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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】チャイルドシート用ハンドルバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/16 20060101AFI20230829BHJP
   B62J 1/00 20060101ALI20230829BHJP
   B62J 1/28 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B62J1/16 Z
B62J1/00 D
B62J1/28 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020025160
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130332
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一朗
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-68968(JP,U)
【文献】特開2007-302094(JP,A)
【文献】特開平9-95240(JP,A)
【文献】特開2005-351348(JP,A)
【文献】特許第5718279(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00
B62J 1/14- 1/16
B62J 1/28
B62B 7/00- 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドシートの前部に設けられて左右方向に延び、チャイルドシートに座った幼児が把持するハンドルバーであって、
被連結部と、前記被連結部が着脱可能に連結された連結機構部と、を備え、
前記被連結部を前記連結機構部から離脱することで、前記ハンドルバーが、前記ハンドルバーの中心軸線に沿う軸方向に分断され、
前記連結機構部は、
前記軸方向に延びるとともに、前記軸方向の端部に形成された開口部から内側に向けて前記被連結部が着脱可能に挿入されたケース体と、
前記ケース体の内側に設けられ、前記軸方向に付勢された作動部材と、
前記ケース体の内側に、前記被連結部を前記中心軸線回りに囲うように複数設けられ、前記作動部材に形成された押込み部に係合することで、前記軸方向から見て、前記中心軸線に交差する径方向の内側に付勢されたラッチと、
前記作動部材に連係し、かつ少なくとも一部が前記ケース体の外部に露呈し、前記ケース体に移動可能に設けられた操作部材と、を備え、
前記ラッチは、
前記被連結部に係合することで、前記被連結部が前記ケース体の内側から抜けるのを規制する規制部と、
前記押込み部により径方向の内側に向けて押込まれる被押込み部と、を備え、
前記操作部材の操作に伴い、前記操作部材が、前記作動部材を前記軸方向の一方側に移動させたときに、前記押込み部による前記被押込み部に対する径方向の内側に向けた押込みが解除され
前記ラッチは、前記作動部材に形成された押下げ部に前記軸方向で当接、若しくは近接する後退入力部を備え、
前記操作部材の操作に伴い、前記操作部材が、前記作動部材を前記軸方向の一方側に向けて移動させたときに、前記押下げ部が前記後退入力部に係合することで、前記ラッチが径方向の外側に向けて後退させられる、チャイルドシート用ハンドルバー。
【請求項2】
前記後退入力部は、前記被押込み部を前記中心軸線回りに沿う周方向に挟む両側に各別に設けられている、請求項1に記載のチャイルドシート用ハンドルバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシート用ハンドルバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に示されるように、チャイルドシートの前部に設けられて左右方向に延び、チャイルドシートに座った幼児が把持するチャイルドシート用ハンドルバーが知られている。
この種のハンドルバーとして、チャイルドシートに対して幼児を容易に乗り降りさせるために、被連結部と、被連結部が着脱可能に連結された連結機構部と、を備え、被連結部を連結機構部から離脱することで、ハンドルバーが、ハンドルバーの中心軸線に沿う軸方向に分断される構成を採用することが考えられる。
