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▶ セント・ジュード・メディカル・インターナショナル・ホールディング・エスエーアールエルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】1つのファイバの力及び形状感知
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230829BHJP
   G01L 1/24 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
A61B18/14
G01L1/24 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020568285
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2019054787
(87)【国際公開番号】W WO2019234714
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】62/682,517
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/719,811
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516134383
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・インターナショナル・ホールディング・エスエーアールエル
【氏名又は名称原語表記】St. Jude Medical International Holding S.a,r.l.
【住所又は居所原語表記】Regus Center, 26, boulevard Royal,L-2449 Luxembourg,Luxembourg
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トロイ ティー. テッグ
(72)【発明者】
【氏名】ジェィコブ ジェー. ダリー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/015257(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/118949(WO,A1)
【文献】特表2012-514514(JP,A)
【文献】特表2016-512715(JP,A)
【文献】特表2016-514490(JP,A)
【文献】特開2017-131659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端電極と、
少なくとも1つのファイバ支持管中心を備えるカプラであって、前記カプラの遠位部分は前記先端電極の近位部分に接続される、前記カプラと、
複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、
を備え、
前記ファイバ支持管の近位部分は、少なくとも1つの前記ファイバ支持管中心に接続される、先端アセンブリ。
【請求項2】
前記先端電極は、フレックス電極を備える、請求項1に記載の先端アセンブリ。
【請求項3】
前記カプラは、前記カプラの遠位端に接続された灌注バランス板をさらに備える、請求項1又は2に記載の先端アセンブリ。
【請求項4】
前記灌注バランス板は、少なくとも1つのプレート灌注貫通孔を備える、請求項3に記載の先端アセンブリ。
【請求項5】
前記マルチコアファイバは、少なくとも4つのコアファイバを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
【請求項6】
前記先端アセンブリは、前記カプラの近位端に接続された流体キャップをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
【請求項7】
前記流体キャップは、中央チャネルを備え、
前記マルチコアファイバは、前記中央チャネルを通る、請求項6に記載の先端アセンブリ。
【請求項8】
前記先端アセンブリは、前記流体キャップに接続された灌注ルーメンをさらに備える、請求項6又は7に記載の先端アセンブリ。
【請求項9】
前記マルチコアファイバは、前記灌注ルーメン内に設けられる、請求項8に記載の先端アセンブリ。
【請求項10】
複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、
第1のファイバ支持管中心を備えるカプラと、
第2のファイバ支持管中心を備えるフレックス先端と、
を備え、
前記フレックス先端は、前記カプラの遠位部分に接続され、
前記ファイバ支持管は、前記第1のファイバ支持管中心及び前記第2のファイバ支持管中心に接続される、先端アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のファイバ支持管中心は、複数のセンタリング突出部を備える、請求項10に記載の先端アセンブリ。
【請求項12】
前記カプラは、内面をさらに含み、
前記複数のセンタリング突出部の各々は、突出部外面を備え、
前記突出部外面は、前記カプラの前記内面と相互作用するように構成される、請求項11に記載の先端アセンブリ。
【請求項13】
前記ファイバ支持管は、支持管スロットをさらに備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
【請求項14】
前記支持管スロットは、前記ファイバ支持管において、螺旋スロットを備える、請求項13に記載の先端アセンブリ。
【請求項15】
カプラスロットは、前記カプラにおいて、螺旋スロットを備え、
前記カプラは、前記カプラスロット内にカプラシール材をさらに備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
【請求項16】
前記ファイバ支持管の遠位端は、前記第2のファイバ支持管中心に接続され、
前記ファイバ支持管の近位端は、前記第1のファイバ支持管中心に接続される、請求項10~15のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
【請求項17】
先端アセンブリであって、
複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、
第1のファイバ支持管中心を備えるカプラと、
中央チャネルと少なくとも1つの電気チャネルとを備える流体キャップであって、前記カプラの近位端に接続される前記流体キャップと、
前記流体キャップに接続された灌注ルーメンと、
前記カプラの遠位部分に接続された先端電極と、
を備え、
前記マルチコアファイバは、前記灌注ルーメンの内部に設けられ、
前記第1のファイバ支持管中心及び第2のファイバ支持管中心は、前記先端アセンブリの内部に設けられ、
前記ファイバ支持管は、前記第1のファイバ支持管中心及び前記第2のファイバ支持管中心に接続される、先端アセンブリ。
【請求項18】
前記ファイバ支持管の遠位端は、前記第2のファイバ支持管中心に接続され、
前記ファイバ支持管の近位端は、前記第1のファイバ支持管中心に接続される、請求項17に記載の先端アセンブリ。
【請求項19】
前記先端電極は、フレックス電極を備える、請求項17に記載の先端アセンブリ。
【請求項20】
前記マルチコアファイバは、前記先端電極の内部に設けられる、請求項17~19のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月8日に出願された米国仮出願第62/682,517号、及び2018年8月20日に出願された米国仮出願第62/719,811号の優先権を主張し、これらの両方は、本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療デバイスに関し、特に、身体内で視覚化され、医療デバイスの遠位部分との組織接触に関する応答フィードバックを提供することができる介入カテーテル及び/又は外科用カテーテル、及び、他の細長い医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
心周期において、人間の心臓は、洞結節から心室まで移動する電気インパルスを経験する。電流が心臓全体に広がるにつれて、分極及び脱分極のサイクルによって心臓収縮が引き起こされる。健康な心臓では、洞調律と呼ばれる脱分極波の規則正しい進行が起こる。例えば、異所性心房頻拍、心房細動、及び心房粗動を含む、心房性不整脈を経験するような不健康な心臓では、脱分極波の進行は無秩序になる。不整脈は、瘢痕組織、又は急速で均一な脱分極に対する他の障害の結果として、持続する場合がある。これらの障害は、脱分極波が心臓の複数の部分を2回以上に亘って電気的に循環する原因となる可能性がある。心房性不整脈は、不規則な心拍数、同期した房室収縮の喪失、及び血流の停滞を含む、様々な危険状態を作り出す場合がある。これらの状態の全ては、死を含む様々な病気に関連している。
【0004】
カテーテルは、例えば、異所性心房頻拍、心房細動、及び心房粗動を含む、心房性不整脈などの状態を診断及び是正するために、様々な診断及び/又は治療の医療処置において使用される。典型的には、心房細動の治療において、カテーテルは、マッピング、アブレーション、診断、又は他の治療に使用され得る1つ又は複数の電極を担持しながら患者の血管系を介して患者の心臓まで操作される。心房細動の症状を緩和するためにアブレーション療法が所望される場合、アブレーションカテーテルは、心臓組織にアブレーションエネルギーを付与して、心臓組織に損傷を作り出す。損傷した組織は、電気信号を伝達する能力が低いため、望ましくない電気経路を途絶させ、不整脈につながる迷走電気信号を制限又は防止することができる。アブレーションカテーテルは、例えば、無線周波数(RF)、凍結アブレーション、レーザ、化学薬品、及び高密度集点式超音波を含むアブレーションエネルギーを利用することができる。アブレーション療法は、アブレーションカテーテルの正確な位置決めと、標的心筋組織への最適なアブレーションエネルギーの伝達のための精密な圧力印加と、を必要とすることが多い。アブレーションカテーテル先端と標的心筋組織との間に過剰な力が加わると、心筋及び/又は周囲の神経に回復不能な損傷を与える可能性がある過度のアブレーションをもたらす場合がある。アブレーションカテーテル先端と標的心筋組織との間の接触力が目標の力を下回ると、アブレーション療法の効力は、低減されるか、又は完全に無効になる場合がある。
【0005】
アブレーション療法は、損傷ラインを形成するために、制御された方法で何度も個々のアブレーションを行うことによって実施されることが多い。損傷ラインに沿った個々のアブレーションの統一性を向上させるには、個々のアブレーションが行われる位置と、アブレーション時間と、アブレーションカテーテル先端と標的組織との間の接触力と、を正確に制御することが望ましい。これらの要因のすべてが、結果として生じる損傷ラインの統一性に影響を及ぼす。カテーテル位置特定システムは、マッピングシステムと共に、アブレーションのためにアブレーションカテーテル先端を正確に位置決めし、治療の有効性を決定する臨床医の能力を大幅に改善させてきた。同様に、アブレーション制御回路は、個々のアブレーション治療の整合性を改善してきた。心筋組織とアブレーションカテーテル先端との間に加えられる力を測定しようとするデバイスが存在する。既存の設計は、アブレーションカテーテル先端に加えられる力に応じて変形する変形可能な本体を有するアブレーションカテーテル先端を利用する。センサ(例えば、磁気、光学センサ等)は、変形可能な本体の変形を近似し、その変形をアブレーションカテーテル先端によって加えられる力と関連付ける信号を制御回路に出力するために使用される。しかしながら、既存の変形可能な本体設計は、主に、カテーテルの近位端への測定信号の取得及び送達に関連する複雑さ及びコストの両方に悩まされている。
