(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20230829BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20230829BHJP
C08L 101/14 20060101ALI20230829BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20230829BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20230829BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08J3/24
C08L101/14
C08F220/06
B01J20/26 D
A61F13/53 300
(21)【出願番号】P 2020531306
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2019027845
(87)【国際公開番号】W WO2020017483
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2018135677
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】南里 武
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-143755(JP,A)
【文献】特開2018-050835(JP,A)
【文献】特開2010-116548(JP,A)
【文献】特開2014-014666(JP,A)
【文献】特表2015-515534(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170501(WO,A1)
【文献】特開2006-089525(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146603(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170605(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/155591(WO,A1)
【文献】特開2006-068731(JP,A)
【文献】特開2005-111474(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204302(WO,A1)
【文献】特開2010-065107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00- 3/28、 99/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08F 6/00-246/00、301/00
B01J 20/26
A61F 13/15- 13/84
A61L 15/00- 15/64
C08C 19/00- 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)を含んでなる吸水性樹脂粒子であって、吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が200~400であり、下記の数式1で表されるスパン値(SPAN)が1.0以下であり、吸水性樹脂粒子のDW(Demand Wettability)法による1分後の吸収量(M1)が10~15ml/gであり、5分後の吸収量(M2)が45~55ml/gである吸水性樹脂粒子
であって、前記吸水性樹脂粒子のイオン交換水のロックアップ法による吸収速度が25秒以下であり、前記吸水性樹脂粒子が疎水性物質(C)と浸透剤(D)を含有し、疎水性物質(C)が長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の塩、長鎖脂肪酸アミド、又はこれらの2種以上の混合物であり、浸透剤(D)がノニオン性界面活性剤(D1)であり、疎水性物質(C)の含有量が架橋重合体(A1)の重量に基づいて0.08~1.0重量%である
、吸水性樹脂粒子。
SPAN=[D(90%)-D(10%)]/D(50%)≦1.0 (数式1)
(数式1中、D(10%)は、標準ふるいを用いて分級した吸水性樹脂粒子の全体重量を100重量%として粒子径が最も小さい粒子からの累積重量分率が10重量%となる粒子径であり、D(50%)は、累積重量分率が50重量%となる粒子径であり、D(90%)は累積重量分率が90重量%となる粒子径である。)
【請求項2】
ノニオン性界面活性剤(D1)が脂肪族系アルコール(ただし、アルキル基の炭素数8~18である。)アルキレンオキサイド(ただし、炭素数2~8である。)付加物(ただし、重合度1~100である。)である請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項3】
疎水性物質(C)の含有量が架橋重合体(A1)の重量に基づいて0.08~0.3重量%である請求項1又は2に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項4】
前記吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量が35~40g/gである請求項1~3のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子と不織布とを含有してなる吸収体。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収体を備えてなる吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等とを主原料とする吸水性樹脂が吸収体として幅広く利用されている。近年の消費者は、より快適性を求める傾向にあり、よりドライ性が高くかつより薄型のものへと需要が遷移しており、これに伴ってドライ性が高く、更に親水性繊維の使用量低減が望まれるようになってきた。そのため、これまで親水性繊維が担ってきた初期の高い吸収速度や液拡散性の役割を吸水性樹脂それ自体に求められるようになった。
【0003】
吸水性樹脂粒子の吸収速度を向上させる手段としては、吸水性樹脂の表面積を物理的に大きくする方法が一般的である。例えば、吸水性樹脂の乾燥速度を上げて見掛け密度を低下させる方法(特許文献1)や篩分工程で吸水性樹脂粒子の粒度を小さくすることで吸収速度を向上させる方法(特許文献2)が知られている。しかし、これらの吸水性樹脂粒子を吸収性物品(紙おむつ等)に適用した吸収体において、親水性繊維の含有量が吸水性樹脂粒子の含有量よりも多い場合には問題ないが、親水性繊維の含有量が少ないもしくは含有しない場合には、吸収体の部位により吸水性樹脂の吸収率に偏りが起こり吸収体物品を有効に活用することができず、吸収させる液体の残存している部位ではカブレ等の問題を生じやすい。
上記課題を解決する方法しては、吸収させる液体と接触した以後の時間経過に対する吸収速度(以下、吸収速度パターン)をコントロールした吸水性樹脂粒子(特許文献3)が知られているが、この吸水性樹脂粒子を吸収性物品に適用したとき、吸収性物品に使用されている表面不織布からの吸収させる液体の液引きが遅くなり、ドライ性が悪化する問題がある。
したがって、親水性繊維の使用量が少ない吸収体においても、初期の高い吸収速度や液拡散性を発揮し、ドライ性に優れ、更にカブレ等の問題がない吸収性物品、これに使用し得る吸水性樹脂粒子が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-132434号公報
【文献】特開2006-143972号公報
【文献】特許第5448699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、吸収させる液体と接触した初期の高い吸収速度や液拡散性を発揮し、ドライ性が優れ、更にカブレ等の問題がない吸水性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)(換言すれば、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)からなる群から選択される少なくとも1種のビニルモノマー)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)を含んでなる吸水性樹脂粒子であって、吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が200~400であり、下記の数式1で表されるスパン値(SPAN)が1.0以下であり、(A1)のDW(Demand Wettability)法による1分後の吸収量(M1)が10~15ml/gであり、5分後の吸収量(M2)が45~55ml/gである吸水性樹脂粒子である。
SPAN=[D(90%)-D(10%)]/D(50%)≦1.0 (数式1)
前記数式1において、D(10%)は、標準ふるいを用いて分級した吸水性樹脂粒子の全体重量を100重量%として粒子径が最も小さい粒子からの累積重量分率が10重量%となる粒子径であり、D(50%)は、累積重量分率が50重量%となる粒子径であり、D(90%)は累積重量分率が90重量%となる粒子径である。
【0007】
本発明の吸収体は、上記の吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる。
【0008】
本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を備えてなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸水性樹脂粒子は、ある特定の粒度分布と吸収速度パターンを有する。したがって、本発明の吸水性樹脂粒子を吸収性物品(紙おむつ及び生理用ナプキン等)に適用したとき、吸収させる液体と接触したときの、初期の高い吸収速度や液拡散性を発揮し、ドライ性が優れ、更にカブレ等の問題がない。すなわち、本発明のDW吸収パターンを有する吸水性樹脂粒子を用いた吸収性物品は、初期に適度に遅延した吸収パターンを持つために優れた液拡散性を発揮し、吸収体全体でのドライ性に優れる。また、重量平均粒径とスパン値を本発明の範囲にすることにより、表面不織布からの液引き性(液体を吸引・吸収すること。以下おなじ)がよくなることから、更に優れたドライ性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】DW法による吸収量を測定するための装置を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。