この構成では、被連結部を連結機構部から離脱して、ハンドルバーを軸方向に分断しておき、この分断部分を、幼児を通過させることで、チャイルドシートに対して幼児を容易に乗り降りさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5718279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被連結部および連結機構部を備えたチャイルドシート用ハンドルバーにおいては、チャイルドシートに対して幼児をより容易に乗り降りさせるために、連結機構部から鋭利な突起部分等が露出していない構成が求められる。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、連結機構部から鋭利な突起部分等を露出させず、チャイルドシートに対して幼児をより容易に乗り降りさせることができるチャイルドシート用ハンドルバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のチャイルドシート用ハンドルバーは、チャイルドシートの前部に設けられて左右方向に延び、チャイルドシートに座った幼児が把持するハンドルバーであって、被連結部と、前記被連結部が着脱可能に連結された連結機構部と、を備え、前記被連結部を前記連結機構部から離脱することで、前記ハンドルバーが、前記ハンドルバーの中心軸線に沿う軸方向に分断され、前記連結機構部は、前記軸方向に延びるとともに、前記軸方向の端部に形成された開口部から内側に向けて前記被連結部が着脱可能に挿入されたケース体と、前記ケース体の内側に設けられ、前記軸方向に付勢された作動部材と、前記ケース体の内側に、前記被連結部を前記中心軸線回りに囲うように複数設けられ、前記作動部材に形成された押込み部に係合することで、前記軸方向から見て、前記中心軸線に交差する径方向の内側に付勢されたラッチと、前記作動部材に連係し、かつ少なくとも一部が前記ケース体の外部に露呈し、前記ケース体に移動可能に設けられた操作部材と、を備え、前記ラッチは、前記被連結部に係合することで、前記被連結部が前記ケース体の内側から抜けるのを規制する規制部と、前記押込み部により径方向の内側に向けて押込まれる被押込み部と、を備え、前記操作部材の操作に伴い、前記操作部材が、前記作動部材を前記軸方向の一方側に移動させたときに、前記押込み部による前記被押込み部に対する径方向の内側に向けた押込みが解除される。
【0007】
この発明によれば、操作部材の操作に伴い、操作部材が、作動部材を軸方向の一方側に移動させたときに、作動部材の押込み部によるラッチの被押込み部に対する径方向の内側に向けた押込みが解除されるので、ラッチを径方向の外側に向けて移動させ、ラッチの規制部と被連結部との係合を解除することが可能になり、被連結部を、ケース体の開口部から抜き出すことができる。これにより、被連結部が連結機構部から離脱されて、ハンドルバーが軸方向に分断される。
その後、操作部材の操作を解除すると、軸方向に付勢されている作動部材が復元移動することで、押込み部および被押込み部が互いに係合し、ラッチが径方向の内側に向けて復元移動する。
被連結部を、ケース体の内側に開口部を通して挿入すると、被連結部の先端部が、ラッチの規制部に摺接することで、ラッチを径方向の外側に向けて押し退けながら、ケース体の内側に向けて進入し、進入端位置に到達したときに、作動部材の押込み部により径方向の内側に向けて付勢されているラッチが、径方向の内側に向けて移動して、規制部が被連結部に係合することで、被連結部が、ケース体の開口部から抜けることが規制される。
以上の過程において、被連結部に係合する規制部、並びに、作動部材の押込み部に径方向の内側に向けて押込まれる被押込み部を有するラッチが、ケース体の内側に位置して作動するので、連結機構部から鋭利な突起部分等が露出するのを防ぐことが可能になり、チャイルドシートに対して幼児をより容易に乗り降りさせることができる。
【0008】
前記ラッチは、前記作動部材に形成された押下げ部に前記軸方向で当接、若しくは近接する後退入力部を備え、前記操作部材の操作に伴い、前記操作部材が、前記作動部材を前記軸方向の一方側に向けて移動させたときに、前記押下げ部が前記後退入力部に係合することで、前記ラッチが径方向の外側に向けて後退させられてもよい。
【0009】
この場合、ラッチが、作動部材に形成された押下げ部に軸方向で当接、若しくは近接する後退入力部を備えているので、作動部材を軸方向の一方側に向けて移動させたときに、押下げ部が後退入力部に係合することで、複数のラッチが径方向の外側に向けて後退させられる。これにより、作動部材を軸方向の一方側に向けて移動させれば、複数のラッチを自然に径方向の外側に向けて移動させ、規制部を被連結部から後退させることが可能になり、被連結部をケース体の開口部から容易に抜き出すことができる。
【0010】
前記後退入力部は、前記被押込み部を前記中心軸線回りに沿う周方向に挟む両側に各別に設けられてもよい。
【0011】
