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特許7339258患者の健康状態を予測するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】患者の健康状態を予測するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/216 20210101AFI20230829BHJP
   A61M 60/139 20210101ALI20230829BHJP
   A61M 60/178 20210101ALI20230829BHJP
   A61M 60/411 20210101ALI20230829BHJP
   A61M 60/531 20210101ALI20230829BHJP
   A61M 60/538 20210101ALI20230829BHJP
   A61M 60/585 20210101ALI20230829BHJP
   A61M 60/816 20210101ALI20230829BHJP
【FI】
A61M60/216
A61M60/139
A61M60/178
A61M60/411
A61M60/531
A61M60/538
A61M60/585
A61M60/816
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020534212
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018067240
(87)【国際公開番号】W WO2019126721
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】62/609,158
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リュー チェン
(72)【発明者】
【氏名】カテルジ アドマッド エル
(72)【発明者】
【氏名】コルベット スコット
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-512191(JP,A)
【文献】特表2014-529308(JP,A)
【文献】特表2013-524865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジングと、ロータと、ポンプハウジングの近位に位置決めされた開口とを含む、ポンプ、
ポンプハウジングの遠位端と接続する近位端と、少なくとも1つの遠位開口を備えた遠位端とを含み、該ポンプがモータで動作するように構成されている、カニューレ、
ポンプハウジングの近位に延在する細長いカテーテル、
少なくとも1つのセンサ、および
コントローラ
を含む、心臓ポンプシステムであって、
該コントローラは、
該心臓ポンプシステムによって提供された測定値から導出された少なくとも1つの心拍パワー出量値と、者から測定された少なくとも1つの乳酸濃度値とを取得し、
少なくとも1つの心拍パワー出量値および少なくとも1つの乳酸濃度値に少なくとも一部基づき、患者の転帰の予測値を決定し、ならびに
患者の転帰の該予測値に基づき該心臓ポンプシステムのポンプ速度を調整するように構成されており
該心臓ポンプシステムのポンプ速度を調整することが、(a)該少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を下回り、該少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を上回るときに、ポンプ速度を上げること、または、(b) 該少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を上回り、該少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を下回るときに、ポンプ速度を下げることを含む、
心臓ポンプシステム。
【請求項2】
ポンプ速度を調整することが、
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を下回り、前記少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を上回るときに、ポンプ速度を上げること
を含む、請求項1記載の心臓ポンプシステム。
【請求項3】
ポンプ速度を調整することが、
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を上回り、前記少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を下回るときに、ポンプ速度を下げること
を含む、請求項1記載の心臓ポンプシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、
第1の期間に続く第1の時間間隔の後に前記少なくとも1つの心拍パワー出量値を更新し、および
前記第1の期間に続く第2の時間間隔の後に前記少なくとも1つの乳酸濃度値を更新する、
請求項1~3のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの乳酸濃度値が、臨床医によって前記患者から測定され、ユーザインターフェース上で前記心臓ポンプシステムに提供される、請求項1~4のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値を取得することが、前記心臓ポンプシステムのセンサから経時的に心拍出量を決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【請求項7】
患者の転帰の前記予測値が、前記患者の死亡または生存を示す、請求項1~6のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【請求項8】
ポンプハウジングと、ロータと、ポンプハウジングの近位に位置決めされた開口とを含む、ポンプ、
ポンプハウジングの遠位端と接続する近位端と、少なくとも1つの遠位開口を備えた遠位端とを含み、該ポンプがモータで動作するように構成されている、カニューレ、
ポンプハウジングの近位に延在する細長いカテーテル、
少なくとも1つのセンサ、および
コントローラ
を含む、心臓ポンプシステムであって、
該コントローラは、
該心臓ポンプシステムによって提供された測定値から導出された少なくとも1つの心拍パワー出量値と、患者から測定された少なくとも1つの乳酸濃度値とを取得し、
少なくとも1つの心拍パワー出量値および少なくとも1つの乳酸濃度値に少なくとも一部基づき、該患者の転帰の予測値を決定し、
第1の期間に続く第1の時間間隔の後に該少なくとも1つの心拍パワー出量値を更新し、
該第1の期間に続く第2の時間間隔の後に該少なくとも1つの乳酸濃度値を更新し、ならびに
該患者を治療するために該心臓ポンプシステムを動作させる
ように構成されている、
心臓ポンプシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、患者の転帰の前記予測値に基づき、前記心臓ポンプシステムの動作パラメータを調整する、請求項8記載の心臓ポンプシステム。
【請求項10】
心臓ポンプシステムの動作パラメータを調整することが、心拍出量または乳酸濃度の変化に基づいてポンプ速度を調整することを含む、請求項9記載の心臓ポンプシステム。
【請求項11】
ポンプ速度を調整することが、
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を下回り、前記少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を上回るときに、ポンプ速度を上げること
を含む、請求項10記載の心臓ポンプシステム。
【請求項12】
ポンプ速度を調整することが、
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を上回り、前記少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を下回るときに、ポンプ速度を下げること
を含む、請求項11記載の心臓ポンプシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの乳酸濃度値が、臨床医によって前記患者から測定され、ユーザインターフェース上で前記心臓ポンプシステムに提供される、請求項8~12のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値を取得することが、前記心臓ポンプシステムのセンサから経時的に心拍出量を決定することを含む、請求項8~13のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【請求項15】
患者の転帰の前記予測値が、前記患者の死亡または生存を示す、請求項8~14のいずれか一項記載の心臓ポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2017年12月21日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR PREDICTING PATIENT HEALTH STATUS」という名称の米国仮特許出願第62/609,158号の優先権および恩典を主張するものである。上記参照出願の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
急性および慢性の心血管状態は、生活の質および寿命を低下させる。心臓の健康に対しては、医薬品から機械的装置および移植にまで及ぶ様々な治療法が開発されてきた。心臓ポンプシステムなどの一時的心臓補助装置は、血行力学的補助を提供し、心臓の回復を促進する。心臓ポンプシステムの中には、IMPELLA(登録商標)ファミリーの装置(Abiomed, Inc., Danvers MA)のような、心臓に経皮的に挿入され、心拍出量を補うために自己心と並行して動作することができるものもある。
【0003】
現在、臨床医が患者の健康状態を追跡することは困難または不可能である。臨床医は、患者の健康状態を予測するために、心機能の定性的判断および間接的推定値に依拠する傾向があるが、これらのプロセスは一貫性を欠き、信頼できない。患者の健康状態の判断は、臨床医間で異なる場合がある。さらに、このプロセスは臨床医にとって時間がかかり、多くの場合、臨床医は、情報に基づく医療の意思決定を行うために患者の心機能と関連付けられるすべての測定値を時間内に分析することができない。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書に記載されるシステム、装置、および方法は、特に、心血管系の苦痛があり、かつ/または心原性ショックで苦しんでいる患者の心臓の健康に関連して、予測モデリングを使用して患者の転帰を予想し、経時的に患者の状態の経過を追う。特に、これらのシステム、装置、および方法は、心臓ポンプシステムが、患者の生存確率の決定に有用なデータを提供することを可能にする。患者の生存確率を使用する1つの方法は、1組の患者を最低確率から最高確率の順にランク付けすることであり、または患者の生存確率は、その患者の組を、異なる生存確率の範囲についての異なる層に割り当てるために使用され得る。このように、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、臨床医が最もさし迫った状態の患者を特定し、臨床医の早急な対応を、それを最も必要とする患者に向けるための定量的かつ客観的な方法である。患者の生存確率を使用して一定期間にわたる個別患者の生存確率を追跡する別の方法は、経時的な当該患者の健康の定量的評価を提供するものである。このように、本システムおよび方法は、臨床医が、当該患者の健康が予期されるように経過しているかどうかを特定することを可能にする定量的かつ客観的な方法を提供するので、臨床医は、必要に応じて患者の治療計画を更新し得る。
【0005】
患者の生存確率は、少なくとも、心臓ポンプシステムによって取得された心臓のはたらきの連続的および/または離散的測定値を含む様々な因子のうちの1つまたは複数に基づいて決定され得る。例えば、心臓ポンプシステムによって提供される1つのデータパラメータは、心拍パワー出量(cardiac power output(CPO))を含み得る。CPO値は、患者から測定された乳酸濃度などの、1つまたは複数の臨床データパラメータと共に、生存確率を決定するために使用されてもよく、生存確率は次いで、心臓ポンプシステムの動作を変更するために使用され得る。CPOおよび乳酸濃度を取得するシステムおよび方法を以下で詳細に説明する。心臓ポンプシステムの動作を変更する1つの方法は、生存確率に応じて、心臓ポンプシステムからの心臓補助のレベルを増減することである。例えば、生存確率が高い場合、患者の見通しは良好であり、心臓ポンプシステムは心臓補助のレベルを下げる。あるいは、生存確率が低い場合、患者の見通しはより悪く、心臓ポンプシステムは心臓補助のレベルを上げる。
【0006】
いくつかの局面では、患者の脈管構造に血管内心臓ポンプシステムが挿入される。心臓ポンプシステムは、低侵襲的手技を使用して挿入され得る。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法により大腿動脈または大腿静脈を通って挿入され得る。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、カニューレ、ポンプ入口、ポンプ出口、およびロータを含む。例えば、血管内心臓ポンプシステムは、IMPELLA(登録商標)ファミリーの装置(Abiomed, Inc., Danvers MA)などの、経皮的心室補助装置である。いくつかの実施態様では、ロータはモータに結合されている。モータは、ロータを駆動し、ポンプを通して血液を送り込み得る。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、1つまたは複数のセンサを含む。例えば、センサは、心臓ポンプシステムの性能、心機能、血行力学的性能に関連したデータ、または任意の他の適切なデータを取得するように構成され得る。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、コントローラを含む。例えば、心臓ポンプシステムは、自動インペラコントローラ(Automated Impella Controller(AIC))を含み得る。コントローラは、命令を実行し、データを分析し、値を計算し、パラメータ間の関係を決定し、または任意の他の適切なタスクを行うように構成され得る。例えば、コントローラは、本明細書に記載される方法を実行し得る。コントローラは、プロセッサ、メモリ、ユーザインターフェース、表示画面、タッチスクリーン、ユーザ・インタラクティブ・ボタンおよび/もしくはダイヤル、電源、任意の他の適切な要素、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0007】
いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、部分的に患者の心臓内に位置決めされる。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、左心室補助装置(left ventricular assist device(LVAD))である。心臓ポンプシステムは、カニューレが患者の大動脈弁を越えて延在し、ポンプ入口が患者の左心室内に位置し、ポンプ出口が患者の大動脈内に位置するように、患者内に位置決めされ得る。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法により、大腿動脈を通り、上行大動脈に入り、大動脈弁を越えて、左心室に挿入され得る。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、右心室補助装置(right ventricular assist device(RVAD))である。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法の手技により、大腿静脈を通って右心房に挿入され得る。本明細書で提示されるいくつかの実施態様は、大動脈弁を越えて植え込まれ、部分的に左心室に存在する心臓ポンプシステムを対象としているが、同じ概念を、心臓、心血管系、または身体の他の領域の装置に適用することができる。
【0008】
いくつかの局面では、本システムおよび方法は、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを取得し、第1のデータから複数の特徴を抽出し、心臓の健康指数を決定する。心臓の健康指数は、患者の心臓の健康を表し、全般的な患者の回復および転帰につながる患者の心臓のはたらきならびに全身かん流を示し得る。いくつかの実施態様では、心臓の健康指数は、患者の生存の尤度または生存確率を示す値を表す。
【0009】
本明細書で提示されるシステム、装置、および方法は、患者の健康に関連する測定値を使用して心臓の健康指数を決定し、かつ/または患者の生存を予測する。いくつかの実施態様では、測定値は、心機能に関連した心臓パラメータである。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、測定値についての取得、測定、処理、またはそれ以外の定量化を行う。
【0010】
本明細書に記載される方法は、心臓ポンプシステムの時変パラメータ(後述する測定値のいずれかなど)に関連した第1のデータまたは測定値を取得する工程を含み得る。第1のデータは、心臓ポンプシステムを介して取得された連続もしくはほぼ連続した測定値を表し得るか、または心臓ポンプシステムへの入力などの既知の数量を表し得る。第1のデータは、心臓ポンプシステムの動作または心臓ポンプシステムによって測定された因子に関連し、心拍数、ポンプ圧、差圧、モータ電流、Pレベル、モータ速度、心臓ポンプシステムによって直接提供されるか、もしくは心臓ポンプシステムによって直接提供されたデータから推測された任意の他のデータ、またはそれらの任意の適切な組み合わせを示すデータを含み得る。これらの測定値から、心機能に関する情報、場合によっては、心臓補助装置の性能(例えば、吸引事象の発生など)に関する情報を判断することができる。心機能に関するこの情報を予測モデリングシステムにおいて患者の転帰を予測するために使用することができる。
【0011】
第1のデータは、心臓ポンプシステム上、外部システム上、またはその両方の1つまたは複数のセンサによって取得された測定値から決定され得る。例えば、心臓ポンプシステム上の1つまたは複数のセンサは、心臓ポンプシステムの動作中に、患者の心臓内に、患者の心臓の外部に、またはその両方の組み合わせに位置決めされ得る。一例では、心臓ポンプシステム上のセンサは、患者の脈管構造内の圧力を測定する。その圧力は、後述する、心拍パワー出量などの追加のパラメータの計算において使用され得る。
【0012】
本明細書に記載される方法は、患者の健康または心臓ポンプの動作に関連した他のパラメータまたは特徴を決定または推定するために、上述した第1のデータなどの、取得済みまたは既知のデータを処理する工程を含み得る。いくつかの実施態様では、これらのパラメータは、圧力測定値と電流測定値の所与の対に対応する心周期の位相の検出を可能にする圧力測定値とモータ電流測定値との間のヒステリシスに一部基づいて決定される。いくつかの実施態様では、第1のデータから複数の特徴が抽出される。特徴を抽出することは、第1のデータを心臓ポンプシステムで、または外部装置で処理することを含み得る。これらの特徴には、左心室拡張末期圧(left ventricular end diastolic pressure(LVEDP))、一回拍出量、駆出率、心腔拡張、心腔肥大、心腔圧、一回仕事量、前負荷状態、後負荷状態、心拍数、心臓の回復、大動脈圧、差圧、モータ電流、モータ速度、ポンプ圧、左心室圧、拡張末期圧、大動脈脈圧、自己心拍出量、心拍出量、CPO、配置、平均流量、目標流量、Pレベル、収縮性、弛緩、配置信号、平均配置、配置の標準偏差、平均配置範囲、配置範囲の標準偏差、平均差圧、差圧の標準偏差、平均差圧範囲、差圧範囲の標準偏差、左心室圧最大値、左心室圧最小値、ポンプ圧最大値、ポンプ圧平均値、ポンプ圧最小値、差圧最大値、差圧最小値、モータ電流最大値、モータ電流最小値、モータ電流平均値、モータ速度平均値、心機能に関連した任意の他の適切な特徴、およびそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。第1のデータは、1秒間、1分間、5分間、10分間、1時間、数時間、1日、数日間、1週間、1ヵ月、または任意の適切な時間枠など、心臓ポンプシステムが動作している第1の期間中に取得され得る。上述した特徴の代表値、平均値、および最小値は、第1の期間中の特徴の代表値、平均値、または最小値であり得る。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、後述するように、これら複数の特徴を使用して、患者の生存確率または他の心臓の健康指数を決定し得る。
【0013】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される方法は、患者の生理学的パラメータに関連した第2のデータを取得する工程を含む。第2のデータは、臨床医によってまたは心臓ポンプシステムの外部の装置によって患者から測定され得るか、または測定値から推測され得る。第2のデータは、温度、体重、身長、胴回り、体表面積(body surface area(BSA))、年齢、性別、尿量、クレアチニンレベル、水素イオン指数(potential of Hydrogen(pH))、酸素濃度、二酸化炭素濃度、乳酸濃度、または任意の他の適切な測定値もしくは患者試料、例えば、血液、尿、唾、血漿、糞便、尿、組織、もしくは任意の他の適切な試料を含み得る。例えば、臨床医は、第2のデータを取得するために患者から血液試料を収集し、分析し得る。いくつかの実施態様では、第2のデータは、第1のデータが取得されるのと同じ期間中に取得される。心臓の健康指数または生存確率は、第2のデータに基づくものであり得る。
【0014】
第2のデータは、心臓ポンプシステム上の1つまたは複数のセンサを介して、かつ/または外部システムを介して取得され得る。心臓ポンプシステム上および/または外部システム上の1つまたは複数のセンサは、患者の心臓内に、患者の心臓の外部に、またはその両方の組み合わせに位置決めされ得る。例えば、臨床医は、患者の血液中の乳酸濃度値を測定し、次いでその乳酸濃度を、心臓ポンプシステムまたは別のシステム上のユーザインターフェースに入力し得る。
【0015】
いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステム自体が、心機能に関連した第1のデータと、生理学的パラメータに関連した第2のデータの両方を受け取り、処理する。心臓ポンプシステムは次いで、本明細書に記載されるように心臓の健康指数または生存確率を計算する。他の実施態様では、後述するように、心臓ポンプシステムとは別個の装置、例えば、コンピュータ、モバイル装置、タブレット、または任意の他の適切な装置が、第1のデータおよび第2のデータを受け取り、そのデータに基づいて心臓の健康指数または生存確率を決定する。
【0016】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される方法は、患者の心臓の健康を示す心臓の健康指数を決定する工程を含む。心臓の健康指数は、心臓成分と全身かん流成分とを含む、患者の回復の尤度を示し得る。心臓成分は、患者の心臓の健康に関連し、負荷軽減、収縮性、または患者の心臓のはたらきの任意の適切な指標を含み得る。システムかん流成分は、患者の脈管構造の健康に関連し、心拍出量(cardiac output(CO))、大動脈圧平均値(aortic pressure mean(AoPm))、または患者の循環器系のはたらきの任意の適切な指標を含み得る。いくつかの局面では、心臓の健康指数は、患者の生存確率であり得る。生存確率は、患者の生存または死亡の尤度を示す値である。いくつかの実施態様では、生存確率は、例えば、0~1の数値である。いくつかの実施態様では、確率が閾値(例えば0.5)以上である場合、生存確率は生存を示す(例えば、患者は、その患者の心臓の健康を前提とした50%を超える生きる可能性を有する)。生存確率は、上述した特徴に基づくものであり得る。例えば、心拍出量が低いか、最大圧力が低いか、最小圧力が高いか、差圧の標準偏差が高いか、またはそれらの任意の適切な組み合わせである患者は、生存確率が低い可能性があり、心拍出量が高いか、最大圧力が高いか、最小圧力が低いか、差圧の標準偏差が低いか、またはそれらの任意の適切な組み合わせである患者は、生存確率が高い可能性がある。
【0017】
いくつかの局面では、本方法は、患者を治療するために心臓ポンプシステムを動作させる工程、例えば、ポンプを作動させる工程や、ポンプによって提供される補助のレベルを(例えば、補助のレベルを増減するようモータ速度を調整することによって)調整する工程や、ポンプを停止させる工程、を含む。例えば、患者のCPOが低く乳酸濃度が高い場合、ポンプは作動もしくはオンにされ、または患者の健康を引き続き監視しながら補助のレベルが上げられる。CPOが高く乳酸濃度が低い患者では、すでに動作しているポンプが停止もしくはオフにされ、または患者の健康を引き続き監視しながら補助のレベルが下げられる。
【0018】
いくつかの実施態様では、生存確率に基づいてポンプ動作パラメータ値が選択される。ポンプ動作パラメータは、ポンプの動作に影響を及ぼす任意の因子であり得る。例えば、ポンプ動作パラメータは、ポンプ速度、Pレベル、モータ電流、目標流量、または任意の他の適切なパラメータであり得る。いくつかの実施態様では、(例えば、生存確率が低いかまたはある閾値を下回る場合)ポンプ速度が、生存確率であり得る心臓の健康指数に基づいて上げられる。いくつかの実施態様では、(例えば、生存確率が高いかまたはある閾値を上回る場合)ポンプ速度が、心臓の健康指数に基づいて下げられる。
【0019】
心臓の健康指数は、予測モデルを使用して決定され得る。予測モデルは、機械学習モデルであり得る。例えば、予測モデルは、ロジスティック回帰法、深層学習法、決定木、ランダムフォレスト法、ナイーブベイズ法、およびサポート・ベクター・マシン法、のうちの1つであり得る。心臓の健康指数は、複数の特徴に基づくものであり得る。本方法は、心臓の健康指数に基づき、患者の転帰を予測する工程をさらに含み得る。いくつかの局面では、患者の転帰は、患者の死亡または生存であり得る。
【0020】
本方法は、心臓の健康指数を表示する工程をさらに含み得る。例えば、心臓の健康指数は、グラフィカル・ユーザインターフェースを使用して心臓ポンプシステム上に、またはリモートで別のシステム上に表示され得る。心臓の健康指数は、数値、色表現、視覚的指標、または任意の他の適切な表示方法として示され得る。例えば、AICは、患者の生存確率が第1の閾値以上である場合には緑色を表示し、生存確率が第1の閾値と第1の閾値より低い第2の閾値との間にある場合には黄色を表示し、生存確率が第2の閾値以下である場合には赤色を表示し得る。
【0021】
本方法は、複数の心臓の健康指数を取得する工程をさらに含み得る。複数の心臓の健康指数は心臓の健康指数を含んでいてもよく、各心臓の健康指数は、複数の期間のうちの1つの期間に対応し得る。本方法は、複数の心臓の健康指数に基づき、患者の健康の変化を判断する工程をさらに含み得る。例えば、患者の因子(例えば、CPO、収縮性、モータ電流平均値など)の小変化は、単独で見ると重要ではないように見えるが、他の患者因子と組み合わせて見ると、患者の健康の全般的な低下を示す場合がある。心臓の健康指数においてはこれら複数の因子を考慮することができる。複数の患者因子を単一の値または傾向に集約するこの方法は、患者または臨床医が患者の健康を迅速かつ容易に解釈することを可能にする。本方法は、複数の期間にわたる複数の心臓の健康指数を表示する工程をさらに含み得る。例えば、複数の心臓の健康指数は、グラフィカル・ユーザインターフェースを使用して(例えばAIC上に)表示され得る。例えば、臨床医は、経時的な心臓の健康指数のグラフ表現を表示して、患者の健康の傾向を容易に視覚化し得る。いくつかの実施態様では、患者の生存確率が一定の速度で低下しているか、または所与の閾値を上回る速度で低下している場合、臨床医は、患者の健康の低下への注意を喚起され得る。そのような通知には、例えば、聴覚警報、ユーザインターフェース上の点滅光、電子メールもしくは電話メッセージ、または任意の適切な通知が含まれ得る。例えば、臨床医は、心臓の健康指数を使用して、患者の生存確率が、数日間(または数週間)にわたって着実に低下していると定量的に判断し得る。この判断により、臨床医は、患者の見通しを改善するために(例えば、患者の心臓ポンプの動作パラメータを調整することによって)患者の治療に介入することができるようになる。
【0022】
本方法は、複数の特徴のうちの第2の特徴と比較した複数の特徴のうちの第1の特徴の相対重要度の指標を表示する工程をさらに含み得る。この相対重要度は、視覚表示で示され得る。例えば、各特徴が棒グラフ内の棒として、またはスパイダープロット内の点として示され、プロット内の各棒または点はその重要度に対するサイズまたは配置を与えられる。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、ユーザインターフェースおよび表示画面を含むコントローラを含む。相対は、表示画面上に表示され得る。いくつかの実施態様では、臨床医は、例えば、パーソナルコンピュータやモバイル装置を介して、リモートで指標を確認することができる。例えば、コントローラは、自動的に、または臨床医の要求に応じて、臨床医に患者の状態に関する周期的な報告を送信し得る。
【0023】
