IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-移動体検出システム 図1
  • 特許-移動体検出システム 図2
  • 特許-移動体検出システム 図3
  • 特許-移動体検出システム 図4
  • 特許-移動体検出システム 図5
  • 特許-移動体検出システム 図6
  • 特許-移動体検出システム 図7
  • 特許-移動体検出システム 図8
  • 特許-移動体検出システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】移動体検出システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G08G1/01 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020049230
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149565
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】関谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】亢 健
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 領
(72)【発明者】
【氏名】夏目 充啓
(72)【発明者】
【氏名】神田 規史
(72)【発明者】
【氏名】田村 亮
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-208087(JP,A)
【文献】国際公開第2020/050328(WO,A1)
【文献】特開2018-106266(JP,A)
【文献】特開2000-292538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1サーバグループと、第2サーバと、を備え、
前記第1サーバグループは、第1サーバと、前記第1サーバと通信可能な複数のセンサユニットと、を備える移動体検出システムであって、
前記センサユニットは、道路上又は道路に面した位置に配置され、
前記センサユニットは、
移動体の位置を検出し、前記移動体の位置を表すセンサ情報を生成するように構成されたセンサと、
前記センサ情報を前記第1サーバに送信するように構成されたセンサ情報送信ユニットと、を備え、
前記第1サーバは、
複数の前記センサユニットから複数の前記センサ情報を受信するように構成された第1サーバ受信ユニットと、
前記第1サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報に基づき、前記移動体の位置を推定するように構成された位置推定ユニットと、
前記位置推定ユニットが推定した前記移動体の位置を表す第1サーバ情報を前記第2サーバに送信するように構成された第1サーバ情報送信ユニットと、を備え、
前記第2サーバは、
前記第1サーバから前記第1サーバ情報を受信するように構成された第2サーバ受信ユニットと、
前記第2サーバ受信ユニットが受信した前記第1サーバ情報に基づき、前記移動体の将来の経路を予測するように構成された経路推定ユニットと、
前記経路推定ユニットが推定した前記移動体の将来の経路に基づき、前記移動体がいずれかの前記第1サーバグループにおける前記移動体の検出可能範囲に到達する到達位置を推定するように構成された到達位置推定ユニットと、
前記到達位置を含む第2サーバ情報を、前記到達位置推定ユニットが推定した前記到達位置に対応する前記第1サーバグループに含まれる前記第1サーバに送信するように構成された第2サーバ情報送信ユニットと、
を備え、
前記第1サーバ受信ユニットは、前記第2サーバ情報を受信するように構成され、
前記第1サーバは、前記第2サーバ情報を受信した場合は、前記到達位置を含む範囲における前記センサの時間的又は空間的分解能を、前記第2サーバ情報を受信しない場合よりも高めるように前記センサユニットに指示するセンサ指示ユニットを備える、
移動体検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体検出システムであって、
前記経路推定ユニットが前記移動体の将来の経路を推定するために使用した前記第1サーバ情報を送信した前記第1サーバを含む前記第1サーバグループにおける前記検出可能範囲と、前記第2サーバ情報を受信した前記第1サーバを含む前記第1サーバグループにおける前記検出可能範囲とは、一部重複する、
