(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】注射器等の複数の医療用容器を支持するように構成された保持デバイス
(51)【国際特許分類】
A61J 1/14 20230101AFI20230829BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20230829BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A61J1/14 520
A61M5/00 516
A61M5/00 518
A61M5/28
(21)【出願番号】P 2020561673
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2019060511
(87)【国際公開番号】W WO2019211140
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-19
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクシム ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン サンジェ
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/166765(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
A61M 5/00
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療用容器を支持するように構成された保持デバイス(1)であって、支持プレート(10)および複数の補強リブ(30)を備え、
前記支持プレート(10)は、上面(10a)と、前記上面(10a)に対向する下面(10b)と、所定のパターンにしたがって配置された複数の開口部(20)とを有し、各開口部は、前記医療用容器の1つのバレルを受け入れるように構成され、
前記複数の補強リブ(30)は、前記上面および下面(10a、10b)の少なくとも一方から突出し、前記複数の開口部(20)の隣接する開口部(20)間に延在しており、
前記複数の補強リブ(30)は、
前記支持プレート(10)の略中央で互いに交差する2つの中央リブ(310a、310b)であって、前記支持プレート(10)を4つの領域に分割する、中央リブ(310a、310b)と、前記支持プレート(10)の一方の側から他方の側に、かつ2つの異なる対の隣接する周縁開口部(20)の間に、前記支持プレート(10)の長手方向(X)に対して斜めに
、前記4つの領域の1つにおいて、それぞれ延在している
4つの斜めリブ(310c)
と、を備えていることを特徴とする、保持デバイス(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの補強リブが、少なくとも周縁開口部の列から周縁開口部の別の列まで延在することを特徴とする、請求項1に記載の保持デバイス(1)。
【請求項3】
前記複数の補強リブ(30)は、前記支持プレート(10)の略中央で互いに交差する2つの中央リブ(310a、310b)を備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の保持デバイス(1)。
【請求項4】
前記複数の補強リブ(30)は、前記中央リブ(310a、310b)の1つに平行に延在している少なくとも1つの補助的なリブ(32)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の保持デバイス(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの補助的なリブ(32)は、前記支持プレート(10)の長手方向に直交することを特徴とする、請求項4に記載の保持デバイス(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの補助的なリブ(32)は、前記中央リブ(310a、310b)よりも薄いことを特徴とする、請求項4または5に記載の保持デバイス(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの補助的なリブ(32)は、前記斜めリブ(310c)よりも薄いことを特徴とする、請求項4から6のいずれかに記載の保持デバイス(1)。
【請求項8】
各開口部(20)は、前記開口部(20)への医療用容器のバレルの挿入を案内するように、前記支持プレート(10)の上面または下面(10a、10b)の一方から突出するチムニー(42)によって囲まれていることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の保持デバイス(1)。
