(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】電力供給計画管理装置、電力供給計画管理方法、電力供給計画管理装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20230829BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230829BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230829BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230829BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20230829BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230829BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/66
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2020041964
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 美喜
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 一史
(72)【発明者】
【氏名】馬場▲崎▼ 忠利
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-27163(JP,A)
【文献】特開2013-85449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
G06Q 10/00-10/10
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するために、電力の供給計画を立案する電力供給計画管理装置であって、
前記給電対象施設に設置された給電部により電力供給が保持される給電保持期間を推定する保持期間推定部と、
前記車両が、前記給電対象施設とは異なる位置の充電拠点へ移動する際に要する第1電力量、及び第1時間を、前記車両が前記充電拠点に向かって移動開始する第1時刻を用いて推定する第1推定部と、
前記車両が、前記充電拠点から前記給電対象施設へ移動する際に要する第2電力量、及び第2時間を、前記車両が前記給電対象施設に向かって移動開始する第2時刻を用いて推定する第2推定部と、
前記車両が、前記充電拠点に向かって移動開始する時刻まで前記給電対象施設に供給する第3電力量、及び第3時間を推定する第3推定部と、
前記給電保持期間、前記第1時間、前記第2時間、前記第3時間、及び前記蓄電部に充電する時間に基づいて、前記車両が前記充電拠点から前記給電対象施設に到着した際の前記蓄電部に残存する電力量が最大となる前記第1時刻を求める演算部と、が設けられている電力供給計画管理装置。
【請求項2】
前記演算部は、
前記第1時間、前記第2時間、前記第3時間、及び前記蓄電部に充電する時間の合計が、前記給電保持期間未満となり、前記第1電力量、前記第2電力量、及び前記第3電力量に基づいて、前記車両が前記充電拠点から前記給電対象施設に到着した際の前記蓄電部に残存する電力量が最大となる前記第1時刻を求める
請求項1に記載の電力供給計画管理装置。
【請求項3】
前記電力供給計画管理装置は、
前記給電対象施設の需要電力に対する前記第3電力量の割合を設定する割合設定部を更に備え、
前記保持期間推定部は、前記割合設定部にて設定された前記第3電力量の割合に基づいて前記給電保持期間を推定する
請求項1又は請求項2に記載の電力供給計画管理装置。
【請求項4】
コンピュータシステムを用いて、電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するための電力供給計画管理方法であって、
前記給電対象施設に設置された給電部により電力供給が保持される給電保持期間を推定する保持期間推定ステップと、
前記車両が、前記給電対象施設とは異なる位置の充電拠点へ移動する際に要する第1電力量、及び第1時間を、前記車両が前記充電拠点に向かって移動開始する第1時刻を用いて推定する第1推定ステップと、
前記車両が、前記充電拠点から前記給電対象施設へ移動する際に要する第2電力量、及び第2時間を、前記車両が前記給電対象施設に向かって移動開始する第2時刻を用いて推定する第2推定ステップと、
前記車両が、前記充電拠点に向かって移動開始する時刻まで前記給電対象施設に供給する第3電力量、及び第3時間を推定する第3推定ステップと、
前記給電保持期間、前記第1時間、前記第2時間、前記第3時間、及び前記蓄電部に充電する時間に基づいて、前記車両が前記充電拠点から前記給電対象施設に到着した際の前記蓄電部に残存する電力量が最大となる前記第1時刻を求める移動開始時刻推定ステップと、
からなる電力供給計画管理方法。
【請求項5】
電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するために、前記車両の移動計画を立案する電力供給計画管理装置用プログラムであって、
コンピュータシステムに、
前記給電対象施設に設置された給電部により電力供給が保持される給電保持期間を推定する保持期間推定機能と、
前記車両が、前記給電対象施設とは異なる位置の充電拠点へ移動する際に要する第1電力量、及び第1時間を、前記車両が前記充電拠点に向かって移動開始する第1時刻を用いて推定する第1推定機能と、
