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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】跳ね上げ式門扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 11/02 20060101AFI20230829BHJP
   E05F 15/63 20150101ALI20230829BHJP
【FI】
E06B11/02 M
E05F15/63
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020087440
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181702
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 聖太
(72)【発明者】
【氏名】村田 憲久
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-63748(JP,A)
【文献】特開2004-250902(JP,A)
【文献】特開2006-274678(JP,A)
【文献】特開平6-93786(JP,A)
【文献】特開平6-93784(JP,A)
【文献】特開平10-46968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/00-11/08
E05F 1/10,15/63
E05D 15/00-15/58
E04H 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の支柱と、前記支柱内に設置される駆動モータと、前記駆動モータによって前記支柱内を上下動する上下動ユニットと、前記支柱内に配置されるガイドフレームおよび前記ガイドフレームに上下に回動案内されるカム体を有したフレームユニットと、前記カム体の回動軸に対して基端側が取り付けられる回動アームと、前記回動アームの先端側に支持される扉体と、前記支柱内において前記上下動ユニットを上方に付勢する付勢ユニットとを備え、
前記上下動ユニットは前記付勢ユニットに載せられ、
前記上下動ユニットには前記カム体が摺動可能に載せられるカム受けが設けられる
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項2】
請求項1に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記付勢ユニットは、前記上下動ユニットに対して取外し可能に連結される
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記カム受けは、前記カム体に当接する樹脂部分を有する
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記上下動ユニットには上下方向に貫通した貫通孔が形成され、
前記付勢ユニットは、上下方向に沿ったばね軸と、前記ばね軸が貫通した圧縮コイルばねとを備え、
前記上下動ユニットの貫通孔には前記ばね軸が貫通する
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項5】
請求項4に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記駆動モータの回転軸にはピニオンギヤが取り付けられ、
前記上下動ユニットは、前記ピニオンギヤに噛合する上下方向に沿ったチェーンラックと、前記チェーンラックが取り付けられるチェーンラック受けとを備え、
前記チェーンラック受けには前記貫通孔が形成され、
前記貫通孔には上下方向に対向する少なくとも二つのブッシュが装着され、
前記ブッシュには前記ばね軸が貫通される
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記上下動ユニットを上下案内する上下ガイド体を備え、
前記上下ガイド体は前記フレームユニットに取り付けられる
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項7】
請求項2に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記付勢ユニットは、上下方向に沿ったばね軸と、前記ばね軸が貫通した圧縮コイルばねと、前記圧縮コイルばねの上下の端部に配置された上下のばね座と、前記上側のばね座よりも上方において前記ばね軸が貫通した上部連結体と、前記下側のばね座よりも下方において前記ばね軸が貫通した下部固定体とを備え、