一態様では、患者の健康状態を測定するための方法は、データベースから、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連する複数のデータ点を含む訓練データセットを取得する工程を含み得る。例えば、心臓ポンプシステムのコントローラまたはリモート・コンピュータ・システムは、患者の転帰(例えば、生存または死亡)が分かっている複数の患者の症例から取得されたデータで訓練し得る。本方法は、複数のデータ点に対応する複数の特徴を決定するためにデータセットを前処理し、パターンを決定するために複数の特徴を処理する工程をさらに含み得る。例えば、コントローラまたはコンピュータシステムを訓練することは、どんな患者の因子が患者の転帰に対して最大および最小の影響を及ぼしたかを判断することを含み得る。パターンは、複数の特徴のサブセットの各特徴の重みを含み得る。本方法は、患者データを取得し、患者データとパターンとに基づき、患者の心臓の健康指数を計算する工程をさらに含み得る。コントローラまたはコンピュータシステムを既知の症例データで訓練することにより、コンピュータシステムは、どのようにして患者の生存確率を正確に予測するかを自己補正し、「学習する」ことができる。
【0024】
一態様では、心臓ポンプシステムは、カテーテルと、モータと、モータに動作可能に結合されたロータと、ポンプハウジングと、少なくとも1つのセンサと、コントローラとを含み得る。ポンプハウジングは、モータを作動させるとロータが駆動され、ポンプハウジングに血液が送り込まれるようにロータを少なくとも部分的に取り囲み得る。コントローラは、本明細書に記載される方法のいずれかを実行するように構成され得る。例えば、コントローラは、第1の期間中に少なくとも1つのセンサから、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを取得し、第1のデータから複数の特徴を抽出し、予測モデルを使用すると共に複数の特徴に基づいて、患者の心臓の健康を示す心臓の健康指数を決定し、心臓の健康指数に基づいて、患者の転帰を予測し得る。
【0025】
いくつかの局面では、血管内心臓ポンプシステムが、上述したように、または本明細書に記載される様々な態様にわたって記載されるように、患者の脈管構造に挿入される。心臓ポンプシステムは、低侵襲的手技を使用して挿入され得る。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法により大腿動脈または大腿静脈を通って挿入され得る。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、部分的に患者内に位置決めされる。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、左心室補助装置(left ventricular assist device(LVAD))である。心臓ポンプシステムは、カニューレが患者の大動脈弁を越えて延在し、ポンプ入口が患者の左心室内に位置し、ポンプ出口が患者の大動脈内に位置するように、患者内に位置決めされ得る。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法により、大腿動脈を通り、上行大動脈に入り、大動脈弁を越えて、左心室に挿入され得る。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、右心室補助装置(right ventricular assist device(RVAD))である。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法の手技により、大腿静脈を通って右心房に挿入され得る。
【0026】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、患者に第1のレベルの心臓補助を提供するために第1の期間中に心臓ポンプシステムを動作させるか、または動作させるように構成される。例えば、心臓ポンプシステムは、第1のポンプ速度、Pレベル、または、モータに送られる電流、モータに送られる電力、モータ速度などのモータパラメータで動作し得る。いくつかの実施態様では、本システムは、患者に一定またはほぼ一定のレベルの補助を提供するように動作する。
【0027】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、心臓ポンプシステムによって提供された測定値から導出された少なくとも1つのCPO値を取得する。CPOは、心臓のポンプ能力を表す。CPOは、平均動脈圧と心拍出量との関数であり、平均動脈圧は、収縮期血圧と拡張期血圧との関数であり、心拍出量は、心拍数と一回拍出量との関数である。心拍出量は、患者の心拍動周期の容積圧曲線下の面積を計算するなど、様々な手段によって推定または測定することができる。いくつかの例では、CPOは、平均動脈圧に心拍出量を掛け、451で割ったものに等しくなり得る。いくつかの実施態様では、CPOの代わりに、またはCPOに加えて心拍パワー指数(cardiac power index(CPI))が使用される。CPIは、体表面積で正規化された心臓のポンプ能力を表す。いくつかの実施態様では、CPOは、心臓ポンプシステムの1つまたは複数のセンサによって取られた圧力測定値から計算される。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのCPO値を取得することは、心臓ポンプシステムのセンサから経時的な心拍出量を決定することを含む。例えば、心臓ポンプシステムのコントローラは、患者の脈管構造内でポンプシステムの動作中に取られた収縮期圧、拡張期圧、および/または差圧の測定値からCPOを決定し得る。いくつかの実施態様では、CPOは、圧力測定値がセンサで更新されるか、またはコントローラが更新された圧力測定値を受け取るたびに計算される。あるいは、CPOは、ある量だけ前の測定値と異なる更新された圧力測定値が受け取られたときにだけ計算されてもよい。いくつかの実施態様では、CPOは、第1の期間に続いて決まった時間間隔で規則的に更新される。例えば、この第1の時間間隔は0.01秒間、0.1秒間、0.5秒間、1秒間、5秒間、10秒間、1分間、10分間、15分間、30分間、1時間、または任意の適切な時間間隔であり得る。
【0028】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、患者から測定された少なくとも1つの乳酸濃度値を取得する。乳酸濃度は、患者における乳酸の産生とクリアランスとの間のバランスを表す。乳酸濃度は、患者の血液を介して測定され得る。例えば、臨床医は、患者から血液を採取することによって乳酸濃度を測定し得る。いくつかの実施態様では、乳酸濃度は、臨床医または他のユーザによって、心臓ポンプシステムまたは別の装置に接続されたユーザインターフェースに手入力される。いくつかの実施態様では、乳酸濃度は、電子的有線接続または無線接続を介してインポートされる。例えば、患者の乳酸濃度は、処理に生理学的パラメータ値を提供するために心臓ポンプシステムと通信するリモートの記憶場所に格納され得る。いくつかの実施態様では、乳酸濃度値は、第1の期間に続いて決まった時間間隔で規則的に更新される。例えば、この第2の時間間隔は、1時間、3時間、5時間、7時間、10時間、1日、1週間、または任意の適切な時間間隔であり得る。
【0029】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、患者の転帰の予測を決定する。患者の転帰は、少なくとも1つのCPO値と少なくとも1つの乳酸濃度値とに基づくものであり得る。いくつかの実施態様では、患者の転帰の予測値は、患者の生存または死亡の尤度を表す。例えば、特許の転帰の予測値は、0~1の値であってもよく、1は患者生存の高い尤度を表し、0は患者生存の低い尤度を表す。
【0030】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、患者を治療するために心臓ポンプシステムを動作させる。例えば、ポンプ動作は、患者の転帰の予測値に基づいて変更され得る。特に、ポンプ動作を変更することは、心臓ポンプシステムの動作パラメータを、第1の期間に続く第2の期間中に第2のレベルの心臓補助を提供するように調整することを含み得る。第2のレベルの心臓補助は第1のレベルの心臓補助と同じであってもよく、または第2のレベルの心臓補助は第1のレベルの補助と異なっていてもよい。一例では、心臓ポンプシステムの動作パラメータを調整することは、心拍パワー出量、乳酸濃度、またはその両方の変化に基づいて(例えば、増減することによって)ポンプ速度を調整することを含む。少なくとも1つのCPO値が第1の閾値を下回るとき、少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を上回るとき、またはその両方の場合には、ポンプ速度を上げることが望ましい場合もある。例えば、第1の閾値は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0Wなどの値であり、第2の閾値は、1、2、3、4、5、6、7mmol/Lなどの値であり得る。低いCPO値と高い乳酸値とは、患者の生存確率が相対的に低いことを示し得る。患者の体調が悪いことから、臨床医は、例えば、ポンプ速度を上げることにより、ポンプによって提供される心臓補助のレベルを上げようと試み得る。少なくとも1つのCPO値が第1の閾値を上回るとき、少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を下回るとき、またはその両方の場合には、ポンプ速度を下げるかまたは変えないことが望ましい場合もある。高いCPO値と低い乳酸値とは、患者の生存確率が相対的に高いことを示し得る。患者の体調が良いことから、臨床医は、ポンプの動作のパラメータを変更しないと判断してもよい。あるいは、臨床医は、ポンプによって提供される心臓補助のレベルを下げようと試みるか、またはポンプを完全にオフにしてもよい。
[本発明1001]
心原性ショックの患者を治療するための方法であって、
カニューレ、ポンプ入口、ポンプ出口、およびロータを含む、血管内心臓ポンプシステムを、該患者の脈管構造に挿入する工程、
カニューレが該患者の大動脈弁を越えて延在し、ポンプ入口が該患者の左心室内に位置し、ポンプ出口が該患者の大動脈内に位置するように、該心臓ポンプシステムを該患者内に位置決めする工程、
該心臓ポンプシステムから、該心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを取得する工程、
該第1のデータから複数の特徴を抽出する工程、
予測モデルを使用し、該複数の特徴に基づいて、該患者の生存確率を決定する工程、および
該患者を治療するために該心臓ポンプシステムを動作させる工程
を含む、方法。
[本発明1002]
前記生存確率が、前記患者の心臓のはたらきを表す心臓成分と、前記患者の循環器系のはたらきを表すシステムかん流成分とを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記患者の生理学的パラメータに関連した第2のデータを取得する工程をさらに含み、
前記生存確率を決定する工程が該第2のデータに基づくものである、
本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記第2のデータが、年齢、性別、体表面積(BSA)、尿量、クレアチニンレベル、水素イオン指数(pH)、酸素濃度、二酸化炭素濃度、および乳酸濃度のうちの少なくとも1つを含む、本発明1003の方法。
[本発明1005]
前記第1の複数の特徴が心拍パワー出量を含み、前記第2のデータが乳酸濃度を含む、本発明1004の方法。
[本発明1006]
ポンプ動作パラメータ値が前記生存確率に基づいて選択される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記ポンプ動作パラメータがポンプ速度である、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記ポンプ速度が前記生存確率に基づいて上げられる、本発明1007の方法。
[本発明1009]
各生存確率が複数の期間のうちの1つの期間に対応する、前記生存確率を含む複数の生存確率を取得する工程、および
前記複数の生存確率に基づき、患者の健康の変化を判断する工程
をさらに含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記複数の特徴が、大動脈圧、差圧、モータ電流、モータ速度、ポンプ圧、左心室圧、拡張末期圧、大動脈脈圧、自己心拍出量、心拍出量、心拍パワー出量、配置、平均流量、目標流量、Pレベル、収縮性、弛緩、配置信号、平均配置、配置の標準偏差、平均配置範囲、配置範囲の標準偏差、平均差圧、差圧の標準偏差、平均差圧範囲、差圧範囲の標準偏差、左心室圧最大値、左心室圧最小値、ポンプ圧最大値、ポンプ圧平均値、ポンプ圧最小値、差圧最大値、差圧最小値、モータ電流最大値、モータ電流最小値、モータ電流平均値、およびモータ速度平均値のうちの少なくとも1つを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記予測モデルが、ロジスティック回帰法、深層学習法、決定木、ランダムフォレスト法、ナイーブベイズ法、およびサポート・ベクター・マシン法のうちの1つである機械学習モデルである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記複数の特徴のうちの第2の特徴と比較した前記複数の特徴のうちの第1の特徴の相対重要度の指標を表示する工程
をさらに含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記生存確率を決定する工程が、
データベースから、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連する複数のデータ点を含む訓練データセットを取得する工程、
該複数のデータ点に対応する第3の複数の特徴を決定するために該データセットを前処理する工程、
該第3の複数の特徴のサブセットの各特徴の重みを含むパターンを決定するために該第3の複数の特徴を処理する工程、
患者データを取得する工程、ならびに
該患者データおよび該パターンに基づき、患者の生存確率を計算する工程
を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記生存確率が、前記患者の死亡または生存を示す、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
心原性ショックの患者を治療するための方法であって、
カニューレ、ポンプ入口、ポンプ出口、およびロータを含む、血管内心臓ポンプシステムを、該患者の脈管構造に挿入する工程、
カニューレが該患者の大動脈弁を越えて延在し、ポンプ入口が該患者の左心室内に位置し、ポンプ出口が該患者の大動脈内に位置するように、該心臓ポンプシステムを該患者内に位置決めする工程、
該心臓ポンプシステムを、該患者に第1のレベルの心臓補助を提供するように動作させる工程、