前記車両が、前記充電拠点から前記給電対象施設へ移動する際に要する第2電力量、及び第2時間を、前記車両が前記給電対象施設に向かって移動開始する第2時刻を用いて推定する第2推定機能と、
前記車両が、前記充電拠点に向かって移動開始する時刻まで前記給電対象施設に供給する第3電力量、及び第3時間を推定する第3推定機能と、
前記給電保持期間、前記第1時間、前記第2時間、前記第3時間、及び前記蓄電部に充電する時間に基づいて、前記車両が前記充電拠点から前記給電対象施設に到着した際の前記蓄電部に残存する電力量が最大となる前記第1時刻を求める演算機能と、
を実現するための電力供給計画管理装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電部を有した車両を利用して、電力を必要とする施設に電力を供給するための、電力供給計画の立案に用いて好適な電力給電計画管理装置、電力供給計画管理方法、及び電力供給計画管理装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車など蓄電池を搭載した車両を利用して、電力が不足している施設等(以降において「給電対象施設」とも記載する。)に電力の供給を行う際に、最適な車両の移動計画を立案する電力供給計画装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載された技術では、車両の位置情報や蓄電電力情報、車両に充電可能な設備の情報、電力を必要としている設備の情報、各設備間の経路に関する情報に基づいて、状況に応じた車両の移動計画や電力授受計画が立案される。
【0005】
しかしながら上記の技術では、例えば、車両の移動時間や移動のための消費電力が考慮され、車両の移動計画が立案されるものの、車両が給電対象施設に到着した際の、蓄電池の残量を考慮した計画が立案される訳ではなかった。
【0006】
即ち、車両が給電対象施設に到着した際に、必ずしもその車両の蓄電池の残量(蓄電池のSOC(State Of Charge))が可能な限り大きくなるような計画が立案される訳ではないという問題があった。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、車両に搭載されている蓄電部を用いて、給電対象施設に対して効率的に電力を供給する給電計画の立案が可能な電力供給計画管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示は、以下の手段を提供する。
本開示に係る電力供給計画管理装置は、電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するために、電力の供給計画を立案する電力供給計画管理装置であって、前記給電対象施設に設置された給電部により電力供給が保持される給電保持期間を推定する保持期間推定部と、前記車両が、前記給電対象施設とは異なる位置の充電拠点へ移動する際に要する第1電力量、及び第1時間を、前記車両が前記充電拠点に向かって移動開始する第1時刻を用いて推定する第1推定部と、前記車両が、前記充電拠点から前記給電対象施設へ移動する際に要する第2電力量、及び第2時間を、前記車両が前記給電対象施設に向かって移動開始する第2時刻を用いて推定する第2推定部と、前記車両が、前記充電拠点に向かって移動開始する時刻まで前記給電対象施設に供給する第3電力量、及び第3時間を推定する第3推定部と、前記給電保持期間、前記第1時間、前記第2時間、前記第3時間、及び前記蓄電部に充電する時間に基づいて、前記車両が前記充電拠点から前記給電対象施設に到着した際の前記蓄電部に残存する電力量が最大となる前記第1時刻を求める演算部が設けられている。
【0009】
本開示に係る電力供給計画管理装置によれば、充電拠点での充電を終え、給電対象施設に到着した際の車両の蓄電部に残存する電力量が最大となる、車両の移動開始時間が求められる。
【0010】
このため、車両に搭載されている蓄電部を用いて可能な限り多くの電力を給電対象施設に供給することが可能な給電計画が立案される。また、その移動前に車両が給電対象施設に対して電力を供給する期間も考慮されるため、給電対象施設が備える非常用電源設備(給電部)の給電保持期間を考慮した給電計画の立案も可能となる。
【0011】
上記においては、前記演算部は、前記第1時間、前記第2時間、前記第3時間、及び前記蓄電部に充電する時間の合計が、前記給電保持期間未満となり、前記第1電力量、前記第2電力量、及び前記第3電力量に基づいて、前記車両が前記充電拠点から前記給電対象施設に到着した際の前記蓄電部に残存する電力量が最大となる前記第1時刻を求めることが好ましい。
【0012】
このようにすることにより、給電対象施設が備える非常用電源設備(給電部)の給電保持期間に、車両が帰着するという条件の下、給電対象施設に到着した際の車両の蓄電部に残存する電力量が最大となる車両の移動開始時間が求められる。
【0013】
このため、給電対象施設にて電力の供給がなくなってしまうことを防ぎつつ、車両に搭載されている蓄電部を用いて可能な限り多くの電力を給電対象施設に供給可能な給電計画が立案される。
【0014】
上記においては、前記電力供給計画管理装置は、前記給電対象施設の需要電力に対する前記第3電力量の割合を設定する割合設定部を更に備え、前記保持期間推定部は、前記割合設定部にて設定された前記第3電力量の割合に基づいて前記給電保持期間を推定することが好ましい。
【0015】
