(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】電力供給計画管理装置、電力供給計画管理方法、電力供給計画管理装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20230829BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230829BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230829BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230829BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20230829BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230829BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/66
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2020041965
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 美喜
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 一史
(72)【発明者】
【氏名】馬場▲崎▼ 忠利
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027163(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061410(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06Q 10/00-10/10
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するための電力の供給計画を立案する電力供給計画管理装置であって、
第1蓄電部を有する第1車両が合流地点に移動する際に消費する第1消費量を推定する第1推定部と、
第2蓄電部を有する第2車両が前記合流地点に移動する際に消費する第2消費量、及び、前記第2蓄電部から合流した前記第1車両の前記第1蓄電部に充電可能な充電量を推定する第2推定部と、
前記第1車両が前記合流地点から前記給電対象施設に移動する際に消費する第3消費量を推定する第3推定部と、
前記第1消費量、前記充電量、及び、前記第3消費量に基づいて、前記第1蓄電部が前記給電対象施設に供給可能な供給電力量を推定する供給電力推定部と、
前記供給電力量が最大となる前記合流地点を求める演算部とが設けられている、
電力供給計画管理装置。
【請求項2】
前記給電対象施設に設置された給電部による給電可能な期間の終わりである制約時刻を推定する第4推定部が更に設けられ、
前記第1推定部は、前記第1車両が前記合流地点に移動する際に要する第1移動時間を推定し、
前記第2推定部は、前記第2車両が前記合流地点に移動する際に要する第2移動時間、前記充電量を充電する際に要する充電時間を推定し、
前記第3推定部は、前記第1車両が前記合流地点から前記給電対象施設に移動する際に要する第3移動時間を推定し、
前記演算部は、前記第1移動時間、前記第2移動時間、前記充電時間、及び、前記第3移動時間に基づいて、前記第1車両が前記制約時刻までに前記給電対象施設に移動可能な前記合流地点を求める、
請求項1に記載の電力供給計画管理装置。
【請求項3】
コンピュータシステムを用いて、電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するための電力供給計画管理方法であって、
第1蓄電部を有する第1車両が合流地点に移動する際に消費する第1消費量を推定する第1推定ステップと、
第2蓄電部を有する第2車両が前記合流地点に移動する際に消費する第2消費量、及び、前記第2蓄電部から合流した前記第1車両の前記第1蓄電部に充電可能な第2充電量を推定する第2推定ステップと、
前記第1車両が前記合流地点から前記給電対象施設に移動する際に消費する第3消費量を推定する第3推定ステップと、
前記第1消費量、前記第2充電量、及び、前記第3消費量に基づいて、前記第1蓄電部が前記給電対象施設に供給可能な供給電力量を推定する供給電力量推定ステップと、
前記供給電力量が最大となる前記合流地点を求める合流地点演算ステップと、
からなる電力供給計画管理方法。
【請求項4】
電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するために、前記車両の移動計画を立案する電力供給計画管理装置用プログラムであって、
コンピュータシステムに、
第1蓄電部を有する第1車両が合流地点に移動する際に消費する第1消費量を推定する第1推定機能と、
第2蓄電部を有する第2車両が前記合流地点に移動する際に消費する第2消費量、及び、前記第2蓄電部から合流した前記第1車両の前記第1蓄電部に充電可能な第2充電量を推定する第2推定機能と、
前記第1車両が前記合流地点から前記給電対象施設に移動する際に消費する第3消費量を推定する第3推定機能と、
前記第1消費量、前記第2充電量、及び、前記第3消費量に基づいて、前記第1蓄電部が前記給電対象施設に供給可能な供給電力量を推定する供給電力量推定機能と、
前記供給電力量が最大となる前記合流地点を求める演算機能と、
を実現するための電力供給計画管理装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電部を有した車両を利用して、電力を必要とする施設に電力を供給するための、電力供給計画の立案に用いて好適な電力給電計画管理装置、電力供給計画管理方法、及び電力供給計画管理装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば通信ビルなどの一部の重要施設では、系統停電時においてもその設備に一定の時間、電力を供給するために、据置型蓄電池や非常用発電機、あるいは太陽光発電設備などの非常用電源設備が備えられている。
【0003】
