(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ紡績糸電気浸透流ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 9/00 20060101AFI20230829BHJP
F04D 33/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
F04B9/00 B
F04D33/00
(21)【出願番号】P 2020551280
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 US2019023426
(87)【国際公開番号】W WO2019183391
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518380665
【氏名又は名称】リンテック・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルシオ・ディアス・リマ
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/059766(WO,A1)
【文献】特開2003-065906(JP,A)
【文献】特開2012-248670(JP,A)
【文献】特表2015-533521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/00
F04B 17/03
F04B 19/04
F04B 43/09
F04C 5/00
F04D 33/00
H02N 11/00
D02G 3/02
D02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸チューブと、
第2のCNT紡績糸チューブと、
中央チューブと、を備え、
前記第1のCNT紡績糸チューブが、第1の接続部において前記中央チューブの一端に繋がれ、
前記第2のCNT紡績糸チューブが、第2の接続部において前記中央チューブの別の端に繋がれ、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部が、前記第1の接続部及び前記第2の接続部を通して流体が漏出することを防止するように密封され、
前記中央チューブの内側面の少なくとも一部が、表面電荷を有する、電気浸透流ポンプ。
【請求項2】
前記中央チューブの前記内側面の前記一部が、シリコーンであり、前記流体が、水である、請求項1に記載の電気浸透流ポンプ。
【請求項3】
前記中央チューブの前記内側面の前記一部が、ガラスであり、前記流体が、水である、請求項1に記載の電気浸透流ポンプ。
【請求項4】
前記第1のCNT紡績糸チューブと前記第2のCNT紡績糸チューブとの間に電位差を印加する電源をさらに備え、
前記電位差を印加することによって、前記電源が、前記第1のCNT紡績糸チューブ、前記中央チューブ、及び前記第2のCNT紡績糸チューブの内部で前記流体を流れさせる
、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプ。
【請求項5】
前記電源が、DC電源である、請求項4に記載の電気浸透流ポンプ。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電気浸透流ポンプを備える、ねじり型アクチュエータであって、
第1のCNT紡績糸チューブが、0度より大きい正味バイアス角を有し、
前記第1のCNT紡績糸チューブの一端が閉じており、
閉じた前記第1のCNT紡績糸チューブが、バイアス角を含み、
前記第1のCNT紡績糸チューブと第2のCNT紡績糸チューブとの間に電位差を印加すると、電源が、閉じた前記第1のCNT紡績糸チューブに流体を蓄積させ、閉じた前記CNT紡績糸チューブを回転させる、前記ねじり型アクチュエータ。
【請求項7】
電気浸透流ポンプを製造する方法であって、
中央チューブの内側面の両端に粘着剤を塗布することであって、前記中央チューブの前記内側面の少なくとも一部が、表面電荷を有する、前記塗布することと、
第1のカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸チューブの第1の端を前記中央チューブの一端に繋いで第1の接続部を形成することと、
第2のCNT紡績糸チューブの第1の端を前記中央チューブの他の端に繋いで第2の接続部を形成することと、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部を通して流体が漏出することを防止するように、前記第1の接続部及び前記第2の接続部を密封することと、
第1の電気接続を前記第1のCNT紡績糸チューブに配置することと、
第2の電気接続を前記第2のCNT紡績糸チューブに配置することと、
を含む、前記方法。
【請求項8】