このようにすることにより、給電対象施設の非常用電源設備(給電部)の給電保持期間をより正確に推定することができる。更に、給電対象施設の非常用電源設備(給電部)を温存し、できるだけ長い給電保持期間が確保できるような給電計画を立案することも可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る電力供給計画管理装置によれば、蓄電部を有する車両を用いて給電対象施設に電力を供給する場合に、効率的な電力の供給が可能な給電計画を立案することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態の電力供給計画管理装置の概要を説明する図である。
【
図2】第1の実施形態の電力供給計画管理装置を説明するブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、第1の実施形態の電力供給計画管理装置が立案する給電計画を説明する図である。
図3(b)は、第1の実施形態における給電対象施設の給電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
図3(c)は、第1の実施形態における車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
【
図4】
図4(a)は、第1の実施形態における車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化の他の一例を説明する図である。
図4(b)は、第1の実施形態における車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化の他の一例を説明する図である。
【
図5】第1の実施形態の電力供給計画管理装置の処理の流れを説明するフロー図である。
【
図6】第2の実施形態の電力供給計画管理装置を説明するブロック図である。
【
図7】
図7(a)は、第2の実施形態の電力供給計画管理装置が立案する給電計画を説明する図である。
図7(b)は、第2の実施形態における給電対象施設の給電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
図7(c)は、第2の実施形態における車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
【
図8】第2の実施形態の電力供給計画管理装置の処理の流れを説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について主に
図1から
図5を参照して説明をおこなう。
【0019】
<概要の説明>
本実施形態における電力供給計画管理装置1は、例えば系統停電時などにおいて、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を用いて、他の施設等にある融通可能な電力を、通信ビルなどの重要施設に供給する際の給電計画を立案する装置である。
【0020】
具体的に本実施形態に係る電力供給計画管理装置1は、重要施設から他の施設に移動して充電を行った電気自動車等が重要施設に帰着した際、その蓄電池に残存する電力量が最大となる(蓄電池のSOCが最大となる)給電計画を立案する装置である。
【0021】
本実施形態において電力供給計画管理装置1は、通信ビルなどの重要施設(以降において「給電対象施設2」とも記載する。)の電力供給などの管理を行う管理センター7に設置されている例に適用して以降の説明を行う。そして電力供給計画管理装置1が、系統停電時に、給電対象施設2に駐車されている電気自動車など車両(以降において「車両3」とも記載する。)を他の場所の充電可能な施設(以降において「充電拠点5」とも記載する。)に移動させて電力供給を行う計画を立案する際に用いられる例に適用して説明を行う(
図1参照。)。
【0022】
なお本実施形態において車両3には、給電対象施設2に電力供給が可能な公知の蓄電池(以降において「蓄電部31」とも記載する。)が搭載されている。また、充電拠点5には、蓄電部31を充電するために利用可能な図示されていない充電設備と、図示されていない電力源が備えられている。なお
図1において、蓄電部31、及びその蓄電量を概略的に図示している。
【0023】
ここで充電拠点5の電力源としては、電力供給を行っていない電気自動車の蓄電池や太陽光発電施設、あるいは非常用発電機などの電源が例示される。本実施形態では、充電拠点5に施設に電力供給を行っていない蓄電池が搭載された電気自動車が駐車されている例に適用して以降の説明を行う。なお以降において充電拠点5が備える充電を行うために必要な設備、及びその電力源を「充電設備51」とも記載する。
【0024】
また、本実施形態において給電対象施設2には、停電時に給電対象施設2に電力供給を行う据置型蓄電池(以降において「給電設備23」とも記載する。)が備えられている。なお給電設備23としては、燃料を用いた非常用発電機や太陽光発電設備であってもよく、特に限定されるものではない。更に給電対象施設2には、蓄電部31からの電力を受け入れる際に用いられる電力変換装置などから構成された受電設備24が設けられている。なお本実施形態における給電設備23が給電部の一例である。
【0025】
本実施形態において電力供給計画管理装置1は、管理センター7が備える非常用電源設備から電力が供給され、インターネット回線などの公知の電子通信回線によって、様々な情報提供を行う外部の情報提供サーバと相互通信可能に接続されている例に適用して以降の説明を行う。なお電力供給計画管理装置1は、系統停電時において利用可能な、他の公知の電子通信回線によって、外部の情報提供サーバと接続されていてもよい。
【0026】
1.構成の説明
はじめに、主に
図2を参照して電力供給計画管理装置1の構成の説明を行う。
本実施形態にかかる電力供給計画管理装置1は、通信部10、第1推定部11、第2推定部12、第3推定部13、充電時間推定部14、保持時間推定部15、車両情報取得部16、充電拠点情報取得部17、位置/経路情報取得部18、設備情報取得部19、及び演算部20から主に構成されている(