前記上部連結体は前記上下動ユニットに機械的に連結可能に構成され、
前記下部固定体は前記支柱に固定可能に構成され、
前記ばね軸には、前記上部連結体よりも上方の位置および前記下部固定体よりも下方の位置に止めピンが取り付けられる
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項8】
請求項7に記載の跳ね上げ式門扉において、
前記支柱は、前面部と、後面部と、前記前面部および後面部に連続した左右の側面部とを有し、
前記下部固定体は、前記支柱の前面部および後面部の双方に固定される
ことを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車庫等の出入口を開閉する跳ね上げ式門扉に関し、詳しくは、支柱と、この支柱に基端側が軸支されて上下に回動可能に設けられた回動アームと、この回動アームの先端側に支持された扉体とを備えた跳ね上げ式門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、跳ね上げ式門扉として、モータの駆動により扉体を跳ね上げ回動させて開き、扉体を下降回動させて閉じる跳ね上げ式自動開閉門扉が知られている(特許文献1参照)。この跳ね上げ式自動開閉門扉は、地上に立設された一対の支柱と、基端部が支柱に回動可能に取り付けられた第1アームおよび第2アームと、第1アームおよび第2アームの先端部に取り付けられた扉体とを備えている。支柱には、モータと、モータに取り付けられた駆動スプロケットと、駆動スプロケットに対して下方に配置された従動スプロケットと、駆動スプロケットおよび従動スプロケットに掛け回されたチェーンと、チェーンに取り付けられた往復運動体とが内蔵されており、往復運動体は、第1アームの回動軸に取り付けられたレバーと連動可能に係合している。また、レバーには、扉体5、第1アームおよび第2アーム等の重量とバランスをとるバランススプリングが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-046968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の跳ね上げ式自動開閉門扉では、モータの駆動をレバーに伝達するための駆動スプロケット、従動スプロケット、チェーンおよび往復運動体を支柱内に設置する作業や、バランススプリングをレバーに取り付ける作業などに手間を要してしまい、組立作業性を向上させることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、組立作業性を向上できる跳ね上げ式門扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の跳ね上げ式門扉は、中空の支柱と、前記支柱内に設置される駆動モータと、前記駆動モータによって前記支柱内を上下動する上下動ユニットと、前記支柱内に配置されるガイドフレームおよび前記ガイドフレームに上下に回動案内されるカム体を有したフレームユニットと、前記カム体の回動軸に対して基端側が取り付けられる回動アームと、前記回動アームの先端側に支持される扉体と、前記支柱内において前記上下動ユニットを上方に付勢する付勢ユニットとを備え、前記付勢ユニットは、前記上下動ユニットに対して取外し可能に連結され、前記上下動ユニットには前記カム体が摺動可能に載せられるカム受けが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組立作業性を向上できる跳ね上げ式門扉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る跳ね上げ式門扉を示す斜視図。
図2】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉の支柱を前側から示す斜視図。
図3】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉の支柱を後側から示す斜視図。
図4】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉の支柱内の各ユニットを示す斜視図。
図5】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉の各ユニットを示す斜視図。
図6】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉のカム体および上下動ユニットを示す斜視図。
図7】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉の上下動ユニットを展開して示す斜視図。
