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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】TLR7ペプチドコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/55 20170101AFI20230829BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230829BHJP
   C07K 2/00 20060101ALI20230829BHJP
   C07D 239/49 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A61K47/55
A61K39/00 H
A61K39/02
A61K39/12
A61K39/39
A61P31/04
A61P31/12
A61P35/00
A61P37/04
C07K2/00 ZNA
C07D239/49 CSP
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020567229
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019035194
(87)【国際公開番号】W WO2019236469
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】62/680,332
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519201950
【氏名又は名称】アプロス セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウー, トム ヤオ-シャン
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538217(JP,A)
【文献】Dong Gao et al.,"Synthesis and Evaluation of Conjugates of Novel TLR7 Inert Ligands as Self-Adjuvanting Immunopotentiators",ACS Medicinal Chemistry Letters,2015年,Vol.6,p.249-253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
C07K 1/00-19/00
C07D 239/00-239/96
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩
【化84】


(式中、
ペプチドは、ペプチドであって、(C=O)が(i)前記ペプチドのN末端、または(ii)前記ペプチドの側鎖に結合しているペプチドであり、C=Oが結合している前記側鎖の官能基はNHであり、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化85】


およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化86】


、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化87】


からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化88】


、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化89】


からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化90】


、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)。
【請求項2】
式(1a)もしくは(2a)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化91-1】


【化91-2】


(式中、
各AAは独立にアミノ酸であり、(AA)は、(C=O)がペプチドのN末端に結合している前記ペプチドであり、
qは8~40の整数であり、
Dは、Hまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドであり、
Eは、OHまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドである)
を有する、請求項1に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(1b)もしくは(2b)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化92】


を有する、請求項2に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
1aがC~Cアルキルであり、前記アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化93】


およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XがC~Cアルキルであり、
Yが-CH-である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1a
【化94】


である、請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Xがメチルである、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
pが3である、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
oが1である、請求項1から8のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Yが-CH-である、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記ペプチドが抗原である、請求項1から10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記抗原が細菌抗原またはウイルス抗原である、請求項11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記抗原がエピトープである、請求項11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
前記抗原が共有される腫瘍抗原である、請求項11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
前記抗原が個別化新生抗原である、請求項11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
前記ペプチドがワクチンである、請求項1から10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1から1のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項18】
腫瘍の処置をそれを必要とする対象において行うための、請求項1から1のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、または請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
腫瘍に対してのワクチン接種をそれを必要とする対象において行うための、請求項1から1のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、または請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記腫瘍が固形腫瘍である、請求項1または19に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項21】
請求項1から1のいずれか一項に記載のコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式(3a)
【化95】


(式中、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OZ、-NHZ、-NHAc、-COOZ、-SOCH、-SCH、-OCH
【化96】


およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OZおよび-C(CHOZからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化97】


、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化98】


からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化99】

、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化100】


からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化101】


、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
各Zは独立にHまたは保護基であり、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)
の化合物とコンジュゲートするステップを含む方法。
【請求項22】
前記ペプチドが固相に結合させられる、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記固相から前記コンジュゲートを切断するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
治療における使用のための、請求項1から1のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項25】
治療における使用のための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
医薬の製造における、請求項1から1のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月4日に出願された米国仮特許出願第62/680,332号に対する利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、増強された免疫調節特性を有するピリミジン誘導体ペプチドコンジュゲートのクラスに関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまなワクチンプラットフォームは、さまざまな程度の効力で免疫系の別個のアームを標的化することができる。例えば、ウイルス/核酸ワクチン(ベクター)は、CD8+(キラー)T細胞応答を駆動するのに極めて有効である一方、サブユニットワクチンは、キラーT細胞の不十分な誘導物質であるが、抗体およびCD4+(ヘルパー)T細胞応答の強力な誘導物質である(D'Argenio and Wilson. Immunity. 2010. 33:437-40)。ペプチドワクチンは、抗原提示細胞(APC)の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子によるヘルパーおよび/またはキラーT細胞への提示のための既定のエピトープを提供するために日常的に使用されるプラットフォームである。ペプチドワクチンはまた、B細胞によって認識される線状エピトープに対する抗体応答を誘導するために使用することもできる(Winblad et al. The Lancet. 2012. 11:597-604)。
【0004】
生弱毒化微生物、核酸ベクターおよび組換えタンパク質サブユニットと比較して、ペプチドワクチンは、規定の化学構造および迅速な製造という利点を有する。しかしながら、ペプチドワクチンは通常、注射後の短い半減期のために免疫原性が不十分であり、したがって、最適なワクチン効力を達成するためにアジュバントを要する。結果として、ほとんどのワクチンが、抗原(複数可)およびアジュバントで構成され、それにより抗原がTおよび/またはB細胞受容体の特異的標的を提供し、アジュバント成分が抗原特異的応答の一般的な免疫エンハンサーとして働く(O'Hagan and Valiante Nat Rev Drug Discov. 2003. 9:727-35)。
【0005】
ペプチドワクチンは、ウイルス感染症およびがんの予防および治療の文脈で最も広範囲に研究されており、キラーおよびヘルパーT細胞応答がこれらの疾患に対する宿主防御にとって重要である。近年、ペプチドワクチンで容易に標的化することができるT細胞抗原の重要なクラス(腫瘍新生抗原(neoantigen))が特定されている。次世代シーケンシング(NGS)およびバイオインフォマティクスが、新生抗原として認識される可能性を有する腫瘍突然変異を特定するために使用されている。新生抗原の患者特異的な性質のために、個別化がんワクチンを開発するためにはエピトープの迅速な合成が必要である。よって、ペプチドベースの新生抗原ワクチンは、新たながん治療の基礎として相当な注目を集めている。科学論文が、黒色腫の患者に使用するための個別化新生抗原ワクチンを記載しており、このワクチンがヒトで免疫原性であることを示している(Wu et. al. Nature, 2017, 547, 217-221)。このワクチンでは、ポリ-IC(TLR3アゴニスト)が、合成ペプチド抗原と混和することによってアジュバントとして使用された。
しかしながら、非共有結合的に結合したペプチド抗原とアジュバントの同時投与は、注射後の分離をもたらし得る。ペプチド抗原とアジュバントが異なる組織で濃縮し、アジュバントの免疫原性増強利益が減少する可能性がある。これにより、ペプチド抗原の有効性が減少する。ワクチンの抗原特異的応答を増強し、同時投与したアジュバントの利益を改善する化合物および方法が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】D'Argenio and Wilson. Immunity. 2010. 33:437-40
【文献】Winblad et al. The Lancet. 2012. 11:597-604
【文献】O'Hagan and Valiante Nat Rev Drug Discov. 2003. 9:727-35
【文献】Wu et. al. Nature, 2017, 547, 217-221
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本開示は、合成TLR7アゴニストに共有結合的にコンジュゲートしたペプチド抗原を記載する。別の態様では、ペプチドが、従来の固相ペプチド合成を使用して合成され、樹脂切断前の最後のステップでTLR7アゴニストとカップリングされる。この方法は、現在のペプチド合成に最小限の複雑性を付け加えるだけで、N末端をTLR7アゴニストで修飾した配列を提供する。本明細書に記載されるペプチドコンジュゲートは、ペプチド抗原の免疫原性を増加させる、および/または有効用量を低下させる。複数のペプチド抗原を含むワクチンでは、免疫原性増強および/または用量節約アジュバント技術によって、ワクチンの全体的な有効性、利便性および費用対効果を大いに改善することができる。典型的には、TLRアゴニストと、抗原、ワクチン、ペプチドベースの新生抗原ワクチンまたはエピトープなどのペプチドとの間に共有結合を形成することによって、ペプチドコンジュゲートが調製される。
【0008】
一態様では、本開示は、式Iの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する
【化1】
(式中、
ペプチドは、ペプチドであって、(C=O)が(i)前記ペプチドのN末端、または(ii)前記ペプチドの側鎖に結合しているペプチドであり、C=Oが結合している前記側鎖の官能基はNHであり、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化2】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化3】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化4】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化5】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化6】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化7】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)。
【0009】
一態様では、本開示は、ペプチドが固相合成によって調製される、本明細書に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式(3a)
【化8】
(式中、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OZ、-NHZ、-NHAc、-COOZ、-SOCH、-SCH、-OCH
【化9】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OZおよび-C(CHOZからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化10】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化11】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化12】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化13】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化14】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
各Zは独立にHまたは保護基であり、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)
の化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、治療における使用のための、本明細書に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、治療における使用のための、本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、医薬の製造における、本明細書に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式Iの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩
【化84】