【0006】
上述した説明は、本発明の技術分野を例示することのみを意図しており、特許請求の範囲を否定するものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、医療デバイスに関し、特に、身体内で視覚化され、医療デバイスの遠位部分と組織との接触に関する応答フィードバックを提供することができる介入カテーテル及び/又は外科用カテーテル、及び、他の細長い医療デバイスに関する。
【0008】
一実施形態では、先端アセンブリは、先端電極と、少なくとも1つのファイバ支持管中心を備えるカプラと、を備えてよい。カプラの遠位部分は、先端電極の近位部分に接続されてよい。先端アセンブリは、さらに、複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバを備えてもよい。ファイバ支持管の近位部分は、少なくとも1つのファイバ支持管中心に接続されてよい。
【0009】
別の実施形態では、先端アセンブリは、複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、第1のファイバ支持管中心を備えるカプラと、第2のファイバ支持管中心を備えるフレックス先端と、を備えてよい。フレックス先端は、カプラの遠位部分に接続されてよく、ファイバ支持管は、第1のファイバ支持管中心及び第2のファイバ支持管中心に接続されてよい。
【0010】
さらに別の実施形態では、先端アセンブリは、複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、第1のファイバ支持管中心を備えるカプラと、中央チャネル及び少なくとも1つの電気チャネルを備える流体キャップであって、カプラの近位端に接続される流体キャップと、流体キャップに接続された灌注ルーメンと、カプラの遠位部分に接続された先端電極と、を備えてよい。マルチコアファイバは、灌注ルーメンの内部に設けられてよく、第1のファイバ支持管及び第2のファイバ支持管は、先端アセンブリの内部に設けられてよく、ファイバ支持管は、第1のファイバ支持管中心及び第2のファイバ支持管中心に接続されてよい。
【0011】
本開示の前述及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読むこと、ならびに添付の図面を検討することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】介入医療処置を実施するために使用され得るシステムの概略図である。
【0013】
図2】力検知システムの一実施形態の図である。
【0014】
図3A】マルチコアファイバの別の実施形態の等角図である。
図3B】マルチコアファイバの別の実施形態の等角図である。
【0015】
図3C図3A及び図3Bのマルチコアファイバの端面図である。
【0016】
図4】マルチコアファイバを備える先端アセンブリの一実施形態の等角図である。
【0017】
図5図4の先端アセンブリの等角断面図である。
【0018】
図6図4及び図及び5の先端アセンブリの等角断面図である。
【0019】
図7】先端アセンブリの一実施形態の等角断面図である。
【0020】
図8】力本体、流体キャップ、及びマルチコアファイバの一実施形態の等角図である。
【0021】
図9図8の力本体とマルチコアファイバの等角図である。
【0022】
図10】力本体の一実施形態のいくつかの要素の等角図である。
【0023】
図11図10の力本体のいくつかの要素の等角図である。
【0024】
図12図10及び図11の力本体のいくつかの要素の等角図である。
【0025】
図13】流体キャップの一実施形態の等角図である。
【0026】
図14】マルチコアファイバを備える先端アセンブリの一実施形態の等角分解図である。
【0027】
図15】マルチコアファイバの一実施形態の側面図である。
【0028】
図16】マルチコアファイバの一実施形態の断面図である。
【0029】
図17】力本体及びマルチコアファイバの一実施形態の断面図である。
【0030】
図18】マルチコアファイバ内の3本のファイバのひずみのグラフである。
【0031】
図19A】マルチコアファイバを備える屈曲構造の一実施形態の等角図である。
【0032】
図19B図19Aに示す屈曲構造の実施形態の側面図である。
【0033】
図19C】屈曲構造を備える先端アセンブリの一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明では、代表的な例を示す添付図面への参照がなされる。本開示の請求の範囲から逸脱することなく、構造的変更及び/又は動作的変更がなされ得るので、他の実施形態及び実装形態を利用され得ることが理解されるべきである。適宜、本明細書全体を通して同様の参照符号が使用される。
【0035】
本開示は、概して医療デバイスに関する。身体内で視覚化され、かつ医療デバイスの遠位部分と組織の接触に関する応答フィードバックを提供可能な介入カテーテル及び/又は外科用カテーテル、導入器、及び、他の細長い医療デバイスに関するデバイス及び技術が開示される。
【0036】
一実施形態では、カテーテル又は他の細長い医療デバイスは、遠位力感知機能及び細長い本体形状の感知機能を備える。一実施形態では、遠位力感知機能及び細長い本体形状の感知機能は、光感知技術を用いて実施される。そのような光学的感知技術は、例えば、ファイバブラッググレーティング(FBG)形状検知、及び、光干渉計遠位力感知のような、異なる光学的技術を含み得る。しかしながら、光導管(例えば、光ファイバ、ファイバコアなど)を使用する本明細書で説明される実施形態は、実装された力感知技術及び形状感知技術が同じであるのか異なるのかにかかわらず、力感知機構及び形状感知機構の用途でそのような光導管を介して光を伝導する光学的技術であれば、どんなものでも利用することができる。
【0037】
本明細書に記載される代表的な実施形態はまた、カテーテル又は他の細長い本体のうちのいくつか又はすべてを通して光導管を提供するために、マルチコアファイバを実装することを含む。
【0038】
図1は、身体14に対する介入医療処置において使用され得る代表的なシステム10を図示する。本明細書の説明は、特定の代表的な医療処置及び/又は身体14の器官に関してなされる場合があるが、本明細書で説明される主体は、他の処置及び身体の器官に等しく適用可能であることが理解されるべきである。例えば、説明の一部は、心臓への処置に関して、及び/又は人間の心臓に関わる心内膜処置に関して説明される場合があるが、本明細書で説明される主体は、心外膜処置、腎臓に関わる腎臓除神経処置又は他の処置、脈管処置などのような他の介入処置に等しく適用可能である。
【0039】
図1を参照すると、システム10は、カテーテル19、導入器、又は他の介入デバイス又は外科用デバイスのような医療デバイスを含み、デバイスの少なくとも一部は身体14内に配置される。代表的なカテーテル19は、身体14内の心臓空間内に示されたカテーテル電極アセンブリ11を含む。電極アセンブリ11は、カテーテル19又は他の医療デバイスの一部として含まれ、例えば、身体14内で、組織13(例えば心臓組織又は他の組織)の診断、可視化、及び/又は治療のために使用されてよい。例えば、電極アセンブリ11は、患者の身体14内で、組織13のアブレーション治療及び/又はマッピングの目的で使用されてよい。
【0040】
図1はさらに、システム10全体に含まれる様々な代表的なサブシステムを示す。システム10は、主コンピューティングシステム15を備えてよく、主コンピューティングシステム15は、任意の特定の処理ユニット又は一般的に流通している処理ユニットを表す電子制御ユニット(E.C.U.)16として図1に示される処理システムを含んでいてもよい。コンピューティングシステム15は、例えば、メモリ及び/又は他のストレージのような、データストレージ17をさらに含んでもよい。コンピュータシステム15は、他の要素に加えて、ユーザ入力/出力機構18a及びディスプレイ18bのような、従来のインターフェース要素をさらに含んでよい。電極アセンブリ11によって取得及び/又は提供される情報は、コンピュータシステム15によって処理されてもよく、入力/出力機構18a及び/又はディスプレイ18bを介して、又は本明細書に説明されるか又は当技術分野で公知の他の方法で、臨床医にデータが提供されてもよい。
【0041】
例示的な実施形態では、カテーテル19は、1つ又は複数のケーブルコネクタ又は他のインターフェース20と、ハンドル21と、近位部分23及び遠位部分24を有する細長い(例えば、管状の)本体又はシャフト22とを含んでよい。遠位部分24は、いかなる特定の長さを表すものではなく、むしろ、身体14内で使用可能なシャフト22の部分を、ハンドル21又は他の制御機構(例えば、ロボットコントローラ)に最終的に結合するシャフト22の残りの部分から区別するものである。カテーテル19は、温度センサ、追加の電極、対応する導体又は導線などのような、本明細書に図示されていない他の従来の要素を含んでもよい。コネクタ20は、ケーブル25、26のようなケーブルに、機械的接続、流体的接続、光学的接続、及び/又は電気的接続を提供してよい。灌注カテーテルの場合、ケーブル25は、流体リザーバ12及び流体ポンプ27、及び、コンピュータシステム15から延びてよい。コネクタ20は、当技術分野で公知の従来の要素を含んでよく、図示の実施形態に示すように、カテーテル19の近位端に配置されてよい。
【0042】
手動で制御されるカテーテルの場合、ハンドル21は、ユーザがカテーテル19を把持又は保持するための部分を提供してもよく、患者の身体14内でシャフト22を操縦又は案内するための機構をさらに提供してもよい。例えば、ハンドル21は、カテーテル19を通ってシャフト22の遠位部分24まで延びるプルワイヤに対する張力を変化させるように構成された機構を含んでもよく、又は、シャフト22を操縦するための他の機構を含んでもよい。ハンドル21は、当技術分野における従来のものであってもよく、ハンドル21の構成は、様々に変えることができることを理解されたい。一実施形態では、ハンドル21は、電極アセンブリ11から又はシャフト22に沿った他の場所から受信した情報に基づいて、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバック、及び/又はその他のフィードバックをユーザに提供するように構成されてもよい。例えば、組織13との接触が電極アセンブリ11によってなされる場合、ハンドル21、コンピューティングシステム15、I/O18a及び/又はディスプレイ18bのうちの任意の1つまたは複数は、グラフィカル出力、発光ダイオード又は他の視覚的インジケーター、トーン生成器、振動機械式トランスデューサー、及び/又は他のインジケーターを含んでよく、その出力は、電極アセンブリにおいて感知された信号に比例して変化してよい。
【0043】