【請求項9】
前記チムニー(42)は、少なくとも2つの案内タブ(40)を備え、スリット(41)は、前記少なくとも2つの案内タブ(40)の間で区切られていることを特徴とする、請求項8に記載の保持デバイス(1)。
【請求項10】
前記複数の補強リブ(30)は、互いに接続した隣接するチムニー(42)によって形成された1つまたはいくつかの補強リブ(310a、310b、32)を備えることを特徴とする、請求項8または9に記載の保持デバイス(1)。
【請求項11】
前記1つ又はいくつかの補強リブ(310a、310b、32)を形成するチムニー(42)は、他のチムニー(42)よりも厚いことを特徴とする、請求項10に記載の保持デバイス(1)。
【請求項12】
前記支持プレート(10)は、前記上面および下面(10a、10b)の一方から突出し、前記複数の開口部(20)を取り囲む周縁部を備えていることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の保持デバイス(1)。
【請求項13】
前記補強リブ(310c)の少なくとも1つは、面取りされた端部(33)を有していることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の保持デバイス(1)。
【請求項14】
複数の医療用容器を支持するように構成されたアセンブリであって、
-タブ;
-請求項1から13のいずれかに記載の少なくとも1つの保持デバイス(1)
を備え、前記少なくとも1つの保持デバイス(1)が前記タブ内に収容されていることを特徴とする、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の医療用容器を支持する保持デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本願において、部品または装置の遠位端は、ユーザの手から最も遠い端を意味するものとして理解されるべきであり、近位端は、ユーザの手に最も近い端を意味するものとして理解されるべきである。同様に、本願において、「遠位方向」は、本発明の保持デバイスに支持された容器に対する注入方向を意味するものと理解され、「近位方向」は、その注入方向とは逆の方向、すなわち、注入操作の際に容器を保持するユーザの手に向かう方向を意味するものと理解されるべきである。
【0003】
事前充填可能または事前充填された注射器などの医療用容器は、しばしば、ある場所から別の場所へ、例えば、製造場所から、医療用容器がワクチン、薬剤または治療剤などの医薬組成物剤(pharmaceutical composition agent)で充填され得る第2の場所へ、輸送される必要がある。より少ない頻度ではあるが、医療用容器を、同じ第1の場所で製造、充填し、次いで保管場所に輸送してもよい。輸送中、医療用容器は通常、ネストなどの保持デバイスによって保持される。
【0004】
ネストは、一般的に100を超える医療用容器を支持するように構成された板状トレイである。ネストは、所定の列に従って整列されたいくつかの貫通孔を含み、各孔は、1つの医療用容器を受け入れるように構成される。各医療用容器のバレルは、ネストに対して実質的に直交する方向に孔を通って突き出ている。
【0005】
ネストは通常、密閉カバーで密閉されている1つの開口部を有する箱型のタブの中に入れられる。このタブから医療用容器を取り出すには、基本的に密閉カバーを剥がし、医療用容器を保持しているネストをタブから外し、ネストに対して医療用容器を軸方向にスライドさせてネストから医療用容器を取り出す。ネストから取り出して個別に包装する前に、充填機を用いて医療用容器に医薬組成物剤を充填する。
【発明の概要】
【0006】
充填機で取り扱う際には、ネストに保持されている全ての医療用容器の重量により、ネストが、少し変形、例えば曲がったり歪んだりすることがある。その結果、わずかに変形したネストに支持されている医療用容器のフランジが厳密に同一の平面内に位置することがなくなり、充填プロセス時に誤差が生じる可能性がある。
【0007】
さらに、既存のネストが多数の医療用容器を同時に支持して扱うことを可能にし、それによって保管または輸送コストが制限されるが、それでも、コストを低減することが絶えず必要である。
【0008】
本発明の一態様は、複数の医療用容器を支持するように構成された保持デバイスであって、前記保持デバイスは、支持プレートおよび複数の補強リブを備え、
前記支持構造体は、上面と、前記上面に対向する下面と、所定のパターンにしたがって配置された複数の開口部とを有し、各開口部は、前記医療用容器の1つのバレルを受け入れるように構成され、