(式中、
ペプチドは、ペプチドであって、(C=O)が(i)前記ペプチドのN末端、または(ii)前記ペプチドの側鎖に結合しているペプチドであり、C=Oが結合している前記側鎖の官能基はNH であり、
1a はHまたはC ~C アルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OH、-NH 、-NHAc、-COOH、-SO CH 、-SCH 、-OCH
【化85】

およびA からなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC ~C アルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A 、-OHおよび-C(CH OHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH -、-CF -、
【化86】

、-O-、-S-、-SO -、-NH-および-CH CH -からなる群から選択され、
は、
【化87】

からなる群から選択され、
は、結合、-(CH -、-C(O)NH(CH -、
【化88】

、-[O(CH CH )] -、-[O(C ~C アルキレン)]-、-[O(CH CH )] -OCH CH CF -、-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -および-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -OCH CH CF -からなる群から選択され、
は、
【化89】

からなる群から選択され、
は、結合、-(CH -、-C(O)NH(CH -、
【化90】

、-[O(CH CH )] -、-[O(C ~C アルキレン)]-、-[O(CH CH )] -OCH CH CF -、-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -および-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -OCH CH CF -からなる群から選択され、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)。
(項目2)
式(1a)もしくは(2a)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化91-1】

【化91-2】

(式中、
各AAは独立にアミノ酸であり、(AA) は、(C=O)がペプチドのN末端に結合している前記ペプチドであり、
qは8~40の整数であり、
Dは、Hまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドであり、
Eは、OHまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドである)
を有する、項目1に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目3)
式(1b)もしくは(2b)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化92】

を有する、項目2に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目4)
1a がC ~C アルキルであり、前記アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH 、-NHAc、-COOH、-SO CH 、-SCH 、-OCH
【化93】

およびA からなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XがC ~C アルキルであり、
Yが-CH -である、
項目1から3のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目5)
1a がC ~C アルキルであり、アルキルが-SO CH で置換されている、項目1から4のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目6)
1a
【化94】

である、項目1から5のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目7)
Xがメチルである、項目1から6のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目8)
pが3である、項目1から7のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目9)
oが1である、項目1から8のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目10)
Yが-CH -である、項目1から9のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目11)
前記ペプチドが抗原である、項目1から10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目12)
前記抗原が細菌抗原またはウイルス抗原である、項目11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目13)
前記抗原がエピトープである、項目11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目14)
前記抗原が共有される腫瘍抗原である、項目11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目15)
前記抗原が個別化新生抗原である、項目11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目16)
前記ペプチドがワクチンである、項目1から10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目17)
前記ペプチドが固相合成によって調製される、項目1から16のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目18)
項目1から17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目19)
腫瘍の処置をそれを必要とする対象において行う方法であって、項目1から17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、もしくはその薬学的に許容される塩、または項目18に記載の医薬組成物を、前記それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
(項目20)
腫瘍に対してのワクチン接種をそれを必要とする対象において行う方法であって、項目1から17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、もしくはその薬学的に許容される塩、または項目18に記載の医薬組成物を、前記それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
(項目21)
前記腫瘍が固形腫瘍である、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
項目1から17のいずれか一項に記載のコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式(3a)
【化95】

(式中、
1a はHまたはC ~C アルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OZ、-NHZ、-NHAc、-COOZ、-SO CH 、-SCH 、-OCH
【化96】

およびA からなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC ~C アルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A 、-OZおよび-C(CH OZからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH -、-CF -、
【化97】

、-O-、-S-、-SO -、-NH-および-CH CH -からなる群から選択され、
は、
【化98】

からなる群から選択され、
は、結合、-(CH -、-C(O)NH(CH -、
【化99】

、-[O(CH CH )] -、-[O(C ~C アルキレン)]-、-[O(CH CH )] -OCH CH CF -、-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -および-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -OCH CH CF -からなる群から選択され、
は、
【化100】