【0012】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(以降、加水分解性ビニルモノマーともいう)(a2)は、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸水性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0013】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0014】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25~99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15~95/5、特に好ましくは90/10~93/7、最も好ましくは91/9~92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0016】
吸水性樹脂粒子の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
【0017】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報}の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)~(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8~30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2~20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5~15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0018】
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01~5が好ましく、さらに好ましくは0.05~3、次に好ましくは0.08~2、特に好ましくは0.1~1.5である。なお、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0019】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報}の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2~10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0020】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)単位の合計モル数に基づいて、0.001~5が好ましく、さらに好ましくは0.005~3、特に好ましくは0.01~1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0021】
架橋重合体(A1)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
架橋重合体(A1)は、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55-133413号公報等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報及び特開平1-5808号公報等}と同様にして製造することができる。重合方法のうち、好ましくは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましくは水溶液重合法である。
【0023】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる。}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
【0024】
細断は、公知の方法で行うことができ、公知の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0025】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸水性樹脂粒子の重量に基づいて、0~10が好ましく、さらに好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0026】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体の重量に基づいて、0~20が好ましく、さらに好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の吸水性樹脂粒子の壊れ性がさらに良好となる。
【0027】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0028】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80~230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100~230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0029】
架橋重合体(A1)は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、公知の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0030】
必要によりふるい分けした場合の架橋重合体(A1)の重量平均粒子径(μm)は、200~400が好ましく、特に好ましくは210~390、最も好ましくは230~380である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0031】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径[D(50%)]を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0032】
なお、以下に説明するように、上記の重量分率が10重量%に対応する粒子径をD(10%)、重量分率が90重量%に対応する粒子径をD(90%)とする。
【0033】
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0034】
架橋重合体(A1)のスパン値は、1.0以下が好ましく、特に好ましくは0.9以下、最も好ましくは0.8以下である。この範囲であると、初期の吸収速度がさらに良好となり、ドライ性が向上する。
【0035】
SPAN(スパン値)は、粒子径分布を表すパラメータである。スパン値は吸水性樹脂粒子の粒子径分布測定により定めることができる。前記数式1において、D(10%)、D(50%)及びD(90%)はいずれも「μm」で表される粒子径であり、標準ふるいを用いたふるい分け粒度測定法で測定できる。D(10%)は、吸水性樹脂粒子を標準ふるいで分級した後、前記吸水性樹脂粒子を粒子径の順に並べた時、前記分級した粒子の全体重量を100重量%として粒子径が最も小さい粒子からの累積重量分率が10重量%となる粒子径を意味する。同様に、D(50%)は、累積重量分率が50重量%となる粒子径を意味し、さらに、D(90%)累積重量分率が90重量%となる粒子径を意味する。
【0036】
粒子径分布は、架橋重合体(A1)を分級した後、調整してもよく、さらに吸水性樹脂粒子で分級した後、調整してもよい。
粒子径分布の調整方法については、特に限定はなく、各ふるい上の粒子を所定の割合で混合する方法等で調整できる。
【0037】
架橋重合体(A1)の見掛け密度(g/ml)は、0.55~0.65が好ましく、さらに好ましくは0.56~0.64、特に好ましくは0.57~0.63である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0038】
架橋重合体(A1)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0039】
架橋重合体(A)は、液拡散性の観点から疎水性物質(C)を含有することが好ましい。疎水性物質(C)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(C2)等が含まれる。
【0040】
炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪酸アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0041】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2~4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン-イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0042】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(-COOH)や1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-COOCO-)等を導入した重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられる。
【0043】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000~100万の重合体等が使用できる。
【0044】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体及びスチレン-イソブチレン共重合体等}が挙げられる。
【0045】
