z、例えばZ2との間で形成される可逆的結合を介して、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合される。いくつかの場合には、C1およびC2は、同じもしくは実質的に同じであることができ、かつ/または同じもしくは実質的に同じ部分を含むことができる。いくつかの場合には、Z1およびZ2は、同じもしくは実質的に同じであることができ、かつ/または同じもしくは実質的に同じ部分を含むことができる。
【0095】
いくつかの態様において、結合パートナーC1およびC2として用いると、多量体形成物質の同じ結合部位に結合する部分は、(第1の結合パートナーC1の、およびまた第2の結合パートナーC2の)同じ競合試薬またはその類似体を、標的細胞(例えばT細胞)の集団の増大を妨害し、いくつかの場合には終わらせるために、および多量体形成物質からこの標的細胞(例えばT細胞)の集団を放出するために用いることができるという利点を有する。
【0096】
結合パートナーCを含むように結合物質(例えば、例えば第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)を作製するためのいくつかの場合には、結合パートナーC、例えばC1またはC2が、N末端またはC末端のいずれかで作用物質との融合ペプチドの一部であるように、結合パートナーC、例えばC1またはC2を、作用物質(例えば抗体断片)の組換え生産のために用いられるそれぞれの発現ベクターによって提供することができる。いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片である作用物質に関連して、結合パートナーC、例えばC1またはC2は、軽鎖または重鎖のいずれかのC末端に存在することができる。また、抗体分子の可変ドメインなどの組換えタンパク質をクローニングする、およびそれぞれのタンパク質、例えば抗体断片を組換え生産するこの方法も、当業者に周知であり、例えば、Skerra, A. (1994)を参照されたい。いくつかの態様において、例えば、ファージディスプレイ(例えば、Kay, B.K. et al. (1996) Phage Display of Peptides and Proteins - A Laboratory Manual, 1st Ed., Academic Press, New York NY;Lowman, H.B. (1997) Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26, 401-424、またはRodi, D.J., and Makowski, L. (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 10, 87-93において概説されている)、リボソームディスプレイ(Amstutz, P. et al. (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12, 400-405において概説されている)、またはWilson, D.S. et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 3750-3755に報告されているmRNAディスプレイなどの周知の進化的方法によって、記載されるようなCD3もしくはCD28または他のアクセサリーもしくは刺激物質分子などの所与の標的に対して抗体様特性を有する人工結合分子の抗体分子を、生成することができる。
【0097】
II. 可逆的試薬システムおよび関連用途
いくつかの態様において、本方法は、細胞の表面上の分子(細胞表面分子)に結合することができる少なくとも1つの作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)が試薬と会合している、例えば可逆的に会合している可逆的システムを使用する。いくつかの場合には、試薬は、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に結合することができる、例えば可逆的に結合することができる複数の結合部位を含有する。いくつかの場合には、試薬は、少なくとも1つの作用物質がそれに結合している多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、少なくとも1つの作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、分子のエピトープまたは領域に特異的に結合することができる少なくとも1つの結合部位Bを含有し、かつまた、試薬の少なくとも1つの結合部位Zに特異的に結合する、結合パートナーCとも本明細書において呼ばれる結合パートナーも含有する。いくつかの場合には、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の結合相互作用は、非共有結合的相互作用である。いくつかの場合には、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の結合相互作用は、共有結合的相互作用である。いくつかの態様において、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の、非共有結合的相互作用などの結合相互作用は、可逆的である。
【0098】
いくつかの態様において、可逆的会合は、少なくとも1つの結合部位Zに結合することもできる結合部位であるかまたはそれを含有する、競合試薬(溶出試薬とも呼ばれる)などの物質の存在下で媒介され得る。概して、物質(例えば競合試薬)は、競合物質として作用することができる。例えば、いくつかの態様において、結合パートナーCは、そのオフレートの結果として、少なくとも1つの結合部位Zから解離する。ある特定の局面において、解離後に、結合パートナーCは、(i) 少なくとも1つの結合部位Zに再び結合する可能性があり、または、いくつかの局面において、(ii) 物質、例えば競合試薬が、1つ以上の結合部位Zに最初に結合する場合、少なくとも1つの結合部位Zに再び結合することが阻止される。いくつかの局面において、物質は、試薬中に存在する結合部位Zに対してより高い結合親和性を有してもよく、かつ/または高いかつ/もしくは十分な濃度で存在してもよく、かつ/または結合パートナーCよりも高い濃度で存在するために、それによって、1つ以上の結合パートナーC由来の付着したかつ/または会合した結合パートナーCの量を低減させる。いくつかの態様において、少なくとも1つの結合部位Zに対する物質(例えば競合試薬)の親和性は、少なくとも1つの結合部位Zに対する作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の結合パートナーCの親和性よりも高い。ある特定の態様において、試薬の結合部位Zと作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の結合パートナーCとの間の結合は、物質(例えば競合試薬)の添加によって低減させるまたは減少させることができ、それによっていくつかの局面において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)と試薬との会合を効果的に可逆的にすることができる。
【0099】
そのような可逆的システムにおいて用いられ得る試薬は、当技術分野において記述されており、かつ公知であり、例えば、米国特許第5,168,049号;同第5,506,121号;同第6,103,493号;同第7,776,562号;同第7,981,632号;同第8,298,782号;同第8,735,540号;同第9,023,604号;ならびに国際公開PCT出願番号WO2013/124474およびWO2014/076277を参照されたい。可逆的相互作用を形成することができる試薬および結合パートナー、ならびにそのような結合を逆転することができる物質(例えば競合試薬)の非限定的な例は、以下に記載されている。
【0100】
A. 試薬
いくつかの態様において、試薬は、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)によって含まれる結合パートナーCに可逆的に結合することができる、1つまたは複数の結合部位Zを含有する。いくつかの態様において、試薬は、試薬が複数の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に可逆的に結合することができ、例えば、1つ以上の結合した試薬を有する多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬であるように、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)中に含まれる結合パートナーCに各々が特異的に結合することができる複数の結合部位Zを含有する。いくつかの態様において、試薬は、少なくとも1つの結合部位Zを各々が含有する、個別分子(例えば単量体)または個別分子(例えば四量体)を作り上げる複合体のオリゴマーまたはポリマーである。いくつかの態様において、試薬は、少なくとも2つの結合部位Z、少なくとも3つの結合部位Z、少なくとも4つの結合部位Z、例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72個またはそれ以上の結合部位Zを含有する。結合部位はすべて同じであることができ、または、複数の結合部位は、1つ以上の異なる結合部位(例えば、Z1、Z2、Z3など)を含有することができる。いくつかの態様において、試薬は、オリゴマー粒子試薬であり、かつ少なくとも72、120、140、200、240、280、320、360、400、440、480、520、560、600、640、680、720、760、800、900、1,000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000個、または少なくとも100,000個の結合部位Zを含有する。
【0101】
いくつかの態様において、1つ以上の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、例えば、試薬上に存在する1つまたは複数の結合部位Zを介して、試薬と会合し、例えば試薬に可逆的に結合される。いくつかの場合には、これにより結果として、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)が相互に対して近接して配置され、そのため、(少なくとも2コピーの)細胞表面分子を有する標的細胞が、特定の分子に結合することができる1つ以上の結合部位Bを有する作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)と接触した場合、アビディティ効果が起こり得る。
【0102】
いくつかの態様において、同じである、すなわち同じ結合部位Bを含有する、2つ以上の異なる作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、試薬に可逆的に結合され得る。いくつかの態様において、同じ結合部位Bを含有する2つ以上の異なる作用物質は、オリゴマー粒子試薬に可逆的に結合される。いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる(種類の)作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)を用いることが可能であり、かついくつかの場合には、3つまたは4つの異なる(種類の)作用物質、例えば、2つ以上の異なる受容体結合物質および/または選択物質を用いることが可能である。例えば、いくつかの態様において、試薬は、結合部位B1、B2、B3、またはB4などを含有する第1の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)、および、別の結合部位、例えば、結合部位B1、B2、B3、またはB4のうちの別のものを含有する第2の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に可逆的に結合され得る。いくつかの場合には、第1の作用物質と第2の作用物質の結合部位は、同じであることができる。例えば、いくつかの局面において、少なくとも2つの作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の各々は、同じ分子に結合することができる。いくつかの場合には、第1の作用物質と第2の作用物質の結合部位は、異なることができる。いくつかの局面において、少なくとも2つの作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の各々は、第1の分子、第2の分子などの異なる分子に結合することができる。いくつかの場合には、細胞表面分子などの異なる分子が、同じ標的細胞上に存在することができる。他の場合には、細胞表面分子などの異なる分子が、同じ細胞の集団中に存在する異なる標的細胞上に存在することができる。いくつかの場合には、さらなる異なる結合部位を各々が含有する第3、第4などの作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)が、同じ試薬と会合することができる。
【0103】
いくつかの態様において、2つ以上の異なる作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、同じ結合パートナーCを含有する。いくつかの態様において、2つ以上の異なる作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、異なる結合パートナーを含有する。いくつかの局面において、第1の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、試薬上に存在する結合部位Z1に特異的に結合することができる結合パートナーC1を有することができ、第2の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、試薬上に存在する結合部位Z1または結合部位Z2に特異的に結合することができる結合パートナーC2を有することができる。したがって、いくつかの例において、試薬によって含まれる複数の結合部位Zは、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)によって含まれる、それぞれ結合パートナーC1およびC2に可逆的に結合することができる結合部位Z1およびZ2を含む。いくつかの態様において、C1とC2は同じであり、かつ/またはZ1とZ2は同じである。他の局面において、複数の結合部位Zのうちの1つまたは複数は、異なることができる。他の例において、複数の結合パートナーCのうちの1つまたは複数は、異なってもよい。結合パートナーCの各々が結合部位Zのうちの1つと相互作用する、例えば特異的に結合することができる限り、結合部位Zを含有する試薬と適合性である異なる結合パートナーCの任意の組み合わせを選択することは、当業者の水準内である。
【0104】
いくつかの態様において、試薬は、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインもしくは類似体、アビジン、アビジンムテインもしくは類似体(例えばニュートラアビジン)、またはそれらの混合物であり、そのような試薬は、結合パートナーCとの可逆的会合のための1つ以上の結合部位Zを含有する。いくつかの態様において、結合パートナーCは、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインもしくは類似体、アビジン、またはアビジンムテインもしくは類似体に特異的に結合することができる、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチド、または他の分子であることができる。いくつかの態様において、試薬は、ビオチン、ビオチン類似体、またはその生物学的に活性な断片に可逆的に結合する、ストレプトアビジン、アビジン、ストレプトアビジンの類似体もしくはムテイン、または類似体もしくはムテインもしくはアビジンであるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、試薬は、ストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、ストレプトアビジンの類似体もしくはムテイン、またはアビジンの類似体もしくはムテインであるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、物質(例えば競合試薬)は、1つ以上の結合部位Zに対する結合について結合パートナーCと競合することができる、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドであることができる。いくつかの態様において、結合パートナーCと物質(例えば競合試薬)は異なり、物質(例えば競合試薬)は、結合パートナーの親和性と比較して、1つ以上の結合部位Zに対してより高い結合親和性を示す。
【0105】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンは、野生型ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインまたは類似体、例えばストレプトアビジン様ポリペプチドであることができる。同様に、アビジンは、いくつかの局面において、野生型アビジンまたはアビジンのムテインもしくは類似体、例えば、典型的にはより中性のpiを示し、ネイティブアビジンの代替物として利用可能である、修飾アルギニンを有する脱グリコシル化アビジンであるニュートラアビジンを含む。概して、脱グリコシル化された中性形態のアビジンには、例えば、Sigma Aldrichから入手可能な「Extravidin」、または、例えばThermo ScientificもしくはInvitrogenから入手可能な「NeutrAvidin」などの、それらの市販されている形態が含まれる。
【0106】
いくつかの態様において、試薬は、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインもしくは類似体である。いくつかの態様において、野生型ストレプトアビジン(wt-ストレプトアビジン)は、Argarana et al, Nucleic Acids Res. 14 (1986) 1871-1882によって開示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)を有する。概して、ストレプトアビジンは、各サブユニットがビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはビオチン模倣体に対する単一の結合部位を含有する、4つの同一サブユニットの四量体として天然に存在し、すなわち、ホモ四量体である。ストレプトアビジンサブユニットの例示的な配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列であるが、そのような配列はまた、他のストレプトマイセス属(Streptomyces)の種由来のそのホモログ中に存在する配列を含むこともできる。特に、ストレプトアビジンの各サブユニットは、約10-14 Mのオーダーの解離定数(Kd)での、ビオチンに対する強い結合親和性を示し得る。いくつかの場合には、ストレプトアビジンは、4つの結合部位のうちの1つのみが機能的である一価四量体(Howarth et al. (2006) Nat. Methods, 3:267-73;Zhang et al. (2015) Biochem. Biophys. Res. Commun., 463:1059-63)、4つの結合部位のうちの2つが機能的である二価四量体(Fairhead et al. (2013) J. Mol. Biol., 426:199-214)として存在することができ、または単量体もしくは二量体形態で存在することができる(Wu et al. (2005) J. Biol. Chem., 280:23225-31;Lim et al. (2010) Biochemistry, 50:8682-91)。
【0107】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンは、任意の形態、例えば野生型または非修飾ストレプトアビジン、例えば、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはビオチン模倣体に対する結合部位を含有する少なくとも1つの機能的サブユニットを含む、例えばSEQ ID NO:1に示されるストレプトマイセス・アビジニイ(Streptomyces avidinii)由来の野生型ストレプトアビジンの少なくとも1つの機能的サブユニットまたはその機能的に活性な断片を概して含有する、ストレプトマイセス属の種由来のストレプトアビジンまたはその機能的に活性な断片であってもよい。例えば、いくつかの態様において、ストレプトアビジンは、N末端および/またはC末端で短縮されている野生型ストレプトアビジンの断片を含むことができる。そのような最小ストレプトアビジンは、N末端がSEQ ID NO:1のアミノ酸位置10~16の領域において始まり、C末端がSEQ ID NO:1のアミノ酸位置133~142の領域において終わる任意のものを含む。いくつかの態様において、ストレプトアビジンの機能的に活性な断片は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸の配列を含有する。いくつかの態様において、SEQ ID NO:2に示されるようなストレプトアビジンは、SEQ ID NO:1に示されるナンバリングでAla13に対応する位置にN末端メチオニンをさらに含有することができる。ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインにおける残基の位置への言及は、SEQ ID NO:1における残基のナンバリングに関するものである。
【0108】
いくつかの局面において、ストレプトアビジンムテインは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、または付加によって非修飾または野生型ストレプトアビジンの配列から区別されるが、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに対する結合部位を含有する少なくとも1つの機能的サブユニットを含む、ポリペプチドを含む。いくつかの局面において、ストレプトアビジン様ポリペプチドおよびストレプトアビジンムテインは、本質的に野生型ストレプトアビジンと免疫学的に等価であり、特に、wt-ストレプトアビジンと同じかまたは異なる親和性でビオチン、ビオチン誘導体、またはビオチン類似体に結合することができる、ポリペプチドであることができる。いくつかの場合には、ストレプトアビジン様ポリペプチドまたはストレプトアビジンムテインは、野生型ストレプトアビジンの一部ではないアミノ酸を含有してもよく、または、野生型ストレプトアビジンの一部のみを含んでもよい。いくつかの態様において、宿主により産生されたポリペプチドを野生型ストレプトアビジンの構造に変換するために必要とされる酵素を宿主が有さないため、ストレプトアビジン様ポリペプチドは、野生型ストレプトアビジンと同一ではないポリペプチドである。いくつかの態様において、ストレプトアビジンはまた、ストレプトアビジン四量体およびストレプトアビジン二量体、特にストレプトアビジンホモ四量体、ストレプトアビジンホモ二量体、ストレプトアビジンヘテロ四量体、およびストレプトアビジンヘテロ二量体として存在してもよい。概して、各サブユニットは通常、ビオチンもしくはビオチン類似体に対する、またはストレプトアビジン結合ペプチドに対する結合部位を有する。ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの例は、例えば、WO 86/02077、DE 19641876 Al、US 6,022,951、WO 98/40396、またはWO 96/24606において言及されている。
【0109】
いくつかの態様において、ビオチンは概して、その天然のd-立体異性形態、すなわち、D-ビオチンにおいて使用される。いくつかの態様において、ビオチンはD-ビオチンである。特定の態様において、ビオチン類似体および/または誘導体の例には、D-ビオチン、N-ケトンビオチン類似体、ケトンビオチン類似体、N-アジドビオチン類似体、アジドビオチン類似体、N-アシルアジドビオチン類似体、NBD-GABAビオチン類似体、1,2-ジアミンビオチン類似体、N-アルキンビオチン類似体、テトラチオールビオチン類似体、N-ヒドロキシスクシンイミド-イミノビオチン、イミノビオチン、アミドビオチンN-ヒドロキシスクシンイミド-イミノビオチン、アミドビオチン、デスチオビオチン、ビオチンスルホン、カプロイルアミノビオチン、およびビオシチンが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの局面において、ビオチン類似体は、ビオチンスルホン、2'-チオビオチン、2'-イミノビオチン、d-デスチオビオチン、dl-デスチオビオチン、dl-デスチオビオチンメチルエステル、および他のイミダゾリドン誘導体、およびGreen, N.M., (1975) in Advances in Protein Chemistry (Anson, M.L. and Edsell, J.T., Eds), Vol. 29, pp. 85-133, Academic Press, New Yorkに記載されているものであるかまたはそれを含む。ある特定の態様において、ビオチン類似体または誘導体は、D-ビオチン、デスチオビオチン、および/またはイミノビオチンである。
【0110】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、非修飾もしくは野生型ストレプトアビジンの一部ではないアミノ酸を含有することができ、または野生型もしくは非修飾ストレプトアビジンの一部のみを含むことができる。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、非修飾または野生型ストレプトアビジンのサブユニットと比較して、例えば、SEQ ID NO:1に示される野生型ストレプトアビジンサブユニット、または例えばSEQ ID NO:2に示される、その機能的に活性な断片と比較して、もう1つのアミノ酸置換(substitution)(置換(replacement))を有し得る、少なくとも1つのサブユニットを含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインの少なくとも1つのサブユニットは、野生型もしくは非修飾ストレプトアビジンと比較して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個のアミノ酸の相違を有することができ、かつ/またはSEQ ID NO:1、2、もしくは59に示されるアミノ酸の配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む少なくとも1つのサブユニットを含有し、そのようなストレプトアビジンムテインは、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはビオチン模倣体に結合する機能的活性を示す。いくつかの態様において、アミノ酸の置換(replacement)(置換(substitution))は、保存的または非保存的変異である。ストレプトアビジンムテインの例は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,168,049号;同第5,506,121号;同第6,022,951号;同第6,156,493号;同第6,165,750号;同第6,103,493号;もしくは同第6,368,813号;または国際公開PCT出願番号WO2014/076277を参照されたい。
【0111】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインは、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに対する1つ以上の結合部位Zを含有する1つまたは1つよりも多い機能的サブユニット、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、およびいくつかの場合には、5、6、7、8、9、10、11、12個以上の機能的サブユニットを含有するタンパク質を含む。いくつかの態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインは、単量体;ヘテロ二量体もしくはホモ二量体を含む二量体;ホモ四量体、ヘテロ四量体、一価四量体、もしくは二価四量体を含む四量体を含むことができ;または、そのより高次の多量体もしくはオリゴマーを含むことができる。
【0112】
いくつかの態様において、ペプチドリガンド結合パートナーに対するストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの結合親和性、例えば解離定数(Kd)は、1×10-4 M、5×10-4 M、1×10-5 M、5×10-5 M、1×10-6 M、5×10-6 M、または1×10-7 M未満であるが、概して1×10-13 M、1×10-12 M、または1×10-11 Mよりも大きい。例えば、米国特許第5,506,121号に開示されているようなペプチド配列(Strep-tag)は、ビオチン模倣体として作用することができ、例えば、およそ10-4~10-5 MのKdの、ストレプトアビジンに対する結合親和性を示す。いくつかの場合には、結合親和性は、ストレプトアビジン分子内に変異を生じさせることによってさらに改善することができ、例えば、米国特許第6,103,493号または国際公開PCT出願番号WO2014/076277を参照されたい。いくつかの態様において、結合親和性は、本明細書に記載されるいずれかなどの、当技術分野において公知の方法によって決定することができる。
【0113】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインなどの試薬は、ペプチドリガンド結合パートナーに対して結合親和性を示し、このペプチドリガンド結合パートナーは、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)中に存在する結合パートナーCであることができる。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:9に示される一般式を有する配列を含有し、例えばSEQ ID NO:10に示される配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:11に示される、例えばSEQ ID NO:12に示される一般式を有する。1つの例において、ペプチド配列は、Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(Strep-tag(登録商標)とも呼ばれ、SEQ ID NO:7に示される)である。1つの例において、ペプチド配列は、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれ、SEQ ID NO:8に示される)である。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続的配置を含有し、2つのモジュール間の距離は、少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、1つの結合モジュールは、3~8アミノ酸を有し、かつ少なくとも配列His-Pro-Xaa(SEQ ID NO:9)を含有し、式中、Xaaはグルタミン、アスパラギン、またはメチオニンであり、かつ、もう1つの結合モジュールは、SEQ ID NO:11に示されるような、同じかまたは異なるストレプトアビジンペプチドリガンドを有する(例えば、国際公開PCT出願番号WO02/077018;米国特許第7,981,632号を参照されたい)。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、SEQ ID NO:13または14のいずれかに示される式を有する配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、SEQ ID NO:15~19のいずれかに示されるアミノ酸の配列を有する。ほとんどの場合には、これらのストレプトアビジン結合ペプチドはすべて、同じ結合部位、すなわちストレプトアビジンのビオチン結合部位に結合する。そのようなストレプトアビジン結合ペプチドのうちの1つまたは複数が、結合パートナーC、例えばC1およびC2として用いられる場合、結合パートナーCを介して1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、典型的には1つ以上のストレプトアビジンムテインから構成される。
【0114】
いくつかの態様において、試薬は、ストレプトアビジンムテインであるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:1に示される野生型ストレプトアビジンまたはその生物学的に活性な部分と比較して、1つ以上の変異(例えばアミノ酸置換)を含有する。例えば、ストレプトアビジンの生物学的に活性な部分は、いくつかの場合には最小ストレプトアビジンと呼ばれる、N末端および/またはC末端で短縮されているストレプトアビジンバリアントを含むことができる。いくつかの態様において、変異のいずれかを生じさせることができるN末端短縮最小ストレプトアビジンは、SEQ ID NO:1に示される配列と比較して、N末端がアミノ酸位置10~16の領域において始まり、C末端がアミノ酸位置133~142の領域において終わる。いくつかの態様において、変異のいずれかを生じさせることができるN末端短縮ストレプトアビジンは、SEQ ID NO:2または59に示されるアミノ酸配列を含有する。いくつかの態様において、最小ストレプトアビジンは、位置Ala13~Ser139のアミノ酸配列を含有し、かつ任意で、Ala13の代わりにN末端メチオニン残基を有する。明細書における目的で、アミノ酸位置のナンバリングは、全体を通して、SEQ ID NO:1に示されるwt-ストレプトアビジンのナンバリングを指す(例えば、Argarana et al., Nucleic Acids Res. 14 (1986), 1871-1882。
図9も参照されたい)。
【0115】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、米国特許第6,103,493号に記載されている変異体である。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:1に示されるような野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列に基づいて、アミノ酸位置44~53の領域内に少なくとも1つの変異を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、1つ以上の残基44、45、46、および/または47に変異を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、野生型ストレプトアビジンの44位のGluから疎水性脂肪族アミノ酸、例えばVal、Ala、Ile、もしくはLeuへの置換、45位の任意のアミノ酸、46位の疎水性脂肪族アミノ酸などの脂肪族アミノ酸、および/または47位のValから塩基性アミノ酸、例えばArgもしくはLys、例えば概してArgへの置換を含有する。いくつかの態様において、Alaが46位にあり、かつ/またはArgが47位にあり、かつ/またはValもしくはIleが44位にある。いくつかの態様において、ストレプトアビジン変異体は、SEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4もしくは60に示されるアミノ酸の配列を含有する例示的なストレプトアビジンムテイン(ストレプトアビジン変異体1、SAM1としても公知)に示されるような、残基Val44-Thr45-Ala46-Arg47を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:5、6、または61に示されるアミノ酸の配列を含有する例示的なストレプトアビジンムテイン(SAM2としても公知)に示されるような、残基Ile44-Gly45-Ala46-Arg47を含有する。いくつかの場合には、そのようなストレプトアビジンムテインは、例えば、米国特許第6,103,493号に記載されており、Strep-Tactin(登録商標)という商標の下で市販されている。
【0116】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、国際公開PCT出願番号WO 2014/076277に記載されている変異体である。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸位置を基準として、アミノ酸位置44~53の領域に少なくとも2つのシステイン残基を含有する。いくつかの態様において、システイン残基は、これらのアミノ酸を連結するジスルフィド架橋を作成するように45位および52位に存在する。そのような態様において、アミノ酸44は典型的にグリシンまたはアラニンであり、かつアミノ酸46は典型的にアラニンまたはグリシンであり、かつアミノ酸47は典型的にアルギニンである。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸位置を基準として、アミノ酸残基115~121の領域に少なくとも1つの変異またはアミノ酸の相違を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、アミノ酸位置117、120、および121に少なくとも1つの変異、ならびに/またはアミノ酸118および119の欠失、ならびに少なくともアミノ酸位置121の置換を含有する。
【0117】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、117位に対応する位置に変異を含有し、その変異は、Trp、Tyr、もしくはPheのような大型疎水性残基、またはGlu、Asp、もしくはArgのような荷電残基、またはAsnもしくはGlnのような親水性残基、またはいくつかの場合には、疎水性残基Leu、Met、もしくはAla、または極性残基Thr、Ser、もしくはHisへであることができる。いくつかの態様において、117位の変異は、SerまたはAlaまたはGlyのような小型残基へであることができる120位に対応する位置の変異、ならびに、Trp、Tyr、またはPheのようなかさ高い疎水性残基などの疎水性残基へであることができる121位に対応する位置の変異と組み合わされる。いくつかの態様において、117位の変異は、Leu、Ile、Met、もしくはVal、または概してTyrもしくはPheなどの疎水性残基であることができる、SEQ ID NO:1に示される野生型ストレプトアビジンまたはその生物学的に活性な断片の120位に対応する位置の変異、および、Gly、Ala、もしくはSerのような小型残基へ、またはGlnで、またはLeu、Val、Ile、Trp、Tyr、Phe、もしくはMetのような疎水性残基でであることができる、SEQ ID NO:1に示される野生型ストレプトアビジンまたはその生物学的に活性な断片と比較して121位に対応する位置の変異と組み合わされる。いくつかの態様において、そのようなムテインはまた、残基Val44-Thr45-Ala46-Arg47または残基Ile44-Gly45-Ala46-Arg47も含有することができる。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、残基Val44、Thr45、Ala46、Arg47、Glu117、Gly120、およびTyr121を含有する。いくつかの態様において、ムテインストレプトアビジンは、SEQ ID NO:27もしくはSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:27もしくはSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸の配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含有し、残基Val44、Thr45、Ala46、Arg47、Glu117、Gly120、およびTyr121を含有し、かつビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合する機能的活性を示す。
【0118】
いくつかの態様において、分子、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインは、いくつかの場合には、N末端アミンおよび/または1つ以上のリジン残基を含むことができる、約5~30個の一級アミンを有する。特定の態様において、分子は、記載されるストレプトアビジンムテインのいずれかを含む、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの四量体であり、四量体として、5個よりも多い一級アミン、例えば概して、5~40個または15~35個、例えば概して、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、14、25、26、27、28、29、30、31、32個またはそれ以上の一級アミンを含有する。いくつかの態様において、分子は、ストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテインまたはその切断型断片、例えばそのような記載される分子のいずれかである。特定の態様において、分子は、SEQ ID NO:2、4、6、27、59、60、または61のいずれかに示される配列を含むストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの四量体であり、四量体として、単量体当たり1個のN末端アミンおよび4個のリジンを含む、20個の一級アミンを含有する分子である。
【0119】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、上記変異のいずれかを任意の組み合わせで含有することができ、結果として生じるストレプトアビジンムテインは、ペプチドリガンド(Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly;Strep-tag(登録商標)とも呼ばれ、SEQ ID NO:7に示される)に対して3.7×10-5 Mであるかもしくは3.7×10-5 M未満である、かつ/またはペプチドリガンド(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys;Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれ、SEQ ID NO:8に示される)に対して7.1×10-5 M であるかもしくは7.1×10-5 M未満である、かつ/またはSEQ ID NO:7~19のいずれかに示されるペプチドリガンドのいずれかに対して7.0×10-5 M、6.0×10-5 M、5.0×10-5 M、4.0×10-5 M、3.0×10-5 M、2.0×10-5 M、1.0×10-5 M、9.0×10-6 M、8.0×10-6 M、7.0×10-6 M、6.0×10-6 M、5.0×10-6 M、4.0×10-6 M、3.0×10-6 M、2.0×10-6 M、1.0×10-6 M、9.0×10-7 M、8.0×10-7 M、7.0×10-7 M、6.0×10-7 M、5.0×10-7 M、4.0×10-7 M、3.0×10-7 M、2.0×10-7 M、もしくは1.0×10-7 Mであるかもしくはそれらの値未満であるが概して1×10-13 M、1×10-12 M、もしくは1×10-11 Mよりも大きい解離定数(Kd)を特徴とする、結合親和性を示し得る。
【0120】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、上記変異のいずれかを任意の組み合わせで含有することができ、結果として生じるストレプトアビジンムテインは、ペプチドリガンド(Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly;Strep-tag(登録商標)とも呼ばれ、SEQ ID NO:7に示される)に対して2.7×104 M-1であるかもしくは2.7×104 M-1よりも大きい、かつ/またはペプチドリガンド(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys;Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれ、SEQ ID NO:8に示される)に対して1.4×104 M-1であるかもしくは1.4×104 M-1よりも大きい、かつ/またはSEQ ID NO:7~19のいずれかに示されるペプチドリガンドのいずれかに対して1.43×104 M-1、1.67×104 M-1、2×104 M-1、3.33×104 M-1、5×104 M-1、1×105 M-1、1.11×105 M-1、1.25×105 M-1、1.43×105 M-1、1.67×105 M-1、2×105 M-1、3.33×105 M-1、5×105 M-1、1×106 M-1、1.11×106 M-1、1.25×106 M-1、1.43×106 M-1、1.67×106 M-1、2×106 M-1、3.33×106 M-1、5×106 M-1、1×107 M-1であるもしくはそれらの値よりも大きいが概して1×1013 M-1、1×1012 M-1、もしくは1×1011 M-1未満である会合定数(Ka)を特徴とする、結合親和性を示し得る。
【0121】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:3~6、27、28、60、もしくは61のいずれかに示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:3~6、27、28、60、もしくは61のいずれかに示されるアミノ酸の配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を示し、かつ、ペプチドリガンド(Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly;STREP-TAG(登録商標)とも呼ばれ、SEQ ID NO:7に示される)に対して3.7×10-5 Mであるかもしくは3.7×10-5 M未満である、かつ/またはペプチドリガンド(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys;STREP-TAG(登録商標)IIとも呼ばれ、SEQ ID NO:8に示される)に対して7.1×10-5 Mであるかもしくは7.1×10-5 M未満である、かつ/またはSEQ ID NO:7~19のいずれかに示されるペプチドリガンドのいずれかに対して7.0×10-5 M、6.0×10-5 M、5.0×10-5 M、4.0×10-5 M、3.0×10-5 M、2.0×10-5 M、1.0×10-5 M、9.0×10-6 M、8.0×10-6 M、7.0×10-6 M、6.0×10-6 M、5.0×10-6 M、4.0×10-6 M、3.0×10-6 M、2.0×10-6 M、1.0×10-6 M、9.0×10-7 M、8.0×10-7 M、7.0×10-7 M、6.0×10-7 M、5.0×10-7 M、4.0×10-7 M、3.0×10-7 M、2.0×10-7 M、もしくは1.0×10-7 Mであるもしくはそれらの値未満であるが概して1×10-13 M、1×10-12 M、もしくは1×10-11 Mよりも大きい解離定数(Kd)を特徴とする、結合親和性を示す。
【0122】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインはまた、他のストレプトアビジンリガンド、例えば、非限定的に、ビオチン、イミノビオチン、リポ酸、デスチオビオチン、ジアミノビオチン、HABA(ヒドロキシアゾベンゼン安息香酸)、および/またはジメチルHABAに対する結合も示す。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:7~19のいずれかに示されるようなビオチン模倣ペプチドリガンドに対するストレプトアビジンムテインの結合親和性よりも大きい、ビオチンまたはデスチオビオチンなどの別のストレプトアビジンリガンドに対する結合親和性を示す。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:7~19のいずれかに示されるようなビオチン模倣ペプチドリガンドに対するストレプトアビジンムテインの結合親和性と同じか、ほぼ同じか、またはそれよりも低い、ビオチンまたはデスチオビオチンなどの別のストレプトアビジンリガンドに対する結合親和性を示す。いくつかの態様において、ビオチンまたはビオチン類似体もしくは誘導体(例えばデスチオビオチン)を、提供される方法において競合試薬として使用することができる。例えば、例として、(例えば、SEQ ID NO:4または60に示される配列を含有する)Strep-tactin(登録商標)と命名されたムテインストレプトアビジンと、(例えば、SEQ ID NO:8に示される)STREP-TAG(登録商標)IIと命名されたペプチドリガンドとの相互作用は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用についてのおよそ10-13 Mと比較して、およそ10-6 MのKdを有する結合親和性を特徴とする。いくつかの場合には、10-10~10-13 Mまたは約10-10~10-13 MのKdを有する高い親和性でStrep-Tactin(登録商標)に結合することができるビオチンは、結合部位に対してSTREP-TAG(登録商標)IIと競合することができる。
【0123】
いくつかの場合には、試薬は、遷移金属イオンに結合することができ得る少なくとも2つのキレート基Kを含有する。いくつかの態様において、試薬は、オリゴヒスチジン親和性タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カルモジュリンもしくはその類似体、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、FLAGペプチド、HAタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)、HSVエピトープ、mycエピトープ、および/またはビオチン化担体タンパク質に結合することができ得る。
【0124】
いくつかの態様において、試薬は、オリゴマーまたはポリマーである。いくつかの態様において、オリゴマーまたはポリマーは、天然に存在するようなタンパク質の個別分子を直接または間接的に連結することによって、単量体の個別分子または個別分子を作り上げるサブユニットの複合体を直接または間接的に連結する(例えば、天然に存在するようなタンパク質の二量体、三量体、四量体などを直接または間接的に連結する)ことによってのいずれかで生成することができる。例えば、いくつかの態様において、四量体ストレプトアビジンまたはアビジンは、それぞれのオリゴマーまたはポリマーの個別分子または最小構成単位と称され得る。特定の態様において、ストレプトアビジンまたはアビジンの四量体ホモ二量体またはヘテロ二量体は、それぞれのオリゴマーまたはポリマーの個別分子または最小構成単位と称され得る。いくつかの態様において、オリゴマーまたはポリマーは、タンパク質の少なくとも2つの個別分子の連結を含むことができる(すなわち、2マーである)か、またはタンパク質の個別分子(例えば、単量体、四量体)の少なくとも3マー、4マー、5マー、6マー、7マー、8マー、9マー、10マー、11マー、12マー、13マー、14マー、15マー、16マー、17マー、18マー、19マー、20マー、25マー、30マー、35マー、40マー、45マー、もしくは50マーであることができる。ある特定の態様において、オリゴマーは、タンパク質の個別分子の少なくとも100マー、200マー、300マー、400マー、500マー、1,000マー、1,500マー、2,000マー、2,500マー、3,000マー、または少なくとも3,500マーであることができる。いくつかの態様において、試薬は、セクションII(A)(1)もしくは(2)に記載されているオリゴマー粒子試薬であるか、またはセクションII(B)(3)に記載されている方法によって製造されるオリゴマー粒子試薬である。
【0125】
オリゴマーは、公開された米国特許出願番号US2004/0082012に記載されているいずれかなどの、当技術分野において公知の任意の方法を用いて生成することができる。いくつかの態様において、オリゴマーまたはポリマーは、例えば多糖または二官能性リンカーによって架橋され得る、2つ以上の個別分子を含有する。
【0126】
いくつかの態様において、オリゴマーまたはポリマーは、多糖の存在下で個別分子または個別分子を作り上げるサブユニットの複合体を架橋することによって得られる。いくつかの態様において、オリゴマーまたはポリマーは、多糖、例えばデキストランへのカルボキシル残基の導入によって調製することができる。いくつかの局面において、試薬の個別分子(例えば、単量体、四量体)を、従来のカルボジイミド化学を用いてデキストラン骨格のカルボキシル基に、内部リジン残基および/または遊離N末端の一級アミノ基を介してカップリングすることができる。いくつかの態様において、カップリング反応は、デキストランのモル当たり約60モルの試薬の個別分子(例えば、単量体、四量体)のモル比で行われる。
【0127】
いくつかの態様において、試薬は、1つ以上のストレプトアビジンもしくはアビジンの、またはストレプトアビジンの任意の類似体もしくはムテイン、またはアビジンの類似体もしくはムテイン(例えばニュートラアビジン)のオリゴマーまたはポリマーである。いくつかの態様において、結合部位Zは、アビジンまたはストレプトアビジンの天然のビオチン結合部位であり、個別分子中に最大で4つの結合部位が存在することができ(例えば、四量体は、4つの結合部位Zを含有し)、それによって、ホモ四量体は、同じである最大で4つの結合部位、すなわちZ1を含有することができ、他方、ヘテロ四量体は、例えばZ1およびZ2を含有する、異なり得る最大で4つの結合部位を含有することができる。いくつかの態様において、オリゴマーは、同じストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテイン、アビジン、またはアビジンムテインの複数の個別分子(例えば、複数のホモ四量体)から生成されるかまたは作製され、この場合には、オリゴマーの各結合部位Z、例えばZ1は同じである。例えば、いくつかの場合には、オリゴマーは、複数の結合部位Z1、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、45、50個またはそれ以上の結合部位Z1を含有することができる。いくつかの態様において、オリゴマーは、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテイン、アビジン、もしくはアビジンムテインのヘテロ四量体であることができる複数の個別分子から、および/またはその結合部位Z、例えばZ1およびZ2が異なるストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテイン、アビジン、もしくはアビジンムテインの複数の2つ以上の異なる個別分子(例えば、異なるホモ四量体)から生成されるまたは作製され、この場合には、複数の異なる結合部位Z、例えばZ1およびZ2が、オリゴマー中に存在し得る。例えば、いくつかの場合には、オリゴマーは、複数の結合部位Z1、および、組み合わせて、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、45、50個またはそれ以上の組み合わされた結合部位Z1およびZ2を含むことができる複数の結合部位Zを含有することができる。
【0128】
いくつかの場合には、それぞれのオリゴマーまたはポリマーは、多糖によって架橋され得る。1つの態様において、ストレプトアビジンの、またはアビジンの、またはストレプトアビジンもしくはアビジンの類似体(例えばニュートラアビジン)のオリゴマーまたはポリマーは、第1の工程において、Noguchi, A, et al, Bioconjugate Chemistry (1992) 3,132-137に本質的に記載されているように、多糖、例えばデキストランへのカルボキシル残基の導入によって調製することができる。いくつかのそのような局面において、ストレプトアビジンもしくはアビジンまたはその類似体は、次いで、第2の工程において、従来のカルボジイミド化学を用いてデキストラン骨格のカルボキシル基に、内部リジン残基および/または遊離N末端の一級アミノ基を介して連結され得る。いくつかの場合には、ストレプトアビジンもしくはアビジンの、またはストレプトアビジンもしくはアビジンの任意の類似体の架橋オリゴマーまたはポリマーはまた、リンカーとして働く二官能性分子、例えばグルタルジアルデヒドを介して、または当技術分野において記述されている他の方法によって、架橋することによって得られ得る。
【0129】
いくつかの態様において、オリゴマーまたはポリマーは、二官能性リンカーもしくは他の化学リンカー、例えばグルタルジアルデヒドを用いて、または当技術分野において公知の他の方法によって、個別分子または個別分子を作り上げるサブユニットの複合体を架橋することによって得られる。いくつかの局面において、ストレプトアビジンもしくはアビジンの、またはストレプトアビジンもしくはアビジンの任意のムテインもしくは類似体の架橋オリゴマーまたはポリマーは、リンカーとして働く二官能性分子、例えばグルタルジアルデヒドを介して、または当技術分野において記述されている他の方法によって、個別ストレプトアビジンまたはアビジン分子を架橋することによって得られ得る。例えば、ストレプトアビジンムテインにチオール基を導入することによって(これは、例えば、ストレプトアビジンムテインを2-イミノチオラン(Trauts試薬)を反応させることによって行うことができる)、および、例えば別々の反応において、ストレプトアビジンムテインにおける利用可能なアミノ基を活性化することによって、ストレプトアビジンムテインのオリゴマーを生成することが可能である。いくつかの態様において、このアミノ基の活性化は、ストレプトアビジンムテインと市販のヘテロ二官能性架橋剤、例えばスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホSMCC)またはスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)との反応によって達成することができる。いくつかのそのような態様において、そのように得られた2つの反応産物を一緒に混合し、典型的には、修飾ストレプトアビジンムテインの1つのバッチに含有されるチオール基と、修飾ストレプトアビジンムテインのもう1つのバッチの(例えばマレイミド官能基によって)活性化されたアミノ酸との反応をもたらす。いくつかの場合には、この反応によって、ストレプトアビジンムテインの多量体/オリゴマーが形成される。これらのオリゴマーは、任意の適当な数の個別分子、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、45、50、100、200、300、400、500、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000個またはそれ以上を有することができ、オリゴマー形成度は、反応条件によって変動し得る。
【0130】
いくつかの態様において、オリゴマー試薬またはポリマー試薬は、サイズ排除クロマトグラフィーを介して単離することができ、任意の望ましい画分を、試薬として用いることができる。例えば、いくつかの態様において、2-イミノチオランおよびヘテロ二官能性架橋剤、例えばスルホSMCCの存在下で修飾ストレプトアビジンムテインを反応させた後、オリゴマー試薬またはポリマー試薬を、サイズ排除クロマトグラフィーを介して単離することができ、任意の望ましい画分を、試薬として用いることができる。いくつかの態様において、オリゴマーは、単一の分子量を有さない(かつ有する必要がない)が、ガウス分布などの統計学的重量分布が観察され得る。いくつかの場合には、3つよりも多いストレプトアビジンまたはムテイン四量体、例えば、ホモ四量体またはヘテロ四量体、例えば、概して3~50個の四量体、例えば、ホモ四量体もしくはヘテロ四量体、10~40個の四量体、例えば、ホモ四量体もしくはヘテロ四量体、または25~35個の四量体、例えば、ホモ四量体もしくはヘテロ四量体を有する任意のオリゴマーを、試薬として用いることができる。オリゴマーは、例えば、3~25個のストレプトアビジンムテイン四量体、例えば、ホモ四量体またはヘテロ四量体を有し得る。いくつかの局面において、ストレプトアビジンムテインについて約50 kDaの分子量で、オリゴマーは、約150 kDa~約2000 kDa、約150 kDa~約1500 kDa、約150 kDa~約1250 kDa、約150 kDa~1000 kDa、約150 kDa~約500 kDa、または約150 kDa~約300 kDa、約300 kDa~約2000 kDa、約300 kDa~約1500 kDa、約300 kDa~約1250 kDa、約300 kDa~1000 kDa、約300 kDa ~約500 kDa、約500 kDa~約2000 kDa、約500 kDa~約1500 kDa、約500 kDa~約1250 kDa、約500 kDa~1000 kDa、約1000 kDa~約2000 kDa、約1000 kDa~約 1500 kDa、約1000 kDa~約1250 kDa、約1250 kDa~約2000 kDa、または約1500 kDa~約2000 kDaの分子量を有することができる。いくつかの態様において、オリゴマーは、2,000 kDaよりも大きい分子量を有する。概して、各ストレプトアビジン分子/ムテインは4つのビオチン結合部位を有するため、そのような試薬は、12~160個の結合部位Z、例えば12~160個、またはそれよりも多い結合部位Zを提供することができる。いくつかの態様において、オリゴマーは可溶性試薬である。
【0131】
1. オリゴマー粒子試薬
本明細書において、複数の分子、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含むオリゴマー粒子試薬が提供される。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は可溶性試薬である。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質、例えば、刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合するかまたはそれらに可逆的に結合することができる、少なくとも1つの結合部位を含む。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、例えば、1つ以上の作用物質に付着している、結合パートナー、例えば結合パートナーC上の部位で、1つ以上の作用物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質に可逆的に結合している。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、第II章(B)に記載された方法のいずれかによって製造、生成、または作製されるオリゴマー粒子である。
【0132】
ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および/または1以上のアミノ酸を含むもしくは包含する分子であるオリゴマー化分子で構成されるおよび/またはそれらを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質、例えば受容体結合物質に結合することができる複数の結合部位を含むオリゴマー化分子を含むおよび/またはそれらで構成される。いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、第II章(B)(4)および/または第II章(B)(5)に記載されている作用物質に結合することができる複数の結合部位を含む。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質に付着している結合パートナー、例えば結合パートナーC内の部位で1つ以上の作用物質に結合するかまたはそれに結合することができる、複数の結合部位を含む。特定の態様において、オリゴマー化されている分子は、第II章(A)に記載されている結合パートナーCに結合することができる複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー化されている分子は、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインまたは類似体、アビジン、アビジンムテインまたは類似体(ニュートラアビジンなど)であるかまたはそれを包含する。ある特定の態様において、ストレプトアビジンはネイティブ状態で四量体である。したがって、ある特定の態様において、分子は、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインまたは類似体、アビジン、アビジンムテインまたは類似体(ニュートラアビジンなど)の四量体である。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、第II章(A)に記載されている試薬のいずれかの1つ以上の複数を含む。
【0133】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬のサイズは、当技術分野において公知の任意の適した手段によって決定される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬の質量および/または分子量は、これらに限定されないが、電気泳動、例えばSDS-PAGE、クロマトグラフィー、例えばゲルろ過クロマトグラフィーもしくはSEC、または質量分析を含む、当技術分野における任意の適した手段によって決定される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬のサイズ、例えば半径は、動的光散乱技術(DLS)によって決定される。いくつかの態様において、サイズ、例えば半径は、フローフィールドフローフラクショネーション(F4)技術によって決定される。ある特定の態様において、F4は、粒子密度とは無関係にサイズに基づき粒子を分離および測定するために用いられてもよい。ある特定の態様において、粒子サイズは、非対称フローフィールドフローフラクショネーション(AF4)によって測定される。いくつかの態様において、粒子のサイズは、粒子の直径または半径を測定することによって決定されてもよい。ある特定の態様において、粒子のサイズは、粒子の流体力学半径または回転運動の半径を測定することによって決定されてもよい。ある特定の態様において、半径は動的光散乱技術により決定される。ある特定の態様において、半径、例えば流体力学半径および/またはストークス半径は、クロマトグラフィー技術、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)から決定されてもよい。
【0134】
特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、少なくとも5 nm、少なくとも10 nm、少なくとも15 nm、少なくとも20 nm、少なくとも25 nm、少なくとも30 nm、少なくとも35 nm、少なくとも40 nm、少なくとも45 nm、少なくとも50 nm、少なくとも55 nm、少なくとも60 nm、少なくとも65 nm、少なくとも70 nm、少なくとも75 nm、少なくとも80 nm、少なくとも85 nm、少なくとも90 nm、少なくとも95 nm、少なくとも100 nm、少なくとも105 nm、少なくとも110 nm、少なくとも115 nm、少なくとも120 nm、少なくとも125 nm、少なくとも130 nm、少なくとも135 nm、少なくとも、または少なくとも140 nmの半径、例えば、平均半径を有する。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて、5 nm ~150 nm、25 nm ~150 nm、50 nm ~150 nm、75 nm ~125 nm、80 nm ~140 nm、85 nm ~135 nm、80 nm ~120 nm、80 nm ~115 nm、または90 nm ~110 nmの半径を有する。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、約85 nm、約86 nm、約87 nm、約88 nm、約89 nm、約90 nm、約91 nm、約92 nm、約93 nm、約94 nm、約95 nm、約96 nm、約97 nm、約98 nm、約99 nm、約100 nm、約101 nm、約102 nm、約103 nm、約104 nm、約105 nm、約106 nm、約107 nm、約108 nm、約109 nm、約110 nm、約111 nm、約112 nm、約113 nm、約114 nm、または約115 nmの半径を有する。ある特定の態様において、粒子は、両端の値を含めて80 nm~115 nmの半径を有する。
【0135】
いくつかの態様において、半径は、流体力学半径、回転運動の半径、ストークス半径、ストークス-アインシュタイン半径、および/または溶液中での有効水和半径である。ある特定の態様において、半径は流体力学半径である。いくつかの態様において、半径はストークス半径である。特定の態様において、流体力学半径はストークス半径である。いくつかの態様において、半径は、複数の粒子の平均(mean)、中央値、および/または平均(average)半径である。
【0136】
ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、少なくとも2×106 g/mol、3×106 g/mol、5×106 g/mol、1×107 g/mol、少なくとも5×107 g/mol、少なくとも1×108 g/mol、少なくとも1.25×108 g/mol、少なくとも1.5×108 g/mol、少なくとも2×108 g/mol、または少なくとも5×108 g/molの分子量を有する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて、1×106 g/mol~1×1010 g/mol、2×106 g/mol~1×1010 g/mol、1×107 g/mol~1×109 g/mol、5×107 g/mol~5×108 g/mol、7.5×107 g/mol~2.5×108 g/mol、2.5×107 g/mol~2.75×108 g/mol、1×108 g/mol~5×108 g/mol、7.5×107 g/mol~5×108 g/mol、または1×108 g/mol~2×108 g/molの分子量を有する。特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、約7.5×107 g/mol、約8.0×107 g/mol、約9.0×107 g/mol、約1.0×108 g/mol、約1.1×108 g/mol、約1.2×108 g/mol、約1.3×108 g/mol、約1.4×108 g/mol、約1.5×108 g/mol、約1.6×108 g/mol、約1.7×108 g/mol、約1.8×108 g/mol、約1.9×108 g/mol、約2.0×108 g/mol、約2.1×108 g/mol、約2.2×108 g/mol、約2.3×108 g/mol、約2.4×108 g/mol、または約2.5×108 g/molの分子量を有する。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて5×107 g/mol~2×108 g/molの分子量を有する。
【0137】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1,000個、少なくとも1,100個、少なくとも1,200個、少なくとも1,300個、少なくとも1,400個、少なくとも1,500個、少なくとも1,600個、少なくとも1,700個、少なくとも1,800個、少なくとも1,900個、少なくとも2,200個、少なくとも2,300個、少なくとも2,400個、少なくとも2,500個、少なくとも2,600個、少なくとも2,700個、少なくとも2,800個、少なくとも2,900個、少なくとも3,000個、少なくとも4,000個、少なくとも5,000個、少なくとも10,000個、または少なくとも20,000個のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む。特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、100~50,000個、500~10,000個、1,000~20,000個、500~5,000個、300~7,500個、1,500~7,500個、500~3,500個、1,000~5,000個、1,500~2,500個、1,500~2,500個、2,000~3,000個、2,500~3,500個、2,000~4,000個、または2,000~5,000個のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を含むおよび/またはそれらで構成される。いくつかの態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、約2,000~3,500個のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む。
【0138】
いくつかの態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含むオリゴマー粒子試薬が、本明細書において提供される。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質、例えば、刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合するまたは結合することができる複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、両端の値を含めて、25 nm~150 nmの半径;2×106 g/mol~1×1010 g/molの分子量;および/または500~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を有する。
【0139】
特定の態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含むオリゴマー粒子試薬が、本明細書において提供される。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質、例えば、刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合するかまたはそれに可逆的に結合することができる、複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、両端の値を含めて70 nm~125 nmの半径、例えば平均半径;両端の値を含めて1×107 g/mol~1×109 g/molの分子量;および/または両端の値を含めて1,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはトレプトアビジンムテイン四量体を有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、細胞の表面上で1つ以上の作用物質、例えば、受容体などの分子に結合する作用物質などに結合している、例えば、可逆的に結合している。ある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、本明細書、例えば第II章C-3において記載される作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は、抗CD3および/もしくは抗CD28抗体またはその抗原結合断片、例えば、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含む抗体またはその抗原断片などである。特定の態様において、1つ以上の作用物質は、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含む抗CD3および/または抗CD28 Fabである。
【0140】
いくつかの態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含むオリゴマー粒子試薬が、本明細書において提供される。ある特定の態様において、本明細書において提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つ以上の作用物質、例えば、刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合するかまたはそれに可逆的に結合することができる、複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、両端の値を含めて80 nm~120 nmの半径、例えば平均半径;両端の値を含めて7.5×106 g/mol~2×108 g/molの分子量、例えば平均分子量;および/または両端の値を含めて500~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体の数、例えば平均数を有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、細胞の表面上で、1つ以上の作用物質、例えば、受容体などの分子に結合する作用物質に結合している、例えば可逆的に結合している。ある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、本明細書、例えば第II章C-3に記載されている作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は、抗CD3および/または抗CD28 Fab、例えば、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含むFabである。特定の態様において、1つ以上の作用物質は、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含む、抗CD3および/または抗CD28 Fabである。