この非常用電源設備による電源供給を補助するため、又は非常用電源設備による電力供給可能な時間を延長するために、通信ビルなどの重要施設(以降において「給電対象施設」とも記載する。)にある電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)(以降において「車両」とも記載する。)の蓄電池から給電対象施設に電力供給を行うことが行われる。
【0004】
この際、車両1台あたりの蓄電池の残容量は小さいが、近隣に複数の車両が存在する場合、可搬型のV2V設備(車両間での電力供給、充電を行う設備)を用いて各車両の蓄電池の残容量を1台の車両に集約することで、給電対象施設への給電に必要な電力量を確保できる場合がある。
【0005】
また、電気自動車等において、走行に必要な電力が不足した場合などに、他の電気自動車等から電力の供給を受ける場合がある。このような場合に、その電力の供給を受ける車両の位置や蓄電部の残量などの情報に基づいて、電力を供給する側の車両との合流エリアを求める情報処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に記載された技術では、電気自動車など蓄電池を搭載した車両を利用して、給電対象施設に電力を供給することは考慮されていない。このため、他の車両から電力の供給を受けた車両が給電対象施設に到着した際に、その車両の蓄電池の残量(蓄電池のSOC(State Of Charge))が可能な限り大きくなるような合流エリアが設定される訳ではない。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、蓄電部を備えた複数の車両を用いて、給電対象施設に効率的に電力を供給する給電計画の立案が可能な電力供給計画管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示は、以下の手段を提供する。
本開示に係る電力供給計画管理装置は、電力の補給を必要とする給電対象施設に電力供給が可能な蓄電部を備え、前記蓄電部の電力を用いて移動する車両を用いて前記給電対象施設に電力を供給するための電力の供給計画を立案する電力供給計画管理装置であって、第1蓄電部を有する第1車両が合流地点に移動する際に消費する第1消費量を推定する第1推定部と、第2蓄電部を有する第2車両が前記合流地点に移動する際に消費する第2消費量、及び、前記第2蓄電部から合流した前記第1車両の前記第1蓄電部に充電可能な充電量を推定する第2推定部と、前記第1車両が前記合流地点から前記給電対象施設に移動する際に消費する第3消費量を推定する第3推定部と、前記第1消費量、前記第2充電量、及び、前記第3消費量に基づいて、前記第1蓄電部が前記給電対象施設に供給可能な供給電力量を推定する第3推定部と、前記供給電力量が最大となる前記合流地点を求める演算部とが設けられている。
【0010】
本開示に係る電力供給計画管理装置によれば、他の車両(第2車両)から電力の供給を受けた車両(第1車両)が給電対象施設に到着した際に、その蓄電部に残存する電力量が最大となる合流地点が求められる。
【0011】
このため、複数の車両が給電対象施設に向かって電力の供給を行う場合と比較して、移動のための電力損失を少なくすることができると共に、給電対象施設に対してより多くの電力の供給が可能な給電計画を立案することができる。
【0012】
上記においては、前記給電対象施設に設置された給電部による給電可能な期間の終わりである制約時刻を推定する第4推定部が更に設けられ、前記第1推定部は、前記第1車両が前記合流地点に移動する際に要する第1移動時間を推定し、前記第2推定部は、前記第2車両が前記合流地点に移動する際に要する第2移動時間、前記充電量を充電する際に要する充電時間を推定し、前記第3推定部は、前記第1車両が前記合流地点から前記給電対象施設に移動する際に要する第3移動時間を推定し、前記演算部は、前記第1移動時間、前記第2移動時間、前記充電時間、及び前記第3移動時間に基づいて、前記第1車両が前記制約時刻までに前記給電対象施設に移動可能な前記合流地点を求めることが好ましい。
【0013】
このようにすることにより、給電対象施設が備える非常用電源設備(給電部)の給電可能な期間内に、電力の供給を行う車両が給電対象施設に到着するという条件の下、給電対象施設に到着した際の車両の蓄電部に残存する電力量が最大となる車両の合流地点が求められる。
【0014】
このため、給電対象施設にて電力の供給がなくなることを防ぎつつ、蓄電部が搭載されている複数の車両を用いて可能な限り多くの電力を給電対象施設に供給可能な給電計画が立案される。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る電力供給計画管理装置によれば、蓄電部を備えた複数の車両を用いて給電対象施設に対して効率的に電力を供給する給電計画を立案することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態の電力供給計画管理装置の概要を説明する図である。
【
図2】第1の実施形態の電力供給計画管理装置を説明するブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、第1の実施形態の電力供給計画管理装置が立案する給電計画を説明する図である。
図3(b)は、第1の実施形態における一方の車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
図3(c)は、第1の実施形態における他方の車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
【
図4】第1の実施形態の電力供給計画管理装置による処理を説明するフロー図である。
【
図5】第2の実施形態の電力供給計画管理装置を説明するブロック図である。
【
図6】
図6(a)は、第2の実施形態の電力供給計画管理装置が立案する給電計画を説明する図である。
図6(b)は、第2の実施形態における一方の車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
図6(c)は、第2の実施形態における他方の車両の蓄電部の蓄電残量の時間変化を説明する図である。
【
図7】第2の実施形態の電力供給計画管理装置による処理を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
以下、第1の実施形態に係る電力供給計画管理装置1について主に
図1から
図4を参照して説明をおこなう。
【0018】
<概要の説明>