前記補強リブは、前記上下面の少なくとも一方から突出し、前記複数の開口部の隣接する開口部間に延在している。
【0009】
したがって、本発明の保持デバイスは、いくつかの補強リブの存在によって強化される。この剛性の増加は、この支持プレートが充填機によって取り扱われるときに支持プレートが変形することを防止する。これにより、充填プロセスの精度を向上させることができる。また、保持デバイスの剛性が増加するため、支持プレートの厚さを薄くすることができる。その結果、保持デバイスの製造に必要な原料の量を低減することができ、コストを低減することができる。
【0010】
前記複数の補強リブの補強リブは、前記支持プレートの一方の側から他方の側に延在している。
【0011】
支持プレートの一方の側から他方の側に延在する補強リブによって、少なくとも周縁開口部の列から周縁開口部の別の列に延在する補強リブが理解されるべきである。周縁開口部は、複数の開口部のうち最も外側の開口部である。従って、周縁開口部は、前記複数の開口部の他の開口部を取り囲む。補強リブの端部は、2つの異なる対の隣接する周縁開口部の間に位置することができる。しかし、補強リブは、支持プレートの周縁リム(peripheral rim)まで、すなわち、前記周縁リムの一部から他の部分までさらに延在してもよい。この場合、補強リブの端部は支持プレートの周縁リムに位置する。
【0012】
補強リブは、開口部の隣接する列の間に延在している。補強リブは、前記開口部の隣接する列に平行である。補強リブは、開口部と交差することなく延在している。
【0013】
一実施形態において、複数の補強リブは、支持プレートの略中央で互いに交差する2つの中央リブを含む。
【0014】
一実施形態において、複数の補強リブは、支持プレートの長手方向に対して斜めに延在している1つまたはいくつかの斜めリブを含む。
【0015】
一実施形態では、複数の補強リブは、支持プレートよりも1,5倍から2倍の厚さの主要な補強リブを含む。
【0016】
この特徴(feature)は、コスト低減と剛性の最適な折衷案を提供する。
【0017】
補強リブの厚さは、この補強リブの2つの側面間の距離、すなわち補強リブの長手方向と直交する方向であって支持プレートに平行な方向で測定した距離である。
【0018】
支持プレートの厚さは、支持プレートと直交する方向で測定した支持プレートの上下面間の距離である。
【0019】
一実施形態において、複数の補強リブは、前記中央リブの1つに平行に延在している少なくとも1つの補助的なリブを含む。
【0020】
一実施形態において、前記少なくとも1つの補助的なリブは、支持プレートの長手方向に直交している。
【0021】
一実施形態において、前記少なくとも1つの補助的なリブは、中央リブよりも薄い。
【0022】
一実施形態において、前記少なくとも1つの補助的なリブは、斜めリブよりも薄い。
【0023】
有利には、複数の補強リブは、少なくとも1つの主要な補強リブと少なくとも1つの補助的な補強リブとを含んでいてもよく、少なくとも1つの補助的な補強リブは、少なくとも1つの主要な補強リブよりも薄くてもよい。
【0024】
一実施形態において、少なくとも1つの中央補強リブは、少なくとも1つの補助的なリブの1,5倍から2倍の厚さである。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの斜め補強リブは、少なくとも1つの補助的なリブよりも1,5倍から2倍の厚さである。
【0026】
有利には、複数の補強リブは、支持プレートの長手方向に平行に延在している少なくとも1つの長手方向補強リブを含む。少なくとも1つの長手方向補強リブは、中央補強リブのうちの1つであってもよい。複数の補強リブは、いくつかの長手方向補強リブを含むことができ、そのうちの少なくとも1つは主要な補強リブであってもよい。
【0027】
有利には、複数の補強リブは、支持プレートの横方向(transversal direction)に平行に延在している少なくとも1つの横方向補強リブ(transversal reinforcing rib)を含む。少なくとも1つの横方向補強リブは、中央補強リブの1つであってもよい。複数の補強リブは、いくつかの横方向補強リブを含むことができ、そのうちの少なくとも1つは主要な補強リブであってもよい。
【0028】
一実施形態において、各開口部は、医療用容器のバレルの前記開口部への挿入を案内するように、支持プレートの上面または下面の1つから突出するチムニーによって取り囲まれている。
【0029】
この特徴は、支持プレートを介して医療用容器を案内することを可能にする。
【0030】
一実施形態によれば、チムニーは、少なくとも2つの案内タブを備え、スリットは、少なくとも2つの案内タブの間で区切られている。
【0031】
この特徴により、案内タブ間のスリットによる原材料コストを低減できる。
