(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】マザーボードとドーターボードとの間に焼結接続を備えるテストフィクスチャ
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G01R31/28 J
(21)【出願番号】P 2020500883
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(86)【国際出願番号】 US2018041297
(87)【国際公開番号】W WO2019014132
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2017-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ランダル ルレー ニュービイ
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0126863(US,A1)
【文献】特開2010-3854(JP,A)
【文献】特開2007-208082(JP,A)
【文献】特開2004-311881(JP,A)
【文献】特開2015-23071(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125973(WO,A1)
【文献】特開平10-290054(JP,A)
【文献】特開平7-50482(JP,A)
【文献】特開2008-89468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074457(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0194765(US,A1)
【文献】米国特許第6462570(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26-31/3193
G01R 1/06-1/073
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストフィクスチャであって、
テストステーションに結合するように構成される第1のテスト信号線を有するマザーボードであって、前記第1のテスト信号線に結合される第1のコンタクトパッドを含む、前記マザーボード、及び
ドーターボードであって、前記ドーターボード上の第2のコンタクトパッドに結合される第2のテスト信号線を有する、前記ドーターボード、
を含み、
第2のコンタクトパッドが、前記第1のコンタクトパッドと整合し、焼結結合によって前記第1のコンタクトパッドに結合される、
テストフィクスチャ。
【請求項2】
請求項1に記載のテストフィクスチャであって、前記マザーボードが、前記ドーターボードに外接する窪んだ領域を有する、テストフィクスチャ。
【請求項3】
請求項2に記載のテストフィクスチャであって、前記ドーターボードの頂部表面が、前記マザーボードの頂部表面とほぼ同一平面上にある、テストフィクスチャ。
【請求項4】
請求項2に記載のテストフィクスチャであって、窪んだ領域が或る深さを有し、前記ドーターボードが、前記窪んだ領域の前記深さにほぼ等しい厚みを有する、テストフィクスチャ。
【請求項5】
請求項2に記載のテストフィクスチャであって、前記ドーターボードが、窪んだ領域を有し、前記マザーボード上の前記窪んだ領域と係合するように構成される、テストフィクスチャ。
【請求項6】
請求項5に記載のテストフィクスチャであって、前記マザーボード上の前記窪んだ領域が或る深さを有し、前記ドーターボードが、前記マザーボード上の前記窪んだ領域の前記深さより大きい厚みを有する、テストフィクスチャ。
【請求項7】
テストフィクスチャであって、
テストステーションに結合するように構成される第1のテスト信号線を有するマザーボードであって、前記第1のテスト信号線に結合される第1のコンタクトパッドを含む、前記マザーボード、及び
ドーターボードであって、前記ドーターボード上の第2のコンタクトパッドに結合される第2のテスト信号線を有する、前記ドーターボード、
を含み、
第2のコンタクトパッドが、前記第1のコンタクトパッドと整合し、焼結結合によって前記第1のコンタクトパッドに結合され、
前記マザーボードが、前記ドーターボードに外接する窪んだ領域を有する、
テストフィクスチャ。
【請求項8】
請求項7に記載のテストフィクスチャであって、前記窪んだ領域が或る深さを有し、前記ドーターボードが前記窪んだ領域の前記深さにほぼ等しい厚みを有する、テストフィクスチャ。