【0141】
2. オリゴマー粒子試薬の組成物
複数の分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む、オリゴマー粒子試薬、例えば、複数のオリゴマー粒子試薬を含む組成物が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、本明細書において記載されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの複数を含む。特定の態様において、組成物は、第II章(A)(1)に記載されるオリゴマー粒子試薬のいずれかの複数を含む。いくつかの態様において、組成物は、第II章(B)に記載される方法のいずれかによって製造、生成、および/または作製される複数のオリゴマー粒子試薬を含む。
【0142】
特定の態様において、組成物は、平均(average)、平均(mean)、および/または中央値サイズでのオリゴマー粒子試薬を含む。ある特定の態様において、組成物は、少なくとも25 nm、少なくとも30 nm、少なくとも35 nm、少なくとも40 nm、少なくとも45 nm、少なくとも50 nm、少なくとも55 nm、少なくとも60 nm、少なくとも65 nm、少なくとも70 nm、少なくとも75 nm、少なくとも80 nm、少なくとも85 nm、少なくとも90 nm、少なくとも95 nm、少なくとも100 nm、少なくとも105 nm、少なくとも110 nm、少なくとも115 nm、少なくとも120 nm、少なくとも125 nm、少なくとも130 nm、少なくとも135 nm、少なくとも、または少なくとも140 nmの平均(average)、平均(mean)、または中央値半径を有するオリゴマー粒子試薬を含む。ある特定の態様において、組成物は、両端の値を含めて、5 nm~150 nm、25 nm~150 nm、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~140 nm、85 nm~135 nm、80 nm~120 nm、80 nm~115 nm、または90 nm~110 nmの平均(average)、平均(mean)、または中央値半径を有するオリゴマー粒子試薬を含む。
【0143】
いくつかの態様において、組成物は、90 nm±25 nm、90 nm±20 nm、90 nm±15 nm、90 nm±10 nm、90 nm±5 nm、95 nm±25 nm、95 nm±20 nm、95 nm±15 nm、95 nm±10 nm、95 nm±5 nm、97 nm±20 nm、97 nm±15 nm、97 nm±10 nm、97 nm±5 nmの平均(average)、平均(mean)、または中央値半径を有するオリゴマー粒子試薬を含む。
【0144】
ある特定の態様において、組成物は、約85 nm、約86 nm、約87 nm、約88 nm、約89 nm、約90 nm、約91 nm、約92 nm、約93 nm、約94 nm、約95 nm、約96 nm、約97 nm、約98 nm、約99 nm、約100 nm、約101 nm、約102 nm、約103 nm、約104 nm、約105 nm、約106 nm、約107 nm、約108 nm、約109 nm、約110 nm、約111 nm、約112 nm、約113 nm、約114 nm、または約115 nmの平均(average)、平均(mean)、または中央値半径を有するオリゴマー粒子試薬を含む。ある特定の態様において、組成物は、両端の値を含めて、80 nm~115 nmの平均(average)、平均(mean)、または中央値半径を有するオリゴマー粒子試薬を含む。
【0145】
ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、少なくとも2×106 g/mol、3×106 g/mol、5×106 g/mol、1×107 g/mol、少なくとも5×107 g/mol、少なくとも1×108 g/mol、少なくとも1.25×108 g/mol、少なくとも1.5×108 g/mol、少なくとも2×108 g/mol、または少なくとも5×108 g/molの平均(average)、平均(mean)、または中央値分子量を有する。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて、1×106 g/mol~1×1010 g/mol、2×106 g/mol~1×1010 g/mol、1×107 g/mol~1×109 g/mol、5×107 g/mol~5×108 g/mol、7.5×107 g/mol~2.5×108 g/mol、2.5×107 g/mol~2.75×108 g/mol、1×108 g/mol~5×108 g/mol、7.5×107 g/mol~5×108 g/mol、または1×108 g/mol~2×108 g/molの平均(average)、平均(mean)、または中央値分子量を有する。特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、約7.5×107 g/mol、約8.0×107 g/mol、約9.0×107 g/mol、約1.0×108 g/mol、約1.1×108 g/mol、約1.2×108 g/mol、約1.3×108 g/mol、約1.4×108 g/mol、約1.5×108 g/mol、約1.6×108 g/mol、約1.7×108 g/mol、約1.8×108 g/mol、約1.9×108 g/mol、約2.0×108 g/mol、約2.1×108 g/mol、約2.2×108 g/mol、約2.3×108 g/mol、約2.4×108 g/mol、または約2.5×108 g/molの平均(average)、平均(mean)、または中央値分子量を有する。ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、両端の値を含めて5×107 g/mol~2×108 g/molの平均(average)、平均(mean)、または中央値分子量を有する。
【0146】
いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬はそれぞれ、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む。ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1,000個、少なくとも1,100個、少なくとも1,200個、少なくとも1,300個、少なくとも1,400個、少なくとも1,500個、少なくとも1,600個、少なくとも1,700個、少なくとも1,800個、少なくとも1,900個、少なくとも2,200個、少なくとも2,300個、少なくとも2,400個、少なくとも2,500個、少なくとも2,600個、少なくとも2,700個、少なくとも2,800個、少なくとも2,900個、少なくとも3,000個、少なくとも4,000個、少なくとも5,000個、少なくとも10,000個、または少なくとも20,000個の平均(average)、平均(mean)、または中央値量のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む。特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、100~50,000個、500~10,000個、1,000~20,000個、500~5,000個、300~7,500個、1,500~7,500個、500~3,500個、1,000~5,000個、1,500~2,500個、1,500~2,500個、2,000~3,000個、2,500~3,500個、2,000~4,000個、または2,000~5,000個の平均(average)、平均(mean)、または中央値量のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を含むおよび/またはそれらで構成される。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、約2,000~3,500個の平均(average)、平均(mean)、または中央値量のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含む。
【0147】
いくつかの態様において、組成物は、サイズ分布を有するオリゴマー粒子試薬を含む。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも70%、80%、90%、または95%が、組成物のオリゴマー粒子試薬の中央値または平均サイズの±100%、±90%、±80%、±70%、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、±0.1 %、±0.01%、±0.001%の範囲内にあるサイズを有する、サイズ分布を有する。ある特定の態様において、サイズは、オリゴマー粒子試薬の分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体の半径、分子量、または数によって測定される。
【0148】
いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の中央値または平均半径の±100%、±90%、±80%、±70%、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、±0.1 %、±0.01%、±0.001%の範囲内にある半径を有する。特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、両端の値を含めて、10 nm~250 nm、25 nm~200 nm、50~150 nm、70 nm~140 nm、70~130 nm、70~100 nm、80 nm~110 nm、80 nm~120 nm、80 nm~115 nm、80 nm~100 nm、90~120 nm、90 nm~110 nm、100 nm~120 nm、または85 および/または115 nmの範囲内にある半径を有する。特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の平均半径の±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、または±1%の範囲内にある半径を有する。
【0149】
特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の中央値または平均分子量の±100%、±90%、±80%、±70%、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、±0.1 %、±0.01%、±0.001%の範囲内にある分子量を有する。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、両端の値を含めて、2×106 g/mol~1×1010 g/mol、1×106 g/mol~1×108 g/mol、1×107 g/mol~1×109 g/mol、1×108 g/mol~1×1010 g/mol、1×108 g/mol~1×109 g/mol、5×107 g/mol~5×108 g/mol、1×109 g/mol~1×1010 g/mol、1×107 g/mol~×108 g/mol、7.5×107 g/mol~2.5×108 g/mol、5×107 g/mol~2.5×108 g/mol、1×108 g/mol~3×108 g/mol、7.0×107 g/mol~3.0×108 g/mol、または1×108 g/mol~2×108 g/molの分子量を有する。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の平均分子量の±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、または±1%の範囲内にある分子量を有する。
【0150】
ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子は、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成され、オリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、オリゴマー粒子試薬当たり四量体の中央値または平均数の±100%、±90%、±80%、±70%、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、±0.1 %、±0.01%、±0.001%の範囲内の数の四量体で構成される。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子 オリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、100~50,000個、500~10,000個、1,000~20,000個、1,000~5,000個、5,000~10,000個、10,000~15,000個、1,500~4,000個、2,000~4,500個、2,500~5,000個、3,000~5,000個、3,500~5,500個、4,000~6,000個、または1,500~3,500個のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成される。いくつかの態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の平均分子量の±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、または±1%の範囲内の四量体の数で構成される。
【0151】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬の組成物は、例えば、オリゴマー粒子試薬が製造、生成および/または作製された後かつ作用物質、例えば受容体結合物質の添加の前に、ある期間にわたって保存される。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬の組成物は、中性pHを有する緩衝液中に保存される。いくつかの態様において、組成物は別個の分割量で保存される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬の組成物は、室温以下で、4℃以下で、-20℃以下で、または-80℃以下で保存される。ある特定の態様において、組成物は、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、18週、20週、22週、24週、26週、27週、28週、30週、32週、34週、36週、38週、40週、42週、44週、46週、48週、50週、52週、60週、70週、80週、90週、12カ月、16カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月、もしくは36カ月超、または約12時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約10日、約14日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、約12週、約13週、約14週、約15週、約16週、約18週、約20週、約22週、約24週、約26週、約27週、約28週、約30週、約32週、約34週、約36週、約38週、約40週、約42週、約44週、約46週、約48週、約50週、約52週、約60週、約70週、約80週、約90週、約12カ月、約16カ月、約18カ月、約24カ月、約30カ月、約36カ月、もしくは約36カ月超、または少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週、少なくとも9週、少なくとも10週、少なくとも11週、少なくとも12週、少なくとも13週、少なくとも14週、少なくとも15週、少なくとも16週、少なくとも18週、少なくとも20週、少なくとも22週、少なくとも24週、少なくとも26週、少なくとも27週、少なくとも28週、少なくとも30週、少なくとも32週、少なくとも34週、少なくとも36週、少なくとも38週、少なくとも40週、少なくとも42週、少なくとも44週、少なくとも46週、少なくとも48週、少なくとも50週、少なくとも52週、少なくとも60週、少なくとも70週、少なくとも80週、少なくとも90週、少なくとも12カ月、少なくとも16カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、少なくとも30カ月、少なくとも36カ月、もしくは少なくとも36カ月超の期間にわたって保存される。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬の組成物は、1週間、9週間、27週間、もしくは46週間、または約1週間、約9週間、約27週間、もしくは約46週間、または少なくとも1週間、少なくとも9週間、少なくとも27週間、もしくは少なくとも46週間にわたって4℃以下で保存される。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬の組成物は、1週間、9週間、27週間、もしくは46週間、または約1週間、約9週間、約27週間、もしくは約46週間、または少なくとも1週間、少なくとも9週間、少なくとも27週間、もしくは少なくとも46週間にわたって-80℃以下で保存される。特定の態様において、オリゴマー粒子のサイズは保存時に安定であり、例えば、サイズは、25%、20%、15%、10%、または5%を上回って変化または増加しない。
【0152】
特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬は、保存時に平均(average)、例えば平均(mean)粒子サイズの増加を受けない。ある特定の態様において、組成物は、ある期間にわたって保存され、オリゴマー粒子試薬は、1%を上回る、5%を上回る、10%を上回る、20%を上回る、25%を上回る、30%を上回る、40%を上回る、または50%を上回る、平均サイズの増加を経験しない。特定の態様において、組成物は、少なくとも9、27、または46週間にわたって約4℃もしくは4℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、または約-80℃もしくは-80℃未満で保存され、1%、5%、または10%を上回る平均サイズの増加を経験しない。ある特定の態様において、組成物は約-80℃で保存される。
【0153】
いくつかの態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含むオリゴマー粒子試薬の組成物が、本明細書において提供される。ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬はそれぞれ、1つ以上の作用物質、例えば刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合するかまたはそれに可逆的に結合することができる、複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、25 nm~150 nmの平均(average)、平均(mean)、または中央値半径;2×106 g/mol~1×1010 g/molの平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値分子量;および/または500~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体の平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値数を有する。ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも70%、80%、90%、または95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の平均(average)、平均(mean)、または中央値の半径、分子量、または四量体の数の±100%、±90%、±80%、±70%、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%の範囲内にある半径、分子量、または四量体の数を有する。
【0154】
特定の態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含み、かつ1つ以上の作用物質、例えばstreptagを有する抗CD3および/または抗CD28 Fabなどの受容体結合物質に可逆的に結合する複数の結合部位を含む、オリゴマー粒子試薬の組成物が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、50 nm~150 nmの平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値半径;1×107 g/mol~1×109 g/molの平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値分子量;および/または1,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体の平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値数を有する。ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の平均(average)、平均(mean)、または中央値の半径、分子量、または四量体の数の±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%の範囲内にある半径、分子量、または四量体の数を有する。
【0155】
いくつかの態様において、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成されるおよび/またはそれらを含み、かつ1つ以上の作用物質に可逆的に結合する複数の結合部位を含む、オリゴマー粒子試薬の組成物が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、50 nm~150 nmの平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値半径;5×107 g/mol~5×108 g/molの平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値分子量;および/または2,000~4,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体の平均(average)、平均(mean)、もしくは中央値数を有する。ある特定の態様において、組成物のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%は、組成物のオリゴマー粒子試薬の平均(average)、平均(mean)、または中央値の半径、分子量、または四量体の数の±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%の範囲内にある半径、分子量、または四量体の数を有する。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、-80℃で少なくとも9、27週間、または46週間にわたって保存したときに10%を上回るサイズの増加を受けない。
【0156】
いくつかの態様において、提供されるオリゴマー試薬のいずれかは、以下の第II章Bにおいて記載されるオリゴマー試薬を製造または作製するための方法によって生成される。
【0157】
B. オリゴマー粒子試薬の製造
オリゴマー化試薬、すなわち、オリゴマー粒子試薬で構成される試薬を作製、生成、および/または製造するための方法が、本明細書において提供される。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、作用物質、例えば刺激物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、細胞上に発現した1つ以上の分子を認識するおよび/またはそれに結合する作用物質、例えば刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含む。ある特定の態様において、本明細書において提供される方法は、所望のまたは標的サイズのオリゴマー粒子試薬を作製、生成、および/または製造するのに有用である。
【0158】
オリゴマー粒子試薬である試薬を製造、作製、および/または生成するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、複数の分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を含むおよび/またはそれらで構成されるオリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するのに有用である。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、可溶性試薬であるオリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するためのものである。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をオリゴマー化するのに適した条件下で分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をインキュベートする、処理する、および/または接触させる工程を包含するまたは含む。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、オリゴマー化されなかった分子からオリゴマー粒子試薬を分離するための工程を含む。ある特定の態様において、本明細書において提供される方法は、オリゴマー粒子試薬の1つ以上の特性、例えば粒子サイズを安定化するための工程を含む。
【0159】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をオリゴマー化するための工程、オリゴマー化されなかった分子からオリゴマー化分子を取り除くための工程、および/またはオリゴマー粒子試薬の性質を安定化するための工程を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、官能基、例えば、架橋反応またはオリゴマー形成反応に適している官能基を分子に付加するための1つ以上の工程を含むおよび/または包含する。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、官能基を分子に付加するための1つ以上の工程、および分子をオリゴマー化するための1つ以上の工程を含むおよび/または包含する。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、1つ以上の官能基を分子に付加するための工程、分子をオリゴマー化するための工程、およびオリゴマー化されなかった分子からオリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子を分離するための工程を含むおよび/または包含する。
【0160】
ある特定の態様において、オリゴマー化される分子は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および/または1以上のアミノ酸を含むかもしくは包含する分子である。いくつかの態様において、オリゴマー化される分子は、作用物質、例えば受容体結合物質に結合することができる複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー化される分子は、第II章(C)(3)に記載される作用物質に結合することができる複数の結合部位を含む。ある特定の態様において、オリゴマー化される分子は、結合パートナー、例えば結合パートナーCに結合することができる複数の結合部位を含む。特定の態様において、オリゴマー化される分子は、第II章(A)に記載される結合パートナーCに結合することができる複数の結合部位を含む。いくつかの態様において、オリゴマー化される分子は、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインまたは類似体、アビジン、アビジンムテインまたは類似体(ニュートラアビジンなど)であるかまたはそれらを含む。ある特定の態様において、ストレプトアビジンは、ネイティブ状態で四量体である。よって、ある特定の態様において、分子は、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインまたは類似体、アビジン、アビジンムテインまたは類似体(ニュートラアビジンなど)の四量体である。特定の態様において、分子は、第II章(A)に記載される試薬のいずれかである。ある特定の態様において、分子は、第II章(A)に記載される試薬の四量体である。
【0161】
特定の態様は、本明細書において提供される方法によって製造、生成、および/または作製されるオリゴマー粒子試薬の特徴、例えばサイズは、種々の工程、手法、およびインキュベーションのタイミング、ならびに手法の様々な工程または段階でのpHおよび温度ならびに試薬の濃度などの条件によって決まることを企図する。よって、特定の態様において、本明細書において提供される方法の1つ以上の工程または段階は、例えば、本明細書において提供される方法を繰り返したときに、その結果生じる製造されたオリゴマー粒子試薬が、本明細書において提供される方法によって生成された他のバッチまたはロットと同じまたは類似のサイズおよび特徴を有することを確実なものにするために、正確なタイミングおよび測定で実施されるおよび/または記録される。例えば、いくつかの態様において、緩衝液および試薬は、標的のまたは所望の量または濃度の±10%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%の範囲内となることが測定される。ある特定の態様において、反応、例えば、インキュベーション、処理、または接触は、±1、±0.5、±0.1、±0.05、±0.04、±0.03、±0.02、±0.01、±0.001、または±0.0001のpHの範囲内の所望のまたは標的pHで実施される。特定の態様において、インキュベーション、処理、または接触は、30分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、90秒、60秒、45秒、30秒、15秒、10秒、5秒以内で、または目標期間もしくは所望期間の1秒以内で実施される。特定の態様において、工程間、段階間、および/または反応間、例えばインキュベーションまたは処理間の時間は、30分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、90秒、60秒、45秒、30秒、15秒、10秒、5秒以内、または設定した標的もしくは所望の時間の1秒以内である。
【0162】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬の製造、生成、または作製のための本明細書において提供される方法の特定の特性は、オリゴマー粒子試薬の均一な生成にとって重要である。例えば、いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、例えば、チオール化剤と一緒に分子をインキュベートすることによって、分子をチオール化するための工程を含み、インキュベーションのタイミング、pH、ならびに/または試薬の濃度および量は全て、オリゴマー粒子試薬の均一な生成を達成するために標的のまたは所望の値の±5%、±2%、±1%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%の範囲内にある。ある特定の態様において、分子をチオール化するための工程の終わりと、例えば活性化分子およびチオール化分子をインキュベートすることによって、分子をオリゴマー化するための工程との間の期間は、所望期間または目標期間の±5%、±2%、±1%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%の範囲内にある。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、例えば、分子に官能基を付加する活性化剤と一緒に分子をインキュベートすることによって、分子を活性化するための工程を含み、インキュベーションのタイミング、pH、ならびに/または試薬の濃度および量は全て、オリゴマー粒子試薬の均一な生成を達成するための標的のまたは所望の値の±5%、±2%、±1%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%の範囲内にある。特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程のためのタイミング、pH、ならびに/または試薬の濃度および量は全て、オリゴマー粒子試薬の均一な生成を達成するための標的のまたは所望の値の±5%、±2%、±1%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%の範囲内にある。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬の均一な生成は、均一なバッチまたはロットの生成をもたらすかまたはそれを含む。よって、いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、オリゴマー粒子試薬の均一なバッチまたはロットをもたらす。例えば、いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、本明細書における方法によって製造、生成、または作製されるロットまたはバッチの平均(average)、例えば平均(mean)粒子サイズの±50%、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%の範囲内にある平均(average)、例えば平均(mean)粒子サイズを有するオリゴマー粒子試薬のバッチまたはロットをもたらす。
【0163】
ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子を活性化剤とインキュベートする、それによって処理する、および/またはそれと接触させることによって、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を活性化する工程を含む。ある特定の態様において、活性化剤は、架橋反応において反応するまたは反応することができる官能基を分子に付加するかまたは付加することができる。いくつかの態様において、活性化剤は、分子の1つ以上のアミンに官能基を付加するかまたは付加することができる。いくつかの態様において、活性化剤は、アミン反応性基、スルフヒドリル反応性もしくはチオール反応性基、アルデヒド反応性基、光反応性基、および/またはヒドロキシル反応性基を分子に付加するかまたは付加することができる。いくつかの態様において、活性化剤は、スルフヒドリル反応性またはチオール反応性基を分子に付加するかまたは付加することができる。ある特定の態様において、活性化剤は、ハロアセチル基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、アリール化剤、ビニルスルホン基、ピリジルジスルフィド、TNB-チオールまたはジスルフィド還元剤を分子に付加するかまたは付加することができる。ある特定の態様において、活性化剤は、マレイミド基を分子に付加するかまたは付加することができる。ある特定の態様において、活性化剤は、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホSMCC)および/またはスクシンイミジル6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)であるかまたはそれを含む。
【0164】
特定の態様において、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体は、分子を活性化する、すなわち、分子に1つ以上の官能基を付加するのに適した条件下で、活性化剤とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、中性pHで実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、5.0~9.0、6.0~8.0、6.5~7.5、または7.0~7.5のpHで実施される。ある特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5のpHで実施される。いくつかの態様において、pHは約7.2である。特定の態様において、pHは、7.2±0.1、±0.05、±0.02、±0.01、±0.005、または±0.0001である。
【0165】
いくつかの態様において、活性化剤と分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体とのインキュベーション、処理、および/または接触は、一定の温度で実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、少なくとも4℃、少なくとも8℃、少なくとも12℃、少なくとも16℃、少なくとも20℃、少なくとも24℃、少なくとも28℃、少なくとも32℃、少なくとも37℃、少なくとも39 ℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃の温度で実施される。特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、4℃~39℃、10℃~37℃、10℃~25℃、20℃~30℃、24℃~39℃、または40℃~100℃の温度で実施される。特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、室温で実施される。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、24℃でまたは約24℃で実施される。ある特定の態様において、分子を活性化するためのインキュベーションおよび/または処理は、24℃±2℃、±1℃、±0.5℃、±0.2℃、±0.1℃、±0.05℃、または±0.01℃で実施される。
【0166】
ある特定の態様において、活性化剤と分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体とのインキュベーション、処理、および/または接触は、ある期間にわたって実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、5分~1時間、15分~2時間、30分~90分、1時間~6時間、6時間~24時間、または24時間を上回って実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、約5分、15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約3時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約24時間にわたって実施される。ある特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、1時間または約1時間にわたって実施される。特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、1時間±5分、±2分、±1分、±30秒、±15秒、±10秒、±5秒、または±1秒にわたって実施される。
【0167】
特定の態様において、活性化剤は分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体と、活性化剤 対 分子のあるモル比でインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。ある特定の態様において、分子 対 活性化剤のモル比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10であるか、または約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、または約1:10である。特定の態様において、分子 対 活性化剤のモル比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。ある特定の態様において、モル比は、1:2、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。いくつかの態様において、モル比は1:2±5%である。特定の態様において、モル比は1:2±2%である。
【0168】
ある特定の態様において、活性化剤および分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体によるインキュベーション、処理、および/または接触は、分子から活性化剤を除去することによって終了する。いくつかの態様において、活性化剤は、クロマトグラフィーによって分子から除去される。ある特定の態様において、活性化剤は、例えば脱塩カラムを用いる、ゲルろ過クロマトグラフィーによって分子から除去される。
【0169】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をチオール化剤とインキュベートする、それによって処理する、およびまたはそれと接触させることによって、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をチオール化する工程を含む。ある特定の態様において、チオール化剤は、チオール官能基を分子に付加するまたは付加することができる作用物質である。いくつかの態様において、チオール化剤は、チオール官能基を1つ以上の遊離アミンに付加するまたは付加することができる作用物質である。いくつかの態様において、チオール官能基は、分子のN末端アミン基および/またはリジン残基に存在する遊離アミンに付加される。ある特定の態様において、チオール化剤は、環状チオイミダート化合物であるかまたはそれを含む。特定の態様において、チオール化剤は、2-イミノチオラン(Traut試薬)であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、チオール化剤は2-イミノチオランであるかまたはそれを含み、下記に例示するような反応においてチオール官能基を遊離アミンに付加する:
【0170】
特定の態様において、チオール化剤、例えば2-イミノチオランは、塩酸塩、例えば2-イミノチオラン-HCl塩として購入、保存、および/または入手される。よって、いくつかの態様において、溶液に対する2-イミノチオランの添加は、溶液のpHに対する大幅な低下を引き起こす。ある特定の態様において、溶液は、pHの低下を防止または低減するために緩衝化されてもよい。特定の態様は、酸性pHおよび/または7.0を下回るpHで実施されるチオール化反応は、リジン残基の利用可能性を限定し、例えばリジン残基上の遊離アミンの利用可能性を限定し、よって、チオール化試薬により分子に付加されるチオール官能基の量を限定する。ある特定の態様において、リジン残基上のアミン基は、酸性pH値でおよび/または7.0を下回るpH値でアミン基に対するチオール化の能力および/またはチオール機能の付加を低減または防止する程度までプロトン化される可能性がある。よって、ある特定の態様において、チオール化剤を含む溶液の酸性度は、チオール化反応の効率を増加させるように調整および/または中和される。
【0171】
いくつかの態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触の開始前にまたは開始時に、塩基性pHまたは7.0を上回るpHを有する緩衝液にチオール化剤を加えることを含む。特定の態様において、チオール化剤は、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触の開始前にまたは開始時に、少なくとも7.0、少なくとも7.2、少なくとも7.4、少なくとも7.6、少なくとも7.8、少なくとも8.0、少なくとも8.1、少なくとも8.2、少なくとも8.3、少なくとも8.4、少なくとも8.5、少なくとも8.6、少なくとも8.7、少なくとも8.8、少なくとも8.9、少なくとも9.0、少なくとも9.5、または少なくとも10.0のpHを有する緩衝液に加えられる。ある特定の態様において、チオール化剤は、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触の開始前にまたは開始時に、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、または約9.5のpHを有する緩衝液に加えられる。いくつかの態様において、緩衝液のpHは約8.5である。特定の態様において、緩衝液のpHは、8.5±0.1、±0.05、±0.02、±0.01、±0.005、または±0.0001である。いくつかの態様において、緩衝液は、7.0を上回る、7.5を上回る、8.0を上回る、8.5を上回る、または9.0を上回る室温でのpKaを有する緩衝化剤を含む。特定の態様において、緩衝化剤は、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、Trizma、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、トリシン、Gly-gly、ビシン、HEPBS、TAPS、AMPD、TABS、AMPSO、CHES、CAPSO、AMP、CAPS、CABS、および/またはホウ酸塩であるかまたはそれらを含む。ある特定の態様において、緩衝液はホウ酸塩緩衝液であるかまたはそれらを含む。特定の態様において、ホウ酸塩緩衝液は、少なくとも25 mMホウ酸塩、少なくとも50 mMホウ酸塩、少なくとも75 mMホウ酸塩、または約100 mMホウ酸塩もしくは少なくとも100 mMホウ酸塩を含む。特定の態様において、緩衝液は、100 mM±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%ホウ酸塩であるかまたはそれらを含む。
【0172】
ある特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、塩基性pHまたは7.0を上回るpHで実施される。例えば、いくつかの態様において、チオール化剤および分子を加えるときの溶液のpHは、塩基性pHまたは7.0を上回るpHである。いくつかの態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触時のpHは、7.0~11.0、7.0~9.0、7.5~8.5、または7.5~8.0である。ある特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、または約8.0のpHで実施される。いくつかの態様において、pHは、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触時に7.7であるかまたは約7.7である。特定の態様において、pHは、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触時に7.7±0.1、±0.05、±0.02、±0.01、±0.005、または±0.0001である。
【0173】
ある特定の態様において、活性化剤と分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体とのインキュベーション、処理、および/または接触は、ある期間にわたって実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、5分~1時間、15分~2時間、30分~90分、1時間~6時間、6時間~24時間、または24時間を上回って実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、約5分、15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約3時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約24時間にわたって実施される。ある特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、1時間または約1時間にわたって実施される。特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、1時間±5分、±2分、±1分、±30秒、±15秒、±10秒、±5秒、または±1秒にわたって実施される。いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、25分または約25分にわたって実施される。特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触は、25分± 5分、±2分、±1分、±30秒、±15秒、±10秒、±5秒、または±1秒にわたって実施される。
【0174】
特定の態様は、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子のインキュベーション、処理、および/または接触が、所望のチオール官能基を付加する第1の反応をもたらすことを企図する。しかしながら、いくつかの態様において、所望のチオール官能基は、より安定だが不活性であるN-置換型に再異性化されてもよい。よって、いくつかの態様において、2-イミノチオランによる分子のチオール化は、分子にチオール官能基を付加し、チオール官能基と同じ反応性を有さないより安定なN-置換型に再異性化される可能性がある(Singh et al. Anal Biochem 236(1): 114-1125 (1996))。この反応の図を以下に示す:
したがって、いくつかの態様において、2-イミノチオランによる分子のチオール化は、標準的な飽和曲線をもたらすはずはなく、その代わりに、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体上に存在するチオール官能基のレベルまたは量がピークまたは最大レベルに到達し、次いで最大に到達した後に再び低下するはずである、曲線をもたらす。ある特定の態様において、チオール官能基の半減期は139分である。
【0175】
いくつかの態様において、チオール化反応時に達成される分子に付着したチオール官能基の最大またはピークレベルは、反応が行われる溶液のpHによって影響される。ある特定の態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、チオール化剤をより高い塩基性pHを有する緩衝液に加えるときに、チオール化剤をより低い塩基性の緩衝液に加えるときよりもより大きい。いくつかの態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、チオール化剤をより高い塩基性pHを有する緩衝液に加えるときに、チオール化剤をより低い塩基性の緩衝液に加えるときよりもより少ない時間で達成される。ある特定の態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、チオール化剤を8.5または約8.5のpHを有する緩衝液に加えるときに、チオール化剤をより低い塩基性緩衝液、例えば8.3のpHを有する緩衝液に加えるときよりも大きい。いくつかの態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、チオール化剤を8.5または約8.5のpHを有する緩衝液に加えるときに、チオール化剤をより低い塩基性の緩衝液、例えば8.3のpHを有する緩衝液に加えるときよりもより少ない時間で達成される。ある特定の態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、チオール化剤および分子によるインキュベーション、処理、および/または接触での溶液のpHが反応時に7.7のpHまたは約7.7のpHであるときに、インキュベーション、処理、および/または接触が反応時に7.7未満のpH、例えば約6.9のpHを有する溶液中で行われるときよりも大きい。いくつかの態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、チオール化剤および分子によるインキュベーション、処理、および/または接触での溶液のpHが反応時に7.7のpHまたは約7.7のpHであるときに、インキュベーション、処理、および/または接触が反応時に7.7未満のpH、例えば約6.9のpHを有する溶液中で行われるときよりもより少ない時間で達成される。
【0176】
いくつかの態様において、分子に付加されるチオール官能基の最大またはピークレベルは、分子に付加されるチオール官能基の量として表される平均(average)(例えば、平均(mean))である。いくつかの態様において、チオール官能基の最大またはピークレベルは、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも40個、または少なくとも50個のチオール官能基である。いくつかの態様において、各分子に付加されるチオール官能基の最大またはピークレベルは、付着したまたは付加されたチオール官能基を有する分子当たりのリジン残基の平均(average)(例えば、平均(mean))パーセンテージである。ある特定の態様において、最大またはピークレベルは、付着したまたは付加されたチオール官能基を有するリジン残基の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である。特定の態様において、分子は、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体であり、チオール官能基の最大またはピークレベルは、四量体当たり少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個のチオール官能基である。
【0177】
いくつかの態様において、分子は、分子に付加されるチオール官能基の最大またはピークレベルを達成するのに十分な時間にわたってチオール化剤とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。特定の態様において、最大またはピークレベルは、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、または接触の1分以内、2分以内、5分以内、10分以内、15分以内、20分以内、25分以内、30分以内、45分以内、60分以内、90分以内、または120分以内に到達する。
【0178】
特定の態様において、チオール化剤は、分子とインキュベートされ、それによって処理され、および/またはそれと接触され、分子に付加されるまたは付着させるチオール官能基の量は、ピークまたは最大レベルに到達し、次いで、最大またはピークに達すると低下し始める。いくつかの態様において、インキュベーション、接触、および/または処理は、ピークまたは最大レベルに到達した後に終了する。いくつかの態様において、インキュベーション、処理、または接触は、分子に付着させるチオール官能基の量が最大またはピークレベルより50%少ない、40%少ない、30%少ない、25%少ない、20%少ない、15%少ない、10%少ない、5%少ない、または1%少ないときにまたはその前に終了する。ある特定の態様において、インキュベーション、処理、および/または接触は、チオール官能基の平均(average)(例えば、平均(mean))量が少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも40個、または少なくとも50個のチオール官能基である時点で終了する。いくつかの態様において、インキュベーション、接触、および/または処理は、リジン残基の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、付着されたまたは付加されたチオール官能基を有する時点で終了する。特定の態様において、分子はストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体であり、インキュベーション、接触、および/または処理は、チオール官能基の量が四量体当たり少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個のチオール官能基である時点で終了する。特定の態様において、チオール化剤および分子のインキュベーション、処理、および/または接触は、1時間後に終了する。いくつかの態様において、チオール化剤および分子のインキュベーション、処理、および/または接触は、25分後に終了する。
【0179】
いくつかの態様において、チオール化剤と分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体とのインキュベーション、処理、および/または接触は、一定の温度で実施される。いくつかの態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、少なくとも4℃、少なくとも8℃、少なくとも12℃、少なくとも16℃、少なくとも20℃、少なくとも24℃、少なくとも28℃、少なくとも32℃、少なくとも37℃、少なくとも39 ℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃の温度で実施される。特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、4℃~39℃、10℃~37℃、10℃~25℃、20℃~30℃、24℃~39℃、または40℃~100℃の温度で実施される。特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触は、室温で実施される。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、24℃でまたは約24℃で実施される。ある特定の態様において、分子のチオール化のためのインキュベーションおよび/または処理は、24℃±2℃、±1℃、±0.5℃、±0.2℃、±0.1℃、±0.05℃、または±0.01℃で実施される。
【0180】
特定の態様において、チオール化剤は、分子、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体と、チオール化剤 対 分子のあるモル比でインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。いくつかの態様において、チオール化剤および分子のインキュベーション、処理、および/または接触は、チオール化試薬 対 分子当たりの各一級アミンのモル比1:1~10:1で実施される。特定の態様において、チオール化剤および分子のインキュベーション、処理、および/または接触は、チオール化試薬 対 分子当たりの各一級アミンのモル比5:1で実施される。ある特定の態様において、チオール化試薬 対 分子当たりの各一級アミンのモル比は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1であるか、または約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、もしくは約1:1である。特定の態様において、チオール化試薬 対 分子当たりの各一級アミンのモル比は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。ある特定の態様において、モル比は、1:5、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。ある特定の態様において、チオール化剤 対 分子のモル比は、1:1~1,000:1、1:1~500:1、10:1~200:1、または100:1~1,000:1である。特定の態様において、活性化剤 対 分子のモル比は、約100:1である。ある特定の態様において、モル比は、100:1、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。
【0181】
ある特定の態様において、チオール化剤と分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体とのインキュベーション、処理、および/または接触は、分子からチオール化剤を除去または分離することによって終了する。分子、例えばタンパク質またはポリペプチド分子、例えばストレプトアビジンを除去または分離するための方法は、当技術分野において日常的なものであり、クロマトグラフィーおよび/またはゲルろ過などの方法を含む。いくつかの態様において、チオール化剤は、クロマトグラフィーによって分子から除去される。ある特定の態様において、活性化剤は、例えば脱塩カラムによる、ゲルろ過クロマトグラフィーによって分子から除去される。
【0182】
ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をオリゴマー化する工程を含むおよび/またはそれを包含する。ある特定の態様において、分子は、個々の分子、または個々の分子を構成するサブユニットの複合体を架橋することによってオリゴマー化される。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、分子をオリゴマー化を促進する作用物質によって処理する、それとインキュベートする、および/またはそれと接触させる1つ以上の工程を含む。例えば、いくつかの態様において、分子は、分子を作用物質、例えば、二官能性のリンカーもしくは架橋剤または他の化学リンカー等のリンカーまたは架橋剤である活性化剤とインキュベートする、それによって処理する、および/またはそれと接触させることによってオリゴマー化される。いくつかの態様において、リンカーまたは架橋剤は二官能性リンカーであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、リンカーはホモ二官能性リンカー、例えば、同一である少なくとも2つの官能基および/または反応基を有するリンカーである。特定の態様において、リンカーはヘテロ二官能性リンカー、例えば、異なっている少なくも2つの官能基および/または反応基を有するリンカーである。ある特定の態様において、分子は、リンカーと一緒にインキュベートされ、オリゴマー化されるまたはオリゴマー化できるようになる。分子をオリゴマー化するのに適したリンカーは当技術分野において公知であり、これらに限定されないが、グルタルアルデヒド、アジピミド酸ジメチル(DMA)、スベリミド酸ジメチル(DMS)、ピメリミド酸ジメチル(DMP)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオナート) (DTSSP)、エチレングリコールビス[スクシニンイミジルスクシナート]、NHSエステル、N-ε-マレイミドカプロン酸、N-[ε-マレイミドカプロン酸]ヒドラジド、N-スクシンイミジル S-アセチルチオアセタート、N-スクシンイミジル S-アセチルチオプロピオナート、2-イミノチオラン(Traut試薬)、4-スクシンイミジルオキシカルボニル-メチル-(2-ピリジルジチオ)-トルエンスルホスクシンイミジル、4-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボキシラート、N-[ガンマ-マレイミドブチリルオキシ] スルホ-スクシンイミドエステル、N-(K-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-(イプシロン-マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N-(K-マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド、N-(ベータ-マレイミドプロピオン酸) ヒドラジド、および3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジドを含む。
【0183】
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、修飾されている、例えば化学修飾されている分子をオリゴマー化する工程を含むおよび/またはそれを包含する。特定の態様において、1つ以上の修飾分子がオリゴマー化される。特定の態様において、1つ以上の分子が活性化される。ある特定の態様において、修飾分子は、架橋反応および/またはオリゴマー化反応で反応するまたは反応することができる官能基の付加および/または付着によって活性化されている活性化分子である。いくつかの態様において、官能基は、分子のアミン、例えば一級アミン、例えば利用可能なおよび/または遊離のアミンに付加または付着される。いくつかの態様において、アミン、例えば一級アミンは、N末端アミンである。特定の態様において、アミン、例えば一級アミンは、リジン残基上にある。いくつかの態様において、活性化分子は、アミン反応性基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、ペンタフルオロフィルエステル、またはヒドロキシメチルホスフィン)、スルフヒドリル反応性もしくはチオール反応性基(例えば、マレイミド、ハロアセチル、ピリジルジスルフィド、チオスルホナート、またはビニルスルホン)、アルデヒド反応性基(例えば、ヒドラジドまたはアルコキシアミン)、光反応性基(例えば、ジアジリンまたはアリールアジド)、および/またはヒドロキシル反応性基(例えば、イソシアナート)であるまたはそれらを含む官能基の付加および/または付着によって修飾されている。いくつかの態様において、活性化分子は、スルフヒドリル反応性またはチオール反応性基の付加および/または付着によって活性化されている。ある特定の態様において、活性化分子は、ハロアセチル基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、アリール化剤、ビニルスルホン基、ピリジルジスルフィド、TNB-チオール、またはジスルフィド還元剤の付加および/または付着によって活性化されている。ある特定の態様において、活性化分子は、マレイミド基の付加および/または付着によって活性化されている。
【0184】
ある特定の態様において、修飾されている分子はチオール化分子である。特定の態様において、修飾分子は、チオール化、例えばチオール(すなわち、チオール基、チオール機能、またはチオール官能基)の付加によって修飾されている。特定の態様において、チオール化分子は、1つ以上のリジン残基に対するチオール官能基の付着および/または付加によってチオール化されている。
【0185】
ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、活性化分子をチオール化分子とインキュベートする、それによって処理する、またはそれと接触させる工程を含むおよび/または包含する。いくつかの態様において、インキュベーション、処理、および/または接触は、チオール化分子と活性化分子との間でオリゴマー化する、および/またはチオール化分子と活性化分子との間にオリゴマー化反応をもたらす。特定の態様において、分子のオリゴマーは、チオール化分子を活性化分子とインキュベートする、それによって処理する、および/またはそれと接触させることによって形成される。ある特定の態様において、活性化分子は1つ以上の付着したマレイミド基を有する。特定の態様において、活性化分子は、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子であるかまたはそれを含む。ある特定の態様において、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子は、1つ以上の付着したマレイミド基を有するストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子であるかまたはそれを含む。特定の態様において、チオール化分子は、チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子である。いくつかの態様において、チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子は、1つ以上のチオール官能基を有するストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子である。特定の態様において、本明細書において提供される方法は、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をオリゴマー化するために、チオール化トレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体を活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体とインキュベートする、それと接触させる、および/またはそれによって処理する工程を含む。
【0186】
特定の態様において、分子は架橋反応によってオリゴマー化される。いくつかの態様において、分子の一部分は、分子に1つ以上のチオール官能基を付加することによってチオール化されている。ある特定の態様において、チオール基は、分子の遊離アミノ酸に、例えば、リジン残基のアミン基、例えば一級アミンおよび/またはN末端アミン、例えばN末端一級アミン上に、付加される。いくつかの態様において、チオール化分子から分離される分子の一部分は、マレイミド基の付加または付着によって活性化される。いくつかの態様において、活性化分子は、システイン残基および/またはチオール官能基を含まない。したがって、いくつかの態様において、活性化分子は、他の活性化分子との反応性を有さない。いくつかの態様において、活性化分子およびチオール化分子はインキュベートされ、活性化分子のマレイミド官能基とチオール化分子のチオール官能基との間に架橋反応が生じる。例えば、分子R上のマレイミド官能基と分子P上のチオール(SH)官能基との間の架橋反応は、以下に図示される:
いくつかの態様において、チオール官能基とマレイミド官能基との間の反応は、分子を架橋して、オリゴマーを形成するのに適している。ある特定の態様において、分子は、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体である。
【0187】
特定の態様において、分子、例えば、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体は、分子をオリゴマー化するのに適した条件下でインキュベートおよび/または処理される。特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、中性pHで実施される。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、5.0~9.0、6.0~8.0、6.5~7.5、または7.0~7.5のpHで実施される。ある特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5のpHで実施される。いくつかの態様において、pHは約7.2である。特定の態様において、pHは、7.2±0.1、±0.05、±0.02、±0.01、±0.005、または±0.0001である。
【0188】
いくつかの態様において、分子、例えば、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子は、分子をオリゴマー化するのに適している条件下でインキュベートおよび/または処理され、適した条件には温度が含まれる。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、少なくとも4℃、少なくとも8℃、少なくとも12℃、少なくとも16℃、少なくとも20℃、少なくとも24℃、少なくとも28℃、少なくとも32℃、少なくとも37℃、少なくとも39 ℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃の温度で実施される。特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、4℃~39℃、10℃~37℃、10℃~25℃、20℃~30℃、24℃~39℃、または40℃~100℃の温度で実施される。特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、室温で実施される。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、24℃でまたは約24℃で実施される。ある特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、24℃±2℃、±1℃、±0.5℃、±0.2℃、±0.1℃、±0.05℃、または±0.01℃で実施される。
【0189】
ある特定の態様において、分子、例えば、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体は、ある期間にわたって分子をオリゴマー化するのに十分な条件下でインキュベートおよび/または処理される。いくつかの態様において、分子は、5分~1時間、15分~2時間、30分~90分、1時間~6時間、6時間~24時間、または24時間を上回って分子をオリゴマー化するのに適した条件下でインキュベートおよび/または処理される。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、約5分、15分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約3時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約24時間にわたって実施される。ある特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、1時間または約1時間にわたって実施される。特定の態様において、分子をオリゴマー化するためのインキュベーションおよび/または処理は、1時間±5分、±2分、±1分、±30秒、±15秒、±10秒、±5秒、または±1秒にわたって実施される。
【0190】
特定の態様において、活性化およびチオール化分子、例えば、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体は、活性化分子 対 チオール化分子のあるモル比で分子をオリゴマー化するためにインキュベートおよび/または処理される。特定の態様において、活性化分子 対 チオール化分子のモル比は1:Xである。いくつかの態様において、Xは、チオール化分子上のリジンおよびN末端アミンの数、すなわち、合計である。いくつかの態様において、Xは、分子上の遊離または利用可能なアミン基の数である。いくつかの態様において、Xは、チオール官能基の付加前のチオール化分子上のリジンの数である。特定の態様において、活性化分子 対 チオール化分子のモル比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、もしくは1:10であるか、または約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、もしくは約1:10である。特定の態様において、活性化分子 対 チオール化分子のモル比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。ある特定の態様において、モル比は、1:4、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.001%である。
【0191】
ある特定の態様において、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をオリゴマー化するための条件下でのインキュベーション、処理、および/または接触は、オリゴマー化反応を終了するおよび/または終了することができる1つ以上の作用物質、例えば化学物質を添加することによって終了する。いくつかの態様において、作用物質は、1つ以上の官能基、例えばマレイミド官能基またはチオール官能を修飾する、または他の方法で該官能基が架橋反応またはオリゴマー化反応において反応するのを防ぐ作用物質である。いくつかの態様において、分子は、活性化分子およびチオール化分子であり、1つ以上の作用物質は、例えば、チオール基を付加するおよび/または付着させることによって、利用可能なマレイミド基を飽和する、または分子からマレイミド基を切断するおよび/もしくは脱離させる作用物質であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、未反応マレイミド基は、pHを上昇させる作用物質によって除去されてもよい。ある特定の態様において、pHの上昇は、未反応マレイミド基を除去および/または脱離させる一方で、架橋マレイミド基は安定である。ある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、例えば、開環反応によって、マレイミド環系の加水分解を触媒する作用物質を含む。いくつかの態様において、分子は活性化分子およびチオール化分子であり、1つ以上の作用物質は、チオール官能基を修飾するおよび/または飽和させる作用物質であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、チオール官能基の飽和および/または修飾は、マレイミド基によるオリゴマー化反応および/または架橋反応を防止する。いくつかの態様において、活性化分子およびチオール化分子、例えば活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体は、オリゴマー化反応および/または架橋反応を終了するために、N-エチルマレイミド(NEM)とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。