図1のシステム10は、本明細書で説明される主体が利用されてもよい代表的な状況を提供するために説明される例示的なシステムにすぎない。カテーテルベースの診断及び治療システムは、様々な器官又は脈管の調査及び治療に広く使用されてきた。そのようなカテーテルは、典型的には、調査又は治療対象の器官の空洞に通じる脈管を通して導入されるか、又は、器官の壁に作られた切開を介して直接的に導入するなどの他の方法で導入されてよい。この治療により、一般的に切開外科的処置に関連付けられる外傷又は長い回復時間を回避することができる。説明の目的のために、以下の説明は、アブレーションカテーテルを使用する心臓アブレーション処置の代表的な状況において説明される場合がある。
【0044】
効果的な診断又は治療を提供するために、治療対象の領域が最初にマッピングされる場合がある。そのようなマッピングは、例えば、心房細動又は他の電気的な心臓伝導問題を治療するために、心臓内の電流経路を選択的にアブレーションすることが所望される場合に、実行され得る。心周期中の心臓の周期的な動きのために、治療対象の領域の位置を特定することが困難であるため、マッピング処置は複雑になってしまうことが多い。現在のシステムは、カテーテルの手動フィードバック及び/又はインピーダンス測定に依存して、カテーテルが脈管または器官内に適切に配置されたタイミングを判断する。脈管又は器官の壁との接触力を測定することによって、又は、器官又は脈管に対してカテーテルによって加えられ、実際の壁の位置を変化させる可能性がある接触力を検出することによって、処置効率が良くなる可能性がある。無線周波数(RF)アブレーション治療では、接触力が小さいと、アブレーションが不十分になる可能性があり、力が大きすぎると、器官を穿孔するなどの安全上の問題を生じる可能性があるので、持続的な接触力が有益である。したがって、より迅速でより正確な診断及び治療を可能にするために、カテーテルと器官の壁又は脈管との間の接触力を検出及び監視するための装置及び方法を提供することが望ましい。
【0045】
力感知技術は、構築するのが非常に困難であり得る。この困難さゆえ、製造において生産量があがらない可能性がある。ファブリペローセンサでは、使用可能な信号強度を実現するために必要な低い切断角度によって、生産量が少なくなってしまう可能性がある。力センサの設計は、センサの軸方向の変位によっても制限され得る。システムによって検出される軸方向の変位量は、測定値に関して非常に厄介であるだけでなく、非常に温度に依存することもある。また、電流力センサ技術は、水分、IE流体の侵入の影響を受けやすい。例えば、ファブリペローセンサでは、流体の浸入によって、ファイバギャップ内/ファイバ面の端部にマイクロバブルが発生する可能性がある。
【0046】
以下でより詳細に説明するように、そのような接触力技術の1つは、ファイバブラッググレーティングに基づくセンサのような光学センサを含む。ファイバブラッググレーティング(FBG)は、電子機器と干渉しない、サイズがコンパクトであるなどの多くの理由から、力を測定するための望ましいセンサである。FBGは、光ファイバのセグメント内に構築された分布ブラッグ反射器の一種であり、光の特定の波長を反射し、他のすべての波長を透過する。これは、完全な2つの光ビームが干渉してファイバコアの屈折率において周期的な変化を作ることによって達成される。すべての波長の光は、屈折率の縁において弱い反射を有するが、位相整合条件を有する波長のみが共鳴効果によって反射し、すべての他の波長はファイバを透過する。
【0047】
周期Λとファイバコア有効屈折率neffとを有するグレーティングについて、ブラッグ波長λは、共鳴条件によって、
【数1】
として決定される。
【0048】
歪みがファイバグレーティングに加えられる、又は、周囲温度が変化すると、グレーティング周期とファイバ有効屈折率の両方が、それに応じて変化するため、ブラッグ波長は、青色又は赤色の波長側にシフトする。ブラッグ波長のシフトを測定することによって、FBGを力および温度の感知のために使用することが可能である。波長シフトを測定する際の情報符号化の絶対的性質に由来する1つの利点は、変動する光パワー又はコネクタ損失からセンサを独立させることができる点である。加えられる歪みをεとし、周囲温度変化をdTとすると、ブラッグ波長のシフトは、微分方程式(1)によって、
【数2】
として得られる。
【0049】
ここで、
【数3】
は、光弾性定数であり、純粋なシリカガラスの場合、ρ=0.22である。
【数4】
は、線膨張係数であり、
【数5】
は、熱光学係数であり、dTは、温度変化である。1550nmの波長におけるグレーティングの場合、波長シフトは一般的に、歪みに対して位数~1pm/μεであり、温度に対しては10pm/℃である。
【0050】
ヤング率Eは、
【数6】
として定義される。ここで、Fは、力であり、Aは、ファイバ断面の面積であり、Lは、ファイバ長であり、ΔLは、加えられた力による応力印加長(stressed length)である。したがって、力は、式(3)から、
【数7】
として得られる。ここで、ε=ΔL/Lは、歪みである。125μmの直径を有する単一モードファイバの場合、ガラス材料のヤング率が70×10N/mであり、ファイバ歪みに対する力は、
【数8】
として得られる。周囲温度が変化しないままdT=0であり、純粋なガラスρ=0.22について、式(5)を式(2)に代入すると、ブラッグ波長のシフトに関して加えられた力は、
【数9】
として得られる。1550nmの波長帯域における0.01nmのブラッグ波長のシフトの分解能について、力の分解能は、式(6)によって0.7グラムとして与えられる。式(4)を式(2)に代入すると、加えられた力及び温度変化に対するブラッグ波長のシフトは、
【数10】
として表される。ここで、Δλは、ブラッグ波長のシフトであり、ΔTは、温度変化であり、Fは、加えられた力であり、Eは、ヤング率であり、Aは、ファイバ断面の面積であり、ρは、光弾性定数であり、αは、線膨張係数であり、ξは、熱光学係数である。
【0051】
3次元(3D)ベクトルの力と温度とを感知するために、一実施形態において、4つの独立したセンサが使用されてもよい。4つの単一のFBGが感知のために使用されてもよいが、4つのFBGを取り付けるために、広い空間が必要とされる場合がある。加えて、4つすべてのFBGは、機械的アセンブリに起因して別個の較正を伴う場合もある。これにより、感知用途においてFBGが制限され、カテーテル・チップのサイズがわずか数ミリメートルである場合があるので、特にカテーテル用途において、制限される。本開示は、ファイバ長にわたって延びる複数のコアファイバを備えるマルチコアファイバを説明する。本明細書で説明するように、マルチコアファイバは、カテーテル本体内で複数の独立したチャネルのために必要とされる断面空間を制限する一助となる。
【0052】
一実施形態によれば、FBGが、例えば、少なくとも4つのコアファイバのマルチコアファイバ(MCFBG)上に刻まれる場合、4つのファイバコア上の4つのFBGは、4つのセンサとして機能することができるが、全体的なサイズは、依然として単一モードファイバの全体的なサイズに対応する。4つのFBGのすべてが同じファイバ内にあるので、別個の較正の問題は存在し得ない。すべてのコアが実質的に同じに構成されている場合、温度変化は、4つのブラッグ波長のすべてを対応してシフトさせるが、ファイバ軸方向の力のみが、同じマウント内の4つのブラッグ波長をシフトさせる。MCFBGにある角度で力が加えられると、ファイバが曲げられるので、4つのFBGが、それぞれ異なる圧縮および張力を受ける一方、ブラッグ波長は、力の振幅とその方向とに応じて短波長または長波長のいずれかにシフトする。一実施形態では、MCFBGの端面は、反射を最小限にするために、溶融されるか、または他の方法で融合される(例えば、ボール状に)。
【0053】
別の実施形態では、カテーテルは、7つのコアを有するマルチコアファイバを備えてよく、このファイバの全体的な直径は、155ミクロン又は0.006インチ以下であって、各コアが6ミクロンであってよい。一実施形態では、ファイバの7つのコアすべてがグレーティングを有してよい。他の実施形態では、ファイバの7つのコアのうち、グレーティングを有するコアが7つ未満であってもよい。外側のコアのうちの3つは、力感知用のために監視されてよく、互いに120°の間隔で配置される。外側のコアのうち他の3つは、形状感知用に使用されてよい。残りのファイバ中心のコアは、温度補償/内部歪監視として使用されてよい。横方向に力が加えられると、3つのコアのうちの1つには応力ひずみが加えられてよく、3つのコアのうちの2つには圧縮ひずみが加えられてよい。さらに、軸方向に力が加えられると、3つのコアすべてに、圧縮ひずみが加えられてよい。別の実施形態では、6つの外側のコアは、力感知のために監視されてよく、互いに60°離間されてよい。一実施形態では、中心のコアは、温度補償/内部歪監視として使用されてよく、6つの外側のコアは、力感知のために使用されてよい。さらに別の実施形態では、6つのコアは、マルチコアファイバの遠位部分に与えられる力を監視するために使用されてよく、すべてのコア又はコアのサブセットは、力感知部分の近位にマルチコアファイバの形状を判定又は感知するための追加のセンサを有してよい。この実施形態では、一つのコアは、形状感知と力感知との両方に使用されてよい。様々な構成が採用されてよい。いくつかの構成では、全てのコアが、形状感知と力感知との両方に使用されてよい。他の構成では、コアのサブセットが、形状感知及び力感知の両方に使用されてよい。さらに他の構成では、形状感知に使用されるコアは、コアの異なる長手方向領域において3重の形状感知又は他のセンサを備えてよい。
【0054】
以上のように、式(7)は、線形方程式であるので、力および温度変化は、4つのFBG波長すべてを直線的にシフトさせ、力及び温度は、
【数11】
として表される。ここで、Aij、i,j=1,2,3,4は、機械的アセンブリ及び実験によって決定することができる材料強度に関連する16個の係数を表し、Δλ、i=1,2,3,4は、それぞれ、ブラッグ波長の4つのシフトを示し、F、i=1,2,3は、力の3つの成分を表し、Fは、温度変化である。力の振幅および方向角は、
【数12】
によって表される。
【0055】
、F、Fは、力の3つの成分であり、θとγは、それぞれ力の方向角度である。コンピュータ制御の光学スイッチが、ブラッグ波長シフトを取得するチャネル1から4へ走査を行うとき、印加される力及び温度変化は、式(9)から得られる。別の実施形態では、コンピュータ制御の光学スイッチが、ブラッグ波長シフトを取得するチャネル1から7へ走査を行い、印加された力及び温度変化は式(9)から得られる。
【0056】