図8】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉の支柱および各ユニットを示す斜視図。
図9】前記実施形態に係る跳ね上げ式門扉のカム体および上下動ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図5において、本実施形態に係る跳ね上げ式門扉1は、電動アップゲートであり、一対の支柱2(柱体)と、支柱2内に設置される駆動モータ3と、駆動モータ3によって支柱2内で上下動する上下動ユニット60と、支柱2内に配置されるガイドフレーム71およびガイドフレーム71に上下に回動案内されるカム体75を有したフレームユニット70と、カム体75の回動軸77に対して基端側が取り付けられる回動アーム4と、回動アーム4の先端側に支持される扉体5と、支柱2内において上下動ユニット60を上方に付勢する付勢ユニット80とを備えている。
以下の説明において、跳ね上げ式門扉1の左右方向をX軸方向とし、跳ね上げ式門扉1の上下方向をY軸方向とし、跳ね上げ式門扉1の見込み方向(奥行方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
一対の支柱2は、図1から図3に示すように、前面部21と、後面部22と、前面部21および後面部22に連続した左右の側面部23,24とを有して断面中空矩形状に形成された柱材25と、側面部23に取り付けられるカバー材26と、後面部22に取り付けられる配線カバー材27と、柱材25の上端における開口端部に取り付けられる樹脂製の柱キャップ28とを備えている。柱材25、カバー材26および配線カバー材27はアルミ押出形材によってそれぞれ形成されている。柱材25の内部には、駆動モータ3、フレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80のほか、駆動モータ3を制御する制御装置6、カム体75の回動角度を検出する角度センサー7(図9参照)や遠隔操作用の受信機(図示省略)などが設置される。一対の支柱2の側面部23は側面部24に対して他方の支柱2側に配置されている。側面部23には制御装置6等の機器などを点検可能な開口部231が形成されている。後面部22には、駆動モータ3、制御装置6、角度センサー7、受信機などの機器に接続される配線9を外部に導出する配線口221が複数形成されている。カバー材26は側面部23の開口部231を閉塞して配置され、配線カバー材27は前述した配線口221から導出された配線9を覆って配置されている。なお、柱キャップ28には受信機が取り付けられている。
【0011】
駆動モータ3は、図4に示すようにガイドフレーム71の後述するフレームカバー714に取り付けられており、その回転軸31にはピニオンギヤ32が取り付けられている。
回動アーム4は、カム体75の回動軸77に取り付けられたブラケット41と、ブラケット41に取り付けられたメインアーム42と、回動軸77から径方向に離間した位置で軸支されたサブアーム43とを備えており、メインアーム42およびサブアーム43の先端に扉体5が取り付けられている。この回動アーム4は、メインアーム42が回動軸77のR方向(図5参照)の回動と共に回動し、サブアーム43がメインアーム42の回動に追従して回動することで、扉体5を下方の閉鎖位置および上方の開放位置の間を開閉させる。
扉体5は、四周枠組みされた扉枠51内に格子52が配置されることで構成されており、扉枠51の左右両側部分がメインアーム42およびサブアーム43の先端に回動可能に支えられている。
【0012】
フレームユニット70は、図4および図5に示すように前述したガイドフレーム71およびカム体75を備えている。
ガイドフレーム71は、前方フレーム711および後方フレーム712と、前方フレーム711および後方フレーム712に連結される左右のフレームカバー713,714とを備えている。フレームカバー713,714には後述するガイドローラー782を上下案内する弓状のガイド長孔72がそれぞれ形成されており、フレームカバー713にはカム体75の回動軸77が貫通している。フレームカバー714には図6に示すように上下動ユニット60を受ける受け部材73が取り付けられている。受け部材73は断面略L字形状に形成されており、フレームユニット70および上下動ユニット60の支柱2内への設置前において、後述するカム受け67の取付金具671に下から当たることで上下動ユニット60のフレームユニット70に対する下方への脱落を抑制する。また、フレームユニット70および上下動ユニット60を支柱2内から取り出す際においても、受け部材73はカム受け67の取付金具671に下から当たることで上下動ユニット60のフレームユニット70に対する下方への脱落を抑制する。なお、説明の便宜上、図5および図6ではフレームカバー713の図示を省略している。