【0192】
いくつかの態様において、分子、例えば活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体は、オリゴマー化反応および/または架橋反応を終了するおよび/または終了することができる作用物質とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。いくつかの態様において、オリゴマー化反応および/または架橋反応を終了するおよび/または終了することができる作用物質は、4℃~39℃、4℃~25℃、4℃~10℃、または20℃~30℃の温度で分子とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。特定の態様において、インキュベーション、処理、および/または接触は最初に室温で実施され、次いで約4℃で実施される。いくつかの態様において、インキュベーション、処理、および/または接触は最初に24℃でまたは約24℃で実施され、次いで約4℃で実施される。ある特定の態様において、インキュベーション、処理、または接触は、最初に、室温および/または約24℃で約5分、約10分、約15分、約30分、約60分、約90分、または約120分にわたって実施され、次いで、約4℃で約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約24時間、または24時間を上回ってインキュベート、接触、および/または処理される。いくつかの態様において、インキュベーション、処理、または接触は、最初に、室温および/または約24℃で約15分間実施され、次いで、約4℃で約16時間実施される。ある特定の態様において、NEMとのインキュベーション、処理、または接触は、最初に、室温および/または約24℃で約15分間実施され、次いで、約4℃で約16時間インキュベート、接触、および/または処理される。
【0193】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をチオール化するためのおよび分子を活性化するための工程を含む。ある特定の態様において、活性化される分子の集団または複数と異なる分子の集団または複数が、チオール化される。いくつかの態様において、活性化工程およびチオール化工程はほぼ同時に実施され、例えば、チオール化分子および活性化分子が両方とも、他方の工程を行う間に、チオール化分子または活性化分子のいずれかを保存する必要なく、インキュベーション反応で利用可能である。いくつかの態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触の少なくとも一部分と、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触とは、同時に実施される。
【0194】
ある特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80% 少なくとも90%、または少なくとも95%は、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触が行われている間に実施される。ある特定の態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80% 少なくとも90%、または少なくとも95%は、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触が行われている間に実施される。
【0195】
いくつかの態様において、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触の少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、または少なくとも24時間は、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触が実施される間に実施される。特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触の少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、または少なくとも24時間は、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触が実施される間に実施される。
【0196】
いくつかの態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触と、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触とは、ほぼ同時に始まる。ある特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触と、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触とは、互いに、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、1分以内、30秒以内、15秒以内、10秒以内、5秒以内、1秒以内に始まる。いくつかの態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触と、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触とは、ほぼ同時に終了する。特定の態様において、チオール化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触と、活性化剤と分子とのインキュベーション、処理、および/または接触とは、互いに、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、1分以内、30秒以内、15秒以内、10秒以内、5秒以内、1秒以内に終了する。
【0197】
特定の態様は、チオール官能基を分子に付着させるまたは付加するときに、チオール官能基がより安定だが不活性なN-置換型に異性化される可能性があることを企図する。いくつかの局面において、チオール官能基は、2-イミノチオラン(Traut試薬)の存在下で付加または付着される。ある特定の態様は、2-イミノチオラン(Traut試薬)の存在下でチオール官能基を分子に付着させるまたは付加するときに、チオール官能基がより安定だが不活性なN-置換型に異性化される可能性があることを企図する。ある特定の態様において、チオール官能基は、チオール化剤の除去後に139分または約139分の半減期で異性化される。よって、いくつかの態様において、チオール化剤とのインキュベーション、処理、および/または接触後の分子上のチオール官能基の量は経時的に減少する。
【0198】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をチオール化する工程、分子を活性化する工程、および分子をオリゴマー化する工程、例えば、オリゴマー化に適した条件下で活性化分子およびチオール化分子をインキュベートする工程を含む。特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程を終了または完了した後、正確な期間の範囲内でまたはその期間で開始するように時間を合わせる。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程および活性化工程を終了または完了した後、正確な期間の範囲内でまたはその期間で開始するように時間を合わせる。
【0199】
特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程、例えば、オリゴマー化に適した条件下で活性化分子およびチオール化分子をインキュベートする工程は、チオール化工程の終了後、例えば、分子とチオール化剤とのインキュベーションが終了した後に、ある期間の範囲内に開始される。ある特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程の終了時に分子に付着されたチオール官能基の50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、または0.0001%の喪失、減少、または減衰の前に始まるまたは開始される。特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程の終了時に分子に付着されたチオール官能基の10%の喪失、減少、または減衰の前に始まるまたは開始される。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程の終了後、24時間以内、16時間以内、12時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内、90分以内、60分以内、45分以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、または1分以内に始まるまたは開始される。ある特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程は、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、90分、60分、45分、30分、15分、10分、5分、または1分±5分、±2分、±1分、±30秒、±15秒、±10秒、±5秒、または±1秒で始まるまたは開始される。ある特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程の終了後15分以内に始まるまたは開始される。特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程は、チオール化工程の終了後、10分±1分、±30秒、±15秒、±10秒、±5秒、または±1秒で始まるまたは開始される。
【0200】
特定の態様において、チオール化工程、例えば、分子とチオール化剤とのインキュベーションの終了は、チオール化剤が分子から除去されるとき、またはチオール化剤を除去するプロセスが始まるまたは開始されるときであるか、またはその時に起こる。いくつかの態様において、チオール化工程の終了は、チオール化剤を除去するプロセスが始まるまたは開始されるときであるか、またはその時に起こる。特定の態様において、チオール化剤を除去するプロセスは、クロマトグラフィー、例えばゲルろ過クロマトグラフィーであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、チオール化工程の終了は、チオール化剤および分子を含む試料または溶液を、クロマトグラフィーカラム、例えばゲルろ過クロマトグラフィーカラムに注ぎ、分子からチオール化剤を除去または分離するときもしくはその瞬間であるか、またはその時もしくは瞬間に起こる。特定の態様において、分子をオリゴマー化する工程の開始は、活性化分子をチオール化分子と接触させる、それに加える、および/またはそれと混合するときに始まるおよび/または開始される。
【0201】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、オリゴマー化されていない分子からオリゴマー粒子試薬および/またはオリゴマー化分子を除去および/または分離する工程を含む。ある特定の態様において、オリゴマー化されていない分子からオリゴマー粒子試薬および/またはオリゴマー化分子を除去および/または分離する工程は、分子をオリゴマー化する工程が完了または終了した後に生じる。
【0202】
いくつかの態様において、オリゴマー化粒子試薬および/または分子のオリゴマーは、オリゴマー化されていない分子から、および閾値サイズ未満または閾値サイズを下回るオリゴマー粒子から、除去および/または分離される。いくつかの態様において、サイズの閾値は、少なくとも5 nm、少なくとも10 nm、少なくとも15 nm、少なくとも20 nm、少なくとも25 nm、少なくとも30 nm、少なくとも40 nm、少なくとも50 nm、少なくとも60 nm、少なくとも70 nm、少なくとも75 nm、少なくとも80 nm、少なくとも85 nm、または少なくとも90 nmの半径であるかまたはそれを含む。ある特定の態様において、サイズの閾値は、少なくとも100 kDa、少なくとも500 kDa、少なくとも1,000 kDa、少なくとも2,000 kDa、少なくとも5,000 kDa、少なくとも10,000 kDa、少なくとも50,000 kDa、または少なくとも100,000 kDaの分子量であるかまたはそれを含む。ある特定の態様において、閾値サイズは、本明細書において提供される方法によって生成されるオリゴマー粒子試薬の平均(average)(例えば、平均(mean))サイズおよび/またはサイズ分布に影響を与えない。
【0203】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬、例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体のオリゴマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってオリゴマー化されていない粒子から除去および/または分離される。いくつかの態様において、SECは、分子を損傷または破壊することなくサイズによる分子の分離を可能にする技術であり、それによって、排除限界より小さな分子がカラム中に捕捉され、排除限界より大きな分子が、例えば遅滞なく、カラムを通過する。ある特定の態様において、排除限界は、1 kDa~100,000 kDa、100 kDa~10,000 kDa、500 kDa~1,000 kDa、500 kDa~5,000 kDa、5,000 kDa~20,000 kDa、10,000 kDa~50,000 kDa、または50,000~100,000 kDaにあるサイズである。ある特定の態様において、排除限界は、分子の単量体および/または四量体の分子量より大きい。いくつかの態様において、排除限界は、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体の分子量より大きい。特定の態様において、ボイド容量などにおける粒子、例えばSECカラムを、例えば遅滞なく、通過するオリゴマー粒子の全てを収集する。
【0204】
特定の態様において、SECが実施される場合、分子がカラムから排出される順番は、分子のサイズと関連しており、よって、いくつかの態様において、カラムの溶出物は、異なる画分に収集され得る。いくつかの態様において、画分は、ある特定のサイズの粒子を除去するために組み合わせまたは廃棄されてもよい。例えば、いくつかの態様において、画分は、100 kDa未満、500 kDa未満、1,000 kDa未満、2,000 kDa未満、5,000 kDa未満、10,000 kDa未満、50,000 kDa未満、または100,000 kDa未満のサイズを有する粒子、例えばオリゴマー粒子試薬を除去するために廃棄されてもよい。ある特定の態様において、SECは、オリゴマー化されていないが、本明細書において提供される方法によって生成されたオリゴマー粒子試薬の平均(average)(例えば、平均(mean))サイズおよび/またはサイズ分布に影響を与えない分子からオリゴマー粒子試薬を除去する。
【0205】
ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬、例えばオリゴマー化ストレプトアビジンまたはオリゴマー化ストレプトアビジンムテイン四量体は、オリゴマー化のための分子のインキュベーション、処理、および/または接触が完了または終了した後に、架橋および/またはオリゴマー化をし続けてもよい。よって、いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、オリゴマーを安定化する、例えばそのサイズを安定化するための工程を含む。いくつかの態様において、オリゴマーを安定化するための工程は、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬を安定剤とインキュベートする、それと接触させる、および/またはそれによって処理する工程であるかまたはそれを含む。
【0206】
いくつかの態様において、安定剤は、粒子、例えばオリゴマー粒子試薬のサイズの変化を防ぐまたは防ぐことができる任意の作用物質である。いくつかの態様において、安定剤は、オリゴマー化反応および/または架橋反応において反応するかまたは反応することができる、分子またはオリゴマー粒子上の官能基を修飾する任意の作用物質である。ある特定の態様において、安定剤は、オリゴマー化反応および/または架橋反応において反応するかまたは反応することができる、分子またはオリゴマー粒子上の官能基を生成する形成、異性化、および/または変換を防ぐ任意の作用物質である。いくつかの態様において、安定試薬は、分子またはオリゴマー粒子に付着されるハロアセチル基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、アリール化剤、ビニルスルホン基、ピリジルジスルフィド、TNB-チオールまたはジスルフィド還元剤を修飾するまたはそれらを修飾することができる任意の作用物質である。特定の態様において、安定試薬は、分子またはオリゴマー粒子に付着されるハロアセチル基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、アリール化剤、ビニルスルホン基、ピリジルジスルフィド、TNB-チオールまたはジスルフィド還元剤を生成する形成、異性化、および/または変換を防ぐ任意の作用物質である。
【0207】
いくつかの態様において、安定剤は、オリゴマー粒子とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、複数のチオール化分子および活性化分子、例えば、活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン四量体およびチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体を含むオリゴマー粒子試薬である。ある特定の態様において、オリゴマー粒子は、付着N-置換イミノチオランを含むより多くのチオール化分子を含む。いくつかの態様において、NEMとのインキュベーションおよび/または処理は、全ての利用可能なチオール官能基を飽和および/または修飾し、それによって架橋反応および/またはオリゴマー化反応を停止する。しかしながら、いくつかの態様において、N-置換イミノチオランは、NEMと反応性を有さず、これらの異性体は、NEMとのインキュベーション後に分子およびオリゴマー粒子上に残存する。したがって、いくつかの態様において、チオール異性体に対するN-置換イミノチオランの再異性化は、例えば、他のオリゴマー粒子上の残存する利用可能なマレイミド基などによる、追加の架橋反応および/またはオリゴマー化反応によって、オリゴマー粒子試薬の合成後成長につながる可能性がある。
【0208】
いくつかの態様において、安定剤は、N-置換イミノチオランを修飾する、それを除去する、および/もしくはそれがチオール官能基に再異性化されるのを防ぐ、またはN-置換イミノチオランを修飾することができる、それを除去することができる、および/もしくはそれがチオール官能基に再異性化されるのを防ぐことができる。いくつかの態様において、安定剤は、ヒドロキシルアミンであるかまたはそれを含む。ある特定の態様において、付着N-置換イミノチオランを含むオリゴマー粒子および/または分子は、N-置換イミノチオランを修飾する、それを除去する、および/もしくはそれがチオール官能基に再異性化されるのを防ぐ、またはN-置換イミノチオランを修飾することができる、それを除去することができる、および/もしくはそれがチオール官能基に再異性化されるのを防ぐことができる安定剤とインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。特定の態様において、付着N-置換イミノチオランを含むオリゴマー粒子および/または分子は、ヒドロキシルアミンとインキュベートされる、それによって処理される、および/またはそれと接触される。
【0209】
いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、例えば安定化反応を実施するために、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、チオール官能基とマレイミド官能基との間の架橋反応が実施されたおよび/または完了した後に、オリゴマー化分子に加えられる。特定の態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、架橋反応がオリゴマー化分子へのNEMの添加によって終了、完了、および/または終結した後に、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。ある特定の態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、架橋反応がオリゴマー化分子へのNEMの添加によって終了、完了、および/または終結した後に、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。ある特定の態様において、安定試薬は、長期保存、例えば、室温、4℃、-20℃、もしくは-80℃で、概ねそれらの温度で、またはそれらの温度よりも下で、少なくとも1日、1週、3週、9週、27週、46週、または1年以上にわたる保存の前に、オリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、オリゴマー化分子が、クロマトグラフィーカラムおよび/またはSECカラムなどのカラムの上に負荷され、それを通過し、および/またはそれから溶出された後に、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。特定の態様において、安定試薬は、オリゴマー化分子がSECカラムの上に負荷され、それを通過し、および/またはそれから溶出された後に、オリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。ある特定の態様において、安定試薬は、オリゴマー化分子がSECカラムの上に負荷される、それを通過する、および/またはそれから溶出される任意の工程の前に、オリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。
【0210】
いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、120分、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、もしくは24時間にわたって、約1分、約5分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約90分、約120分、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、もしくは約24時間にわたって、または少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、もしくは少なくとも24時間にわたって、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。ある特定の態様において、安定試薬は、1分~12時間、1分~1時間、1分~30分、5分~30分、10分~60分、10分~20分、1時間~3時間、1時間~2時間、または6時間~12時間にわたって、オリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。特定の態様において、安定試薬は、5分~30分にわたって、または15分もしくは約15分にわたって、オリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。ある特定の態様において、処理、接触、および/またはインキュベーションは、混合および/または揺動、例えば、緩やかな揺動および/または混合によって実施される。
【0211】
いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、4℃、8℃、12℃、16℃、20℃、24℃、28℃、32℃、37℃、39 ℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、もしくは100℃の温度、約4℃、約8℃、約12℃、約16℃、約20℃、約24℃、約28℃、約32℃、約37℃、約39 ℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、もしくは約100℃の温度、または4℃、8℃、12℃、16℃、20℃、24℃、28℃、32℃、37℃、39 ℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、もしくは100℃の温度で、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。いくつかの態様において、安定試薬は、4℃~39℃、10℃~37℃、10℃~25℃、20℃~30℃、24℃~39℃、または40℃~100℃の温度でオリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。特定の態様において、安定試薬は、室温でオリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。ある特定の態様において、安定試薬は、23℃、24℃、 25℃、もしくは26℃±2℃、±1℃、±0.5℃、±0.2℃、±0.1℃、±0.05℃、もしくは±0.01℃で、または約23℃、約24℃、約25℃、もしくは約26℃±2℃、±1℃、±0.5℃、±0.2℃、±0.1℃、±0.05℃、もしくは±0.01℃で、オリゴマー化分子と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。
【0212】
いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬から除去および/または分離される。特定の態様において、安定化反応は、オリゴマー化粒子から安定試薬を分離および/または除去することによって終了および/または終結される。いくつかの態様において、安定試薬は、クロマトグラフィー工程によってオリゴマー化粒子から除去および/または分離される。特定の態様において、クロマトグラフィー工程は、SECであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、安定試薬は、カラムおよび/またはフィルターによってオリゴマー化分子から除去および/または分離される。いくつかの態様において、カラムまたはフィルターは脱塩カラムである。ある特定の態様において、脱塩カラムは、樹脂、例えば、セファデックス、デキストラン、および/またはエピクロロヒドリンであるまたはそれを含む樹脂を含む。
【0213】
特定の態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、4℃~39℃、10℃~25℃、または20℃~30℃の温度で1分~1時間にわたって、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。いくつかの態様において、安定試薬、例えばヒドロキシルアミンは、10℃~25℃の温度で5分~30分にわたって、オリゴマー化分子、例えばオリゴマー粒子試薬と接触される、それによって処理される、および/またはそれとインキュベートされる。
【0214】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬、例えば、安定剤とインキュベートされる、それによって処理される、またはそれと接触される複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を含むオリゴマー粒子試薬は、サイズに関して安定である。いくつかの態様において、安定剤とインキュベートされる、それによって処理される、またはそれと接触されるオリゴマー粒子試薬は、例えば、粒子が室温で、4℃または約4℃もしくはそれ未満で、-20℃または約-20℃もしくはそれ未満で、または-80℃または約-80℃で保存されたときに、ある期間、例えば、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、または16週超にわたって、1%を上回る、5%を上回る、10%を上回る、20%を上回る、25%を上回る、30%を上回る、40%を上回る、または50%を上回る経時的なサイズの変化、例えば、半径または分子量の変化などのサイズの変化を経験しない。いくつかの態様において、安定剤とインキュベートされる、それによって処理される、またはそれと接触されるオリゴマー粒子試薬、安定剤とインキュベートされる、それによって処理される、またはそれと接触されるオリゴマー粒子試薬は、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、または16週超にわたって、1%を上回る、5%を上回る、10%を上回る、20%を上回る、25%を上回る、30%を上回る、40%を上回る、または50%を上回るサイズの増加である経時的なサイズの増加を経験しない。
【0215】
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体、および/またはオリゴマー粒子試薬をフィルター滅菌する1つ以上の工程を含む。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬はフィルター滅菌される。いくつかの態様において、分子またはオリゴマー粒子試薬は、活性化剤またはチオール化剤とのインキュベーションの前もしくは後に、活性化分子およびチオール化分子が架橋形成および/またはオリゴマー化される前もしくは後に、SECを実施して非オリゴマー化分子、例えば四量体からオリゴマー粒子試薬を除去する前もしくは後に、および/またはオリゴマー粒子試薬を安定剤と一緒にインキュベートする前もしくは後に、フィルター滅菌される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬はフィルター滅菌されるか、またはフィルター滅菌することができる。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、凝集しない、詰まらない、または別のやり方でフィルター滅菌のプロセスを妨害もしくは防止しない。いくつかの態様において、フィルター滅菌は、分子またはオリゴマー粒子試薬を含む溶液を多孔性のフィルターまたは膜に通すことを含む。いくつかの態様において、多孔性のフィルターまたは膜は、直径で、約0.02μm、約0.05μm、約0.1μm、約0.15μm、約0.2μm、約0.22μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.45μm、もしくは約0.5μmであるか、または少なくとも約0.02μm、少なくとも約0.05μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.15μm、少なくとも約0.2μm、少なくとも約0.22μm、少なくとも約0.3μm、少なくとも約0.4μm、少なくとも約0.45μm、もしくは少なくとも約0.5μmである孔を含む。いくつかの態様において、孔は、0.01μm~1.0μm、0.1μm~.05μm、0.2μm~0.25μm、0.4~0.45μm、または0.2μm~0.45μmであるサイズを有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、150 nm以下である半径および/または平均半径を有する。特定の態様において、オリゴマー粒子は、約125 nm、約110 nm、もしくは約100 nm、125 nm、110 nm、もしくは100 nm、または125 nm未満、110 nm未満、もしくは100 nm未満である半径および/または平均半径を有する。
【0216】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、本明細書において提供される方法によって製造、作製、および/または生成され、次いで保存される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、作用物質、例えば受容体結合物質をオリゴマー粒子試薬に結合させるための任意の処理またはインキュベーションの前にある期間にわたって保存される。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、作用物質、例えば受容体結合物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための1つ以上の処理またはインキュベーション後にある期間にわたって保存される。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、2つ以上の分割量で保存される。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、緩衝液中に保存される。いくつかの態様において、緩衝液は、中性pHおよび/または6.5~7.5、6.8~7.4、または約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、もしくは約7.3のpHを有する。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、約7.2のpHの緩衝液中に保存される。ある特定の態様において、緩衝液は、リン酸緩衝液、例えばリン酸ナトリウム緩衝液である。ある特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、室温で、4℃またはは約4℃もしくはそれ未満で、-20℃または約-20℃もしくはそれ未満で、または-80℃または約-80℃で保存される。特定の態様において、オリゴマー粒子試薬は、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、または16週超にわたって保存される。いくつかの態様において、中性pHを有する緩衝液中に置かれるオリゴマー粒子試薬は、-80℃または約-80℃の温度で保存される。
【0217】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は、分子をオリゴマー化するのに適した条件下で分子、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をインキュベートする、処理する、および/または接触させるための工程、SECによってオリゴマー化されなかった分子からオリゴマー粒子試薬を分離するための工程、ならびに粒子を安定剤とインキュベートする工程を包含するかまたはそれを含む。いくつかの態様において、分子をオリゴマー化するのに適した条件下で分子をインキュベートする、処理する、および/または接触させる工程は、1つ以上の付着チオール官能基を有するチオール化分子を1つ以上の付着マレイミド官能基を有する活性化分子とインキュベートする工程であるかまたはそれを含む。
【0218】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は以下を含む:15~90分の期間にわたって塩基性pHを有する緩衝液中で複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をチオール化剤とインキュベートして、四量体をチオールするための工程;30分~90分の期間にわたって別の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を活性化剤とインキュベートして、四量体に1つ以上のマレイミド官能基を付加し、同時にまたはほぼ同時に2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHインキュベーションを終了するための工程;活性化インキュベーションおよびチオール化インキュベーションを終了した後に5~15分の期間の範囲内でチオール化四量体および活性化四量体をインキュベートするための工程;SECによってオリゴマー化されなかった分子からオリゴマー粒子試薬を分離するための工程;および粒子を安定とインキュベートして、オリゴマー粒子試薬のサイズを安定化する工程。いくつかの態様において、方法は、約-80℃もしくは-80℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、または約4℃もしくは4℃未満で中性pHを有する緩衝溶液中にオリゴマー粒子試薬を保存する工程を含む。
【0219】
いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するための本明細書において提供される方法は以下を含む:60分にわたって約24℃の温度で7.7~8.5の塩基性pHを有する緩衝液中で複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を2-イミノチオランとインキュベートして、四量体をチオール化するための工程;1時間にわたって約24℃の温度で7.2の中性pHで別の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をSMPHとインキュベートして、四量体に1つ以上のマレイミド官能基を付加するための工程;クロマトグラフィー、例えばSECによって四量体から2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHのインキュベーションを分離することによって、2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHインキュベーションを同時に終了する工程;2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHインキュベーションが終了した10分後にチオール化四量体および活性化四量体をインキュベートするための工程;四量体をNEMとインキュベートすることによって60分後にチオール化四量体と活性化四量体との間のオリゴマー化反応を終了する工程;SECによってオリゴマー化されなかった分子からオリゴマー粒子試薬を分離するための工程;および粒子をヒドロキシルアミンとインキュベートして、オリゴマー粒子試薬のサイズを安定化する工程。いくつかの態様において、方法は、-80℃で中性pHを有する緩衝溶液中でオリゴマー粒子試薬を保存する工程を含む。いくつかの態様において、2-イミノチオランは、8.5の塩基性pHを有する緩衝液に添加される。ある特定の態様において、緩衝液は100 mMホウ酸塩緩衝液であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、粒子は少なくとも46週にわたって安定である、例えば、10%より大きなサイズの変化を受けない。
【0220】
特定の態様において、オリゴマー粒子試薬を製造、作製、および/または生成するために本明細書において提供される方法は以下を含む:60分にわたって約24℃の温度で7.7~8.5の塩基性pHを有する緩衝液中で複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体を2-イミノチオランとインキュベートして、四量体をチオール化するための工程;1時間にわたって約24℃の温度で7.2の中性pHにて別の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体をSMPHとインキュベートして、四量体に1つ以上のマレイミド官能基を付加するための工程;クロマトグラフィー、例えばSECによって四量体から2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHインキュベーションを分離することによって、2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHインキュベーションを同時に終了する工程;2-イミノチオランインキュベーションおよびSMPHインキュベーションが終了した後に、任意で10分以内に、チオール化四量体および活性化四量体をインキュベートするための工程;四量体をNEMとインキュベートすることによって、60分後または約60分後にチオール化四量体と活性化四量体との間のオリゴマー化反応を終了する工程;粒子をヒドロキシルアミンとインキュベートする工程;SEC工程;および、任意で、粒子を、例えば0.45μmおよび/もしくは0.2μmまたは約0.45μmおよび/もしくは約0.2μmの直径孔サイズを有する膜および/またはフィルターを通じて、ろ過する工程。いくつかの態様において、方法は、-80℃で中性pHを有する緩衝溶液中にオリゴマー粒子試薬を保存する工程を含む。いくつかの態様において、粒子は少なくとも46週にわたって安定である、例えば10%より大きなサイズの変化を受けない。
【0221】
C. 試薬の形式
1. 支持体
いくつかの態様において、試薬は、支持体、例えば固体支持体もしくは表面、例えばビーズ、または固相もしくは固定相(クロマトグラフィーマトリクス)に含まれる。いくつかのそのような態様において、試薬は、支持体に可逆的に固定化される。いくつかの例において、試薬は、共有結合を通じて支持体に固定化される。いくつかの局面において、試薬は、非共有結合により支持体に可逆的に固定化される。
【0222】
いくつかの態様において、支持体は、固体支持体である。任意の固体支持体(表面)が、試薬の可逆的固定化のために使用され得る。試薬を固定化することができる固体支持体の実例は、磁気ビーズ、ポリマービーズ、細胞培養プレート、マイクロタイタープレート、メンブレン、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、または中空繊維を含む。いくつかの局面において、中空繊維が、TerumoBCT Inc.(Lakewood, CO, USA)から入手可能なQuantum(登録商標)Cell Expansion Systemにおけるバイオリアクターとして使用され得る。いくつかの態様において、試薬は、固体支持体に共有結合により付加される。他の態様において、例えばプラスチック基材への固定化のために、非共有結合的相互作用も使用され得る。いくつかの態様において、試薬は、例えば、ストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合するストレプトアビジンまたはアビジンムテインであり得る。そのようなストレプトアビジンムテインは、任意の表面、例えば、クロマトグラフィー精製のために使用される、IBA GmbH, Gottingenから市販されている樹脂(ビーズ)、例えば、Strep-Tactin(登録商標)セファロース、Strep-Tactin(登録商標)Superflow(登録商標)、Strep-Tactin(登録商標)Superflow(登録商標)強化型またはStrep-Tactin(登録商標)MacroPrep(登録商標)に、共有結合により付加され得る。商業的に容易に入手可能な他の実例は、オリゴヒスチジンタグ付加(hisタグ付加)タンパク質の可逆的固定化のために、例えば、オリゴヒスチジンタグ、例えばペンタまたはヘキサヒスチジンタグを結合パートナーCとして含む作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の可逆的結合のために、使用され得る、固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)樹脂、例えば、TALON(登録商標)樹脂(Westburg, Leusden, The Netherlands)である。他の例は、グルタチオンが結合する結合パートナーCとしてのカルモジュリン結合ペプチドまたはセファロースを含む作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)と共に使用され得る、GE Life Sciencesから入手可能なカルモジュリンセファロースを含む。いくつかのそのような例において、結合パートナーCは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼである。
【0223】
いくつかの態様において、支持体は、固相または固定相を含む。したがって、いくつかの態様において、試薬は、固相または固定相(クロマトグラフィーマトリクスとも呼ばれる)に含まれる。いくつかのそのような態様において、試薬は、固相または固定相に可逆的に固定化される。いくつかの例において、試薬は、共有結合を通じて固定相に可逆的に固定化される。いくつかの局面において、試薬は、非共有結合により固定相に可逆的に固定化される。
【0224】
任意の材料が、クロマトグラフィーマトリクスとして使用され得る。一般に、適当なクロマトグラフィー材料は、例えば、充填されたクロマトグラフィーカラムにおいて所望の条件下で使用される際に、本質的に無害なもの、すなわち、細胞の生存度に対して弊害をもたらさないものである。いくつかの態様において、固定相は、予め定められた場所、例えば、予め定められた位置で維持され、それに対して試料の場所が移動する。したがって、いくつかの態様において、固定相は、移動相が(フロースルーによりまたはバッチモードでのいずれかで)流動し、相間で(溶解したまたは分散したのいずれかの)液体相中に含まれる成分の分配が生じる、クロマトグラフィーシステムの一部である。
【0225】
いくつかの態様において、クロマトグラフィーマトリクスは、固体または半固体相の形態を有し、単離/分離したい標的細胞を含む試料は液体相である。クロマトグラフィーマトリクスは、(任意の適当なサイズおよび形状の)特定の材料または紙基材もしくはメンブレンを含むモノリシックなクロマトグラフィー材料である。したがって、いくつかの局面において、クロマトグラフィーは、カラムクロマトグラフィーおよび平面クロマトグラフィーの両方であり得る。いくつかの態様において、標準的なクロマトグラフィーカラムに加えて、双方向の流れを実現するカラム、例えばPhyNexus, Inc. San Jose, CA, U.S.A.から入手可能なPhyTip(登録商標)カラムまたはピペットチップが、カラムベース/フロースルーモードベースの方法で使用され得る。したがって、いくつかの例において、双方向の流れを実現するピペットチップまたはカラムもまた、本発明の方法において有用なクロマトグラフィーカラムに含まれる。いくつかの例において、例えば粒状のマトリクス材料が使用される場合、粒状のマトリクス材料は、例えば、約5μm~約200μm、または約5μm~約400μm、または約5μm~約600μmの平均粒子サイズを有し得る。いくつかの局面において、クロマトグラフィーマトリクスは、例えば、ポリマー樹脂または金属酸化物または半金属酸化物であり得るかまたはそれらを含み得る。いくつかの局面において、例えば平面クロマトグラフィーが使用される場合、マトリクス材料は、平面クロマトグラフィーに適した任意の材料、例えば、従来的なセルロースベースもしくは有機ポリマーベースのメンブレン(例えば、紙製メンブレン、ニトロセルロースメンブレンもしくはフッ化ポリビニリデン(PVDF)メンブレン)またはシリカコーティングされたガラスプレートであり得る。1つの態様において、クロマトグラフィーマトリクス/固定相は、非磁性材料または非磁化性材料である。
【0226】
いくつかの態様において、本発明の方法に適した非磁性または非磁化性クロマトグラフィー固定相または固相は、誘導体化シリカまたは架橋ゲルを含む。いくつかの局面において、架橋ゲルは、天然ポリマー、例えば自然界で発生するポリマークラスのものに基づき得る。例えば、クロマトグラフィー固定相の基礎となり得る天然ポリマーは、多糖である。いくつかの態様において、固相または固定相は、ポリスチレンビーズである。いくつかの例において、各多糖は、通常、架橋される。多糖マトリクスの例は、アガロースゲル(例えば、Superflow(商標)アガロースまたはSepharose(登録商標)材料、例えば異なるビーズおよび孔サイズで市販されているSuperflow(商標)Sepharose(登録商標))または架橋デキストランのゲルを含むがこれらに限定されない。さらなる実例は、共にGE Healthcareから入手可能な、Sephadex(登録商標)またはSuperdex(登録商標)として(様々なビーズサイズおよび様々な孔サイズで)市販されている、デキストランが共有結合される粒状架橋アガロースマトリクスである。そのようなクロマトグラフィー材料の別の実例は、Sephacryl(登録商標)であり、これもGE Healthcareから異なるビーズおよび孔サイズで入手可能である。そのようなクロマトグラフィー材料の別の実例は、CytoSorbポリスチレンビーズである。
【0227】
いくつかの態様において、架橋ゲルはまた、合成ポリマー、例えば自然界で発生しないポリマークラスのものに基づき得る。いくつかの局面において、クロマトグラフィー固定相または固相の基礎となるそのような合成ポリマーは、極性単量体単位を有し、したがってそれ自体が極性であるポリマーである。したがって、いくつかの例において、そのような極性ポリマーは、親水性である。疎油性とも称される親水性分子は、いくつかの局面において、水分子と双極子・双極子相互作用を形成し得る部分を含む。一般に、親油性とも称される疎水性分子は、水から分離する傾向を有する。
【0228】
適当な合成ポリマーの実例は、ポリアクリルアミド、スチレンジビニルベンゼンゲルならびにアクリレートおよびジオールまたはアクリルアミドおよびジオールのコポリマーである。実例は、Fractogel(登録商標)として市販されているポリメタクリレートゲルである。さらなる例は、Toyopearl(登録商標)として市販されているエチレングリコールおよびメタクリレートのコポリマーである。いくつかの態様において、クロマトグラフィー固定相はまた、天然および合成ポリマー成分、例えば、複合マトリクスもしくは複合材または多糖およびアガロースのコポリマー、例えばポリアクリルアミド/アガロース複合材、または多糖およびN,N'-メチレンビスアクリルアミドのコポリマーを含み得る。デキストランおよびN,N'-メチレンビスアクリルアミドのコポリマーの実例は、上記のSephacryl(登録商標)シリーズの材料である。いくつかの態様において、誘導体化シリカは、合成または天然ポリマーに連結されたシリカ粒子を含み得る。そのような態様の例は、多糖結合シリカ、ポリビニルピロリドン結合シリカ、ポリエチレンオキシド結合シリカ、ポリ(2-ヒドロキシエチルアスパルトアミド)シリカおよびポリ(N'-イソプロピルアクリルアミド)結合シリカを含むがこれらに限定されない。
【0229】
いくつかの態様において、クロマトグラフィーマトリクスは、例えば本明細書に記載される除去カートリッジにおいて使用される場合、ゲル濾過マトリクスである。一般に、ゲル濾過は、それが起こるよう設計された特性によって特徴づけられ得る。したがって、ゲル濾過マトリクスは、いくつかの局面において、概ねそれらのサイズに基づいて細胞または他の生物学的物体の分離を実現する。いくつかのそのような局面において、各クロマトグラフィーマトリクスは典型的に、上記のような粒状多孔性材料である。クロマトグラフィーマトリクスは、特定の排除限界を有し得、排除限界は典型的に、それを上回ると分子が孔に侵入できず完全に除去される分子量という点から定義される。いくつかの態様において、サイズ排除限界を定義する各分子量は、標的細胞の重量に対応する重量を下回るよう選択され得る。そのような態様において、標的細胞は、サイズ排除クロマトグラフィーマトリクスの孔に侵入することが妨げられる。同様に、固定相は、選択された標的細胞のサイズよりも小さいサイズの孔を有し得る。例示的な態様において、クロマトグラフィーマトリクスは、0~約500 nmの平均孔サイズを有する。
【0230】
いくつかの態様において、試料中に存在する成分、例えば作用物質(例えば、受容体結合物質もしくは選択物質)または競合試薬は、孔の排除限界を下回るサイズを有し得、したがってクロマトグラフィーマトリクスの孔に侵入し得る。いくつかの局面において、部分的または完全に孔容積に侵入することができるそのような成分のうち、孔容積に対するアクセス性が低いより大きな分子が最初に溶出し得、最も小さい分子は典型的に最後に溶出する。いくつかの態様において、クロマトグラフィーマトリクスの排除限界は、標的細胞の最大幅を下回るよう選択される。したがって、いくつかの局面において、孔容積に対するアクセス性を有する成分は、標的細胞よりもクロマトグラフィーマトリクス内または上でより長く維持され得る。したがって、いくつかの例において、標的細胞は、試料の他の物体/成分から分離されてクロマトグラフィーカラムの溶出物中に回収され得る。したがって、いくつかの局面において、成分、例えば作用物質(例えば、受容体結合物質もしくは選択物質)、または適用可能な場合、競合試薬は、標的細胞よりも後の時点でゲル濾過マトリクスから溶出し得る。いくつかの態様において、例えば、ゲル透過マトリクスが、試料中に存在する作用物質(例えば、受容体結合物質もしくは選択物質)および/または競合試薬に結合することができる結合部位Zを含む(例えば、それに共有結合された)試薬を含む場合に、この効果はさらに増加する。いくつかの例において、作用物質(例えば、受容体結合物質もしくは選択物質)および/または競合試薬は、試薬の結合部位Zによって結合され得、それによってマトリクス上に固定化され得る。いくつかの局面において、この方法は、除去カートリッジにおいて実施される。
【0231】
いくつかの態様において、本発明の方法において使用されるクロマトグラフィーマトリクスはまた、磁気的に誘引可能な物体、例えば1つまたは複数の磁気的に誘引可能な粒子または磁性流体を含み得る。各々の磁気的に誘引可能な粒子は、標的細胞に結合することができる結合部位を有する試薬を含み得る。いくつかの例において、磁気的に誘引可能な粒子は、反磁性、強磁性、常磁性または超常磁性材料を含み得る。一般に、超常磁性材料は、永久磁化を起こすことなく誘起磁場による磁場に反応する。酸化鉄に基づく磁気粒子は、例えば、Dynal BiotechからDynabeads(登録商標)として、Miltenyi Biotecから磁性MagneticBeadsとして、CPG Inc.,から磁性多孔性ガラスビーズとして、および様々な他の販売元、例えば、いくつか挙げると、Roche Applied Science、BIOCLON、BioSource International Inc.、micromod、AMBION、Merck、Bangs Laboratories、Polysciences、またはNovagen Inc.から、市販されている。超常磁性CoおよびFeCoならびに強磁性Coナノ結晶に基づく磁性ナノ粒子が、例えばHutten, A. et al. (J. Biotech. (2004), 112, 47-63)によって報告されている。他の態様において、本発明の方法において使用されるクロマトグラフィーマトリクスは、任意の磁気的に誘引可能な物体のくぼみである。
【0232】
いくつかの態様において、第1および第2の固定相の少なくとも1つの配置、例えば細胞の選択のためのクロマトグラフィーカラム(選択カートリッジ)および試薬の除去のための第2のクロマトグラフィーカラム(除去カートリッジ)を含む装置が提供される。装置は、直列に流体接続されている第1および第2の固定相(クロマトグラフィーカラム)の複数の配置を含み得る。装置は、第1および第2の固定相の第1の配列の第1の固定相に流体接続されている試料投入口を含み得る。いくつかの態様において、装置はまた、クロマトグラフィー用の第1および第2の固定相の少なくとも1つの配置の最後の第2の固定相に流体接続されている、細胞のための試料流出口を含み得る。いくつかの局面において、装置はまた、第1および第2の固定相の配置の第1の固定相の少なくとも1つに流体接続されている競合試薬容器を含み得る。
【0233】
2. 可溶性試薬
いくつかの態様において、試薬は、固体支持体に結合されない、すなわち、それは可溶性形態で存在するかまたは可溶性である。原則として、支持体、例えば固体支持体または固定相に固定化される試薬の場合と同じ試薬が使用され得る。例えば、上記の試薬の任意の例が、そのような試薬を支持体に固定化または付加することなく、例えば、固体支持体または固定相に付加せずに使用され得る。いくつかの態様において、試薬は、結合パートナーCとの相互作用を通じた結合物質への可逆的結合のための複数の結合部位Zを含む。いくつかの例において、試薬は、個別分子のオリゴマーもしくはポリマー、または個別分子を形成するサブユニットの複合体のオリゴマーもしくはポリマー(例えば、二量体、三量体もしくは四量体タンパク質のオリゴマーもしくはポリマー)である。いくつかの態様において、試薬は、例えば、ストレプトアビジンムテインオリゴマー、カルモジュリンオリゴマー、あるいは、遷移金属イオンに結合することができそれによってその試薬をオリゴヒスチジン親和性タグ、多量体グルタチオン-S-トランスフェラーゼまたはビオチニル化担体タンパク質に結合できるようにする少なくとも2つのキレート基Kを提供する化合物(オリゴマー)であり得る。
【0234】
いくつかの態様において、試薬は、試薬に付加された固体支持体(表面)の不存在により特徴づけられる。例えば、いくつかの態様において、試薬は、粒子、ビーズ、ナノ粒子、マイクロスフィアまたは他の固体支持体を含まないかまたはそれらに(直接的もしくは間接的に)付加されない。いくつかの態様において、試薬は、硬直的な、柔軟性のないもしくは堅いものではない、または硬直的な、柔軟性のないもしくは堅い表面を含まないかもしくはそれに付加されない。いくつかの態様において、試薬は、柔軟であるまたは実質的に柔軟である。いくつかの例において、試薬は、細胞の表面の形状に対して調節するまたは適合させることができる。いくつかの態様において、試薬は、球形または実質的に球形の形状を含まない。
【0235】
いくつかの態様において、試薬の実質的にすべて、すなわち、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%超またはそれ以上が、有機物である、有機物から構成されるまたは有機物を含む。例えば、いくつかの態様において、試薬の80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%超またはそれ以上が、脂質、糖質、タンパク質、ペプチドもしくはそれらの混合物である、それらから構成されるまたはそれらを含む。いくつかの態様において、試薬は、無機物、無機コア、例えば金属、例えば鉄、合成または無機ポリマー、例えばスチレンポリマー、例えばポリスチレン、ラテックス、シリカもしくは磁性コアを本質的に含まない、本質的にそれらから構成されないまたは本質的にそれらを含まない。例えば、いくつかの態様において、試薬の一部として含まれる試薬における無機物の相対パーセンテージは、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満またはそれより少ない。
【0236】
いくつかの態様において、水溶液中の試薬の全体の大部分(すなわち、50%超)、例えば60%、70%、80%、90%、95%、99%超またはそれ以上は、試薬を含む個別タンパク質分子、例えば個別分子または個別分子を形成するサブユニットの複合体(例えば、四量体分子)のオリゴマーもしくはポリマーからなる。いくつかの態様において、可溶性試薬の総密度は、1.2 g/cm3、1.1 g/cm3、1.0 g/cm3未満またはそれより小さい。
【0237】
いくつかの態様において、例えば支持体または固体支持体に付加されていない(例えば、ビーズに付加されていない)可溶性試薬は、比較的小さいサイズ、例えば、通常、20 nM未満または約20 nM未満のサイズ、例えば、15 nM未満もしくは約15 nM未満、10 nM未満もしくは約10 nM未満、5 nM未満もしくは約5 nM未満、またはそれより小さい。
【0238】
いくつかの態様において、例えば支持体または固体支持体に付加されていない(例えば、ビーズに付加されていない)可溶性試薬は、生物学的に不活性である、すなわち、それは生細胞に対して非毒性である。いくつかの態様において、試薬は生分解性であり得る、例えば、それは酵素的活性によって分解され得るまたは食細胞によって除去され得る。
【0239】
いくつかの態様において、試薬(例えば、ストレプトアビジンまたはムテイン、例えば四量体ストレプトアビジンムテイン)を担体、例えば有機担体に反応させることが可能である。いくつかの局面において、多糖との反応に加えて、担体タンパク質として生理学的または薬学的に許容されるタンパク質、例えば血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)またはウシ血清アルブミン(BSA))を使用することも可能である。そのような例において、試薬、例えば、(個別の四量体としてまたはオリゴマーの形態のいずれかの)ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインは、非共有結合的相互作用を通じて担体タンパク質に連結され得る。いくつかのそのような態様において、(様々な販売元、例えば、いくつか挙げるとThermoFisher Scientific、Sigma AldrichまたはVectorlabs、から市販されている)ビオチニル化BSAを、試薬(例えば、ストレプトアビジンムテイン)と反応させることができる。いくつかの局面において、試薬オリゴマー(例えば、ストレプトアビジンオリゴマー)の一部は、オリゴマーの結合部位Zの大部分を作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)および本明細書に記載される任意のさらなる作用物質との結合に利用可能な状態で残しつつ、1つまたは複数の結合部位Zを通じて、ビオチニル化担体タンパク質に非共有結合的に連結され得る。したがって、そのようなアプローチによって、複数の結合部位Zを有する可溶性試薬が調製され得る。
【0240】
いくつかの態様において、試薬、例えば、(個別の四量体としてまたはオリゴマーの形態のいずれかの)ストレプトアビジンムテインは、合成担体、例えばポリエチレングリコール(PEG)分子に、共有結合的に連結され得る。任意の適当なPEG分子が、例えば、この目的で使用され得、PEG分子および各試薬は可溶性であり得る。典型的に、1000 Daの分子量までのPEG分子は、本発明の方法において使用され得る水または培養培地に可溶性である。いくつかの例において、そのようなPEGベースの試薬は、市販の活性化PEG分子(例えば、NOF North America Corporation, Irvine, California, USAから入手可能なPEG-NHS誘導体またはCreative PEGWorks, Chapel Hills, North Carolina, USAから入手可能な活性化PEG誘導体)とストレプトアビジンムテインのアミノ基とを用いて調製され得る。
【0241】
3. 作用物質
いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、細胞の表面上の分子、例えば、細胞表面分子に結合するための1つまたは複数の結合部位Bを有する。したがって、いくつかの例において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、1つの結合部位Bまたは複数の結合部位Bを含み、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)と標的細胞の表面上の分子との間の特異的結合は、Bと分子との間の相互作用を含む。いくつかの態様において、作用物質は、1つの結合部位しか含まない、すなわち一価である。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、細胞表面分子に結合することができる少なくとも2つ、例えば、3つ、4つまたは5つの結合部位Bを含む複数の結合部位Bを有する。いくつかのそのような局面において、少なくとも2つまたは複数の結合部位Bは、同一であり得る。いくつかの態様において、少なくとも2つまたは複数の結合部位Bの1つまたは複数は、異なり得る(例えば、B1およびB2であり得る)。
【0242】
いくつかの態様において、1つまたは複数の異なる作用物質(例えば、1つまたは複数の異なる受容体結合物質、選択物質または細胞上の分子に結合する他の作用物質)は、試薬に可逆的に結合する。いくつかの態様において、試薬は、オリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれ以上の異なる作用物質は、同じ試薬に可逆的に結合する。いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる作用物質が同じ試薬に可逆的に結合し、各試薬は、作用物質と分子との間の特異的結合のための1つの結合部位Bまたは複数の結合部位Bを含む。いくつかの態様において、少なくとも2つまたはそれ以上の作用物質は、例えば、同じまたは実質的に同じ分子への結合のための、同じ結合部位Bを含む。いくつかの態様において、少なくとも2つまたはそれ以上の作用物質は、例えば異なる分子への結合のための、異なる結合部位Bを含む。いくつかの態様において、第1の作用物質(例えば、第1の受容体結合物質または第1の選択物質)は、結合部位B1、B2、B3、B4等を含み、第2の作用物質(例えば、第2の受容体結合物質または第2の選択物質)は、結合部位B1、B2、B3、B4等のうちの別のものを含む。いくつかの態様において、第1の作用物質(例えば、第1の選択物質)は結合部位B1を含み、第2の作用物質(例えば、第2の選択物質)は結合部位B3を含む。いくつかの態様において、第1の作用物質(例えば、第1の受容体結合質)は結合部位B2を含み、第2の作用物質(例えば、第2の受容体結合物質)は結合部位B4を含む。任意のそのような態様において、第1の作用物質および第2の作用物質は、結合パートナーC1またはC2を含み得る。いくつかの態様において、C1およびC2は同じであり得る。いくつかの態様において、C1およびC2は異なる。いくつかの態様において、第1の作用物質および第2の作用物質は、同じ結合パートナーC1を含む。
【0243】
いくつかの例において、(例えば、その結合部位Bを通じた)作用物質と試薬の結合部位Zとの間の結合の解離定数(Kd)は、約10-2 M~約10-13 Mまたは約10-3 M~約10-12 Mまたは約10-4 M~約10-11 M、または約10-5 M~約10-10 Mの範囲の値を有し得る。いくつかの態様において、結合物質と分子との間の結合の解離定数(Kd)は、低い親和性のもの、例えば、約10-3~約10-7 MのKdの範囲内である。いくつかの態様において、結合物質と分子との間の結合の解離定数(Kd)は、高い親和性のもの、例えば、約10-7~約1 x 10-10 MのKdの範囲内である。
【0244】
いくつかの態様において、結合部位Bを通じた作用物質と分子との結合の解離は、例えば、試薬と作用物質との間の可逆的結合の破壊の後に、標的細胞が作用物質により一過的にのみ染色されるまたは作用物質と一過的にのみ結合するのに十分に早く起こる。いくつかの例において、koff速度((結合部位Bを通じた)作用物質と分子との間の結合の解離速度定数とも呼ばれる)で表現される場合、koff速度は、約0.5 x 10-4秒-1もしくはそれ以上、約1 x 10-4秒-1もしくはそれ以上、約2 x 10-4秒-1もしくはそれ以上、約3 x 10-4秒-1もしくはそれ以上、約4 x 10-4秒-1もしくはそれ以上、約5 x 10-4秒-1もしくはそれ以上、約1 x 10-3秒-1もしくはそれ以上、約1.5 x 10-3秒-1もしくはそれ以上、約2 x 10-3秒-1もしくはそれ以上、約3 x 10-3秒-1もしくはそれ以上、約4 x 10-3秒-1もしくはそれ以上、約5 x 10-3秒-1もしくはそれ以上、約1 x 10-2秒もしくはそれ以上、または約5 x 10-1秒-1もしくはそれ以上である。特定の作用物質と細胞の分子との相互作用に適したkoff速度範囲を経験的に決定することは、当業者の技能の範囲内である(例えば、公開された米国出願番号US2014/0295458を参照のこと)。例えば、結合複合体の崩壊の後に作用物質の大部分が1時間以内に除去または分離され得るように、例えば4.0 x 10-4秒-1より大きい、比較的高いkoff速度を有する作用物質が使用され得る。他の例において、結合複合体の崩壊の後に、作用物質の大部分が約3.5時間以内に細胞から除去または分離され得るように、例えば1.0 x 10-4秒-1の、低いkoff速度を有する作用物質が使用され得る。
【0245】
いくつかの態様において、この結合のKdならびに作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の結合部位Bと細胞表面分子との間で形成される結合のKd、koffおよびkon速度は、任意の適当な手段によって、例えば蛍光滴定、平衡透析または表面プラズモン共鳴によって決定され得る。
【0246】
いくつかの局面において、細胞表面分子は、それに対して作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)が誘導され得る分子である。いくつかの態様において、細胞表面分子は、ペプチドまたはタンパク質、例えば受容体、例えば膜受容体タンパク質である。いくつかの態様において、受容体は、脂質、多糖または核酸である。いくつかの態様において、タンパク質である細胞表面分子は、表在性膜タンパク質または内在性膜タンパク質であり得る。細胞表面分子は、いくつかの態様において、膜をまたぐ1つまたは複数のドメインを有し得る。いくつかの実例として、膜貫通ドメインを有する膜タンパク質は、Gタンパク質共役受容体、例えば嗅覚受容体、ロドプシン受容体、ロドプシンフェロモン受容体、ペプチドホルモン受容体、味覚受容体、GABA受容体、オピエート受容体、セロトニン受容体、Ca2+受容体、メラノプシン、アセチルコリン、ニコチン性、アドレナリン作用性、ノルエピネフリン、カテコールアミン、L-DOPA-、ドパミンおよびセロトニン(生体アミン、エンドルフィン/エンケファリン)神経ペプチド受容体を含む、神経伝達物質受容体、例えばリガンド依存性、電圧依存性または機械刺激依存性受容体、受容体キナーゼ、例えばセリン/スレオニンキナーゼ、チロシンキナーゼ、ポーリン/チャネル、例えば塩素チャネル、カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、OMPタンパク質、ABCトランスポーター(ATP結合カセットトランスポーター)、例えばアミノ酸トランスポーター、Na-グルコーストランスポーター、Na/ヨウ化物トランスポーター、イオントランスポーター、例えば集光複合体、シトクロムcオキシダーゼ、ATPase Na/K、H/K、Ca、細胞接着受容体、例えばメタロプロテアーゼ、インテグリンまたはカドヘリンであり得る。
【0247】
いくつかの態様において、細胞表面分子は、望ましい細胞集団またはサブ集団、例えば、血液細胞の集団またはサブ集団、例えばリンパ球(例えば、T細胞、Tヘルパー細胞、例えばCD4+ Tヘルパー細胞、B細胞もしくはナチュラルキラー細胞)、単球、または幹細胞、例えばCD34陽性末梢幹細胞またはNanogもしくはOct-4発現幹細胞を定義する抗原であり得る。T細胞の例は、CMV特異的CD8+ Tリンパ球、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞および調節性T細胞(Treg)等の細胞を含む。Tregの実例は、CD4 CD25 CD45RA Treg細胞であり、メモリーT細胞の実例は、CD62L CD8+特異的セントラルメモリーT細胞である。細胞表面分子はまた、腫瘍細胞のマーカーであり得る。
【0248】
上記のように、いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、細胞表面分子に結合することができる結合部位Bに加えて、結合パートナーCを有する。いくつかの局面において、この結合パートナーCは、試薬の結合部位Zに結合することができ、試薬は、結合パートナーCに対する1つまたは複数の結合部位を有する。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCと試薬の結合部位Zとの間で形成され得る非共有結合的な結合は、任意の所望の強度および親和性のものであり得、この方法が実施される条件下で破壊可能または可逆的であり得る。作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、2つ、3つまたはそれ以上を含む少なくとも1つのさらなる結合パートナーCを含み得、試薬は、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCに対する少なくとも2つ、例えば3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上の結合部位Zを含み得る。米国特許7,776,562、米国特許8,298,782または国際特許出願WO 2002/054065に記載されるように、結合パートナーCと1つまたは複数の対応する結合部位Zとを有する試薬の任意の組み合わせが、例えば、結合パートナーCおよび結合部位Zが、例えばアビディティ効果を生じるように、複合体内で可逆的に結合することができるように、選択され得る。
【0249】
作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、例えば、炭化水素ベース(ポリマーを含む)であり得、窒素、リン、硫黄、カルベン、ハロゲンまたはプソイドハロゲン基を含み得る。いくつかの局面において、それは、アルコール、有機酸、無機酸、アミン、ホスフィン、チオール、ジスルフィド、アルカン、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、糖、オリゴ糖または多糖であり得る。さらなる例として、それはまた、カチオン、アニオン、ポリカチオン、ポリアニオン、ポリカチオン、電解質、高分子電解質、カーボンナノチューブまたはカーボンナノフォームであり得る。通常、そのような結合パートナーCは、他の物体に対するよりも試薬の結合部位に対してより高い親和性を有する。各結合パートナーCの例は、クラウンエーテル、免疫グロブリン、それらのフラグメントおよび抗体様機能を有するタンパク質性結合分子を含むがこれらに限定されない。
【0250】
いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、ビオチンを含み、試薬は、ビオチンに可逆的に結合するストレプトアビジン類似体またはアビジン類似体を含む。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、ストレプトアビジンまたはアビジンに可逆的に結合するビオチン類似体を含み、試薬は、各々のビオチン類似体に可逆的に結合するストレプトアビジン、アビジン、ストレプトアビジン類似体またはアビジン類似体を含む。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、ストレプトアビジンまたはアビジン結合ペプチドを含み、試薬は、各々のストレプトアビジンまたはアビジン結合ペプチドに可逆的に結合するストレプトアビジン、アビジン、ストレプトアビジン類似体またはアビジン類似体を含む。
【0251】
いくつかの態様において、試薬は、ストレプトアビジン、例えば、(例えばSEQ ID NO:3~6または60~61に示される)上記の任意のものを含むストレプトアビジンムテインであり、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、ストレプトアビジン結合ペプチドを含み得る。いくつかの態様において、ストレプトアビジン結合ペプチドは、SEQ ID NO:9に示される一般式を有する配列を含み得る、例えばSEQ ID NO:10に示される配列を含む。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:11に示される、例えばSEQ ID NO:12に示される一般式を有する。1つの例において、ペプチド配列は、Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(Strep-tag(登録商標)とも呼ばれ、SEQ ID NO:7に示される)である。1つの例において、ペプチド配列は、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれ、SEQ ID NO:8に示される)である。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続的配置を含み、2つのモジュール間の距離は少なくとも0かつ50アミノ酸以下であり、1つの結合モジュールは3~8アミノ酸を有し、少なくとも配列His-Pro-Xaa(SEQ ID NO:9)を含み、Xaaはグルタミン、アスパラギンまたはメチオニンであり、他の結合モジュールは、(例えばSEQ ID NO:11に示される)同じまたは異なるストレプトアビジンペプチドリガンドを有する(例えば、国際公開PCT出願番号WO02/077018;米国特許第7,981,632号を参照のこと)。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、SEQ ID NO:13または14のいずれかに示される式を有する配列を含む。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、SEQ ID NO:15~19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する。