該心臓ポンプシステムによって提供された測定値から導出された少なくとも1つの心拍パワー出量値と、該患者から測定された少なくとも1つの乳酸濃度値とを取得する工程、
少なくとも1つの心拍パワー出量値および少なくとも1つの乳酸濃度値に少なくとも一部基づき、患者の転帰の予測値を決定する工程、ならびに
該患者を治療するために該心臓ポンプシステムを動作させる工程
を含む、方法。
[本発明1016]
患者に前記第1のレベルとは異なる第2のレベルの心臓補助を提供するために、患者の転帰の前記予測値に基づき、前記心臓ポンプシステムの動作パラメータを調整する工程をさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記心臓ポンプシステムの動作パラメータを調整する工程が、心拍出量または乳酸濃度の変化に基づいてポンプ速度を調整する工程を含む、本発明1015または1016の方法。
[本発明1018]
ポンプ速度を調整する工程が、
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を下回り、前記少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を上回るときに、ポンプ速度を上げる工程
を含む、本発明1017の方法。
[本発明1019]
ポンプ速度を調整する工程が、
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値が第1の閾値を上回り、前記少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を下回るときに、ポンプ速度を下げる工程
を含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記心臓ポンプシステムが、第1の期間中に前記患者に前記第1のレベルの心臓補助を提供し、
前記第1の期間に続く第1の時間間隔の後に前記少なくとも1つの心拍パワー出量値を更新する工程、および
前記第1の期間に続く第2の時間間隔の後に前記少なくとも1つの乳酸濃度値を更新する工程
をさらに含む、本発明1015~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記少なくとも1つの乳酸濃度値が、臨床医によって前記患者から測定され、ユーザインターフェース上で前記心臓ポンプシステムに提供される、本発明1015~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記少なくとも1つの心拍パワー出量値を取得する工程が、前記心臓ポンプシステムのセンサから経時的に心拍出量を決定することを含む、本発明1015~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
患者の転帰の前記予測値が、前記患者の死亡または生存を示す、本発明1015~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
ポンプハウジングと、ロータと、ポンプハウジングの近位に位置決めされた開口とを含み、カニューレが近位端を有する、ポンプ、
ポンプハウジングの遠位端と接続する近位端と、少なくとも1つの遠位開口を備えた遠位端とを含み、ポンプがモータで動作するように構成されている、カニューレ、
ポンプハウジングの近位に延在する細長いカテーテル、
少なくとも1つのセンサ、および
本発明1001~1023のいずれかの方法を実行するように構成されたコントローラ
を含む、心臓ポンプシステム。
[本発明1025]
前記カニューレの前記遠位端から遠位方向に延在する柔軟な突起をさらに含む、本発明1024の心臓ポンプシステム。
[本発明1026]
前記細長いカテーテルが、その遠位端で前記ポンプハウジングに結合されており、前記ポンプが前記細長いカテーテルを通って延在する駆動ケーブルをさらに含む、本発明1024または1025の心臓ポンプシステム。
[本発明1027]
ポンプハウジングと、ロータと、ポンプハウジングの近位に位置決めされた開口とを含み、カニューレが近位端を有する、ポンプ、
ポンプハウジングの遠位端と接続する近位端と、少なくとも1つの遠位開口を備えた遠位端とを含み、該ポンプがモータで動作するように構成されている、カニューレ、
ポンプハウジングの近位に延在する細長いカテーテル、
時変パラメータに関連した第1のデータを取得するように構成された少なくとも1つのセンサ、および
該第1のデータに基づき、患者の生存確率を決定するように構成されたコントローラ
を含む、心臓ポンプシステム。
[本発明1028]
前記カニューレの前記遠位端から遠位方向に延在する柔軟な突起をさらに含む、本発明1027の心臓ポンプシステム。
[本発明1029]
前記患者の脈管構造内に挿入するためのサイズおよび構成の一体型モータをさらに含む、本発明1027または1028の心臓ポンプシステム。
[本発明1030]
前記モータが、前記ロータの作動中に実質的に一定のロータ速度を維持するように構成される、本発明1029の心臓ポンプシステム。
[本発明1031]
前記細長いカテーテルが、その遠位端で前記ポンプハウジングに結合されており、前記ポンプが前記細長いカテーテルを通って延在する駆動ケーブルをさらに含む、本発明1027または1028の心臓ポンプシステム。
[本発明1032]
カニューレが前記患者の大動脈弁を越えて延在し、前記遠位端が前記患者の左心室内に位置し、前記近位端が前記患者の大動脈内に位置するように配置されるように、前記ポンプが構成されている、本発明1027~1031のいずれかの心臓ポンプシステム。
[本発明1033]
前記コントローラが、本発明1001~1023のいずれかの方法を実行するように構成されている、本発明1027~1032のいずれかの心臓ポンプシステム。
【0031】
上記その他の目的および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて考察すれば明らかになるであろう。図面において、同様の参照符号は全体を通して同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】患者の状態監視のための方法を示す流れ図である。
図2】患者の転帰を予測するための方法を示す流れ図である。
図3】ログ・データ・マイニングを示すブロック図である。
図4】訓練および分類に使用される決定境界を有する2つの散布図である。
図5】訓練および分類に使用される決定境界を有する2つの散布図である。
図6】決定境界分離に適していない散布図である。
図7】決定境界分離に適していない散布図である。
図8-1】特徴の重要度をランク付けする棒グラフである。
図8-2】特徴の重要度をランク付けする棒グラフである。
図8-3】特徴の重要度をランク付けする棒グラフである。
図9】特徴の評点付けを示すスパイダープロットである。
図10】特定の患者、患者Xの特徴の一例を示す図である。
図11】特定の患者、患者Yの特徴の一例を示す図である。
図12】4つのグラフのセットによる経時的な患者に関連する特性を示す図である。
図13】特定の患者、患者Zの特徴の一例を示す図である。
図14】患者の生存確率の決定を示す流れ図である。
図15】CPOと乳酸濃度とに基づく患者の転帰の予測値の決定を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
本明細書に記載されるシステム、方法、および装置の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な態様について説明する。本明細書に記載される態様および特徴は、患者の心臓の健康に関連して使用するために特に説明されているが、以下で概説されるすべての構成要素および他の特徴は、任意の適切な方法で互いに組み合わされてもよく、他の種類の医学療法および患者の健康に適応および適用されてもよいことが理解されよう。
【0034】
本明細書に記載されるシステム、装置、および方法は、特に、心血管系の苦痛があり、かつ/または心原性ショックで苦しんでいる患者の心臓の健康に関連して、予測モデリングを使用して患者の転帰を予想し、経時的に患者の状態の経過を追う。予想される患者の転帰は、本明細書全体を通して健康指数と区別なく使用され得る、心臓の健康指数に基づくものであり得る。心臓の健康指数は、心臓成分と全身かん流成分とを含み、患者の健康を示し得る。特に、これらのシステム、装置、および方法は、心臓ポンプシステムが、患者の転帰、すなわち患者の生存確率を決定するために有用なデータを提供することを可能にする。心臓の健康指数は、少なくとも、心臓ポンプシステムによって取得された心臓のはたらきの連続的および/または離散的測定値を含む様々な因子のうちの1つまたは複数に基づいて決定され得る。例えば、心臓ポンプシステムによって提供される1つのデータパラメータは、心拍パワー出量(CPO)を含み得る。CPO値は、乳酸濃度などの、1つまたは複数の臨床データパラメータと共に、患者の生存確率を決定するために使用されてもよく、生存確率は次いで、心臓ポンプシステムの動作を変更するために使用され得る。
【0035】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、心臓パラメータを使用した患者の転帰の分類モデルも提供する。医療分野には、特に心臓の健康に問題がある患者、例えば心臓ポンプシステムを装着している患者のために、予測モデリングによって患者の健康状態を監視するというまだ対処されていないニーズが存在する。既存の予測モデリングシステムは一般に、生理学的データに関連するが、患者の健康に影響を及ぼし得る患者に植え込まれた心臓ポンプシステムの影響を考慮に入れず、既存のモデリングシステムは、そのような植込み型心臓ポンプシステムによって提供されるデータも考慮しない。さらに、これらのシステムは、経時的に患者の健康状態を監視するための解決策も、どの患者が早急な対応を最も必要としているかを臨床医が判断するのを支援するための解決策も提供しない。
【0036】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、患者の転帰を予測するために、心臓ポンプシステムによって測定されたかまたは他の情報源からの生理学的データに加えて、ポンプへのモータ電流など、患者の心臓ポンプの動作に関連するデータにも依拠し得る。そのような生理学的データには、年齢、性別、体表面積(BSA)、および乳酸濃度、尿量、クレアチニンレベル、pH、O2濃度、CO2濃度などの臨床値が含まれ得る。転帰を予測するために使用される生理学的データおよびその他の特徴は、本明細書に記載されるシステムに手入力されるか、または電子カルテから自動的に引き出され得る。
【0037】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、患者の転帰を予測するときにすでに利用可能なデータを組み込むことによって臨床医が患者の心臓の健康を定量的かつ客観的に判断できる能力を高める。患者の生存確率を予測することにより、本システムは臨床医に、患者の健康問題への注意を、それがそれ以外の方法で検出される前に喚起し、それによって臨床医に患者を治療するための標準治療よりも多くの時間を提供し得る。例えば、患者の健康がゆっくりと低下しているが、臨床医によって監視される個々の特徴(例えば、心拍数、CPO、一回拍出量など)はごくわずかまたは微妙で臨床医に警告するほどではない場合があり、しかしながら、心臓の健康指数は、これらの一見したところ重要ではない変化を照合し、患者の健康の全般的な低下を明確に表し得る。単一のメトリック内で複数の特徴を表すことにより、心臓の健康指数は、臨床医が効率的に容易に解釈できる患者の健康の指標を提供する。心臓の健康指数または生存確率が閾値を下回るか、または急速に低下している場合、臨床医は、患者の健康の衰えを通知され、その患者を迅速に治療することができる可能性がある。さらに、患者の生存確率の予測は、1組の患者をランク付けするか、またはそれらの患者を、異なる生存確率の範囲の層にソートするために使用され得る。このように、臨床医は、臨床医の早急な対応を最も必要とする患者を定量的かつ客観的に特定することができる。またこれは、臨床医が、特別の順番ではなく、単に自分の患者を回診するだけの標準治療を超える改善である。
【0038】
心臓ポンプシステムの動作は、心臓の健康指数または予測される患者の転帰に基づいて変更され得る。心臓ポンプシステムの動作を変更する1つの方法は、生存確率に応じて、心臓ポンプシステムからの心臓補助のレベルを増減することである。例えば、生存確率が高い場合、患者の見通しは良好であり、心臓ポンプシステムは心臓補助のレベルを維持するかもしくは下げるように更新され得るか、または臨床医は、心臓ポンプを停止しようとさえし得る。あるいは、生存確率が低い場合、患者の見通しは不良であり、心臓ポンプシステムは心臓補助のレベルを上げる。心臓ポンプシステムがポンプの動作を自動調整し得るか、または臨床医がポンプの動作を手動調整し得る。
【0039】
いくつかの態様では、本システムは、患者の生理学的信号を患者の転帰(生存または死亡)のラベルと適合させるよう機械学習法(分類モデル)を訓練する。患者の生理学的信号は、大動脈圧、差圧、左心室圧、または患者からの生理学測定値から導出された任意の適切な信号などの心臓パラメータを含み得る。信号から特徴が抽出され、分類モデルで使用される。適切な特徴は、例えば、生の信号の平均値や標準偏差など、ある期間にわたる生理学的信号の統計を含み得る。分類モデルは、高リスクまたは低リスクの患者を分類するために使用され、分類モデルを使用して経時的に患者の状態の経過を追うことができる。分類モデルは、ロジスティック回帰法、深層学習法、決定木、ランダムフォレスト法、ナイーブベイズ法、サポート・ベクター・マシン、または任意の適切なモデルであり得る。本明細書に記載される方法およびシステムは、このモデルを使用し、信号の前のウインドウを使用して患者の状態をリアルタイムで表す患者の健康状態(例えば生存確率)を予測する。そのようなシステムおよび方法は、ユーザ(例えば、臨床医や介護者など)が患者の健康状態または健康指数を追跡し、患者について予測される転帰の変化を確認することを可能にするので、「危険を伴う」患者(健康指数が低下している患者など)はより細心の注意を受けることができる。例えば、健康状態は、自動インペラコントローラ(AIC)のような心臓ポンプシステムに接続されるか、またはその一部であるインターフェース上に表示され得る。心臓ポンプシステムの信号から生の特徴が抽出され得る。そのような特徴は、大動脈圧、差圧、および左心室圧などの生の信号の平均値または標準偏差を含み得る。特徴エンジニアリングを使用して、信号の傾向を見出し、信号の急変を見出し、これらの生の信号から収縮性などの信号を生成することができる。
【0040】