この場合、後退入力部が、被押込み部を周方向に挟む両側に各別に設けられているので、作動部材を軸方向の一方側に向けて移動させたときに、作動部材の押下げ部によって、ラッチを、例えば傾き等を生じさせずに、径方向の外側に向けて安定して移動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、連結機構部から鋭利な突起部分等を露出させず、チャイルドシートに対して幼児をより容易に乗り降りさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る一実施形態として示したハンドルバーがチャイルドシートに装着された状態を示す概略図である。
図2図1の被連結部および連結機構部を示す縦断面図である。
図3図2において、作動部材を下方に移動させた状態を示す図である。
図4図2において、作動部材およびラッチの係合を説明する説明図である。
図5図4において、作動部材を下方に移動させた状態を示す図である。
図6図2図5において、紙面の右側から見た側面図である。
図7図6において、作動部材を下方に移動させた状態を示す図である。
図8図2に示すVIII-VIII線矢視断面図である。
図9図2に示すIX-IX線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るチャイルドシート用ハンドルバー1の一実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。
チャイルドシート用ハンドルバー1は、チャイルドシートSの前部に設けられて左右方向に延び、チャイルドシートSに座った幼児によって把持される。チャイルドシートSは、前方が開放された有底筒状に形成されている。ハンドルバー1は、チャイルドシートSの前部における左右方向の全長にわたって設けられている。
【0015】
ハンドルバー1は、被連結部11と、被連結部11が着脱可能に連結された連結機構部12と、を備え、被連結部11を連結機構部12から離脱することで、ハンドルバー1の中心軸線Oに沿う軸方向に、ハンドルバー1が分断される構成とされている。
これにより、被連結部11を連結機構部12から離脱して、ハンドルバー1を軸方向に分断しておき、この分断部分を、幼児を通過させることで、チャイルドシートSに対して幼児を容易に乗り降りさせることができる。そして、幼児がチャイルドシートSに座った後は、被連結部11を連結機構部12に連結する。
【0016】
本実施形態では、図1に示されるように、被連結部11は、チャイルドシートSの左端部に固定されている。そして、ハンドルバー1は、軸方向の一端部がチャイルドシートSの右端部に回転可能に連結されて、チャイルドシートSの前部を開閉するバー本体1aを備えている。連結機構部12は、バー本体1aの軸方向の他端部に設けられている。バー本体1aは剛性を有している。
なお、バー本体1aのうち、軸方向の他端部以外の部分は、例えば変形可能に形成されてもよい。被連結部11および連結機構部12は、1つのハンドルバー1において、軸方向に複数ずつ設けられてもよい。バー本体1aの形態は、図示の例に限らず適宜変更してもよい。
【0017】
図2に示されるように、被連結部11は、チャイルドシートSに固定された大径の基部17と、小径の先端部18と、を備えている。
基部17および先端部18はそれぞれ、軸方向に延びる柱状に形成されている。図示の例では、基部17および先端部18はそれぞれ、軸方向に延びる円柱状に形成されている。基部17および先端部18はそれぞれ、中心軸線Oと同軸に配設されている。
【0018】
以下、軸方向に沿って先端部18に対する基部17側を下方といい、軸方向に沿って基部17に対する先端部18側を上方という。軸方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
先端部18における上端部18bおよび下端部はそれぞれ、上方に向かうに従い縮径している。先端部18に、後述するラッチ15が着脱可能に係止される係止部18aが形成されている。係止部18aは、先端部18の外周面に形成された凹部となっている。係止部18aは、周方向に延びる溝となっている。係止部18aは、先端部18において、上端部18bと下端部との間に位置する中間部に形成されている。係止部18aの内面のうち、上端に位置して下方を向く上面は、軸方向に沿う縦断面視で、径方向に真直ぐ延びている。なお、係止部18aとして、先端部18の外周面に形成された凸部を採用してもよい。
【0020】
連結機構部12は、ケース体13、作動部材14、ラッチ15、および操作部材16を備えている。
【0021】
ケース体13は、外殻体21および内挿体22を備え、軸方向に延びている。外殻体21および内挿体22はそれぞれ、有頂筒状に形成されている。なお、外殻体21および内挿体22は一体に形成されてもよい。