カム体75は、図5に示すように駆動モータ3に対して上方に配置されたカム本体76と、カム本体76が取り付けられていると共にフレームカバー713,714に軸支された回動軸77と、カム本体76に連結された当接カム78とを備えている。カム本体76は回動軸77の周りで上下にR方向に回動可能に配置されている。カム本体76には当該カム本体76の回動角度を検出する角度センサー7(図9参照)が取り付けられている。当接カム78はカム本体76のうち回動軸77から離間した先端側の位置で当該カム本体76に回動可能に連結された当接カム本体781と、当接カム本体781に取り付けられた左右のガイドローラー782と、左右のガイドローラー782の間に設置されたガイドローラーピン783(図9参照)とを備えている。左右のガイドローラー782はフレームカバー713,714のガイド長孔72に配置されており、ガイド長孔72に沿って上下案内される。ガイドローラーピン783は後述するカム受け67に当接する配置とされている。
ここで、制御装置6は、角度センサー7で常時検出する回動角度信号を受信しており、例えばカム本体76が図5に示す斜め下向き状態にある場合の回動角度を0°として扉体5の閉鎖位置(全閉位置)に設定した場合、カム本体76が上方に回動して90°となる回動角度を扉体5の開放位置(全開位置)として設定されてもよい。なお、この場合、ガイド長孔72は、カム本体76が回動角度0°~95°まで回動可能とする程度の長さ寸法とされていてもよい。
【0013】
また、フレームユニット70は、図5図9(A)および図9(B)に示すように、フレームカバー713,714にネジ止めされる断面コ字形状の金具から形成される取付体791と、カム本体76に対して進退可能に取付体791に取り付けられた張力調整具としての張力調整ボルト792とを備えている。張力調整ボルト792は、カム本体76の回動軌跡において上側に配置されており、その先端がカム本体76に当接可能な向きとされて取付体791に螺合している。このため、張力調整ボルト792をねじ込むことでカム本体76に対して前進させられる一方、ねじ戻すことでカム本体76に対して後退させられる。本実施形態では、張力調整ボルト792を図9(A)に示す状態からねじ込み、張力調整ボルト792の頭部を取付体791に当てて図9(B)に示す状態とすることで張力調整完了とする。
【0014】
上下動ユニット60は、図4から図7に示すように、金属製(本実施形態ではアルミ押出形材製)のチェーンラック受け61(上下動本体)と、チェーンラック受け61にY軸方向に沿って取り付けられたチェーンラック62とを備えており、チェーンラック62は駆動モータ3のピニオンギヤ32に噛合している。
チェーンラック受け61には、Y軸方向に延びて上下に貫通した貫通孔63が形成されており、貫通孔63の上端部および下端部には樹脂製のブッシュ64がそれぞれ上下方向に対向して装着されている。また、チェーンラック受け61には、断面略コ字形状の溝部65がY軸方向に沿って形成されており、溝部65には上下ガイド体66が嵌合する。上下ガイド体66は、ガイドフレーム71(本実施形態では前方フレーム711)にネジ止めされる取付部材661と、取付部材661に取り付けられた上下ガイド部材662とを備えており、上下ガイド部材662が溝部65に配置される。チェーンラック受け61は、溝部65に配置された上下ガイド部材662にY軸方向に摺動可能に当接している。
また、チェーンラック受け61の上端部には、ガイドローラーピン783が載せられるカム受け67が取り付けられている。カム受け67は、チェーンラック受け61の上端部にネジ止めされて貫通孔63の上端を塞ぐ取付金具671と、取付金具671の上面にネジ止めされた樹脂製の摺接部材672とを備えている。摺接部材672は、Z軸方向に延びており、その上面にはZ軸方向に沿ったグリース溝673が形成されている。このため、摺接部材672の上面にはガイドローラーピン783がZ軸方向に摺動可能に当接し、カム体75はカム受け67に対して円滑に摺動しながら回動できる。
【0015】
付勢ユニット80は、図4および図5に示すように、Y軸方向に沿ったばね軸81と、ばね軸81が貫通した圧縮コイルばね82と、圧縮コイルばね82の上下の端部に配置された上下のばね座83,84と、上側のばね座83よりも上方においてばね軸81が貫通した上部連結体85と、下側のばね座84よりも下方においてばね軸81が貫通した下部固定体86と、圧縮コイルバネ82を上下案内するガイドパイプ89とを備えており、ばね軸81のうち上部連結体85よりも上方の位置および下部固定体86よりも下方の位置には割りピン87,88(止めピン)がそれぞれ取り付けられてユニット化されている。なお、前述したガイドパイプ89を備えることで圧縮コイルバネ82の座屈を抑えられるが、これがなくても付勢ユニット80に必要とされる性能を発揮可能であれば、ガイドパイプ89を省略してもよい。