図2は、波長掃引ファイバレーザ源100、光スイッチ102、3D導波管104、コンピュータ110、光検出器108、サーキュレータ112、及びマルチコアファイバブラッググレーティング106を利用する代表的な力感知システムの図である。一実施形態では、3D導波管は、ファイバファンアウトを含んでよい。さらに、一実施形態では、コンピュータ110は、マイクロプロセッサを備えてよい。コンピュータは、電磁源又は他の信号を放射するように波長掃引ファイバレーザ源100を制御してよい。図示の実施形態では、波長掃引ファイバレーザ源100は、ソース信号をサーキュレータ112に送信してよい。ソース信号は、光スイッチ102を通過し、3D導波管104を通過し、マルチコアファイバブラッググレーティング106の近位端からさらに遠位の部分へと伝わってよい。信号の一部は、マルチコアファイバブラッググレーディング106の近位端に向かって反射及び/又は屈折されてよく、サーキュレータ112を通って光検出器108に至る。一実施形態では、光検出器108は、信号をコンピュータ110に送信してよい。コンピュータは、信号を処理して、本明細書で説明するように、マルチコアファイバブラッググレーティング106の遠位端において規定されるたわみの程度を判定してよい。別の実施形態では、マルチコアファイバブラッググレーティングから戻ってくる信号は、コンピュータ、又はその一部に結合されたセンサへと導かれてよい。図示の実施形態ではマルチコアファイバブラッググレーティングが別に示されているが、マルチコアファイバブラッググレーティングは、本出願を通して説明されているように、医療デバイス又は他の物体の内に配置されてよい。一実施形態では、マルチコアファイバは、紡糸マルチコアファイバを含んでよい。紡糸マルチコアファイバでは、マルチコアファイバのコアは、ファイバの長さ全体にわたって撚り合わさっていてよい。いくつかの実施態様において、マルチコアファイバの座標フレームは、他の二次元又は三次元座標フレームと同期されてよい。座標フレームが同期することにより、マルチコアファイバ座標フレームで取得された情報を追加の座標フレームに重複させることが可能になる。
【0057】
ここで、本明細書で説明される技術を使用する代表的な実施形態及び変形例を、例及び例示の目的で説明する。力感知機能を有する医療用カテーテルの実施形態は、例えば、力で組織に接するように並置される遠位診断領域又は遠位治療先端領域、中間及びより近位に延在する可撓性ルーメン、患者の体内管腔又は器官内でカテーテルルーメン及び先端領域を操作するための最近位の制御ハンドル、遠位先端が患者の組織(例えば、心臓組織)に接触するときに先端曲げ力及び先端軸方向の力の一方又は両方を感知するための力センサ、を提供してよい。そのような実施形態では、力センサは、力変位が較正されたばねと、力が先端に印加されるときに、ばねの1つ又は複数の変位を報告することができる2つ又は複数の光学変位センサと、の組合せを備えてよく、光学変位センサは、マルチコア光ファイバの2つ以上のコア上に書き込まれた2つ以上のブラッググレーティングを備え、ばねは力対変位に関して較正されており、変位は既知であるため、検出されたばね変位によって、先端の力が計算され報告されることが可能になる。
【0058】
さらなる変形例及び代替例では、光学変位ブラッグセンサは、波長走査を利用して変位を判定してよく、波長走査は、例えば、カテーテルが接続されるコンソールにおいて、又は、カテーテルのハンドルにおいて実施される。別のオプションは、マルチコアファイバが、ファイバ外径の周囲に少なくとも2つのコアを有することであり、より具体的な例では、複数のコアは、ファイバの中心軸の周りに、ほぼ等しく離間されて角度的に分布される。別のオプションは、マルチコア光ファイバが、3D光導波管を使用して別体のファイバに光学的に接続されることであり、カテーテルが差し込まれる支持コンソール又は制御コンソールの中、又は、コンソール上に、光コネクタを取り付けることをさらに含んでよい。別の実施形態では、較正されたばねは、管状マルチコアファイバ封入部材を含み、封入部材のばね剛性が、封入されたファイバを含む。別の実施形態では、較正されたばねは、ファイバ又はその封じ込め手段によって提供される任意のばね作用に機械的に並列に動作する別体のばねを含み、全体の正味のばねは、並列な両方のばねの同時組合せである。さらに別の実施形態では、較正されたばねは、ファイバ又はその隣接した封入部材とは別体であり、ばねは、力計算で用いられる較正されたばね作用のすべてを提供する。さらに別の変形形態は、ファイバ自体が封入されているのか否かにかかわらず、製造中にファイバを引張り状態で予備延伸すること、又はファイバを圧縮状態で予備圧縮することを含む。別の変形形態は、熱膨張について、ブラッググレーティングの検出された変位を補正するために温度測定センサを含む。さらにより具体的な実施形態では、温度センサは、i)熱電対、ii)サーミスタ、iii)熱膨張を光学的に推定することができ、それによって温度センサとして作用するブラッググレーティング、のうちのいずれか1つである。そのような医療デバイスのさらに別の変形形態では、2つ以上のそのようなブラッググレーティングを、ファイバの2つ以上のコア上に配置し、これらのグレーティングは、軸方向の同じファイバ位置を有する。代替的には、2つ以上のそのようなブラッググレーティングは、ファイバの単一のコア上に配置され、軸方向の異なるファイバ位置を有する。別の例では、1つ又は複数のコア上の、2つ以上のブラッググレーティングは、実質的に同じグレーティング周期を有していてもよく、又は、異なるグレーティング周期を有していてもよい。カテーテルの一実施形態では、1つ又は複数のブラッググレーティングを含むマルチコアファイバの領域は、ファイバクラッドを保持し、別の実施形態では、ファイバクラッドは、その領域から取り去られる。
【0059】
さらに別の例では、ばねは、先端の屈曲及び先端の軸方向の圧縮の組み合わせ、先端の屈曲のみ、又は軸方向の圧縮のみ、のうちの少なくとも1つを可能にする。より具体的な実施形態では、2つ以上のブラッグ光学変位センサは、屈曲力及び軸方向の力のうち、少なくとも1つ以上の成分を検出する。さらに別の例では、正味の力又は力成分は、ベクトルとして報告される。カテーテル先端の典型的な変形形態は、組織加熱又は冷却方法を使用して組織をアブレーションすることができるカテーテル先端と、組織を電気的にペーシングすることができるカテーテル先端と、組織電気波形を電気的に感知することができるカテーテル先端とを含む。一実施形態では、力情報は、最小推奨力が達成されたかもしくは達成されなかったか、又は維持されたかもしくは維持されなかったか、の指標として、任意の数値、アイコン又はベクトル形式で画面上に表示されてよく、又は、力と時間の積または指数、又は力/時間積分が報告できるように、治療に曝露された時間と組み合わせて使用されてよい。他の変形では、マルチコアファイバは、ファイバの座屈を防止するように設計される。一実施形態では、1つ又は複数の光学変位センサは、(a)流される灌注剤(例えば、生理食塩水)内に浸漬され、灌注剤/流体と直接接触する、(b)流される灌注剤に浸漬されるが、カバー部材、封入部材、又はケース部材又はコーティングによって、灌注剤から隔離される、(c)流される灌注剤に浸漬されるが、予め選択された熱伝導率を有するカバー部材、封入部材、又はケース部材又はコーティングによって、灌注剤から断熱又は緩衝される、(d)空気、ガス、又は真空中に浸漬される、(e)変形可能なゲル中に浸漬される、(f)溝又はチャネルに取り付けられる、(g)周囲のポリマー含有部材に注型又は成型される、のうち少なくとも1つである。さらに別の実施形態では、マルチコア光ファイバはまた、中間の可撓性ルーメンに配置された追加のブラッググレーティングと共に用いられ、それによって、先端の力に加えて、ルーメン自体の屈曲形状も追跡することができる。別の実施形態では、マルチコアファイバは、光学損傷フィードバック又は光学組織分析を実行するために用いられる。いくつかの実施形態では、力を加えることなくカテーテルを血液中に保持することによって、温度が測定されるか又は頻繁に更新されてよい。別のオプションは、屈曲が中心FBG波長をシフトさせないので、特定のコアのFBG(例えば、中心FBG)を基準として使用することを含む。一実施形態では、力及び温度を測定するために、3つ以上のコア上のFBGが使用されてよい。代替形態は、(a)力感度及び温度感度を改善する目的で、印加された力のブラッグ波長シフトを温度から分離するように、パラメータを最適化するために、コアのうちの1つ又は複数(例えば、中心コア)を、他のコアと異なる材料でドープすることと、(b)力感度及び温度感度を改善する目的で、パラメータを最適化するために、コアのうちの1つ又は複数(例えば、中心コア)を他のコアと異なる直径にすることと、(c)力感度及び温度感度を改善する目的で、パラメータを最適化するために、マルチコアファイバのクラッドが穴を有するようにオプションで設計することと、(d)力感度及び温度感度を改善する目的で、マルチコア結晶ファイバ上のFBGがセンサとして使用されることと、を含む。
【0060】
力感知機能を提供することに加えて、介入医療処置中又は外科的医療処置中に医師にさらなる価値を提供するために、このような医療デバイスに他の特徴が含まれてもよい。例えば、身体内に導入されるともはや直接見ることができなくなってしまうカテーテルシャフトのような、患者の身体によって隠される医療デバイスの関連部分を視覚的に知覚することは、有益であろう。本開示は、医療処置中(例えば、カテーテルベースの診断中及び/又は組織の治療中)に、カテーテルシャフトの近位部分の一部又は全部、及びオプションで遠位部分の一部又は実質的に全部などの、医療デバイスの隠されている部分の一部又は全部の形状を追跡及びミラーリングするための方法を提供することによって、そのような課題に対する解決策を提供する。
【0061】
一実施形態では、光学的力検知と光学的形状検知との両方が提供される。光学的力及び形状感知を提供する1つのそのような方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,622,935号に記載されている。カテーテル先端と身体組織との間の変化する接触圧力に起因してカテーテル先端に印加される力を検出する光学的力センサに光を伝達するために、光ファイバのような光導管が使用されてもよい。身体内でのカテーテルシャフトのシミュレーションのために、カテーテルシャフトの感知された部分のリアルタイムな位置が位置的に追跡されるとともにレンダリングされることを可能にするために、他の光導管が使用されてもよい。
【0062】
組織に対する力を感知するために使用される光学センサ、及び、カテーテルの変化する形状を感知するために使用される光学センサは、異なる光学感知技術を利用してもよいし、又は、共通の光学感知技術を利用してもよい。例えば、一実施形態では、光ファイバは、カテーテルの遠位部分のたわみを判定するためにファイバブラッググレーティング又は他の光センサを備え、カテーテルの遠位部分のたわみは、医療処置中に組織に接触するときにカテーテル先端を圧迫する力の大きさ及び方向を表す。同じ又は他の光ファイバにおいて、医療処置中にカテーテルが移動し、その結果、形状が変化するので、リアルタイムで追跡されるカテーテルシャフトの長さに沿って、ファイバブラッググレーティング又は他の光学センサが、使用されてよい。
【0063】
以下にさらに説明される実施形態では、力感知と形状感知との両方に使用される光ファイバは、マルチコアファイバの複数のコアとして提供されてよい。したがって、マルチコアファイバは、力感知技術と形状感知技術の両方のための光路及び光学センサを提供する。
【0064】