ワックスとしては、融点50~200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0046】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8~25のアルキル基を含む脂肪酸と炭素数1~12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸エステル(ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル等)、ショ糖ステアリン酸エステル(ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル等)、ショ糖エルカ酸エステル及び牛脂等}が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の液拡散性の観点等から、ショ糖ステアリン酸エステル(ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル等)、ショ糖パルミチン酸エステル(ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル等)、ショ糖エルカ酸エステルが好ましく、さらに好ましくはショ糖ステアリン酸エステル(ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル等)及びショ糖エルカ酸エステルである。
【0047】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8~25のアルキル基を含む脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられる。塩としてはカルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。吸収性物品の液拡散性の観点等から、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alが好ましく、さらに好ましくはステアリン酸Mgである。
【0048】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8~25のアルキル基を含む脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の液拡散性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0049】
長鎖脂肪酸アミドとしては炭素数8~25のアルキル基を含む脂肪酸アミド{たとえば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、等}や、炭素数8~25の脂肪酸ビスアミド{エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N‘-ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、等}が挙げられる。吸収性物品の液拡散性の観点等からエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
【0050】
これらの2種以上の混合物としては、長鎖脂肪酸エステルと長鎖脂肪族アルコールとの混合物{たとえば、ショ糖ステアリン酸エステルとステアリルアルコールとの混合物等}や長鎖脂肪酸エステルと長鎖脂肪酸及びその塩の混合物{たとえば、ショ糖ステアリン酸エステルとステアリル酸Mgとの混合物}が挙げられる。
【0051】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(C2)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等の有機ポリシロキサンが含まれる。
【0052】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0053】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2~40が好ましく、さらに好ましくは5~30、特に好ましくは7~20、最も好ましくは10~15である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1~30が好ましく、さらに好ましくは3~25、特に好ましくは5~20である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0054】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF-945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF-6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0055】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ-2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0056】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200~11000が好ましく、さらに好ましくは600~8000、特に好ましくは1000~4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0057】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X-22-3701E{側鎖、4000}、X-22-162C{両末端、2300}、X-22-3710{片末端、1450}
【0058】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY 16-880{側鎖、3500}、BY 16-750{両末端、750}、BY 16-840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0059】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X-22-343{側鎖、525}、KF-101{側鎖、350}、KF-1001{側鎖、3500}、X-22-2000{側鎖、620}、X-22-2046{側鎖、600}、KF-102{側鎖、3600}、X-22-4741{側鎖、2500}、KF-1002{側鎖、4300}、X-22-3000T{側鎖、250}、X-22-163{両末端、200}、KF-105{両末端、490}、X-22-163A{両末端、1000}、X-22-163B{両末端、1750}、X-22-163C{両末端、2700}、X-22-169AS{両末端、500}、X-22-169B{両末端、1700}、X-22-173DX{片末端、4500}、X-22-9002{側鎖・両末端、5000}
【0060】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-3720{側鎖、1200}、BY 16-839{側鎖、3700}、SF 8411{側鎖、3200}、SF 8413{側鎖、3800}、SF 8421{側鎖、11000}、BY 16-876{側鎖、2800}、FZ-3736{側鎖、5000}、BY 16-855D{側鎖、180}、BY 16-8{側鎖、3700}
【0061】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF-865{側鎖、5000}、KF-864{側鎖、3800}、KF-859{側鎖、6000}、KF-393{側鎖、350}、KF-860{側鎖、7600}、KF-880{側鎖、1800}、KF-8004{側鎖、1500}、KF-8002{側鎖、1700}、KF-8005{側鎖、11000}、KF-867{側鎖、1700}、X-22-3820W{側鎖、55000}、KF-869{側鎖、8800}、KF-861{側鎖、2000}、X-22-3939A{側鎖、1500}、KF-877{側鎖、5200}、PAM-E{両末端、130}、KF-8010{両末端、430}、X-22-161A{両末端、800}、X-22-161B{両末端、1500}、KF-8012{両末端、2200}、KF-8008{両末端、5700}、X-22-1660B-3{両末端、2200}、KF-857{側鎖、2200}、KF-8001{側鎖、1900}、KF-862{側鎖、1900}、X-22-9192{側鎖、6500}
【0062】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-3707{側鎖、1500}、FZ-3504{側鎖、1000}、BY 16-205{側鎖、4000}、FZ-3760{側鎖、1500}、FZ-3705{側鎖、4000}、BY 16-209{側鎖、1800}、FZ-3710{側鎖、1800}、SF 8417{側鎖、1800}、BY 16-849{側鎖、600}、BY 16-850{側鎖、3300}、BY 16-879B{側鎖、8000}、BY 16-892{側鎖、2000}、FZ-3501{側鎖、3000}、FZ-3785{側鎖、6000}、BY 16-872{側鎖、1800}、BY 16-213{側鎖、2700}、BY 16-203{側鎖、1900}、BY 16-898{側鎖、2900}、BY 16-890{側鎖、1900}、BY 16-893{側鎖、4000}、FZ-3789{側鎖、1900}、BY 16-871{両末端、130}、BY 16-853C{両末端、360}、BY 16-853U{両末端、450}
【0063】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0064】
ポリシロキサン構造を持つ疎水性物質の粘度(mPa・s、25℃)は、10~5000が好ましく、さらに好ましくは15~3000、特に好ましくは20~1500である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、粘度は、JIS Z8803-1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい-平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{たとえば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10-2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0065】
吸水性樹脂粒子に上記疎水性物質(C)を含有させることで、吸水性樹脂粒子の吸収速度パターン(DW法による1分後及び5分後の吸収量)を容易にコントロールすることができることから、本発明の吸水性樹脂が疎水性物質(C)を含有していることが好ましい。吸水性樹脂粒子の吸収速度パターンは、疎水性物質(C)の疎水性の強さや添加量によって任意に調整することができる。疎水性の強さは親疎水性バランス(HLB値)等の公知の手法により求めることができる。