【0032】
一実施形態によれば、チムニーは4つの案内タブを備え、スリットは2つの隣接する案内タブの間で区切られている。
【0033】
一実施形態において、前記複数の補強リブは、互いに接続された隣接するチムニー、より正確には隣接する案内タブによって形成された1つまたはいくつかの補強リブを含む。
【0034】
これにより、支持プレートの剛性を向上させつつ、さらに原料コストを低減できるという利点がある。
【0035】
一実施形態において、前記1つ又はいくつかの補強リブを形成するチムニー又は案内タブは、他のチムニー又は案内タブよりも厚い。
【0036】
有利には、案内タブ及び補強リブは、支持プレートの同一面から突出する。
【0037】
一実施形態において、チムニーまたは案内タブの高さは、補強リブの高さと等しいことが好ましい。
【0038】
チムニー又は案内タブの高さは、チムニー又は案内タブの近位端と遠位端との間の距離である。
【0039】
一実施形態において、支持プレートは、前記上下面の一方から突出し、前記複数の開口部を囲む周縁部を備える。
【0040】
これにより、支持プレートの剛化(stiffening)が向上する。
【0041】
一実施形態において、補強リブの少なくとも1つは面取りされた端部を有する。
【0042】
これにより、支持プレートの剛性を損なうことなく、原料コストを低減することができる。
【0043】
一実施形態において、斜めリブは面取りされた端部を有する。
【0044】
有利には、開口部は千鳥状の列(staggered row)に配置される。
【0045】
その結果、2つの隣接する列の開口部は互いに対してオフセットされる。互いに対して五つ目型に開口部を有することは、多数の医療用容器を支持することを可能にする。より正確には、1つの開口部は、4つの隣接する開口部によって形成される正方形の中心に位置する。
【0046】
有利には、保持デバイスはネストである。
【0047】
本発明の第2の態様は、複数の医療用容器を支持するように構成されたアセンブリに関し、アセンブリが、
タブ;
第1の態様による少なくとも1つの保持デバイス
を含む。
【0048】
タブは、保持デバイスと、この保持デバイスによって支持される医療用容器とを収容するように構成された内部容積を画定する箱型のハウジングであってもよい。タブは、保持デバイスの内部容積への挿入又は保持デバイスのタブからの取り外しを可能にするように構成された少なくとも1つの開口部を有することができる。タブはまた、開口部をシールするように構成され、保持デバイスを取り外す前に剥がすことができる密閉カバーを備えることができる。密封カバーは、Tyvek(登録商標)シート、または気密性であるが例えばエチレンオキシド(EO)のような滅菌ガスを透過する任意の材料を含むことができる。
【0049】
別の態様は、複数の医療用容器を支持するように構成された保持デバイスであって、前記保持デバイスは、
支持プレートであって、上面と、前記上面に対向する下面と、所定のパターンにしたがって配置された複数の開口部とを有し、複数の開口部の各々が前記医療用容器の1つのバレルを受け入れるように構成されている、支持プレートを備え、
各開口部は、支持プレートの上面または下面の1つから突出する少なくとも2つの案内タブによって取り囲まれ、医療用容器のバレルの前記開口部への挿入を案内し、スリットは、前記少なくとも2つの案内タブの間で区切られている。
【0050】
この保持デバイスは、医療用容器が挿入又は支持プレートから取り外されるときに医療用容器を案内する一方で、案内タブを分離するスリットにより、可能な限り少ない原料を使用することができるので、コストを低減する。
【0051】
この保持デバイスはまた、本明細書に詳細に記載された追加の特徴の一部または全部を備えることができる。
【0052】
例えば、この保持デバイスは、前記上下面の少なくとも一方から突出し、前記複数の開口部の隣接する開口部の間で支持プレートの一方の側から他方の側に延在している複数の補強リブを備えることができる。
【0053】
複数の補強リブは、支持プレートの略中央で互いに交差する2つの中央リブと、前記中央リブに対して斜めに延在している斜めリブとを備えることができる。中央補強リブおよび斜め補強リブは、支持プレートよりも1,5から2倍の厚さであってもよい。
【0054】
例えば、前記複数の補強リブは、互いに接続された隣接する案内タブによって形成された1つまたはいくつかの補強リブを含む。前記1つまたはいくつかの補強リブを形成する案内タブは、他の案内タブよりも厚くてもよい。案内タブと補強リブとは、支持プレートの同一面から突出していることが好ましい。案内タブの高さは、補強リブの高さと同等またはそれを超えていてもよい。
【0055】