移動体検出システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の移動体検出システムであって、
前記第1サーバは、
前記第2サーバ情報に含まれる前記到達位置と、現実の前記到達位置との誤差を算出するように構成された誤差算出ユニットと、
前記誤差を含む誤差情報を前記第2サーバに送信するように構成された誤差情報送信ユニットと、をさらに備え、
前記第2サーバ受信ユニットは、前記誤差情報を受信するように構成され、
前記第2サーバは、前記誤差情報に基づき、前記到達位置の推定条件を、前記誤差が減少するように修正するように構成された修正ユニットをさらに備える、
移動体検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は移動体検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に移動体検出システムが開示されている。移動体検出システムは、複数のセンサを用いて移動体を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US10078961 B2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体の検出精度を一層高くすることが求められている。本開示の1つの局面では、移動体の検出精度が高い移動体検出システムを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面は、複数の第1サーバグループと、第2サーバと、を備え、前記第1サーバグループは、第1サーバと、前記第1サーバと通信可能な複数のセンサユニットと、を備える移動体検出システムである。
【0006】
前記センサユニットは、道路上又は道路に面した位置に配置される。前記センサユニットは、 移動体の位置を検出し、前記移動体の位置を表すセンサ情報を生成するように構成されたセンサと、前記センサ情報を前記第1サーバに送信するように構成されたセンサ情報送信ユニットと、を備える。
【0007】
前記第1サーバは、複数の前記センサユニットから複数の前記センサ情報を受信するように構成された第1サーバ受信ユニットと、前記第1サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報に基づき、前記移動体の位置を推定するように構成された位置推定ユニットと、前記位置推定ユニットが推定した前記移動体の位置を表す第1サーバ情報を前記第2サーバに送信するように構成された第1サーバ情報送信ユニットと、を備える。
【0008】
前記第2サーバは、前記第1サーバから前記第1サーバ情報を受信するように構成された第2サーバ受信ユニットと、前記第2サーバ受信ユニットが受信した前記第1サーバ情報に基づき、前記移動体の将来の経路を予測するように構成された経路推定ユニットと、前記経路推定ユニットが推定した前記移動体の将来の経路に基づき、前記移動体がいずれかの前記第1サーバグループにおける前記移動体の検出可能範囲に到達する到達位置を推定するように構成された到達位置推定ユニットと、前記到達位置を含む第2サーバ情報を、前記到達位置推定ユニットが推定した前記到達位置に対応する前記第1サーバグループに含まれる前記第1サーバに送信するように構成された第2サーバ情報送信ユニットと、を備える。
【0009】
前記第1サーバ受信ユニットは、前記第2サーバ情報を受信するように構成される。前記第1サーバは、前記第2サーバ情報を受信した場合は、前記到達位置を含む範囲における前記センサの時間的又は空間的分解能を、前記第2サーバ情報を受信しない場合よりも高めるように前記センサユニットに指示するセンサ指示ユニットを備える。
【0010】
本開示の1つの局面である移動体検出システムは、移動体の検出精度を高めることができる。
本開示の別の局面は、複数のセンサユニットと、前記センサユニットと通信可能なサーバと、を備える移動体検出システムである。
【0011】
前記センサユニットは、移動体の位置を検出するように構成されたセンサと、前記センサの検出結果に基づき、前記移動体の位置を表すセンサ情報を作成し、前記センサ情報を前記サーバに送信するように構成されたセンサ情報送信ユニットと、を備える。
【0012】