なお、HLB値は、親水性-疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(界面活性剤入門、212頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、2007年発行)により求められる。
【0066】
これらの疎水性物質(C)のうち、吸収性物品の液拡散性の観点等から、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪酸アミドが好ましく、さらに好ましくはショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸Mg、エチレンビスステアリン酸アミドである。なお、長鎖脂肪酸は一般的に炭素数分布を持つため、ステアリン酸と表現した場合にはステアリン酸を主成分として含む長鎖脂肪酸変性物であることを意味する。
【0067】
疎水性物質(C)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001~5.0が好ましく、さらに好ましくは0.08~1.0、特に好ましくは0.08~0.50である。この範囲であると、吸収性物品の液拡散性と不織布からの液引き性が両立しやすくなり、耐カブレ性に優れるため好ましい。
【0068】
更に、本発明の吸水性樹脂粒子は、疎水性物質(C)と浸透剤(D)を含有していることが好ましい。また、吸水性樹脂粒子に疎水性物質(C)と浸透剤(D)を含有する場合、疎水性物質(C)と浸透剤(D)は同時に使用することが好ましい。疎水性物質(C)に浸透剤(D)を併用することで、DW法による吸収量とロックアップ法による吸収速度が両立しやすくなる。浸透剤(D)としてはノニオン性界面活性剤(D1)、アニオン性界面活性剤(D2)が挙げられ、浸透性に優れる界面活性剤の構造、つまり、適度な炭素数(8~18)の長鎖アルキル構造を持つことが好ましい。
【0069】
ノニオン性界面活性剤(D1)としては、具体的には例えば脂肪族系アルコール(アルキル基の炭素数8~18)アルキレンオキサイド(AO)(炭素数2~8)付加物(重合度=1~100)[ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物、セチルアルコールエチレンオキサイド付加物等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2~8、重合度=1~100)高級脂肪酸(アルキル基の炭素数8~24)エステル[モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール等]、等が挙げられる。
【0070】
ノニオン性界面活性剤(D1)のうち、吸収速度制御の観点から好ましいのは、脂肪族系アルコール(アルキル基の炭素数8~18)アルキレンオキサイド(AO)(炭素数2~8)付加物(重合度=1~100)である。
【0071】
アニオン性界面活性剤(D2)としては、アルキル基炭素数8~18の炭化水素系エーテルカルボン酸またはその塩、[ポリオキシエチレン(重合度=1~100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1~100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8~18の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1~100)ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1~100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン]、アルキル基炭素数8~18の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8~18の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1~100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]等が挙げられる。
【0072】
浸透剤(D)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001~5.0が好ましく、さらに好ましくは0.08~1.0、特に好ましくは0.08~0.50である。この範囲であると、吸収速度を適切に調整できる。
【0073】
架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)との混合方法としては、疎水性物質(C)が吸水性樹脂粒子の内部に存在するように{すなわち、例えば、架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)とがサンドイッチ構造となるように}混合されれば制限がない。しかし、疎水性物質(C)は、架橋重合体(A1)の乾燥体ではなく、(A1)の含水ゲル又は(A1)の重合液と混合されることが好ましく、さらに好ましくは(A1)の含水ゲルと混合されることである。なお、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。水溶液重合法により架橋重合体(A1)を得るとき、疎水性物質(C)と(A1)とを混合・混練するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中、重合工程直後、含水ゲルの破砕(ミンチ)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中が好ましく、さらに好ましくは含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中である。
【0074】
逆相懸濁重合法又は乳化重合により架橋重合体(A1)を得るとき、疎水性物質(C)と(A1)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(C)の存在下で、(A1)を製造する}、重合工程直後、脱水工程中(水分10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中が好ましく、さらに好ましくは重合工程中、重合工程直後である。
【0075】
含水ゲルの乾燥中に混合する場合、混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の公知の装置が使用できる。重合液中で混合する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。また、含水ゲルの乾燥中で混合する場合、SVミキサー等の混練装置も使用できる。
【0076】
混合温度(℃)は、20~100が好ましく、さらに好ましくは40~90、特に好ましくは50~80である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収特性がさらに良好となる。
【0077】
また、疎水性物質(C)の存在下で、架橋重合体(A1)を製造する方法において、架橋重合体(A1)の重合液に疎水性物質(C)を溶解又は乳化(分散)させておき、(A1)の重合の進行と共に(C)を析出させながら、連結部を形成することもできる。疎水性物質(C)の存在下で重合を行うこと以外、重合方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様である。なお、連結部とは、疎水性物質(C)と架橋重合体(A1)とが接触して形成される(A1)-(C)-(A1)からなるサンドイッチ構造を意味する。この場合、吸収性樹脂粒子の内部に存在している架橋重合体(A1)は、その表面に存在している疎水性物質(C)を介して、別の架橋重合体(A1)と連結している構造となる。
【0078】
なお、疎水性物質(C)に浸透剤(D)を併用する場合は、前述した疎水性物質(C)の混合するタイミングと同時に浸透剤(D)を使用することができる。浸透剤(D)はあらかじめ疎水性物質(C)と混合してから使用してもよいし、同時に別々に添加して使用しても良い。
【0079】
疎水性物質(C)、必要により浸透剤(D)を含有する含水ゲルは、必要に応じて、この含水ゲルを細断することができる。細断後の含水ゲル粒子の大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。細断方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様の方法が採用できる。
【0080】
吸水性樹脂粒子の製造に溶媒(有機溶媒及び/又は水を含む)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することができる。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸水性樹脂粒子の重量に基づいて、0~10が好ましく、さらに好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0081】
また、溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸水性樹脂粒子の重量に基づいて、0~20が好ましく、さらに好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能(特に保水量)及び乾燥後の吸水性樹脂粒子の壊れ性がさらに良好となる。なお、有機溶媒の含有量及び水分の測定法、並びに溶媒の留去方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様である。
【0082】
架橋重合体(A1)は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤としては、公知{特開昭59-189103号公報、特開昭58-180233号公報、特開昭61-16903号公報、特開昭61-211305号公報、特開昭61-252212号公報、特開昭51-136588号公報及び特開昭61-257235号公報等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0083】
表面架橋処理をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の合計、及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.001~3が好ましく、さらに好ましくは0.005~2、特に好ましくは0.01~1である。
【0084】