からなる群から選択され、
は、結合、-(CH -、-C(O)NH(CH -、
【化101】

、-[O(CH CH )] -、-[O(C ~C アルキレン)]-、-[O(CH CH )] -OCH CH CF -、-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -および-C(O)NHCH CH -[O(CH CH )] -OCH CH CF -からなる群から選択され、
各Zは独立にHまたは保護基であり、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)
の化合物とコンジュゲートするステップを含む方法。
(項目23)
前記ペプチドが固相に結合させられる、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記固相から前記コンジュゲートを切断するステップをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
治療における使用のための、項目1から17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
(項目26)
治療における使用のための、項目18に記載の医薬組成物。
(項目27)
医薬の製造における、項目1から17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の具体的な実施形態を本明細書で例示し、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。詳細な説明は、本発明の例示として提供され、本発明のいずれの限定を構成するとも解釈されるべきではない。改変は当業者に自明であり、本発明の精神を逸脱しない全ての改変が、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることを意図している。
用語
【0016】
以下の定義は、定義される用語を明白にするものであり、限定するものではない。本明細書で使用される特定の用語が具体的に定義されていない場合、このような用語は不明確と解釈されるべきではない。むしろ、用語はその許容される意味の範囲内で使用される。
【0017】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分岐の飽和炭化水素を指す。例えば、アルキル基は、1~8個の炭素原子(すなわち、(C~C)アルキル)または1~6個の炭素原子(すなわち、(C~C)アルキル)または1~4個の炭素原子(すなわち、(C~C)アルキル)を有することができる。
【0018】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって誘導される2個の一価ラジカル中心を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルキレン基は、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有することができる。
【0019】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、酸素原子を通して親分子部分に結合したアルキル基を指す。
【0020】
本明細書で使用される「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって共有結合的に連結された2個またはそれよりも多いアミノ酸単位で構成される化合物を指す。ジペプチドは2個のアミノ酸残基を有し、トリペプチドは3個有し、テトラペプチドは4個有するなどである。ペプチドは、オリゴペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を含み得る。
【0021】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸、ならびにDアミノ酸およびLアミノ酸の両方を指す。「天然アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を典型的に形成する20種類の主要な天然に存在するアミノ酸のいずれかを意味する。「合成アミノ酸」は、合成的に調製されたか天然源から誘導されたかに関わらず、任意の他のアミノ酸を意味する。本明細書で使用される場合、「合成アミノ酸」は、それだけに限らないが、塩、誘導体(アミドなど)および置換を含む化学的に修飾されたアミノ酸も包含する。本開示のペプチド内に含まれるアミノ酸は、特にカルボキシ末端またはアミノ末端で、メチル化、アミド化、アセチル化または他の化学基による置換によって修飾され得る。さらに、ジスルフィド結合が本開示のペプチド中に存在しても存在しなくてもよい。
【0022】
本明細書で使用される「アミノ酸残基」という用語は、ペプチド中のアミノ酸単位を指す。
【0023】
本明細書で使用される「残基」という用語は、アミノ酸がペプチド鎖に加わってペプチド結合を形成する際、HOが放出された後に残るものを指す。
【0024】
本明細書で使用される「オリゴペプチド」という用語は、12個超で約20個未満のアミノ酸残基のペプチド鎖を指す。
【0025】
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、約20個超のアミノ酸残基のペプチド鎖を指す。
【0026】
本明細書で使用される「タンパク質」という用語は、1つまたは複数のポリペプチド鎖で構成される分子を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、製剤の他の成分と適合性であり、医薬組成物のレシピエントにとって有害でない担体(複数可)、希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)または塩形態を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと必要に応じて混和された本開示の化合物を指す。医薬組成物は、好ましくは製造および商業化目的に適したものとなるよう環境条件に対する安定性の程度を呈する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「有効量」、「治療量」または「有効用量」という用語は、所望の薬理学的効果または治療効果を惹起し、よって障害の有効な予防または処置をもたらすのに十分な有効成分の量を指す。障害の予防は、障害の進行を遅延させるまたは予防する、ならびに障害に関連する症状の開始を遅延させるまたは予防することによって現れ得る。障害の処置は、症状の減少または排除、障害の進行の抑制または逆転、ならびに患者の健康への任意の他の寄与によって現れ得る。
【0030】
有効用量は、患者の状態、障害の症状の重症度、および医薬組成物が投与される方法などの要因に応じて、変化し得る。典型的には、有効用量で投与されるためには、化合物は30mg未満の量で投与される必要がある。通常、化合物は、約1mg未満~約100μg未満、時折約10μg~100μg未満の量で投与され得る。前記有効用量は、典型的には、24時間の期間にわたって投与される一もしくは複数用量としてまたは単一用量として投与される量を表す。ヒト患者については、化合物の有効用量が、少なくとも約1μg/24時間/患者であるが、約2400μg/24時間/患者以下、通常約500μg/24時間/患者以下の量で化合物を投与することを必要とし得る。
ペプチドコンジュゲート
【0031】
一態様では、本開示は、式Iの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩
【化15】
(式中、
ペプチドは、ペプチドであって、(C=O)が(i)前記ペプチドのN末端、または(ii)前記ペプチドの側鎖に結合しているペプチドであり、C=Oが結合している前記側鎖の官能基はNHであり、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化16】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化17】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化18】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化19】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化20】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化21】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)を提供する。
【0032】
一部の実施形態では、本開示は、式1が、式(1a)もしくは(2a)の構造
【化22-1】
【化22-2】
(式中、
各AAは独立にアミノ酸であり、(AA)は、(C=O)がペプチドのN末端に結合している前記ペプチドであり、
qは8~40の整数であり、
Dは、Hまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドであり、
Eは、OHまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドであり、および
1a、X、Y、pおよびoは式Iについて定義される通りである)
を有する、式1の構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0033】
一部の実施形態では、本開示は、式1bの構造
【化23】
(式中、AAおよびqは式1aおよび2aについて定義される通りであり;
1a、X、Y、pおよびoは式Iについて定義される通りである)
を有する式1aのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0034】
一部の実施形態では、本開示は、式2bの構造
【化24】
(式中、DおよびEは式1aおよび2aについて定義される通りであり;
1a、X、Y、pおよびoは式Iについて定義される通りである)
を有する式2aのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0035】
一部の実施形態では、本開示は、(C=O)がペプチドのN末端に結合している、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。代替実施形態では、(C=O)がペプチドの側鎖に結合しており、C=Oが結合している側鎖の官能基がNHである。
【0036】
一部の実施形態では、本開示は、アミノ酸が天然アミノ酸である、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、アミノ酸が合成アミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸が天然アミノ酸または合成アミノ酸である。
【0037】
一部の実施形態では、本開示は、R1aがHである、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。代替実施形態では、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化25】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されている。一部の実施形態では、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが必要に応じて-SOCHで置換されている。一部の実施形態では、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている。より具体的な実施形態では、R1a
【化26】
である。
【0038】
一部の実施形態では、本開示は、XがHである、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。代替実施形態では、XがC~Cアルキルである。具体的な実施形態では、Xがメチルである。一部の実施形態では、XがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されている。
【0039】
一部の実施形態では、本開示は、Yが-CH-である、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0040】
一部の実施形態では、本開示は、oが0である、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、oが1である。一部の実施形態では、oが2である。一部の実施形態では、oが3である。一部の実施形態では、oが4である。
【0041】
一部の実施形態では、本開示は、pが1である、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、pが2である。一部の実施形態では、pが3である。
【0042】
一部の実施形態では、本開示は、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化27】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており;
XがC~Cアルキルであり;
Yが-CH-である、
式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0043】
一部の実施形態では、本開示は、以下の特徴:
a)R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化28】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されている;
b)XがC~Cアルキルである;
c)Yが-CH-である;
d)C1~3アルコキシがCHO-である;
e)oが1である;
f)pが3である;および
g)ペプチドが抗原またはワクチンである
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0044】
一部の実施形態では、本開示は、以下の特徴:
a)R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている;
b)XがC~Cアルキルである;
c)Yが-CH-である;
d)C1~3アルコキシがCHO-である;
e)oが1である;
f)pが3である;および
g)ペプチドが抗原またはワクチンである
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0045】
一部の実施形態では、本開示は、以下の特徴:
a)R1a
【化29】
である;
b)Xがメチルである;
c)Yが-CH-である;
d)C1~3アルコキシがCHO-である;
e)oが1である;
f)pが3である;および
g)ペプチドが抗原またはワクチンである
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
ペプチド
【0046】
本開示は、ペプチドがペプチドである、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、ペプチドがオリゴペプチドである。別の実施形態では、ペプチドがポリペプチドである。さらに別の実施形態では、ペプチドがタンパク質である。
【0047】
本開示は、ペプチドコンジュゲートのペプチドが以下:
【化30】
に示される、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、ペプチドコンジュゲートのペプチドに関連する場合の「ペプチド」になされる言及は、上記の表に示されるペプチドコンジュゲートの部分を指す。
【0048】
一部の実施形態では、ペプチドが天然アミノ酸で構成される。一部の実施形態では、ペプチドが合成アミノ酸で構成される。一部の実施形態では、ペプチドが天然アミノ酸と合成アミノ酸の両方で構成される。一部の実施形態では、ペプチドが天然アミノ酸からなる。一部の実施形態では、ペプチドが合成アミノ酸からなる。一部の実施形態では、ペプチドが天然アミノ酸と合成アミノ酸の両方からなる。
【0049】
一部の実施形態では、本開示は、ペプチドが抗原である、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、抗原が細菌抗原またはウイルス抗原である。一部の実施形態では、抗原がエピトープである。一部の実施形態では、抗原が共有される腫瘍抗原である。一部の実施形態では、抗原が個別化新生抗原である。一部の実施形態では、ペプチドがワクチンである。
【0050】
一部の実施形態では、本開示は、ペプチドが2~80個のアミノ酸、2~40個のアミノ酸、2~20個のアミノ酸または2~10個のアミノ酸で構成される、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、ペプチドが、10~80個のアミノ酸、10~40個のアミノ酸、10~30個のアミノ酸または10~25個のアミノ酸で構成される。一部の実施形態では、ペプチドが、20~80個のアミノ酸、20~40個のアミノ酸、20~30個のアミノ酸または20~25個のアミノ酸で構成される。
【0051】
一部の実施形態では、本開示は、qが2~80;2~40;2~20;または2~10の整数である、式1a、式1bのペプチドコンジュゲート、およびその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、qが8~80;8~40;8~30;8~20;または8~10の整数である。
【0052】
本開示は、DがHであり、Eが1~40個のアミノ酸である、式2a、式2bのペプチドコンジュゲート、およびその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、Dが1~40個のアミノ酸であり、EがOHである。一部の実施形態では、Dが1~20個のアミノ酸であり、Eが1~20個のアミノ酸である。一部の実施形態では、Dが1~30個のアミノ酸であり、Eが1~10個のアミノ酸である。一部の実施形態では、Dが1~10個のアミノ酸であり、Eが1~30個のアミノ酸である。
ペプチドコンジュゲートの調製
【0053】
一態様では、本開示は、ペプチドが固相合成によって調製される、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、ペプチドとTLR7アゴニストとの間の共有結合の形成がペプチドが固相に結合されているときに起こる、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、ペプチドとTLR7アゴニストとの間の共有結合の形成がペプチドが固相に結合されているときに起こり、得られたペプチドコンジュゲートが固相から切断される。
【0054】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式(3a)
【化31】
(式中、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、アルキルは、必要に応じて、-OZ、-NHZ、-NHAc、-COOZ、-SOCH、-SCH、-OCH
【化32】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており;
XはHまたはC~Cアルキルであり、アルキルは、必要に応じて、A、-OZおよび-C(CHOZからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており;
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化33】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され;