前記サーバは、複数の前記センサユニットから複数の前記センサ情報を受信するように構成されたサーバ受信ユニットと、前記サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報のそれぞれに重み付けを行い、重み付けされた複数の前記センサ情報に基づき、前記移動体の位置を推定するように構成された位置推定ユニットと、を備える。
【0013】
前記サーバ又は前記センサユニットは、前記センサ情報が表す前記移動体の位置が、前記センサの検出範囲の境界に近いほど、その前記センサ情報の重み付けを小さく設定するように構成された重み付け設定ユニットを備える。
【0014】
前記位置推定ユニットは、前記重み付け設定ユニットが設定した前記重み付けを用いて前記移動体の位置を推定するように構成されている。
本開示の別の局面である移動体検出システムは、移動体の検出精度を高めることができる。
【0015】
本開示の別の局面は、複数のセンサユニットと、前記センサユニットと通信可能なサーバと、を備える移動体検出システムである。
前記センサユニットは、移動体の位置を検出するように構成されたセンサと、前記センサの検出結果に基づき、複数のグリッドのそれぞれについて前記移動体の存在確率を表すセンサ情報を作成し、前記センサ情報を前記サーバに送信するように構成されたセンサ情報送信ユニットと、を備える。
【0016】
前記サーバは、複数の前記センサユニットから複数の前記センサ情報を受信するように構成されたサーバ受信ユニットと、前記センサ情報における前記グリッドの大きさを設定するように構成されたグリッド設定ユニットと、前記グリッド設定ユニットにより設定された前記グリッドの大きさを有する複数の前記センサ情報を用いて、複数の前記グリッドのそれぞれについて前記移動体の存在確率を算出することで、前記移動体の位置を推定するように構成された位置推定ユニットと、を備える。
【0017】
前記グリッド設定ユニットは、前記グリッドの中に、前記存在確率が相対的に高く、前記センサの検出範囲の境界付近に位置する特定グリッドが存在する場合、前記特定グリッドを含む範囲における前記グリッドの大きさを、前記特定グリッドが存在しない場合よりも小さく設定する。
【0018】
本開示の別の局面である移動体検出システムは、移動体の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】移動体検出システム1の構成を表すブロック図である。
図2】第1サーバ7の構成を表すブロック図である。
図3】センサユニット9の構成を表すブロック図である。
図4】移動体検出システム1が実行する処理を表すシーケンス図である。
図5】移動体検出システム101の構成を表すブロック図である。
図6】移動体検出システム101が実行する処理を表すシーケンス図である。
図7】センサ情報を表す説明図である。
図8】特定グリッド31Cが存在する場合のセンサ情報を表す説明図である。
図9】特定グリッド31Cが存在しない場合のセンサ情報を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.移動体検出システム1の構成
移動体検出システム1の構成を、図1図3に基づき説明する。図1に示すように、移動体検出システム1は、複数の第1サーバグループ3A、3Bと、第2サーバ5と、を備える。第1サーバグループ3A、3Bは同様の構成を有する。ここでは、第1サーバグループ3Aについて説明する。なお、本実施形態では、移動体検出システム1は2つの第1サーバグループ3A、3Bを備えるが、第1サーバグループの数は特に限定されず、3以上であってもよい。
【0021】
第1サーバグループ3Aは、第1サーバ7と、複数のセンサユニット9と、を備える。複数のセンサユニット9は、それぞれ、第1サーバ7と通信可能である。図2に示すように、第1サーバ7は、制御部11と、送受信機13と、を備える。制御部11はマクロコンピュータを備える。送受信機13は、センサユニット9との間で情報を送受信することが可能である。
【0022】
センサユニット9は、道路上又は道路に面した位置に配置される。センサユニット9は、例えば、車両に搭載される。図3に示すように、センサユニット9は、センサ15と、制御部17と、送受信機19と、を備える。
【0023】
センサ15は、図1に示す移動体21を検出し、センサ情報を生成する。移動体21として、例えば、車両、歩行車、自転車等が挙げられる。センサ情報は、移動体21の位置を表す情報である。センサ15は、例えば、カメラ、ライダー、ミリ波レーダ、ソナー等である。制御部17はマイコンを備える。送受信機19は、第1サーバ7との間で情報を送受信することができる。