本実施形態における電力供給計画管理装置1は、系統停電時などに、複数の電気自動車等(以降において「車両3」とも記載する。)を利用して通信ビルなどの重要施設(以降において「給電対象施設2」とも記載する。)に電力供給を行う際の給電計画を立案する装置である。
【0019】
具体的には、他の場所にある複数の車両3を用いて、給電対象施設2に電力供給を行う場合の、より効率的な電力供給が可能となる電力供給計画(車両3の移動計画)を立案するための装置である。
【0020】
本実施形態において電力供給計画管理装置1は、給電対象施設2の管理を行う管理センター7に設置されている例に適用して以降の説明を行う。そして電力供給計画管理装置1が、系統停電時に複数の車両3を利用して給電対象施設2に電力供給を行う計画の立案に用いられる例に適用して以降の説明を行う。
【0021】
具体的に説明を行うと、本実施形態の電力供給計画管理装置1が、給電対象施設2の周囲に存在する車両3a,3bを用いて給電対象施設2に電力の供給を行う場合の、給電計画の立案に用いられる例に適用して説明を行う。即ち電力供給計画管理装置1が、車両3a,3bが搭載している給電対象施設2に電力供給可能な図示されていない蓄電池(以降において「蓄電部31a,31b」とも記載する。)の残容量を、一方の車両の蓄電池に集約させて給電対象施設2に電力の供給を行う場合の、給電計画の立案に用いられる例に適用して説明を行う。
【0022】
そして、そのような電力の供給を行うにあたり、より効率的な電力の供給が可能となる車両3a,3bの合流地点Zを、電力供給計画管理装置1が推定し、給電計画が立案される例に適用して以降の説明を行う(
図1参照。)。
【0023】
なお本実施形態において、車両3a,3bの少なくとも一方には、図示されていない可搬型V2V設備が搭載されているものとする。可搬型V2V設備とは、複数の電気自動車などの車両の間にて、電極の供給、及び充電を行うための可搬型の装置のことである。即ち、一方の車両の蓄電池(蓄電部)に蓄電されている電力を用いて、他方の車両の蓄電池(蓄電部)の充電を行うための装置である。
【0024】
本実施形態において電力供給計画管理装置1は、管理センター7が備える非常用電源設備から電力が供給され、インターネット回線を介して様々な情報提供を行う外部の情報提供サーバ装置と相互通信可能に接続されている例に適用して説明を行う。なお電力供給計画管理装置1は、系統停電時においても利用可能な他の公知の電子通信回線によって、外部の情報提供サーバと接続されていてもよい。
【0025】
1.構成の説明
はじめに、主に
図2を参照して電力供給計画管理装置1の構成の説明を行う。
本実施形態にかかる電力供給計画管理装置1は、通信部10、第1推定部11、第2推定部12、第3推定部13、合流地点情報取得部15、車両情報取得部16、供給電力推定部17、位置/経路情報取得部18、及び演算部20から主に構成されている(
図2参照。)。
【0026】
本実施形態において電力供給計画管理装置1は、公知のサーバ装置(電子計算機器)に専用のソフトウェアがインストールされたものである例に適用して説明を行う。即ち、ソフトウェアとハードウェアが協働して、以降に説明する各部の機能が実現されている例に適用して以降の説明を行う。
【0027】
なお電力供給計画管理装置1の各部が、それぞれの機能を発揮するように構成された専用のハードウェアから構成されていてもよい。あるいは、電力供給計画管理装置1が、それぞれの機能を実現する複数のサーバ装置から構成されていてもよい。
【0028】
通信部10は、インターネット回線を介して外部の情報提供サーバと通信を行う公知の通信インターフェイスである。
【0029】
合流地点情報取得部15は、外部の情報提供サーバである地理情報/交通情報管理サーバ45と主に通信を行って、車両3aと車両3bが合流する合流地点Zに関する情報を取得する部分である。本実施形態において地理情報/交通情報管理サーバ45は、所定の場所の地理情報や位置情報、及び渋滞や交通規制などの道路交通情報を提供する公知の情報提供サービスの管理サーバである。
【0030】
なお以降の説明において車両3aと車両3bを総称して「車両3」とも記載する。また、車両3aが搭載する図示されていない蓄電部31a、及び車両3bが搭載する図示されていない蓄電部31bを総称して「蓄電部31」とも記載する。
【0031】
本実施形態において合流地点情報取得部15は、合流地点Zの緯度経度に関する情報、合流地点Zの地点名に関する情報、及び車両3が駐車可能な時間に関する最長停車可能時間に関する情報、停車の可否に関する情報、及び充電作業を行うのに適した場所の情報(駐車場などの駐車可能な場所の情報等)などの情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。以降において、合流地点情報取得部15が取得するこれらの情報を「合流地点情報」とも記載する。
【0032】
車両情報取得部16は、外部の情報提供サーバである車両情報管理サーバ35と主に通信を行って、主に車両3に関する情報を取得する部分である。本実施形態において車両情報管理サーバ35は、車両に搭載された公知の移動体通信機能を用いて、車両の位置情報や車両のハードウェアに関する情報を収集したり、収集したそれらの情報に基づく車両の移動経路などに関する情報を、車の運転手等に提供したりする公知の車両情報提供サービスの管理サーバである。
【0033】
本実施形態において車両情報取得部16は、移動開始前の車両3a,3bの位置情報、即ち移動開始前に車両3a,3bが停車している場所の緯度経度や地点名などの位置情報を少なくとも取得する例に適用して以降の説明を行う。なお車両情報取得部16は、移動中の車両3a,3bの位置情報を取得してもよい。以降においてこれらの情報を総称して「車両位置情報」とも記載する。
【0034】
また本実施形態において車両情報取得部16は、蓄電部31の蓄電残量やSOC(蓄電部31の充電割合)、及び蓄電部31の最大/最小容量に関する情報、放電時間に関する情報、最大放電電力に関する情報等の情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。また車両情報取得部16は、車両3の平均/最大走行速度、平均/最大走行電費、積算走行時間/積算走行距離などの情報も取得する。なお本実施形態において「電費」とは、車両3が所定の電力量にて走行可能な距離のことである。以降において、車両情報取得部16が取得するこれらの情報を総称して「車両情報」とも記載する。
【0035】