【化34】
からなる群から選択され;
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化35】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され;

【化36】
からなる群から選択され;
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化37】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され;
各Zは独立にHまたは保護基であり;
mは0~4の整数であり;
nおよびpは独立に1~4の整数であり;
oは0~4の整数である)
の化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。
【0055】
一部の具体的な実施形態では、3aの式が、式3bの構造
【化38】
(式中、R1a、X、Y、pおよびoは式3aについて定義される通りである)
を有する。
【0056】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、R1aがHである式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。代替実施形態では、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化39】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されている。一部の実施形態では、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-SOCHで置換されている。一部の実施形態では、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている。より具体的な実施形態では、R1a
【化40】
である。
【0057】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、XがHである式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。代替実施形態では、XがC~Cアルキルである。具体的な実施形態では、Xがメチルである。一部の実施形態では、XがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されている。
【0058】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、Yが-CH-である式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。
【0059】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、oが1である式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、oが0である。一部の実施形態では、oが2である。一部の実施形態では、oが3である。
【0060】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、pが1である式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、pが2である。一部の実施形態では、pが3である。
【0061】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化41】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており;
XがC~Cアルキルであり;
Yが-CH-である
式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含む方法を提供する。
【0062】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含み、式3の化合物が以下の特徴:
a)R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化42】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されている;
b)XがC~Cアルキルである;
c)Yが-CH-である;
d)C1~3アルコキシがCHO-である;
e)oが1である;および
f)pが3である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、方法を提供する。
【0063】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含み、式3の化合物が以下の特徴:
a)R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている;
b)XがC~Cアルキルである;
c)Yが-CH-である;
d)C1~3アルコキシがCHO-である;
e)oが1である;および
f)pが3である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、方法を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式3または式3bの化合物とコンジュゲートするステップを含み、式3の化合物が以下の特徴:
a)R1a
【化43】
である;
b)Xがメチルである;
c)Yが-CH-である;
d)C1~3アルコキシがCHO-である;
e)oが1である;および
f)pが3である
のうちの1つ、2つもしくは3つまたはそれよりも多くを有する、方法を提供する。
【0065】
感受性または反応性基のための保護基は、一般原則または合成化学に従って必要な場合に使用されることが十分に理解される。保護基は、有機合成の標準的な方法に従って操作される(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999)。これらの基は、当業者に容易に明らかな方法を使用して、化合物合成の好都合な段階で除去される。方法ならびに反応条件およびその実行順序の選択は、本明細書に開示のペプチドコンジュゲートおよび化合物の調製と一致するものとする。
【0066】
一部の実施形態では、Zがアミノ保護基である。アミノ保護基の非限定的な例としては、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、t-ブチルカルバメート(BOC)、ベンジルカルバメート(Cbz)、アセトアミド(Ac)、トリフルオロアセトアミド、フタルアミド、ベンジルアミン(Bn)、トリフェニルメチルアミン(トリチルアミン、Tr)、ベンジリデンアミン、p-トルエンスルホンアミド(Ts、トシルアミド)が挙げられる。
【0067】
一実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを固相に結合する、方法を提供する。別の実施形態では、本方法は、固相からコンジュゲートを切断するステップをさらに含む。
【0068】
コンジュゲートするステップは、ペプチドとTLR7アゴニストとの間に共有結合を形成することを含む。一実施形態では、TLR7アゴニストが低分子量分子であり、ポリマー種と対照的に「小分子」として公知である。一実施形態では、共有結合が、ペプチドのN末端とTLR7アゴニストの-COOH基との間で形成される。別の実施形態では、共有結合が、ペプチドの側鎖とTLR7アゴニストのCOOH基との間で形成される。より具体的な実施形態では、側鎖がアミノ基である。別の実施形態では、側鎖がリシン残基である。
医薬組成物
【0069】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物が腫瘍ワクチンである。腫瘍ワクチンは、既存の腫瘍を処置することができる、または腫瘍の発生を予防することができる。
【0070】
式I、式1a、式2a、式1bまたは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩は、単独で使用され得るが、一般的には式I、式1a、式2a、式1bまたは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩(有効成分)が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と一緒に医薬組成物の形態で投与される。適切な医薬製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、"Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs", M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載される。
【0071】
本開示は、本開示のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、薬学的に許容される担体がカルボキシメチルセルロース、生理食塩水、水または別の水溶液である。別の実施形態では、薬学的に許容される担体が水中0.1%~5%カルボキシメチルセルロースである。
【0072】
投与様式に応じて、医薬組成物は、約0.05wt%~約99wt%(重量パーセント、またはw/w%)、さらに詳細には約0.05wt%~約80wt%、なおさらに詳細には約0.10wt%~約70wt%、一層さらに詳細には約0.10wt%~約50wt%の有効成分を含み、全ての重量パーセンテージは全組成物に基づく。
【0073】
本開示はまた、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と一緒に上に定義される式I、式1a、式2a、式1bまたは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0074】
本開示はさらに、本開示の医薬組成物を調製する方法であって、前に定義される式I、式1a、式2a、式1bまたは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合するステップを含む方法を提供する。
使用方法
【0075】
ある特定の抗原に対する免疫応答は、ワクチンアジュバントとして公知である免疫増強剤の使用を通して増強することができる。免疫学的アジュバントの議論は、"Current Status of Immunological Adjuvants", Ann. Rev. Immunol., 1986, 4, pp. 369-388および"Recent Advances in Vaccine Adjuvants and Delivery Systems" by D. T. O'Hagan and N. M. Valiante, Nat. Rev. Drug Discovery, 2003, 2(9), 727-35に見出すことができる。米国特許第4,806,352号;同第5,026,543号;および同第5,026,546号の開示は、特許文献に現れるさまざまなワクチンアジュバントを記載している。これらの参考文献の各々が、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本開示は、本明細書に開示されるペプチドコンジュゲートを単独でまたは他の薬剤と組み合わせて投与することによって、ワクチンを投与する方法を提供する。別の実施形態では、合成ペプチド、細菌抗原またはウイルス抗原などの供給源からの抗原エピトープを含む本明細書に開示されるペプチドコンジュゲートの投与が、免疫応答をもたらす。他の実施形態では、本開示は、前記1つまたは複数の抗原に対する細胞媒介応答を刺激するのに有効な本明細書に開示されるペプチドコンジュゲートを含む免疫原性組成物を提供する。
【0077】