【0252】
いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の結合パートナーCは、親和性タグとして当業者に公知の部分を含む。そのような態様において、試薬は、対応する結合パートナー、例えば、親和性タグに結合することが公知の抗体または抗体フラグメントを含み得る。公知の親和性タグのいくつかの実例として、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、ジニトロフェノールまたはジゴキシゲニン、オリゴヒスチジン、ポリヒスチジン、免疫グロブリンドメイン、マルトース結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)またはチオレドキシン、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、FLAG’ペプチド、
、マルトース結合タンパク質(MBP)、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質Dの配列
のHSVエピトープ、配列
の転写因子c-mycの「myc」エピトープ、V5タグ
またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を含み得る。そのような態様において、抗体または抗体フラグメントであり得る試薬の1つまたは複数の結合部位Zと抗原との間で形成される複合体は、遊離抗原、すなわち遊離ペプチド(エピトープタグ)または遊離タンパク質(例えば、MBPもしくはCBP)を添加することによって競合的に妨げられ得る。いくつかの態様において、親和性タグはまた、オリゴヌクレオチドタグであり得る。いくつかの例において、そのようなオリゴヌクレオチドタグは、例えば、試薬に連結されたまたは試薬に含まれる相補的配列を有するオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせるために使用され得る。
【0253】
適当な結合パートナーCのさらなる例は、レクチン、プロテインA、プロテインG、金属、金属イオン、ニトリロ三酢酸誘導体(NTA)、RGDモチーフ、デキストラン、ポリエチレンイミン(PEI)、レドックスポリマー、糖タンパク質、アプタマー、色素、アミロース、マルトース、セルロース、キチン、グルタチオン、カルモジュリン、ゼラチン、ポリミキシン、ヘパリン、NAD、NADP、リジン、アルギニン、ベンズアミジン、ポリUまたはオリゴdTを含むがこれらに限定されない。レクチン、例えばコンカバリンAは、多糖およびグリコシル化タンパク質に結合することが公知である。色素の実例は、NADH依存的酵素に特異的に結合するトリアジン色素、例えばCibacronブルーF3G-A(CB)またはレッドHE-3Bである。典型的に、グリーンAは、CoAタンパク質、ヒト血清アルブミンおよびデヒドロゲナーゼに結合する。いくつかの例において、色素7-アミノアクチノマイシンDおよび4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドールは、DNAに結合する。一般に、金属、例えばNi、Cd、Zn、CoまたはCuのカチオンは、典型的に、親和性タグ、例えばヘキサヒスチジンまたは
およびN-メタクリロイル-(L)-システインメチルエステルを含むオリゴヒスチジン含有配列に結合させるために使用される。
【0254】
いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCと試薬の1つまたは複数の結合部位Zとの間の結合は、二価、三価または四価カチオンの存在下で生じる。これに関して、いくつかの態様において、試薬は、典型的には適当なキレート剤によって保持、例えば錯体化された、二価、三価または四価カチオンを含む。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、二価、三価または四価カチオンを含む、例えば錯体を含む部分を含み得る。各々の金属キレート剤の例は、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N,N-ビス(カルボキシメチル)グリシン(ニトリロ三酢酸、NTAとも呼ばれる)、1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N',N'-四酢酸(BAPTA)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(ジメルカプロール)、プロフィンおよびヘムを含むがこれらに限定されない。例として、EDTAは、ほとんどの一価、二価、三価および四価金属イオン、例えば銀(Ag+)、カルシウム(Ca2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+)、コバルト(Co+)およびジルコニウム(Zr4+)と錯体を形成し、BAPTAは、Ca2+に特異的である。実例として、当技術分野で使用されている標準的な方法は、オリゴヒスチジンタグとキレート剤ニトリロ三酢酸(NTA)によって提示される銅(Cu2+)、ニッケル(Ni2+)、コバルト(Co2+)または亜鉛(Zn2+)イオンとの間の錯体の形成である。
【0255】
いくつかの態様において、例えば、米国特許第5,985,658号に記載されるように、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、カルモジュリン結合ペプチドを含み、試薬は、多量体カルモジュリンを含む。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、FLAGペプチドを含み、試薬は、FLAGペプチド、例えば、米国特許第4,851,341号に記載されるモノクローナル抗体4E11に結合するFLAGペプチド、に結合する抗体を含む。1つの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCは、オリゴヒスチジンタグを含み、試薬は、オリゴヒスチジンタグに結合する抗体または遷移金属イオンを含む。いくつかの態様において、すべてのこれらの結合錯体の分解は、例えばEDTAまたはEGTAを添加することによる、金属イオンキレート化、例えばカルシウムキレート化によって達成され得る。いくつかの態様において、カルモジュリン、抗体、例えば4E11またはキレート化金属イオンまたは遊離キレート剤は、従来的な方法によって、例えば、ビオチニル化およびストレプトアビジンもしくはアビジンまたはそれらのオリゴマーとの錯体形成によって、または第1工程においてNoguchi, A, et al. Bioconjugate Chemistry (1992) 3, 132-137に本質的に記載されるように多糖、例えばデキストランにカルボキシル残基を導入し、第2工程において従来的なカルボジイミド化学を用いて、カルモジュリンまたは抗体またはキレート化金属イオンまたは遊離キレート剤を、一級アミノ基を通じて多糖、例えばデキストラン骨格のカルボキシル基に連結することによって、多量体化され得る。いくつかのそのような態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)に含まれる結合パートナーCと試薬の1つまたは複数の結合部位Zとの間の結合は、金属イオンキレート化によって妨げられ得る。金属キレート化は、例えば、EGTAまたはEDTAの添加によって達成され得る。
【0256】
いくつかの態様において、細胞表面分子に特異的に結合する作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、例えば、抗体、そのフラグメント、または抗体様機能を有するタンパク質性結合分子に含まれ得る。いくつかの態様において、作用物質の結合部位Bは、抗体結合部位である、例えば、抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)であるかまたはそれを含む。(組換え)抗体フラグメントの例は、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖Fvフラグメント(scFv)、二価抗体フラグメント、例えば(Fab)2'フラグメント、ダイアボディ、トリアボディ(Iliades, P., et al, FEB S Lett (1997) 409, 437-441)、デカボディ(Stone, E., et al, Journal of Immunological Methods (2007) 318, 88-94)および他のドメイン抗体(Holt, L.J., et al, Trends Biotechnol. (2003), 21, 11, 484-490)、単一ドメイン抗体(ナノボディ(登録商標))を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、二価タンパク質性人工結合分子、例えば、「デュオカリン」としても公知の二量体リポカリンムテインを含み得る。
【0257】
いくつかの態様において、作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、単一の結合部位Bを有し得る、すなわち、一価であり得る。一価の作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)の例は、一価抗体フラグメント、抗体様結合特性を有するタンパク質性結合分子またはMHC分子を含むがこれらに限定されない。一価抗体フラグメントの例は、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単一ドメイン抗体、例えばラクダ科由来のナノボディ(登録商標)および、二価単鎖Fvフラグメントを含む単鎖Fvフラグメント(scFv)を含むがこれらに限定されない。
【0258】
いくつかの態様において、作用物質は、抗体またはその抗原結合フラグメント、例えばFabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖Fvフラグメント(scFv)、単一ドメイン抗体、例えばラクダ科由来のナノボディ(登録商標)、二価抗体フラグメント、例えば(Fab)2'フラグメントである。いくつかの態様において、作用物質は、関心対象の細胞分子に結合することがわかっている親抗体であるかまたはそれ由来である。細胞表面分子に対する様々な抗体分子またはそのフラグメントが当技術分野で周知であり、そのような様々な抗体の任意のものが、本明細書の方法における作用物質として使用され得る。いくつかの態様において、作用物質は、例えば、上記のように親和性が変化したまたは十分に速いオフレートを示す抗体が生成するよう、親または参照抗体の可変重鎖に1つまたは複数のアミノ酸の置換を含む抗体またはそのフラグメントである。例えば、そのような変異の例は、抗CD4抗体13B8.2の変異の関係で公知であり(例えば、米国特許第7,482,000号、米国特許出願番号US2014/0295458または国際特許出願WO2013/124474を参照のこと)、任意のそのような変異が、別の親または参照抗体において行われ得る。
【0259】
いくつかの局面において、一価であり得る作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)は、例えば、一価の抗体フラグメントまたは一価の人工結合分子(タンパク質性もしくはその他)、例えばリポカリンファミリー(「Anticalin(登録商標)」としても公知)のポリペプチドをベースとしたムテインまたは二価の分子、例えば両方の結合部位が維持されている抗体またはフラグメント、例えばF(ab')2フラグメントを含む。
【0260】
抗体様機能を有するタンパク質性結合分子の例は、リポカリンファミリーのポリペプチドをベースとしたムテインを含む(例えば、WO 03/029462、Beste et al, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1999) 96, 1898-1903を参照のこと)。通常、リポカリン、例えばビリン結合タンパク質、ヒト好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン、ヒトアポリポタンパク質Dまたはヒト涙液リポカリンは、特定の標的に結合するよう改変することができる天然のリガンド結合部位を有している。細胞表面分子に特異的に結合する作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)として使用され得る抗体様結合特性を有するタンパク質性結合分子のさらなる例は、いわゆるグルボディ(例えば、国際特許出願WO 96/23879を参照のこと)、アンキリンスキャホールド(Mosavi, L.K., et al, Protein Science (2004) 13, 6, 1435-1448)または結晶性スキャホールド(例えば、国際特許出願WO 01/04144)をベースにしたタンパク質、Skerra, J. Mol. Recognit. (2000) 13, 167-187に記載されるタンパク質、アドネクチン(AdNectin)、テトラネクチンおよびアビマーを含むがこれらに限定されない。一般に、ヒト受容体ドメインのファミリーのエクソンシャッフリングによって進化させた多価アビマータンパク質を含むアビマーは、様々な細胞表面受容体において一つながりの複数のドメインとして発生するいわゆるAドメインを含む(Silverman, J., et al, Nature Biotechnology (2005) 23, 1556-1561)。通常ヒトフィブロネクチンのドメイン由来であるアドネクチンは典型的に、標的に免疫グロブリン様結合するよう改変することができる3つのループを含む(Gill, D.S. & Damle, N.K., Current Opinion in Biotechnology (2006) 17, 653-658)。通常各々のヒトホモ三量体タンパク質由来であるテトラネクチンも同様に、典型的にC型レクチンドメイン内に所望の結合のために改変することができるループ領域を含む。いくつかの例においてタンパク質リガンドとして機能し得るペプトイドは典型的に、側鎖が炭素原子ではなくアミド窒素に接続されている点でペプチドと相違するオリゴ(N-アルキル)グリシンである。ペプトイドは典型的に、プロテアーゼおよび他の修飾酵素に対して耐性を有し、ペプチドよりもずっと高い細胞透過性を有し得る(例えば、Kwon, Y.-U., and Kodadek, T., J. Am. Chem. Soc. (2007) 129, 1508-1509を参照のこと)。
【0261】
適当なタンパク質性結合分子のさらなる例は、EGF様ドメイン、Kringleドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、Kunitz/ウシ膵臓トリプシン阻害ドメイン、テンダミスタット、Kazal型セリンプロテアーゼ阻害ドメイン、三葉(P型)ドメイン、フォン・ヴィレブランド因子C型ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、サイログロブリンI型リピート、LDL受容体クラスAドメイン、Sushiドメイン、Linkドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、免疫グロブリンドメインもしくは免疫グロブリン様ドメイン(例えば、ドメイン抗体もしくはラクダ重鎖抗体)、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン・ヴィレブランド因子A型ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、F5/8 C型ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、「カッパボディ」(Ill et al. Protein Eng (1997) 10, 949-57)、いわゆる「ミニボディ」(Martin et al, EMBO J (1994) 13, 5303-5309)、ダイアボディ(Holliger et al, PNAS USA (1993)90, 6444-6448)、いわゆる「ヤヌシス(Janusis)」(Traunecker et al, EMBO J (1991) 10, 3655-3659もしくはTraunecker et al, Int J Cancer (1992) Suppl 7, 51-52)、ナノボディ、マイクロボディ、アフィリン、アフィボディ、ノッチン、ユビキチン、ジンクフィンガータンパク質、自己蛍光タンパク質、DARPinまたはロイシンリッチリピートタンパク質を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、抗体様機能を有する核酸分子は、アプタマーであり得る。一般に、アプタマーは、定義された三次元モチーフに折りたたまれ、特定の標的構造に対して高い親和性を示す。
【0262】
ある特定の態様において、1つ以上の作用物質、例えば、結合パートナーCなどの結合パートナーを含有する作用物質は、オリゴマー粒子試薬に付着され、接続され、かつ/または結合される。特定の態様において、1つ以上の作用物質は、オリゴマー粒子試薬に可逆的に付着され、接続され、かつ/または結合される。いくつかの態様において、1つ以上の作用物質は、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬と接触させる、処理する、かつ/またはインキュベートすることによって、オリゴマー粒子試薬に付着され、接続され、かつ/または結合され、例えば、可逆的に結合される。ある特定の態様において、処理、接触、および/またはインキュベーションは、混合および/またはロッキング、例えば、穏やかなロッキングおよび/または混合を伴って行われる。
【0263】
ある特定の態様において、1つ以上の作用物質を、1分間、5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、60分間、90分間、120分間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、もしくは24時間、概ねそれらの時間、または少なくともそれらの時間、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。いくつかの態様において、1つ以上の作用物質を、1分間~12時間、1分間~1時間、1分間~30分間、10分間~60分間、10分間~20分間、1時間~3時間、1時間~2時間、または6時間~12時間、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。ある特定の態様において、1つ以上の作用物質を、5分間~30分間、または15分間もしくは約15分間、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。
【0264】
特定の態様において、1つ以上の作用物質を、4℃、8℃、12℃、16℃、20℃、24℃、28℃、32℃、37℃、39℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、もしくは100℃の、概ねそれらの温度で、または少なくともそれらの温度で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。いくつかの態様において、1つ以上の作用物質を、4℃~39℃、10℃~37℃、10℃~25℃、20℃~30℃、24℃~39℃、または40℃~100℃の温度で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。特定の態様において、1つ以上の作用物質を、室温でオリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。ある特定の態様において、1つ以上の作用物質を、23℃、24℃、25℃、もしくは26℃±2℃、±1℃、±0.5℃、±0.2℃、±0.1℃、±0.05℃、もしくは±0.01℃でまたは概ねその温度で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。
【0265】
ある特定の態様において、1つ以上の作用物質を、0.5μg、1.0μg、1.5μg、2.0μg、2.5μg、3.0μg、4.0μg、5.0μg、6μg、7μg、8μg、9μg、または10μgのオリゴマー粒子試薬当たり0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.2μg、1.4μg、1.6μg、1.8μg、2.0μg、2.2μg、2.4μg、2.6μg、2.8μg、もしくは3.0μgの作用物質の量で、概ねそれらの量で、または少なくともそれらの量で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。特定の態様において、1つ以上の作用物質を、2μg、3μg、4μg、または5μgのオリゴマー粒子試薬当たり1.0μgのまたは約1.0μgの作用物質の量で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。
【0266】
いくつかの態様において、1つ以上の作用物質、例えば、結合パートナーCなどの結合パートナーを含有する作用物質は、オリゴマー粒子試薬を1つ以上の作用物質とインキュベートする、処理する、かつまたは接触させることによって、オリゴマー粒子試薬に付着され、接続され、かつ/または結合される。いくつかの態様において、1つ以上の作用物質を、2μg、3μg、4μg、または5μgのオリゴマー粒子試薬当たり1.0μgのまたは約1.0μgの作用物質の量で、1分間~1時間、4℃~39℃、10℃~25℃、または20℃~30℃の温度で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。特定の態様において、1つ以上の作用物質を、3μgのオリゴマー粒子試薬当たり1.0μgのまたは約1.0μgの作用物質の量で、5分間~30分間、10℃~25℃の温度で、オリゴマー粒子試薬とインキュベートし、処理し、かつ/または接触させる。ある特定の態様において、1つ以上の作用物質は、本明細書に、例えば、セクションII-C-3に記載されている作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は、抗CD3抗体および/もしくは抗CD28抗体またはその抗原結合断片、例えば、結合パートナー、例えばstreptagを含有する抗体またはその抗原断片である。特定の態様において、1つ以上の作用物質は、結合パートナー、例えば、Strep-tagIIなどのストレプトアビジン結合ペプチドを含有する抗CD3 Fabおよび/または抗CD28 Fabである。
【0267】
a. 受容体結合物質
いくつかの態様において、作用物質は、受容体結合物質である。いくつかの態様において、受容体結合物質は、細胞の表面上の分子(例えば、受容体)に結合し、作用物質と分子との間の結合は、細胞内でシグナルを誘導または調節することができる。いくつかの例において、細胞表面分子(例えば、受容体)は、シグナル伝達分子である。いくつかのそのような例において、受容体結合物質は、1つまたは複数の細胞によって発現されるシグナル伝達分子に特異的に結合することができる。いくつかの例において、受容体結合物質は、刺激物質であり、刺激物質は、細胞表面分子、例えば受容体への結合により細胞(例えば、T細胞)内でシグナルを誘導することができる任意の作用物質であり得る。いくつかの態様において、シグナルは、免疫刺激性であり得、この例において、受容体結合物質または刺激物質は、細胞(例えば、T細胞)による免疫応答に関与するまたは免疫応答を刺激するシグナルを誘導または調節することができる、例えば、免疫細胞の増殖もしくは増大、免疫細胞の活性化、免疫細胞の分化、サイトカインの分泌、細胞傷害活性または免疫細胞の1つもしくは複数の他の機能的活性を増加させる。いくつかの態様において、シグナルは、阻害性であり得、この例において、受容体結合物質または刺激物質は、細胞(例えば、T細胞)における免疫応答に関与するまたは免疫応答を阻害するシグナルを誘導または調節することができる、例えば、免疫細胞の増殖もしくは増大、免疫細胞の活性化、免疫細胞の分化、サイトカインの分泌、細胞傷害活性または免疫細胞の1つもしくは複数の他の機能的活性を阻害または減少させる。
【0268】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質である。いくつかの局面において、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質は、細胞の表面上の受容体分子に結合する。したがって、いくつかの例において、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質は、シグナルを誘導または調節する。いくつかの局面において、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質によるシグナルの誘導または調節は、細胞の活性化、刺激および/または増大(増殖)をもたらす。したがって、いくつかの例において、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質は、細胞に対する一次活性化シグナルを提供し、それによって細胞を活性化させる。
【0269】
いくつかの態様において、細胞集団は、B細胞の集団、T細胞の集団またはナチュラルキラー細胞の集団を含むがこれらに限定されない、リンパ球の集団でありうる。細胞集団の実例は、CD40またはCD137を有するB細胞である(両細胞集団は、活性化シグナルを提供する第1の作用物質、例えば4-1BBリガンド;またはαCD40抗体分子もしくはαCD137抗体分子(例えば、Zhang et al., 2010, J Immunol, 184:787-795を参照のこと)のみに結合することによって増殖し得る)。B細胞の増大のために使用され得る作用物質(第1または第2のいずれか)の他の実例は、IgG、CD19、CD28またはCD14に結合する作用物質、例えばαCD19、αIgG、αCD28もしくはαCD14抗体分子である。B細胞の増大のための第1または第2の作用物質がtoll様受容体またはインターロイキン、例えばIL-21に対するリガンドを含み得ることも想定されている(例えば、Dienz O, et al. 2009. J. Exp. Med. 206:69を参照のこと)。リポ多糖もまた第1の作用物質として使用され得、本明細書で使用される結合パートナーC1を備えることができることから、B細胞のリポ多糖依存的な活性化も本発明に包含されていることに留意されたい。
【0270】
適当な細胞集団の他の実例は、TCR/CD3への第1の作用物質の結合およびT細胞上のアクセサリー分子、例えばCD28への第2の作用物質の結合により活性化された後に増大されるT細胞集団を含む。この例において、第1の作用物質は、T細胞内のTCR/CD3複合体関連シグナルを刺激し、第2の作用物質は、アクセサリー分子としてのCD28への結合により二次刺激を提供する。T細胞の増大のために使用され得る作用物質はまた、インターロイキン、例えば、IL-2、IL-7、IL-15またはIL-21を含み得る(例えば、Cornish et al. 2006, Blood. 108(2):600-8、Bazdar and Sieg, 2007, Journal of Virology, 2007, 81(22):12670-12674、Battalia et al, 2013, Immunology, 139(1):109-120を参照のこと)。T細胞の増大のために使用され得る作用物質の他の実例は、CD8、CD45またはCD90に結合する作用物質、例えばαCD8、αCD45またはαCD90抗体である。T細胞集団の実例は、抗原特異的T細胞、Tヘルパー細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞(メモリーT細胞の実例は、CD62L+CD8+特異的セントラルメモリーT細胞である)または調節性T細胞(Tregの実例は、CD4+CD25+CD45RA+ Treg細胞である)を含む。
【0271】
適当な細胞集団の別の実例は、例えばCD16またはCD56に結合する作用物質、例えばαCD16またはαCD56抗体、を用いて増大され得る、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を含む。そのようなαCD16抗体の実例は、SEQ ID NO:52に示されるVH配列およびSEQ ID NO:53に示されるVL配列を有する抗体3G8である(例えば、Hoshino et al, Blood. 1991 Dec 15;78(12):3232-40を参照のこと)。NK細胞の増大のために使用され得る別の作用物質は、IL-15であり得る(例えば、Vitale et al. 2002. The Anatomical Record. 266:87-92を参照のこと)。適当な細胞集団のさらに別の実例は、例えばCD14に結合する作用物質、例えばαCD14抗体分子、を用いて増大され得る、単球を含む。
【0272】
いくつかの局面において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、標的細胞の表面上に発現される分子を特異的に標的とし、その分子はTCRまたはキメラ抗原受容体である。例えば、標的細胞の表面上に発現される分子は、T細胞またはB細胞抗原受容体複合体、CD3鎖、CD3ゼータ、T細胞受容体もしくはB細胞受容体の抗原結合部分、またはキメラ抗原受容体から選択される。いくつかの例において、受容体結合物質は、ペプチド:MHCクラスI複合体を標的とする。いくつかの局面において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、組換え受容体、例えばCARの抗体部分に特異的に結合する。いくつかの例において、組換え受容体の抗体部分は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分、例えばヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域を含む。いくつかの態様において、定常領域または一部分は、ヒトIgG、例えばIgG4またはIgG1のそれらである。いくつかの例において、試薬は、IgG4スペーサーを認識するαIgGを有する。
【0273】
いくつかの態様において、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質は、細胞、例えばT細胞内でTCR/CD3複合体関連シグナルを刺激し得る。いくつかの局面において、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質は、CD3に特異的に結合する結合物質であり得る。いくつかの例において、CD3に特異的に結合する第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質は、抗CD3抗体、抗CD3抗体の二価抗体フラグメント、抗CD3抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD3結合分子からなる群より選択され得る。二価抗体フラグメントは、(Fab)2'フラグメントまたは二価単鎖Fvフラグメントであり得、一価抗体フラグメントは、Fabフラグメント、Fvフラグメント、ナノボディ(sd抗原)および単鎖Fvフラグメント(scFv)からなる群より選択され得る。いくつかの例において、抗体様結合特性を有するタンパク質性CD3結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドをベースとしたムテイン、グルボディ、アンキリンスキャホールドをベースにしたタンパク質、結晶性スキャホールドをベースにしたタンパク質、アドネクチン、DARPin、またはアビマーであり得る。
【0274】
いくつかの態様において、抗CD3 Fabフラグメントは、ハイブリドーマ細胞株OKT3(ATCC(登録商標)CRL-8001(商標);米国特許第4,361,549号も参照のこと)により産生されるCD3結合モノクローナル抗体由来であり得る。抗CD3抗体OKT3の重鎖の可変ドメインおよび軽鎖の可変ドメインは、Arakawa et al J. Biochem. 120, 657-662 (1996)に記載されており、それぞれ、SEQ ID NO:31および32に示されるアミノ酸配列を含む。
【0275】
いくつかの局面において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質である。場合によっては、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質は、細胞表面分子、例えば受容体分子のような、細胞の表面上の分子に結合する。いくつかの態様において、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質は、第1の分子を通じて送達されるシグナルを増大、減衰、または改変することができる。いくつかの態様において、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質は、シグナル、例えば、第2または追加のシグナルを誘導または調節する。いくつかの局面において、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質は、第1の受容体結合物質、例えば第1の刺激物質によって誘導されるシグナルを増大または増強しうる。いくつかの態様において、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質は、アクセサリー分子に結合し、ならびに/あるいは細胞においてアクセサリーシグナルまたは第2のシグナルを刺激または誘導することができる。いくつかの局面において、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質は、共刺激分子に結合し、および/または共刺激シグナルを提供する。
【0276】
いくつかの態様において、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる、受容体結合物質、例えば刺激物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、免疫チェックポイント分子、またはTNFファミリーもしくはTNF受容体ファミリーのメンバーであることができる第2の分子に、結合する、例えば特異的に結合する。
【0277】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD28であり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、CD28に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD28に特異的に結合する受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、は、抗CD28抗体、抗CD28抗体の二価抗体断片、抗CD28抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性CD28結合分子からなる群より選択されうる。二価抗体断片は、(Fab)2'断片、または二価一本鎖Fv断片でありうるが、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されうる。抗体様の結合特性を有するタンパク質性CD28結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリンスキャホールドをベースにしたタンパク質、結晶性スキャホールドをベースにしたタンパク質、アドネクチン、およびアビマーでありうる。場合によっては、受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFab断片である。
【0278】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、受容体、例えば、作用物質の結合時に、T細胞活性化シグナル2、例えば共刺激シグナルを刺激または活性化する細胞表面分子に結合する、例えば特異的に結合するリガンドでありうる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質は、内因性リガンド、同族リガンド、合成リガンドおよび/またはその一部、バリアントもしくは修飾型である。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、内因性リガンドおよび/または同族リガンドの、細胞外ドメインまたはその一部であることができる。
【0279】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD5、CD4、CD8、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L (CD70)、4-1BBL、CD30LおよびLIGHTのいずれか1つまたは複数に結合することができる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD5、CD4、CD8、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L (CD70)、4-1BBL、CD30LおよびLIGHTのいずれか1つまたは複数に対する抗体、二価抗体(例えばF(ab')2断片もしくは二価一本鎖Fv断片)、一価抗体(例えばFab断片、Fv断片、もしくは一本鎖Fv断片(scFv))またはリガンドであることができ、ここでそのような作用物質は、受容体結合物質、例えば刺激物質の分子への結合時に細胞におけるシグナルを誘導またはモデリングすることができる。
【0280】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD5、CD4、CD8、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L (CD70)、4-1BBL、CD30LおよびLIGHTのいずれか1つまたは複数に対するリガンドであることができ、ここでそのような作用物質は、受容体結合物質、例えば刺激物質の分子への結合時に細胞におけるシグナルを誘導またはモデリングすることができる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、内因性リガンドおよび/または同族リガンドの、細胞外ドメインまたはその一部であることができる。例えば、いくつかの態様において、受容体結合物質は、B7-1 (CD80)、B7-2 (CD86)、ICOS-L、PD-L1、OX40L、CD27、4-1BB (CD137)および/もしくはCD30の細胞外ドメインもしくはその一部であるか、またはそれを含む。
【0281】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD3、CD137またはCD40以外の標的細胞の表面上の分子に特異的に結合することができる。場合によっては、CD28、CD3、CD137またはCD40以外の標的細胞の表面上の分子への受容体結合物質、例えば刺激物質の結合は、標的細胞におけるシグナルを誘導もしくは調節し、および/または標的細胞の機能を改変し、それによって培養標的細胞が生成される。
【0282】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、TNFファミリーもしくはTNF受容体ファミリーのメンバー、例えば、TNF受容体スーパーファミリー、および/またはWnt受容体もしくは共受容体、例えばFrizzled (Fz)受容体ファミリーのメンバーのいずれか1つまたは複数に結合することができる。
【0283】
いくつかの態様において、細胞上の分子は、腫瘍壊死因子受容体1 (CD120a)、腫瘍壊死因子受容体2 (CD120b)、リンホトキシンベータ受容体(CD18)、OX40 (CD134)、CD40 (Bp50)、Fas受容体(Apo-1, CD95)、デコイ受容体3 (TR6, M68)、CD27 (S152, Tp55)、CD30 (Ki-1)、4-1BB (CD137)、細胞死受容体4 (TRAILR1, Apo-2, CD261)、細胞死受容体5 (TRAILR2, CD262)、デコイ受容体1 (TRAILR3, LIT, TRID, CD263)、デコイ受容体2 (TRAILR4, TRUNDD, CD264)、RANK (CD265)、オステオプロテゲリン(OCIF, TR1)、TWEAK受容体(Fn14, CD266)、TACI (IGAD2, CD267)、BAFF受容体(CD268)、ヘルペスウイルスエントリメディエータ(ATAR, TR2, CD270)、神経成長因子受容体(p75NTR, CD271)、B細胞成熟抗原(TNFRSF13A, CD269)、グルココルチコイド誘発TNFR関連(AITR, CD357)、TROY (TAJ, TRADE)、細胞死受容体6 (CD358)、細胞死受容体3 (Apo-3, TRAMP, LARD, WS-1)またはエクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)のような、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。
【0284】
場合によっては、TNF受容体スーパーファミリータンパク質に特異的に結合する受容体結合物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFab断片である。いくつかの態様において、TNF受容体スーパーファミリータンパク質に特異的に結合する受容体結合物質は、受容体、および/または細胞外ドメインもしくはその一部に結合する、例えば特異的に結合する、リガンドでありうる。いくつかの態様において、リガンドは、TNFα、リンホトキシンベータ(TNF-C)、OX40L、CD154、FasL、FasL、LIGHT、TL1A、CD70、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、APRIL、BAFF、CAMLG、BAFF、LIGHT、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、BAFF、GITRリガンド、TL1AもしくはEDA-A2、または膜貫通タンパク質のいずれかの細胞外ドメインもしくはその一部であるか、またはそれを含む。
【0285】
いくつかの態様において、細胞上の分子は、Wnt受容体または共受容体、Frizzled (Fz)ファミリー受容体、リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)-5/6、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、および受容体関連オーファン受容体2 (ROR2)のような、受容体である。いくつかの態様において、細胞上の分子は、例えば、Frizzled-1 (FZD1)、Frizzled-2 (FZD2)、Frizzled-3 (FZD3)、Frizzled-4 (FZD4)、Frizzled-5 (FZD5)、Frizzled-6 (FZD6)、Frizzled-7 (FZD7)、Frizzled-8 (FZD8)、Frizzled-9 (FZD9)またはFrizzled-10 (FZD10)である。
【0286】
場合によっては、Wnt受容体または共受容体に特異的に結合する受容体結合物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFab断片である。いくつかの態様において、Wnt受容体または共受容体に特異的に結合する受容体結合物質は、受容体に結合する、例えば特異的に結合する、リガンドでありうる。いくつかの態様において、リガンドは、例えば、WNT1、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11もしくはWNT16であるか、またはそれを含む。
【0287】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD90 (Thy-1)、CD95 (Apo-/Fas)、CD137 (4-1BB)、CD154 (CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40およびHVEMのいずれか1つまたは複数に結合することができる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD90 (Thy-1)、CD95 (Apo-/Fas)、CD137 (4-1BB)、CD154 (CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40およびHVEMのいずれか1つまたは複数に対する抗体、二価抗体(例えばF(ab')2断片もしくは二価一本鎖Fv断片)、一価抗体(例えばFab断片、Fv断片、もしくは一本鎖Fv断片(scFv))またはリガンドであることができ、ここでそのような作用物質は、受容体結合物質、例えば刺激物質の分子への結合時に細胞におけるシグナルを誘導またはモデリングすることができる。
【0288】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、4-1BB (CD137)、CD40、CD40L、T細胞の活性化のためのリンカー(LAT)、CD27、OX40 (CD134)およびヘルペスウイルスエントリメディエータ(herpesvirus entry mediator;HVEM)のいずれか1つまたは複数に対するリンカーであることができ、ここでそのような作用物質は、受容体結合物質、例えば刺激物質の分子への結合時に細胞におけるシグナルを誘導またはモデリングすることができる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、内因性リガンドおよび/または同族リガンドの、細胞外ドメインまたはその一部であることができる。例えば、いくつかの態様において、受容体結合物質は、B7-1 (CD80)、B7-2 (CD86)、4-1BBL、CD40、CD40L、CD27L (CD70)および/もしくはOX40Lの細胞外ドメインもしくはその一部であるか、またはそれを含む。
【0289】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD28であり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、CD28に特異的に結合する。
【0290】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD28であり得、(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD28に特異的に結合する(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗CD28抗体、抗CD28抗体の二価抗体フラグメント、抗CD28抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD28結合分子からなる群より選択され得る。二価抗体フラグメントは、F(ab')2フラグメントまたは二価単鎖Fvフラグメントであり得、一価抗体フラグメントは、Fabフラグメント、Fvフラグメント、ナノボディ、および単鎖Fvフラグメント(scFv)からなる群より選択され得る。
【0291】
いくつかの態様において、抗CD28 Fabフラグメントは、その重鎖および軽鎖がそれぞれSEQ ID NO:33および34を含む、抗体CD28.3(GenBankアクセッション番号AF451974.1の下で合成単鎖Fvコンストラクトとして寄託されている;Vanhove et al, BLOOD, 15 July 2003, Vol. 102, No. 2, pages 564-570も参照のこと)由来であり得る。
【0292】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD90であり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、CD90に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD90に特異的に結合する受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、抗CD90抗体、抗CD90抗体の二価抗体断片、抗CD90抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性CD90結合分子からなる群より選択されうる。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知のいずれかに由来することができる。例えば、抗CD90抗体G7 (Biolegend, カタログ番号105201)を参照されたい。
【0293】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD95であり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、CD95に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD95に特異的に結合する受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であることができる)は、抗CD95抗体、抗CD95抗体の二価抗体断片、抗CD95抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性CD95結合分子からなる群より選択されうる。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知のいずれかに由来することができる。例えば、いくつかの局面において、抗CD90抗体は、モノクローナルマウス抗ヒトCD95 CH11 (Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)であることができ、またはPaulsen et al. Cell Death & Differentiation 18.4 (2011): 619-631に記述されているような、抗CD95 mAb 7C11もしくは抗APO-1であることができる。
【0294】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞またはB細胞上の分子は、CD137であり得、(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD137に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD137に特異的に結合する(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗CD137抗体、抗CD137抗体の二価抗体フラグメント、抗CD137抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD137結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合フラグメントは、当技術分野で公知の任意のもの由来であり得る。例えば、抗CD137抗体は、Taraban et al. Eur J Immunol. 2002 Dec;32(12):3617-27に記載される、IgG2aであるLOB12、またはIgG1であるLOB12.3であり得る。例えば、US6569997、US6303121、Mittler et al. Immunol Res. 2004;29(1-3):197-208も参照のこと。
【0295】
いくつかの態様において、細胞、例えばB細胞上の分子は、CD40であり得、(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD40に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD40に特異的に結合する(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質は、抗CD40抗体、抗CD40抗体の二価抗体フラグメント、抗CD40抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD40結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合フラグメントは、当技術分野で公知の任意のものに由来しうる。例えば、抗CD40抗体はキメラモノクローナル抗ヒトCD40抗体テネリキシマブおよび抗ヒトCD40(Affymetrixカタログ番号14-0409-80)であることができ、または、例えばUS 2002/0142358、US 2007/0077242、WO 2001/083755、Zhang et al., 2010, J Immunol, 184:787-795に記載されたいずれかであることができる。
【0296】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD40L(CD154)であり得、(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD40Lに特異的に結合する。いくつかの局面において、CD40Lに特異的に結合する(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗CD40L抗体、抗CD40L抗体の二価抗体フラグメント、抗CD40L抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD40L結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合フラグメントは、当技術分野で公知の任意のもの由来であり得る。例えば、抗CD40L抗体は、いくつかの局面において、Blair et al. JEM vol. 191 no. 4 651-660に記載される、Hu5C8であり得る。例えば、WO1999061065、US20010026932、US7547438、WO2001056603も参照のこと。いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、Linker for Activation of T cells(LAT)、CD27、OX40(CD134)、ヘルペスウイルスエントリメディエータ(HVEM)、CD90、および/またはCD95であり得、(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、それぞれ、ICOS、LAT、CD27、CD134、HVEM、CD90、および/またはCD95に特異的に結合する。いくつかの局面において、ICOS、LAT、CD27、CD134、HVEM、CD90、および/またはCD95に特異的に結合する(例えば、第2の受容体結合物質、例えば第2の刺激物質であり得る)受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗体、その二価抗体フラグメント、その一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合フラグメントは、当技術分野で公知の任意のもの由来であり得る。
【0297】
いくつかの態様において、第2または追加の受容体結合物質でありうる受容体結合物質に対する、細胞、例えばT細胞上の分子は、作用物質の結合時に、サイトカインシグナル、ケモカインシグナル、細胞接着シグナル、T細胞活性化シグナルまたは追加のシグナル、例えば環境シグナルを刺激または活性化する細胞表面分子に結合する。いくつかの態様において、第2または追加の受容体結合物質でありうる受容体結合物質が特異的に結合する細胞、例えばT細胞上の分子は、サイトカイン受容体またはケモカイン受容体である。場合によっては、受容体結合物質、例えば追加の受容体結合物質は、接着分子であるか、またはそれを含み、サイトカイン産生、ケモカイン産生、接着分子の発現を誘導する因子であり、ならびに/あるいはアクセサリーシグナルおよび/または追加のシグナル、例えば環境シグナルを刺激および/または調節することに関与している。
【0298】
本明細書において提供される態様のいずれかにおいて、受容体結合物質、例えば、第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、受容体、例えば細胞の表面上に発現される受容体に特異的に結合する結合物質でありうる。
【0299】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えば、作用物質の結合時に、サイトカインシグナル、ケモカインシグナル、細胞接着シグナル、T細胞活性化シグナルまたは追加のシグナル、例えば環境シグナルを刺激または活性化する細胞表面分子に結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によっては、受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗受容体抗体、抗受容体抗体の二価抗体断片、抗受容体抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性受容体結合分子からなる群より選択されうる。二価抗体断片は、F(ab')2断片、または二価一本鎖Fv断片でありうるが、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されうる。場合によっては、抗体様の結合特性を有するタンパク質性受容体結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリンスキャホールドをベースにしたタンパク質、結晶性スキャホールドをベースにしたタンパク質、アドネクチン、DARPin、またはアビマーでありうる。場合によっては、受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFab断片である。
【0300】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、受容体、例えば、作用物質の結合時に、サイトカインシグナル、ケモカインシグナル、細胞接着シグナル、T細胞活性化シグナルまたは追加のシグナル、例えば環境シグナルを刺激または活性化する細胞表面分子に結合する、例えば特異的に結合するリガンドでありうる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質は、内因性リガンド、同族リガンド、合成リガンドおよび/またはその一部、バリアントもしくは修飾型である。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、内因性リガンドおよび/または同族リガンドの、細胞外ドメインまたはその一部であることができる。
【0301】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、サイトカイン受容体のリガンド、例えばサイトカインまたはその一部であるか、またはそれを含む。例示的なサイトカイン受容体としては、IL-2R、IL-7R、IL-21R、CD132 (IL受容体共通ガンマ鎖)、IL-1R、IL-15R、IFN-ガンマR、TNF-アルファR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-17R、TNFR1およびTNFR2が挙げられるが、これらに限定されることはない。例示的なリガンド、例えば、サイトカインとしては、IL-2、IL-7、IL-21、IL-1、IL-15、IFN-ガンマ、TNF-アルファ、IL-4、IL-10、I型インターフェロン(例えば、IFNαおよび/またはIFNβ)、IL-12、IL-17、IL-9およびTNF、ならびにその生物学的に活性な断片が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0302】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、サイトカイン受容体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によっては、サイトカイン受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、抗(サイトカイン受容体)抗体、抗(サイトカイン受容体)抗体の二価抗体断片、抗(サイトカイン受容体)抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性サイトカイン受容体結合分子からなる群より選択されうる。二価抗体断片はF(ab')2断片または二価一本鎖Fv断片でありうるが、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されうる。
【0303】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば追加の受容体結合物質は、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、ケモカイン受容体のリガンド、例えばケモカインまたはその一部であるか、またはそれを含む。例示的なケモカイン受容体は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3およびCXCR4を含むが、これらに限定されることはない。例示的なリガンド、例えばケモカインは、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21およびCCL25またはその生物学的に活性な断片を含むが、これらに限定されることはない。
【0304】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、ケモカイン受容体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によっては、ケモカイン受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、抗(ケモカイン受容体)抗体、抗(ケモカイン受容体)抗体の二価抗体断片、抗(ケモカイン受容体)抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性ケモカイン受容体結合分子からなる群より選択されうる。二価抗体断片はF(ab')2断片または二価一本鎖Fv断片でありうるが、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されうる。
【0305】
場合によっては、サイトカインを誘導する接着分子または因子に特異的に結合する受容体結合物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFab断片である。いくつかの態様において、サイトカインを誘導する接着分子または因子に特異的に結合する受容体結合物質は、受容体に結合する、例えば特異的に結合する、リガンドでありうる。いくつかの態様において、受容体結合物質は、接着分子および/または受容体の、内因性リガンド、同族リガンド、合成リガンドおよび/またはその一部、そのバリアントもしくは修飾型である。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、それ自体が細胞表面または膜貫通タンパク質である内因性リガンドおよび/または同族リガンドの細胞外ドメインまたはその一部であることができる。
【0306】
いくつかの例では、細胞上の分子、例えば接着分子は、CD44、CD31、CD18/CD11a (LFA-1; それぞれSEQ ID NO: 36および37に記載された完全長アルファおよびベータ鎖配列)、CD29、CD54 (ICAM-1)、CD62L (L-セレクチン; SEQ ID NO:38に記載された完全長配列)、CD29/CD49d (VLA-4; SEQ ID NO:40に記載された完全長配列)、CD106 (VCAM-1; SEQ ID NO:39に記載された完全長配列)またはその生物学的に活性な断片である。いくつかの態様において、受容体結合物質は、接着分子、例えばCD44、CD31、CD18/CD11a (LFA-1)、CD29、CD54 (ICAM-1)、CD62L (L-セレクチン)、CD29/CD49d (VLA-4)、CD106 (VCAM-1)またはその生物学的に活性な断片に結合する、例えば特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、受容体結合物質は、接着分子、例えばCD44、CD31、CD18/CD11a (LFA-1)、CD29、CD54 (ICAM-1)、CD62L (L-セレクチン)、CD29/CD49d (VLA-4)、CD106 (VCAM-1)に結合する、例えば特異的に結合するリガンドまたはその一部である。そのような受容体結合物質は、接着分子の内因性リガンドおよび/または同族リガンドの細胞外ドメイン(ECD)またはその一部であるか、またはそれを含む作用物質を含む。いくつかの態様において、受容体結合物質は、接着分子の細胞外ドメインまたはその一部であり、1つまたは複数の細胞の表面上の接着分子に結合することができる。そのような受容体結合物質の例示的なものとしては、LFA-1αの細胞外ドメイン(SEQ ID NO:54に記載されたECD); LFA-1βの細胞外ドメイン(SEQ ID NO:55に記載されたECD); L-セレクチンの細胞外ドメイン(SEQ ID NO:57に記載されたECD); VCAM-1の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:56に記載されたECD); およびVLA-4の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:8158記載されたECD)、またはその任意の部分が挙げられる。
【0307】
いくつかの態様において、サイトカイン産生、ケモカイン産生および/または接着分子の発現を誘導する因子は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体ガンマ(RORガンマ)またはRORアルファのような核因子であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば第2または追加の受容体結合物質は、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであるか、またはそれを含む。
【0308】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、IL-2R、IL-7R (CD127)、IL-21R (CD360)、IL受容体共通ガンマ鎖(γc; またはCD132)、IL-1R1またはIL-1R2のようなIL-1R (CD121)、IL-15R (CD215)、インターフェロンガンマ受容体(IFNγR; CD119)、TNFR1 (CD120a)およびTNFR2 (CD120b)を含む腫瘍壊死因子アルファ受容体(TNFαR)、IL-4R、IL-10R、インターフェロンI型受容体、例えば、IFNAR1およびIFNAR2を含むIFNα受容体(IFNAR)、IL-17R (CD217)、ならびに/あるいはIL-12Rであり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質は、該分子に特異的に結合する。いくつかの局面において、細胞上の該分子に特異的に結合する受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、抗体、二価抗体断片、一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性結合分子からなる群より選択されうる。
【0309】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、IL-2リガンド、IL-7リガンド、IL-21リガンド、IL-1リガンド、IL-15リガンド、IL-9リガンド、IFNγリガンド、TNFαリガンド、IL-4リガンド、IL-10リガンド、IL-12リガンド、IL-17リガンド、またはその生物学的に活性な部分もしくはバリアントのような、細胞内でシグナルを誘導することができる刺激受容体または他の受容体のリガンドを含むことができる。いくつかの態様において、生物学的に活性な部分またはバリアントは、受容体に結合する活性および/または受容体に対する1つもしくは複数のシグナルを調節する機能的活性を保持している。
【0310】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、I型インターフェロン、例えばIFNα、IFNβ、IFNκ、IFNδ、IFNε、IFNτ、IFNω、およびIFNζ(リミチンとしても公知)またはその生物学的に活性な部分のような、細胞内でシグナルを誘導することができる刺激受容体または他の受容体のリガンドを含むことができる。
【0311】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CXCR3、CCR7、CXCR1、またはCXCR4であり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、CXCR3、CCR7、CXCR1、またはCXCR4に特異的に結合する。いくつかの局面において、CXCR3、CCR7、CXCR1、またはCXCR4に特異的に結合する受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、抗体、二価抗体断片、一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性結合分子からなる群より選択されうる。
【0312】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、CXCL9リガンド、CXCL10リガンド、CCL19リガンド、CCL21リガンド、CCL25リガンド、またはその生物学的に活性な部分のような、細胞内でシグナルを誘導することができる刺激受容体または他の受容体のリガンドを含むことができる。生物学的に活性な部分は、受容体に結合する活性および/または受容体に対する1つもしくは複数のシグナルを調節する機能的活性を保持している。
【0313】
場合によっては、受容体結合物質、例えば追加の受容体結合物質は、接着分子であるか、もしくはそれを含み、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、接着分子の発現を誘導する因子であり、ならびに/あるいはアクセサリーシグナルおよび/もしくは追加のシグナルを刺激および/もしくは調節することに関与している。いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、CD62Lであり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、CD62Lに特異的に結合する。いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、RORγtであり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、RORγtに特異的に結合する。いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は、RORαであり得、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質(例えばこれは追加の受容体結合物質、例えば追加の刺激物質であることができる)は、RORαに特異的に結合する。
【0314】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD5、CD4、CD8、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L(CD70)、4-1BBL、CD30L、およびLIGHTのうちのいずれか1つまたは複数に結合することができ、かつ受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD5、CD4、CD8、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L(CD70)、4-1BBL、CD30L、およびLIGHTのうちのいずれか1つまたは複数に対する抗体、二価抗体(例えば、(Fab)2'断片もしくは二価一本鎖Fv断片)、一価抗体(例えば、Fab断片、Fv断片、もしくは一本鎖Fv断片(scFv))、またはリガンドであることができ、ここでそのような作用物質は、分子に対する受容体結合物質、例えば刺激物質の結合時に、細胞においてシグナルを誘導またはモデリングすることができる。
【0315】
いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば刺激物質は、CD28、CD3、CD137、またはCD40以外の標的細胞の表面上の分子に特異的に結合することができる。いくつかの場合には、CD28、CD3、CD137、またはCD40以外の標的細胞の表面上の分子に対する受容体結合物質、例えば刺激物質の結合は、標的細胞においてシグナルを誘導するかもしくは調節し、かつ/または標的細胞の機能を改変し、それによって培養標的細胞を生成する。
【0316】
上記の例のいずれかにおいて、二価抗体断片は、(Fab)2'断片、または二価一本鎖Fv断片であってもよく、他方、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されてもよい。上記の例のいずれかにおいて、抗体様の結合特性を有するタンパク質性結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリンスキャホールドをベースにしたタンパク質、結晶性スキャホールドをベースにしたタンパク質、アドネクチン、nanobody、DARPin、およびアビマーであってもよい。
【0317】
b. 選択物質
いくつかの態様において、作用物質は選択物質である。いくつかの態様において、選択物質は、細胞表面分子のような、細胞の表面上の分子に結合する。場合によっては、細胞表面分子は選択マーカーである。そのような場合には、選択物質は、1つまたは複数の細胞によって発現される選択マーカーに特異的に結合することができる。いくつかの態様において、試薬に可逆的に結合する選択物質を用いて、細胞の選択または単離を容易にすることができる。
【0318】
本明細書において提供される態様のいずれかにおいて、受容体結合物質、例えば、第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、受容体、例えば細胞の表面上に発現される受容体に特異的に結合する結合物質でありうる。場合によっては、受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗受容体抗体、抗受容体抗体の二価抗体断片、抗受容体抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性受容体結合分子からなる群より選択されうる。二価抗体断片は、F(ab')2断片、または二価一本鎖Fv断片でありうるが、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されうる。場合によっては、抗体様の結合特性を有するタンパク質性受容体結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリンスキャホールドをベースにしたタンパク質、結晶性スキャホールドをベースにしたタンパク質、アドネクチン、ナノボディ、DARPin、またはアビマーでありうる。場合によっては、受容体に特異的に結合する受容体結合物質、例えば第1、第2および/または追加の受容体結合物質、例えば刺激物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFab断片である。
【0319】
いくつかの局面において、細胞表面分子、例えば選択マーカーは、所望の細胞集団またはサブ集団、例えば、血液細胞、例えばリンパ球(例えば、T細胞、Tヘルパー細胞、例えばCD4+ Tヘルパー細胞、B細胞もしくはナチュラルキラー細胞)、単球または幹細胞、例えばCD34陽性末梢幹細胞もしくはNanogもしくはOct-4発現幹細胞、の集団またはサブ集団を定義する抗原であり得る。いくつかの態様において、選択マーカーは、T細胞またはT細胞のサブセットの表面上で発現されるマーカー、例えばCD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RAおよび/またはCD45ROであり得る。T細胞の例は、CMV特異的CD8+ Tリンパ球、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞および調節性T細胞(Treg)等の細胞を含む。Tregの実例は、CD4 CD25 CD45RA Treg細胞を含み、メモリーT細胞の実例は、CD62L CD8+特異的セントラルメモリーT細胞を含む。細胞表面分子、例えば選択マーカーはまた、腫瘍細胞のマーカーであり得る。