ばね軸81のうち上部連結体85および上側の割りピン87よりも上方部分は、上下動ユニット60の上下のブッシュ64に挿通されており、これにより、ばね軸81は貫通孔63を貫通して配置される。ばね軸81は樹脂製のブッシュ64に挿通されるので金属製のチェーンラック受け61に対して直接に接触することがなく、摺動音を低減できる。また、ブッシュ64をなくしてばね軸81がチェーンラック受け61に直接に接触する場合よりもばね軸81のチェーンラック受け61に対する移動精度の向上を図れる。
上部連結体85は、断面略コ字形状の連結金具によって構成されており、チェーンラック受け61の下端部に取外し可能にネジ止め(機械的に連結)されている。
下部固定体86は、支柱2の前面部21の内面に対向して配置可能な前固定部861と、支柱2の後面部22の内面に対向して配置可能な後固定部862とを有した固定金具によって構成されており、支柱2の内部に配置された状態で前固定部861および後固定部862の双方を支柱2の前面部21および後面部22にネジ止めすることで支柱2に固定される構成とされている。
【0016】
以下、本実施形態に係る跳ね上げ式門扉1において、支柱2の内部にフレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80を設置する組立手順の一例を説明する。
まず、予めユニット化したフレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80を準備する。なお、上下ガイド体66はフレームユニット70にネジ止めしておく。
次に、付勢ユニット80および上下動ユニット60を連結する。具体的には、付勢ユニット80のばね軸81を上下動ユニット60の貫通孔63に下方から差し込み、続いて、チェーンラック受け61の下端部を付勢ユニット80の上部連結体85にネジ止めする。
一方、フレームユニット70および上下動ユニット60を組み合わせる。具体的には、フレームユニット70に取り付けられた上下ガイド体66に対して上下動ユニット60の溝部65を嵌合させる。
前述したようにフレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80の3ユニットを連結して組み合わせた後、図8に示すようにこの組合せ体を支柱2の柱材25における上側の開口端部から挿入する。
最後に、フレームユニット70および付勢ユニット80の下部固定体86を柱材25にネジ止めする。このようにして、支柱2の内部にフレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80を設置する。
【0017】
フレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80の設置後は、柱キャップ28、駆動モータ3、制御装置6などの機器を支柱2に取り付ける。そして、駆動モータ3、制御装置6、カム本体76に取り付けられていた角度センサー7、柱キャップ28に取り付けられていた受信機などの機器同士の配線9を接続する配線作業を行う。各機器の取付け作業および配線作業を行った後、柱材25に配線カバー材27を取り付ける。なお、カバー材26は配線作業前、配線作業後のいずれのときに取り付けてもよい。
【0018】
ここで、跳ね上げ式門扉1の開放状態における初期張力は図9(A)および図9(B)に示すように調整可能であり、張力調整手順を以下に説明する。なお、図5では回動閉鎖位置CL(扉体5が全閉位置となる位置(回動角度0°の位置))にあるカム体75を示しており、図9(B)では回動開放位置OP(扉体5が全開位置となる位置(回動角度90°の位置))にあるカム体75を示している。図9(A)は張力調整ボルト792による張力調整前の状態を示し、図9(B)は張力調整ボルト792による張力調整後の状態を示している。
図9(A)では、上下動ユニット60は付勢ユニット80の上方に付勢力がかかっていない状態であり、カム体75は回動開放位置OPを若干越えた位置(回動角度90°以上95°以下の位置)にある。このとき、張力調整ボルト792をねじ込むことで前進させ、その先端をカム本体76に押し当てつつ、付勢ユニット80からの付勢力に抗して回動開放位置OPまで押し下げ、張力調整ボルト792を更に締め込んで張力調整ボルト792を位置決めする。本実施形態では張力調整ボルト792の頭部が取付体791に当たるまで張力調整ボルト792を締め込む。