【0024】
第1サーバグループ3Aは、検出可能範囲23Aを有する。第1サーバグループ3Bは、検出可能範囲23Bを有する。検出可能範囲23Aは、第1サーバグループ3Aに含まれるセンサ15により移動体21を検出可能な範囲である。検出可能範囲23Bは、第1サーバグループ3Bに含まれるセンサ15により移動体21を検出可能な範囲である。
【0025】
検出可能範囲23Aと、検出可能範囲23Bとは、例えば、図1に示すように、一部が重複している。検出可能範囲23Aと、検出可能範囲23Bとは、重複していなくてもよい。
2.移動体検出システム1が実行する基本的な処理
移動体検出システム1が実行する基本的な処理を説明する。センサユニット9が備えるセンサ15は移動体21を検出する処理を実行する。移動体21を検出した場合、センサ15は、センサ情報を生成する。センサユニット9は、制御部17及び送受信機19を用いて、センサ情報を第1サーバ7に送信する。センサ情報を送信するセンサユニット9と、センサ情報を受信する第1サーバ7とは、同一の第1サーバグループに属する。なお、制御部17及び送受信機19はセンサ情報送信ユニットに対応する。
【0026】
第1サーバ7は、制御部11及び送受信機13を用いて、送信されたセンサ情報を受信する。複数のセンサユニット9から複数のセンサ情報が送信された場合、第1サーバ7は、複数のセンサ情報のそれぞれを受信する。なお、制御部11及び送受信機13は、第1サーバ受信ユニットに対応する。
【0027】
例えば、第1サーバ7が受信した複数のセンサ情報は、それぞれ、同一の移動体21の位置を表す情報である。第1サーバ7は、制御部11を用いて、受信した複数のセンサ情報に基づき、1つの移動体21の位置を推定する。移動体21の位置を推定する方法として、例えば、3点測量の方法等が挙げられる。なお、制御部11は、位置推定ユニットに対応する。
【0028】
3.移動体検出システム1が実行するセンサ分解能の変更処理
移動体検出システム1が実行するセンサ分解能の変更処理を、図1に示す事例を参照しながら、図4に基づき説明する。図4のステップ1では、第1サーバグループ3Aに含まれる第1サーバ7が、制御部11及び送受信機13を用いて、第1サーバ情報を第2サーバ5に送信する。第1サーバ情報は、第1サーバ7が推定した移動体21の位置を表す情報である。
【0029】
第1サーバ情報は、移動体21の位置を表す情報に加えて、他の情報を含んでいてもよい。他の情報として、例えば、移動体21の速度、加速度、進行方向等を表す情報がある。なお、制御部11及び送受信機13は、第1サーバ情報送信ユニットに対応する。
【0030】
ステップ2では、第2サーバ5が、第1サーバ情報を受信する。なお、第2サーバ5は、第2サーバ受信ユニットに対応する。
ステップ1及びステップ2の処理は、繰り返し実行される。その結果、第2サーバ5は、複数の第1サーバ情報を受信する。複数の第1サーバ情報は、それぞれ異なる時刻における移動体21の位置を表す。よって、複数の第1サーバ情報は、移動体21の位置が時系列的に変化する態様を表す情報である。
【0031】
ステップ3では、第2サーバ5が、複数の第1サーバ情報に基づき、移動体21の将来の経路25を予測する。将来の経路25の例を図1に示す。また、第2サーバ5は、移動体21が、将来の経路25上の任意の位置にいつ到達するかも予測する。この予測の内容を以下では時間予測とする。なお、第2サーバ5は経路推定ユニットに対応する。
【0032】
ステップ4では、第2サーバ5が、推定した将来の経路25に基づき、到達位置27を予測する。到達位置27の例を図1に示す。到達位置27とは、移動体21が将来の経路25の上を進むと仮定した場合に、第1サーバグループ3A以外のいずれかの第1サーバグループにおける検出可能範囲に到達する位置である。図1に示す事例では、到達位置27は、第1サーバグループ3Bにおける検出可能範囲23Bに到達する位置である。到達位置27は、検出可能範囲23Bの内外を区画する境界線上にある。
【0033】
また、第2サーバ5は、将来の経路25及び時間予測に基づき、移動体21が到達位置27に到達する時刻(以下では到達予測時刻とする)を予測する。なお、第2サーバ5は、到達位置推定ユニットに対応する。
【0034】