【0320】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD4であり得、選択物質はCD4に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD4に特異的に結合する選択物質は、抗CD4抗体、抗CD4抗体の二価抗体フラグメント、抗CD4抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD4結合分子(例えばアンチカリンまたはナノボディ)からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD4抗体、例えば二価抗体フラグメントまたは一価抗体フラグメント(例えば、CD4 Fabフラグメント)は、抗体13B8.2またはCD4に対する特異的結合性を保持する13B8.2の機能的に活性な変異体由来であり得る。例えば、抗体13B8.2の例示的な変異体またはm13B8.2は、米国特許第7,482,000号、米国出願番号US2014/0295458または国際特許出願WO2013/124474;およびBes, C, et al. J Biol Chem 278, 14265-14273 (2003)に記載されている。「ml3B8.2」と呼ばれる変異Fabフラグメントは、米国特許第7,482,000号に記載されるように、CD4結合マウス抗体13B8.2の可変ドメインならびに重鎖に関してガンマ型の定常ヒトCH1ドメインおよびカッパ型の定常ヒト軽鎖ドメインを含む定常ドメインを有する。いくつかの態様において、抗CD4抗体、例えば抗体13B8.2の変異体は、各々Kabatの番号付けにしたがい、可変軽鎖内のアミノ酸置換H91Aおよび可変軽鎖内のアミノ酸置換Y92A、可変重鎖内のアミノ酸置換H35Aおよび/または可変重鎖内のアミノ酸置換R53Aを含む。いくつかの局面において、ml3B8.2内の13B8.2 Fabフラグメントの可変ドメインと比較して、軽鎖の91位(SEQ ID NO:30の93位)のHis残基がAlaに変異しており、重鎖の53位(SEQ ID NO:29の55位)のArg残基がAlaに変異している。いくつかの態様において、抗CD4またはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-206または6-8000-205または6-8002-100;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0321】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD8であり得、選択物質はCD8に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD8に特異的に結合する選択物質は、抗CD8抗体、抗CD8抗体の二価抗体フラグメント、抗CD8抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD8結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD8抗体、例えば二価抗体フラグメントまたは一価抗体フラグメント(例えば、CD8 Fabフラグメント)は、抗体OKT8(例えば、ATCC CRL-8014)またはCD8に対する特異的結合性を保持するその機能的に活性な変異体由来であり得る。いくつかの態様において、抗CD8またはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8003または6-8000-201; IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0322】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD3であり得、選択物質はCD3に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD3に特異的に結合する選択物質は、抗CD3抗体、抗CD3抗体の二価抗体フラグメント、抗CD3抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD3結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD3抗体、例えば二価抗体フラグメントまたは一価抗体フラグメント(例えば、CD3 Fabフラグメント)は、抗体OKT3(例えば、ATCC CRL-8001;例えば、Stemberger et al. PLoS One. 2012; 7(4): e35798を参照のこと)またはCD3に対する特異的結合性を保持するその機能的に活性な変異体由来であり得る。いくつかの態様において、抗CD3またはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-201、6-8001-100;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0323】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD25であり得、選択物質はCD25に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD25に特異的に結合する選択物質は、抗CD25抗体、抗CD25抗体の二価抗体フラグメント、抗CD25抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD25結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD25抗体、例えば二価抗体フラグメントまたは一価抗体フラグメント(例えば、CD25 Fabフラグメント)は、抗体FRT5(例えば、Stemberger et al. 2012を参照のこと)またはCD25に対する特異的結合性を保持するその機能的に活性な変異体由来であり得る。いくつかの態様において、抗CD4またはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-205または6-8000-207または6-8004-050;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0324】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD62Lであり得、選択物質はCD62Lに特異的に結合する。いくつかの局面において、CD62Lに特異的に結合する選択物質は、抗CD62L抗体、抗CD62L抗体の二価抗体フラグメント、抗CD62L抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD62L結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD62L抗体、例えば二価抗体フラグメントまたは一価抗体フラグメント(例えば、CD62L Fabフラグメント)は、抗体DREG56(例えば、ATCC HB300;例えば、Stemberger et al. 2012を参照のこと)またはCD62Lに対する特異的結合性を保持するその機能的に活性な変異体由来であり得る。いくつかの態様において、抗CD62Lまたはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-204または6-8005-050;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0325】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD45RAであり得、選択物質はCD45RAに特異的に結合する。いくつかの局面において、CD45RAに特異的に結合する選択物質は、抗CD45RA抗体、抗CD45RA抗体の二価抗体フラグメント、抗CD45RA抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD45RA結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD45RA抗体、例えば二価抗体フラグメントまたは一価抗体フラグメント(例えば、CD45RA Fabフラグメント)は、抗体MEM56(例えば、Millipore 05-1413;例えば、Stemberger et al. 2012を参照のこと)またはCD45RAに対する特異的結合性を保持するその機能的に活性な変異体由来であり得る。いくつかの態様において、抗CD45RAまたはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-208または6-8007-050;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0326】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD45ROであり得、選択物質はCD45ROに特異的に結合する。いくつかの局面において、CD45ROに特異的に結合する選択物質は、抗CD45RO抗体、抗CD45RO抗体の二価抗体フラグメント、抗CD45RO抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD45RO結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD45ROまたはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-209または6-8012-020;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0327】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD154であり得、選択物質はCD154に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD154に特異的に結合する選択物質は、抗CD154抗体、抗CD154抗体の二価抗体フラグメント、抗CD154抗体の一価抗体フラグメントおよび抗体様結合特性を有するタンパク質性CD154結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD154またはそのフラグメントに可逆的に結合する試薬は、市販されているまたは市販されている試薬由来である(例えば、カタログ番号6-8000-202または6-5510-050;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。
【0328】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD16であり得、かつ選択物質はCD16に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD16に特異的に結合する選択物質は、抗CD16抗体、抗CD16抗体の二価抗体断片、抗CD16抗体の一価抗体断片、および抗体様の結合特性を有するタンパク質性CD16結合分子からなる群より選択されうる。いくつかの態様において、抗CD16またはその断片に可逆的に結合する試薬は、市販されているか、または市販されている試薬から誘導される。いくつかの局面において、CD16結合分子は、それぞれSEQ ID NO: 52および53に記載される重鎖および/または軽鎖配列を含む。
【0329】
上記の例のいずれかにおいて、二価抗体断片は、(Fab)2'断片、または二価一本鎖Fv断片であってもよく、他方、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択されてもよい。上記の例のいずれかにおいて、抗体様の結合特性を有するタンパク質性結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリンスキャホールドをベースにしたタンパク質、結晶性スキャホールドをベースにしたタンパク質、アドネクチン、nanobody、DARPin、およびアビマーであってもよい。
【0330】
III. 細胞を培養する方法
組成物中の標的細胞(例えばT細胞)の表面上の分子に結合することができ、かつ作用物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含有する試薬に可逆的に結合している作用物質(例えば、第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)の存在下で、標的細胞(例えばT細胞)を含有する組成物をインキュベートする工程を含む、細胞を培養する方法が、本明細書に提供される。ある特定の態様において、試薬は、記載されるいずれかなどのオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、インキュベーションは、作用物質が細胞上の分子に結合する、例えば特異的に結合する条件下で行われる。いくつかの場合には、ある特定の受容体結合物質(例えば刺激物質)について、そのような結合は、組成物中の標的細胞(例えばT細胞)においてシグナル、例えば、記載されるような一次シグナルまたはアクセサリーシグナルを誘導または調節することができる。いくつかの態様において、分子に対する作用物質の結合は、組成物中の標的細胞の刺激、活性化、増大(増殖)、および/または分化のうちの1つまたは複数を結果としてもたらす。
【0331】
いくつかの態様において、提供される方法は、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞などの細胞の集団のエクスビボ増大を選択的に誘導するために用いることができる。いくつかの場合には、刺激は、リンホカインなどの外因性成長因子、およびアクセサリー細胞の非存在下であることができる。いくつかの態様において、B細胞またはT細胞などのこれらの細胞の増殖は、抗原を必要とせずに誘導することができ、したがって、抗原反応性に関してポリクローナルである、T細胞集団などの増大された細胞集団を提供することができる。本明細書に開示される方法は、元のT細胞集団に対してこれらの細胞の数の数倍の増加をもたらす、CD4+またはCD8+ T細胞などのT細胞の選択された集団の、長期間にわたる持続的増殖を提供し得る。概して、本明細書に記載されるリンパ球集団の(クローン性)増大の場合、子孫はすべて、増大のために選択された細胞集団と同じ抗原特異性を共有し得る。
【0332】
いくつかの態様において、方法は、抗原特異的T細胞の集団の増大に関する。いくつかの態様において、抗原特異的T細胞の集団を作製するために、T細胞を、T細胞において一次活性化シグナルを誘発するのに適している形態の抗原と接触させ、すなわち、抗原は、シグナルがTCR/CD3複合体を通じてT細胞において誘発されるようにT細胞に提示される。例えば、抗原は、MHC分子と共に抗原提示細胞によってT細胞に提示され得る。B細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、またはT細胞に抗原を提示することができる他の細胞などの抗原提示細胞を、抗原提示細胞がT細胞に抗原を提示するように、抗原(例えば可溶性抗原)の存在下でT細胞とインキュベートすることができる。あるいは、関心対象の抗原を発現する細胞を、T細胞とインキュベートすることができる。例えば、腫瘍関連抗原を発現する腫瘍細胞を、腫瘍特異的応答を誘導するために、T細胞と一緒にインキュベートすることができる。同様に、病原体の抗原を提示する、病原体、例えばウイルスに感染した細胞を、T細胞とインキュベートすることができる。T細胞の集団の抗原特異的活性化の後、細胞を、提供される方法にしたがって増大することができる。例えば、抗原特異性が確立された後、T細胞を、本明細書に記載される方法にしたがって、(第1の作用物質として用いられる)抗CD3抗体および(第2の作用物質として用いられる)抗CD28抗体との培養によって増大することができる。別の態様において、第1の作用物質は、抗原特異的T細胞集団に結合するMHC I:ペプチド複合体であることができる。そのような態様において、公知であり、かつそれぞれのMHC I分子と複合体形成することができる、任意の抗原特異的ペプチドを用いることができる。あるいは、第1の作用物質として、細胞増大を誘発する受容体の天然リガンドを用いることも可能である。例えば、CD19の細胞外ドメインを、キメラCD19結合抗原受容体(CAR)を発現するように形質導入された細胞の細胞内シグナル伝達カスケードの活性化を引き起こすために用いることができる。上記の例示的な局面は、実施例に示されている。
【0333】
いくつかの態様において、複数の細胞を含む組成物を含む試料を、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬と接触させる工程を含む、細胞の集団を培養するインビトロ方法が提供される。いくつかの態様において、多量体形成試薬はオリゴマー粒子試薬である。1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞の選択、刺激、増大、および/または分化のために用いることができる作用物質(第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)が、その上に可逆的に固定化されている(それに結合している)。いくつかの態様において、第1の作用物質は、細胞に対して一次活性化シグナルを提供し、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、第1の作用物質の可逆的結合のための少なくとも1つの結合部位Z1を含む。第1の作用物質は、少なくとも1つの結合パートナーC1を含み、該結合パートナーC1は、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z1に可逆的に結合することができ、第1の作用物質は、結合パートナーC1と結合部位Z1との間で形成される可逆的結合を介して、多量体形成試薬に結合される。第1の作用物質は、細胞の表面上の受容体分子に結合し、それによって細胞に対して一次活性化シグナルを提供し、かつそれによって細胞を活性化する。
【0334】
いくつかの態様において、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、固体表面などの支持体上に固定化される。いくつかの態様において、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、支持体に結合されず、例えば、固体表面または固定相に結合されない。
【0335】
例えば、いくつかの態様において、細胞の集団を含む試料を、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬と接触させる工程であって、該1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬が固体支持体上に固定化されず、すなわち可溶性形態であり、かつ、細胞の選択、刺激、増大、および/または分化のために用いることができる作用物質(第1または第2の、受容体結合物質、例えば刺激物質、または選択物質)がそれに結合している工程を含む、細胞の集団を増大するインビトロ方法が提供される。いくつかの態様において、細胞に対して一次活性化シグナルを提供する第1の作用物質は、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合される。1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、第1の作用物質の結合のための少なくとも1つの結合部位、例えばZ1を含み、第1の作用物質は、少なくとも1つの結合パートナー、例えばC1を含み、結合パートナーC1は、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z1に結合することができる。いくつかの態様において、第1の作用物質は、結合パートナーC1と結合部位Z1との間で形成される結合を介して、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合され、第1の作用物質は、細胞の表面上の受容体分子に結合し、それによって細胞に対して一次活性化シグナルを提供し、かつそれによって細胞を活性化する。いくつかの態様において、可溶性の多量体形成物質が用いられる場合に、結合部分C、例えばC1と結合部位Z、例えばZ1との間の結合は、可逆的である必要がない。
【0336】
例えば、いくつかの態様において、提供される方法はまた、細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激するアクセサリーまたは共刺激分子などの第2の作用物質がそれに結合している、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の使用も含む。いくつかの場合には、多量体形成物質は、支持体、例えば、固体支持体、固相、または固定相上に固定化される。いくつかの態様において、多量体形成物質は、支持体上に固定化されず、すなわち可溶性形態である。いくつかの態様において、第2の作用物質は、結合パートナー、例えばC2を含み、結合パートナー、例えばC2は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位、例えばZ2に可逆的に結合されることができ、第2の作用物質は、結合パートナーC2と結合部位Z2との間で形成される可逆的結合を介して、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合される。いくつかの態様において、結合パートナーC1と結合部位Z1との間で形成される結合は、可逆的であってもよく、かつ結合パートナーC2と結合部位Z2との間で形成される結合は、可逆的であってもよい。この場合には、前記結合部位Z1と前記結合パートナーC1との間の可逆的結合について、および/または前記結合部位Z2と前記結合パートナーC2との間の可逆的結合についての解離定数(Kd)は、10-2 M~10-13 Mの範囲であり得る。いくつかの局面において、例えば、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬が支持体に結合されない(例えば、固体支持体または固定相に結合されない)場合、結合パートナーC1と結合部位Z1との間で形成される結合は、不可逆的であってもよく、かつ/または結合パートナーC2と結合部位Z2との間で形成される結合もまた、不可逆的であってもよい。
【0337】
いくつかの場合には、第2の作用物質は、細胞の表面上の表面上アクセサリー分子に結合し、それによって活性化細胞を刺激する。この態様において、第1の作用物質は、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを刺激してもよく、かつCD3に特異的に結合する結合物質であってもよい。この態様において、T細胞上のアクセサリー分子は、CD28であってもよく、アクセサリー分子に結合する第2の作用物質は、CD28に特異的に結合する結合試薬である。あるいは、いくつかの態様において、いくつかの場合には培養細胞の1つ以上の特徴(feature)、特性、または特徴(characteristic)を改変する、例えば改善することができる、他のアクセサリー分子のターゲティングもまた使用できることが見出されている。いくつかの態様において、アクセサリー分子は、IL-12R、IFNγR、IL-4R、IL-17R、RORγt、RORα、CXCR3、CCR7、CD62L、CXCR1、またはCXCR4(例えば、それぞれ、抗IL-12R抗体、抗IFNγR抗体、抗IL-4R抗体、および抗IL-17R抗体、抗RORγt抗体、抗RORα抗体、抗CXCR3抗体、抗CCR7抗体、抗CD62L抗体、抗CXCR1抗体、または抗CXCR4抗体)のうちの1つまたは複数であることができる。例示的な作用物質、例えば受容体結合物質(例えば刺激物質)は、以下に記載されている。
【0338】
いくつかの態様において、提供される方法は、細胞集団の生存性が少なくとも本質的に損なわれない任意の温度で実施されてもよい。いくつかの態様において、インキュベーションまたは培養が実施される条件は、少なくとも本質的に有害ではない、弊害をもたらさない、または少なくとも本質的に生存性を損なわない、例えば、その下で完全な生存性を有して増大されることになる細胞の集団のパーセンテージが、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%を含む、少なくとも70%である、任意の条件を含む。いくつかの態様において、提供される方法は、約20℃以上の温度で実施される。増大されるべき細胞集団に依存して、適当な温度範囲は、例えば、約25℃~約40℃または約32℃~37℃を含む、約20℃~約45℃であり得る。いくつかの態様において、本発明にしたがう方法は、一定の温度値で、または選択された温度値±約5℃、±約4℃、±約3℃、±約2℃、±約1℃、または±約0.5℃で実施される。当業者は、細胞の性質および増大条件を考慮して、適当な温度を経験的に決定することができる。典型的には、ヒト細胞は、37℃などの温度で増大される。
【0339】
本明細書における開示にしたがって、また、多量体化作用物質、または、細胞の集団を増大することができる、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬を含む組成物も提供される。細胞の集団を増大することができる、そのような1つ以上の作用物質に結合した多量体化作用物質および/またはオリゴマー粒子試薬は、支持体に結合されない(例えば、可溶性形態である)、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬であり、かつ、細胞に対して一次活性化シグナルを提供する第1の作用物質の可逆的結合のための少なくとも1つの結合部位Z、例えばZ1を含み、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞に対して一次活性化シグナルを提供する該第1の作用物質がそれに可逆的に結合されており、第1の作用物質は、少なくとも1つの結合パートナーC、例えばC1を含み、結合パートナーC1は、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の少なくとも1つの結合部位Z1に可逆的に結合することができ、第1の作用物質は、結合パートナーC1と結合部位Z1との間で形成される可逆的結合を介して、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合される。そのような多量体形成物質は、本明細書に記載される第1の作用物質のいずれかがその上に固定化されていてもよいことが、ここで注目されるべきである。
【0340】
いくつかの態様において、本明細書に提供される多量体化試薬は、細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激する第2の作用物質の可逆的結合のための少なくとも1つの結合部位、例えばZ2をさらに含んでもよく、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞の表面上のアクセサリー分子を刺激する第2の作用物質がそれに可逆的に結合されており、第2の作用物質は、結合パートナー、例えばC2を含み、結合パートナーC2は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の少なくとも1つの結合部位Z2に結合することができる。この態様において、第2の作用物質は、結合パートナーC2と結合部位Z2との間で形成される結合を介して、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合される。いくつかの態様において、第2の作用物質は、IL-12R、IFNγR、IL-4R、IL-17R、RORγt、RORα、CXCR3、CCR7、CD62L、CXCR1、またはCXCR4に結合することができる任意のもの(例えば、それぞれ、抗IL-12R抗体、抗IFNγR抗体、抗IL-4R抗体、および抗IL-17R抗体、抗RORγt抗体、抗RORα抗体、抗CXCR3抗体、抗CCR7抗体、抗CD62L抗体、抗CXCR1抗体、または抗CXCR4抗体)である。
【0341】
いくつかの態様において、多量体化作用物質(例えば、抗CD3/抗CD28ムテインストレプトアビジンまたはそのオリゴマー)との標的細胞(例えばT細胞)を含有する組成物の培養は、バイオリアクター、例えば中空繊維バイオリアクター(例えば、Quantum(登録商標)細胞増大システムの中空繊維バイオリアクター)またはプラスチックバッグバイオリアクター(例えば、GE HealthcareのXuri Cell Expansion System W25において用いられるCellbag(登録商標))において実施することができる。
【0342】
いくつかの態様において、方法は、(例えば、例えば第1の作用物質および第2の作用物質を介して多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合した標的細胞、例えばT細胞を含有する)反応混合物中の培養標的細胞(例えばT細胞)を、(i) 第1の結合パートナー、例えばC1と結合部位、例えばZ1との間の結合を破壊することができる競合試薬(例えば、遊離の第1の結合パートナーC、例えばC1)もしくはその類似体、および/または(例えば、必要な場合)(ii) 第2の結合パートナーC2と結合部位Z2との間の結合を破壊することができる第2の競合試薬、例えば、遊離の第2の結合パートナー、例えばC2、もしくはその類似体と接触させる工程をさらに含む。そうすることによって、第1の作用物質の前記結合パートナーC1と前記結合部位Z1との間の可逆的結合、ならびに第2の作用物質の前記結合パートナーC2と前記多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の前記結合部位Z2との間の可逆的結合が破壊され、それによって、第1の作用物質および第2の作用物質を介して多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬に結合したT細胞を溶出液中に放出し、かつT細胞の刺激および/または増大を中断させる。
【0343】
いくつかの態様において、競合試薬(例えば、第1および/または第2の競合試薬)は、インキュベーションの開始後14日、10日、7日、または5日以内、例えば、インキュベーションの開始後10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日以内に添加される。特定の態様において、競合試薬は、インキュベーションの開始後5日以内、例えば、インキュベーションの開始後4日、3日、2日、または1日以内に添加される。ある特定の態様において、競合試薬は、インキュベーションの開始後1日以内、例えば、インキュベーションの開始後18時間、16時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、90分、60分、または30分以内に添加される。したがって、刺激が中断される時を制御することによって、多量体化作用物質から溶出される培養T細胞の1つ以上の特定の特徴を、本明細書に記載されるように改変することができる。例えば、いくつかの態様において、インキュベーションが開始された後5日、4日、3日、2日、または1日以内の競合試薬の添加は、1つ以上の培養細胞の刺激、活性化、濃縮、増大、選択、および/または増殖を増加させるであろう。
【0344】
いくつかの態様において、方法は、構成成分の可逆的解離後に残存する構成成分のうちの1つまたは複数を分離または除去する工程をさらに含む。いくつかの態様において、培養標的細胞(例えばT細胞)における任意の非結合または残留ビオチンを、分離または除去することができる。いくつかの態様において、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、培養標的細胞組成物中の細胞から除去または分離される。例えば、いくつかの態様において、分離/除去は、第2の固定相を用いて実施され得る。この目的で、標的細胞(例えばT細胞)ならびに1つ以上の作用物質に結合した可溶性多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬を含む混合物が、上記の第1の固定相へアプライされる前または後に、適当な第2の固定相上のクロマトグラフィーに供される。この第2の固定相は、ゲル濾過マトリクスおよび/または親和性クロマトグラフィーマトリクスであってもよく、ゲル濾過および/または親和性クロマトグラフィーマトリクスは、親和性試薬を含む。クロマトグラフィー樹脂上に含まれる親和性試薬は、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z1および/または、存在する場合、結合部位Z2に(特異的に)結合する結合パートナーDを含み、それによって、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬を固定相上に固定化する。ストレプトアビジンベースの、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬が用いられ、かつ第1および第2の作用物質が両方とも、結合パートナーC1またはC2としてストレプトアビジン結合ペプチドを有する場合、この第2の固定相の親和性試薬中に含まれる結合パートナーDは、ビオチンであることができる。多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬として用いられるストレプトアビジンのまたはストレプトアビジンムテインの可溶性オリゴマーは、次いで、市販されているビオチン-セファロース(商標)などのクロマトグラフィーマトリクスに通常共有結合でカップリングしているビオチンに結合する。いくつかのそのような態様において、培養細胞(例えば培養T細胞)を、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬から回収することができる。
【0345】
A. 細胞
標的細胞を含む組成物に含まれる細胞は、通常、真核生物細胞、例えば哺乳動物細胞であり、典型的に、ヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は、血液、骨髄、リンパもしくはリンパ器官由来であるか、または免疫系の細胞、例えば自然もしくは適応免疫の細胞、例えば骨髄もしくは典型的にはT細胞および/もしくはNK細胞であるリンパ球を含むリンパ細胞である。他の例示的な細胞は、幹細胞、例えば複能性および多能性幹細胞を含み、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む。細胞は典型的に、初代細胞、例えば対象から直接単離されたおよび/または対象から単離され凍結された細胞である。
【0346】
いくつかの態様において、本明細書で提供される、可逆的に結合される作用物質、例えば多量体化される作用物質は、リンパ球集団またはリンパ球集団に含まれるサブ集団を増大することができる。増大されるリンパ球集団は、任意の適当な集団、例えば、B細胞集団、T細胞集団またはナチュラルキラー細胞集団であり得る。T細胞集団は、抗原特異的T細胞集団、Tヘルパー細胞集団、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞またはナチュラルキラーT細胞集団であり得る。したがって、多量体化される試薬のそのような態様において、第1の作用物質は、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを刺激することができる。多量体化される作用物質中に存在する第1の作用物質は、したがって、CD3に特異的に結合する結合試薬であり得、アクセサリー分子に結合する第2の作用物質は、例えば、CD28、CD137、IL-12R、IFNγR、IL-4R、IL-17R、RORγt、RORα、CXCR3、CCR7、CD62L、CXCR1またはCXCR4に特異的に結合する結合物質であり得る。
【0347】
いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば、総T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞およびそれらのサブ集団、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化、増大、再循環、局在化および/もしくは持続性に関する能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロフィール、ならびに/または分化度により定義されるものを含む。処置される対象に関して、細胞は、同種および/または自己であり得る。特にこの方法は、既製の方法を含む。いくつかの局面において、例えば既製品技術に関して、細胞は、多能性および/または複能性細胞、例えば幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの態様において、この方法は、対象から細胞を単離する工程、本明細書に記載されるようにそれらを調製、処理、培養および/または改変する工程、ならびに凍結保存の前または後にそれらを同一患者に再導入する工程を含む。
【0348】
特に、T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよびサブ集団は、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然および適応調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞である。
【0349】
いくつかの態様において、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、単球または顆粒球、例えば骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球および/または好塩基球である。
【0350】
1. 細胞の調製
いくつかの態様において、細胞の調製は、1回または複数回の培養および/または調製工程を含む。細胞は、試料、例えば生物学的試料、例えば対象から得られたまたは対象由来のものから単離され得る。いくつかの態様において、細胞を単離する対象は、疾患もしくは状態を有する者または細胞療法を必要とする者または細胞療法を受けるであろう者である。対象は、いくつかの態様において、特定の治療的介入、例えばそのために細胞を単離、処理および/または改変する養子細胞療法を必要とするヒトである。
【0351】
したがって、細胞は、いくつかの態様において、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料は、組織、体液および対象から直接採取された他の試料ならびに1つまたは複数の処理工程、例えば分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄および/またはインキュベートから得られる試料を含む。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られる試料または処理された試料であり得る。生物学的試料は、それら由来の処理された試料を含む、体液、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および器官試料を含むがこれらに限定されない。
【0352】
いくつかの局面において、細胞がそれに由来するまたは細胞がそこから単離される試料は、血液もしくは血液由来試料である、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるもしくはそれ由来である。例示的な試料は、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の器官、および/またはそれら由来の細胞を含む。試料は、細胞療法、例えば養子細胞療法に関して、自己および同種源由来の細胞を含む。
【0353】
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えばT細胞株由来である。細胞は、いくつかの態様において、異種供給源から、例えばマウス、ラット、非ヒト霊長類またはブタから得られる。
【0354】
いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。いくつかの例において、細胞は、例えば望まない成分を除去するため、望む成分を濃縮するため、特定の試薬に対する感受性を有する細胞を溶解または除去するために、1つまたは複数の試薬の存在下で、洗浄、遠心分離および/またはインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、1つまたは複数の特性、例えば密度、接着特性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性に基づき分離される。
【0355】
いくつかの例において、細胞は対象の循環血から、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および/または血小板を含むリンパ球を含み、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含む。
【0356】
いくつかの態様において、対象から回収された血液細胞は、例えば血漿画分を除去するためおよび細胞をその後の処理工程のための適当な緩衝液または培地に入れるために洗浄される。いくつかの態様において、細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの態様において、洗浄溶液は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウムならびに/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面において、洗浄工程は、半自動化「フロースルー」型遠心分離装置(例えば、Cobe 2991細胞処理装置、Baxter)を製造元の指示にしたがって用いて達成される。いくつかの局面において、洗浄工程は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を製造元の指示にしたがって用いて達成される。いくつかの態様において、細胞は、洗浄後に様々な生体適合性緩衝液、例えばCa++/Mg++非含有PBSに再懸濁される。特定の態様において、血液細胞試料の成分は除去され、細胞は培養培地に直接再懸濁される。
【0357】
いくつかの態様において、この方法は、密度ベースの細胞分離方法、例えば、赤血球の溶解およびPercollまたはFicoll勾配を通じた遠心分離による末梢血からの白血球の調製、を含む。
【0358】
いくつかの態様において、単離方法は、1つまたは複数の特定分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸の細胞内での発現または存在に基づく異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく任意の公知の分離方法が使用され得る。分離方法は、可逆的試薬システム、例えば作用物質(例えば、受容体結合物質または選択物質)および本明細書に記載される試薬を用いる方法を含む、本明細書に開示される任意の方法を含み得る。
【0359】
いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性ベースの分離である。例えば、単離は、いくつかの局面において、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの、当該細胞による発現または発現レベルに基づく、細胞および細胞集団の分離を含み、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとインキュベートすること、ならびに通常はその後の洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞から抗体または結合パートナーに結合した細胞を分離することによる分離を含む。
【0360】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞がさらなる使用のために維持される正選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞が維持される負選択に基づき得る。いくつかの例において、両方の画分が、さらなる使用のために維持される。いくつかの局面において、負選択は、異種集団内である細胞型を特異的に特定する抗体が利用可能でない場合に特に有用であり得、分離は、望まれる集団以外の細胞により発現されるマーカーに基づき最適に実施される。
【0361】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%濃縮または除去を必要とするものではない。例えば、特定型の細胞、例えばあるマーカーを発現するそれらの正選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージの増加を表すが、それはそのマーカーを発現しない細胞が完全に存在しないことを必要とするものではない。同様に、特定型の細胞、例えばあるマーカーを発現する細胞の負選択、除去または排除は、そのような細胞の数またはパーセンテージの減少を表すが、すべてのそのような細胞が完全に除去されることを必要とするものではない。
【0362】
いくつかの例において、1回の工程から正または負選択された画分を、別の分離工程、例えば後続の正または負選択に供する、複数回の分離工程が実施される。いくつかの例において、1回の分離工程は、複数のマーカーを同時に発現する細胞を、例えば、各々が負選択の標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、排除し得る。同様に、様々な細胞型において発現される複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型が同時に正選択され得る。
【0363】
例えば、いくつかの局面において、T細胞の特定のサブ集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーについて陽性であるまたはそれを高レベルで発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+ T細胞が、正または負選択技術によって単離される。
【0364】
例えば、CD3+、CD28+ T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を用いて正選択され得る。
【0365】
いくつかの態様において、単離は、正選択による特定の細胞集団の濃縮、または負選択による特定の細胞集団の排除によって、実施される。いくつかの態様において、正または負選択は、それぞれ正または負選択される細胞において発現される(マーカー+)または相対的に高いレベルで発現される(マーカー高)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合物質と共に細胞をインキュベートすることによって達成される。
【0366】
いくつかの態様において、T細胞は、非T細胞、例えばB細胞、単球または他の白血球において発現されるマーカー、例えばCD14の負選択によってPBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程は、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4+またはCD8+集団はさらに、1つまたは複数のナイーブ、メモリーおよび/またはエフェクターTサブ集団において発現されるまたは相対的に高い程度発現されるマーカーについての正または負選択によってサブ集団に分類され得る。
【0367】
いくつかの態様において、CD8+細胞はさらに、例えばそれぞれのサブ集団に関連する表面抗原に基づく正または負選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリーおよび/またはセントラルメモリー幹細胞について濃縮される、またはそれらを排除される。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、効能を高めるために、例えば投与後の長期間の生存、増大および/または生着を改善するために実施され、それは、いくつかの局面において、そのようなサブ集団において特に確実である。Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82; Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照のこと。いくつかの態様において、TCM濃縮CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の混合は、効果をさらに向上させる。
【0368】
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-の両サブセットに存在する。PBMCは、例えば抗CD8および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+および/もしくはCD62L+CD8+画分について濃縮され得るまたはそれらを排除され得る。
【0369】
いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき、いくつかの局面において、それはCD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するまたは高度に発現する細胞についての負選択に基づく。いくつかの局面において、TCM細胞について濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の排除およびCD62Lを発現する細胞についての正選択または濃縮によって実施される。1つの局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性の画分から出発し、これがCD14およびCD45RAの発現に基づく負選択およびCD62Lに基づく正選択に供されることによって実施される。そのような選択は、いくつかの局面において、同時に実施され、他の局面においては、いずれかの順で順次実施される。いくつかの局面において、CD8+細胞集団またはサブ集団を調製するのに使用したのと同じCD4発現ベースの選択設定が、CD4+細胞集団またはサブ集団を生成するためにも使用され、したがってCD4ベースの分離からの陽性および陰性の両画分が維持され、任意で1回または複数回のさらなる正または負選択工程を行った後に、この方法の後続の工程において使用される。
【0370】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、ナイーブ、セントラルメモリーおよびエフェクター細胞に分類される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって取得され得る。いくつかの態様において、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0371】
1つの例において、負選択によりCD4+細胞について濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは典型的に、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、正および/または負選択により細胞を分離できるよう、固体支持体またはマトリクス、例えば磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、いくつかの態様において、細胞および細胞集団は、(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher (著作権) Humana Press Inc., Totowa, NJで概説されている)免疫磁気(または親和性磁気)分離技術を用いて分離または単離される。
【0372】
いくつかの局面において、分離される細胞の試料または組成物は、小さな、磁化可能なまたは磁気反応性の材料、例えば磁気反応粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynabeadsまたはMACSビーズ)と共にインキュベートされる。磁気反応性材料、例えば粒子は、通常、分離が望まれる、例えば負または正選択されることが望まれる、細胞、細胞群または細胞集団に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に、直接的または間接的に付着される。
【0373】
いくつかの態様において、磁気粒子またはビーズは、特異的結合メンバー、例えば抗体または他の結合パートナーに結合された磁気反応性材料を含む。多くの周知の磁気反応性材料が、磁気分離方法において使用される。適当な磁気粒子は、参照により本明細書に組み入れられるMoldayの米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されるものを含む。コロイド状のサイズ指定された粒子、例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されるものが、他の例である。
【0374】
インキュベーションは通常、磁気粒子またはビーズに付着された、抗体もしくは結合パートナーまたはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体もしくは他の試薬が、試料中の細胞上に存在する場合に細胞表面分子に特異的に結合する条件下で、実施される。
【0375】
いくつかの局面において、試料は磁場に置かれ、磁気反応性または磁化可能粒子が付着された細胞は、磁石に誘引され、非標識細胞から分離される。正選択の場合、磁石に誘引される細胞が維持され、負選択の場合、誘引されない細胞(非標識細胞)が維持される。いくつかの局面において、同じ選択工程の間に正および負選択の組み合わせが実施され、正および負画分が維持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0376】
特定の態様において、磁気反応性粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素またはストレプトアビジンでコーティングされる。特定の態様において、磁気粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを通じて細胞に付着される。特定の態様において、ビーズではなく細胞が、一次抗体または結合パートナーによって標識され、次いで細胞型特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)でコーティングされた磁気粒子が添加される。特定の態様において、ストレプトアビジンコーティングされた磁気粒子が、ビオチニル化された一次または二次抗体と組み合わせて使用される。
【0377】
いくつかの態様において、磁気反応性粒子は、その後にインキュベート、培養および/または改変される細胞に付着したまま維持され、いくつかの局面において、粒子は、患者に投与するための細胞に付着したまま維持される。いくつかの態様において、磁化可能または磁気反応性粒子は、細胞から除去される。細胞から磁化可能粒子を除去する方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、磁化可能粒子または切断可能なリンカーにコンジュゲートされた抗体等の使用を含む。いくつかの態様において、磁化可能粒子は、生分解性である。
【0378】
いくつかの態様において、親和性ベースの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)を通じた選択である。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が付着した細胞の高純度選択を実現する。特定の態様において、MACSは、外部磁場の適用後に非標的種および標的種が順次溶出される様式で動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞はその場で維持され、非付着種が溶出する。次いで、この第1の溶出工程が完了した後に、磁場内で捕捉され溶出を妨げられていた種が、溶出し回収され得るように何らかの形で自由にされる。特定の態様において、非標的細胞は、標識され、異種細胞集団から排除される。
【0379】
特定の態様において、単離または分離は、この方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベート、培養および/または製剤化工程の1つまたは複数を実施するシステム、デバイスまたは装置を用いて実施される。いくつかの局面において、システムは、閉鎖または滅菌環境下でこれらの工程の各々を実施するよう、例えば、失敗、使用者による操作および/または混入を最小限に抑えるよう、使用される。1つの例において、システムは、国際特許出願WO2009/072003またはUS 20110003380 A1に記載されるシステムである。
【0380】
いくつかの態様において、システムまたは装置は、統合型もしくは内蔵型システム内でおよび/または自動もしくはプログラム可能様式で、単離、処理、改変および製剤化工程の1つまたは複数、例えばすべてを実施する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、使用者が処理、単離、改変および製剤化工程の結果をプログラム、制御、評価できるならびに/またはそれらの工程の様々な局面を調整できるようにする、システムまたは装置と連携するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含む。
【0381】
いくつかの局面において、分離および/または他の工程は、例えば、閉鎖滅菌システムにおける臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。構成要素は、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプおよび様々なピンチ弁を含み得る。統合コンピュータは、いくつかの局面において、機器のすべての構成要素を制御し、繰り返される手順を標準化された順でシステムに実施させる。磁気分離ユニットは、いくつかの局面において、可動式永久磁石および選択カラム用ホルダーを含む。蠕動ポンプは、配管一式を通じて流速を制御し、ピンチ弁と共に、システムを通る緩衝液の流れの制御および細胞の継続的な分離を確実にする。
【0382】
CliniMACSシステムは、いくつかの局面において、滅菌、非発熱性溶液で供給される抗体結合磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様において、細胞が磁気粒子で標識された後、過剰な粒子を除去するために細胞は洗浄される。その後、細胞調製バッグが配管一式に接続され、これがさらに緩衝液を含むバッグおよび細胞回収バッグに接続される。配管一式は、プレカラムおよび分離カラムを含む組み立て済み滅菌管からなり、一回使いきりである。分離プログラムの開始後、システムは自動的に細胞試料を分離カラムに投入する。標識された細胞はカラム内で維持され、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法において使用される細胞集団は標識されず、カラム内で維持されない。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法において使用される細胞集団は標識され、カラム内で維持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法において使用される細胞集団は、磁場の除去後にカラムから流出され、細胞回収バッグに回収される。
【0383】
特定の態様において、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。CliniMACS Prodigyシステムは、いくつかの局面において、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを装備している。CliniMACS Prodigyシステムはまた、オンボードカメラおよび巨視的なソース細胞産物の層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する画像認識ソフトウェアを含み得る。例えば、末梢血は、自動的に赤血球、白血球および血漿層に分離され得る。CliniMACS Prodigyシステムはまた、細胞培養プロトコル、例えば細胞の分化および増大、抗原添加および長期的細胞培養を行う統合型細胞培養チャンバーを含み得る。投入口は、培地の無菌的除去および補充を可能にし得、細胞は統合型顕微鏡を用いてモニターされ得る。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照のこと。
【0384】
いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体の流れで運搬されるフローサイトメトリーを通じて、回収および濃縮(または排除)される。いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団は、調製目的(FACS)選別を通じて回収および濃縮(または排除)される。特定の態様において、本明細書に記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって回収および濃縮(または排除)される(例えば、WO 2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照のこと)。両方の例において、細胞は、十分に定義されたT細胞サブセットの高純度の単離が可能なように複数のマーカーで染色され得る。
【0385】
いくつかの態様において、抗体また結合パートナーは、正および/または負選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出マーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識された抗体への結合に基づき得る。いくつかの例において、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば調製目的(FACS)を含む蛍光活性化細胞選別(FACS)および/または例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、流体の流れの中で実施される。そのような方法は、複数のマーカーに基づく同時の正および負選択を可能にする。
【0386】
いくつかの態様において、調製方法は、単離、インキュベートおよび/または改変の前または後のいずれかに、細胞を凍結、例えば凍結保存する工程を含む。いくつかの態様において、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団内の顆粒球および、一定程度、単球を除去する。いくつかの態様において、細胞は、例えば血漿および血小板を除去する洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。いくつかの局面において、任意の様々な公知の凍結溶液およびパラメータが使用され得る。1つの例は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含むPBSまたは他の適当な細胞凍結培地を使用する。これはその後、DMSOおよびHSAの終濃度がそれぞれ10%および4%となるよう培地で1:1希釈される。細胞はその後、毎分1°の速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの蒸気相の中で保管される。
【0387】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子改変の前にまたはそれに関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベート工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化および/または繁殖を含み得る。いくつかの態様において、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団内の細胞の増殖、増大、活性化および/もしくは生存を誘導するよう、抗原曝露を模倣するよう、ならびに/または遺伝子改変のため、例えば組換え抗原受容体の導入のために細胞を準備するよう設計されたものを含む。
【0388】
条件は、特定の培地、温度、酸素量、二酸化炭素量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体および細胞を活性化するよう設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含み得る。
【0389】
いくつかの態様において、刺激条件または作用物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞においてTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを起動または始動させる。そのような作用物質は、例えば固体支持体、例えばビーズに結合された、抗体、例えばTCR成分および/もしくは共刺激受容体に特異的なもの、例えば、抗CD3、抗CD28、ならびに/または1つもしくは複数のサイトカインを含み得る。任意で、増大方法はさらに、(例えば、少なくとも約0.5 ng/mlの濃度で)培養培地に抗CD3および/または抗CD28抗体を添加する工程を含み得る。いくつかの態様において、刺激性の作用物質は、IL-2および/またはIL-15、例えば少なくとも約10ユニット/mLのIL-2濃度を含む。
【0390】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらに対する米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されるような技術にしたがい実施される。
【0391】
いくつかの態様において、T細胞は、組成物にフィーダー細胞、例えば非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を(例えば、得られる細胞集団が、増大しようとする初期集団内の各Tリンパ球につき少なくとも約5、10、20もしくは40個またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含むように)添加し、培養物を(例えば、T細胞数が増大されるのに十分な時間)インキュベートすることによって増大される。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ線照射されたPBMCフィーダー細胞を含み得る。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を防ぐために、約3000~3600ラドの範囲のガンマ線で照射される。いくつかの局面において、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加前に培養培地に添加される。
【0392】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適した温度、例えば、少なくとも摂氏約25度、通常少なくとも約30度、および通常摂氏37度もしくは約37度を含む。任意で、インキュベーションはさらに、フィーダー細胞としての非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)の添加を含み得る。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のガンマ線で照射され得る。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面において、任意の適当な量、例えば少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞 対 初期Tリンパ球の比で提供される。
【0393】
態様において、抗原特異的T細胞、例えば抗原特異的CD4+および/またはCD8+ T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞株またはクローンは、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染対象からT細胞を単離し、細胞をインビトロで同抗原によって刺激することによって生成され得る。
【0394】
B. 装置および製造物品
いくつかの態様において、装置または製造物品も提供される。いくつかの態様において、バイオリアクターおよびクロマトグラフィーのための第1の固定相の配置が提供される。バイオリアクターは、細胞の増大に適しており、固定相は、細胞の分離および試薬の除去に適している。第1の固定相は、ゲル濾過マトリクスおよび/または親和性クロマトグラフィーマトリクスであり、ゲル濾過マトリクスおよび/または親和性クロマトグラフィーマトリクスは、親和性試薬を含み、該親和性試薬は、第1の作用物質に含まれる結合パートナーC1に特異的に結合する結合部位Z1を含み、かつ/または親和性試薬は、第2の作用物質に含まれる結合パートナーC2に特異的に結合する結合部位Z2を含む。それによって第1の固定相は、第1の作用物質および/または第2の作用物質、第1の結合パートナーC1および/または遊離した第2の結合パートナーC2を、自身に固定化するのに適している。加えて、バイオリアクターおよび固定相は、流体的に接続される。この配置は、上で説明されているような連続増大で使用され得、公知の細胞増大システム、例えばQuantum(登録商標)細胞増大システムまたはXuri Cell Expansion System W25に組み込まれ得る。
【0395】
この配置において、第1の固定相は、クロマトグラフィーカラムに含まれるかまたは平面的な固定相であるかのいずれかである。この配置はさらに、第1の固定相に流体的に接続された第2の固定相を含み得る。第2の固定相は、ゲル濾過マトリクスおよび/または親和性クロマトグラフィーマトリクスであり得、ゲル濾過および/または親和性クロマトグラフィーマトリクスは親和性試薬を含む。この親和性試薬は、多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の結合部位Z1に(特異的に)結合する結合パートナーDを含み得、そのため固定相への多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬の固定化に適する。
【0396】
本発明はさらに、上記のようなバイオリアクターならびにクロマトグラフィー用の第1の固定相および/または第2の固定相の少なくとも1つの配置を含む、細胞の組成物の精製(例えば、選択)および培養、例えば刺激または増大のための装置も目的とする。
【0397】
この装置はさらに、流体的に直列に接続されたバイオリアクターおよび固定相の複数の配置を含み得る。
【0398】
この装置は、バイオリアクターおよびクロマトグラフィー用の固定相の配置におけるバイオリアクターに流体的に接続された試料投入口を含み得る。この装置はまた、精製および増大された標的細胞用の試料流出口を含み得、試料流出口は、バイオリアクターおよびクロマトグラフィー用の固定相の少なくとも1つの配置の最後の固定相に、流体的に接続される。
【0399】
ある特定の態様では、この装置は、機能的に閉鎖されたシステムとして設計され得る。
【0400】
C. 培養細胞の例示的な特徴
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法にしたがい生成または生産された培養細胞を含み得る培養標的細胞(例えば、培養T細胞)は、それらの増殖能、表面マーカー発現、分化状態、活性化状態および/または代謝プロフィールに基づくまたは関連する1つまたは複数の特定の表現型および/または機能的特徴を示す。いくつかの態様において、提供される方法のいずれかにしたがう標的細胞の培養(例えば、T細胞の培養)は、細胞の機能(例えば、機能的活性の増加もしくは減少)または表現型(例えば、マーカーもしくはマーカー群のより高いもしくはより低い発現)に関連するパラメータを、本明細書に提供される方法にしたがうインキュベート前の組成物中の細胞の対応するまたは各々の機能または表現型と比較して変化させる。いくつかの態様において、培養T細胞は、増大および/もしくは増殖活性、CD4+/CD8+ T細胞分布もしくは比率、表面マーカー発現、機能的活性または代謝プロフィールのパラメータに関する変化を示す。
【0401】
いくつかの態様において、培養T細胞において測定されるパラメータの変化は、参照T細胞組成物または調製物において測定される同じまたは類似のパラメータと比較される。典型的に、参照T細胞組成物または調製物中のT細胞は、そのような細胞がそのインキュベーションに供されなかったまたは異なるインキュベーションに供されたことを除いて、可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)前と同じまたは実質的に同じT細胞の組成物を含むかまたはそれ由来である。いくつかの態様において、参照T細胞調製物は、参照T細胞調製物におけるそのようなインキュベーションの少なくとも1つの局面およびいくつかの例では1つのみの局面が、培養T細胞を生産するインキュベーションにおけるそれと異なることを除いて、実質的に同じプロトコルまたは条件(例えば、刺激物質のタイプ、刺激物質の形式、実質的に同じ出発細胞数、洗浄、追加試薬の存在または非存在、インキュベーションのタイミング、インキュベーションの温度)を用いるインキュベーションに供される。
【0402】
いくつかの態様において、参照T細胞組成物または調製物は、可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)前のT細胞を含む組成物である。
【0403】
いくつかの態様において、培養T細胞は、28日、21日、14日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日未満の可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)によって生成され、および/またはそのような作用物質と細胞上の1つまたは複数の分子との結合は(例えば、競合試薬、例えばビオチンまたはビオチン類似体の存在下で)破壊される、例えばそのような作用物質とのインキュベーションの開始から28日、21日、14日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日で破壊される。例えば、いくつかの局面において、培養T細胞は、本明細書に記載されるように可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、インキュベーションは、そのようなインキュベーションの開始後28日、21日、14日、10日、9日、8日、7日、6日、5日以内(例えば、4、3、2もしくは1日以内または約4、3、2もしくは1日以内、またはそれ未満)に終了および/または中断され、ならびに/または可逆的に結合された作用物質を細胞から解離させる競合物質(例えば、ビオチン)が、そのようなインキュベーションの開始後28日、21日、14日、10日、9日、8日、7日、6日、5日以内(例えば、4、3、2もしくは1日以内または約4、3、2もしくは1日以内、またはそれ未満)にインキュベートされた細胞に添加される。いくつかの態様において、参照T細胞調製物は、同じまたは実質的に同じ可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産されるが、インキュベートが5日より長い間実施される場合、細胞内で誘導または調節されたシグナルを減少または停止させるよう終了および/または中断されない、ならびに/またはT細胞調製物は、試薬を細胞から解離させる競合物質(例えば、ビオチンもしくはビオチン類似体)の添加なしで生産される。
【0404】
いくつかの態様において、培養T細胞は、受容体結合物質(例えば、刺激物質)がCD28に結合しないおよび/またはシグナル伝達を誘導しない、すなわち、抗CD28抗体またはそのフラグメントではない、可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)によって生成される。例えば、いくつかの態様において、培養T細胞は、1つまたは複数の刺激物質がムテインストレプトアビジンに可逆的に結合され、少なくとも1つの刺激物質がCD3に特異的(例えば、抗CD3抗体またはそのフラグメント)であり、第2の刺激物質がCD90、CD95、CD137、CD154、ICOS、LAT、CD27、OX40またはHVEMの1つまたは複数に特異的(例えば、それぞれ、抗CD90抗体、抗CD95抗体、抗CD137抗体、および抗CD154抗体、抗ICOS抗体、抗LAT抗体、抗CD27抗体、抗OX40抗体もしくは抗HVEM抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント)であり得る、可逆的に結合される試薬とのインキュベート後に生産または生成される。いくつかの態様において、参照T細胞調製物は、可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産されるT細胞培養物であるが、試薬はCD28に特異的に結合するおよび/またはCD28シグナルを誘導もしくは調節する作用物質を含む。例えば、いくつかの態様において、参照T細胞調製物は、T細胞組成物と抗CD3/抗CD28 Dynabeads(登録商標)、抗CD3/抗CD28 ExPact(登録商標)ビーズまたは他の抗CD3/抗CD28刺激物質とのインキュベート後に生成または生産される。いくつかの態様において、そのような他の抗CD3/抗CD28刺激物質は、抗体試薬が支持体(例えば、固体支持体)、例えばビーズ、粒子、磁気粒子もしくはビーズ、ナノ粒子またはマイクロスフィアに結合されているものである。いくつかの態様において、培養T細胞は、可溶性である、すなわち支持体(例えば、固体支持体)に結合されていない可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)により調製される。