図2参照。)。
【0027】
本実施形態において電力供給計画管理装置1は、公知のサーバ装置(電子計算機器)に専用のソフトウェアがインストールされたものである例に適用して説明を行う。即ち、ソフトウェアとハードウェアが協働して、以降に説明する各部の機能が実現されている例に適用して以降の説明を行う。
【0028】
なお、電力供給計画管理装置1の各部が、それぞれの機能を発揮するように構成された専用のハードウェアから構成されていてもよい。あるいは、電力供給計画管理装置1が、それぞれの機能を実現する複数のサーバ装置から構成されていてもよい。
【0029】
通信部10は、インターネット回線を介して外部のサーバ装置等と通信を行う公知の通信インターフェイスである。
【0030】
充電拠点情報取得部17は、外部の情報提供サーバである充電拠点情報管理サーバ55と主に通信を行って、充電拠点5に関する情報を取得する部分である。本実施形態において充電拠点情報管理サーバ55は、電気自動車などの車両が搭載する蓄電池を、充電可能な施設に関する情報を、インターネット回線を介して提供する公知の情報提供サービスの管理サーバである。
【0031】
本実施形態において充電拠点情報取得部17は、主に充電拠点5の位置に関する情報(位置情報)や、充電設備51の充電電力、充電効率、及び蓄電部31を充電する場合の充電時間、及び供給可能な電力量などに関する情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。以降において、充電拠点情報取得部17が取得するこれらの情報を「充電拠点情報」とも記載する。なお位置情報には、当該場所の緯度経度に関する情報や、地点名など、その場所を特定可能な情報が含まれている。
【0032】
充電拠点情報取得部17は、詳細は後述する設備情報管理サーバ25が充電拠点5に関する情報の収集、及びその情報の提供を行っている場合には、充電拠点関連情報を設備情報管理サーバ25から取得してもよい。
【0033】
車両情報取得部16は、外部の情報提供サーバである車両情報管理サーバ35と主に通信を行い、主に車両3に関する情報を取得する部分である。なお車両情報管理サーバ35は、車両に搭載された公知の移動体通信機能を用いて、車両の位置情報や車両のハードウェアに関する情報を収集したり、収集したそれらの情報に基づく車両の移動経路などに関する情報を提供したりする公知の車両情報提供サービスの管理サーバである。
【0034】
本実施形態において車両情報取得部16は、主に車両3の位置情報、蓄電部31の蓄電残量やSOC(蓄電部31の充電割合)、及び蓄電部31の最大/最小容量、放電時間などの情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。また、車両情報取得部16は、車両3の平均/最大走行速度、平均/最大走行電費、積算走行時間/積算走行距離などの情報も取得する。
【0035】
なお車両情報取得部16は、車両3に搭載されている図示されていない機能診断装置等と、公知の移動体通信技術を用いて直接通信を行って、これらの情報を車両3から直接取得してもよい。以降において、車両情報取得部16が取得するこれらの情報を「車両情報」とも記載する。
【0036】
位置/経路情報取得部18は、外部の情報提供サーバである地理情報/交通情報管理サーバ45と主に通信を行って、給電対象施設2と充電拠点5の間の車両3の移動経路に関する情報を取得する部分である。
【0037】
本実施形態において地理情報/交通情報管理サーバ45は、任意の場所の地理情報や位置情報、及び渋滞や交通規制などの道路交通情報等を提供する公知の情報提供サービスの管理サーバである。
【0038】
本実施形態において位置/経路情報取得部18は、給電対象施設2と充電拠点5の間の経路に関する情報、走行予定距離、走行予定時間、走行予定速度、及び道路混雑情報などの情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。以降において、位置/経路情報取得部18が取得するこれらの情報を「経路情報」とも記載する。
【0039】
設備情報取得部19は、外部の情報提供サーバである設備情報管理サーバ25と主に通信を行い、給電対象施設2の設備に関する情報などを取得する部分である。なお本実施形態において設備情報管理サーバ25は、ビルなどにおいて消費、あるいは発電等される電力などのエネルギーに関する情報の収集、及び収集した情報に基づく施設の管理に関する情報の提供を行う公知のビル管理情報システムのサーバ装置である。
【0040】
本実施形態において設備情報取得部19は、給電設備23の残存蓄電量、給電対象施設2の負荷情報(消費電力)、及び所定の時刻における消費電力の予測に関する情報、受電設備24の電力変換効率などの情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。
【0041】
なお設備情報取得部19は、給電対象施設2が非常用発電機や太陽光発電設備を備えている場合には、非常用発電機の燃料残量や太陽光発電設備による発電量予測値などの情報も取得する。また設備情報取得部19は、給電対象施設2の位置情報(地点名や緯度経度等)も取得する。以降において設備情報取得部19が取得するこれらの情報を「設備情報」とも記載する。
【0042】
以降において設備情報管理サーバ25,車両情報管理サーバ35、地理情報/交通情報管理サーバ45、及び充電拠点情報管理サーバ55を総称して「外部サーバ」とも記載する。
【0043】
保持時間推定部15は、主に設備情報取得部19が取得した情報に基づいて、給電対象施設2の給電設備23による電力供給が保持される時間tm(以降において「給電保持期間tm」とも記載する。)、及び給電設備23による電力の供給が終了する時刻Tend(以降において「給電終了時刻Tend」とも記載する。)を推定する部分である。