ゲスト材料が、前記第1のCNT紡績糸チューブ及び前記第2のCNT紡績糸チューブの前記第1の端のそれぞれの外側部分に浸透しないように、前記ゲスト材料を前記第1のCNT紡績糸チューブ及び前記第2のCNT紡績糸チューブの前記第1の端に浸透させることであって、前記粘着剤が、前記第1のCNT紡績糸チューブ及び前記第2のCNT紡績糸チューブの前記第1の端の前記外側部分に浸透する、前記浸透させることをさらに含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のCNT紡績糸チューブ及び前記第2のCNT紡績糸チューブの前記第1の端を前記中央チューブの前記端に繋ぐ前に、前記第1のCNT紡績糸チューブ及び前記第2のCNT紡績糸チューブの前記第1の端のそれぞれの内側面をフルオロポリマーで処理することをさらに含む、請求項
7または
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のCNT紡績糸チューブの第2の端を密封することをさらに含み、
前記第1のCNT紡績糸チューブが、バイアス角を含む、請求項
7~
9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月21日に出願された「CARBON NANOTUBE YARN ELECTROOSMOTIC PUMP」と題する米国仮出願第62/646,293号に対する米国特許法第119条(e)の規定に基づく優先権を主張する。その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
弾性ポリマー繊維に基づく人工筋肉デバイスは、広範囲の用途を有する。ねじれた、及び/またはコイル状ポリマーを含む人工筋肉デバイスは、低コスト、高生産量、及び設計単純性という利点を有する。人工筋肉デバイスは、極めて単純化されたエンジニアリング及びより低い製造コストによって、小型モータを超える利点を有し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様において、本明細書に開示される実施形態は、第1のカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸チューブと、第2のCNT紡績糸チューブと、中央チューブと、を含む、電気浸透流ポンプを対象とする。第1のCNT紡績糸チューブは、第1の接続部において中央チューブの一端に繋がれる。第2のCNT紡績糸チューブは、第2の接続部において中央チューブの別の端に繋がれる。第1の接続部及び第2の接続部は、第1の接続部及び第2の接続部を通して流体が漏出することを防止するように密封される。さらに、中央チューブの内側面の少なくとも一部が、表面電荷を有する。
【0004】
別の態様において、発明の実施形態は、電気浸透流ポンプを製造する方法を対象とする。方法は、中央チューブの内側面の少なくとも一部が表面電荷を有するように、中央チューブの内側面の両端に粘着剤を塗布することと、第1のカーボンナノチューブ(CNT)紡績糸チューブの第1の端を中央チューブの一端に繋いで第1の接続部を形成することと、第1の接続部及び第2の接続部が、第1の接続部及び第2の接続部を通して流体が漏出することを防止するよう密封されるように、第2のCNT紡績糸チューブの第1の端を中央チューブの他の端に繋いで第2の接続部を形成することと、第1の電気接続を第1のCNT紡績糸チューブに配置することと、第2の電気接続を第2のCNT紡績糸チューブに配置することと、を含む。
【0005】
1つまたは複数の実施形態の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付された特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の1つまたは複数の実施形態による、カーボンナノチューブ(CNT)紡績糸チューブを示す。
【
図2】本発明の1つまたは複数の実施形態による、電気浸透流ポンプを示す。
【
図3】本発明の1つまたは複数の実施形態による、電気浸透流ポンプ用中央チューブを示す。
【
図4】本発明の1つまたは複数の実施形態による、電気浸透流ポンプを示す。
【
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態による、電気浸透流ポンプを製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示の実施形態の以下の詳細な説明では、発明のより完全な理解をもたらすために、多数の具体的詳細が記載されている。しかしながら、開示がこれらの具体的詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかとなるであろう。他の例では、説明を不必要に複雑にすることを避けるために、周知の特徴については詳細に説明されていない。
【0008】