なお車両情報取得部16は、車両3に搭載されている図示されていない機能診断装置等と公知の移動体通信技術を用いて直接通信を行って、車両情報を車両3から直接取得してもよい。
【0036】
また本実施形態において車両情報取得部16は、車両3a、又は車両3bのいずれかが搭載している可搬型V2V設備に関する情報も取得する。具体的に車両情報取得部16は、この可搬型V2V設備の給電電力効率や最大入力/最大出力電力に関する情報、及び連続運転時間に関する情報なども取得する。なお以降においてこれらの情報を総称して「V2V設備情報」とも記載する。
【0037】
位置/経路情報取得部18は、外部の情報提供サーバである地理情報/交通情報管理サーバ45と主に通信を行って、車両3a,3bの移動経路に関する情報、及び給電対象施設2の位置情報を取得する部分である。
【0038】
本実施形態において位置/経路情報取得部18は、給電対象施設2の緯度経路や地点名などの位置情報の他、車両3a、及び車両3bが合流地点Zに移動する際の経路に関する地理情報、走行予定距離、走行予定時間、走行予定速度などの情報、及び道路混雑情報、渋滞予想情報などの情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。なお位置/経路情報取得部18は、緯度経路や地点名などの他、その場所を特定可能なその他の情報を、給電対象施設2等の位置情報として取得してもよい。
【0039】
以降の説明において、位置/経路情報取得部18が取得するこれらの情報を総称して「経路情報」とも記載する。また、車両情報管理サーバ35、地理情報/交通情報管理サーバ45等の外部の情報提供サーバを総称して「外部サーバ」とも記載する。
【0040】
第1推定部11は、車両3a,3bの一方が、合流地点Zに移動する際に消費する電力量W1(第1消費量)を推定する部分である。本実施形態では、第1推定部11は、車両3aが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W1を推定する例に適用して説明を行う。
【0041】
第2推定部12は、車両3a,3bの他方が、合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2(第2消費量)、及び合流した一方の車両3に充電可能な電力量Ws2(以降において「充電量」とも記載する。)を推定する部分である。本実施形態において第2推定部12は、車両3bが、合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2、及び車両3aに充電可能な充電量Ws2を推定する例に適用して説明を行う。
【0042】
第3推定部13は、他方の車両3から電力供給を受けた一方の車両3が、給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3(第3消費量)を推定する部分である。本実施形態において第3推定部13は、車両3aが給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3を推定する例に適用して説明を行う。
【0043】
供給電力推定部17は、第1推定部11、第2推定部12、及び第3推定部13が推定した電力量W1、電力量Ws2、及び電力量W3に基づいて、給電対象施設2に到着した車両3が給電可能な供給電力量Wを推定する部分である。本実施形態において供給電力推定部17は、給電対象施設2に到着した車両3aが供給可能な電力量Wを推定する例に適用して説明を行う。
【0044】
演算部20は、給電対象施設2に到着した車両3aの蓄電部31aの残存蓄電量が最大となる合流地点Zの位置情報を求める部分である。また演算部20は、求めた合流地点Zの位置情報を、電力供給計画管理装置1の管理者等に通知する機能も有している。
【0045】
本実施形態における、他方の車両3から電力の供給を受ける一方の車両3(車両3a)が、第1車両の一例である。また、一方の車両3に電力供給を行う車両3(車両3b)が、第2車両の一例である。また、蓄電部31aが第1蓄電部の、蓄電部31bが第2蓄電部の一例である。更に電力量W1が第1消費量の、電力量W2が第2消費量の、電力量W3が第3消費量の一例である。
【0046】
2.処理の説明
次に、上記のように構成された電力供給計画管理装置1にて行われる処理について、主に
図3から
図4を参照して説明を行う。
【0047】
系統停電の発生により、あるいは管理センター7の管理者等の操作によって、電力供給計画管理装置1はその処理を開始する。処理が開始されると、合流地点情報取得部15、車両情報取得部16、及び位置/経路情報取得部18は、通信部10を介して外部サーバと通信を行い、必要な情報を取得する(S10)。
【0048】
具体的には、合流地点情報取得部15が、合流地点Zの候補地点の合流地点情報を取得する。また、車両情報取得部16、及び位置/経路情報取得部18が、給電対象施設2の位置情報(x3,y3)、及び近隣に位置している車両3aの移動前の車両位置情報(x1,y1)、車両3bの移動前の車両位置情報(x2,y2)を取得する。なお本実施形態では、車両3aの車両位置情報(x1,y1)、車両3bの車両位置情報(x2,y2)、及び給電対象施設2の位置情報(x3,y3)は、それぞれの場所の緯度経度情報である例に適用して説明を行うが、それぞれの場所を特定可能な他の情報であっても構わない。
【0049】
また車両情報取得部16は、車両3a,3bの蓄電部31a、31bの移動開始前の蓄電量Wa0、Wb0やSOCに関する情報などの車両情報、及びV2V設備情報も取得する。
【0050】
また位置/経路情報取得部18は、給電対象施設2の位置情報(x3,y3)と車両3aの車両位置情報(x1,y1)から、給電対象施設2と車両3aの間の距離情報L1を取得する。本実施形態において位置/経路情報取得部18は、給電対象施設2と車両3aの間の直線距離を距離情報L1として取得する例に適用して説明を行う。
【0051】
なお位置/経路情報取得部18は、取得した経路情報に基づいて、実際に車両3aが走行する走行距離を距離情報L1として取得してもよい。即ち、車両3aが、その移動前の場所から給電対象施設2に向かう実際の走行経路に沿った距離を距離情報L1として取得してもよい。
【0052】
続いて第1推定部11、第2推定部12、及び第3推定部13が、合流地点Zの位置情報を位置情報(x、y)として、それぞれの処理を行う。
【0053】
第1推定部11が、車両3aが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W