図1に、患者の状態を監視するための方法100の流れ図を示す。図1に示される方法は、上述したように心臓の健康指数を決定し得る。工程102で、システムがある期間にわたる訓練ログ(「X」)データを取得する。この期間は、(図1に示されるように)1時間、2時間、1日または任意の適切な時間長であり得る。ログデータXは、患者の状態監視の複数の期間のうちの直近の期間に対応し得る。工程104で、システムが訓練の患者の転帰(「Y」)データを取得する。患者の転帰データは患者を生存または死亡と関連付ける。患者の転帰データは、患者の転帰データがログデータの期間の終了時の患者の状態を示すように、ログデータの期間と関連付けられ得る。あるいは、患者の転帰データは、ログデータの期間とは関連付けられない場合もあり、代わりに、その期間の終了後の時点での患者の状態を示す。ログデータXおよび患者の転帰データYが多数Nの患者から取得され、Nは正確な予測のためにモデルを適切に訓練するのに十分な大きさである。ログデータは、1つまたは複数の心臓ポンプシステムによって測定および/または集約されたものである。心臓ポンプシステムは、N人の患者の心臓内に少なくとも部分的に挿入され得る。例えば、心臓ポンプシステムは、患者の大動脈を通って患者の左心室まで延在し得る。1つまたは複数の心臓ポンプシステムは、同じかまたは異なるタイプの心臓ポンプシステムであり得る。本開示と適合する心臓ポンプシステムは、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、Edelmanらの米国特許出願第15/709,080号(2018年3月22日に公開された、米国特許出願公開第2018/0078159 A1号)に開示されている。一般に、心臓ポンプシステムまたは患者から生理学的データを取得するための任意の他のシステムが本開示と併用され得る。
【0041】
工程106で、システムが分類モデルを構築し、分類モデルは機械学習モデルであり得る。モデルは、訓練ログデータXおよび患者の転帰データYで訓練される。モデルは、データベースに格納されていてもよく、学習法を使用した特徴の分類のための数学的規則を含み得る。学習法は、ロジスティック回帰、決定木、深層学習、ナイーブベイズ、または任意の他の適切な技法であり得る。
【0042】
例えば、ロジスティック回帰は、訓練データから学習された係数を有する予測モデルを表すために使用される方程式に基づくものである。モデルの表現は、各々が特別の特徴の相対重要度を示す重みに対応する一例の係数としてデータベースに格納されていてもよく、患者の生存確率などの確率を計算するために使用することができる。死亡確率は、(1+exp(-x))-1として計算されてもよく、式中、xは、任意の数の特徴および関連付けられた係数について、α*Feature_α+β*Feature_β+γ*Feature_γ+…と等しい。
【0043】
別の例では、決定木学習は、項目に関する観察からその項目の目標値に関する結論に至る予測モデルとして決定木を使用する。木の深さは、決定木学習におけるハイパーパラメータであり得る。ハイパーパラメータは、モデルで使用されるデータから推定できない値である。ハイパーパラメータは、多くの場合、モデルパラメータの推定を支援するために使用され、所与の予測モデリング問題のために調整することができる。予測モデルの性能メトリックとして精度が使用され得る。木の深さなどのハイパーパラメータの調整を介して決定木の最大精度を決定することにより、システムは、(機械学習モデル106などの)最適化された機械学習モデルを提供することができ、したがって(後述する工程110の患者の転帰などの)予測をより適切に提供することができる。受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic(ROC))および曲線下面積(Area Under Curve(AUC))も、予測アルゴリズムを比較するためのメトリックとして使用され得る。いくつかの実施態様では、工程102、工程104、工程106およびそれらの任意の組み合わせは任意選択である。例えば、本方法は、後述する工程108から開始してもよい。いくつかの実施態様では、分類モデルは新しい患者情報で周期的に更新される。いくつかの実施態様では、分類モデルは、心臓ポンプシステムとは別個のシステムによって照合、展開、または実行される。例えば、第三者システムが複数の異なる心臓ポンプからのデータを照合し、機械学習モデルを構築し得る。その機械学習モデルは、いくつかの例では、工程108~工程112を可能にするために使用され得る。
【0044】
工程108で、システムが、その期間にわたる特定の患者の新しいログデータを取得する。特定の患者は、そこから新しいログデータが受け取られたN人の患者のうちの1人であってもよく、またはN人の患者に含まれない新しい患者であってもよい。工程110で、特定の患者についての患者の転帰を予測するために、工程106で訓練されたモデルに新しいログデータが入力される。患者の転帰は、生存または死亡を表す2進値であり得る。
【0045】
工程112で、モデルが、新しいログデータと一緒に、患者の状態を経時的な健康指数として予測するために使用される。いくつかの実施態様では、健康指数は患者監視のために表示される。例えば、健康指数は、心臓ポンプシステム上で表示され得るか、またはコンピュータシステム、モバイル装置、タブレット、もしくは任意の他の適切な装置を介して確認され得る。経時的な健康指数は、スライディングウインドウ・プロセスを介して見出される。複数の時刻のうちの第1の時刻に、ある時間窓にわたる特定の患者についての健康指数が計算される。次いで、やはりその時間窓にわたる複数の時刻のうちの第2の時刻での特定の患者についての健康指数が計算される。例えば、2:00pmに、システムは、過去1時間のログデータ(1:00pm~2:00pm)を使用して、患者Wの健康指数を計算し得る。2:15pmに、システムは、過去1時間のログデータ(1:15pm~2:15pm)を使用して、患者Wの健康指数を再度計算し得る。よって、窓(1時間の期間)は、更新された時間で変化する患者の健康指数を提供するために15分単位で時間を「スライド」される。計算間の時間(上記の例では15分)は、1時間、30分間、1分間、20秒間など任意の適切な時間増分であり得る。健康指数は、特定の患者の心臓の健康または生存確率を示す、心臓の健康指標であり得る。いくつかの実施態様では、健康指数が経時的にグラフ化され、臨床医に表示されるので、臨床医は経時的な健康指数の傾向を確認し得る。
【0046】
いくつかの実施態様では、健康指数は、心臓成分と全身かん流成分とを含む。健康指数は、全般的な患者の回復および生存確率(すなわち、患者の転帰)を示し得る。心臓成分は、負荷軽減、収縮性、または患者の心臓のはたらきの任意の適切な指標を含み得る。システムかん流成分は、心拍出量(CO)、大動脈圧平均値(AoPm)、または患者の循環器系のはたらきの任意の適切な指標を含み得る。
【0047】
図1に関連して説明された方法と同様の方法によって患者の転帰を予測するための方法200の流れ図を、図2に示す。工程202、工程204、工程206、および工程208は、それぞれ、図1の工程102、工程104、工程106、および工程108と同一である。工程202、工程204、および工程206は任意選択であり、工程202、工程204、および工程206の任意の組み合わせが本明細書に記載される方法から除外され得る。例えば、モデルは、すでに策定されていてもよく、または外部システムからインポートされてもよい。工程210で、モデルが、新しいログデータと一緒に、患者の状態を経時的な健康指数として予測するために使用される。いくつかの実施態様では、健康指数は患者監視のために表示される。健康指数は、特定の患者の心臓の健康または生存確率を示す、心臓の健康指標であり得る。工程212で、健康指数が患者の転帰を予測するために使用される。患者の転帰は、生存または死亡を表す2進値であり得る。例えば、健康指数は、患者の生存確率を、xが0~1(境界値を含む)である値xとして表し得る。健康指数は、2進出力を決定するために使用され得る。例えば、健康指数が0.5(または任意の他の適切な閾値)より大きい場合、健康指数は、2進値1に対応する、生存の患者の転帰を示し得る。患者の転帰は、臨床医に表示され得る。図1では、システムは、工程110で患者の転帰を予測し、次いで、工程112で、スライディングウインドウを使用して、経時的な患者の状態監視を提供する。これに対して、図2では、システムは、工程210で、機械学習モデルおよびログデータを使用して、経時的な患者の健康状態の監視を提供する。システムは次いで、工程212で患者の状態監視中に計算された最後の値(健康指数)を使用して、患者の転帰の予測を提供する。
【0048】
図1および図2に関連して説明されたログデータXまたは患者の転帰データYとして使用されるデータは、データベースシステムに格納され得る。データベースシステムは、複数のデータベースまたは単一のデータベースを含み得る。例えば、データベースは、臨床データデータベース、デバイスレジストリ、およびAICログを含み得る。データベースシステムは、数千を上回る症例のデータを含み得る。各症例は、別個の患者に対応し得るか、または心臓ポンプシステムの植込みに対応し得る。データは、異なる症例時間を表していてもよく、データベースシステム内の各データベースに特有の期間からものであってもよい。データベースシステム(例えば、AICログ)に格納されたデータによって記述される特徴には、ポンプタイプ、圧力信号、Pレベル、心臓ポンプシステムの流量、インペラ流量、モータ電流、警報、転帰、または任意の他の適切な特徴が含まれ得る。Pレベルは、心臓ポンプシステムの性能レベルであり、システムの流量制御に関連する。Pレベルが増加すると、心臓ポンプシステムと関連付けられた毎分の流量および回転数が増加する。データベースシステム格納されたデータおよびデータベースシステムに含まれるデータ格納は、本明細書に記載されるモデルを訓練するために使用され得る。
【0049】
本明細書に記載される予測モデリングシステムおよび予測モデリング方法は、データサイエンスの手法に従って、機械学習を使用して多数の特徴に関する予測を行う。データ・サイエンス・プロジェクトは、システムへのデータ入力から開始する。データは、前処理され、特徴エンジニアリングが行われる。前処理チャレンジは、図1のログデータ102および患者の転帰データ104を機械学習モデル106の訓練での使用の前に処理するときに生じ得る。問題は、多すぎる欠損値および信頼できないデータを含み得る。信頼できないデータは、誤ったデータまたは不完全なデータを含み得る。信頼できないデータの一例は、データベースシステム内で、手技の転帰が「死亡」と記載されているが、集中治療室(intensive care unit(ICU))補助の終了時の実際の転帰が「生存」と記載されている場合である。誤ったデータ、不完全なデータ、および高比率の欠損データは、各々、予測モデルの性能に影響を及ぼし得る。「不良」データは、「信頼できない」データ、「欠損値が多すぎる」データとして、またはそのデータが信頼できず、患者の転帰のより良い予測を提供し、したがって患者の健康監視を改善するために訓練データセットから除去されるかもしくは補充される必要があることを示す任意の他のタイプのラベルでラベル付けされ得る。前処理の他の例には、データの再フォーマット、使用できない特徴の除去、外れ値の処理、欠損値の補充、カテゴリ特徴の符号化、スケーリングおよびデータ問題を解決するための任意の適切な措置が含まれ得る。図1のログデータ102や患者の転帰データ104などの生のデータが前処理されると、特徴データが抽出され得る。特徴データの例が表1に示されている。
【0050】
【表1】
【0051】
いくつかの実施態様では、特徴データは、訓練データと交差検証データとに分割され、機械学習法を構築するために使用される。機械学習法は、新しいデータと関連付けられる患者の健康状態を予測するなど、新しいデータに関する予測を行うために、新しい未分類のデータに適用され得る。この予測は、特徴データと共に、視覚化のためにさらに分析され得る。
【0052】
図1および図2に関連して説明されたシステムおよび方法ならびに本明細書に記載される他のプロセスは、上述したデータベースに保持されたデータの一部または全部を使用し得る。例えば、機械学習法は、AICログに格納されたデータのみを使用して訓練され得る。
【0053】
図3に、データベースシステムに関連して上述した、例えばAICログに保持されたAICログデータのためのデータ流れ図300を示す。長期(Long term(LT))ログデータ302は、例えば、配置信号を有する。LTは、毎分1サンプルまたは任意の他の適切なサンプリングレートに対応し得る。リアルタイム(Real time(RT))ログデータ304は、LTデータに対応するサンプリングレートより高いサンプリングレートでサンプリングされた情報を使用して、心拍数などの特徴を生成する。RTは、25Hz(毎秒25サンプル)または任意の他の適切なサンプリングレートに対応し得る。LTログデータとRTログデータの組み合わせが、生の特徴および生成された特徴として処理され、次いでログ・データ・マイニング306にXとして入力される。IQデータベース310は患者の転帰を含み、患者の転帰もログ・データ・マイニング306にYとして入力される。ログ・データ・マイニング306は、図1の機械学習モデル106などの機械学習モデルを訓練する際に使用するための関連したかつ/または重要な特徴を抽出するために使用され、したがって、より効率のよい患者の転帰予測を提供するために使用され得る。
【0054】
心臓パラメータもしくは心臓ポンプパラメータに関連した第1のデータおよび/または生理学的パラメータに関連した第2のデータ、例えば上述した第1のデータおよび第2のデータが、患者の転帰を予測するために使用され得る。いくつかの実施態様では、複数の患者の第1のデータおよび/または第2のデータが、図1図3に関連して上述したような予測モデリングシステムを構築するために使用される。第1のデータおよび/または第2のデータは、モデリング訓練セットに含まれ得るか、または図3に関連して上述したように特徴抽出のためのものとされ得る。本明細書に記載される方法およびシステムは、1つまたは複数の患者パラメータの関数として患者の転帰に対応する2つのデータグループ間の顕著な分離がないか検査し得る。例えば、後述する図4図7に、パラメータが患者の転帰に沿った分離を示すかどうかを判断するために互いに対してグラフ化された2つの異なる患者パラメータ示す。本明細書にはごく少数の例が記載されているが、そのような検査は、第1のデータおよび/または第2のデータの任意の数の患者パラメータについて実施され得る。図4図5に示されるように、本明細書に示されるいくつかのデータは、顕著な分離を示す。(例えば、境界412、境界422、境界532で表された)顕著な分離を示す対のパラメータは、他のパラメータよりも患者の転帰に関してより高い予測性を有し得る。(例えば、後述する図6図7に示される)あまりまたは全く顕著ではない分離を示す他のパラメータは、他のパラメータよりも患者の転帰に関してより低い予測性を有し得る。
【0055】
図4および図5に、決定境界分離に適する特徴についての、訓練および分類に使用される例示的な特徴プロットを示す。グラフ410、グラフ420、およびグラフ530において、白抜きドットは生存例を表しており、塗りつぶしドットは死亡例を表している。各グラフにおいて、機械学習結果は、ロジスティック回帰を使用して、塗りつぶしドットと白抜きドットとを最善のトレードオフで分離するために使用される線形の決定境界によって表されている。ドットは、全体として、図1の工程104に関連して上述した、データYなどの患者の転帰訓練データを表している。グラフ410、グラフ420、およびグラフ530内のドットの配置は、図1の工程102に関連して上述した、データXなどの関連付けられたログデータ訓練によって決定される。