表面架橋処理をする場合、表面架橋処理の方法は、公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報}の方法が適用できる。
【0085】
吸水性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、200~400であり、好ましくは270~390、より好ましくは290~380、特に好ましくは320~370である。吸水性樹脂粒子は、粉砕することができる。吸水性樹脂粒子が溶媒を含む場合、溶媒を留去(乾燥)してから粉砕することが好ましい。粉砕する場合、粉砕後の重量平均粒径(μm)もまた、200~400が好ましく、より好ましくは270~390、更に好ましくは290~380、特に好ましくは290~370である。この範囲であると、粉砕後のハンドリング性(吸水性樹脂粒子の粉体流動性等)及び吸水性樹脂粒子の吸収速度が適切になるため、吸収性物品のドライ性がさらに良好となる。なお、重量平均粒径は架橋重合体(A1)の場合と同様にして測定できる。
【0086】
微粒子の含有量は少ない方が吸収性能がよく、全粒子に占める106μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは全粒子に占める150μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。粉砕及び粒度調整は、架橋重合体(A1)の場合と同様の方法が採用できる。
【0087】
粉砕する場合、粉砕後のスパン値は、1.0以下が好ましく、特に好ましくは0.9以下、最も好ましくは0.8以下である。この範囲であると吸水性樹脂粒子の粒子径の分布が狭くなるために、スポット吸収が生じにくくなったり吸収しない粒子ができにくくなることから、不織布表面からの液引き性が良好になる。なお、スパン値は架橋重合体(A1)の場合と同様に測定できる。
【0088】
本発明の吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.55~0.65が好ましく、さらに好ましくは0.56~0.64、特に好ましくは0.57~0.63である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。なお、見掛け密度は架橋重合体(A1)の場合と同様にして測定できる。見かけ密度は、ゲルの粉砕方法、乾燥条件等の生産条件で適宜調整できる。
【0089】
吸水性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0090】
本発明の吸水性樹脂粒子のDW法による吸収量(M)(ml/g)は、吸収性物品のドライ性の観点から、1分後の吸収量(M1)は10~15であり、好ましくは11~14、さらに好ましくは12~13である。5分後の吸収量(M2)は45~55であり、好ましくは46~54、さらに好ましくは47~53である。この範囲であると吸収性物品のドライ性がさらに良好になる。DW法による吸収量は、SPAN、吸水性樹脂粒子の見掛け密度及び吸水性樹脂粒子の重量平均粒径、疎水性物質、界面活性剤等を前記好ましい範囲に調整することで、DW法による吸収量を好ましい範囲に調整できる。具体的には、重量平均粒径を大きく、見かけ密度を高く、疎水性物質の含有量もしくは疎水性を高く、疎水性物質と併用する浸透剤の使用を少なくすると、それぞれの作用がほぼ独立に1分後の吸収量(M1)を低くする効果があり、適宜調整することができる。5分後の吸収量(M2)は1分後吸収量(M1)の操作因子に加え、保水量が高いと高くなる傾向がある。1分後の吸収量(M1)が10未満の場合、初期の吸収量が不足してドライ性が悪化し、15よりも高い場合は、初期の吸収量が高すぎ、吸収体とした時に吸収の偏りができ、ドライ性が悪化する。5分後の吸収量が45未満の場合、吸収量が不足しているためドライ性が悪化、55よりも高い場合は、吸収体中の吸収量の偏りができ、ドライ性が悪化する。
【0091】
DW(Demand Wettability)法は、25±2℃、湿度50±10%の室内で、
図1に示す装置を用いて行う測定方法である。
図1に示した測定装置は、ビュレット部(2){目盛容量50ml、長さ86cm、内径1.05cm、}と導管{内径7mm}、測定台(6)からなっている。ビュレット部(2)は、上部にゴム栓(1)、下部に吸気導入管(9){先端内径3mm}とコック(7)が連結されており、さらに、吸気導入管(9)の上部はコック(8)がある。ビュレット部(2)から測定台(6)までは、導管が取り付けられている。測定台(6)の中央部には、生理食塩水供給部として直径3ミリの穴があいており、導管が連結されている。
【0092】
この構成の測定装置を使用して、まずビュレット部(2)のコック(7)と空気導入管(9)のコック(8)を閉め、25℃に調節された所定量の生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)をビュレット部(2)上部から入れ、ゴム栓(1)でビュレット上部の栓をした後、ビュレット部(2)のコック(7)および空気導入管(9)のコック(8)を開ける。次に、測定台(6)に溢れ出た生理食塩水を拭き取ってから、測定台(6)の上面と、測定台(6)中心部の導管口から出てくる生理食塩水の水面とが同じ高さになるように測定台(6)の高さの調整を行う。生理食塩水供給部から生理食塩水を拭き取りながら、ビュレット部(2)内の生理食塩水の水面をビュレット部(2)目盛の一番上(0mlライン)に調整する。
【0093】
引き続き、ビュレット部(2)のコック(7)と空気導入管(9)のコック(8)を閉め、測定台(6)上に、生理食塩水供給部が中心になるように平織りナイロンメッシュ(5)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(5)の上に、測定台(6)の生理食塩水供給部を中心に直径2.7cmの範囲に0.50gの吸水性樹脂粒子(4)を均一に散布する。その後、ビュレット部(2)のコック(7)および空気導入管(9)のコック(8)を開ける。
【0094】
吸水性樹脂粒子(4)が吸水し始め、空気導入管(9)から導入された一つ目の泡がビュレット部(2)内の生理食塩水の水面に到達した時点(ビュレット部(2)内の生理食塩水の水面が下がった時点)を測定開始時間とし、継続的に、ビュレット部(2)内の生理食塩水(3)の減少量(吸水性樹脂粒子(4)が吸水した生理食塩水量)M(ml)を読み取る。吸水開始から所定時間経過後における吸水性樹脂粒子(4)の吸収量を、以下の式により求める。
【0095】
DW法による吸収量(ml/g)=M÷0.50
【0096】
本発明の吸水性樹脂粒子の保水量(g/g)は、吸収性物品のドライ性の観点から、35~40が好ましく、さらに好ましくは36~39である。なお、吸水性樹脂粒子の保水量は以下の方法により測定される。
【0097】
<吸水性樹脂粒子の保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0098】
保水量(g/g)=(h1)-(h2)
【0099】
本発明の吸水性樹脂粒子のロックアップ法で測定される吸収速度は、不織布表面からの液引きの観点から、25秒以下が好ましく、さらに好ましくは24秒以下、特に好ましくは23秒以下である。なお。吸水性樹脂粒子のロックアップ法による吸収速度は、以下の方法により測定される。
【0100】
<吸水性樹脂のロックアップ法による吸収速度>
測定試料1.000gをJIS R 3503に規定する底面が平らな100mlのトールビーカーに入れる。この際、ビーカーに入れた吸水性樹脂の上面が水平となるようにする。次に、23℃±2℃に調温した脱イオン水50gを100mlのガラス製ビーカーに量り取り、吸水性樹脂の入った100mlビーカーに丁寧に素早く注ぐ。注ぎ込んだ脱イオン水が吸水性樹脂と接触したと同時に時間測定を開始する。そして、脱イオン水を注ぎ込んだビーカーを約90゜の角度で横に向けた際、流動物が吸水性樹脂表面から浸出しなくなった点を終点とし、この時間(単位:秒)をロックアップ法で測定される吸収速度とする。
【0101】
本発明の吸水性樹脂粒子は、不織布と共に吸収体とすることができる。
【0102】
本発明に用いられる不織布としては、公知の不織布であれば特に限定されないが、液体浸透性、柔軟性及び吸収体とした際の強度の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、レーヨン繊維、その他の合成繊維製からなる不織布や、綿、絹、麻、パルプ(セルロース)繊維等が混合されて製造された不織布等が挙げられる。これらの不織布のなかでも、吸収体の強度を高める等の観点から、合成繊維の不織布が好ましく、更に好ましくはレーヨン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維からなる不織布である。これらの不織布は、前記繊維の単独の不織布でもよく、2種以上の繊維を組み合わせた不織布でもよい。
【0103】
本発明に用いられる不織布は吸収体に、良好な液体浸透性、柔軟性、強度やクッション性を付与すること及び吸収体の液体浸透速度を速める観点から、適度に嵩高く、目付量が大きい不織布が好ましい。その目付量は、好ましくは5~300g/m2であり、より好ましくは8~200g/m2であり、さらに好ましくは10~100g/m2であり、よりさらに好ましくは11~50g/m2である。また、不織布の厚さとしては、20~800μmの範囲が好ましく、50~600μmの範囲がより好ましく、80~450μmの範囲がさらに好ましい。
【0104】
本発明の吸収体において、吸収層は、吸水性樹脂、不織布及び必要により接着剤を含有し、所望によりさらにフラッフパルプ等の親水性繊維を含有してなるものであり、例えば、接着剤を塗布した不織布上に、吸水性樹脂を均一に散布した後、要すれば接着剤を塗布した不織布をさらに重ねて、要すれば圧力下で加熱することにより形成される。また、不織布上で吸水性樹脂と接着剤の混合粉末を均一に散布し、さらに不織布を重ねて、接着剤の溶融温度付近で加熱すること、要すれば圧力下で加熱することによっても形成される。上記不織布と吸水性樹脂粒子の間にフラッフパルプを均一に散布することができる。
本発明の吸収体において、吸収層を重ねて、2層以上にすることもできる。
【0105】