ステップ5では、第2サーバ5が、第2サーバ情報を、第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7に送信する。第2サーバ情報とは、前記ステップ4で推定した到達位置27と到達予測時刻とを含む情報である。なお、第2サーバ5は、第2サーバ情報送信ユニットに対応する。
【0035】
第1サーバグループ3Bは、図1に示す事例において、到達位置27に対応する第1サーバグループである。到達位置27に対応する対応する第1サーバグループとは、検出可能範囲に到達位置27が存在する第1サーバグループである。
【0036】
ステップ6では、第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7が、制御部11及び送受信機13を用いて、第2サーバ情報を受信する。なお、制御部11及び送受信機13は、第1サーバ受信ユニットに対応する。
【0037】
ステップ7では、第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7が、制御部11を用いて、分解能向上範囲29を設定する。分解能向上範囲29の例を図1に示す。分解能向上範囲29は、検出可能範囲23Bの一部であって、到達位置27を含む範囲である。分解能向上範囲29は、例えば、検出可能範囲23Bの全体よりも狭い範囲である。
【0038】
第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7は、第1サーバグループ3Bに含まれるセンサユニット9のうち、分解能向上範囲29の少なくとも一部において移動体21を検出可能なセンサユニット9に対し、制御部11及び送受信機13を用いて、センサ指示を送信する。センサ指示とは、到達予測時刻を含む時間帯において、分解能向上範囲29におけるセンサ15の時間的及び空間的分解能を、通常の時間的及び空間的分解能よりも高める指示である。
【0039】
時間的分解能を高めるとは、センサ15が周期的に実行する検出処理の周期を短くすることである。通常の時間的及び空間的分解能とは、第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7が第2サーバ情報を受信せず、センサ指示を送信しなかった場合の時間的及び空間的分解能である。なお、制御部11及び送受信機13は、センサ指示送信ユニットに対応する。センサ指示を受信したセンサユニット9は、センサ指示に応じて、センサ15の時間的及び空間的分解能を高める。
【0040】
ステップ8では、第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7が、制御部11を用いて、誤差を算出する。誤差として、空間的誤差と、時間的誤差とがある。空間的誤差とは、到達位置27と、現実の到達位置との誤差である。現実の到達位置とは、移動体21が検出可能範囲23Bに実際に到達した位置である。
【0041】
時間的誤差とは、到達予測時刻と、移動体21が検出可能範囲23Bに実際に到達した時刻との誤差である。第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7は、第1サーバグループ3Bに含まれるセンサユニット9から送られるセンサ情報に基づき、現実の到達位置と、移動体21が検出可能範囲23Bに実際に到達した時刻とを取得することができる。なお、制御部11は、誤差算出ユニットに対応する。
ステップ9では、第1サーバグループ3Bに含まれる第1サーバ7が、制御部11及び送受信機13を用いて、誤差情報を第2サーバ5に送信する。誤差情報とは、前記ステップ8で算出した誤差を表す情報である。なお、制御部11及び送受信機13は、誤差情報送信ユニットに対応する。
【0042】
ステップ10では、第2サーバ5が、誤差情報を受信する。なお、第2サーバ5は、第2サーバ受信ユニットに対応する。
ステップ11では、第2サーバ5が、前記ステップ10で受信した誤差情報に基づき、到達位置27及び到達予測時刻の推定条件を、誤差が減少するように修正する。なお、第2サーバ5は、修正ユニットに対応する。
【0043】
4.移動体検出システム1が奏する効果
(1A)移動体検出システム1は、到達予測時刻を含む時間帯において、分解能向上範囲29におけるセンサ15の時間的及び空間的分解能を高める。そのため、移動体検出システム1は、移動体21の検出精度を高めることができる。
【0044】
(1B)図1に示す事例において、検出可能範囲23Aと、検出可能範囲23Bとは、一部重複する。この事例においても、移動体検出システム1は、移動体21の検出精度を高めることができる。