1を推定する処理を行う(S20)(第1推定ステップ)。具体的に説明を行うと、はじめに第1推定部11は、合流地点Zの位置情報を(x、y)として、車両3aの移動開始前の車両位置情報(x
1,y
1)と、合流地点Zの位置情報(x、y)から、車両3aの移動開始前の位置と合流地点Zの間の距離に関する距離情報Xを求める(
図1参照。)。
【0054】
本実施形態において第1推定部11は、車両3aの現在の位置と合流地点Zの間の直線距離を距離情報Xとして求める例に適用して説明を行う。なお第1推定部11は、位置/経路情報取得部18が取得した経路情報に基づいて、実際に車両3aが走行する走行距離を距離情報Xとして取得してもよい。
【0055】
続いて第1推定部11は、経路情報及び車両情報に基づいて、車両3aが合流地点Zに移動する際の移動予定電費K1を取得する。本実施形態において第1推定部11は、車両3aの車両情報から、車両3aが合流地点Zに移動する際の移動予定電費を取得する例に適用して説明を行う。なお第1推定部11は、車両情報取得部16、及び位置/経路情報取得部18が取得した情報に基づいて、車両3aが合流地点Zに移動する際に実際に走行する経路に基づいて、その移動予定電費K1を算出してもよい。
【0056】
そして第1推定部11は、算出した距離情報Xと移動予定電費K1から、車両3aが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W1を推定する。また第1推定部11は、車両3aが合流地点Zに到着した際の蓄電部31aの蓄電池残容量Wa1を推定する。即ち、蓄電部31aの移動開始前の蓄電量Wa0から電力量W1を引いた値を、合流地点Zに到着した際の蓄電部31aの蓄電池残容量Wa1として推定する処理を行う。なお第1推定部11は、他の公知の方法で電力量W1を推定する処理を行ってもよい。
【0057】
第2推定部12は、車両3bが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2を推定する処理を行う(S30)(第2推定ステップ)。具体的に説明を行うと、はじめに第2推定部12は、第1推定部11と同様の処理を行って、車両3bの移動開始前の車両位置情報(x2,y2)と、合流地点Zの位置情報(x、y)から、と合流地点Zの間の距離に関する距離情報Yを求める。
【0058】
続いて第2推定部12は、第1推定部11と同様の処理を行って、車両3bが合流地点Zに移動する際の移動予定電費K2を取得する。そして第2推定部12は、取得した距離情報Yと移動予定電費K2から、車両3bが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2を推定する処理を行う。第2推定部12は、他の公知の方法で電力量W2を推定する処理を行ってもよい。
【0059】
更に第2推定部12は、移動開始前の蓄電部31bの蓄電量Wb0から電力量W2を引いた値、即ち車両3bが合流地点Zに到着した際の蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1を推定する。更に第2推定部12は、蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1と蓄電部31aの蓄電池残容量Wa1を比較する処理を行う(S40)。
【0060】
第2推定部12は、蓄電池残容量Wa1が蓄電池残容量Wb1よりも大きな場合には(S40にてYes)、蓄電部31bの充電量Ws2を求める処理を行う(S50)。一方、蓄電池残容量Wa1が蓄電池残容量Wb1よりも小さな場合には(S40にてNo)、第2推定部12は、蓄電部31aと蓄電部31bに対する処理を入れ替える。即ち第2推定部12は、蓄電部31aが蓄電部31bを充電するものとして、蓄電部31aの充電量Ws2を求める処理を行う(S50)。なお以降の説明において、蓄電池残容量Wa1が蓄電池残容量Wb1よりも大きな場合を例に適用して以降の説明を行う。
【0061】
第2推定部12は、車両3aに充電可能な充電量Ws2を求める。具体的に第2推定部12は、V2V設備情報に基づいて、V2V設備の最大充電時間だけ蓄電部31aを充電する場合の電力量を充電量Ws2として求める。なお、最大充電時間を経過する前に蓄電部31bの蓄電量が最小容量Wbminとなると推定される場合には、第2推定部12は、車両3bが合流地点Zに到着した際の蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1から、最小容量Wbminを引いた値を充電量Ws2とする。
【0062】
ここで最小容量Wbminとは、蓄電部31aを充電した後に蓄電部31bに残存する蓄電量である。例えば合流地点Zが、道路の路肩など、蓄電部31aを充電した後に車両3bをそのまま駐車することができないような場所の場合には、充電後の車両3bを近隣の駐車場などに移動させる必要がある。そのような場合に、第2推定部12は、車両3bが当該場所に移動するのに必要とする電力量を最小容量Wbminとして設定する。
【0063】
あるいは、最大充電時間を経過する前に蓄電部31aが、その最大容量まで充電されると推定される場合には、第2推定部12は、蓄電部31aの最大容量から電力量Wa1を引いた値を充電量Ws2として充電量Ws2を求める処理を行う。
【0064】
第3推定部13は、他方の車両3から充電された側の車両3が、給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3を推定する処理を行う(S60)(第3推定ステップ)。具体的に説明を行うと、はじめに第3推定部13は、位置/経路情報取得部18が取得した距離情報L1から、第1推定部11が取得した距離情報Xを引いて、合流地点Zと給電対象施設2の間の距離に関する距離情報L2を取得する。なお第3推定部13は、第1推定部11と同様の処理を行って、距離情報L2を取得してもよい。
【0065】
そして第3推定部13は、上記の第1推定部11と同様の処理を行って、車両3aが給電対象施設2に移動する際の移動予定電費K3を取得する。そして第3推定部13は、取得した距離情報L2と移動予定電費K3から、車両3aが給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3を求める。なお第3推定部13は、他の公知の方法で電力量W3を推定する処理を行ってもよい。
【0066】