このように押し下げることにより、付勢ユニット80の付勢力を利用して張力を発生させて、カム体75に対する上向きの力と下向きの力をつり合わせた状態にでき、カム体75を上下動ユニット60に密着させることができる。そして、このように張力を発生させてカム体75および上下動ユニット60を密着させた状態から上下動ユニット60を下方移動すると、前記張力を発生させていない場合と比べて、カム体75が扉体5や回動アーム4などの自重を受けつつ速やかに下方に回動するので、扉体5の閉鎖初動の遅れを抑制できる。
また、張力調整ボルト792が取付体791に対して進退可能に取り付けられるので、カム体75が下方に回動付勢されないように張力調整ボルト792を図9(A)に示すように後退させて配置しておくことで、フレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80を容易に設置できる。なお、フレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80の設置後に張力調整ボルト792を前進させることで前記張力を発生させ、調整できる。
【0019】
なお、設置したフレームユニット70、上下動ユニット60および付勢ユニット80を支柱2の内部から取り出す作業は、上記組立手順とは逆の手順で行える。
【0020】
[変形例]
前記実施形態では、付勢ユニット80の上部連結体85はチェーンラック受け61の下端部に取外し可能にネジ止め(機械的に連結)されているが、このように機械式に連結せずに、上下動ユニット60が付勢ユニット80に載せられるだけでもよい。
前記実施形態では、カム受け67は樹脂製の摺接部材672を備えているが、樹脂製に限らず、カム体75と摺動可能に当接する部材を備えていればよい。
前記実施形態では、上下動ユニット60の貫通孔63には樹脂製のブッシュ64が装着されているが、所定の摺動性能があれば樹脂製でなくてもよく、含油性の金属ブッシュであってもよい。また、チェーンラック受け61は金属製に限らず、カム体75を回動させるうえで十分な部材強度があるもので構成されていればよく、例えば樹脂製であってもよい。
更にまた、ブッシュ64がなくても所定の摺動性能が発揮できる場合にはブッシュ64の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、チェーンラック受け61には、ばね軸81が貫通する貫通孔63が形成されているが、上端で貫通していないばね軸差込穴であってもよく、また、ばね軸81が上部連結体85よりも上方に突出していない構成である場合には、貫通孔63を省略してもよい。
前記実施形態では、付勢ユニット80の下部固定体86は支柱2の前面部21および後面部22の双方に固定されるが、十分な固定強度を得られる場合には前面部21および後面部22のうちの一方だけに固定されてもよく、また、前面部21および後面部22ではなく、左右の側面部23,24の一方または双方に固定されてもよい。
前記実施形態では、剛体である張力調整ボルト792によって張力調整具が構成されているが、これに限らず、カム体75に対して進退可能に設置される弾性を有した部材であってもよい。この場合、張力調整具をカム体75に押し付けることで、張力調整具の弾性を利用した下向きの力を発生でき、付勢ユニット80の付勢による上向きの力と吊り合わせることで張力を発生できる。
【0021】
[本発明のまとめ]
本発明の跳ね上げ式門扉は、中空の支柱と、前記支柱内に設置される駆動モータと、前記駆動モータによって前記支柱内を上下動する上下動ユニットと、前記支柱内に配置されるガイドフレームおよび前記ガイドフレームに上下に回動案内されるカム体を有したフレームユニットと、前記カム体の回動軸に対して基端側が取り付けられる回動アームと、前記回動アームの先端側に支持される扉体と、前記支柱内において前記上下動ユニットを上方に付勢する付勢ユニットとを備え、前記上下動ユニットは前記付勢ユニットに載せられ、前記上下動ユニットには前記カム体が摺動可能に載せられるカム受けが設けられることを特徴とする。
本発明の跳ね上げ式門扉によれば、支柱内に設置される各構成をフレームユニット、上下動ユニットおよび付勢ユニットにユニット化したので、これら各ユニットを予め準備しておくことができ、最終組立工場で各ユニット自体を組み立てる作業をなくすことができて、支柱内にフレームユニット、上下動ユニットおよび付勢ユニットを設置する組立作業性を向上できる。また、フレームユニット、上下動ユニットおよび付勢ユニットをそれぞれ単独保管できるので、跳ね上げ式門扉の組立作業時間の短縮を図ることができる。更に、フレームユニット、上下動ユニットおよび付勢ユニットをそれぞれユニット化したことで、各ユニットに不具合が生じた場合にユニット単位で交換できる。
加えて、付勢ユニットを上下動ユニットに対して取外し可能に連結する一方、フレームユニットのカム体を上下動ユニットのカム受けに連結せずに載せるだけの構成としたので、上下動ユニットおよび付勢ユニットの支柱に対する設置作業とフレームユニットの支柱に対する設置作業とを分けて行うことができる。