本発明に用いられる接着剤としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等のゴム系接着剤;スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソブチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系エラストマー接着剤;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着剤;エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸ブチル共重合体(EBA)等のエチレン-アクリル酸誘導体共重合系接着剤;エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)接着剤;共重合ナイロン、ダイマー酸ベースポリアミド等のポリアミド系接着剤;ポリエチレン、ポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、共重合ポリオレフィン等のポリオレフィン系接着剤;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、共重合ポリエステル等のポリエステル系接着剤等、及びアクリル系接着剤が挙げられる。本発明においては、接着力が強く、吸水シート構成体における不織布の剥離や吸水性樹脂の散逸を防ぐことができるという観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体接着剤、スチレン系エラストマー接着剤、ポリオレフィン系接着剤及びポリエステル系接着剤が好ましい。これらの接着剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0106】
熱溶融型の接着剤を使用する場合、接着剤の溶融温度(軟化温度)は、吸水性樹脂を不織布に十分に固定するとともに、不織布の熱劣化や変形を防止する観点から、60~180℃が好ましく、70~150℃がより好ましく、75~125℃がさらに好ましい。
【0107】
吸収体における接着剤の含有割合は、吸水性樹脂の含有量(質量基準)の0.05~2.0倍の範囲が好ましく、0.08~1.5倍の範囲がより好ましく、0.1~1.0倍の範囲がさらに好ましい。十分な接着によって不織布の剥離や吸水性樹脂の散逸を防止し、吸収体の形態保持性を高める観点から、接着剤の含有割合は0.05倍以上であることが好ましく、接着が強くなり過ぎることによる吸水性樹脂の膨潤阻害を回避し、吸水シート構成体の浸透速度や液漏れを改善する観点から、接着剤の含有割合は2.0倍以下であることが好ましい。
【0108】
本発明の吸水性樹脂粒子と上述の不織布の重量を基準とした吸水性樹脂粒子の重量%{吸収性樹脂粒子の重量/(吸水性樹脂粒子の重量+不織布の重量)}は40重量%以上が好ましく、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは80重量%である。
【0109】
また、上記の吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの{特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等}の吸収体を上記の吸収体を変更する以外は同様である。
【実施例】
【0110】
以下、実施例、参考例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、DW法による吸収量、吸水性樹脂粒子の保水量、吸水性樹脂粒子のロックアップ法による吸収速度は前述した方法により測定した。なお、以降の段落において、製造例1~製造例B6について、それぞれ、参考製造例1~参考製造例B6と読み替えるものとする。また、以降の段落において、実施例1~実施例11について、それぞれ、参考例1~参考例11と読み替えるものとする。
【0111】
<製造例1>
水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155部(2.15モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0112】
次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、引き続き疎水性物質(C-1){ステアリン酸Mg}0.19部を添加して混合し、4回細断後、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、各ふるい上の乾燥体を別々に採取し、重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8となるよう各ふるい上の乾燥体を混合することで架橋重合体粒子(A1-1)を得た。
【0113】
<製造例2>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を370μm、SPANを0.6」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-2)を得た。
【0114】
<製造例3>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-1)0.29部」に変更し、「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を270μm、SPANが0.9」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-3)を得た。
【0115】
<製造例4>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-1)0.38部」に変更し、「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を200μm、SPANが0.9」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-4)を得た。
【0116】
<製造例5>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を315μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-5)を得た。
【0117】
<製造例6>
「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を350μm、SPANが1.2」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-6)を得た。
【0118】
<製造例7>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を420μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-7)を得た。
【0119】
<製造例8>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を160μm、SPANが1.0」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-8)を得た。
【0120】
<製造例9>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を330μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-9)を得た。
【0121】
<製造例10>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を290μm、SPANが0.9」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-10)を得た。
【0122】
<製造例11>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-1)0.29部」に変更し、「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を450μm、SPANが0.7」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-11)を得た。
【0123】
<製造例12>
「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を370μm、SPANが1.2」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-12)を得た。
【0124】
<製造例13>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を使用しなかったことおよび「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を240μm、SPANが1.5」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-13)を得た。
【0125】
<製造例B1>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-2){ショ糖エルカ酸エステル,三菱ケミカルフーズ社製 リョートー(登録商標。以下、表示を省略)シュガーエステルER-290}0.10部」に変更し、および「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を355μm、SPANが0.7」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B1)を得た。
【0126】
<製造例B2>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-2){ショ糖エルカ酸エステル,三菱ケミカルフーズ社製 リョートーシュガーエステルER-290}0.30部」に変更し、および「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B2)を得た。
【0127】
<製造例B3>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-3){ショ糖ステアリン酸エステル,三菱ケミカルフーズ社製 リョートーシュガーエステルS-370}0.10部」に変更し、および「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を355μm、SPANが0.7」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B3)を得た。
【0128】
<製造例B4>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-3){ショ糖ステアリン酸エステル,三菱ケミカルフーズ社製 リョートーシュガーエステルS-370}0.30部」に変更し、および「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B4)を得た。