力検知のためのセンサ及び形状検知のためのセンサを収容するマルチコアファイバの一実施形態が、図3Aに示されている。図3Aは、マルチコアファイバ200の等角図を示す。マルチコアファイバ200は、複数の別体のコアを含んでよい。図示の実施形態では、マルチコアファイバ200は、3つのコアを備えてよく、3つの力センサ(不図示)それぞれのために光導管を提供する。マルチコアファイバ200は、第1の光コア202、第2の光コア204、及び第3の光コア206を備えてよい。マルチコアファイバ200は、さらに、第1の形状感知コア208と、第2の形状感知コア210と、第3の形状感知コア212とを備えてよく、3つの形状感知センサ(不図示)それぞれのために光導管を提供する。図示の実施形態では、ファイバ内の任意の場所に配置された特定のコア(一実施形態では中央コア214)が、遠位コアセクションにおける光センサ(例えば、FBG)として温度変化を感知するために使用されてよい。中心コア214を用いて温度を感知することで、残りの軸外のコア202~212に対して温度補償することが可能になる。他の実施形態では、4つのファイバが、力成分及び温度を導出するために使用されてよい。一実施形態では、温度ピークと通常ピークとの両方は、同じ勾配で決定されてよい。別の実施形態では、温度ピークと通常ピークとの両方は、同じ勾配及び同じ大きさで決定されてよい。図3Bは、図3Aのマルチコアファイバ200の等角図を示し、マルチコアファイバ200の本体を通るファイバコア202~214の伸長も示す。一実施形態では、マルチコアファイバの遠位端は、反射を最小限に抑えるために、ボール状の形状に溶融されてよい。図3Cは、図3A及び図3Bに示すマルチコアファイバ200の端面図を示し、ファイバ200の長手方向軸に垂直な視点からのファイバ200の複数コア202~212の典型的な配置を示している。
【0065】
一実施形態では、第1の形状感知コア208、第2の形状感知コア210、及び第3の形状感知コア212、並びに任意で追加のコア214(中央に配置される、又は中央に配置されない)のみがマルチコアファイバ200内に設けられるように、形状感知コアのみが実装される。例えばコアは、ファイバに沿って、ひいてはファイバが封入されているカテーテルシャフトに沿って複数のファイバブラッググレーティングを有する形状感知コアとして構成されてもよい。1つ又は複数の温度センサが、ファイバの1つ又は複数のコアに含まれてよい。このような実施形態では、形状検知と力検知との両方に対比して、形状検知のみがマルチコアファイバを利用して行われる。
【0066】
別の実施形態では、形状感知と力感知との両方が共通のコアを使用して実施され、各コアが、形状感知センサと力感知センサとの両方を含む。例えば、光の周波数は、力検知グレーティング及び形状検知グレーティングのそれぞれについて共通のコアにおいて異なる場合があり、これにより、センサ信号処理ユニットにおいて、生じた反射を区別することが可能になる。
【0067】
図4は、先端アセンブリ301の一実施形態の等角図を示す。先端アセンブリ301は、フレックス先端309、力本体303、流体キャップ307、及び灌注ルーメン305を備えてよい。マルチコアファイバは、灌注ルーメン305内に配置されてもよい。他の実施形態では、マルチコアファイバは、灌注ルーメンの外側に配置されてもよい。先端アセンブリ301は、灌注ルーメン305内に配置可能なマルチコアファイバを備えてよい。先端アセンブリ301は、少なくとも力センサが、心臓組織のような構造に対する力によるたわみを感知する元となる遠位屈曲を提供してよい。この実施形態では、1つ又は複数のスロット317は、組織との接触に応じた力によって、力本体303が曲がることを可能にする。例えば、1つ又は複数のファイバブラッググレーティング力センサがそれぞれ、3つのコア内及び力本体303内にある場合、力センサは、組織との接触度合いの変化に応じて、力本体303のたわみを識別してよい。いくつかの実施形態では、力本体は、カプラを備えてよい。ファイバブラッググレーティングに基づくこのようなセンサは、本明細書に説明されているように、及び/又は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる本出願の譲受人に譲渡された米国特許第8,182,433号に記載されているように実施されてよい。他の実施形態では、力感知コアに関連する力センサは、異なる光学技術を利用してもよい。流体キャップ307は、シャフト電極溝319、第1の電気チャネル321、第2の電気チャネル323、及び中央チャネル325を、さらに備えてよい。シャフト電極溝319は、電気ワイヤがシャフト電極溝319を通って流体キャップ307の遠位に配置された電極まで通過できるように構成された、流体キャップ307の外壁内の環状空間を備えてよい。第1の電気チャネル321及び第2の電気チャネル323は、中央チャネル325に隣接して配置された空隙を備えてよい。第1の電気チャネル321及び第2の電気チャネル323は、当業者に公知であるように、先端アセンブリ301より近位の位置から先端アセンブリ301の内部まで、電気ワイヤ、熱センサ、アンカーワイヤ、及び他の材料が通れるように構成されてよい。
【0068】
図5は、図4に見られる先端アセンブリ301の実施形態の等角断面図を示す。先端アセンブリ301は、フレックス先端309、力本体303、流体キャップ307、灌注ルーメン305、及びマルチコアファイバ355を備えてよい。フレックス先端309は、力本体303の遠位端に接続されてよい。フレックス先端309は、感知用の電極又はアブレーション用の電極を備えてよい。フレックス先端309は、さらに、エネルギーを伝達するように構成されてよい。フレックス先端309は、ばね337、フレックス先端壁331、及びフレックス先端キャップ333を備えてよい。ばね337は、フレックス先端309の内部に配置されてよく、フレックス先端壁331によって取り囲まれてよい。フレックス先端キャップ333は、複数の灌注貫通孔335を備えてよく、フレックス先端壁331の遠位端に接続されてよい。複数の灌注貫通孔335は、フレックス先端309の内部に広がる灌注剤が、灌注貫通孔335を通ってフレックス先端309の外部へと通過できるように構成されてよい。他の実施形態では、先端アセンブリは、先端電極を含んでよい。先端電極は、本明細書に説明されるようなフレックス先端電極、又は当業者に公知であるような他の先端電極を含んでよい。先端電極は、組織を感知するように、又は組織をアブレーションするように構成されてよい。力本体303は、力本体外壁341と、少なくとも1つの力本体スロット317と、灌注バランス板351と、第1のファイバ支持管中心343と、第2のファイバ支持管中心345と、を含んでよい。灌注バランス板351は、力体外壁341の遠位端に接続されてよい。図示の実施形態では、灌注バランス板351及び力本体外壁341の遠位部分は、フレックス先端309の近位部分内に配置されてよい。図示の実施形態では、力本体303の遠位部分は、フレックス先端309の内部に配置されてよく、フレックス先端壁331によって円周方向に取り囲まれてよい。少なくとも1つの力本体スロット317は、力本体外壁341に設けられた螺旋スロットであってもよい。力本体スロット317は、力本体303に力が加えられたときに、力本体303が変形することを可能にするように構成されてよい。図示の実施形態では、力本体スロット317は、力本体外壁341の全体を通るスロットを備えてよい。他の実施形態では、力本体スロット317は、力本体に圧力が加えられたときに、力本体が曲がることを可能にするように、力本体の全部又は一部にわたる材料の切り欠き又は他の除去を含んでよい。力本体スロット317は、力本体303に追従する可撓性材料で充填されてよい。一実施形態では、可撓性材料は、防水シールを含んでよい。第1のファイバ支持管中心343及び第2のファイバ支持管中心345は、力本体外壁341の内面に接続されてよい。第1のファイバ支持管中心343及び第2のファイバ支持管中心345は、マルチコアファイバ355に接続されてよく、力本体303内でマルチコアファイバ355を固定することができる。他の実施形態では、力本体は、少なくとも1つの熱電対をさらに備えてよい。少なくとも1つの熱電対は、力本体の内部に配置されてよい。一実施形態では、少なくとも1つの熱電対は、力本体内の灌注剤の中に配置されてよい。少なくとも1つの熱電対は、力本体内の灌注剤の温度を判定するために使用される。さらに、灌注剤の温度は、力本体内のマルチコアファイバの温度を判断するために使用されてよい。
【0069】
マルチコアファイバ355は、ファイバ支持管347及び支持管スロット349を備えてよい。支持管スロット349は、ファイバ支持管347に設けられた螺旋スロットを備えてよい。支持管スロット349は、力本体に力が加えられたときに、ファイバ支持管347が変形することを可能にするように構成されてよい。図示の実施形態では、支持管スロット349は、ファイバ支持管347の全体にわたるスロットを備えてよい。他の実施形態では、支持管スロット349は、ファイバ支持管347の全部又は一部にわたる材料の切り欠き又は他の除去を含んでよく、力本体303に圧力が加えられたときに、力本体303が曲がる及び/又は圧縮することを可能にする。支持管スロット349は、ファイバ支持管347に追従する可撓性材料で充填されてよい。一実施形態では、可撓性材料は、防水シールを含んでよい。灌注ルーメン305は、先端アセンブリ301に灌注剤を送達するルーメンを備えてよい。マルチコアファイバ355は、灌注ルーメン305の内部に配置されてよい。一実施形態において、灌注ルーメン305の遠位端は、流体キャップ307の中央チャネルに接続されてよい。
【0070】
流体キャップ307は、第1の電気チャネル321及び第2の電気チャネル323を備えてよい。流体キャップ307は、力本体303の近位端に接続されてよい。第1の電気チャネル321及び第2の電気チャネル323は、流体キャップ307を通るチャネルを備えてよい。電気ワイヤ、支持ワイヤ、アンカー部材、及び他のデバイスが、第1の電気チャネル321及び第2の電気チャネル323を通ってよく、これによって種々の要素がチップアセンブリ301の内部にアクセスできるようになる。
【0071】
図6は、図4及び図5に見られる先端アセンブリ301の実施形態の等角断面図を示す。先端アセンブリ301は、フレックス先端309と、力本体303と、流体キャップ307と、マルチコアファイバ355と、を備えてよい。図5に見られるような灌注ルーメンは、流体キャップ307を通過するマルチコアファイバ355を見やすくするために、図面から省略されている。図示の実施形態に見られるように、マルチコアファイバ355は、流体キャップ307の中央チャネル325の中心を通過してよい。マルチコアファイバ355は、力本体303の中心線に沿ってよい。マルチコアファイバ355は、第1のファイバ支持管中心343及び第2のファイバ支持管中心345を介して、力本体303の中心に配置、及び保持されてよい。
【0072】