【0022】
外殻体21の内周面は、上方に位置するものほど内径が小さい多段状に形成されている。外殻体21の外周面は、全域にわたって平滑に形成されている。外殻体21の外周面は、周方向の全長にわたって、被連結部11の基部17の外周面と軸方向に段差なく連なっている。外殻体21の内周面と、内挿体22の外周面と、の間に径方向の隙間が設けられている。外殻体21の内周面に、軸方向に延びる支持リブ21aが設けられている。支持リブ21aは、2つ設けられ、中心軸線Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。
【0023】
内挿体22は、環状の頂壁および周壁を有する有頂筒状の台座部23と、台座部23の頂壁の内周縁部から上方に向けて延び、かつ環状の頂壁および周壁を有する有頂筒状の中間筒部24と、中間筒部24の頂壁の内周縁部から上方に向けて延び、かつ環状の頂壁および周壁を有する有頂筒状の上筒部28と、を備えている。台座部23、中間筒部24、および上筒部28の順に、軸方向の大きさが徐々に大きく、かつ外径が徐々に小さくなっている。
【0024】
上筒部28の頂壁の上面は、外殻体21の頂壁の下面に当接している。上筒部28の頂壁の内側を通して、頭部付きボルトBが、外殻体21の頂壁の下面に形成されたねじ穴に螺着されて、内挿体22が外殻体21に固定されている。
台座部23、および外殻体21それぞれの下端開口縁の軸方向の位置は、互いに一致している。台座部23の下端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる閉塞フランジ部23aが形成されている。閉塞フランジ部23aの外周面は、外殻体21の内周面に当接、若しくは近接している。閉塞フランジ部23aの下面、台座部23の下端開口縁、および外殻体21の下端開口縁は、被連結部11の基部17の上面に当接、若しくは近接している。台座部23の下端開口部を通して、ケース体13の内側に被連結部11が着脱可能に挿入されている。
【0025】
図2および図9に示されるように、中間筒部24の下端部に、径方向に貫く挿通孔24aが形成されている。挿通孔24aは、2つ設けられ、中心軸線Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。挿通孔24aは、ケース体13の支持リブ21aの下端縁より下方に位置している。挿通孔24aは、径方向から見た正面視で周方向に長い長方形状を呈する。中間筒部24の外周面において、挿通孔24aの周方向の両端部に連なる部分に、径方向の内側に向けて窪む窪み部が形成されている。窪み部の底面24bは、軸方向から見て、2つの挿通孔24aが互いに対向する一方向に直交する他方向に延びている。各窪み部の底面24bにおける前記他方向の両端部は、中間筒部24の内周面および外周面に各別に連なっている。
【0026】
図2および図6に示されるように、中間筒部24の外周面において、挿通孔24aより上方に位置する部分に、挿通孔24aと軸方向で隣り合い、かつ径方向の外側に向けて突出したひさし部25が形成されている。ひさし部25は、径方向から見た正面視で周方向に長い長方形状を呈する。ひさし部25の周方向の大きさは、挿通孔24aの周方向の大きさより小さくなっている。ひさし部25、および挿通孔24aそれぞれの周方向の中央部は、互いに一致している。
【0027】
中間筒部24の外周面に、ひさし部25から上方に向けて延びる第1縦リブ26が形成されている。第1縦リブ26の上端縁、および中間筒部24の頂壁の上面それぞれの軸方向の位置は、互いに一致している。第1縦リブ26の周方向の大きさは、ひさし部25の周方向の大きさより小さくなっている。第1縦リブ26、およびひさし部25それぞれの周方向の中央部は、互いに一致している。第1縦リブ26、およびひさし部25それぞれの径方向の外端縁は、互いに軸方向に段差なく連なっている。第1縦リブ26の径方向の外端縁は、ケース体13の支持リブ21aの径方向の内端縁に当接、若しくは近接している。第1縦リブ26の上部と、支持リブ21aの下部と、が、互いに径方向に当接、若しくは近接している。
中間筒部24の外周面において、周方向で互いに隣り合う第1縦リブ26同士の間に位置する部分に、軸方向の全長にわたって延びる第2縦リブ27(図8)が形成されている。
【0028】