続いて供給電力推定部17が、蓄電部31aが給電対象施設2に給電可能な電力量Wを推定する処理を行う(S70)(供給電力量推定ステップ)。具体的に供給電力推定部17は、蓄電池残容量Wa1、及び充電量Ws2から、車両3aが合流地点Zを出発した際の蓄電部31aの蓄電池残容量Wa2を推定する。そして車両3が蓄電池残容量Wa2から電力量W3、及び蓄電部31aの最小容量Waminを引いた値を給電対象施設2に給電可能な電力量Wとして推定する。
【0067】
ここで供給電力推定部17は、蓄電部31aが給電対象施設2に電力供給を行った後に、車両3aをその近隣の駐車場などの場所に移動させる必要がある場合には、車両3aが当該場所に移動するのに必要とする電力量を最小容量Waminとして設定して電力量Wを求める処理を行う。
【0068】
演算部20は、上記にて推定された電力量W1,充電量Ws2,電力量W3に基づいて、給電対象施設2に給電可能な電力量Wが最大となる合流地点Zの位置情報(x、y)を求める処理を行う(S80)(合流地点演算ステップ)。即ち、合流地点Zの位置情報を(x、y)として推定された電力量W1、充電量Ws2、電力量W3、及び電力量Wを示す式から、公知の演算処理を行って電力量Wが最大となる合流地点Zの位置情報(x、y)を算出する処理を行う。
【0069】
なお演算部20は、複数の合流地点の候補地点を設定し、それぞれの候補地点にて充電を行うと仮定してS20~S70の処理をそれぞれ行ってもよい。そして、それぞれの場合の電力量Wの中から、電力量Wが最大となる候補地点を合流地点Zとして設定する処理を行ってもよい。
【0070】
上記のように構成された電力供給計画管理装置1によれば、車両3bから電力の供給を受けた車両3aが給電対象施設2に到着した際に、その蓄電部31aに残存する電力量Wが最大となる合流地点Zの位置情報が求められる。
【0071】
このため、車両3a、及び車両3bが、それぞれ給電対象施設2に向かって電力の供給を行う場合と比較して、移動のための電力損失を少なくすることができると共に、給電対象施設2に対してより多くの電力の供給が可能な給電計画を立案することができる。
【0072】
また車両3a、及び車両3bが合流地点に移動する際に消費する電力量W1,W2や、車両3aが合流地点から給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3は、車両情報取得部16や位置/経路情報取得部18が取得した車両情報、及び経路情報に基づいて推定される。このため、より正確な給電計画を立案することができる。
【0073】
なお上記の実施形態において演算部20が、電力量Wが最大となる合流地点Zの位置情報(x、y)を算出する処理を行う例に適用して説明を行った。一方、演算部20が、算出して求めた位置情報(x、y)と、合流地点情報取得部15が取得した合流地点の候補となる候補場所に関する情報に基づいて、合流地点Zを求める処理を行ってもよい。即ち、電力量Wが最大となる合流地点として算出された位置情報(x、y)に基づいて、その近隣にある駐車場や充電が可能な候補場所の情報を参照し、その中から合流地点Zを決定する処理を行ってもよい。このようにすれば、実際の作業に即した給電計画を立案することができる。
【0074】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態に係る電力供給計画管理装置1Aについて、主に
図5から
図7を参照して説明を行う。
【0075】
本実施形態の電力供給計画管理装置1Aの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、所定の制限時間内に、車両3aが給電対象施設2に到達可能な合流地点Zを求める点が第1の実施形態と相違している。
【0076】
具体的に説明を行うと、給電対象施設2には、停電時に給電対象施設2に電力供給を行う据置型蓄電池(以降において「給電設備23」とも記載する。)が備えられている。そして、電力供給計画管理装置1Aは、この給電設備23による電力供給が可能な期間内に車両3aが給電対象施設2に到達する合流地点Zの位置情報を求める点が第1の実施形態とは相違する。
【0077】
従って以降の説明では、第1の実施形態と相違する点について主に説明を行い、同一の構成等については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
<概要の説明>
本実施形態に係る電力供給計画管理装置1Aは、インターネット回線などの公知の通信回線を介して、車両情報管理サーバ35、地理情報/交通情報管理サーバ45の他、設備情報管理サーバ25にも相互通信可能に接続されている。
【0079】
設備情報管理サーバ25は、ビルなどにおいて消費、あるいは発電等される電力などのエネルギーに関する情報の収集、及び収集した情報に基づく施設の管理情報の提供を行う公知のビル管理情報システムのサーバ装置である。本実施形態では設備情報管理サーバ25が、給電対象施設2に関する情報、具体的には給電対象施設2が備える給電設備23に関する情報、及び給電対象施設2の消費電力(需要電力)に関する情報も管理している例に適用して以降の説明を行う。なお給電設備23は、燃料を用いた非常用発電機や、太陽光発電設備などのその他の公知の電源設備であってもよい。
【0080】
1.構成の説明
本実施形態に係る電力供給計画管理装置1Aは、通信部10、第1推定部11A、第2推定部12A、第3推定部13A、第4推定部14A、合流地点情報取得部15、車両情報取得部16、供給電力推定部17A、位置/経路情報取得部18、設備情報取得部19、及び演算部20Aから主に構成されている(
図5参照。)。
【0081】
設備情報取得部19は、設備情報管理サーバ25と主に通信を行い、給電対象施設2の設備に関する情報などを取得する部分である。本実施形態において設備情報取得部19は、給電設備23の残存蓄電量、給電対象施設2の負荷情報(消費電力)、及び所定の時刻におけるその予測値などの情報を取得する例に適用して以降の説明を行う。
【0082】
なお設備情報取得部19は、給電対象施設2が、非常用発電機や太陽光発電設備を備えている場合には、非常用発電機の燃料残量、太陽光発電設備による発電量予測値などの情報も取得する。また設備情報取得部19は、設備情報管理サーバ25から、給電対象施設2の所在地に関する情報(地点名や緯度経度等)を取得してもよい。以降において設備情報取得部19が取得するこれらの情報を「設備情報」とも記載する。
【0083】