概して、発明の実施形態は、流体をポンプで動かすデバイス、及び流体をポンプで動かすデバイスを製造する方法に関する。デバイスは、電気浸透流ポンプであってもよく、2つの中空カーボンナノチューブ(CNT)紡績糸チューブ(以下、「CNT紡績糸チューブ」という)、及び2つのCNT紡績糸チューブを接続する中央チューブを含んでもよい。電気浸透流ポンプ内部の電気力が、電気浸透流ポンプ内部の流体を動かす。
【0009】
図1は、チューブ形状に巻かれた1つまたは複数のCNTシートを含むCNT紡績糸チューブ(110)を示す。それぞれのCNTシートは、互いに隣に配置された複数のCNTの薄いシートであり、0.2ミリメートル(mm)以上の幅であってもよい。CNTシートは、CNT紡績糸チューブ(110)の長さに垂直なCNT紡績糸チューブ(110)の放射軸とバイアス角「θ」を生成するように巻かれ得る。例えば、
図1において、CNT紡績糸チューブ(110)の長さは、「X」軸に沿っていてもよく、放射軸は、「Y」軸に沿っていてもよい。したがって、0度に近いバイアス角は、放射軸にほぼ平行に向けられたCNTシートに対応し、90度に近いバイアス角は、放射軸にほぼ垂直に向けられたCNTシートに対応する。
【0010】
1つまたは複数の実施形態では、CNTシートのバイアス角が互いに打ち消し合い、CNTシートの正味のバイアス角が0度であり得る(即ち、バイアス角がない)ようにCNTシートが組まれ得る。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、CNTシートは、CNT紡績糸チューブの一部またはCNT紡績糸チューブ全体において、CNT紡績糸チューブの長さにわたって(例えば、
図1の「X」軸に沿って)均一なバイアス角を有するように巻かれ得る。代替的に、他の実施形態では、バイアス角は、CNT紡績糸チューブの長さにわたって変化してもよい。
【0012】
1つまたは複数の実施形態では、CNT紡績糸チューブは、CNTシートに浸透するゲスト材料を含み得る。ゲスト材料は、CNTシートの一部または全体に浸透し得る。ゲスト材料は、CNTシートに浸透しCNT紡績糸チューブ内の空洞を覆うゲスト材料の能力、生物的適合性、融解点、または高温及び低温条件における耐久性に基づいて選択され得るが、これらに限定されない。ゲスト材料は、シリコーンベースゴムであってもよい。シリコーンベースゴムは、高温に耐えることができ、加熱されたときにCNT紡績糸チューブから押し出され得ない。例えば、ゲスト材料は、Sylgard 184のシリコーンベースゴムまたはパラフィンワックスであってもよい。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、ゲスト材料は、エストラマ(例えば、シリコーンベースゴム、ポリウレタン、スチレン-ブタジエン共重合体、及び天然ゴム)、フッ化プラスチック(例えば、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP))、アラミド(例えば、ケプラー及びノメックス)、エポキシ、ポリイミド、またはパラフィンワックスを含み得る。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、以下に詳細に説明されるように、CNT紡績糸チューブ内部の流体がCNT紡績糸チューブの壁から漏出または流出しないように、CNT紡績糸チューブの壁が密封される。
【0015】
図2は、本明細書に開示される実施形態による電気浸透流ポンプ(200)を示す。電気浸透流ポンプ(200)は、2つのCNT紡績糸チューブ(210)(即ち、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブ)を含む。接続部(即ち、中央チューブ(220)とCNT紡績糸チューブ(210)のそれぞれとの間の繋ぎ領域)が密封され、電気浸透流ポンプ(200)内部の流体が、接続部(即ち、第1の接続部及び第2の接続部)から流出できないように、CNT紡績糸チューブ(210)のそれぞれの一端が、中央チューブ(220)に接続され、または繋がれる。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、CNT紡績糸チューブ(210)は、粘着剤を介して中央チューブ(220)に接続され(即ち、繋がれ)得る。これらの実施形態では、粘着剤は、接続部における中央チューブ(220)とCNT紡績糸チューブ(210)との間に配置され得る。粘着剤は、CNT紡績糸チューブ(210)の外側部分に浸透し得る。例えば、
図1のX軸に沿った方向の断面図において、粘着剤は、CNT紡績糸チューブ(110)の外側面に向かってCNT紡績糸チューブ(110)の一部に浸透し得る。
【0017】