図6図8および図9に示されるように、操作部材16は、作動部材14に連係し、かつ少なくとも一部がケース体13の外部に露呈し、ケース体13に移動可能に設けられている。操作部材16は、径方向に延びる棒状に形成されている。図示の例では、操作部材16は、軸方向から見て、前述した窪み部の底面24bが延びる前記他方向(以下、押込み方向という。)に延びている。操作部材16には、軸方向に貫通し、かつ押込み方向に長い長孔16aが形成されている。長孔16aに、上筒部28が挿入されている。操作部材16は、押込み方向に移動可能に設けられている。操作部材16は、押込み方向の前側から後側に向かうに従い、上方に向けて延び、操作部材16の上端部が、外殻体21に形成された貫通孔を通して外殻体21の外周面から突出している。なお、操作部材16は、外殻体21の外周面から突出していなくてもよい。
【0029】
図7に示されるように、操作部材16の上端部を、ケース体13に対して押込み方向に押込むと、上筒部28が長孔16a内を相対的に押込み方向の後側に移動しつつ、操作部材16がケース体13に対して押込み方向の前側に移動する。操作部材16の下端部は、作動部材14の頂壁の上面に、押込み方向に摺動可能に当接している。なお、操作部材16は、例えば軸方向に移動可能に設けられてもよい。
ここで、図示の例では、ケース体13の上筒部28の中心軸線は、軸方向から見て、中心軸線Oに対して、操作部材16がケース体13から突出している側、つまり押込み方向の後側に位置ずれしている。なお、上筒部28は、中心軸線Oと同軸に配設されてもよい。
【0030】
図2図4図8、および図9に示されるように、ラッチ15は、ケース体13の内側に、被連結部11の先端部18を径方向の外側から囲うように、周方向に間隔をあけて複数設けられ、作動部材14に係合することで径方向の内側に付勢されている。ラッチ15は、周方向に等間隔をあけて複数設けられている。ラッチ15は、中間筒部24の外周面に沿って延びる湾曲した、周方向に延びる直方体状に形成されている。ラッチ15は、2つ設けられ、中心軸線Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。ラッチ15は、挿通孔24aを径方向の外側から覆っている。2つのラッチ15は、軸方向から見て、押込み方向に直交する方向に互いに対向している。ラッチ15は、台座部23の頂壁の上面と、ひさし部25の下面と、により軸方向に挟まれて支持されている。ラッチ15の内周面は、中間筒部24の外周面において、挿通孔24aとひさし部25とにより軸方向に挟まれた部分に当接、若しくは近接している。
【0031】
図4に示されるように、ラッチ15は、規制部31、被押込み部33、および後退入力部35を備えている。ラッチ15は、全域にわたってケース体13に覆われている。なお、ラッチ15は、後退入力部35を有しなくてもよい。
【0032】
規制部31は、ラッチ15の内周面から径方向の内側に向けて突出している。図2および図9に示されるように、規制部31は、挿通孔24aを通して被連結部11の係止部18aに着脱可能に係合している。これにより、被連結部11がケース体13の内側から軸方向に抜けることが規制されている。規制部31は、表裏面が軸方向を向く板状に形成されている。規制部31の上面は、軸方向に沿う縦断面視で、径方向に真直ぐ延びている。規制部31の上面は、係止部18aの内面のうち、上端に位置して下方を向く上面に当接、若しくは近接している。規制部31は、ラッチ15の下端部に設けられている。
【0033】
図9に示されるように、軸方向から見て、規制部31における径方向の内端縁のうち、押込み方向の両側部分は、円弧状のラッチ15の内周面の弦をなすように、押込み方向に真直ぐ延び、押込み方向の中間部分は、係止部18aの底面に沿うように、凹曲線状を呈する。規制部31における径方向の内端縁は、中間筒部24における各窪み部の底面24bに各別に当接、若しくは近接している。規制部31における径方向の内端縁のうち、押込み方向の両端部は、中間筒部24の外周面より押込み方向の外側に張り出している。
【0034】
図2に示されるように、規制部31のうち、少なくとも中間筒部24の内周面から径方向の内側に向けて突出している径方向の内端部の下面は、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びている。これにより、被連結部11の先端部18を、台座部23の下端開口部を通してケース体13の内側に差し込むと、上方に向かうに従い縮径している先端部18の上端部18bが、規制部31における径方向の内端部の下面に摺接することで、ラッチ15が自然に径方向の外側に向けて押し退けられる。
【0035】
図4に示されるように、被押込み部33は、作動部材14に形成された後述の押込み部32により、径方向の内側に向けて押込まれている。被押込み部33は、ラッチ15の外周面に形成された、径方向の内側に向けて窪む凹部となっている。被押込み部33は、ラッチ15の下端面に開口している。被押込み部33の、径方向の外側を向く底面は、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。