別の態様では、本明細書に開示されるペプチドコンジュゲートの使用は、抗原用量節約効果をもたらす。抗原用量節約効果において、より低い抗原用量で同じまたは類似の抗原有効性が得られる。これはまた、抗原の有効用量が低下することを意味する。これは、不十分な溶解度を有する抗原にとって要因である。不十分な溶解度によって制限される抗原は、抗原が良好な溶解度を有し、より生物学的に利用可能である場合よりも高い抗原用量を要求し得る。溶解性に乏しい抗原をコンジュゲートして式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bに開示されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩に到達することによって、より低用量で同じまたは類似の抗原有効性を得ることができる。例えば、20個またはそれよりも多いペプチドを含む、プールされた新生抗原ワクチンの製剤は、ペプチドの不十分な溶解度によって制限される。ペプチド部分がプールされた新生抗原ワクチンを含む、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩は、より高用量で投与されるコンジュゲートされていないプールされた新生抗原ワクチンと同じまたは類似の有効性を達成し得る。一実施形態では、ペプチドが抗原である本明細書に開示されるペプチドコンジュゲートの使用は、コンジュゲートされていない抗原と比較して、抗原の有効用量を低下させる。別の実施形態では、ペプチドが抗原である本明細書に開示されるペプチドコンジュゲートの使用は、コンジュゲートされていない抗原と比較して、抗原の免疫原性を増加させる。
【0078】
それを必要とする対象において障害を処置する方法における使用のための、式I、式1a、式2a、式1bもしくは式2bのペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩、あるいは前記ペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩のいずれかを含む医薬組成物が本明細書でさらに提供される。本明細書で提供される方法および使用の一部の実施形態では、障害が腫瘍である。
【0079】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象において腫瘍を処置する方法であって、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0080】
別の態様では、本開示は、腫瘍に対してのワクチン接種をそれを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0081】
本明細書で使用される固形腫瘍は、通常は嚢胞も液体領域も含まない組織の異常な塊を指す。固形腫瘍は良性または悪性であり得る。固形腫瘍は、いくつかの場所、例えば、骨、筋肉および臓器に生じ得る。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫である。肉腫は、血管、骨、脂肪組織、靭帯、リンパ管、筋肉または腱の腫瘍である。肉腫には、ユーイング肉腫および骨肉腫が含まれ、これらは共に骨がん肉腫である。横紋筋肉腫は、筋肉に見られる軟部組織肉腫である。癌腫は、上皮細胞に形成する腫瘍である。上皮細胞は、皮膚、腺および臓器の裏層に見られる。これらの臓器には、膀胱、尿管および腎臓の一部が含まれる。1つの一般的な癌腫は副腎皮質癌である。一般的な小児科固形腫瘍がんには、脳腫瘍、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、骨肉腫およびユーイング肉腫が含まれる。
【0082】
一部の実施形態では、腫瘍が固形腫瘍である。一部の実施形態では、固形腫瘍が、副腎皮質腫瘍、胞状軟部肉腫、癌腫、軟骨肉腫、結腸直腸癌、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、内分泌腫瘍、卵黄嚢腫瘍、類上皮血管内皮腫、ユーイング肉腫、胚細胞腫瘍(固形腫瘍)、肝芽腫、肝細胞癌、黒色腫、腎腫、神経芽細胞腫、非横紋筋肉腫軟部組織肉腫(NRSTS)、骨肉腫、傍脊柱肉腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫およびウィルムス腫瘍からなる群から選択される。
【0083】
一部の実施形態では、腫瘍が固形腫瘍ではない。
【0084】
別の態様では、本開示は、治療における使用のための、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0085】
別の態様では、本開示は、治療における使用のための、本明細書に記載される医薬組成物を提供する。
【0086】
別の態様では、本開示は、医薬の製造における、本明細書に記載されるペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
例示的な実施形態
【0087】
実施形態I-1.式Iの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩
【化44】
(式中、
ペプチドは、ペプチドであって、(C=O)が(i)前記ペプチドのN末端、または(ii)前記ペプチドの側鎖に結合しているペプチドであり、C=Oが結合している前記側鎖の官能基はNHであり、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化45】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化46】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化47】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化48】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化49】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化50】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
mは0~4の整数であり、
n、oおよびpは独立に1~4の整数である)。
【0088】
実施形態I-2.式(1a)もしくは(2a)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化51】
(式中、
各AAは独立にアミノ酸であり、(AA)は、(C=O)がペプチドのN末端に結合している前記ペプチドであり、
qは8~40の整数であり、
Dは、Hまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドであり、
Eは、OHまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドである)
を有する、実施形態I-1に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0089】
実施形態I-3.式(1b)もしくは(2b)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化52】
を有する、実施形態I-2に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0090】
実施形態I-4.R1aがC~Cアルキルであり、前記アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化53】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XがC~Cアルキルであり、
Yが-CH-である、
実施形態I-1からI-3のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0091】
実施形態I-5.R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている、実施形態I-1からI-4のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0092】
実施形態I-6.R1a
【化54】
である、実施形態I-1からI-5のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0093】
実施形態I-7.Xがメチルである、実施形態I-1からI-6のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0094】
実施形態I-8.pが3である、実施形態I-1からI-7のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0095】
実施形態I-9.oが1である、実施形態I-1からI-8のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0096】
実施形態I-10.Yが-CH-である、実施形態I-1からI-9のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0097】
実施形態I-11.前記ペプチドが抗原である、実施形態I-1からI-10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0098】
実施形態I-12.前記抗原が細菌抗原またはウイルス抗原である、実施形態I-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0099】
実施形態I-13.前記抗原がエピトープである、実施形態I-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0100】
実施形態I-14.前記抗原が共有される腫瘍抗原である、実施形態I-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0101】
実施形態I-15.前記抗原が個別化新生抗原である、実施形態I-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0102】
実施形態I-16.前記ペプチドがワクチンである、実施形態I-1からI-10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0103】
実施形態I-17.前記ペプチドが固相合成によって調製される、実施形態I-1からI-16のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0104】
実施形態I-18.実施形態I-1からI-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【0105】
実施形態I-19.実施形態I-1からI-16のいずれか一項に記載のコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式(3a)
【化55】
(式中、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OZ、-NHZ、-NHAc、-COOZ、-SOCH、-SCH、-OCH
【化56】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OZおよび-C(CHOZからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化57】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化58】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化59】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化60】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化61】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