【0045】
(1C)移動体検出システム1は、誤差情報に基づき、到達位置27及び到達予測時刻の推定条件を、誤差が減少するように修正する。そのため、移動体検出システム1は、到達位置27及び到達予測時刻を一層正確に予測できる。
<第2実施形態>
1.移動体検出システム101の構成
移動体検出システム101の構成を、図5に基づき説明する。移動体検出システム101は、サーバ107と、複数のセンサユニット109A、109Bと、を備える。センサユニット109A、109Bは、それぞれ、サーバ107と通信可能である。なお、本実施形態では、移動体検出システム101は2つのセンサユニット109A、109Bを備えるが、センサユニットの数は特に限定されず、3以上であってもよい。
【0046】
サーバ107は、制御部111と、送受信機113と、を備える。制御部111はマクロコンピュータを備える。送受信機113は、センサユニット109A、109Bとの間で情報を送受信することが可能である。
【0047】
センサユニット109A、109Bは同様の構成を有する。ここでは、センサユニット109Aについて説明する。センサユニット109Aは、道路上又は道路に面した位置に配置される。センサユニット109Aは、例えば、車両に搭載される。センサユニット109Aは、センサ115と、制御部117と、送受信機119と、を備える。
【0048】
センサ115は、移動体を検出し、センサ情報を生成する。センサ情報は、移動体の位置を表す情報である。移動体として、例えば、車両、歩行車、自転車等が挙げられる。センサ115は、例えば、カメラ、ライダー、ミリ波レーダ、ソナー等である。制御部117はマイコンを備える。送受信機119は、サーバ107との間で情報を送受信することができる。
【0049】
センサ情報について、図7に基づき説明する。検出範囲123Aは、センサユニット109Aのセンサ115が移動体を検出可能な範囲である。検出範囲123Bは、センサユニット109Bのセンサ115が移動体を検出可能な範囲である。
【0050】
センサユニット109Aのセンサ115が生成するセンサ情報は、複数のグリッド31のそれぞれについて移動体の存在確率を表す情報である。例えば、任意のグリッド31における移動体の存在確率がXである場合、そのグリッド31に移動体が存在する確率はXである。グリッド31は、検出範囲123Aの全体にわたって設定されている。
【0051】
センサユニット109Bのセンサ115が生成するセンサ情報は、複数のグリッド31のそれぞれについて移動体の存在確率を表す情報である。例えば、任意のグリッド31における移動体の存在確率がXである場合、そのグリッド31に移動体が存在する確率はXである。グリッド31は、検出範囲123Bの全体にわたって設定されている。
【0052】
2.移動体検出システム101が実行する処理
移動体検出システム101が実行する処理を、図6図8図9に基づき説明する。図6のステップ21では、センサユニット109Aが備えるセンサ115が、移動体を検出する処理を実行する。移動体を検出した場合、センサ115は、センサ情報を生成する。
【0053】
ステップ22では、センサユニット109Bが備えるセンサ115が、移動体を検出する処理を実行する。移動体を検出した場合、センサ115は、センサ情報を生成する。
ステップ23では、センサユニット109Aは、制御部117及び送受信機119を用いて、センサ情報をサーバ107に送信する。なお、制御部117及び送受信機119は、センサ情報送信ユニットに対応する。
【0054】
ステップ24では、センサユニット109Bは、制御部117及び送受信機119を用いて、センサ情報をサーバ107に送信する。なお、制御部117及び送受信機119は、センサ情報送信ユニットに対応する。
【0055】
ステップ25では、サーバ107は、制御部111及び送受信機113を用いて、センサユニット109A、109Bが送信したセンサ情報を受信する。なお、制御部111及び送受信機113は、サーバ受信ユニットに対応する。
【0056】
ステップ26では、サーバ107が、制御部111を用いて、前記ステップ25で受信した複数のセンサ情報に重み付けを行う。センサ情報に付けられる重みは、そのセンサ情報が表す移動体の位置が、センサ115の検出範囲123A、123Bの境界に近いほど、小さい。センサ情報が表す移動体の位置とは、センサ情報にける複数のグリッド31のうち、移動体の存在確率が最も大きいグリッド31の位置である。なお、制御部111は、重み付け設定ユニットに対応する。