流体が流出または漏出することを防止するように接続部を粘着剤で密封するために、粘着剤は、中央チューブ(220)の各端の内側面上に配置され得る。CNT紡績糸チューブ(210)のそれぞれの接続端は、中央チューブ(220)の端の内部に嵌められ(即ち、挿入され)得る。その後、粘着剤は固体になり、粘着剤が乾燥するときに接続部を密封する。例えば、粘着剤は、一種のホットメルト接着剤であってもよい。代替的には、粘着剤は、中央チューブ(220)の端の内部にCNT紡績糸チューブ(210)の接続端を嵌める前に、CNT紡績糸チューブ(210)の接続端の外側面に塗布されてもよい。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、CNT紡績糸チューブ(210)のそれぞれの接続端の外側層に粘着剤が接触するCNTシートの少なくとも一部が、ゲスト材料によって浸透されなくてもよく、または高密度化されなくてもよい。このような実施形態では、粘着剤は、強い粘着力をもたらすようにその部分に浸透し得る。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、CNT紡績糸チューブ(110)のそれぞれの接続端の内側部分は、粘着剤が接続端の内側部分に浸透することを妨害するために、フルオロポリマーで処理され得る。フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)から構成される群からの、任意の組み合わせの材料を含み得るが、これらに限定されない。
【0020】
図3は、1つまたは複数の実施形態による電気浸透流ポンプが動作する方法を示す。中央チューブ(320)の内側面は、負の表面電荷を有し得る。例えば、中央チューブ(320)の内側面の少なくとも一部は、シリコーンもしくはガラスであってもよく、または何らかの他の疎水性コーティングで構成されてもよい。中央チューブ(320)の内側面上の負電荷(301)は、中央チューブ(320)の内側面のガラス部分上の酸素原子によって提供され得る。中央チューブ(320)の内側面上の負電荷(301)は、流体、例えば水の正電荷(302)(例えば、正イオン)を引き付ける。これらの実施例では、水の水素原子の正電荷(302)が、中央チューブ(320)の内側面の負電荷(301)に引き付けられる。したがって、中央チューブ(320)の内側面上に反対電荷の二重層が形成される。その結果、中央チューブ(320)内部に流れるように電気誘導され得る流体の正味電荷(例えば、この実施例では負の正味電荷)が存在する。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、中央チューブ(320)の内側面全体が、シリコーンまたはガラスである。
【0022】
図4は、本明細書に開示される実施形態による、電気浸透流ポンプ(400)及び電気浸透流ポンプ(400)の動作を示す。電気浸透流ポンプ(400)は、中央チューブ(420)の端に接続される2つのCNT紡績糸チューブ(410)の間に電位差(即ち、バイアス電圧)を印加する電源(430)を含み得る。中央チューブ(420)内部の流体は、全体の正味電荷を有するため、2つのCNT紡績糸チューブ(410)の間に電位差を印加すると、流体は、CNT紡績糸チューブ(410)及び中央チューブ(420)を通って流される。
【0023】
例えば、
図3を参照して上述した実施例において、水の正電荷が中央チューブ(320)の内側面上の負電荷に引き付けられることの結果として、結果得られる水の負電荷は、印加された電位差によって動かされる。本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態によれば、印加された電位差は、流体の流れの方向及び力を決定する。例えば、
図4の矢印は、電位差の印加時の電気浸透流ポンプ(400)内部の流体(及びしたがって、流体の流れ)の正電荷イオンの流れを示す。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、CNT紡績糸チューブ(410)のCNTシートは、導電性があり、電源(430)は、
図4に示されるように、CNT紡績糸チューブ(410)に電位差を印加し得る。代替的には、電源(430)は、中央チューブ(420)の端に電源(430)の端子を配線することによって、電位差を中央(420)に直接印加してもよい。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、CNT紡績糸チューブの内径を縮小することによって、CNT紡績糸チューブ内の圧力が上昇して、流速の減少をもたらし得る。CNT紡績糸チューブの直径、中央チューブの直径、及び印加される電位差は、特定の用途に対して設計され得ると、当業者は理解するであろう。
【0026】
1つまたは複数の実施形態によれば、電気浸透流ポンプは、空気圧式アクチュエータ用のポンプであってもよい。これらの実施形態では、CNT紡績糸チューブのうちの1つは、閉端であり(例えば、
図4の右側のCNT紡績糸チューブ(410)の右側の端が閉じられ得る)、それによって、流体が閉端を通って流れることができず、よって閉端CNT紡績糸チューブ内に蓄積する。電気浸透流ポンプが動作するとき、閉端CNT紡績糸チューブ内部の流体圧力は上昇し得る。よって、閉端CNT紡績糸チューブの直径が増加し、閉端CNT紡績糸チューブの長さが減少する。これらの実施形態では、閉端CNT紡績糸チューブは、バイアス角度を有しなくてもよい。電位差を除去すると、閉端CNT紡績糸チューブは、平衡状態に戻り得る。