複数の補強リブは、有利には、前記中央リブの1つに平行に延在している少なくとも1つの補助的なリブを含む。前記少なくとも1つの補助的なリブは、支持プレートの長手方向と直交することが好ましい。前記少なくとも1つの補助的なリブは、有利には、中央リブ及び斜めリブよりも薄い。有利には、中央補強リブおよび斜め補強リブは、前記少なくとも1つの補助的なリブよりも1,5倍から2倍の厚さである。有利には、前記少なくとも1つの補助的なリブと支持プレートは、同様の厚さを有することができる。補強リブは、好ましくは面取りされた端部を有する。
【0056】
例えば、前記支持プレートは、前記上下面の一方から突出し、前記複数の開口部を囲む周縁部を有する。
【0057】
例えば、開口部は千鳥状の列に配置される。
【0058】
本発明およびそれから生じる利点は、次のように添付図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の一実施形態による保持デバイスの上面斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による保持デバイスの底面斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による保持デバイスの上面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による保持デバイスの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図を参照すると、本発明の一実施形態による保持デバイス1、すなわちネストが示されている。保持デバイス1は、複数の医療用容器(表示されない)を同時に支持するように構成されている。したがって、保持デバイス1は、医療用容器を充填ライン上で包装、保管、運搬、および取り扱いするためのネストとして機能する。ネストとは、1つの医療用容器を受け入れるように構成された各開口部を備えるプレートであって、ネストが、箱型のハウジング内の肩部に載置できるように、あるいは充填機によって取り扱うことができような傾斜面を有するプレートである。
【0061】
医療用容器は、予め充填可能な注射器などの注射器であってもよいことに留意されたい。医療用容器は、充填後に、ワクチン、医薬または治療用医薬組成物などの医薬組成物を含むように意図される。
【0062】
注射器のような医療用容器は、典型的には、医薬組成物剤を収容するためのリザーバを画定する細長いバレルと、バレルの内側に配置されたプランジャストッパと、バレルの内側にプランジャストッパを移動させ、バレルの遠位端においてステークドニードル(staked needle)および/またはニードルシールドにより閉鎖された先端部を介して医薬組成物剤を排出するプランジャと、バレルの近位端におけるフランジとを備える。フランジは、ユーザの指、一般に人差し指および中指を位置決めするための表面を提供し、プランジャロッドは、親指で作動される。
【0063】
保持デバイス1は、複数の医療用容器を同時に支持するように構成された支持プレート10を備える。支持プレートとは、長さや幅などの他の寸法と比較して厚さが薄い実質的に平な部品(plane piece)を意味する。
【0064】
支持プレート10は、上面10aと、上面10aに対向する下面10bと、上下面10a、10bを接合する周縁リム11cとを有する。
【0065】
支持プレート10は、好ましくは長方形であり、従って、2つの長手方向側12a及び2つの横方向側12bを規定する。
【0066】
図1を参照すると、支持プレート10は、鉛直方向Zに直交する平面XYに実質的に延在している。長手方向側12aは、鉛直方向Zに直交する長手方向Xに沿って延在し、横方向側12bは、長手方向X及び鉛直方向Zに直交する横方向Yに沿って延在している。
【0067】
図2及び
図4を参照すると、支持プレート10は、箱型のハウジングの内側に配置された肩部に当接するように構成された1つ又は幾つかの傾斜面13を備えることができる。これらの傾斜面13はまた、支持プレート10が充填ライン上で取り扱われることができるように、支持プレート10の取り扱い部分を規定する。傾斜面13は、好ましくは下面10b上に延在する。傾斜面13はまた、横方向Yに延在していることが好ましい。
【0068】
保持デバイス1はまた、複数の開口部20を備え、各開口部20は、医療用容器の1つのバレルを受け入れるように構成されている。開口部20は、円筒形バレルを受け入れるように円形であることが好ましい。
図3及び
図4に示すように、開口部20は、板状構造体10を上面10aから下面10bまで通り抜けて延在している貫通開口部(through-opening)である。
【0069】