【0057】
ステップ27では、サーバ107が、制御部111を用いて、センサ情報における複数のグリッド31の大きさを設定する。なお、制御部111はグリッド設定ユニットに対応する。センサ情報における複数のグリッド31の大きさを設定する方法は以下のとおりである。
【0058】
サーバ107は、センサ情報における複数のグリッド31の中に、特定グリッド31Cが存在するか否かを判断する。特定グリッド31Cとは、移動体の存在確率が相対的に高く、センサ115の検出範囲の境界付近に位置するグリッド31である。
【0059】
図9に示す事例では、特定グリッド31Cが存在する。特定グリッド31Cは、センサユニット109Aが生成するセンサ情報に含まれるグリッド31の一部である。特定グリッド31Cでは、移動体21の存在確率が相対的に高い。また、特定グリッド31Cは、検出範囲123Aの境界付近に位置する。
【0060】
また、図9に示す特定グリッド31Cは、センサユニット109Bが生成するセンサ情報に含まれるグリッド31の一部でもある。特定グリッド31Cでは、移動体21の存在確率が相対的に高い。また、特定グリッド31Cは、検出範囲123Bの境界付近に位置する。
【0061】
サーバ107は、センサユニット109Aが生成するセンサ情報に含まれるグリッド31の中に、特定範囲33を設定する。特定範囲33は、特定グリッド31Cと、その周囲のグリッド31とを含む範囲である。サーバ107は、特定範囲33に含まれるグリッド31を、特定範囲33の外側にあるグリッド31よりも小さく設定する。
【0062】
また、サーバ107は、センサユニット109Bが生成するセンサ情報に含まれるグリッド31の中に、特定範囲33を設定する。特定範囲33は、特定グリッド31Cと、その周囲のグリッド31とを含む範囲である。サーバ107は、特定範囲33に含まれるグリッド31を、特定範囲33の外側にあるグリッド31よりも小さく設定する。
【0063】
図8に示す事例では、特定グリッド31Cは存在しない。サーバ107は、センサユニット109Aが生成するセンサ情報に含まれる全てのグリッド31を、特定範囲33に含まれるグリッド31よりも大きく設定する。また、サーバ107は、センサユニット109Bが生成するセンサ情報に含まれる全てのグリッド31を、特定範囲33に含まれるグリッド31よりも大きく設定する。
【0064】
図6に戻り、ステップ28では、サーバ107は、制御部111を用いて、複数のセンサ情報に基づき、移動体の位置を推定する。なお、制御部111は、位置推定ユニットに対応する。移動体の位置を推定するときに使用される複数のセンサ情報は、前記ステップ27の処理によりグリッド31の大きさを設定されたものである。サーバ107は、前記ステップ26で設定した重み付けを用いて移動体の位置を推定する。
【0065】
移動体の位置を推定する具体的な方法は、例えば、以下の方法である。センサ情報から、任意の位置Pに対応するグリッド31における移動体の存在確率Y(P)を読み出す。読み出した存在確率Y(P)に重み係数kを乗算し、重み付け存在確率Y(P)kを算出する。重み係数kは、前記ステップ26においてセンサ情報に設定された重み付けが大きいほど、大きい。
【0066】
位置Pに対応するグリッド31を有する全てのセンサ情報について、同様にして、重み付け存在確率Y(P)kを算出する。全ての重み付け存在確率Y(P)kを乗算することで、位置Pにおける移動体の存在確率を算出する。それぞれの位置Pについて、同様にして、移動体の存在確率を算出することで、位置ごとの存在確率の分布が得られる。存在確率が最も高い位置を、移動体の位置とする。
【0067】
ステップ29では、サーバ107は、制御部111及び送受信機113を用いて、前記ステップ28で推定した移動体の位置を送信する。送信先は、例えば、センサユニット109A、109B、外部の装置等である。
【0068】
3.移動体検出システム101が奏する効果
(2A)移動体の位置が、検出範囲123A、123Bの境界に近いほど、センサ情報が表す移動体の位置の精度は低い。移動体検出システム101では、センサ情報が表す移動体の位置が、検出範囲123A、123Bの境界に近いほど、そのセンサ情報の重み付けを小さくする。そのため、移動体検出システム101は、移動体の位置を精度よく推定することができる。
【0069】