【0405】
例えば、いくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、参照T細胞組成物または調製物との比較で増強された増大および/または増殖能によって特徴づけられる、例えば本明細書に提供される方法のいずれかにしたがい調製される、培養T細胞が提供される。いくつかの態様において、増強された増大および/または増殖能は、参照T細胞組成物または調製物中のCD3+ T細胞、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞の数またはパーセンテージとそれぞれ比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)の、培養T細胞中のCD3+ T細胞、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞の数またはパーセンテージの増加を含む。
【0406】
いくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、参照T細胞組成物との比較で増強されたCD3+ T細胞の増大および/または増殖能によって特徴づけられる、例えば本明細書に提供される方法のいずれかにしたがい調製される、培養T細胞が提供される。いくつかの態様において、増強された増大および/または増殖能は、参照T細胞組成物または調製物中のCD3+ T細胞の数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)の、培養T細胞中のCD3+ T細胞の数またはパーセンテージの増加を含む。
【0407】
いくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、参照T細胞組成物または調製物との比較で増強されたCD4+ T細胞の増大および/または増殖能によって特徴づけられる、例えば本明細書に提供される方法のいずれかにしたがい調製される、培養T細胞が提供される。いくつかの態様において、増強された増大および/または増殖能は、参照T細胞組成物または調製物中のCD4+ T細胞の数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)の、培養T細胞中のCD4+ T細胞の数またはパーセンテージの増加を含む。
【0408】
いくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、参照T細胞組成物または調製物との比較で増強されたCD8+ T細胞の増大および/または増殖能によって特徴づけられる、例えば本明細書に提供される方法のいずれかにしたがい調製される、培養T細胞が提供される。いくつかの態様において、増強された増大および/または増殖能は、参照T細胞組成物または調製物中のCD8+ T細胞の数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)の、培養T細胞中のCD8+ T細胞の数またはパーセンテージの増加を含む。
【0409】
いくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、参照T細胞組成物または調製物との比較で変化したCD8+/CD4+ T細胞分布または正規化T細胞分布、例えば変化したCD8+/CD4+比率または正規化CD8+/CD4+ T細胞比率によって特徴づけられる、例えば本明細書に提供される方法のいずれかにしたがい調製される、培養T細胞が提供される。CD8+/CD4+比率または正規化された比率は、増加または減少し得る。いくつかの態様において、変化したCD8+/CD4+ T細胞比率は、参照組成物または調製物における数もしくはパーセンテージまたは正規化された数もしくはパーセンテージに対するまたはそれと比較しての、培養T細胞におけるCD8+ T細胞の数もしくはパーセンテージまたは正規化された数もしくはパーセンテージの増加によりもたらされる。いくつかの態様において、培養T細胞中のCD8+ T細胞の数は、参照T細胞組成物または調製物中のCD8+ T細胞の数もしくはパーセンテージまたはCD8+ T細胞の正規化された数もしくはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。いくつかの態様において、CD8+/CD4+ T細胞の比率または正規化されたCD8+/CD4+の比率は、参照T細胞組成物または調製物におけるCD8+/CD4+ T細胞の比率または正規化されたCD8+/CD4+の比率と比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。いくつかの態様において、培養T細胞または組成物もしくは調製物における数、パーセンテージまたは比率は、インキュベート前のT細胞を含む出発組成物における数、パーセンテージまたは比率に対して正規化される。
【0410】
いくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)後に生成または生産され、参照T細胞組成物または調製物との比較で変化した表面マーカー発現プロフィールによって特徴づけられる、本明細書に提供される方法のいずれかにしたがい調製される培養T細胞が提供される。いくつかの態様において、変化した表面マーカー発現プロフィールは、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD69、CCR7、CD27、CD28、CD122、t-bet、IL-7Rα、CD95、IL-2Rβ、CXCR3、LFA-1、KLRG1から選択される1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性、陰性、または低であるT細胞の1つまたは複数のサブセットの数またはパーセンテージの変化に起因する。いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセットの数またはパーセンテージは、参照組成物または調製物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0411】
いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセット(例えば、参照組成物または調製物と比較して培養T細胞において増加したT細胞サブセット)は、参照T細胞組成物または調製物と比較して低下または減少した分化または活性化状態を示す。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、エフェクターT細胞(TE)もしくはエフェクターメモリーT細胞(TEM)表現型ではないまたはそれらを含まない。いくつかの態様において、T細胞のサブセットは、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+またはKLRG1low/-の1つまたは複数である表面表現型を含む。いくつかの態様において、培養T細胞中のそのようなT細胞のサブセットは、参照T細胞組成物または培養物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0412】
いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセット(例えば、参照組成物または調製物と比較して培養T細胞において増加したT細胞サブセット)は、CD62Lおよび/もしくはIL-7Rα(CD127)について陽性ならびに/またはt-betについて陰性もしくは低である。いくつかの態様において、T細胞のサブセットは、CD45RAについて陽性および/またはCD45ROについて陰性もしくは低である。いくつかの態様において、T細胞のサブセットは、CCR7、CD45RA、CD62L、CD27、CD28、IL-7Rα(CD127)、CD95、IL-2Rβ、CXCR3およびLFA-1の1つもしくは複数について陽性であり、ならびに/またはCD45ROについて陰性である。いくつかの態様において、培養T細胞中のそのようなT細胞のサブセットは、参照T細胞組成物または培養物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0413】
いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセット(例えば、参照組成物または調製物と比較して培養T細胞において増加したT細胞サブセット)は、CD62Lについて陽性(CD62L+)である細胞であるまたはそのような細胞を含む。いくつかの態様において、培養T細胞中のそのようなT細胞のサブセットは、参照T細胞組成物または培養物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0414】
いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセット(例えば、参照組成物または調製物と比較して培養T細胞において増加したT細胞サブセット)は、CD62L+ならびに(a)CD45RAlow/+、CD45ROlow/+、CCR7+およびCD27+の任意の1つまたは複数および(b)t-betlow、IL-7Rα+(CD127+)、CD95+、IL-2Rβ+、CXCR3+およびLFA-1+の任意の1つまたは複数である細胞であるまたはそのような細胞を含む。いくつかの態様において、T細胞サブセットはまた、CD3+、CD4+またはCD8+であり得る。いくつかの態様において、培養T細胞中のそのようなT細胞のサブセットは、参照T細胞組成物または培養物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0415】
いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセット、例えばCD62L+ T細胞は、メモリーT細胞またはその特定のサブセット、例えば、長寿命メモリーT細胞であるまたはそれらを含むまたはそれらと表現型の特徴を共有している。いくつかの態様において、そのようなメモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(Tcm)またはTメモリー幹細胞(Tscm)である。いくつかの態様において、メモリーT細胞は、Tscm細胞である。Tscm細胞は、他のメモリーT細胞サブセットと比較してまたはナイーブT細胞と比較して1つまたは複数の表現型の違いまたは機能的特徴を有する、例えば、より分化度が低いまたはよりナイーブであるものと、説明され得る(例えば、Ahlers and Belyakov (2010) Blood, 115:1678); Cieri et al. (2015) Blood, 125:2865; Flynn et al. (2014) Clinical & Translational Immunology, 3, e20; Gattinoni et al. (2012) Nat. Med., 17:1290-1297; Gattinoni et al. (2012) Nat. Reviews, 12:671; Li et al. (2013) PLOS ONE, 8:e67401; および公開PCT出願番号WO2014/039044を参照のこと)。いくつかの例において、Tscm細胞は、エフェクターT細胞およびメモリーT細胞の3つすべてのサブセット(Tscm、TcmおよびTem)を生成することができる唯一のメモリーT細胞であると考えられる。いくつかの局面において、Tscm細胞は、すべてのメモリーT細胞サブセットの中で抗原的または恒常的刺激に対して最も高い生存および増殖応答、ならびに同族抗原が不在の場合最小の自然減を示す。いくつかの態様において、低分化Tscm細胞は、他のメモリーT細胞よりも養子移入後により大きな増大、長期の生存および標的細胞破壊を示し得、したがって、TcmまたはTem細胞のいずれかで実現できるものよりも少ない移入細胞でより効果的な処置を媒介することが可能であり得る。
【0416】
いくつかの局面において、Tscm細胞に関して報告されているまたは公知となっている表現型または機能的特徴の例は、例えば、そのような細胞がa)CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+、CD27+、CD28+、IL-7Rα+、CD95+、IL-2Rβ+、CXCR3+およびLFA-1+である;b)CD45RA+、CCR7+、CD62L+およびCD95+である;c)CD45RA+、CD45RO+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD95+およびIL-2Rβ+である;d)CD45RO-、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD127+およびCD95+である;e)CD45RA+、CD44+/-、CD62L+、CD127+、IL-2Rβ+、CD28+、CD43-、KLRG1-、パーフォリン(Peforin)-およびグランザイムB-である;f)高レベルのCCR7、CD62L、CD27およびCD28、中程度のレベルのCD95およびIL-2Rβ、低レベルのCD45RAを発現し、CD45ROもしくはKLRG-1を発現しない;またはg)高レベルのCD62L、低レベルのCD44およびt-betを発現し、Sca-1+である;ならびに/または中程度のIL-2産生能、低いIFNγ産生能、低い細胞傷害性および高い自己再生能を有することを含む。
【0417】
いくつかの態様において、培養T細胞中のT細胞サブセット(例えば、参照組成物または調製物と比較して培養T細胞において増加したT細胞サブセット)は、メモリーT細胞、例えば長寿命メモリーT細胞であるまたはそれらを含む。いくつかの態様において、メモリーT細胞は、セントラルメモリー(Tcm)T細胞である。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RA-、CD45ROlow/+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD95+ CD122+および/またはKLGR1lowの表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、培養T細胞中のそのようなT細胞のサブセットは、参照T細胞組成物または培養物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0418】
いくつかの態様において、メモリーT細胞は、幹セントラルメモリー(Tscm)T細胞である。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RAlow/+、CD45ROlow/+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD95+、CD122+および/またはKLGR1-の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RAlow/+、CD45RO-、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD95+、CD122+および/またはKLGR1-の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+、CD27+、CD28+、IL-7Rα+、CD95+、IL-2Rβ+、CXCR3+および/またはLFA-1+の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RA+、CCR7+、CD62L+および/またはCD95+の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RA+、CD45RO+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD95+および/またはIL-2Rβ+の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RO-、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD28+、CD127+および/またはCD95+の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RA+、CD44+/-、CD62L+、CD127+、IL-2Rβ+、CD28+、CD43-、KLRG1-、パーフォリン-および/またはグランザイムB-の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、高レベルのCCR7、CD62L、CD27および/またはCD28、中程度のレベルのCD95および/またはIL-2Rβ、低レベルのCD45RAを発現し、ならびに/またはCD45ROおよび/またはKLRG-1を発現しない。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、高レベルのCD62L、低レベルのCD44およびt-betを発現し、ならびに/またはSca-1+である。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、中程度のIL-2産生能、低いIFNγ産生能、低い細胞傷害性および/または高い自己再生能の表現型の特徴を有する。いくつかの態様において、培養T細胞中のそのようなT細胞のサブセットは、参照T細胞組成物または培養物中のT細胞のサブセットの数またはパーセンテージと比較して少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加する。
【0419】
いくつかの態様において、T細胞のサブセット、例えば上記のT細胞の任意のサブセットは、参照T細胞組成物もしくは調製物との比較で培養T細胞における総T細胞のうちのより高いパーセンテージまたは培養T細胞における総T細胞のうちのより多い数で存在する。いくつかの態様において、培養物中の総T細胞もしくは総細胞の中のパーセンテージとしての培養T細胞におけるT細胞サブセットのパーセンテージは、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上である。いくつかの態様において、培養細胞におけるT細胞サブセット、例えば上記の任意のT細胞サブセットのパーセンテージは、その表現型を有する1つまたは複数のマーカーの表面発現に基づきヒト対照から直接単離または濃縮されたがインキュベートまたは培養されていないT細胞組成物中のT細胞中の細胞のサブセットの対応するパーセンテージよりも高い、例えば少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍またはそれ以上高い。いくつかの態様において、培養細胞中のT細胞サブセット、例えば上記の任意のT細胞サブセットの総数、相対数または正規化された数は、参照T細胞組成物または調製物、例えば、上記の任意の参照T細胞組成物または調製物、例えば本明細書に提供される任意の方法にしたがう可逆的に結合された作用物質とのインキュベーション(例えば、多量体化作用物質、例えばオリゴマームテインストレプトアビジンに可逆的に結合された刺激物質とのインキュベーション)前のT細胞組成物におけるT細胞サブセットの数、相対数または正規化された数よりも多い、例えば少なくとも1.5倍多い、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍またはそれ以上多い。いくつかの態様において、T細胞培養物中に存在するT細胞サブセットに対応するT細胞の数は、少なくともまたは少なくとも約1x106細胞、2x106細胞、3x106細胞、4x106細胞、5x106細胞またはそれ以上である。
【0420】
いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD62L+および/またはIL-7Rα+(CD127+)であり、培養物中の総T細胞または総細胞のパーセンテージとしての培養T細胞におけるCD62L+および/またはIL-7Rα+(CD127+)サブセットのパーセンテージは、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上である。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RA-、CD45ROlow/+および/またはKLRG1lowであり、培養物中の総T細胞または総細胞のパーセンテージとしての培養T細胞中のCD45RA-、CD45ROlow/+および/またはKLRG1lowサブセットのパーセンテージは、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上である。いくつかの態様において、T細胞サブセットは、CD45RAlow/+、CD45ROlow/+および/またはKLRG1-であり、培養物中の総T細胞または総細胞のパーセンテージとしての培養T細胞中のCD45RAlow/+、CD45ROlow/+および/またはKLRG1-サブセットのパーセンテージは、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上である。
【0421】
いくつかの態様において、T細胞サブセットは、Tcm細胞であるまたはTcm細胞を含む。いくつかの態様において、培養物中の総T細胞または総細胞のパーセンテージとしての培養T細胞におけるTcmサブセットのパーセンテージは、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上である。
【0422】
いくつかの態様において、T細胞サブセットは、Tscm細胞であるまたはTscm細胞を含む。いくつかの態様において、培養物中の総T細胞または総細胞のパーセンテージとしての培養T細胞におけるTscmサブセットのパーセンテージは、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上である。
【0423】
いくつかの態様において、T細胞のサブセット、例えばCD62L+ T細胞は、a)低レベルのTCR再構成切除環(TCR rearrangement excisions circles)(TREC)を有しもしくは示し;ならびに/またはb)増殖マーカー(例えば、Ki-67)を発現し;ならびに/またはc)刺激物質の存在下で増殖する能力を示し;ならびに/またはd)刺激物質の存在下でIFN-ガンマ、TNFおよびIL-2から選択されるサイトカインを産生する能力を示し;ならびに/またはe)刺激物質の非存在下で自然減しにくく;ならびに/またはf)Tscm、Tcm、TemおよびTeff細胞を生成することができ;ならびに/またはg)低い細胞傷害性を有し;ならびに/またはh)TcmもしくはTem細胞を用いる場合よりも少ない細胞の養子移入後に同程度もしくはより大きな応答を生じ得る。いくつかの態様において、刺激物質は、抗原、恒常性サイトカイン(例えば、IL-15もしくはIL-17)、またはT細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができる作用物質である。いくつかの態様において、サイトカインを産生する能力は、低いIFNγ産生能および中程度のIL-2産生能を有する。
【0424】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるようなインキュベート後に生成または生産され、参照T細胞組成物または調製物との比較で改変された機能的活性プロフィールにより特徴づけられる、例えば本明細書に提供される任意の方法にしたがい調製される、培養T細胞が提供される。いくつかの態様において、培養T細胞または培養物中に存在するT細胞の特定のサブセットは、参照組成物もしくは調製物と比較してまたは参照組成物もしくは調製物中のT細胞のサブセットと比較して変化した機能的活性プロフィール、例えば、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍変化(例えば、増加または減少)した機能的活性、を示す。いくつかの態様において、機能的活性は、a)低レベルのTCR再構成切除環(TREC);ならびに/またはb)増殖マーカー(例えば、Ki-67)の発現;ならびに/またはc)刺激物質の存在下での増殖能;ならびに/またはd)刺激物質の存在下でのIFN-ガンマ、TNFおよびIL-2から選択されるサイトカインの産生能;ならびに/またはe)刺激物質の非存在下での自然減のしにくさ;ならびに/またはf)Tscm、Tcm、TemおよびTeff細胞を生成することができること;ならびに/またはg)低い細胞傷害性を有すること、の1つまたは複数から選択される。いくつかの態様において、作用物質は、抗原、恒常性サイトカイン(例えば、IL-15もしくはIL-17)、またはT細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができる作用物質である。いくつかの態様において、サイトカインを産生する能力は、低いIFNγ産生能および中程度のIL-2産生能を含む。いくつかの態様において、T細胞のサブセットは、培養T細胞中のメモリーT細胞、例えば、長寿命メモリーT細胞を含む。いくつかの態様において、メモリーT細胞は、Tscm細胞である。
【0425】
いくつかの態様において、培養T細胞または培養物中に存在するT細胞の特定のサブセットは、参照組成物もしくは調製物によってまたは参照組成物もしくは調製物中のT細胞のサブセットによって達成できるよりも少ない細胞の養子移入後に同程度またはより大きな応答を生じ得る。いくつかの態様において、そのような応答は、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)少ない細胞で達成される。いくつかの態様において、応答は、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍のいずれかまたはそれ以上)増加するまたは大きい。
【0426】
いくつかの態様において、培養細胞におけるT細胞サブセット、例えば上記の任意のT細胞サブセットのパーセンテージは、GSK-P阻害剤の存在下でインキュベートされたT細胞の調製物中の対応する細胞のサブセットよりも大きい、例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍またはそれ以上大きい。いくつかの態様において、培養T細胞の組成物は、GSK-P阻害剤を含まない。
【0427】
いくつかの態様において、培養細胞におけるT細胞サブセット、例えば上記の任意のT細胞サブセットのパーセンテージは、組換え恒常性サイトカイン、任意でIL-7またはIL-15の存在下でインキュベートされた対応する細胞のサブセットよりも大きい、例えば、少なくとも1.5倍大きい、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍またはそれ以上大きい。いくつかの態様において、培養T細胞の組成物は、組換え(例えば、外因性)IL-7サイトカインまたは組換え(例えば、外因性)IL-15サイトカインを含まない。
【0428】
いくつかの態様において、培養T細胞の組成物は、刺激物質または物質群のシグナルを妨害、例えば減少および/または停止させるためにT細胞に物質、例えば競合物質が添加された、本明細書に提供される任意の方法にしたがい生産または生成されたものである。いくつかの態様において、培養T細胞の組成物は、物質、例えば競合物質、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンの存在を含む。いくつかの態様において、物質、例えば競合物質、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンは、培養T細胞の参照組成物または調製物における物質の量よりも少なくとも1.5倍多い、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍またはそれ以上多い量で存在し、物質はインキュベーションの間に外部から添加されなかった。いくつかの態様において、培養T細胞の組成物における物質、例えば競合物質、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンの量は、10μM~100μM、100μM~1mM、100μM~500μMもしくは10μM~100μMまたは約10μM~100μM、100μM~1mM、100μM~500μMもしくは10μM~100μMである。
【0429】
IV. 培養細胞を遺伝子操作する方法、抗原受容体、および遺伝子操作された細胞
いくつかの態様において、培養細胞は、操作された受容体、例えばキメラ抗原受容体 (CAR) またはT細胞受容体 (TCR) などの操作された抗原受容体を含有するか、または含有するように操作される。そのような細胞の集団、T細胞またはCD8+細胞もしくはCD4+細胞などのある特定の型の細胞が濃縮または選択されているような、そのような細胞を含有するおよび/またはそのような細胞について濃縮された組成物もまた提供される。組成物には、薬学的組成物、および養子細胞療法などのための投与用の製剤が含まれる。対象、例えば患者に、細胞および組成物を投与する治療法もまた提供される。
【0430】
したがって、いくつかの態様において、培養細胞は、遺伝子操作により導入された1種または複数種の核酸を含み、それによってそのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様において、遺伝子導入は、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激剤と培養細胞を混合することなどによって、最初に培養細胞を刺激し、続いて活性化細胞の形質導入、および臨床適用に十分な数への培養中での増大を行うことによって達成される。
【0431】
状況によっては、刺激因子(例えば、リンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は対象にとって毒性がある場合がある。したがって、状況によっては、操作された細胞は、養子免疫療法における投与時などに、細胞がインビボで陰性選択を受け得るようにする遺伝子セグメントを含む。例えば、いくつかの局面において、培養細胞は、それらが投与された患者のインビボ状態における変化の結果として排除され得るように操作される。陰性選択可能な表現型は、投与される薬剤、例えば化合物に対する感受性を付与する遺伝子の挿入に起因し得る。陰性選択可能な遺伝子には、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ (HSV-I TK) 遺伝子 (Wigler et al., Cell II: 223, 1977);細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ (HPRT) 遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ (APRT) 遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ (Mullen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33 (1992)) が含まれる。いくつかの局面において、培養細胞は、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するようにさらに操作される。
【0432】
A. 抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体をコードする核酸
遺伝子操作された細胞を生成するための方法、核酸、組成物、およびキットが提供される。遺伝子操作は一般に、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換などによる、組換え構成成分または操作された構成成分をコードする核酸の、培養細胞を含有する組成物への導入を含む。
【0433】
いくつかの態様において、核酸は異種であり、すなわち細胞中または細胞から得られた試料中に通常は存在せず、例えば別の生物または細胞から得られるものであり、これは例えば操作される細胞および/またはそのような細胞の由来元の生物には通常は見出されない。いくつかの態様において、核酸は天然に存在せず、例えば自然界には見出されない核酸などであり、これには複数の異なる細胞型からの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含むものが含まれる。
【0434】
1. キメラ抗原受容体 (CAR)
細胞は一般に、組換え受容体、例えば抗原受容体などを発現し、これには機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体 (CAR)、および他の抗原結合受容体、例えばトランスジェニックT細胞受容体 (TCR) などが含まれる。受容体には、他のキメラ受容体もまた含まれる。
【0435】
CARを含む例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作し細胞に導入する方法には、例えば、国際特許出願公開WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、第7,446,190号、第8,252,592号、第8,339,645号、第8,398,282号、第7,446,179号、第6,410,319号、第7,070,995号、第7,265,209号、第7,354,762号、第7,446,191号、第8,324,353号、および第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338;Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39;Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75によって記載されているものが含まれる。いくつかの局面において、抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際特許出願公開WO/2014055668 A1に記載されているものが含まれる。CARの例には、WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177) などの、上述の刊行物のいずれかに開示されているCARが含まれる。WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号もまた参照されたい。CARなどのキメラ受容体は一般に、細胞外抗原結合ドメイン、例えば抗体分子の一部など、一般的には抗体の可変重 (VH) 鎖領域および/または可変軽 (VL) 鎖領域、例えばscFv抗体断片を含む。
【0436】
いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原はポリペプチドである。いくつかの態様において、それは糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原は、正常なまたは標的とされない細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば腫瘍細胞または病原性細胞上で選択的に発現されるかまたは過剰発現される。他の態様において、抗原は正常細胞上で発現される、および/または操作された細胞上で発現される。
【0437】
受容体によって標的とされる抗原には、いくつかの態様において、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児アセチルコリン (acethycholine) e受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、がん胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、がん胎児抗原 (CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1 (WT-1)、サイクリン、例えばサイクリンA1 (CCNA1) など、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子が含まれる。
【0438】
本明細書に提供される方法のいずれかのある特定の態様において、標的細胞は、疾患および/またはがんに関連する抗原に結合するCARを発現する。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の態様において、抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9、CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、癌胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Ra)、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子である。
【0439】
いくつかの態様において、CARは病原体特異的抗原と結合する。いくつかの態様において、CARは、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBV等)、細菌抗原、および/または寄生生物抗原に特異的である。
【0440】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばCARの抗体部分は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、例えば、ヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域などを含む。いくつかの態様において、定常領域または部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの局面において、定常領域の一部は、抗原認識構成成分、例えばscFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合後の細胞の応答性を増加させる長さのものであってよい。例示的なスペーサー、例えばヒンジ領域には、国際特許出願公開WO2014031687に記載されているものが含まれる。いくつかの例において、スペーサーは、12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長または12アミノ酸長以下である。例示的なスペーサーには、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸(列挙された範囲の任意の端点間の任意の整数を含む)を有するものが含まれる。いくつかの態様において、スペーサー領域は約12個以下のアミノ酸、約119個以下のアミノ酸、または約229個以下のアミノ酸を有する。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジのみ、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。
【0441】
この抗原認識ドメインは一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成成分、例えば、CARの場合であればTCR複合体などの抗原受容体複合体を介する活性化を模倣し、かつ/または別の細胞表面受容体を通してシグナル伝達するシグナル伝達構成成分などに、連結される。したがって、いくつかの態様において、抗原結合構成成分(例えば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは細胞外ドメインに融合される。1つの態様では、受容体、例えばCAR中のドメインの1つに天然で付随している膜貫通ドメインが使用される。場合によっては、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択され、またはアミノ酸置換によって修飾される。
【0442】
膜貫通ドメインはいくつかの態様において、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、ドメインはいくつかの局面において、任意の膜結合型タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のアルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD 16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD 134、CD137、CD 154に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、膜貫通ドメインはいくつかの態様において合成による。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、主に、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含む。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインの各末端には、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが見出されるであろう。いくつかの態様において、連結はリンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。
【0443】
細胞内シグナル伝達ドメインには、天然抗原受容体を介するシグナル、共刺激受容体と組み合わされたそのような受容体を介するシグナル、および/または共刺激受容体のみを介するシグナルを模倣するか、またはそれらに近似するものが含まれる。いくつかの態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば2~10アミノ酸長のリンカー、例えばグリシンおよびセリン(例えば、グリシン-セリンダブレット)を含有するものなどが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結を形成する。
【0444】
受容体、例えばCARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達構成成分または細胞内シグナル伝達構成成分群を含む。いくつかの態様において、受容体は、TCR複合体の細胞内構成成分、例えばT細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖など、例えばCD3ゼータ鎖を含む。したがって、いくつかの局面において、抗原結合部分は1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。いくつかの態様において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数の付加的な分子の一部をさらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3-ゼータ (CD3-ζ) またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25、またはCD16とのキメラ分子を含む。
【0445】
いくつかの態様では、CARまたは他のキメラ受容体の連結時に、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、例えばCARを発現するように操作されたT細胞、の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、状況によっては、CARは、細胞溶解活性またはTヘルパー活性などといったT細胞の機能、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌などを誘導する。いくつかの態様では、例えば、抗原受容体構成成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断された部分が、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、インタクトな免疫刺激鎖の代わりにそれが使用される。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体 (TCR) の細胞質配列を含み、いくつかの局面では、天然状況においてそのような受容体と協調して作用して、抗原受容体会合後にシグナル伝達を開始させる、共受容体の細胞質配列も、含む。
【0446】
天然のTCRの状況において、完全な活性化は一般に、TCRを介するシグナル伝達のみならず、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様では、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分もまたCARに含まれる。他の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成成分を含まない。いくつかの局面では、同じ細胞中で付加的なCARが発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分を提供する。
【0447】
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを介する抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列);および抗原非依存的様式で作用して二次シグナルまたは共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル伝達構成成分の一方または両方を含む。
【0448】
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含有し得る。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CDS、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものが含まれる。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータ由来の、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、または配列を含有する。
【0449】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSなどの共刺激受容体のシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面では、同じCARが活性化構成成分と共刺激構成成分の両方を含む。
【0450】
いくつかの態様では、活性化ドメインが1つのCAR内に含まれる一方で、共刺激構成成分は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは、いずれも同じ細胞上に発現される活性化または刺激CAR、共刺激CARを含む(WO2014/055668を参照されたい)。いくつかの局面において、細胞は、1種または複数種の刺激または活性化CARおよび/または共刺激CARを含む。いくつかの態様において、細胞は、疾患または状態と関連し、かつ/またはそれに特異的な抗原以外の抗原を認識するCARなどの阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013) を参照されたい)をさらに含み、それによって、疾患標的CARを介して送達される活性化シグナルは、阻害性CARがそのリガンドに結合することにより削減または阻害されて、例えばオフターゲット効果を減少させる。
【0451】
ある特定の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0452】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分において、1つまたは複数の、例えば2つまたはそれ以上の、共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARは、CD3-ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞内構成成分を含む。
【0453】
いくつかの態様において、CARまたは他の抗原受容体は、受容体を発現させるための細胞の形質導入または操作を確認するために使用され得るマーカー、例えば細胞表面マーカーなど、例えば切断型の細胞表面受容体など、例えば切断型EGFR (tEGFR) などを、さらに含む。いくつかの局面において、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)のすべてまたは一部(例えば、切断型)を含む。いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えばT2Aなどの切断可能リンカー配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。WO2014031687を参照されたい。
【0454】
いくつかの態様において、マーカーは、T細胞上に天然には見出されないまたはT細胞の表面上に天然には見出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部である。
【0455】
いくつかの態様において、分子は非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。
【0456】
いくつかの態様において、マーカーは、治療的機能を果たさず、かつ/または遺伝子操作のためのマーカー、例えばうまく操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用されること以外の効果をもたらさない。他の態様において、マーカーは治療分子、またはその他の方法で何らかの所望の効果を発揮する分子であってよく、例えばインビボで遭遇する細胞のリガンドなど、例えば養子移入およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強するおよび/または減衰させるための共刺激分子または免疫チェックポイント分子などであってよい。
【0457】
場合により、CARは、第1世代CAR、第2世代CAR、および/または第3世代CARと称される。いくつかの局面において、第1世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘導性シグナルを単に提供するものであり;いくつかの局面において、第2世代CARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するもの、例えばCD28またはCD137などの共刺激受容体からの細胞内シグナリングドメインを含むものであり;いくつかの局面において、第3世代CARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0458】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体または断片はscFvを含み、細胞内ドメインはITAMを含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ (CD3ζ) 鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子はCD28または41BBである。
【0459】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、互換的に使用されてアミノ酸残基のポリマーを指し、最小限の長さに限定されない。提供される受容体および他のポリペプチド、例えばリンカーまたはペプチドを含むポリペプチドは、天然および/または非天然アミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含み得る。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、およびリン酸化も含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、タンパク質が所望の活性を維持する限り、ネイティブまたは天然配列に対する修飾を含有し得る。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるように、意図的である場合もあるし、またはタンパク質を産生する宿主の突然変異もしくはPCR増幅に起因するエラーによるなど、偶発的である場合もある。
【0460】
いくつかの態様において、連続用量中の細胞によって発現される受容体、例えばCARは、第1の用量の細胞によって発現される受容体、例えばCARのように、少なくとも1つの免疫反応性エピトープを含有する。いくつかの局面において、連続用量で投与される細胞によって発現される受容体、例えばCARは、第1の用量によって発現される受容体、例えばCARと同一であるか、または第1の用量で投与される細胞によって発現される受容体、例えばCARと実質的に同一である。
【0461】
様々な用量で対象に投与される細胞によって発現される組換え受容体、例えばCARは、一般に、処置される疾患もしくは状態またはその細胞において発現される、それと関連した、および/またはそれに特異的な分子を認識するか、またはそれに特異的に結合する。分子、例えば抗原、に特異的に結合すると、受容体は一般に、ITAMによって伝達されるシグナルなどの免疫賦活性シグナルを細胞に送達し、それによって疾患または状態を標的とする免疫応答を促進する。例えば、いくつかの態様において、第1の用量中の細胞は、疾患もしくは状態の細胞もしくは組織によって発現されるか、または疾患もしくは状態と関連した抗原に特異的に結合するCARを発現する。
【0462】
2. TCR
いくつかの態様において、遺伝子操作された抗原受容体には、組換えT細胞受容体 (TCR) および/または天然に存在するT細胞からクローニングされたTCRが含まれる。いくつかの態様では、標的抗原(例えば、がん抗原)に対する高親和性T細胞クローンが、同定され、患者から単離され、細胞に導入される。いくつかの態様において、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系またはHLA)を用いて操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されている。例えば、腫瘍抗原を参照されたい(例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照されたい)。いくつかの態様では、標的抗原に対するTCRを単離するために、ファージディスプレイが使用される(例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照されたい)。
【0463】
いくつかの態様では、T細胞クローンが得られた後、TCRアルファ鎖およびベータ鎖が単離され、遺伝子発現ベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、TCRアルファ遺伝子およびベータ遺伝子は、両鎖が同時発現されるように、ピコルナウイルス2Aリボソームスキップペプチドを通じて連結される。いくつかの態様において、TCRの遺伝子導入は、レトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターによって、またはトランスポゾンによって達成される(例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13:1050-1063;Frecha et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:1748-1757;およびHackett et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:674-683を参照されたい)。
【0464】
3. マルチターゲティング
いくつかの態様において、細胞および方法は、それぞれが同じまたは異なる抗原を認識し、典型的にはそれぞれが異なる細胞内シグナル伝達構成成分を含む、2種またはそれ以上の遺伝子操作された受容体を細胞上に発現させるなどのマルチターゲティング戦略を含む。そのようなマルチターゲティング戦略は、例えば、国際特許出願公開WO2014055668 A1(例えば、オフターゲット細胞、例えば正常細胞上には個々に存在するが、処置されるべき疾患または状態の細胞上にのみ共に存在する2種類の異なる抗原を標的とする、活性化CARと共刺激CARとの組み合わせを記載している)、およびFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013)(活性化CARおよび阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが、正常細胞または非罹患細胞と処置されるべき疾患または状態の細胞との両方に発現されるある抗原に結合し、阻害性CARが、正常細胞または処置が望ましくない細胞にのみ発現される別の抗原に結合する細胞などを記載している)に記載されている。
【0465】
例えば、いくつかの態様において、細胞は、一般的に、第1受容体によって認識される抗原、例えば第1抗原に特異的に結合した際に、細胞に対して活性化シグナルを誘導することができる第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様において、細胞は、一般的に、第2受容体によって認識される第2抗原に特異的に結合した際に、免疫細胞に対して共刺激シグナルを誘導することができる第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)、例えばキメラ共刺激受容体をさらに含む。いくつかの態様において、第1抗原と第2抗原は同じである。いくつかの態様において、第1抗原と第2抗原は異なる。
【0466】
いくつかの態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)は、細胞に対して活性化シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達構成成分を含む。いくつかの態様において、第1受容体によって誘導される活性化は、免疫応答の開始をもたらす、細胞におけるシグナル伝達またはタンパク質発現の変化、例えばITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始など、免疫シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近傍での分子(例えば、CD4もしくはCD8等)のクラスター化、1種もしくは複数種の転写因子、例えばNF-κBおよび/もしくはAP-1などの活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現の誘導、増殖、および/もしくは生存を伴う。
【0467】
いくつかの態様において、第1および/または第2受容体は、CD28、CD137 (4-1 BB) 、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1および2受容体は、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、第1受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含有し、第2受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含有し、またはその逆である。
【0468】
いくつかの態様において、第1および/または第2受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインの両方を含む。
【0469】
いくつかの態様において、第1受容体はITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2受容体は共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。同じ細胞内での活性化シグナルと共刺激シグナルとの組み合わせは、免疫応答、例えば強力でかつ持続的な免疫応答など、例えば、遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞死滅などのT細胞媒介性エフェクター機能などをもたらすものである。
【0470】
いくつかの態様において、第1受容体のみの連結によっても第2受容体のみの連結によっても、強力な免疫応答は誘導されない。いくつかの局面において、一方の受容体のみが連結された場合には、細胞は寛容化する、もしくは抗原に対して応答しなくなる、または阻害される、および/または増殖するように、もしくは因子を分泌するように、もしくはエフェクター機能を実行するように誘導されない。しかしながら、いくつかのそのような態様において、第1抗原および第2抗原を発現する細胞に遭遇した際など、複数の受容体が連結された場合には、例えば、1種もしくは複数種のサイトカインの分泌、増殖、持続、および/または標的細胞の細胞傷害性死滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような、完全な免疫活性化または刺激などの望ましい応答が達成される。
【0471】
いくつかの態様において、2種類の受容体はそれぞれ、受容体の一方がその抗原に結合することで細胞が活性化されるかまたは応答が誘導され、第2の阻害性受容体がその抗原に結合することで、その応答を抑制するまたは減衰させるシグナルが誘導されるように、細胞に対して活性化シグナルおよび阻害シグナルを誘導する。例として、活性化CARと阻害性CARまたはiCARとの組み合わせがある。このような戦略を使用することができ、例えばこの場合、活性化CARは、疾患または状態において発現されるが、正常細胞上でも発現される抗原と結合し、阻害性受容体は、正常細胞上で発現されるが、疾患または状態の細胞上では発現されない別の抗原に結合する。
【0472】
いくつかの態様において、特定の疾患または状態と関連した抗原が、一過性に(例えば、遺伝子操作と関連した刺激時に)または恒久的に非罹患細胞上で発現され、かつ/または操作された細胞自体において発現される場合に、マルチターゲティング戦略が用いられる。そのような場合、2つの別々の、かつ個々に特異的な抗原受容体の連結を必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0473】
いくつかの態様において、複数種の抗原、例えば第1抗原および第2抗原は、標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは状態において、例えばがん細胞などにおいて発現される。いくつかの局面において、細胞、組織、疾患、または状態は多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、複数種の抗原のうちの1種または複数種は一般に、細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、例えば正常なもしくは非罹患の細胞もしくは組織、および/または操作された細胞自体においても発現される。そのような態様では、細胞の応答を達成するために複数種の受容体の連結を必要とすることによって、特異性および/または有効性が達成される。
【0474】
B. ベクターおよび遺伝子操作の方法
遺伝子操作された構成成分、例えば抗原受容体、例えばCARまたはTCRを導入するための様々な方法が周知であり、提供される方法および組成物と共に使用され得る。例示的な方法には、ウイルス、例えばレトロウイルスまたはレンチウイルス、形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションによるものを含む、受容体をコードする核酸を導入するための方法が含まれる。
【0475】
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えばシミアンウイルス40 (SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス (AAV) 由来のベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を用いて、培養細胞に導入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターなどを用いて、T細胞に導入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46;Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93;Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照されたい)。
【0476】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス (MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス (MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス (MESV)、マウス幹細胞ウイルス (MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス (SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス (AAV) 由来のレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列 (LTR) を有する。大部分のレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類細胞または哺乳動物細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは典型的に広宿主性であり、広宿主性とは、それらが、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染する能力を有することを意味する。1つの態様では、発現されるべき遺伝子でレトロウイルスのgag、pol、および/またはenv配列を置き換える。実例となるレトロウイルス系がいくつか記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;第6,207,453号;第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A.D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852;Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0477】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35 (9): 689-701;Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644;Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506:97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0478】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによってT細胞に導入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298、およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。いくつかの態様において、組換え核酸は、転位によってT細胞に導入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437;Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74;およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞に遺伝物質を導入し発現させる他の方法には、(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y.に記載されているような)リン酸カルシウムトランスフェクション、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子促進性微粒子銃(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が含まれる。
【0479】
組換え産物をコードする核酸を導入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば国際特許出願公開WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0480】
いくつかの態様では、増大中または増大後のいずれかに、細胞、例えばT細胞に、T細胞受容体 (TCR) またはキメラ抗原受容体 (CAR) をトランスフェクトしてもよい。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこのトランスフェクションは、例えば任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて行うことができる。次いで、遺伝子改変された細胞集団を初期刺激(例えば、CD3/CD28刺激)から解放し、その後、例えば新規に導入された受容体を通して第2の型の刺激で刺激することができる。この第2の型の刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することにより)新たな受容体のフレームワーク内に直接結合する任意のリガンド(抗体など)の形態の抗原刺激を含み得る。例えば、Cheadle et al, 「Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy」 Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014) を参照されたい。
【0481】
付加的な核酸、例えば導入するための遺伝子には、移植された細胞の生存度および/または機能を促進することなどによって、治療の有効性を改善するためのもの;インビボでの生存または局在性を評価するためなどの、細胞の選択および/または評価のための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子;例えば、Lupton S.D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992) に記載されているように、細胞がインビボで陰性選択を受け得るようにすることによって、安全性を改善するための遺伝子が含まれる。優性陽性選択可能マーカーを陰性選択可能マーカーと融合することによって得られる二機能性選択可能融合遺伝子の使用を記載している、LuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の刊行物もまた参照されたい。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号の第14~17欄を参照されたい。
【0482】
いくつかの例においては、細胞、例えばT細胞が活性化されることを必要としないベクターが使用され得る。そのような場合には、細胞は、活性化の前に選択および/または形質導入され得る。したがって、本明細書に記載されるような細胞の培養の前または後に、および場合によっては培養の少なくとも一部と同時にもしくはその最中に、細胞を操作することができる。いくつかの態様において、操作されるべき細胞は培養細胞であり、または場合によっては、本明細書に記載されるような培養を行う前に細胞に形質導入することができる。
【0483】
C. 細胞に形質導入する方法
いくつかの態様において、ウイルスウイルスを細胞中に移入する方法は、提供されるオリゴマータンパク質(例えば、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン)試薬のいずれかを用いて実施される。いくつかの態様において、提供される形質導入法にしたがって用いられるオリゴマータンパク質試薬は、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、細胞は、細胞療法における使用のためであり、例えば、例えば養子細胞療法における自己移入または同種移入のために調製された初代細胞である。いくつかの態様において、試薬はまた、操作された細胞組成物の調製に関連する1つまたは複数の他の加工処理工程、例えば、細胞の選択もしくは調節、活性化、および/または刺激のうちの1つまたは複数を容易にするために、方法において活用することができる。方法は、追加の細胞加工処理工程、例えば細胞洗浄、単離、分離、製剤化、または細胞組成物の作製に関する他の工程を含んでもよい。
【0484】
いくつかの態様において、提供される方法は、レトロウイルスベクター粒子などのウイルスベクター粒子を、T細胞を含む免疫細胞などの細胞中に導入するために用いられる。いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子は、抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)をコードする核酸を含有するゲノムを有する。したがって、いくつかの態様において、提供される方法は、T細胞などの免疫細胞において、遺伝子操作された抗原受容体、例えばトランスジェニックTCRまたはCARを発現させるために用いることができる。また、そのような粒子および方法によって形質導入された細胞、ならびにそのような細胞を含有する組成物、ならびにそれを用いるための方法も提供される。
【0485】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター粒子および方法は、養子免疫療法における使用にとって望ましい、免疫細胞ならびに/またはそのある特定の集団および/もしくは亜集団の形質導入の増加を結果としてもたらす特徴を含む。提供される形質導入法およびウイルスベクター粒子のいくつかの態様において、形質導入されている集団における細胞、例えばT細胞は、細胞と提供されるレトロウイルスベクター粒子との接触またはインキュベーションの前におよび/またはそれと合わせて、刺激および/もしくは活性化されないか、または刺激および/もしくは活性化される必要がない。
【0486】
a. 細胞とウイルスベクター粒子とのインキュベーション
いくつかの態様において、提供される方法は、複数の細胞を含む細胞組成物(以下において「インプット組成物」とも呼ばれる)を、(1) オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)試薬、例えば、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬、ならびに(2) ウイルス粒子と接触させる工程、例えばインキュベートする工程によって、細胞に形質導入する方法を含む。いくつかの態様において、方法は、細胞を試薬とおよびウイルス粒子と、同時にまたは逐次的に混合する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、ウイルス粒子と試薬とを一緒にあらかじめ混合する工程、および次いで、細胞組成物を、試薬と会合したウイルス粒子の混合物と接触させる工程を含む。いくつかの態様において、接触は、30分間~72時間、例えば、30分間~48時間、30分間~24時間、または1時間~24時間、例えば、少なくとも30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間以上、または概ね少なくともそれらの時間である。
【0487】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、(i) インキュベートする工程は、標的細胞と試薬との混合、および/または標的細胞とウイルス粒子との、いずれかの順序での逐次的な混合を含み、任意で、(a)における混合および(b)における混合は、1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、12時間以下、18時間以下、24時間以下、36時間以下、48時間以下、もしくは72時間以下の時間内に実施され、かつ/または(a)における混合は、(b)における混合とは1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、12時間以下、18時間以下、24時間以下、36時間以下、もしくは48時間以下の差をあけて実施される;(ii) インキュベートする工程は、標的細胞、試薬、およびウイルス粒子の混合を含み、該混合は、同時にまたは実質的に同時に実施される;(iii) インキュベートする工程は、標的細胞およびウイルス粒子を含有し、かつ試薬を含まない組成物の混合を含み、任意で、標的細胞および試薬を含む組成物中の標的細胞の5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、もしくは40%以下は、活性化細胞であり、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40L、および4-1BBからなる群より選択される表面マーカーを発現し;IL-2、IFNγ、TNF-αからなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現を含み、かつ/もしくは増殖することができ;ならびに/または混合は、組成物における標的細胞とウイルス粒子との混合の1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、12時間以下、18時間以下、24時間以下、36時間以下、もしくは48時間以下の後に実施される;(iv) インキュベーションは、標的細胞および試薬を含有し、かつウイルス粒子を含まない組成物と、ウイルス粒子との混合を含み、任意で、標的細胞および試薬を含む組成物中の標的細胞の5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、もしくは40%以下は、活性化細胞であり、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40L、および4-1BBからなる群より選択される表面マーカーを発現し;IL-2、IFNγ、TNF-αからなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現を含み、かつ/もしくは増殖することができ;ならびに/または混合は、組成物における標的細胞とウイルス粒子との混合の1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、12時間以下、18時間以下、24時間以下、36時間以下、もしくは48時間以下の後に実施される;ならびに/または、(v) インキュベーションは、ウイルス粒子および試薬を含む組成物と、標的細胞を含有し、かつウイルス粒子を含有せず、かつ/もしくは試薬を含有しない組成物との混合を含み、任意で、標的細胞および試薬を含む組成物中の標的細胞の5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、もしくは40%以下は、活性化細胞であり、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40L、および4-1BBからなる群より選択される表面マーカーを発現し;IL-2、IFNγ、TNF-αからなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現を含み、かつ/もしくは増殖することができる。