【請求項9】
請求項7に記載のテストフィクスチャであって、前記ドーターボードが、窪んだ領域を有し、前記マザーボード上の前記窪んだ領域と係合するように構成される、テストフィクスチャ。
【請求項10】
請求項9に記載のテストフィクスチャであって、前記マザーボード上の前記窪んだ領域が或る深さを有し、前記ドーターボードが、前記マザーボード上の前記窪んだ領域の前記深さより大きい厚みを有する、テストフィクスチャ。
【請求項11】
テストフィクスチャをつくるための方法であって、
マザーボード上のコンタクトパッド上、及び/又は、ドーターボード上のコンタクトパッド上に導電性粒子を堆積させること、
前記ドーターボード上の前記コンタクトパッドが前記マザーボード上の前記コンタクトパッドと整合するように、前記マザーボード上に前記ドーターボードを位置決めすること、及び
前記ドーターボード上の前記コンタクトパッドと前記マザーボード上の前記コンタクトパッドとの間に結合を形成するため、前記導電性粒子を焼結すること、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記マザーボードが、窪んだ領域を含み、前記ドーターボードを位置決めすることが、前記ドーターボードの頂部表面が前記マザーボードの頂部表面とほぼ同一平面上にあるように、前記ドーターボードを前記窪んだ領域と係合させることを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記マザーボード及び前記ドーターボードを、前記導電性粒子を含むバルク材料の融点未満の温度まで加熱することによって、焼結が行われる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動試験装置(ATE)は、自動化機器を用いて迅速に測定を行いテスト結果を評価する、被試験デバイス(DUT)、被試験機器(EUT)、又は被試験ユニット(UUT)として知られる、デバイスに対してテストを行う装置であり得る。
【背景技術】
【0002】
ATEシステムは、典型的に、機器によって測定され得るように、インタフェーステストアダプター(ITA)上にDUTを物理的に配置する自動配置ツールと連動する。ITAは、ATEとDUT又はUUTとの間の電子的接続を成すデバイスであり得る。ITAはまた、ATEとDUTとの間の信号を適応させるための付加的な回路要素を含み得、DUTを取り付けるための物理的な設備を有する。ITAとDUTとの間の接続を橋渡しするために、ソケットが用いられ得る。ソケットは、製造現場の厳しい要求に耐えなければならず、そのため、頻繁に交換され得る。
【発明の概要】
【0003】
テストフィクスチャが、テストステーションに結合するように構成されたテスト信号線を有するマザーボードを含む。マザーボードは、テスト信号線に結合されたコンタクトパッドを備える窪んだ領域を含む。ドーターボードが、ドーターボードの頂部表面がマザーボードの頂部表面とほぼ同一平面上にあるように、窪んだ領域に配置される。ドーターボードは、ドーターボード上のコンタクトパッドに結合されたテスト信号線を含む。ドーターボード上のコンタクトパッドは、マザーボード上のコンタクトパッドと整合し、焼結接合によって永久的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【0005】
【
図2】
図1のテストシステムのための例示のハンドラーインタフェースボード(HIB)のより詳細な図である。
【0006】
【
図3】
図2の例示のHIBの更なる詳細を図示する。
【
図4】
図2の例示のHIBの更なる詳細を図示する。
【
図5】
図2の例示のHIBの更なる詳細を図示する。
【
図6】
図2の例示のHIBの更なる詳細を図示する。
【0007】
【
図7】焼結プロセスにおける融点対粒子サイズを図示するグラフである。
【0008】
【
図8】テストフィクスチャを製造するための方法を図示する。
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な図面における同様の要素は、一貫性のため、同様の参照数字によって示されている。
【0011】
システムオンチップ(SoC)は、コンピュータ又は他の電子システムの幾つかの構成要素を統合する集積回路(IC)である。これは、デジタル、アナログ、ミックスドシグナル、及びしばしば無線周波数機能を含み得、これらはすべて単一基板上にある。SoCは、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール、コプロセッサ等のような高度な周辺機器とマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを統合し得る。SoCをテストすることは、SoC内に含まれる様々な構成要素を適切にテストするために、特殊なテスト装置を必要とし得る。