図7は、先端アセンブリ357の別の実施形態の等角断面図を示す。先端アセンブリ357は、フレックス先端361、カプラ359、及びマルチコアファイバ383を備えてよい。フレックス先端361は、カプラ359の遠位端に接続されてよい。フレックス先端361は、感知又はアブレーションのための電極を備えてよい。フレックス先端361は、さらに、エネルギーを送達するように構成されてよい。フレックス先端361は、ばね369、フレックス先端壁373、及びフレックス先端キャップ363を備えてよい。ばね369は、フレックス先端361の内部に配置されてよく、フレックス先端壁373によって取り囲まれてよい。フレックス先端キャップ363は、複数の灌注貫通孔365及び第2のファイバ支持管中心367を備えてよい。フレックス先端キャップ363は、フレックス先端壁373の遠位端に接続されてよい。複数の灌注貫通孔365は、フレックス先端361の内部に広がる灌注剤が、灌注貫通孔365を通ってフレックス先端361の外部へと通過できるように構成されてよい。図示の実施形態では、第2のファイバ支持管中心367は、フレックス先端キャップ363と一体化されてもよい。第2のファイバ支持管中心367は、内壁371を備えてよい。内壁は、ファイバ支持管の遠位端を受け入れるような大きさ及び構成であってよい。他の実施形態では、第2のファイバ支持管中心367は、ファイバ支持管の遠位部分を受け入れるように構成されてよい。第2のファイバ支持管中心367は、ファイバ支持管の遠位端をフレックス先端キャップ363に固定するように構成されてよい。ファイバ支持管の遠位端を固定することによって、マルチコアファイバは、本出願全体を通して説明されるように、曲がることができる。他の実施形態では、先端アセンブリは、先端電極を含んでよい。先端電極は、本明細書に説明されるようなフレックス先端電極、又は当業者に公知であるような他の先端電極を含んでよい。先端電極は、組織を感知するように又は組織をアブレーションするように構成されてよい。カプラ359は、カプラ外壁389と、カプラ近位端381と、第1のファイバ支持管中心377とを含んでよい。いくつかの実施形態では、カプラは、力本体を備えてよい。図示の実施形態では、カプラ359の遠位部分は、フレックス先端361の内部に配置されてよく、フレックス先端壁373によって円周方向に取り囲まれてよい。第1のファイバ支持管中心377は、カプラ外壁389の内面に接続されてよい。第1のファイバ支持管中心377及び第2のファイバ支持管中心367は、マルチコアファイバ383に接続されてよく、マルチコアファイバ383を先端アセンブリ357内に固定してよい。他の実施形態では、カプラは、少なくとも1つの熱電対をさらに含んでよい。少なくとも1つの熱電対は、カプラの内部又はフレックス先端部内に配置されてよい。一実施形態では、少なくとも1つの熱電対は、カプラ内の灌注剤の中に配置されてよい。少なくとも1つの熱電対は、カプラ内の灌注剤の温度を判定するために使用されてよい。さらに、灌注剤の温度は、カプラ内のマルチコアファイバの温度を判定するために使用されてよい。
【0073】
マルチコアファイバ383は、ファイバ支持管375及び支持管スロット391を備えてよい。本明細書の他の部分で説明したように、マルチコアファイバは、複数のコアを備えてよい。これらのコアの各々は、力感知、形状感知、及び温度補償のうちの1つ又は複数のために使用されてよい。様々な実施形態では、コアの各々は、力感知、形状感知、及び温度補償を同時に、又は別々に使用するように構成されてよい。図示の実施形態では、ファイバ支持管375は、フレックス先端361の内部に配置されてよい。図示の実施形態では、ファイバ支持管375の遠位部分は、第2のファイバ支持管中心367に接続されてよい。第2のファイバ支持管中心367は、フレックス先端キャップ363と一体化されてよい。ファイバ支持管375の近位部分は、第1のファイバ支持管中心377に接続されてよい。図示の実施形態では、第1のファイバ支持管中心377は、カプラ内に配置されてよく、第2のファイバ支持管中心367は、フレックス先端キャップ363と一体化されてよい。ファイバ支持管375は、カプラ359の内部、フレックス先端壁373内、及びフレックス先端キャップ363内に配置されてよい。支持管スロット391は、ファイバ支持管375に設けられた螺旋スロットを備えてよい。支持管スロット391は、先端アセンブリ357に力が加えられたときに、ファイバ支持管375が変形することを可能にするように構成されてよい。図示の実施形態では、支持管スロット391は、ファイバ支持管375の全体にわたるスロットを備えてよい。他の実施形態では、支持管スロット391は、ファイバ支持管375の全部又は一部にわたる切り欠き又は材料の除去を含んでよく、先端アセンブリ357に圧力が加えられたときに、先端アセンブリ357が曲がる及び/又は圧縮することを可能にする。支持管スロット391は、ファイバ支持管375に追従する可撓性材料で充填されてよい。一実施形態では、可撓性材料は、防水シールを含んでよい。
【0074】
カプラ近位端381は、第1の電気チャネル379及び第2の電気チャネル387を備えてよい。カプラ近位端381は、カプラ359の近位端に接続及び/又は一体化されてよい。第1の電気チャネル379及び第2の電気チャネル387は、カプラ近位端381を通るチャネルを備えてよい。電気ワイヤ、支持ワイヤ、アンカー部材、及び他のデバイスが、第1の電気チャネル379及び第2の電気チャネル387を通ってよく、それにより種々の要素が先端アセンブリ357の内部にアクセスできるようになる。
【0075】
図8は、力本体403、流体キャップ407、及びマルチコアファイバ455の実施形態の等角図を示す。力本体403は、灌注バランス板451と、遠位ネック433と、少なくとも1つの力本体灌注ポート435と、力本体スロット417と、力本体シャフト電極リング溝431と、を備えてよい。灌注バランス板451は、力本体403の遠位ネック433の遠位端に接続されてよい。少なくとも1つの力本体灌注ポート435は、力本体403の遠位ネック433上に設けられてよい。少なくとも1つの力本体灌注ポート435は、灌注剤が力本体403の内部から力本体403の外部へと流れることを可能にするように構成されてよい。図示の実施形態では、少なくとも1つの力本体灌注ポート435は、遠位ネック433の円周の周りに均等に分布される複数の灌注ポートを備えてよい。他の実施形態では、少なくとも1つの力本体灌注ポートは、不均一に分布される複数の灌注ポートを備えてよい。この不均一な配置は、より多くの灌注剤を先端電極の特定の領域へと方向付けるように構成されてよい。隣接する力本体灌注ポートがない先端電極の領域と比較して、増加した灌注剤は、先端電極の特定の部分を冷却するために、又は先端電極の外側の領域に追加的に灌注剤を当てるために使用されてよい。力本体シャフト電極リング溝431は、力本体403の外壁に設けられた窪みを備えてよい。力本体シャフト電極リング溝431は、力本体403内の長手方向の溝又は窪みを備えてよい。力本体シャフト電極リング溝431は、力本体403の近位端と、それより遠位の部分との間に設けられてよい。力本体シャフト電極リング溝431は、電気ワイヤがその中に設けられるように構成されてよい。力本体シャフト電極リング溝431はさらに、電気ワイヤが、力本体403に隣接して設けられたリング電極に終端及び/又は接続できるように構成されてよい。流体キャップ407は、中央チャネル425、第1の電気チャネル421、第2の電気チャネル423、及びキャップシャフト電極リング溝419を備えてよい。キャップシャフト電極リング溝419は、流体キャップ407の外壁に設けられた窪みを備えてよい。キャップシャフト電極リング溝419は、流体キャップ407内の長手方向の溝又は窪みを備えてよい。キャップシャフト電極リング溝419は、流体キャップ407の近位端と、流体キャップ407の遠位端との間に設けられてよい。キャップシャフト電極リング溝417は、電気ワイヤがその中に設けられるように構成されてよい。
【0076】
図9は、図8に示される力本体403及びマルチコアファイバ455の実施形態の等角図を示す。図示の実施形態では、流体キャップは取り外されており、図示されていない。力本体403は、灌注バランス板451と、遠位ネック433と、少なくとも1つの力本体灌注ポート435と、力本体スロット417と、力本体シャフト電極リング溝431と、を備えてよい。
【0077】
図10は、力本体のいくつかの要素の等角図を示す。図10は、灌注バランス板551、第1のファイバ支持管中心543、第2のファイバ支持管中心545、支持管547、支持管スロット549、力本体シール材561、及びマルチコアファイバ555を示す。灌注バランス板551は、少なくとも1つのプレート灌注貫通孔563を備えてよい。少なくとも1つのプレート灌注貫通孔563は、灌注バランス板551の近位側から灌注バランス板551の遠位側へ灌注剤が通過できるように構成されてよい。第1のファイバ支持管中心543は、第1の中心貫通孔565を備えてよく、第2のファイバ支持管中心545は、第2の中心貫通孔567を備えてよい。マルチコアファイバ555は、支持管547及び支持管スロット59を備えてよい。支持管547は、マルチコアファイバ555の遠位部分を取り囲んでよい。力本体シール材561は、本出願全体にわたって説明される力本体スロット内に嵌合することができる螺旋パターンで形成されたシール材を含んでよい。力本体シール材561は、マルチコアファイバ555の遠位部分を取り囲んでよい。支持管547の遠位端は、第2のファイバ支持管中心545の第2の貫通孔567に接続されるとともに、その中に設けられてよく、支持管547の近位端は、第1のファイバ支持管中心543の第1の貫通孔565に接続されるとともに、その中に設けられてよい。
【0078】
第1のファイバ支持管中心543及び第2のファイバ支持管中心545は、それぞれ、少なくとも1つのセンタリング突出部571をさらに備えてよい。少なくとも1つのセンタリング突出部571の各々は、ファイバ支持管中心の中心から半径方向に外側に向かって延在してよい。少なくとも1つのセンタリング突出部571の各々は、突出部外面573を備えてよい。突出部外面573は、力本体の内壁と相互作用するように成形され、構成されてよい。突出部外面は、力本体の内壁と相互作用し、力本体の貫通孔を中心に配置する。図示の実施形態では、ファイバ支持管中心の各々は、4つのセンタリング突出部を備えてよい。一実施形態では、センタリング突出部の各々は、隣接するセンタリング突出部から90度離間してよい。図示の実施形態では、センタリング突出部は、その外面によって長方形形状を形成するように間隔をあけて配置されてよい。図示の実施形態では、ファイバ支持管中心の各々は、少なくとも1つのセンタリング突出部571の間にセンタリング凹部575をさらに備えてよい。各ファイバ支持管中心は、複数のセンタリング凹部575を備えてよい。一実施形態では、センタリング凹部のうちの少なくとも1つは、電気ワイヤ又はカテーテルの他の要素がセンタリング凹部を通って、先端アセンブリ内のより遠位の位置に進むことができるように構成されてよい。
【0079】
図11は、図10に示される要素の幾つかの等角図を示す。図11は、灌注バランス板551、支持管547、支持管スロット549、熱電対貫通孔559、及びマルチコアファイバ555を示す。図示の実施形態では、マルチコアファイバ555の長手軸は、灌注バランス板551の中央部分を通る。さらに、図示の実施形態では、少なくとも1つのプレート灌注貫通孔563は、複数のプレート灌注貫通孔を含む。複数のプレート灌注貫通孔は、灌注バランス板551の円周の周りに均等に分布されてよい。他の実施形態では、複数のプレート灌注貫通孔は、流体をカテーテル先端に導くために所望されるように、互いの間に様々な距離を含んでよい。図示の実施形態では、複数のプレート灌注貫通孔は、灌注プレートの中心点から同じ距離であってよい。他の実施形態では、複数のプレート灌注貫通孔は、灌注プレートの中心点からの距離が様々であってよい。熱電対貫通孔559は、灌注バランス板551の近位から先端アセンブリのより遠位の部分まで熱電対を通すために使用されてよい。別の実施形態では、熱電対貫通孔は、灌注バランス板551の近位から先端アセンブリのより遠位の部分まで熱センサを通すように使用及び/又は構成されてよい。他の実施形態では、灌注バランス板551は、複数の熱電対貫通孔を備えてよい。さらに別の実施形態では、熱電対貫通孔は、複数の熱電対又は他の熱センサを灌注バランス板に通すように寸法が決められ、構成されてよい。
【0080】