【0022】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記付勢ユニットは、前記上下動ユニットに対して取外し可能に連結されていてもよい。
このような構成によれば、付勢ユニットおよび上下動ユニットを支柱内に設置する前において、付勢ユニットを上下動ユニットに連結することで支柱内へ設置する作業性を向上できる。
【0023】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記カム受けは、前記カム体に当接する樹脂部分を有していてもよい。
このような構成によれば、カム体がカム受けと当接状態で上下に回動してもカム体がカム受けに対して円滑に摺動しつつ回動できる。また、例えばカム体およびカム受けが金属部分同士で当接する場合と比べて、カム体がカム受けの樹脂部分に当たる際の衝突音を低減できる。
【0024】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記上下動ユニットには上下方向に貫通した貫通孔が形成され、前記付勢ユニットは、上下方向に沿ったばね軸と、前記ばね軸が貫通した圧縮コイルばねとを備え、前記上下動ユニットの貫通孔には前記ばね軸が貫通していてもよい。
このような構成によれば、上下動ユニットの貫通孔にばね軸を貫通させることで、上下動ユニットおよび付勢ユニットの互いの位置を定めることができ、連結作業を容易に行い得る。
【0025】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記駆動モータの回転軸にはピニオンギヤが取り付けられ、前記上下動ユニットは、前記ピニオンギヤに噛合する上下方向に沿ったチェーンラックと、前記チェーンラックが取り付けられるチェーンラック受けとを備え、前記チェーンラック受けには前記貫通孔が形成され、前記貫通孔には上下方向に対向する少なくとも二つのブッシュが装着され、前記ブッシュには前記ばね軸が貫通されていてもよい。
このような構成によれば、チェーンラック受けの貫通孔に対して前述したブッシュを設けることで、チェーンラック受けの貫通孔に貫通されるばね軸の当該チェーンラック受けに対する移動精度を向上できて摺動抵抗を低減でき、扉体の所定の開閉を円滑に行い得る。
【0026】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記上下動ユニットを上下案内する上下ガイド体を備え、前記上下ガイド体は前記フレームユニットに取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、上下動ユニットを上下案内する上下ガイド体をフレームユニットに取り付けるので、例えば上下動ユニットに設けたガイドローラを支柱に当てて上下案内する構成と比べて、支柱に当てるガイドローラのような構成をなくすことができ、これにより、支柱の見付け寸法や見込み寸法を小さくし得る。
【0027】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記付勢ユニットは、上下方向に沿ったばね軸と、前記ばね軸が貫通した圧縮コイルばねと、前記圧縮コイルばねの上下の端部に配置された上下のばね座と、前記上側のばね座よりも上方において前記ばね軸が貫通した上部連結体と、前記下側のばね座よりも下方において前記ばね軸が貫通した下部固定体とを備え、前記上部連結体は前記上下動ユニットに機械的に連結可能に構成され、前記下部固定体は前記支柱に固定可能に構成され、前記ばね軸には、前記上部連結体よりも上方の位置および前記下部固定体よりも下方の位置に止めピンが取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、搬送時や支柱への組込み時などに圧縮コイルばねなどがばね軸から抜け落ちないようにユニット化した付勢ユニットを構成できる。
【0028】
本発明の跳ね上げ式門扉では、前記支柱は、前面部と、後面部と、前記前面部および後面部に連続した左右の側面部とを有し、前記下部固定体は、前記支柱の前面部および後面部の双方に固定されていてもよい。
このような構成によれば、例えば下部固定体が支柱の前面部および後面部の一方だけに固定される場合と比べて、固定強度を向上できる。
【符号の説明】
【0029】
1…跳ね上げ式門扉、2…支柱、3…駆動モータ、60…上下動ユニット、67…カム受け、70…フレームユニット、71…ガイドフレーム、75…カム体、77…回動軸、4…回動アーム、5…扉体、80…付勢ユニット、791…取付体、792…張力調整ボルト(張力調整具)。
図1
図2
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図9