【0056】
グラフ410は、平均配置レベルとも呼ばれ得る、平均配置信号(placement signal(PS))の計算された境界412を表している。配置信号は、インペラCP/2.5事例での大動脈圧またはインペラ5.0/LD事例での差圧であり得る。グラフ410のx軸は、平均配置信号(PS_mean)の平均値を表しており、y軸は、PS_meanの標準偏差を表している。例えば、白抜きドットは、(患者の転帰訓練データ104からの)生存した患者を表し得る。この患者は(訓練ログデータ102からの)平均配置レベルデータのセットとも関連付けられている。システムは、当該患者の平均の平均配置レベルおよび平均配置レベルの標準偏差を算出し、関連付けられる白抜きドットをしかるべくグラフ化し得る。訓練データに含まれる患者についてドットがグラフ化されると、それらのドットの平均の平均配置レベルおよび配置レベルの標準偏差に従って、機械学習モデル(図1の機械学習モデル106など)は線形の決定境界412を計算する。線形の決定境界は、上述したように、訓練データに紐づけられた一連の係数によって表され得る。システムが新しい患者に関連する新しいデータ(例えば、図1の新しいログデータ108)を受け取ると、システムは、新しい患者の平均の平均配置および平均配置の標準偏差を決定し得る。これらの値が患者のドットをグラフ410のどこに「配置する」かに応じて、決定境界412に対するドットの位置に基づいて予測される患者の転帰が決定され得る。例えば、患者が100の平均の平均配置レベルおよび30の平均配置レベルの標準偏差を有する場合、グラフ410によれば、予測される患者の転帰は生存になる。これは、患者のドットが境界410の右側に該当することになり、したがって、生存した患者(白抜きドット)とより強く関連付けられるからである。そのような計算(新しい患者が決定境界に関連してどこに該当するか)が、図1に関連して上述したような患者の転帰の予測を構成し得る。よって、決定境界は、患者の転帰を予測するための閾値を表し得る。決定境界は、異なる機械学習インスタンスでは異なって計算され得る。例えば、決定境界412が右もしく左にずれる場合もあり、異なる傾きを有する場合もあり、または非線形の場合もあり得る。
【0057】
同様に、グラフ420は、平均差圧の計算された境界422を表している。グラフ420のx軸は、平均差圧の平均値を表しており、y軸は、平均差圧の標準偏差を表している。
【0058】
グラフ530は、最大左心室圧(left ventricular pressure(LVP))の計算された境界532を表している。グラフ530のx軸は、最大LVPの平均値を表しており、y軸は、最大LVPの標準偏差を表している。
【0059】
図6および図7に、決定境界分離に適していない2つの例示的な特徴プロットを示す。グラフ610、グラフ720において、白抜きドットは生存例を表しており、塗りつぶしドットは死亡例を表している。境界分離なしでは、システムが、新しい患者データを類別するための明確な境界線(または係数のセットを有する方程式)を提供されないので、グラフ610、グラフ720によって示される情報分布は、患者の転帰の予測に際して、図4および図5に示されるような情報分布と比べてあまり役に立たない可能性がある。グラフ610のx軸は、経時的なPS_meanの線形回帰の傾きを表しており、y軸は、PS_meanの線形回帰の決定係数(r-squaredまたはr2としても知られる)を表している。グラフ610で表されたデータは、塗りつぶしドットと白抜きドットとが同じパターンを有するので分離不可能である。グラフ720のx軸はSlp(PS_mean)を表しており、y軸は、PS_meanの線形回帰の決定係数を表している。グラフ720で表されたデータは、塗りつぶしドットと白抜きドットとが異なるパターンを有するが、分離するには「弱い」可能性があるので、準分離可能である。
【0060】
図8に、本明細書に記載される機械学習法の例示的な結果として、特徴の重要度をランク付けする例示的な棒グラフを示す。特徴の重要度は、例えば、患者の転帰を予測する図1の機械学習モデル106として使用されるロジスティック回帰モデルの係数に対応し得る。モデル中のより高い係数は、全般的な患者の健康に対する特徴のより高い重要度に相関し得る。特徴の重要度が分かっていることは、(図1の患者の状態監視112によって示され得るように)患者の心臓の健康の低下に応答して治療方法を決定するときに臨床医にとって特に役に立つ可能性がある。一般に、特徴には、大動脈圧、差圧、モータ電流、左心室圧、拡張末期圧、大動脈脈圧、自己心拍出量、心拍出量、CPO、配置、流量、Pレベル、収縮性、および弛緩が含まれ得る。これらの特徴は、平均配置、配置の標準偏差、平均配置範囲、配置範囲の標準偏差、平均差圧、差圧の標準偏差、平均差圧範囲、差圧範囲の標準偏差、左心室圧最大値および左心室圧最小値などのさらなる特徴を決定するために処理され得る。これらの特徴の重要度は、異なる計算を使用して特徴をランク付けすることによって決定され得る。
【0061】
グラフ810に、F-1を使用した特徴ランク付けを示す。F-1は、2*精度*再現率/(精度+再現率)として定義される統計用語である。精度は、TP/(TP+FP)と等しく、再現率は、TP/(TP+FN)と等しく、式中TPは真陽性を表し、FPは偽陽性を表し、FNは偽陰性を表す。グラフ820に、精度を使用した特徴ランク付けを示す。グラフ830に、再現率を使用した特徴ランク付けを示す。3つすべてのグラフ810、820、830において、最も重要な特徴(最高の重要度を有する特徴)は、平均のLVP最大レベルであり、この特徴が、図8に示される他の特徴と比較して、人の健康状態を理解する際に有益であることを示唆している。グラフ810およびグラフ830では、平均の平均配置レベルが2番目に重要な特徴としてランク付けされている。しかしながら、グラフ820では、平均の平均配置レベルは第3位にランク付けされている。グラフ810、グラフ820、グラフ830間の特徴ランク付けの違いは、特徴の重要度を計算するために使用される異なるメトリック(精度、再現率、またはF-1スコアなど)が、どんな特徴が最も重要とみなされ、モデルにおいて最大の重みを与えられるかの結果に影響を及ぼし得ることを示している。
【0062】
特徴の重要度の視覚表現を表示することは、臨床医にとって役に立ち得る。グラフ表現は、数値表示と比較して、臨床医が特徴の重要度をより迅速または容易に解釈することを可能にし得る。具体的には、特徴の重要度は、図8に示されるように棒グラフによって、または図9に示されるようにスパイダープロットによって表され得る。いくつかの実施態様では、視覚表現は、単一時点における患者の健康状態および/もしくは特徴の重要度、または複数の時点にわたる平均値を示す。いくつかの実施態様では、視覚表現は、視覚表現が視聴者にビデオストリームとして見えるように、周期的に、一定間隔で、またはリアルタイムで更新される。
【0063】
図9に、患者についての相対的な特徴の評点を示す例示的なスパイダープロット900を示す。患者の心機能指数902は、この症例では0.58であり、上述したように、心臓の健康指標の一例である。患者と関連付けられたCPO904は、0.75である。CPOは、平均動脈圧(MAP)とCOの関数である。CPOは、患者の転帰の予測因子として使用されてもよく、心臓の健康指標の成分であり得る。図9には、CPOが0.75であり、心機能指数が0.58であった単一点における患者の特徴および評点が示されている。これらの値を経時的に更新することができる。一例では、CPOは、患者の生存の尤度を計算する際に使用される時間で変化する特徴であり得る。
【0064】
スパイダープロット900は、患者の健康に対する5つの特徴の相対的な影響を視覚表示している。各特徴には、1から5の目盛りで患者のその特徴の状態を表す評点が与えられている。いくつかの実施態様では、評点は、0から1、1から10、1から50、1から100、1から1000などの別の目盛り、または任意の他の適切な目盛り上にある。左心室(LV)収縮性の1の評点は、200mmHg/秒を超える(心室収縮性評価であり得る)dP/dt最大値を示し、2の評点は、400mmHg/秒を超える値を示し、3の評点は、600mmHg/秒を超える値示し、4の評点は、600mmHg/秒を超える値を示し、5の評点は、1000mmHg/秒を超える値を示す。LVEDPの1の評点は、20mmHgの逸脱を示し、2の評点は、15mmHgの逸脱を示し、3の評点は、10mmHgの逸脱を示し、4の評点は、5mmHgの逸脱を示し、5の評点は、10~15mmHgの目標範囲内のLVEDPを示し、逸脱は、この目標範囲からの逸脱として測定される。LV弛緩の1の評点は、1000mmHg/秒未満のdP/dt最大値を示し、2の評点は、800mmHg/秒未満を示し、3の評点は、600mmHg/秒未満を示し、4の評点は、400mmHg/秒未満を示し、5の評点は、200mmHg/秒未満を示す。AoPmの1の評点は、60mmHgを示し、2の評点は、70mmHgを示し、3の評点は、80mmHgを示し、4の評点は、90mmHgを示し、5の評点は、100mmHgを示す。COの1の評点は、2L/分のCOを示し、2の評点は、3L/分のCOを示し、3の評点は、4L/分のCOを示し、4の評点は、5L/分のCOを示し、5の評点は、6L/分のCOを示し、COの測定値は、心拍と一回拍出量との関数である。例えば、LV弛緩906が5であり、LVEDP908が5であり、LV収縮性910が3であり、CO912が3であり、AoPm914が2である。この例では、AoPmがその他の特徴と比べて低く、したがって、この患者のAoPmはこの患者のその他の特徴と比べて悪い。このように、特徴データを、全特徴にわたって均一の評点目盛りに表示することにより、臨床医は、患者データを迅速に確認し、患者の全般的な健康を改善するためにどの特徴に対処する必要があり得るかを把握することができる。この例では、臨床医は、スパイダープロット904を見て、患者のAoPmにまず対処することを決定し得る。臨床的手段によって患者のAoPmに対処した後、臨床医は次いで、患者の状態監視(図1の工程112)によってスパイダープロット904上で、その時に更新された患者の心臓の健康状態を観察し、患者の経過を追跡し得る。
【0065】
スパイダープロット904に表示された特徴は、それらの相対的な特徴の重要度により重み付けされ得る。例えば、COは、0.4の重みを有し、LV収縮性は、0.2の重みを有し、LVEDPは、0.3の重みを有し、AoPmは、0.2の評点を有し、LV弛緩は、0.1の重みを有し得る。この例では、AoPmは、依然として最低の重みなしの評点を有し得るが、COは、その相対重要度および低評点のために、最低の重み付き評点を有し得る。別の例では、各特徴は等しく重み付けされ得る。
【0066】
図10に、特定の患者、患者Xの特徴の一例を示す。グラフ1010は、決定境界1012を示している。上述したように、白抜きドットは患者の生存を表しており、塗りつぶしドットは患者の死亡を表している。ドット1014は、生存した患者Xを表している。したがって、ドット1014は、上述したように、決定境界1012の右側に位置する。決定境界1012は、患者が生存する見込みがより高いかまたは死亡する見込みがより高いかの間の線を表し得る。例えば、境界1012の右側の患者は生存する見込みがより高く、境界1012の左側の患者は死亡する見込みがより高い。グラフ1010のx軸は、平均配置信号(PS)の平均値を表しており、y軸は、平均PSの標準偏差を表している。図10には、臨床医が、配置信号、モータ電流、Pレベル、および生存の尤度を調べることによって患者の心臓の健康を解釈する場合の臨床医のためのユーザインターフェースの一例が示されている。具体的には、グラフ1010は、臨床医が、配置信号の標準偏差と平均値との間の境界に関連して患者の生存の尤度のグラフ表現を確認することを可能にする。例えば、グラフ1010は、臨床医が、境界1012と患者を表すデータ1014との間の距離を視覚化することを可能にする。境界または分離線からの距離は、臨床医に、患者が生存する見込みがどのくらいかを示し得る。例えば、決定境界1012の右側から遠い患者(例えば、平均配置信号が高い患者)は、決定境界により近い患者(例えば、平均配置信号より低い患者)よりも生存する見込みがより高い。
【0067】
グラフ1020は、配置信号1022を示している。グラフ1020のy軸は、mmHg単位の圧力を表している。グラフ1030は、モータ電流信号1032を示している。グラフ1030のy軸は、mA単位のモータ電流を表している。グラフ1040は、Pレベル1142を示している。グラフ1040のy軸は、Pレベルを表している。グラフ1020、グラフ1030、グラフ1040のx軸は、時間を表している。グラフ1020、グラフ1030、グラフ1040は、同じ期間について、同じ時間目盛りで、ドット1014で表された同じ患者、患者Xについて示されている。配置信号1022、モータ電流信号1032、およびPレベル1042は、上述したように、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを示し得る。配置信号1022、モータ電流信号1032、およびPレベル1042は、患者の心臓の健康指数を決定するために使用される複数の特徴のうちのいくつかの特徴であり得る。いくつかの局面では、心臓の健康指数は、患者の転帰を予測するために使用され得る、患者の生存確率であり得る。この症例では、(1014について表される)患者の転帰は生存である。グラフ1040に示されるように、Pレベルは経時的に徐々に低下する。一例では、臨床医は、患者Xの生存の尤度を確認して、Pレベルをいつどれだけ変更するかを判断し得る。図10に示される例では、Pレベルは徐々に下げられ、それによってポンプの速度が低下する。
【0068】
図11に、特定の患者、患者Yの別の例を示す。グラフ1110は、決定境界1112を示している。上述したように、白抜きドットは患者の生存を表しており、塗りつぶしドットは患者の死亡を表している。ドット1114は、死亡した患者Yを表している。ドット1114は、白抜きの「生存」ドットの過半数から境界線1112を横切ったところに位置する。グラフ1110のx軸は、平均PSの平均値を表しており、y軸は、平均PSの標準偏差を表している。
【0069】