後退入力部35は、作動部材14に形成された後述の押下げ部34に軸方向で当接、若しくは近接している。後退入力部35は、被押込み部33を周方向に挟む両側に各別に設けられている。後退入力部35は、ラッチ15の上端面における周方向の両端部に形成され、被押込み部33から周方向に離れるに従い下方に向けて延びる傾斜面となっている。
【0036】
作動部材14は、ケース体13の内側に設けられ、軸方向に付勢されている。本実施形態では、図2図6および図9に示されるように、作動部材14は、外殻体21の内周面と、内挿体22の外周面と、の間の径方向の隙間に設けられ、上方に向けて付勢されている。なお、作動部材14は下方に向けて付勢されてもよい。
作動部材14は、環状の頂壁および周壁を有する有頂筒状に形成されている。
【0037】
作動部材14の頂壁の内側に、ケース体13の上筒部28が挿入されている。作動部材14の頂壁の上面は、押込み方向の後方から前方に向かうに従い上方に向けて延びている。作動部材14の頂壁の下面と、ケース体13の中間筒部24における頂壁の上面と、が軸方向で互いに対向している。作動部材14の頂壁の下面、および中間筒部24の頂壁の上面により、付勢部材36が軸方向に圧縮された状態で挟まれている。付勢部材36はコイルスプリングとされ、内側に上筒部28が挿入されている。
以上より、操作部材16の押込み操作に伴い、操作部材16の下端部が、作動部材14の頂壁の上面を摺動することで、作動部材14が、付勢部材36の上方付勢力に抗して下方に移動する。
【0038】
作動部材14の周壁の内周面において、ラッチ15の外周面と径方向で対向する部分に、ラッチ15が径方向の外側に移動したときに進入する逃げ開口14aが形成されている。図示の例では、逃げ開口14aは、作動部材14の周壁を径方向に貫いている。ラッチ15は、径方向の外側に移動したときに、逃げ開口14aを通して外殻体21の内側に進入する。逃げ開口14aは、作動部材14の周壁に、下端部を除く軸方向の全長にわたって形成されている。逃げ開口14aの周方向の大きさは、中間筒部24の外径より大きくなっている。逃げ開口14aの内周面のうち、下端に位置して上方を向く下端面、および周方向の両端部に位置して周方向を向く周端面に、ラッチ15のうち、下端面、および周方向の両端面が各別に当接、若しくは近接している。
【0039】
作動部材14には、ラッチ15の被押込み部33を、径方向の内側に向けて押込む押込み部32が形成されている。押込み部32は、逃げ開口14aの下端面から上方に向けて突出している。押込み部32は、径方向から見た正面視で、ラッチ15の被押込み部33よりわずかに小さくなっており、押込み部32の全体が、被押込み部33の内側に位置している。押込み部32の表面のうち、径方向の内側を向く内面は、被押込み部33の底面に沿って、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。押込み部32の内面は、被押込み部33の底面に当接している。
【0040】
以上より、図3図5および図7に示されるように、操作部材16の押込み操作に伴い、操作部材16が、作動部材14を下方に移動させたときに、押込み部32が、被押込み部33から下方に移動することで、押込み部32による被押込み部33に対する径方向の内側に向けた押込みが解除される。
また、押込み部32の内面、および被押込み部33の底面がそれぞれ、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びているので、被連結部11の先端部18を、台座部23の下端開口部から抜き出した後、作動部材14が、付勢部材36により上方に復元移動したときに、押込み部32の内面、および被押込み部33の底面が、互いに摺接することで、ラッチ15が自然に径方向の内側に向けて押し出される。
また、押込み部32の内面、および被押込み部33の底面がそれぞれ、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びていることから、被連結部11の先端部18を、台座部23の下端開口部を通してケース体13の内側に差し込んで、前述したように、ラッチ15を径方向の外側に向けて押し退けたときに、押込み部32の内面、および被押込み部33の底面が互いに摺接することで、作動部材14が、付勢部材36の上方付勢力に抗して自然に引き下げられる。
【0041】