【0012】
多くの場合、単一のSoC設計が、異なるパッケージにパッケージングされ得、又は、特殊化された応用例のために異なるピンアウト構成を有していてもよい。所与の自動試験システムでSoCの各バージョンをテストするために、各パッケージ又はピンアウト構成毎に異なるインタフェーステストアダプタ(ITA)が必要とされることがある。複数のITAを提供することは、特に低容量応用例において、SoCをテストするコストを増大させる可能性がある。
【0013】
集積回路又は他のタイプの電子モジュールのためのテストアダプタコストを低減し得る柔軟なマザー/ドーターITAの構成を本明細書において記載する。
【0014】
図1は、例示のATEシステム100のブロック図である。半導体ATEシステムは、テラダイン、アドバンテスト、ベリギー等のような幾つかの製造業者から入手可能である。例示のATEシステム100は、テスターハードウェア111内に含まれる一つ又はそれ以上のソース及びキャプチャ機器を同期させるテストソフトウェアを実行するマスタコントローラ110を含む。例えば、テスト結果信号を分析するため、及び/又はテスト励振信号を生成するために、デジタル信号処理(DSP)リソース112が用いられ得る。
【0015】
テストハードウェア111は、デジタル制御電力供給や、電圧/電流源(VIs)や、パラメータ測定ユニット(PMU)を備えるデジタルチャネルピンカードや、位相ロックループ(PLL)、任意波形生成器(AWG)、及びデジタイザーから導出される同期テスター広プログラマブル分周クロック/基準クロックや、高精度音声帯域波形生成器及びデジタイザーや、RF源及びRF測定機器などの様々なリソースを含み得る。
【0016】
被試験デバイス(DUT)は、ATEのリソースをDUTに適合させるカスタマイズされたITA又は「テストフィクスチャ」120を介して、ハンドラー又はプローバ(図示せず)と呼ばれるロボティックマシンによって、ATEに物理的に接続され得る。ITA120は、「ハンドラーインタフェースボード」(HIB)とも呼ばれる。HIB120は、HIB120上の信号パッドと接触させられるポゴピンのアレイを含み得るインタフェース114を介してテスターハードウェア111に接続され得る。
【0017】
HIB120は、121で示されるように、DUTのための複数のサイトを提供する幾つかのソケットを含み得る。
【0018】
図2は、
図1のテストシステム100のための例示のハンドラーインタフェースボード120のより詳細な図である。様々なベンダからのATEシステムに対して、種々の実施例が構成され得る。この例では、HIB120は、幅約18インチ×長さ31.5インチの大型テストフィクスチャであり、通常、8~16個のソケット121を含むように構成される。ラッチ、ドライバ、バッファ、リレー等のような、概して222で示される様々な回路要素及びデバイスがHIB120上に含まれ得る。RFトランスミッタ及び/又はレシーバ、増幅器、フィルタや、DAC/ADCなどのミックスドシグナル回路や、基準クロック入力及び分周出力を備えるPLLや、LDO及びスイッチャなどの電力管理ブロックや、高速デジタルPCIe、USB、DDRバスや、内部回路のためのアナログ電圧/電流基準入力や、その他のデジタルGPIO(汎用I/O)など、付加的な資源もHIB上に含めることができる。
【0019】
223で示されるような様々な信号パッドが様々な信号線に接続され得、これら様々な信号線は、ソケット121及び/又は回路要素122に結合される。信号パッドは、
図1を参照すると、テスターインタフェース114のポゴピンのための接触点を提供する。
【0020】
各HIBを設計し、レイアウトし、テストするために必要とされる時間及び取り組みは甚大なものとなり得る。通常、各HIBのかなり多数の複製が必要とされ得、したがって、各HIBの製造コストは甚大なものとなり得る。例えば、層数及び複雑度に応じて、3つのHIBを製造するためにボード当たり7800ドルのコストがかかる場合がある。
【0021】