【0488】
いくつかの態様において、インキュベートする工程は、細胞を試薬とおよびウイルス粒子と、同時にまたはいずれかの順序で逐次的に混合することを含む。いくつかの態様において、インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に、試薬およびウイルス粒子は、細胞の存在下であるか、または細胞と同時に接触している。
【0489】
いくつかの態様において、提供される方法は、(a) ウイルス粒子をオリゴマータンパク質試薬と接触させ、それによって、ウイルス粒子および試薬を含む組成物を生成する工程であって、該ウイルス粒子が任意で試薬と会合している、工程;ならびに(b) (a)における組成物を、標的細胞を含む複数の細胞とインキュベートする工程を含み、該方法は、ウイルス粒子が形質導入された1つ以上の細胞を含むアウトプット組成物を作製する。
【0490】
いくつかの態様において、提供される方法は、ウイルス粒子およびオリゴマータンパク質試薬を含有する組成物を、標的細胞を含む複数の細胞と混合する工程を含み、該方法は、ウイルス粒子が形質導入された1つ以上の細胞を含むアウトプット組成物を作製する。
【0491】
いくつかの態様において、提供される方法は、(a) ウイルス粒子を、ストレプトアビジンもしくはムテインまたは前述のいずれかの生物学的に活性な断片、および/または前述のいずれかの複数のサブユニットを含むオリゴマータンパク質試薬と接触させ、それによって、ウイルス粒子および試薬を含む組成物を生成する工程であって、該ウイルス粒子が任意で試薬と会合している、工程;ならびに(b) (a)における組成物を、複数の細胞とインキュベートする工程を含み、該方法は、ウイルス粒子が形質導入された1つ以上の細胞を含むアウトプット組成物を作製する。
【0492】
いくつかの態様において、提供される方法は、ウイルス粒子およびタンパク質試薬を含有する組成物を、標的細胞を含む複数の細胞と混合する工程を含み、該タンパク質試薬は、ストレプトアビジン、アビジン、ストレプトアビジン類似体もしくはムテイン、アビジン類似体、前述のいずれかのムテインもしくは生物学的に活性な断片、および/または前述のいずれかの複数のサブユニットを含み;かつ該方法は、ウイルス粒子が形質導入された1つ以上の細胞を含むアウトプット組成物を作製する。いくつかの態様において、試薬および/または単量体単位の各々および/または多量体単位の各々は、正味の正電荷または全体的な正電荷を有する。
【0493】
いくつかの態様において、提供される方法は、標的細胞を含む複数の細胞を、1) 1つ以上の結合部位が結合物質に可逆的に結合している、結合物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含むオリゴマータンパク質試薬;および2) ウイルス粒子とインキュベートする工程を含み、(1)におけるインキュベーションの少なくとも一部分は、(2)と同時に行われ、かつ該方法は、ウイルス粒子が形質導入された1つ以上の細胞を含むアウトプット組成物を作製する。
【0494】
いくつかの態様において、提供される方法は、(1)(a) 1つ以上のウイルス粒子を含む組成物と、(b) (i) ウイルス粒子の表面上の分子に特異的に結合することができる、かつ(ii) ウイルス結合物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含む試薬に可逆的に結合している、ウイルス結合物質である結合物質とを接触させる工程;および(2) 標的細胞を含む少なくとも複数の細胞を、1つ以上のウイルス粒子の存在下でインキュベートする工程を含み、(1)における接触させる工程および(2)におけるインキュベートする工程は、同時にまたはいずれかの順序で逐次的に実施され、該方法は、ウイルス粒子が形質導入された複数の細胞を含むアウトプット組成物を生成する。
【0495】
本明細書に提供される方法のいずれかのいくつかの態様において、(1)における接触させる工程および(2)におけるインキュベートする工程は、1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、12時間以下、18時間以下、24時間以下、36時間以下、48時間以下、もしくは72時間以下の時間内に実施され、かつ/または(a)における混合は、(b)におけるインキュベーションとは1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、11時間以下、12時間以下、18時間以下、24時間以下、36時間以下、もしくは48時間以下の差をあけて実施される。いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子は、組換え抗原受容体、任意でキメラ抗原受容体をコードするゲノムを含む。
【0496】
形質導入工程中のウイルスベクター粒子および細胞を含有する組成物は、1つ以上の追加の作用物質、例えば形質導入効率を促進するもの、例えば、プロタミン(例えば硫酸プロタミン)、臭化ヘキサジメトリン(POLYBRENE(登録商標)、Abbott Laboratories Corp)、およびCH-296(RETRONECTIN(登録商標)、Clontech)を含むポリカチオンをさらに含んでもよい。いくつかの態様において、ポリカチオンは、1μg/mL~100μg/mL、例えば5μg/mL~50μg/mLの最終濃度で、インプット組成物中に存在することができる。組成物はまた、造血幹細胞培地、例えば無血清培地などの、加工処理される細胞型の培養のために設計された培地を含む細胞培養培地を含む、培地を含んでもよい。
【0497】
いくつかの態様において、インプット組成物の細胞の濃度は、1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mLまたは約1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mL、例えば、少なくとも1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、もしくは1×108細胞/mL、または少なくとも約1.0×105細胞/mL、約5×105細胞/mL、約1×106細胞/mL、約5×106細胞/mL、約1×107細胞/mL、約5×107細胞/mL、もしくは約1×108細胞/mL、または約1.0×105細胞/mL、約5×105細胞/mL、約1×106細胞/mL、約5×106細胞/mL、約1×107細胞/mL、約5×107細胞/mL、もしくは約1×108細胞/mLである。
【0498】
いくつかの態様において、ウイルス粒子は、ある特定の比の、インプット組成物中の細胞の総数または形質導入される細胞の総数当たりのウイルスベクター粒子のコピーまたはその感染単位(IU)(IU/細胞)で提供される。例えば、いくつかの態様において、ウイルス粒子は、接触中に、1個の細胞当たり0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、もしくは60 IUの、または概ねそれらの値の、または少なくともそれらの値もしくは少なくとも概ねそれらの値のウイルスベクター粒子で存在する。
【0499】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子の力価は、1×106 IU/mL~1 ×108 IU/mLまたは約1×106 IU/mL~1 ×108 IU/mL、例えば、5×106 IU/mL~5×107 IU/mLまたは約5×106 IU/mL~5×107 IU/mL、例えば、少なくとも6×106 IU/mL、7×106 IU/mL、8×106 IU/mL、9×106 IU/mL、1×107 IU/mL、2×107 IU/mL、3×107 IU/mL、4×107 IU/mL、または 5×107 IU/mLである。
【0500】
いくつかの態様において、形質導入は、100未満、例えば概して、60、50、40、30、20、10、5未満の、またはそれよりも低い感染多重度(MOI)で達成され得る。
【0501】
いくつかの態様において、接触は、溶液中で、例えば、可溶性オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)試薬、または1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/もしくはオリゴマー粒子試薬を用いて行われる。いくつかの態様において、細胞、オリゴマー試薬、およびウイルス粒子を、0.5 mL~500 mLまたは約0.5 mL~500 mL、例えば、0.5 mL~200 mLもしくは約0.5 mL~200 mL、0.5 mL~100 mLもしくは約0.5 mL~100 mL、0.5 mL~50 mLもしくは約0.5 mL~50 mL、0.5 mL~10 mLもしくは約0.5 mL~10 mL、0.5 mL~5 mLもしくは約0.5 mL~5 mL、5 mL~500 mLもしくは約5 mL~500 mL、5 mL~200 mLもしくは約5 mL~200 mL、5 mL~100 mLもしくは約5 mL~100 mL、5 mL~50 mLもしくは約5 mL~50 mL、5 mL~10 mLもしくは約5 mL~10 mL、10 mL~500 mLもしくは約10 mL~500 mL、10 mL~200 mLもしくは約10 mL~200 mL、10 mL~100 mLもしくは約10 mL~100 mL、10 mL~50 mLもしくは約10 mL~50 mL、50 mL~500 mLもしくは約50 mL~500 mL、50 mL~200 mLもしくは約50 mL~200 mL、50 mL~100 mLもしくは約50 mL~100 mL、100 mL~500 mLもしくは約100 mL~500 mL、100 mL~200 mLもしくは約100 mL~200 mL、または200 mL~500 mLもしくは約200 mL~500 mLの体積において接触させる。
【0502】
いくつかの態様において、接触が溶液中で、例えば、可溶性オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)試薬を用いて実施される場合、接触の少なくとも一部分がスピノキュレーション(spinoculation)(例えば遠心接種)などの遠心分離を伴う接触を、実施することができる。いくつかの態様において、細胞、ウイルス粒子、および試薬を含有する組成物を、概して比較的低い力または速度、例えば、細胞を沈殿させるために用いられるものよりも低い速度、例えば、600 rpm~1700 rpmまたは約600 rpm~1700 rpm(例えば、600 rpm、1000 rpm、もしくは1500 rpm、もしくは1700 rpm、または概ねそれらの値、または少なくともそれらの値)で回転させることができる。いくつかの態様において、回転は、例えばチャンバーまたはキャビティの内壁または外壁で測定された場合に、100 g~3200 gまたは約100 g~3200 g(例えば、100 g、200 g、300 g、400 g、500 g、1000 g、1500 g、2000 g、2500 g、3000 g、もしくは3200 g、または概ねそれらの値、または少なくともそれらの値もしくは少なくとも概ねそれらの値)の力、例えば相対遠心力で行われる。「相対遠心力」またはRCFという用語は、回転の軸と比較して空間における特定の点で、地球の重力に対して、物体または物質(例えば細胞、試料、もしくは沈殿物、および/または回転されるチャンバーもしくは他の容器における点)に付与される有効な力であると、概して理解される。値は、重力、回転速度、および回転の半径(RCFが測定されている、回転の軸と物体、物質、または粒子との距離)を考慮して、周知の式を用いて決定され得る。
【0503】
いくつかの態様において、オリゴマー試薬、例えば、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、支持体に結合されず、例えば、固体表面または固定相に結合されない。
【0504】
いくつかの態様において、オリゴマー試薬、例えば、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、固体表面または固定相などの支持体上に固定化される。いくつかの態様において、接触は、例えば、タンパク質(ストレプトアビジンムテイン)、例えばオリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)試薬がその上に固定化されているクロマトグラフィーマトリクスを用いて、固定相において行われる。提供される方法に関連した使用のためのそのような形式の例は、本明細書に記載されている。したがって、いくつかの態様において、オンカラム形質導入を、提供される方法にしたがって行うことができる。
【0505】
いくつかの態様において、細胞と接触させるインプット組成物は、活性化細胞を含む。いくつかの態様において、インプット組成物中の細胞、例えばT細胞の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%以上は活性化されており、例えばいくつかの場合には、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40L、および/または4-1BBのうちの1つまたは複数について表面陽性である。いくつかの態様において、細胞は、接触の開始の前、例えば、形質導入の開始の前に、活性化物質で、例えば抗CD3/抗CD28の存在下で活性化される。外因性成長因子の非存在下または少量の外因性成長因子においてインビトロでT細胞集団を増大する方法は、当技術分野において公知である(例えば、米国特許6,352,694 B1および欧州特許EP 0 700 430 B1を参照されたい)。概して、そのような方法は、様々な結合物質(例えば、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体)が固定化されている、1μMよりも大きい固相表面を使用する。例えば、Dynabeads(登録商標)CD3/CD28(Invitrogen)は、市販されているT細胞増大用試薬であり、これは、ヒトT細胞上のCD3およびCD28細胞表面分子に対する親和性精製されたモノクローナル抗体の混合物でコーティングされた、均一な、4.5μmの、超常磁性、滅菌性、非発熱性ポリスチレンビーズである。いくつかの態様において、活性化物質、例えば、抗CD3および/または抗CD28を、磁性ビーズなどのビーズ上に固定化することができる。
【0506】
いくつかの態様において、細胞活性化はまた、IL-2(例えば、50 IU/mL~200 IU/mLまたは約50 IU/mL~200 IU/mL、例えば100 IU/mLまたは約100 IU/mL)の存在下でも行われる。いくつかの態様において、活性化は、1時間~96時間もしくは約1時間~96時間、1時間~72時間もしくは約1時間~72時間、1時間~48時間もしくは約1時間~48時間、4時間~36時間もしくは約4時間~36時間、8時間~30時間もしくは約8時間~30時間、または12時間~24時間もしくは約12時間~24時間、例えば、少なくとも6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、もしくは72時間または少なくとも約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、もしくは約72時間実施される。いくつかの態様において、活性化は、25℃よりも高いかまたは約25℃よりも高い、例えば概して、32℃、35℃、もしくは37℃よりも高いかまたは約32℃、約35℃、もしくは約37℃よりも高い、例えば、37℃±2℃または約37℃±2℃の温度で、例えば37℃または約37℃の温度で実施される。
【0507】
いくつかの態様において、細胞は、接触の開始の前、例えば、形質導入の開始の前に、活性化物質で、例えば抗CD3/抗CD28の存在下で活性化されない。いくつかの態様において、細胞と接触させるインプット組成物は、多数の休止細胞を含む。いくつかの態様において、集団中のT細胞の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%以上は、休止T細胞、例えば、T細胞活性化マーカー、例えば表面マーカーもしくは細胞内サイトカインもしくは他のマーカーが欠如しているT細胞、および/または細胞周期のG0もしくはG0G1a期にあるT細胞である。
【0508】
特定の局面において、提供される方法は、形質導入がT細胞において、オリゴマータンパク質試薬、例えば1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬との接触および/またはインキュベーションの前に、活性化の必要なく起こることを可能にする。いくつかの態様において、方法は、休止T細胞またはナイーブT細胞を含有するT細胞の集団に、最初の、すなわち形質導入の前のT細胞の活性化および/または刺激を伴わずに、提供される方法にしたがってオリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジン)試薬の存在下でウイルスベクターを形質導入する工程を含む。いくつかのそのような態様において、提供される方法は、T細胞を活性化および/または刺激する工程を含まない、養子療法用の、T細胞などの免疫細胞を調製するために用いることができる。
【0509】
いくつかの態様において、オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)は裸である。
【0510】
いくつかの態様において、オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)は、標的細胞(例えばT細胞)の表面上、またはいくつかの場合には、組成物中のウイルス粒子の表面上の分子に結合することができる1つ以上の結合物質がそれに結合している、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、結合物質は、作用物質に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含有する試薬に、可逆的に結合される。いくつかの態様において、インキュベーションは、作用物質が細胞またはウイルス粒子上の分子に結合する、例えば特異的に結合する条件下で行われる。記載されるようないくつかの態様において、オリゴマー試薬は、細胞の選択、刺激、増大、および/もしくは分化、または細胞の形質導入の調節のために用いることができる、受容体結合物質、例えば、刺激物質もしくはアクセサリー物質、選択物質、またはウイルス結合物質を含むことができる1つまたは複数の作用物質(例えば、第1または第2または第3など)がその上に可逆的に固定化されている(それに結合している)。
【0511】
いくつかの場合には、ある特定の受容体結合物質(例えば、刺激物質またはアクセサリー物質)について、そのような結合は、組成物中の標的細胞(例えばT細胞)においてシグナル、例えば記載されるような一次シグナルまたはアクセサリーシグナルを誘導または調節することができる。いくつかの態様において、分子に対する作用物質の結合は、組成物中の標的細胞の刺激、活性化、増大(増殖)、および/または分化のうちの1つまたは複数を結果としてもたらす。いくつかの態様において、試薬は、細胞に対して一次活性化シグナルを提供する刺激物質を含み、該刺激物質は、少なくとも1つの結合パートナーC(例えば、C1、C2、またはC3など)を含み、該結合パートナーCは、作用物質の可逆的結合のために、オリゴマー試薬試薬の結合部位Z1に可逆的に結合することができる。いくつかの態様において、試薬は、細胞に対してアクセサリーシグナルを提供するアクセサリー物質を含み、該アクセサリー物質は、少なくとも1つの結合パートナーC(例えば、C1、C2、またはC3など)を含み、該結合パートナーCは、作用物質の可逆的結合のために、オリゴマー試薬試薬の結合部位Z1に可逆的に結合することができる。いくつかの態様において、試薬は、特定の細胞表面分子またはマーカーに対する結合を特異的に標的とする選択物質を含み、該選択物質は、少なくとも1つの結合パートナーC(例えば、C1、C2、またはC3など)を含み、該結合パートナーCは、作用物質の可逆的結合のために、オリゴマー試薬試薬の結合部位Z1に可逆的に結合することができる。
【0512】
いくつかの態様において、インプット組成物中の細胞の活性化は、インプット組成物の細胞とオリゴマータンパク質試薬および/またはウイルス粒子との接触中に開始される。そのような例において、オリゴマータンパク質試薬は、T細胞などの細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、受容体結合物質、例えば、刺激物質および/またはアクセサリー物質がその上に固定化されていることができる。いくつかの態様において、刺激物質は、MHC I:ペプチド複合体もしくはその機能部分、MHCII:ペプチド複合体もしくはその機能部分を含み、かつ/またはT細胞におけるTCR/CD3複合体、T細胞におけるCD3含有複合体、および/もしくはT細胞におけるITAM含有分子を通じて刺激シグナルを送達することができる。いくつかの態様において、オリゴマー試薬は、T細胞などの細胞に対してアクセサリーシグナルを提供することができるアクセサリー物質がその上に固定化されていることができる。いくつかの態様において、受容体結合物質、例えば、刺激物質および/またはアクセサリー物質は、本明細書に記載される任意の作用物質、例えば、抗CD3および/または抗CD28抗体(例えばFab)である。あるいは、刺激物質として、細胞増大を誘発する受容体のリガンド、例えば天然リガンドを用いることも可能である。例えば、CD19の細胞外ドメインを、キメラCD19結合抗原受容体(CAR)を発現するように形質導入された細胞の細胞内シグナル伝達カスケードの活性化を引き起こすために用いることができる。いくつかの態様において、オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジン)試薬は、細胞形質導入を調節すること、ならびに接触、および任意でさらなるインキュベーションの最中に、細胞を活性化する、例えば刺激することが両方ともできる。いくつかの態様において、刺激物質を含むオリゴマー試薬の結合は、例えば、競合物質、例えばビオチンの存在下で可逆的である。
【0513】
いくつかの態様において、提供される方法は、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞などの細胞の特異的集団の形質導入および/またはエクスビボ増大を選択的に誘導するために用いることができる。いくつかの態様において、オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジンムテイン)試薬は、形質導入を調節するために用いられる同じ試薬に可逆的に結合した少なくとも1つの選択物質を含むことができる、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、オリゴマー(例えばストレプトアビジンムテイン)試薬は、同じ試薬上に選択物質および第1または第2の受容体結合物質(例えば、刺激物質またはアクセサリー物質)のうちの一方または両方を含有することができる、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様において、オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジン)試薬、例えば、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞形質導入を調節すること、および選択されたまたは標的とされた細胞の特定の亜集団に対する形質導入を優先的に標的とすることが両方ともできる。いくつかの態様において、オリゴマータンパク質(例えばストレプトアビジン)試薬、例えば、1つ以上の作用物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は、細胞形質導入を調節すること、例えば、選択されたまたは標的とされた細胞の特定の亜集団に対する形質導入を優先的に標的とすること、ならびに接触、および任意でさらなるインキュベーションの最中に、細胞を活性化する、例えば刺激することができる。
【0514】
いくつかの態様において、結合物質、例えば、選択物質および/または刺激物質を含むオリゴマー試薬の結合は、例えば、競合物質、例えばビオチンの存在下で可逆的である。下記のように、いくつかの局面において、方法は、細胞、ウイルス粒子、およびオリゴマー試薬(例えば、1つ以上の結合物質に結合した多量体形成試薬および/またはオリゴマー粒子試薬)を含有する組成物を、細胞またはウイルス粒子に対する1つ以上の結合物質の結合を逆転させる、解離させる、または破壊するために、競合物質を添加するまたはそれとインキュベートする工程を含む。いくつかの態様において、逆転、解離、または破壊の後に、組成物の1つ以上の構成成分、例えば、解離されたオリゴマー試薬、1つ以上の結合物質、および/または競合物質を、除去することができる。
【0515】
いくつかの態様において、提供される方法から作製された細胞(以下において「アウトプット組成物」または「インキュベートされた組成物」とも呼ばれる)は、ウイルスベクター、例えば、組換え受容体、例えばCARなどの異種タンパク質をコードするヌクレオチドを含有するウイルスベクターが形質導入されたものを含む。この文脈における異種とは、通常はウイルスから発現されない、かつ/またはウイルスゲノムによってコードされないタンパク質を指す。いくつかの態様において、ウイルスベクターの宿主ゲノム中への組み込みは、インキュベーション後に、ウイルスベクター粒子のゲノム中に含有される核酸によりコードされる組換えタンパク質、例えば異種タンパク質の発現のレベルを測定することによって、評価することができる。組換え分子の発現レベルを評価するためのいくつかの周知の方法、例えば、細胞表面タンパク質に関して、例えばフローサイトメトリーによる、親和性ベースの方法、例えば免疫親和性ベースの方法による検出などが、用いられてもよい。いくつかの例において、発現は、形質導入マーカーおよび/またはレポーター構築物の検出によって測定される。いくつかの態様において、切断型表面タンパク質をコードする核酸が、ベクター内に含まれ、発現および/またはその増強のマーカーとして用いられる。
【0516】
V. 組成物、製剤、および投与方法
操作された受容体(例えば、操作された抗原受容体)、例えばCARまたはTCRを含有する組成物、ならびに、操作された細胞を含有する組成物例えば薬学的組成物および製剤、もまた提供される。抗原が発現される疾患、状態、および障害の処置における、または検出、診断、および予後判定方法におけるような、組成物の使用方法およびその使用もまた提供される。
【0517】
A. 組成物/製剤
「薬学的製剤」という用語は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であって、かつその製剤が投与される対象にとって容認できないほどの毒性がある付加的な構成成分を含有しない調製物を指す。
【0518】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0519】
いくつかの局面において、担体の選択は、一部には、特定の細胞によって、および/または投与方法によって決まる。したがって、種々の適切な製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は保存剤を含有し得る。適切な保存剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。いくつかの局面では、2種またはそれ以上の保存剤の混合物が使用される。保存剤またはその混合物は典型的に、組成物全体の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980) によって記載されている。薬学的に許容される担体は、使用される投薬量および濃度において一般に受容者にとって非毒性であり、これには、緩衝剤、例えばリン酸、クエン酸、および他の有機酸など;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニンを含む;保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアコールもしくはベンジルアルコール;メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど;単糖、二糖、および他の糖質、例えばグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む;キレート剤、例えばEDTAなど;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど;塩形成対イオン、例えばナトリウムなど;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール (PEG) などが含まれるが、これらに限定されない。
【0520】
いくつかの局面では、緩衝物質が組成物中に含まれる。適切な緩衝物質には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。いくつかの局面では、2種またはそれ以上の緩衝物質の混合物が使用される。緩衝物質またはその混合物は典型的に、組成物全体の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製する方法は公知である。例示的な方法は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005) に詳述されている。
【0521】
製剤または組成物は、細胞で処置される特定の適応症、疾患、または状態に有用な2種以上の活性成分、好ましくは細胞を補完する活性を有し、それぞれの活性が互いに有害な影響を及ぼさないものもまた含有し得る。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量の組み合わせで適切に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、他の薬学的に活性のある作用物質または薬物、例えば化学療法剤など、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン等をさらに含む。いくつかの態様において、細胞または抗体は、塩、例えば薬学的に許容される塩の形態で投与される。薬学的に許容される適切な酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸などの有機酸から誘導されるものが含まれる。
【0522】
活性成分は、マイクロカプセル、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルション中に封入され得る。ある特定の態様において、薬学的組成物は、シクロデキストリン包接複合体などの包接複合体として、またはリポソームとして製剤化される。リポソームは、宿主細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)が特定組織を標的とするのに役立ち得る。リポソームの調製には、例えば、Szoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9: 467 (1980)、ならびに米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、および第5,019,369号に記載されているものなど、多くの方法を利用することができる。
【0523】
薬学的組成物はいくつかの局面において、組成物の送達が、処置されるべき部位の感作の前に、その感作を引き起こすのに十分な時間起こるように、持続放出型、遅延放出型、および徐放型の送達系を使用し得る。多くの型の放出送達系が利用可能であり、それらは公知である。そのような系は、組成物の反復投与を回避し、それによって対象および医師の利便性を高め得る。
【0524】
薬学的組成物はいくつかの態様において、治療有効量または予防有効量などの、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量で細胞を含有する。治療有効性または予防有効性はいくつかの態様において、処置された対象の定期評価によってモニターされる。状態に応じた数日またはそれ以上にわたる反復投与の場合、処置は、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで繰り返される。しかしながら、他の投与計画が有用である場合もあり、それが決定され得る。望ましい投薬量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の持続注入投与によって送達され得る。
【0525】
細胞は、標準的な投与技法、製剤、および/または装置を用いて投与され得る。組成物の貯蔵および投与のための、シリンジおよびバイアルなどの製剤および装置が提供される。細胞の投与は、自家投与または異種投与であってよい。例えば、ある対象から免疫応答細胞または前駆細胞を入手し、同じ対象または異なる適合対象に投与することができる。末梢血由来免疫応答細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで得られる)は、カテーテル投与を含む局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与によって投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は一般に注射可能な単位剤形(溶液、懸濁液、エマルション)で製剤化される。
【0526】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、頬側投与、舌下投与、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様において、細胞集団は非経口投与される。本明細書で用いられる「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、腟投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様において、細胞集団は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
【0527】
組成物はいくつかの態様において、無菌液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供され、それらはいくつかの局面において、選択されたpHに緩衝化され得る。液体調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。加えて、液体組成物の方が、投与するのに、特に注射によって投与するのにいくらか便利である。一方、粘性組成物は、特定組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘性範囲内で製剤化され得る。液体組成物または粘性組成物は担体を含んでよく、担体は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。
【0528】
無菌注射溶液は、細胞を溶媒中に組み入れて、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロース、または同様のものなどの適切な担体、希釈剤、または賦形剤と混合するなどして調製され得る。組成物はまた凍結乾燥され得る。組成物は、投与経路および所望の調製物に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝物質、ゲル化または増粘性添加剤、保存剤、香味剤、着色剤、および同様のものなどの補助物質を含有し得る。いくつかの局面では、適切な調製物を調製するために標準的な教本を参照することができる。
【0529】
抗菌性保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を増加させる様々な添加剤が添加され得る。微生物作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、および同様のものによって保証され得る。注射可能な薬学的形態の長期吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0530】
徐放性調製物を調製することもできる。徐放性調製物の適切な例には、造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態をした、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが含まれる。
【0531】
インビボ投与に使用されるべき製剤は一般に無菌である。無菌性は、例えば無菌濾過膜を介する濾過などによって容易に達成され得る。
【0532】
B. 投与方法
細胞、集団、および組成物を投与する方法、ならびにがんを含む疾患、状態、および障害を処置または予防するためのそのような細胞、集団、および組成物の使用が提供される。いくつかの態様では、細胞、集団、および組成物が、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法によって、処置されるべき特定の疾患または状態を有する対象または患者に投与される。いくつかの態様では、操作された組成物ならびにインキュベーションおよび/または他の加工段階の後の生成終了組成物などの、提供される方法によって調製された細胞および組成物が、疾患もしくは状態を有するまたはそれらのリスクがある対象などの対象に投与される。いくつかの局面において、本方法はそれにより、操作されたT細胞によって認識される抗原を発現するがんにおける腫瘍量を減らすことなどによって、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置する、例えば改善する。
【0533】
養子細胞療法のために細胞を投与する方法は公知であり、提供される方法および組成物と関連して使用され得る。例えば、養子T細胞療法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開番号2003/0170238;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933;Tsukahara et al.(2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0534】
本明細書で用いられる場合、「対象」は、ヒトまたは他の動物などの哺乳動物であり、典型的にはヒトである。いくつかの態様において、細胞、細胞集団、または組成物が投与される対象、例えば患者は、哺乳動物、典型的にはヒトなどの霊長類である。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は男性または女性であってよく、幼児、若年、青年、成人、および老年対象を含む任意の適切な年齢であってよい。いくつかの態様において、対象は、齧歯類などの非霊長類哺乳動物である。
【0535】
本明細書で用いられる場合、「処置」(および「処置する」または「処置すること」などの、その文法上の変形)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに伴う症状、有害作用、もしくは転帰、もしくは表現型の完全なまたは部分的な改善または軽減を指す。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減縮、転移の予防、疾患進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。本用語は、疾患の完全な治癒、または任意の症状の完全な除去、またはすべての症状もしくは転帰に対する効果を意味するものではない。
【0536】
本明細書で用いられる場合、「疾患の発症を遅延させること」とは、疾患(がんなど)の発症を延期し、妨げ、減速させ、遅らせ、安定化し、抑制し、かつ/または先延ばしにすることを意味する。この遅延は、処置される疾患および/または個体の病歴に応じて、様々な時間の長さであり得る。当業者には明白であるように、十分なまたは著しい遅延は、個体が疾患を発症しないという点で、事実上、予防を包含し得る。例えば、転移の発症などの末期がんが遅延され得る。
【0537】
本明細書で用いられる「予防すること」は、ある疾患に対する素因を有し得るがまだその疾患とは診断されていない対象において、該疾患の発生または再発に対する予防を提供することを含む。いくつかの態様において、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅延させるためまたは疾患の進行を減速させるために使用される。
【0538】
本明細書で用いられる場合、機能または活性を「抑制する」こととは、関心対象の条件またはパラメータを除くその他の点で同じ条件と比較して、あるいは別の条件と比較して、その機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、その細胞が存在しない場合の腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低下させる。
【0539】
投与との関連における、作用物質、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」とは、必要な投薬量/量および期間において、治療結果または予防結果などの所望の結果を達成するのに有効な量を指す。
【0540】
作用物質、例えば、薬学的製剤または細胞の「治療有効量」とは、必要な投薬量および期間において、疾患、状態、もしくは障害の処置などに関する所望の治療結果、および/または処置の薬物動態学的もしくは薬力学的な効果を達成するのに有効な量を指す。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される細胞集団などの因子に従って変動し得る。いくつかの態様において、提供される方法は、細胞および/または組成物を有効量で、例えば治療有効量で投与することを伴う。
【0541】
「予防有効量」とは、必要な投薬量および期間において、所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。予防用量は疾患の前または初期段階に対象において使用されるため、典型的には予防有効量は治療有効量よりも少ないが、必ずしもそうとは限らない。
【0542】
処置される疾患または状態は、抗原の発現が、疾患状態または障害の病因に関連しており、かつ/または関与している、例えばそのような疾患、状態、または障害を引き起こす、悪化させる、またはその他の点でそれらに関与している任意のものであってよい。例示的な疾患および状態には、悪性腫瘍もしくは細胞の形質転換を伴う疾患もしくは状態(例えば、がん)、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患、または例えば細菌、ウイルス、もしくは他の病原体によって引き起こされる感染症が含まれ得る。処置され得る様々な疾患および状態に関連している抗原を含む例示的な抗原は、上記されている。特定の態様において、キメラ抗原受容体またはトランスジェニックTCRは、疾患または状態と関連している抗原に特異的に結合する。
【0543】
したがって、提供される方法および使用には、養子細胞療法のための方法および使用が含まれる。いくつかの態様において、本方法は、対象、組織、または細胞、例えば疾患、状態、もしくは障害を有するか、それらのリスクがあるか、またはそれらを有すると疑われるものなどへの、細胞または細胞を含有する組成物の投与を含む。いくつかの態様では、細胞、集団、および組成物が、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法によって、処置されるべき特定の疾患または状態を有する対象に投与される。いくつかの態様では、細胞または組成物が、疾患もしくは状態を有するまたはそれらのリスクがある対象などの対象に投与され、疾患または状態の1つまたは複数の症状を改善する。
【0544】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定の対象から、またはそのような対象に由来する試料から細胞が単離され、かつ/またはその他の方法で調製される自家移植によって行われる。したがって、いくつかの局面において、細胞は、処置および細胞を必要とする対象、例えば患者に由来し、単離および処理後に同じ対象に投与される。
【0545】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定であるまたは最終的に細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1対象から細胞が単離され、かつ/またはその他の方法で調製される同種移植によって行われる。そのような態様において、この細胞は次いで、同じ種の異なる対象、例えば第2対象に投与される。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に同一である。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に類似している。いくつかの態様において、第2対象は第1対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。細胞は、任意の適切な手段によって投与され得る。投薬および投与は、投与が短期的であるか長期的であるかに一部依存し得る。様々な投薬計画には、単回または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、これらに限定されない。
【0546】
ある特定の態様において、細胞または細胞のサブタイプの個々の集団は、約100万~約1000億個の範囲の細胞および/または体重1キログラムにつきその量の細胞、例えば100万~約500億個の細胞など(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)、例えば約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)、および場合によっては約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間にある任意の値が、かつ/または体重1キログラムにつき、対象に投与される。この場合も同様に、投薬量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置に特有の特質に応じて変動し得る。いくつかの態様において、細胞は、併用処置の一部として、例えば、別の治療的介入、例えば抗体または操作された細胞または受容体または作用物質など、例えば細胞毒性剤または治療剤などと同時に、または任意の順序で逐次的に投与される。細胞はいくつかの態様において、1種または複数種の付加的な治療剤と、または別の治療的介入と関連して、同時にまたは任意の順序で逐次的に共投与される。状況によっては、細胞は、細胞集団が1種もしくは複数種の付加的な治療剤の効果を増強するように、またはその逆になるように、十分に近い時間内に別の治療法と共投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の付加的な治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の付加的な治療剤の後に投与される。いくつかの態様において、1種または複数種の付加的な作用物質には、例えば持続性を増強するための、IL-2などのサイトカインが含まれる。いくつかの態様において、本方法は、化学療法剤の投与を含む。
【0547】
細胞の投与後、操作された細胞集団の生物学的活性はいくつかの態様において、例えばいくつかの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメータには、例えばイメージングによるインビボでの、または例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによるエクスビボでの、抗原に対する操作されたT細胞もしくは天然T細胞または他の免疫細胞の特異的結合が含まれる。ある特定の態様において、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009) およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004) に記載されている細胞傷害性アッセイなどの、当技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて測定され得る。ある特定の態様において、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどの1種または複数種のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷量の減少などの臨床転帰を評価することによって測定される。
【0548】
ある特定の態様において、操作された細胞は、それらの治療有効性または予防有効性が増加するように、いくつもの方法でさらに改変される。例えば、集団によって発現される操作されたCARまたはTCRは、ターゲティング部分に直接的に、またはリンカーを介して間接的にコンジュゲートされ得る。化合物、例えばCARまたはTCRをターゲティング部分にコンジュゲートする実践は、当技術分野において公知である。例えば、Wadwa et al., J.Drug Targeting 3:1 1 1 (1995) および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
【0549】
VI. 定義
本明細書で用いられる場合、単数形「1つの (a)」、「1つの (an)」、および「その」は、特に文脈によって明白に指示されていない限り、その対象物の複数形も含む。例えば、「1つの (a)」または「1つの (an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」ならびに/または局面および変形「から本質的になる」を含むと理解される。
【0550】
本開示を通して、特許請求される主題の様々な局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜上および簡潔化のためであり、特許請求される主題の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきでないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、ある値域が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の各介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、特許請求される主題内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、独立的にそのより小さな範囲内に含まれてよく、これらもまた、規定範囲における任意の具体的に除外される限界値に従って、特許請求される主題内に包含される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それら含まれた限界値の一方または両方を除外する範囲もまた、特許請求される主題内に含まれる。このことは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0551】
本明細書で用いられる「約」という用語は、当業者にとっては明白な、各値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書において「約」のついた値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は「X」の記載を含む。特定の態様において、「約」とは、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.01%、または±0.001%である。
【0552】
本明細書で用いられる場合、組成物とは、2種またはそれ以上の、細胞を含めた製品、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。
【0553】
本明細書で用いられる場合、1つまたは複数の特定の細胞型または細胞集団に言及する場合の「濃縮すること」とは、集団もしくは細胞によって発現されるマーカーに基づく陽性選択、または枯渇されるべき細胞集団もしくは細胞上に存在しないマーカーに基づく陰性選択などによって、例えば組成物中の全細胞数もしくは組成物の体積と比較して、または他の細胞型に対して、細胞型または集団の数またはパーセンテージを増加させることを指す。本用語は、組成物からの他の細胞、細胞型、または集団の完全な除去を必要とせず、かつそのように濃縮された細胞が、濃縮組成物中に100%または100%近くさえ存在することを必要としない。
【0554】
本明細書で用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陽性」であるという記述は、特定マーカー、典型的には表面マーカーが、細胞上または細胞中に検出可能な程度に存在することを指す。表面マーカーに言及する場合、本用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し該抗体を検出することによって、検出される表面発現の存在を指し、この場合、染色は、アイソタイプ一致対照を他の点では同一の条件下で用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはそのマーカーに関して陽性であることが公知である細胞のレベルと実質的に類似するレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることが公知である細胞のレベルよりも実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0555】
本明細書で用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陰性」であるという記述は、特定マーカー、典型的には表面マーカーが、細胞上または細胞中に実質的に検出可能な程度に存在しないことを指す。表面マーカーに言及する場合、本用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し該抗体を検出することによって、検出される表面発現の非存在を指し、この場合、染色は、アイソタイプ一致対照を他の点では同一の条件下で用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはそのマーカーに関して陽性であることが公知である細胞のレベルよりも実質的に低いレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることが公知である細胞のレベルと比較して実質的に類似するレベルで、フローサイトメトリーによって検出されない。
【0556】
本明細書で用いられる「発現」という用語は、ポリペプチドが、遺伝子などの核酸分子のコード配列に基づいて産生される過程を指す。この過程には、転写、転写後制御、転写後修飾、翻訳、翻訳後制御、翻訳後修飾、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0557】
本明細書で用いられる場合、対象は、ヒトおよび他の哺乳動物などの任意の生存生物を含む。哺乳動物は、ヒト、ならびに家畜、スポーツ用動物、げっ歯類、およびペットを含む非ヒト動物を含むが、これらに限定されない。
【0558】
本明細書で用いられる場合、対照とは、それが試験パラメータで処理されない点以外は、試験試料と実質的に同一である試料を指し、または、それが血漿試料である場合、対照は、関心対象の状態に罹患していない正常ボランティア由来であることができる。対照はまた、内部対照であることもできる。
【0559】
VII. 例示的な態様
提供される態様は、以下である。
1. 複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬であって、そのサイズが、(i) 25 nmよりも大きい半径、(ii) 少なくとも5×10
6 g/molの分子量;および/または(iii) オリゴマー粒子試薬当たり少なくとも100個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む、オリゴマー粒子試薬。
2. 前記ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子が、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはムテイン、アビジン類似体もしくはムテイン、および/またはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに結合するかまたは結合することができる、態様1に記載のオリゴマー粒子試薬。
3. 前記ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子が、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはムテイン、アビジン類似体もしくはムテイン、および/またはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合するかまたは可逆的に結合することができる、態様2に記載のオリゴマー粒子試薬。
4. 複数のストレプトアビジンムテイン分子を含み、該ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として44~47位に対応する配列位置に、アミノ酸配列Val
44-Thr
45-Ala
46-Arg
47またはIle
44-Gly
45-Ala
46-Arg
47を含む、態様1~3のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
5. (a) SEQ ID NO:3~6、27、28、60、または61のいずれかに示されるアミノ酸の配列;
(b) SEQ ID NO:3~6、27、28、60、もしくは61のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal
44-Thr
45-Ala
46-Arg
47もしくはIle
44-Gly
45-Ala
46-Arg
47に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチンもしくはその生物学的に活性な形態、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸の配列;あるいは
(c) ビオチンもしくはその生物学的に活性な形態、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、(a)または(b)の機能的断片
を含む複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む、 態様1~4のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
6. SEQ ID NO:6または61に示されるアミノ酸の配列を含む複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む、態様1~5のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
7. 前記ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸の配列におけるストレプトアビジン中の位置を基準として117、120、および/または121に対応する位置に1つまたは複数のアミノ酸置換をさらに含む、態様4~6のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
8. 1つもしくは複数のアミノ酸置換が、Glu117、Asp117、Arg117、Ser120、Ala120、Gly120、Trp121、Tyr121、もしくはPhe121の中から選択される;または
1つもしくは複数のアミノ酸置換が、Glu117、Gly120、もしくはTyr121のうちの1つもしくは複数から選択される;または
アミノ酸置換が、Glu117、Gly120、もしくはTyr121から選択される、
態様7に記載のオリゴマー粒子試薬。
9. (a) SEQ ID NO:27または28に示されるアミノ酸の配列;
(b) SEQ ID NO:28に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal
44、Thr
45、Ala
46、Arg
47、Glu
117、Gly
120、およびTyr
121に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチンもしくは生物学的に活性な断片、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸の配列;あるいは
(c) ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、ビオチン類似体もしくはムテインもしくはその生物学的に活性な断片、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、(a)または(b)の機能的断片
を含む複数のストレプトアビジンムテイン分子を含む、 態様1~8のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
10. 1つ以上の作用物質に結合しているかまたは結合することができる、態様1~9のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
11. 前記1つ以上の作用物質が結合パートナーを含み、該結合パートナーが、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができ、任意で可逆的に結合することができる、態様10に記載のオリゴマー粒子試薬。
12. 前記結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様11に記載のオリゴマー粒子試薬。
13. 前記結合パートナーが、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様11または12に記載のオリゴマー粒子試薬。
14. 前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される分子に結合するかまたは結合することができる、態様10~13のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
15. 前記1つ以上の作用物質が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様10~14のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
16. 1つ以上の試薬が、一価抗体断片であるかまたはそれを含む、態様15に記載のオリゴマー粒子試薬。
17. 前記1つ以上の作用物質が、Fabであるかまたはそれを含む、態様15または態様16に記載のオリゴマー粒子試薬。
18. 前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である、態様10~17のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
19. 前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができる刺激物質であるかまたはそれを含み、結合が標的細胞においてシグナルを誘導または調節する、態様10~18のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
20. 前記標的細胞が免疫細胞である、態様18または態様19に記載のオリゴマー粒子試薬。
21. 前記標的細胞がT細胞である、態様18~20のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
22. 前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、態様18~21のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
23. 前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記オリゴマー粒子試薬が第2の受容体結合物質を含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、態様22に記載のオリゴマー粒子試薬。
24. 第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、態様23に記載のオリゴマー粒子試薬。
25. 第2の受容体結合物質が共刺激分子に特異的に結合し、かつ該共刺激分子がCD28である、態様22または態様23に記載のオリゴマー粒子試薬。
26. 前記1つ以上の作用物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体、任意で抗CD3 Fabおよび抗CD28 Fabである、態様10~25のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
27. 前記受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、態様18~21のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
28. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、共刺激またはアクセサリー分子に結合し、かつ該共刺激またはアクセサリー分子が、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMから選択される、態様18~21、23、または24のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
29. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカイン受容体に特異的に結合し、かつ該サイトカイン受容体が、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2の中から選択される、態様18~21、23、または24のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
30. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、ケモカイン受容体に特異的に結合し、かつ該ケモカイン受容体が、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択される、態様18~21、23、または24のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
31. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカインまたはケモカイン産生を誘導する因子であり、かつ該因子が、サイトカインまたはケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドである、態様18~21、23、または24のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
32. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、
該リガンドが、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2に特異的に結合する;かつ/または
該リガンドが、IL-2、IL-1、IL-15、IFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、およびTNFの中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である、
態様31に記載のオリゴマー粒子試薬。
33. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、
該リガンドが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択されるケモカイン受容体に特異的に結合する;または
該リガンドが、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21、およびCCL25の中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である、
態様30に記載のオリゴマー粒子試薬。
34. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が接着分子であり、かつ該接着分子が、CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA-1)、CD29、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA-4)、CD106(VCAM-1)の中から選択されるか、またはその生物学的に活性な断片である、態様18~21、23、または24のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
35. 前記1つ以上の作用物質が選択物質を含み、該選択物質が、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる、態様10~34のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
36. 前記標的細胞が免疫細胞である、態様35に記載のオリゴマー粒子試薬。
37. 前記標的細胞が、リンパ球または抗原提示細胞である、態様35または態様36に記載のオリゴマー粒子試薬。
38. 前記標的細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である、態様35~37のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
39. 前記標的細胞がT細胞である、態様35~38のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
40. 前記選択マーカーが、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROである、態様35~39のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
41. 25 nm超、50 nm超、60 nm超、70 nm超、80 nm超、または90 nm超の半径を含む、態様1~40のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
42. 両端の値を含めて、25 nm~150 nm、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~115 nm、もしくは90 nm~110 nm、または90 nm±15 nm、もしくは95 nm±20~25 nmの半径を含む、態様1~41のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
43. 150 nm未満の半径を有する、態様1~42のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
44. 前記半径が流体力学半径である、態様41~43のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
45. 少なくとも、少なくとも1×10
7 g/mol、少なくとも5×10
7 g/mol、または少なくとも1×10
8 g/molの分子量を含む、態様1~44のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
46. 1×10
6 g/mol~1×10
10 g/mol、1×10
7 g/mol~1×10
9 g/mol、5×10
7 g/mol~5×10
8 g/mol、1×10
8 g/mol~5×10
8 g/mol、または1×10
8 g/mol~2×10
8 g/molの分子量を含む、態様1~45のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
47. 少なくとも100個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または少なくとも2,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む、態様1~46のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
48. 100~50,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~20,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または2,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む、態様1~47のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
49. 前記複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインがリジン残基を含み、該リジン残基の20%未満、10%未満、5%未満、1%未満が、N-置換イミノチオランを含む、態様1~48のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬。
50. 態様1~49のいずれか1つに記載の1つ以上のオリゴマー粒子試薬を含む、組成物。
51. 前記1つ以上のオリゴマー粒子試薬が複数のオリゴマー粒子試薬である、態様50に記載の組成物。
52. 前記複数のオリゴマー粒子試薬が、(i) 70 nmよりも大きい平均直径;(ii) 少なくとも1×10
8 g/molの平均分子量;および/または(iii) 少なくとも2,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンもしくはストレプトアビジン四量体の平均数、および/または(iv) 複数のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が10 nm~150 nmの半径を含む半径サイズ分布を含む、態様51に記載の組成物。
53. 前記複数のオリゴマー粒子試薬が、25 nm超、50 nm超、60 nm超、70 nm超、80 nm超、90 nm超、または100 nm超の平均半径を含む、態様51または52に記載の組成物。
54. 前記複数のオリゴマー粒子試薬が、両端の値を含めて、25 nm~150 nm、50 nm~150 nm、75 nm~125 nm、80 nm~110 nm、もしくは90 nm~110 nmの平均半径を含む;または
前記複数のオリゴマー粒子試薬が、90 nm±15 nm、95 nm±20~25 nm、または97±10 nmの平均半径を含む、
態様51~53のいずれか1つに記載の組成物。
55. 前記複数のオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が、50~150 nm、70 nm~140 nm、80 nm~120 nm、80 nm~115 nm、80 nm~100 nm、90 nm~110 nm、および/または100 nm~120 nmの半径を含む、態様51~54のいずれか1つに記載の組成物。