開口部20は、例えば、長手方向Xまたは横方向Yに沿って延在している、あるいは長手方向および横方向X,Yに対して斜め方向に沿って延在しているときにみられ得る、平行な列などの所定のパターンに従って配置されている。図に示すように、開口部20は、千鳥状の列、すなわち五つ目型に配置されていてもよく、保持デバイス1は、可能な限り多くの医療用容器を受け入れることができる。
【0070】
支持プレート10は、医療用容器の1つのフランジを支持するように構成された各当接面14を備えることができる。各当接面14は、開口部20の1つの周囲に延在していることが好ましく、上面または下面10a、10bの一部であってもよく、好ましくは、
図1に示すように上面10aであってもよく、またはチムニー40の遠位端40bに位置していてもよい。当接面14は、円形形状を有していてもよい。
【0071】
図2及び
図4を参照すると、保持デバイス1は、支持プレート10を強化するように構成された複数の補強リブ30を備えることができる。補強リブ30は、上面又は下面10a、10bの一方、好ましくは下面10bから突出し、隣接する開口部20の間を長手方向に延在している。
【0072】
補強リブ30は、開口部20の2つの隣接する長手方向、横方向又は斜め方向の列の間に延在する。補強リブ30は、開口部20の隣接する列に平行である。補強リブ30は、開口部20と交差することなく延在する。
【0073】
補強リブ30は、支持プレート10と直交に突出する壁状に形成されていてもよい。
図2及び
図4に示すように、補強リブ30は、鉛直方向Zと直交する方向に沿って長手方向に延びている。補強リブ30は、後述するように、直線状であっても、波状であってもよい。いずれにしても、補強リブ30は、長手方向に略直線状に延びている。
【0074】
補強リブ30、好ましくは全ての補強リブ30は、支持プレート10の一方の側12から他方の側12に延在していることに留意すべきである。より正確には、補強リブ30は少なくとも、複数の開口部20の一の周縁列21から他の周縁列21に長手方向に延在している。開口部20の周縁列21は、複数の開口部20の最も外側の開口部22によって形成されている。
図3に示す例では、保持デバイス1は、4つの周縁列21を備えている。
【0075】
補強リブ30は、2つの両端部33を有し、両端部33は、支持プレート10の2つの相違する側12に位置することが好ましい。例えば、両端部33は、2つの隣接する周縁開口部22の間に位置している。補強リブ30は、一方の端部33から他方の端部まで連続して延在していることに留意されたい。
図2に示すように、少なくともいくつかの補強リブ30は、有利には面取りされた端部33を有している。その結果、これらの補強リブ30の高さは、これらの端部33に向かって減少する。
【0076】
図2または
図4から分かるように、複数の補強リブ30は、主要な補強リブ31および補助的な補強リブ32を含むことができ、補助的な補強リブ32は、主要な補強リブ31よりも薄いことが有利である。
【0077】
保持デバイス1は、1つ又はいくつかの中央補強リブ310a,310bを備えることができる。これらの中央補強リブ310a,310bは、
図4に示すように、支持プレート10の略中央で互いに交差しており、中央補強リブ310a,310bは波状であってもよい。好ましくは、中央補強リブ310a、310bは互いに垂直である。
【0078】
第一の中央補強リブ310aは、一方の横方向側12bの中央から他方の横方向側12bの中央まで、支持プレート10の長手方向側12aに略平行な方向に沿って延びている。
【0079】
第2の中央補強リブ310bは、一方の長手方向側12aの中央から他方の長手方向側12aの中央まで、支持プレート12の横方向側10bと略平行な方向に沿って延びている。
【0080】
保持デバイス1はまた、中央補強リブ310a,310bに対して斜めに延在する1つ又はいくつかの斜め補強リブ310cを備えていてもよい。好ましくは、斜め補強リブ310cはそれぞれ、1つの長手方向側12aから1つの横方向側12bまで延びている。好ましくは、斜め補強リブ310cは直線状である。
【0081】
図2及び
図4に示す例では、保持デバイス1は、4つの斜め補強リブ310cを備えている。中央補強リブ310a,310bは、支持プレートを四分割等のいくつかの領域に分割する。これらの各領域には、1つの斜め補強リブ310cが延在している。
【0082】
図2および
図4に示す実施形態では、斜め補強リブ310cは面取りされた端部33を有する。
【0083】
中央補強リブ310a、310b及び斜め補強リブ310cは、主要な補強リブ31を形成している。上述したように、保持デバイス1は、少なくとも1つの補助的な補強リブ32、例えば、
図2及び