HIB120は、マザーボード225及びドーターボード230など、2つの別個の印刷回路基板に区分され得る。「ボード」という用語が本明細書において用いられるが、PCBは、「カード」又はその他の同様の用語で呼ばれることもある。これらの2つのボードは、以下に詳細に記載されるように、永久的に相互接続され得る。ドーターボード230に対して長方形の外形が本明細書に示されているが、他の実施例において、正方形、長円形などの他の形状を用いることができる。本明細書では、幅約8インチ、長さ16インチの単一のドーターボード230が示されているが、別の実施例において、より大きな又はより小さなサイズのドーターボードを用いることができる。別の実施例において、例えば、2つ以上のドーターボードを用いることができる。
【0022】
別の実施例において、マザーボード/ドーターボード構成を依然として提供しながら、より大きな又はより小さなHIBを用いることができる。例えば、テストシステムは、幅18インチ×長さ23.5インチなど、より小さくし得るHIBもサポートし得る。この場合、ドーターカードが、より小さいHIB外形の範囲内に収まるように、より小さくつくられ得る。
【0023】
図3は、例示のHIB120の簡略化された上面図を図示する。上述のように、ポゴピンのセットを用いて、HIB120とATE100のインタフェース114との間の接続を提供し得る(
図1を参照)。ソケット121から/ソケット121へDUTをロード及びアンロードするハンドラー装置は、ソケット121の高さに基づいて調整する必要がある。従って、ドーターボード230の頂部表面は、ポゴピン及びハンドラー装置に高さ調整が必要とされないように、マザーボード225の頂部表面とほぼ同一平面となるようにすることが望ましい。均一な高さのHIB120を提供するために、ドーターボード230は、ドーターボード230にサポート及び接続性を提供するように構成される窪んだ領域327と係合することによって、マザーボード225に挿入され得る。
【0024】
図4は、段状の窪んだ領域327を示す、HIB120の側面断面図である。窪んだ領域327上のマザーボード225とドーターボード230との間にコンタクト428のセットが配置され得、これら2つのボード間の接続性を提供する。ドーターボード230上に配置されるテストソケット121(
図2参照)の数に応じて、多くのコンタクト428が必要とされることがある。例えば、16個のテストソケットを備えるドーターボードが、ドーターボード230とマザーボード225との間に、電力、接地、及びテスト信号を提供するために最大5000個のコンタクトを必要とすることがある。
【0025】
この例では、ドーターボード230はマザーボード225の厚みT2より薄い厚みTlを有しており、そのためドーターボード230の頂部表面は、432で示されているように、マザーボード225の頂部表面とほぼ同一平面とし得る。マザーボード及びドーターボードは、正確に同一平面上にある必要はない。代わりに、マザーボード及びドーターボードは、ほぼ同一平面上にあり得、そのため、432で示されるように、ドーターボード230の頂部表面とマザーボード225の頂部表面との間の高さの差を補償するために(テストシステム100上に自動的にロードされ得る様々なテストフィクスチャを扱うための)自動ハンドリング機器の調節は必要とされない。
【0026】
この例では、ドーターボード230の下のマザーボード225に開口450が設けられる。この場合、窪んだ領域327は、ドーターボード230に外接するか又はドーターボード230を横方向に囲む。別の実施例において、窪んだ領域327が、例えば、ドーターボード230の下のエリア全体にわたって延在し得る。
【0027】
別の実施例において、ドーターボードがマザーボードと係合されるときドーターボードの頂部表面がマザーボードの頂部表面と同一平面のままであるように、ドーターボードの外側の周りに、対応する段部又は窪んだ領域を設けることによって、より厚いドーターボードを用いることができる。この場合、より厚いドーターボードを収容するために、エリア450が開いている必要があり得る。
【0028】
図5はマザーボード225の上面図であり、コンタクト428のアレイを備える窪んだ領域327を示している。上述したように、幾つかの実施例は、5000個のコンタクトなど、多数のコンタクトを含み得る。他の実施例が、必要に応じて、より少数の又はより多数のコンタクトを有し得る。
【0029】
図6は、HIB120の断面
図4-4(
図3を参照)の一部をより詳細に図示する。
図6は、
図1を参照して、テスターインタフェース114の一部であるインタフェースボード650上に取り付けられ得るポゴピン651の一部も図示する。上述のように、ポゴピン651は、マザーボード225上の様々なパッド223に接するように整合され得る。
【0030】
マザーボード225は、
図2上で示されるように、コンタクト428のセットからパッド223のセットへ、及び、種々の回路222へ/から、信号線を配路し得る多層印刷回路基板であり得る。同様に、ドーターボード230は、