各Zは独立にHまたは保護基であり、
mは0~4の整数であり、
n、oおよびpは独立に1~4の整数である)
の化合物とコンジュゲートするステップを含む方法。
【0106】
実施形態I-20.前記ペプチドが固相に結合させられる、実施形態I-19に記載の方法。
【0107】
実施形態I-21.前記固相から前記コンジュゲートを切断するステップをさらに含む、実施形態I-20に記載の方法。
【0108】
実施形態I-22.治療における使用のための、実施形態I-1からI-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0109】
実施形態I-23.治療における使用のための、実施形態I-18に記載の医薬組成物。
【0110】
実施形態I-24.医薬の製造における、実施形態I-1からI-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0111】
実施形態II-1.式Iの構造を有するペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩
【化62】
(式中、
ペプチドは、ペプチドであって、(C=O)が(i)前記ペプチドのN末端、または(ii)前記ペプチドの側鎖に結合しているペプチドであり、C=Oが結合している前記側鎖の官能基はNHであり、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化63】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OHおよび-C(CHOHからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化64】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化65】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化66】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化67】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化68】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)。
【0112】
実施形態II-2.式(1a)もしくは(2a)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化69】
(式中、
各AAは独立にアミノ酸であり、(AA)は、(C=O)がペプチドのN末端に結合している前記ペプチドであり、
qは8~40の整数であり、
Dは、Hまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドであり、
Eは、OHまたはアミノ酸または2~40個のアミノ酸を含むペプチドである)
を有する、実施形態II-1に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0113】
実施形態II-3.式(1b)もしくは(2b)、またはその薬学的に許容される塩の構造
【化70】
を有する、実施形態II-2に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0114】
実施形態II-4.R1aがC~Cアルキルであり、前記アルキルが、必要に応じて、-OH、-NH、-NHAc、-COOH、-SOCH、-SCH、-OCH
【化71】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XがC~Cアルキルであり、
Yが-CH-である、
実施形態II-1からII-3のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0115】
実施形態II-5.R1aがC~Cアルキルであり、アルキルが-SOCHで置換されている、実施形態II-1からII-4のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0116】
実施形態II-6.R1a
【化72】
である、実施形態II-1からII-5のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0117】
実施形態II-7.Xがメチルである、実施形態II-1からII-6のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0118】
実施形態II-8.pが3である、実施形態II-1からII-7のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0119】
実施形態II-9.oが1である、実施形態II-1からII-8のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0120】
実施形態II-10.Yが-CH-である、実施形態II-1からII-9のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0121】
実施形態II-11.前記ペプチドが抗原である、実施形態II-1からII-10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0122】
実施形態II-12.前記抗原が細菌抗原またはウイルス抗原である、実施形態II-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0123】
実施形態II-13.前記抗原がエピトープである、実施形態II-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0124】
実施形態II-14.前記抗原が共有される腫瘍抗原である、実施形態II-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0125】
実施形態II-15.前記抗原が個別化新生抗原である、実施形態II-11に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0126】
実施形態II-16.前記ペプチドがワクチンである、実施形態II-1からII-10のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0127】
実施形態II-17.前記ペプチドが固相合成によって調製される、実施形態II-1からII-16のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0128】
実施形態II-18.実施形態II-1からII-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【0129】
実施形態II-19.腫瘍の処置をそれを必要とする対象において行う方法であって、実施形態II-1からII-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、もしくはその薬学的に許容される塩、または実施形態II-18に記載の医薬組成物を、前記それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【0130】
実施形態II-20.腫瘍に対してのワクチン接種をそれを必要とする対象において行う方法であって、実施形態II-1からII-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、もしくはその薬学的に許容される塩、または実施形態II-18に記載の医薬組成物を、前記それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【0131】
実施形態II-21.前記腫瘍が固形腫瘍である、実施形態II-19または20に記載の方法。
【0132】
実施形態II-22.実施形態II-1からII-17のいずれか一項に記載のコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を作製する方法であって、ペプチドを、式(3a)
【化73】
(式中、
1aはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、-OZ、-NHZ、-NHAc、-COOZ、-SOCH、-SCH、-OCH
【化74】
およびAからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
XはHまたはC~Cアルキルであり、前記アルキルは、必要に応じて、A、-OZおよび-C(CHOZからなる群から選択される1~3個の置換基で置換されており、
Yは、結合、-CH-、-CF-、
【化75】
、-O-、-S-、-SO-、-NH-および-CHCH-からなる群から選択され、
は、
【化76】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化77】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
は、
【化78】
からなる群から選択され、
は、結合、-(CH-、-C(O)NH(CH-、
【化79】
、-[O(CHCH)]-、-[O(C~Cアルキレン)]-、-[O(CHCH)]-OCHCHCF-、-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-および-C(O)NHCHCH-[O(CHCH)]-OCHCHCF-からなる群から選択され、
各Zは独立にHまたは保護基であり、
mは0~4の整数であり、
nおよびpは独立に1~4の整数であり、
oは0~4の整数である)
の化合物とコンジュゲートするステップを含む方法。
【0133】
実施形態II-23.前記ペプチドが固相に結合させられる、実施形態I-22に記載の方法。
【0134】
実施形態II-24.前記固相から前記コンジュゲートを切断するステップをさらに含む、実施形態I-23に記載の方法。
【0135】
実施形態II-25.治療における使用のための、実施形態II-1からII-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩。
【0136】
実施形態II-26.治療における使用のための、実施形態I-18に記載の医薬組成物。
【0137】
実施形態II-27.医薬の製造における、実施形態II-1からII-17のいずれか一項に記載のペプチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【実施例
【0138】
以下の実施例は本開示を例示するために提供され、これを限定するものと解釈されるべきでない。これらの実施例では、別段の指示がない限り、全ての部およびパーセンテージは重量による。実施例中の略語を以下に述べる。
【表1】
化学合成実施例
(合成実施例1)
ペプチドコンジュゲートにおける使用のための、TLR7アゴニスト、化合物1の合成
(実施例1a)
TLR7アゴニスト、化合物1の合成
【0139】
この実施例は、化合物1、(S)-2-(3-((2-アミノ-4-メチル-6-((1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)酢酸の調製を記載する。いったん得られたら、このTLR7アゴニストを、任意のアミノ酸のアルファ-アミノ基またはリシンの側鎖アミノ基上にコンジュゲートすることができる。
【化80】
ステップ1:メチル3-ヒドロキシ-2-メチレンブタノエート