【0129】
<製造例B5>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-4){エチレンビスジステアリン酸アミド,三菱ケミカル社製 スリパックス(登録商標)E}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を350μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を355μm、SPANが0.7」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B5)を得た。
【0130】
<製造例B6>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-5){ソルビタンオレイン酸モノエステル,三洋化成社製 イオネットS-80}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を340μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を355μm、SPANが0.7」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B6)を得た。
【0131】
<製造例B7>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-1)0.30部と浸透剤(D-1){ポリオキシエチレンアルキルエーテル,三洋化成社製 ナロアクティーCL-20}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を340μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B7)を得た。
【0132】
<製造例B8>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-2)0.30部と浸透剤(D-1){ポリオキシエチレンアルキルエーテル,三洋化成社製 ナロアクティーCL-20}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を340μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B8)を得た。
【0133】
<製造例B9>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-3)0.30部と浸透剤(D-1){ポリオキシエチレンアルキルエーテル,三洋化成社製 ナロアクティ―CL-20}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を340μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B9)を得た。
【0134】
<製造例B10>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-4)0.30部と浸透剤(D-1){ポリオキシエチレンアルキルエーテル,三洋化成社製 ナロアクティーCL-20}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を340μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B10)を得た。
【0135】
<製造例B11>
「疎水性物質(C-1)0.19部」を「疎水性物質(C-5)0.30部と浸透剤(D-1){ポリオキシエチレンアルキルエーテル,三洋化成社製 ナロアクティーCL-20}0.20部」に変更し、および「重量平均粒子径を340μm、SPANが0.8」を「重量平均粒子径を321μm、SPANが0.8」に変更した以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A1-B11)を得た。
【0136】
<実施例1>
製造例1で得られた架橋重合体粒子(A1-1)100重量部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.04重量部及び溶剤としての50%プロピレングリコール水溶液3.0重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で30分間静置することで乾燥して、その乾燥体をふるい分けすることで、重量平均粒子径366μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-1)を得た。
【0137】
<実施例2>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-2)100重量部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.04重量部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径384μm、SPAN0.6である本発明の吸水性樹脂(P-2)を得た。
【0138】
<実施例3>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-3)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径299μm、SPAN0.9である本発明の吸水性樹脂(P-3)を得た。
【0139】
<実施例4>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-4)100重量部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.04重量部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径210μm、SPAN0.9である本発明の吸水性樹脂(P-4)を得た。
【0140】
<実施例5>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-5)100重量部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.04重量部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径323μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-5)を得た。
【0141】
<実施例6>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B1)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径367μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-6)を得た。
【0142】
<実施例7>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B2)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径333μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-7)を得た。
【0143】
<実施例8>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B3)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径359μm、SPAN0.7である本発明の吸水性樹脂(P-8)を得た。
【0144】
<実施例9>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B4)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径331μm、SPAN0.7である本発明の吸水性樹脂(P-9)を得た。
【0145】
<実施例10>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B5)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径372μm、SPAN0.7である本発明の吸水性樹脂(P-10)を得た。
【0146】
<実施例11>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B6)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径362μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-11)を得た。
【0147】
<実施例12>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B7)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径332μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-12)を得た。
【0148】
<実施例13>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B8)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径335μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-13)を得た。
【0149】
<実施例14>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B9)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径334μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-14)を得た。
【0150】
<実施例15>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B10)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径330μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-15)を得た。