図4図6および図8に示されるように、作動部材14には、後退入力部35に軸方向で当接、若しくは近接する押下げ部34が形成されている。押下げ部34は、作動部材14の周壁の内周面において、周方向で互いに隣り合う逃げ開口14a同士の間に位置する各部分に、周方向に間隔をあけて2つずつ設けられている。押下げ部34は、作動部材14の周壁の内周面から径方向の内側に向けて突出した凸部37の側面の一部とされ、後退入力部35に沿って延びる傾斜面となっている。凸部37は、作動部材14の周壁に、下端部を除く軸方向の全長にわたって形成されている。押下げ部34は、凸部37の下端部に形成されている。凸部37の、径方向の内側を向く内面は、軸方向から見て、中間筒部24の外周面に沿って延びている。
【0042】
以上より、図5に示されるように、操作部材16の押込み操作に伴い、操作部材16が、作動部材14を下方に移動させたときに、押下げ部34が後退入力部35に係合し、押下げ部34が、後退入力部35に摺接しながら下方に移動することで、ラッチ15が径方向の外側に向けて後退させられる。
【0043】
図8に示されるように、作動部材14の周壁の内周面において、周方向で互いに隣り合う逃げ開口14a同士の間に位置する各部分に、周方向に間隔をあけて設けられた2つの凸部37(以下、2つの凸部37という)同士の間に、中間筒部24の第2縦リブ27が、軸方向に移動可能に差し込まれている。第2縦リブ27は、2つの凸部37の下部同士の間に差し込まれている。第2縦リブ27は、2つの凸部37に対して周方向で当接、若しくは近接している。第2縦リブ27は、作動部材14が下降端位置に位置した状態でも、2つの凸部37同士の間に差し込まれた状態に保たれる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によるチャイルドシート用ハンドルバー1によれば、図3図5および図7に示されるように、操作部材16の押込み操作に伴い、操作部材16が、作動部材14を下方に移動させたときに、作動部材14の押込み部32によるラッチ15の被押込み部33に対する径方向の内側に向けた押込みが解除されるので、ラッチ15を径方向の外側に向けて移動させ、ラッチ15の規制部31と被連結部11の係止部18aとの係合を解除することが可能になり、被連結部11を、台座部23の下端開口部から抜き出すことができる。これにより、被連結部11が連結機構部12から離脱されて、ハンドルバー1が軸方向に分断される。
その後、操作部材16の押込み操作を解除すると、軸方向に付勢されている作動部材14が復元移動することで、押込み部32および被押込み部33が互いに係合し、ラッチ15が径方向の内側に向けて復元移動する。
【0045】
被連結部11を、ケース体13の内側に台座部23の下端開口部を通して挿入すると、被連結部11の先端部18が、ラッチ15の規制部31に摺接することで、ラッチ15を径方向の外側に向けて押し退けながら、ケース体13の内側に向けて進入し、進入端位置に到達したときに、作動部材14の押込み部32により径方向の内側に向けて付勢されているラッチ15が、径方向の内側に向けて移動して、規制部31が被連結部11の係止部18aに係合することで、被連結部11が、台座部23の下端開口部から抜けることが規制される。
【0046】
以上の過程において、被連結部11に係合する規制部31、並びに、作動部材14の押込み部32に径方向の内側に向けて押込まれる被押込み部33を有するラッチ15が、ケース体13の内側に位置して作動するので、連結機構部12から鋭利な突起部分等が露出するのを防ぐことが可能になり、チャイルドシートSに対して幼児をより容易に乗り降りさせることができる。
【0047】
ラッチ15が、作動部材14に形成された押下げ部34に軸方向で当接、若しくは近接する後退入力部35を備えているので、作動部材14を下方に向けて移動させたときに、押下げ部34が後退入力部35に係合することで、複数のラッチ15が径方向の外側に向けて後退させられる。これにより、作動部材14を下方に向けて移動させれば、複数のラッチ15を自然に径方向の外側に向けて移動させ、規制部31を被連結部11の係止部18aから後退させることが可能になり、被連結部11を台座部23の下端開口部から容易に抜き出すことができる。
【0048】
後退入力部35が、被押込み部33を周方向に挟む両側に各別に設けられているので、作動部材14を下方に向けて移動させたときに、作動部材14の押下げ部34によって、ラッチ15を、例えば傾き等を生じさせずに、径方向の外側に向けて安定して移動させることができる。
【0049】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 チャイルドシート用ハンドルバー
11 被連結部
12 連結機構部
13 ケース体
14 作動部材
15 ラッチ
16 操作部材
31 規制部
32 押込み部
33 被押込み部
34 押下げ部
35 後退入力部
O 中心軸線
S チャイルドシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9