【0140】
1:1ジオキサン/水(8.5M)中アクリル酸メチル(1.0当量)、アセトアルデヒド(3.0当量)およびDABCO(1.0当量)の混合物をr.t.で一晩撹拌した。混合物をDCM/水に分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮し、シリカフラッシュクロマトグラフィー(溶離液PE/EA=100:1~2:1)によって精製して、標題化合物を得た。
ステップ2:メチル2-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-3-オキソブタノエート
【0141】
MeCN(0.44M)中2-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1.0当量)、メチル3-ヒドロキシ-2-メチレンブタノエート(2.0当量)、PdCl(P(o-tol)(0.03当量)、TEA(2.0当量)の混合物を70℃で一晩撹拌した。混合物をEA/水に分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮し、シリカフラッシュクロマトグラフィー(溶離液PE/EA=100:1~2:1)によって精製して、標題化合物を得た。
ステップ3:2-(3-((2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル
【0142】
メチル2-(5-(シアノメチル)-2-メトキシベンジル)-3-オキソブタノエート(1.0当量)、MeOH(0.46M)中炭酸グアニジン(1.0当量)の混合物を65℃で一晩撹拌した。r.t.に冷却した後、反応混合物を濾過した。濾過ケークを真空下で乾燥させて、標題化合物を得た。
ステップ4:2-(3-((2-アミノ-4-クロロ-6-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル
【0143】
2-(3-((2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1.0当量)のPOCl(0.9M)中溶液を、N下100℃で16時間撹拌した。反応混合物をr.t.に冷却し、POClを減圧下で蒸発させた。残渣を水で希釈した。固体NaHCOを添加することによって、pH値を8に調整した。次いで、混合物を50℃で1時間撹拌し、r.t.に冷却し、沈殿を濾過によって回収した。濾過ケークを水で洗浄し、真空中で乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た。
ステップ5:(S)-2-(3-((2-アミノ-4-メチル-6-((1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル
【0144】
NMP(1.7M)中2-(3-((2-アミノ-4-クロロ-6-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1.0当量)および(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミン(1.5当量)の混合物を、窒素下120℃で16時間撹拌した。混合物を水で希釈し、水相をEAで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=50:1)によって精製して、標題化合物を黄色固体として得た。
ステップ6:(S)-2-(3-((2-アミノ-4-メチル-6-((1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル
【0145】
(S)-2-(3-((2-アミノ-4-メチル-6-((1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1当量)の1:1:1 THF/MeOH/HO(0.2M)中溶液に、r.t.でオキソン(1.2当量)を小分けで添加した。反応物をr.t.で2時間撹拌し、次いで、DCMで希釈した。有機層を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮して、淡黄色固体を得て、これを次のステップに直接使用した。
ステップ7:(S)-2-(3-((2-アミノ-4-メチル-6-((1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)酢酸
【0146】
(S)-2-(3-((2-アミノ-4-メチル-6-((1-(メチルスルホニル)ヘプタン-3-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-4-メトキシフェニル)アセトニトリル(1.0当量)の1:1 MeOH/HO(0.1M)中溶液に、KOH(7.5当量)を添加した。反応物を120℃で4時間撹拌した。溶媒を除去し、HClを添加してpH9を達成した。混合物を分取HPLC(0.1%NH.HO/CHCN)によって精製して、標題化合物1を淡黄色固体として得た。
LCMS:[M+H]=479.3
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.16 (dd, J = 8.4, 2.0 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.30-4.22 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.77-3.68 (m, 2H), 3.32 (s, 2H), 2.91-2.70 (m, 5H), 2.32 (s, 3H), 2.08-1.95 (m, 1H), 1.81-1.69 (m, 1H), 1.56-1.05 (m, 6H), 0.83 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
(実施例1b)
化合物中間体(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミンの合成
【0147】
以下のスキームは、上記のTLR7アゴニスト(化合物1)の調製に使用される、化合物中間体(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミンの合成を記載する。
【化81】
ステップ1:tert-ブチル(E)-ヘプタ-2-エノエート
【0148】
ペンタナール(1.0当量)およびTHF(1M)中tert-ブチル2-(トリフェニル-λ-ホスファニリデン)アセテート(1.05当量)の混合物を50℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、PEを添加した。固体を濾別し、濾液を蒸発乾固した。粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=100:1)によって精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。
ステップ2:tert-ブチル(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタノエート
【0149】
-78℃の(S)-N-ベンジル-1-フェニルエタン-1-アミン(1.3当量)のTHF(0.9M)中溶液に、2.5M n-BuLi(1.2当量)を20分間にわたって滴加した。混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで、THF(0.7M)中tert-ブチル(E)-ヘプタ-2-エノエート(1.0当量)を滴加した。得られた混合物を-78℃で30分間撹拌し、次いで、NHCl水溶液でクエンチし、EAで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=100:1)によって精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。
ステップ3:(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタン-1-オール
【0150】
0℃のtert-ブチル(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタノエート(1.0当量)の無水THF(0.4M)中溶液に、LiAlH(1.6当量)を少しずつ添加した。添加後、混合物をr.t.で5時間撹拌した。混合物を1.0M NaOH溶液でクエンチし、濾過し、濾液をEAで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=5:1)によって精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。
ステップ4:(S)-3-アミノヘプタン-1-オール
【0151】
(S)-3-(ベンジル((S)-1-フェニルエチル)アミノ)ヘプタン-1-オール(1.0当量)のMeOH(0.1M)中溶液を、H雰囲気下、Pd/C(10%wt)の存在下で、50℃で48時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物を褐色油状物として得た。
ステップ5:tert-ブチル(S)-(1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)カルバメート
【0152】
0℃の(S)-3-アミノヘプタン-1-オール(1.0当量)の1:1 ジオキサン/HO(0.5M)中溶液に、NaOH(1.2当量)およびBocO(1.2当量)を添加し、rtに加温した。反応が完了した後、混合物をHO/EAに分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=3:1)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た。
ステップ6:(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘプチルメタンスルホネート
【0153】
DCM(0.4M)中tert-ブチル(S)-(1-ヒドロキシヘプタン-3-イル)カルバメート(1.0当量)およびTEA(1.2当量)の混合物に塩化メタンスルホニル(1.1当量)を滴加し、0℃で1時間撹拌した。得られた混合物をEAと水に分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、標題化合物を褐色油状物として得た。
ステップ7:tert-ブチル(S)-(1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)カルバメート
【0154】
DMF(0.7M)中(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘプチルメタンスルホネート(1.0当量)およびMeSNa(2.0当量)の混合物を70℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEAと水に分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE~PE/EA=10:1)によって精製して、標題化合物を黄色がかった油状物として得た。
ステップ8:(S)-1-(メチルチオ)ヘプタン-3-アミン
【0155】