56. 前記オリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が、複数のオリゴマー粒子試薬の平均半径および/または半径中央値の±50%、±25%、±20%、±15%、±10%、および/または±5%の間の半径を含む、態様51~55のいずれか1つに記載の組成物。
57. 前記複数のオリゴマー粒子試薬が、80 nm~115 nmの平均半径を含み、かつオリゴマー粒子試薬の少なくとも95%が、平均半径の±25%の間の半径を含む、態様51~56のいずれか1つに記載の組成物。
58. 前記複数の粒子が、両端の値を含めて、1×10
8 g/mol~5×10
8 g/mol、または1×10
8 g/mol~2×10
8 g/molの平均分子量を含む、態様51~57のいずれか1つに記載の組成物。
59. 前記複数のオリゴマー粒子試薬が、少なくとも100個、少なくとも500個、少なくとも1,000個、少なくとも1,500個、または少なくとも2,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジン四量体の平均数を含む、態様51~58のいずれか1つに記載の組成物。
60. 前記複数のオリゴマー粒子試薬が、各々両端の値を含めて、100~50,000個、1,000~20,000個、1,000~10,000個、または2,000~5,000個の、オリゴマー粒子試薬当たりのストレプトアビジンまたはストレプトアビジン四量体の平均数を含む、態様51~59のいずれか1つに記載の組成物。
61. 約-80℃もしくは-80℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、および/または約4℃もしくは4℃未満で少なくとも1、3、9、27、または46週間保存した場合に、前記複数のオリゴマー粒子の平均半径が、25%または10%よりも大きくは増加しない、態様51~60のいずれか1つに記載の組成物。
62. 約4℃または4℃未満で少なくとも1週間保存した場合に、前記複数のオリゴマー粒子の平均半径が、10%よりも大きくは増加しない、態様51~61のいずれか1つに記載の組成物。
63. 約4℃または4℃未満で少なくとも3週間保存した場合に、前記複数のオリゴマー粒子の平均半径が、10%よりも大きくは増加しない、態様61~62のいずれか1つに記載の組成物。
64. 約4℃または4℃未満で少なくとも9週間保存した場合に、前記複数のオリゴマー粒子の平均半径が、10%よりも大きくは増加しない、態様51~63のいずれか1つに記載の組成物。
65. チオール官能基と反応することができるチオール反応性官能基を含む複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と、1つ以上のチオール官能基を含む複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とをインキュベートし、それによって、オリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン粒子を含む粒子組成物を生成する工程;
オリゴマー粒子を、単量体および/またはより小さなオリゴマー分子から分離する工程;ならびに
オリゴマー粒子を安定剤と接触させ、それによってオリゴマー粒子試薬を作製する工程
を含む、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインを含むオリゴマー粒子試薬を作製するための方法。
66. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を、1つ以上のアミンをチオール反応性官能基に変換することができる活性化剤とインキュベートすることによって、前記複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子が生成される、態様65に記載の方法。
67. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と、チオール官能基を1つ以上のリジン残基に付加するまたは付加することができるチオール化剤とのインキュベーションによって、前記複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が生成される、態様65または態様66に記載の方法。
68. (a) 1つ以上のアミンを、チオール官能基と反応することができるチオール反応基に変換するための条件下で、第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を活性化剤とインキュベートし、それによって複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;
(b) 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を、チオール官能基を1つ以上のリジン残基に付加するまたは付加することができるチオール化剤とインキュベートし、それによって複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;および
(c) 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子試薬を含む粒子組成物を生成する工程
を含む、オリゴマー粒子試薬を作製するための方法であって、
(c)におけるインキュベーションの開始時に、複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が、
リジンの平均して少なくとも60%がチオール官能基を含みかつ/またはチオール化ストレプトアビジンもしくはチオール化ストレプトアビジンムテイン四量体当たり平均して少なくとも10個のリジンがチオール官能基を含む
ものである
という条件下で実施される、方法。
69. オリゴマー粒子試薬を、単量体および/またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン分子から分離する工程をさらに含む、態様68に記載の方法。
70. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:1~1:10で行われる、態様65~69のいずれか1つに記載の方法。
71. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン 対 活性化試薬のモル比1:2±2%で行われる、態様66~70のいずれか1つに記載の方法。
72. 前記活性化剤が、ヘテロ二官能性架橋剤を含む、態様66~71のいずれか1つに記載の方法。
73. 前記活性化剤が、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホSMCC)および/またはスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)を含む、態様66~72のいずれか1つに記載の方法。
74. 前記チオール反応性官能基が、ハロアセチル基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、アリール化剤、ビニルスルホン基、ピリジルジスルフィド、TNB-チオール、またはジスルフィド還元剤である、態様65~73のいずれか1つに記載の方法。
75. 前記チオール反応性官能基がマレイミド基である、態様65~74のいずれか1つに記載の方法。
76. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、中性のpHでインキュベートされる、態様65~75のいずれか1つに記載の方法。
77. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、6.8~7.5のpHでインキュベートされる、態様65~76のいずれか1つに記載の方法。
78. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、7.0~7.4の、任意で7.2または約7.2のpHでインキュベートされる、態様65~77のいずれか1つに記載の方法。
79. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、4℃~39℃の温度でインキュベートされる、態様65~78のいずれか1つに記載の方法。
80. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、室温、任意で20℃~25℃、任意で約23℃または約24℃でインキュベートされる、態様65~79のいずれか1つに記載の方法。
81. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、各々両端の値を含めて、15分間~6時間または30分間~2時間インキュベートされる、態様65~80のいずれか1つに記載の方法。
82. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とが、両端の値を含めて45分間~1.5時間、任意で1時間または約1時間インキュベートされる、態様65~81のいずれか1つに記載の方法。
83. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、両端の値を含めて、チオール化試薬 対 ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子当たりの各一級アミンのモル比10:1~1:1で行われる、態様66~82のいずれか1つに記載の方法。
84. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、両端の値を含めて、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体 対 チオール化剤のモル比1:50~1:500で行われる、態様66~83のいずれか1つに記載の方法。
85. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体 対 活性化試薬のモル比1:100または約1:100で行われる、態様66~84のいずれか1つに記載の方法。
86. 前記チオール化剤が、2-イミノチオランであるかまたはそれを含む、態様66~85のいずれか1つに記載の方法。
87. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、7.0以上、任意で、両端の値を含めて7.0~8.0のpHでインキュベートされる、態様66~86のいずれか1つに記載の方法。
88. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、約7.7のpHでインキュベートされる、態様66~87のいずれか1つに記載の方法。
89. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、8.0以上、任意で、両端の値を含めて8.0~9.0のpHを有する緩衝液の存在下で開始される、態様66~88のいずれか1つに記載の方法。
90. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、8.5または約8.5のpHを有する緩衝液の存在下で開始される、態様66~89のいずれか1つに記載の方法。
91. 前記緩衝液がホウ酸塩を含む、態様89または90に記載の方法。
92. 前記緩衝液が、各々両端の値を含めて、10 mM~200 mMのホウ酸塩または50 mM~100 mMのホウ酸塩、任意で約100 mMのホウ酸塩を含む、態様89~91のいずれか1つに記載の方法。
93. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、4℃~39℃の温度でインキュベートされる、態様65~92のいずれか1つに記載の方法。
94. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、室温、任意で20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃でまたは24℃もしくは約24℃でインキュベートされる、態様65~93のいずれか1つに記載の方法。
95. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、15分間~2時間または15分間~1.5時間インキュベートされる、態様66~94のいずれか1つに記載の方法。
96. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、各々両端の値を含めて、15分間~2時間または25分間~1時間インキュベートされる、態様66~95のいずれか1つに記載の方法。
97. 第2の複数のストレプトアビジン分子とチオール化剤とが、1時間または約1時間インキュベートされる、態様66~96のいずれか1つに記載の方法。
98. 第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とが、25分間または約25分間インキュベートされる、態様66~97のいずれか1つに記載の方法。
99. インキュベーション中の複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子 対 複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子が、モル比1:Xであり、Xが、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの分子当たりのチオール化されるのに利用可能なリジン残基の数である、態様65~98のいずれか1つに記載の方法。
100. 前記モル比が、1:1~1:8または1:2~1:6、任意で1:4または約1:4である、態様65~99のいずれか1つに記載の方法。
101. 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、両端の値を含めて6.8~7.5のpHでインキュベートされる、態様65~100のいずれか1つに記載の方法。
102. 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、両端の値を含めて7.0~7.4のpHでインキュベートされる、態様65~101のいずれか1つに記載の方法。
103. 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、7.2または約7.2のpHでインキュベートされる、態様65~102のいずれか1つに記載の方法。
104. 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、両端の値を含めて4℃~39℃の温度でインキュベートされる、態様65~103のいずれか1つに記載の方法。
105. 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とが、室温、任意で、両端の値を含めて20℃~25℃で、任意で23℃もしくは約23℃でまたは24℃もしくは約24℃でインキュベートされる、態様65~104のいずれか1つに記載の方法。
106. 複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とが、各々両端の値を含めて、15分間~6時間または30分間~2時間インキュベートされる、態様65~105のいずれか1つに記載の方法。
107. 複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とが、両端の値を含めて45分間~1.5時間、任意で1時間または約1時間インキュベートされる、態様65~106のいずれか1つに記載の方法。
108. 活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子とチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とのインキュベーションを、分子をN-エチルマレイミド(NEM)と接触させることによって終了させる、態様65~107のいずれか1つに記載の方法。
109. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーションの少なくとも一部分、および第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションの少なくとも一部分が、同時に別々で実施される、態様68~108のいずれか1つに記載の方法。
110. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子と活性化剤とのインキュベーション、および第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子とチオール化剤とのインキュベーションが、実質的に同じ長さの時間にわたって実施され、かつ/または実質的に同じ時に完了する、態様109に記載の方法。
111. チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子と活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子とをインキュベートする工程の前に、
(i)活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物から活性化剤を除去する工程;および/あるいは
(ii)チオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物からチオール化剤を除去する工程
を含む、態様68~110のいずれか1つに記載の方法。
112. 複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子と複数のチオール化ストレプトアビジンまたはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子とのインキュベーションが、第2の複数のストレプトアビジン分子とチオール化剤とのインキュベーションの終了後かつ/またはチオール化ストレプトアビジンもしくはチオール化ストレプトアビジンムテイン分子を含む組成物からのチオール化剤の除去後、15分以内に開始される、態様68~111のいずれか1つに記載の方法。
113. 第1の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子をスクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)と1時間または約1時間、7.2または約7.2のpHでインキュベートし、それによって、マレイミドチオール反応官能基を含む複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を生成する工程;
第2の複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を2-イミノチオランと1時間または約1時間、両端の値を含めて7.5~8.5のpHでインキュベートし、それによって、1つ以上のチオール官能基を含む複数のチオール化ストレプトアビジン分子を生成する工程;および
複数の活性化ストレプトアビジンまたは活性化ストレプトアビジンムテイン分子を複数のチオール化ストレプトアビジン分子と1時間または約1時間、7.2または約7.2のpHでインキュベートし、それによって、オリゴマー粒子試薬を含む粒子組成物を生成する工程
を含む、オリゴマー粒子試薬を作製するための方法であって、
複数の活性化ストレプトアビジン分子と複数のチオール化ストレプトアビジン分子とのインキュベーションが、第2の複数のストレプトアビジン分子と2-イミノチオランとのインキュベーションの終了後10分以内に開始される、方法。
114. オリゴマー粒子試薬を安定剤と接触させる工程をさらに含む、態様68~113のいずれか1つに記載の方法。
115. 前記安定剤が、オリゴマー粒子試薬のリジン残基上に存在するN-置換イミノチオランの量を低減させる、態様65~67または114のいずれか1つに記載の方法。
116. 前記安定剤が、オリゴマー粒子試薬のリジン残基上に存在するN-置換イミノチオランの量を、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の分低減させる、態様65~67または114~115のいずれか1つに記載の方法。
117. 前記安定剤がヒドロキシルアミンを含む、態様65~67および114~116のいずれか1つに記載の方法。
118. 前記安定剤が、クロマトグラフィーによって、任意でサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、オリゴマー粒子試薬から除去される、態様65~67および114~117のいずれか1つに記載の方法。
119. 前記オリゴマー粒子試薬が、150 nm未満の半径を有する、態様65~118のいずれか1つに記載の方法。
120. オリゴマー粒子試薬をフィルター滅菌する工程をさらに含む、態様65~119のいずれか1つに記載の方法。
121. 前記オリゴマー粒子試薬が、サイズ排除クロマトグラフィーによって、単量体またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン分子から分離される、態様65~67および69~120のいずれか1つに記載の方法。
122. サイズ排除限界が、100 kDa、500 kDa、750 kDa、1000 kDa、もしくは2000 kDaよりも大きいかまたは約100 kDa、約500 kDa、約750 kDa、約1000 kDa、もしくは約2000 kDaよりも大きい、態様113に記載の方法。
123. サイズ排除限界が、500 kDa~1000 kDaまたは約500 kDa~1000 kDaである、態様121または態様122に記載の方法。
124. サイズ排除限界が、75 kDaであるかまたは約75 kDaである、態様121~123のいずれか1つに記載の方法。
125. 空隙容量を含む1つ以上の画分を収集し、それによってオリゴマー粒子試薬を単量体またはより小さなオリゴマーストレプトアビジンまたはオリゴマーストレプトアビジンムテイン分子から分離する工程を含む、態様65~67および69~124のいずれか1つに記載の方法。
126. オリゴマー粒子試薬を、約4℃もしくは4℃未満、約-20℃もしくは-20℃未満、または約-80℃もしくは-80℃未満の温度で保存する工程をさらに含む、態様65~125のいずれか1つに記載の方法。
127. オリゴマー粒子試薬を1つ以上の作用物質と、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための条件下で混合する工程をさらに含む、態様65~126のいずれか1つに記載の方法。
128. 態様65~127のいずれか1つに記載の方法によって作製された、オリゴマー粒子試薬。
129. 請求項1~49のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬、請求項50~64のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬を含む組成物、または態様65~128のいずれか1つに記載の方法によって作製されたオリゴマー粒子試薬を1つ以上の作用物質と、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させるための条件下で混合する工程を含む、1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に多量体化する方法。
130. 前記1つ以上の作用物質が結合パートナーを含み、該結合パートナーが、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができる、態様127または態様129に記載の方法。
131. 前記結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様130に記載の方法。
132. 前記結合パートナーが、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様130または態様131に記載の方法。
133. 前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される分子に結合するかまたは結合することができる、態様130~132のいずれか1つに記載の方法。
134. 前記1つ以上の作用物質が、抗体またはその抗原結合断片を含む、態様130~133のいずれか1つに記載の方法。
135. 前記1つ以上の作用物質が、一価抗体断片であるかまたはそれを含む、態様134に記載の方法。
136. 前記1つ以上の作用物質が、Fabであるかまたはそれを含む、態様134または態様135に記載の方法。
137. 前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である、態様130~136のいずれか1つに記載の方法。
138. 前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができる刺激物質であるかまたはそれを含み、結合が標的細胞においてシグナルを誘導または調節する、態様137に記載の方法。
139. 前記標的細胞が免疫細胞である、態様137または態様138に記載の方法。
140. 前記標的細胞がT細胞である、態様137~139のいずれか1つに記載の方法。
141. 前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、態様137~140のいずれか1つに記載の方法。
142. 前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記方法が、オリゴマー粒子試薬に第2の受容体結合物質を可逆的に結合させる工程をさらに含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、態様141に記載の方法。
143. 第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、態様142に記載の方法。
144. 第2の受容体結合物質が共刺激分子に特異的に結合し、かつ該共刺激分子がCD28である、態様142または態様143に記載の方法。
145. 前記1つ以上の作用物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体、任意で抗CD3 Fabおよび抗CD28 Fabである、態様127および129~144のいずれか1つに記載の方法。
146. 前記受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着因子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、態様137または態様138に記載のオリゴマー粒子試薬。
147. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、共刺激またはアクセサリー分子に結合し、かつ該共刺激またはアクセサリー分子が、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMから選択される、態様137、138、143、または144のいずれか1つに記載の方法。
148. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカイン受容体に特異的に結合し、かつ該サイトカイン受容体が、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2の中から選択される、態様137、138、143、または144のいずれか1つに記載の方法。
149. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、ケモカイン受容体に特異的に結合し、かつ該ケモカイン受容体が、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択される、態様137、138、143、または144のいずれか1つに記載の方法。
150. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカインまたはケモカイン産生を誘導する因子であり、かつ該因子が、サイトカインまたはケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドである、態様137、138、143、または144のいずれか1つに記載の方法。
151. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、
該リガンドが、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2に特異的に結合する;かつ/または
該リガンドが、IL-2、IL-1、IL-15、IFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、およびTNFの中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である、
態様150に記載の方法。
152. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、
該リガンドが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択されるケモカイン受容体に特異的に結合する;または
該リガンドが、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21、およびCCL25の中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である、
態様151に記載のオリゴマー粒子試薬。
153. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が接着分子であり、かつ該接着分子が、CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA-1)、CD29、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA-4)、CD106(VCAM-1)の中から選択されるか、またはその生物学的に活性な断片である、態様137、138、143、または144のいずれか1つに記載の方法。
154. 前記1つ以上の作用物質が選択物質を含み、該選択物質が、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる、態様127~153のいずれか1つに記載の方法。
155. 前記標的細胞が免疫細胞である、態様154に記載の方法。
157. 前記標的細胞が、リンパ球または抗原提示細胞である、態様154または態様155に記載の方法。
158. 前記標的細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である、態様154~156のいずれか1つに記載の方法。
159. 前記標的細胞がT細胞である、態様154~158のいずれか1つに記載の方法。
160. 前記選択マーカーが、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROである、態様154~159のいずれか1つに記載の方法。
161. 態様65~160のいずれか1つに記載の方法によって作製されたオリゴマー粒子試薬を含む、組成物。
162. 態様65~161のいずれか1つに記載の方法によって作製された複数のオリゴマー粒子試薬を含む、組成物。
163. 態様1~49のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬、または態様50~64または161~162のいずれか1つに記載の組成物を含む、製造物品。
164. 態様1~49のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬の存在下または態様50~64もしくは161~163のいずれか1つに記載の組成物の存在下で、標的細胞を含む細胞組成物をインキュベートし、それによって標的細胞を調節する工程を含む、細胞を調節するための方法。
165. 標的細胞を調節する工程が、標的細胞の活性化、濃縮、および/または増大を含む、態様164に記載の方法。
166. 態様1~49のいずれか1つに記載のオリゴマー粒子試薬の存在下または態様50~64もしくは161~163のいずれか1つに記載の組成物の存在下で、標的細胞を含む細胞組成物をインキュベートする工程を含む、細胞を培養するための方法。
167. 前記オリゴマー粒子試薬が、1つ以上の作用物質に可逆的に結合している、態様164~166のいずれか1つに記載の方法。
168. 前記1つ以上の作用物質が結合パートナーを含み、該結合パートナーが、オリゴマー粒子試薬上の1つ以上の結合部位に結合することができそれによって1つ以上の作用物質をオリゴマー粒子試薬に可逆的に結合させる、態様167に記載の方法。
169. 前記結合パートナーが、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様168に記載の方法。
170. 前記結合パートナーが、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様168または169に記載の方法。
171. 前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される分子に結合するかまたは結合することができる、態様167~170のいずれか1つに記載の方法。
172. 前記1つ以上の作用物質が、抗体、任意でFabを含む、態様167~171のいずれか1つに記載の方法。
173. 前記1つ以上の作用物質が、標的細胞の表面上に発現される受容体に結合するまたは結合することができる受容体結合物質である、態様167~172のいずれか1つに記載の方法。
174. 前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができそれによって標的細胞においてシグナルを誘導または調節する刺激物質であるか、またはそれを含む、態様173に記載の方法。
175. 前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、態様173または態様174に記載の方法。
176. 前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記方法が、オリゴマー粒子試薬に第2の受容体結合物質を可逆的に結合させる工程をさらに含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、態様175に記載の方法。
177. 第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、態様176に記載の方法。
178. 前記受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着因子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、態様176または177に記載の方法。
179. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、共刺激またはアクセサリー分子に結合し、かつ該共刺激またはアクセサリー分子が、CD28、CD90(Thy-1)、CD95(Apo-/Fas)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、LAT、CD27、OX40、またはHVEMから選択される、態様174、175、177、または178のいずれか1つに記載の方法。
180. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカイン受容体に特異的に結合し、かつ該サイトカイン受容体が、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2の中から選択される、態様174、175、177、または178のいずれか1つに記載の方法。
181. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、ケモカイン受容体に特異的に結合し、かつ該ケモカイン受容体が、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択される、態様174、175、177、または178のいずれか1つに記載の方法。
182. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカインまたはケモカイン産生を誘導する因子であり、かつ該因子が、サイトカインまたはケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドである、態様174、175、177、または178のいずれか1つに記載の方法。
183. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、サイトカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、
該リガンドが、IL-2R、IL-1R、IL-15R、IFN-γR、TNF-αR、IL-4R、IL-10R、I型IFNR、IL-12R、IL-15R、IL-17R、TNFR1、およびTNFR2に特異的に結合する;かつ/または
該リガンドが、IL-2、IL-1、IL-15、IFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、およびTNFの中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である、
態様182に記載の方法。
184. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が、ケモカイン受容体に特異的に結合するリガンドであり、
該リガンドが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、およびCXCR4の中から選択されるケモカイン受容体に特異的に結合する;または
該リガンドが、CXCL9、CXCL10、CCL19、CCL21、およびCCL25の中から選択されるか、もしくはその生物学的に活性な断片である、
態様183に記載の方法。
185. 前記受容体結合物質(第2の受容体結合物質)が接着分子であり、かつ該接着分子が、CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA-1)、CD29、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA-4)、CD106(VCAM-1)の中から選択されるか、またはその生物学的に活性な断片である、態様174、175、177、または178のいずれか1つに記載の方法。
186. 前記1つ以上の作用物質が選択物質を含み、該選択物質が、標的細胞の表面上に発現される選択マーカーに結合するかまたは結合することができる、態様164~185のいずれか1つに記載の方法。
187. 前記標的細胞が免疫細胞である、態様186に記載の方法。
188. 前記標的細胞が、リンパ球または抗原提示細胞である、態様186または態様187に記載の方法。
189. 前記標的細胞が、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である、態様186~188のいずれか1つに記載の方法。
190. 前記標的細胞がT細胞である、態様186~189のいずれか1つに記載の方法。
191. 前記選択マーカーが、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROである、態様186~190のいずれか1つに記載の方法。
192. 前記標的細胞が、血液細胞、白血球、リンパ球、B細胞、B細胞の集団、T細胞、T細胞の集団、NK細胞、樹状細胞、および/またはマクロファージを含む、態様186~191のいずれか1つに記載の方法。
193. 前記標的細胞が、組換え受容体を発現する、態様186~192のいずれか1つに記載の方法。
194. 前記標的細胞が、組換えT細胞受容体および/またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、態様186~193のいずれか1つに記載の方法。
195. 前記標的細胞が、疾患および/またはがんに関連する抗原に結合するCARを発現する、態様186~194のいずれか1つに記載の方法。
196. 前記抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9、CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、癌胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Ra)、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、または病原体特異的抗原である、態様195に記載の方法。
197. 1つ以上の作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の可逆的結合を破壊する工程をさらに含む、態様186~196のいずれか1つに記載の方法。
198. 前記破壊が、1つ以上の作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の結合を逆転させることができる物質を含む組成物の標的細胞への導入を含む、態様197に記載の方法。
199. 前記物質が、遊離の結合パートナーである、かつ/または競合物質である、態様198に記載の方法。
200. 前記破壊が、標的細胞、任意でT細胞において1つ以上の作用物質によって誘導されたまたは調節されたシグナルを終わらせるかまたは小さくする、態様197~199のいずれか1つに記載の方法。
201. 前記物質が、ストレプトアビジン結合ペプチド、ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、任意でD-ビオチン、またはビオチン類似体もしくは生物学的に活性な断片を含む、態様197~200のいずれか1つに記載の方法。
202. 前記物質が、
からなる群より選択されるストレプトアビジン結合ペプチドである、態様201に記載の方法。
203. 前記破壊が、前記インキュベーションの開始後5日以内に実施される、態様197~202のいずれか1つに記載の方法。
204. 前記1つ以上の受容体結合物質が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様164~203のいずれか1つに記載の方法。
205. 前記1つ以上の受容体結合物質が、一価抗体断片であるかまたはそれを含む、態様204に記載の方法。
206. 前記1つ以上の作用物質が、Fabであるかまたはそれを含む、態様204または態様205に記載の方法。
207. 前記標的細胞が免疫細胞である、態様164~206のいずれか1つに記載の方法。
208. 前記標的細胞がT細胞である、態様164~207のいずれか1つに記載の方法。
209. 前記受容体結合物質が、標的細胞の表面上の分子に結合することができる刺激物質であるかまたはそれを含み、結合が標的細胞においてシグナルを誘導または調節する、態様176~208のいずれか1つに記載の方法。
210. 前記受容体結合物質が、T細胞においてTCR/CD3複合体関連シグナルを開始することができ、TCR/CD3複合体のメンバーに結合し;かつ/またはCD3に特異的に結合する、請求項176~209のいずれか1つに記載の方法。
211. 前記刺激物質が第1の受容体結合物質であり、かつ前記オリゴマー粒子試薬が第2の受容体結合物質を含み、該第2の受容体結合物質が、標的細胞の表面上の第2の分子に特異的に結合することができ、該第2の分子に対する結合が任意で、標的細胞においてシグナルを誘導または調節することができる、請求項209または請求項210に記載の方法。
212. 第2の受容体結合物質が、共刺激分子、アクセサリー分子、免疫チェックポイント分子に特異的に結合するか、TNFファミリーまたはTNFファミリー受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体のメンバーであるか、あるいは、接着分子、またはサイトカイン産生、ケモカイン産生、および/もしくは接着分子の発現を誘導する因子であるかまたはそれを含む、請求項211に記載の方法。
213. 第2の受容体結合物質が共刺激分子に特異的に結合し、かつ該共刺激分子がCD28である、請求項211または請求項212に記載の方法。
214. 前記1つ以上の作用物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体、任意で抗CD3 Fabおよび抗CD28 Fabである、請求項176~213のいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0560】
VIII. 実施例
以下の実施例は、例証目的のみで含まれ、本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0561】
実施例1:ストレプトアビジンムテインを含むオリゴマー試薬を調製するための方法
オリゴマー試薬を、STREP-TACTIN(登録商標)M2(SEQ ID NO:61に示されるアミノ酸のムテイン配列を含むストレプトアビジンホモ四量体;例えば、米国特許第6,103,493号およびVoss and Skerra (1997) Protein Eng., 1:975-982を参照)と名付けられた例示的ストレプトアビジンムテインをポリマー化することによって調製した。オリゴマー化用のストレプトアビジンムテインを調製するために、1つ以上の反応性チオール基を含むストレプトアビジンムテインを、マレイミド活性化ストレプトアビジンムテインと一緒にインキュベートした。チオール化ストレプトアビジンムテインを調製するために、約100 mgのストレプトアビジンムテイン四量体を、2.6 mLの総体積で100 mMホウ酸塩緩衝液中で1時間にわたって24℃で約8.5のpHにてモル比1:100で2-イミノチオラン塩酸塩とインキュベートすることによって、チオール化した。マレイミドを導入する活性化反応では、約400 mgのストレプトアビジンムテイン四量体を、リン酸ナトリウム緩衝液中で約10.4 mLの総体積で1時間にわたって24℃で約7.2のpHにてモル比1:2でスクシンイミジル6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)とインキュベートした。チオール化反応およびマレイミド活性化反応をほぼ同時に始まるように協調させ、反応の期間を制御した。
【0562】
反応後、STREP-TACTIN(登録商標)M2と反応しなかった2-イミノチオラン塩酸塩およびSMPHを、低分子量反応副生成物(主にはNHS)と共に、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)による試料のゲルろ過を個別に行うことによって、試料から除去した。各2.5 mLの試料体積について、PD-10カラム(8.3 mlベッドボリューム)を平衡化し、チオール化ムテインストレプトアビジンまたはマレイミドムテインストレプトアビジンのいずれかを付加し、溶出を、3.5 mLのカップリング緩衝液(100 mM NaH2P4、150 mM NaCl、5 mM EDTA、pH 7.2)を加えることによって行った。マレイミドムテインストレプトアビジンのゲルろ過を、>10 mL体積を占める4つのカラムに対して行い、溶出液をプールした。活性化およびチオール化反応のタイミング、ならびに活性化およびチオール化反応の終了とオリゴマー化反応の開始との間のタイミングを慎重に制御した。概して、ゲルろ過の開始、すなわち、活性化およびチオール化反応の終了から、オリゴマー化反応を開始するときまで、10分またはおよそ10分経過させた。
【0563】
オリゴマー化では、次いで、マレイミドストレプトアビジンムテインおよびチオール化ストレプトアビジンムテイン試料を約17.5 mLの全体体積に組み合わせ、約600 rpmでの攪拌条件下で24℃で7.2のpHにて1時間インキュベートした。2-イミノチオラン塩酸塩とのときより4倍多くのストレプトアビジンムテインがSMPHとインキュベートされたことから、チオール化ストレプトアビジンムテインとマレイミドストレプトアビジンムテインとのモル比はオリゴマー化反応時に1:4であった。反応後、オリゴマー化ストレプトアビジンムテイン試薬の残ったSH基を、攪拌(約600 rpm)しながら24℃にて15分間のN-エチルマレイミド(NEM)とのインキュベーション、その後に続く4℃でさらに16~20時間にわたるインキュベーションによって飽和した。
【0564】
NEMとのインキュベーション後、オリゴマー化Strep-Tactinムテインを含む試料を遠心分離し、上清を0.45μm膜(Merck Millipore のMillex-HP 0.45μm)を通してろ過した。次いで、ろ過した溶液を、AKTA Explorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のためにカラム(Sephacryl S-300 HR HiPrep 26/60、GE Healthcare)の上に負荷した。収集の終了時に1500 mAU以上のミリ吸光度単位(mAU)を有する画分をプールした。
【0565】
オリゴマーストレプトアビジンムテインを含むプールした試料を、室温にて15分間にわたって890 mM pH 6.35の添加によって100 mMヒドロキシルアミンで処理した。処理後ヒドロキシルアミンを除去するために、試料を、100 mM NaH2PO4、140 mM NaCl、1 mM EDTA、pH 7.2で平衡化したPD10カラム(カラム当たり2.5 mL)の上に負荷し、3.5 mLの同じ緩衝液(100 mM NaH2PO4、140 mM NaCl、1 mM EDTA、pH 7.2.)で溶出した。PD10溶出液をプールし、0.45μmフィルター続いて0.22μmフィルターで滅菌ろ過し、次いで、試料を-80℃で凍結および保存した。凍結前に、オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の最終濃度を測定し、オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬のサイズを動的光散乱(DLS)によって決定した。
【0566】
オリゴマー化プロセスの均一性を評価するために、10種類のオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を、5種類の異なるロットのストレプトアビジンムテイン(SAM)から上述の方法を用いて調製した。オリゴマーの平均サイズ、パーセント収量(ベースライン補正なしに280 nmでの吸光度を測定することによって決定される)、および活性(ビオチン結合)を評価した。結果を表E1に示す。結果は、結果として生じるオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬が、これらのパラメーターにおいて97 nm±10 nmの平均半径および40 nmol/mg±3 nmol/mgの平均ビオチン結合と一致していることを示した。
【0567】
(表E1)異なるバッチ由来のオリゴマー化STREP-TACTINの比較
【0568】
上記のように作製した3種類のオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の平均分子量(MW)を、UV検出(MALLS DAWN HELEOS(Wyatt)と一体化したAgilent UV検出器)を備えたHPLCシステム(AGILENT 1100およびWyatt ECLIPSE DUALTEC)によって実施した非対称フローフィールドフローフラクショネーション(AF4)によって測定した。AF4による測定は、52,500 g/mol(52.5 kDa)のストレプトアビジンムテイン四量体の平均分子量と仮定して、各オリゴマー試薬におけるストレプトアビジンムテイン四量体の平均数の計算を可能にした(表E2)。
【0569】
(表E2)オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬のサイズおよび分子量
【0570】
実施例2:ストレプトアビジンムテイン試薬のオリゴマー化に影響を与えるパラメーターの評価
実施例1に記載した方法における種々のパラメーターを評価し、オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を作製するための手法の様々な局面に対する影響を評価した。
【0571】
A. pHレベル
オリゴマーサイズおよび産物収量に対する様々なpHでのチオール化反応の実施の影響を評価した。イミノチオランを塩酸塩として購入した。100 mg/mLの濃度へのpH 8.5の100 mMホウ酸塩緩衝液でのその溶解は、pH 7.8へ±0.7単位のpH低下を引き起こした。ホウ酸塩緩衝液がより低い強さで、すなわち25 mMで用いられる場合、100 mg/mLの濃度へのイミノチオラン塩酸塩の添加は、pH 6.9へ1.6単位の大きなpH低下を引き起こした。チオール化反応を、pH 7.5、pH 8.5、およびpH 9.5の25 mMホウ酸塩緩衝液中でのモル比1:100での100 mgのストレプトアビジンムテインと2-イミノチオラン塩酸塩とのインキュベーションによって、様々なpHで実施した。チオール化ストレプトアビジンムテインをマレイミド活性化ストレプトアビジンムテインと組み合わせ、オリゴマー化プロセスを実施例1に本質的に記載のように行った。表E3に示すように、チオール化反応によって用いられるホウ酸塩緩衝液のpHの低下は、オリゴマーサイズおよび収量の低下をもたらし、pHの増加は、サイズおよび収量の増加をもたらした。不注意による材料の減少がpH 9.5の条件による実験の間に生じ、収量の減少をもたらした。表E3の括弧内の値は、減少が生じなかったとして計算した収量を反映する。
【0572】
(表E3)様々なpHでのチオール化後のSTREP-TACTINオリゴマーサイズおよび収量
【0573】
より強い緩衝液(すなわち、最終反応混合物における付随するpH増加を伴う25 mMホウ酸塩緩衝液と比較しての100 mMホウ酸塩緩衝液)が反応速度論を変えるかどうかを評価するために、イミノチオラン活性化反応を実施例1に記載したように実施した。正味チオール機能含量を、反応時の複数時点にてエルマン試薬によって決定した。100 mMホウ酸塩緩衝液中での反応速度を
図1に図示し、反応を25 mMホウ酸塩緩衝液中で実施した時より、早いことおよびより多くのSH基を導入したことを観察した。イミノチオラン活性化反応は、25 mM緩衝液に代えて100 mM緩衝液を用いたときに反応が起こるより高い最終pHの結果である、25mMホウ酸塩緩衝液中で反応を実施したときの50~150分間と比較して、100 mMホウ酸塩緩衝液中での反応の開始後始まってすぐ25分でチオール機能のピーク濃度を達成した。
【0574】
オリゴマー化プロセスの他の工程に対するpHの作用も評価した。オリゴマー化反応を、異なるpH、pH 8.3および8.5の反応緩衝液(25 mMホウ酸塩)によって、および異なるpH、pH 7.0および7.2のカップリング緩衝液(100 mMリン酸塩)によって実施した。より低いpH(8.5の代わりに8.3)でのチオール化反応の実施は、より低いpH(7.3の代わりに7.0)での活性化またはカップリング反応の実施よりオリゴマーサイズに対してより大きな影響を有した。しかしながら、pH 7.0での活性化反応またはカップリング反応の実施は、pH 7.2での反応の実施と比較してオリゴマーサイズを低減させた。
【0575】
B. チオール化反応に対するタイミングおよびpHの作用
イミノチオラン活性化(チオール化)ストレプトアビジンムテインの分析を行い、チオール機能の減衰が(マレイミドと反応できない)ジスルフィド形成またはN-置換イミノチオランへの異性化によるものであるかどうかを決定した。
【0576】
1つの実験において、正味チオール機能含量を、イミノチオランによるチオール化反応後に412 nmで吸光度を測定することによってエルマン試薬を用いて異なる時点で検出した。反応を、8.3または8.5の開始pHを有する25 mMホウ酸塩緩衝液により実施したが、反応時の実測pHは7をわずかに下回った。
図2に示すように、チオール機能含量は、50~150分間で最大に到達し(pH 8.5を用いると早く、pH 8.3を用いると遅く)、高さはpH依存性であった(pH 8.3を用いた場合と比較してpH 8.5を用いた場合が高い)。両pHでの反応時のストレプトアビジンムテインのチオール機能含量は3時間後に収束し、3時間後に、より高いpH 8.5を用いて作製されたストレプトアビジンムテインが、より多くのN-置換イミノチオランを含むことを明らかにした。追加の実験は、SH機能の減少は、ジスルフィド形成がSH機能の減少の原因である場合に元に戻される還元剤トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の添加によって影響を受けないことを示した。
【0577】
さらに、ストレプトアビジンムテインを、pH 8.3および8.5の25 mMホウ酸塩緩衝液を用いる10分間、50分間または390分間にわたるイミノチオランとのインキュベーションによってチオール化し、反応産物を、100 mM NaH2PO4、140 mM NaCl、1 mM EDTA、pH 7.0で0.4 mL/分の流速を用いかつAgilent Bio SEC-3 3μm 300Åカラムを用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を介して分析した。サイズの決定のために、分子量標準物質を利用した(
図3において158,000 Da、44,000 Da、17,000 daまたは1,350 Daでのピークによって示される)。SECの分析を
図3に示す、図中、非活性化ストレプトアビジンムテイン四量体は破線で示される。非活性化ムテイン四量体は、最低の保持時間を有することが観察された一方で、チオール化試料は、イミノチオランとの反応が長いほど(より小さな分子量と一致して)より遅く移動した。イミノチオランと反応した試料の観察されたピークは、本質的に同じ大きさであり、より低い保持時間を有するピークは観察されなかった。したがって、この分析から、ジスルフィド形成の場合には作製されるはずである、二量体またはそれより高次のオリゴマーは、イミノチオランとの長期反応時に作製されなかったと結論付けることができた。
【0578】
SH含量減衰に対するタイミングの作用を評価するために、25 mMホウ酸塩緩衝液中で異なるpH(pH 8.3、8.5、または8.7)での1時間または3時間のストレプトアビジンムテインのイミノチオラン活性化の終了時の正味チオール機能含量を評価した。反応およびPD10ゲルろ過後、エルマン試薬5,5′-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)を加えた後に412 nMにて吸光度を測定することによって、SH含量を決定した。反応は、412 nmに吸収極大を持つ5-チオ-2-ニトロ安息香酸イオンTNB2-を放出する。412 nmでの吸光度の増加を測定し、412 nmでのTNB2-イオンのモル吸光係数で割ることによって、分子の遊離スルフヒドリル含量を計算することができる。
図4に示すように、1時間反応後のチオール機能含量はpH依存性である一方で、3時間反応後では、チオール機能含量に対するpHの作用は非常にわずかであることが明らかになった。より長い活性化反応はチオール機能含量に対するpHの影響を減じ、それによって、pH依存性サイズ変動に対して反応をより強力なものにすることができるが、再異性化のために長期のサイズ不安定性の原因となり得るN-置換イミノチオランも増大させる可能性があると仮定される。
【0579】
チオール形成の非存在下でのチオール機能減衰を測定するために、チオール機能含量を、チオール化反応の終了後すなわちイミノチオラン試薬の除去後、複数の時点で測定した。チオール化ストレプトアビジンのSH含量を、PD10ゲルろ過により2-イミノチオランを除去した後の種々の時点でエルマン試薬により測定した。
図5に示すように、チオール機能の5%減衰を反応終了の10分後に検出し、26%減衰を反応の60分後に検出し、チオール機能の45%減衰を反応の120分後に検出した。SH低下の半減期は139分として計算された。これは、イミノチオランおよびSMPH活性化の終了と多量体化反応の開始との間に様々な時間枠を用いることの影響を示す。
【0580】
C. ストレプトアビジンムテインおよびSMPHのモル比
ストレプトアビジンムテインのオリゴマー化に対するSMPH活性化反応におけるSMPHおよびストレプトアビジンムテイン濃度の影響を評価するために、オリゴマー化手法を、SMPHおよびストレプトアビジンムテインの様々な濃度(±10%の範囲)で実施した。SMPHまたはストレプトアビジンの濃度の10%増加または減少は、ストレプトアビジンムテインオリゴマーサイズの検出可能な差をもたらした。いくつかの局面において、これらのパラメーター(Strep-TactinおよびSMPHの濃度)の精度は±2%より高いべきであることが推奨される。
【0581】
D. オリゴマーの安定化
チオール化由来の非反応性N-置換イミノチオランは、ストレプトアビジンムテインのリジン残基上および遊離N-末端に残存し、オリゴマーサイズの合成後増加の一因となる可能性がある。合成後オリゴマー成長に対するヒドロキシルアミン処理の作用を評価するために、オリゴマー化手法を、手法がイミノチオランによる1時間活性化反応(試料1および2)またはイミノチオランによる3.5時間活性化反応(試料3および4)のいずれかを伴う点を除いて、実施例1に記載されているように実施した。さらに、これらの試験において、SECを実施した後に、オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を含む試料は、室温にて15分間にわたる6.35のpHでの100 mMヒドロキシルアミン(HA)による処理(試料1および3)、またはヒドロキシルアミン処理なし(試料2および4)のいずれかを受けた。試料を、-80℃、4℃、または37℃のいずれかで保存される画分に分割した。オリゴマーサイズを、合成の直後(0日目)ならびに合成後1週、3週、および9週でDLSによって測定した。結果を表E4に示す。
【0582】
(表E4)合成後成長に対する保存温度およびヒドロキシルアミン処理の作用
【0583】
表E4に示すように、ヒドロキシルアミン処理は、4℃および37℃の温度での保存時にオリゴマーの成長を低減させた。ヒドロキシルアミン処理に関係なく、サイズは-80℃での保存時に安定であることが観察された。試料3および4は3.5時間にわたって活性化され、オリゴマーのより明白な合成後成長を示した。理論に拘束されることを望むものではないが、いくつかの局面において、3.5時間の活性化時間は、1時間の活性化時間ほどpH変動に対して感受性を有さない(実施例2Bを参照)が、より高い含量のN-置換イミノチオランをもたらす可能性がある。まとめると、結果は、ヒドロキシルアミン処理がストレプトアビジンムテインオリゴマーの合成後成長を低減させることを示した。データは、-80℃での保存がオリゴマーの安定性を増強することも明らかにした。したがって、いくつかの局面において、ヒドロキシルアミン処理とその後の-80℃の温度での保存との両方の組み合わせは、長期保存時を含む、均一なサイズを維持するための安定性の増強を提供する可能性がある。
【0584】
実施例3:ストレプトアビジンムテインオリゴマーに可逆的に結合しているオリゴマー化抗CD3および抗CD28 Fab断片を含む、可溶性刺激試薬の作製
刺激物質(抗CD3および抗CD28 Fab断片)を、実施例1に記載したように作製したオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬への可逆的結合によって多量体化した。抗CD3および抗CD28 Fab断片を、各Fab断片に融合させたストレプトアビジンペプチド結合パートナーを介してストレプトアビジンムテインオリゴマーに可逆的に結合させた。抗CD3 Fab断片は、ハイブリドーマ細胞株OKT3(ATCC(登録商標)CRL-8001(商標);米国特許第4,361,549号も参照)によって生成されたCD3結合モノクローナル抗体に由来し、Arakawa et al J. Biochem. 120, 657-662 (1996)に記載される抗CD3抗体OKT3の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含んだ。これらの配列はそれぞれ、SEQ ID NO: 31および32に示される。抗CD28 Fab断片は、抗体CD28.3(GenBankアクセッション番号AF451974.1で合成単鎖Fv構築物として寄託;Vanhove et al., BLOOD, 15 July 2003, Vol. 102, No. 2, pages 564-570も参照)に由来し、それぞれSEQ ID NO: 33および34に示される抗CD28抗体CD28.3の重鎖および軽鎖可変ドメインを含んだ。Fab断片を、その重鎖のカルボキシ末端で、アミノ酸の配列
を有する2つのストレプトアビジン結合分子の連続的アライメントを含むストレプトアビジンペプチド結合配列に個別に融合させた。ペプチドタグ付けFab断片を組換えで生成した(国際特許出願公開第WO 2013/011011号および第WO 2013/124474号を参照)。
【0585】
可逆的結合を行うために、ペプチドタグ付け抗CD3および抗CD28 Fab断片を、概ね室温にてオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬と混合し、それによって、試薬上の結合部位に可逆的に結合することができる結合パートナーである、Fab断片上のtwin-strep-tag間の相互作用を介してそれらを試薬に可逆的に結合した。いくつかの場合において、ペプチドタグ付けFab断片を、オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の上への固定化の前に予め混合し、いくつかの場合には、異なるFab分子のより均一な分布をもたらすことができる。
【0586】
実施例4:ストレプトアビジンムテインオリゴマーに可逆的に結合しているオリゴマー化抗CD3および抗CD28 Fab断片の活性評価
実施例1に記載されたプロセスによって表E1に記載された各バッチに由来する種々のオリゴマーストレプトアビジン試薬に可逆的に結合されている、抗CD3および抗CD28 Fab断片を、T細胞を刺激する能力について評価した。これらのオリゴマーストレプトアビジン試薬は、約95 nmの平均半径を有した。細胞増殖の指標として細胞の代謝活性を、安定なテトラゾリウム塩WST-1の可溶性ホルマザン色素複合体への開裂を比色分析によりモニターすることによって評価した。
【0587】
3名の異なるドナーからのT細胞を、オリゴマーストレプトアビジン試薬上に可逆的に結合している抗CD3/抗CD28多量体化Fab断片と共にインキュベートした。細胞を、抗CD3/抗CD28 Fab断片にも可逆的に結合している、101(内部参照)または36 nmいずれかの平均半径を持つ対照オリゴマー試薬とも一緒にインキュベートした。インキュベーション後、WST-1試薬を細胞に適用し、代謝活性のレベルを、読み出し値として450 nmでの吸光度を測定することによって評価した。結果を、アッセイされている培養中の細胞の数に対して正規化し、細胞数当たりのWST-1の比として図示する。
【0588】
図6Bに示すように、試験した試薬のそれぞれで刺激されたT細胞の平均WST-1活性は同等であった。さらに、刺激の程度は全ての試験した試薬で類似しており、類似のサイズの内部参照試薬と同等であった(概して±2の標準偏差の範囲内で変化する)。
図6Aは、各試薬について別個のデータ点として図示したWST-1活性を示す。
図6Aおよび
図6Bは、WST-1活性によって観察されるような、T細胞の刺激は、より小さな36 nmオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬骨格上に多量体化した抗CD3/抗CD28 Fab用いるとより低いことを示す。
【0589】
実施例5:オリゴマーストレプトアビジンムテインを調製するための例示的方法
オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を、いくつかの改変を伴う実施例1に記載の方法に類似の例示的方法によって作製した。具体的には、NEMとのインキュベーション後、オリゴマー化ストレプトアビジンムテインを含む試料を遠心分離し、上清を0.45μm膜を通してろ過した。ろ過した溶液を次いで、室温にて15分間にわたって6.35のpHで100 mMヒドロキシルアミンによって処理した。次いで、試料を、AKTA Explorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)用のカラムの上に負荷した。1500 mAU以上のミリ吸光度単位(mAU)を有する画分をプールし、次いで、0.45μmフィルターその後0.22μmフィルターによって滅菌ろ過した。オリゴマー化ストレプトアビジンを-80℃で保存した。したがって、実施例1に記載の方法とは異なり、さらなるPD-10ベースのゲルろ過は行われなかった。
【0590】
例示的方法によって生成されたオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬のサイズおよび安定性を、実施例1に記載した方法によって生成されたオリゴマーと比較した。オリゴマーを、-80℃、4℃、または37℃のいずれかでの保存する画分に分割した。オリゴマーサイズを、合成直後(0日目)および合成後の種々の時点でDLSによって測定した。両方の方法とも、ヒドロキシルアミンをSEC後またはSEC前に除去しようとしまいと、同等のサイズおよび安定性のオリゴマーを生成した。
図11に示すように、-80℃または4℃で保存したオリゴマーは、合成後46週間もの間、10%未満のサイズの平均変化を示した。37℃で保存したオリゴマーは、合成後9週までにおよそ50%のサイズの増加を示した。
【0591】
実施例6:オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なる製造ロットの評価
異なる原材料バッチから構成された、異なるロットのオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を、キメラ抗原受容体(CAR)を有するT細胞を操作するためのプロセスの一部として評価した。3種類の別々のオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬ロットを、実質的に上記に記載されるようにSTREP-TACTIN(登録商標)M2の個別ロットから作製した。同じ製造ロットに由来する抗CD3および抗CD28 Fab含有融合ストレプトアビジンペプチド結合パートナーを、実質的に上記に記載されるように各ロットに由来する個別のストレプトアビジンムテインオリゴマーに可逆的に結合させた。3種類の別々のオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬ロットは、100 nm~109 nmの平均直径を有した。
【0592】
抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬の3種類の個別のロットを用いて、初代CD4+およびCD8+ T細胞を刺激した。CD4+T細胞対CD8+T細胞の指定された比率で選択細胞を組み合わせる前に、CD4+およびCD8+T細胞を3名の個別のドナー由来のアフェレーシス試料から個別に選択した。次いで、組み合わせたCD4+およびCD8+T細胞を、細胞を抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬の1つのロットとインキュベートする工程、レンチウイルスを形質導入する工程、次いで増大のために培養する工程を含む例示的な操作プロセスによって、キメラ抗原受容体(CAR)で操作した。拡大の完了前に、細胞をビオチンで処理し、ストレプトアビジンオリゴマー試薬から抗CD3/抗CD28 Fabを解離させた。インキュベーション、形質導入および培養のための条件は、抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートストレプトアビジンムテイン試薬の全ての試験したロットで同じであり、各ロットは、3種類のドナー試料のそれぞれについて最大で4回繰り返して試験した。操作されたT細胞の形質導入効率をモニターするために、レンチウイルスは、CAR発現を検出するための代替マーカーとして使用するためのリボソームスキッピング配列により切断型受容体から分離されたCARをコードするポリヌクレオチドを送達した。
【0593】
例示的操作プロセスの種々の段階での生存細胞の総数を定量した。Fabコンジュゲートストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬の添加(0日目)前におよびプロセスの様々な日に、細胞を生存染色で標識した。
図12Aおよび12Bに示すように、操作プロセスの様々な段階で測定した生存細胞の総量および生存細胞のパーセンテージは、異なるドナーから得られかつFab-コンジュゲートストレプトアビジンムテインオリゴマー試薬の異なるロットを用いる細胞間で一致した。
【0594】
形質導入効率を、例示的操作プロセスから収集した細胞において測定した。細胞を、CD4、CD8、および代替マーカーに特異的な抗体で標識し、フローサイトメトリーによって分析した。総生存T細胞内でのCAR+細胞、CAR+CD4+細胞、CAR+CD8+細胞のパーセンテージを
図13に示す。形質導入効率は、異なるFab-コンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬ロット間で一致し、観察された生存率は主にドナー供給源に依存した。
【0595】
操作されたCAR+T細胞を、メモリーまたは疲弊表現型に関連する様々なマーカーについても調べた。T細胞を、CD3、CD4、CD8、および代替マーカー、ならびにメモリー関連マーカーCCR7、CD27、CD28、CD45RA、CD45RO、およびCD62L、または疲弊関連マーカーCCR7、LAG3、PD-1、およびTIM3に特異的な抗体で標識し、次いでフローサイトメトリーによって分析した。メモリー関連または疲弊関連マーカーについての染色において優位な変動は観察されなかった。メモリー関連および疲弊関連表現型マーカーによる主成分分析を実施した。Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の個別のロットよりむしろドナーにより分類した累積データ比較に由来するクラスターが、操作プロセス時に生じる可能性があるT細胞のメモリーおよび疲弊関連表現型に対する試薬の均一性に一致していた。
【0596】
操作されたCAR+T細胞を、StrepTactin-PE染色による残留抗CD3および抗CD28 Fabの検出によって、またはStrepTactinに特異的な抗体による残留ムテインストレプトアビジンの検出によって、細胞表面上の残留Fabまたはムテインストレプトアビジンの存在について分析した。
図14に示すように、生存T細胞の1%未満がFabまたはムテインストレプトアビジンについて陽性であった。
【0597】
CAR依存性抗原活性を、CARの標的抗原を発現する照射細胞と操作されたCAR+T細胞を共培養することによって評価した。照射した抗原発現細胞の非存在下で培養したT細胞は、陰性対照として機能した。共培養の4時間後に、T細胞を、細胞内サイトカイン染色(ICS)によって細胞内IL-2、IFNγ、およびTNFαについて評価し、CAR発現およびCD3を示す代替マーカーについて染色し、フローサイトメトリーによって評価した。IL-2、IFNγ、およびTNFαについて陽性である細胞のパーセンテージ、ならびに2種類または3種類のサイトカインを発現する細胞のパーセンテージ、異なるドナーに起源を持つCAR+CD3+T細胞間でおよびFab-コンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なるロットの存在下で生成された細胞間で、類似していることが観察された。
【0598】
細胞溶解活性を、5:1のエフェクター細胞対標的細胞の比率での操作されたCAR+T細胞とCARの標的抗原を発現する標的細胞との共培養後の操作されたCAR+T細胞において評価した。接着性標的細胞を電子マイクロタイタープレートのウェル内に播種し、標的細胞数を、取り付けられた電極間の電流のインピーダンスを測定することによって定量化した。対照として、標的細胞を、単独で、または参照抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズ試薬による例示的操作プロセス時にインキュベートしたT細胞と一緒に培養した。
図15に示すように、CAR+T細胞は、アッセイにおいて有効な死滅を実証した。観察された細胞溶解活性は、異なる個別のドナーから得られたT細胞間でおよびFabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の異なる製造ロット間で同等であった。
【0599】
まとめると、これらのデータは、提供される方法によって作製されたFabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の高度な均一性と一致している。
【0600】
本発明は、開示される特定の態様に範囲が限定されるよう意図されておらず、特定の態様は、例えば本発明の様々な局面を説明するために提供される。記載される組成物および方法の様々な改変は、本明細書中の説明および教示から明らかとなるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内に入るよう意図される。
【0601】
【配列表】