(2B)一般的に、移動体の位置が、検出範囲123A、123Bの境界に近いほど、移動体の検出精度は低い。移動体検出システム101では、特定グリッド31Cが存在する場合、特定範囲33におけるグリッド31の大きさを、特定グリッド31が存在しない場合よりも小さく設定する。そのため、移動体検出システム101は、検出範囲123A、123Bの境界に近い移動体の検出精度を向上させることができる。また、全てのグリッド31を小さくする場合に比べて、サーバ107の計算負荷を軽減できる。
【0070】
(2C)センサユニット109A、109Bは、例えば、車両に搭載されている。この場合、センサユニット109A、109Bは、車両の周辺に存在する移動体を検出することができる。
(2D)センサユニット109A、109Bは、例えば、道路に設置されている。この場合、センサユニット109A、109Bは、道路の周辺に存在する移動体を検出することができる。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0071】
(1)第2実施形態において、前記ステップ28の処理では、移動体の位置を推定する処理を場合によっては2回実行してもよい。1回目の処理では、例えば、センサ情報におけるグリッド31の大きさは、図8に示すように、全てが等しく、大きい。1回目の処理の結果、特定グリッド31が存在することが判明した場合は、2回目の処理を実行する。2回目の処理では、センサ情報におけるグリッド31の大きさは、特定範囲33では、1回目の処理のときより小さく、特定範囲33以外では、1回目の処理のときと同様である。なお、1回目の処理の結果、特定グリッド31が存在しないことが判明した場合は、2回目の処理を行うことなく終了する。
【0072】
(2)第2実施形態において、図9に示すように、移動体の存在確率が相対的に小さいグリッド31Dの大きさは、他のグリッド31よりも大きくしてもよい。この場合、サーバ107の計算負荷を一層軽減できる。
【0073】
(3)第2実施形態において、前記ステップ26の処理は、センサユニット109A、109Bが行ってもよい。この場合、センサユニット109A、109Bは、センサ情報に重み付けを行ってから、センサ情報を送信する。センサ情報には、重み付けの結果が含まれる。この場合、サーバ107の処理負担を軽減できる。
【0074】
(4)第2実施形態において、前記ステップ26の処理は実行せず、全てのセンサ情報の重み付けは同一であってもよい。
(5)第2実施形態の前記ステップ27の処理において、特定グリッド31Cの有無によらず、全てのグリッド31の大きさは一定であってもよい。
【0075】
(6)本開示に記載の制御部11、17、111、117及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部11、17、111、117及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部11、17、111、117及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。制御部11、17、111、117に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0076】
(7)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0077】
(8)上述した移動体検出システムの他、当該移動体検出システムを構成要素とするさらに上位のシステム、当該制御部11、17、111、117としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、移動体検出方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1…移動体検出システム、3A、3B…第1サーバグループ、5…第2サーバ、7…第1サーバ、9…センサユニット、11…制御部、13…送受信機、15…センサ、17…制御部、19…送受信機、21…移動体、23A、23B…検出可能範囲、25…将来の経路、29…分解能向上範囲、31…グリッド、31C…特定グリッド、31D…グリッド、33…特定範囲、101…移動体検出システム、107…サーバ、109A、109B…センサユニット、111…制御部、113…送受信機、115…センサ、117…制御部、119…送受信機、123A、123B…検出範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9