図12は、図10及び図11に示す要素のいくつかの等角図を示す。図12は、灌注バランス板551、マルチコアファイバ555、ファイバシール材569、熱電対貫通孔559、及び少なくとも1つのプレート灌注貫通孔563を示す。ファイバシール材569は、マルチコアファイバ555の遠位部分を取り囲んでよい。ファイバシール材569は、マルチコアファイバ555を取り囲む螺旋形状に形成されてよい。ファイバシール材569は、横方向又は垂直方向の力がマルチコアファイバ555に与えられたときに、マルチコアファイバ555及び支持管が動けるように構成されてよい。
【0081】
図13は、流体キャップ601の実施形態の等角図を示す。流体キャップ601は、シャフト電極リング溝613、第1の電気チャネル607、第2の電気チャネル609、中心チャネル611、近位面603、及び遠位部分605を備えてよい。流体キャップ601の遠位部分65は、流体キャップ601のより近位の部分よりも小さい直径を備えてよい。遠位部分605は、別の要素に接続するように構成されてよい。一実施形態では、遠位部分605は、力本体に接続するように構成されてよい。中央チャネル611は、灌注ルーメンに接続するように構成されてよい。第1の電気チャネル607及び第2の電気チャネル609はそれぞれ、流体キャップ601の近位面603から、流体キャップ601の遠位端まで延びる空洞を備えてよい。第1の電気チャネル607及び第2の電気チャネル609の各々は、電気ワイヤ又はカテーテルの他の要素が流体キャップ601を通過できるように構成されてよい。
【0082】
図14は、先端アセンブリ601の一実施形態の等角分解図を示す。先端アセンブリ601は、フレックス先端キャップ633と、フレックス先端壁631と、ばね637と、灌注バランス板651と、第2のファイバ支持管中心645と、支持管647と、支持管スロット649と、支持管シール材669と、第1のファイバ支持管中心643と、力本体603と、流体キャップ607と、マルチコアファイバ655と、を備える。フレックス先端キャップ633は、フレックス先端壁631の遠位端に接続するように構成されてよい。ばね637は、フレックス先端壁631の内面に接して設けられてよい。灌注バランス板651は、力本体603の遠位端に接続されてよい。灌注バランス板651は、さらに、フレックス先端壁631の内部に設けられてよい。第2のファイバ支持管中心645は、力本体603の内面に接続されてよく、支持管647の遠位端にも接続されてよい。支持管スロット649は、支持管647に設けられた螺旋状の空隙を備えてよく、支持管シール材669は、支持管スロット649内に設けられてよい。第1のファイバ支持管中心643は、力本体603の内面に接続されてよく、支持管647の近位端にも接続されてよい。力本体603の近位部分は、フレックス先端壁631に接続されてよい。力本体603は、力本体スロットを備えてよい。力本体スロットは、力本体603の外壁に設けられた螺旋状の空隙を備えてよい。力本体シール材661は、力本体スロット内に配置されてよい。流体キャップ607は、力本体603の近位端に接続されてよい。マルチコアファイバ655の遠位部分は、支持管647内に設けられてよい。支持管より近位のマルチコアファイバ655の一部は、流体キャップ607の中央チャネルを通過してよい。
【0083】
図15は、マルチコアファイバ701の一実施形態の側面図を示す。マルチコアファイバ701は、遠位部分705を備えてよい。上記にて説明したように、遠位部分705は、複数のファイバブラッググレーティング703を備えてよい。ファイバブラッググレーティングは、本願全体を通して説明されるように、力の判定及び形状感知に使用されてよい。
【0084】
図16は、マルチコアファイバ711の一実施形態の断面図を示す。マルチコアファイバ711は、複数のファイバコア713を備えてよい。図示の実施形態では、マルチコアファイバ711は、7つの別体のファイバコアを備えてよい。様々な他の実施形態では、マルチコアファイバは、様々な用途及び医療処置について当業者によって所望されるように、2つのコア、3つのコア、4つのコア、5つのコア、6つのコア、8つのコア、9つのコア、又はそれより多くのコアを備えてよい。
【0085】
図17は、力本体751の実施形態を示す。力本体751は、力本体スロット753と、力本体遠位端757と、力本体近位端755と、支持管759と、を備えてよい。力本体751は、力本体遠位端757に力が加えられた状態で図示されている。図示された実施形態に見られるように、力本体スロット753により、力本体751は、加えられた力に応じて曲がることができる。図示されていないが、力本体スロット内の力本体シール材は、スロットが圧縮又は伸張されると、スロットに追従してよい。さらに、支持管759が力本体751に接続されているので、力本体751の動きが支持チューブ759に伝達される。
【0086】
図18は、マルチコアファイバが360°回転されるときに、マルチコアファイバ内の3つのファイバが受ける最大主歪のグラフを示す。グラフは、第1のファイバコア771、第2のファイバコア773、及び第3のファイバコア775に対する歪を示す。
【0087】
図19Aは、屈曲構造アセンブリ822の一実施形態の等角図を示す。屈曲構造アセンブリ822は、屈曲構造816に実装される例示的なマルチコアファイバ824を備えてよい。一実施形態では、屈曲構造アセンブリ822は、カテーテルシャフトの遠位部分の近くに設けられてよい。図示の実施形態では、屈曲構造816は、少なくとも力センサが、心臓組織のような構造に対する力によるたわみを感知できるような遠位屈曲を提供する。この実施形態では、スロット818、812として示される1つまたは複数スロットが、組織との接触に応じた力によって、屈曲構造816が曲がることを可能にする。例えば、1つ又は複数のファイバブラッググレーティング力センサが、3つのコア802、804、806それぞれの内にあり(図3A~3Cに見られるように)、かつ屈曲構造816内にある場合、力センサは、組織との接触度合の変化に応じて、屈曲構造816のたわみを識別することができる。ファイバブラッググレーティングに基づくこのようなセンサは、本明細書に説明されているように、及び/又は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる本出願の譲受人に譲渡された米国特許第8,182,433号に記載されているように実施されてよい。他の実施形態では、(図3A~3Cに見られるように)力感知コア802、804、806に関連する力センサは、異なる光学技術を利用してもよい。
【0088】
図19Bは、図19Aに示す屈曲構造816の側面図を示す。屈曲構造816は、カテーテルの遠位端との接触に応じて屈曲構造816の曲げを提供する複数のスロット818、820を備えてよい。
【0089】
図19Cは、カテーテル先端アセンブリ840の別の実施形態の側面図を示す。カテーテル先端アセンブリ840は、屈曲構造846と、カテーテル先端852と、第1のスロット848と、第2のスロット850と、マルチコアファイバ830とを備えてよい。屈曲構造846は、アブレーション及び/又はマッピング先端のようなカテーテル先端852に対して位置決めされてよい。カテーテル先端852は、複数の灌注ポート854を備えてよく、これにより医療処置中に冷却流体がカテーテルから排出される。一実施形態では、屈曲構造846は、カテーテル先端852の近くに設けられてよい。マルチコアファイバ及び屈曲構造のさらなる例は、本出願の譲受人に譲渡された、「MEDICAL DEVICE WITH MULTI-CORE FIBER FOR OPTICAL SENSING」という名称の、2017年1月6日に出願された米国特許出願第15/400,655号に見ることができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
上述の実施形態は、カテーテル及び先端アセンブリのより大きな軸方向の移動を可能にし、水分によって影響されず、従来の力感知カテーテルで必要とされるように、ファイバ配置中及びファイバの「クリーブ角」の製造中に、精密な公差で作業する必要がないため、生産量をより多くすることができる。さらに、上述の実施形態は、カテーテル内のファイバの数を減らすことができ、センサを組み立てる時間を減らすことができ、変形可能な本体を使用するが、ファイバスロットを有する必要はない。本明細書に記載される実施形態の少なくともいくつかのさらなる利点は、マルチコアファイバが灌注ルーメン内に配置されることを含む。灌注ルーメン内の灌注剤は、灌注ルーメンを通って、マルチコアファイバの外壁の周りを移動する。灌注剤は、灌注ルーメンから先端アセンブリの近位空洞内に移動し、その後、先端電極の内部空洞に移動し、カテーテル先端を通って先端電極から出る。その結果、マルチコアファイバは、先端アセンブリ内において灌注剤によって取り囲まれる。
【0091】
そのような原理を組み込んだ医療デバイスの実施形態は、操作機構に対して遠位部分及び近位部分を有するシャフトを有する操作可能なカテーテルを含む。シャフト内には、形状感知センサ専用の複数の光コアと、力感知センサ専用の複数の光コアと、を有するマルチコア光ファイバがある。
【0092】
より具体的な実施形態では、マルチコア光ファイバのコアのうちの少なくとも1つは、温度補償用であり、形状感知センサ及び/又は力感知センサから得られた感知値を調整するために使用される。一実施形態では、形状感知センサは、たわんだときに光を知覚可能に反射する1つ又は複数のファイバブラッググレーティングを使用して実装される。別の実施形態では、力検知センサは、たわんだときに同様に光を知覚可能に反射する1つ又は複数のファイバブラッググレーティングを使用して実装される。他の実施形態は、力センサと形状感知センサの両方に対してファイバブラッググレーティング技術を実装し、さらに別の実施形態では、温度感知コアもファイバブラッググレーティング技術を利用する。
【0093】
一実施形態は、組織と遠位部分との接触を検出するための力センサのみを提供するようにマルチコアファイバを利用することを含み、他の実施形態では、マルチコアファイバは、シャフト形状センサのみを提供するために利用される。
【0094】
マルチコアファイバが形状感知及び力感知の両方のためにコアを収容する一実施形態では、形状感知コア及び力感知コアは、一つおきのコアが形状感知に充てられ、他のコアが力センサに充てられるように、互いにずらして配置される。1つの具体的な実施形態では、このずらされた配置は、実質的に対称であり、さらに別の実施形態では、1つ又は複数の温度センサ(例えば、ファイバブラッググレーティング)を収容する、コアは、周囲の対称的な力感知コア及び形状感知コアに対して、実質的にファイバの中央に配置される。
【0095】
シャフト及びカテーテル先端のたわみを可能にするいかなる方法が利用されてもよい。一実施形態では、カテーテルの遠位部分、ひいては、含まれるファイバがたわむことを可能にするために、マルチコアファイバのそれぞれのコアの力センサの近くに屈曲構造が設けられる。このたわみは、ファイバブラッググレーティング又は他のセンサによって知覚され、カテーテルの遠位部分にかかる力の量の指標を提供する。
【0096】
主題は、構造的特徴及び/又は方法論的作用に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義された主題は、上記で説明した特定の特徴又は作用に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、上記で説明した特定の特徴及び作用は、特許請求の範囲を実施する典型的な形態として開示されるものである。