図4に示すような2つの補助的な補強リブ32をさらに含んでいてもよい。一実施形態では、補助的な補強リブ32は有利に、中央補強リブ310a、310bの1つに平行、例えば、第2の中央補強リブ310bに平行である。好ましくは、補助的な補強リブ32は、支持プレート10の長手方向側12aから反対の位置にある長手方向側12aまで延びている。その結果、補助的な補強リブ32は、あまり多くの素材を必要とせずに支持プレート10の剛性を高める。補助的な補強リブ32は、中央補強リブ310a,310bのように波状であってもよい。補助的な補強リブ32は、中央補強リブ310a,310bの1つと対称に、例えば、第2中央補強リブ310bと平行に配置されてもよい。
【0084】
好ましくは、主補強リブ31の厚さは、第2補強リブ32の厚さの150%~200%で構成される。補強リブの厚さは、その長手方向に直交し且つ水平面XYに平行な方向で測定される。主要な補強リブ31の厚さは、有利には、支持プレート10の厚さの150%~200%である。支持プレート10の厚さは、上下面10a、10b間の垂直方向Zで測定される距離である。さらに有利には、補助的な補強リブ32と支持プレート10とは、同等の厚さを有し得る。
【0085】
例えば、板状構造体10は、1,3~1,5mm、好ましくは1,4mmの厚さを有することができる。主要な補強リブ31の厚さは、2,3~2,6mm、例えば中央補強リブ310a,310bでは2,5mmの厚さ、斜め補強リブ310cでは2,4mmの厚さとすることができる。補助的な補強リブ32の厚さは、1,3~1,5mm、好ましくは1,4mmとすることができる。
【0086】
図1および
図2を参照すると、保持デバイス1は、案内タブ40によって形成されたチムニー42を備えることができ、これらのチムニーは、医療用容器のバレルのこれらの開口部20のそれぞれへの挿入を案内するために、各開口部20の周囲にガイド導管(guiding conduit)を形成するように構成される。
【0087】
案内タブ40は、支持プレート10の上下面10a,10bの一方から、好ましくは下面10bから突出している。案内タブ40と当接面14とは、支持プレート10の対向面に配置されている。
【0088】
好適な実施形態では、案内タブ40及び補強リブ30は、支持プレート10の同一面から突出することが好ましい。好適な実施形態では、案内タブ40は、垂直方向Zに沿って、支持プレート10と直交する方向に突出する。
【0089】
案内タブ40は、開口部20を囲むように延在しており、各開口部は、少なくとも2つの案内タブ40、例えば、
図2に示すように4つの案内タブによって囲まれている。
図2に示すように、各案内タブ40は、支持構造体10に固定された近位端10aと、前記近位端40aとは反対側の遠位端40bとを有する。近位端40aは、開口部20の1つの外周に沿って延在している。近位端40a及び遠位端40bは、案内タブ40が円筒形状となるように弓状形状を有していてもよい。
【0090】
図2に示されるように、同じ開口部20の案内タブ40は、スリット41によって分離されている。スリット41は、支持プレート10に直交する方向に沿って有利に延在することができる。スリット41は、好ましくは、案内タブ40の近位端40aから遠位端40bまで延在する。
【0091】
好ましい実施形態では、補強リブ30の高さは、案内タブ40の高さと等しいか又はそれよりも低い。
【0092】
図2および
図4を参照すると、少なくともいくつかの補強リブ30、特に、補強リブ310a、310、および/または補助的な補強リブ32などの開口部20の列に平行に延在しているものは、それらが延在している開口部20の1つの案内タブ40を有利に一体化する。その結果、補強リブ30に隣接する開口部20の案内タブ40の1つが補強リブ30の一部となり得る。これらの案内タブ40は、対応する補強リブ30を形成するように互いに連結される。補強リブ30を形成するこれらの案内タブ40は、他の案内タブ40よりも厚いことに留意されたい。
【0093】
支持プレート10は有利に、前記上下面10a,10bの一方から、例えば上面10aから突出して、複数の開口部20を囲む周縁部を備える。周縁部と補強リブ30とは支持プレート10の対向面から突出している。しかしながら、周縁部と補強リブ30とは支持プレート10の同一面から突出していてもよい。周縁部は有利に、支持プレート10に直交して突出している。
【0094】
周縁部は、支持プレート10の全周で、連続的に、すなわち中断することなく延在していることが好ましい。図に示すように、周縁部は、周縁リム11cから延びていてもよい。
【0095】
保持デバイス1は、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック材料からなることが好ましい。支持プレート10、補強リブ30および/または案内タブ40、および/または周縁部は、好ましくは、一体成形される。