第1推定部11Aは、車両3a,3bのいずれか一方が、合流地点Zに移動する際に消費する電力量W1(第1消費量)、及び合流地点Zに移動するのに要する移動時間t1(第1移動時間)を推定する部分である。本実施形態では、第1推定部11Aは、車両3aが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W1、移動時間t1を推定する例に適用して説明を行う。
【0084】
第2推定部12Aは、車両3a,3bのいずれかの他方が、合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2(第2消費量)、及び合流地点Zに移動するのに要する移動時間t2(第2移動時間)を推定する部分である。更に第2推定部12Aは、合流した一方の車両3に充電可能な電力量Ws2、及びその充電に要する時間tcを推定する部分である。本実施形態において第2推定部12は、車両3bが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2及びその際の移動時間t2、更に車両3aに充電可能な充電量Ws2、及びその充電時間tcを推定する例に適用して説明を行う。
【0085】
第3推定部13Aは、他方の車両3から電力供給を受けた一方の車両3が、給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3(第3消費量)、及び給電対象施設2に移動するのに要する移動時間t3(第3移動時間)を推定する部分である。本実施形態において第3推定部13Aは、車両3aが給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3、及びその際の移動時間t3を推定する例に適用して説明を行う。
【0086】
第4推定部14Aは、主に設備情報取得部19が取得した情報に基づいて、給電対象施設2の給電設備23による電力供給が保持される期間tm(以降において「給電保持期間tm」とも記載する。)、及び給電設備23による電力の供給が終了する時刻Tend(以降において「制約時刻Tend」とも記載する。)を推定する部分である。
【0087】
なお本実施形態における移動時間t1、移動時間t2、及び移動時間t3が、それぞれ第1移動時間、第2移動時間、第3移動時間の一例である。また、制約時刻Tendが制約時刻の一例である。
【0088】
供給電力推定部17は、第1推定部11A、第2推定部12A、及び第3推定部13Aが推定した電力量W1、電力量Ws2、及び電力量W3に基づいて、給電対象施設2に到着した車両3が給電可能な供給電力量Wを推定する部分である。本実施形態において供給電力推定部17は、給電対象施設2に到着した車両3aが供給可能な電力量Wを推定する例に適用して説明を行う。
【0089】
また、供給電力推定部17Aは、第1推定部11A、第2推定部12A、及び第3推定部13Aが推定した移動時間t1、充電時間tc、及び移動時間t3を加えた長さを、給電保持期間tmと比較する処理も行う機能も有している。
【0090】
演算部20Aは、車両3aが制約時刻Tendまでに給電対象施設2に到着し、その際の蓄電部31aの残存蓄電量が最大となる合流地点Zの位置情報を求める部分である。また演算部20は、求めた合流地点Zの位置情報を、電力供給計画管理装置1Aの管理者等に通知する機能も有している。
【0091】
2.処理の説明
次に、上記のように構成された電力供給計画管理装置1Aにて行われる処理について、主に
図6から
図7を参照して説明を行う。
【0092】
電力供給計画管理装置1Aが処理を開始すると、合流地点情報取得部15、車両情報取得部16、位置/経路情報取得部18、及び設備情報取得部19が、通信部10を介して外部サーバと通信を行い、必要な情報を取得する(S10A)。
【0093】
具体的に説明を行うと、設備情報取得部19は、設備情報管理サーバ25と通信を行って、給電対象施設2の給電設備23の残存蓄電量、給電対象施設2の負荷情報(消費電力)、及び所定の時刻における使用電力の予測に関する情報などを取得する。
【0094】
続いて第4推定部14が、設備情報取得部19が取得した設備情報に基づいて、給電保持期間tm、及び制約時刻Tendを求める処理を行う(S15A)。具体的に説明すると第4推定部14は、給電設備23の残存蓄電量と給電対象施設2の負荷情報(消費電力)に基づいて、給電保持期間tmを求める。更に第4推定部14は、給電設備23が給電対象施設2に電力供給を開始した時刻T0に給電保持期間tmを加算して制約時刻Tendを求める。
【0095】
第4推定部14が給電保持期間tm等を求める処理を行うと、第1推定部11、第2推定部12、及び第3推定部13が、合流地点Zの位置情報を(x、y)として、それぞれの処理を行う。
【0096】
第1推定部11Aは、車両3aが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W1と移動時間t1を推定する処理を行う(S20A)。具体的に説明を行うと、第1推定部11Aは、第1の実施形態の第1推定部11と同様の処理を行って、電力量W1を推定する処理を行う。
【0097】
また第1推定部11Aは、第1の実施形態の第1推定部11と同様の処理を行って車両3aの移動開始前の位置と合流地点Zの間の距離に関する距離情報Xを求める。また、第1推定部11Aは、車両3aの平均走行速度に関する情報も取得する。
【0098】
そして第1推定部11Aは、距離情報Xと平均走行速度に関する情報に基づいて移動時間t1を推定する処理を行う。具体的には、距離情報Xから得られる距離を、平均速度にて除算して移動時間t1を推定する。なお第1推定部11Aは、経路情報に基づいて車両3aが合流地点Zに向かう際の平均速度を推定したり、経路情報及び車両情報に基づいて移動時間t1を推定したりしてもよい。あるいは第1推定部11Aは、他の公知の方法により移動時間t1を推定してもよい。また第1推定部11は、車両3aが合流地点Zに到着した際の、蓄電部31aの蓄電池残容量Wa1を推定する処理も行う。
【0099】
また第2推定部12Aは、第1推定部11Aと同様の処理を行って車両3bが合流地点Zに移動する際に消費する電力量W2と移動時間t2を推定する処理を行う(S30A)。また第2推定部12Aは、第1の実施形態の第2推定部12と同様の処理を行って、車両3bが合流地点Zに到着した際の蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1を推定する。更に第2推定部12は、蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1と蓄電部31aの蓄電池残容量Wa1と比較する処理を行う(S40)。