【0044】
第1推定部11は、主に車両情報取得部16、及び位置/経路情報取得部18からの情報に基づいて、車両3が給電対象施設2から充電拠点5へ移動する際に要する電力量W1、及びその移動時間t1を推定する部分である。第1推定部11は、電力量W1、及び移動時間t1を、車両3が給電対象施設2から充電拠点5に向かう時刻T1(以降において「移動開始時刻T1」とも記載する。)を用いて推定する。換言すれば第1推定部11は、電力量W1、及び移動時間t1を、移動開始時刻T1を基準に推定する。なお、本実施形態における電力量W1、移動時間t1及び移動開始時刻T1が、それぞれ、第1電力量、第1時間、及び第1時刻の一例である。
【0045】
第2推定部12は、主に車両情報取得部16、及び位置/経路情報取得部18からの情報に基づいて、車両3が充電拠点5から給電対象施設2へ移動する際に要する電力量W2、及びその移動時間t2を推定する部分である。第2推定部12は、電力量W2、及び移動時間t2を、充電拠点5にて充電を終えた車両3が、給電対象施設2に向かう時刻T2(以降において「再出発時刻T2」とも記載する。)を用いて推定する。換言すれば第2推定部12は、電力量W2、及び移動時間t2を、再出発時刻T2を基準に推定する。なお、本実施形態における電力量W2、移動時間t2、及び再出発時刻T2が、それぞれ、第2電力量、第2時間、及び第2時刻の一例である。
【0046】
第3推定部13は、主に車両情報取得部16、及び設備情報取得部19からの情報に基づいて、移動開始時刻T1よりも前の時刻に、車両3が給電対象施設2に電力の供給を行う時間t3(以降において「車両給電時間t3」とも記載する。)、及び車両3がその間に給電対象施設2に供給する電力量W3を推定する部分である。なお、本実施形態における車両給電時間t3及び電力量W3が、第3時間、及び第3電力量の一例である。
【0047】
充電時間推定部14は、主に車両情報取得部16、及び充電拠点情報取得部17からの情報に基づいて、車両3が充電拠点5にて所望の電力量を充電するのに要する時間tc(以降において「充電時間tc」とも記載する。)を推定する部分である。また充電時間推定部14は、充電拠点5にて充電時間tcの間に充電される電力量を推定する処理も行う。
【0048】
演算部20は、第1推定部11、第2推定部12、第3推定部13、及び充電時間推定部14が推定した情報に基づいて、車両3が給電対象施設2に帰着した時刻Tb(以降において「帰着時刻Tb」とも記載する。)に、蓄電部31に残存している電力量Wrが最大となる移動開始時刻T1を求める部分である。なお演算部20は、車両3が給電終了時刻Tendまでに給電対象施設2に帰着することを条件に、移動開始時刻T1を求める。
【0049】
2.処理の説明
次に、上記のように構成される電力供給計画管理装置1にて行われる処理について、主に
図3から
図5を参照して説明を行う。本実施形態では、系統の停電発生から所定の時間が経過した時刻T
0に、給電対象施設2にある車両3の蓄電部31が受電設備24に接続され、給電対象施設2に電力供給が行われる例に適用して説明を行う。
【0050】
なお蓄電部31は、受電設備24に接続される時点において、その充電容量の最大容量(Wmax)まで充電されている状態(SOCが100%の状態)である例に適用して説明を行う。また、蓄電部31が受電設備24に接続されている間は、給電対象施設2にて使用される電力は、全て蓄電部31から供給されるものとする。
【0051】
系統停電の発生により、あるいは管理センター7の管理者等の操作によって、電力供給計画管理装置1はその処理を開始する。処理が開始されると、車両情報取得部16、充電拠点情報取得部17、位置/経路情報取得部18、及び設備情報取得部19が、通信部10を介して外部サーバと通信を行い、必要な情報を取得する(S10)。
【0052】
具体的には、充電拠点情報取得部17が、給電対象施設2の周囲にある蓄電部31を充電可能な施設の充電拠点情報の収集を行う。また、車両情報取得部16が、車両3の車両情報を、位置/経路情報取得部18が、蓄電部31を充電可能な施設と給電対象施設2との間の経路情報を取得する。更に設備情報取得部19が、給電対象施設2の設備情報を取得する。
【0053】
続いて収集された情報に基づいて、蓄電部31の充電を行う充電拠点5が選定される。この選定は、収集された情報に基づいて演算部20などが行ってもよく、あるいは収集された情報に基づいて、管理センターの管理者等が設定してもよい。
【0054】
続いて第3推定部13が、移動開始時刻T1前に車両3が給電対象施設2に電力の井供給を行う時間を車両給電時間t3として、その間に給電対象施設2に供給される電力量W3を推定する処理を行う(S20)(第3推定ステップ)。具体的に説明を行うと、第3推定部13は、蓄電部31に残存している電力量や最大放電電力、受電設備24の電力変換効率や給電対象施設2における電力の需要予測などの情報に基づいて、車両給電時間t3の時間に蓄電部31から給電対象施設2に供給される電力量W3を推定する。即ち、車両3が給電対象施設2に電力の供給を開始した時刻T0から移動開始時刻T1までの時間に、蓄電部31から給電対象施設2に供給される電力量W3を推定する。なお第3推定部13は、他の公知の方法に従って電力量W3を推定する処理を行ってもよい。
【0055】
続いて保持時間推定部15が、給電保持期間tmと給電終了時刻Tendを推定する処理を行う(S30)(保持期間推定ステップ)。具体的に保持時間推定部15は、給電設備23の残存蓄電量と、給電対象施設2の負荷情報(消費電力)の予測値から、給電保持期間tmを推定する。更に、保持時間推定部15は、給電保持期間tmと給電設備23が電力供給を開始した時刻Tsに基づいて給電終了時刻Tendを推定する。なお保持時間推定部15は、他の公知の方法に従って給電保持期間tmと給電終了時刻Tendを推定する処理を行ってもよい。