【0027】
1つまたは複数の実施形態によれば、閉端CNT紡績糸チューブは、電位差を印加すると、閉端CNT紡績糸チューブのねじれアクチュエーションを可能にする正味バイアス角を有し得る。例えば、
図1のθは、0度より大きい。
【0028】
図5は、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、電気浸透流ポンプを製造する方法を示すフローチャートである。例えば、ステップ500において、粘着剤が、中央チューブの内側面の両端に塗布される。次いで、ステップ502において、第1のCNT紡績糸チューブの端(即ち、第1の端)は、中央チューブの一端に繋がれて、第1の接続部を形成する。ステップ504において、第2のCNT紡績糸チューブの端(即ち、第1の端)は、中央チューブの他の端に繋がれて、第2の接続部を形成する。例えば、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブの第1の端は、一種のホットメルト接着剤であり得る粘着剤を介して、中央チューブの端に繋がれ(即ち、接続され)得る。代替的に、粘着剤は、第1の端を中央チューブの端に繋ぐ前に、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブの第1の端の外側面に塗布され得る。ステップ506において、第1の電気接続が、第1のCNT紡績糸チューブに接続され、ステップ508において、第2の電気接続が、第2のCNT紡績糸チューブに接続される。第1の電気接続及び第2の電気接続は、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブに直接接続されてもよく、または接続が、第1の接続部及び第2の接続部において中央チューブ上でそれぞれ行われてもよい。
【0029】
第1の接続部及び第2の接続部は、本明細書に開示された1つまたは複数の実施形態に従って、デバイスを通して流体が漏出することを防止するように密封される。さらに、上記で説明されるように、中央チューブは、表面電荷を含み得る。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、中央チューブに粘着する第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブの外側部分が、ゲスト材料で浸透されなくてもよい。したがって、粘着剤は、粘着力を改善するために、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブの外側部分に浸透し得る。これらの及び他の実施形態では、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブの内側面が、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブを繋ぐ前にフルオロポリマーで処理され得る。上記で説明されたように、フルオロポリマーは、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブの第1の端(即ち、接続端または繋ぎ端)の内側部分に粘着剤が浸透することを防止し得る。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブ、中央チューブ、粘着剤、ならびに第1のCNT紡績糸チューブ及び第2のCNT紡績糸チューブへの電気接続は、
図1~4を参照して上述した実施形態におけるものに類似であってもよい。
【0032】
上述の実施形態による空気圧式アクチュエータでは、第1のCNT紡績糸チューブまたは第2のCNT紡績糸チューブのうちの1つの第2の端が、アクチュエータを形成するために密封され得る。上述のように、これらの実施形態では、第1のCNT紡績糸チューブまたは第2のCNT紡績糸チューブは、流体をアクチュエータ内にポンプで動かすと回転が生じるように、バイアス角を含み得る。
【0033】
発明は、限定された数の実施形態に関して説明されているが、本明細書に開示される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が考案され得ると、本開示の恩恵を有する当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0034】
110 紡績糸チューブ
200 電気浸透流ポンプ
210 紡績糸チューブ
220 中央チューブ
301 負電荷
302 正電荷
320中央チューブ
400 電気浸透流ポンプ
410 紡績糸チューブ
420 中央チューブ
430 電源
500 ステップ
502 ステップ
504 ステップ
506 ステップ
508 ステップ