図2上で示されるように、コンタクト638のセットから種々のソケット221へ/から、及び/又はドーターボード230上の他の回路要素へ、信号線を配路し得る多層印刷回路基板であり得る。印刷回路基板の設計及び製造は既知であり、本明細書において更なる詳細に記載する必要はない。
【0031】
焼結プロセスを用いて、コンタクト428のセットとコンタクト638のセットとの間に永久的で信頼性のある接続を成すことができる。金属ナノ粒子を含む一連の液滴を金属パッド428及び/又は金属パッド638上に堆積させるためにインクジェットプリンタが用いられ得る。様々なポリマー材料を「印刷」し得るインクジェットプリンタ又は同様のプリンタを用いる三次元構造の製造は既知であり、本明細書で更に詳細に説明する必要はない。印刷は、0.1μm~1000μmの厚みなどの厚い誘電体及び金属性層の迅速かつ低コストの堆積を可能にする一方、20μmの特徴サイズなどの微細な特徴サイズも可能にする。
【0032】
インクは、流動性及び表面張力、ならびに金属性ナノ粒子を調和させるために、一つ又は複数の溶媒を含み得る。ナノ粒子のサイズは、例えば、2~100nmの範囲とし得る。また、インクは、ポリビニルピロリドン(PVP)のような分散剤を含んでいてもよく、又は、粒子の凝集を防止するために帯電分散されていてもよい。また、インクは、ポリマーエポシキなどのバインダー、及び、その他の既知の又は今後開発されるインク添加剤を含み得る。
【0033】
インクから残った膜残留物は、溶媒又は分散剤ベースのインクの場合硬化され得、溶媒又は分散剤は蒸発される。硬化は、熱(50~250℃)、UV、赤外線、フラッシュランプ、又は用いられるインクと互換性のある別の形態であり得る。
【0034】
この例では、金属ナノ粒子は、例えば、銅、又は、銅と銀との混合物であり得る。別の実施例において、ナノ粒子は、例えば、銅とグラフェン、又は銅とグラファイトの混合物であり得る。グラファイト/グラフェン混合物は、エレクトロマイグレーションなしで一層高い電流密度を可能にする。別の実施例において、ナノ粒子は、後に、これ以降により詳細に記載される焼成工程の間に還元される銅酸化物であり得る。
【0035】
さらに
図6を参照すると、焼結プロセスが、金属粒子によって形成されたインクバンプを中実構造640に変換し得る。焼結は、液化点までそれを溶解させることなく、熱及び/又は圧力によって材料の固体塊を圧縮及び形成するプロセスである。材料内の原子は粒子の境界を横切って拡散し得、粒子を共に融解し、1つの中実片をつくる。焼結温度が材料の融点に達する必要がないので、焼結は、極めて高い融点の材料のための成形プロセスとして選択される。全てではないにしても、ほとんどの金属が焼結され得る。これは、とりわけ、表面汚染を受けない真空中で生成される純金属に適用する。
【0036】
マザーボード上のパッド428及び/又はドーターボード上のパッド638上に堆積されたナノ粒子を焼結することにより、各マザーボードパッド428と対応するドーターボードパッド638との間に焼結金属接合を形成する中実構造640が生成される。パッドの金属表面への焼結金属の接着は、(a)ファンデルワールス力、(b)機械的接着/粗さ、及び(c)ナノ粒子、又は表面の他者への化学的拡散を介するもの、の3つの方式で成され得る。共晶はんだによって形成される接合とは異なり、焼結金属接合640は、第2の時間に加熱されても、溶融せず接合を劣化させない。
【0037】
各焼結金属接合は、通常、焼結プロセス後にナノ粒子間に残る空間の結果として多孔質である。しかしながら、多孔性が減少するか又は除去されるまで焼成プロセスが続けられてもよい。多孔質焼結接合は、熱的又は機械的力によって接合に印加される応力に応答して曲がることができるため、熱機械信頼性のリスクを低減し得る。多孔性の量は、ナノ粒子のサイズを選択すること、焼結プロセスを実施するために用いられる温度プロファイル又はその他のプロセスパラメータを選択することなど、焼結プロセスの一つ又はそれ以上の態様を制御することによって、制御され得る。多孔性を制御するための別の方法は、ポリメチルメタクリレート、又はその他のポリマー、シリカなど、犠牲ナノ粒子をインクに付加し、次いで、焼結の間又は焼結の後、これらの粒子を除去して多孔性を増大させることである。例示のナノ粒子焼結金属接合は約20%の多孔性を有し得る。一般に、多孔性は0%~50%の範囲内に入るように選択され得るが、それでもなお、良好な電流搬送能力及び構造的完全性を提供する。
【0038】