【0056】
なお本実施形態では蓄電部31が、受電設備24に接続されている期間は、給電対象施設2への電力の供給は蓄電部31によって行われる。このため車両給電時間t3の間(時刻T0から移動開始時刻T1までの間の時間)は、給電設備23の残存蓄電量は減少しない。
【0057】
続いて第1推定部11が、車両3が給電対象施設2から充電拠点5に移動する際に要する移動時間t1と、その際に要する電力量W1を、給電対象施設2と充電拠点5の間の経路情報、車両3の車両情報から推定する処理を行う(S40)(第1推定ステップ)。より具体的に説明すると、はじめに第1推定部11は、給電対象施設2、及び充電拠点5の位置情報や地理情報から、給電対象施設2や充電拠点5の間の走行予定距離を推定する。
【0058】
また第1推定部11は、車両3が移動開始時刻T1に移動を開始した場合の道路混雑情報や渋滞予想情報、及び車両情報に基づいて、車両3の移動予定速度、及び移動予定電費を推定する。ここで「電費」とは、所定の電力量あたり、車両3が移動可能な距離のことである。そして第1推定部11は、それらの推定値から、車両3が給電対象施設2から充電拠点5に移動する際に要する移動時間t1と、その際に要する電力量W1をそれぞれ推定する。なお第1推定部11は、他の公知の方法に従って移動時間t1、及び電力量W1を推定する処理を行ってもよい。
【0059】
次に充電時間推定部14が、蓄電部31の充電時間tcを推定する処理を行う(S50)。本実施形態では、充電拠点5にて蓄電部31がその蓄電容量の最大まで充電される(SOCが100%になるまで充電される)例に適用して説明を行う。
【0060】
具体的に説明を行うと、充電時間推定部14は、第3推定部13が推定した電力量W3、第1推定部11が推定した電力量W1から、車両3が充電拠点5に到着した時刻Ta(以降において「到着時刻Ta」とも記載する。)における蓄電部31に残存している電力量を推定する。そして充電拠点情報取得部17が取得した充電拠点情報(充電電力、充電効率などの情報)に基づいて、蓄電部31がその蓄電容量の最大まで充電されるまでに要する充電時間tcを推定する。そして、到着時刻Ta、及び充電時間tcから、再出発時刻T2を推定する。なお充電時間推定部14は、他の公知の方法に従って、充電時間tc、再出発時刻T2を推定する処理を行ってもよい。
【0061】
続いて第2推定部12が、車両3が充電拠点5から給電対象施設2に移動する際に要する移動時間t2と、その際に要する電力量W2を、給電対象施設2と充電拠点5の間の経路情報、及び車両3の車両情報から推定する処理を行う(S60)(第2推定ステップ)。より具体的に説明すると、第2推定部12は、給電対象施設2、及び充電拠点5の位置情報や地理情報から給電対象施設2と充電拠点5の間の車両3の走行予定距離を推定する。
【0062】
また第2推定部12は、車両3が再出発時刻T2に移動を開始した場合の道路混雑情報や渋滞予想情報、及びその際の車両3の車両情報に基づいて、車両3の移動予定速度、及び移動予定電費を推定する。そして、それらの推定値から、車両3が充電拠点5から給電対象施設2に移動する際に要する移動時間t2と、その際に要する電力量W2をそれぞれ推定する。なお第2推定部12は、他の公知の方法に従って、移動時間t2、電力量W2をそれぞれ推定する処理を行ってもよい。
【0063】
また第2推定部12は、再出発時刻T2、及び移動時間t2から、車両3が給電対象施設2に帰着する帰着時刻Tbも推定する。更に第2推定部12は、充電後の蓄電部31の残存電力量、及び電力量W2から、帰着時刻Tbの蓄電部31に残存している蓄電量Wrも推定する。なお第2推定部12は、他の公知の方法に従って、移動時間t2、電力量W2、帰着時刻Tb、蓄電量Wrを推定する処理を行ってもよい。
【0064】
第2推定部12による処理が行われると、演算部20は、車両給電時間t3、移動時間t1、充電時間tc、及び移動時間t2を加えた長さが、給電保持期間tm未満となることを条件に、帰着時刻Tbの蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を決定する処理を行う(S70)(移動開始時刻推定ステップ)。換言すれば、演算部20は、帰着時刻Tbが給電終了時刻Tendよりも前の時刻であることを条件に、帰着時刻Tbの蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を決定する処理を行う。
【0065】
例えば移動開始時刻T
1が早く(車両給電時間t
3が短く)、給電対象施設2と充電拠点5の間の経路が、渋滞する時間帯に車両3が移動することになる場合には、移動時間t
1,t
2が長くなり、車両3の移動に伴う電力の損失が増えてしまう(
図4(a)参照。)。あるいは、例えば移動開始時刻T
1を遅く(車両給電時間t
3が長く)したことにより、給電終了時刻T
endまでに車両3を帰着させるために、速いスピードで車両3を走行させるような場合にも同様に、車両3の移動に伴う電力の損失が増えてしまう(
図4(b)参照。)。
【0066】
このため演算部20は、移動開始時刻T1から帰着時刻Tbまでの時間の長さが給電保持期間tm未満となることを条件として、公知の最適化計算処理などを行って、帰着時刻Tbの蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を決定する処理を行う。なお、演算部20は、他の公知の演算処理によって移動開始時刻T1を決定してもよい。あるいは、複数の移動開始時刻T1(車両給電時間t3)を設定し、それぞれの場合における蓄電量Wrを推定し、その中から帰着時刻Tbの蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を決定する処理を行ってもよい。