グラフ1120は、配置信号1122を示している。グラフ1120のy軸は、mmHg単位の圧力を表している。グラフ1130は、モータ電流信号1132を示している。グラフ1130のy軸は、mA単位のモータ電流を表している。グラフ1140は、Pレベル1142を示している。グラフ1140のy軸は、Pレベルを表している。グラフ1120、グラフ1130、グラフ1140のx軸は、時間を表している。グラフ1120、グラフ1130、グラフ1140は、同じ期間について、同じ時間目盛りで、ドット1122で表された同じ患者、患者Yについて示されている。配置信号1122、モータ電流信号1132、およびPレベル1142は、上述したように、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを示し得る。配置信号1122、モータ電流信号1132、およびPレベル1142は、患者の心臓の健康指数を決定するために使用される複数の特徴のうちのいくつかの特徴であり得る。いくつかの局面では、心臓の健康指数は、患者の転帰を予測するために使用され得る、患者の生存確率であり得る。この症例では、(ドット1114で表される)患者の転帰は死亡である。グラフ1140は、経時的な目標Pレベル、最小Pレベル、および最大Pレベルの変動を示している。いくつかの実施態様では、臨床医は、患者を治療するために、目標Pレベルを変動させてポンプの動作を増減させる。例えば、臨床医は、患者の生存確率が低下した場合に目標Pレベルを増減させ得る。一例として、グラフ1140は、患者を治療するために心臓ポンプシステムが設定された目標Pレベルを示している。
【0070】
図10図11との違いは、配置信号や、モータ電流や、Pレベルなどの患者を表す測定された特性が、患者の死亡の生存にどのように相関し得るかを示している。例えば、(図10に表された)患者Xは生存し、(図11に表された)患者Yは死亡した。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、この転帰を、訓練データ(図1のログデータ102および患者の転帰104)によって計算された境界線1412、境界線1112(図1の機械学習モデル106)と組み合わされたPS_meanの標準偏差および平均PS_mean(図1の新しいログデータ108)に基づいて予測した。
【0071】
図12に、4つのグラフのセット1200による経時的な患者に関連する特性を示す。3つのグラフ1210、1220、1230は、同じ時間枠にわたる患者に関連する測定された特性を示している。グラフ1210は、ポンプ圧最大値1212、ポンプ圧平均値1214、ポンプ圧最小値1216、差圧最大値1219、および差圧最小値1218を示している。グラフ1210のy軸は、水銀柱ミリメートル(mmHg)を表しており、x軸は、時間を表している。グラフ1220は、患者内に配置された心臓ポンプシステムのモータ電流最大値1222、平均値1224、および最小値1226を示している。グラフ1220のy軸は、ミリアンペア(mA)を表しており、x軸は、グラフ1210のx軸と同じ目盛りで同じ期間にわたる時間を表している。グラフ1230は、モータ速度(MS)の平均値1232を示している。グラフ1230のy軸は、毎分の回転数(rpm)を表しており、x軸は、グラフ1210およびグラフ1220のx軸と同じ目盛りで同じ期間にわたる時間を表している。グラフ1240は、生存確率1242として表された、患者の心臓の健康の計算された尺度を示している。グラフ1230のy軸は、(健康状態として定義される)患者の生存確率のパーセンテージを表しており、x軸は、グラフ1210、グラフ1220、グラフ1230に関連して上述したのと同じ期間を表している。
【0072】
ポンプ圧、差圧、モータ電流、およびモータ速度は、上述したように、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを示し得る。ポンプ圧最大値1212、ポンプ圧平均値1214、ポンプ圧最小値1216、差圧最大値1219、差圧最小値1218、モータ電流最大値1222、モータ電流平均値1224、モータ電流最小値1226、およびモータ速度平均値1232は、患者の心臓の健康指数を決定するために使用される複数の特徴のうちのいくつかの特徴であり得る。いくつかの局面では、心臓の健康指数は、患者の転帰を予測するために使用され得る、患者の生存確率1242であり得る。患者の転帰予測は、経時的に変化し得る。
【0073】
生存確率1242は、上述した方法およびシステムによって計算され得る。グラフ1210、1220、1230に示される値は、心臓ポンプシステムから取得され得る。最近の1時間だけを使用して生存確率(H指数)を予測する代わりに、生存確率は、患者の症例の開始から終了までスライディングウインドウ上で計算され得る。そのようなプロセスにより、システムが患者の健康状態を監視することが可能になる。生存確率1242は、少なくとも一部は、この例では、ポンプ圧、モータ電流、およびモータ速度によって決定される。例えば、ポンプ圧、モータ電流、およびモータ速度はすべて、タイムマーカ1000の直後に値が下落する。同時に対応する生存確率1242の下落が生じている。そのような下落は、患者の心臓の健康の低下を示し得る。心臓の健康の低下を予測することにより、本システムは臨床医に、患者の健康問題への注意を、それが臨床医によって通常判断され得る前に喚起し、それによって臨床医に患者を治療するためのより多くの時間を提供し得る。
【0074】
予測モデリングシステムの結果が表1に示されている。モデルを13のショック症例で試験した。ショック症例データは、この例では、Henry Ford Hospitalにより、「第三者」試験データセットとして提供されたものである。表2には13症例のデータが示されている。
【0075】
【表2】
【0076】
別の無関係の試験データセット(上述したデータベースシステムに保持されているデータのサブセット)を試験した。表3に示されるように、この試験結果は81.4%の正確度をもたらし、N(試験に使用された患者のデータの数)は80であった。
【0077】
【表3】
【0078】
図13に、1組のグラフ2000による例示的な症例の経時的な特徴を示す。3つのグラフ1310、1320、1330は、経時的な患者に関連する特性を示している。配置信号グラフ1310は、水銀柱ミリメートル(mmHg)単位の圧力を示すy軸と、時間を示すx軸とを有する。流量グラフ1320は、毎分リットル(L/分)単位の流量を示すy軸と、時間を示すx軸とを有する。健康指数グラフ1330は、心臓の健康指数を示すy軸と、時間を示すx軸とを有する。グラフ1310、グラフ1320、グラフ1330の時間尺度は同じであり、グラフ1310、グラフ1320、グラフ1330は、3つのグラフのx軸が整列するように配置されている。
【0079】
配置信号および流量は、上述したように、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを示し得る。(グラフ1310に示される)配置信号、(グラフ1320に示される)平均流量および目標流量は、患者の心臓の健康指数を決定するために使用される複数の特徴のうちのいくつかの特徴であり得る。グラフ1330に示される指数は、患者の転帰を予測するために使用され得る、患者の生存確率のパーセンテージであり得る。患者の転帰予測は、経時的に変化し得る。
【0080】
図13に示される例では、患者Zが自宅で無反応の状態で発見された。救急サービスが到着するまで患者Zの配偶者が心肺蘇生を施した。34時間の補助にわたって患者Zに心臓ポンプシステムを配置した。グラフ1310、グラフ1320、グラフ1330のx軸は、ほぼ心臓ポンプシステムの配置の時点で開始する。心臓システムの平均流量1322はP-7でおおよそ3L/分であり、良好であった。マーカ1340は、第1の時点、具体的には、2016年3月12日午前5時30分を表している。マーカ2040で、患者Zは血行力学的に安定していた。マーカ1350は、第2の時点、具体的には、2016年3月12日午後5時45分を表している。マーカ1350で、患者Zは蒼白になった。患者Zの酸素飽和度(O2 sats)が低下し、患者Zが心室頻拍または心室細動(VT/VF)になった。医師は患者Zを蘇生させることができなかった。
【0081】
マーカ1340とマーカ1350との間の時間は、心臓システムの平均流量1322および配置信号1312の著しい乱れを示している。グラフ1330から分かるように、配置信号1312および平均流量1322の著しい乱れは、マーカ1340とマーカ1350との間の患者Zの心臓の健康指数1332の劇的な変化をもたらすことになる。臨床医は、心臓の健康指数を確認し、患者が危険な状態であると判断することができた。マーカ1340の前、グラフ1310およびグラフ1320は、(マーカ1340とマーカ1350との間に示される高変動と比較して)比較的一定している。しかしながら、グラフ1330は、マーカ1340の前に患者の健康の漸進的だが着実な低下を示している。臨床医は、心臓の健康指数の低下を確認し、患者の健康が悪化していると判断することができた。心臓の健康指数の低下を確認することにより、臨床医は、マーカ1340で表された時刻の前に(すなわち、患者の流量および配置信号が著しい乱れを示す前に)介入することができた。場合によっては、早期の介入は、患者の健康に非常に有益であり、患者の生存の決定要因である。いくつかの例では、心臓の健康指数が(例えばグラフ1330でマーカ1340の前に示されているように)低下している場合、臨床医が患者の治療に介入し得るように、臨床医は患者の健康の低下への注意を喚起され得る。心臓の健康指数グラフ1330は、患者が死亡した後の事後症例分析でも使用され得る。
【0082】
図14に、患者の生存確率を決定する流れ図を示す。工程1400で、患者の脈管構造に血管内心臓ポンプシステムが挿入される。心臓ポンプシステムは、カニューレ、ポンプ入口、ポンプ出口、およびロータを含む。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、左心室補助装置(LVAD)である。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、右心室補助装置(RVAD)である。いくつかの実施態様では、カニューレ、ポンプ入口、ポンプ出口、およびロータは任意選択である。工程1402で、心臓ポンプシステムは、カニューレが患者の大動脈弁を越えて延在し、ポンプ入口が患者の左心室内に位置し、ポンプ出口が患者の大動脈内に位置するように、患者内に位置決めされる。いくつかの実施態様では、工程1402は任意選択であり、心臓ポンプシステムは、単に部分的に患者内に位置決めされる。例えば、心臓ポンプシステムは、カテーテル法により、大腿動脈を通り、上行大動脈に入り、大動脈弁を越えて、左心室に、または大腿静脈を通って右心房に挿入され得る。
【0083】
工程1403で、第1のデータが取得される。第1のデータは、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連する。第1のデータは、心臓ポンプシステムを介して取得された連続もしくはほぼ連続した測定値を表し得るか、または心臓ポンプシステムへの入力などの既知の数量を表し得る。第1のデータは、心臓ポンプシステムの動作または心臓ポンプシステムによって測定された因子に関連し、すなわち、心臓ポンプシステムがなければ第1のデータは分からないことになる。第1のデータは、心拍数、ポンプ圧、差圧、モータ電流、Pレベル、および/またはモータ速度を示すデータを含み得る。これらの測定値から、心機能に関する重要な情報を、場合によっては、吸引事象の発生を含む心臓補助装置の性能に関する情報を判断することができる。工程1408に関連して後述するように、心機能に関するこの情報を使用して患者の生存確率を予測することができる。
【0084】
いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステム上の1つまたは複数のセンサが第1のデータを取得する。いくつかの実施態様では、第1のデータは外部システムを介して取得される。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステム上の1つまたは複数のセンサが第1のデータを取得する。心臓ポンプシステム上の1つまたは複数のセンサは、心臓ポンプシステムの動作中に、患者の心臓内に、患者の心臓の外部に、またはその両方の組み合わせに位置決めされ得る。例えば、心臓ポンプシステム上のセンサは、患者の脈管構造内の圧力を測定し得る。測定された圧力は、上述した、心拍パワー出量などの追加のパラメータの計算において使用され得る。
【0085】
工程1404で、第1のデータから複数の特徴が抽出される。特徴を抽出することは、第1のデータを心臓ポンプシステムで、または外部装置で処理することを含み得る。複数の特徴には、左心室拡張末期圧(LVEDP)、一回拍出量、駆出率、心腔拡張、心腔肥大、心腔圧、一回仕事量、前負荷状態、後負荷状態、心拍数、心臓の回復、大動脈圧、差圧、モータ電流、モータ速度、ポンプ圧、左心室圧、拡張末期圧、大動脈脈圧、自己心拍出量、心拍出量、CPO、配置、平均流量、目標流量、Pレベル、収縮性、弛緩、配置信号、平均配置、配置の標準偏差、平均配置範囲、配置範囲の標準偏差、平均差圧、差圧の標準偏差、平均差圧範囲、差圧範囲の標準偏差、左心室圧最大値、左心室圧最小値、ポンプ圧最大値、ポンプ圧平均値、ポンプ圧最小値、差圧最大値、差圧最小値、モータ電流最大値、モータ電流最小値、モータ電流平均値、モータ速度平均値、任意の他の適切な特徴、およびそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0086】
いくつかの実施態様では、第1のデータは、1秒間、1分間、5分間、10分間、1時間、数時間、1日、数日、1週間、1ヵ月、または任意の適切な時間枠など、心臓ポンプシステムが動作している第1の期間中に取得される。上述した特徴の代表値、平均値、および最小値は、第1の期間中の特徴の代表値、平均値、または最小値であり得る。
【0087】
工程1408で、患者の生存確率が決定される。生存確率は、患者の生存または死亡の尤度を示す値である。いくつかの実施態様では、生存確率は、例えば、0~1の数値である。いくつかの実施態様では、確率が閾値(例えば0.5)以上である場合、生存確率は生存を示す(例えば、患者は、その患者の心臓の健康を前提とした50%超の生きる可能性を有する)。生存確率は、上述した、工程1404で抽出された複数の特徴に基づくものであり、予測モデルを使用して決定される。いくつかの実施態様では、予測モデルは機械学習モデルである。例えば、予測モデルは、ロジスティック回帰法、深層学習法、決定木、ランダムフォレスト法、ナイーブベイズ法、およびサポート・ベクター・マシン法、または任意の他の適切なモデルのうちの1つであり得る。
【0088】
工程1410で、患者を治療するために心臓ポンプシステムが動作する。いくつかの実施態様では、工程1410は任意選択である。いくつかの実施態様では、心臓ポンプシステムは、患者に一定またはほぼ一定のレベルの補助を提供するように動作し得る。いくつかの実施態様では、ポンプ動作は、患者の転帰の予測値に基づいて変更される。特に、ポンプ動作を変更することは、心臓ポンプシステムの動作パラメータを、第1のデータが取得された期間中に提供されたレベルとは異なるレベルの補助を提供するように調整することを含み得る。一例では、心臓ポンプシステムの動作パラメータを調整することは、心拍パワー出量、乳酸濃度、またはその両方の変化に基づいて(例えば、増減することによって)ポンプ速度を調整することを含む。1つの特徴値が第1の閾値を下回るとき、および第2の特徴値が第2の閾値を上回るとき、またはその両方の場合には、図15に関連して後述するように、ポンプ速度を上げることが望ましい場合もある。