【0097】
さらに、本開示が実施され得る少なくともいくつかの方法の理解を容易にするために、いくつかの実施形態がある程度の具体性を伴って上記で説明されたが、当業者は、本開示の範囲及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に様々な変更を行うことができる。上記の説明に含まれるか、又は添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものにすぎず、限定するものではないと解釈されるべきである。したがって、本明細書の例及び実施形態は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本教示から逸脱することなく、詳細又は構造の変更を行うことができる。前述の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての変更及び変形を網羅することを意図している。
【0098】
本明細書では、様々な装置、システム、及び方法の実施形態について説明されている。様々な特定の詳細は、本明細書に記載され、添付の図面に示されている実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び使用を十分に理解する目的で記載されている。しかしながら、実施形態は、そのような特定の詳細なしに実施可能であることが、当業者によって理解されるであろう。他の例では、本明細書に記載されている実施形態を不明瞭にしないように、既知の動作、構成部品、及び要素は、詳細に説明されていない。当業者であれば、本明細書に記載され図示された実施形態は非限定的な例であることを理解するだろう。したがって、本明細書に開示された特定の構造及び機能の詳細は、代表的なものであり、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるであろう。
【0099】
本開示で使用される「含む」、「備える」という用語、及びそれらの変形は、特に明記しない限り、「含むが、それに限定されない」を意味する。本開示で使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」という用語は、特に明記されない限り、「1つ又は複数」を意味する。
【0100】
本明細書において、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「一実施形態」などの言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じ所々にみられる「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「1つの実施形態では」、「一実施形態では」などの語句のすべてが、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、適当な方法で組み合わせられてよい。したがって、1つの実施形態に関連して図示又は説明されている特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と限定されることなく、全体又は部分的に組み合わせられてよい。
【0101】
プロセスステップ、方法ステップ、アルゴリズムなどは、順次に説明されている場合があるが、そのようなプロセス、方法、及びアルゴリズムは、代替の順序で機能するように構成されてもよい。言い換えれば、説明され得るステップの任意の連続又は順序は、必ずしも、ステップがその順序で実行される必要性示していない。本明細書で説明されるプロセス、方法、及びアルゴリズムのステップは、任意の実用的な順序で実行されてよい。さらに、いくつかのステップは、同時に実行されてもよい。
【0102】
単一のデバイス又は物品が本明細書で説明される場合、2つ以上のデバイス又は物品が単一のデバイス又は物品の代わりに使用されてもよいことは、容易に明らかであろう。同様に、2つ以上のデバイス又は物品が本明細書で説明される場合、単一のデバイス又は物品が2つ以上のデバイス又は物品の代わりに使用されてもよいことは、容易に明らかであろう。デバイスの機能性又は特徴は、そのような機能性又は特徴を有するものとして明示的に記載されていない1つ又は複数の他のデバイスによって代替的に具現化され得る。
【0103】
本明細書全体にわたって使用される「近位」及び「遠位」という用語は、患者を治療するために使用される器具の一端を操作する臨床医に関連して使用されてよい。「近位」という用語は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を指すことが理解されるであろう。しかし、手術器具は、様々な向き及び位置で使用されてよく、これらの用語は、限定的かつ絶対的であることを意図しない。全ての方向に関する言及(例えば、上方、下方、上向き、下向き、左、右、左側、右側、上部、下部、上、下、垂直、水平、時計¥回り、及び反時計回り)は、読者の本開示の理解を助けるための識別目的としてのみに使用されているに過ぎず、特に本開示の位置、向き、又は使用に関する限定を生じない。接合に関する言及(例えば、取り付けられている、結合されている、接続されている等)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続の間の中間部材、及び要素間の相対運動を含んでよい。このように、接合に関する言及は、必ずしも、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを意味するとは限らない。
【0104】
その全体又は一部が参照により本明細書に組み込まれると述べられている特許、刊行物、又は他の公開資料は、本開示に記載されている定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない限りにおいてのみ本明細書に組み込まれる。したがって、必要な限りにおいて、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると記載されているが、本明細書に記載されている定義、記述、又は他の公開資料と矛盾するいかなる資料又はその一部は、公開資料との間に矛盾が生じない限りにおいてのみ組み込まれる。
【0105】
上記の議論及び例示に基づいて、当業者は、本明細書で例示及び説明される例示的な実施形態及び適用例に厳密に従うことなく、様々な修正及び変更が様々な実施形態になされ得ることを容易に認識するであろう。そのような修正は、特許請求の範囲に記載の態様を含む、本明細書の様々な態様の真の要旨及び範囲から逸脱しない。
出願時の特許請求の範囲に記載の事項を以下に列挙しておく。
(項目1)
先端電極と、
少なくとも1つのファイバ支持管中心を備えるカプラであって、前記カプラの遠位部分は前記先端電極の近位部分に接続される、前記カプラと、
複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、
を備え、
前記ファイバ支持管の近位部分は、少なくとも1つの前記ファイバ支持管中心に接続される、先端アセンブリ。
(項目2)
前記先端電極は、フレックス電極を備える、項目1に記載の先端アセンブリ。
(項目3)
前記カプラは、前記カプラの遠位端に接続された灌注バランス板をさらに備える、項目1又は2に記載の先端アセンブリ。
(項目4)
前記灌注バランス板は、少なくとも1つのプレート灌注貫通孔を備える、項目3に記載の先端アセンブリ。
(項目5)
前記マルチコアファイバは、少なくとも4つのコアファイバを備える、項目1~4のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
(項目6)
前記先端アセンブリは、前記カプラの近位端に接続された流体キャップをさらに備える、項目1~5のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
(項目7)
前記流体キャップは、中央チャネルを備え、
前記マルチコアファイバは、前記中央チャネルを通る、項目6に記載の先端アセンブリ。
(項目8)
前記先端アセンブリは、前記流体キャップに接続された灌注ルーメンをさらに備える、項目6又は7に記載の先端アセンブリ。
(項目9)
前記マルチコアファイバは、前記灌注ルーメン内に設けられる、項目8に記載の先端アセンブリ。
(項目10)
複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、
第1のファイバ支持管中心を備えるカプラと、
第2のファイバ支持管中心を備えるフレックス先端と、
を備え、
前記フレックス先端は、前記カプラの遠位部分に接続され、
前記ファイバ支持管は、前記第1のファイバ支持管中心及び前記第2のファイバ支持管中心に接続される、先端アセンブリ。
(項目11)
前記第1のファイバ支持管中心は、複数のセンタリング突出部を備える、項目10に記載の先端アセンブリ。
(項目12)
前記カプラは、内面をさらに含み、
前記複数のセンタリング突出部の各々は、突出部外面を備え、
前記突出部外面は、前記カプラの前記内面と相互作用するように構成される、項目11に記載の先端アセンブリ。
(項目13)
前記ファイバ支持管は、支持管スロットをさらに備える、項目10~12のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
(項目14)
前記支持管スロットは、前記ファイバ支持管において、螺旋スロットを備える、項目13に記載の先端アセンブリ。
(項目15)
カプラスロットは、前記カプラにおいて、螺旋スロットを備え、
前記カプラは、前記カプラスロット内にカプラシール材をさらに備える、項目10~13のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
(項目16)
前記ファイバ支持管の遠位端は、前記第2のファイバ支持管中心に接続され、
前記ファイバ支持管の近位端は、前記第1のファイバ支持管中心に接続される、項目10~15のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
(項目17)
先端アセンブリであって、
複数のコアとファイバ支持管とを備えるマルチコアファイバと、
第1のファイバ支持管中心を備えるカプラと、
中央チャネルと少なくとも1つの電気チャネルとを備える流体キャップであって、前記カプラの近位端に接続される前記流体キャップと、
前記流体キャップに接続された灌注ルーメンと、
前記カプラの遠位部分に接続された先端電極と、
を備え、
前記マルチコアファイバは、前記灌注ルーメンの内部に設けられ、
前記第1のファイバ支持管中心及び第2のファイバ支持管中心は、前記先端アセンブリの内部に設けられ、
前記ファイバ支持管は、前記第1のファイバ支持管中心及び前記第2のファイバ支持管中心に接続される、先端アセンブリ。
(項目18)
前記ファイバ支持管の遠位端は、前記第2のファイバ支持管中心に接続され、
前記ファイバ支持管の近位端は、前記第1のファイバ支持管中心に接続される、項目17に記載の先端アセンブリ。
(項目19)
前記先端電極は、フレックス電極を備える、項目17又は18に記載の先端アセンブリ。
(項目20)
前記マルチコアファイバは、前記先端電極の内部に設けられる、項目17~19のいずれか一項に記載の先端アセンブリ。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C