【0067】
移動開始時刻T1を決定する処理を行うと、演算部20は、その結果を電力供給計画管理装置1の管理者等に通知する処理を行い、その処理を終了する。
【0068】
上記のように構成された電力供給計画管理装置1によれば、充電拠点5での充電を終え、給電対象施設2に到着した際の車両3の蓄電部31に残存する電力量Wrが最大となる、車両の移動開始時間T1が推定される。即ち、車両情報取得部16、充電拠点情報取得部17、位置/経路情報取得部18、及び設備情報取得部19によって取得された充電拠点情報や車両情報、経路情報、及び設備情報に基づいて最適な移動開始時間T1が推定される。
【0069】
このため、車両3を用いて、融通可能な電力を有する他の拠点(充電拠点5)の電力を給電対象施設2に供給する際に、車両3に搭載されている蓄電部31を用いて可能な限り多くの電力を給電対象施設2に供給することが可能な給電計画を立案することができる。また、その移動前に車両3が給電対象施設2に対して電力を供給する時間t3も考慮されて移動開始時間T1が推定されるため、給電対象施設2が備える給電設備23(給電部)の給電保持期間tmを考慮した給電計画の立案も可能となる。
【0070】
また、給電保持期間tm内(給電終了時刻Tendまで)に、車両3が給電対象施設2に帰着するという条件の下、給電対象施設2に到着した際の車両3の蓄電部31に残存する電力量Wrが最大となる、車両の移動開始時間T1が推定される。このため、給電対象施設2にて電力の供給がなくなることを防ぎつつ、車両3に搭載されている蓄電部31を用いて可能な限り多くの電力を給電対象施設2に供給可能な給電計画が立案することができる。
【0071】
なお上記の実施形態では、演算部20が、給電終了時刻Tendよりも前の時刻に車両3が給電対象施設2に到着することを条件に、移動開始時刻T1を決定する処理を行う例に適用して説明を行った。
【0072】
一方、例えば給電対象施設2が、一時的な給電の停止を許容可能な施設であったり、あるいは車両3が帰着する前に他の電気自動車等による給電が見込まれる状況であったりする場合には、演算部20は、時間による制約条件を用いることなく、帰着時刻Tbの蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を決定する処理を行ってもよい。
【0073】
即ち、車両3の帰着時刻Tbに関わらず、車両3が給電対象施設2に帰着した際に、蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を決定する処理を行ってもよい。このようにすれば、より多くの電力供給が可能な給電計画を立案できる。
【0074】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について
図6から
図8を参照しながら説明する。
本実施形態の電力供給計画管理装置1Aの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、車両3の移動開始前に、車両3と給電設備23によって給電対象施設2に電力の供給が行われる点が、第1の実施形態とは相違する。
【0075】
このため本実施形態では、第1の実施形態と相違する部分について主に説明を行い、同一の構成等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0076】
1.構成の説明
本実施形態における電力供給計画管理装置1Aは、蓄電部31が給電対象施設2に電力供給を行う際の、給電対象施設2の需要電力(消費電力)に占める割合を設定する割合設定部21を備えている(
図6参照。)。
【0077】
本実施形態において、蓄電部31が受電設備24に接続された時刻T0から移動開始時刻T1までの時間において、蓄電部31から、給電対象施設2の需要電力(消費電力)に対して給電対象施設2の管理者等が予め定めた割合の電力が、給電対象施設2に供給される。そして残りの電力は、給電設備23から給電対象施設2に供給される。
【0078】
割合設定部21は、給電対象施設2の管理者等が設定した割合に関する情報を取得する部分である。本実施形態において割合設定部21が、この割合に関する情報(以降において「割合情報」とも記載する。)を設備情報取得部19が取得した設備情報から取得する例に適用して説明を行う。
【0079】
なお割合設定部21は、図示されていない入力受付部から、電力供給計画管理装置1Aの管理者等による割合情報の入力を受け付けて、割合情報を取得してもよい。あるいは割合設定部21が、給電対象施設2の需要電力に関する情報と、蓄電部31が供給している電力に関する情報に基づいて、割合情報を算出する処理を行ってもよい。
【0080】
2.処理の説明
次に、上記のように構成される電力供給計画管理装置1Aにて行われる処理について、主に
図8を参照して説明を行う。
【0081】
はじめに、車両情報取得部16、充電拠点情報取得部17、位置/経路情報取得部18、及び設備情報取得部19が、通信部10を介して外部サーバと通信を行い、必要な情報を取得する(S10A)。この際、設備情報取得部19は、給電対象施設2の割合情報も取得する。
【0082】
続いて第3推定部13Aが、蓄電部31が受電設備24に接続された時刻T0から、車両3が充電拠点5に向かって移動開始する移動開始時刻T1までの時間の長さを車両給電時間t3として、その期間に蓄電部31から給電対象施設2に供給される電力量W3を推定する(S20A)。この際、第3推定部13Aは、割合情報に基づいて電力量W3を推定する。