【0151】
<実施例16>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-B11)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径332μm、SPAN0.8である本発明の吸水性樹脂(P-16)を得た。
【0152】
<比較例1>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-6)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径365μm、SPAN1.2である比較用の吸水性樹脂(R-1)を得た。
【0153】
<比較例2>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-7)100重量部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.04重量部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径428μm、SPAN0.8である比較用の吸水性樹脂(R-2)を得た。
【0154】
<比較例3>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-8)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径180μm、SPAN1.0である比較用の吸水性樹脂(R-3)を得た。
【0155】
<比較例4>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-9)100重量部」に変更し、表面架橋剤の混合溶液に「カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:X-22-3701E)0.01重量部」を追加したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径346μm、SPAN0.8である比較用の吸水性樹脂(R-4)を得た。
【0156】
<比較例5>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-10)100重量部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.04重量部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径305μm、SPAN0.9である比較用の吸水性樹脂(R-5)を得た。
【0157】
<比較例6>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-11)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径458μm、SPAN0.7である比較用の吸水性樹脂(R-6)を得た。
【0158】
<比較例7>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-12)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径382μm、SPAN1.2である比較用の吸水性樹脂(R-7)を得た。
【0159】
<比較例8>
「架橋重合体粒子(A1-1)100重量部」を「架橋重合体粒子(A1-13)100重量部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、重量平均粒子径261μm、SPAN1.5である比較用の吸水性樹脂(R-8)を得た。
【0160】
実施例1~16および比較例1~8で得た吸水性樹脂について、測定した物理的性質{重量平均粒子径、SPAN}および性能評価結果{DW法による吸収量、保水量、ロックアップ法による吸収速度}を表1に示す。なお、表1中、M1およびM2は、それぞれDW法による1分後の吸収量および5分後の吸収量を示し、%は架橋重合体(A1)の重量に基づく、含有量(重量%)を示す。
【0161】
【0162】
表1から判るように、本発明の吸水樹脂粒子(実施例1~16)は、SPANが小さく(粒度分布が狭い)、重量平均粒子径及び吸収速度パターンが適切である。具体的には、実施例2,5では疎水性物質を用いていないが、重量平均粒子径とSPANを適切に設定することで適切な吸収速度パターンとなっている。実施例1、3、4では重量平均粒子径の違いによる吸収速度パターンの変化を、疎水性物質の含有量を調整することにより、吸収速度パターンを特定範囲に制御できていることが分かる。また、実施例6~11では他の好適な疎水性物質を用いた例を例示している。さらに、実施例12~16では、疎水性物質(C)と浸透剤(D)を併用することにより、更にロックアップ法による吸収速度が改良できていることが分かる。一方、比較例1、7は実施例1と比べて、SPANが高いため粒度分布が広く、M2が低くロックアップ法による吸収速度が遅い傾向にある。比較例2はSPANが低いものの、重量平均粒子径が大きく、ロックアップ法による吸収速度が遅い。比較例4は疎水性の強い「カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:X-22-3701E)」を表面架橋に用いておりM2が低下し、ロックアップ法による吸収速度が遅くなっている。比較例5では疎水性物質を用いずに重量平均粒子径を下げており、M1が過剰に高くなっている。比較例6では重量平均粒子径が高く疎水性物質も用いており、M1が低く、ロックアップ法による吸収速度が低下している。比較例3、8では重量平均粒子径が小さく、かつSPANが高いためM1が過剰に高くなっている。
【0163】
引き続き、SPANが低く、吸収速度パターンが適切であると、吸収性物品に適用したとき、どのような吸収特性を示すか評価した。実施例1~16および比較例1~8で得た吸水性樹脂粒子を用いて、以下のようにして、吸収性物品(紙おむつ)を調製し、表面不織布からの液引きによるドライ性およびSDME法による表面ドライネス値を評価し、この結果を表2に示した。
【0164】
<吸収体の調製>
10cm×40cmの長方形に細断した不織布A(目付量40g/m2、厚さ0.5mm、ポリプロピレン製)に、接着剤としてスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS;軟化点85℃)をホットメルト塗布機(AD41、Nordson製)で目付量2.85g/m2となるように均一に塗布する。接着剤を塗布した面に、評価試料{吸水性樹脂粒子}10.6g(目付量265g/m2)を均一に散布した後、10cm×40cmの長方形に細断した不織布B(目付量45g/m2、厚さ7.0mm、ポリプロピレン製)を重ねた。その不織布A-吸水性樹脂-不織布Bとなったシートをアクリル板(厚み4mm)で挟み、5kg/cm2の圧力で30秒間プレスした。プレス後、不織布A側のアクリル板を取り外し、上記と同様の方法で、接着剤と吸水性樹脂および不織布Bを積層し、再びアクリル板で挟み、5kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、吸収体を調製した。
【0165】
<吸収性物品の調製>
上記吸収体の片方の面に、ポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB-1)、反対側の面に不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を配置することにより吸収性物品を調製した。
【0166】
<表面不織布からの液引きによるドライ性試験>
横11cm×縦41cm×高さ4cmで上部(11cm×41cmの面)が空いた箱(ステンレス製)の中に上記で作成した吸収体を入れた。32±2℃に調整した脱イオン水500mlを用意し、吸収体を入れた箱の中へ一気に流し込んだ。脱イオン水が吸収体と接触したと同時に時間の計測を開始した。表面不織布に保持された脱イオン水が吸水性樹脂に吸収され、表面不織布が白く見える範囲が不織布の半分になるまでの時間(白化時間)を記録した。
【0167】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなったら}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央及びその左右{紙おむつ40cmの端から10cmの等間隔に3箇所}にSDME検出器を3つ載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値を3つのSDME検出器のうち、中央の検出器のドライネス値を表面ドライネス値(1-1){中央}、残りの2つのSDME検出器のドライネス値を表面ドライネス値(1-2){左}、表面ドライネス値(1-3){右}とした。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0168】
【0169】
表2から判るように、本発明の吸水性樹脂粒子を使用した吸収体および吸収性物品は、比較用の吸水性樹脂粒子を使用した吸収体および吸収性物品に比べ、白化時間および表面ドライネス値(1-1)、(1-2)、(1-3)に偏りがなくドライ性に優れている。一方、比較例1、7、8はSPANが高いため、比較例2、6は重量平均粒子径が大きいため、比較例4では5分後吸収量(M2)が低いために白化時間、即ち不織布表面からの液引き性が劣っている。比較例3、5および8ではM1が過剰に高くなっているために液拡散性が劣りスポット吸収を起こすために表面ドライネス値の偏りが生じドライ性が悪くなっている。なお、比較例1、2、4および6~8ではロックアップ法による吸収速度も遅いことからも白化時間が低下する傾向にあることが分かる。すなわち、本発明の吸水性樹脂粒子は、吸収体および吸収性物品に適用したとき、不織布からの液引き性および表面ドライ性に優れ、カブレ等の心配がないことが容易に予測される。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明の吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキンおよび医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤および人口雪等の種々の用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0171】
1 ゴム栓
2 ビュレット部
3 生理食塩水
4 吸水性樹脂粒子
5 平織りナイロンメッシュ
6 測定台
7 コック
8 コック
9 空気導入管