焼結は多くの方式で行われ得る。例えば、ボードは、高い温まで加熱され得るが、ナノ粒子を形成する金属の融点まで加熱される必要はない。例えば、固形構造を形成するため、銅ナノ粒子が80~300℃の範囲まで加熱され得る。比較のため、銅の融点は1,085℃である。
【0039】
インクジェットプリンタを用いる銅又はその他の導電性材料のナノ粒子の堆積がこの実施例において用いられるが、他の実施例が、粉状導電性材料のバンプをコンタクト428、638の一方のセット又は両方のセット上に堆積させるために、他の既知の又は今後開発されるプロセスを用いてもよく、次いで、接合640と同様の焼結金属接合を形成するために、これらが焼結され得る。この場合、導電粒子は、例えば、ナノ粒子より大きくし得る。
【0040】
図7は、焼結プロセスにおける銅ナノ粒子の融点対粒子サイズを図示するグラフである。小さなナノ粒子は非常に低い温度で共に溶融し得るが、それらが共に溶融することにつれてより大きくなり、ナノ粒子の「バルク」溶融温度を上昇させる。これは、より高い温度が粒子をより大きくし、そのため、さらに高い温度で溶融させるだけとなる、不可逆的なプロセスを引き起こす。したがって、小さなナノ粒子が溶融した後、バルク金属の融点に達しない限り、得られる構造は、はんだのように溶融され得ない。
図7において、焼結は銅ナノ粒子では80~300℃の温度範囲で起こり得るが、得られる焼結金属接合は、焼結金属構造の温度を、バルク銅の融点である1085℃まで上げない限り、再溶融され得ない。
【0041】
図8は、テストフィクスチャを製造するための方法を図示する。金属ナノ粒子は、上記でより詳細に記載したように、800で示されるようにマザーボード上のコンタクトパッド上及び/又はドーターボード上のコンタクトパッド上に堆積され得る。金属ナノ粒子を含む一連の液滴をマザーボード及び/又はドーターボードの金属パッド上に堆積するために、例えば、インクジェットプリンタが用いられ得る。
【0042】
802に示すように、ドーターボードは、ドーターボード上のコンタクトパッドがマザーボード上のコンタクトパッドと整合するように、マザーボード上に配置され得る。再び
図4を参照すると、ドーターボードは、ドーターボードの頂部表面がマザーボードの頂部表面と同一平面上にあるように、窪んだ段に配置され得る。
【0043】
804に示すように、金属ナノ粒子は、ドーターボード上のコンタクトパッドとマザーボード上のコンタクトパッドとの間に永久接合を形成するため、焼結され得る。焼結は、高温まで加熱することによって行われ得るが、これは、ナノ粒子を形成する金属の融点未満であり得る。焼結は、銅ナノ粒子では80~300℃の温度範囲で成され得るが、得られる焼結金属接合は、焼結金属構造の温度をバルク銅の融点である1085℃まで上げない限り、再溶融され得ない。
【0044】
別の実施例において、例えば、銅酸化物ナノ粒子が、既知の又は後に開発されるフォトン焼結プロセスを用いてキセノンフラッシュランプを用いて焼結され得る。
【0045】
別の実施例において、例えば、銅酸化物ナノ粒子が、既知の又は後に開発される形成ガス又はギ酸焼結プロセスを用いて、還元性雰囲気中で焼結され得る。この場合、銅酸化物はギ酸プロセスによって純銅に戻される。通常、このプロセスは200~250℃の範囲の温度で実施され得る。
【0046】
このようにして、ドーターボードが、製造され、マザーボードに取り付けられ得、ドーターボード上のコンタクトとマザーボードのコンタクト領域との間に焼結金属接合が形成される。焼結は、用いられる金属ナノ粒子の融点よりもはるかに低い温度で行うことができる。これにより、例えば、より高温のプロセスに耐えられない有機基板を印刷回路基板に用いることが可能となる。
【0047】
マザー/ドーターボードインタフェース表面の予期される非同一平面性を補償するために、各バンプに対して充分な量のナノ粒子材料が印刷され得る。
【0048】
焼結は、銅と錫ベースの無鉛はんだとの間の金属間成長の問題をなくす。はんだ中の脆いはんだ疲労や熱活性化ボイド成長は、焼結金属接合によって排除され得る。また、接合の電流搬送能力を高めることもできる。
【0049】
したがって、このようにして、マザーボード及び一つ又はそれ以上のドーターボードを用いて、信頼性のあるHIBテストフィクスチャをつくることができる。表面の同一平面性を維持することによって、異なるHIBがATEシステムに提示される際に、サポートしているハンドラー及びテスト機器ポゴピンインタフェースに対する調整は必要とされない。
【0050】