【0083】
さらに保持時間推定部15Aが、給電保持期間tmと給電終了時刻Tendを推定する。具体的に保持時間推定部15Aは、給電設備23の残存蓄電量、給電対象施設2の負荷情報(消費電力)の予測値、給電設備23が電力供給を開始した時刻Tsから、給電保持期間tm、及び給電終了時刻Tendを推定する。
【0084】
より具体的に説明を行うと、車両給電時間t3の間に蓄電部31から供給される電力量W3、割合情報、及び給電対象施設2の需要電力を考慮して給電設備23の残存蓄電量を算出し、給電保持期間tm、及び給電終了時刻Tendを推定する。
【0085】
なお本実施形態では、第1の実施形態と異なり、移動開始時刻T
1前に、給電設備23からも給電対象施設2への電力の供給が行われるため、移動開始時刻T
1における給電設備23の残存蓄電量は時刻T
0における給電設備23の残存蓄電量と比較して減少する(
図7(a)参照。)。一方、移動開始時刻T
1前の蓄電部31の蓄電量は、第1の実施形態と比較して緩やかに減少する(
図7(b)参照。)。
【0086】
以降、第1の実施形態におけるS40~S70と同様の処理が行われて、帰着時刻Tbの残存している蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1が演算部20によって決定される。
【0087】
上記のように構成された電力供給計画管理装置1Aによれば、給電設備23の給電保持期間tmをより正確に推定することができる。また移動開始時刻T1前の電力供給を、蓄電部31と給電設備23によって行うことで、蓄電部31と給電設備23による電力供給のバランスの取れた、多様な給電計画の立案が可能となる。即ち、給電設備23を温存し、できるだけ長い給電保持期間tmが確保できるような給電計画を立案することができる。
【0088】
あるいは、移動開始時刻T1前に、蓄電部31と給電設備23によって給電対象施設2に電力供給が行われるため、移動開始時刻T1の蓄電部31の蓄電量の減少をより緩やかにすることもできる。このため、より多様な給電計画を立案することも可能となる。即ち、第1の実施形態と比較してより長い車両給電時間t3を設定することが可能となり、より効率的な給電計画を立案することも可能となる。
【0089】
なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施形態では、給電設備23が据置型の蓄電池である例に適用して説明を行ったが、給電設備23は、燃料にて稼働する非常用発電設備や、太陽光発電装置であってもよい。あるいはその他の公知の発電設備であってもよい。
【0090】
この場合において、保持時間推定部15,15Aは、非常用発電設備の燃料の残量、あるいは太陽光発電設備の発電予測(日照時間等)に基づいて給電保持期間tm、及び給電終了時刻Tendを推定してもよい。このようにすれば、様々なタイプの給電設備23を備えた給電対象施設2に対する給電計画を立案することが可能となる。
【0091】
また上記実施形態では、充電拠点5において蓄電部31を、その蓄電容量の最大まで充電を行う(SOCが100%になるまで充電を行う)例に適用して説明を行った。一方、例えば演算部20が、帰着時刻Tbの残存している蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1、及び充電時間tcを推定する構成としてもよい。換言すれば、帰着時刻Tbの残存している蓄電量Wrが最大となるのであれば、必ずしも充電拠点5にて蓄電部31をSOCが100%になるまで充電しなくてもよい。即ち、帰着時刻Tbの残存している蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1と再出発時刻T2(充電時間tc)を推定する構成としてもよい。このようにすれば、更に効率的な電力の供給ができる多様な給電計画を立案することが期待できる。
【0092】
また上記実施形態では、演算部20が、帰着時刻Tbの残存している蓄電量Wrが最大となる移動開始時刻T1を推定する例について説明を行った。一方、例えば演算部20が、給電保持期間tmが最も長くなるような移動開始時刻T1を推定する処理を行ってもよい。このようにすれば、例えば長期の系統停電にも対応可能な給電計画の立案が可能となる。
【0093】
あるいは演算部20が、帰着時刻Tbにおける給電設備23の供給可能な電力量の残容量と、蓄電部31の蓄電量Wrの和が最大となる移動開始時刻T1を推定する処理を行ってもよい。このようにすれば、給電対象施設2に対してより多くの電力の供給が可能な給電計画の立案が可能となる。
【0094】
また、上記の第2の形態において、例えば演算部20が、帰着時刻Tbの蓄電部31に残存する蓄電量Wrが最大となる、割合情報を推定する構成としてもよい。このようにすれば、例えば給電設備23を温存しつつ、車両3による効率的な電力供給の可能な給電計画の立案ができることが期待できる。
【0095】
また、例えば、本開示を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0096】
1,1A…電力供給計画管理装置 2…給電対象施設 3…車両
5…充電拠点 11…第1推定部 12…第2推定部
13,13A…第3推定部 14…充電時間推定部
15,15A…保持時間推定部 16…通信部 17…充電拠点情報取得部
18…車両情報/位置情報取得部 19…設備情報取得部 20…演算部
21…割合設定部 23…給電設備(給電部) 24…受電設備
25…設備情報管理サーバ 31…蓄電部 35…車両情報管理サーバ
45…地理情報/交通情報管理サーバ 51…充電設備
55…充電拠点情報管理サーバ