tert-ブチル(S)-(1-(メチルチオ)ヘプタン-3-イル)カルバメート(1.0当量)のDCM(0.5M)中溶液に、過剰な4M HCl/ジオキサン(1/3体積当量)を添加した。得られた混合物をr.t.で16時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOで粉砕し、沈殿した固体を濾過によって回収して、標題化合物を白色固体(HCl塩)として得た。LC-MS: [M+H]+ = 162 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.43 (br s, 3H), 3.41-3.38 (m, 1H), 2.71 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.13 (s, 3H), 2.11-2.03 (m, 1H), 2.00-1.91 (m, 1H), 1.82-1.66 (m, 2H), 1.52-1.32 (m, 4H), 0.92 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
(合成実施例2)
TLR7アゴニストとアミノ酸のコンジュゲーション
【0156】
この実施例は、HATU化学を使用した、TLR7アゴニストである化合物1(合成実施例1)とアラニンのアルファ-アミノ基のコンジュゲーションを実証する。
【化82】
【0157】
化合物1(1.0当量)のDMF(0.04M)中溶液に、室温でエチルL-アラニネート塩酸塩(1.0当量)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU、2.0当量)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、4.0当量)を添加した。反応物を窒素下で4時間撹拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮した。粗生成物を2:1 MeOH/HO(0.04M)に溶解し、過剰なNaOH(30.0当量)を添加した。反応物を80℃で2時間撹拌した。反応混合物を分取HPLC(0.1%NH/CHCN/HO)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た。
LCMS:[M+1]=550
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.18 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 6.98 (d, J =8.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.45-4.35 (m, 1H), 4.17-4.11 (m, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.85-3.74 (m, 2H), 3.41 (s, 2H), 3.01-2.80 (m, 5H), 2.32 (s, 3H), 2.09-2.01 (m, 1H), 1.92-1.83 (m, 1H), 1.58-1.44 (m, 2H), 1.32-1.05 (m, 7H) , 0.83 (t, J = 6.8 Hz, 3H).
(合成実施例3)
TLR7アゴニストとアミノ酸側鎖のコンジュゲーション
【0158】
この実施例は、NHSエステル化学を使用した、TLR7アゴニストである化合物1(合成実施例1)とリシンの側鎖アミノ基のコンジュゲーションを実証する。
【化83】
【0159】
化合物1(1.0当量)のDMF(0.36M)中溶液および1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(2当量)に、r.t.でDCC(2.0当量)を添加した。反応物を窒素下r.t.で16時間撹拌した。固体を濾別した。濾液をEAで希釈し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=10:1)によって精製して、NHSエステルを得た。NHSエステルを、r.t.で2:1 HO/THF中アセチル-L-リシン(15当量)と反応させた。反応は急速に進行し、5分以内に完了した。混合物を分取HPLC(移動相:NH/CHCN/HO)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た。
LCMS:[M+1]=649
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.18 (dd, J = 8.4 Hz 2.0 Hz, 1H), 6.97 (d, J =8.4 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.46-4.40 (m, 1H), 4.23 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.85-3.74 (m, 2H), 3.33 (s, 2H), 3.20-2.80 (m, 7H), 2.29 (s, 3H), 2.15-201 (m, 1H), 1.98 (s, 3H), 1.95-1.69 (m, 3H), 1.62-1.05 (m, 10H), 0.83 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
(合成実施例4)
ペプチドコンジュゲーション
【0160】
この実施例は、マウスエピトープおよび合成実施例1に記載されるTLR7アゴニスト(化合物1)に基づくペプチドコンジュゲートの調製を記載する。
1.ペプチド配列
【0161】
以下は、ペプチドコンジュゲートに使用される12個のBalb/c H-2エピトープのリストである。エピトープはIEDB(http://www.iedb.org)から予測される。
【表2】
1) マウスMHC複合体はH-2と呼ばれる
2) 3つのMHCクラスI遺伝子座: H-2D、H-2KおよびH-2Lが存在する
3) 2つのMHCクラスII遺伝子座: H-2IAおよびH-2IEが存在する
4) 遺伝子が多型であるので、対立遺伝子は上付き文字で示される(例えば、Balb/cのH-2Dd)
5) 近交系マウスは、全ての遺伝子座について同じ対立遺伝子名を有する(例えば、Balb/cについてH-2d)
6) 全ての系統が全ての遺伝子座を有するわけではない(例えば、C57 Black/6はH-2Db、H-2KbおよびH-2IEbのみを有する)。これらは他の対立遺伝子についてヌルである
7) 最小エピトープは太字で強調される(クラスIIエピトープは通常、クラスIエピトープよりも長い)
2.ペプチドコンジュゲーション
【0162】
全てのペプチド合成が、標準的な固相ペプチド法に従った。示される具体的な配列については、Fmoc化学を使用し、カップリング試薬はHBTUとした。化合物1のコンジュゲーションを樹脂切断の直前にN末端で行った。例として、コンジュゲーションステップに使用される条件は、以下である:
・1~2当量の合成実施例1からの化合物1
・等しい当量のHBTU
・溶媒はDMFである
・反応はr.t.で一晩行われる
・樹脂切断後の純度は80%超である。
【0163】
ペプチドコンジュゲートを、C18カラムを使用して分取HPLCによって精製した。移動相は、AにおいてBを増加させる適切な勾配からなる(A=HO中0.05%TFA;B=CHCN中0.05%TFA)。ペプチドおよびコンジュゲートされたペプチドの特性評価を以下に示す:
【表3-1】
【表3-2】
(*)は、TLR7アゴニストである化合物1(合成実施例1)のペプチドコンジュゲートを示す
分析的HPLCはC18カラムで構成さ、移動相勾配0~80%、0.05%TFA/HOにおける0.05%TFA/MeCN
c質量分析データはApplied Biosystem Voyager 1099(正極性)で収集した
生物学的実施例
(生物学的実施例1)
HEK TLR7アッセイ
【0164】
この実施例は、TLR7アゴニストである化合物1が、アミノ酸とのコンジュゲーション(合成実施例2および3に記載されるコンジュゲート)後でさえTLR7アゴニスト活性を維持することを実証する。
【0165】
HEK-Blue(商標)TLR7細胞をInvitrogen(サンディエゴ、カリフォルニア)から購入した。以下の説明は製品情報シートから取った。
【0166】
「HEK-Blue(商標)hTLR7細胞は、NF-kBの活性化をモニタリングすることによって、ヒトTLR7(hTLR7)の刺激を試験するために設計されている。HEK-Blue(商標)hTLR7細胞は、hTLR7遺伝子および最適化分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子のHEK293細胞へのコトランスフェクションによって得られた。SEAPレポーター遺伝子は、5つのNF-kBおよびAP-1結合部位に融合したIFN-b最小プロモーターの制御下に置かれる。TLR7リガンドによる刺激がNF-kBおよびAP-1を活性化し、それによってSEAPの産生が誘導され、これがHEK-Blue(商標)検出細胞培養培地によって検出される。」
【0167】
典型的なアッセイプロトコールは以下のステップを含んでいた:
1.細胞を製品情報シートに従って培養した。
2.DMSO中10mM化合物ストックを最初に3mMに希釈し、次いで、DMSOを使用して3倍段階希釈して、10pt希釈を得た。
3.さらなる20倍希釈のために3μlの希釈DMSOを57μlのHEK-Blue(商標)検出培地に添加した。
4.10μlのアッセイ培地中希釈化合物を、384ウェルプレート中の40μlの細胞培養物(HEK-Blue(商標)検出培地中)に添加した。最終細胞濃度=細胞8000個/ウェル。
5.プレートを、37℃、5%CO2で16時間インキュベートした。620~655nmで分光光度計を使用してSEAPを決定した。
【0168】
以下の表は、HEK-TLR7活性の結果を要約している。
【表4】
【0169】
HEK-TLR7データは、化合物1のTLR7アゴニスト活性が、アルファ位または側鎖(例えば、リシン)のいずれかでのアミノ酸との共有結合コンジュゲーション後であっても維持されることを実証している。
(生物学的実施例2)
免疫原性試験
【0170】
この予言的な実施例は、マウスにおいてペプチドコンジュゲート(AP)を、ペプチドおよび公知のアジュバントの混和物(AP-p)、およびペプチド単独(AP)と比較する実験を記載する。
【数1】
【0171】
Balb/cマウスの免疫化後に、ペプチド-TLR7コンジュゲート(AP)のT細胞刺激能力を、コンジュゲートされていないペプチド単独(AP)またはポリI:Cと混和したコンジュゲートされていないペプチド(AP-p)と比較する。12個の異なるエピトープ(AP1~AP12)を合わせて、2つのワクチン製剤にし(それぞれ6つのペプチド)、指示される用量で6~8週齢の雌Balb/cマウスを免疫化するために使用する(0日目および14日目に2回i.m.)。対照動物をワクチン緩衝剤単独で免疫化する。試験の21日目に、動物を屠殺し、脾臓を採取し、ホモジナイズして、脾細胞の単一細胞懸濁物を得る。脾細胞をex vivoで、培地単独、各個々のコンジュゲートされていないペプチド、または12個全てのコンジュゲートされていないペプチドのプールで再刺激する。培養後、細胞を、CD3、CD4およびCD8に対する蛍光標識抗体で染色して、T細胞サブセットを特定する。次に、IFN-gおよびTNF-aに特異的な蛍光標識抗体を使用して、フローサイトメトリーによって、各ペプチドの個々に、およびプール全体に応答するT細胞の頻度を決定する。
【0172】
マウスのワクチン投与を以下に要約する:
【表5】
(生物学的実施例3)
化合物1-ペプチドコンジュゲートのHEK TLR7活性
【0173】
この実施例は、化合物1 TLR7アゴニストにコンジュゲートしたペプチド(20~30アミノ酸長)が、TLR7細胞活性を示すことを実証する。化合物1の非存在下では、「裸の」対応するペプチドは、測定可能なTLR7活性を示さない。
【表6】
(*)は、TLR7アゴニストである化合物1(実施例1)のペプチドコンジュゲートを示す
均等物
【0174】
本発明を上に示される具体的な実施形態と合わせて説明してきたが、その多くの代替、改変およびその他の変形が当業者に明らかである。このような代替、改変および変形の全てが本発明の精神および範囲内に入ることが意図されている。
【配列表】
0007339285000001.app