マザーボードは、全てのテスターリソースをドーターボードまで導くように設計され得る。ドーターボードは、任意の必要とされる回路要素を含み得、DUTへの接続を成し得る。この方法は、デバイス毎のテストハードウェアコストを大幅に低減し、それと共に、HIBフィクスチャの設計及び製造時間を低減する。
【0051】
このマザー/ドーターのアプローチは、品質の観点からも利点を有する。密な特徴を有する複雑なHIB PCB設計では、製造不良が生じ得、そのためHIBの製造中に脱落する可能性がある。マザーのボードとドーターのボードを別々に組み立てる場合は、焼成前にそれらが別々にテストされ得るので、良好なPCBであることが分かっている。より小さいドーターボードは、製造上の問題を有しにくい。
【0052】
コストの観点から、5つのパッケージオプションを有するSoCデバイスを考え、ここでは、製造実行中に用いるために各テストフィクスチャの3つの複製を購入することが一般的な慣行である。この場合、単一のSoCが5つの異なる設計を有する15のHIBを必要とする。各複製に7800ドルのコストがかかる場合、総コストは117,000ドルに設計コストを加えたものとなる。
【0053】
本明細書に記載されるようなマザー/ドーターボード構成を生成するために、単一のマザーボードが設計され得、1ボード当たりより安いコストで、15の同一の複製が生成され得る。5個の異なるドーターボードが必要であるが、それらは設計及び製造がはるかにシンプルである。この場合、15個のマザーボードの各々が総計27,150ドルに対して1810ドルのコストで製造され得、ドーターボードの各々は、例えば、総計38,295ドルに対して2553ドルのコストとなり得る。したがって、テストフィクスチャの総製造コストは65,445ドルになる。これは42%の節約である。
【0054】
1つのメインマザーボードがつくられ、量産され、次いで、テスター上に置かれることになるデバイス毎にシンプルなドーターボードが生産される場合、この節約はさらに大きくなり得る。
【0055】
ドーターボードをマザーボードに挿入することにより、ATEシステム及び関連するDUTハンドリングマシンにおけるZ軸高さの問題がなくなる。マザーボードをドーターボード接続に焼結することにより、これら2つのボード間の数百又は数千の接続に起因し得る信頼性の問題がなくなる。
【0056】
図9は、テストフィクスチャ900の一つの代替実施例を示す。この例では、マザーボード925は、
図2~
図6に関して上述したマザーボード225と同様であり得る。
図9は、
図3の切断線4-4と同様の切断線での断面図である。窪んだ領域927におけるコンタクト928は、より詳細に上述したように、ドーターボード930が、窪んだ領域に配置され、焼結コンタクトを用いて永久的に接合されることを可能にする。
【0057】
この例では、ドーターボード930は、窪んだ領域927の深さより厚い厚みTlを有し得る。932で示されるように頂部表面の共平面性を維持するために、ドーターボード930は、その周囲に、窪んだ領域934も有し得る。
【0058】
他の実施例
本明細書において銅パッドが記載されているが、例えば、他の実施例が、アルミニウム、金、ニッケルなど、パッドのためのその他のタイプの金属を用いてもよい。
【0059】
共平面頂部表面を有するマザー/ドーターボードの組み合わせが本明細書に記載されているが、別の実施例において、ドーターボードは、窪んだ領域を用いることなくマザーボードの頂部に取り付けられ得る。この場合、共平面性の利点は失われるが、テストフィクスチャにおける焼結コンタクトの信頼性は保たれる。
【0060】
銅、銅-銀混合物、銅酸化物、銅グラファイト、銅グラフェンなどの様々な金属性ナノ粒子が、種々の実施例において用いられ得る。
【0061】
SoCのテストが本明細書に記載されているが、DUTをテストフィクスチャに取り付けることができるようにするための適切なソケット又はその他のタイプコネクタを備えるドーターボードを有する、本明細書で説明するようなテストフィクスチャを提供することによって、多くの他のタイプの集積回路及び電子モジュールをテストすることができる。
【0062】
本記載において、「結合」という用語及びその派生語は、間接的、直接的、光学的、及び/又は、ワイヤレスの電気的接続を意味する。したがって、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気的接続を介するもの、他のデバイス及び接続を介した間接的な電気的接続を介するもの、光学的電気的接続を介するもの、及び/又は、ワイヤレス電気的接続を介するものとし得る。
【0063】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、その他の実施例が可能である。