【0100】
そして第2推定部12Aは、車両3aに充電可能な充電量Ws2と、充電時間tcを求める処理を行う(S50A)。具体的に説明を行うと、第2推定部12Aは、V2V設備情報に基づいて、V2V設備の最大充電時間だけ蓄電部31aを充電する場合の電力量を充電量Ws2として求めるとともに、V2V設備の最大充電時間を充電時間tcとする処理を行う。
【0101】
なお、最大充電時間を経過する前に蓄電部31bの蓄電量が最小容量Wbminとなると推定される場合には、第2推定部12は、合流地点Zに到着した際の蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1から最小容量Wbminを引いた値を充電量Ws2とするとともに、その際に掛かる時間を充電時間tcとして推定する処理を行う。具体的には、合流地点Zに到着した際の蓄電部31bの蓄電池残容量Wb1から最小容量Wbminを引いた値をV2V設備が単位時間当たりに電力供給可能な電力量で除算して、充電時間tcを推定する処理を行う。
【0102】
あるいは第2推定部12Aは、最大充電時間を経過する前に蓄電部31aがその最大容量まで充電されると推定される場合には、蓄電部31aの最大容量から電力量Wa1を引いた値を充電量Ws2とする処理を行う。また、第2推定部12Aは、蓄電部31aがその最大容量まで充電されるまでの時間を充電時間tcとして推定する処理を行う。即ち第2推定部12Aは、充電量Ws2を、V2V設備が単位時間当たりに電力供給可能な電力量で除算して、充電時間tcを推定する処理を行う。
【0103】
第3推定部13Aは、他方の車両3からの充電を終えた車両3aが、給電対象施設2に移動する際に消費する電力量W3、及びその移動時間t3を推定する処理を行う(S60A)。
【0104】
具体的に説明すると第3推定部13Aは、第1の実施形態の第3推定部13と同様の処理を行って、電力量W3を推定する処理を行う。更に第1推定部11Aと同様の処理を行って、車両3aが合流地点Zから給電対象施設2に移動するのに要する時間t3を推定する処理を行う。
【0105】
続いて供給電力推定部17Aが、第1の実施形態の供給電力推定部17と同様の処理を行って蓄電部31aが給電対象施設2に給電可能な電力量Wを求める処理を行う(S70)。更に供給電力推定部17Aは、移動時間t1、充電時間tc、及び移動時間t3から、車両3aが給電対象施設2に到着する到着時刻T3を求める。具体的には車両3aが移動を開始した時刻Taに移動時間t1、充電時間tc、及び移動時間t3を加え、到着時刻T3を求める。そして供給電力推定部17Aは、車両3aが給電対象施設2に到着する到着時刻T3と、制約時刻Tendを比較する処理を行う(S75A)。
【0106】
そして、供給電力推定部17Aは、到着時刻T3が、制約時刻Tendより後の時刻の場合(S75AにてNo)には、処理をS20Aに差し戻す。また、到着時刻T3が、制約時刻Tendより前の時刻の場合(S75AにてYes)には、供給電力推定部17Aは、車両3aが制約時刻Tendまでに給電対象施設2に到着すると判定して、処理を演算部20Aに引き渡す。
【0107】
演算部20Aは、第1の実施形態の演算部20と同様の処理を行って、給電対象施設2に給電可能な電力量Wが最大となる合流地点Zの位置情報(x、y)を求める処理を行う(S80)。
【0108】
上記のように構成された電力供給計画管理装置1Aによれば、給電対象施設2の給電設備23による制約時刻Tendまでに、電力の供給を行う車両3aが給電対象施設2に到着するという条件の下、給電対象施設2に到着した際の車両3aの蓄電部31aに残存する電力量が最大となる合流地点Zが求められる。
【0109】
このため、給電対象施設2にて給電設備23による電力の供給がなくなることを防ぎつつ、蓄電部31を備えた複数の車両3を用いて可能な限り多くの電力を給電対象施設2に供給可能な給電計画を立案することができる。
【0110】
なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、その技術的な趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施形態においては、電力供給計画管理装置1,1Aが、2台の車両3による給電計画の立案に用いられる例に適用して説明を行ったが、3台以上の車両3を用いる給電計画の立案に用いられてもよい。またその場合において、合流場所として複数の場所が設定されてもよい。
【0111】
また上記の実施形態においては、車両3の蓄電部31を用いた給電計画の立案に電力供給計画管理装置1,1Aが用いられる例に適用して説明を行った。一方、例えば可搬型の蓄電池を搭載した車両3を用いた給電計画の立案に、電力供給計画管理装置1,1Aが用いられてもよい。即ち、蓄電部31及び可搬型の蓄電池を用いた給電計画の立案に、電力供給計画管理装置1,1Aが用いられてもよい。
【0112】
また上記の第2の実施形態において、給電設備23が据置型の蓄電池である例に適用して説明を行ったが、給電設備23が、燃料にて稼働する非常用発電設備や、太陽光発電装置であったり、その他の公知の電源設備であったりしてもよい。
【0113】
この場合において、第4推定部14は、非常用発電設備の燃料の残量、あるいは太陽光発電設備の発電予測(日照時間等)に基づいて給電保持期間tm及び制約時刻Tendを推定してもよい。このようにすれば、様々なタイプの給電設備23を備えた給電対象施設2に対する給電計画を立案することが可能となる。
【0114】
また例えば、本開示を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0115】
1,1A…電力供給計画管理装置 2…給電対象施設
3a…車両(第1車両) 3b…車両(第2車両) 9,9A…推定部
10…通信部 11,11A…第1推定部 12,12A…第2推定部
13,13A…第3推定部 14A…第4推定部 15…合流地点情報取得部
16…車両情報取得部 17,17A…供給電量推定部
18…位置/経路情報取得部 19…設備情報取得部
20,20A…演算部 23…給電設備 25…設備情報管理サーバ
31a…蓄電部(第1蓄電部) 31b…蓄電部(第1蓄電部)
35…車両情報管理サーバ 45…地理情報/交通情報管理サーバ