【0089】
図15に、CPOと乳酸濃度とに基づいて患者の転帰の予測値を決定する流れ図を示す。工程1500および工程1502は上述した工程1400および工程1402と同じである。工程1504で、心臓ポンプシステムが患者に第1のレベルの心臓補助を提供するために第1の期間中に動作する。あるレベルの心臓補助の提供の例には、ポンプをPレベルもしくはモータ速度で動作させること、ポンプモータに電流を提供すること、ポンプをオンにすること、ポンプもしくは患者の心臓を通る流れを誘導すること、または任意の他の適切な補助方法が含まれる。心臓ポンプシステムを動作させるレベルは、例えば、ユーザインターフェースを介して入力されたユーザ命令を介して、コントローラによって提供され得る。
【0090】
工程1506で、少なくとも1つのCPO値が取得される。少なくとも1つのCPO値は、心臓ポンプシステムによって提供された測定値から導出される。任意選択で、少なくとも1つのCPO値は、工程1504に関連して上述した第1の期間内の少なくとも1つの時点におけるCPOを表す。いくつかの実施態様では、CPOは、第1の期間に続いて決まった時間間隔で規則的に更新される。例えば、この第1の時間間隔は0.01秒間、0.1秒間、0.5秒間、1秒間、5秒間、10秒間、1分間、10分間、15分間、30分間、1時間、または任意の適切な時間間隔であり得る。工程1506で、少なくとも1つの乳酸濃度値も取得される。少なくとも1つの乳酸濃度値は、患者から測定され得る。例えば、乳酸濃度値は、心臓ポンプシステムに手入力され得るか、または外部データベースから取り出され得る。
【0091】
工程1508で、患者の転帰の予測値が決定される。予測値は、少なくとも1つの心拍パワー出量値と工程1506で取得された少なくとも1つの乳酸濃度値とに少なくとも一部は基づくものである。少なくとも1つのCPO値が第1の閾値を下回るとき、少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を上回るとき、またはその両方の場合には、ポンプ速度を上げることが望ましい場合もある。例えば、第1の閾値は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0Wなどの値であり、第2の閾値は、1、2、3、4、5、6、7mmol/Lなどの値であり得る。低いCPO値と高い乳酸値とは、患者の生存確率が相対的に低いことを示し得る。患者の体調が悪いことから、臨床医は、例えば、ポンプ速度を上げることにより、ポンプによって提供される心臓補助のレベルを上げようと試み得る。少なくとも1つのCPO値が第1の閾値を上回るとき、少なくとも1つの乳酸濃度値が第2の閾値を下回るとき、またはその両方の場合には、ポンプ速度を下げるかまたは変えないことが望ましい場合もある。高いCPO値と低い乳酸値とは、患者の生存確率が相対的に高いことを示し得る。患者の体調が良いことから、臨床医は、ポンプの動作のパラメータを変更しないと判断してもよい。あるいは、臨床医は、ポンプによって提供される心臓補助のレベルを下げようと試みるか、またはポンプを完全にオフにし得る。工程1510は、図14に関連して上述した工程1410と同じである。
【0092】
以上は本開示の原理の単なる例示であり、装置は、限定ではなく例示を目的として提示されている記載の態様以外によっても実施することができる。本明細書に開示されている装置は、心臓ポンプの経皮挿入での使用について示されているが、止血を必要とする他の用途の装置に適用されてもよいことを理解されたい。
【0093】
当業者であれば、本開示を検討した後に変形形態および改変形態を思い付くであろう。開示の特徴は、本明細書に記載されている1つまたは複数の他の特徴との、任意の組み合わせおよび部分的組み合わせ(複数の従属的組み合わせおよび部分的組み合わせを含む)として実装され得る。以上で説明または例示された様々な特徴は、それらの任意の組み合わせを含めて、他のシステムにおいて組み合わされ、または統合されてもよい。さらに、特定の特徴が省略され、または実装されない場合もある。
【0094】
記載のシステムおよび方法は、心臓ポンプシステム上またはAICなどの心臓ポンプシステムのコントローラ上でローカルで実施されてもよい。心臓ポンプシステムは、データ処理装置を含み得る。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、別個のデータ処理装置上でリモートで実施されてもよい。別個のデータ処理装置は、心臓ポンプシステムに直接、またはクラウドアプリケーションを介して間接的に接続され得る。心臓ポンプシステムは、別個のデータ処理装置とリアルタイム(またはほぼリアルタイム)で通信し得る。
【0095】
一般に、本明細書に記載される主題および機能的動作の態様は、デジタル電子回路として、または本明細書で開示された構造およびそれらの構造的均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアとして、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組み合わせとして実装することができる。本明細書に記載される主題の態様は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置が実行するための、またはデータ処理装置の動作を制御するコンピュータ可読媒体上で符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリ装置、機械可読伝搬信号に影響を与える組成物、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせとすることができる。「データ処理装置」という用語は、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題となるコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェアを構成するコード、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせ含むことができる。伝搬信号は人工的に生成された信号、例えば適切な受信側装置への伝送のための情報を符号化するために生成された機械生成による電気的、光学的、または電磁気的信号である。
【0096】
コンピュータプログラムは(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られ)、コンパイル言語やインタプリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムや、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境で使用するのに適したその他のユニットを含む、任意の形式で導入することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応し得る。プログラムは、他のプログラムもしくはデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納された1つもしくは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題となるプログラムに専用の単一ファイルに、または複数の連携したファイル(例えば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を格納するファイル)に格納することができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ上で、または1箇所に位置するか、もしくは複数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように導入することができる。
【0097】
本明細書に記載されるプロセスおよび論理フローは、入力データに作用して出力を生成することによって機能を実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。またプロセスおよび論理フローは、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)やASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によっても実行することができ、装置を専用論理回路として実装することもできる。
【0098】
コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサには、例えば、汎用と専用両方のマイクロプロセッサや、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読取り専用メモリまたはランダム・アクセス・メモリまたはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリ装置とである。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つもしくは複数の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスクや光ディスクを含むか、または大容量記憶装置からデータを受信するかもしくは大容量記憶装置にデータを転送するように動作可能に結合されるか、またはその両方である。しかし、コンピュータにはそのような装置がなくてもよい。
【0099】
変更、置換、および改変の例は、当業者であれば確かめることができ、本明細書で開示される情報の範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書中に引用されたすべての参考文献は、参照によりその全体が組み入れられ、本出願の一部をなす。
【0100】
例示的な態様:
1. 患者の転帰を予測するための方法であって、
第1の期間中に心臓ポンプシステムから、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連した第1のデータを取得する工程、
第1のデータから複数の特徴を抽出する工程、
予測モデルを使用すると共に複数の特徴に基づいて、患者の心臓の健康を示す心臓の健康指数を決定する工程、および
心臓の健康指数に基づき、患者の転帰を予測する工程
を含む、方法。
2. 心臓の健康指数が患者の回復の尤度をさらに示す、態様1の方法。
3. 心臓の健康指数が心臓成分と全身かん流成分とを表す、態様1または2の方法。
4. 心臓ポンプシステムが、患者の心臓内に少なくとも部分的に挿入されている、態様1~3のいずれか一つの方法。
5. 患者の生理学的パラメータに関連した第2のデータを取得する工程、および
第2のデータから第2の複数の特徴を抽出する工程
をさらに含み、
心臓の健康指数を決定する工程が、第2の複数の特徴にさらに基づくものである、
態様1~4のいずれか一つの方法。
6. 第2の複数の特徴が、年齢、性別、体表面積(BSA)、尿量、クレアチニンレベル、水素イオン指数(pH)、酸素濃度、二酸化炭素濃度、および乳酸濃度のうちの少なくとも1つを含む、態様5の方法。
7. 心臓の健康指数を表示する工程をさらに含む、態様1~6のいずれか一つの方法。
8. 各心臓の健康指数が複数の期間のうちの1つの期間に対応する、該心臓の健康指数を含む複数の心臓の健康指数を取得する工程、および
複数の心臓の健康指数に基づき、患者の健康の変化を判断する工程
をさらに含む、態様1~7のいずれか一つの方法。
9. 複数の期間にわたる複数の心臓の健康指数を表示する工程をさらに含む、態様8の方法。
10. 複数の特徴が、大動脈圧、差圧、モータ電流、モータ速度、ポンプ圧、左心室圧、拡張末期圧、大動脈脈圧、自己心拍出量、心拍出量、心拍パワー出量、配置、流量、Pレベル、収縮性、弛緩、平均配置、配置の標準偏差、平均配置範囲、配置範囲の標準偏差、平均差圧、差圧の標準偏差、平均差圧範囲、差圧範囲の標準偏差、左心室圧最大値、および左心室圧最小値のうちの少なくとも1つを含む、態様1~9のいずれか一つの方法。
11. 予測モデルが機械学習モデルである、態様1~10のいずれか一つの方法。
12. 機械学習モデルが、ロジスティック回帰法、深層学習法、決定木、ランダムフォレスト法、ナイーブベイズ法、およびサポート・ベクター・マシン法のうちの1つである、態様11の方法。
13. 複数の特徴のうちの第2の特徴と比較した複数の特徴のうちの第1の特徴の相対重要度の指標を表示する工程
をさらに含む、態様1~12のいずれか一つの方法。
14. 心臓の健康指数を決定する工程が、
データベースから、心臓ポンプシステムの時変パラメータに関連する複数のデータ点を含む訓練データセットを取得すること、
複数のデータ点に対応する第3の複数の特徴を決定するためにデータセットを前処理すること、
第3の複数の特徴のサブセットの各特徴の重みを含むパターンを決定するために第3の複数の特徴を処理すること、
患者データを取得すること、
患者データおよびパターンに基づき、患者の心臓の健康指数を計算すること
を含む、態様1~13のいずれか一つの方法。
15. 第1のデータが、経時的な配置信号、モータ電流、およびPレベルを示すデータを含む、態様1~14のいずれか一つの方法。
16. 複数の特徴が、配置信号、モータ電流、Pレベル、および配置信号の標準偏差を含む、態様1~15のいずれか一つの方法。
17. 第1のデータが、経時的なポンプ圧、差圧、モータ電流、およびモータ速度を示すデータを含む、態様1~16のいずれか一つの方法。
18. 複数の特徴が、ポンプ圧最大値、ポンプ圧平均値、ポンプ圧最小値、差圧最大値、差圧最小値、モータ電流最大値、モータ電流最小値、モータ電流平均値、およびモータ速度平均値を含む、態様1~17のいずれか一つの方法。
19. 第1のデータが、経時的な配置信号および流量を示すデータを含む、態様1~18のいずれか一つの方法。
20. 複数の特徴が、配置信号、平均流量、および目標流量、を含む、態様1~19のいずれか一つの方法。
21. 心臓の健康指数が患者の生存確率である、態様1~20のいずれか一つの方法。
22. 患者の転帰が患者の死亡である、態様1~21のいずれか一つの方法。
23. 患者の転帰が患者の生存である、態様1~21のいずれか一つの方法。
24. カテーテルと、
モータと、
モータに動作可能に連結されたロータと、
モータを作動させるとロータが駆動され、ポンプハウジングに血液が送り込まれるようにロータを少なくとも部分的に取り囲むポンプハウジングと、
少なくとも1つのセンサと、
態様1~23のいずれか一つの方法を実行するように構成されたコントローラと
を含む、心臓ポンプシステム。
25. 態様1~23のいずれか一つの方法を実行するように構成されたコントローラを含む、システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
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